【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第23部
1 :
作者の都合により名無しです :
04/10/29 22:56:39 ID:smcPy6lf これはえなり2世の数奇な運命を追った奇妙な冒険である。
前スレからの続き、行くぜ!!
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1092841463/ ≪注≫この物語はフィクションです。実在の人物、地名などとは一切関係ありません。
特に漫画家とか。
ルール! それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておく事!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・先人の意思をなるべく尊重しよう! 壊すにも壊すルールがあるのさ!
・雑談や感想は本スレで! アンカー付けての遅レスOK!
・展開相談は「したらば」オンリーで! 無論見ないのも自由! 無視されて当然!
・質問は本スレでよし! 先展開の牽制にならぬよう気を遣うのを忘れるな!
・細かい設定や言葉遣いでドジった書き手には極力優しく! 過失だ!決して悪意は無い!
・脊髄反射で罵倒レスをするな! 一呼吸置いて良い部分にも目を向けようぜ!
・わかりやすさは大切だ! 自分の投稿がどの続きなのかアンカーは必ず付けようぜ!
・割り込みはあるものとして考えろ! 即興でそのつど話を書いてるなら尚更だ!
・誤字脱字の訂正は必要最小限にとどめよう! 投稿前に内容確認!!
特殊ルール
・リアル故人の漫画家さんを当スレで扱うと様々な問題が発生する恐れがあります。
今のところ明確なルールは無く、ケースバイケースなのですが
誰某を出そうと思っている、若しくは、誰某が登場後にお亡くなりになられた、といった場合
本スレにSSを貼る前に、したらばに一言お願いします。
↓展開相談、ネタバレ関係はここ「したらば」で
http://jbbs.shitaraba.com/comic/31/
☆なんとなくそれっぽいあらすじ☆ 時は近未来。忘年会シーズンを迎えた2012年晩秋〜初冬。 漫画家を含めた≪クリエイター≫達が武力や異能力を持ち争いを続ける歴史世界。 冨樫義博の遺産ファイルがエジプトで発見されたのを始まりとして、 一見平凡な少年「えなり二世」はファイルを巡る争いに巻き込まれてしまう。 この時代の漫画業界を表に裏に支配する男・矢吹は兵力獲得のため、 賞金10億を賭けたバトルトーナメント大会を巨大戦艦内で開催する。 えなりは打倒・矢吹を誓い、同志とチームを結成し大会に参戦した。 しかし歴史の裏には神の手先ゴッドハンド・闇の支配者妖魔王一派・ 漫画界の秩序回復を図るも内部分裂が甚だしい評議会・ 10年前に東京で大災害を起こした少年とゆかいな仲間たちKIYU・ さらにはゴッドハンドを実質支配する軍師横山のしもべたち十傑集+五虎大将・ 軍師の姦計で矢吹の下を離れ結成された狂人軍団最後の大隊など、 フリーキャラ含めて右も左も敵だらけで、なんだかえなりはピンチです。 予選ブロック決勝進出9チームの交流会≪温泉慰労会≫(鹿児島→別府)は、 横の繋がりが薄い漫画家達に因縁と混乱と交流を生み出すと当時に、 別府を中心とした九州全土を巻き込む大破壊劇の根元となった。 どさくさに知欠王・矢吹が別府を丸ごと打ち上げ矢吹艦に載せたり、 王蟲が別府跡地で森の塔になったりしながら終結し、大会は再開される。 だが選手の多くは慰労会などの影響で何らかのハンディを負っていた……。 主人公えなりが新しい友情を育みつつ、いよいよ【準決勝・地下闘技場編】突入! A・バンチチーム B・ガンガンチーム C・裏御伽チーム D・えなりチーム 果たして栄冠はどのチームの手に! そしてその先にある≪絶望の未来≫で生き延びる者は誰だ!? 裏開催・ゴッドハンドと敵対組織軍団の紛争【戦艦ヤマト編】もお楽しみに! <了>
5 :
王大人 :04/10/29 23:01:13 ID:smcPy6lf
それでは始めぃ!!
ベイリー乙 でも旧したらばURLがそのままな気が……
スレ立て乙! しかし前スレの抽選会ワロタw バキネタで来るとばかり思ってたから銀河戦争には意表をつかれた
新スレ乙! 最近参加できてないが、このスレでは、なんとか書き込むぞ。
新スレおめっとん 抽選会進めたい方居たらサクサクよろしくね
(前スレ581 3部33) 克 「さー始まりました!≪矢吹艦最大トーナメント≫IN地下闘技場!! 放送席にまで熱気がムンムンと伝わってきます!司会の克・亜紀です」 橋口「同じく司会の橋口たかしだ。今日は1日TVから離れないようにな」 克 「そうですね!一秒足りとも見逃せませんからね! ところでこれからの試合スケジュールの詳細なのですが、 組み合わせ抽選会後の本日2時より決勝トーナメント第一試合を行います。 そして終了後30分の休憩を置いて、第二試合開始の予定となっております。 第二試合開始時間は繰り上げの可能性もありますのでご了承ください。 試合形式は組み合わせ決定後、矢吹様より直接発表が行われます。 シングルか?タッグか?総当りか?はたまたスポーツか特殊ルールかステージか・・・? 全ては矢吹様の決定次第でございます。選手たちはドキドキですね!」 橋口「考えなしの行き当たりばったりとも言―――」 克 「わぁー!!今のなし!マイク切ってください!! (バタバタ) そ、そもそもこの大会には、矢吹様の“お傍付き”となる強者、 いわゆる矢吹様親衛隊のメンバーを漫画家中心に集める意味合いがあります。 大会で上位まで残った選手の中から選抜して≪矢吹十人衆≫を決定、 さらにその中で最も強い3名に「竜騎衆」の称号が与えられます! 選抜方法は当日発表です。試合形式の場合、参加資格があるのは、 決勝進出4チームの選手のみと思われます。任命された10名には、 拒否する権利もあるそうですが、そんな罰当たりな選手はいませんよねー(棒読み) なお優勝チームには賞金10億円!2位6000万円3位3000万4位1000万の計11億円!! 栄光ある十人衆の名誉を賜る、史上最強の10名は誰だ!? 今日は準決勝、明日が決勝、そしてあさってが十人衆発表セレモニーと表彰式! これまでに参加した全選手を集めての豪華な閉会式と続きます。まずは試合が楽しみです!!」 橋口「(マイク回復)そんな話だったんだよな、これ・・・」 克 「そういえば忘れていました。三位決定戦を行うかどうかはネット投票で決定いたします。 試合を行う場合は明日の決勝戦前、行わない場合は本日の試合の敗者2チームの、 戦績を比較してより健闘した方を三位とさせていただきます。 『三位決定戦をやる?やらない?』投票は今から、今日の第一試合終了まで受けつけます! 皆さまお気楽にご意見ください。FAXでもうけたまわっております〜」 橋口「受付番号はこの辺だ!」(※指で机の上辺りを示す。TV画面には映っているようだ)
なんか…「そんなのあったね」な設定がいっぱいw 賞金十億とか矢吹十人衆とか… そういやバンチって賞金目当てなんだよな…
13 :
橋口 :04/10/31 01:06:13 ID:ZDR9hsZM
だろう?(渋い顔) というわけで意見募集だ。三位決定戦は必要だろうか?
準決勝の組み合わせ次第かもね
>12 確かイブの消滅を機になんとなく志を改めていたはず
解説してる樋口は大輔の方だったような気がするのは気のせいですか?
樋口と橋口は全然違うキャラだぞ
自分が読み間違えていただけでしたスミマセンort
名実ともにえなりチームのリーダーはえなりじゃなくなったでFA?
前スレ579より 「われわれの旗を高くかかげろ!! 薄汚き死に損ない共によく見せてやれ!!」 アルカディア号の艦橋に乗り移り、本来の主の代理として指揮をとる小林源文の号令が全軍に通達される。 「キャプテン松本零士の偉大な旗をな!!」 アルカディア号のマストにあたる部分に、ジョリーロジャーの海賊旗が燦然とはためく。 獣の咆哮のごとき音をたてながら、死神たちを満載した艦が、今戦場に到来した。 「まずは先制の一撃を喰らわす!! 水平射撃斉射三回!!」 「射角修正0.5……直接照準……砲塔指向右二十度1/2!!」 「撃て!!」 エネルギーブレットの激しい光芒が、浮上を開始しつつあった黒船とNeo-Zに向かって、真直ぐに直進する。 空域が震えた。 空間を一瞬、波紋のごとく揺らめかせるほどの圧倒的な破壊力。 激しい通信妨害と、すぐに戦域を押し包む深い霧のため、相手の正確な被害までは定かではない。 しかし、通常の艦艇ならば、一撃で大破させるほどのアルカディア号の主砲である。 さすがに撃墜とまではいかなくとも、少なからぬ損害を与えたことは確かであった。
「アテンション!!」 轟音に負けぬ声量で、源文の号令が響き渡る。 オメガ7全軍の兵士たちに緊張が伝播する。 それぞれが搭乗する戦闘ヘリの中で、一糸乱れぬ構えをとる。 『サー、イエッサーっ!!』 地も割れんばかりの声で兵士たちがこたえた。 「さて……貴様らはこれから、死地へ赴く。もちろん逃げ場はない。すべてを得るか、地獄に落ちるかの瀬戸際だ。どうだ、楽しいか?」 『サー、イエッサーっ!!』 「いい声だ。では……」 源文は力強くうなずくと、すこし間を置いてから、彼らに向かって声を張り上げる。 「野郎ども! 俺たちの特技はなんだっ!?」 『 殺 せ っ !! 殺 せ っ !! 殺 せ っ !! 』 「この戦闘の目的はなんだ!?」 『 殺 せ っ !! 殺 せ っ !! 殺 せ っ !! 』 「俺たちは我が軍を愛しているか!? オメガを愛しているかっ!? クソ野郎ども!!」 『 ガ ン ホ ー !! ガ ン ホ ー !! ガ ン ホ ー !! 』 「OK! 行くぞっ!!」 「全軍降下!!」 「降下!!」 「降下!!」 「降下!!」 オメガ7全軍は、一人残らず、燃え上がる地獄の檻に向かって舞い降りていった。
(>11 前スレ249 16部217) 「(もぐもぐ)ほれ、こずえ!抽選会始まったで。せっかくやし見いへんか?」 お見舞いで持ってきたリンゴを自分で食べながら、 六人部屋の病室で騒がしくテレビを指差すみずしな孝之。 ここは、矢吹艦内の別府市に最後の最後まで残っていた、 松椿にいた人間たちが搬入されたAブロック私立病院。もちろん矢吹の完全な支配下にある。 橋口や余湖など、健康な漫画家はTV中継スタッフとして連れて行かれた。 ここに残る漫画家はごく限られている。 「みずしなさん、病院では静かにしてくださいよぉ・・・」 柵のついた白いベッドに包帯姿で寝込む、困惑顔の天野こずえ。 彼女が愛する冬目景は、重傷なため個室に入れられここにはいない。 様態が急変し一時危篤状態に陥った草場道輝は奇跡的に脳波が安定し、 集中治療室内で最新鋭の医療カプセルに浸かっている。 他にも真船一雄医師など、何名か危険な状態の者がいたが、 今のところ何とか松椿組に、死人だけは出ていなかった。・・・ちなみに一部だが、 この病院には、キャノンボール騒動に巻き込まれた人間も入院している。 何体か遺体も収納されているが身元確認は進んでいない。 そして天野たちのいる階の廊下では・・・。 「坊や!病院内ではサッカーボールで遊んじゃいけないって、 何度言えばわかるのよ!それに靴は脱いでスリッパにしなさい!」 「バーロ(笑)俺は坊やなんかじゃない、探偵さ・・・」 「なんで意味もなくメガネを光らせてカッコつけるのよ! 自分の名前も思い出せないのに探偵も何もないでしょ。 ほら、お茶うけのちまきをあげるから病室に戻・・・」 「わぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!?そ、その名を出すんじゃない!! さてはあんた看護婦に化けた黒の組織の一員だな!くそ、正体を現しやがれ!!」 「キャアア!!やだぁ院長ー!このコなんとかしてくださーい!!」 ・・・どっかの名探偵漫画家が記憶喪失になって徘徊していた。お元気で。
青山・・・堕ちるところまで堕ちたって感じだな(苦笑)
バーロ(笑)
青山どうしようもないなw 源文が軍曹になったな。ある意味本人の嗜好にあってる。
>前スレ531から “天下無双”宮下あきらと“闘神”夢枕獏。 2人の闘士から放たれる凄まじい闘気によって、周囲はさながら竜虎相討つ戦場へと化した。 ───向かい合うこと数分、先に動いたのは夢枕の方だ。しかし、攻撃ではなかった。 何を思ったか、片手に持っていた鞘におさめた日本刀をあらぬ方向に投げ捨てたのだ。 「ほう、せっかくの武器を使わんというのか?」 「今も昔も男の喧嘩は素手が基本だァ」 「情けをかけているのかどうか知らんが、よりによってわしを相手にその余裕は命取りになるぞ?」 五聖人中最強とも噂される自分の実力を見くびられたと思ったのか、宮下が不満そうに問う。 「車田との戦いで疲れてるお前さんにゃあ、丁度いいハンデだ。 ま、少なくともおれが素手でやる限りは、汚い手はあっても、卑怯な手はないってえことだ。安心しな」 そう言うと夢枕は両掌を前方に突き出し、右手を頭上に持ち上げ、左手を腰の位置に据える独特の構えをとった。 それを見た宮下は、思わず認識を一変させることなった。 「ぬう……あれは“天地魔闘の構え”!!」 天地魔闘の構え… その昔、ある異世界に君臨したとされる魔王、罵暗(ばあん)が編み出したとされる究極の奥義。 天は攻撃、地は防御、魔は魔力の使用を意味し、わざと相手に先手をうたせることによって 攻撃・防御・呪文の三動作を一瞬にして返し技として繰り出す不動の構えは 相手のいかなる必殺技をも無効化してなきものとし、さながら無敵の強さを誇ったという。 なお、『空手バカ一代』で大山倍達が見せた天地上下の構えはこの天地魔闘の構えに由来するのは言うまでもない。 民明書房刊『龍の伝説−大々冒険記−三十四の巻』より 「あの“天地魔闘の構え”をいきなり出しおるとは! さすがは拳聖と名高き男よ……!」 「なんつ〜か違うんだけどなァ〜。……まあ、いいけどよ」
いきなり伝説の構えを繰り出した(と宮下が勝手に思い込んだ)夢枕の大胆不敵さに、 少なくとも本気で闘り合う覚悟を示したと宮下は(勝手に)判断した。 よく考えてみれば口ではハンデなどと言っているが、相手はあの格闘の魔人・板垣の師匠でもあった武神なのである。 むしろ素手の方がその本来の力を発揮できることは言うまでもないことではないのか。 「お主が… 空手家として立ち合うというならば」 そう言いながら唐突に鎧を脱ぎ捨て、さらに上半身までむき出しの肉体をさらす宮下。 「わしも拳法家として応えるのが筋というものじゃろうて」 その様子を呆気に取られた表情で見ていた夢枕。しかし、急にくしゃみでも出しそうな顔をすると、 「ヘェ… ヘ… へエエエェェ〜〜〜ックシッ!!」 突然の奇声に一瞬気をとられる宮下。その刹那──。 ドンッ! 夢枕の放った正拳中段突きの奇襲がその隙を突き、宮下の腹にのめり込んでいた! 思わず苦悶の表情を浮かべる宮下が口からモロ…とガラス瓶のような容器を吐き出す。 容器が地面に落下してパリ〜ンという音を立てて割れると、 ジュジュウウウ……という地面を溶かす音と共に何ともいえぬ異臭が辺り一面にたちこめた。 「ヘッ、これだ。な〜〜にが『拳法家として』だい」 その容器に入っていた中身の正体とは、まさしく小動物をも瞬時にして骨と化す程の強力な濃流硝酸だった! 読者にはご存知の通り、今の宮下は“傀儡の舞”に加えてさらに“鬼酒”との相乗効果により己の暗黒面を極限まで引き出され、 さながら男塾に出てくる悪党のような外道な性格へと変わり果てていたのだ──! 「もしや、わしの策を見抜いておったとはな! ぬかったわ!」 「あいにく俺にはこんなもんは通用しねえってことよ。小細工抜きで本気で闘り合おうや……」 「……面白い! わしが男塾塾長 宮下あきらである!!」 正義漫画家の代表格ともいえる黄金五聖人でありながら勝つためには手段を選ばぬ卑劣な悪漢と化した宮下。 闇の支配者、妖魔王の手下の大罪衆でありながらあくまで堂々と素手で渡り合おうとする夢枕。 奇しくも互いの立場とは正義と悪が逆転しまったかの様相をみせる2人の闘いは、こうして幕を開けることとなった──。
民明書房の出典が秀逸だ 罵暗ワロタw
うまいなー やんややんや
>前スレ554 「 乗 り な 」 板垣の突然の意味不明な行動に唖然とした表情を浮かべる斎藤岬。 「“おぶっていってもらえるかな”……いったい誰の台詞だったろうなァ?」 自分の冗談のつもりで言った一言(17部200参照)を見事に返され、言葉を詰まらせるしかなかった。 しかも、あの時とは状況は逆だというのに、どうやら本気であるらしいことが言葉の調子から伺えた。 とはいえ、選択肢は無いも同然───。 断ったとしても、腹に1発ブチ込まれて悶絶させられ、無理矢理にでも連れていかれるのが目に見えていた。 「……では、遠慮しないでおこうかな?」 冷や汗を垂らしながらも恐る恐る板垣の背中に乗りかかる。 先の戦闘の際に板垣の上半身の服は破け散っており丸裸の状態だ。 包帯を巻いていたとはいえ、胸が直に背中に触れることになったが、板垣は一向に気にする様子はない。 さらに斎藤から脱がしたコートを風呂敷の代わりに用いり、彼女の体を支えるように自分に結び付けて固定する。
「で、どこへ連れていってくれるのかな?」 「とりあえず、“魔界医師”のヤローに会いに行くとするか。 あんたに何かあったら、よろしく伝えてくださいと言われてるしなァ」 これもまた斎藤が何気なく言った一言(17部186参照)を口にする板垣。 どこまで本音なのか、常人にはとてもうかがい知ることは出来そうもない。 「……!? しかし、師がこの近くにいる保障など何もないが」 「何となくいるような気がする。いなかったらいなかったで、そん時考えりゃいい」 あまりにも当てずっぽうで投げやりな答えを返す板垣。 「少しは後先というものを考えた方が……」 「あいにく、オレの肉体(からだ)は後退のネジをはずしてあるんだよ……!」 まるで答えになってない返答にもはや呆れるしかない斎藤。思わず頭が痛くなった。 「……もういい。好きにしたまえ」 もう何を言っても無駄だと悟ったか、しばしとはいえ自分の体を預ける覚悟を決め、斎藤も投げやりに承諾した。 すると板垣は無言のまま、あの水島との一戦で見せたクラウチングスタートの体勢を再びとった。 起こるべき事態に備えて、思わずギュッと板垣の体を握り締める斎藤。 次の瞬間、床が爆ぜたかと錯覚するほどの轟音とともに“野獣”が全速力で駆け抜けた―――!!
シュタタタタタタタタタタタタタタ……… 走る、いや奔(はし)るとでもいうべきか。 100mを10秒台で駆け抜けるほどの超人的な脚力で、板垣は美女一人おぶったままひたすら奔る。 確信ともいえる肉体信仰が―――この野獣に乗り物を選択(えら)ばせなかった。 急ぐのだからこそ 奔 る ッッ その姿は先ほど山原や山口らとの激闘で負った怪我など微塵にも影響していないように見えた。 ――福岡ドームを飛び出したはいいが、果たして行く当てなどあるのだろうか? ――ともかく、今はこの男を信用するほかない。 斉藤は振り落とされないように懸命にしがみつきながら、必死に祈るしかなかった。
高架道路に、板垣が助走なしで2階の窓までジャンプできるほどの勢いで跳び上がって着地したその時だ。 運が悪いことに、若い男の乗ったバイクが猛スピードで近づいて来た! バイクの男が慌てて気付き急ブレーキをかけるが、時すでに遅し。 間に合いそうもない――! ――板垣氏の猛獣のごとき耐久力を誇る肉体もさすがにバイクがぶつかって耐えられるのか? ――いや、それよりバイク乗りの青年の不運の方に同情すべきだろうか? 斎藤は次に起こるべき凄惨な光景をその脳裏に浮かべ、思わず目を閉じた。 ド カ ッ ! ザザアアアア…… ――次に目を開けた瞬間、不幸中の幸いというべきか、彼女の想像を絶する事態が起こっていた。 バイクは板垣の片手の掌底突きひとつでせき止められており、その衝撃のあまり、 なぜか機体の後輪及び周辺の部分だけが吹き飛ばされているという奇妙な光景が展開されていた―――!
すかさず板垣、何が起こったのかまだ理解できないバイク乗りの青年の胸ぐらを掴んで問い質す。 「おい……菊地秀行っていう男を捜してるんだが知らないか、坊主。 メフィスト病院の“魔界医師”っていえばわかるだろうな?」 その獅子のごとく鋭い眼光で睨み付けられて素直に答えない者などこの世にいるはずが無かった。 「ひ…ひい〜〜〜〜〜ッッ!! た…確か、“魔界医師”の人なら… べ、別府を始め九州のあちこちで大変なことが起きているらしいからって、住民の避難活動を始めてて…… ……で、ここら辺でテント建てて仮設の治療所つくって…」 「で、どこにいる?」 「あ、あっちの方向だッ! 確かに見た! だから許してェェ〜〜ッッ!!」 その方向を指差しつつ、泣きべそをかいて失禁しながら必死に命乞いしようとする青年。 用が済んで、板垣は無造作に青年から手を離し、わが意を得たりとばかりの笑みをニヤリと浮かべた。 ――このことを事前に予測してこのような行動を!? 斎藤はまさかと思いつつ板垣の様子を眺めていたが、真相を理解できようはずは無かった。 「……えーと、バイクの弁償代はこちら――」 斎藤が困ったような表情で申し訳無さそうに謝罪を言い終えるのを待たずに、板垣は青年の指差した方向へ瞬く間に駆け抜けていった。 後に残された何とも不運なバイク乗りの青年はとりあえず生き伸びられたことに安堵しつつ、 今起こった事態を全く理解することが出来ずにその場に呆然とへたれ込むしかなかった………。
バイク乗りの青年の指差した方向へひたすら最速で、最短距離を突っ奔る板垣with斎藤。 ここを越えれば目的地―――というところで思わぬ難関が立ち塞がった。 対岸まで10メートルはあろうかという川が彼らの行く手を阻んだのだ―――! 辺りを見渡すと上流の方向に橋が見えたが、そこまでは1kmに近いほどの距離があった。 「やむを得ねえ……!!」 「泳いででもいくつもりかな?」 斎藤が軽口を叩いたが、この男はまたも予想の斜め上をいく奇行をとった。 「歩数にして700〜800踏みといったところかッ……! 問 題 は な い !! 15 メ ー ト ル ま で な ら !!!」 次の瞬間、板垣はためらいもなく川へ足を踏み入れたかと思うと、水面上をそのまま猛烈な勢いで走り始めた!!
10cm当たり7〜8回と言う神速の蹴りのみが可能にする水上走行だった―――! 斎藤はもはや空いた口が塞がらなかった―――というより、激しい揺れにより板垣の背中に懸命にしがみ付くしかない。 真夜中という時間帯と九州の地全域に広がりつつあった異常事態のため、周囲に人の姿はなかった。 仮にいたとすれば、人1人おぶったまま、まるでエリマキトカゲのごとく水上を駆け抜ける大男の姿を見て度肝を抜かしたことだろう。 さすがに2人分の体重を支えるのは無理があったか、奔る板垣の足が徐々に水に浸かり始めた。 膝の部分まで水に浸かり、このまま沈んでしまうのか―――と思ったその時! ガ ッ ! すんでの所で対岸のコンクリートに足を乗り上げ、水上10mを見事に走破しきった板垣。 見た目に違わず重労働だったのか、激しく息をつく板垣に対し、斎藤は呆れ果てたようにボソリ…と呟く。 「全く、あなたといると本当に退屈しなくて済むな………」 そう言い終えると体力の消耗が限界に来たのか、ガク…とうなだれるように気を失った。 何はともあれ、“魔界医師”菊地のいる仮設の治療所まであと少し。 一息つくと、目的地へ再び標準を定めた野獣は、美女をおぶって全力でその場を奔り去っていった―――。
一応ここまで。リアルシャドーのごとく前スレで見事に展開を予測されてしまった……。 まあ、何でも予測を裏切ればいいという訳ではないか。(ねェ、板垣先生?) さすがに、したらばでSAGA編はとても出来そうもありませんw では。
板垣やっぱすげえな…
えーSAGA編無いの〜('A`) つーか、むちゃくちゃ面白かったんで続きみたいんだよ〜w
エリア88…… 新たなる状況に 今や戦場にあるもの全てが動き 誰も彼も死に直進していく地獄 そんな渦中にあって 動かない いや 動けない男がいた ちばてつや 一説にはゴッドハンド最強の男とも謳われる 極めつけの剛の者 アルカディア号の艦橋にて仁王立ちしながら ちばてつやは 思考する
この乱戦では 俺の敵はおらん! しかし これだけの混乱と怒濤の渦中にあって このちばてつや ひとりをひたすら攻め寄せる激烈な感情の動き! さらに まるで俺の一挙一動を見据えられているようなこの感じはなんだ!? まるで俺を射る視線! それを追い 八方より殺意の矢! 俺は敵の目に完全に捕えられている! 間違いない この殺意の射手が この戦場のすべてを見通している! 敵はおよそ左手―――遥か彼方九州の一角にある――断崖の上! 不可測な事態ばかりのこの戦局で 今 俺のなすべきは!? この戦場を直ちに離脱し あの断崖上の射手を 俺の武をもって攻めるか!? いや 横山を信じろ! 俺が寸毫たりとも この戦に加担する動きを見せれば たちどころに奴の殺意は現実の矢と化し このアルカディア号の心臓ごと 俺の中心を射抜く! ならば 俺はあえて動くまい すべてを丸ごと横山の差配に委ね 俺は何もせずにあの蒼天のごとく悠然としていればいい!
同刹那―― 遥か九州のとある断崖上にて、ひとつの人馬があった 剛弓に万力の激情をつがえ、その殺意は、遥か遠方のちばてつや、ただ一点に集束されている。 激浪のごとき感情の渦中にありながら、その男の中では、果てしない戦が怜悧な計算のもとに渦を巻いていた。 さすがというべきか ちばてつや すべての事象を己の中に飲みこみ なお泰然として揺るぎもせぬ あの混乱にあって なお己の立ち位置を見失わぬ男 まさに 乱世の傑物と称すべし! 紅き馬と、それにまたがる乱世の奸雄は 今まさに、天に向かって勇躍せんと かつてない敵との邂逅に血肉を踊らせていた
自らを縛る 鷹の目の殺意 その殺意の縛鎖に ちばてつやはあえて抗わず、 むしろ自らを縛ろうとするものの強固さに 快感すら抱いた あれだけの戦の後で 内では荒ぶる闘争欲が 今にも はちきれそうに たぎっていように この殺意の操り方 おそるべし! 慇懃にして傲慢 それでいて 天体はおろか万物事象すら脳漿につめこんだ あの偉大なる頭でっかちが 絶倫の才と称し 畏怖を抱いただけのことはある!
この酸鼻を極める血宴すら 俺とてめえの前座にすぎねえと豪語するか おもしろい!! ならば眼下で繰り広げられる乱痴気騒ぎを 酒の肴に おれたちは おれたちの戦を始めようか! 王 欣 太 !!! ゴッドハンド最強の剛腕 ちばてつや 横山光輝が恐れた異形の才 王欣太 苛烈なる戦の黒渦――その水面下で 熱く静かなもうひとつの戦争が始まった!!
どうなる!?どうなるんだ!?
なんだかすげえや
47 :
防人の詩 :04/11/04 02:53:15 ID:7jBFZ94I
(
>>22 9部A238 3部765 14部227 17部466)
パタ… パタ…
ごく小さな靴音が、静かでほの暗い廊下に響く。
スリッパ履きの指示も聞けない、困った名探偵殿が歩いているのは、
病院の地下にある霊安室たちを繋ぐ廊下。彼は何を捜しているのか・・・?
(俺は事故か何かで自分に関する記憶を失ってしまった。
だがさっき看護婦たちが奇妙な噂をしているのを聞いた時、
俺の探偵心が反応した・・・キャノンボールとかいうバイクレースに、
巻き込まれ死んだ漫画家がここにいるって・・・きっとここに、
俺の記憶に関する手がかりがあるはずだ!真実はいつもひとつ!)
探偵を自負する少年(体型の男)は、同じような扉のひとつひとつに、
耳を当て中の様子を伺いながら歩き進む。と、中から声がする扉を発見する―――
(複数の男が何か相談をしているな。犯罪のにおいがする・・・)
緊張しながら耳をそばだてる少年。部屋の中には相当の人数がいるようだが、
奇妙な事に声質が全員、とてもよく似ているのだ。
そう、まるで同じ音源のスピーカーが5個も6個もあるような・・・
さらに気になるのは、男たちが話す内容だ。
それはとても不可思議なお話で――――
(…1号はしばらく休んでた方がいいと思うけど…)
(だが5号よ。我々の使命を忘れたか?そんな暇はないだろう)
(使命ったってチームは負けちまっただろうが…)
(そこでだ2号、こうして全員揃った事だし我々で独立し、
大会に乱入するなりどっかの助っ人に入るなりそればいいのだ。
研究所の方から出ている話は“とにかく試合をしろ”というだけだからな。
戦闘データを採りたいのだろう、あらゆるバトルに進んで顔を出すのだ)
(さすが6号〜頼りになるなあ。ところで7号はさっきから何を?)
(1号に線香焚いてるよ。ちゃんと蘇生させたってのにバカだね……)
48 :
防人の詩 :04/11/04 02:55:13 ID:7jBFZ94I
(こ、これは何の会議だ!?全く想像つかないぜ。 だが部屋で少なくとも5人以上の人間が会話しているのは判明した。 しかし、死体を生き返らせたのか?まさか黒・・・どこかの犯罪組織! こうなりゃ全員俺が密会罪※で現行犯逮捕してやる! ※ねえよ(笑)) 目をクワッと見開いた探偵少年は、記憶の戻らぬまま、 本能でキック力増強シューズのスイッチを入れ扉をバーンと蹴り開いた! 「あんたらおとなしくお縄につくんだーーーー・・・・・・ ・・・・・・あああああ あ あ あ あ あ !!!!!!(パタッ)」 病院中に突き抜けそうな、凄絶な叫び声と共に少年は気絶し倒れこみ、深い深い眠りについた。 「「「なんだ??? ・・・まあいい、誰か来る前に逃げるぞ!!!」」」 部屋の中の人間が複数同時にしゃべり、一斉に走り出し気配と共に地下から抜け出した。 どうやら通風孔から出入りしたらしい。駆けつけた医師たちが、 ミイラのようにげっそりやつれた少年を廊下から拾い上げた際、異変に気づく。 「ああ!!あの漫画家の遺体が―――――消えたっ!!?」 抽選会が続く地下闘技場。 不敵顔の矢吹が王様然と闊歩し、北部の祭壇前に立ち改めて選手たちをねぎらう。 「私や観客たちは、君たちの織り成す最高のバトルショーを期待している。 そして栄光ある我が矢吹軍の最高幹部となる新たなる十人衆誕生を心待ちにしている。 我々を失望させる事がなきように願う。さあ抽選だ!4つの流星を受け取った、 4名のチーム代表者よ、中央特設ステージへ進み出るがいい!」 再び会場の照明が落とされ、大きな円盤状の石畳中央にスポットライトが当たる。 光の中に佇むA代表の原哲夫・B代表の藤原カムイ・C代表の本宮ひろ志・D代表の車田正美。 セレモニーのせいで神妙な顔つきの車田が、中央に置かれた小さな箱を見て一言。 「・・・ただのくじ引きの箱じゃねえか。前フリが大袈裟すぎるんだよな・・・」 内心でがっくりと頭を垂れていた。
A〜Dの順で箱の中からくじを引き、書かれた番号がオーロラビジョンに映される。 抽選会の進行担当・病院から連れてこられた伯林が抽選結果を読み上げる。 「第一試合! B・ガンガンチーム 対 D・えなりチーム !! 第二試合! A・バンチチーム 対 C・裏御伽チーム に決定いたしました!!」 ―――――――お お お お お お お お お お ・・・・・・!! 決定の瞬間、うねりを上げる会場とその周辺。 これからどんなスリルと感動を味あわせてくれるのか、期待は高まるばかりだった。 しかしそんな闘技場の雰囲気とは裏腹に、困惑を隠せない選手が数名。 「第二試合ぃ〜!?ちょっとボク試合後に私闘やる約束なんですけどー!? もしトナメの試合が長引いて夜中12時過ぎたら問答無用で小畑君食われるの!? ダメじゃんダメじゃん!本宮せんせー恨むじゃーん!!」 自分に課した時空ワープ禁止令のせいでセレモニーに参加できなかった、 裏御伽副将にわのが闘技場の一般客通路でドタドタ暴れている。そして。 「第一試合ぃぃ〜〜!?しかも相手は嫌な予感がする、 一番人数の多いガンガンチーム〜!?またブロック決勝みたいに、 団体スポーツやれとか言われたらもう最悪だぁー!!」 1人気を揉む、えなりチーム富沢が頭を抱えて膝をついてしまう。 形だけ式典に参加している岸本が、ガンガンチームの方に横目を向けると、 確かにB連中の立ち位置だけ人影にボリュームがある。 ざっと見て10名前後はいるだろう。そういえばC予選で不戦敗したらしい、 サンデーチームと徒党を組んだと富沢に聞いている。
・・・仔狐の姿で慰労会に参加し、敵味方の区別もなく可愛がってもらった、 温泉地でのささやかな思い出は果たして、 暗黒に染まってしまった岸本のどこかに残っているのだろうか。 それはともかく、えなりチームは現在とても人数が少ない。 こっちは今のところ4名しかいないのだ。 誰がどこで消息を絶ったのか、情報は皆無に近い。試合開始までに彼らが戻る保証は全然ない。 富沢は、少しでも自分たちに有利な試合形式になる事を祈るのみであった。 しかし―――現実は非情である。矢吹がBチームをちらと見てポンと手を叩き。 「ああ、そういえば随分昔(注:異世界時間。14〜15部参照)に何かを見たがってたような。 なんだったか・・・そうだサッカーだ。よし、第一試合はサッカーを行う事にする!」 ・・・よりによってメンバーが11人必要な球技かい・・・。 富沢は2時からの試合が行えず暴動が起こる闘技場を想像して軽く絶望を味わう。 彼は円いドーム状の屋根に向かい祈るしかなかった。 神さまお願い、僕たちに救いの手を差し伸べて!! 「「「「「「「 そ こ の 青 年 、 お 困 り か な ?????? 」」」」」」」 伯林のマイクが奪われ、動揺収まらぬ闘技場を謎の多重音声が席巻する。 「だ、誰だ!?〜〜ってそりゃ困ってるさ、人数がいないんだ! 正規の選手が帰ってくる間だけでいいから、誰か助っ人を6〜7人連れてきてよ神さま!!」 「「「「「「「 お 安 い 御 用 だ 」」」」」」」 ますますざわめく闘技場。そしてオーロラビジョンに、 謎のマイク泥棒たちの姿が映し出され――――― ――――――――7人の筋肉質な男が、そこに、いた。 7人の男は7枚の女物パンティを頭部に被り。 7つの美しい「おいなりさん」が画面狭しとその威容を誇りつつ。 7通りのポージングでビシリと美しくスポットライトに照らされて、いた。
51 :
防人の詩 :04/11/04 03:04:26 ID:7jBFZ94I
――――説明しよう!! 『彼』は17部にて高速道路から落下し命を失い、先程特殊技術で蘇生した! 病院から抜け出した『彼』と仲間たちは最短経路で闘技場内に侵入し現れた! いや問題は『彼』が9部で原始時代にぶっ飛び14部にて復活したクローン人間であり、 さらにオリジナルの化石から検出された≪吉崎観音のパッションパンティ≫と、 間違って融合してしまった、クローニングボディの持ち主だと言う事である! そして別府で活躍した吉崎には多重スパイという苦い過去があり、 当時の特殊スキルに『7人』に分身するというものが――― ようするにドサクサで7体のクローンが生まれて――― 残りの6体はクローン研究所で待機していたが――― 代表の1体を救出しろと所長が命令しいの――― まあとにかく―――――― ・・・ 「「「「「「「 あんど慶周×7人っ!おいなりさんもパンティも完璧に複製されて今、復活!!」」」」」」」 ・・・ちなみに内訳は、 あんど1号(あんど・オリジナル型) あんど2号(あんどっぺ・怒りっぽい) あんど3号(あんどっち・笑い上戸) あんど4号(あんどりん・泣き虫) あんど5号(あんどっこ・のんびり屋) あんど6号(あんどさま・冷静沈着) あんど7号(あんどぽん・変わり者) ・・・らしいがあまり大差はなかった。 クローン群生漫画家育成プロジェクト 『&7計画』 被験者――――7人の、あんど。 「これより」「我々」「選手代理を」「受けて立とうかな」「と」「思うので」「よろしくぅ!!」 ♪ 教えてください この世に生きとし生けるものの すべての生命に 限りがあるのならば 海は死にますか 山は死にますか 風はどうですか 空もそうですか 教えてください ♪ なぜか富沢の脳裏に、さだまさしの名曲が走馬灯のように流れた。 早くえなりチームに正選手が揃う事を祈りつつこれにて抽選会、終了!!
ついに来た!!!!
なんか出た!!!
縦読みなのか!!!?
ガンガンでサッカーっつうと、あいつが大活躍だな。
前スレ326 >27 車田と宮下の激突によってすっかり廃虚となったビル群跡を、4つの影がムササビのような動きで飛び跳ねていた。 田辺イエロウ・松江名俊・許斐剛・高橋陽一の4人だ。 イエロウ以外の三人は手負いであるにもかかわらず、その動きに支障が見られないのはさすがだ。 この4人は今、鬼酒の気配をたよりに走っているのだ。 目的は、鬼酒によって暗黒化した森田と、その鬼酒のエキスにされている数名の奪還だ。 しかし4人とも、当の森田までもが鬼酒に囚われ、鬼酒がさらなる鬼神の手に渡ったことを知らない。 イエロウ「見えてきたわ、近い!」 かろうじて残っていた廃ビルの屋上に着地し、そこから百メートルほど離れた地点を、オペラグラスで見下ろす。 しかし、その光景を見るや、一同はそろって頭に疑問符を浮かべた。 松江名「あれは宮下あきら先生?誰かと戦っている?」 許斐「森田先輩じゃないのか?」 陽一「イエロウさん、鬼酒の臭いはどうなった?」 聞かれたイエロウが、集中して鬼酒の行方を辿る。 しかし、その行き着く先は…… イエロウ「おかしい、臭いは宮下さんから漂ってきてる…!」 許斐「なんだって?…鬼酒は森田が持ってるんじゃないのか!?」 混乱するイエロウに、許斐が焦った声を出す。 その横で、陽一がぽつりと言った。 陽一「いや、どうやら彼女の言ってることは間違いじゃないみたいだ、見ろ」 その指差す先は、宮下の腰。 正確に言うと、その腰にぶら下げられた…… 松江名「あれは…間違い無い!鬼酒のとっくり!」 鬼酒の出現を間近で見た松江名が断言した。
許斐「確かか?」 松江名「間違いない、あのとき私が見たものと同じだ。そして、それが宮下氏の手の内にあるということは…」 陽一「十中八九、宿主が変わり、森田は鬼酒のエキスとして捕まったというわけか……」 イエロウ「どうりで妖気があの時より強いと思ってたけど…、これだったのね」 一瞬、息をのんで押し黙る4人。 最初に口を開いたのは陽一だった。 陽一「さて、どうする…。どうやら宮下は次に、あの男を捕えようとしてるみたいだが…」 イエロウ「ここは様子を見るしかないと思う、宮下さんもそうだけど、あの相手も相当……いや物凄く…」 許斐「強そうだ……冷や汗がでるね」 松江名「見たところ、あの2人の力は互角か……いや、相手の方が上かも知れん……しかしそれにしても……」 太い笑みを浮かべる、ずんぐりとした岩のような男。 その姿をどこかで見た気が、松江名はしていた。 陽一「いずれにしろ、今すぐに飛び込むのは二つのハリケーンがぶつかり合う、その中心に飛び込むようなもの……ここは様子見だな」 陽一が皆を代表し、とりあえずそう結論したときだった。 ??「…悪いが、ただで見物させてやるわけにはいかんな…」 驚愕する4人。 なにしろ、突然に何もない空間から覇気に満ちた声が、それも凄まじい闘気と共に投げつけられたのだ。 すると、突然に何もない空中で放電が起こり、その中心から、異様な兜にマントを身につけた男が現れた。
威風堂々とした、一流の武人を思わせる精悍な物腰。 並の者なら睨まれただけで失神するであろう、覇気が溢れだすような眼光。 静かなたたずまいだが、周囲の空気が震えるほどの圧迫感。 目の前の男の強さを4人はすでに感じとっている。 許斐「お…おまえはっ…!?」 その質問に、現れた男は答える。 ??「俺の名は稲田浩司……大罪衆のひとりだ…!」 一同「!!」 4人はその名を聞いて驚愕した。 別府における三条の激烈な侵攻により、妖魔王及びそれに従う大罪衆の名は漫画家の間で広く浸透している。 ずっと意識不明だった陽一も、それらの経緯は走る途中で説明されていた。 陽一「その大罪衆が…何の目的で俺たちの邪魔をする…?」 稲田は、陽一をじろりと一瞥し、言う。 稲田「あの戦いを邪魔しようとする者は俺が許さん…そして鬼酒を狙う者もな」 陽一「なに、妖魔王のものが鬼酒を求めて何をするつもりだ!?」 顔色を変えて言う陽一に、稲田は闘気を解放することで答えた。 稲田「それを貴様らが知る必要はない…! 黙って立ち去ればよし…さもなくば…」 ド オ ン ッ !!!! イエロウ「ああああっ!?」 兜とマントに隠されていた怪物の肉体を目にして、イエロウ達が目を見開いた。 闘気を火柱のようにほとばしらせ、超魔獣が咆哮した。 稲田「貴様ら全員、まとめて片付けるのみよ!!」
こいつこんなんばっかだなw 他の大罪衆が好き勝手してる分、一人で苦労背負わされてる気が。
KIYUで言う宇野ポジションに近いのか どの道苦労性だ
>27 >59 宮下あきらの卑劣な罠を見破り、見事に先制の一撃を加えた夢枕獏。 (おッ…? あちらでも始まったみてえだな) 同時刻、同じ大罪衆である稲田浩司が高橋陽一たち4人を相手に始末しようと 凄まじい闘気を発したのを肌で感じ取ったのか、その方向へ一瞬気を取られて振りむく。 バ ッ ! その隙を見逃さず、宮下が豪快な前蹴りを仕掛けてきた! 夢枕はすぐさま反応し、後ずさりしつつ右手でその蹴りを受け流して防ぎ、 同時に右足で相手の軸足を刈り、合気の要領で払いのける──! その場に解説役がいれば、「巧い!」と唸らせたくなる程の絶妙なタイミング───! バランスを崩して無防備に体を回される宮下。 まだ空中にあったその顔面を左手で押さえ、 そして右手の正拳突きもろとも地面に叩き込んだ───かと思われた。 ド ゴ オ ッ ! そこに宮下の顔はなく、地面に拳をめり込ませたのみ。 拳より早く抜け出し空中へ跳び上がっていた宮下の手刀が夢枕の後頭部目掛けて襲い掛かる! 「 烈 舞 硬 殺 指 !!」
すかさず夢枕、地面に埋まっていた拳を抜くと上に突き上げて指拳を迎え撃った! ド カ ア ア ッ 互いの指と拳がぶつかり合い、衝撃が走った───! 共に意外な表情を浮かべる両者。 すぐさま大きく間合いを離し、互いに構え直した。 「わしの烈舞硬殺指を受けても傷一つ付かぬとは! “神の拳”伊達ではないな!」 竜硝酸を満たした石漕の底にある石を割るため何万回と突きをくりかえし修行してようやく得られる 魍魎拳の奥義をたやすく受け止めた拳に、宮下は感嘆した。 「そいつァこっちのセリフだ。お前さんの指が並なもんなら今ごろ使い物にならなくなってたはずだぜ」 ダイヤモンドよりも硬くそして高価なものだと称されるほど鍛え抜かれた己の拳の威力に 耐え切った強靭な指に、夢枕もやはり驚嘆していた。
再び向かい合う両者───。 ザ ッ 先に動いたのは夢枕。 体勢を低く、大股を広げて右足を大きく踏み込ませた! バ オ ッ そこに宮下の、拳が巨大化したかと錯覚するほどの剛拳が襲い掛かる! シ ュ ル ッ … それを身を屈めてかわすと、すかさず体格差を補うための、豪快に跳び上がっての上段廻し蹴り!! グラ…と巨体をグラ付かせる宮下に、さらに追い討ちをかけようと踏み込もうとする夢枕。 「っとォ…」 しかし、相手の異様な様子に気が付くと、急に踏みとどまった。 宮下はまるで効いていなかったがのごとく、すぐさまマッハパンチを繰り出す構えを見せていたのだ──! カウンターでモロに喰らっていたら、ダウンは免れなかったであろう。
65 :
烈の指拳vs神の正拳 :04/11/05 13:02:01 ID:9f4WiQO9
「恐れいったぜ。上段モロ喰らって即 反撃かよ」 夢枕の熟練された数々の戦闘経験が、とっさに危険を見抜き体を素早く反応させてなければ危ないところであった。 ここまでの攻防、ほぼ互角といったところだろうか───。 「なるほどよのう……! 武に己の全てを五十年近く捧げただけのことはある! そして───」 宮下が自身ありげな表情で言い放った───! 「だからこそ わ し に は 決 っ し て 勝 て ぬ !!!」 「ほう? 面白ェえことを言うオッちゃんだな」 いずれにせよ、この2人の対決、まだまだ予断を許しそうにもない───。
すんげー面白いんだけど、夢枕と板垣を混同するのは勘弁して欲しい。
別に板垣の能力使ってるわけじゃないから、いいんじゃね? 他の漫画のある場面や台詞とか、別のキャラが使ってるのだってこのスレではよくあるし
>59 三又の槍のごとき三本の角。 白い装甲のような手足。 緑と黄色に染め分けられた爬虫類のごとき上半身。 闘気にざわめく銀髪。 地上のあらゆる獣を合成したような怪物の肉体を前にして、4人は色めきたった。 許斐「す…すっげえ化物だ…!」 松江名「…もしや、これが噂に聞く超魔生物というヤツか…」 陽一「妖魔王とやらに…改造されたのか…!そうなんだな、稲田!!!」 動揺する4人に対して、稲田の反応は冷静だ。 稲田「…戦ってみればわかることだ。その目、その耳で確かめてみればいい…」 グオオオオ…!! さらに、闘気が上がる――! 稲田「この俺がすべてを失った代償として手に入れた力を…!!! そしてそれが…おまえ達がかつて戦った強敵たちを…」 ド ン !! 稲田「 ど れ ほ ど 超 え て い る か を な っ !!!! 」 陽一「!!」 ズ ガ ッ ド ガ ガ ガ ガ ガ ッ !! 稲田の目にも止まらぬ突進を正面から喰らった陽一が、両腕のブロックごとビルを薙ぎ倒しながら吹っ飛ばされた――!!
許斐「よ、陽一先輩――――〜〜〜ッ!!!」 ガラガラッガラ… 陽一(そ、そんなバカな!!両腕でガードしたのに…!!」) 瓦礫の下でよろめく陽一。 そこに地獄の爪(ヘルズクロー)を右手から生やした稲田が突っ込んでくる。 ズ ガ ア ッ まるで豆腐のように切り裂かれるビル。 しかし、陽一は間一髪、空中に高く飛び上がることでその一撃をかわしていた。 そのまま竜巻のように回転しながらシュート体勢にはいる。 対する稲田も、両手に魔法力を集中し、空中の陽一に目がけて放つ――! 陽一「 ト ル ネ ー ド シ ョ ッ ト !!! 」 稲田「 極 大 爆 裂 呪 文 ( イ オ ナ ズ ン ) !!! 」 ド ガ ア ア ア ア ン !!!! 二つの必殺技が衝突し、大爆発を起こした。 許斐「陽一先輩ッ!!」 陽一「だ、大丈夫だ……だが……」 全身に新たな火傷を負った陽一を支える許斐。 その目の前で煙が晴れると、その背後からほぼ無傷の稲田が現れた。
稲田「…さすがだ高橋陽一!!伊達に五聖人に匹敵すると言われるだけはあるな…!!」 陽一「よ…よく言うよ雷獣シュートとほぼ同じ威力のトルネードショットが完全にイオナズンで殺されちゃってる…!!」 しかも、陽一達の見ている側から、わずかにつけられた傷も、すぐにボコボコ…と再生してしまう…! 恐るべきは超魔生物の強大無比な肉体であった。 松江名「相当に手強い相手だね…ここは4人いっぺんにかかるしかないかもしれない…」 その言葉を聞いた稲田は、少しも動揺せずに、むしろ不敵に笑いまでした。 稲田「…おもしろいまとめて来るか…いいだろう!ちょうどこの肉体にも慣れてきた頃だからな…!!」 グ オ オ オ オ オ オ オ ン ッ ッ !!! 陽一「おおおっ…な…なんだとっ!!?」 イエロウ「こ…この凄まじい力は…っ!?」 急激に膨れ上がった闘気の爆発に、一同は驚愕を禁じえなかった。 稲田「…少しは驚いたか。今の俺は竜闘気(ドラゴニックオーラ)と魔炎気を併用できる…!! 性質の異なる二つの闘気を同時に操ることによる相乗効果は、かつての俺の戦闘力とは比べものにならん…!!」 ド ギ ュ オ オ ン !! 肩の装甲が放熱口のように開き、そこからブースターのようにエネルギーを放出しながら、稲田が空中を超高速で滑走した――!
松江名「…速いっ!!」 一同が度胆を抜かれるほどのスピードであった。 瞬く間に目前に迫った怪物に対し、4人が構える。 その瞬間、稲田は右手にごく小さな魔法力を集めると、それを両手で挟み潰した――! カ ッ たちまち目も眩む閃光が周囲に満ち、4人の視界を塞いだ。 陽一「な、なにっ!!?」 松江名「イ…イオッ!!?」 その瞬間だけ、4人の動きが止まった。 その間に、稲田は背後に回り込んでいる。 ド ガ ッ 陽一「ぐあッ!!!」 両拳で背中を強打され、地面に叩きつけられる陽一。 松江名「なッ!?」 ド ゴ ッ すかさず近くにいた松江名の顔面に、稲田の剛拳が叩きこまれる。 見開き4ページ分はあろうかという距離を一瞬にして吹っ飛ぶ松江名。 イエロウ「 結!!」 なんとか動きを止めようと、イエロウが結界を放つ。 だが、そのときには、すでに稲田の姿はその場にない。
イエロウ「消えっ――」 ド コ ッ イエロウ「がはっ!」 イエロウの腹に稲田の岩のような膝が突き刺さった。 壁に叩きつけられ、吐血して悶えるイエロウ。 許斐「 波 動 球 !!」 許斐がラケットが爆発するような勢いのショットを繰り出す。 猛スピードで飛んでくるテニスボールに、稲田は片手を向ける。 稲田「 獣 王 痛 恨 撃 !!」 一瞬、太さが倍加した稲田の腕から、凄まじい勢いの闘気の渦が繰り出された。 その威力に波動球はあっさりと砕け散り、さらに許斐を遥か彼方まで吹っ飛ばしてしまう。 一瞬にして、薙ぎ倒された4人。 ゴ ア ア ア ア ッ !! そのとき聴こえた炎が燃え盛るような音に、4人はフラつきながら上空を見上げる。 そこには、大きく円を描くように炎を両手からほとばしらせ、空中にて4人を見下ろす稲田の姿があった。 稲田の得意呪文、極大閃熱呪文(ベギラゴン)の発射体勢―――!! 4人の顔からそろって血の気が引いた。 陽一(…なんてことだ…!!戦闘力に差がありすぎる…!!) 松江名(…このままではやられる…!!何か…何か手はないのかっ!!?) 魔を超えた怪物を前にして、4人の命は早くも風前の灯火であった。
うおお松江名君がケンイチふっとびをしてしまった こいつあヤクいぜ!
稲田がまともに戦ってる しかも強い(感涙)
75 :
ヘンリエッタ :04/11/07 11:17:03 ID:nB4YX4EC
>松江名「…もしや、これが噂に聞く超魔生物というヤツか…」 松江名さんって何でも知ってるんですね
解王に匹敵する男だからね!
(
>>51 )
抽選会も無事終わり、勇壮なマント姿で威風堂々VIPルームに戻る矢吹。
にこやかな笑みをたたえたまま最高級ソファに腰をかけ、
ゆっくりと肩から息を吐き───
「ク、クロ〜〜!!どこにいるクロ!!頼むから今の私を独りにしないでくれぇぇぇ!!」
突如ガバッと立ち上がり愛猫の名を呼ぶ矢吹。そう彼にはトラウマがあった。
“舞い下りる凶器”あんど慶周のおいなりさんでショック死しかけた経験があるのだ!!
「1個でも見たくないのに7つも・・・キャノンボールとやらで死亡したと、
報告があり安堵したところにこの不意打ちッ!
許さん・・・絶対に許さんぞ変態ども!!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!」
どっかで聞いた台詞で怒りを露にする矢吹。しかしとりあえず、
対戦相手のガンガンを応援する事にした。矢吹様ちょっとネガティブ。
そしてガンガンチームとえなりチームにそれぞれ、
サッカー用のユニフォームが届けられた。着替えなくてもいいのだが、
一部動きづらい衣装の選手もいるためだ。とりあえず全員分揃っている。
ガンガン控え室にはサンデー連中やスプリガン連中も混じって大所帯。
高橋留美子は長い黒髪をポニーに束ねて、なぜかやる気満々である。
(覆面とか被った方がいいと思うが今更か)カムイがぼんやり考える。
スパイクが履けなかったりルールブックを読んだり騒がしい部屋に突然響く声。
「テンション、上がって、来たぜーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
サッカー描かせりゃ超展開・ついに主役の座が巡ってきた(と思われる)土塚であった。
果てさてどうなる?一方えなりチーム控え室では、
問題の男あんど×7人がユニフォームを上半身だけ着て元気よく走り回っていた。
「「フォォォォォォォォォォ!!エクスタシーーーーーー!!!×7」」
「こいつら邪魔だ。俺の影分身で選手の補充は利くし、今から殺していいか?」
「岸本先生!物騒な事言わんでください!それに敵の戦力を減らす捨て駒に使えますし」
「富沢、お前の方が存外物騒だ・・・」
車田のツッコミにも力が入らない。先行き不安ありまくりであった。
大丈夫かえなりチームw
遂にスタートですな! しかし、肝心のえなりがいないのにえなりチームかw いや、それとももはや肝心ですらないのか……?
