【2次】漫画SS総合スレへようこそpart26【創作】

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542Iron Fist Tournament
プロローグ
夏。その季節は一年の中で人々が最も活発になる季節。
気温は上がり、真夏日が続く事もある。そんな中、一人の高校生が道を歩いていた。
「へっくし!」
少年、遠野志貴は大きなくしゃみをした。くしゃみなど誰でもする事で気にすることでもない。
だが今回は違った。突然、彼を目眩と立ちくらみが襲ったのだ。フラフラになり電柱によりかかる。
「はぁ。」
タメ息をつき、呼吸を整える。こんな事は普通はない。自分の血筋の事を知ってから色々
物騒な事が起こったがそれももう収まっているはず。ストレスや疲労もない。ならば自分の
側によからぬ物があるという事だ。まさか。「彼女」を初めて目の当たりにした時と同じ事が起こっているのか。
仕方ない。やるか。志貴はいつも携帯しているナイフを取り出した。折りたたみ式のナイフで果物ナイフよりは
大きい。そして彼は眼鏡を外した。途端に彼の視界に奇妙な線が現れた。特殊な眼を持つ者だけが見える
「死の線」
周囲を見回し、耳を澄ます。不審な要素はまったく見つからない。一歩動く。何も起こらない。
だが誰かに見られているような感じがする。
「遠野志貴だな。」
声がした方を振り向く志貴。数メートル程前には男が立っていた。ポマードをつけたような黒髪に
スポーツパンツという出で立ちの男だった。志貴は男が一歩こっちに近づく度に頭痛がひどくなる
のを覚えた。
「一緒に来て貰おうか。」男が志貴に呼びかけた。
危険が目の前にある。今は逃げた方が得策だろう。だがこの男は執拗なまでに追ってくるだろう。
どれほどの距離を取ろうが見失うまで追ってくる。ならば相手の足を奪おう。
「断る!そして!」
落ちていた石を相手の顔目掛けて投げ、前に走り出す志貴。石が相手の顔に近づくのと志貴が
突きを繰り出すのは同時だった。直後、志貴は顎に衝撃を覚えた。
「甘いな。相手の視界を奪った後攻撃。三島流喧嘩空手はそれに遅れを取るモノではない!」
言いながら石を握り壊す男。薄れゆく意識の中で志貴は思った。誰なのだ。この男は。
魔族の類か?それとも真祖なのか。
「俺の名は三島一八(みしまかずや)だ。覚えておけ。」
一八は気絶した志貴を肩に抱えるとその場を後にした。
543Iron Fist Tournament:2005/07/06(水) 21:55:07 ID:ODpYDKEv0
第一話 出発

中国大陸奥部 ヒマラヤ山脈 午後2時
「どうしても行くというのか。」
「はい。ここで学んだ事を存分に生かしたいと思います。」
「奴等との戦いは長い事続いておる。我らが持つ術はすべてその為に作られたモノじゃ。」
一人の老人と一人の少女が話していた。二人とも正座をして向き合っている。
「お前はこの10年間家族の元を離れて波紋法の鍛錬をして来た。本来ならば
子供を守る為にワシらが戦うはずなのじゃが若い衆は山を降り家族を養うために
働いておる。屈強な男達で頭も働くのじゃがな。」
「老師。私、静=ジョースターは世界を、人々を守る為に戦います。心配なさらないでください。」
数時間後、静=ジョースターは山を降り、飛行場に向かう汽車に乗る為に最寄りの町へと向かった。


アメリカ ロスアンジェルス カリフォルニア州 

照りつける様な日差しの下、人々は街中で活発に動いていた。
あまり湿気がないのが唯一の救いだろうか。気温が高い為、人々は自然と日向を避ける様になった。
一人の男が空手道場に向かって歩いていた。アメリカでも空手は盛んでありプロの選手から護身術を
習う者まで大勢いる。彼の表向きの目的もその他大勢と似たような者だった。
「押忍!」
掛け声と共に演舞を終わらせる男。男がこの道場に来てから数週間が経つ。基本的に空手の昇級制度は
試験に合格した者のみ昇級を許すというモノなのでいくら優れている人間でもまずは9級からという事になる。
彼はまだ白帯だった。その日は偶然彼一人しか来ていなかった。
「たのもう!」
突然ドアがガラリと空き、一人の長身の日本人が現れた。他流派の道着を着ており、腰をおろし胡坐をかく。
誰がどう見ても道場破りである。
「誰だ・・・お前は。」道場破りに話しかける白帯の男。
「俺の名は武藤竜二。世界中の強者共と試合をする為に来た。」
「俺は風間仁。師範代も師範もいないが俺が相手だ。来い。」
二人の間で火花が散り始め、空気が歪んで行く。二人が突っ込むのは同時だった。