【2次】漫画SS総合スレへようこそpart23【創作】
521 :
テンプレ2:05/02/20 16:00:09 ID:ib67pClW0
522 :
テンプレ3:05/02/20 16:00:52 ID:ib67pClW0
523 :
テンプレ3:05/02/20 16:03:17 ID:ib67pClW0
524 :
テンプレ4:05/02/20 16:04:14 ID:ib67pClW0
525 :
テンプレ作ったやつ:05/02/20 16:12:00 ID:ib67pClW0
大体、あっていると思いますが。
NB氏のブラックキャットはご本人が最低3ヶ月は休載するという事で外しました。
サマサ氏の鬼事は、とりあえず終わってますが
「京都編」が近々連載されるという事で入れておきました。
2ヶ月以上空いてても、本人の存在と連載の意思が認められる場合は入れてます。
ユル氏は微妙ですが、今回は入れました。
五氏の「バキ外伝デスゲーム」については、まとめサイトのプロローグへリンクすると
介錯人氏の「ネクストレンジャー」(完結済)へ行ってしまうので現スレへのリンクを
張りました。
もう、過去ログは要らないかも知れませんね。サイトあるし。
多分、2レスで収まるのは今回が限界。
526 :
作者の都合により名無しです:05/02/20 16:20:04 ID:+tlTem5b0
528 :
作者の都合により名無しです:05/02/20 21:14:29 ID:j+WiuRHd0
>出木杉帝国
いよいよラスボスのキスギー戦かと思いきや、腹心のメジューサがいましたか。
もう少し楽しませてくれそうですね。やはり、最後の決戦のキーマンはスネ夫なのか?
>忍者の証
ガラがシブいですね。メイにネイを重ね合わせてるところとか。メイも重い過去が
あったのですね。ラストへの福泉かな。最後の出発の時のメイがやたら可愛いかったw
>犬と猫
やはりヤムチャはまっさきにやられたかw予想通りというか、期待通りというか。
でも、ギランとか強いですね。原作では大して強くなかったのに。国王の力すごいな。
>>525 俺も過去ログはいらないと思います。次スレは470〜480KBくらいで移行ですかね?
最近、またこのスレが生協で嬉しいなあ。
新人さんたちも頑張ってるし格闘大戦やローマも復活しそうだけど、
VSさんはマジで大丈夫なんだろうか。
過去スレがあってもいいんじゃないかな?
投下されたSSに対しての感想を読むのも面白いと思ふ
いやあ、ちょいと事情があって当分書けないのであります。
気長に待ってくださいです。ま、
「過去ログは、まとめサイトを参照して下さい」
の一文をテンプレに入れれば大丈夫じゃないかな?
>>530 過去ログはまとめサイトで見れるからあえてここのテンプレに載せる必要は無いんじゃないかっつうことよ
534 :
ふら〜り:05/02/21 21:08:47 ID:N3YBf2180
>>五さん
スペック大活躍っっ! あの笑顔での頭突き連打による惨殺、死体を使っての腹話術と
いったスペックらしい狂気があり、硬気功・バンプで「ちゃんと天才」ぶりも出てて。
本っっ当に、期待をどどんと上回る出来栄えです。面白かった&嬉しかったですよっ!
>>ゲロさん
冒頭を見ると、「珍しく、精神的というより物理的に大物っぽい?」と思ったのですが。
随分ギンコ、余裕ありますね。こうなると、予想が外れて苦戦してしまう様を見たく
なってしまったり。あとゲロさんの好きなゲーム、メジャーとマイナー入り乱れてますな。
>>Z戦士さん
可愛くて愛しくて。持ち帰りたくなりますね、この刃牙は。「Z戦士術」が使えるように
なって、空飛んで喜ぶ顔が見たい……いや、それができずに右往左往してる姿が魅力……
とか。仰る通り周りが常識人なだけに、ヘンっぷり=可愛さが際立ってて。好きですっ。
>>草薙さん
そうきましたか。正に「予想もしなかったぜぇ」です。確かに、素ののび太で勇次郎に
有効打を与えられる(かもしれない)スキルといえばそれしかありませんね。さて、この
結末、このケリのつけ方をのび太自身がどう感じるか。一応師匠ですしね。次回注目です。
>>うみにんさん
ラスボスとご対面。長かった冒険もいよいよクライマックスですね。そんな中、改めて
のび太はのび太(射撃以外は頼りない)だと再確認。ギラーミンに続く壁、メジューサの
打開はスネオにかかってそうですが、こちらもまだ頼りなさげで。頑張れ小学生たちっ。
535 :
ふら〜り:05/02/21 21:09:50 ID:N3YBf2180
>>青ぴーさん
読んでて、ケイトへの印象が、見事に上下しました。けどそれより、やっぱりさすがの
主人公、ガラがカッコいいです。人情厚く、サラリと洒落た台詞も出てきて。こうなると、
普段の私の好みとはズレますが、原作とは完全パラレルってことでネイと結ばれて欲しい。
>>サナダムシさん
いやはは。今回の感想は「クリリンたちにゃ悪いが、(ヤジロベーが活躍するには)今
しかない」です。国王の邪悪ぶりがどんどん前面に出て、ピラフたちも早々にピンチな今、
今ならばヤジロベー独壇場! と手に汗と期待を握っております。……活躍、しますよね?