さてガンガンチームのスターティングどんなのだが にしても富沢がだんだんキャラ立っていくw
(
>>77 >>51 )
一方、第二試合出場となったバンチと裏御伽の面々は、
試合場が見渡せる大窓のある、トレーニング場付きの控え室に回された。
サッカーは試合時間が決まっているが、どうせこの大会の事。
なんやかんやと長引く可能性もある。選手たちは軽く身体をほぐしつつ、
のんびり第一試合の見学に回る事となろう。
矢吹のお膝元にあるため厳重な警備体制が整っており、
しかし現在刺客に狙われている裏御伽チームには、却って気楽になれる皮肉な場所だ。
―――刺客たるKIYU一味が現在彼らの監視のみにとどまっており、
盟主たる少年がふらりと大会見物に現れた事は彼らの知る所ではない。
その裏御伽メンバーが、荷物が移し変えられた新しい控え室にやって来た。
ひときわうるさい足音は眼帯の男、岡村賢二。勢いよくドアを開け一言。
「・・・やっぱり副将(バカ)がいねえーーー!!どーこ消えたぁぁ!!」
「監督責任だな。早く捜せよ」
頭を抱える岡村の背後で、傍目ニヤニヤと笑っているのは“修羅”こと川原正敏。
「俺が悪いのかよ!?大体いつからお守役があんたから俺に替わったんだよ!!」
「まあそういう事だ。よろしくな」
「答えになってねえー!!」
騒がしい2人を尻目に控え室にゾロゾロと入る岡野剛・真倉翔(幽霊)・澤井啓夫。
「うるっさいわね〜!ただでさえ恥ずかしかったのに、
これ以上メーワクをまき散らかさないでよッ!!しばくわよ!?」
お怒りの澤井をなだめるように、大将・本宮ひろ志が笑いながら部屋に入りドアを閉める。
「そんなに恥ずかしかったか?おめえら似合ってるぜ、これ」
誇らしげに胸を張る本宮。ふてくされるオレンジ球体の澤井。
控え室の片面に張られた大鏡に、幽霊含めメンバー6人の姿が映る。
そこには・・・高下駄にボロ学帽、長ラン・・・時代がかったバンカラファッション軍団がいた。
そう、本宮のたっての願いというかゴリ押しで抽選会の入場時、
懐かしの『学ラン変身バッヂ(12部86)』で全員変身していたのだ!!(笑)
「てゆーかあたしだけスケバンじゃないのよー!なめんじゃないわよー!」(澤井) 「俺たちは元から制服姿だから大差ねーがな」(真倉) 「俺は上に白衣を着ているぞ。この年で学ランもないがなあ・・・」(岡野) 「まさかこの格好がイヤでサボったんじゃねえかあのバカ」(岡村) 「さあ・・・な」(上半身サラシ姿・最近つきあいのいい川原) 「あいつはこの手の企画が大好きだからそれはねえよ。よし、試合もこれで行くか!」(にこやか本宮) 「「 や め て く だ さ い 」」(川原除く一同) 一方、試合場から抜け出していた噂の問題児・副将にわのは、 思うところあって空港は蟲船に戻り、山田秋太郎(秋子)を軟禁部屋の外に連れ出した。 乗員少なく静かな通路を歩きながら、話を聞いて首を横に振る山田。 「・・・あの、私は自分の意志でここにいますので・・・。 荷物も川原さんに返していただきましたし、その上で残っているんです。 上司の連絡がない事には船から動くつもりはないのですが」 「そ、そこをなんとかっ!その上司さん(※平野)に、 伝言を伝えてくれるだけでいいんですぅ。だから、 この船を抜け出して上司さんの所に帰ってほしいなーって〜〜」 また裏で勝手に事を進める懲りない男。2人は昼の太陽が輝く蟲船の外に出た。 山田からは面識がない男(16部参照)だが、必死にせがまれ話を聞く事にする。 「あの・・・伝言ってなんですか?」 「あ、うんとね。川原せんせーには『例の件』を言わないでほしいって。 ナイショにしておいてくださいって。ボク自身でカタつけるからって。 あと試合時間伸びてもバティ食べちゃわないでねって」 「???」 山田は首をかしげる。必死な割には内容がよくわからない。 「お願いしますよー。君が頼りなんだモンー」 その山田の両手をギュッと握り、訴える瞳でじっと彼女を見つめるにわのの、 後頭部にいきなり強烈なソバット!! 「ギャース!?」 ―――何者かの飛び蹴りが彼を襲う!!
「な・に・し・て・ん・の・よ!! この女の敵!誘拐犯!彼女に触るなケダモノ!!」 「キャーいやーん!!おや君はトナメ審判用の制服を着た樋口大輔ちゃんっ!!」 「説明ありがとっ!!」 ポカポカポコポコ。 あわれ副将は蹴り倒され、山田は樋口に引っ張られ連れて行かれた。 「本当にトロいわね!こんな情けない男にナンパされて、 フラフラついて行ったらダメじゃない!ほら、審判控え室に戻るわよ」 「え?ええ?あの〜私はただの無名漫画家で審判では・・・」 「いいのよ漫画家ならなんでも。スタッフ足りないんだから働きなさい! トロいあんたでもいれば、あたしはBチームに登録して試合に出られるし(Dはお断り!)」 「ああ、副将さんが遠ざかっていく・・・私はどうすれば・・・」 山田が昨夜の内に無礼ドを出た事に、ついぞ気づかなかった樋口は、 色々勘違いをしたまま、ズルズルと山田を引っ張り関係者専用通路へと消えた。 相方の倉田がバラバラになった事を知らない、山田秋太郎の明日はどっちだ。 「あうちち・・・ボクなんであんなに嫌われてんだろ」 後頭部をさすりながらムクリと起き上がろうとするにわのは、 今度は真上から飛来した別の誰かにグチャリと踏み潰された。 「へぶっ!!背中がおーもーいぃ〜〜」 「抽選会サボってメガネねーちゃんに手ェ出そうとはふてえ野郎だ!今ここで死ね!!」 「うげげっ岡村クン!?いやだなーボクがそげなスケベさんなワケ」 「腕がいいかー!!足がいいかー!!それともどてっ腹いくかぁーー!!?」 「・・・・・・ウ、ウェルダンでお願いします・・・」 「 い い 覚 悟 だ ぜ 」 いつもの自滅コンボでボロ雑巾になっているくたびれ副将を、 空港のどこかから見つめる影。彼には幹事やらなんやらの線で監視が複数ついているが、 それとは違う何者かは、望遠鏡を下ろすと苦笑を浮かべ姿を消した。 ―――さらにその影を遠目に見つめる、修羅の視線には気づいていなかった・・・。
そういや樋口は審判だったか… Bは人余り気味だから参加できんのかねぇ?
Bもまだ11人はいないだろ流石に
>>77 試合開始まで後わずか。
出番が近づくなか、富沢は用を足しにひとり選手用通路を歩いていた。
歩きながらも、富沢の心は弾んでいる。
なにしろ、板垣の高弟という美味しいポジションにありながら、彼のこれまでの戦歴といえば――
vsエースチーム戦――放置。
vsボスチーム戦――出番なし。
vs王者チーム戦――活躍のままリタイア。
別府編――そうそうに負傷、リタイア。
……ろくな扱いじゃねえ。
しかし、今度は違う。
この人数が不足している状況では、富沢の占めるポジションは重要なのだ。
自分に重大な責任を負わされるというのは、このような快感を伴うものか。
人生において初めての経験に、富沢は身震いした。
そのあまりの幸福感ゆえか。
彼は、つい口走ってしまったのだ。
あの禁断の台詞を……
「ねんがんの 出番をてにいれたぞ!」
その台詞に呼応し、無慈悲なる選択肢が出現した。 :そう かんけいないね →:殺してでもうばいとる :ゆずってくれ たのむ!! 「な なにをする きさまらー!」 富沢の高い絶叫が尾を引き、無人の廊下に虚しく響きわたった……… 数分後。 富沢から奪ったユニフォームを着る小柄な影と、その隣で機関銃を抱えながら立つ長身の影の存在があった。 「YA-HA-! いいか、俺は裏方で影ながらお前等のサポートをする。 てめーは、あくまで富沢ひとしに成り済まして、えなりチームに参加するんだ!」 「わかったよ、任せて!!」 悪魔のような出で立ちの男の言葉に、アイシールドを身に付けた小柄な少年が応じる。 奇しくも、富沢の番号は『21』であった。 ←TO BE CONTINUED
88 :
訂正 :04/11/09 03:09:42 ID:RHQG4VBx
× vs王者チーム戦――活躍のままリタイア。 ○ vs王者チーム戦――活躍の無いままリタイア。
おもっくそ吹いたw ガハラドかよ!!!
「あ〜あ、サッカーなんて見たくないよ。なあ、バス釣り逝っていい?」 「ダメよまっつー! あなた1人にするといつの間にか警察のご厄介になっていそうで怖いわ」 ガンガンVSえなりの試合が間も無く開始されようという、矢吹様専用サッカーグラウンド。 (一応)ガンガン側の応援席で夫婦仲良く? 試合開始の時を待つまっつーと椿あす。 「ぶっはぁぁァァァ――――!!!!」 「なんかキタ━(゜∀゜)━!!!!」 「きゃあああ――――!!」 突然、松椿のすぐ前の地面(コンクリ)を突き破って現れた井田ヒロト。 「おお、井田さんじゃん。乙カレー」 「あっ、まっつー先生! 乙です! リアルでお会い出来るとは……っていてーよ頭!!」 とりあえず、フィクションじゃなかったら普通にショック死してるくらいの血が吹き出してるっぽい。 「ここは、どこでしょう?」 いつの間にやら、近くに立っていた長身の女が言った。小脇に男を1人抱えて、中々豪快だ。
「あのう、あなたは……?」 微妙にまだ現実復帰が出来てない椿あすが、怖々と訪ねる。 「あ、申し遅れました。私は漆原友紀と申します。以後、お見知りおきを……」 「日本風美女かと思いきや、ブリーチかけまくって真っ白の髪の毛。そして、隠れた片目……ネタが 降ってキタ━(゜∀゜)━!!!!」 「あ、ブリーチじゃないです」 「あなた落ち着いて! その話は後で部屋でゆっくりと、ね? …漆原さん? その、脇に抱えた男の 人は……?」 夫をなだめつつ、椿は漆原に問う。 「はい……」 漆原は、この人は全く知らない人だけど、『蟲』を用いて異空間移動をしている時にたまたま拾ったの だ、という。ちなみに井田もそんな感じでたまたまらしい。 「とりあえず……び、病院」 まだコンクリに埋まったまんまの井田は、出血多量で気絶した。
蟲師の人は女性だったのか・・・(トモノリという男だとばかり・・・)
93 :
作者の都合により名無しです :04/11/09 11:45:51 ID:EdHuauNp
富沢はことごとく出番を奪われるのはもうお約束なのかw アイスソードネタ、禿ワロタww
(
>>83 )
富沢がガラハドってたり井田と新キャラがフェードインしたりと、
局地的な騒々しさの中で、格闘家トリオ抜きの裏御伽控え室に客人が来た。
「大将ー、あんたの知り合いだってさ。案内しといたよ」
酔いが覚め、保護先の松椿夫妻から離れた“無敵看板娘”佐渡川準が、
決勝出場選手・関係者以外の立ち入りにうるさい専用通路から客と共にやってきた。
「おう、ありがとうよジュン隊員。よかったらあんたにも変身バッヂやろうか?」
「その通称はやめとくれよ・・・ていうかいらね」
呆れた顔の佐渡川の、背後から現れたのは黒髪の行者風の男。
精悍な顔立ちに本宮は懐かしさを感じ、同時に男の名を思い出し笑顔になる。
「・・・よお!荻野、荻野真かよ!どうした、久しぶりじゃねえか。
Bブロックで参加していたらしいな。暇で遊びに来たのか?」
男は弟子の一人、かつて本宮の能力の一つを受け継いだと言われる“拳銃神”であった。
「相変わらず屈託のない方で何よりですよ。
実はうちの・・・GUNG-HO-GUNSのメンバーの殆どと連絡が取れなくなりまして。
一部がどこかの温泉に行ったそうなのですが、色々問い合わせてみても、
九州が混乱している余波で捜査どころじゃないと言われ・・・。
困っていた所、先生の主催で漫画家の温泉慰労会が開かれたという噂を聞き、
何か情報はないかと思いましてね。鹿児島でしたっけ?」
荻野の問いに軽く頷く本宮。
「それと別府な。俺も色々気にはなっているんだがなあ、
矢吹軍がうるさくて、外の情報が入手しづれえんだよ。
参加者名簿も別府に置いてきちまったし、とっくに軍に回収されてんじゃねえかね?
あいつら、どうも挙動不審だしよ。緘口令とまでは言わねえけど、
慰労会の事はあまり話すなと言われてんだ。俺らの知らねえ所で、
何が起きてやがんだろうなあ・・・別府は浮き上がるしよ。
温泉地が地上から離れてどうすんだっつの。住人がつれえよなあ・・・」
話す間に岡野が急須でお茶を注いで大将と客人に差し出す。
それを飲みながらため息をつく本宮と、しばし思考に入る荻野。
(矢吹軍と別府、そして九州全土の王蟲騒動か。次はどこを探るか・・・)
まさか仲間たちが戦艦同士の戦争に巻き込まれているとは、荻野は露ほども思わなかった。
いつ以来だ…荻野……
そんな感じでドタバタやってるうちに、大分観客席が埋まってきた。 矢吹様専用サッカーグラウンド(思い付きで作ったはいいものの、矢吹様作った だけで満足して一度も使わず放置)、やっと陽の目を見た瞬間であった。 「うわあ、この船の中のどこにこんな沢山の人がいたのかしら? でも、私達の辺り はあんまり人がいないけど……」 「ああ、ここは矢吹とかいう人が『漫画家専用席』として設けたトコらしいぞ」 「え? まっつーなんでそんなコト知ってるの? あんまり興味無さそうだったのに」 「いや、さっき2ちゃんでたまたま(ry」 なんとなく飛ぶ椿の拳のツッコミ→まっつー 「私、その人見た覚えがあるんですよね……確か、別府が、私達の旅館が滅茶苦茶になる 何日か前に漫画家団体のお客様としていらしていたような……」 気を取り直すようにして、漆原の方を向き話し始める椿。まっつーは携帯で2ちゃんを 閲覧していた。大方自分のスレでも見ているのだろう。あと、言うまでもなく井田は病院直行。 「…でも、名前が出てこないんですよね。記憶力悪くてゴメンなさい」 「いえ、この人多分気絶してるだけで……気が付けば教えてくれますよ、きっと――」 その時、漆原の体に妙な感覚が迸った。擬音で言うなら……『むにょ』?
「きゃっ!」 どさ、と脇に抱えた男を重力に任せて解き放った漆原。 「う……っうわああああああああああああん!!!!」 どう見てもいい年した男があかんぼの如く泣き出す様は正に『28歳児』というに相応しいものだった。 「こっ、この子……違う、この人私の胸を!」 「おなかすいた〜!! おっぱいのみたいようわあああ〜〜〜ん!!」 「あす、まだ出るだろ。飲ませとけよ」 「イ・ヤ!!!」 杖を大事そうに抱え込んだ額に改造跡のある幼児男は、小一時間ほど泣き続けることになるのだった。 余計な枷が取り外され、本能のままに無茶な要求を続けるこの男のことを知るものは、少なくとも観客 席の中にはいなかったのだった。
今日は更新天国でおますな〜 変なの来たぞ
とりあえず、田丸inカズフサではないぞと。
>36 >21部448-449 福岡ドームから数km離れた辺り───。 多くのテントが張り巡らされた仮設の治療所がそこにあった。 災害にあった怪我人が定期的に運ばれてきては、看護婦たちがひっきりなしにその身を削って働き、手当てを施している。 ここ以外にも幾つか九州各地で既に王蟲の掃討が完了した場所に、こういった場所が組み立てられていた。 この大規模な救助活動に指示を与えていたのはかの有名なメフィスト病院の院長であり、 世紀の美女も裸足で逃げ出したくなるという、この世のもとは思えない美貌を持った男──。 その繊手がメスを操れば、いかなる悪疾も笑いを消すという“魔界医師”。 最強原作者軍団・三闘神が一人、菊地秀行────その人であった。 患者を見捨ててはおけない性分のため、別府の地に異常が発生してからすぐに行動を開始したものの、 漫画界の外側にいる彼から言わせれば、今回の大惨事はその漫画界の連中どもが 醜い争いごとを続けてきた当然の結果として引き起こされたようなものであった。 しかも、よりによって自分はその尻拭いをやらされる羽目になったのである。 そのため気分は正直言えばあまり優れなかったが、 目の前の患者の治療に当たるその真摯な態度からは、いささかも読み取ることはできない。
「大変です! 院長先生!!」 メフィスト病院の看護婦達を統括する立場である婦長が、慌てた様子で駆けつけてきた。 「何ごとかね?」 自らが霊体(エクトプラズム)で作り出した椅子に座り一休みしていた菊地が落ち着きを払いながら聞き返す。 「さ、斎藤岬先生が運び込まれてきました! ……それも、まるで鬼のような大男におぶられて!!」 「あの斎藤君が……!? しかも“鬼のような大男”に、か。」 弟子のまさかの負傷者としての来訪に菊地は驚きの表情を隠せなかった。 そして、右手の人差し指で鼻の付け根を叩いた。 菊地が考え事をするときの癖である。 彼女をここに運んできた大男の正体にしばし思考を巡らすと、 かつての朋友であり最大のライバルでもあった男の弟子だった、とある漫画家を思い浮かべた。 「分かった、すぐに行く。とりあえず斎藤君とその客人を出迎えるとしよう」 そう言うと菊地は立ち上がり、その2人が来ているキャンプの入り口の方向へ歩み始めた。
「オラ… みやげだ…………」 斎藤をおぶってきた“鬼のような大男”は言うまでもなくこの男、板垣恵介であった。 気を失っていた彼女の体はすでに背中におぶられてではなく、両腕でお姫様のように抱きかかえられていた。 その男が放つ野生の肉食獣を思わせる近寄りがたい雰囲気に恐怖を覚えずにはいられないのだろう、 看護婦達は近付こうともせず、ただうろたえるばかりだった。 「ようこそ──。まさか君がここへやって来るとはね」 こわばった空気をかき消すがのごとく菊地が白衣を翻して颯爽と現れた。 ようやく安堵の表情を浮かべる看護婦達。 菊地は弟子の怪我の具合を一瞥して無事であるらしいことを確かめると、早速、板垣に事情を問い質す。 「とりあえず、君の仕業ではないようだな」 「ちょっくら福岡ドームまで厄介払いに付き合ってやったら、このザマだ。 ま、残りの詳しいことはこいつの口から聞いてやるんだな」 説明するのも面倒臭いと言わんばかりの投げやりな説明をする板垣。 「──まあ、いいだろう。それはとんだご足労をかけてしまったようだな」 「腕は悪くないが、ちと脆すぎる。教育が足りねえな」 本人のいる前で慇懃無礼な暴言を言い放つと板垣は斎藤の体を、そっと地面に降ろす。 気のせいだろうか、その仕草はこの男にしては割と優しく気を遣った方に見えた。 その様子を見つめていた菊地は慌てずに看護婦達に指で合図を送ると、担架が運ばれてきた。 斎藤の体は彼女達に手馴れた動作で担架に乗せられ、急いで奥の方へ収容されていった。
「──で、何がお望みかね? 私と一戦交えようというのなら、あいにく今は忙しくてそれどころではないのだが」 菊地はそう言いながらも、いつの間にか自らが得意とする針金細工の束を手にしており、警戒の色を緩めない。 「いや、こっちもあんたとやり合ってる暇はない。まだやり残したことがあるんでな」 「矢吹艦、か───。見たところ、治療の必要も無さそうだな」 あの師匠にしてこの弟子あり。 この師弟の並外れたタフネスぶりと驚異的な回復力にはさすがの“魔界医師”も認めざるをえなかった。 「礼の代わりといっては何だがひとつ教えてやろう。 “闘神”が蘇った。おそらく妖魔王の手によってな」 「ほう」 本名を聞かなくともその二つ名で察したのか、板垣の目の色が変わった。 妖魔王という単語も気にはなったが、あの男の復活に比べればどうでも良いことに過ぎなかった。 「喧嘩をしたい───たったそれだけの理由でね。ある意味あの男らしいとも言えるが」 「あの野郎、俺に負けたのがよっぽど悔しかったのか、往生際の悪ィオヤジだ。 今度こそ俺自身の手で直々にブチのめし、成仏させてやるとするか」 かつての師匠に対する言葉遣いとはとても思えない暴言ぶりで顔をニヤつかせる板垣。 その反応は予想済みだったのか、菊地は特に驚いた様子も無く肩をすくませるだけだった。 「それだけで十分だ。もうここに用はねえし、とっとと帰らせてもらうぜ。……ああ、眠みィ」 「そうか。───矢吹艦には一人で行くつもりかね?」 その時だ───。 「待ちな・・・!」 治療所の奥から声が聞こえた。 その場にいた全員がその方向へ思わず振り向いた。
辺りが、 ざわ・・・ ざわ・・・ という何ともいえぬ雰囲気に包まれた。 「オレも・・・連れていきな・・・!」 数多くの漫画家がいれど、この独特の雰囲気を醸し出せる漫画家はただ一人しかいなかった。 福本伸行である。 別府市外の路地で闘神との決闘に敗れた後、菊地の手によって救われて安全なこの場所まで運び込まれていたのだ。 「あのオヤジの突きを喰らって立てるとは、根性あるぜ」 板垣が驚いた様子で、半分は世辞ではあるが称賛の言葉を送った。 「さあな・・そこの医師(せんせい)のおかげかもな・・・」 そうは言ってもやはりダメージは深かったのか、フラフラと足元はおぼついていない。 「まだ横になっていた方が良いのではないかね?」 「いや・・心配御無用・・・」 菊地が医師として忠告したが耳を貸す様子は無かった。 「…で、貴様を矢吹艦に連れていって俺に何の得があるのかな?」 「知れたことを・・・矢吹と関係が深いオレと一緒にいれば・・何かと便利なのはそちらの方だぞ・・・! オレも・・お前と同じく・・まだやり残したことがある・・・! こんなところで・・お寝んねてるわけにはいかねえ・・・!」 「なるほど──。だったらついて来な。ただ、自分の足で歩いていくことだ。」 さすがに疲れていたのか、それとも男をおぶる趣味はないのか、今度は福本を背負ってひたすら奔るつもりはないらしかった。 「何を言っても無駄のようだな。では、2人ともせいぜい気を付けていきたまえ」 菊地は2人に別れの挨拶をして見送ると、再び医師として患者の治療に専念すべく、テントの中へ戻っていった──。
夜の福岡をさまよう2人の異形の男達の姿。 いつの間にか三日月から満月へとその姿を戻していた月が、怪しく街を照らしていた。 2人の内の一方、板垣恵介は物思いにふけっていた。 (ヨクサル… 原… たかしげ… 山原… 山口… そして夢枕のオヤジか……! たまらねえ……! 後は俺を一度殺したイカレ科学者なんてのもいたなァ…! いずれにせよ誰とやってもいい……!! むしろ 全 員 喰 っ ち ま う っ てのもいいな…………!!!) 夜空に各々の対戦相手の顔を思い浮かべ、恍惚の表情の板垣。 幾度かの手痛い敗北、それに伴う屈辱を経験してなお、この男は更なる高みに登ろうとしていた。 えなりと交わした約束(8部384)などとっくに忘却の彼方であった。 もう一方の男、福本はひたすらポーカーフェイスで沈黙を崩さない。 何を考えているかは読み取ることは出来そうもないが、そこに秘めたる決意は鉄のごとく堅いようだった。 しだいに、2人の姿は夜の街へと溶け込むように消えていく────。 真っ向からぶつかり合う肉体戦か、それとも知略や策謀渦巻く頭脳戦か。 いずれにせよ、この2人のいくところ、戦いの嵐が吹き荒れることは間違い無い。 以上、時間軸にして別府ノックアッパー作戦が起きる少し前の出来事であった────。 【板垣恵介】 【福本伸行】────矢吹艦へ向かう。 ←TO BE CONTINUED
福本…生きてたか…
再びガンガン控え室。カムイが陣頭に立ち黒板で説明に入る。 「この図は仮のものだがポジション表だ。参考にするように」 カツカツとチョークの音がざわついた部屋に響く。 FW カムイ 土塚 MF 安西 金田一 雷句 衛藤 DF 留美子 松沢or水野 城平 椎名 GK 金田一 「攻撃専門のフォワード、守備専門のディフェンダー、中間のミッドフィルダー、 そしてゴールを守る最終防壁がゴールキーパーだ。細かいルールは不明だが、 今までの傾向から行けば『手を使わずに闘えばなんでもあり』程度のものだろう。 無礼ドの松沢が来れなかった場合は水野が出る。しかし・・・」 言葉を切り、カムイはパイプ椅子に座る村枝をちらと見る。 昨晩の死闘を思い起こさせない程に回復してはいるが、元々が酷かったため包帯は外せない。 さすがにあまり接点がない彼に、試合出場を頼むのはいささか気が引ける。 ・・・たとえ村枝がサッカー漫画界でも指折りの名選手だとしても。 カムイの沈黙の意味を知ってか村枝は、独特な明るい笑みでカムイに言葉を返す。 「安心しな。この身体でも監督ぐらいならできるぜ。 ・・・気まぐれでちょっとぐらい出場するかも知れんが、アテにはするなよ」 「・・・すまないな。土塚もいるし、やるだけやってみる」 苦笑したように、カムイが頷いた。 (ところでなんで俺はどさくさにメンバー入りしてるんだろ) 椎名が首をかしげるが、留美子のサポートと思えばまあいいかと心で納得した。 ちなみに柴田亜美はまた気まぐれで、どこかでふらふらしていたが彼らは知らない。
ああしまった・・・ではちょい待ち
(
>>107 )
衛藤 「カムイせんせー!質問でーす」
カムイ「なんだ衛藤」
衛藤 「金田一ちゃんの項がダブってまーす。人数足りないんじゃない?」
カムイ「・・・・・・すまん。寝ぼけてた」
リーダーの睡眠不足のせいという事で。
ともかく試合が近いのに、選手が微妙に足りない事に気づいたBチーム。
サッカーは一応9名程揃っていれば試合は出来るが、当然不利になる。
敵はいろんな意味で手強い。どうしたものかとこめかみに指を当てるカムイ。
そこへ───
樋口 「ふふっお困りのようね!!よかったら助太刀するわよ!!」
柴田(亜)「カムイー亜美ねえさんちょっくら暇だからサッカーするよ〜」
同時にガンガン控え室に突入したのは樋口と柴田。
驚いた顔のカムイだがすぐに気を取り戻し冷静になる。
カムイ「2人とも、気持ちはとてもありがたいが、どちらか一人でいいぞ」
亜美 「なんだいなんだいカムイの意地悪〜。
人の好意をムゲにするとカムイの鎧に十円傷つけるぞー」
樋口 「あたしだって審判の要請を友達に譲ってこっちに来ちゃったんだから、
使ってくれないと困るんだけど!誰か弱そうな人を外してよ、安西君とか」
安西 「なー!?ドサクサになんだと固羅ぁぁぁぁ!!」
雷句 「おお大輔、元気であったか〜メロンを食べさせたかったのだ」
椎名 「てゆーかオリハルコンの鎧に十円で傷がついたら怖いっつーの」
カムイ「椎名は亜美の恐ろしさを知らないから・・・
ともかく静かにしろ!ミーティングにならないじゃないか!」
土塚 「そもそもカムイさんが書き間違えなきゃよかったんじゃあ」
金田一「奴のせいではない。カムイ脳に住む妖精さんのいたずらなのだよ」
カムイ「そういう事にしておいてくれ・・・」 ──さて、どうしたものかなと。
後は次に書く人にお任せするよ・・・ ヘコーン
あ、ハリー分考えなきゃいいのか。 こっちが妖精付きだよごめんカムイさんアハハハ ゝ(゚ワ ゚)ノシピコピコ
金田一が二人いても、 『まぁ金田一だから』 という理由で納得してしまった・・・ 金田一恐るべし・・・
115 :
梅澤風 :04/11/10 17:18:34 ID:xI6Qhqt3
金田一が… 2人になった―――!!!!
変えない方が良かったかもw
117 :
藤原カムイ :04/11/10 19:03:32 ID:9HrKHDla
眠くて金田一が2人に見えるのだが・・・・怖いな〜
まあ、近年稀に見るナイスフォローだったな。 しかし、なかなか面白いポジショ・・・・・・・・・ん?! >>GK 金田一 チ ョ ッ ト マ テ ! !
GKには土塚が来ると思っていたのに…。゚ヽ(゚´Д`゚)ノ゚。
たぶんなんでもありだからそのうち変えればいい。
121 :
カムイ :04/11/11 01:34:13 ID:hjZVmL+t
だから仮のポジション表だと・・・ あとは事情通に決めてもらうさ
>72 稲田「 極 大 閃 熱 呪 文 ( ベ ギ ラ ゴ ン ) !!!! 」 ゴ オ ッ !! 叩き伏せられて動けない4人に向けて、閃熱(ギラ)系の究極呪文が放たれた――! ド オ オ オ オ オ ン !!! 太陽のような閃光が空間を埋めつくし、大爆発による巨大な火柱が上がった。 空を焦がすような黒煙が、焼き尽くされた大地から噴き上がっている。 その煙が晴れれば、その下にあるのは、無惨な4つの焼死体のはず――!! しかし…… ズ オ オ オ オ ………… 煙が晴れた後、そこに広がっていたのは、稲田の予期せぬ光景であった――!
稲田「…ぬう…!!貴様は…ッ!!」 目を見開き、歯軋りする稲田。 その視線の先にあるのは、およそ原型をとどめない焼け野原。 相変わらず倒れふす陽一たち4人。 そして、4人をかばうように立つ、山吹色の道着に身を包む、ぼうぼうに跳ね放題の髪の男であった。 さらにその横には、聖獣・麒麟を模した銀色のボディを持つロボットが並び立っている。 陽一「…と…鳥山…くん!!」 その男を見た陽一が、驚愕の声を上げる。 そう、陽一たちを救った男は、ジャンプ最強の男――鳥山明であった。 鳥山「…ちょっと出かけてる間に、とんでもねえ事になっちまってるみてえだな…」 鳥山が稲田を見上げ、そしてその遠方にて行われている、夢枕と宮下の闘いに目をやる。 鳥山「どうなっちまってんだ…宮下のヤツ、すっげえ邪悪な気を感じるぞ… それに宮下と闘ってるヤツ…前に板垣と闘り合った、とんでもなく強ええ男だ…死んじまったはずなのにどうして… それに目の前のあの化物は誰だ…?こっちもかなりでけえ気だ…… いったい、何が起こってんのかさっぱりわかんねえ……」 松江名「…実は…」 そこで松江名が、これまでに至る経緯を、鳥山に説明した。 鳥山「なんだって…目の前の化物が稲田…?それに鬼酒…?何がなんだかわっかんねえな!?」 説明を聞いた鳥山だが、あまりに錯綜した事態に、完璧には状況を把握できないらしい。 だがさしあたり、現在自分が何をすべきなのかだけは理解したらしかった。 自分を見下ろしてくる稲田の覇気に満ちた視線を受け止めながら、鳥山が横に立つ麒麟型のロボットに言う。 鳥山「…エックス…!高橋達を連れて、この場を離れるんだ…すぐに…!」 エックス「…了解した…」 答えるが早いか、エックスの銀色のボディが尾を引くような速さで、4人を回収した。
許斐「…と…鳥山先輩…!」 鳥山「…早く行け!!ここにいられっと、おめえらを巻きこんじまう!!」 4人「!!」 陽一たちは愕然とした。 鳥山ほどの戦闘力の持ち主が全力で闘えば、周囲に及ぼす被害も甚大なものになる。 今の陽一たちでは、鳥山の足手纏いにしかならないのだ。 鳥山「…仙豆だ…安全なとこまで行ってから、そいつを食え!宮下の事はオラがなんとかする!!」 そう言って、仙豆の入った袋を陽一に投げ渡す鳥山。 すでに、その意識は、全て目の前の稲田に向けられている。 正直忸怩たる思いがあったが、結局後事を鳥山に託すしかなかった。 陽一たちがとりあえず納得するやいなや、エックスは銀色の流星と化し、その場から消えた。 他の者がいなくなった後、しばし黙って睨み合う2人。 先に口を開いたのは、稲田だった。 稲田「……鳥山明、俺と三条にとって、あんたはずっと目の上のタンコブだった。 あの漫画史上ジャンプが無敵を誇った黄金時代にあって、誰からも最強と認められた男… 正直、とても勝負を挑む気にすらなれなかったよ…」 昔を語り出す稲田。しかし、それは過去を懐かしむ感傷めいたものではない。 稲田「…今、俺はその伝説と対峙している。それなのに今は、むしろこの闘いを望んでいるのだから…不思議なものよ…!!」 鳥山「…どうしてもオラとやるつもりなのか…?」 稲田「フッ…鳥山明とあろうものが無粋…!我らが障害となるならば、貴様は俺の敵! そして、カムイともども超えねばならぬ壁…!」 稲田「 俺 が 『 真 竜 』 と な る た め に も な … !!」
稲田の気勢が大気を震わせる。 それを鳥山は受け止めた。 鳥山「オラもおまえを倒す…!仲間を助けるために…!!」 ド ギ ュ オ ッ !!! 叫んだ瞬間、鳥山の全身から黄金のオーラが火柱のように噴き出した。 髪の毛が金色に逆立ち、凄まじい闘気が爆風となる。 大地は揺れ、大気がビリビリと震える。 圧倒的な気の圧迫に、稲田は不敵な笑みで応える。 ド オ オ ン ッ !!! 鳥山「!!」 稲田が負けじと解放した闘気の凄まじさに、鳥山は目を見張った。 その闘気の量、そして圧力。ともに鳥山にそうそう劣るものではない。 鳥山「…こりゃあ、すぐには終わりそうにねえな…」 いつになく厳しい表情でつぶやく。 闘気の激しいぶつかり合いだけで、周囲が崩壊していく。 そして…… ド ン !!!!! 激しい閃光と鳴動を発生させながら、両雄は激突した――!!
カムイや稲田って、あんまりドラクエワールド使わないのな 三条や山崎が、いきなりドラクエワールドから入るのとは対称的だ まあ、キャラ的にはそれで合ってる気がするが
因縁の対決だー エロパロ時代のようだ
鳥山帰ってきたのか ところでエックスが陽一たちを回収したということは、車田と合流できそうだね
>>77 えなりチーム控え室
フォォォォ、カカッ、フォォォォ、カカッ
雄たけびと車田の書くチョークの音だけが響く部屋―
ここでは、かつて無いほどの狂気に満ち溢れていた。
全員が薄ら笑いを浮かべており、目は焦点を合わさずに遠くを見ているようである。
―ただ七人、正気を保っているのは上半身だけにユニフォームを着たあんどのみである。
車田達はあんどの挨拶―おいなりさん―を喰らってしまい、精神が軽く病んでしまっていたのである。
その様子は狂気の塊のような平野や福地ですら引いてしまうであろう。
そうこうしているうちにしているうちにチョークの音が止み、車田が怪しい笑みを浮かべながらみんなを見渡す。
車田「フフフ、こんな物だな」
そう言って車田みんなに黒板を向ける
FW あんど あんど あんど あんど あんど あんど あんど
MF 車田
DF 岸本 X仮面
GK 富沢
X仮面「なるほど…おいなりさんで相手チームを壊滅させる訳か、いい陣形だなァハハハハ!」
岸本「俺も賛成だ、ウフフ、奴らが死んでも穴埋めは俺ができるしな」
まともなサッカーの陣形になってすらいないのだが、突っ込もうとする者は誰もいなかった。
えなりか荒木がいたら突っ込んでくれていたかも知れないのだが…
あんど×7「フォォォォォォー!!」
狂気の元凶、あんども異論はなさそうである。
車田「じゃあ反対も無い様だしこれで決定だな…」
全員「フォォォォォォ!!!」
果たして、誰かツッコミを入れる者が表れるのか!
えなりチームは正気に戻る事ができるのか!!
やべーマジやべー 職場で吹きそうになったぁぁ
>>129 爆笑
サッカー漫画はX仮面の中の人がかいとるぞ。
本物の富沢は、或いは幸運だったのかもしれない怪奇(遠い目)
大和田帰ってこないかなぁ。ニライカナイ砲みたい。
フ ォ ォ ォ ォ ッ ! フ ォ ォ ォ ォ ォ ッ !! フ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ !!! 「なんか、入ることを全神経が拒んでるんですけど…」 えなりチーム控え室ドアの前、足がすくんだ小柄な男が一人。 途中で貸してもらった(そう思えと相方に脅された)ユニフォームに不釣合いなヘルメットには、視線を隠すアイシールドが備わっている。 無論、稲垣理一郎である。 彼は富沢ひとしと入れ替わったものの、この頭をどう説明すればバレないかを考えあぐねて控え室の前で立ち尽くしていたのだ。 「咆哮やめっ!!」 暗黒サバトの様相を呈した控え室を、ついに制する救世主が現れた! 「一度冷静になって考えてみろ!俺達はまだ布陣を整えたに過ぎない!」 その男は他のメンバーを見回し、落ち着いた頃合を見計らって、叫ぶ。 「俺達には決定的に欠けているものがある、それは…」 ゴクリ 誰とも無く、喉が鳴った。 「 必 殺 シ ュ ー ト だ !!!」 さすがX仮面だ!根本的な解決になってないぜ!!
「「そ、そうだったー!!」」 さすがあんどと車田だ!もっと致命的ななにかが欠けてるぜ!! 「サッカー漫画を描いたことがある俺の私見だが、サッカーの得点チャンスは野球よりも遥かに少ない。 この少ないチャンスを確実にモノにするには何よりも必殺シュートが必要なんだ!」 「まてよ」 ただ一人衝撃を受けなかった真の救世主、岸本が口を挟んだ。 「そういうお前はあるんだな?必殺シュートが」 「勿論ある。あまりに強力過ぎて ボソリ(自分を) 再起不能に陥れかねないヤツがな!!」 「フ…心強い味方を持ったもんだぜ」 お前もか!岸本お前もか! 「よし、そうと決まれば試合開始ギリギリまで特訓だ!」 「「「「「「フォォォォォォッ!!!」」」」」」」 車田の号令の下、一斉にあんど達が駆け出した!!勝利を掴むカギという名の控え室出口に向かって! ガチャリ 稲垣と、あんど七人は、鉢合わせした。 「あ…あのー…親切な人にヘルメット貸してもらった富沢です」 バレバレだ! 「「「「「「「必殺技の特訓に付き合ってもらうぞ!!」」」」」」」 気にしてねぇ!! 大丈夫かえなりチーム。 はたして各自必殺シュートを体得できるのか!? 波乱以上のなにかがほとばしりつつ、サッカーは直に幕を開ける…
稲垣でなく村田でない? しかし、あんど七人おれば世界滅ぼせるんでないの(笑)
(ノ∀`)アチャー ×稲垣○村田でした。 スマン。後の人お間違え無きよう。
何でこんなにはっちゃけてるんだよ、えなりチーム… かつて無いほどイイ感じだが(笑)
>21 オメガ7への援軍は空からだけではなかった。 救援駆逐艦と、最新鋭の設備を搭載したイージス艦よりなる艦隊が同海域に集結しつつあった。 しかし、これらの援軍はあくまで戦力というよりも、被救助者たちを助けるための部隊だ。 いまだ海の底を徘徊する、漫画史上最強とまで噂される戦闘原潜の牙は、依然健在。 そして、それを倒すための部隊こそが、海からの援軍の中核であった。 「こちらソナー!! スクリュー音左舷後方距離1300!! 30ノット高速接近中!!」 「SSN(攻撃型原潜)です!!」 報告を受け、かわぐちが指示を出す。 「ソナー1回だけ探信音波(ピンガー)を打ってみろ!」 ピッ―― 不可視の波紋が、海中に拡散していく。 「「「艦長!!」」」 反応は早かった。 ソナー担当の隊員たちから切迫した声があがる。 「左舷および前方・下方からも音が返ります、原潜が待機中!!」
「ゴッドハンド軍第7艦隊所属の原潜部隊と思われます!! その数、8隻!! 完全に包囲されました!!」 「原潜部隊は距離を徐々につめてきます、このままでは激突します!!」 「艦長!!」 口々に、隊員たちの動揺を孕んだ声が響く。 しかし、かわぐちはあくまで落ち着きはらった態度で、 「ソナー、もう1回探信音波を打て。どこかに開いたところがあるはずだ」 再び、ピンガーを打つと、すぐにカンカンとけたたましい反響音が返ってくる。 「艦長!! 左舷30° 深度250 針路がとれるのはそこだけです!」 「やはり…な」 顎を指でいじりながら、かわぐちが黙考する。 「左30°に舵を切れば、たちまちミンチにされる。 デッド・エンドへ追い込もうという初歩的な戦法だな。 敵はどうしても【エリア88】からこっちを切り離したい。 左30°には洋上艦が対潜ミサイルを何千発も用意して待っているはずだ」 「…艦長」 さすがに不安を隠せない様子で、隊員たちが声をかけてくる。 「……心配はない。この艦と、そして自分たちの腕を信じろ」 あくまで冷静そのものの声音には、不安の翳りすらない。 「この窮地から脱するなど、諸君の腕をもってすれば大した仕事ではない。 私の指揮を迅速にこなしてくれれば、易々とやってのけられる程度のことだ。」 完全に包囲された状況下にあって、なおもこのような大言を平然と言ってのける。 恐るべき自信であった。 「そして…漫画史上最強最大の軍事勢力よ……」 さらに、かわぐちは言う。 「この地球上に自分たちより強い力が存在することを――教えてやる!!」
こういうのとああいうのが同居できるえなりスレが大好きです
>>136 細かい事を言うようで悪いんだが、
>勝利を掴むカギという名の控え室出口に向かって!
これ、文法的には逆じゃないか?
「控え室出口という名の勝利を掴むカギに向かって!」だと思うんだが。
武器庫と書かれた武器庫かもしれんぞ←?
控え室の外に出たいのならそれで合ってる気もするけどなあ どうなんだろ
146 :
136 :04/11/12 20:48:42 ID:8Tt8v23T
文法はノリ重視なので蝶テキトーです。 意味がとれなかったらごめんなさい。 意味がとれたら「しょうがねぇなこの馬鹿」と笑ってください。
前スレ437・
>>21 ここは命が1セントの値打も失った戦場――エリア88。
炎に包まれた回廊を、荒川と伊藤が走る。
「どこに行ってしまったのかしら……内藤様」
「ちょっと目を離した隙に、どっかにいなくなっちゃってるなんて…」
片倉が押井と戦闘を開始した頃、2人は内藤を連れてひとまずの避難を試みようとしたのだが、肝心の内藤が忽然と姿を消してしまったのだ。
海上である以上、この艦の内部に必ずいるはずだが、2人の探索にも関わらず内藤は一向に見つからない。
それどころか、最後の大隊の攻撃によって炎上し続ける艦は、前へ進むことすら容易ではないのだ。
そして今、2人は完全に、炎によって道を塞がれ、進退極まっていた。
「まずいわ……前からも後ろからも炎が迫ってる」
荒川が顔をしかめ、忌々しげに歯噛みする。
瞬間、2人の周囲ににわかに突風が吹き始めた。
「…これは?」
「『嵐を呼ぶ者(テンペスタリウス)』……雨を呼ぶ能力よ。これで消火するわ」
伊藤が天を仰ぐように、両腕を広げた。
すると、たちまちのうちに大粒の雨が降り始め、ゆっくりと業火が鎮まっていく。
「――便利な能力だこと」
「行くわよ」
軽口をかわして、炎が収まりつつある廊下を、2人は再び駆け出そうとする。
しかし、そのとき―――
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
本物の雨を突き破って、弾丸の雨が横殴りに2人を急襲した。
「――っ!!」 咄嗟に両手を打ち合わせ、荒川が即席のバリケードを錬成する。 2人が素早く壁の裏に隠れると、MG34から吐き出される百億の殺意が、次々と壁をえぐっていく。 「…………きりがないッ!! 数が多すぎるわッ!」 「貴女の技で何とかできないの? ほら、あの『焔』を錬成する技とか……」 「ダメね…発火布で出来た手袋が、さっきの雨で濡れてしまってる……これじゃ火は出せない」 「……なんなの、それ? それじゃ、雨が降ってる日は無能ってこと!?」 「無能っていうな!!」 銃と釘で細々と応戦しながら、丁々発止の問答を繰り広げる2人。 一時休戦中とはいえ、やはりこの2人は犬猿の仲のようである。 そうこうしてる間に、数名の特機隊がこちらに回りこんできた。 これだけの数の敵に接近され、包囲されては一巻の終わりだ。 機関銃の銃口が2人をポイントした瞬間――― 「お姉様方、 ア タ マ 下 げ て く だ さ い ま し 」 ――――――― ヒ ュ カ カ カ ッ 2人が倒れこむように身を伏せるのと、その背後から2人の顔面スレスレで飛来した、 無数の投げナイフが、こちらに銃口を向けていた特機隊員の顔面に突きたったのは、ほぼ同一のタイミングだった。 「――誰!?」 突然の救援者(?)に誰何の声を投げかけたときには、既にその当人は、残る特機隊の矢面に立っていた。 しかし、見覚えのあるメイド服が、フリルスカートを翻らせたのを見て、2人はそれが誰であるかを即座に理解した。 ――忌わしい悪夢の記憶と共に
可憐なメイド服を身に纏ったその闖入者は、“たくましい口髭”をたくわえた唇を暗い愉悦に歪め、 「“曽我の助六”が遊びに来ましたわよ。 さァて…… “鬚の意休”はどちらにおいでで?」 そう言い放ちながら、右手に特大の機関銃を、左手に巨大な戦斧を構える。 『――!!』 その驚きは闖入者が現れた事実そのものに起因するものか、それとも闖入者の容姿によるものか―― 特機隊の誰もが引き金に指をかけるよりも早く、髭メイド――広江・ザ・ブラックラグーンは動いていた。 メイド服を翻しながら旋回し、死の旋風と化す。 「牢記せよ 自分が何者であるかを。 GUNG-HO-GUNSであると同時に…我々こそ ミカエルの眼である」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!! ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!! “ケサンの攻防戦(※ベトナム戦争時もっとも激しいといわれた戦闘)がピクニックに見える” ――とまで評された、恐るべき広江の戦闘力。 特機隊は、一発の銃弾すら放てぬまま、蜂の巣にされ、又は斧の一撃で五体をバラバラにされた。 『何だッ、このモンスターはッ!? 退けッ、退けェッ!!』 半数以上を瞬時にして屠られた特機隊は、慌てて退却を試みる。 そんな彼らを、別の方向からの弾雨が、ミンチにした。
「――新手!?」 あらぬ方向からの一斉射撃に、荒川が身構える。 しかし―― 「待て、撃つなッ!」 聞き覚えのある声に、荒川と伊藤が警戒を解いた。 特機隊の退路に現れ、彼らを皆殺しにした一群の中心に、見覚えのあるパイロットスーツ姿が立っていた。 「新谷さんっ!!」 男の名を呼びながら、荒川と伊藤が新谷の方へ駆け寄る。 「無事だったのね、指令部の状況はどうなの?」 「ああ、援軍が来てくれたおかげで、状況はいくらか好転した。 だが、この艦はもうもたない。だから今は、一人でも多くの乗員を救助して、ここを脱出しなけりゃいけない」 新谷がそう言うと、荒川と伊藤が苦い顔をする。 「実は、内藤様が行方不明なんです」 「それに、片倉君も私達を逃がすために、今は敵の指揮官の足止めをしているわ。急がないと手遅れになるかもしれないわ」 「――そうか、ならなおさら急がなきゃならんな」 手にしたイングラム・サブマシンガンのマガジンを取り替えながら、新谷が渋面をつくる。 これからの方針としては、救援に来たオメガと合流しつつ、片倉の援護に向かうのが最優先だろう。 まだまだ苦難は続きそうだが、仲間と合流できた事で、一同の間にわずかばかりの安心感が産まれていた。 ――ゆえに、 ――悪魔の舌舐めずりに気付くのが、一瞬遅れた。
ガラン…… 『――!!』 重い物音が耳を打った瞬間、その方向を見て一同は驚嘆した。 そこには、銃弾が尽きた機関銃と、血で滑って使い物にならなくなった戦斧が転がっ―――― ――――――――――――――――― ド ン !! 「あ」 次に、全員がメイド服の姿を認識したのは、新谷率いるエリア88の乗り組み員たちのド真ん中であった。 ジャカッ ジャカッ 「………!?」 広江愛用の“ソードカトラス”――ベレッタの二丁拳銃が、乗員達の額を照準したときも、まだ彼らは自分達の身に何が起こったのか理解できなかった。 ―――そして最後まで永遠に理解することはなかった。 ドンドンドンドンンドンドンドンドンドンンドンドンドンドンドンンドンドンドンドンドンンドンドンドンドンドンンドン!!!! ベレッタの二つの銃口が火を噴き、辺りは一瞬にして血風呂へと変貌をとげた。
「――!! やめろ貴様ッ!!」 突然の惨劇に、虚をつかれた格好の新谷が、一瞬遅れてイングラムの銃口を広江のこめかみに突きつけた。 「あら随分とごゆっくりですわね――鏖殺は一瞬にして完了ですわ」 瞬くほどの刹那に、無慈悲に理不尽に虐殺された、新谷の部下たち。 その光景の意味が、荒川にも、伊藤にも、新谷にも信じられない。 一体、今何が起こったのか。 「広江さんッ、どういうつもりですこれはッッ!!」 我に帰った伊藤が、広江を糾弾する。 「何って? よろしくやってるだけですわ、ディッキー。血風呂(ブラッドバス)にするのはいつものとおりでしょう?」 まったく悪びれぬ広江の態度に、荒川も伊藤も怒り心頭に達する。 「何を考えてるの? 彼らは仲間なのよッ!? 貴方は内藤を助けに来たんじゃないの? それがどうして――!」 人死にを極力嫌う荒川が、広江を射殺さんばかりに睨む。 「…………ふ、ふ、ふふ……あははははっ」 しかし、広江は荒川たちを嘲笑う―― 「あはははははははっ。 “どうして”? “どうして”ですって? そんなこと? あははっ、おっかしい!!」 新谷に銃口を突きつけられながら、広江が大爆笑する。 「“そうしたい”からですわ。 他にはなあんにもないの、“そうしたい”から“そうするの”」 狂気そのものの笑みを浮かべる広江に、荒川と伊藤は戦慄を隠せない。 「……それに勘違いしないでほしいですわ。 今、逝けた方々は、おそらく幸運です 死より辛い生の時間……それが今から始まるのですから」
「……言いたいことだけはそれだけか、豚野郎」 憤激に顔を歪めていた新谷が、押し殺した声を出す。 「死ね」 広江のこめかめに銃口をつきつけたまま、新谷が引き金を絞った―― カチカチッ…! 「――!?」 弾をこめなおしたばかりのはずのイングラムからは、しかし一発の弾丸も発射されなかった。 一瞬の驚異をついて、本来なら石榴になっているはずの髭面を醜悪な笑顔を刻みながらブレる。 ドドドドンッ……!! 反撃に至近距離で放たれた銃弾を、新谷が咄嗟の反射神経によって奇跡的に回避し、床を転がりながら距離をとった。 追撃をかけようとする広江だが、そこへ荒川の錬成した槍の一撃が襲いかかり、広江はしぶしぶ回避。 飛び退りながら、牽制の銃弾を荒川に撃つ。 それを錬成した壁によって防ぐ荒川。 他の2人と違い、一応仲間であるはずの広江を攻撃するのを一瞬ためらった伊藤は、動けずにいた。 四人の距離が離れる。 「私に“普通の銃は効きませんわよ”?」 広江の特殊能力、“すべての銃を下僕とする力”。 原理不明の能力に驚愕する新谷が、歯軋りしながら広江に言う。 「てめえ……いったい、何者なんだ」 本人にとっては婉然と―― 他人にとっては醜悪に―― 「私が何者ですって……決まってますわ、私は――」 微笑しながら、広江は言った。 「公共の敵(パブリックエネミー)ですわ」
パブリックエネミー広江イイ!! 特殊能力の少ない新谷にはちときつい相手だが…荒川達が頼りか。 どうでもいいがここまでやるのに“曽我の助六”はねえだろ広江w
(((( ;゚∀゚))) うははははは面白い
遅レスだが>136の「フ…心強い味方を持ったもんだぜ」に9秒ほど笑ったw
メインのトーナメントが抱腹絶倒のギャグ展開で、 裏メインのヤマト編の方が殺伐としたシリアス展開というのも、ある意味このスレらしいw しかし、広江の狂気っぷりを久々に拝んだ気がする 今でこそ狂気系のキャラは沢山出てきたが、そいつらと比べても広江の初期のエゲツなさはかなり衝撃的だった
狂気といえばヤマケンはどうなってんだ?
エリ8甲板上で福地と激突 前スレ>521->524
苛烈な仕置きによってボロ雑巾と化したにわのを引きずりながら、自チーム控え室へと帰ろうとしていた岡村。 そのとき、静かなはずの大会関係者用通路の空気が、突如として奇妙にざわめきはじめた。 ざわ・・・・ ざわ・・・・ 独特のひりつくような空気をまとって現れたのは、口元に冷笑を張りつかせた、白髪頭に赤いシャツを着た男だ。 「あ、福本センセーだ、こんにちはダス」 さっきまで常人なら植物状態ものの重傷を負っていたのに、いきなりピンピンとして起き上がり、挨拶をかますにわの。 「ククク・・・・相変わらずだな・・・・」 いつものどこか人を喰ったような、見透かしたような笑いを漏らす福本に、岡村は渋面を隠さない。 岡村は基本的に、この手のタイプが好きではないのだ。 そんな岡村の表情に気づいた福本は、しげしげと彼を値踏みするように眺め、そしてまた押し殺した笑みをこぼす。 「ククク・・・・能條には随分な目に合わされたらしいな・・・・」 「な!?」 因縁の名前を耳にし、岡村の表情が一層険しくなる。 「ククク・・・・そう睨むなよ坊や・・・・俺もあいつとは因縁があるクチでね・・・・」 何か言いたげな岡村だったが、福本が次に発した質問に、それはさえぎられる。 「そんなことはどうでもいい・・・・ところで川原正敏は何処だい・・・・?」 これまでとはうってかわって、冷笑の消えた凄みのある表情が浮かびあがっていた。 「さ・・・さあ・・・? たぶんどっかで昼寝でもしてるんじゃ・・・・?」 かもし出す得体の知れない迫力に気圧されながらも、にわのが答える。 すると、福本がさらに渋い顔になった。そんな福本の変化に面くらいながらも、にわのが恐る恐る尋ねる。 「で、でも、そんなこと聞いてどうしたモン・・・・?」 次の瞬間、それに対する福本の答えに、にわの達はそろって青ざめた。 「急いで捜せ、川原が危ない」
その頃――― そこは、地下闘技場付近にある、人口公園。 一年中、四季折々の草花が咲き乱れ、小鳥や小動物が遊ぶ、矢吹艦でも人気のスポットである。 これと同じような場所が、矢吹艦にはいたるところにある。 ここも、そのうちのひとつだ。 だが、間もなくすぐ側の地下闘技場で始まるトーナメントのため、今は人っ子ひとりいない。 ――いや、ひとりいた。 その男は、公園の中で一番大きな桜の樹を枕に、午睡を貪っていた。 自然のなかで眠っている様が不思議なほどに絵になる男であった。 その存在感が、完全に自然の一部に溶け込み、同化している。 もし、そこに他の者がいたとしても、その男の存在に気づかずに通り過ぎてしまうであろうほどであった。 川原正敏である。 刺客に狙われる身でありながら、実に大胆不敵といってよかった。 一見、呆れるほどに隙だらけに見えるのが、逆に恐ろしい。 そこにあるのは、奇襲など歯牙にもかけぬという自信か。 それとも、たんに何も考えていないのか。 その心中たるや、およそ常人の神経では、うかがいしれない。 普段、人間の気配に臆病な野鳥までもが、川原の周囲に平然と集っていた。 新たな戦いの前の、のどかなひとときであった。 ――――そのとき 『チッチチチチッッ!!!』 それまで大人しかった小鳥たちが、突然、一斉にその場から大挙して飛び立った。 さらに、今まで鮮やかに咲き誇っていたはずの草花までもが、たちどころにその色を失い、見る間に枯れ落ちていく。 ――――空気が・・・いや、世界が変わった
うららかな風は途絶え、闘気の烈風が吹き荒んだ。 匂いたつようだった草花の香りは失われ、あたりに獣臭がたちこめる。 嵐のごとき鬼気を叩きつけられ、川原が目を覚まし、起き上がる。 頭のわきに立てかけてあったニホントウを手に取り、川原が殺気の発生源に視線をやる。 猛獣のような男が――――――そこにいた!! これまでの対戦相手とは、質を全く異にする威圧感。 陽炎のような妖気を放ちながら、鬼のごとき笑みを浮かべ、男は立っていた。 あまりにも膨大な質量の闘気の渦に、鬼の長髪が独立した生き物のように蠢き、周囲の空間までもが抽象画のようにドロリと歪んでいるように見える。 「悪いな、お疲れのところ」 少しも悪びれない男の態度に、川原は片目をつぶって苦笑する。 「せっかくいい気持ちで眠ってたんだがなあ・・・」 対峙する二人の間に、火薬の匂いが立ち込め始めた。 千年不敗の修羅――――川原正敏 王者最強の生物――――板垣恵介 互いを滅ぼしあう運命にある二つの凶星が、初の邂逅をとげた瞬間であった。 ←TO BE CONTINUED
つ、ついに始まってしまった……!
うひょおお━━━Σ(゚Д゚≡(゚D゚≡(゚D゚≡゚D゚)≡;゚∀゚)━━━━う!!!!
タ、タン。 刹那のラグをはさみながら二発の銃声が響く。 新谷ではない、伊藤ではない、荒川ではない。 広江の狂気に三人が呆気に取られたその隙に銃弾が割り込んだ。 そして、それに広江が応じた。割り込んだ銃声と応じた銃声。ラグの正体はまさにそれ。 「……」 「確か……"お前の銃弾は殺意の方向に飛ぶ"ンだったか?」 硝煙の向こうから男の声が滑り出す。声の、銃弾の主は生きている。 生きているなら、"殺意を込めた銃弾"ではなかった。そういう事になる。そう言う力だ。 「そして全ての銃は私の下僕……知っているのに銃を向けますの?ワタシに?」 殺意ない銃弾を放つ男。まるで意味はない。そう言いたげに広江が囁く。 ……チッチッチ…… 硝煙の向こうに霞むシルエットが、立てた指を振ったのが見えた。 口元の笑みすら、見えた気がしたのは男の口調のせいか。 「無粋なことは言うもんじゃあねェぜ、広江の」 血と硝煙のただ中にあってなお軽やかなその口調の。 「早ェの遅ェの上手ェの下手の……そんな益体もねェことに命張るのが拳銃使いってェもんだろう?」 「……何のツモリですの?」 嘯く男の言葉に、声の主の正体を悟ったらしい広江が問う。 そのとき、風が煙を吹き散らし、男の姿を露わにした。 黒い男。ヨレたスーツにロングコートはおろか、中折帽すら黒い。俯き気味なその相貌は帽子のつばに隠れ伺うことはできない。 銃弾を放ったはずだというのに両手はコートのポケットに隠れている。 あるいはその奥で撃鉄は既に起こされているのかもしれない。 ―――ただ唯一。 何の冗談か。その帽子の上に、猫耳が一対伸びていた。 「何のツモリですの?―――"黒猫"伊藤明弘!」 苛立たしげに重ねる広江に、伊藤明弘と呼ばれた男は顔を起こした。 「……ヨロシクやりにきたのさ」 "伊藤"真美の問いに広江が返した言葉。それをもう一人の"伊藤"が投げてくる。 その皮肉に、広江はただ声も出さずに嘲った。
矢吹艦では格闘系2大巨頭が遂に顔合わせ、 エリ8ではガンマンが続々集結、 なんとも物凄い状況だ ところで、どうでもいいが黒猫っていうと矢吹を連想しちまうなw
(
>>136 )
―――サッカー漫画に必要なものは必殺シュートだ!!
