【2次】漫画SS総合スレへようこそpart29【創作】
クラフトの視線の先には、仮設ステージが立っており、その周囲には人がぞろぞろとたかっていた。ステージの上には、
奇妙な男が立っていた。
目が四つもついた異形の仮面を被り、その表情はうかがえない。そしてその言葉が響く―――
「親愛なる我が信徒たちよ、ここへお前たちを集めたのも私だ」
「うおおーーーーっ!ユーゼス様ーーーーっ!愛してるぜえーーーーっ!」
それを合図に、観客たちが大騒ぎを始める。最前列にいた逞しいおばちゃんたちが(日本円でいうと)一万円札で作った
首飾りを手に前へ前へと押し寄せる。まるで演歌歌手のコンサートだ。
ユーゼスという名前らしい男が歩み寄り、札で作られた首飾りを受け取る。
「これを受け取るのも私だ」
「きゃーっ!ユーゼス様ーーーーっ!」
いちいち大騒ぎするおばちゃんたち。ますます演歌歌手のおっかけのようだ。
「さあ、我が信徒たちよ!お前たちが今日ハッピーなのも私の仕向けたことだ!」
「いえーっ!」
「こうして盛り上がるように仕向けたのも私だ!」
「うおーっ!」
「全て私だ!」
「さすがユーゼス様っ!俺たちにできないことを平然とやってのけるっ!そこに痺れる憧れるぅ!」
「ユーゼス教、今なら入信費無料!特典多数!太っ腹なのも私だ!」
「やっほー!」
―――バカ王子一行はその狂気の集会をただ見守るだけだった。
「な・・・なんだあれは・・・」
「ふむ、僕の見たところ怪しい宗教のようだな」
「そんなことは分かっとる!まったく・・・あんなモンに洗脳される奴の気が知れん。なあ、アスラン・・・」
隣にいたアスランをクラフトは見やった。
「いやっほーーーーい!ユーゼス最高ーーーー!」
「もう洗脳されてやがる!?」
「だって見てみろ。今ならユーゼス教への入信費無料。その上ユーゼスストラップ、ユーゼスバンダナ、ユーゼス
キーホルダー、さらにユーゼス仮面(レプリカ)もついてくるんだぞ?これはもうユーゼス様を信仰するしかない
じゃないか!さて、早速この仮面(レプリカ)を被ろうか。きっと俺にジャストフィットネスだ」
アスランは躊躇うことなく仮面を被る。見た目にはユーゼスとそっくりになった。