>>さて
次スレの季節ですか。今回はまた、いつにも増してペースが早いような気が。スレが活況
な証拠ですね。嬉しいです。
自分語りになりますが……仕事が鬼のような事態になり、睡眠時間も乏しく、体調も少々
アレな今、ここに来るのは本当に、心の温泉旅館です。布団で寝るのと同じくらいに。
職人の皆様、そしてバレさん。多分私と同じように感じている方は大勢おられると思い
ますので、どうかこれからも宜しくお願いします。
私も時間ができれば、また感想書き以外の貢献(つまりSS書き)をさせて頂きますので。
……いえ、次こそはメジャー作品でいきます。はい。一応。予定では。
536 :
犬と猫:05/02/21 22:36:56 ID:7sN41lFF0
苛烈
グルグルガムに閉じ込められたクリリン。いくら力を込めても、ガムが破れる気配すら
ない。力めば力むほど、酸素を消費してしまい呼吸が苦しくなる。
「足掻ケ、足掻ケ……。寿命ハソノ分、短クナッチマウガナ」
「くっそぉ……!」
強化されたギランに比例して、グルグルガムも耐久力が桁外れに上がっている。
「せめて……」
窮地に立つクリリンに、亀仙流最強の技が浮かび上がる。
「せめて、かめはめ波が使えれば……!」
手足が固められては、かめはめ波は撃てない。視界が徐々に薄暗くなっていく。酸素が
絶望的に足りないのだ。タンバリンに殺された時に似た脱力感が忍び寄る。
「ここで終わりかよ……。ちくしょう、悟空……」
うっすらと目を瞑るクリリン。と、突然グルグルガムが爆発を起こした。焼け焦げるガ
ムから、すかさずクリリンが脱出する。大きく深呼吸をし、どうにか一命を取り留めた。
「ヤ、ヤムチャさん!」
「さっきはクリリンが叫んでくれたおかげで、体を硬直させてダメージを軽減出来た。こ
れはほんのお返しだぜ」
クリリンを救ったのはヤムチャであった。かめはめ波を放ち、グルグルガムを破壊した
のである。
「ここからが本番だぜ、クリリン」
「ありがとう、ヤムチャさん!」
亀仙流タッグ、復活。ギランも指を鳴らし、さらに殺気を研ぎ澄ませる。
「生キテイタカ……。マァ、アレデ終ワリジャ物足リネェシナ」
537 :
犬と猫:05/02/21 22:37:41 ID:7sN41lFF0
一方、天津飯はイエローと五分の攻防を展開していた。
互いに音速を超えた技を応酬し、いったん間合いを外す。
「どどん波ッ!」
指から放たれる、一点に凝縮されたエネルギー波。頬にかすりつつ、イエローも危なげ
なく避ける──小休止。
「どうやら、ほぼ互角だな……」
「格闘技デハナ。ダガ、コノ俺ハアイニク軍人ナンダヨ」
イエローはスプレー式の催涙ガスを取り出し、天津飯に吹っ掛けた。
「ぐわっ! ……くそっ、眼をやられたか」
さらに手榴弾のピンを外し、天津飯の口へと強引に詰め込む。即座に起きる大爆発。た
とえ天津飯でも、口の中では助からない。
「俺ハアラユル武器ヲ携帯シテイル……。軍人タル者、素手デ闘争スルナド恥ズカシクテ
ヤッテラレンゼ」
だが、硝煙に紛れる闘気は未だ残存している。
「ホウ、マダヤレルノカ……?」
天津飯は生きていた。倒れていた餃子が念力で、間一髪にて手榴弾を口から出したのだ。
「助かったぞ、餃子。危うく死ぬところだった……」
「チッ、ソコノガキノ仕業カ……。ナラバ、先ニ殺シテオクベキダナッ!」
餃子へと特大の銃を向けるイエロー。が、天津飯が銃身を掴み、まるで割り箸のように
へし折った。
「餃子には手を出すな……。ここからは俺一人でやる、文句はあるまい」
「フン、モウ一度喰ライテェラシイナ」
またも催涙スプレーを取り出すが、手刀で叩き落とされる。さらにアッパーから、首を
狙ったハイキックでの追い打ち。思いがけぬ逆襲に、イエローがダウンを奪われる。
「本気でやれば今ので殺せたが、手加減してある。どんどん武器を使うといい。俺は全て
を粉砕し、貴様を打ち倒してやるッ!」
手榴弾によるダメージを感じさせず、仁王立ちする天津飯。たじろくイエロー。
「後悔サセテヤルゼ……クソ野郎ガッ!」