古来よりこの手の結論に達し、挑戦しては消えていった多くの漫画家たち。
色々な意味で窮地に追い込まれたえなりチームは今、禁断の扉を開けるッ!!
「えーと、必殺シュート落ちてませんか・・・?必殺シュートぉ〜・・・」
「声が小さいぞ富沢!そんな事では我がチームの最終防壁は任せられねえぜ!」
「「フォォォォ!!×7」」
「そんな事言われてもぉ・・・ひーん稲垣〜どうすんのこれ」
血迷ったえなりイレブンが必殺シュートのヒントを捜して闘技場をうろついている。
「おい、いいものが売っていたぞ。矢吹の名で領収書切って500円で買ってきた」
売店のひとつ・スポーツ用品店(キユが買った記念サッカーボールなどがある)には、
スポーツ系漫画家が副業で出したハウツーものの本やDVDがいくつか取り揃えてある。
その中の一つを買ってきた岸本。なんだなんだと駆け寄るイレブン。
黄金色であからさまに怪しげなパッケージのDVDには、今年夏製作のシールと、
『必殺シュートのつくりかた(製作:ミスターM)』というタイトルが燦然と輝いていた。
「「こ、こんなものがあるのかっ!!凄い時代だ!!」」
さっそく全員でD控え室に戻り、備え付けのデッキにDVD(放映時間:10分)を入れ再生する。
ウィーン、ガシャ。
ジャジャーン♪(オープニング)
――黒いマントに身を包んだ謎の男の派手なアクションシーンと共に、
CGで作成したと思しき古今東西の必殺シュートが、
ガンガンのロックビートに乗せて画面中を席巻する。
そして黒マントの男が、今度は実写の競技場でサッカーボールをドリブルし、
センターサークル中央で止まりボールを思い切り踏んだ瞬間!!
『スパァァーーーーーーーーーーーーーーク!!』
“ピカァァァ――――――――――――――――!!!!”
叫び声と共に、強烈な虹色に光ったボールと男の周囲の芝が、 円状だが不可視の圧力に押されてぶわりとめくれ上がり、 同時に直径3メートルほどの大地が光と共にボコっと円錐状に沈む! 荒れ狂うグラウンド、風圧で吹っ飛ぶ周囲の選手、「※これはCGではありません」のテロップ! 男が光るボールを蹴り、それは超高速で回転し槍状となって一直線にゴールへ進む! ボールの回転に巻き込まれて削られた真下の土と芝は、 地面に破壊の爪痕を残しながら粉々に砕かれ竜巻のような煙となり、 彗星のようにボールに尾を引いて周囲の視界を奪う! そしてキーパーのどてっぱらにぶち当たったボールはキーパーごとゴールに突っ込み、 一瞬にして破れたネットを突き抜け観客席の壁に激突!! 50座席ほどが大音響と共に爆発、消滅した!! 「こ・・・これぞ必殺シュート!!何者だ、このミスターMなる漫画家は!?」 徒手空拳で敵を銀河に飛ばせる車田、畑違いの球技世界の奥深さに感動。 オープニングが終わり、黒マントとフードで全身を隠したMが、 南国のサッカーグラウンドでヤシの木をバックにビデオ内容の解説を始める。 『漫画家のミスターMだモン! お金がないので技術切り売りして身銭を稼いでまーす。 このDVDは“サルでも撃てる必殺シュート”の入門編だモン。ではレッツらゴー!!』 2秒で正体が判明したところでミスターMのトークは続く。 「この暑そうな中で全身黒装束か・・・尋常ではないな」やはり気づかない車田。 Mによると今のシュートは≪バズーカ・チャンネル≫という、 トランス脳から未知のパワーを引き出す種類のシュートだそうな。 『さて、必殺シュートにはいろんな種類があるモン。 基本は自分の肉体を駆使して放つわけですが、特殊な蹴り方や特殊なポーズ、 ルールの隙をついたチームワークに、実はルール違反のちゃっかり系など、 まあピンキリだス。そもそも人間技じゃないし。必殺だし。 それでも会得したいヤバめなキミは今すぐ・・・ 三 兆 円 も っ て こ い (ニヤリ)』
車田が必殺ブローのギャラクティカ・マグナムでデッキを破壊しかけたが、 『・・・というぐらいの覚悟がなきゃ教えないモーン!ホントに大変なんだから』 すんでのところで拳が止まり事なきを得る。 ミスターM、ちょっといじわる。 『講義続けますー。必殺シュートの大家と言えば“餓狼”高橋陽一先生だモン。 今回陽一せんせーの許可は取ってないので解析はできませんが、 あれは身体能力を極限まで駆使してぶっ放すパワー系だと思われますモン。 テレビの向こうのみんなも、ちっちゃい頃よくモノマネしませんでした? ・・・まあ今回はボク式のメンタル系でガマンしやがるモン。500円だし。 今から暗示をかけるから、しっかり目をつむって、 ボクのゆー事をしっかり聞いててくださいね〜〜っと。 ≪イメージ・トレーニングで覚醒モード≫開始ぃ!』 Mの指示どおり素直に目を閉じるパイプ椅子に座るえなりイレブン。 ウ〜ンウ〜ンとかピロリーとかラヴィとかの変な懐かしトリップ音楽と共に、 聞こえてくるのはミスターの眠くなるようなささやき声。 ♪ イメージ ♪ イメージ ♪ 必殺シュートの いめーじ ♪ イレブンの意識の中で、脳みそに手足の生えた生物が両手をふりふり踊っている。 その脳が踊り疲れて力尽き、片膝立てて地に崩れ落ちる。そして息の荒い脳が一言。 『・・・こんなんで必殺シュートが撃てるバカは普通、い め ー じ ゃん?』 チーン (仏壇の鐘が鳴る音) 『なおこのDVDは証拠隠滅(?)のため終了後爆発するモン!実戦編は別売り3800円です! では運良く覚醒できたらご喝采〜。シーユーアゲインだモン!バッハハーイ』 別れの挨拶と共に無慈悲に停止するDVDデッキ。次の瞬間、D控え室は爆光に包まれた! ・・・セコイ商売に踊らされたイレブンは、再び必殺シュートを捜しに旅に出るのであった。ダメじゃん。
使徒の伊藤さんはそういえば使徒時代以外の描写がなかったなあ。 結構楽しみかもしれない。しかしとうとう巡り合ってしまったんだよね例の人たち・・・ドキドキ
ナニやってるんだよ副将ぉ〜〜〜!! 画面にツバ噴出しちゃったじゃないかwwww
>65 「半端な技しか使えぬリアル格闘小説家ごときが、 民明書房の数々の奥義を極めたこのわしを越えられるハズがなかろうて!!」 宮下あきらが自信満々に言い放つ───! 対する夢枕獏は、それを微動だにすることなく聞き入りながらも、 今のところは互いの実力が拮抗しているかの様相を見せるこの死闘にスリルを味わい、興奮を覚えていた。 (ヘヘ……こういう実戦(ケンカ)に武の本質があるってもんよ。 素手 噛み付き 首絞め こん棒 刃物 ビール瓶……こんなもんがいつ飛び出るかワカらねェ実戦にこそなァ) 今相手にしてる男の場合、猛毒に硫酸・果ては奇怪な小動物まで飛び出しかねないのだが、 そのいずれにせよ、堂々と受けて立つ構えであった。 「──とはいえ、相手が“闘神”夢枕とあっては油断は禁物! ならばわしも鞏家兜指愧破の奥義を尽くして戦うまで!!」 そう言うと宮下は両手の親指と人差し指、小指の3本の指のみを立たせた異様な拳の構えを取った。 「へェ〜、レレレのおじさんの構えとはこいつはおったまげたぜ」 軽口を叩きながら興味津々に見つめる夢枕だが、 その表情とは裏腹に体の方は構えを一切緩めることはなく、一分の隙も見せてはいない───。
互いに身動きひとつ取れぬまま、ひたすら時が過ぎ去ってゆく───。 第三者から見たとすれば、それは一時間は経過したかと錯覚するほどの、長い、長い沈黙の時であった。 ふいに、風が吹いた──。 ───矢吹艦の内部に風が吹くのかどうかはとりあえず置いておくとしよう─── その風が木の葉を巻き上げ、夢枕の視線を遮った。 次の瞬間─── ク ワ ッ 宮下が眼を見開かせると猛然と右の指拳を突いてきた! 体をひねって避ける夢枕。 すぐさま左で2撃目を放つ! また同じように避ける。 今度は右の3撃目! やはり同じように避ける。 外れた指拳が夢枕の背にあった、かつてはビルの一部であったコンクリートの瓦礫に見事な風穴を開ける。 「この世にわしの指で貫けぬものは存在せぬ」 宮下が静かに言い放った。 「あながち、嘘ではねえようだな」 夢枕も素直にその威力を認めたようだ。 「逃げてばかりでは勝負にならぬぞ?」 「な〜に、お前ェさんの指拳があんまり珍しいもんでよ。リズムが取りづらくて様子見してただけさ」
「何っ! では見せてもらうとするか!! 兜 指 愧 破 両 段 殺 !!」 そう言うと宮下は両方の指拳を一気に夢枕の体に目がけ突き出してきた! ガ ッ 「捕ったぜ」 夢枕が、にっ、と太い唇で笑った。 ぞくりと、宮下の肉の中心を、戦慄が疾り抜けた。 夢枕の握っているものに気が付いたからである。 宮下の放った両手の指拳の内、小指2本が、夢枕に両手でたやすく握られていたのだ。 そして次の瞬間、ふいに、その両小指の感覚が消失していた。 音を、聴いた。 ペ キ ッ ポ キ ッ 乾いた小枝を折るような音が2つ。 小さいけれども、それは、はっきりと宮下の耳を貫いた。 指の骨の折れる音であった。 いったん遠のいた感覚が、痛みと共に戻ってきた。 「関節技ってのは奥が深くてよォ。 いくらあんたの指が岩すらブチ抜くほど鍛えられていても 人間(ヒト)である限り間接は否応無く存在するわな。 そこを攻めれば壊せねえ道理はねえってワケだ。」 夢枕の会得している格闘技のひとつ、竹宮流柔術を応用した、見事な絶技であった───。
それを聞いていた宮下の顔にたちまち太い血管が浮かび上がり、憤怒の表情と化した。 そして、折れ曲がり紫色に腫れ上がった小指をそれぞれ逆の手で握り締め、無理矢理拳の中へ押し込んだ。 さらに指がドス黒くなり、見ている側から見れば痛々しいことこの上ないが、 宮下の顔はその痛みとはまた別の理由によって激しい怒りを引き起こされたようであった。 「ぬぬうっ!! よりによってこのわしに『謝砕節』を仕掛けようとは……!!」 謝砕節 中国宋代(12世紀) 拳闘士の決闘などで勝利の証に勝者が敗者の両手の指を第一関節から全て折り (食事だけはできるように右手の親指と人差し指だけは残したという) 拳を一生使えなくして封じたという。 肉体的苦痛もさることながら その精神的屈辱感は筆舌に尽くしがたいものがあったろう。 民明書房刊 『亜細亜刑史大系』より 「この屈辱、死をもって償ってもらうしかないようじゃな!!」 「また妙な勘違いしてるぜ、このオッさんは」 ズレた認識を示す宮下に戸惑いを覚えながらも、確かな手応えに体を身震いさせる夢枕であった───。
相変わらず博識だなあ塾長・・・じゃない宮下あきら。どっちもがんばれ。 ところで地下会場関係の建物の配置は、抽選会があったコロシアム型闘技場のすぐ隣に、 矢吹様専用サッカーグラウンド(>90>96)があって、BとDは基本的にそっちにいて、 グラウンドを見渡せる場所(>94)にある、闘技場内のジム兼控え室にAとCがいて、 近くのCブロック空港(上層部にある)と闘技場は専用通路で繋がっていて、 オーガと修羅が顔合わせ中の公園は闘技場のすぐ傍にある・・・という感じでOK?
む、>94ではなく>81か。 たぶんコロシアムの内側と外側が大窓になっているのだろうと推測
「伊藤……さん……」 目まぐるしい状況の変化に戸惑いつつ、"伊藤"真美は我知らず驚きを漏らした。 その奇妙な呟きに眉を顰めた荒川は、ふとあることに思い至った。 かつてアワーズにおいてもう一人、"伊藤"と言う名の漫画家がいたことを。 いやむしろ「アワーズの伊藤」と言うならまず彼の名が先に来る。アワーズを創刊から支えた男の一人だ。 ―――いわく、銃器漫画家でその名を知らぬ者はいない。 ―――いわく、それに敵対した組織を尽く崩壊に導く不吉の星。 数とて知れぬ銃器漫画家の世界にあってもその二つ名を持つ者はただ一人。 「じゃああれが……"紅の流れ星"」 「そう、それだ」 不意に自分に声が掛けられたことに荒川は狼狽した。 てっきり広江だけに意識を向けていると思った伊藤明弘だがどうやらそうではなかったらしい。 意識の向きを―――気配を掴ませない、その男の所作に舌を巻く。 「"黒猫"てェ呼び名は好きじゃあねェんだ。俺にはそっちが似合いの名さ」 「変わって……ないのですね……あなたは」 変わってない、この男は。最後に会ったあのときから変わらずにいるのだ。 伊藤真美はうめくように言葉を放ち、そのときのことを思い返していた。 薄暗がりの部屋。 席は三つ。座る男も三人。 その男のうちの一人―――内藤泰弘の背後に伊藤真美は控えていた。 漫画界のこれからのため、そして自分たちがどうあるべきかを話し合うための席だった。 発起人は主―――内藤泰弘。GUNG-HO-GUNGSを擁するアワーズの最強力の一つ。 不意に、席の一つに座していた白スーツの男が立ち上がった。 口元には笑み。何が可笑しいのか―――あるいは何もかもが男にとっては嘲笑の対象でしかないのかもしれない。 そう思わせる男だった。 「好きにやらせてもらう。ああ、好きにやらせてもらうさ」 「待て、平野」 内藤の静止の言葉を振り切り、男―――平野耕太は立ち去ろうとしていた。
仕方ないと思えた。あの男は、主と共には戦えない。そんな男に思えた。 漫画界を救う。そのために憎まれ役になってでも戦おうとする主とは根本的に違った。 漫画界のために一度全てを壊すと断じた内藤。再生のための手段でしかない破壊。 だが平野にはその手段こそが何よりも―――自身の生命すらよりも―――貴重で重要なことなのだろう。 「戦が始まるぞ♪大きな戦だ♪とても楽しい♪とてもとても愉しい♪」 去り際にそんなことを謳う平野の姿に、伊藤はその確信を深めていた。 平野が去り、場に沈黙が降りる。 「……平野が去ったんなら会議はこれで幕だと思うが、どうか?」 そこにもう一人の男の声が響いた。伊藤明弘である。 「お前も、手を貸してはくれないのか?お前も敵になるのか?」 ならばいずれ倒さなくてはならない。内藤の言外にその意思は知れた。 「お前さん……ちょっと思いつめすぎだな」 肩の力を抜けとでも言わんばかりに伊藤明弘は苦笑した。 「お前さんのそういうところは好きだがね。平野や俺にはそういうのは性に合わんよ。一致団結協力を謳ってみても足を引き合い、潰しあう羽目になるのがオチだろう」 「……」 「敵だ、味方だ、と決め付けることはない。敵対することもあれば、風が向けば手を貸すことだってあると言っているんだよ。……だから……銃把から手を離しちゃくれねェか?」 (……え?) 伊藤真美が視線を内藤に向けると、卓の下でホルスターに手を伸ばしていたことに初めて気付いた。 (……見えたの?傍にいたわたしにさえ気取れなかった内藤様の動きが?) それは伊藤明弘からはどうしたところで見えるはずのない位置であったが。 ギシリ、と内藤の座る椅子が音を立てる。深く椅子に座りなおしたその姿に、緊張を解いたと感じたのか、伊藤明弘もまた席から立ち上がった。 「……これから、どうするんだ?」 内藤が立ち去る伊藤明弘の背に問いかける。その言葉から気負いは消えていた。 まるで旅立つ友人の身を案ずるような内藤の口調―――恐らくそれこそが内藤泰弘本来のものであろう口調を、しかし伊藤真美は久しぶりに聞いた気がした。 「さて?……コイツに聞いてくれ」 いつの間にか懐から取り出したモーゼルを示し、そのまま振り返ることもなく伊藤明弘は去った。
180 :
変貌 :04/11/16 03:17:43 ID:wW8Jij5y
>>21 アルカディア号による容赦ない艦砲射撃。
その猛攻の前に、“Neo-Z”は危機的状況に陥った。
反重力場を形成するT鉱ガスを噴出することによる、鉄壁の防御性能を持つ“Neo-Z”だが、
ビーム兵器にも匹敵するアルカディアのエネルギーブレットを前にしては、少々分が悪いと言わざるを得ない。
さすがに、前大戦を生き残った伝説の艦のひとつ。
その伝説の前に、“Neo-Z”は苦戦を強いられていた。
ド ド ド ド ド ッ ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!!!
「うわっ、うわ、ひゃあああああ!!」
“Neo-Z”甲板上にて、“博士”こと七三太郎の情けない悲鳴がこだまする。
火を噴く甲板上をほうほうのていで、這いつくばりながら、無謀にも敵の矢面に身を晒している、盟主のもとに馳せ参じる。
「中にッ、中にお入りをッ、艦も退避させなければッ
この艦の特殊軽金装甲とて、この攻撃では長く保ちません!!」
それはまさしく正論なのだが、当の肥満ぎみの盟主は、そんな進言など何処ふく風だ。
「少佐!! 少……ッ!!」
焦れて叫びかけ、そこで七三は喉から出かけた言葉を飲み込んだ。
激烈な砲火のなか、平野は恐怖を微塵も見せず、むしろ歓喜に満ち満ちて、両手でもって空に何かを描きだしている。
「指揮を…しておられる!! 戦争音楽…!! 我々は楽器だ!! 音色を上げて咆えて這いずる一個の楽器だ!!」
歓喜と狂気の大戦争に、平野は絶好調!!
だが……そのとき、平野の背後で、一つの敵影が蠢いた。
181 :
変貌 :04/11/16 03:18:25 ID:wW8Jij5y
「敵総帥ッ!! 視認ッ!! 飛行船上です!!」 “Neo-Z”に接近した、オメガ所属戦闘ヘリの一機が、平野の姿を肉眼で捉えた。 「何をやっていやがるんだ…!? 狂人め!!」 「狂った戦争の亡霊め…!!」 「死ッ…ッ…ねッ!!」 嘲りを吐き捨てながら、ヘリの機銃の照準が平野に合わさり、 「しょッ、少佐殿!!」 七三が悲痛に叫ぶなか、まさにそれが放たれんとした瞬間―――― ド ギ ャ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ッ ッ ッ !!!! 一瞬だった。 戦闘ヘリは刹那にして数十発の弾丸に四方八方から貫かれ、機体もろとも搭乗者をミンチへと変えた。 瞬きするほどの間に鉄クズと化し、爆発炎上した機体を、七三が呆然と見上げている。 カ ッ 七三が我に帰ったのは、その背後で足音を聞いたからだ。 「あ……ッ!! ……ッああッ」 足音の主――たった今、戦闘ヘリを撃墜した者の姿を見て、七三は戦慄する。 そう、今の恐るべき所業は、たった一人の死神によって為されたのだ。 その死神の仕事を、平野は讃美する。 「いい仕事だ、ガンマン」
182 :
変貌 :04/11/16 03:19:33 ID:wW8Jij5y
奇怪な男だった。 ほぼ全身が、黒で覆われている。 上着も、ズボンも、靴も、帽子も。 大柄な身体は影のように静かにたたずみ、その肌は死人のように青ざめている。 左の目には十字架が埋め込まれており、開いている右目も、光を映さない虚(うろ)でしかない。 闘気も、殺気も、生気すら、その男にはなかった。 唯一、その男の中で動きがあるのは、両手に持った奇妙な大型拳銃から立ちのぼるガンスモークのみだ。 そう、この男は、生きてながらにして死んでいるのだ。 いや、死にながらにして生きていると言うべきか。 この男の、“生前”の姿を知る者が彼を見れば、そのあまりに残酷な変貌ぶりに驚愕し、嘆き、絶望するに相違ない。 「10年前にもう決めていた。死神には髑髏の印がふさわしい」 HAHAHAHAHA……!! 平野の哄笑が、戦場音楽にさらなる彩りを添える。 地獄から甦った、“生ける死者” 死者の名は――― “ 黒 田 ・ ザ ・ ガ ン グ レ イ ブ ”
ネクロライズキターーーーーーー!!
ダレダ!キサマハダレダ!
あいつだ!あいつの相棒だ! 一時期合体してたりメカになったり大変だった超初期キャラだ!!
(ノ∀T) 成長したなぁ…
なるほど、ヤマト編はガンマン同士の熾烈な銃撃戦がメインなのだな
188 :
鬼と修羅 :04/11/17 18:06:30 ID:BoLXrukm
>162 「講談社に最強の男がいると聞いた。」 ゆっくりと、板垣が動きはじめていた。 左へ動きながら、川原との間合をつめてくる。 「曰く、修羅。 曰く、海王。 曰く、千年不敗。 曰く、全格闘漫画無差別級チャンピオン――」 川原は、板垣の動きに合わせ、身体をまわしながら、やはりいつの間にか、腰を浅く落としている。 唇には、いつもの微笑が浮いていた。 「川原正敏…………おまえだ。」 板垣が独り言のようにしゃべる。 鬼面を浮かべながら、その声は心なしか弾んでいた。 「来ないのかい。」 板垣の話を聞いていないかのように、川原が言った。 「早いうちに決着をつけておかないと、邪魔が入るかもしれないぜ。」 板垣が笑みで答えた。こわい笑みであった。 「へ……なんかウレシイね。アンタ得意だろ、こういうの。」 こわい笑みのまま、板垣は言う。 「教育と呼べるものは大して受けちゃいねェが、こういうことだけはワカるンだな。 とぼけた顔をしちゃいるが、裏御伽の中でアンタがイチバン“こっち側”だ。」 「あ………そうそう。」 急に何かを思い出したように、板垣がポンと手を叩いた。 「アンタそういえば……」 何かを語りだそうとした矢先。 いきなり、板垣の体が動いた。 板垣の足が鞭のように川原の顔に跳ね上がった。
189 :
追加 :04/11/17 18:26:39 ID:BoLXrukm
>とぼけた顔をしちゃいるが、裏御伽の中でアンタがイチバン“こっち側”だ。」 >「あ………そうそう。」 この2文の間に、以下の2行を加えてください 板垣が、川原の本質を見抜いているかのように言う。 川原は答えない。
少し質問、今「見えない学校」に誰が居たっけ?
191 :
鬼と修羅 :04/11/17 22:01:21 ID:truXVgw4
(>188 10部374) “ ゴ ッ ・ ・ ・ ” 重い音、しかし半分は人体から発せられたものではない。 板垣の跳ね上げるような蹴りは標的に緩やかなスウェイで避けられ、 そのまま背後の桜の大木にぶち当たり、季節はずれの桜が大量の花弁を散らす。 幻想的な光景の中、花吹雪を巻き込むように板垣の二撃目――― だが薄桃色の中央に人はおらず、ふと鬼が見上げた桜の枝の上に、修羅はいた。 「無粋な野郎だぜ」 ニホントウの鞘を握り、あくびをしながら苦笑する川原。 「熊避けに木に登れという話は迷信らしいなァ」 大木のふもとで花びらに塗れながら話し掛ける板垣。 奇妙に沈殿する空気。 ―――川原はふと、思い出したように懐からボロ布を取り出した。 「あいつに渡しそびれていたっけな」 下界では暇を持て余したように板垣が首を左右に振っている。 「そろそろ木を蹴り折っていいかね?」 「話が繋がっていないぜ。そういえば俺が何だって?」 「続きを聞きたけりゃ降りてきな」 不毛な会話ののち、地上に降ってきたものは修羅ではなく、赤黒く汚れたボロ布。 反射的にそれをパシッと取った板垣が布を見て顔をしかめる。 「お・・・?なんだい、こりゃあ」 「・・・ちょっと前まで≪チーム・タフ≫なんてチームがあった」 「ああ、そんなものもあったっけなァ」 「あんたにスパーリングで大敗してから、ずっとあんたを尊敬していた漫画家がいた。 おしゃべりな男に聞いた・・・いつか強くなって恩返しをすると言っていたそうだ」 「へえ、初耳だぜ」 板垣の握った布は血の飛沫と肉片と乾いた脳漿、そして鮫の歯のような模様で彩られていた。
192 :
鬼と修羅 :04/11/17 22:03:19 ID:truXVgw4
川原はいつもの笑みを唇にたたえたまま、峻烈な視線を幹の下に送る。 「おしゃべりな男は言っていたよ。 決して殺した相手に恨みがあるわけではないが・・・ その布を覆面として纏っていた漫画家と、いつかプロレスで再戦したかったと。 殺し合いのない、憎しみも因縁も持ち込まない四角い聖域で・・・ってな。 ま、あんたにゃ関係ない話だがな」 「俺からしちゃ、アンタも相当なおしゃべりだぜ」 「俺にも関係ない話だからな」 「そうは聞こえねえなあ」 「さて・・・な」 霞のような桜雲の中、大木の上と下で対峙する人外二匹。 彼らの間でゆっくりと、破裂寸前まで膨らんだ鬼気が、 舞い落ちる一枚の花びらで遮られた瞬間――― “ ゴ ォ ッ ・ ・ ・ ・ !! メキメキメキィッ・・・!!” 直径が一般男性の肩幅ほどもある立派な桜の巨木は、 板垣の下段蹴りによって根の近くから横倒されてしまった! バフッという音と共に、枝に生える全ての花びらが地に当たり四方八方に乱舞する。 それには惑わされず瞬時に腰を落とす板垣の――― 予測スピードより数瞬早く川原は板垣の両こめかみの髪を握り、 右膝で鼻柱に蹴り込んでいた!――咄嗟に顎を引いて額を落とし、 鼻へのダメージを軽減する板垣。瞬く間もなく川原は空中で前方回転し、反撃の手刀を逃れる。 両者今度は地の上で対峙する・・・板垣は手に持った布の鬱陶しさに今頃気づき、 うずたかく積もった薄桃色の小山に向かってそれを―――ヒラマツミノルのマスクを投げ捨てた。 「千年不敗の噂はどこまで真実だ?ぜひとも俺に、噂をガセにさせてくれよ」 「背負う荷の重さは・・・背負った当人にしかわからん・・・さ」 鬼の舌なめずりを細い目で見やりながら、どこまでも静かに修羅は笑う。 格闘家ふたりの周囲で気圧が変わり―――風が、吹く。
>>190 麻宮さんと藤田と行動不可の叶君以外はどっかに行っててもおかしくないかも
>>193 逆に居てたらおかしいって人は?
大罪衆は大抵出払ってると思うけど。
長くなるようなら 22部の穴埋めついでにあっちでやりましょうやぁ
196 :
はいな :04/11/17 23:26:12 ID:truXVgw4
あっちに書いてきましたので参考までに>190
>175 「これで、あの妙な指拳も使えねえだろうよ」 夢枕獏が太い笑みをこぼしながらも、啖呵を切った。 「フッ おぬしの腕がこれ程のものとはな………! しかし、これしきのことでわしに勝ち誇った気でおるのか?」 指捕りという単純ながら奥深い妙技により手痛い洗礼を喰らった形の宮下あきら。 先ほど味わされた(と、勝手に思い込んだ)屈辱を抑えようと必死に堪えて何とか気を持ち直した。 「あいにく、わしの兜指愧破は指一本あれば充分! まだ親指が生きておる!!」 そう言うと、さながら「Good!」の意味を表す時によくやるサインとでもいえばよいだろうか、 今度は両手の親指のみを突き立たせるまたもや異様な拳を作り、そして構えた。 「わからねェのかい? 何度やっても同じことだろうよ」 「フン! そんな口が訊けるのも今のうちよ!!」 余裕綽々で応える夢枕に対し、宮下が矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてきた! その陽気な態度とは裏腹に、夢枕は慎重に拳を見てかわしていく。 先程と同様に、かわされた指拳がコンクリートの瓦礫に見事な風穴をブチ開けた。 ──いや、穴の大きさから判断すると、小指を折られる前よりも威力はむしろ上かもしれなかった。 しだいに指拳のスピードが上がっていき、あまりの速度に千手観音のようにいくつもの拳が見える──! 「 千 麾 兜 指 愧 破 !!」
見事な攻撃であった。 胴ならば── 秘中。 胸尖。 章門。 背梁。 頭部ならば── 天倒。 人中。 牙顎。 村雨。 きちんと急所の要所要所を的確にねらい、突いてくるのだ。 どこに当てられても、それが正確に打撃(ヒット)すれば、瞬時に致命傷と化すだろう。 機械のように精確であった。 生ぬるい手は、ひとつもない。 ──しかし、対するこの男、夢枕もただ者ではなかった。 その岩のようにずんぐりとした体型からは想像もつかぬ程の華麗な体捌きで、ぎりぎりかわし切っているのだ。 「チイッ!!」 宮下の顔にあせりの色が浮かぶ。 「無駄だと言ったろうによう」 夢枕が、あっさり親指を両手で捕らえた。 先程と同じようにこのままヘシ折られるのか、と思われたその時────
「馬鹿めが! かかりおったな──っ!!」 ド ガ ア ア ッ ! 両手がガラ空きになった隙を見計らったかのように、宮下が渾身の頭突きを顔面に炸裂させたのだ───! あらゆる格闘技において手足につぐ人体第三の武器は頭である。 しかも、その破壊力は手足をも凌ぐ場合がある。 一説には寺院の鐘を撞木のかわりに突いて鍛えたと云われる宮下の石頭から放たれるそれは、 ドスを真正面から受けても粉々に粉砕してしまうほどの、人智を遥かに越えた絶大なる威力を誇る───! まともに顔面に喰らってしまい、鼻から夥しい血をほとばせる夢枕。 だが、やはり“拳聖”と呼ばれしこの男、ただ者ではなかった。 常人なら顔面が陥没しかねない強力無比な一撃を、太い首の筋肉で踏み止まったのだ! 思わず両手を親指から離したものの、すぐさま天に突き上げるような膝蹴りで反撃する! ゴ キ イ ッ ! 相手のまさかの反撃に宮下は反応できず、その肥大化した顎に無防備に叩き込まれ、上顎と下顎が豪快に噛み合わされた音が鳴り響く。 お互いに強烈な一撃を浴びてうろたえる両者だが、すぐさま共に間合いを大きく離して戦闘体制を整え、付け入る隙を与えさせない。 「かァ〜ッ、効いたァ! おいらとしたことがとんだ油断しちまったぜ」 折れ曲がった鼻を指で強引に曲げて直し、溢れる鼻血を舌で拭いながらも、 夢枕はおなじみの太い笑みを浮かべ余裕の表情を崩さない。 むしろ子供のように嬉しそうに笑い、この状況を心底楽しんでいるようだ。 (わしの頭突きを喰らってすぐに反撃し、なおかつあの余裕……何という化け物よ!) この男の計り知れない実力と懐の深さに、宮下は身の毛のよだつ戦慄を覚え始めていた。
「ええい、このとっくりが邪魔だわ! 馬場!」 「はい! 何用でしょうか、殿下!」 宮下の呼びかけに応答して、どこか近くに身を潜めていたのか、それともテレポート能力でこの場へ来たのか、 20部355以来、行方の知れなかった馬場康誌がひょっこりと瓦礫の影から姿を現した。 「しばらくこの酒を預かっておれ。わしが欲しくなったら再び投げてよこすのだ、よいな?」 「ははーっ、かしこまりました!」 「後、念のために言っとくが、この隙にとっくりを盗んで逃げ出そうなどとは考えぬことだ」 「ご冗談を。そんな恐れ多いこと、めっそうもございません」 宮下はとっくりを持って『鬼酒』をグビッと一杯飲み干すと、馬場に向けて放り投げ、馬場がそれを上手に受け取った。 思えば、昨夜の松椿からずっと、とっくりの中に突っ込まれていた数名、 森田、渡辺、柳澤、天野りんら──にとってはまさしく不幸中の幸いだった。 車田との千日戦争から続く死闘の際中、宮下の体が激しく動くたびにその酒に満ちたとっくりの内部では 激しい揺れが生じるわ、逆さまになって天地がひっくり返るわ、と想像するのも恐ろしい地獄のような光景が展開されていただろう。 エキスも根こそぎ搾り取られ、意識があるのかどうかすらも定かではないが──。 「子分がいたのかい。何なら2対1でもいいンだぜ?」 「フン。残念ながらこやつが加わったところでおぬしが相手では足手まといになりそうにしかないわ。 それに、ついつい獲物は独り占めしたくなる性分でのう………!」 「──そうかい。そんな見栄を張ってると後々後悔することになるぜェ……!」 夢枕が相変わらず口元で太く苦笑いする。 だが、今浮かべたそれは、これまでとは質が違う何ともいえぬ不気味さを漂わせていたように見えた───。
×天野 ○浅野 ×柳澤 ○柳川 パワーバトルはかなり無骨だのう 馬場康誌の動向が気になるねえ
>201 おっとすいません。 とっくりの中に入ってるのはこの4人以外にいましたっけ? 他にいたら訂正よろしくお願いします。
203 :
死のリング :04/11/18 23:29:17 ID:1tICpr8A
関連レス(前スレ524
>>140 )
エリア88甲板――
大小種々、様々な樹が生え揃った、異質なバトルフィールドと化した場所。
そこで、白い魔人と、黒い魔人が戦っていた。
白い魔人の名は、福地翼。
黒い魔人の名は、山本賢治という。
「ふ〜〜、これで何とかOKッスよ」
そう言う福地の全身からは、先のvs倉田英之戦での負傷により、夥しい出血の痕がみられた。
だが、今はもう、出血が止まっている。
なぜか?
なんと、福地は『ゴミを木に変える力』を使って、傷口に埋め込んだゴミを木に変え、それによって出血を止めたのだ。
出血が止まらなければ死ぬとはいえ、正気の沙汰ではない。
普通の人間が福地の相手ならば、とっくの昔にブルっていたことだろう。
だが、福地と対峙している男もまた普通ではない。
「おお〜、クレイジー、クレイジー。いい〜狂いっぷりだ。自分の身体すらゴミとしか思っていないところが素晴らしい」
そんなやり取りを経て――
2人はまだ、対峙している。
「それにしても、ひどい霧ッスねえ。この艦の周りが、何も見えないじゃ無いッスか」
福地の言う通り、エリア88の存在する海域には依然、濃霧が立ち込め、周囲の状況が把握できない状態にある。
そのとき、福地は、あるものに気をとられ、目を凝らした。
濃霧に覆われた海域のうち、数カ所で『紅い霧』が発生していたのだ。
いや、それは霧などではなかった。
その正体は――
血 煙 !!!
204 :
死のリング :04/11/18 23:30:01 ID:1tICpr8A
信じられない光景が広がっていた。 血煙の発生源は、エリア88周辺に集った救援駆逐艦およびイージス艦。 それらの船体は全て破壊の黒煙を吹き上げ、その甲板には乗り組み員たちがひとり残らず死体となって山のように積まれている。 十隻以上もの艦隊が、全滅していた。 そして、今や洋上の鉄のカンオケとなった艦船を掻き分けて、エリア88に向かって直進してくる一隻の船の存在があった。 まるで無人の大海原を行くがごとく、こちらに堂々と近づいてくる漆黒の船体。 大型甲鉄艦――【煉獄】 それが、この大殺戮をやってのけた悪魔の艦の名称であった。 山賢と福地が、煉獄が誰に阻まれることなく、エリア88に接弦したのを見た。 そのとき。 2人の魔人が立つ戦場を、これまでと異なる空気が支配した。 闘気、殺気、あるいはどれでもないもの。 種類はどれも異なるが、それぞれが一流の強者に共通する、ある種の異空間を形成していた。 新たに出現した気配は三つ。 山賢と福地を包囲するようにして、三つの人影は立っていた。 ひとつは、黒い上着を肩に羽織り、マントのようになびかせているオールバックの男。 およそ、闘気・殺気といった類いの精神エネルギーを一切発していない。 まるでガラス玉のように、一切の感情が宿っていない冷たい目が特徴的だった。 ひとつは、足にローラーブレードのようなものを履いた、残虐な笑顔を浮かべた男。 気のせいか、男の背後に、巨大な怪獣のような影が見える。 それはこの男の纏うオーラが像になったものだ。 ひとつは、全身を包帯でグルグル巻きにした、着流し姿の男。 腰に刀を差し、くわえたキセルからは煙でなく、火そのものを吐き出している。 田口雅之。 大暮維人。 和月信宏。 以上の三名であった。
205 :
死のリング :04/11/18 23:33:13 ID:1tICpr8A
「ゴッドハンドの臭い艦にはおあつらえ向きだぜ。たっぷりとウンコクズがつまってやがる」 大暮が下品な笑顔を浮かべながら、カカッと笑い声をあげる。 「…………………」 田口はひたすらに無言だ。ただ、その感情のこもらない目で虚空を見つめている。 「こんなところで遺恨の相手と会えるたあ、嬉しいぜ」 山賢と因縁浅からぬ和月は、ゴオ、と火炎を細く吐きながら、ことさら嬉しそうに笑う 「お前さんも懲りないねェ。そんなにバラバラにされるのがお好きかな」 和月を挑発する山賢。 「また別の敵が三人も来たッスか。いい加減にして欲しいッス」 福地がウンザリした溜息をもらす。 さて、今さらだが、ここでひとつルールを提示しておこう。 この戦いは、海に堕ちることが許されない。 その場合、海中に潜む、山賢最強の切り札が敵・味方問わず、海中に落ちた者を喰らうことになっているからだ。 いわば、エリア88は巨大な鋼鉄のリング。 リングアウトは、イコール即死につながる、まさに逃げ場なしの死地。 そんな魔戦にふさわしい舞台の上で。 5人の魔人は、一同に会したのであった。
確定キャラはその4人です。もし他にいるとしたら別府編に出てない漫画家かと>202 和月一行まで絡んでキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!! ああ鮫の伏線がこんなところで・・・ あれ、ヤマケンと和月ってどこで絡んでたっけ?別府港じゃないし・・・
ウンk…Bブロック乱闘編だな↑
甲板上がすげえことに。こんなとこで戦争してる特機もオメガもご苦労なこった。 しかし福地出世したな…
即死判定がゲームっぽくて楽しそうやね>甲板バトル ところで肝心な事に気づいたので立案しますが 第一試合のサッカーは時間制限のあるスポーツなので 「1レス1分(180分=レス+ロスタイム+延長)」で計算するのはどうだろう? 島は3チームで250+75だったし妥当な線かなと。通し番号は名前欄に振るとして
・・・・・・あれ?サッカーって180分もやんねーじゃん?90分じゃん? じゃあ1分2レス計算で
レス制限をつけるのは妥当だろうね。 長さも180程度がいいか。
90レス過ぎたキリのいいところで前半終了・幕間かな はみ出し分はロスタイム扱いで
22部257のつづき 「うがぁああああああッ!!」 断末魔の絶叫が響く。 ベギリ‥‥ 骨が断ち切られてゆく音だ‥‥。 ゴォッツンゥン‥‥! 肉体のひしゃげてゆく音‥‥。 ボギギギィいいッ!! 関節が捻くれてゆく音‥‥。 そして絶叫‥‥。 血飛沫が宙を舞う。 路上に倒れた者の呻き声‥‥。 大量の返り血を浴びた紅い瞳の鬼が、喜々として飛び廻っている‥‥。 佐木だ‥‥。 “死”という佐木にとって最大の禁句(タブーワード)。 それを口にしてしまった兵士たちを相手に、キレてしまった佐木が無差別にその力を解放したのだ。 「‥おまへの武器やあらゆるものは おまへにくらくおそろしく‥‥ みんなむかしからのきやうだいなのだから けつしてひとりをいのってはいけない」 その鬼神のごとき暴れぶりとは裏腹に、“宮沢賢治”を口ずさむ佐木の顔は‥‥ 「ああ わたくしは けつしてさうしませんでした」 まるで“菩薩”のように微笑んでいた‥‥。
!? もはや蠢きすらしない死体が埋め尽くす路上に、佐木は佇んでいた。 そして、静かに立つ佐木を、少し離れたところから、腰を抜かしたえなりが引き攣った顔で見ている。 「あ‥‥さ‥‥“佐木”セ‥‥」 声が出ない‥‥。 これまで、強い者ならいくらでも見てきた。 しかし‥‥ この“暴力(ちから)”は違う‥‥ 車田とも荒木とも板垣とも異なる、全く異次元の強さだ。 この“暴力(ちから)”にあるものは何なのか‥‥? えなりには、想像もつかない。 「‥‥ナンでもない‥‥ナンでもないんだよ?」 ゾクッ! ひどく優しげな佐木の言葉。 自分の血と、相手の血で濡れた顔は、まるで相変わらず菩薩のような笑みをたたえている。 それが、えなりにはかえっておそろしく‥‥。 そして、奇妙に哀しいものに思えた‥‥。 ザ‥‥ 呆然としているえなりに背中を向け、佐木が近くに停車してあった“悪魔の鉄槌(ルシファーズハンマー)”にまたがった。
「さ‥‥“佐木”センセ‥‥?」 思わず呼び止めようとしたえなり‥‥。 佐木が肩ごしに振り向く。 「また遊ぼーネ‥‥ “えっ”ちゃん‥‥」 ふいに笑顔で親しげに呼び掛けられ、えなりが戸惑う。 「きっと‥‥また会える‥‥」 そう‥‥言い残し‥‥ ヴァオロロロロロロロロロ!!!!! 高圧縮(ハイコンプ)の凶悪(ヘヴィ)な音色(トーン)を奏でながら‥‥ 佐木は疾風(かぜ)のごとく、一瞬で視界の遥か先まで、吹っ飛んでいった‥‥ えなりの胸中に、奇妙な余韻と、そして新たな波乱の予感を残しつつ。 えなり‥‥タコ殴りにされながらもなんとか生存 佐木‥‥愛車でいずこかへと去る ←TO BE CONTINUED
長らく停滞させて申し訳ありませんでした これにて、えなりと佐木の出会い編第一幕終了です あとはサッカーにくわえるなり、放置するなり(笑)好きにしてください
えっ(゚∀゚ ≡ ゚∀゚)ちゃーヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノん!! 楽しみにしておりました!ベイリー乙!
ここに来て初めて主人公に友人ができそうなヨカーン(笑
219 :
作者の都合により名無しです :04/11/20 13:46:06 ID:z8hiWIeH
えなりの拓役はハマリすぎw 佐木はこの先、龍を飛ばしたり、えなりに××××××を託したりするんだろうか
220 :
動と静 :04/11/20 23:19:45 ID:lhgYBauv
>192 格闘の神に魅入られしふたりの漫画家。 究極の暴力を体現する男────板垣恵介 対して究極の武を司る男────川原正敏 この究めつけの猛者どもの放つ殺気により、その場の空気が今にも張り裂けそうになる───。 「──大体チーム・タフなんぞ、たいそうにイキまいて乱入しておきながら無様に敗北れさった負け犬どもにすぎん。 それを、この俺がちっとばかしオシオキついでに喰らってやっただけの話よ」 板垣は自らが為した非道な所業を全く悪びれることなく、開き直ったように吐き捨てた。 「その“負け犬ども”に俺も一時期いたんだけどなあ・・・」 「そいつはそうだが、貴様は違う。貴様だけがあの中でただ一人、 敗北(まけ)を許しちゃいない」 板垣が核心を突くような直言をはっきりと告げた。 それを受けた川原は、相変わらず不適に微笑しつつ沈黙する。 こういった会話が交わされているさなかでも、ふたりは互いに放っている殺気を一分も緩めることはない。 「そもそも噂に聞くに、陸奥圓明流という古武術は人殺しの技を千年もの間練ってきたそうだな。 その系譜を受け継ぐ貴様がこの俺を人殺しとして咎めようとはとんだお笑い種じゃねェのか?」 「・・・・かもな」 なおも相手の神経を逆立てさせるように挑発的に問い掛ける板垣。 その問いに対し、川原は意外にもそれを強く否定することはなく、あくまで冷静に、短く答えたのみ。
221 :
動と静 :04/11/20 23:24:43 ID:lhgYBauv
────ここで、ふたりの周囲の背景に注目してみるとしよう。 前傾姿勢を取りつつ両腕を掴みかかるように前へ出す、野生の猛獣を思わせる構えを見せる板垣。 その周囲はその圧倒的な闘気により空気が蠢いて、陽炎のごとく向こうが歪んで見えた。 空間そのものが捻じ曲がってしまったかと錯覚してしまいそうなほどだ。 一文字で表すとさながら“動”といえば良いだろう。 対して川原は両腕を顔前に掲げ、片足をやや前へ出す陸奥圓明流おなじみの構えを取る。 その周囲はひたすら真っ白い。というより、何もかもが消失してしまったかのような“無”の空間。 その空気が固体化してしまったかのような切迫した雰囲気は、やはりただならぬ緊張感を漂わせていた。 こちらを一文字で表すとまさしく“静”という字がふさわしい。 どこまでも対照的な闘気を醸し出す両雄。 このままどちらからも攻めることが出来ずにさながら千日戦争の如く時が過ぎ去っていくのか───と思われたその時。 ザ ク ッ 沈黙の時は意外にも早く崩れ去った。 ふいに、どちらかが地面を蹴り、攻撃を仕掛けた音が辺りに響きわたった────。
ドキドキ
223 :
武と暴力 :04/11/20 23:40:52 ID:ahPohz4P
>221 獣臭を孕んだ風が吹き抜けていく―― その風に混じって、細い血が一滴…二滴…と地面に落ちた。 「強えなぁ、やっぱり……」 薄く裂けた左頬を軽く指先でぬぐいながら、川原が呟く。 板垣は答えずに、動きをとめていた。 開始後、初弾からの打ち合いが終了した直後である。 板垣は桜の樹を背にして立った。 先ほど、板垣自身が蹴倒した桜とは別の樹だ。 逆に、川原が今度は間合いを詰めた。 板垣が、川原の間合いに入る寸前、板垣の右手が動いていた。 意表をつく動きだった。 右手の指で、板垣は、横の桜の枝をひっかけ、手前下方に引き寄せていた。 川原が、踏み込みかけた足を、そこで止めた瞬間、しなっていた枝が放たれた。 しゅっ と、音をたてて、川原の眼の先を、板垣の手元から跳ねあがってきた枝が疾り抜けた。 竹宮流の闇手のひとつ、「枝打ち」である。 川原が動きを止めたその一瞬、板垣が動いていた。 枝が逃げたばかりの空間から、板垣の蹴りが疾ってきた。 大気を焦げつかせるほどの蹴りが、左脇腹にぶち込まれる。 はじめて、川原が、自身の肉体を使って、板垣の蹴りを受けていた。 左肘で、板垣の蹴りを防御しながら、自ら後方に飛んで衝撃を逃がしていた。 陸奥圓明流の防御術――「浮身」である。 板垣の左足が、その動きを待っていたように地から跳ね上がっていた。 川原の顔面に、その足が吸い込まれるようにして叩きつけられていた。 がつん と、骨と骨がぶつかる鈍い音が響いた。 川原が、両腕を交差させて、ふっ飛んできた丸太のような板垣の脛を受けたのであった。
224 :
武と暴力 :04/11/20 23:42:05 ID:ahPohz4P
「ぐっ…」 川原が呻いた。 ――迅い。 ――いや、迅いというより流麗かつ、重厚 ――そして、なにより… ――でかい。 ――とてつもない力感。 岩そのものの拳が、防御の上から叩きつけられる。 防御する腕そのものが砕けかねなかった。 なすすべもなく、川原が後退させられる。 その津波のような威圧感は、まさしく ――“拳神”夢枕獏そのもの ――しかし似ているが違う ――これは言うなれば… ――“魔拳”―― 「おおおお!!」 鬼が、吼えた。
225 :
武と暴力 :04/11/20 23:42:51 ID:ahPohz4P
「ぬぅ」 「ちいっ」 打ち合い。 川原が地を蹴って、跳んだ。 宙に跳んで、ローキックをかわし、とび込んだ。 「いいっ」 川原の顔面突きが、疾る。 どつん 川原の腹筋が断ち切られた。 板垣が、ローからそのまま内回しに移行して空中の川原をとらえたのだ。 「ぐっ」 川原の顔が苦悶に歪む。 一方の板垣は、川原の拳をしっかりと掌で受け止めていた。 二人の身体が、離れた。 「ぬぅぅ」 後退する川原を、板垣が猛然とつっかけた。 「強ぇなぁ…」 ふらつきながら、川原が呟く。 その川原の顔面に、板垣の大気をつんざくような右正拳がふっ飛んできた。 閃光のような拳を、川原がぎりぎりのところで、頭を沈めてかわしていた。 かわしたまま、ぐい、と前に出た。 前に出た身体が大きく旋回し、板垣の顔面を、あり得ない角度からの蹴りが襲っていた。 スウェーバックでかわすが、間髪入れず、斜め下方からの二つめの蹴り足が跳ね上がってきた。 ――陸奥圓明流「旋」 血飛沫が、散った。
226 :
武と暴力 :04/11/20 23:44:02 ID:ahPohz4P
板垣の巨体が、大きく後退した。 川原が矮躯が、静かに着地する。 板垣の右頬が、深く裂け、血が帯状に流れ出た。 両者の動きが止まる。 鬼と修羅は、再び対峙した。 「うまいな、川原」 板垣が言った。 「何故、本気を出さないんだい」 川原が言った。 ここまでの息迫る攻防ですら――板垣はまだ本気ではないというのである。 そして、それは川原もまた同じであった。 「見たいか」 板垣が言った。 川原がうなずいた。 「まだ、俺の知らない“鬼”ってやつを見せてもらいたいもんだ」 川原の唇に、すうっと微笑が浮きあがる。 「へ――」 板垣が唇を吊り上げ、白い歯を見せた。 ふいに、板垣が、両腕をたらりと身体の横に垂らした。 無防備の体勢のまま、全身に力を込める。 どくん――!! 聴こえるはずもない鬼の鼓動を、川原は確かに聞いた。 「そんなに見たけりゃ、見せてやるぜ――」 板垣が、笑みを唇にへばりつかせたまま、ぼそりと言った。 「おう」 と、短く川原が答える。 鬼と修羅の闘いは、ようやく序盤戦を終えたばかり。
うおお、どちらもカコイイ
228 :
リングの掟 :04/11/21 09:01:51 ID:JTd7I8hu
>>205 「侵入者を取り押さえろ!!」
そう言って、看板の下より、異形の姿の者達が姿をだす。
高屋配下の獣化兵(ゾアノイド)達である。
「やれやれ、無粋なもんだ。」
和月がそう言って、火を収める。
次の瞬間、エリア88を白い霧が少しの間だけ姿を現す。
「チャフ(空中に散布し、レーダーをかく乱させる軍事兵器)の武装錬金
アリス・イン・ワンダーランド。特性は……。」
次の瞬間霧がはれ、看板を走っていた獣化兵達は、見事なまでにばらばらに走っている。
「えっ??」
更に次の瞬間、何匹かの獣化兵が止まることができず、海に落ちていく。
「有機・無機の神経系に作用して、方向感覚や距離感覚を狂わす!!」
「厄介な能力っすねえ。」
福地がそう言って、頭を抱える。
次の瞬間、、海に落ちたゾアノイド達の悲鳴声が上がり、全員がここのルールを理解する。
「落ちたら、敵味方関係なく地獄行きってわけか。」
大暮がにやつきながら言う。
「…・……」
田口は相変わらず無言だ。
和月は、何かを言おうとした瞬間、超獣化兵(スーパーゾアノイド)の一体が襲ってくる。
「ブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラ
ブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラァッ!」
すさまじいまでの連打で超獣化兵(スーパーゾアノイド)の装甲を一瞬にして切り裂く。
「……ちと、やりすぎたか?」
「………まあ、良い!戦いはこれからだ!!」
山賢の台詞と共にゴングがなった。
ゾアノイド弱ぇーw もっともこのスレにおいては 一人のバトル系漫画家>>>超えられない壁>>>各作品に登場する特殊部隊など というのが暗黙の了解になってしまってるから仕方ないがw
230 :
狐者異 :04/11/21 13:53:45 ID:WJ34U1Tv
チリン。チリン。 新たな魔人が生誕した場所に、鈴の音が響き渡る。 「奴たちも立ち合わせ願えやすかねェ。折角の大物の誕生でやすから」 「藤田先生おめでとうございます」 闇の中から森田と杉浦が顔を出す。新たな魔人の産声は離れた図書室まで届いていた。 「やぁ、二人ともありがとう」 藤田はそれに笑顔で返答する。場の雰囲気はまるで学校のクラブの新入生歓迎会か そうでなくば同窓会のような雰囲気だった。だがこれは妖しの集い。 そして類は類を呼ぶものである………… 「ところでいい加減出てきたらどうだね。それとも侵入者として排除していいのかな?」 麻宮が闇に向かい尋ねる。他の三人も驚く様子無く同様に闇を見つめる。 そこには闇があるだけだった。だが闇の中に周りの闇とは違う異質な闇を妖し達は見抜いた。 突如4人の脳裏に浮かんだイメージ――それはただひたすらの漆黒の闇。 その中央に青色の靄がかかっている――靄がじょじょに集まり一つの瞳の形を取り始める。 「まさか………『京極堂』!?」 森野がいち早く闇の正体に気づき、叫ぶ。 【お久しぶりで御座いますねぇ】 闇は――『京極堂』と呼ばれた闇は慇懃に喋り始めた。 【本来ならば私自身が赴きたいのですが……何分身動きが取れない身で御座いましてねぇ】 【そこで私の同僚に頼んで1人助っ人を連れてきたという次第で御座います】 その言葉ともに闇の中から1人の少年が現れた。 長い杖に上半身を覆う鎧、紺のマントを身に着けた典型的な魔法使いの風貌だ。 【彼は役に立つと思いますよ】 「どう役に立つのかね?『京極堂』」 麻宮の問いに少年が答える。 「例えば………そうだな、お前らのお仲間の稲田が鳥山と、夢枕が宮下と対戦中だとは知っているか?」 「それがどうしたのだね?彼らが何処で誰と戦おうと一向に構わんが?」
231 :
狐者異 :04/11/21 13:55:22 ID:WJ34U1Tv
ゴットハンドと違い元々妖魔王陣営に細かな統率なのは無いのだ。 冷ややかな返答に少年が苦虫を潰したような顔になる。 【出し惜しみは止めにしましょう】 『京極堂』の勧めに頷き、少年は言葉を続けた。 「ならば………『神』が復活した、という情報はどうだ?」 さらりと放たれた爆弾発言に一同に緊張が走った………ほんと僅かな間だけ。 「何を言うかと思えば……それが本当なら我らが気づかぬわけあるまい」 【嘘では御座いませんよ。エリア88で現在大罪衆の方々とゴットハンドの1人と対戦中で御座います】 「何故ゴットハンドと『神』が戦っているんだ?」 【理由なぞどうでもいいでしょう。必要なのは『神』が復活したという事実で御座います】 「それなら妖魔王様にお伝えしないと―――」 「ちょいとお待ちなせェ……その必要はねェでやんすよ」 呼び止めてから、森野は再び『京極堂』の方を向く 「手前達が『神』を復活させて……ゴットハンドの野郎に一泡噴かせようてェ魂胆でやんすね?」 【仮に『神』が倒されればそれは我ら闇の者として迎え入れるだけ、逆に生き延びれば―― やはり迎え入れるだけで御座いますよ。ゴットハンドの方も十分こちら側で御座いますしね】 「森野、どういうことだ?お前たちだけで話を進めるな」 麻宮が尋ねる。 だが森野の返答は質問に答えたものではなかった 「奴はァちょいと出かけてきやす」 「何処へだ?」 「他の勢力はまだこの事を知りやせん。今ゴットハンドに攻められれば一溜りもねェでしょうや」 「わ――」 わざわざ敵に塩を送るというのか! 【妖魔王様にはこう言っておけば分かってくださるでしょう】 ゴットハンドの御人に狐者異(こわい)を憑かせますと――― 「それは一体どういうことだね」 【つまりはこの世には不思議なことなど何もないのですよ、麻宮君】 そう言うと『京極堂』は煙のように消えていった。 少年も森野も既に姿を消していた。
>228 っていうか獣化兵がなんでいるのかさっぱりわからないんだが、どっか読み飛ばしてる?
