【2次】漫画SS総合スレへようこそpart25【創作】

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517白昼夢
私は今、雑踏の中に立っている。
時刻は午前8時過ぎ、平日のラッシュアワーといったトコロだろう。
照りつける太陽がアスファルトを焼き、雑踏の中に埋もれた群集がせわしなく動いている。
ネクタイを締めたビジネスマン、制服を着た学生、巡回中の警察官、子供連れの母子、
誰一人足を止めずに動いている、皆それぞれの目的に向かい前を見て歩いている。

―きっと私だけだろう、そんな群集が流れる雑踏の中で足を止めただ立っているだけの人間は。
でもそれはしょうがない、だって皆目的に向かい動いているのだから・・・目的の無い者はどこにも向かう場所が無い。
流れる群集の中で私はただそこに立っているだけだった。
時折、通行人と肩が触れ合うが、私は特に気にしない、相手も特に気にしない、気にする必要もない。
―なぜなら私は―

「こんにちわ」

不意に声をかけられた。
見ると帽子をかぶった男が目の前に立っていた。

「コンニチワ」

不意を突かれた私は思わず同じ言葉を男に返していた。
誰でも良い・・・とにかく会話がしたくて、私はそう返したのかも知れない。

「気分はどうだい?まだこっち側に来て間もないだろうが・・・」