538 :
犬と猫:05/02/21 22:39:00 ID:7sN41lFF0
地上で始まった決戦を、鋭敏に感じ取る国王。
「ギランとイエローめ、派手にやっているな。さて、こちらも盛り上がってきた」
王室では、ピラフがシュウに痛めつけられていた。死なぬよう急所を外し、なおかつピ
ラフには強烈すぎる打撃が与えられる。
「ピ、ピラフ様……もうお止め下さい!」
「うるさい、お前は下がっていろ! シ、シュウよ、私を覚えておらんのか……!」
「覚エテナイ」
ピラフの右肩に、鉄槌が振り下ろされる。骨が粉々に砕け散った。
「ぐぎゃあッ!」
本来なら泣き叫んでいるであろう痛みにも屈せず、ピラフは説得を止めない。消え入り
そうな声で、一途にシュウへと呼びかける。
「ともに笑い、ともに泣いた日々……思い出すのだ。また、世界征服を──!」
蹴りが入る。天井へ激突し、床に墜落し、再び天井近くまで浮かび上がる。しかも、舌
を噛み切ってしまった。ピラフの口から血が溢れ出す。
「ピラフ様ッ!」
マイが駆け寄ろうとするが、国王に髪の毛を掴まれる。
「……あぐっ!」
「やれやれ、邪魔をするんじゃない。彼は人類に対する最高のプロモーションとなる。見
せしめとしてな」
髪を乱雑に掴まれたまま、マイが投げ飛ばされる。彼女は壁に激突し、動かなくなって
しまう。国王の手には、数十本もの毛が握られていた。
シュウに次ぎ、マイまでも奪われた。舌が失われても、声にならぬ悲痛な叫びを轟かせ
るピラフ。弱者への支配という麻薬に、国王は酔いしれていた。
「ますます盛り上がってきたな。カリンよ、ちゃんと撮っておけよ」
シュウと同じく生気を帯びぬ顔つきで、カメラで撮影するカリン。ピラフが無残に打ち
のめされる光景が、克明に記録される。
>>518より。
そろそろ次スレですか。
ここは本当に面白いですね。
……ああっ、醤油がキーボードに!
「大擂台賽だとお!」
文字の形のブロックを吐き出したみないな声で叫んで、シコルスキーは新聞
紙を真っ二つに引き裂いた。刑務所の薄暗い廊下にはシコルスキーと園田警部
の他には誰の姿もない。シコルスキーは破った新聞にもう一度じっくり目を通
して、そして園田に尋ねた。
「大擂台賽の記事なんてどこにも載ってないぞ」
「そんな昔の新聞には載っとらん。たった今、中国でやっとるんだ」
シコルスキーが破いたのは読むための新聞ではなく、掛け布団替わりの古新
聞だった。最凶死刑囚として名高いシコルスキーには警察官のファンも多く、
刑務所内でもVIP級の待遇を受けていたのだが、地下闘技場で雑魚のガイア相
手に醜態をさらした罰で特別監房を追い出され、今は廊下で寝泊りをしている。
薄い新聞紙にくるまってスンスン泣いていたところに園田がやってきて、中国
で大擂台賽という百年に一度の格闘大会が開催されているという話を聞いた。
「オレも出るぞ!」
シコルスキーは涙を拭いて立ち上がった。敗北を知りたくてやってきた日本
で何度も何度も敗北を味わい、シコルスキーは敗北がすっかり大嫌いになって
いた。今はひたすら勝利の美酒に酔い痴れたい。そんなシコルスキーの願いを
見透かしたかのように、園田はケツをかいていた手をズボンから抜いてシコル
スキーの鼻先に近づけた。
「臭くない! いいからオレも大擂台賽に混ぜろ!」
シコルスキーは園田の手を邪険に振り払って懇願した。しかし無情にも園田
の答えはノーだった。
「ダメ。だってお前死刑囚だもん」
もっともな話だった。園田は自分の手の平をじっと見つめて、そして匂いを
嗅いでみた。
「臭いじゃん」
「どっちでもいい! その死刑囚を廊下にほっぽり出して知らん顔を決め込ん
でいるのはどこのどいつだ!」
これまたもっともな話だった。見事に切り返されて、園田は苦笑いを浮かべ
ている。シコルスキーはここがチャンスとみて、もう一つお願いをした。
「大擂台賽で優勝したら、オレを自由の身にしてくれ!」
園田は考えた。こんなバカチンが猛者ぞろいの大擂台賽で優勝できる訳がな