>>232 12部スレに、ゴッドハンドの兵力の表立った兵力の三割が高屋の兵とあるので、
主要機関の防御には、獣化兵もいるんじゃないかなと思って書きました。
……ちょっと、展開的に唐突過ぎたかもしれません。
理解は出来たけど、その説明を本文中に入れてたほうが良かったかも。 ばゴッドハンドは各使徒とその配下による群体っていう感じだから、 例えば十傑集や五虎が松本艦長の指示で動いてる程度の違和感があった。 後、ヤマト勢はゴッドハンドにしては珍しく軍隊レベルで存在している勢力だから わざわざ獣化兵を配備する必要性も感じられないし。 まあ長々と書いたけど、細かい事なんであんまり気にしないで。
じゃあ、ちょうど伏線がてら俺がフォロー入れてみますわ
たのんます。 ていうかお前ら「侵入者を取り押さえろ!!」 もなにも いままで特機ほっぽって何してたのかと 小一時間問い詰めた(略
関連スレ21部
>>238 、22部
>>297 、
>>228 あたり
高屋良樹の居城【クラウドゲート】……
地上400メートルの高さのツインタワーからなる巨大建造物だ。
その最上階にある最高幹部執務室に、急を告げる報告が入った。
高屋「…なに?【エリア88】の獣化兵どもが全滅した?」
部下「は…はい…【エリア88】を襲撃した大罪衆と、山本賢治の手によるものです…いかがいたしましょう…」
その報告に、高屋は軽く溜息をつく。
高屋「報告ご苦労だった。後はこちらで対処する。下がってかまわん」
部下「はっ!」
報告が終わり、モニターの画像が消えた。
すると、それを見計らっていたように、傍らにたたずんでいた影が高屋に近づいた。
??「閣下、いかがなさるおつもりですか」
高屋「どうもせんさ。山本賢治の行動は、すでに折り込みずみ。
多少の被害は、計算にいれてある。
スパイとして潜入させる分には、いくらでも換わりはいることだしな」
獣化兵は、変身時以外では常人と見分けがつかない。
そして、一度獣化兵に改造されたものは、高屋の思念によって完璧なる制御が可能になるのだ。
高屋はこれを利用し、ゴッドハンド内部のあらゆるセクションに、己の息のかかった者を潜ませていた。
高屋「今は、【COSMOS】も【リベルタス】もまだ調整の段階だ。
援軍を一人送りはしたが、現時点において、これ以上の戦力を割けん」
そこで、高屋がいったん言葉を切る。
そして、押し殺したような声で続けた。
高屋「…『ゼウスの雷』が『クロノス』を焼きつくす時まではな…」
??「フッ…そのためのあの男ですか」 高屋「そうだ…山本賢治…あの男は利用できる。 あの男が己の欲望のままに暴れることが、結果的にゴッドハンド内部を混乱させる事につながる。 そして、それは我らにとって有利に働くからな」 高屋は、この事を見越した上で、山本賢治に【聖石】を与えたのであった。 高屋「準備が整い、時が満ちるまでは、奴は好きにさせておく。 そして邪魔になり次第、消せばよい。そのときには、おまえに動いてもらうことになる……」 ??「かしこまりました、閣下。望むところです」 高屋の側に影のようにはべる、マント姿にサングラスで素顔を隠した男が不敵に笑った。 高屋「フッ…頼もしいぞ。我が右腕にして最高傑作…13人目の【獣神将(ゾアロード)】よ…」 調整が終わった『最高傑作』の出来に、高屋が満足げに微笑む。 高屋「おまえには、神話における伝説の神獣の名をとって、こう名付けよう」 そこで一拍を置いた後、高屋はその名を呟いた。 【 キ マ イ ラ 】 と ・・・・
あ、念のために説明しておきますが、『獣神将』っていうのは過去に名前が出てきた十二神将のことです なお、『13人目』というのは、高屋に現時点で13人の幹部がいるという意味でなく、 ただ単に『キマイラ(仮称)』が新たに加わった部下…という意味です
十二神将ってアレだっけ? 前の大戦で大半が死亡したって言う…
どーでもいいが、別にエリア88に獣化兵がいるフォローにはなってないな。 てか高屋一人でゴッドハンド反逆のネタを懲りずに定期的に投下してるみたいだけど全然乗れないんですけど インフレだろどう考えても。
まあ実際問題この人の陰謀が成功するとはとても思えないんだよなあ… ゴッドハンドの諜報系全般は軍師が握ってるっぽいし、機密をプロパガンダしようが無いだろうに。 別に高屋が凄いということを否定する気にはなれないが、それは科学系戦闘系に突出したもんで、 諜報能力で軍師勢を征したりしたら完全なインフレだわな。 まさかあの軍師が味方を純真に信用してるなんて有り得ねえわけだし(実際そういう描写はある) …ぶっちゃけた話この手の話題何度もループしてるんで後は書き手に空気読んで貰うしかないんだがね。
だね(´-`)
(>164、22部344) 「…で、名前は?」 「分からん」 「…じゃあ、職業は?」 「それも分からん」 矢吹艦の市場よりほど近い場所にある喫茶店「パーラー甲子園」…… その店内の一角を、奇妙な三人組が占めていた。 並んで座っている魚屋風の男と、三角頭のチビは、ご存じ牧野と岩村である。 さらにそのトイメンに、野球帽を冠った男が座っている。 冒頭の問答は、牧野と、この野球帽の間で交わされたものだ。 岩村はといえば、すっかり目をハートマークにして、野球帽の男の意外に整った顔を飽きもせずに眺めている。 「ちっ、ラチがあかんなこりゃ。名前も住所も職業も分からんというんじゃ…」 記憶喪失になった謎の野球帽の男。 危ない厄介事から逃げ出してきた矢先に、さっそく別の厄介物件を引き受ける羽目になるとはつくづくツイテない。 一方、野球帽の男は、そんな牧野の苦悩を知らずに、この店の看板メニューである「夕張メロンスペシャル」を図々しくもさらに二つ注文していた。 なお余談だが、野球帽の男のかたわらには、なぜか使い込まれた感のある釘バットがたてかけてあり、注文を受けるウェイトレスの表情もひきつっていた。 そして、黙々とパフェをたいらげていく野球帽の男をオカズに、岩村はひとり下賤な妄想に心を踊らせるのであった。 (やーん!何ちゅー事を考えてるッスか自分!! 恥ずかしいわぁ!こうやって目を開ければ、そこには愛しのイイ男が…) 「!?野球帽がいないじゃねーか!!!」 「いないッス!!!どこ行ったッスか!あれ!!!?」 それは一瞬のことであった。 ほんのわずかどちらも目を離した隙に、野球帽の男は忽然といなくなっていた……
その頃、表の商店街では…… 「…結局必殺シュートの手がかりはゼロか」 「諦めるのは早い!まだまだ時間はあるぞ!」 「…で、なんで必殺シュート探すのに商店街よ?」 「ハァ〜〜…」 あがらない成果に嘆息する車田。 ひとりを気を吐くX仮面。 どうでもよさげにツッコミを入れる岸本。 早くも己の運命を嘆く村田。 試合前だというのに色々な意味でお先真っ暗な、えなりTの面々が歩いていた。 ちなみになぜ商店街かというと、何も考えはない。 もしかしたらヒントが転がってるかも知れないし、あるいは行方知れずの仲間がいるかも知れない、とその程度の理由である。 「!?あんど(×7)がいないぞ!?」 疲れ切った頭を休めるようにやや気を抜いて歩いていた車田だが、ふいにその事に気付く。すると…… 「キャアアアアアアアア!!!」 間髪入れずに女性の悲鳴がこだまし…… 「フォオオオオオ!! フォオオオオオ!! フォオオオオオ!!」 鼻にかかった奇声が輪唱となって続いた。 見なくても分かる、白昼の惨劇。 「こ…このドサンピンどもが……」 あんどセブンの度重なる奇行の前に、荒木も鳥山もおらず、ひとり大将としてチームをまとめねばならない車田の我慢は限界に達していた。 が、そのとき…… ゴ キ ッ バ キ ッ ド ゴ ン ッッ 「「「「「「「フォオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」」」 車田が光速の拳をぶち込むよりも早く、連続する打撃音と、あんど達の絶叫が轟いた。
「公衆の面前で破廉恥な格好なままのさばりおって!!罰として貴様ら全員、尻(ケツ)バット100回だ!!!」 大声のする方を見れば、あんど(×7)が、野球帽を冠ったひとりの男に釘バットでもって全身をメッタ打ちにされている。 野球帽の男は青筋をバキバキに浮き立たせ、血まみれになるまであんど(×7)をぶちのめし続けている。 一方のあんど達は、瀕死に追いやられながらもどこか恍惚とした面持ちで、その責め苦を受けていた…… 「あ!?」 それを見た車田が大声を出した。 叩きのめされるあんど達に驚いただけではない。 その変態達に制裁をくわえている男の顔に見覚えがあったのだ。 「 大 和 田 !!!!」 野球帽の男の名を呼びながら、車田が駆け寄っていく。 しかし、野球帽の男は駆け寄ってくる車田に気付くと…… 「貴様も変態の仲間だなっ!?」 そう叫びながら、返す刀で血だらけの釘バットを振り回して、車田に襲いかかってきた!! 「ち…ちょっと待て大和田!!俺がわからんのか!!!」 困惑する車田が、驚きの声をあげた…… 数分後…… 「 記 憶 喪 失 だと!??」 なんとか取り押さえた大和田の話を聞いた車田たちは、彼が一切の記憶を失っていると結論した。 「ジーザス…そういえば大和田はキャノンボールに参加していた。 きっとKIYUに吹っ飛ばされた時の衝撃で…」青くなって冷や汗を流すX仮面。 「本当に何も思い出せないんですか?」村田が尋ねるが、返ってきたのは沈黙…… そして、車田は決断した。 「よし、記憶を取り戻そう!!!」
さらに数分後…… 「ハリケーンボルト!!!!」 D O G O O O M !!!!! 天空高くから一直線に落下した車田の拳が、轟音をたてて大和田の脳天にメリ込んだ。 たちまち大和田の頭部がダラダラと新たな血に染まる。 「どうだ?何か思い出したか?」 「…………」 返ってきたのはまたしても否定の意味の沈黙。 「くそ!ハリケーンボルトもダメか!!」 舌打ちしたX仮面が、手に持ったチェック表の「ハリケーンボルト」と書かれた項目に×印を書き込む。 そう、車田たちはショック療法によって大和田の記憶を回復させようとしているのだった。 ちなみに、そのチャック表の他項目には、すでに×印がついてるだけでも…… 「ガルーダフラップ」 「スパイラルタイフーン」 「カイトススパウティングボンバー」など、 主に頭部にダメージを与える数々の殺人技が並んでおり、そら恐ろしい。 「や…やめましょう!こんな非科学的な事したって無駄です!」 あまりに壮絶な光景に、青ざめた村田が、必死に車田たちをとりなす。 「やむを得ん、大和田の脳がどんな衝撃を受けたのか誰も分からんのだ」 しかし、狂気の沙汰は続く…… 「次ッ!! ペ ガ サ ス ロ ー リ ン グ ク ラ ッ シ ュ ッ !!」 「やめてーっ!!」 高々と成層圏近くまで舞い上がった車田と大和田を、村田の絶叫が追った。
C R A A A S H H H H !!!!!! 車田捨て身の大技が、大和田の脳天をコンクリートにメリ込ませた。 すると、ドクドクと頭血を流し、顔面蒼白になった大和田の口から…… 「パ… パ… パッソル… 私のパッソルはどこだ…?」 そううわ言のように漏れる単語…… 記憶の一端が戻った!! 「やった――っ!」 歓喜の声をあげる島本。 「バカげてる…バカげてる…こんなの……」 目の前の光景についていけない村田が呟く。 「大和田!他に何か思い出せないかっ!?」 「ぐわっ!!頭が痛い…割れるようだ…」 「記憶が戻ってきて混乱してるからだっ!!」 「ちがうと思うぞ…」 喜ぶ車田。激痛に苦しむ大和田。ツッコむ岸本。 「よし ペガサスローリングクラッシュだ!!!これと同じ力が脳に加わったんだ!!いけ―――――っ!!!」 「おおおおっ!!!!」 ドゴ――――――…ン !!! 「車田…車田はいるか…?」 「おおっ!?」 ドゴ――――…ン !! 「岸本…」 ドゴ―――…ン !! 「いた…」 ドゴ―…ン ・・・・
やがて…… もはや巨大隕石が落ちたかと見まごうクレーターの底から…… ひとりの男が起き上がる…… 「こ… こ…」 大和田の口から…… 「 甲 子 園 ん ん ん っ !!!! 」 復活の咆哮がほとばしった!! 「やったあっ!!!」 「イエーッ!!!」 歓喜の大合唱が響き渡る。 その声を浴びる大和田は、天に向かって拳をつきあげたまま… 「長い夢を見ていたようだ…」 そう呟いた。 そして、車田が一言。 「よく帰ってきた」 「うむ」 腕を組み、胸を張るいつものポーズで大和田が答えた。 同時刻、喫茶店では…… (幻を見てた…?いや食べ終わった食器がある…幻じゃない…) 「ホンマ風のような人だったッス… グッバイ・マイ・ファーストラヴ・・・」 涙を流しながら、自分の世界に酔う岩村と… 「お会計3万4千円になります」 「マジかよ・・・」 大量のパフェの食器を前に、呆然と店員の無慈悲な宣告を聞く牧野の姿があった……
どこまで行くんだ正美ターン(゚ヮ゚) お帰りなさい大和田君
GJ!! しかし細かいこと言うが 岩村の語尾は正確には「ッス」じゃなくて「っス」っス! それに「っス」で止めるので、その後に か とか付かないっス!
おっと、そいつは失礼っス! 次から気をつけるっス!
切り返しワラタ ふ…俺達には何も言う事はねぇ…
良かったな大和田。相手が車田で。 相手があんどだったら目も当てられないぞ。
>226 究極の力 対 究極の理 究極の剛 対 究極の技 究極の暴力 対 究極の武 その激突がいよいよ始まろうとしている。 バ オ 旋風を巻くように、板垣が左の拳を大きく振りかぶった。 テレフォンパンチということさえ馬鹿馬鹿しい、まるでこれから『左のパンチを打ちます』と予告しているような構え。 ましてや、究極といって差し支えない、このレベルの闘いで、である。 だが、当の板垣は、決して侮りでも遊びでもなく、あくまで本気でこの構えをとっている。 そして、その事は、対峙している川原が肌で実感していた。 (くっくく……こいつだこいつ……ゾクゾクしてきやがる……どんな戦場よりも……) (強烈な雄度のただよう構え……おっさんに似てる……が、中身はまるで別もんだ こいつは殺気の塊だ……しかもとんでもねえ……)
256 :
武と暴力 :04/11/22 23:37:42 ID:ShhzpMeq
極限まで張りつめた気がぶつかり合い、大気が破裂寸前まで圧迫される―― ギ ャ ッ 地面を爆発させるような踏み込みから、鬼の拳が弧を描いて放たれた――! バ ッ 紙一重で躱した川原だが、道衣の胸元が鋭利に切り裂かれた。 (迅ええ……来る瞬間が読めてて……これだ) 返す刀で、地を削るような右のアッパーが、縦の弧を描いて跳ね上がってきた。 こちらの速度も尋常ではない。 川原は、必殺のアッパーを、仰向けに地面に寝そべるように身体を沈みこませて躱した。 「オオ!」 地に手をつき、逆立ちするように、天に向かって蹴りを突き出した。 陸奥圓明流「弧月」。 矢のような速度で放たれる、喉元への蹴り。 板垣がわずかに顔を横にずらして避けた。千切れた毛髪が数本、風圧に飛ばされる。 だが、躱したと思った瞬間、板垣の予想を超えた攻撃が襲いかかる。 一度は吹き抜けたはずの蹴り足が、飛燕の速度で延髄を刈るように戻ってきたのである。 (なんだあ……かわせねえ……だが一向に構わん!!) 回避は不可能と悟った板垣は、さらに前に出た。 後頭部に衝撃。力点をずらした為、完全には決まっていない。 それでも一瞬、目の前が暗くなる威力だが―― ド リ ュ ッ それにも構わず、無防備な川原の胴に、拳を疾らせた――!!
257 :
武と暴力 :04/11/22 23:38:33 ID:ShhzpMeq
「ちいいっ」 神がかった反射で掌で地面を突き放した川原は、まだ板垣の首に引っ掛けたままの蹴り足を支えに、そのまま肩に腰掛けるようにして身体を起こした。 (こいつ……俺を踏み台にした…!?) そう思った瞬間、こめかみに衝撃がぶちあたった。 離れ際、川原が左肘を叩きつけてきたのである。 一瞬、脳が揺さぶられるような鋭利な一撃。 さらに川原は、板垣の顔を蹴り込み、その反動で後方に飛び退こうとする。しかし―― ド コ ッ (なっ――) 蹴りが入ったと思った瞬間、川原の腹部が爆ぜた。 岩のごとき腹筋があっさりと突き破られ、内臓が踊り、背骨が歪んだ。 全身の捻りを一点に集約させた、目標物の遥か後方まで貫くかのような一撃。 板垣の渾身の拳が、川原の身体の中心を打ち抜いていた。 「ゲはァッ!」 もんどり打って倒れた川原は、盛大に地面を転がった。 身体を「く」の字に折り、血と共に吐瀉物を大量に吐き散らす。 悶絶する川原に鬼が歩み寄り、髪を掴んで無理矢理引き起こした。 起こされた川原の顔に、すかさず、板垣の左の膝が、浮き上がってくる。 掌で、川原はそれを受け止めた。 しかし、板垣の膝のバネは強烈であった。 防御した川原の腕をはじいた。 川原の顔面に、膝ではじかれた自分の腕がメリ込んだ。 鼻が潰され、顔面が朱に染まった。
258 :
武と暴力 :04/11/22 23:39:33 ID:ShhzpMeq
(防禦(うけ)が通用しないっ……!?) 武術における一般的な防禦術では、防ぎきれない打撃。 恐るべきは、板垣の人外の膂力であった。 (伊達に『格闘の魔人』とか言われてるだけはあるぜ…!) 完全に膝の折れた川原の頭上から、尖った殺気が疾ってくる。 板垣の手刀が弧を描き、川原の脳天めがけて唸りをあげ――そのまますり抜けた。 「――っ!?」 今度は板垣が驚愕する番だった。 その一瞬の間にすべりこむように、両膝の驚異的なバネをつかって、川原の身体が浮き上がってくる。 膝と腰のバネで造り出したパワーを、板垣の顎に打ち当てた。 拳を頭の上に乗せ、全身ごと顎の一点に叩きつけるような一撃であった。 陸奥圓明流拳技――「浮嶽」。 文字通り、山をも浮き上がらせるほどの威力かと思うほどの威力であった。 天を仰ぎながら、板垣が血を吐きあげた。 板垣の胸に、川原の拳が押し当てられる。突こうとするには、あまりに距離がなさすぎる。 刹那、凄まじい衝撃があった。まるで一瞬にして胸の中に巨大な鉄球を埋め込まれたようであった。 肺から、全ての酸素が搾り出されていくようでもあった。 (寸勁……!?) 激痛のなか、一瞬そんな思考が板垣の脳裏をよぎる。 「じゃっ!!」 獣のごとき咆哮から、竜巻のようなバックハンドブローが、川原の頭部を削ぎ飛ばしにいった。 頭を沈めて、川原がそれを躱していた。次の瞬間には、制空圏の外へと飛び退いている。 「きさまッッ、俺に寸勁を仕掛けてきたかッッ」 「陸奥圓明流『虎砲』――っていうのさ」 ――双方のダメージは、ほぼ五分と五分。 死闘は続く。
一向に構わん!にワロタ
>249 >124あたり 大和田という頼もしい仲間を再び得た車田たち。 しかし、ここで試合開始20分前を告げるアナウンスが入った。 結局、必殺シュートの模索は徒労に終わり、面々は控え室に戻ってきた。 そこで車田は、血を分けた自らの相棒が部屋の前で待っているのを発見した。 車田「エックス、無事だったか」 X『ただ今帰還した、我がドナーよ』 悪夢のような一日を明けての再会に、喜びを分かち合う二人。 だが、車田。すぐに、ある事に気付く。 車田「エックス、荒木はどうした?一緒じゃないのか」 聞かれて、エックスは説明を始めた。 別府における『ノックアップストリーム』の混乱の最中、荒木が例の『N』という男との戦いの末に行方知れずになったこと。 そのかわりといってはなんだが、別府にて復活した鳥山と再会したこと。 しかし、鳥山は『鬼酒』の呪いにとらわれた宮下を救うため、今も戦っていること。 なお、そのときに、数名の怪我人を救助したこと。 それらの報告をダイジェストで断片的ながらも伝えられた車田は、重い息を吐いた。 車田「…宮下に関しては鳥山に任せておけば心配はなかろう。そして、荒木もみすみすくたばりはしないはずだ」 車田は、とりあえずそう考えることにした。 ジャンプ漫画家は死亡確認されても死なないのが信条である。 車田「ところで、エックス。救助した連中に合わせてくれるか」 X「部屋の中に2人いる。最初は4人だったが、残りの2人は用事があると、礼だけ言って去ってしまった。詳しいことは、そいつらから聞くといい」 そして、車田達は控え室の扉をくぐった。 そこには、仙豆によって体力を回復した、高橋陽一と許斐剛の姿があった。
車田「お互い、よくここまで生き残ったものだな」 許斐「車田先輩たちも、無事で何よりっす」 一度は袂を分かった許斐だったが、そこに悪意はない。 今でも彼らは、生死を分かち合った仲間であった。 車田「おまえも無事でなによりだ、陽一」 陽一「でも、俺は多くの人に助けられてなんとかここに居る…… 猿渡、森田くん、そして鳥山くん……仲間ひとり助けられず、むしろ人に助けられてばかりの俺は、チームリーダー失格だな」 自嘲的に笑う陽一。だが、車田はその言を否定する。 車田「陽一、人は己だけでは生きていけんし、何かを大成することもできん。 この俺も、今まで数多くの人たちに助けられ、導かれ、ここまで来た。 俺が今こうして生きていられるのも、そのおかげ…… その事実を恥じることはない。肝心なのは、これからそれにどう報いるかだ」 車田に諭され、心を洗われる陽一。 陽一「そうだな、俺たちはまだ生きている。そして、生きている限り、俺たちは戦い続けなければならん」 そこで一旦、言葉を切り、そして続ける。 陽一「車田くん、俺たちも共に戦わせてくれ。鳥山くんは、俺たちを助けるために戦場に残った。 本来なら、試合に参加していたところを、俺たちのせいでフイにしてしまった。 だからせめて、鳥山くんが戻ってくるまでの間、俺たちが君らの力になろう!!」 その申し出に車田は驚いた。 確かに、陽一のサッカー技術は、全漫画家中でも随一だ。 試合の内容を考えれば、これに勝る援軍はない。 車田「願ってもない申し出だ。ありがたく助力を請わせてもらう」 許斐「もう一度、車田先輩たちと一緒に戦えるなんて嬉しいっすね」 固い握手を交わす三人。 ここに新たなる心強き味方が加わった。そして、さらに…… ??「はっはっは!!待たせたな、皆の集!!」 勢いよく開け放たれた扉から、赤いリーゼントの侍が高笑いしながら登場した。
「「「井上!!」」」 三人とも語尾は違うが、車田たちはほぼ同じタイミングで、部屋に入ってきた男の名を呼んだ。 井上「話は聞かせてもらったぞ、諸君!ここは、漫画界の秘密兵器たる、この天才・井上雄彦も参加してやろう!! ありがたく思うがいい、庶民たち!!わっはっはっはっは!!」 言葉面だけ聞いていると、何ともゴーマン極まる物言いであった。 しかし、車田たちは知っている。 一見ただのお調子者のこの男が、かつて率いていたチームメンバーのほとんどを目の前で殺害されたこと。 そして、今でも、その相手に復讐を誓っていること。 さらには、その相手が、まさに今、車田たちが戦おうとしている相手チームの一員であることを。 だが、この男はその怒りを今は面に出さない。 あえて、表面上はお調子者を演じている。 元来、井上がそういう男であったことを、車田たちは知悉していた。 車田「ああ、心強いぜ、兄弟」 井上「任せておくがいい、はっはっは!!」 元・ジャンプスポーツのメンバー3人が、こうしてえなりチームに加わることになった。
車田「さて…、ようやくまともなメンバーが揃ってきたな。あと三人…いや、せめてあと二人は欲しいところだが……」 大和田に尻バットの刑を喰らって、虫の息(あるいは忘我の域?)になっている、変態7人衆の姿を横目で見ながら、車田はそう呟く。 できるなら最低でも、変態含有率は、ひとりにとどめておきたかった。 そのときであった。 井上が開け放たした扉から、新たに二人の人物が入ってきたのだ。 その二人は、奇妙なことに、どちらも道化師のような出で立ちをしている。 そして、そのうちの一人に、車田は面識があった。 車田「藤崎!おまえも無事だったか」 藤崎「車田先生、一日ぶりだのう」 道化師のひとりは、藤崎であった。 ゆで将軍戦以来の再会である。 車田「藤崎、おまえにも荒木の行方は分からんか?」 藤崎「ああ、あのときは自分だけ生き延びるのに精一杯で……荒木先生までは」 車田「……そうか」 掴みかけた手がかりを、また失ってしまった車田。 しかし、落胆している暇はない。 車田「ところで、藤崎。そっちは誰だ?」 もうひとりの道化師を指して、訊ねる車田。 藤崎「あ…ああ、紹介が遅れたのう……。 実は、車田先生が人材に困ってると聞き及んで、わしが助っ人を頼んだじゃよ……。 わしの知り合いの漫画家なんじゃが、まだ名は知られてないが、腕はわしが保証する。 差し支えなければ、ぜひわしと一緒に、チームにくわえてほしい」 藤崎がどこか落ち着かない様子でそう前置きすると、タイミングを待っていたように道化師は口を開く。 常に最悪の予想の、さらに斜め上を行く者に、ふさわしい笑みを浮かべながら…… 「今井です◇ はじめまして♥」
おお! 主人公チームが一気に戦力増強だ!
なんかすごいのキター!! 格闘家対決もガンガレ
成る程。 たしかに軽薄で節操が無い
>ジャンプ漫画家は死亡確認されても死なないのが信条である。 ここにワロタw
FW 車田 富沢 大和田
MF 許斐 藤崎 今井 高橋
DF あんど X仮面 井上
GK 岸本
ベンチ あんど あんど あんど あんど あんど あんど
「すげぇ…流石は高橋陽一だな」
車田が感嘆の声を上げる。
控え室に再度召集されたえなりチームは、
高橋という強力なサッカー漫画家をブレインにポジションをより常識的なモノに組み替えたのだった!
「前の案(
>>129 )を見ていて思ったんだが…」
高橋の言葉に信憑性と重みが込められ、一同の喉がゴクリと鳴った。
「見たところ富沢くんの脚はGKよりFW向きだ。なにかスポーツでもやってたかな?」
高橋が珍しく冗談まじりに言った。
もちろん高橋と井上、旧ジャンプスポーツチームの面々は村田が富沢と名乗っているのは知っている。
しかし本物の富沢がどこに行ったのか等を説明するのが面倒なので秘密のままにしているのだった。まあ富沢だし。
「い、いえ…ちょっとパシリをやっていただけで…」
思い当たることがあるのだろうか。
車田と岸本は富沢について、井上と許斐は村田についてうんうん頷いている。
「攻撃重視ということで、突破力のある車田くん、大和田くん、そして富沢くんの3トップで行こう」
「私がフォワードになったからには大船に乗ったつもりでいろ!」
この大和田、野球に引き続きサッカーのルールもよく知らないとことは誰も気づいていない。
「FWにボールを繋げるMFは、テニス仕込みの運動量で許斐くん、
トリッキーな藤崎くんと意思疎通ができそうな今井くんのコンビ、
そしてMFが本職の俺がやる」
「いいすよ」
「任せて♠」
「必殺シュートがある私とX仮面は先発出場しておこう」 大和田はやはり自信満々だ。 「俺は勝手にやるぞ…」 「こうなったら特訓だ!必殺シュートが出来るまで俺がコーチする!」 陽一の目が燃えている!陽一の心が餓えている! 「でも試合は!?」 「試合より必殺シュート!編み出した人からグラウンドに駆けつけるんだ!」 「「「「「「「フォォォォォッ!揃うまでは私達のコンビネーションで食い止めるぞッ!」」」」」」」岸本も先発出場の意思を示す。 こうして現時点では一人少ない十人でのスタメンが組まれることになった。 FW あんど 大和田 MF あんど あんど あんど あんど DF あんど X仮面 あんど GK 岸本 特訓中 車田 富沢 許斐 藤崎 今井 井上 指導中 陽一 「試合開始までには最低でも一人は必殺シュートを覚えさせる! 覚えた選手からピッチに向かわせる! だからなんとか持ちこたえてくれ」 こうして、陽一の指導力にえなりチームの運命が任せられることになってしまった。 果たして序盤の×えなりチーム○あんどチームに勝ち目はあるのか? 試合が終わるまでに全員が出揃うのか? 泣いても笑っても、試合開始まであと僅かである。
「相手FWの猛攻を抑える要のDFには高さを活かして井上くん、 どんな当たりも止めてくれる(しかも心が痛まない)あんどくん達で、 サッカー経験者のX仮面くんにディフェンスラインの構築を任せた!」 「フォォォォォ!あんど2〜7号!先に失礼するッ!」 「「「「「「フォォォォォォォォォッ!!」」」」」」 「最後にGKの岸本くんなんだが…これは彼の志願だ。敏捷で反応もいいから適役だとは思うが…」 「手を使えるのがここだけだった。それだけだ」 何か企みがあるらしく、それきり岸本は黙ってしまった。 「ということだそうだ。これで新生えなりチームの布陣は整った!」 前回のチーム編成とは違う、目的に向かって一直線に突き進む炎が皆の目に宿った! これだ!これが少年漫画だ! 「それじゃあみんな! も ち ろ ん 必殺シュートは持ってるな!」 陽一ぃーッ!お前もかー!? 「「「 何 そ れ !?」」」 常識的な反応を示したのは村田、井上、藤崎。 「テニスならあるんすけどね」 と許斐。 「生憎「サッカー専用」のモノはないね♣ちょっと調整が必要かな♥」 と今井。 「あるぞ。とっておきがな」 と大和田。 「やっぱり必殺シュートか…X仮面はあるらしいんだが、俺とあんど達、富沢、岸本はまだないんだ」 「それじゃあ勝てないぞ!!いや、五体満足でグラウンドから戻ってこれるかもわからない!」 「そ、そうなのか!?」 「残念ながら…必殺シュートがない俺たちはGKでいうと若林くんどころか…」 「若島津か!?」 「いや…森崎くんだ…」 「「「森崎くんだってー!?」」」 (中西太一じゃなくてよかったね♦)
しかし……もしえなりが合流しても参加できそうにないほど完璧な布陣だなw
結局こうなんのかよ!w まさに完璧…ベストイレブンだな、どんな試合になるのか予想もつかないぜ…
>>111 >>269 えなりチームに恐るべき布陣が誕生した頃――
――ガンガン控え室では。
「分かった、ここは俺がぬけよう」
そう言って、騒がしいスタメン争いを制したのは、城平京である。
「いいのか、城平?」
「俺の役目は本来、作戦の立案だ。正面からの直接戦闘は、あまり好むところじゃない」
カムイに対して、そう答える城平。しかし、本心はというと――
「それに昼間は眠くてな。これでも吸血鬼だから」
「大した軍師様だ」
まんまと労働を逃れた城平を、安西が皮肉混じりに揶揄した。
「さて、メンバーも決まった。布陣は――まあこの際、もうどうでもいい。
どうせ、ほとんどが素人の集まりだ。臨機応変に決めればいい」
「テキトーだなあ、カムイさん。やっぱ寝不足?」
「衛藤さん、彼には妖精が見えてるんですよ、そっとしときなさい」
金田一がそう言ったときであった。
控え室に備えつけてあったテレビに、突如、新情報が映し出されたのだ。
『さて、試合開始まで残り10分を切ったところで、大変な情報がとびこんできました!
当初、アクシデントによるメンバー不足が懸念されていた、えなりチーム!
そのえなりチームに、強力な助っ人が続々と参入したとのことです!
試合直前にして、えなりチームは磐石の布陣を手に入れた模様!
これから、全えなりメンバーを紹介させていただきます!!』
――ガンガン控え室に激震が走った。
えなりチームの様子を速報で伝えるテレビ。 簡潔なプロフィールの紹介を兼ねて、次々と映し出される、えなりチームの強豪たちを目にしてカムイ達の表情が熱を帯びていく。 「岸本斉史――奴が、あの男の後継者だというのか?」 かつての師・大友の御墨付きである岸本の姿に、カムイが静かに沸き立つ。 「イヤなツラしてやがる――どうにもカンにさわるぜ、あのピエロ野郎」 薄笑いを浮かべる今井の貌に、嫌悪感と敵愾心を感じる安西。 「井上雄彦――悪いけどけじめだけはつけさせてもらうわ」 赤いリーゼントの侍の絵に、ある決意を抱く高橋留美子。 「ジャンプスポーツ――高橋陽一。私は勝つ、勝ってあんたが間違っていたことを必ず証明してみせる!」 まさかの因縁の対決に、樋口の表情が真剣味を帯びていく。 「テンション、上がって、きたぜ――――――――!!」 映し出された大和田の映像に、一層の闘志を燃やす土塚。
「あの人、変な生き物に乗ってるなあ。僕のヨンヨンとどっちが変かな?」 藤崎に興味を抱く衛藤。 「随分と小さい人ですね〜。今の私と同じくらい小さいかも」 富沢(中身は村田)の姿に、くすりと笑みをこぼす水野。 「ウホッ、いい筋肉」 マッチョ&サ○好きという因果な嗜好を持つ柴田亜美が、あんどの鍛え上げられた筋肉を見て舌なめずりする。 「おのれイケメンめ〜〜。目にもの見せてくれるぞ〜〜」 許斐に対し、なにやら暗い方向に燃える椎名。 「カ…カッコイイのだ、あの仮面!!」 X仮面の格好に、何やら感銘を受けた雷句。 そして―― 「フッ――ついに決着をつける時が来たようだな、車田よ」 (ええっ!?そんな因縁、いつ発生したんだ!?) ニヤリと妖しい笑みを浮かべる金田一。 ついでに、心中で律儀に突っ込みを入れてやる村枝。 新たに判明した敵の姿に、あらためて闘志を燃え上がらせるイレブン。 試合開始の時は、近い。
金田一でオチキター いよいよ試合だなこりゃ〜ワクワクするぜ!(安西のマー漫画CM調)
(
>>160 >192の辺り)
福本に指示され、板垣に狙われているという川原を、
モメ事が起こる前に連れ戻しに向かったはずの裏御伽トリオの2人は、
片割れのにわのが昨日からの疲労で腹を下してしまい、
ふたりは闘技場3階の男子用トイレで足止めを食らっていた。
「ああもう!この非常時に!とっとと出しちまえバカ!!」
岡村がいよいよ鬼神変形しそうなほどに怒りながらトイレの外の廊下で叫ぶ。
『いやーこれが・・・な、なかなかパワフルで』
「解説はいいっつーの!これっぽっちも聞きたくねえよっ!」
大用のドアの向こうから発せられる、情けないくぐもった声に岡村がツッコむ。
『ボ、ボクの事はほっといて先生を捜してきて・・・』
「あのなー、俺だって心底そうしたいが、
その川原に監視役にさせられちまったんだよ、あ・ん・た・の!
なんでもいいからなんとかしろ!!そのドア叩っ壊すぞ!!」
『やだーヘンタイはんたーい!』
「誰のせいだと思ってんだー!」
ドアの向こうにバケツ水をぶっ込んでやろうかと思った岡村は、
掃除用具入れのあるトイレ奥に向かい、ついでに小さな窓から外を眺めた。
3階からだと“地下闘技場ブロック”が遠くまで見渡せる。
ここは矢吹の趣味で建てられた様々な会場が混在するのだ。
上層で隣り合うBとCブロックの間に造られた、巨大戦艦矢吹艦の中心部。
恐らく矢吹とその軍隊が居を構えている中枢に近いのだろう。
正確な場所は軍関係者の一部にしか知らされていないようだが・・・。
空バケツを持ちながら岡村がブロック内の人工的な自然を見渡す。
奇麗な桜並木が立ち並ぶ公園に口笛を吹いた──と、岡村の眼前で、
桜の枝の一本が不自然に揺れ動き、やがて突然倒れた。
「!!? ・・・あの下にいる!!もう闘っていやがるのか、急げバカ!!」
『ええ〜!?こ、こーなりゃトイレごと移動を』
「できるかーーーーっ!!」 果たして2人は戦場に辿り着けるのだろうか?
どっかの中学生か?おまいは<バケツ水
281 :
前哨戦 :04/11/25 18:20:14 ID:eq3H5RZ3
>277 ―――カッコよく対立の図式が出来上がったものの。続けて顔写真と共に報道されたえなりチームのスターティングメンバーに ガンガン&サンデーチーム(主に女性陣と椎名)からどよめきと悲鳴がわきおこる。 FW あんど 大和田 MF あんど あんど あんど あんど DF あんど X仮面 あんど GK 岸本 そうそれは、ある意味においては黄金五聖人が勢揃いするより厄介なスタメンであった。 折角盛り上がっていたガンサンチームのスタメンも、何人かが(主に女性陣と椎名が)既に引き始めている。 「―――カムイ、カムイ」 そんな中、部屋の隅で本格的に寝入ろうとしていた城平が、あくび混じりにリーダーを呼ばった。 「相手の布陣も分かったことだ。とりあえずの策というか、方針をやる」 そう言って、近付いてくるカムイを座ったまま見上げる。 「―――ひとつ 一見、危険極まる敵スタメンだが…………惑うな。これは『チャンス』だ。 『ジャンプ』のお約束通りなら、車田正美や他主力陣はチームが一定以上ピンチになるまで現れん。 そうだな―――おそらく、秘密特訓にでもかまけているんだろうし」 大当たり。 「ならどうすればいいか? あくまであんど&あんどは『ある特殊な方面において強大である』だけ。 真の主力が揃う前に、『サッカーの点数』で大差を付け、引き離しておけばいい。 相手はツートップ。ならこちらは前半、全員フォワードでもいいくらいだ」 一見暴論だ。 しかし、これをえなりチームの比較的頭の回る者達が聞けば、的確な指示だと認めたろう。 「ふたつ あんどに対する女性陣の嫌悪を、最大限利用しろ。相手に自分から近付く必要のあるフォワードはともかく ディフェンスに使えば、これほど精神的に『利用』出来る状況も無い。おそらく少人数でも、死ぬ気で跳ね返す。 それに『上手くすれば』、ボールより『女』にあんどが群がるかもしれんしな」 チームの女性陣が聞けば、自分達をなんだと思っているのかと憤激するであろう台詞。
敵も味方も公平に作戦に組み込む、城平京ならではだ。 「みっつ 策というより、メンタル面の忠告だが、『これがサッカーだという事を忘れるな』。 敵は強い。これが単純な一対一の戦いなら、こちらに勝てる人間が何人居るか……。 だが『サッカー』である以上、勝敗は『ボールを相手ゴールに叩き込む』 その、積み重ねのみで決まる。 特に相手チームがすぐ脱線するタイプだからな。闘志を燃やすのは悪い事じゃ無いが……つられるなよ? ……………個別の性格を考えれば……こんなものか」 FW カムイ 土塚 安西 雷句 衛藤 柴田 MF 樋口 椎名 DF 留美子 水野 GK 金田一 話途中も手を動かして適当な紙に書き付けたポジション表を、カムイに渡し。おおきくまた欠伸する城平。 「……サッカーのルールについては、さっき入門書を斜め読みしただけだからな。専門家……樋口より村枝がいいだろう。 あいつに見せて、必要なら微調整してもらえ」 そして、また興味を無くしたように長椅子に横になる。カムイは、チームの参謀のそんな姿に苦笑する。 「……多分な、お前より俺の体の方が、睡眠を欲してるぞ」 「かもな。だが……ふぁ〜〜あ…………お前が……出ないワケにもいかんだろ」 「…………」 寝言のように続ける城平。 「安心しろ。水野には一応オフサイド………仕込んで……どうせ人数欠けたら……俺だって出ることに……」 「…………」 「報道が………そろそろ、こっちにも来る……対応されても面倒だから………ギリギリまでスタメンは隠せ……」 「……ああ」 「…………おやすみ……がんばれよ」 「……おやすみ」 試合開始はまだ数分先。 しかし既に、ある種の戦いは始まっていた。
>>77 >>281 「くそっ、くそくそくそくそ!何故メンバーが追加されたのにあんどを外さん!」
発表されたスターティングメンバーに矢吹は苛立ちを隠せない。だって、折角あんどを見ないですむと思ったんだもん。
「これではますますガンガン・サンデーチームを応援せねば……」
今一マイナス思考から立ち直れない。
「逆に考えれば、だ。変態どもがまともなサッカーなぞ出来るはずもない。
変態行為にバシバシ反則とってとっとと退場させてしまおう。理由は……サッカーは紳士のスポーツだ。うんこれでいこう」
早速浮かんだ名案を実行に移すため、矢吹は電話に手を伸ばそうとする。
その時、聞き覚えの有る空間が歪められる音がした。
「久しぶりですね、矢吹」
「…………ほったか」
『幽玄の間』経由の空間移動で姿を現したのは三人の漫画家、ほったゆみ・鈴木信也・佐倉ケンイチの三人である。
「自らの役目を忘れ何処に行っていた?」
正直今の今まで自分が忘れていたがそんな事は棚に上げる矢吹。
「いえ、ただ真島に怪しい動きがあるようで調べていただけです」
「怪しい動き?どんなだ」
「真島の監視役である小畑と連絡が取れません。何らかの方法で小畑を行動不能な状態に陥らせたのでしょう。これは契約違反です」
「あの男が何時までも大人しくしているわけないか……で、そんなこと一々報告せずとも良いだろう。
違反者を裁くのはお前ら帰書文の役目ではなかったか?」
矢吹が威厳を取り戻し、更に問い詰める。
「それにだ、その後ろの女は何だ?誰が勝手に鈴木を動かして良いと言った?……ほったよ、契約違反をしているのはお前ではないのか!?」
矢吹が机を叩いた音がVIPルームに響き渡り、矢吹はほったを睨み付ける。 ほったは平然とした顔をしていたが その音と矢吹の持つ帝王の気迫に佐倉は恐縮した。 ――無理だ。やっぱり失敗だった。 後悔の念が佐倉を襲う。ここに来る前にほった達は策を講じていた。それは…… ――先に封印するって言ったって……絶対無理だよぉ ・・ 手に持っている封印アイテム『クリスタルプリズン』。これによりあの矢吹を封印してしまおうとほったは言うのだ。 ――絶対に無理だよ。だって使っちゃったら私まで封印されるし、それにこの封印自分の作品の中でも解けてるのよ!洞窟が崩れた程度の衝撃で! この人相手に封印なんか絶対に無理無理無理無理かたつむりよ! チリン チリン チリン 半ば混乱し、まともな判断がつかなくなりかけていた佐倉の耳に張り詰めた鈴の音が聞こえる。 ミチ 「道を通せば角が立つ。倫をを外せば深みに嵌る。邪心野心は闇に散り、残るは巷の妖しい噂…………」 「誰だ!?」 誰も居なかったはずの部屋の隅から、みすぼらしい格好をした行者――森野が姿を現した。 「名乗る名もねェ身分の低い者でやすよ……漫画界の帝王、矢吹健一郎様とお見受けしやす」 「どこから入った、答えねば今ここで斬るぞ」 幻想虎鉄を具現化させ、真っ直ぐ森野に向けて突きつける。 だが森野は動揺することなく言葉を続ける。 「奴のような無宿人何時でも切れやしょう。その前に奴の話を聞いてはくれやせんか?」 「聞く耳もたんな、ただでさえこっちは取り込んでいるんだ」
「お時間は取らせやせん、ただ矢吹様の御耳に入れてェ事が御座いやす」 矢吹は斬ろうとした。幻想虎鉄の刃は伸縮自在。何の動作を取ることなく刃を伸ばしこのみすぼらしい 侵入者を殺すことが出来る。殺したところで隠蔽することなぞ造作も無い。 だが、斬れなかった。 矢吹にはどうしてもこの男を斬る瞬間をイメージ出来なかった。 ――ただ者ではないか そう悟り、話を聞くことにした。 「へェ、それでは早速。『神』が復活したって事は御存知でやんすか?」 「……その話を信じろと?」 その場に居た全員に緊張が走る。特に佐倉なんかはその辺りをネタにほったと手を組んでいるのである。 「信じる信じねェは矢吹様の勝手……ですが事実で御座いやす」 「………それが本当ならマズイな」 ゴットハンドが矢吹軍より遥かに勝る軍事力を持っているにも関わらず大人しいのは 偏に『神』の復活が最優先だからだろう、と矢吹は考えている。その目的が達成された今、ゴットハンドが大人しくしている理由は無いだろう。
「ゴットハンドが動き出すのか……」 「いえ、そんな事はありやせん」 別に誰に言ったわけでもない矢吹の独り言を森野ははっきりと否定した。 「寧ろゴットハンドは浮き足立って真朋(まとも)に動くことすらままならねェ状態だァ」 「何故だ?むしろ逆だろう」 「ゴットハンドの目的は『神』の復活。然し『神』はゴットハンドの手によって復活したわけではありやせん」 ――全ては狂言、嘘だったのです。 嘘……だと。 「何が……何処までが嘘だと言うのだ?」 矢吹はすっかり森野の言葉を信用していた。いや矢吹だけでなく佐倉もそうだった。 突如現れた謎の行者の言葉を、二人は何故か信じ始めていた。 ただ1人棋聖は静かに成り行きを見守っている。 「有る意味全てが嘘。ゴットハンドは『神』の復活」を目指している組織じゃ御座いやせん。 いえ、下々の者はそうでしょうが……頭は違いやす」 「頭……横山か!?」 反射的に叫び、矢吹の頭にはあの日の出来事――というよりあの夢を思い出した。 2パターンでの横山と対面。あのクソ爺ならばそんなこともやりかねない。
「横山様は『神』の復活を名目に軍を集め自らの独り善がりな野望を叶える御積り。 本当に『神』を復活させる気は更更御座いやせん」 「なるほど……だがその目論見は失敗したわけだな」 「いえ、この事実を知っているのは僅かな人数。此の侭ではいずれ横山様はこの事実を隠しにきやす。 その前に……矢吹様の御力でこの事実を大勢の方々に知らせるのです」 「人の戸に口は立てられぬというわけか、よし艦内放送で盛大に――」 「それは出来やせん。その様な放送を信じる人は僅か……ここは噂を流しやしょう」 「噂?」 噂とは……矢吹は率直に尋ねた。 「噂で御座いやす。【『神』復活の覚え有り、世界平安目の前に、神の軍勢祀るは何ぞ?】とでも」 「神が復活したと聞こえる。平和な世界ももうすぐだ。さて、ゴットハンドは何を復活させようとしたのだ?……というとこですか」 妙に古風じみた内容をほったが訳す。 「そういう噂を流せばいいんだ?」 「ええ、そうすれば横山様も手は出せないかと」 「よし、早速我が軍の工作員達にそのような噂を流させよう」 言うが早いか矢吹は電話を手に取り、唾を飛ばしながら指示を出していた。 チリン。 オンギョウシタテマツル 「御行奉為――――」 森野は静かにそう呟くと、闇のように消えていった。
1レスに何行入るんだ?おかげでチグハグな感じになてしまった。
チグハグなのは俺の日本語か……OTZ
確か、最大で30行ぐらいだったと思う。
32行だよ。健一郎でニガワラ 前スレ落ちたな
正確には32行だったかな それにしても、この森野の言い回しは何と言うか非常に難解だな…… 『復活した神』って誰のことだろう?
すまん、かぶった……
やべ、健太郎だった。あれ?健太朗だっけ? くそ、脳内変換してくれ……OTZ 全く『いたせりつくせり』だな!
神乙(謎) 神という存在は力を継ぐ者のパワーソースであり固有名詞であるのだろうなあ
つか、事実上の最大戦力相手に情報操作なんざ意味無いことは 近年のアメリカ見てりゃわかることなんだが、さて?
あんど地獄でテンパッてるんだよヤブーキ様も
>>228 甲板上で対峙する5人。
最初に動きを見せたのは、田口であった。
しかも誰に攻撃を仕掛けるでもなく、甲板の淵まで無造作に移動しただけだ。
「……他に目当ての敵がいるのか?」
和月が尋ねると、
「…………」
田口は無言のまま、ククッ、と機械的な動きで頷き、
そして、黒い上着を翻しながら、甲板上から消え去った。
(……一番、厄介そうな相手が真っ先に消えてくれたっすね)
福地が心の中で少しだけ安堵する。
居合わせた4人の敵の中で、福地が一番警戒していたのが田口だった。
おそらく田口という男は、今の自分に一番近い性質を持っている。
自分と同じ、“何も持たず”、そして“何をするにも躊躇しない”タイプ。
戦うにあたって、一番やりづらい相手というのは、自分と同じタイプの敵だ。
ゆえに、福地は真っ先に田口を処理したいと思っていた。
それが相手の方から戦線離脱してくれたのだから、僥倖だと言える。
無論、自分が楽になった分のしわ寄せは他のところに行くだろうが、自分が対処できる敵の数は限られている。
少しばかりは、他の者に苦労してもらっても罰は当たらないだろう――福地はそう結論した。
福地にとっての最優先は、いかに効率良く敵を撃退するかであり、
一時的にしろ田口を放置すれば、どれだけの損害が味方に生じるかなどいうことは埒外にあった。
ともあれ、これで当面の敵は3人。
そのうちの2人――和月と山賢は、互いに好戦的な笑みのまま睨み合っている。
そして、もう最後の1人―――
「!?!」
その姿を追おうとしたとき、福地の双眸が驚愕に見開かれた。
(……居ない!?) そこに在るべき最後の1人の姿は、甲板上のどこにもなかった。 この死のリング上にあって、確認できる者は、自分と、対峙している和月・山賢だけ。 それ以外には、姿形・影はおろか、一切の物音すらしない。 しかし、福地の本能は、戦場にただよう違和感を警報と化して鳴らしている。 (いっ…いや、居るっす!!姿は見えないが……確実に最後の1人がここに……!!) 気配とも呼べない、かすかな違和感を頼りに、手探り状態で索敵を続ける。 そのときであった。 「『時の支配者(アイオーン・クロック)』 大 暮 維 人 」 何もない目の前の空間から、唐突に亡霊のごとく人間の腕が出現し、福地の頤をつかんだ。 続いて、腕の上方の空間に、今度は眼帯をした男の顔の輪郭が徐々に浮かびあがってくる。 「カワイイ顔だな、“潰してしまう”には惜しい」 そして最後には、何やら物凄く嫌そうな表情をした福地の顔を上向かせながら、 それを覗き込むように見ている男の全身像が白日の元にさらされた。 眼帯の男――大暮が、睦言のように囁く。 時 よ 止 ま り な さ い
天空に、主を亡くした船が一つ、浮かんでいる。 黒船、と呼ばれる怪船である。 その巨大な背。 そこから、下界、そして他艦の紛争を遠望する影が二つ―。 一人は、巨大な体躯を持つ、獣のような闘気を発する男。 彼の利き腕には、まるで彼自身を象徴するような大身のジャックナイフが握られている。 その男と相対する位置に立つのは、対称的に渋いスーツを着た、静かな雰囲気の男だった。 その頭に深く被られた帽子―鍔で双眸が隠れるほどに―が無ければ、一見どこにでもいるサラリーマンと見えなくも無い。 ただ、彼のスーツに覆われた肉体は、隠し様も無く鍛え上げられており、やはり尋常の人では無いことがわかる。 黒船の周囲は不気味な程の静けさを保っていた。 まるで、彼らの他に―黒船そのものすら―生者が存在しないかのように―― 「無様なもんじゃねえか」 にやにやと、笑いながら獣のような男が言った。 無造作な態度であるが、彼はそこに存在する―― ただそれだけで周囲の空気を悪濁させ、常人なら数分足らずでへたり込ませるような強烈な威圧感を放っている。 だが、対する男は、その瘴気の域まで達した威圧をまるで感じていないかのように、けろりとした表情を浮かべている。 「どうも、そのようですね」 と、言った声も落ち着き払ったもので、柳に風という言葉を全身で体現しているかのような老獪さである。 しかし、その老成した態度とは不釣合いな程、その顔立ちは若々しい。
「七騎士のうちニ部隊を投入し、更には十傑集の援軍を受けて尚、 戦況は五分かやや不利――確かに無様。局地戦においては、ですが」 「ほう?」 興味深けにその意味を問う視線に答える様に彼は戦場を指差す。 「オメガ7とエリア88は元々軍隊であり、その戦果を正しく量るとすれば、対象は特機隊でしょう。 と、すれば戦況は、事実上五分。特機の実績を鑑みれば、これは十分よくやっている、と見て問題無い。ならば―」 ついと、指先を動かす。その先に見えるモノ、それは、黒船により生み出された怪物。 「後は、局地的戦力をこちらも放出して、戦局を不利に傾ける要素を潰していけば――」 刹那、怪物の体が、下腹部から脳天に至るまで一気に刺し貫かれた。 何事かと特機隊がそちらを凝視した時にはもう、怪物を刺し貫いた何かは消え去り、ただただ死骸と化した怪物が残るのみ。 その時、地面をしゅるりと、一個の奇怪な目玉が蠢いたのを見たものはいない。 「こちらの勝利は揺るぎ無い」 締めくくる男の言葉。 その時には既に、エリア88の怪物の大半はひっそりと駆逐されていた。 「なるほど、な。表のオメガ7の影で、既にもう一つ七騎士を投下済みだったというわけか、 流石は新参者でありながら七騎士の統帥権を与えられているだけのことはある。が、これで果たして勝利まで?」 「行かぬ、でしょうね」 問う笑みに応ずるように、唇の端を釣り上げ、七騎士の男は言った。 「ぱっと見るだけで、九大天王と並び賞せられる機人、十二使徒。 そして、最後の大隊…これだけの豪の者。流石に景気良く駆逐することは不可能。だから、待ちます」 「待つ?」 「そう、まずは戦力の到着を待つ。そして、この闘争が交じり合いゴッドハンド対他ではなく、 混戦と化したその機――最高のタイミングにおいて、」 「――横合いから殴りつける、ってか?」 七騎士は、薄笑いを浮かべてそれに答えた。 それを見つつ、男は黒船の背を歩きNeo-Zの方に視線を向けた。 大口を空けて欠伸をしているのは、柄にも無く賢しい問答をした影響であろう。
「しかし、小学館の裏の大黒柱とも言われるお前が七騎士だと知ったら、 小学館の奴らはどんな顔をするんだろうなあ?」 七騎士の男は、帽子の鍔を傾け、 「まあ、理解してくれるんじゃないでしょうか? ――多分。きっとね」 と、深い笑みを唇に浮かべてつぶやいた。 ククク、と対する男は笑い声をあげた。 「お前はあの爺に良く似ているぜ。気に入った」 「それはともかく、貴方はここで何を待っているのでしょうか?」 「あん、俺か?」 くるりと振り帰って、男は言う。 「長いこと熟成させたディナーを、ちょいと味見しようと思って、な」 餓えた肉食獣の笑みを浮かべる、その背に―― ――深い、闇色の禍つ双翼が陽炎のように揺らめいていた。
>>299 鈍い音が響いた。
拳が手首まで顔に埋まる。
"大暮"の顔がゆがみ、二転、三転しながら殴り飛ばされた。
そして何事も無かったかのように笑って福地は鼻血のついた手を振りながら言う。
「ふぃー、あんなこと言うから一瞬、本当に時を止められるのかと思ったっす」
大暮は動かない。よもや気絶はしてないだろうが、顔面に入った一撃が思いのほか効いたのか?