い。万が一優勝したところで、シコルスキーの身柄はロシアの管理下にあるの
だから日本の警察には何の権限もない。だから自分たちが釈放してやっても、
ロシアに帰ったら速攻で死刑になるだろう。それですべては丸く収まる。
「えーよ。中国行っといで」
「いえー!」
大喜びで外に出ようとしたシコルスキーを、園田が呼び止めた。
「そういえばな。大擂台賽、今は五対五の対抗戦をやっとるらしいぞ。どうす
んの?」
「五人?」
シコルスキーは立ち止まってしばし考え、ゆっくりと園田を振り返った。そ
の貌には邪悪な笑みが浮かんでいる。
「ソノダよ。本当に大擂台賽に参加してもいいんだな?」
「えーよ」
「だったら! 最凶死刑囚の残り四人、今すぐ外に出してもらおうか!」
「えーよ」
「本当にいいのか! あらゆる国のあらゆる人々に災厄をふりまいた凶悪犯罪
者を、いっぺんに五人も野に放つことになるんだぞ!」
「えーよ」
えーよの大盤振る舞いに、逆にシコルスキーの方がたじろいだ。園田はポケ
ットから鍵の束を取り出してシコルスキーに渡した。
「自分で鍵開けて、テキトーに連れ出してえーよ」
園田、怒涛の太っ腹!
全五話。
>>531 復活待ってます。がんばって下さい。
543 :
作者の都合により名無しです:05/02/22 07:46:44 ID:31rDTPo20
>犬と猫
クリリンを助けて活躍するヤムチャに違和感を感じるのは、俺の心が汚れているせいだろうかw
ピラフが原作と違い子分思いの男気あるキャラでいいですな。犬国王、悪役振りがいいですね。
>ヘルニア戦隊ダッチョリアン
おお、新連載ですか。既存の職人さんかな?新人さんだとなお嬉しいが。ふざけたタイトルだw
シコルスキーのわがままの通しっぷりがいいですな。死刑囚5人対中国軍か日米連合か。楽しみだ。
でもなんとなくVSさんに似てるねダッチョリアン。本人コメント見ると違うみたいだけど。
次スレはあと一本か二本くらいでかな?
かつて私には強く気高い二人の姉がいた。長女ステンニュウ、次女ドウリュアレ。
我等3人の女神を称し、ゴルゴン3姉妹と呼ぶものもいた。
末っ子である私の名はメジューサ――――呼ばれ名は――――――“支配する女”
何故か。力では不死身の姉たちには遠く及ばない私が、
何故に、そのような名を冠されたのか。何故に――――――――――――
何故に。それは、この神の世界においてさえ、並ぶ者のなき美貌ゆえに―――――――
つややかな長い黒髪。透き通るように澄んだ瞳。ほんのり桃色に上気した美しい肌。
そう――――――かつて私は美しく可憐な少女神であった。
数多の神々。その全てが私に恋をした。その美貌は、オリンポス12神の長、
全知全能たる偉大なるデウスさえも虜となり、恋焦がれるほどであった。
神々は私を数々の興事に誘い、我が物にしようと試みた。
私は、数々の興事を心から楽しみ――――しかしただ、それだけだった。
言い寄ってくる男たちにこちらが関心を抱く事は一切なかった。
ただ、ただ私は楽しかった。言い寄る男どもをかどわかしては、突き放し、
淡い期待を抱かせては、深い落胆の湖に沈めることが――――――
大神デウスでさえも、この力なき少女神の奔放な心を射止めることはできなかった。
私はそれがどれほどに罪深いことであったのか―――――――それすらも気付かぬ
愚かな女であったのだ―――――――――――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は恋に落ちた。
愛するものの名は――――――オリンポス12神が一人、海神クラーケン。
年のころは私と同い年くらいだろうか。まだあどけない面影を残す少年である。
暗く冷たい海の底で、何をするでもなく、ただじっとうずくまっている。
私は問うた。
「なぜ、このようなところで一人いるのでしょう」
少年は答えた。
「海の神である私が、他の場所にいる理由があるでしょうか」
私は、この少年に興味を抱いた。
この凍りつくような孤独の中にあっても、悠然と動かない彼が、偉大に見えた。
これまでに出会ってきた数多の神々よりも。大神デウスよりも何よりも。
私は、次の日も、また次の日も、海へと潜った。
クラーケンに会いたい、その一心で。
ある日、クラーケンは、かねてより心に抱いていた疑問を口に出した。
「なぜ、あなたはかような冷たく暗い水の底へと毎晩訪れるのであろうか。
あなたは美しい。その美貌を持ってすれば、かような所へ来ずとも望むがままの
幸せを手に入れられましょうに。」
私は答えを探した。そして、ようやく気付いた。
私が今、この悲しい少年に対して抱いている奇妙な、不可思議な気持ちの正体に。
「あなたはこの孤独な海にいつも一人でおられる。それは何故か。あなたはこう
おっしゃいました。海の神であるあなたが他のどこに居るものでしょう――――と。
それならば、あなたの孤独を紛らわすため、ただそれだけのために、私はずっと
おそばにおりましょう。そう。永久に―――――――――」
毎晩のように彼のそばにいるうちに、私は偉大に思えていた彼の、その内面は繊細で
臆病なだけの、か弱く気弱な少年であることに気付いていた。しかし幻滅はしなかった。
私は彼のその繊細さ、臆病さにこそ惹かれていたのだから。
私が毎晩クラーケンの元を訪れていることは、当然私に言い寄っていた神々の耳にも
伝わっていた。嫉妬に狂った偉大なる全能神デウスは、クラーケンと私の仲を切り裂いた。
愛しい人、海神クラーケンと海の老神ネーレウスの娘であるアンフィトリムとの結婚を
強引に取り決めたのだ。
気弱で繊細で臆病なクラーケン。可哀想なクラーケン。
全能神たるデウスに逆らうことなどできるはずがない。
あの暴君に逆らえばどういうことになるか、12神である彼が知らないはずがない。
優しいクラーケンは私への気遣いを見せながらもデウスにだけは逆らえなかった。
早やかにことは進められ、瞬くうちにクラーケンとアンフィトリムの結婚式の日が
やって来た。式を執り行う、女神アテナの神殿に数多の神々が集った。私もまた神殿に
呼び出されていた。これもまた、デウスによる見せしめのような意味合いなのだろう。
しかし、海の老神ネーレウスの娘ならば、私などよりもずっとクラーケンに釣り合って
いる。わたしは彼さえ幸せになってくれるならば――――――心からそう願っていた。
それなのに―――――――ああ、それなのになぜ――――――――――――――?
あなたは、偉大なるデウスの命に背いてまで私のことを――――――――――?
そう。式の始まる直前になって、彼は意を決して私の元へと駆けつけてくれたのだ。
「クラーケン。あなたは私がたとえ醜い顔の女であったとしても私を愛してくれましたか?」
「私があなた以外の誰を愛するというのだ。」
力強く答えるクラーケンはいつもよりたくましく思えた。私とクラーケンは―――――
神聖なるアテナの神殿で、禁じられた熱いくちづけを交わしたのだ。
しかし、なんと間の悪いことであろうか。その様をだれあろう、クラーケンの婚約者である
アンフィトリムに見つかってしまったのだ。私への嫉妬と憎悪にその小さな肩を震わせながら、
アンフィトリムは神殿の主であるアテナへと密告したのだった。
「神殿を汚した罪は重い。醜い顔が望みか。ならばその望み、かなえてやろう!」
アテナは普段の優しい顔からは考えられない邪悪で、いびつで、歪んだ笑みを形作って
みせた。アテナもまたメジューサの美貌に嫉妬していた女神のうちの一人だったのだ。
大神デウスらの怒りを恐れて、手出しできなかった嫉妬の対象に、公然と罰則を与える
口実ができたのだ。嬉々としてアテナは憎き美しきメジューサに呪いの魔法をかけた。
「ああっ・・・!」
激痛に思わず悲鳴をあげながら、私は悟った。私の顔が醜く焼け爛れてしまった
ことを。もう私の顔は、姿は、もとの姿とはほど遠い、醜い、醜い化物でしかない。
誰もがうらやんでいたその長くつややかな髪の毛は無数の醜悪な蛇へと姿を変えた。
しかも、あろうことか、他ならぬ最愛の人、クラーケンを威嚇しているではないか。