しかし福地は立ち上がろうとしない大暮を気にすることも無く、更に言葉をつむいでいく。
「超スピードで動くことで時が止まったと錯覚させる。まあ相手が悪かったっすね、俺の超身体能力なら見切れない速度じゃなかったっすよ」
そこまで言ったところで、ばん。と、大暮が跳ね起きた。
「あ、やっと起きたっすか?ひょっとしたらあれでくたばったんじゃないかと思ってたっすよ」
特に嘲る意図も無く、世間話をするように福地は話しかけた、が、大暮は下を向いたまま顔を上げない。
なおも声をかけようとした瞬間、ばね仕掛けのように大暮が顔を跳ね上げた。
その目に映るは狂気と怒り。福地の一撃により、完全にキレていた。
「こっの糞ビッチが!てめェは殺す!」
ぎゅん。
大暮のエアトレックが唸りを上げた瞬間、"福地"の目から大暮の姿が消えた。
そして次瞬福地の横面に拳が埋まり弾け飛んだ。
何故先ほどは避けられた攻撃が避けられなかったのか。
その理由は単純。
拳によるスピードは福地よりも遅い。が、エアトレックを使用した大暮の動きはそれを遥かに超える。
ただそれだけである。攻撃そのものは見切れても、その瞬間がわからなくては反応のしようが無い。
起き上がり、その度に殴り飛ばされる。 明らかに手加減された一撃、殺さずになぶるための攻撃。 もう何度目になるのか、殴り飛ばされた体勢のまま、高らかに笑う大暮の声を聞きながら福地は思った。 (あー、こりゃどうするっスか。流石にゴミを木にする能力だけじゃ無理っすねぇ) 和月と山賢も戦ってるらしく時折お互いの苦悶の声が聞こえる。 (どっちかに押し付けようと思ったっすけど、無理っぽいなぁ) 「どうした、ウンコクズ。とっとと立ち上がれよ」 安っぽい挑発を繰り返す大暮の声を聞き流しながら、ぬぼーと立ち上がろうとする福地。 その時、福地のズボンのポケットから電話の着信音が鳴り響いた。 「あ、ちょっとタンマっす。携帯に電話が入ったんで」 周囲の状況を一切無視し、大暮に言うと福地は携帯を取り出し、電話の相手を確かめた。 「あん?てめェこんなところに携帯を持ってきてんのか?」 怪訝な顔をし、福地へ問いかける大暮の声を無視し、福地はその電話の主と2言3言会話をし、そして再び携帯をズボンにしまった。 「待たせてすまないっす。横山様からの返事がやっときたもんで」 福地のその言葉に大暮が眉を顰め、 「横山だぁ?一体なんの電話だったんだよ」 答えるはずも無いと思いつつもそう福地に問う大暮。だが…… 「いやぁ、流石にこの人数はあの能力だけじゃ相手にできそうにないっすから、横山様に他の能力も使っていいかってメールをこっそり打ってたんすよ」 ほがらかに笑いながら福地はそう答えた。
「たった今、全部の能力を使って良いと横山様からお許しが出たっす。なのでとっとと片をつけさせてもらうっすよ。『電光石火(らいか)』」 福地の足にローラーブレードのようなものが装着される。 「ケケッ、俺の猿真似かよ。だがそんな格好だけ真似たところで「それじゃさよならっす」 ずぶっ。 「てかっ……がげっ! な゛、に゛……」 それは一瞬の事だった。動いたと気づく前に、後ろに回りこんだ福地の手から出た木が大暮の頭を貫いていた。 「何でかって顔をしてるっすね。死ぬ前に教えてあげるっすけど」 ゆっくりと木が枝を張り、大暮の脳が食い破られていく。 既に運動中枢は破壊されたのか、指一本動かせない。 「俺の超身体能力のスピード=あんたのスピード。電光石火=エアトレック。と、ここまではいいっすよね?」 もはや理解はおろか聞こえているのかも分からない相手に世間話をするように解説を続ける福地。 「で、ここからなんすが。電光石火は天界力で強化できるんすよ。つまりさっきの俺のスピードは素の速さ+電光石火+天界力での強化というわけっす」 枝が肉を破り外へと顔を出していく。 「本当は電光石火だけでも勝てたんすけど、手の内はあまり晒したくないし、それだとかなり苦戦もしたっすから、こうして一気に片付けさせてもらったっす」 大暮の体が一瞬膨らみ、 「まあさっきまで見えない速度で移動されてぼこられたことへのお返しだと思ってくださいっす。それじゃバイバイ」 弾けて、千切れて、落ちて、散った。 後に残ったのは血に染まった福地と木だけであった。 「さてと、和月と山賢。どっちが勝つっすかねー。まあどっちも殺すんすけど」
おいおいいくらなんでも福地よ〜ヽ(`Д´)ノそりゃねーんじゃねーの!? 昨日まで実戦経験なかったくせに説明なしでパワーうpとは福地のクセに生意気な
思わせ振りな新キャラ?といい、随分ややこしい事になってんな。 誰かせめてキャラ配置テンプレ作ってくれよー
邪推かも知れ無いが、タイトルがなんか狂者の作者っぽいね… デスゲーム開始の書き手の立場とか… まあ大暮も微妙に負け癖ついてるキャラだから仕方ない…か?
ぬぅ、ホワイテッドヴァンヴァイアがこうもあっさりと... こりゃあ、大暮はどこぞの天才少年の頭の中に入り込むしかないか?
IDが違うが、作者が別なら何気にすげえな。 二時間で書いたのかこれ。
化物と書いてケモノと呼ぶのは某修羅王子の漫画だね(ニィ あっちの勝負はどうなるかねえ
『エリア88甲板上』 ・福地(十傑集。遂に全能力解放許可が下りるも、満身創痍。和月vs山賢の漁夫の利を狙う) ・山賢(フリー。状況や気分次第で誰の敵にも成り得る。和月と戦闘中) ・和月(十二使徒。因縁の相手、山賢と交戦中) ・大暮(十二使徒。福地に敗れ、粉々にされた。生死不明) ・田口(十二使徒。他に目当ての相手がいるらしく、エリア88内部に移動) ※特殊ルール(海に落ちた者はデス様の餌になる) 『エリア88内部』 ・新谷(七騎士。生き残りの乗員を先導して必死に抗戦。しかし、部下を広江に鏖殺される。荒川・伊藤真美・伊藤明弘・広江と同じ場所にいる) ・伊藤明弘(十二使徒。意図は不明だが、広江と対決姿勢を見せる) ・荒川(ガンガン。エリア88に居合わせた為に戦闘に巻き込まれる。救助されたよしみで、新谷達と協力。) ・伊藤真美(ガンホー。戦闘理由は荒川とほぼ同じ。一時的に犬猿の仲の荒川と協力) ・広江(ガンホーまたはミカエルの眼。内藤を助けるという当初の目的はどこへやら、エリア88の乗員を鏖殺。伊藤明弘と対峙中) ・片倉(元ガンホー。成り行きでエリ8の争いに巻き込まれる。押井と対峙中) ・押井(特機隊隊長。大隊に属している。片倉と対峙中) ・内藤(ガンホーのボス。善化した。居場所不明) ・源文(七騎士。オメガを引き連れて、援軍に駆け付けた。特機隊と交戦中と思われるが正確な居場所不明) ・木葉(ガンホーまたはミカエルの眼。オメガ隊員に成り済ましているが、居場所不明) ・渡辺道明(ガンガンに居着けない不遇の勇者。源文に強制的に連行された。居場所不明) ・いとう(渡辺とよく一緒にいる、ゴッドハンドの下働き。居場所不明) ・謎の七騎士(正体不明。オメガの影で、黒船から排出された怪物を掃討) ※居場所不明の者が何名かいるが、少なくともエリア88内部にいることは確定している
『Neo-Z』 ・平野(大隊ボス。Z甲板上にて戦争音楽を指揮中、絶好調) ・七三(大隊博士。Z甲板上にて平野の側にいる。アルカディアの攻撃にちょっとビビリ) ・高橋葉介(大隊少尉。Z甲板上にて平野の側にいる。どこにでもいるし、どこにもいないかもしれない) ・黒田洋介(かつて、内藤や戸田の相棒だった。一度は死んだはずが、大隊にネクロライズされ、大隊の戦鬼として復活。Z甲板上にいる?) 『アルカディア』 ・ちばてつや(ゴッドハンド。遠く九州にいる王欣太に弓で狙われており、ひとまずは事態の静観を決め込む) 『黒船』 ・永井(ゴッドハンド。戸田を待ちながら、事態を傍観している) ・七騎士筆頭(正体不明。サンデーの裏の大黒柱らしい) ・倉田(この艦の主だったが、福地に殺された) 『その他』 ・戸田(反逆者。砂漠で戦った十二使徒を追い、エリ8に向かっている) ・MEIMU(ゴッドハンドの囚人。悪の仮面ライダー。ミラーワールドを通って、エリ8に向かっている) ・王欣太(ゴッドハンドに反旗を翻した純一戦士。遥か遠方の九州から、ちばてつやを弓で狙い挑発する) ※オメガ隊員、特機隊隊員、エリ8乗員、黒船の怪物等、名前の無いキャラは割愛
不備があったらよろしく。
乙 時間帯は準決勝日の午前中(朝方)ってところか。 柴田亜美が出没したり某副将が誘拐されてる頃?
バレバレだが、一応伏せてんのに永井暴露しちゃっていいの?
ちょっと気付いたので訂正 和月は十二使徒じゃなくて大罪衆 あと、葉介は少尉じゃなくて准尉
318 :
力と技 :04/11/27 20:17:34 ID:pZQnZnpb
>258 力と技が真っ向から激突する、互いに一歩も引かぬ攻防を見せる両雄。 「さあ、継続(つづ)きをやろうぜ川原…」 川原の放った『虎砲』により板垣の左胸には拳大ほどに陥没したような痕がくっきりと刻まれていた。 1トンに近いほどの衝撃力をまともに喰らったはず、である。 それなのに、板垣は倒れるどころか、片膝を付くことすらなく猛然と立ち尽くしていた。 恐るべきは驚異的な打たれ強さを誇る“鬼”の超人的肉体であった。 そして、掌のまま両腕を高く突き上げて両足をがに股に開く、巨大な羆を思わせる独特の構え─── 板垣がついに『本気の構え』を取った────! 「そうこなくっちゃなあ・・・・」 そう言うと、今度は川原が先に仕掛けた。 素早く踏み込んでの、電光石火の迅さで放たれる右上段廻し蹴りだ。 それを躱した板垣だが、川原はその廻し蹴りの勢いを利用してさらに回転を加えた後ろ廻し蹴りを放つ。 それすら板垣はなお素早く反応して片腕でガードを固めて防いだ、かと思われたその瞬間 ド ウ ッ 後ろ廻し蹴りが空中で軌道をかえて、板垣の股間に目掛けて直撃していた──! 真鍋戦でも見せた、陸奥圓明流――“紫電”である。 陸奥圓明流で最も恐ろしいのは投げ技にも関節技にもあらず蹴り技にある、と云われている。 高きから低きへと蹴り足を自在に変化させる――見事なのはそれを可能とせしめる川原の卓越した技量であった。
319 :
力と技 :04/11/27 20:20:01 ID:pZQnZnpb
「なっ・・・・」 しかし、痛恨の一撃を決めたはずの川原に突如として違和感のこもった困惑の表情が浮かんだ。 直撃を喰らったはずの板垣がその顔に苦悶すら浮かべず、まるで平然としていたのだ。 何より異様だったのは、男ならば誰でもそこに付いているはずの“アレ”を潰した感触が無かったことだ。 「あいにく、俺に金的は効かねェよ。 ケンカの前にキンタマを体内に隠すのは古武道家にとっては常識だと思ってたぜ……!」 「琉球空手に古くから伝わる『コツカケ』っていったっけ・・・ 確か、腹筋の操作で睾丸を腹へ引き上げちまう、っていう技法だと思ったが、まさかあんたが使えるとはね・・・・」 「さすがは川原、ご名答───」 そう云い終える間もなく、板垣の豪腕から放たれる渾身のフックが唸りをあげて襲いかかる! 川原はそれを掻い潜って接近戦を仕掛けるべく突っかけた。 風圧により顔面が歪むほどの拳だったが、ミリ単位で見切って躱し、相手の懐に潜り込んだ。 板垣がそれを両腕で捕えるように川原の体に組み付いたが、それに構わず相手の腹にぐっ…と拳を押し当てた。 2発目の『虎砲』を放つつもりだ───! 板垣の超人的肉体も、さすがに2発も喰らえばひとたまりもないだろう──そう計算に入れ、あえてリスクを承知で懐に潜り込んだのだ。 板垣の腹部に再び、凄まじい衝撃が走った。 だが、板垣はなおも倒れない。 それどころか一瞬動きを止めた川原をそのまま抱え上げ、変形のフロントスープレックスのような形で後方に反り投げた! 実は『虎砲』にはパワーを一気に解放するために、放った直後の一瞬 動きが止まるという弱点が存在していたのだ──。 板垣はそれを最初に受けたその時点ですぐに見抜き、そして今、2発目を喰らった直後にその弱点を突いて反撃したのである。 『虎砲』を2発喰らってなお反撃した板垣の化物ぶりに驚愕する間もなく、 川原は次に来る衝撃に備えて受身を取るべく身構え、さらに大きな痛手を被る覚悟を決めていた。 下は衝撃を吸収するリングの上ではなく、堅い地面である。 下手をすれば1発KOという事も十分にありえるのだ。 しかし、次の瞬間にはその川原の予想すら裏切る、凄まじい光景が展開されていた───。
320 :
力と技 :04/11/27 20:31:04 ID:pZQnZnpb
板垣の並外れた腕力と体のバネにより切り株でも引っこ抜くようにブン投げられた川原の矮躯が、 まるで重力を無視するのかの如く地面と平行に飛んでいたのだ! プロレスの試合で見られるような派手に大きなモーションで投げる見せ技ではなく、 決めるための真の意味でのスープレックスは“投げる”のではなく、“落とす”ものである──。 そう理解していたはずの川原の常識をあっさりと覆す、強烈過ぎる投げ───! こうなっては受身もほとんど意味をなさないのは言うまでもないだろう。 そのまま川原は為すすべもなく、その方向に直立していた桜の堅い幹に背中から思い切り激突した! バ キ ャ ッ 「ぐう・・・・」 激しく吐血しながらうつ伏せに地面に伏した川原の背に、今の衝撃で美しく舞い散った桜の花びらが降り積もる。 そのまま、桜の小山にうずくまる羽目となった。 その間にも板垣がズボンに手を入れながら、ゆっくりと歩を進めて間合いを詰める。 『虎砲』を2発もらってかなり効いているはずなのだが、外見ではそぶりも見せず、 その双眸から放たれる鋭い眼光はその勢いをさらに増していた。 しかし、やはり川原正敏、伊達に“修羅”と呼ばれし男ではなかった。 近付いて来る板垣の気配を察し、桜の花びらを払いのけるや、なんとすぐにヨロッ…と立ち上がったのだ──。 身体中の骨がバラバラになりかねない衝撃のはずだが、この男の耐久力も小柄な体型に似合わず常人のそれを遥かにずば抜けていた。
321 :
力と技 :04/11/27 20:32:27 ID:pZQnZnpb
「やっぱりすごいねえ・・・・。 『虎砲』を放って倒せなかった男は陸奥圓明流千年の中でも 数名しかいないというのに。 しかも・・・・二発放って なお反撃できたのは板垣恵介・・・・あんたが初めてだぜ」 「数百メートルの絶壁に己の体を転げ落とすことで身につけた耐久力だ。この程度で倒れるヤワな鍛え方はしてねェ」 「それに今の投げ・・・・。まるで重戦車だな・・・・それも超ド級の」 「“歩く核弾頭”──とでも言ってもらいたいね」 その怪物じみたパワーとタフネスを素直に驚嘆してみせる川原に対して、板垣が自身有りげに応える。 よく考えると核弾頭という例えは、破壊力ならともかく物理的なパワーを表す比喩にはなっていないのだが、この男が口にすれば何ともいえぬ説得力を有した。 ここまでの攻防にて、情勢は板垣にやや優勢に傾いてきたようであった。 2発の『虎砲』を喰らったとはいえ、巨木にまともに叩きつけられた川原のそれは板垣の比ではなかったからだ。 しかも、『コツカケ』を使いこなすだけでなく、『虎砲』の弱点を一撃で見抜くなど、 この格闘の鬼は馬鹿力だけではなく、しだいに超一流の技術、そしてその非凡なる格闘センスの片鱗を見せ始めていた。 数々の修羅場をくぐり抜けてきて、なお誰ひとりその不敗神話を崩すことは出来無かった男、川原正敏。 今までで最大最強の実力を誇るであろう敵を目の前に、かつてない危機を迎えていた────。
板垣つくづく強ええわ・・・・ やっぱ格闘系の中では頭ひとつ飛び抜けてるな
心配した傍から大ピンチですよ玉子様 しかしかなり面白い
>>305 「うー、痛たたた。あちこち切れてるっすかね」
額に手を当てた福地にぬるりとした感触が伝わった。
どうやら随分すっぱり切れているらしく、鋭い痛みが先ほどから額に走っている。
「それにしても殴られてできた傷のわりに変な風に切れてるっすねー。まるで文字のWか何かの口みたいっす」
手についた血の痕から傷口の形を推測する福地。と、その時、今までの中で最大の痛みが福地の額に走った。
―――――そして意識が失われる。
次に気が付いた時、福地はどことも知れない場所に一人でいた。
さっきまでいた看板ではない証拠に、山賢と和月の戦いの音がまったく聞こえない。
周囲を見渡すと、そこは何かの生物の中。もっと詳しく言えば何かの脳の中のようだった。
「一体ここはどこっすか?変な生き物に飲み込まれた覚えはないんすけどね」
この異様な情景をありえないと現実逃避せず、生き物に飲み込まれたと思うところはさすが漫画家というべきか。
しかし実際問題としてどうするべきか。流石の福地もどうすればいいのかわからずに立ち止まっている。
すると何者かの声が響き、それと同時に福地の目の前に何かが形を取り始めた。
「よーこそ、ここは地獄の一丁目。お帰りは自由ですが、その前に入場料としてお客様の命をいただきますってかぁ(笑)」
それは大暮だった。
ついさっき頭を貫き、バラバラにして死んだはずの大暮が蒼白の吸血鬼の姿でそこにいた。
「おいおい、何ボーとしてんだ?頭の中まで糞が詰まってるのかウンコクズ野郎。あのくらいで俺が死ぬわけねーだろ」 と大暮は言い。 「うーん、確かに殺したと思ったんすけどねえ。ひょっとしてあの状態から生き返ったりしたんすか?」 殺したと思った相手が生きていたことに特に驚いた様子も無く、世間話のように気軽に福地は口を開いた。 「そーともその通りよ。と言いたい所だが、実際は違う。流石の俺様の肉体もあそこまでやられちゃあ死ぬ」 「それじゃなんで生きてるんすか?」 「ケケッ、知りてーか?いいだろうとっくべつに教えてやるよ。 だがその前に言っておくが勘違いするなよ。あそこまであっさりやられたのはてめぇを舐めすぎて意表を突かれたからだ。 断じてお前が俺より強かったからじゃねぇ、そこんとこ勘違いしてんじゃねーぞ」 「はいはいわかったっすよ。それでどうやって生きかえったんすか?そこら辺が気になってしょうがないんすから早く教えてくださいっすよ」 「んじゃ、教えてやるが。――――ぶっちゃけ俺は生き返ってなんかいないぜ」 「へ?」 「種明かしはこうだ。ここはお前の心の中、そして俺様は俺様の精神だ」 「な、なんだってーーーー!!!っす」 「ケケッ、てめェのスピードが予想以上だったもんで一瞬反応が遅れちまって避けれそうに無かったからな。 どうせ致命傷を負うなら、この肉体は見捨てて、てめぇの脳に入り、てめぇの肉体を乗っ取ってやろうと思ったわけさ」 「なるほど俺の肉体目当てというわけっすか」 「そーいうこった」 「OK。賞品は俺の肉体。勝ったほうがこの肉体を支配できるってことでいいっすね」 「ルールなんざねぇ。全力を出しても見るのは俺とお前だけだ、出し惜しみは一切無しにしようぜ」 「それはこっちも願ったりっす。今度は完璧に殺してやるっすよ」 「そりゃこっちの台詞だぜ、ビッチ。てめぇの肉体は俺様が使ってやるよ」 有機的だった空間が崩れ、白い、何も無い空間が築かれていく。 互いの制約は何も無く、この空間では不確定要素のできごともない。 駆け引きも、意志の強さも含めた、持てる力を全て搾り出し、ぶつけ合い、強い方が勝つ。 そこにあるのは、ただそれだけの勝負。 「「それじゃ―――――第2ラウンドの開幕だ(す)」
王子負けないで負けないで王子 復活乙
口調にこだわる福地ワロタ
福地ガンガレ
グレキチファイトぉ 運動会みたいだなw
ただ闇雲に復活させたのでないところが上手いね だが、どっちが勝つにせよ、十傑と十二使徒のどちらかに欠員が出るのは避けられそうにないな
引き分けたらどうなるんだろ… そういや大暮ってもと十傑集なんだよな。 戸田とスクライドばりに戦ってたころが懐かしい。
そりゃあ共存してて、色々なきっかけでどっちかが顕在化するんじゃね?<引き分け そりゃあそれでおもろいかもなw
どう転んでも面白そうな展開だな。こりゃいいや。
334 :
再会、無情 :04/11/29 18:36:22 ID:MpWEoWFJ
>>179 >>298 ――伊藤真美は回想から舞い戻った。
そして、現在のこの状況。
新谷、広江、そして忽然と現れた伊藤明弘の三人が、互いに銃を突きつけあって対峙している。
荒川と伊藤真美は、固唾を飲んで事の推移を見守っている状態だ。
伊藤明弘の意図は不明だが、さしあたり広江と敵対する構えなのは間違いないと見ていいようである。
かといって、味方であるとも断言できない。(むしろ伊藤明弘の現在の所属を知れば、敵である事は明白なのだが)
いずれにせよ、完全な三竦みの状態になった以上、身動きのとりようがなかった。
――そのとき。
なにか黒くて丸いものが、硬い音をたてて、三人のちょうど真ん中あたりを転がった。
「――!」
真っ先に反応したのは、伊藤明弘だった。
転がる物体を足裏で踏みつけて止め、すぐさま通路の奥、遠くを目がけて蹴り飛ばす。
一瞬後、かっ、と白い光が通路を満たした。
続いて、空気が膨れ上がる感じがしたかと思うと、轟音が鼓膜に乱暴な体当たりを食らわせた。
爆風で吹き飛ばされた5人が、床の上をごろごろ転がった。
しかしもちろん、それが――手榴弾を蹴り飛ばすのがわずかでも遅れたら、5人はミンチ肉の仲間入りをしていたに違いない。
伊藤真美は、すぐに顔を起こした。音が全くしないのに気づいた。耳がおかしくなっているのだ。
無音状態、しかも爆煙によって視界が満足にきかない状況では、他の者の様子をうかがうこともできない。
――いけない、危険だ。まだ、謎の襲撃者は近くにいる。
急いで、この場を離れねばならない。このままでは狙い撃ちだ。
そう思った瞬間、得体の知れない寒気を感じて、伊藤真美は通路の向こうを見た。
長い廊下の奥に、誰かが立っていた。
爆光に眼をやられたせいで視界が薄暗く、そのためにその誰かは、通路の照明を背に、シルエットになって見えた。
335 :
再会、無情 :04/11/29 18:38:10 ID:MpWEoWFJ
真美は、目を見開くより早く、横ざまに跳び、すぐ側の部屋の中に飛び込んでいた。 同時に、シルエットの手の辺りが激しく火炎を噴き上げ、まだ廊下に残っていた真美のすぐ足の先を弾着の列が通過した。 真美は一気に緊張に歪んだ顔で起き上がると、そのドアをばたんと閉め、低い姿勢からノブをひっつかんで、カギをかけた。 聞き覚えのある銃声だった。まるで古いタイプライターのような音。 内藤を守るために死んだ仲間が、愛用していた銃と同じ音だった。 (――まさか!?) 一瞬、脳裏をよぎる恐ろしい想像を、真美は即座に否定した。 そんな馬鹿げたことがあるはずがない。 あの銃――イングラムを使う者はこの世にいくらでもいるし、そもそも“彼”は死んだ。 よしんば片倉のように生きていたとしても、その彼が自分に銃を向けるはずがない――そのはずだ。 いずれにせよ――ここを動くわけにはいかない。 なにしろ、相手はマシンガンを――あるいはそれ以外にも銃を持っているのだ。 銃器に疎い真美でさえ、そんな相手に正面から戦いを挑むことが如何に無謀な行いであるかぐらいは分かる。 ドア脇にぴったり張りついて、真美は部屋の内部を見渡した。 部屋はかなり広いが、まずいことに他に出入り口がない。 結果的に追い詰められたと言っていいだろう。 いや――今、あの“誰か”はどうしようとしているのだろう? 足音をひそめてこのドアの向こうに迫っているのか、それとも外でゆっくりと真美を待ち伏せするのか? いや、向こうにもそんな余裕はないはずだ。 早くケリを付けなければ、自分もまた、別の誰かに背後から狙われる危険があるのだから。 ――その通りだった。 ノブの周りを中心にドアが弾け飛び、ばん、と開け放たれた。 次の瞬間には、黒い固まりが部屋の中へ飛び込んできた。
336 :
再会、無情 :04/11/29 18:39:29 ID:MpWEoWFJ
真美は絶句していた。心に受けたあまりの衝撃ゆえに、二の句が接げなかった。 特徴的なオールバックにした髪。 ボクサーのガウンのように、袖を通さず肩に羽織った黒い上着。 そして、冷え冷えとした冴えた瞳。 果たして真美の前に現れたのは、彼女が“あり得ない”と断じた相手――田口雅之に他ならなかった。 よもや見間違えるはずもない、かつての仲間が、その手に持ったカステラの箱のようなサブマシンガンの銃口をこちらに向けるのを、真美は愕然としながら見ていた。 「……なっ、何故なのですっ!? 田口さんっ!?」 真美は声が震えることを押さえることができなかった。 「同じ“GUNG-HO-GUNS”の同志であった貴方がっ……どうして私に銃口を向けるのですっ!?」 銃口から身を隠すのも忘れて、真美は叫んでいた。 完全に混乱していた。冷静な判断など望むべくもなかった。 「――貴方は、内藤様のことも、私達のことも、忘れてしまったのですか!?」 それは責めるようにも、すがるようにも聞こえた。 真美が荒い息をととのえ始めると、沈黙が下りた。 田口は、真美の激昂にも構わず、その無表情を崩しもせずに銃口を向け続けている。 真美が、痛いほどの沈黙に耐え切れなくなり、再び声を荒げようとすると―― 「……覚えている」 「!!」 「――初めて内藤様に会った時のことも、“GUNG-HO-GUNS”の皆で共に戦ったことも……全て覚えている」 しゃべりながら、田口がイングラムの銃口を下げた。 真美の目のなかに、みるみる安堵の色が広がっていく。 しかし――田口は続けた。 「俺は、どっちでもいいと思っていたんだ」 そのようにそれは聞こえたが、真美は、目をしばたかざるを得なかった。 田口の言う意味がわからなかった。 田口の目の表情を読み取ろうとしたが、それは顔にできた影の中、相変わらず静かに光っているだけだった。
337 :
再会、無情 :04/11/29 18:40:51 ID:MpWEoWFJ
「――ど、どっちでもいい、とは?」 田口は首を少し伸ばすように顎を天井へ向けて持ち上げた。 明滅する照明が、端正な田口の顔に微妙な陰影をつくった。その姿勢のまま、田口が言った。 「俺には、時々、何が正しいのかよくわからなくなるよ」 真美には、ますますわけがわからなかった。田口が続けていた。 「今回もそうだ。俺にはわからない」 言葉を吐き続ける田口は、不思議にとても、哀しそうに見えた。 「とにかく」 田口が真美に向き直った。そしてそこから、田口の口調が、どこかにアレグロのサインでも見つけたようにこころなしか早まっていったのだ。 「俺は内藤様こそ従うべき主だと思っていた、だから“GUNG-HO-GUNS”の一員として戦った、内藤様を守るために命を賭けもした」 真美はごくりと唾を飲んだ。 「だが一度死んだ俺は、妖魔王直属の下僕――“十二使徒”として転生した」 それを聞いた真美は、内心で凄まじい衝撃を受けていた。 妖魔王――“神”と並び称され、神話として語り継がれる伝説の存在…… 田口が、その配下であると? 「そこで俺はコインを投げたんだ。表が出たら、これまで通り、“GUNG-HO-GUNS”の一人として内藤様のために戦う。そして――」 田口の言葉が終わらないうちに、真美はようやく気づいていた。 まさか――そんな―― 信じたくはなかった、そんなことはないはずだった。 内藤は王であり、そして自分を含めた“GUNG-HO-GUNS”の全員は、そのよき下僕であったのだから。 それは永遠に変わらない忠誠と、そして恩寵であるはずだったのだから。 そう――田口の今の髪型――オールバックのその髪型だって、田口が“GUNG-HO-GUNS”に入ったばかりのそのころ、内藤自身が勧めてそうさせたのだ。 『その方がいいよ、カッコいいしさ、田口』 そして、田口は、ずっとその髪型を変えていない。 それはつまらないことではあるけれども、しかし、真美にとっては、内藤と田口の関係を示す一つの象徴だった。
338 :
再会、無情 :04/11/29 18:42:04 ID:MpWEoWFJ
だが――真美はようやく気づいたのだ。 もしかしたら、田口は、もっと別の髪型にするのがただ、めんどうなだけだった、のではないのか? ほかにいろんなことを考えるあまり、そんなことには特に構わなかっただけではないのか? いや、それだけじゃない、確かに自分たちと内藤はずっと一緒に行動し、自分はそれを一種神聖なチームスピリットだと思っていたけれど、 田口にとっては、それは、ただの気慰みか、あるいは“ただの”――そう、ただの経験、何の感情も伴わない、ただの経験に過ぎなかったのではないか? そう、田口自身がいつか言っていたではないか、『こういうのもおもしろいんじゃないか』、と。 今、真美の脳裏に、随分前からたった一つだけ気がかりだったことが蘇っていた。 それはずっと、大したことではないと思って、ずっと心の隅っこで埃をかぶらせていたことだった。つまり、 彼女は、田口雅之の笑顔を一度も見たことがなかったのだ。 真美の次の思考は、さらに核心に迫っていたかも知れない。 ――そして、確かに頭がよくいろんなことを考えているふうに見えた。いや、それはその通りだと思う。 実際、田口は何をやらせても秀でていて、“GUNG-HO-GUNS”が行動を起こすときにも、実に鮮やかに計画を立て、そして実行してみせた。 田口のおかげで、チームは何度も窮地を救われもした。 しかし、その心の奥、実は、自分などには想像も及ばない深い闇が、あったのでは、ないだろうか? いや、それは、闇というのもふさわしくない、全くの無、何もない空間か――が―― あるいは、内藤は、もしかしたら、そのことに、気づいていたのではないだろうか。 もう、そこまで真美の思考が及ぶ余裕はなかった。 田口が銃口を下げたイングラムの、空になった銃倉を外し、新たな銃倉をセットしたからだ。 なんのことはない、銃口を下げた理由は、たったそれだけでしかなかった。 「――田口さんッ!!」 絶望的な叫びが真美の口をついて出たときにはもう、田口が、肩から羽織った黒の上着を揺らしていた。 再び、イングラムの照準を、真美にセットした田口が言った。 「裏が出たら、“十二使徒”として戦うと――」
339 :
再会、無情 :04/11/29 18:49:28 ID:MpWEoWFJ
かつての仲間として、あまりにも残酷な裏切りの最後通告。 次の瞬間、毎分950発のスピードで火薬を発生させる音と共に、真美の五体は穴だらけにされる――はずであった。 それを遮ったのは、どこからともなく飛来した、一本の“くない”。 その小さな刃物は、田口の冷徹な視線を切り裂くように眼前を通過し、その足元の床に突き立った。 「――!!」 即座に、田口の顔が、“くない”が投擲された方向に振り向けられる。 そちらにまっすぐイングラムを向け、撃とうとした瞬間、その視界が赤い何かに遮られた。 ――それが赤いコートだと気づいたときには、一瞬の目くらましによって必殺の銃撃を回避した影は、田口の背後に回っていた。 田口がそれに気づいて顔を上げ、銃口を持ち上げかけたが、その前に、その影が手にした槍の柄が、ばしっと田口の手首を叩いていた。 イングラムM10・九ミリモデルが、がしゃっと床に落ち、滑って、部屋の反対側の壁にぶつかって止まった。 「ハァッ!!」 田口に別の銃を抜く間を与えまいと、気勢と共に突き出された槍の第二撃が、田口の胸元をかすめた。 田口が槍に貫かれる直前、バックステップで回避したからである。 そして、二人が離れる段階になって、真美はようやく乱入してきた影の正体に気づいた。 「荒川さんっ!?」 真美が、その名を呼んだ。 だが、荒川の方には真美の安否を確かめている余裕はない。 裂帛の気合いを込めて、一気に攻め落とすべく、荒川の猛烈な連撃が始まる。 再会は無情に終わり、また一つの新たな戦いが、予告もなしに開始されたのだった。
ドキドキ(*_*) いや、ごめん 面白いよ 本当に
赤いコートっていうから、一瞬内藤が来たのかと思った
オレは“くない”っていうから新谷かと思った。 しかし田口vs荒川とは予想外だった。 新谷、広江、伊藤明弘の三つ巴も気になる。
俺も内藤かと まあどっちにしても面白れー
今の田口って三条みたいに一種の洗脳状態なのかと思ったら、デフォで桐山だったんかい 同じガンホー復活組の片倉が真っ直ぐな熱血漢なのと比べると、まさに対照的だな
(
>>282 )
克 『テレビの向こうの皆さま!試合実況も担当の克と橋口です!
いよいよ決勝トーナメント第一試合・ガンガン対えなりチームの試合が始まります!
しかしなんと、直前情報によりますとこちら(モニター画像)の控え室、
ガンガンチームは取材陣をシャットアウト!ピッチに出るまで全容がわかりません!
これも作戦のひとつなのでしょう。応援席に中継が出ております。桂さーん』
桂 『うう・・・二日酔いだわ仲間に忘れ去られるわで散々な桂です。
Dサイドにうちのあんどさんが出たらしいですが気になるところです。
ここ矢吹サッカー場はいよいよ盛り上がってきています。
頭が割れるように痛いです。メガプレDNAを発動させないように必死です。
見渡す芝のグラウンドは泣けるほど美しいです。ていうか眩しくて目に辛いです。
あ、今、両チームのベンチに動きが・・・うご・・・』
橋口『どうした桂よ』
桂 『あ、いや・・・酒が逆流・・・吐き・・・うぶぅ』
克 『はーいっありがとうございましたー!!では簡単な試合進行の説明に入ります!!!』
橋口『克・亜樹 必 死 だ な 』
克 『当たり前です!・・・さてサッカーの試合は前後半各45分の計90分!
専用単位で言うと90レス×2で180レス+ロスタイムの内で勝敗を決します。
同点の場合は延長戦、それでもダメだった場合はPK戦に突入します。
90レスを過ぎたキリのいいところで休憩時間に入ります。
なおルールは【肘から下の部分を使わずにボールを相手ゴールに運んで入れる】
これだけ憶えておけばなんとなかります。
細かいルールはその場その場で説明させていただきます。なお、
審判及び副審2名の計3名は、現在覆面を被っており正体は秘密です。
さあ、チームベンチに選手たちが揃い始めましたよ!!』
橋口『いろいろ役立ちそうな資料(サイト)だ。参考にするがいい』
→
ttp://www.jfa.or.jp/laws/index.html →
ttp://www.soccerkisoku.com 克 『気が利きますね。地下会場でヒョウとか降るんじゃありませんか?』
橋口『キサマ!私を愚弄する気か?減点2!!』
克 『何をどう減点するんですかっ!!』
桂 『あの〜お水ください〜おみ・・・おええっぷ』
橋口『ぬうう警備員!そいつをとっととつまみ出せッッ!!』
>>339 ―――同刻。
「……!……!!」
爆風を浴びる。爆風に煽られる。爆風が薙ぎ払う。
余人であれば打ち倒され、呻くしかないであろう爆風の中でなお、三者はそこに好機を見た。
灼熱の煙の先に敵の気配を感じ、引き金を絞る新谷。
爆発を躱すために、深く沈みこんだその影に向けた弾丸が放たれることは、やはり無い。
(―――ならば広江か!)
見えぬ敵を即座に看破し、新谷はその熱煙の中に予備弾倉を放り投げた。
熱が弾倉を、そしてその中の薬莢、弾薬を燃え上がらせる。
暴発。
人の殺意ならざる弾丸は、ガンスリンガーの能力をすり抜け、広江の頬を薄くかすめた。
僅かに流れる血の感触。頬を伝うその感触に喜悦さえ浮かべ、広江は新谷に銃口を向ける。
広江の姿を新谷から隠したように、広江にもまた新谷の姿は見えない。
だが見えている必要は無い。そういう力なのだから。
爆発の熱に乾く頬の血を舐め上げ、広江は引き金を―――新谷から逸らした。
広江が伏せて逃れた爆風を、"上"に躱した男の姿を視界の端に認めたからだった。
踊るように宙を舞う伊藤は、爆風にどれだけ揺さぶられようと銃口を広江から外していない。
そちらに銃口を向けつつ、もう一方の銃口を新谷に向け直す。
同時に。新谷が、伊藤が、お互いの姿を認め、銃口を向けあった。
―――そして爆風が収まる。
「……これはまた、ややこしい状況になったもんだな」
息を零すように新谷が呟く。
一触即発。爆炎を超えてなお、三人はまるで意図したかのように睨み合う形を取り直した。
「……"化け猫"は情報そのもの。爆風などものともしないはず。わざわざ躱さずともよろしかったのでは?」
「"化け猫"、"黒猫"、そう呼ばれるのは好きじゃあねェ。それにな……」
謳いながら、伊藤の頬に無邪気というには鋭すぎる笑みがよぎる。
火薬の匂いの染み付いた、"紅の流れ星"の笑み。
「―――俺は、誰が一番強ェガンマンかを決めにきたのさ」
異能など無粋。そして自らが何よりもまず"ガンマン"であるのだという絶対の自負。
語る伊藤の声が、そう雄弁に告げていた。
(
>>345 他)
間もなく試合が始まるサッカー会場で応援合戦の応酬が行われている。
屋内環境だが鳴り物が許可されており、サポーター達が騒がしく選手を迎える。
テレビ画面では克の実況もプラスされて、そりゃもうやかましい事この上ない。
静かな個室でベッド横のテレビをつけたまま熟睡していた、
ひとりの男があまりのうるささに目が覚めてしまった。
「うるああああ〜〜〜!!じゃかましいわあーーーー!!」
デストローイとばかりにTVモニターにリモコンを投げつける短気な男。
眠り強引に妨げられ、至極不機嫌な男は寝不足で寝ていた梅澤春人。
Aブロック某所・KIYU基地の一角であった。
「なんだなんだ、今のがなり声っつうか奇声はよ!
俺様の安眠を邪魔する奴は地獄に叩き落としてやるぜ!」
この男が言うとシャレにならない。迎え酒を煽りながら、
昨日は何してたかなーとか考えるが面倒なので数秒でやめ、テレビの音量を小さくする。
「お。サッカーか。キユが見たがるだろうなー」
と微笑んだ数秒後、応援席に立つ桂正和(なんとか復活した)の、
インタビューを受けている帽子の少年が画面に映った。
『この試合どちらが勝つと思いますか?』
『うーん、どっちでもいいよ面白ければ。ぼくも参加したいくらいさ』
少年は記念ボールを抱えながらにこやかに答える。
「どっかで聞いた声だぜ。まあいい、キユの部屋で試合見るか・・・」
部屋の主が画面向こうにいるのに気づかない梅澤。
ベッドから足を下ろすがボードに“サイクロプス”関係の報告書が置かれているのを発見。
「あん?なんじゃこりゃ。別府?やまと?裏御伽?
珍しいな、宇野っちが俺様に仕事を回すとは・・・よっぽど忙しいのか?
だが字が多くて読むのめんどくせぇー!!裏御伽って妙に気になる名だが、何だっけ?
まあいい、今はサッカーだサッカー!おーいキユ〜一緒に見ようぜえー」
酒瓶を肩に担ぎながら、梅澤は千鳥足で自室を出ていった。
相変わらず豪放というか考えなしの悪魔様であった。
>200 「いや〜〜、我ながらオレのケンカセンサーは優秀だよな〜〜。 あの、あらゆる格闘技を極めたと云われし伝説の拳聖・夢枕獏先生のケンカを生で拝めるとはよ〜!」 馬場康誌が本来は犬用の餌である『カリっとジャーキー(ほねっち入り)』に齧り付きながら呟いた。 先程まで宮下あきらに過剰なまでに頭を下げて忠誠を誓っていたはずの男とは、とても同一人物とは思えない図々しい態度をあからさまにしていた。 いつの間にかその顔は、刈り上げた金髪が黒く逆立ち、糸のように細い目は眉毛がつり上がって見開いており、凶悪な面構えと化している。 そう、この男もまた“鬼酒”を飲んで体に取り込んだことにより性格が凶暴化、本人のキャラまでも著しく変貌をとげていたのだった──。 「しかし、本当(マジ)で化けモン同士の対決だな。 宮下のオッサンが言った通り、残念ながらとてもじゃねえがこのオレの出る幕じゃなさそうだぜ……」 互いの肉と肉が激しくぶつかり合う激闘に、馬場は冷静に自身の実力を認めた上で、傍観者を決め込むこととした。 「見たところ、2人の力は互角……いや、もしかすると獏先生の方が上かもな。 これが格闘技の試合なら獏先生の勝ちも十分ありえる話だ。 ただ…………」 2人の実力を見比べながら独り言を続ける。 「これは本当の意味での何でも有り、ヴァーリ・トゥードな闘い、つまりはケンカだ。 どんな卑怯な手だろうが何でもござれ……こうなっちゃあくまで素手にこだわる獏先生にゃ分が悪い」 エキスが根こそぎ搾り取られ、やや薄くなった“鬼酒”をグビッ…と軽く口に含んで、さらに愚痴った。 「ともかく、オレにとっちゃハゲのオッサンに勝ってもらわないと困るんだよな〜。 せっかく見つけたオイシイ金づるをみすみす手放すわけにゃいかねえしよ………」
一方、その頃の2人の闘いは──── 「今度はこっちから行くぜ」 しばらく後手に回っていた夢枕が、意を決したように前に出てきた。 様子を見るもクソもない──。 真っ直ぐに、最短距離を、宮下に向かって近づいてきた。 迷いもなく───── 最短距離を───── 真っ直ぐに─────!!! (……なにがくる!?) 宮下がそう思った時には、夢枕の右足が跳ね上がって、真っ直に伸びてきた。 とっさに両拳で頭部をはさむようにガードする。 にも関わらず、その両肘のすぐ下に、夢枕の蹴りが入ってきた! ド グ ア ッ 腹への、前蹴りであった。 強烈なパワーが、そこにぶつかってきた。 腹に何かの爆発がおこったような凄まじい衝撃──! 筋骨が隆々と盛り上がる宮下の見事な巨体(からだ)が、軽々と宙を飛んでいた───! それも、100キロそこそこの男のただの一蹴りで。 何とかこらえようと地面に足をついて踏み止まった時には、すでに夢枕のニィッ…と微笑した太い顔が眼前に迫っていた。 宮下が後方に飛ばされた分と同じだけ、夢枕も即座に踏み込んでいたのである。 「お、おのれっ!」 宮下のマッハパンチが、唸りをあげて夢枕の顔面に向かって疾る。 文字通り音速で放たれる、強烈な、閃光に似たパンチ!
が、それを読んでいたのか、夢枕はあっさりと片腕で払いのけるようにブロックした。 ガ キ ッ そして数瞬の間を置くことなく、夢枕の真っ直ぐに突き上げられた掌底突きが、宮下の顎を直撃していた! 「ぐあっ……!」 顎を強く噛み合わされ、声にならないうめき声をあげながら天を仰ぐ宮下。 ガラ空きとなった腹部目掛けて今度は正拳中段突きが突っ込んできた! ド ン ッ 深い音を立てて腹筋をあっさりと突き破り、腹にのめり込んだ。 血の混じった吐瀉物を嘔吐しながら悶え苦しむ宮下に、夢枕はさらに容赦ない追撃を加える! ザ ク ッ 弧月のように華麗な軌道を描いた足刀のごとき鋭い廻し蹴りが、宮下の喉元を抉り込んだ。 「前蹴り、掌底、正拳、そして中足の廻し蹴り… なんて文句のねえ空手家の闘いだ……!!」 『空手小公子』の作者であるいっぱしの格闘漫画家で、格闘技マニアでもある馬場が唸らざるを得ないほどの、見事な空手であった。 昨今の拳にグローブを嵌めるキックボクシングもどきなどではない、気持ちのいいくらい正統派(クラシック)な空手───。 鋼の肉体と数え切れぬ程の奥義を併せ持つ、五聖人では原と肩を並べる程の極めつけの武闘派を相手に、 この“拳神”はあろうことに、空手の基本技のみで互角に渡り合っているのであった───! 「な、なぜじゃ! なぜ『體動察の法』をもってもよけきれん……!!」 相手の打撃を完璧に見切るはずの奥義がまるで通じない、信じがたい現象に、おののいて後ずさりする宮下。 「五十年一日たりとも休まずに磨き続けた打撃の境地……………! お前ェさんの胡散臭え中国拳法じゃ到底見切れねえ代物だろうよ………!」 生涯を通じて極めた己の武がその程度で破られてたまるものかと言わんばかりに、夢枕はあくまで一片も動じることなく太い態度で応えた。 ここに来て、かつて“生ける武神”の名を欲しいままにした伝説の男がようやく、その秘めたる実力を徐々にだが解放しつつあった───
さすがはオーガの師匠…こっちも強い! しかし、最後の台詞は夢枕じゃないと言えない台詞だと思った なんだかんだ言って板垣はまだ若いもんな
>エキスが根こそぎ搾り取られ、やや薄くなった“鬼酒” とっくりの中の人が干からびてる!?ヤベーマジヤベー
353 :
初陣 :04/12/03 15:05:21 ID:e+6GhmOo
>>282 地下闘技場・選手用通路……
サッカーボールが壁に跳ね返る音だけが響く……
試合直前、樋口がシュート練習を繰り返していた。
その足元には、すでに流した汗が水たまりをつくっている。
激しく呼吸を乱しながらも、樋口は練習をやめようとしない。
(なくならない―――!!!)
またボールを蹴った。
(もう―――――
どのくらい―――――
こうしているのか―――――)
派手な音をたてて、ボールは正確に、想定したゴールエリアの四隅……GKにとって死角となるスポットに叩き込まれる。
(蹴っても―――
いくら蹴っても―――――)
壁に跳ね返ったボールが、床に落ち、転々と転がっていく。
( 不 安 が な く な ら な い !!! )
樋口にとっては、初の実戦。
しかも、相手は自分よりも遥かに格上の、あのサッカーの申し子。
それだけでなく、他のメンバーも海千山千の強者ばかり……
もっともスタメンは、別の意味で恐ろしい連中だが……
閑話休題。
とにかく、人の子ならば、不安を感じないわけがない。
感じないというのであれば、それは余程自らに自信があるか、あるいはただの馬鹿だろう。
その不安をかき消すように、樋口は全身に汗の珠を浮かせ、肩を激しく上下させながら、一心不乱にボールを蹴り続けている。
「もういいだろ……」
後ろから聞き覚えのある声がして、樋口は後ろを振り向いた。
そこに、鉄塊のごとき大剣を背負って立つ黒ずくめの巨漢がいた。
「試合はもうすぐだぜ」
床に転がったボールを拾い上げながら、巨漢が言った。
354 :
初陣 :04/12/03 15:05:55 ID:e+6GhmOo
「三浦さん……」 どこか安心したように、樋口は相手の名を呟いた。 「建太郎、でいいぜ。親しい奴はみんなそう呼ぶからな」 「建太郎…さ…ん……」 たどたどしく、その名を舌の上で転がした。 「じゃ…じゃあ、私のことも……その……、大輔……と、呼んで下さい……」 その台詞を口にするには、少しだけ勇気が必要だった。 頬が仄かに火照っているのは、激しい運動をしたからだけではあるまい。 少し緊張ぎみの彼女の肩に、三浦がそっと、その分厚い手を置いた。 「肩の力を抜け。そんなにしゃちほこばってちゃ、普通にやれることもできやしねェぞ」 「建太郎さん…」 「誰にだって“初陣”はある。試合とはいえ、こいつは戦だ。びびって当り前、そいつを責める奴なんていねェよ」 無骨な言葉ではあったが、それは不思議と心地よく、樋口の胸に沁みわたった。 気がつけば、あれだけあった不安が、嘘のように拭いさられている。 「なんか……安心した……」 上を見上げ樋口は息を吐く。 うつむかない。なにかを吹っ切り、前だけを見られるようになったのだろう。 樋口は不安があったこと、その不安が解消されたことを素直に打ち明けた。 「そうか…」 そして、それを三浦は自然に受け止める。 この2人の間には余計な言葉はいらないらしかった。 「忘れてた」 樋口が言った。 「相手が格闘技だろうと超能力だろうと変態だろうと、私はサッカー漫画家でしかない、そんなカンタンなことを忘れてた」 ここにきて、樋口は自分が何者であるかを再確認した。 何のために闘うのか。 自分にはサッカーしかない。 サッカーにすがって生きてきた。 だから、最後までサッカー漫画家として生きるだろう。
355 :
初陣 :04/12/03 15:06:28 ID:e+6GhmOo
「大輔よ、見せてやれ」 三浦が言った。 「勝っても負けても、おまえがサッカー漫画家、樋口大輔だと見せてやれッッ」 樋 口 大 輔 が ど う い う 漫 画 家 な の か を 刻 み つ け て や れ 「はい!!」 三浦の激励に、樋口が笑顔で応える。 さらに、樋口は意外な事を申し出た。 「建太郎さん、ナイフを貸して」 「……」 真意は不明だが、とにかく三浦は言われた通り、腰に差したナイフを手渡してやる。 それを受け取った樋口が、三つ編みにしていた後ろ髪に、ナイフをあてがう。 樋口の手が素早く横に引かれると、根元から切断された三つ編みが、床に落ちた。 少し驚いた顔になった三浦に、まるで少年のような髪型になった樋口が言う。 「長い髪は、戦場には不向きだから」 それは西川脱走事件の際に、三浦が言った台詞であった。 気づいた三浦が、思わず苦笑する。 「見物させてもらうぜ、おまえのデビュー戦をな」 そう言って、ショートカットになった樋口の頭をポンと撫でると、三浦はマントを翻して踵を返す。 ところが、いい雰囲気で別れようとしたところに、場違いに元気な声が響いたのは、そのときだった。 「大輔〜〜、どこに行ったのだ!?もう試合開始時刻だから、全員ピッチに集合なのだ!!」 そう言って、三浦が去ろうとした方向の角から、小柄な金髪の少年が姿を現した。 雷句であった。
356 :
初陣 :04/12/03 15:07:08 ID:e+6GhmOo
「あ、大輔見つけたのだッ……って」 曲り角を曲った直後に樋口の姿を見つけ、安堵の息をもらそうとした瞬間、雷句の顔は凍りついた。 角を曲がると、ちょうど目の前、というよりも自分の頭上から、片目の剣士の顔が自分を見下ろしていたからだ。 即座に、三人の脳裏をよぎる、あの腐界での数々のやりとり…… 無礼ドでは、色々ゴタゴタしたせいで、何となく有耶無耶になってしまっていたが、「モヒカンエース事件」を始めとする、雷句の様々な暴挙の事実が無くなったわけではない。 雷句の顔は、たちまち蒼白になり、滝のような冷や汗で全身びっしょりになった。 V形態や閣下形態のときならいざ知らず、平時の雷句は子供らしく少し臆病である。 まるで、地獄の閻魔の前に突き出されたような恐怖を、今の雷句は味わっていた。 そんな雷句の肩に、三浦はそっと手を置いて、こう言った。 「雷句よ、必ず、必ず勝ち上がってくるんだ」 意外にも、それは激励の一言だった。はらはらして見ていた樋口が、ほっと胸をなで下ろす。 雷句も、三浦の意外な対応に、目を白黒させている。 そんな二人をよそに、三浦はさらに続けた。 「 死 に た く な き ゃ よ 上 が っ て こ い 」 それは間違いなく「決勝で自ら雷句を血祭りにあげる」という明確な戦線布告に他ならなかった。 たちまち、氷点下で水を張ったように凍りつく空気。 雷句の目には、そのときの三浦の顔が、まるでインドネシアの仮面のように見えた…… 三浦が暴風のごとく去った後には、ガタガタと激しく歯を打ち鳴らして震える雷句と、なんとも複雑な心境でそれを見守る樋口が残された。
リックが現れて以降の一連の流れが、実に漫画チックに脳裏に浮かんだよ… キレ三浦……
じんわりした感動 爆笑
三浦キレ太郎か
三浦が「ジェララララララ!」とか言い出したらどうしようかと思った。
361 :
作者の都合により名無しです :04/12/06 09:54:41 ID:BYe6OppY
>前スレ229 「ふっ、貴様ならその体を巨大化して闘うこともできるだろうに。 そこをまさか縮小と来るとはな。さすがは『あらゆる不条理を支配する者』と呼ばれるだけはある……」 ゆで将軍の予想の斜め上をいく荒業に永野護は意表を突かれ、人間大の大きさと化したMH(モーター・ヘッド)の中で思わず舌を巻いていた。 「どうした? さっさとかかって来い! それとも恐怖のあまり金縛りにでもあったのか?」 「冗談はそれぐらいにしてもらおうか。この勝負、受けて立とう!」 なおも挑発を続ける将軍に対して、永野は意を決したように、MHを一気に跳び上がさせるとリングの上へと颯爽と降り立った。 「ククク、そうこなくてはな!」 そう言って将軍は青コーナーのイスから立ち上がると、何を思ったかクルリと永野に背を向けた。 「貴様、これから決闘を始めようという時によりによって敵に背を向けるとは何事か!?」 永野が将軍の不可解な行動に対し、侮辱と受け取ったのか怒りのこもった声を荒げさせた。だが、 「ゲェーッ! あれは!?」 その声はすぐに素っ頓狂な叫び声へと変わり、顔も驚愕の表情へと化していた。 なんと、将軍の背中にみるみるうちに蜘蛛の巣のような模様のタトゥが浮かび上がってきた! よく見ると、そのタトゥにはさらに人の姿のような形をした模様が2人ほど刻まれている。 しかもよりによってその“2人”とは…… ビッグベン・エッジを掛けられた態勢の荒木飛呂彦 トーチャー・スラッシュを掛けられた態勢の藤崎竜 ────ゆで将軍の力を存分に見せ付けた、あのAブロックにおける死闘! その将軍自身の必殺技により敗れ去った、あの“2人”の姿がくっきりと刻み付けられていたのであった!!
「どうだ驚いたか! わたしは闘いに敗れた相手の無様な姿を、勝者の勲章としてこの背中のタトゥに刻み付けることにしているのだ!!」 まさに将軍にのみ為しえる、恐怖と戦慄に彩られし勝利の証であった! 「まさか、あのジャンプ五聖人一の知将・荒木飛呂彦をも既にその手で打ち倒していたとは……。 そして、さしずめ三人目のタトゥとして刻まれるのがこの私、永野護の姿と言いたいわけか……!?」 「その通り! そしてもうひとつ、冥土の土産に教えてやろう! わたしは対戦相手が覆面漫画家でそれに勝利した場合、そのマスクを剥ぎ取ってコレクションに加えることにしている! 貴様の場合はそうだな……その奇天烈なロボットの頭部でも頂くとしようか!!」 「恐るべき男よ……! だが、あいにくその背中に刻まれるのはこの私の姿などではない! それはゆで将軍、貴様自身の姿だーっ!!」 永野は恐怖を打ち払い、MHのランスを将軍の方向に向けるや、その鋭い切っ先を将軍へ突きつけた! 「その心意気や良し! だが、地獄の軍団長と呼ばれしこのゆで将軍、そう簡単に倒されはせん! ゆくぞ!」 カ ァ ァ ────────―――z___ ン !! どこからともなく、試合開始を告げるゴングの音が辺りに高らかと鳴り響いた!!
将軍久々ー というか更新久々ー(嬉) 年末は確かに忙しい。皆の者壮健なれ〜
将軍戦読み返してみたら、あらためて化物だと思った つーかバオーの肉体を持つ荒木はともかく、藤崎はトーチャースラッシュ食らってよく生きてたよな・・・
(
>>356 )
昼間レベルに調節された暖かい人工の光に照らされる、
地下闘技場ブロックは矢吹サッカースタジアム。
遥かなるゴールポストを制して最終試合まで勝ちあがるのは果たして―――
先攻後攻を決めるコイントスで、えなりチームが先にボールを蹴る事になった。
両チーム合わせて22名が中央で整列し一礼。
選手たちは広いフィールドの、それぞれのポジションに適当にばらつき、
身体をほぐしながら試合開始のホイッスルを待つ。
なお、矢吹ルールにより選手交代は何度行っても良いらしい。
オールスター戦のような独特の高揚した雰囲気の中、
約180レス超時間の、未知なる死闘が始まろうとしていた。
グラウンド中央、センターサークルにボールと共に立つのは車田。
聖衣の下にえなりチーム用のユニフォームを着用している。
彼は足元のボールを踏みつけながら、遠い目をして観客席を見渡した。
(フ、昨日の野球が遠い昔のようだな・・・。
あれから丸一年ぐらい経ったような気分だぜ。えなり君、荒木よ、見ているか?
生きているのなら必ず戻って来い・・・そして、
この緑の戦場を共に駆け抜けようじゃないか。なあ、戦友(とも)よ・・・!)
一方、サークル方面を睨みながら自陣の中央辺りに立つカムイは、
ひびの入った鎧を脱いでユニフォーム姿に着替えていた。
しかし用心のために、ユニフォームの中にいくらか装備をしている。
そう、ここはサッカー場であると同時に、
ガンガン及びサンデーチームの未来と運命を決める盤上なのだ。
彼らは自分の意志で生きるためにピッチに立っているのだ――――
―― ピィィィ ―――― ―――そして試合開始のホイッスルが鳴り響く!!