愛しい愛しいクラーケン。繊細で臆病なクラーケンは、きっと私の姿を見て怯えて
いるに違いない。涙が溢れて止まらなかった。悲しくて悲しくて悲しくて。
絶望にうちひしがれ、涙に濡れる私を、二人の女神が嘲笑った。
「ホホホ、醜い醜いメジューサ。哀れな醜女。そなたの顔は二度と男を寄りつかせぬ。
そなたの顔を見た者は、全て生きたまま石の像となってしまう呪いをかけた。」
「見たものを石に変えてしまうほどに、醜い顔。ホホホホホホホ。ああ、楽しい。
こんなに楽しいことなんて、これまでにあったかしら?ホホホホホホホホホホホホ」
両手で顔を隠し、跪いて動けない私の側で二人の女神の嘲りが鳴り止まない。
嘲りは、ピタリとやんだ。嘲りのせいで気付かなかったのか。その者の接近に。
気が付けば、地を這う視線の端に、見慣れた者の足元が見える。恐る恐る視線を
上に向けたその先には―――――――――――愛しい人の変わらぬ微笑みがあった。
繊細で臆病なはずのあなたが、私への恐怖を微塵も感じさせない穏やかな表情で、
私のこの醜悪な顔を見つめている。私は泣きじゃくりながら訴えた。
「もう・・・やめて・・・。見ないで。あなたが石になっちゃう・・・!」
「やめるものか。私にとってあなたは―――――――あなたの心は永遠に美しいままだ。
さきほどあなたは私にこう問いかけましたね。私がたとえ醜い顔の女であったとしても
愛してくれましたか?と。私はキミの問いにこう答えた。私があなた以外の誰を愛する
というのだ――――――――――――――――と。このまま永遠にデウスの言いなりに、
愛しい人と会えない運命ならば、誰よりも愛しいキミのこの美しい顔を、この目に焼き
付けて――――――――私は永遠の眠りにつこう。それもまた悪くない運命だ。」
涙がさらにあふれる。涙がさらにあふれる。愛しい人の顔がかすんで見えなくなる。
そう。彼は、あの臆病だったはずのクラーケンが、自らが生きたまま石になる恐怖を
乗り越えて、ただ悠然と、真に悠然と、暖かい笑顔で自分のこの醜く変貌した顔を、
以前となんら変わらぬ愛を持って見つめてくれているのだ。
――――――――そして彼は物言わぬ石となった。
それからどれほどの年月を経たのであろう。気の遠くなるような長い時の間に、
愛する人は砂となり、そして消えていった。塵の中から宇宙と呼ばれるものが生まれ、
人が生まれ、愛が生まれ―――――――――――私だけが愛を失った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なぜ、今そんなことを思い出すのだろう。
ちっぽけで脆弱な人間を石と化すことに抵抗などない。
偉大なる―――のために。偉大なる―――のために。偉大なる―――のために。
偉大なる―――の望みを邪魔する脆弱な小虫ども。
私は神の愛をもって、その全てを屠ろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少年の身に貼りつけられた無数の鏡。愚かな――――――――
かつて神であった私に、そのようなものの何が役に立つものか――――――――
メジューサは、タイムホールをするりと飛び出した。自然、スネオと至近距離での
鉢合わせとなる。スネオの動きが止まる。恐怖にすくんでいるのだろう。無理もない。
この私の醜悪極まりない姿。人の身で耐えられるものではない。強く睨みすえる。
石化の呪いをこの臆病で哀れなる少年に与えん。しかし――――――――
「キ、キミは・・・!?」
スネオの肉体に変化は起こらなかった。いや、身の毛もよだつ醜悪なる怪物と遭遇した
というのに、その表情は恐怖すら感じていない。ただ、わずかに驚きと戸惑いの表情だけ
を見せ、何か幻でも見るかのような目でメジューサを見つめている。
―――む?バカな――――なぜ、石とならぬ?我が呪いは――――呪いは――――――・・・
メジューサはようやく気がついた。スネオの体中に貼りつけられた無数の鏡。
そこには醜い化物や怪物の姿など、一つとして映し出されてはいない。何故―――――?