♪ズンズン ♪ズズンズズン♪ ♪ズンズン ♪ズズンズズン♪ 車田が左サイドに蹴ったボールを受け止めたのは、あんど2号。 2号は器用にもボールをフラフープのように腰周りで回転させながら・・・ 「ハッ!!ウッ!!」 リンボーダンスの姿勢になり、中央おいなりさんにボールを装着する。 のけぞったポーズのまま軽快な摺り足で前進する2号の周りに、 各ポジションに散らばっているあんど1・3〜7号が左右へと集まり、 同じ体勢を取ってジリジリと地獄の大行進を始めた。 7人全員が壁となって真っ直ぐガンサンエリアに突っ込んできたのだ! ♪ズンズン ♪ズズンズズン♪ ♪ズンドコドコドコ♪ ♪ズンズン ♪ズズンズズン♪ ♪ズンドコドコドコ♪ 近づく7人の屈強な変態男。近づく7つの立派なおいなりさん。 どこからかアフリカンな感じの太鼓ばやしが見守る関係者全員の脳裏に渦巻いた。 やがて、あんど達の縦横にうねる悩ましげな腰つきで、 魅惑のパス回し「ちまきリフティングレインボー」が始まる。 クイッ、クイッ、ぽいん、ぽいん。ボールが七人のあんどの股間部分を、 任○堂のヒゲ親父チックにリズミカルに左右に飛び回った。そしてあんどセブンの雄叫び! 「「「「「「「 我ら鉄壁を打ち破れるかな? ウ―――――、ハッ!!!! 」」」」」」」 ――――女性陣を守るように、前衛に立つガンサン男選手たちには、 迫り来るあんど達がまるで、ドラ○ンボールZのOPカットに出てくる、 溶けた氷の中に恐竜がいたら玉乗り仕込みたいチビとハゲの宇宙人来襲シーンのように見えた・・・ のかどうかは定かではない。 「キャ、キャプテン(カムイの事)〜〜〜〜!! 肘から下を使わなければ、飛び道具の使用もOKなんですかねえ〜!?」 椎名の泣き笑い声と共に、地平線を割って強敵・あんどセブンが現れた!! どうするカムイ!!
あれ?車田さんはえなりの事呼び捨てだったっけ? 忘れた('A`)後は頼んだ
ゆ、ゆで将軍より恐ろしいものがここに!!w
覆面漫画家って、ゆでたまご2人とにわのの他に誰いたっけ? ヒラマツは死んじゃったし………と思ったら、よりによってあの方がいた! 蝶 仮 面 危うし!!
371 :
マコリソ :04/12/07 12:35:16 ID:9BKRijga
試合出たくないなー('A`;)
あ、でも2号だから試合では大丈夫か とはいえ怖いなー('A`;) そういや小畑パーツの分布がいまいちわかりません
あーっと、惜しい! 車田はスタメンじゃなく、必殺シュートの特訓中ですから!残念!!
ゲェーしまったー(死)では>366三行差し替え! >グラウンド中央、センターサークルに立つX仮面を手持ち式のモニターで見つめる車田。 >えなりTの一部は未だ必殺シュート習得への糸口が見えず、練習場で必死に汗を流している。 >彼は練習用のボールを踏みつけながら、遠い目をして、沸き上がるサッカー場を見渡した。 あとは>367の車田→X仮面に変更。 久々の投稿でテンパっちまったい。お騒がせ!
>>367 「カムイさん!」
じわりと押し込まれた中盤。
声に振り向くとそこではDFの水野英多がなにやらブロックサインを出していた。
(―――え!? もう!?)
早すぎる。
いや。こういう時こその出番なのか?
浅い思考を一瞬で断ち、三日月形に並んだ仲間たちを見やる。
目と目で、通じ合う。
ス ッ
付け焼き刃かつ、伝家の宝刀、オフサイドトラップ。
基本的にルールなんか理解していない&なるべく触りたくない相手には、もってこいの防衛策。
それは簡単に言えば、ゴールキーパーと一対一の状態でパスを出すとファウルであるというルールを逆手に取る技術だ。
しかし
「???」
多少ぎこちなくも一斉に上げられた最終ラインに、審判の笛は反応しない。
今も、あんどの股間間を現在進行形でボールは飛び回っているのに。
ルールに関しての知識は、実はこちらとて似たようなもの。
半数以上の仲間たちは、自分たちに何か落ち度があったのだろうとオロオロするのみ。
カムイもまた、水野に慌てて振り向いた。
「おかしいですねえ」
とか、のん気に言ってる場合ではない。
確かに金田一はツワモノだがあの七人を相手に――――
「ま、それならそれで、いいんですけどね」
水野が、なにかを握り込んだ
―――――――――――――ッドゴドゴドゴドゴッッッ!!!!!!!!! ドゴドゴドゴドゴドゴ――――――――――!!!!!!!! ドゴドゴドゴドゴ―――――ッドゴドゴドゴドゴ――――ッ!!!!―――――ドゴドゴドゴドゴドゴ―――!!!!!!! ドゴドゴドゴドゴドゴ―――――――――――――――――――――――――――ンンンンンッ!!!!!! 「「「「「「「 NO―――――――――――――――――ッ!!!! 」」」」」」」 轟音と共に、ガラガラに空いていたガンガンチーム側の芝が、密度の高い火柱を上げる。 まさに開戦の狼煙のごとく。 凄まじい熱気と衝撃波が、地下空間を激しく揺らし 呆気にとられる両チームの面前で、あんど1〜7までが、ボールと共に中空に吹き飛ばされたのだ。 足の裏を合わせ、掌を合わせた8の字のポーズでケムリを引く、見事なギャグ飛びであった。 「み、水野お前」 「安心してください」 自分に向かって片目を瞑る水野に、カムイはゴクリと喉を鳴らした。 「踏むと拙いタイプじゃありませんから、皆さんは大丈夫ですよ。 私がこれ(リモコンのような機器を見せる)で操作するタイプです♪」 そういうことを聞きたいわけじゃないというか、いつ地雷なんか埋めたんだ、ルール的に大丈夫なの――― 「さ。ほんの僅かに仰角を付けておきましたから、飛んだボールは全てセンタリングになります! まずは一点! 守備は私達に任せて、やっちゃってください!」 気を取り直して、落下しつつあるあんど達を仰ぎ見る。
確かに、流石の奴等も、あのダメージなら復活に十秒は要すだろう。 その間相手はGK入れて三人。 こちらは城平の策により倍以上の人数を投入できる。 紛れも無いチャンスだった。 「―――よし! 皆行くぞッ!」 喜び半分安堵半分で応じる仲間達を率い、カムイは、えなりチームに突撃を開始した。 「来るか」 走り、飛び掛り、得物を構える。 落ちくるあんどたちの死骸(?)もあいまり、数倍する軍勢のように見えるガンガンチームのFW陣を たった三人で迎え撃つ。 覚悟はしていたが――― ド グ シ ャ ァ ッ !!!! X仮面のすぐ隣に、顔面から落ちる焼けあんど。 現時点での、こちらの不利は否めなかった。 (しかし引くわけにもいかん! 戦友(とも)に任された戦場を一敗地に塗れさせるわけには―――) フィールドは、開始早々血と硝煙の匂いに満ちて―――
おお、続いてる 嬉しい がんばれ皆の衆及び自分
>>377 爆風に煽られたボールは高々と弧を描き、えなりチーム改めあんどチーム側エリアの上空を飛んでいる。
それをガンサンチーム側の重厚なオフェンス陣が追う。
「風神!!」
一歩抜け出したのは安西だった。
左腕に装着した魔道具『風神』によって生じさせた風の塊を、足元のグラウンドに叩き付け、その反動を利用して高く飛び上がった。
そのままボールをキープして、即座に他の仲間にパスを繋げようとした瞬間、
「 滝 沢 キ ッ ク !! 」
ボールの遥か上空から、切り揉みして吹っ飛んでくるX仮面!
その必殺キックが、安西を直撃した!!
ド グ ア ッ
「――ぐあっ!!」
両腕を顔面の前で交差させて、クリーンヒットだけは凌ぐが、
ギ ュ オ ン ッ
防御など、まるで意味を為さない威力!!
ズ ギ ャ ッ ッ
安西は、ガードごと派手に吹っ飛ばされ、ダイレクトに地面に激突した。
「安西君!」 地雷原に突っ込んだかのごとく芝を爆発させながら墜落した安西の姿に、留美子が悲鳴をあげる。 「あのライダーキックに匹敵するだろう威力――漫画界広しといえど、あれほどの飛び蹴りを持つ男とは……もしやあの仮面の男……」 ガンサンベンチにて、試合の行方を見守る村枝は、何かに気づいたように呟いた。 「――なんて蹴りだ。地面に激突寸前、『風神』で風のクッションを作っておかなきゃ、一撃でKOだ……何者だよ、アイツ……」 もうもうと巻き上がる砂埃の中、まだ痺れる両腕の感触に顔をしかめながら、安西が立ち上がった。 そして、慌ててボールの行方を追うと、すでにX仮面がその一番近い場所に詰めている。 (よし、もらっ――) 「ドラグナー・ナグル!!」 ド ン 「何!!?」 ボールを蹴り出そうとした瞬間、斜め下方から強烈に突き上がってきた拳が、X仮面の顔面を撃ち抜いていた。 ド バ ァ ァ ア ア 「ぐぉおおおおお!!」 今度は、X仮面が派手に吹き飛んだ。
「リック!」 相手にボールが渡るのを見事にインターセプトした相棒の勇姿に、安西が喝采を上げる。 「信行、この仮面の相手は私がする!オヌシらは、ゴールを目指せ!」 そう言いながら、トントンと軽やかにステップを刻むリック。 X仮面は、殴られた横っ面をさすりながら、口元にニヤリと笑みを浮かべる。 素顔を覆う仮面は、リックの今の一撃によって、ひび割れ、一部が欠けていた。 「いいパンチだ、少年。倒しがいがあるな!」 「来い、私の身体はもう、今の一撃であったまっているぞ!」 二人が、同時に地を蹴りだした。 一方、こぼれたボールは、あんどチームゴール前に落ちようとしていた。 そこへ、俊敏な影が走り込んでくる。樋口だ。 (――ゴール前!ダイレクトで決める!!) まだ空中にあるボールをトラップせず、ボレーシュート! 唸りをあげて蹴り放たれたボールは一直線に、ゴールマウスの死角――左上隅を目指して飛ぶ。 ここはGKがゴールマウスの真ん中に立っていた場合、そこにボールが飛んできたが最後、セーブが絶対に間に合わないコースである。 しかも、当のあんどチームGKである岸本は、ゴールマウスの真ん中で腕組みをしたまま一歩も動いていない。 (何のつもりか知らないけど、そんな馬鹿でかい瓢箪なんて背中に背負ってたら、キーパーなんて無理よ) そう思った樋口だったが、次の瞬間、その認識が誤りであったことを悟る。 バ シ イ ッ (なっ――) 樋口の完璧なシュートは、完全に止められていた。 岸本が背負った瓢箪の中から溢れ出た、大量の『砂』によって――。
「――『我愛羅』の砂の盾。この自動防御能力がある限り、俺が守るゴールは絶対不可侵の領域だ」 これこそが、岸本が背負った巨大瓢箪の秘密。 瓢箪の中に詰まった大量の砂は、岸本のチャクラを帯び、鋼鉄をも上回る堅固な防御力を誇り、しかもそれは岸本の意思に関係なく自動的に作動する。 つまりそれは――、岸本を倒さない限り、ガンサンチームはあんどチームのゴールを割れないという事を意味した。 「さて、反撃だ」 不敵に笑った岸本が、手に持ったボールを強烈に蹴り飛ばした。 起死回生の特大パントは、グングンとガンサンエリアに伸びていく。 しかも、その飛んでいく先には、さっきから守備に加わらず、ただひたすら前衛で待機していた大和田が走り込んでいる。 「――しまった、戻れ!奴を止めろ!」 ベンチの村枝が、即座に指示を出す。 ガンサンチームは、その大半が攻撃に出てしまって、守りが手薄になっている。 ピンチが、一転してチャンス。チャンスが、一転してピンチ。 一瞬にして、形勢が逆転する可能性。 これが、サッカーという球技の恐ろしさである。 「さて、と。少しヒマになったな」 岸本はそう言うと、指を鳴らして、樋口に歩み寄る。 「くっ…」 「サッカーとはいえ、こいつは試合、殺し合いだ。相手を全員倒しちまえば、得点なんて関係ない。――というわけで、早速ひとり始末させてもらおう」 酷薄な笑みを浮かべた岸本の口が、大きく膨らみ、火炎を吐き出した。 「火遁・豪火球の術!!」 視界を埋め尽くす炎に、反射的に目をつぶる樋口。だが、 「フバーハ!!」 薄い光の膜が、樋口を覆って、炎をシャットアウトした。 「貴様の相手は、俺だ」 藤原カムイ――推参。
いつの間にかあんどチームに……w
岸本からのダイレクトパスにあわせ、大和田が跳んだ。 その瞬間、黒い大柄な影も大和田へと跳んだ。 ボール越しにぶつかる肉体と肉体。 一方が弾き飛ばされ、もう一方はボールをキープしてグラウンドへ降りる。 「ふしゅぅぅぅぅぅ」 吐息。というか息吹。でもなく、噴射といった表現が相応しい勢いで影が息を漏らした。 それを見た瞬間、誰もが固まった。 あんど(えなり)チームだけなく、ガンサングループでさえも。 そこにいたのはそれほどの異形だった。 どす紅く塗られた太い唇。 熊さえも絞め殺せそうな太い腕。 子供の胴体を二つ並べたような太い足。 サラシに包まれた太い胸。 白粉が塗られた太い顔。 男らしさを象徴するような太い眉。 女らしさを強調するような太い三つ編。 UMA……誰というでもなくそんな声が上がった。 そこにいたのは彼らの知っているどんな人物でもなかった。 否、ガンガン陣営の人間だけは理解していた。ただ理性がそれを認めるのを拒否しただけで。 その姿を視界に入れてしまったカムイが凍りついた表情で、そのナマモノの名を呟いた。 「――――柴田―――――」
ウマ子キタ━━━━━━(´゚Д゚`)━━━━━━!!!
これだけ太い太い言われると闘神を思い出すなw
初っぱなからUMA子かよw いきなりトバしてんなー、さすが準決勝
>>384 (ついに、来たか。―――いや、今は―――)
振り返り、遠くセンターラインに向けていた視線を前に戻すカムイ。
そのゴール前では、岸本が丁度同じようにカムイに視線を戻したところだった。
「―――妙なバケモン飼ってんなァ?」
軽口には付き合わない。
ただ、腕を振り上げる。
砂の、反応。
「 ――――― ギ ガ ―――― デ イ ィ ―――― ン !!!!」
バ バ バ バ リ バ リ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ド ォ オ オ オ オ ォ ォオ オ ンンン !!!!!!!!
カムイの掌から放たれた幾条ものイカズチは、卵型に岸本の全身を覆う砂に阻まれ、やはりその皮膚には届かなかった。
僅かな隙間、闇の奥から覗く片目がニヤリと笑うのに、カムイもまた目を細めた。
「―――なるほど」
モーションのでかい大技には圧縮した砂のブ厚い壁。
そして―――
捷 星 魔 光 弾 !!!!
電撃が地面に逃げるのと同時に崩れた砂の殻が、三発同時に放たれたカムイの誘導気弾に鋭く反応し
コブラのように三本の鎌首をもたげあっさりと攻撃を弾く。
出が速いだけの小技では、瞬間発動の薄い砂さえ貫く事は出来ぬ、というわけだ。
「どうした センパイ」
腕組みもそのまま、あざけるように唇を歪める岸本。
ぞわぞわと首筋から、肌を這って痣にも似た呪印が伸びている。
「―――使わないのか」
その視線は、デザインこそ違え、同じ呪印が刻まれた、カムイの襟口にそそがれている。
「生憎とな。…………俺は、お前のような負け犬じゃない」
「…………俺が、弱いとでも」
刃の、殺気。 あるいは、それは肯定の答えだったのかもしれない。 「いいや。『負け犬』ってのはな、『弱いから』なるもんじゃない。…………そうやって『縋るから』なるもんだ」 指をつきつけながら、自らのその腕にカムイは緑色に輝く腕輪を嵌める。 「教えてやるよ、それを」 (そう俺が―――教えてやらなきゃいけない) 体全体に、魔法力の輝きが連続してまたたく。 星降る腕輪と呼ばれるアイテムであり。ピオリムと呼ばれるドラクエ魔法。 その共通の効果は―――― ヒュッ ス ピ ー ド の 強 化 !!!!!! 一瞬とはいえ完全に消失し、人の限界を遥か超えたカムイの動きに 看破の瞳『写輪眼』の発動がほんの僅かに出遅れる。 0.001秒後、岸本が再び捉えた『カムイ』は、阿修羅の如く増えた攻撃の手数、そのもの。 「―――ッ」 目は辛うじて追いつく、しかし 反射で繰り出した肘打ちが、乗せた体重ごと捕まった。 そのまま前のめりに崩され、激痛が脇腹に入ったと思う間もなく 「!?」 足払い。 宙に浮く。 残像。 四方から『同時』に、突き上げるような、蹴り。 ド ッ ・ ・
この間0.02秒―――傍で見ていた樋口の、スポーツ選手としてはそれなりに優れていた動体視力にも その光景は、カムイが消え、岸本が自ら上に跳んだとしか ―――――――― 岸本の周囲の砂は、既に全く防御が間に合ってない。 体を覆う第二の『絶対防御』。砂のプロテクターにも罅が入る。 叩き込まれる打突の嵐に、自らの血反吐の自覚すら与えず さらに 「 二 起 星 浮 竜脚」 声が遅れて届く。ゴールポストを遥か超え、真っ直ぐに飛ぶ岸本のその背後。 逆立ちで、重なるカムイ ブ ォ ッ ・ ・ ┣¨ !!!!!! Tの字に広げた両足が、ヘリローターを真似て弧を描いた。 本物と見紛うばかりの衝撃。 岸本の砂肌が割れ、『背中』が完全に露出した。 そして、それにより急激にその進行方向を変えられて 今度は斜め下―――サッカーグラウンドの四隅のひとつ―――に 仰け反るような形で落下する岸本。 その正面。 ゜ ゜ ゜ ゜ 地上に、カムイが忽然と待ち構える。 神仙術による瞬間移動。 もとより、朦朧と意識半分を手離した岸本にも。消えた時と同様、唐突にカムイが現れたとしか見れない樋口にも 意味の無い超常だが。 空手の正拳突き、その腰だめ。 引き絞る全身の筋肉が、生気と真気をたたえる。 衝突の勢いを、そのままカウンターに――――――転化!!!!!!
「 拳 王 奥 義 !!!! 螺 旋 掌 破 !!!!!!」 ギ ャ ル ッ ッ ッ ―――――― ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ァ ァ ン ン !!!!!!! 放たれた左ストレート。 さらに人間大の竜巻にも似た破壊エネルギーが迸る。 覚醒した岸本の意識は、すぐにまた真白く染まる。 交叉で逆サイに運ばれ、そのまま壁に激突し、なおもしばらく、ドリルのように壁を穿ってから ようやく瓦礫の中で静止する。 「……はぁ…………はぁ……鎧を外してきて、正解だったな」 カムイの、放った時そのままの構えが、解けた。 崩れるように膝をつき、荒い息で、自らの生じさせた土煙の向こうを見やる。 「――――やった……んですか?」 駆けつけた樋口が、カムイを支えながら、訊いた。 「いや」 筋肉断裂というほど深刻ではないが。 筋肉痛というほど浅くも無い。 限界を超えた歪みに悲鳴をあげる肉体に鞭打ち、カムイはゆっくりと立ち上がる。 「ダメージはあるだろうが―――――呪印(アレ)が俺の知っている『それ』なら――――――これから、だ」 サッカーグラウンドの横幅以上に離れた位置から、その声は不思議と、耳に届いた。 「フ……フフフ…………流石……は、センパイ……『状態1』で片付けようってのは……ちょっと失礼………でしたかね……?」
うおおー燃えるぅー 隙を見て必ず参加するぞリレー! カムイパラメータって勇者属性+3ケンジャ+αなのか・・・さすがだ・・・ 岸本もがんばれ
カムイは基本スペックも高いが、なにより経験値がスゴイんだよな 三条・稲田・Y・神崎・宮下など、強敵とばかり戦ってて、しかもほとんど負けがない(神崎相手に不覚をとったぐらいか?) 能力もバランス取れてて、性格的にも完成されてるのでソツがない感じ
カムイ対宮下はよかったね。カムイの漫画で使われる予定だったらしい技も見れたし。
岸本とカムイがいい感じにバトッていたころ。 「ゴォォォォォォォォォォォォォォォル!!」 轟音を上げたボールが無人のあんどチームのゴールへと突き刺っていた。 蹴ったのは言わずもがな柴田であった。 カムイと岸本のバトルなどどこ吹く風、ただ誰もいなかったからゴールにボールを蹴り込み、 そしてゴールキーパーが遥か遠くの逆サイド。 結果として無人のゴールへボールは悠々突き刺さった。
>>392 ケンジャじゃなくてケンオウ・・・・・・ですよねェ・・・w
大和田はなにやってんだ大和田はw
大和田はUMA子に弾き飛ばされてフェンスにでもめり込んでるんじゃね?
(
>>395 )
開始間もなくガンサンチーム一点先取!!
実況の興奮した声と観衆の大歓声がグラウンドを揺らす。
虚を突かれて思わず表情が固まる、瓦礫から起き上がりかけていた岸本。
わさわさと舞い戻ってきたあんどセブンや他の選手たちも茫然自失。
観客席の盛り上がりと間逆に固まりかける、芝生の上に柴田亜美の咆哮が―――
「うおっしゃあああ〜〜〜!!乙女☆パワーで試合も必勝じゃけんのォ〜〜〜〜〜!!」
ものっそい濃い顔と太いボディから発せられる超乙女ボイスが天高く響き渡った。
天井がなければ眩しい太陽が彼女の汗を美しく輝かせた、かも。
一方その柴田UMA子にぶっ飛ばされ、コーナーポストへ車田風に刺さった大和田が、
むくりと起き上がりぐらつく視界を気合で戻して、五感で現状を理解すると、
悪い目つきをさらに細め、怒りと闘争心の炎を背中に燃やした。
「この私をいいようにあしらうとは素敵な乙女だっ!!
だが次は見ていろ、私には砂浜で鍛えた多くの必殺技があるのだ!!
今度対決した時に辛酸を舐めるのはそちらだ!アーレ・キュイジーヌ!!(謎)」
えらく元気よく立ち上がり、両手を高く広げてリベンジを誓った。
その際に背中に仕込んだ釘バットが派手に動いて、
彼の皮膚をちょっぴり切り裂き涙目になったのは秘密。
仕切りなおして、えなり改めあんどチームのキックオフ。
あんどチームはメンバーの都合で10人で試合をしている。(
>>281 )
先ほどは無敵と思われたあんどセブンの特攻が意外な戦法で返された。
この時点で審判が反則を取らない時点で試合の方向性は決まったようなものだが、
今の所あんどチームが不利な事に変わりはない。ボールを蹴り蹴り、
X仮面はあんどを3人だけ引き連れてガンサンゾーンへと走り向かう。
―――そして試合の流れとは別に、カムイと岸本の第二ラウンドも始まっていた。
「むぅ、あれは!? ぬぉぉぉぉぉぉ、乙女ビジョン!!」 キラァン。柴田の目が光り輝いた。 ゴールへ向かい走るあんど×3とX仮面。 その姿を乙女フィルターを通して見た柴田は 「ふぉぉぉぉ、まてー(はあとまぁく×3)」 「ははは、捕まえごらん」 と睦み合っている姿として捕らえた。 乙女ゲージLv1ブレイク ぶしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅと消火栓の様な勢いで柴田の鼻から鼻血が噴出。 とたまたま斜線上にいた一体のあんどと椎名はそれに直撃され吹き飛んだ。 「この、ご法度野郎ーーーーーーーーーーーーーー!!」 爆発が起こった。 あんど×3とX仮面が宙を舞った。 蹴り上げた姿勢の柴田。 何故かユニフォームとしてスカートを着用していたため、 パ ン ツ が丸見えだった。 先刻の借りを返すべく柴田へと向かっていた大和田は至近距離でそれを見た。 阿鼻叫喚。その瞬間の大和田の表情を例えるなら一番近い表現はそれを100倍にしたものとでも言えばよかった。 大部分は大和田の体に隠れていたが、そこからもれた光景を見てしまった安西と衛藤と土塚、あと数人のあんどが劇薬でも飲んだかのように 苦しみだしたことをみればその光景の威力の兆分の一は察することが出来る。 それは兎も角ボールはあんど×3にX仮面と一緒に柴田の頭上へと蹴り上げられていた。 そして重力に従い、四人とボールが柴田の頭上へと落下した。 ずしゃん。ぶちゅ。 地面に頭からめり込み、そしてx仮面は柴田と覆面越しに唇を合わせてぶつかっていた。 柴田の蹴り上げられた足からスカートの中身を直視する形になった大和田、体は空中のまま柴田UMA子とあわせた唇だけで着地したX仮面、 そしてその三人の周りに彫像のように上半身をめり込ませて突き立つあんど×3。 地獄絵図というものがあるならばそれがそうだろうと、後に観客はそう語ったという。 地面に落下したボールだけが何事も無かったかのように転がっていた。
なんて光景なんだよw
やべぇー(´Д`)
403 :
戦闘領域 :04/12/12 01:46:51 ID:cJcrLm/M
エリア88――― 吹きすさぶ鋼鉄の風の中で争うのは二つの戦闘団。 MG34とStG44、パンツァーファウストを装備し異様なガスマスクをはじめ 威圧的なフォルムを持つ特殊強化装甲服「プロテクトギア」を装着した押井守配下『特機隊』 突撃銃と短機関銃、ロケットランチャー、対物ライフルを装備し 陸上自衛隊迷彩服2型とM17A2ガスマスクに身を包んだ小林源文配下『オメガ7』 戦いはほぼ互角―――が、若干オメガ7に傾き始めていた。 理由はいくつか挙げられるだろう。 オメガ7が対プロテクトギア戦闘の為鹿児島での装備改編の際対物ライフルを装備に組み入れたこと。 黒船の怪物たちが駆逐された空を跋扈する武装ヘリの航空支援の存在。 艦の火災により特機隊のチームワークが崩れ始めていたこと。 しかし最大の要因は…… 「ウェーバー作!魔弾の射手!!」この鋼鉄の嵐の中で… 「マーラー作!交響曲第1番 巨人!!」ただひとり銃火に身をさらし… 「ハチャトリアン作!剣の舞!!」巨大なバイオリンを弾くという… 「ファリャ作!火祭りの踊り!」『英雄的行為』を働く男… 「ストラヴィンスキー作!組曲 火の鳥!!」 『ハーメルンのバイオリン弾き』渡辺道明の活躍が挙げられよう。
>>400 阿鼻叫喚の地獄絵図を前に、氷河期に叩き落とされたサッカーグラウンド。
刻(とき)が制止した空間の中で、地面に落ちたボールだけが人の苦悩などお構いなしに無造作に転がり、そのままタッチラインを割った。
「あ、ガンサンチーム、スローインです」
ただ一人、件の地獄絵図を目撃しなかった為、被害を免れていた臨時審判の山田秋太郎が笛を吹きながら、そう指示した。
ちなみに、審判でありながら鼻先で起こった惨劇に目を奪われなかったのは、山田がサッカーのルールブックを一心不乱に読みふけっていたからである。
閑話休題。
転がっていったボールは、何かにぶつかって、その運動を止めた。
それは壁ではない。それは人間の足だった。
ひとりの少年が、そこに立っていた。
地獄覚めやらぬ中、誰かが少年の名を呟いた。
「えなり……」
それはまごうことなき、この一大叙事詩の主人公、我らがえなり2世であった。
観客やら、えなりチーム、ガンサンチーム両方の選手やらのポカンとした視線が集中する。
視線の集中砲火を浴びながら、えなりは笑っていた。
常日頃、えなりがよく浮かべる愛想笑いでも、誰かしらの奇行に呆れたゆえの乾いた笑いでもなかった。
どこか、鬱屈した、暗く陰惨な笑みだった。
「やってくれましたね、みなさん… よくも主役の、この私をさしおいて、何スレもの間、勝手に話をすすめてくれましたね…」 開口一番、えなりの台詞は、このような出だしから始まった。 気のせいか、奇妙な既視感を、ほぼ全員が感じる語り口であった。 「この話の展開はちょっと意外でしたよ… こまりますよ…ちゃんと自分たちの身分をわきまえてもらわなくては… このスレの主人公は私なんですからね…」 丁寧というよりは、むしろ慇懃と言った方がいい口調だった。 言葉の端々に、抑えようとしても抑えきれぬ怒りが見隠れしている。かすかに語尾が震えている。 喋りながら、えなりは数歩前に出て、サッカーグラウンドに足を踏み入れた。 「はじめてですよ…この私をここまでコケにしたおバカさんたちは………」 えなりの行為を審判ですら止めなかった。 進むえなりの顔に、修羅か、もしくは鬼を見たからだ。 一体、これから何が始まるのか、全員が固唾を飲んで見守っていた。 「まさか、こんな結果になろうとは思いませんでした…」 もはや、えなりははっきりと怒りと殺意を表情の全面に押し出していた。 次の瞬間、押さえていた感情が、堰を切って一気に溢れだした。 「ぜったいにゆるさんぞっ、虫ケラども!!!!! じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!!!」 怒声が、大気を震わせた。 しん…と、場内が鎮まりかえる。 誰もが、畏怖の表情で、えなりの方を見ていた。 いや…正確にいえば、えなりの真後ろを…… ――ゴヒュウウウウウ…… 熱した気流のようなものを首筋に感じ、えなりはそこで初めて振り向いた。 憤怒の双眸に、しかしその激怒すらも雲散霧消させる、異形の姿が映し出された。
異形を目にした瞬間、えなりの顔は悪の帝王顔から、一瞬にして普段のビビり顔に戻った。 ごつい鼻面に真一文字に刻まれた傷の上で、ギラン、と獣の牙のごとき獰猛な光芒が瞬く。 (世紀末覇王の目だ……!) 突如、眼前に出現した、地獄の中心を形つくるナマモノの目の中に、えなりは死に等しい危険を感じとった。 「ンマ〜〜〜、このボウヤったら、なかなか言うじゃな〜〜い♪」 ぶっとい唇が蠢き、野太い声を吐き出す。 「でもォ……」 えなりが気圧されるように後ずさった、その瞬間。 「ボウヤったら、ぜ〜んぜんアタシの好みじゃないじゃけんのォッ!残念ッ!!」 S H O C K !!! 巨大な写植と共に、えなりが見開きで空中を吹っ飛んだ。 「“一応、このスレの主人公なんです”――大文字斬り!!!」 柴田UMA子の超絶必殺技を喰らったえなりは、その全存在を否定され、粉々に砕かれ、グラウンドの肥やしとなった。 意識を手放す直前、えなりは声を聞いた。 『“主人公”って言えば格好つくと思ってんじゃねーぞ、このマダオが!』 容赦のない追い討ちを最後に、えなりの意識は完全に途切れた。 なお、ボロクソにされたえなりの肉体は、“スリーベースヒット”によって強制的に変換され、怠惰そうな銀髪の青年の姿に変質したが、 その事実をえなりが知るのは、しばらく経った後、“空中から”自分の元肉体を見下ろしたときであるが、それは別の話。
えなりの肉体が…… 空知になったッ―――――!!!
>>406 (時間的には
>>400 の続き)
「すごい……」
と感嘆の声を漏らす彼女、樋口大輔が見ているのは、例の自陣に出現した阿鼻叫喚の地獄絵図ではない。
どちらかと言うとあんどチーム寄りの芝生の上で、表向きは仲間からのパスを待ちながら
実は内心では(アタシってなんて無力なのかしら……ていうか、とりあえず相手方にも一人くらいは正統派サッカー漫画家が居ないと
まともな勝負を演じられないって言うか、もっと具体的に言えば早く来なさいよ高橋陽一!!!!)
と、文句タラタラ高橋陽一待ちの樋口だったのだが。
そう思うに至る、ある意味キッカケ。藤原カムイと岸本斉史の超絶タイマン勝負の光景を見ての感想が、文頭の台詞であった。
タイマン勝負を見ての、とは言っても、彼女の目には、先程ブチ壊された、観客席とフィールドを隔てる壁周辺〜上空で
時々何かがぶつかり合う光がチカチカ瞬いたり
炎や水流や雷やカマイタチや吹雪やチャクラや呪文の奔流が周囲を凪いでいるようにしか見えないのだが。
観客席・その上を覆うひさし・それをブチ抜いた更に上の天井や壁など、所選ばずどころか観客達を完全に巻き込んでのその戦いは
(これは誤り。久米田研超科学の成果、位相のズレを利用した真・会場効果により、一見戦闘に巻き込まれて見える観客達は
実は全く被害を受けていない。何故かと簡単に説明すると、一つに見えるこの試合会場は、厳密には二つあり
観客達が居る位相と選手達が居る位相とは実は別の次元なのである。
観客・選手達は互いの状況をリアルタイムで知ることが出来るので臨場感はたっぷり。
しかし、例えば誰かの放った超必殺技が観客席に飛び込んでも、迫力はそのまま威力は伝わらないという
まあ言ってみれば互いが克明なホログラフのような状態なのだ)
いつ終わるとも知れず。しかしなんだか楽しそうでもあった。戦いが噛み合うとはこういうことか。
(実際他は混沌としてるだけよね)
魂を砕かれ、グラウンドに沈む哀れな主人公をチラリと見て、すぐさま桑原桑原と目を逸らす。
早く自分もカムイ達のように、自分達だけの世界でカッコよく戦わねば。
あんどにヤられるかあんどにヤられるかあんどにヤられるかあんどにヤられるか。あるいは仲間の柴田にヤられるか……
ぶるりと震えて頭を振る。それだけは、避けねばならない。
と、背後で轟音。
飛び上がって振り向くと。そこ、えなりチームゴール前に、誰かが落下したところであった。
浅いクレーター。土煙の中から現れたのは岸本斉史。その姿は、既に人外のモノへと変化している。
顔の真ん中の十字紋と、背中に生えた一対の羽がその証明。
先程交わされていた会話からすると、これが『状態1』に続く『状態2?』であろうか。 彼が見上げるのにつられ仰ぎ見ると、中空からはカムイがゆっくりと降下してきている。 上下の位置関係とは裏腹、僅かにカムイの疲労がより濃いように伺えた。額からは、一筋の血も垂れている。 ニヤリ、と岸本は赤黒い写輪眼をほころばせる。 「いいのか――――『使わなくて』」 嫌らしく、再び訊く。 「くどい」 一言で切って捨てられ、顔の亀裂をさらに深く刻む岸本。 だがその表情は、地上に降り立ったカムイの向こうを見咎めて、面倒臭げにしかめられた。 「チッ………いいところで」 可哀想な一読者代表少年の死はスルーされ、再びガンサンチームの猛攻がこの場に迫りつつあったのだ。 GKの役を果たしながら、さらにカムイと互角のせめぎ合いも続けるのは、流石に岸本にも不可能。 それでも少しの黙考の後、また、嘲う。 まず、二の腕の火傷と裂傷から血を拭い、それを指の腹に付ける。 印を組み、解いた手の平を大地に叩きつける。 「口寄せ―――――!!!!」 ボ ン !!!!!!! 巨大な白煙と共に、突如フィールドに出現する大蝦蟇。 大きすぎて、最初は壁が出現したのかと錯覚してしまった。 再び見上げる体勢で首を酷使していると、蝦蟇の頭の上から、岸本の声が降ってきた。 「こっちは忙しい―――ゴールをケツで塞いで――――近付いてくる奴は皆殺し―――」 なにやら、不穏な事を命じていた。 やがて、カムイが上に到着すると 「さあ―――第三ラウンドだ―――」 そう聞こえて。再び一塊の光球となった二人は、今度は反対側の観客席に突っ込んだ――――
うわぁ、蛙かぁ。 蛙好きの柴田が暴走しないことを祈ろう。無駄だろうけど。
天を衝く、という形容が相応しい巨体。 血に浸したような体色。 その全身を覆う、これまた巨大なハッピ。 一睨みしただけで、あらゆるものを飲み込みそうな眼光。 『ガマ文太』―――岸本が口寄せできるなかでも、最強の一体である。 それが今、えなりチームのゴールを、その常識外れの巨体で塞いでいる。 「こっ、こんなバケモノどうすりゃいいんだ!?」 冷や汗を流しながら、衛藤が呻いた。 せっかく、カムイが岸本を一手に引き受けているというのに、こんな大物が相手では、突破方法が見出せない。 倒すか、それとも何とかしてゴール前から動かせるか。どちらにしても、見当がつかない。 そんなガンサンチームの動揺を前に、当のガマ文太は興味なさそうに、特大のキセルを吹かしている。 『……ふ〜〜〜、久々に呼び出されたと思えば、下らん用事を言い付けおって、岸本のアホンダラが』 ガマ文太からして見れば、サッカーなどというスポーツの、それも単なる障害物として呼びつけられたのだ。 面白くないと思っても仕方あるまい。だが、盃をかわした主の命を無碍にすることもできない。 『こんな三下どもをどうでもいいんじゃが、まあしゃーないのお。まとめて死んでもらおか』 何度目かの紫煙を吐き出すと、ガマ文太の目が細まった。 次の瞬間、文字通りの蝦蟇口が大きく膨らみ――― 『 火 遁 !! 蝦 蟇 油 炎 弾 !! 』 ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ッ ッ !!!! 火遁の術と、ガマ文太の口から吐き出された大量の油が混じりあい、えなりチームエリアの大半を埋め尽くすかと思うほどの紅蓮の嵐が巻き起こった。
敵ばかりか、味方までも消し炭にするつもりか――――!? 人間など、基本的に屁とも思っていない蝦蟇の頭領――ガマ文太である。 腰が重い彼からすれば、塵芥に等しい人間ごとき、これで片がつけば十分と思ったろう。しかし――― ゴ ッ バ ア ア ア ア ――――― !!!! えなりチームエリアが業火に包まれたと見えた瞬間、炎の海が――割れた!! 「――よりによって俺の目の前で火遊びか?蝦蟇のオッさんよ」 『むう〜〜!?』 人間の身長ほどもあるサイズの目が怪訝そうに細められる。そこには、わずかばかりの驚愕も混じっていた。 割れた炎海の中心――声が聞こえてくる地点を、ガマ文太が凝視した。 そこにいたのは、巨大な結界に守られたガンサンチームの攻撃部隊。 その結界を一瞬にして張った、三つ眼の竜。 そして、それを従える、銀髪の青年。 「結界王――『円』」 火の粉混じりの強風が、カモフラージュのための色素を吹き散らし、隠された銀髪が赤い光を反射して刃物のごとく輝きを放つ。 「アンタの御主人は俺らの大将が押さえてる……だったら、その使い走りの相手は――俺がする!!」 銀色の巨大なケンダマを手に、安西が言い放った。 『……おんどれェ〜〜、このガマ文太様を舐めくさりよるか、この三下がッッ!!』 グラウンドが震えるほどの、ドスの効いた大声量。 腸に響いてくる威圧に、内心キモを冷やしながら、それでも安西は闘志の炎をかき集め、力の限り吼えた。 刹那、両手に構えたケンダマが、眩い光に包まれる―――! 「 チ ェ ン ジ A R M バ ー ジ ョ ン 3 ガ ー ゴ イ ル !!!!! 」
輝きが広がり、そして収束。 すると、そこには異形の巨体が現れていた。 鋼と岩石で構成されているのは―― ガマ文太に勝るとも劣らない巨躯。岩柱のごとき爪牙。 フィールドを分断するかのように広げられた翼。 巨体の上に乗った頭部は、大顎を開いた竜の様相。 火竜に次ぐ安西の切り札――『ガーゴイル』である。 『ほう、なんやけったいなモノ出しよってからに。じゃが、わしを舐めてくれた落とし前はきっちりつけさしてもらうでェ!』 ガマ文太はそう言うと、太い腰に差してあった、このフィールドですら一刀両断できそうな巨大刀を逆手で抜いた。 ┣¨ ッ ―――― !!! まさに鯉口が切られた瞬間――ガーゴイルの突進に合わせて、 蝦 蟇 ド ス 斬 !!!! ガマ文太が、あまりにも凄絶な太刀を抜きはなった!! 一瞬の地響き。フィールドを貫く、一筋の巨大な砂塵。そして、宙を舞う二つの巨大な影。 両者の激突の後、『それら』は同時に、フィールドに突き刺さった。 「ぐわっ!」「うわっ!」「うおおっ!!」 フィールドに吹き荒れた爆風が、両チームに襲い掛かったのは、さらにその後だ。 地面に突き刺さったのは、ガマ文太の刀と、そして…ガーゴイルの腕! (――この大蝦蟇野郎ッ!ガーゴイルの腕を吹っ飛ばしやがった……なんてバケモンだッ!?) 『(何て野郎じゃ…重とーてドスを振り抜くのがやっとじゃ…)』 相手の強さに、お互い驚愕する両者。 彼らをとりまくフィールドは、すでに一部は芝が抉りとられ、無惨な地肌から砂塵を立ちのぼらせていた。
『(さっさと殺らんと地形が変わってしまうのォ……)』 そんな事をちらりと考えた瞬間、安西が叫んだ。 「ガーゴイル!!!」 ゴアアアアア――!! 主の叫びに呼応し、巨竜が咆哮した。 大きく開かれた顎から、くわえていた輪が外れ、翼竜の眼前にて浮遊する。 ギ ュ オ オ オ オ オ オ ッ ッ ―――――――――――――― !!!!!! 限界まで開かれた口から、咆哮とともに一条の閃光が吐き出された。 触れるものすべてを砕く破壊の光芒が、距離の概念に関係なく刹那にしてガマ文太に肉迫する。 『水遁…』 鉄 砲 玉 !!!! バ ッ シ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ―――――――――――― ッ ッ ッ !!!!!! ガマ文太から吐き出された、巨大な水の塊がガーゴイルの閃光とぶつかり合い、破裂した。 水塊が弾け飛び、驟雨となってフィールドに降り注いだ。 一部蒸発した水は湯気となり、場内の温度を一気に数度上昇させた。 「これじゃまるで嵐だ…何て戦いしてやがる…」 誰ともなしに、呻きが漏れる。 『痛ったいのォー!アホほど気合い練りこんだ攻撃ぶつけやがってからに!!』 「…威力の大半を殺された……だがまだイケルぜッッ!!」 互いに一撃ずつを交換しあった、2体の巨怪。 ゴールを巡り、大蝦蟇と巨竜は、再び激突した。
巨大蛙とガーゴイルが睨み合っている頃。 一人サッカーを続けていた樋口は先ほどガーゴイルに斬りかかるため蛙が動いたことにより、開いた横の隙間を通って あんどチームのゴールへとドリブルを続けていた。 横であんどが潰れているのも、真っ白な灰となって崩れていく大和田とX仮面も、「いいのぅ、あの蛙。後でペットにしちゃるけん、覚悟しとき」 と舌なめずりをしながら呟く柴田も無視して只管サッカーを続けていく。 「えい」 そしてゴールが見えると、樋口は可愛らしい掛け声とともにサッカーボールを蹴った。 ころころ、ぽすん。 間の抜けた音ともに、またもやがら空きのあんどチームのゴールへとそのボールは吸い込まれた。 「ゴォォォォォォォォォォォォォル!!ガンサンチーム2点目だぁぁぁぁぁぁぁぁ」 すぐ傍で行われているカムイvs岸本の超人バトルもガマ文太vsガーゴイルの怪獣合戦を極力気にしないように勤めながら 樋口はふと思った。 (……何ですぐゴールから離れるような蛙を出したのかしら?いくら大きくても常にゴールを守ろうとしなきゃ意味無いのに)
>>366 >>415 えな…あんどチーム練習場
「必殺!!庶民シュゥート!!」
「残念無念また来週!!アクロバティックシュート!!」
「甘い!!こんなシュートじゃあ若林君に止められるぞ!!」
ここでは、高橋陽一の下で必殺シュートの練習が行われている。
練習方法は簡単、高橋が守るゴールを必殺シュートを編み出して打ち抜く、ただそれだけであった。
しかし、GKが本職では無いとはいえ、高橋はサッカーだけで五聖人に並ぶと言われた男、そう簡単にゴールを決めれるはずも無く、
にわか作りの必殺シュートの掛け声だけがむなしく響いていた。
そんな中…
「あやつら…本当にサッカーをする気があるのかのう」
「因縁の対決みたいだからね♠仕方ないよ♣」
休憩中の藤崎が試合の様子をモニターで見てボヤき、同じく休憩中の今井がそれに答える。
「しかし、このままではわしらが来る前に10点位取られてしまいそうですな」
「そうだね♦やっぱり冷静になれる人がいないと負けちゃうかもね♥」
さらにボヤき続ける藤崎とそれに答える今井、そこに少し息の上がった様子の許斐が声をかけて来た。
「さぁ、次は藤崎さんの番ですよ、是非とも必殺シュートを編み出して下さいね。」
「ん?もうそんな時間か、早いのう」
藤崎は立ち上がり、高橋陽一が待つゴールへ向かっていった。
「さぁ来い藤崎君!!僕に必殺シュートを打ってくるんだ!!」
ゴールではやけにハイテンションな高橋がシュートを待ち構えていた。
「のう、高橋どの、あなたが守るゴールにシュートを決めれば試合に参加してよいのだな?」
「そうだよ藤崎君。僕を吹っ飛ばす位の必殺シュートを決めれば良いんだ」
「では行くぞ!!必殺シュートじぇぃ!!」
藤崎は軽く質問するとすぐにシュートの体勢に入った。
―ボールから少し離れて軽く助走をつけ、軸足でボールのすぐ側をしっかりと踏みつけ、利き足でボールに食らいつくように蹴る―
呆れ返るほどに普通で基本的なシュートである。一応ゴールポストの端の方を狙ってるが所詮は素人に毛が生えた程度のシュートである。
「藤崎君!!こんなシュートじゃ森崎君にも止められるぞ!!」
高橋がそう言って、片手でシュートを止め、藤崎にボールを投げ返そうとしたら、藤崎が突然笑い出した。
「ハーハッハッハッハ!!高橋どのともあろう者がニセモノのボールに騙されるとは情けないのう!!ゴールをよく見てみよ!!」 「な、何だって!?」 高橋は振り返ってゴールを見るとそこには一つのボールが転がっていた。 しかし、高橋は振り返りながら叫ぶ 「そんなはずは無い!!このボールは確かに本物だ!!」 「その通りだのう」 「え?」 振り返った高橋の目には巨大な鞭を持った藤崎と、その鞭に弾かれてゴールに向かうボールが写っていた。 「さ、シュートを決めたからわしは試合の方に生かせて貰いますぞ」 巨大な鞭―禁鞭―をしまい、試合場に向かう準備をする藤崎。 「ど、どうなっているんだ?」 「簡単な事よ、わしの魂魄分裂を用いて分身を作り、その分身を気付かれないようにゴールに送ってボールに変化させる。 後はわしの口車で高橋どのを油断させて本物のボールをゴールに入れた、それだけじゃよ」 高橋の問いに藤崎が軽い口調で答える 「そうか…そんなチャチな手で僕が…」 高橋は少し落ち込んだ様子でつぶやいた 「でも…それって一回しか通用しませんよね。大丈夫ですか?」 「それに、それは必殺シュートとは呼べないだろう?」 村田と車田が口々に聞いてくる。 「そうかのう…一試合に一度しか撃てない幻のシュート…かっこいいと思うのだがのう…」 藤崎はやや大げさに落ち込んで呟く。 「なるほど!一試合に一度しか撃てない幻のシュートか!それは か っ こ い い な !!」 「えぇー!!車田さんが思いっきり口車に乗せられてるぅー!!」 思いっきり乗せられている車田と律儀に突っ込む村田 「それでは、わしは一足先に行ってゴール前を守ってくるぞ。これ以上あやつらに任すと何点取られるか分からないでのう」 そう言うと藤崎は宝貝「紅水陣」のワープゾーンを通って試合会場に向かっていった。
サッカー編になってから車田が天然キャラになってるな ともあれやっと援軍ひとり出陣か ってか、10点ぐらい取られても全メンバーがそろえば簡単に追いつけそうな気がするが 陽一ひとりでハットトリック決めそうだし
グウとUMA子を突破して10点ってのは厳しいと思う。
大丈夫 ガンサンメンバーもほとんど切り札出してないし(ていうか真面目に全開バリバリでやってるのカムイと岸本だけだし) なによりGKは金田一だw
その身にまとう黄金の鎧は人智を超えた強度を誇り、 その優美ささえ兼ね備えた肉体はひとたび動くと高速を超え、 その強靭な精神力とともに繰り出される攻撃は星々をも砕く。 車田正美はおそらくあんどチーム最強の戦闘力の持ち主である。 その車田が全身全霊必殺の気迫をもって 「うおおおおおっ!燃え上がれ俺の小宇宙ッ!!」 ひとたびボールを蹴ると 「イーグルトゥフラッシュ!」 つま先の一線がボールに触れたとたん、破裂し広域に飛散した! 「ミリオンゴーストアタック!!」 蹴り足から湧き出た無数の怨霊がボールを蹂躙し、跡形もなく消し去った! 「天魔降伏ω」 両の掌の間に生み出された想像を絶する小宇宙が爆発、エネルギーの奔流がボールを涅槃へと導いた。 「駄目だ陽一!ボールが前に飛ばない!」 「最後蹴ってなかったしー!」 村田は本当に律儀だからこんな時もしっかりツッコミを入れてくれる。 今回の特訓でもっとも苦しんでいるのは車田だった。 その圧倒的なパワーゆえにボールを蹴れない。 「車田くん!この言葉を刻み込め!」 それは陽一最大の名台詞。 「『ボールは友達』!君が友情と信頼を込めてボールを蹴れば、君の仲間はきっと応えてくれる!」 「ボールは…トモダチ…ボールは…ナカマ…」 車田の脳裏に、仲間の姿が去来する。 トーナメントをともに勝ち抜いた荒木、鳥山、板垣… 絶大の信頼を寄せる相棒、X… 車田を兄貴と慕う岡田、由利、イシヤマ…イシヤマ? 「石山ぁぁぁぁぁっ!てめぇだけは許っっっさぁぁぁん!!! 積 巳 気 冥 界 波 ! !」 嗚呼、ボールがあの世へと吸い込まれてゆく。 荘厳ささえ覚えるその風景に見とれつつ、村田は心中「イシヤマって誰だ?」とツッコミを入れていた。
本当に誰だー(;´Д`)
そしてあえてここで言う!!
渡辺道明ガンガレ
>>403
423 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:01:24 ID:WRF6tISG
>>339 ふわりと床を蹴り、銃撃のための距離をとろうとする田口。
それをさせじと、槍を振り回して追撃する荒川。
とにかく、田口に銃を抜かせてはならなかった。
一際、大きく振られた槍の先、しかし、田口はすっと上半身を後ろへ倒すと、そのままとんぼを切っていた。
まるきりカンフー映画を思わせる優雅さで伊藤真美を飛び越え、一転すると、部屋の中央、テーブルの前に立っていた。
立ったときには、右手に自動拳銃のワルサーP99を抜き出していた。
しかし、荒川の動きはその田口にとっても、多少の驚きであったに違いない。
荒川は一瞬のうちに前へ出て、ぴったり田口の眼前八十センチの間合いまで、詰めていたのだから。
「せいっ」
荒川が槍を回転させ、田口の手から、銃が再び弾かれた。
それが宙を舞い、床に落ちる前に、槍の穂先が田口の顔面を襲っていた。
田口の後ろにはテーブルがあった。もう後退することはできない。
しかし――槍は、田口の顔面数センチ手前で、止まっていた。――穂先の消失した槍が。
次の瞬間には、槍の先三分の一ばかりが田口の頭をかすめて空を舞っていくのが見えた。
めきっ、という棒が折れる音は、荒川の耳に、奇妙に遅れて聞こえた。
田口が顔の前に上げた左の掌底で槍を叩き折ったのだ、とわかった。
次の瞬間には、田口の右手が貫手の形を取って、まっすぐ荒川の顔面に向かっていた。
「うあっ」
頭を下げ、それをよけられたのは奇跡的だったかも知れない。それほどに、恐ろしく速い一撃だった。
荒川の右の瞼が浅く裂け、細い血が右目の上を伝って頬に朱の轍をペイントした。
しかし、とにかく目突きをよけた荒川は、よける動作と同時に足刀を跳ね上げていた。
分厚いブーツの靴底が端正な田口の顔にめりこみ、首が勢いよく捩じれた。
そのときにはもう、荒川の右――まさしく鋼の拳が疾っていた。
田口の頬にそれは鋭く突き刺さり、さっきとは反対方向に、田口の首がねじ切れて吹っ飛ばんばかりに回転した。
打撃が連続して当たったのを好機に、荒川は一方的な攻勢に打ってでた。
連打だ! 一気にダウンまで追い込む!