呪いは永遠のものではなかったのだろうか。宇宙開闢が幾度となく繰り返される
ほどの永き永き時を経て―――――今、偶然にこの時をもって解けたというのか――――
―――――封じられていた太古の記憶が――――今、確かに甦った。完全に―――――
つややかな長い黒髪。透き通るように澄んだ瞳。ほんのり桃色に上気した美しい肌。
「私は全てを思い出しました。」
麗しく、神々しく輝く、この世のものとも思えぬほどに美しいその――――――――――
――――“少女”は、思わず見惚れているスネオに、優しく語り始めた。
「少年よ。安心してください。“怪物”メジューサはもう、この世に存在しません。」
「へ・・・?そ、そうなの?」
「詳しい理由は後でお話することにしましょう。そう。真実を―――包み隠さずに・・・。
ですが、今は時間がありません。そして、今の私の力では彼女たちを救うこともできません。」
そう言って、美しい“少女”は、石と化したドラミたちを見やった。深い哀しみの表情で。
再び少女はまっすぐにスネオを見据えた。やはり透き通るように美しい、真摯な瞳で。
「あなたの大いなる勇気をもって、私を連れていってはもらえぬでしょうか―――――
我が愛しき人―――――クラーケンによく似た少年よ―――――――――――――」
「ク、クラーケン?なんだかわかんないけど、連れてけって・・・ど、どこに・・・!?」
「“ある者”のいる場所へ――――――」
メジューサの瞳にこもる意思の力は、その強さを増して、スネオの心に響き渡った。
「その者は今、あなたと、あなたの大切な仲間たちと戦っているはずです。そう。
・・・堕ちた大神、“魔王デウス”のもとへ――――――――――――」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回分終了です。強引な展開で申し訳ない。
でもこれちゃんとやると、この話だけですんごい長くなりそう・・・
メデューサのたぶんわりと有名な伝承っぽい話の中で一番好きなやつを
元にしています。あんまりうまくアレンジしきれてませんが・・・
単なる“怪物”としてのメデューサ物語はあまり好きじゃなかったので。
スネオは結局何もしてないような・・・
>サナダムシ様
僕のキーボードにもオロナミンCが・・・!
みんなキーボードにこぼしまくりだね。
次スレよろ↓
556 :
念仏鯛:05/02/22 19:06:31 ID:KT50nHJ2O
ザク3はどうしたんだろう。田部3も。
>犬と猫
おお、舞をかばうピラフが男らしいと思ったらその後が悲惨ですな。
このころの天津飯はさすがにヤムチャたちより1ランク上ですね。
>ダッチョリアン
確かにVSさんに似てるけどよりシュールな作風ですね。
園田ってこんなとぼけたキャラだったっけ?
>出木杉帝国
これはメジューサまでドラチーム入りか?魔王も大変だ。
しかしその魔王はかなりの大物のようですね。楽しみです。
>>555 確信犯臭いけどSS投下直後なんだからもう少し様子みなよ。
>>541 しばらく呆然としていたシコルスキーだがやがて気を取り直して、まずはド
リアンの監房の扉を開けた。
「ドリアーン!」
ドリアンはいなかった。ドリアンは海王という中国武術界の偉い人でもある
ため、大擂台賽参加のためにすでに中国へ行っていた。
「ドイルー!」
ドイルの監房にも誰もいなかった。崖下の洞穴でビバーク中にオリバに捕縛
されたドイルであったが、毒に冒されてばっちいのでオリバがゴミと一緒に捨
ててしまったらしい。
「ヤ・ナーギ!」
柳龍光の監房の床には、どす黒い色をした右手が転がっていた。柳本人の姿
は見えない。園田によると、消息を絶った柳を捜索中に発見した右手だそうだ。
ためしに鑑定したら柳の毒手と判明したため、柳の独房に放り込んである。毎
日水と肥料をたっぷり与えているので、じきに立派な柳が生えてくるという。
「シコルスキー!」
自分のいた監房も覗いてみた。当然もぬけの空かと思いきや、見知らぬ老夫
婦がちゃぶ台を囲んでご飯を食べていた。いまは民間用の貸し部屋になってい
るらしい。老夫婦は茶碗を持ったまま、シコルスキーを怪訝な目で見つめてい
る。シコルスキーは黙って扉を閉めた。
「スペーック!」
齢九十七歳のスペックは見る影もなく衰弱して、自力で歩くことすらままな
らないでいた。枯木のような細い体を監房の固いベッドに横たえ、顔だけ曲げ
てシコルスキーの方を見ている。半開きの口からヨダレを垂らしながら呻いた。
「………ウ………」
シコルスキーはみなまで聞かずに扉を閉めて、鍵をかけて隙間を溶接で密閉
して扉にお経を書いて封印を施した。そして園田に食ってかかった。
「誰もいねーじゃねーか! どうなってんだ!」
「変なじいさんばあさんとスペックはいたじゃん」
「あんなもんはいた内に入らん! 今すぐ死刑囚を四人連れてこい!」
「そこまで面倒見きれん。ワシャ帰る」