上・中・下段に自在に撃ちわけられる夥しいコンビネーション。
その全ての攻撃が、ことごとく田口の全身に当たり、田口はまるでピンボールのごとく上下左右に舞った。
424 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:02:34 ID:WRF6tISG
(……これほどとは) 端でその戦いを傍観している伊藤真美は、荒川の戦いぶりにあらためて驚嘆していた。 真美自身、かつて荒川と一戦交えた身であるため、荒川の戦闘能力は知悉している。 それにしても、“GUNG-HO-GUNS”の中でも、1、2を争う手練であった田口を相手に、こうまで一方的に攻め立てるとは――― しかし、真美はそこで初めて、ようやく気づいた。 数十に及ぶ手数の攻撃を全弾被弾していながら、田口の端正な顔にはいまだに傷ひとつすらついていないということに――― (………なっ…何故っ?) 荒川はすでに、その“違和感”に気づいていた。 (何故、当ててる感触がないのっ!?) 自分の拳は、蹴りは、確実に田口に当たっている――否、“触れて”いる。 そう、触れてはいるのだ。しかし、そこから先に本来あるべき感触――肉と骨を打ち抜く感触が、冗談のように抜け落ちている。 まるで、空を舞うティッシュペーパーに剃刀を振り下ろしているような心もとなさ。 果たして、この相手は実体のない幽鬼か? (……私は……本当に人間を相手にしているのっ!?) 常人には風としか感じられないほどの迅さを持つ、荒川の打撃。 だが――田口は――この“悪魔”は―― その全てを、まるでスロー再生の映像を視るかのように、完全に見切っていた。 完全に見切れている以上、田口は完全なる回避を可能としていた。 拳が、足が、“触れた瞬間”に――力のベクトルに合わせて、そちらへ体を動かし、衝撃を完璧に逃がす。 一流の打撃格闘家ですら裸足で逃げ出す、この芸当も、田口にしてみれば児戯にすぎない。 荒川は攻撃を続けながら焦燥していた。愕然とする。あまりのレベルの違いに。 (……でも、その無駄のない動きが……) しかし、荒川。打撃戦では勝負にならないと踏んだか。 顔面への掌底をフェイントとし、次の瞬間、素早く田口の右手首をつかんでいた。 そのまま一気に関節を決めて、投げへ―― “錬金術”とは力の循環――すなわち“流れ”―― その“流れ”を見極めることに長けた荒川ならではの、達人ばりの切れ味を持った合気術。 その投げ技が、田口に炸裂する――かに見えた、次の瞬間。 (――!!) 荒川の視界が、高速で回転していた。 田口を投げようとして、反対に投げられたのだ――そう認識した瞬間、荒川の背が強烈に床に叩きつけられていた。
425 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:04:19 ID:WRF6tISG
あり得ない事だった。 関節を決め、崩し、完全なる投げの体勢に入っていた荒川を―― 田口は、掴まれていた手首を軽く返すだけで、逆に軽々と荒川を投げ返してのけたのだ。 まるで、その道の奥義を極めた者を思わせる、恐ろしいまでの技の切れ味。 もし荒川が事実――実は田口は柔術に関しては入門書を一冊流し読みしただけに過ぎないこと(しかもそれきり興味を失った田口はその本をゴミ箱に捨ててしまった)――を知ったとしたら、どう思ったことか。 しかし、現実に、荒川にそのようなヒマなどありはしなかった。 床に転がされたときにはもう、田口の振り上げられた踵が、倒れている荒川の頭部に向かって落ちてきていたのだから。 間一髪、両足を回転させて振り上げ、跳ね起きた。 一瞬前まで頭部があった場所の床に、田口の踵が直撃して蜘蛛の巣状に割れた。 倒立したような体勢になった荒川が、そのまま浴びせ蹴りの要領で、田口の脳天を目がけて、踵を袈裟掛けに振り下ろした。 田口はそれも悠々と見切ると、数歩バックステップし、流れるようにかわす。 だが、田口が着地した瞬間――ほんのわずかに動きの硬直を見せたとき―― 荒川はすでに立ち上がり、胸の前で両掌を打ちあわせていた。 「はぁぁっ!」 さらに飛び退こうとする田口だが、一瞬だけ荒川の左掌が、田口の胸元に触れる方が速い。 刹那、錬成の光が稲妻のごときほとばしり、磁石が反発したかのような衝撃が田口の体を吹き飛ばした。 “人体破壊”――“錬金術”の一部にして、創造を旨とする錬金術と対極を為す術理。 触れただけで耐久力に関係なく、人体構成を完全に破壊する魔技である。 たとえどれだけ優れた防御術を持とうと、これの前には何の意味も持たない。 強烈に壁に叩きつけられ、真下にずるずると崩れ落ちる田口。 最早、その体は完全に崩壊し、肉と骨と血の塊になるのみの運命―――そのはずだった。 「――!!――!!」 混乱。驚愕。――様々な感情が荒川を席巻した。 確かに、“人体破壊”の一撃をまともに喰らったはずの田口の肉体。 果たして、そこには一切のかすり傷すら刻まれてはいなかった。 体を完全に起こした田口の顔は相変わらずの冷たい無表情のみを浮かべ、その手にはコルト・ガバメントが握られ、こちらを冷徹に照準していた。
426 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:05:51 ID:WRF6tISG
「うおおおおおおおお」 銃声が連続し、田口の手元で幾重にも火線がほとばしった。 先程、伊藤真美の“テンペスタリウス”によって水浸しになった床に、着弾の花が次々と咲く。 必死の叫びをあげながら、荒川と伊藤真美は田口に背中を向け、部屋の入り口へと一目散に走った。 ――何故、“人体破壊”が全く通じなかったのか? そこに考えを巡らしている余裕はなかった。耳の側で、空気が唸る音を聞きながら、二人は滑り込むようにして部屋の外の通路へと退避する。 なおも、部屋の中では銃声が奏で続けられていた。 「どうするの!? このままじゃなぶり殺しよ!!」 格闘はおろか“人体破壊”まで通じない相手。しかも、荒川の“焔の錬成”は、手袋を形成する発火布が湿っていては使えない。 さりとて、伊藤真美自身、あの田口に対して勝算が全く浮かばない。その焦りもむべかるかな。 「ふん…なめられたものね」 しかし、荒川は面白くなさそうに呟いた。 「むしろ好都合でしょう。大量の水があるという事は、大量の水素もあるという事」 両手を打ち合わせ、床に広がる水面に叩きつける。 「可燃性ガスは錬成し放題」 錬成の光が、水面を伝い、通路から部屋中にまで伝わった。 「加えて、この密閉空間」 すでに荒川の意図に気づいた真美が、自らの愛用する真紅の槍――“アルファクロス”を振るった。 二人のすぐ側で一瞬、部屋の壁がぐうっと膨らみ、そして、艦を覆う闘争の空気を、轟音が揺るがせた。 田口が投げ付け、荒川や真美の耳を一時的に麻痺させたあの手榴弾の音よりも、それは数倍凄まじかった。かろうじて、耳を塞ぐ手が間に合わなければ、二人の鼓膜は完全に破れていただろう。 爆風と熱風が、唯一の出入り口から一挙に吐き出され、二人の体を激しく炙った。 その後にはもうもう黒煙だけが噴き上がり、さっきまで居た部屋の内装が壊滅したことを如実に告げていた。 「私の独壇場でしょ」 そう言う荒川の表情は、しかし暗かった。 ――ここまでしなければ、勝てない相手だった。 だが、敵とはいえ、いつになっても人を殺す事に慣れはしない。 いや、慣れてはいけないのだ。自分はそうやって、業を背負って生きているのだ。 その罪の重さと、業の深さに、荒川は自嘲するしかなかった。
427 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:06:41 ID:WRF6tISG
荒川と真美は、再び部屋の中へ足を踏み入れる。 そこには原型を留めているものは、何ひとつありはしなかった。 さらさらと細片が降り積もり、壁も床も天井もことごとく焼けただれて黒ずむ中、残っているのは部屋そのものの骨組みだけだ。 隣の部屋を隔てる壁はほとんど吹き飛んでしまい、二つの部屋の中には家具がごろごろと散乱し、そしてそのすべてがはっきりと黒焦げになっていた。 まだ何か燃えているのか、明るい炎が二、三箇所に見えた。 床の水溜まりは一滴残らず蒸発し、半ばで折れた水道管は飴のように溶けて不気味に垂れ下がっている。 「……焼け死んだの?」 部屋内部のあまりに凄惨な光景に、真美は顔をしかめ、口元を押さえた。 吐き気のするような異臭が、部屋中に満ちている。 ざっと見渡す限り、田口らしき姿は、そこには見えなかった。 おそらくは瓦礫の下に埋まったか、もしくは――― 「バラバラに吹き飛ばされたか、焼けたか……いや、これは間違い無く焼けてるわね」 半分灰と化した残骸を踏み締めながら、荒川が努めて無感情に言った。 「なんでわかるの?」 「人が焼けると空気中に脂肪が飛散する。新しい焼死体が近くにあるとね。唇のあたりが、その脂肪でベタついてくるからわかる」 なにげない質問に、ぞっとするようなリアリティを持つ答えを返され、真美は表情を硬く強張らせた。 「……それは“ラグナロク”の経験?」 ――“ラグナロク” かつて、ガンガンの隔週化という無謀な試みが生んだ混乱の末、勃発したエニックスにおける一大内部抗争。 当時のエニックスを真っ二つに割った、この戦争は、エニックスに甚大な被害とそれによる衰退をもたらし、結果今日の矢吹政権による傀儡化に繋がったのである。 確か、荒川も当時、新人漫画家の一人として、その戦争に従軍していたはずだと、真美は記憶している。 荒川は、それについては何も答えなかった。真美の立っている位置からでは、その表情は見えない。
428 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:16:03 ID:WRF6tISG
「……死体が近いわ」 しばしの沈黙の後、結局それだけを言って、荒川はそれきり押し黙ってしまった。 沈黙したのは、真美もまた同じだ。 なにしろ、いくら一方的な裏切りによって袂を分かったとはいえ、同じ主のもと長年に渡って苦楽を共にしてきた仲間の凄惨な焼死体を目にしなければならないのだから。 (田口さん――) 途端、伊藤の右脇腹に鋭い痛みが突き刺さった。 真美は、はうっ、と息を吐き――そして、目を剥いた。 真美の立っている場所のすぐ近くに積まれた瓦礫の下――そこから日本刀のような反りをもった、一本の透明な刃が、真美の腹から背中にかけてを貫き通していた。 「伊藤真美!!」 荒川の目の前で、真美の体がスローモーションのように傾いていき、焼けただれた床にどっと倒れた。 「……ごふっ、かはっ!」 口と腹部から大量の血が流れだして、池をつくっていた。 「伊藤真美、しっかりしなさい!」 荒川が必死に呼び掛けるが、真美は目を剥きながら痙攣し、外部からの呼び掛けに反応できる状態ではすでになかった。 真美を貫通した刃は、彼女が倒れるのに合わせて引き抜かれ、その刃の繋がる先に、千切れかかった男の腕があった。 そこからさらに少し離れた瓦礫の下から、崩れた影が、ずるうっとわき出してきた。 左腕を含む、胴体の三分の一にあたる部分が吹き飛び、顔面も半分近くが焼け溶けて左の眼球が垂れ下がっている。 真美の腹筋を三十グラムばかり抉り取った刃が生えた腕は千切れかけていて、ずるりと地面を引きずっている。右膝が不自然に曲がり、足どりもひょこひょことおぼつかない。 だが、それはまぎれもなく、田口雅之に他ならなかった。 変わり果てた姿になりながらも、その冷たい目だけは相変わらず美しいまま、荒川をじっと見ていた。
429 :
悪魔の戦術 :04/12/16 00:16:47 ID:WRF6tISG
なぜ――まだ――生きていたのか? そんな当り前すぎる疑問が荒川の脳裏を支配しようとした瞬間、それはすぐに氷解した。 通常、生物なら生存不可能であろう肉体の損傷が、まるでビデオの映像を巻き戻すかのように、瞬く間に修復されていったのだ。 それは、荒川にとって悪夢の光景であったに違いない。 超人類“ネオ・ヒューム”の肉体を持つ田口は、ホムンクルスですら遥かに凌ぐ、驚異の再生能力を有していたのである。 最早、田口の肉体には、一切の傷さえ見当たらず、まるでこれから戦いを始めるかのようですらあった。 先程の、“人体破壊”の疑問も、これで説明がつく。 なんのことはない。“人体破壊”が通じなかったのではなく、与えた損傷が一瞬で再生しただけであったのだ。 愕然とする荒川の頭上で、爆風に飛ばされた田口の黒の上着が、意思を持つ怪鳥のように宙を舞っていた。 それはやがて、ゆっくりと浮力を失うと、主人の再生が完了するのを待っていたように、田口の肩に覆い被さった。 さながら、マントをひるがえす魔王のごとく静かに立ち、その冴え冴えとした冷たい目で荒川を見つめる田口。 その手に、新たな4丁目の銃――44オートマグが抜き出され、握られた。 肩に羽織られた上着が黒き翼のごとく広がり、同時に銃火が閃いた。 不可視の速度で高速回転した弾丸が、正確に荒川の左肩を貫通した。 「あぐっ!」 ヘヴィ級ボクサーのパンチに相当するマグナム弾の衝撃が、彼女の肉体を後方に吹き飛ばした。 床に叩きつけられた荒川がごろごろと転がった。 血の噴き出す左肩を右手で押さえ、激痛に喘ぎながら、よろよろと立ち上がる荒川。 人の形をした――否―― “人の形を保っている悪夢”――を相手どった、あまりにも絶望的な戦いは、まだ始まったばかりであった。
バロンネタここできたかー!! 勝てる気がしないな、マジで!
>419,420 土塚を忘れないでやってくれ…
あいつキーパーってイメージないなあ。漫画(清杉って言うの?)はキーパーがメインなんかな。 しかし荒川はバトル運がなさそうな人だ…
ハガレンはガチガチのバトル漫画ではないからなあ あくまでそれは要素のひとつに過ぎないというか だから、和月や木城、田口みたいな100%純血のバトル漫画家に比べると分が悪い
漫画の属性よりむしろキャラ立ての問題だろ 荒川タソは頑張るけど力及ばず結局嬲られるコンボが似合いすぎw しかし俺は田口の漫画はバトロワしか読んだことないけど 桐山に再生オプションてあんま想像したくないなー 正直怖すぎ
バロン知らない人のために、 ネオ・ヒュームを一言で説明すると…… 波紋や太陽光の効かない“柱の男”をイメージしてもらえれば
>>435 原作でも粗粒子レベルで相手を分解するジャッジメントフラッシュしか対抗作が無かったからなー
桐山並の悪魔の頭脳を持ったネオヒュームとか、バロンでも勝つイメージが思いうかばねぇ…
柴田UMA子キッス。 メイド広江キッス。 あんどのお稲荷さん。 ならどうだろ?>田口
438 :
今井 :04/12/17 00:37:23 ID:xwFBUD23
>>421 「―――ちょっと手加減すればいいのにね♠ていうか藤崎君もそうだったけど、手使っちゃマズイよね♦」
くつくつと体を震わせながら、休憩用のベンチで笑う今井。
流石に審判も、そこまでノリでスルーしてはくれないだろう。
珠に付く、かなり大きな疵。
このチームは、彼含め半分以上の面子が鬼のように『強い』が。あるいはここらへんが『弱み』なのかもしれない。
「………ひょっとして高橋先生。全員が必殺シュートを習得するまで、自分は出ないつもりなんでしょうか」
立ったまま、村田(表向き富沢)がボソリ。
成る程。
言われてみれば。
確かにそういうことになる。
「ますますタイヘンだ♥」
一瞬深く座り、俯いて顔を見せずにまた笑い。
そしてそのまま、今度は勢いよく立ち上がる。
「んーじゃ 藤崎君だけじゃ頼りないからね♣そろそろボクも行こうかな♠」
密やかに、仲間たちに背を向ける。
今井の特訓は、他のメンバーとは違い、自分一人で行う既存の技の調整であった。
前もってそう断っていたし、高橋にも承認されている。
既にそれは終了していたのだが、疲れた、などと言って、今までダラダラと休憩していたのだ。
「がんばって、くださいね」
練習風景を眺めつつ、おざなりに村田。
「ありがとう♦」
去り際。村田が、唇をほとんど動かさずに呟いた。
「………今井……先生のこと……僕、知っている気がします」
今井の肩が、僅かに揺れた。
「………へえ♥」
「いえ。知っているというか……なんでしょうね。
漫画読みなら大抵一度は経験がある、この漫画家さんの別の作品を読んだことがあると、気付く感じ……とでも」
「…………」
「…………」
静けさ。
439 :
今井 :04/12/17 00:38:21 ID:xwFBUD23
それに振り向いた村田のきょとんとした顔に――――手。 「!?」 アイアンクローの形で視界を奪われる。 全く痛くはない、が、恐ろしいほどの殺気が、手の平の向こうにわだかまっていた。 「あ、あ………!?」 予想だにしない。 唐突な落とし穴。 足が空振る。 落ちる。 誰か。 気付いて。 どうして。 闇。 底が、無い。 なんだこの、異様な―――― 「――――その感性を、大事にするといい」 恐怖に暗転した視界が、急激に戻る。 今井は、背を向け去ろうとしていた、あの時の位置だ。 ―――白昼夢? いや、そんな甘いものでは無かった。 なにか、もっと得体の知れない 「加勢♠早く来てね♣」 言い残して歩き出した今井の背はやがて見えなくなり 村田は、ヘナヘナと地面に座り込んだ。
どいつもこいつも怖いよぅ(´Д⊂
>350 「そ そんな馬鹿な! 鉄壁を誇るるはずのわしの『體動察の法』がそう簡単に……!」 動揺を隠せないといった様子の宮下あきら。 「何なら試してみるかい? この際だから見せてやろうか。お前ェさんが知らねえホンモノの空手ってヤツを……」 「な 何じゃと…………!?」 それに対し、夢枕獏はあくまで落ち着きを払いながら、大胆不敵な太い物言いで宣言した──! そして夢枕は、ふいに、足を左右に開き腰を沈めて構えた。 「あれは‥‥‥‥!!」 その構えを見た時、この闘いを高みの見物と決め込んで観戦していた馬場康誌はどよめいた。 異様な構えであった。 異様とはいっても、空手をやっている者なら誰でもわかる構えだ。 騎馬立ち──足を、左右に、大きく開く。 右足と左足は平行になり、両方の爪先は真っすぐ前を向いている。 膝から尻までの脚のラインは、ほぼ、床と平行である。 それほど大きく足を開き、それほど深く腰を沈めるのだ。 ちょうど、馬に跨ったような態勢となるため、騎馬立ちの名がある。 そして、両手は左右平行に前に突き出され、浅く肘を曲げて、掌を相手に向ける。 まさしくそれは、あの板垣恵介が柴田ヨクサルとの一戦でも見せた『前羽の構え』──。 騎馬立ちに前羽──見事な、どっしりとした、いかにも空手らしい大きな構えであった。 「実戦であれを使うかよ‥‥‥‥!!」 リアル志向の強い馬場から見れば、一見、およそ実戦向きでない構えに見えた。 足が開きすぎ、動きが制限され、疾いステップは望むべくもないからだ。 しかし、この伝説の男にかかれば、そんな小手先の理屈など吹き飛んでしまいそうなほどの妙な説得力があった。 現に、板垣はこの構えを用いて、ヨクサルの『同撃酔拳』に対して華麗な反撃を浴びせてみせた例があるのだ。 さながら、人の形をした巨大な岩が忽然と現れたような存在感が、そこにあった。
「確かに何ともいえぬ凄まじい迫力よ………じゃが、所詮はコケ脅しに過ぎぬわ!!」 夢枕の不動の構えより放たれる圧倒的な威圧感に、思わず気圧されそうになる宮下だったが すぐにその圧力を撥ね退けんがごとく一気に踏み込み、敵の顔面目掛けて素早く手刀を突き出していた。 ところが夢枕はそれを ひょい、と何気無い動作で首を振ってあっさりかわすと “おいさ” そう掛け声を掛けたくなるような動作で、カウンターの右の直突きを出した。 (おいおい‥‥何だよ、ありゃあ‥‥。いくら何でも遅過ぎるぜ‥‥!?) 格闘家の馬場はおろか、素人が見ていてもそうとわかる、ほぼ完全なテレフォンパンチだった。 さあ、そこを打つぞと睨み、丁寧に肘ごと拳を後方に引いてから、足を踏み出して拳を出そうとする。 (あんな突き、宮下のおっさんどころか、オレですら倍の速度で動いてきたとしてもかわせるぜ…) ところが──夢枕のその突きが、宮下の顔面に、みごとに正面から入った。 ぴ た っ ──いや、正確にいえばそれは当たってはいなかった。 宮下の顔との間に指一本分ほどの空間が空き、寸止めされていたのだ──。 (う 動けぬじゃと…………!?) 受けた当人の宮下は信じられないといった様子で、その顔には冷や汗を垂らしていた。 傍観していた馬場も同様であった。
宮下はあわてて眼の前にあった太い拳を払いのけて、反撃の右のストレートを打つ。 ピ タ ッ それもあっさりかわされ、何気ない動作で放った夢枕の蹴りが宮下の股間に当たる直前で寸止めされていた。 宮下の背を、ぞくり、と戦慄の感覚が疾り抜ける───。 驚愕の色を隠せない宮下をからかうように夢枕がすかさず追撃する。 アゴの先にすくい上げるような掌底ッ! ピ タ ッ これまた寸止めであった。 「当たってしまうねェ宮下君」 夢枕が太い唇で意地悪く苦笑しながら言った。 こう距離が密着されてはもはや蹴り技は出しづらい。 宮下があがくように左の剛拳を打とうとする。 ピ タ ッ が、その時すでにノド元に夢枕の左の平拳(指の第二関節を折り曲げた、正拳と貫手の中間の拳)が添えられていた。 宮下はそれでもなお、夢枕の手首を掴み反撃をはかろうとしたが── ボ ッ 相手の手を掴むと同時に顔面を凄まじい風圧が襲い、一瞬だけクレーターのように顔の表面が歪んだ。 気が付けば、夢枕の一撃必殺の正拳突きが顔面にのめり込む寸前でやはり“止められていた”────。
(よ よけられん! 何故よけられぬ……!?) 宮下は激しい焦燥のあまり頭の中が錯乱しそうになるのを何とか堪えながらも、狼狽する他なかった。 (おいおい、よりによって五聖人相手に寸止め空手かよ‥‥‥‥!?) 馬場も驚愕のあまり舌を巻き、体が身震いさせていた。 それどころか格闘技マニアの性だろうか、目の前で繰り広げられた華麗ともいえる絶技にすっかり見とれてしまっていた。 無理もなかった── よりによって、生きるか死ぬかといった命の奪い合いの死闘の際中に、稽古の約束組み手でもするような光景を見せつけれたのだから。 そもそもこの伝説の男が最も得意としていたのは直接打撃制(フルコンタクト)の空手だったはず──。 それを、ダンス空手とも健康体操とも揶揄される伝統派の寸止め空手を実戦の場で、 しかも五聖人相手にやってのけるとは、恐るべきは“闘神”の神技であった───! 「わたしはねェ。今 見せた基本技を五十年……毎日千本以上続けているんだよ。 それができる馬鹿なら誰だって今のような真似ができる。たとえ相手がジャンプ五聖人でもね」 夢枕が急に丁寧な口調になりながらも、実に貫禄たっぷりな態度で太い笑みとともに言い放った。 「ぐ ぐぬううっ…………!!」 それを聞いた宮下は激しく歯軋りをさせながら悔しさを抑えるのが精一杯だった。 「大体よう、おいらは本業の小説の方でも男と男がひたすらブン殴り合う小説を二十年以上は書き続けてんだ。 どうでえ、年季ってもんが違うだろうが? ちなみに後2巻で完結しそうってところで死んじまってよう、未だに終ってねえんだよな、これが」 (餓狼伝まだ完結してなかったのかよ!!) 人懐っこく太い指で頭をこりこり掻きながら悪びれることなく言う夢枕に、馬場が心中で思わず突っ込みを入れていた───。
後2巻で完結ワロタw でもアンタ…… そう言いながら20年経っても終わってませんから!残念!
ガロウ伝に限らず獏はどの本の後書きに「後三巻程度で終わる予定である」と書く 終わったためしが無いw それに奴はガロウのほかにも魔獣狩りとキマイラは死んでも終わらせなければならない もう大帝の剣と黄金虫と獅子の門と他にもエトセトラetc…は諦めますからorz オンミョウジハ、ツマラナイカラドウデモイイヨ
>>446 ヒラコーとや源文と親しい某作家なんていまだかつて完結したシリーズが
ひとつしかないんだぞ!おかげで信者は某守護者のウルジャンの漫画版で心を満たす日々…
オレハモウツカレタヨ
>>447 そうか…おまいも辛い思いを(つ∀`)
カンケー無いけど獏があまりにも遅筆(そして未完)なのに対し
同僚の菊地は筆がメチャクチャ早い事で有名だそうな…きっちり終わらせるし…
獏の三倍異常の速さで原稿を上げる菊地専用ペン、赤い彗星…シャレにならん
高屋パパンを思い出したのは秘密
>>449 高屋の方がマシです、獏の野郎は完結してる作品の方が少ないですから…圧倒的に!
釣りや、山登りや漫画夜話に出てる場合じゃねぇぞ!!
広げた風呂敷は広げっぱなし、畳むのはテメェら(読者)でやれとorz
まあ多くの漫画家にも言えることだが…
ではなんか微妙に小物っぽく押されてる宮下を名物大鐘音で後押ししますかね フレー!!! フレー!!! ミ ヤ シ タ !!!! ヽ(`Д´)ノ フレッフレッ ミ ヤ シ タ !!! ヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノ フレッフレッ ミ ヤ シ タ !!! ヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノヽ(`Д´)ノ
しかし、能力バトル全盛のなかで、純粋な格闘一本で異能を蹴散らす様というのは、実に爽快だな
これが職人の腕ってやつだな
>>452 しかし弟子の板垣は山口隊長にやられたい放題でしたから!残念!
筋肉ダルマ、異能力者に滅多斬り!!
あのままいくと板垣がウンコ漏らすんだよな…orz
ていうか夢枕、別に異能を蹴散らしてるワケじゃないだろ。 外道化してる割に何故かトンデモ技も使わず相手の土俵で戦っちゃってる宮下が 単純な格闘技で夢枕に劣るのは設定上しょうがないというか。 引き込むのが上手いのかねえ…
完全に挑発に乗せられているというかペースに飲まれちまってるってとこか。
まあ獏は、いざとなったら魔獣狩りやおんみょうじ(変換できない)、野獣荒野に慟哭す も漫画化されてるから 異能に対抗できるっちゃできるんだよな〜、しかしそれらを使わず拳一つで何でも出来そうだから魅力的なのであってw とくにキマイラ化なんぞされちゃあ…
色々書いてますのね闘神
色々未完だけどね(つ∀`)
ちなみに三闘神はそれぞれ色んな漫画の原作をやってるからね 菊地は言わずもがな、ブロンソンも色々やってるんだよね…
>125 その戦いは、人智を超えていた。 ブ ア ア ア ・・・・・・・!! ズ ズ ・・・・・・・ ン ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・・・・・ 闘気の奔流。爆発する鳴動。 その渦中で激突をつづけるのは、光り輝く戦士と、赤き炎をまとう魔獣。 ギ ュ ツ ダ ン ッ !! 「くっ……!!!」 稲田の蹴りを腕をあげてガードした鳥山が、そのあまりの重さと腕の痺れに、顔をしかめる。 ダ ン ッ バ チ ィ ッ ガ ン ッ すかさず繰り出されるヘルズクローの一撃を、もう一方の腕ではじきおとし、 すぐさま反撃の拳を放つが、これも稲田は受け止め、さらに頭突きを鳥山の鼻面に叩きこんだ!!
「うおりゃー!!!!」 バ キ ッ !!! 鳥山も負けてはいない。 竜巻のような後ろ回し蹴りで、稲田の巨体を紙くずのように吹っ飛ばした。 ド グ ワ ッ !!!! 吹っ飛んだ勢いで、またひとつビルが倒壊し、凄まじい地響きが空間ごと震えた。 そこで、ここぞとばかりに鳥山は両手を腰だめに構え、そこに全身の闘気を集中させ、放った!! 「か…め…は…め… 波 ぁ あ あ あ あ あ !!!!!!!」 ウ オ ッ ド ッ グ ア ア ア ア ッ !!!! ズ ア ッ ド――――――――――――――――――――・・・・・ン !!!!!! 連続する閃光、そして大爆発。 周囲数キロにわたる広範囲で、すでに現存している建造物はチリ一つ存在せず、破壊の荒野が広がるばかり。 数あるバトル描写のなかでも、最大級の派手さ、そして周りに与える被害の巨大さであった。 だが、そんな大破壊のなかでも、なお・・・・
「……すばらしい破壊力だ、鳥山、やはりおまえは格が違う………!!」 激しく流れる空気が、砂煙を吹き消すと、そこには全身を泡立てさせながら再生中の稲田の姿があった・・・!! 「へっへへっ………!!おめえこそ、こんだけやりあってピンピンしてんなんてよ……いってえ何食ったらそんなカラダになんだ…?」 これまでの戦闘、総じて見ればほぼ互角。 いや、むしろ鳥山の方がわずかに優勢といえる。 以前の稲田であれば、鳥山とこれだけの戦闘を行えば、とっくの昔に粉々になっていたであろう。 しかし、今の稲田は違った。 以前を遥かに超える、竜闘気(ドラゴニックオーラ)の総量。 それにくわえて、竜魔人の強度に匹敵する、超魔生物の肉体。 それらをブチ抜いてダメージを与える鳥山の攻撃だが、それも超魔生物の再生力の前に徒労に終わってしまう。 一方の鳥山は、生き返ってからろくに食事もとっていない状態のまま、ぶっ通しで戦い続けてきたため、徐々にスタミナが底をつきかけていた。 「解せぬ……な」 天下の鳥山明を相手に互角以上の戦いをしながらも、稲田の表情は不機嫌だった。 「天下の鳥山明の力が、この程度とは思えん……!単に俺が強くなりすぎただけとも……! なぜ、貴様は本気で向かってこないのだ……!!」 苛立ちながらはき捨てる稲田に、鳥山が言う。 「いや……おめえは強えよ……単純な強さだけなら、五聖人レベルでも勝てるかどうかわかんねえぐらいだ」 そう、稲田は強い。 戦闘力だけをとれば、カムイ達が鬼岩城で戦った三条を超えているかもしれなかった。 しかし、稲田が指摘したとおり、鳥山もまた、全力ではなかった。 ただし、鳥山には、その「全力」をおいそれと出せないわけがあったのだ。
「(今のオラは漫画家としては、もう壊れちまってる…… ドラゴンボールの力でパワーだけは全盛期に戻っても、それにカラダが耐えられねえんだ……! 黄金期以降も現役で連載を続けてた車田たちと違って、ほとんど漫画を描いてなかったオラの場合はフルパワー状態で戦ったら何分もつか……)」 ……これが、ジャンプ史上最強とうたわれた鳥山の、最大の弱点であった。 だからこそ、鳥山は今まで、あの大友すらも恐れさせた力を使おうとはしなかった。 「後を次世代に任せたい」というのも嘘ではなかったが、それ以上にある「怪物」と戦うため、鳥山は力を温存せざるを得なかったのだ。 「( キ ユ ・・・!おめえと戦うまでは、無駄なパワーを使う余裕は、オラには残されちゃいねえ・・・!)」 おそらく、車田たちでさえ、今のキユには歯が立つまい。 キユの戦術は、他の漫画家のそれとは、全く違う次元にあるのだ。 だから、自分がやらねばならない。あの漫画史上最凶の悪魔を誕生させてしまった贖いのためにも・・・!! だがしかし、今、鳥山の目の前にいる敵は、手加減して勝てるほど甘い相手でなかった。 稲田が右腕から生やした「覇者の剣」に凄まじいまでに凝縮された炎のオーラが集っていく。 「全力を出さぬというのであれば、このまま躊躇せずに葬るまで……! 我が最強の技 超 魔 爆 炎 覇 によってな!!!!」
理屈付け上手いね。 DB系のバトル描写がやたらマッチしとる。 ていうかここ矢吹艦だっけ? あんどにかまけてねーで止めろよ矢吹w
ブドウ棚の下のカフェテラス、パスタやサラミ、ワインなどおいしそうな料理が並ぶテーブル。 えなりは気が付くとそこに座っていた。 どうやらレストランのようだが、ここはいったいどこなのか?思い出そうとしてもはっきりしない。 バリーン!ガチャン!ドシャッ!!ガチャガチャッ! 騒がしい音がテーブルの下から絶え間無く聞こえ、この状況を思い出そうとするえなりをイラつかせる。 テーブルクロスをめくって下を覗き込むと、テーブルの向うでは一人の男がビンの割れたクズを調べていた。 「そんなところで…何してるんです?」 調べる手を休めずに男が答える。 「食事中すまないね、今、探し物をしているんだ」 「……探し物?」 「向かい側の歩道で珍しいコーラの空き瓶を見つけたんだ。レアモノのコーラビンなんだが、割れてしまっていてね」 「破片が全部そろってない。とくに 口の部分がね」 「このビン捨て場にあるかと思ってね、漫画を描く良い『資料』になるはずなんだよ……その部分を探しているんだ」 (漫画?このひと漫画家なのか?)
「そんな中から捜す気ですか?」 「仕事だからね」 「…………」 「ああ……その、なんですけど」 「なにか?」 「いや、その参考までに聞きたいんですが」 「…………」 「ちょっとした個人的な好奇心なんですが、もし見つからなかったらどうするんです? 」 「『資料』になんてならないかも、いや、それよりも見つけたとして漫画に描いたとしてですね」 「それが編集者にボツにされたりしたら…………」 「……あなたはどう思って、そんな苦労をしょいこんでいるんです?」 えなりの方をじっと見る男。静かな、しかし力強い視線にえなりはすこし動揺した。 (どこかであったことが??……だめだ、思い出せない) 「…………」 「そうだな、僕は「結果」だけをもとめてはいない。「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ」 「近道をした時、真実を見失うかもしれない、やる気もしだいに失せていく 」 「大切なのは『読んでもらおうとする意志』だと思っている……」 「読んでもらおうとする意志さえあれば、たとえ今回はボツになったとしても、いつかは読んでもらえるだろう」 「そのために描いているんだからね……違うかい?」
「……!?やっぱりあなたに、前にどこかで会った事が……ある!!」 激しい焦燥感に襲われ思わず立ち上がるえなり。 「どこへ行くんだい、えなりくん?」 男はえなりを静かに見つめ問いかける。 「僕の名を?行く?」 男の視線の先、通りの向うに停まっているバスにえなりは初めて気が付いた。 行き先の表示はない。 「そうだ、あのバスに乗って…………」 そこまで言ってえなりは男を見つめ返す。 「…………いえ、僕は、先生について行きます」 「だって、先生は、いつだって頼りになったし、先生の決断には間違いがないから安心ですし」 男は静かに首を振る。 「行き先は君が決めるんだ。」 「えなりくん、行き先を決めるのは、君だ」 「…………」 「…………」 「僕は…………」 to be continue.
(
>>415 他)
──Dブロック決勝戦・野球場で水島新司は、沸き上がるスタジアムの中でつぶやいた。
──この聖域においての『異物』は、自分たちのような“まっとうな”野球漫画家であると。
しかしスポーツ漫画というジャンルに於いて、
最高レベルのトンデモ度を誇るサッカー世界には、
きっと漫画界の頂点を目指せる何かがある・・・ような気もする。
ともかくガンサンチームに2点目が入り、再度あんどチームからリスタートする中、
ルールに疎い審判のおかげでか周辺の乱闘はしっかり続いていた。
混沌の中から勝利のゴールを決めるのは果たしてどの漫画家か?
「やばいぞ1号、このままじゃろくに活躍できないまま、
後続の選手たちがやってきて交代させられてしまう。
ここで結果を残さないと、俺たち(2〜7号)はクローン研究所に逆戻りだ!」
ユニフォームや体の一部に焦げを残しながら、あんどセブンのひとりがリーダーに声をかける。
「むう・・・我ら7人一蓮托生、ではいちかばちか再度特攻してみるか?」
あんど1号が思考する中、別のあんどからボールがパスされてきた。
ちまきで受け取り、足下に流す。──決断は0.5秒後に下された。
「あーもーキャプテンや安西は何やってんだぁー!?
あいつらサッカーの試合だって事忘れてるんじゃねえの?ったくもー」
中央サークル近く、イライラしながら頭を掻く椎名の横を、一陣の風が吹き抜けていった。
「・・・!? しまっ・・・!!」
慌てて振り向くと、あんど(椎名には区別がつかないが1号。背番号も1)の引き締まった尻。
ボールを巧みにキープし、今度はまともに足でドリブルしながら、
あんどはひとりで切り込みガンサン陣地に侵入した。
「フォォォォォォォ!!!」風巻く1号の雄叫びが、椎名の耳に残された。
「まずい、ディフェンスー!!1番に2人回れーーー・・・ え?」
後方に指示を出す椎名が次に見たものは、彼に一斉に襲いかかる6個の垂直落下おいなりさん!!
「「「「「「 食らえっ!! ちまき人間ナイアガラ!! 」」」」」」 椎名、ぴーんち!!
お知らせです。
>>3 にある第2倉庫の方にも書いたのですが、
向こうさん(鯖)の都合により27日を持ってサイトが閉鎖されてしまいます。
28日以降は倉庫が消えてなくなってしまうみたいです。(消滅)
現在緊急引っ越し先確保に動いていますので、
見つかり次第報告させていただきますね。
正式な転居先か、一時の腰掛け先になるかはわかりませんが、
なにしろ緊急なんで・・・消滅までには間に合わせたいです。
よろしくお願いします。
・・・師走なめとんのかと問い詰め(ry
だ、大丈夫なんだろうか…
472 :
超獣の牙 :04/12/24 00:21:33 ID:RkAezrYP
>>324 真っ白い空間。
イメージとしては、精神と時の部屋を思い浮かべてもらえば近いだろう。
ただ広大な、しかし何もない空間に、激闘の音だけが響く。
福地の脳内にて、情報体と化した、福地と大暮の戦いであった。
『エア・トレック』と『電光石火(ライカ)』
それぞれ超高速移動手段を持つ両者の戦いは、目で追えるレベルではない。
もっとも、この場に第三者が存在することはあり得ないが……
……と、そのとき、二人が同時に後退し、距離をとったところで動きを止めた。
「どうした福地。もう終わりか?」
エア・トレックの車輪から白煙を立ちのぼらせながら、大暮が言った。
「……そんなわきゃないっすよ」
しゃがんでいた福地が、ゆっくりと起き上がる。
二人の戦いは序盤戦から、大暮の優勢で進んでいた。
情報体である現在の福地と大暮には、物理的な疲労や損傷はない。
しかし、肉体と精神とは密接に繋がっているものであり、肉体が傷つけば精神もまた傷つき、精神が傷つけば肉体もまた傷つく。
いわば、二人はお互いの『肉体』を傷つけているのではなく、お互いの『精神』――『認識』を傷つけているのである。
そして、二人の負傷を見ると、ここ(福地脳内)で負った傷だけではない。
現実世界で負った傷も、そのまま持ち越されていた。
である以上、福地のダメージの方が明らかに大きかった。
戦いが始まってから、福地の動きは実際、目に見えて悪い。
それに加え、本来なら『電光石火』+『天界力』のスピードは、『エア・トレック』を上回るはずであったが、
『電光石火』には『制動が極めて困難』という欠点があるのだ。
そのため、速度が凄い分、小回りがききにくく、その点で『エア・トレック』に遅れをとってしまうのだった。
473 :
超獣の牙 :04/12/24 00:22:07 ID:RkAezrYP
ぞくんっ 立ち上がろうとして、福地は見た。そして、訳知らず背筋が震えた。 大暮の背後に浮かび上がる、闘気を映像化したもの――『技影(シャドウ)』。 巨大な獣の形をとる『それ』は、まるで本当にそこにあるかのような存在感を放っていた。 福地の精神は恐怖を感じないが、肉体に眠る本能が凶悪な獣を前に激しく緊張していた。 「ちまちまやってて、またさっきみたいに瞬殺されたんじゃたまんねえ。だから、出し惜しみはなしだ」 ウォームアップは終了、ということだろう。 ズ ア 大暮の足元から、凄まじい闘気がわき上がった。 縦長になった大暮の瞳孔が、底光りするように輝く。 異変は、大暮の足元――『エア・トレック』そのものに生じていた。 それまで、ただのローラーブレードと大差ない外見だった『エア・トレック』が、異様な変形をしていた。 まるで、牙を剥いた獣そのものの姿のような―――― ブラッディ アーマー ファング オン ギガース Bloody armor fang on gigaers
474 :
超獣の牙 :04/12/24 00:22:40 ID:RkAezrYP
ブラッディロード 血痕の道 “牙”とあだ名される その道の特徴とは即ち “キレ” キレとは単なるスピードや瞬発力のことではない 制止状態からの凄まじい0加速 一瞬で到達するトップスピード そしてなによりも重要な トップスピードを瞬時に制止状態に戻す フルブレーキング能力 その0―100―0と言われる過酷な運動の核となるのは やわらかく強靱な太腿の筋肉群 その時 エアトレック 大暮のA・T内 中心部でまさにその大腿筋の如く MAXスピード――→0の制動エネルギーを全て吸収し回転エネルギーに変換し 再び“外”に向かって一気に放出しようとしている一組のパーツがあった。
475 :
超獣の牙 :04/12/24 00:23:38 ID:RkAezrYP
ブラッディロード その膨大なエネルギーと 牙の道 のキレが合わさった時 大 気 は 裂 け る ゴ ン ッ (な…んすか……コリャ……体の前で…何かが弾けた……みたいな……) そ の 衝 撃 波 は 巨 大 な “牙” と 化 す ┣¨ ン 大津波のごとき衝撃の塊。 福地の脳天から爪先まで、一気に激震させたのは、それだ。 “超獣”の牙が、唸りをあげて炸裂した瞬間だった。
大暮イイ!!でも大暮って元十っけ(Ry
動き出したか・・・どうなるやら。 倉庫も('A`)
(
>>469 他)
「「存分に味わえ青年!!フォォォォォォォォ!!!!×6」」
「わあああ男の股間に埋もれて死ぬなんてイヤじゃああああああ!!!!」
Aブロック乱闘騒動の際、かの留美子ですら死を覚悟した大技が、
時間差を置いて流れるように6回も自分に向かって放たれる恐怖!!
(留美子が食らいかけたのは、あんどの技をパクった戸土野の品だったが)
絶望的な光景に抗うおうとする、椎名の魂の叫び!
その時 ──椎名の内側で── ≪奇跡≫が起きた!
椎名がとっさに広げた手の平から、パリパリと電撃のようなエネルギーが発せられ、
一番近いもので彼の頭上50センチにまで迫った、6人のあんどに放たれる!
するとなんと、あんど達がほんの一瞬だが、空中で完全に停止したではないか。
「ぬ!?まさか・・・念動能力(サイコキネシス)!?」
驚くあんど2号が次に見たものは、白目を剥いてヒステリックに笑う椎名の両の掌。
「あっち行けや変態どもがーーーー!! サ イ コ ハ エ た た き !!」
べっちーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!(×6)
刹那、あんど6体が真横に10数m程すっとび、観客席と隔てる壁に全員めり込んだ!
壁をクレーターのように陥没させ、あんど達はセクシーポーズのまま埋もれてしまう。
「すごいね椎名君!これって≪超能力≫じゃない?」「・・・へ??」
近くにいた衛藤が興奮している。しかし当の本人は、
自身に何が起こったか判断がつかないようだった。呆然と横壁を見つめる。
彼が自分の覚醒を知り、己の新たなる力にできるのはいつの日であろうか?
あんど1号はこの間にも、ガンサン陣地の深部にひとり向かっていた。
それを選手専用廊下の出口で見つめる覆面男の影──男は売店で買ったカレーを手に持っている。
それは、あんどと奇妙な因縁を持つ、無礼ドの調査が終わった松沢夏樹艦長の到着を意味した!
カレーオーラを纏った聖夜の刺客が、やがてピッチを黄金の血に染める! たぶん!!
クリスマスだし、ここはしっと団の活躍が?!
乙!
482 :
作者の都合により名無しです :04/12/26 22:06:38 ID:ymc/5x6R
(
>>279 )
腹痛のため大用トイレから脱出できない、川原捜索中のにわのと、
とばっちりの岡村。彼らは相変わらずコントのような会話で大騒ぎしていた。
「だーもー限界だ!こいつは放っとく!俺は先に行くぞバカ副将!」
『ええ〜そんな殺生な・・・あ、そうだ忘れてたー奥の手があったモン』
「あるんなら出し惜しみすんなよ!5秒で支度しろ!」
『ケチくさー(苦笑)じゃあ行くよー?』
3秒後、開かずの扉をすり抜けて、身体半分をドア板から飛び出させながら、
幽体離脱した半透明のにわのが霊魂状態で岡村に挨拶した。
でもなぜか♀バージョン。
『やあやあ岡村クンおまたへ〜♪8部336以来の精神体分離でおま』
「幽体離脱かよ!つーかなんでまた女のカッコしてんだよ、変態かあんたは!」
『うーん、普段はもんがー姿なんだけど、こっち(人間型)の方が岡村クン喜ぶかと思って』
「何か誤解させる言い方はよせ!!岡野に頼んで成仏させてやろうか!?」
『ぶーぶー言ってないで早く出かけましょうよぉ〜』
「てめーにだきゃあ言われたかねえ。ところでなんで真倉と違って半透明なんだ?」
『・・・徳が低いせいだって昔、岡野君に言われましたぁ』
「ようするに日頃の行いが悪いって事か・・・そらそーだな。じゃあ行くぜ!!」
自分の肉体をトイレに放置して、川原を捜しに向かう器用な副将。
彼らが去って数分後、やって来た清掃員が、何度ドアノックしても反応がない≪それ≫を、
“おトイレの最中に頓死した男の遺体”と認識し事件沙汰になったのを彼らは知らない。
それはともかく。
走ってコロッセオの外に飛び出す岡村と、彼の肩に掴まって浮いているにわの♀。
『わーい霊体だから移動が楽だしー♡』
「これじゃ女の幽霊にとりつかれてるようにしか見えねえよ俺!」
『やーい女泣かせの色男〜憎いねひゅーひゅ♪』
「絶ッッ対殺す!!」
頭に血を上らせながら、それでも冷静に周辺地図の看板を捜す岡村。
先ほど目撃した桜並木の公園の位置を確認し、踵を反して全速力で駆け出した。
「無事でいろよ川原・・・あんたを最初に倒すのは俺なんだからな」 声に出して心のライバルに語りかける、岡村へ珍しい反駁の声があがる。 『違いますー。最初に川原せんせーを倒すのはボクの仕事ですー』 「!? なんだよそりゃ・・・」 可愛い声に不似合いなセリフを耳元で聞き、道中思わず足を止める岡村。 肩の上の霊体を見上げると、ぶかぶかのTシャツ姿の長髪娘がそっぽを向いていた。 冗談めかしてはいるが、“本気”の言葉だと岡村は理解する。 「――ああ、そういや今夜、川原の奴と仕合うんだって? よせよ・・・あいつはあんたと違った意味で人間じゃねえ。 それにあんたのキャラじゃねえだろ。あんたは割烹着でも着て、 掃除機振り回してるほうがお似合いだ。やめとけやめとけ」 『・・・どこで聞いたの?まあ、どこでもいーけどさ。 本宮せんせーや他の人たちにはナイショね。説明めんどいから』 幽霊娘の声は、どこか無機質に思えた。 「そういう問題かよ。あんたとあいつの仕合なんか無意味だろ。 あいつはバトル好きだから喜ぶかも知れんが、実力差や相性とかは抜きで、 あんたがあいつと闘(や)りたがってるようには思えん。 何を焦っているのか知らねえが、不毛だぜ」 『岡村クンには関係ないだろ!?』 突然ムキになって声を荒げるにわの。眉をひそめる岡村。 「耳元でキンキン言うな。楽しくないバトルはしたくないってのが、 あんたの口癖じゃねえか。あいつに勝って何がしたいんだ?」 『何がって・・・な、ナニですがな。 あーあれだよ!ボクが漫画家として終わってないか確かめたいんだ!』 親友・小畑健の命がかかっているだなんて、言えやしなかった。 川原にも他のメンバーにも、これ以上“よけいな負担”をかけたくなかったから。 その気遣いこそが間違いの元だとわかってはいるけれど、それでも。
「嘘くせー。なんか嘘くせー。 そんな理由だったら俺や本宮さんが相手でもいいだろ。 あ、さては何か隠していやがるな?言わにゃあんたの本体をトイレから引きずり出す」 『勝手にしてろ!それより早く公園まで走れっての!』 ポカポカと岡村の頭を叩くにわの。半端な霊体なので綿のような感触しかない。 「チッ、意外にガンコだな。わかったよ、今の話はまた後だ」 一旦話を切り上げ再び歩を進める岡村。 彼の右肩から背中にかけて座りながら、霊体にわのは肩でため息をついた。 岡村と逆方向を向いているので、視界の中のコロッセオがだんだん遠ざかってゆく。 (・・・ボクだって知りたいよ。なんで命の恩人の、 川原センセと闘わなきゃいけないんだ。なんでボクなんだ。 確かに彼は別府で、平野君の部下であるらしい真鍋をぶっ倒したよ。 それを恨んだ平野君が、バティを人質に仲間同士闘わせるってー企画はアリだと思うよ。 でも・・・なんか引っかかるんだ。あの男はそんな単純な感じはしなかった。 なんだろう、得体の知れない手の平の上で踊らされてるような・・・。 それでもボクは踊るしかないのか・・・踊る・・・踊れば・・・踊り・・・踊り?? ―――はっ!!いつの間にかボクの手が猫のよーに丸く握られ、 ≪もんがーダンス≫の姿勢を取っている!!オニャノコなのに!! くっそーどこまでもシリアスになりきれないボクのバカバカ! んーでもそんな自分は嫌いじゃないモン。それはともかく、踊りかー。 こっちもなんか気になるなー。画太郎せんせーの癒しのダンスも思い出すなあ。 あれはせんせーどうせ教えてくれないから、 独学でマスターするしか・・・踊り・・・癒し・・・うーむ) 「さっきからモゾモゾしてんなよ!気が散るだろーが」 肩の上でせわしなく動く幽霊が鬱陶しくなってきた岡村が怒り出す。 『ごめーん考え事してて〜』 「ない脳みそで無駄な事すんな。それよりあんた飛べるんだから自力で移動しろよ」 『あーーー思いついたぁーーーー!!』 「ぎゃあああ!?なんだよいきなりっ!?」 何やら天啓を受けた様子で、にわのがバタバタと岡村の背中で暴れ出す。
『そうだよ!ボクにはまだまだやれる事があるっ!! ≪太陽の紋章≫の超回復エナジーをもんがーダンスに還元して・・・ がたろーせんせーを越える凄まじいヒーリング技が生まれるかもしれないじゃん!! あーこーしてる暇はないモン〜とっとと川原せんせー呼び戻して、 新技開発にいそしまねばっ!!おらおら岡村クン〜はやてのよーに急がんかーい!!』 急に張り切りだした調子のいい幽霊。 背中の迷惑者の切り替えの早さに辟易しつつ、岡村は公園近くの角を曲がる、が。 「言われなくても走ってるっての・・・ うっ!!」 突然、金縛りにあったかのように動きを止めてしまう。 岡村の叫びと同時に、にわのは半透明の身体を前方の公園に勢いよく向ける。 気配が――――― 薄桃色に彩られた人工公園の全体から発せられる2匹の鬼の――――― 今にも周辺の存在全てを巻き込んで大爆発しそうな――――― これは何を意味するのか―――――― 冷汗が、岡村の背中を伝い落ちる。 表情を強張らせた彼がふと、右肩の幽霊娘を見やると、 彼女は・・・着の身着のまま氷原に捨て去られたような形相で、 自分の両肩を掻き抱いている。にわのは、己の本体を置いてきた事を心底後悔した。 『岡村クン・・・やばいよ、ボク、これ以上近づいたら、 虎砲食らった真倉君みたく存在消滅しそう・・・恐ろしい気がひしめき合ってるよ。 あの公園にいるんだね。鬼が。川原センセと―――“あの”板垣せんせーが』 「ああ・・・そして闘ってる。あんたが・・・あんたが本気で、 川原と闘う気があるのなら、この道は避けて通れねえ、はずだ。 人間を超えた存在がふたつ。そこに割り入らなけりゃならねえ。 しかし板垣ってのは相当強そうだな、こりゃ川原でもヤバイかもしれんぜ?」 『!! あの人が負ける時なんて、彼が死んだって絶対来るものか!!』 「さっきと言ってる事が違うぞコラ。まあいいぜ、 今から公園に突撃するぞ!危なくなったら俺にとりつけ!」 『あ、ありがとー』 ―――彼らがやっとの思いで公園に辿り着いた時。周囲を包む気配がぐらりと、揺れた。
>>478 あんど(オリジナル)が、敵陣深く切り込んでいたとき。
サッカーと同時進行で行われる、二つの戦いが佳境を迎えていた。
「……しぶてえな、この蝦蟇オバケが」
安西操るガーゴイルと、岸本が口寄せしたガマ文太の戦いは膠着状態に陥っていた。
互いに決めてがなく、周囲に被害が及ぶばかり。決着の糸口が見えない。
――安西が焦れ始めた、そのときだった。
『――ぐおっ?ちい、岸本のガキめ……私闘にかまけすぎて集中を乱し…』
ボ ン ッ !!
「――あ?」
これには、さすがの安西も唖然として、すぐには事態がつかめなかった。
ガマ文太の巨体が、突然、前触れもなく煙と共に消滅したのだ。
「……こいつは岸本が召還した、本来ならこの世にいないものだ。それが、岸本に何かあって、蝦蟇を現世に繋ぎとめる鎖が弱くなった…ってことか?」
安西の八竜やガーゴイルも、術者本人の精神力で操るタイプの能力である。
だからこそ、安西には似たタイプの岸本の術の本質を理解できたのだろう。
――そして、それの意味することは。
ド ッ ガ ア ア ア !!
まさにそこに思考をめぐらせようとした瞬間、安西から数メートルも離れていない観客席の壁に、人間大のシルエットが叩きこまれた。
「……岸本か!?それとも……」
もうもうと破壊の砂塵がたちこめる中から、瓦礫を押し分け、ぼやけた影が立ち上がった。
安西は、それが誰かを確かめようと目をこらした――
「!!」 しかし、安西の期待とは裏腹――出てきたのは血まみれのカムイの姿だった。 斬り傷、打撲、火傷、あらゆる負傷がその体に刻まれている。 「――カムイ!」 叫ぶ安西の耳に、奇怪な羽音が背後から聞こえてきた。 「――どうした、動きにさっきまでの『キレ』がまるでないぜ?センパイ」 醜怪な翼を広げる異形――『状態2』の岸本が、嘲りの言葉を投げかける。 「この状態になった俺は、通常の十倍は強い。人のままじゃ俺には勝てないぜ」 「――あいにく、俺は人のままでいたいんでね。バケモノの力に興味はない」 最初の猛攻撃による過度な肉体への負担にくわえ、決して浅くない負傷。 すでにボロボロのカムイではあったが、その清新は弛まない。 そんな姿に、岸本は苛立ちを隠しきれない。怒りに表情を引きゆがめるが――それはすぐさま別の種類の歪みに変わった。 「……ぐうあっ!」 (――不味い、長引かせすぎた。このままでは、『呪印』に乗っ取られて、俺が俺じゃなくなる) 『呪印』に完全に支配されれば、理性を失った怪物になりはてる。 岸本にとっても、この『状態2』は諸刃の剣であった。 「いい加減、飽きた。――もう終わらせる」 「寝惚けるな。もう終わらせるのは――俺の方だ」 岸本にそう言い返したカムイが、先手をとって呪文を唱えた。 「マヌーサ!」 意外にも、カムイの唱えた呪文は、幻惑の呪文――マヌーサ。 薄桃色の霧が周囲を包み込み、岸本にいくつもの幻のカムイを見せる。 「――くだらん。こんな子供騙し――俺の『写輪眼』の前では、全て無駄だ」 三つ巴の紋様が浮かびあがった両目が、真実のカムイの居場所を察知しようとする。 ――が、そのとき。霧の中から、一気に6つもの人影が飛び出し、岸本に襲いかかった。 「――なに、これは実体!?馬鹿なっ!!」 マヌーサの幻ではない、本物の肉体を持った影。それが岸本を完全に包囲しながら、突っ込んでくる。その正体は――!! 「「「「「「フォォォオオオオオオオ!!!地獄のジェットトレイン!!!!」」」」」」
襲いくる6つの影の正体に、岸本は驚愕した。 なんとそれは、一応、こちらの味方であるはずの、あんどクローン6体だったのだ。 全員とも、普段から正気ではないが、今の彼らはさらに目付きが尋常ではない。 「――こいつらに『メダパニ』をかけたのか!?観客席に突っ込んだときか!!」 あのとき――カムイが叩きこまれた観客席のすぐ近くの壁に、椎名に吹き飛ばされた6体のあんどクローンが埋もれていたのだ。 そこで、カムイは咄嗟に6体にメダパニをかけて混乱させ、囮に利用したのである。 味方のはずのあんど(×6)のまさかの攻撃に虚をつかれた瞬間、さらに頭上から迫りくる強烈な殺気。 「 魁 星 穿 光 脚 !! 」 ガ ッ !! 『気』を帯びたカムイの強烈な回し蹴りが、光の弧を描いて岸本の顔面に突き刺さった。 しかし、カムイの踵をこめかみに受けた瞬間、岸本がニヤリと笑う。 「!? なっ!!?」 その瞬間、岸本は、蹴りの衝撃に逆らわず、大きく体を旋回させた。 同時に、岸本の全身から光り輝くチャクラが防御幕のように噴出し、岸本の回転にともなって、それは半球状のバリアーのように展開され、カムイと、そしてあんど(×6)をまとめて吹き飛ばした。 「くっ!!」 アンド達は再び、散り散りにそこら中の壁に激突し、カムイも数メートルほど弾き飛ばされて芝上を転がった。 (何だ今のは――?) 膝つくカムイの目の前には、浅いクレーターの中央に立つ岸本がいる。 「勝ったと…思ったか?」 「!!」 不敵に笑う岸本の顔には、わずかなカスリ傷ひとつさえ、ついてはいなかった。
『……『回天』……!!』 実況席にて、解説の克がマイクに向かって叫んだ。 『……知っているのか、克!?』 絶妙なタイミングで合の手を入れる橋口。まるで、数年来コンビを組んできたような息の合いようだ。 『攻撃を受ける瞬間、体中のチャクラ穴からチャクラを多量放出…そのチャクラで敵の攻撃を受け止め、自分の体をコマのように円運動させ…いなして弾き返す!! 岸本選手は、体全体からのチャクラの放出力だけで物理的攻撃を完封してしまう…つまりそれは言うなれば、あの『砂』以上の力を持った…もう一つの絶対防御!!』 「……身体能力だけでも差がある上に……そんな芸当までこなしてみせるか」 さすがのカムイも、岸本の恐るべき異才を前に、戦慄を禁じ得なかった。 少なくとも、かつての未熟だった頃の岸本にはなし得なかった技。これも、眠っていた力と才能が、『呪印』によって全て引き出された結果か……。 「これで終わりだ…お前は俺の八卦の領域内にいる」 岸本の言葉で、カムイは気づいた。――今の自分が、岸本を中心に展開する、巨大な陰陽大極図の中に捕えられていることに。 「柔拳法 八 卦 六 十 四 掌 」 両足のスタンスを前後に大きく開き、左掌を上にして後方に伸ばし、右手を地面に擦るほどに下げる、奇妙な構え。 刹那、岸本が芝の上を水澄ましのように滑りながら、つっかけてきた――!! 「 八 卦 二 掌 ! 」 ガッ!! 「 四 掌 ! 」 「 八 掌 !! 」 ズガガガガガッ !! 「 十 六 掌 !! 」 「 三 十 二 掌 !! 」 ガガガガガガガガガガガガガガガガがガガガッッ !!! 「 六 十 四 掌 !!! 」
「がはっ!!」 岸本のマシンガンのような指拳に全身を撃ちぬかれ、吹っ飛んだカムイが地面に叩きつけられた。 瞬間、身も狂わんばかりの激痛が稲妻のように全身をかけめぐり、カムイは悶絶した。 「全身64個の点穴を突いた…お前はもう立てもしない…」 「………う……」 どんなに力を込めても、痙攣しながら上体を起こすぐらいしかできない。そんなカムイの様を、岸本は鼻で嘲笑う。 「フッ…くやしいか?変えようのない力の前にひざまずき己の無力を知る。…所詮、それが貴様の限界だ」 (………ちくしょう…) 歯を食いしばるが、やはり立てない。そんなカムイに、岸本が手刀を走らせた。 ┣¨ シ ュ ッ ・ ・ ・ !!! 「カムイ――――ッ!!」 安西が絶叫した。 カムイの胸を、岸本の手刀が無惨に貫いていた。カムイが、ごぼり、と大量の血を吐き出す。 「フン…心臓を貫くところを、左腕でなんとか軌道を逸らしたか。――だが、右肩と肺を貫通している。これで貴様は、右腕は使えず、呼吸すらままならん。そして…」 ド ン ッ !! 「………これで終わりだ」 岸本の『柔拳』による一撃が炸裂し、カムイの顔面の各器官から夥しい量の血が噴出した。 カムイは、安西の足元まで吹き飛ばされ、深々と地面に横たわった。
「――カムイッ、しっかりしろおッ!!」 ボロ雑巾のような無惨な姿になったカムイに、安西が絶叫する。 「……てめえはこの程度の男だったのかよ!あんなゲテモノにあっさりブチのめされてんじゃねえぞッッ!!」 しかし、カムイはぴくりとも動かない。 「……いくら呼んでも、そいつはもう死んでるぜ。さあ、次はお前の番だ」 ショックを押さえきれない安西に、岸本が無慈悲な微笑を浮かべる。 「……上等だよ、固羅。カムイの分まで、めったくそにしてやるぜ、てめえ」 全身から比喩でない、本物の怒りの炎をたぎらせ、安西が岸本に歩みを進める。 ――が、そのとき。 「!!?」 安西ばかりか、岸本までが驚愕した。 なんと、二人の間を遮るように、倒れていたカムイが立ち上がったのだ…!! 「……カムイ!!」 (コイツ……バカな……) 喜びの声をあげる安西と、内心で驚愕する岸本。 壮絶な目で岸本を睨むカムイだが、岸本はすぐに余裕の笑みを取り戻す。 「……あれで死なないとはしぶとい。――だが、これ以上やっても同じだ。貴様にもう勝ち目はないぞ」 「……たしかに、貴様は俺よりも遥かに強い。――しかし、俺にはまだ最後の手段がある」 そう言ったときだった。カムイの首筋に刻まれた『呪印』が、ざわざわとうねり、その面積を広げ始めたのだ。 それを見た岸本が、歓喜の哄笑を放った。 「ハハハハッッッ、とうとう『使う』気になったか!!いいぜ、こっからが本番だ!!」 「――バカなッ、カムイッッ!!勝ち目がないからとそんな力に頼ろうなんて……気でも狂ったのかッッ!!」 尊敬すべき男の、まさかの行動に、安西が怒りの声をあげる。 だがそれに対して、カムイは――いつもと変わらぬ眼差しで――こう言ったのだ。 「……安西。もしも、俺を友と思うなら… 何 が 起 こ っ て も 俺 を 信 じ て く れ !! 」 「カムイ―――ッッ!!」 「…お…俺の言葉を忘れないで…くれ……」 そして………… 「うがあああああ――――――――――――――――――――っ!!!!」 カムイの全身を、凄まじいスピードで、闇色の『呪印』が覆い始めた。
ウォォォォン!!!! 前半から無茶しすぎですよキャプテーン!!!