園田はシコルスキーの手から鍵の束をぶん取って、足取りも軽く愛しの我が
家へ帰ってしまった。
「ソノダー! 待てコラー! 死刑囚ー! メシー!」
今は正午をちょっと過ぎたあたりだった。シコルスキーへの食事の支給は園
田の仕事だが、その園田は昼食のことなどケロリと忘れていた。シコルスキー
が泣いても喚いても、園田は戻ってこなかった。家に帰って風呂に入ってビー
ルを呑んで、あとは寝るだけなのだろう。
シコルスキーは騒ぎ疲れてその場にへたり込んで、力のない目で天井を見上
げた。ところどころにこびりついた天井の染みが、なんだか死刑囚の顔に見え
る。ドリアン、ドイル、柳、スペック、ピロシキ。喉を鳴らしてピロシキに伸
ばしかけた手を、シコルスキーはぎゅっと握りしめた。
「オレは諦めん! こんなことでは諦めんぞ!」
大擂台賽で優勝するまで死ぬ訳にはいかない。シコルスキーの目が再び強く
輝き始めた。勢いよく立ち上がり、老夫婦の部屋にノックもせずに押し入った。
「あー、食った」
シコルスキーが部屋を出たのと同時に、内側から鍵を閉める音がした。老夫
婦が激しく言い争う声が聞こえるが、そんなのシコルスキーには全然関係ない。
ともかくこれで腹は満ちた。あとは大擂台賽出場のためのメンツ集めだ。
「さて、どうしようか」
シコルスキーは壁にもたれかかって、口にくわえた爪楊枝を上下に揺らしな
がら考えた。死刑囚がダメならば、別の筋から人を集めてもいい。真っ先に思
い当たるのは地下闘技場で闘ったジャックとガイアだが、連絡先が分からない。
プロレスラーの猪狩完至とも面識があるが、ちょっと実力的に心許ない。さっ
きの老夫婦に声をかけてもいいが、彼らは自分のことをあまり好きではないよ
うだ。
「うーん」
考えれば考えるほど知り合いが少ない。やはり最凶死刑囚の五人組がベスト
メンバーに違いなかった。シコルスキーはスペックの監房をちらりと見た。
「まあ、いないよりはマシか」
シコルスキーはあまり気乗りのしない顔で、監房の扉に手をかけた。
つづく。
561 :
作者の都合により名無しです:05/02/22 22:21:07 ID:9p+HcC5h0
>出来杉
元はギリシア神話でしたっけ?今回は詩的な表現でしたね。スネ夫意外と美味しい役回りだなw
最終決戦前に、もう1、2エピソードありそうな感じですね。
>カラオケ戦隊ウタヒロバー
うーん、1話2話ともみたけどなんかVSさんぽいね。しかし死刑囚が寄るとシコルが主役に
なるのはバキスレのお約束か。しかし毎度なんでタイトル変えるんだよw
とりあえずもう480KBだから次スレ立ててみるよ。
いいんじゃない?
立ててちょーだい。
563 :
作者の都合により名無しです:05/02/22 22:29:03 ID:9p+HcC5h0
すみません、駄目でした・・
一週間くらい前には立てれたのに。
564 :
新スレの1:05/02/22 23:20:42 ID:Ag9nb1zd0
565 :
新スレの1:05/02/22 23:26:42 ID:Ag9nb1zd0
感想こっちにかいとこ。
うみにんさん、神話を題材にした構想見事です。出来れば引き伸ばしてくださいw
名無しさん、死刑囚好きだから擂台賽楽しみ。でもシコが一番実力心許ないだろw
あ、名無しさんの作品はテンプレで前回の浣腸戦隊モッコリアンとかそんなんにしました。
てかタイトルくらい固定にしてくれ。
>>565 新スレ立てお疲れ様です。
あと三回で完結なんですけど、もうタイトル変えないほうがいいですか?
いや、別にいいんですけど、新スレのテンプレどうしようかと悩んだだけですよw
お気を悪くしたらすみません。
>>567 了解です。次回のタイトルは「なんだ戦隊コノヤロー」になる予定です。
569 :
ふら〜り:05/02/24 22:10:06 ID:zIiD4vJN0
>>サナダムシさん
地味に戦ってるクリリンたち、何だかこのまま勝ってしまいそうで不安。ヤジロベーの
見せ場や如何に。そしてピラフたちサイドは、あの賑やかなピラフたちが……と、三枚目
キャラだからこそヒドさが際立ってますね。きっと来る「再会」シーンが待ち遠しいっ。
>>戦隊さん(←何卒御名前所望也)
完璧に明確に堂々と、シコルが主役ですね。しけい荘といい、人気者だシコル。他の四人
中、スペックだけ存在してるのは個人的に期待してますが、でもこういう状態。活躍でき
るのかどうか? 足りないメンツはどうする? いろいろ気になる次回、待っております。
>>うみにんさん
クラーケン、いい男だっ! 愛の奇跡で呪いが解けて、メジューサと幸せに……とならな
かったのがまた何とも、悲劇の英雄で。で確かにスネオは何もしてませんが、クラーケン
と似てるというのが気になりますね。このまま同行して、後々スネオと何かある、とか?
570 :
作者の都合により名無しです:
保守