カムイいいいいいッ!!!!!!
なんでこんなドキドキすんだろう カムイ頑張れ頑張れカムイ
カムイが染まっていく。黒く。黒く。黒く。黒く。 銀に近い白だった髪は漆黒に染まり。 顔面や、剥き出しになった上半身は、奇怪な紋様で覆われていく。 どんよりと暗いクマで彩られた目は、赤く危険な輝きを放っている。 最早、そこにいるのは、かつて勇者と呼ばれた――藤原カムイではなかった。 「はあ、はあ、はあ……」 呼吸を荒げるカムイだが、既に全身の負傷は『呪印』の効力によって全て完治していた。 そして、全身から発散されるのは、常の光の波動ではなく、瘴気とも呼ぶべき禍々しい気配。 「な…なんだ、あのカムイの変貌ぶりは!」 「カ…カムイ先生から恐ろしく邪悪な闘気が放たれている…!」 中盤にいた椎名と衛藤が、予期せぬ事態に混乱している。 「…まさか、貴方ほどの人が呪いの力に屈したというの…!?」 「―――――」「…………」 ゴール前では、留美子も困惑を隠せない。だが、亜美と金田一は無言のまま、カムイの方を見つめていた。 「カ、カムイ〜〜〜ッ!」 安西の悲痛な呼び掛けに、カムイが振り向いた。そして、変貌したカムイを見て安西は絶句してしまう。 「……………ッ」 「くっくっくくくくくく……どうだ……いい気分だろう? 人間の首をはねろと言われたら、まるで花をつむようにたやすく行えそうな気がするだろ?」 「―――――」 無言のカムイに、岸本が愉快そうに笑いかけた。 「それでいい。ようやく、お前は俺と同じ土俵に上がった。ここからが真の勝負だ」 ここで、安西が怒声をあげた。 「バッ…バカを言うなあっ!そ…そう簡単にこいつが正義の心を失うわけが無いっ!!」 「安西…おまえもかつては闇に心を染めた男。この男を見て…事態がわからないのか?」 「…!!!」 (…かっ…感じられねえっ!光の闘気が何もっ…!圧倒的な闇の闘気が全身を覆っているっ…! い…今まさにカムイの光の闘気が闇に…喰われようとしている…!!)
「フウッ、フウッ、フウッ」 「…まだ身体が重そうだなカムイ。身体の傷はすべて『呪印』の力が癒してくれたはず… それはまだ体内にちっぽけな良心を残していることが原因だ… おまえが完璧な戦士になる方法を教えてやるよ」 そう言うと、岸本は忍者刀をとりだし、カムイに差し出した。 「…これでそこの安西を殺せ…!かつての仲間を殺せば、おまえの良心も消える。 光の闘気は消滅し、かつての…いやそれ以上の不死身の魔神として、俺と戦える…さあ!!やれ!!」 そして、カムイは言われるがまま、刀を手にとった…! 「カムイ!!」 「フウッ、フウッ」 激しく息をつきながら、血走った目をしたカムイが、刀を安西の喉元につきつけた。 「ど、どうすればいいの!?このままじゃ、安西君とカムイさんがっ!!」 「く、くそっ!なにか打つ手はないのかっ!!」 「信行!カムイ殿!!」 留美子も椎名も雷句も、絶望的な気持ちだった。持ち場を離れることもできず、打開策も見つからない。 一方で、ガンガン側のメンバー達は、いつになく緊迫した表情ながらも、なぜか無言のまま事の推移を見守るのみだった。 (ど…どうしたらいいんだ!カムイはいまや完全に敵…) そう思いかけて、しかし安西は見た。刀を持つカムイの手が、苦しげに震えていることに。 そして、思い出した。『呪印』に飲み込まれる寸前、カムイが安西に言った言葉を。 ―――もしも俺を友と思うなら…何が起こっても俺を信じてくれ…!! ―――信じてくれ…!! ―――信じてくれ…!! (…そうだ!!こいつはまだ戦っているんだ!! こいつの体内でくりひろげられている死闘の勝利を俺がっ… 俺 が 信 じ て や ら な い で ど う す る ん だ っ !!!)
「カムイ!!がんばれッ!!呪印なんてチンケなものに負けてんじゃねえッ!!!」 安西が一抹の希望を込めて、力の限りカムイに呼び掛ける。 ――ピクッ すると、今しも安西を貫こうとしていた刃の切っ先が、停止した。 「!?どうした!!?殺せ!!殺すんだ!!」 カムイの反応をいぶかしんだ岸本が、さらに煽る。 「うっ…うううううっ…!!」 しかし、カムイは制止したまま、苦しげに呻くばかり。 「俺はおまえを信じてるッ!たとえ、この体を裂かれ、最後の一片まで粉々にされても、おまえを信じぬくぞ!! だから戦え!!自分の中の弱さと戦うんだっ!!俺にさえ出来たことが、おまえにできないはずがないっ!!」 「殺せ!!カムイ!!たわ言に耳をかすなっ!!」 安西と岸本、双方からの必死の呼び掛けが続く。そして――――― 「「カムイ!!」」 「ウオオオオオオオ――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!」 ド オ オ オ オ ン !!!! 断末魔のごとき雄叫びをあげた瞬間、カムイの体から爆発したように猛烈な光が噴き出した…!! そして、光が止むと、カムイの全身は焼けこげたようになっており、糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだ。 「「「カ…カムイ――――――――――――――――!!」」」 場内に、絶叫がこだまする。 「死んだか…なんてバカだ。素直に『呪印』に身を染めていれば、絶大な力を手に入れられたものをっ…!! 自らの『気』と、『呪印』の力の激突に耐え切れずにくたばりやがって……」 吐き捨てるように毒づく岸本の声が、呆然とする安西の耳を虚しく打った。
「も、もう我慢できないのだっ!!」 たまりかねて飛び出そうとするゴール前にいた雷句。しかし、それを制する者がいた。金田一だった。 「な、なにをするのだ!!放すのだ!!」 「判らんのか、リック。ガンガンのメンバーが誰も駆けつけないのは、藤原カムイという人間を知りぬいているからだ」 「…えっ!!?」 「…ああいう男なんだよ。生命すらヤツにとっては武器のひとつにすぎん…!!」 「…興醒めだが…仕方ない。…今、冥土の道づれを増やしてやる…」 (……カムイ……!!) 呆然として無防備の安西。その首を掻き斬るべく、忍者刀を拾い上げる岸本。 そして、岸本の凶刃が、今しも安西の命を奪おうとした―――その瞬間!! ガシリ、 と何者かの手が、岸本の足首をつかんだのだ…!! 「なっ…なにィッ!!?バッ…バカなあっ!!!」 岸本が驚愕の叫びを響かせた。 安西も、目を見開いて絶句しながら、その光景を凝視している。 死んだ…と思われていたカムイが、岸本の足首をつかんだまま、体を起こしたのである…!! 「…いい気分で目覚めたよ…岸本…まるで十日間は熟睡したような最高の気分だ……」 カムイの肉体に、また新たな変化が生じていた。 黒かった髪は再び白くなっていき、全身を覆った禍々しい紋様が波の引くように消え失せていく。 「今なら…おまえの首でも簡単に落とせそうな気がする……」 クマもすっかり消えた目の奥には、再び勇者の眼差しが戻っていた。 「……まるで花をつむようにな…!!!」
カムイカコイイよカムイ ヤングガンガンの青年アランばりのいい男なんだろうな〜
カムイ、かっこよすぎだろ というか、もはやどっちが主人公チームなのやらw
カムイでダイ大ネタとはまた因果な組合せだな…
>まるで十日間は熟睡したような最高の気分だ…… ワロタ
初め、ジャガンの「魔の刻印」かと思ってたら まさかダイ大のヒュンケル覚醒シーンとは……
安西がワニか…相変わらずオイシイ役所だ しかしもっとオイシイのが金田一 なぜにロンの台詞をおまえが言うかw
>>305 (関連レス22部297)
エリア88甲板上―――
福地が脳内で大暮と戦っているとき、もう一組も鎬を削る戦いをしていた。
ガ オ オ ン
鋼鉄の甲板に生じたクレーター。
次いで、巨大な亀裂が走る。
和月の振るう十文字槍による一撃である。
凄まじい破壊力だが、和月が砕いたのは艦のみ。山賢本体は――
ドスドスドスドスドスドス
和月がそれを探り当てる間もなく、その周辺に奇妙な物体が数を揃えて突き刺さった。
真ん中に棒のようなものが通してある、小さなトゲのついた奇妙な黒い塊。
「ブラスト!!」
どこからか山賢の声が響いた瞬間―――――
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ――――――――ッッ
ひとつひとつが手榴弾なみの威力であった。
その数10を超えるそれらが一斉に爆発したのだ。
天をも焦がすような爆炎が、太陽がもっとも高くなりつつあった空を切り裂いた。
「跡形もなく消し飛んだか。」 甲板を埋め尽くす木々の間に極細のワイヤーを張り、宙に逃げていた山賢が、一部焼け野原となった地点にマントをたなびかせながら降り立った。 大木さえ焼きつくし、爆風で薙ぎ倒すほどの破壊力を、至近距離で受けた和月。 その肉体は、塵ひとつ残さず、その場から消滅していた。 「しぶとい変態だったが、これで―――」 山賢が勝利の末に一服しようとした、そのときだった。 ジ ジ ・ ・ ・ 「まさか――!?」 何もない空間に、放電するような光がたばしったのを見て、山賢が驚愕の声をあげた。 バ シ ュ ッ バ シ ュ ッ バ シ ュ ッ まず最初に骨格標本のように、人間ひとり分の完全な人骨が現れ。次いで、剥き出しの筋繊維がその骨格を覆い。最後に、和月の肉体が完全再生された。 この間、せいぜい数秒もかかっていない。 「フシュウウウ……全身修復は久々だな……。」 爆発のおかげで衣服が全て破れてしまった為、全裸の状態で和月が鋭い呼気を吐いた。 身につけているのはトレードマークである蝶マスクと、そして右手に持った十文字槍のみだ。 「高速自動修復か……察するにそれがその槍の特性かね?」 山賢の問いに、和月が卑猥ともいえる笑みを浮かべる。 「そうだ。その程度で我が槍“激戦”は止められん。」 「モンスター以上の生命力とはやれやれだな……。」 山賢が心底ウンザリしたように紫煙を吐き出した。 くわえていた煙草を投げ捨て、再び和月と向き合おうとした、そのとき。 名状しがたい悪寒を背筋に感じ、二人は同時に振り返った。
508 :
王蛇登場 :04/12/31 14:28:48 ID:TCamt64I
それは殺意からくる恐怖ではない。 それは威圧からくる戦慄でもない。 あるいはそれらを全て内包した、もっと根源的な「悪意」とでも呼ぶべきもの。 ほんのわずかな人間性すら感じさせない、不純物の一切ない、純粋すぎる「悪」の気配。 こんな気配を放てる人間がいるのか――? 背骨に大蛇がからみつき這い上がってくるような怖気に、蝶・変態と殺人鬼は身震いした。 二人の視線の先に――――奇妙なシルエットがあった。 全身を黒いウェットスーツのようなもので覆い、その上から身体の各部を紫色の甲冑のようなプロテクターでカバーしている。 素顔は、蛇を連想させるデザインの仮面で隠され、判然としない。 突然、死闘の場に現れた来訪者に、二人は完全に面喰らっていた。 「――――仮面ライダー王蛇。」 山賢がぽつりと呟くと、和月が怪訝な顔をする。 「――仮面ライダー?あれがか?」 和月はその単語を聞く事により胸の奥にわき上がる不快感を噛み締めながら、いぶかしむように言った。 先の別府の戦いにて、和月に痛手と屈辱、そして恐怖を与えた存在――仮面ライダー。 絶対の「正義」を象徴する存在。 しかし、和月が知るそのイメージと、目の前に現れたシルエットはあまりにかけ離れて見えた。 「昔、『仮面ライダー龍騎』という番組があった。 それは、総勢13人のライダーが最後のひとりになるまで戦うという――いわば仮面ライダーでバトルロワイアルをやったという前代未聞の作品だった。 その斬新なストーリーと魅力的なキャラクターにより、当初は難色を示していた特撮ファンにも好評をはくし、ちょっとしたブームにもなった。 そして、その数いるライダー達の中で最も人気を集めたのが、『最凶最悪のライダー』と言われた、あの仮面ライダー王蛇だ。 『正義』の体現であった昭和のライダーとは、あらゆる意味で対極を為す存在と言えるだろう。」 特撮ファンの山賢による解説が、一気に行われた。 それを聞いた和月が、興味深そうに言う。 「悪のライダーか……ふうん、面白いな。」
509 :
王蛇登場 :04/12/31 14:29:50 ID:TCamt64I
「――おい……。……何をゴチャゴチャとしゃべっている……俺をイライラさせるな……。」 二人の会話の間に、初めて言葉を発した王蛇が割り込んだ。 奇妙に掠れ、くぐもった独特のイントネーション。 もし蛇が人の言葉をしゃべったなら、きっとこんなふうにしゃべるのだろう。――そう思わせた。 「――ああ、ごめんごめん。」 そう言って、王蛇との距離をつめようとする和月。 どこからともなく取り出した例のセクシャルバイオレットスーツを着込み、腰骨をくねらせながらエレガントに歩みを進める。 ふと気づいたように、背後の山賢を振り返って言う。 「――おまえは後回しだ。まずは、こいつを倒す。――『仮面ライダー』って存在には色々と含むところがあるんでね。」 「フン、好きにしてくれ。こっちは、まだこの艦で別の用事があるんでな。変態の相手をしないですんで、せいせいするよ。」 山賢はそう吐き捨てると、足元の床を透過し、艦の内部へと消えていった――。 それを確認すると、和月は王蛇に向き直った。 「……なんだ……二人がかりで来ないのか……。」 「君の相手は誰にも渡したくないんでね。俺ひとりが相手じゃ不満かな。」 「……なんでもいい……戦えるなら……それでな……。」 王蛇が言った。 そういうことになった。
510 :
王蛇登場 :04/12/31 14:30:37 ID:TCamt64I
鯉口を切るかわりに、王蛇がベルトのバックルに装着した『カードデッキ』から、一枚のカードを取り出す。 それを、もう一方の手に持った蛇の頭をあしらった杖――通称『牙召杖』と呼ばれるカード認識装置――『ベノバイザー』――に装填した。 『 ソ ー ド ベ ン ト 』 乾いた機械音声が響くと、どこからともなく一本の剣が飛来し、王蛇の右手に収まった。 『ベノサーベル』――蛇の尾を模した分厚い黄金色の刀身が、陽光を反射してギラリと輝く。 『龍騎』のライダーは、このように各種のカードをバイザーに装填することによって、様々な武器や能力を使用することができるのだ。 今、王蛇が装填したカードは『ソードベント』――文字通り、剣を召還するカードである。 「へえ、剣を使うのか。じゃあ、俺も♪」 和月は、『激戦』を核鉄に戻すと、かわりに『無限刃』を抜いた。 切っ先で床をガリガリとこすりながら、殺意と喜悦がないまぜになった表情を浮かべる。 「それじゃあ――せいぜい楽しもう♪」 「……はああああ。」 蝶仮面の怪人と、仮面ライダー。 別府の夜の一場面を再現するような構図。 しかし、ひとつだけ違う点がある。 それは―――この戦いに『正義』がないこと。 炎の蝶と悪の蛇。 互いに殺意と欲望をぶつけあう、人にあらざる者同士の死闘が始まった。
ついに和月が全裸に…
あんど×6がサイコキネシスで吹き飛ばされたり、メダパニで混乱させられているその一方。 ボールをキープし、ガンガンチームのゴールを目指してドリブルしていく。 MFの椎名が突破されたことでガンガンチームは一気に振りになった。 残るはDFの水野と留美子とゴール前まで下がっていた雷句だけ。 「何度来ても同じですよ」 と、水野は再度手元の装置を操作する。 ・ ・ 「フォォォォォォォォォォーーーーーー!!」 作動しない。何度試して見ても地雷が作動しない。その隙にあんどは猛スピードで迫ってくる。 「ど、どうして!?一つだけならともかく全て動かないなんて」 妨害電波の類か?いや向こうのチームに機械に明るい人物なんて居ないはずだ。 「見て、足元! 水が!!」 高橋留美子の声に従い足元見ると、言葉通り地雷原からガンガンゴールにかけて水が張っていた。 原因を考えているヒマはない。あんどと共にえなりチームの数名も向かってきている。 「私のザケルならあやつを感電させれるぞ」 「ダメです! 私達も水に浸かっている以上それは出来ません」 「ぬぅ、そうか………」 「仕方が有りません! 私達で何とかしましょう!!」 「分かったわ!」 「うぬ!」 「(それにしても何故……何処からこの水が……)」 「ふふふ、誰も気づいとらんようだのう」 選手用出口前。交代(となるのか追加となるのかは知らないが)の為に待機している藤崎が踏んでいるのはもう一つのボール……では無くて、宝貝『混元珠』。その能力はズバリ水を操る事。 「太平洋の海にもう一つの混元珠が浮いていて、それと空間が繋がっておるから大量の海水を出すことができるのじゃよ………あんな地雷源は卑怯じゃからの。排除するに限るわい」 誰に説明しているのか、藤崎は1人でブツブツと言っている。 「何も地雷源の破壊だけが目的ではないぞ、水をフィールド全体まで広げれば走り難くなるからのぉ。 勿論わしが水を操っている以上えなりチームのメンバーの周りの水は無くすがの。ククク、真の策士 とは一回の行動で2も3も結果を生み出すのじゃよ」 「そして、水のフィールドならコイツが使えるわい…………」 藤崎の背後には何やら謎の物体が浮いていた。それを形容するなら水で包まれた機械の蛇とでも言えばいいか。いや、腕のような物が二本確認できるためやはり正しくは無い。 「久々に体を動かすか。こやつ等も使ってやらんといかんしの」
新年あけましておめでとうございます
今年もよろしくおねがいします
エリ8の方は遂に例の悪のライダー参戦ですか。
初めて見たけどパッ見はとてもライダーに見えないデザインばっかりだw>龍騎
つーか王蛇の中の人が怖すぎる
>>513 藤崎、相変わらず策士ぶり全開
それにしてもますますどっちが主人公チームなのか分からないw
水によって足を止められ思うように動けず、ガンサンチームのDF陣が次々と抜かれていく。 不思議なことに(藤崎の操作により)あんどたちの足元には水は及ばず、そのため機動力に大きな差がついた結果であった。 水野と留美子は動きのにぶったところをあんどの股間により視界を閉ざされた隙に UMA子パンチラ のダメージから ようやく立ち直った大和田が抜き去られた。 残るは雷句ただ一人。 だが雷句はゴールからやや右にはなれたところで、額に手を当て、何かを考えるかのように蹲っている。 「何を考えておるのじゃ、あやつ?」 選手用出口から様子を見ていた藤崎の口から疑問の声が出た。 敵がゴール前に来ているのに守ろうともせずに考え事をしているのを見たら当然の反応かもしれない。 だがその考えは次の瞬間、覆された。 -ぬぅ、敵を前に余所見とは無礼なっ!!- 進路が変わった。ゴールへと突っ走っていた大和田が急遽雷句へと向かう進路に変わった。 これが他の人間であれば気にもせずゴールへと向かっただろう。 だが現実には大和田は曲がった。 「やはりな、こうすればあんたはこっちに来るだろうと読んでたよ」 いつの間にか中学生くらいの黒髪の少年になった雷句がそういった。 高峰清麿モード。別名天才モードの雷句である。 「ゴールへの道は整った、いくぜ!! オルダ・アクロン!!」 しーん。 何も起こらなかった。
激走を続ける大和田は雷句の眼前に迫り…… どがん!! 「ブルァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」 交通事故にでもあわせたかのように弾き飛ばした。 「……何を考えとるんじゃあやつは」 呆れを多分に含ませて藤崎がそう呟いた。 だがそれはそうと既に大和田はゴール前。 まずは一点を返すのが先決。後ろに用意してある"アレ"を使うのはその後でいい。 そう考え大和田のサポートをするべく視線を雷句から移した藤崎。彼は次の瞬間、絶句した。 ボールが大和田の足元から消えていたのである。 大和田はボールが消えていることに気がついていないため、あたかもボールがあるかのようにドリブルから シュートの体勢へと移り、そして宙を蹴った。あまりにもそれらの行動が見事だったため、空振りし、動きが 止まるまで大和田はおろか、藤崎にもボールが消えていることに気がつかなかった。 ならばボールはどこに?
あった。いつのまにやらあんどチームのゴールへとふわふわと弧を描いて向かっていた。 速度は遅い。直接的カバーに走るか?否、直接カバーにいくには微妙だ。他も同様か……何て微妙な距離じゃ。 GKである岸本がゴールにいない今なら、あんなシュートでも余裕ではいる。 走っても誰も追いつけんならば、フィールド一杯に広がっているこの水を動かすまでよ。 藤崎が念じると水の表面が揺らぎ、そこから水で出来た鞭が生じ、ボールへと走った。 が、それは同じく水からでた水の鞭により、相殺された。 「なんじゃと!?」 驚きの声が藤崎から毀れ。そしてボールは無情にもあんどチームのゴールへと吸い込まれていく。 先ほどの意味がないように見えた雷句の呪文。 それは実は多数の自在に動く水の鞭を作り出す術であった。 水の中に水の鞭を作り出せば誰にも気づかれないのは道理、そして作成した鞭を操作して大和田に弾く飛ばされた瞬間、 計算したゴールまで到達するだろうボールの角度をトレースするように水の鞭でボールを弾いた。 丁度雷句を弾き飛ばしたことと、水に取られるとは思っていなかったため大和田がボールがなくなったことに気がつくのが 遅れたのは予期していなかった幸運である。 そうでなければ藤崎にもっと速い段階で気づかれ、一度目は予期しない水の鞭によって相殺できても、二度目は防げなかっだろう。 以上が、先ほどの真相である。 そして雷句が地面に落下し、大飛沫を上げた瞬間にゴールのホイッスルが鳴り響いた。
ガンサン四点目ー!! でもYo一が来たら…
3点目でなかった?調子いいなガンサン
病院でのコト。今まさに、ガンサンVSえなりの死闘蹴球が開始されようという時の、出来事。 比較的軽傷で済んだ漫画家達が詰め込まれた病室。天野こずえやみずしな孝之はここに居た。 「ええなー、俺もやりたいなあ、サッカー」 天野の見舞いで来たみずしなは、リンゴを頬張りながら言った。 「みずしなさんは、どちらのチームにも所属していないですし……ムリですよぉ」 天野は、少し呆れたように言った。 「ええやん。このスレは面白ければバーリトゥードやろ。ほら、あんな――」 みずしなが指差した天井に、奇異なるモノがあった。 それは、なんか頭だけはみ出て2人を見ている。木村太彦だった。 「――ってェ木村ァ!! なにしとん!?」 「うーんうーん。余はァ、なんかァ、ほらアレ、異世界? みたいなの通って? ここにいるのだ」 だそうだ。 「……イヤ」 天野が、微かな――耳を欹てていないと聴き取れないほどに――声で、呟いた。 「なんや? 天野」 「イヤ、なんですぅ……あの人と、同じ空気も吸いたくない。あの人と同じ世界に自分が存在していること すらイヤ! みずしなさん、早くあの人どっかやって!」 嫌われまくってる当の本人は「ガーン」って感じを表現するような表情でいた。 「…余はこの世界に存在してはいけない人間なのか……死のう」 「どうしたんや、天野――お前、そんなん言うヤツやなかったろう。確かに木村はこの世界に存在する価 値のない人間? かもわからん。だけど、昔のお前ならそんなん、思ってても言わんかったぞ」 包帯に覆われた天野は、僅かに空いている右手で毛布をギュッと掴む。 「でも……でも、ダメなんです。あの人、嫌いなんです……ダメなの……」 面と向かって嫌いと言われるとショックで力が抜ける。木村はそれがいい方に出て、JUSTに嵌ったコンクリ から体が抜けた。タコのような軟体もそれに大きく作用した。 「キャアアアアアァ!!!」 ちょうど、タコ野郎が落ちた位置は、天野のすぐ近くであった。
「みずしなさァァん! この人窓の外に投げてェ!!」 「出来るかンナ……いや、出来るけど、出来るかァ!!」 なんだか微妙な言い回しがさっきから一々多いみずしなだった。 「仲良くしようぜえ、天野ちゅわ〜ん……」 「ッ……!! 来るなぁ!!」 天野は錯乱して、近くのテーブルに置いてあった花瓶を、木村の方に払った。包帯で体を固定され、投げること すらままならない。彼女は、本当に木村を嫌っているのだ。彼女がこうなってしまったのは、冬目の影響もあるの だろうか。 びしゃあ。花瓶の中の水が木村太彦にかかる。そして、木村の体はたちまち煙に包まれ、そして―― 「ゆ……夕日子、ちゃん」 ――木村太彦は、木村夕日子となった。 「なッ……なんやァ! き、木村が、夕日子ちゃんに!」 みずしなもまた、知らなかった。木村太彦が夕日子であったことを。 「こずえちゃん……私、こんなに濡れちゃった」 夕日子は、真っ直ぐな眼で天野の眼を見つめる。ある感情を、ぶつけようとするかのごとく。 「……ゴ、ゴメンなさい、私……でも、ダメなの、どうしても、あなたが」 天野は、その余りに強烈な目線に耐え切れず、顔をそらした。目からは、じわと涙が浮き出ていた。 それでも、夕日子は天野の顔をじっと見、そして、無理矢理天野の目を正面から捕らえるために、顔をそらしている 側に自らを移動させた。そしてしゃがみ、顔をお互いの吐息がかかるほど寄せた。 「……!」 「私、こずえちゃんに嫌われたくないの……だから」
522 :
28歳児 :05/01/02 05:56:46 ID:cEUDQeZk
腹の辺りに夕日子の手を感じた天野は、呻く。 「! 何すんねん、木村……いや、夕日子ちゃん?」 みずしなは、頭の整理が上手く付かないようである。 「こずえちゃんを気持ちよくさせてあげるの。そして、また仲良くしてもらいたい……」 「ん……くッ!」 夕日子の手が太股に移り、天野の呻きが大きくなる。体を少しもぞもぞとさせながら。 「私、ずっと思ってたんよ。こずえちゃんの足は綺麗だな、いいな、って――」 夕日子の声が段々と荒くなっている。お互いが、高揚してゆく―― 「んんッ! やっ! やめて、夕日子、ちゃっ……」 「――だから、触ってみたかったんよ。ね、後生じゃけえ……」 動きを早めた夕日子の手は、徐々に下腹部の中心近くへ近付いてゆく。 「! 夕日子ちゃん!! ダメェ! そこだけはダメなのぉ!!」 「こずえちゃん、凄い……こんなに湿って――」 その時――ダーンと勢いよく病室の扉が開いた。入ってきたのは、百合の花を抱えた普通の男。 「わーい! ここかわいいじゅうだいぜんはんじょしがいるよー」 全然普通じゃなかった。 突如入ってきた精神障害者に、皆一瞬驚いたが、彼を知るものはすぐ我に返り、 「貞本! 貞本やないかァ!! 生きとったんかいこのォ!!」 「えーおにいさんだれえ。せいじんおとこはくさいからぼくんとこよってくんなよこのどくしん」 近寄ってきたみずしなに対する余りにも冷たいその言葉。貞本はまさしく、 『体は大人、頭脳は煩悩』 を地で行くキャラクターと相成っていたわけである。 「――あ……貞本さん」 貞本の顔を見て一瞬で我に返った夕日子は、天野の秘所から手を引く。
523 :
一刀両断 :05/01/02 05:57:37 ID:cEUDQeZk
「あッ……!」 天野は、何故か残念に思ってしまった自分を、とても嫌悪した。そして、目からは大量の水が溢れ。 「天野ォ……泣くなァ!!」 大声で叫ぶみずしな。自分も、貞本の言葉に大いに傷ついて泣いているというのに。 「私、汚れた女になっちゃった……夕日子ちゃんに、もっと続けて欲しい、なんて、思って……」 「お前は汚れてなんてねえ! お前は何も変わっとらんわ! どこからどうみても、天野こずえや!」 みずしなは、天野の空いた右手をギュッと握る。お互いだだ泣きだった。天野は、みずしなの熱を感じた。 「みずしなさん……」 「天野……」 なんだかいい雰囲気になっていた。 夕日子は、嬉しくなって久しぶりに見た貞本に抱きついたが、煩悩に完全に支配された今の貞本は、公衆の面前 とかんなの無視して触りまくっている。 「ちょ……ッ、そういうのは、人のいないところで――」 「あー、あっちのじゅうだいぜんはんじょしもいいなあ。あとでしょうねんまんがばんではかけないいろんなことしよう っと」 「!!」 これは貞本とは違う。なぜなら集中力がない。以前なら、自分を置いて他の女を眺めるなど、なかったのだ。 これは、貞本さんじゃない。 「公衆の面前でこの痴情……夕日子が世間の常識教えたげる!! 秘剣――」 読 者 サ ー ビ ス ・ 一 刀 両 断 ! ! ! ! 「さあ、試合が始まるで、天野。サッカーでも見て、紛らわそうや」 「うん……みずしなさん」 血とか脳とか内臓とかその他色々な人体構成成分が垂れ流れている中、それをシカトしてサッカーを注視する 病室の人たちであった。 臨時旅景色・エロテロリスト篇及び精神障害者篇及び読者サービス一刀両断で読後のエロ過ぎ感を抑え、無理 矢理サッカーも宣伝するぞ篇、完。
新年からエロ満載だな俺。
ネタ1個もワカランがメチャワロタw 天野総受け計画・・・いや、冬目にだけは精神的攻めか? とにかく旅景色、もう好きにしてくれw
エロK点ぎりぎりです!w やべワロタwww
そうか・・・ 木村君の新刊ネタなのか・・・ハハハヤルナァ
>>444 かつてない屈辱と戦慄。
その二つを同時に味わい、宮下は歯軋りするしかない。
(素手では……勝てぬというのか……)
今まで、この剛拳で倒せなかった敵などいなかった。
あらゆる殺人技や、度胆を抜く奇想天外な戦法の前に、どんな敵も平伏した。
そして、いつしか“五聖人”と呼ばれるほどの存在になった。
あまりの強さの前にもはや敵はなく、“敵”が育つまで永い眠りにつきもした。
しかし……ここに来て、自分は一人の男、それも丸腰の男ひとりに手も足も出ずにいる。
(なぜだ……なぜ歯が立たぬ……)
この時、宮下は見失っていた。己の強さの、その根底にあったものを。
破滅の術に操られ、鬼酒の力に魅入られた時から、宮下は己の強さを支える“輝き”とでもいうべきものを失ったのだ。
さしずめ車田あたりなら、こう言っただろう。
“今のお前は……自力で光っているか?”
「ぬうううううううっっ!!」
宮下が唸った。
こうなったらなり振り構うものか。
元々、素手にこだわり、相手のペースにのせられたのがケチのつきはじめだ。
ならば……!!
宮下が、そう思った、まさにそのときだった。
「どうしたい? 隠し武器を使おうが堂々と素手でやろうが自由だ。ドクヤクもバクヤクもね」
宮下の葛藤を見透かしたように、夢枕が絶妙なタイミングで言ったのだ。
それは今までのどんな拳や蹴りよりも速く鋭く、宮下の胸に突き刺さった。
「丸腰の男相手に、わしが武器を使うとでも…………」 反射的に、宮下はそう言ってしまった。 それはわずかな迷いがそうさせたのか。その迷いを生んだのは、宮下の心にまだ残っていた戦士としての矜持か。 夢枕は、宮下の心中に渦巻きつつある迷いを、完全に把握した上でさらに続ける。 「使うだろうね。そういう男だから、おめェさんは」 怒り心頭の宮下。 爪が肉に食い込むほど強く、拳を握りしめる。 「なんならブン殴り合ってみるかい。かわりばんこに」 夢枕の挑発はさらに続く。 「空手も使わねェ。 武器も使わねェ。 男同士、腕力だけで思いっきりよォ」 これみよがしに、己の太く逞しい腕をさらけだす夢枕。 宮下の視線が、それに触発されたかのように鋭くなる。 「ごめんごめん、困らせちまった。 いくら空手使わねェと言っても信用できねェよなァ」 これもまた完全なる挑発であった。 宮下の迷いを的確に突き、自尊心をくすぐる絶妙な話術だ。 「…………おもしろい」 宮下が、ぼそりと言った。 「はァ!?」 掌を耳にあて、わざとらしく甲高い声で聞き返す夢枕。 実に、人を怒らせる術に長けている。 「やると言っているのだッッ。堂々と……………」 宮下の声は、すでに隠しようもない怒気に溢れていた。
「イヤ…やらないだろうね」 夢枕が言った。 宮下の顔面に、さらに太く血管が浮き出る。 「アンタ、丸腰の俺を相手に武器を使うよ。 空手を使わねェという俺らの言葉を信用してねェだろう」 ここで。 宮下の怒りは、我慢の限界を超えた。 マッハパンチではない。 如何なる拳法の打突法でもない。 豪快だが、やや雑な拳が大きく振りかぶられた。 しかし、そこに込められた力と速さは本物。 その拳が描く軌跡を、夢枕は人を喰ったような笑みのまま軽々と見切り、 「よっ」 廻し受け。 綺麗に円を描いた掌が、あっさりと宮下の拳を弾き逸らした。 「カラ…テ………? うそ…」 呆気にとられた宮下が、思わず間抜けな言葉を漏らしてしまう。 太い笑みを浮かべる、夢枕の太い顔が視界いっぱいに迫り、 刹那。 太く、強烈な衝撃が、雷光のごとく連続して宮下の全身にぶつかってきた。
顔面。 ボディ。 ボディ。 ボディ。 ボディ。 ボディ。 金的。 拳。 拳。 拳。 拳。 拳。 拳。 蹴。 全損した歯が吹き飛んだ。 切り裂かれ、砕けた顔面から、血が激しく噴き上がった。 後方の地面に、後頭部を激突するような勢いで、仰向けにぶっ倒れた。 「ヘッ。空手家が空手使って、どこがワルいンでェ………………」 夢枕の太く、やはり人を喰ったような声が、宮下の遠い意識の淵で太く響いていた。
著者:2500円で買った古本を3日後同じ店に売りに行ったら 「50円ですね」と言われた男、牧野博幸。 ○月×日 昼ごろ 魚市場から拾ってきた野球帽の男突然いなくなり3万4千円という出費をしてしまった。 今魚が全くなく、売る事はできない。 昨日のトラックの件もあってとてつもない出費になる。 もしオレの魚屋が潰れたり、この艦が落ちたり、世界が滅亡したとしても、 それは全てあの野球帽の男の所為なのだ。 もういい。かなしい出来事は忘れよう。俺はいまテスタロッサに乗って家に向かっている。 その途中、とても大きいサッカースタジアムが見えてきた。 確かトーナメントがやってた筈。けど今は家に帰って不貞寝したい気分である。 スタジアムの横を通り過ぎようとした時おれはもの凄い体の異変を感じた。 猛烈な 尿 意 である。 辺りを見回しても何故かこういうときに限ってトイレのトの字もない。 そこに見えるのは大きなサッカースタジアムでだけある。 いた仕方あるまい、金はいくらかかろうとスタジアムの中にトイレは必ずある。 そこでしよう。膀胱が破裂するよりましだと。 そして膀胱に衝撃をかけないようにゆっくりと入り口に向けて歩み寄せる。 岩村がなんか言ってるようだがほっとこう。 テスタロッサを横の駐車場において、係員しかいない入り口に行ってみる。 「御入場ですか?」 「はい・・・・・・」 「それではお二人で一万円となりますので。」 一万円・・・・・・そもそのなんで岩村の分まで払わなきゃいけない? しかし今はトイレが重要である。一万円ぐらい・・・・・・
「あっ!!もしかしてお二人様漫画家でいらっしゃいますか?」 「ええ、そうっス。」 「ただ今漫画家には入場料が無料になっています。少々調査の時間がかかりますが・・・」 「もちろんっス。」 な ん で お 前 が 話 進 め て い る ! ! 係員は何処かへ向かってしまい、俺は財布から万札を取ろうとする体勢で固まる。 少々ってどの位の時間だ。 十分くらい立ったような気がする。スタジアムの中から歓声が聞こえる ああ、アノ係員はどこに行った。もしかして俺たちのこと忘れて飯でも食って・・・ ああヤバイ膀胱が・・・・・・ きゅいいいいいいいいいいいいいいん 膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱が膀胱がぁ ぼ う こ う が ぁ あ あ は れ つ す る ぅ ぅ ぅ〜 「ただ今確認が取れました。お待たせしました。お二人様ココから右側にあります漫画化専用の座席・・・・・・」 んな話きいとる暇ない!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 「 ト イ レ は ど こ だ 〜 ッ ! !」 「トイレでしたら左の・・・」 「右か、ヨシ!!男子トイレにパイルダァ〜オンッ!!牧野行きま〜すっ!!」 猛ダッシュ!!(←擬音 「うおおおおおお膀胱とのシンクロ率50%!!トイレ発見!!参る!!」 バタン!! かくして体内の一大事は過ぎたが、今度は便意がもよおすような気がし、身が震えた。
534 :
おまけ :05/01/03 13:12:34 ID:5PrRle+q
トイレの後、係員に言われた所に行き、サッカーを見ることにした。 そしたらあの野球帽の男が選手で出ていてなんか嫌な気分になった。
>531 (ま まさかこのまま決まっちまうのかよ‥‥‥!?) 夢枕に完膚なきまでに圧倒され、無様に倒れた宮下の姿に、馬場は目を疑わざるを得なかった。 いくら格闘の技量では夢枕の方が遥かに勝り、自らのペースに引きずり込む術にも長けているとはいえ、こうまで差がつけられるものなのか── 「宮下君よ。いくら素手の喧嘩じゃあおいらが上を行くとはいえ、 五聖人の一人でもあろう実力者のあんたが何故これほどの遅れを取るのか…………」 息絶え絶えに倒れている宮下に、夢枕は問いかけながらゆっくりと近付いていく。 宮下はようやく上体を起こして起き上がったものの、片膝は地面に付き、顔は口を手で抑えながらいかにも苦しそうな表情だ。 「あれだろうなァ……………」 夢枕がそう言いながら右手の親指を立たせて、馬場のいる方向へ向けるや、彼の持っているとっくりを指差した。 「あんたはあの……卑劣にもとっくりに入っている酒の力なんぞに頼ってやがる。 磨いた肉体や技以外の何ものかに頼みをおき、手っ取り早い手段で強くなろうとする──。そんな性根が技を曇らせる」 「ば 馬鹿な……そ そんなわけなど…………」 そう言われれば的を得ているともいえなくない夢枕の理屈に宮下は狼狽しながら抗弁しようとするが── 「別に単なる精神論を振りかざして説教しようってェんじゃねえぜ。 おめェさんがかつて『粗にして野だが卑にあらず』といわれていたとおり、 あんたの強さ──鋼の肉体やら豪快無比な力やら奇想天外な奥義とやらも── あくまで正々堂々を旨とし、気合とド根性で困難を勝ち抜く大和魂によって支えられてきたもんなのさ。 おめェさんのよく言う例えでいえば、男なら誰でも心に呑んでる“一本の短刀(ドス)”がとっくに錆びれちまってたってェことだ」 「ぬううっ……………………!?」 夢枕のまさに核心を突いたような直言に、唸るしかない宮下。 夢枕はなおも話を続ける。 「なにもあんただけの話じゃねえ。他のジャンプ五聖人の連中にも似たようなことが言えるだろうよ。 おいらみたいな格闘家はただ力を追い求めて他者より強くなることを目指せばそれでいい。 でも、あんたらジャンプ作家ってえのは『努力・友情・勝利』の3本柱が表すように、 少年漫画の王道として本来は正義を志す存在だろうし、それが無尽蔵のエネルギーとなり得るはずなんだ。 そのジャンプ作家の代表格ともいえる五聖人のあんたが悪の道に染まってよう、そんで 強くなったと勘違いしてるのなら、格下の漫画家ならともかく、おいらみたいなホンモノを相手に勝てる道理はねえんだよ」
夢枕の長々と説き伏せるような説法に宮下はまるでガーンという擬音でも出そうな衝撃を受けたようだった。 何気に説得力ある論を展開して、そしてさりげなく自分を“ホンモノ”と位置付けて格の違いを見せつける、実に巧みな話術。 かつては最強原作者集団・三闘神の一人にも数えられた、ベストセラー作家という屈指のプロの貫禄が為せる技だろうか。 そして奇しくも夢枕の今力説したそれは、かつて岡田芽武が山口貴由に敗れた板垣に対して説いた理屈(8部464-473)と酷似していた。 ただ、その時の板垣は宮下とは逆にえなりチームの仲間の正義や友情に感化していくうちに己の方向性を見失ってしまい、 それを岡田に“本来の獣性”を呼び覚ますことを頼むことにより、その結果として本来の強さを取り戻したという経緯があるが─── 長々と話しながらも距離を詰めていた夢枕が、すでに宮下のすぐ目前に立っている。 「───というわけだ。これでわかったろう? 今のあんたが俺とこれ以上闘りあってもかないっこねえってことが。 そうだなァ…………今の内ならあのとっくりさえ渡してもらえば見逃してやってもいいぜ」 「な 何じゃとっ………!?」 「いい加減そろそろ決着じゃねェかって言ってンだよ。どうでえ………敗北(まけ)を………………認めるかい?」 いつも通りの太い笑みを浮かべながら、突然の降参を勧める夢枕に宮下は呆然とした表情をみせた。 いくら今のところ夢枕の方が圧倒的に優位に立っているとはいえ、あまりにも一方的すぎる勧告であった。 第一、こんなところで負けを認めてしまうようであったらとんだ恥さらしになってしまうであろうし、宮下のプライドが許さないはずだろう。 それを見越した上での挑発だとしたら、意地が悪いというか、駆け引きの見事さでもこの“闘神”は一流の策士といえた。 そして、この一方的な降伏勧告に、なんと宮下は驚くべき言葉を返した。 「ま 負けじゃ…! わしの負けを認める! おぬしのような強い男に会ったのは初めてじゃ!」 「で 殿下っ!?」 「だ 黙っとれ馬場っ!」 意地も誇りもかなぐり捨てたのか、あっさりと敗北を認める宮下。 馬場が信じられない様子で(表向きは忠誠的な態度を取りつつ)異を唱えようとするが、宮下はそれを怒鳴りつけて遮った。 「おぬしほどの男にはとうてい勝てそうもない! この通り! だ だから命だけは………」 恥知らずにも目に涙まで浮かべ、両手の手の平を前に出して降参のポーズまでして必死に命乞いする宮下。 さっきまで死闘を繰り広げていた相手とは思えない、そのあまりにも哀れすぎる姿を見て夢枕も思わず呆気に取られて立ちすくんだ。
その一瞬の隙を宮下は見逃さなかった。 プ ッ 口を手で抑えていた時に仕込んだのだろうか、夢枕の顔面目がけ、含み針で不意打ちを仕掛けたのだ! 負けを認めたと見せかけて命乞いし、相手が油断したところを騙し討ち────男塾の悪役が不利に陥ったときに用いるお決まりの常套手段である。 呪われし“鬼酒”の呪縛は強力に宮下の精神を蝕んでおり、夢枕の説法も残念ながら効果はなかったようだ。 その卑劣漢の宮下が潔く負けを認めるわけがなく、必死の命乞いも相手を油断させる迫真の演技に過ぎなかったというわけだ。 だが夢枕はかろうじて反応し、目の辺りを狙った含み針は太い左手によってかばうように防がれ、手の平に突き刺さっていた。 「技術が及ばぬなら武器を用い………敵わぬと判じたなら許しを乞う。つくづく…」 そう言いながら夢枕がまとめて針を引っこ抜き、怒りと哀れみの入り混じった視線を投げかける。 だが、最後の悪あがきというべき攻撃すら防がれたというのに、宮下は全く動揺していなかった。 「フフフフ………ワッハハハーッ! 馬鹿めがまんまとかかりおったな!!」 それどころか突然勝ち誇ったように笑い出したではないか。 「ヘッ、何がおかしい。最早救い難ェ………これで決めるぜ」 そう言い終えて夢枕がトドメの正拳突きを放とうと構えた時、左手に何らかの異変がおこったことに気づいた。 左手の指がガクガクと震え思い通りに動かせず、それどころか左腕全体が金縛りにあったようにまるで力が入らないのだ。 「て てめえ、これは………」 「フフフ、気づいたようじゃな。その含み針にはトリカブトの毒が塗られておる……!! もはや貴様の左手は麻痺し箸をもつことも出来はせん! 生きるか死ぬかの闘いに汚いもヘチマもあったものか!!」 (目的のためにゃ手段は選ばねェッて奴ァずいぶん見てきたけどよォ! これほどエゲツない野郎は初めてだぜッッ!!) 見ていた馬場も呆れたくなるほどの見事な外道ぶりであった!! 「ヘッ、ドクヤクもありと言ったのはおいらの方だからな…。こんな手に引っかかっちまうとはヤキが回ったぜ。 だがな、ここまでやってくれた以上は歯ァ折られるぐれえじゃすまねえぜ…………! もう……取り消せないよ」 「ふん! なんとでもいうがいい!! 何はともあれ形勢逆転じゃーっ!!」 怒りを押し殺したように太い目で睨み付ける夢枕の横っ面に、宮下の容赦ない飛び蹴りが炸裂した────!!
538 :
作者の都合により名無しです :05/01/05 01:24:03 ID:ynuTI2Gp
まごうかたなきこの黒さ! ブラーヴォ!!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
540 :
悪鬼咆哮 :05/01/05 16:15:54 ID:w763HQh1
>321 >485 にわのと岡村。 二人は、遂に死戦場と化した公園へと辿り着いた。 その瞬間、まるでいきなり海中深く引きずりこまれたような重圧に襲われた。 二人とも、その重圧に前に出るどころか指一本すら動かせない。 そして‥‥見てしまったのだ。 白い雪のような桜の中で、互いに赤い血を滴らせながら嗤い合う、二つの鬼の姿を――― 「こッ‥‥これが“オーガ”ッッッッ」 「スゴい‥‥ッ、まるで闘気が烈風のような――――ッ」 二人はそれだけを言うのがやっとで、後は声すら出すことができなかった。 伝聞や資料でのみ想像する板垣と、実際に目の前に立つ怪物との間には、マリアナ海溝のような深い隔たりがあった。 ただその闘気にアテられただけで、周辺の草花が見る間に萎れ、枯れていく。 空間そのものが悲鳴をあげ、歪に捩じ曲げられていく。 獣のような――――いや、獣以上の怪物が、そこにはいた。 これに比べれば、かの真鍋譲治ですら、可愛い子犬のような存在としか思えない。 (こ‥‥恐い‥‥あの人‥‥なんだか体の‥‥底から震えがはいあがってきて‥‥とまらない‥‥) 止めなければ―――にわのは心の底から思う。いや、なんとしても止めねばならない。 川原がやりたいのなら、またいつでもできる……だが、準決勝第二試合――バンチ戦を目前に控えた、今はやらせてはいけない。 板垣は、川原といえども持てる全ての精魂を使い果たさねば勝てない相手だと理解できる。 かつてなき強豪チームとの戦を前にして、片手間にしていいレベルの闘いでは断じてなかった。 しかし―――― (だめだ‥‥止めるどころか、ここから近づくことすらできやしない‥‥が‥なんだ‥いやな予感が‥‥どんどんふくれあがってくる‥‥) (止められない‥‥でもおねがい‥‥誰か止めて‥‥いやな予感が‥‥不安が胸の中で大きくなっていく‥‥) 二頭の格闘の鬼同士の激闘を前にして、荒海のなかで取り残されたかのように、二人は為す術もなく立ち尽くすしかなかった。
541 :
悪鬼咆哮 :05/01/05 16:18:10 ID:w763HQh1
一方―――板垣と川原は互いに必殺の気を交わしていながらも、新たな来訪者を察知していた。 「お友達が邪魔しにきたみたいだが‥‥逃げるかい‥?」 「あんたが逃げないかぎりは‥ね」 「うれしい‥じゃあねェか‥‥」 板垣のいささか意地の悪い問いに、川原は例の笑みを寸毫も崩さずに答えた。 予想通りの解答に満足し、笑みをこぼす板垣。 やはり、この男は自分と同類だ――――あらためてそう確信する。 「俺はバンチとやるのをあきらめたわけじゃないよ」 ふいに、川原が言った。板垣に対して言ったのではない。 にわのと岡村が、弾かれたように反応した。 「俺はこの鬼にも勝って‥‥バンチの前に立つ‥‥」 これまでで最強の敵を前にして、川原は言い切った。 その気負い、その自負心に、板垣はあらためて満足げに嗤う。 「“王者最強の生物”の力を‥‥見せてもらおうかぁ!!」 「北極熊を屠り去った猛獣の連撃――――味わってみるかいッッッッッ」 (止められない‥‥あとは‥‥どうか無事に終わるように祈るしか‥‥) にわのと岡村が固唾を飲んで見守る前で、二頭の野獣が、同時に地を蹴った。 ズボンから両手を抜き取った瞬間、板垣の両拳はカマイタチと化した。 ポケットの中に手があるうちに、拳を加速させる、板垣の居合い―――抜拳術。 空気に焦げ目を残しそうなほど激しく拳が動く。 暴風のような攻撃であった。 まさしく獲物に爪をたて、牙で噛み砕かんとする、野獣そのものの有り様であった。
542 :
悪鬼咆哮 :05/01/05 16:19:30 ID:w763HQh1
川原が拳を弾く。 川原が蹴りを逸らす。 躱し続ける。 しかし、板垣は構わない。 躱されようと、防御の上からだろうと、お構いなしに凄まじい連続攻撃を仕掛けてくる。 とてつもなく疾い。そして、とてつもなく重い。 しかし――――必ず中断(とぎ)れる。 力任せのラッシュを凌ぎきり、懐に入れば終わり――――少なくとも、にわのと岡村は、そう思っていた。 そう思っている間に、板垣の一方的な攻撃は、休みなく続けられる。 次第に、川原が全ての攻撃を凌ぎきれなくなってきた。 クリーンヒットこそ許さないものの、捌けない数が多くなってきた。 川原の小柄な体の全面に、板垣の拳足がシャワーのように当たる。 休まない。 一分が過ぎた頃になって、にわのと岡村はようやく気づいた。 「ど‥‥ッ、どうなってやがるッッ! 板垣が‥‥中断(やす)まねェ‥ッッ!!」 「し‥‥しかも‥‥なんだか‥‥疾くなってるよッ」 板垣の特性のひとつ―――無呼吸連打。 にわのと岡村は、板垣とヨクサルの試合を観ていない――――ゆえにタカをくくっていたのだ。 そして、その目論みはあっさりと覆されたのである。 「人間じゃねェ‥‥攻撃が目で追いきれない‥‥‥」 「まずいッッ‥‥かわしきれないッッッ」 二人の見ている前で、次第に劣勢になり始める川原。 すでに捌くことはできず、もはやひたすらブロックするのみの状態になっている。 打たれ続ける川原の手足が青黒く変色し、血が飛び散った。 防戦一方。 「「ブロックが切り裂かれるッッ」」
543 :
悪鬼咆哮 :05/01/05 16:21:01 ID:w763HQh1
(へへ‥‥なんてえ攻撃だ‥‥人のままじゃ勝てない‥‥かよ) 全身に熱を帯びながら、川原は心中で苦笑する。 津波のような板垣の圧力にさらされ、川原は後退させられる一方だった。 そして、防御が遂に突破(やぶ)られる―――― 地を削り、天を穿つアッパーが、川原の体を真下から突き上げた。 板垣の渾身の一撃は、竜巻に等しかった。 中空に舞い上げられた川原の体が、モーターコイルのように回転していた。 悪い冗談のような光景に、にわの達は絶句する。 川原が着地し、かろうじて踏みこたえた。 喰らう直前に自らの腕をクッションにしている。直撃ではない。 それでも、足が地に着いた瞬間、膝が大きく沈んだ。 そのときにはもう、川原の視界に大きな影が飛び込んできた。 板垣の足裏。 稲妻のような強烈な蹴りが、ブロックごと川原の体を遥か後方に吹き飛ばした。 「な‥‥なんだ、あいつのパワーは‥‥!?」 岡村が驚愕のあまり、叫んでいた。 川原が今まで不敗なのは、単に技やスピードが卓越しているからだけではない。 あの小柄な体格で、どんな巨漢を前にしても、決してパワー負けをしないからだ。 変身した岡村の時も、鬼酒を飲んだ真鍋の時も、川原は決してパワー負けをしなかった。 その川原を、ここまで圧倒するパワーというものが存在するとは信じられない事であった。 体勢を立て直そうとした川原の顔面を、板垣が鷲掴んだ。 凄い腕力であった。この握力ならば、手で握るだけで、リンゴジュースを造ることができそうであった。 すぐ先に、電燈が見えていた。その電燈を見た時、板垣はもうすでに動いていた。 その電燈に向かって、片手で川原の身体を押しながら、足で地を蹴った。 めちゃくちゃに走った。 そのまま、川原の後頭部を、その電燈にぶちあてていた。 電燈が、ぶつかったところから大きく「く」の字にヘシ曲がり、電灯部分が激しく暴れた。 「ぐうっ」 川原が、呻いた。その身体が、ずるずると地面に向かってずり落ちていった。
544 :
悪鬼咆哮 :05/01/05 16:23:28 ID:w763HQh1
頭部に強烈な衝撃を受け、意識が朦朧とする川原。 その耳に、何か重いものを引きずるような、奇妙な音が聴こえてくる。 顔をあげると、そこでは板垣が、公園に設置してあった長大なベンチの端を片手で掴み、ずるずると引きずっているところであった。 川原が身を起こそうとした瞬間、板垣がベンチ椅子を掴んでいた腕を大きく振りかぶった。 80キロ以上の重さがありそうなベンチ椅子が、片腕の力だけで、ふわりと浮き上がった。 加速し、凶悪な得物へと姿を変えたベンチ椅子が、川原の身体に思いっきり叩きつけられた。 「がはあっ!」 粉々に飛び散る木っ端に、血と肉片が混じった。 防御など何の意味も持たない、攻撃であった。 倒れかけた川原を、土手っ腹への横蹴りが三度吹っ飛ばした。 激突した桜の幹が、嫌な音をたててヘシ折れ、倒壊した。 一拍遅れて、川原の身体が地面に跳ね、堆積していた桜の花びらが突風に吹かれたように舞い上がった。 「強い‥‥強すぎる‥‥‥」 にわの達はもう、呆然とする以外に何もできはしなかった。 自分自身の強さの“限界”などというものではない。 明らかに次元の違う強さというもの‥‥‥‥‥‥ 桁外れのものに接した時の戦慄を‥‥‥‥‥‥ 板垣恵介は、二人に味わわせたのであった。 もう終わったかと‥‥‥そう思われた時だった。 ぞくり、 と板垣の背骨を、太い恐怖が貫いた。 「ホッ。お目覚めかい、ボウヤ」 恐怖を快感と認識し、新たな笑みに貌を歪める板垣の視線の先。 ――――修羅が、嗤っていた。
これある意味えなりスレの格闘系頂上決戦だよな でら燃えると同時に、作中時期的な勿体無さを感じるアンビバレツ
うおおおお(咆
凶器まで出た―――――――!!!! どうなっちまうんだ〜
板垣のイメージが「最強」なら、川原は「不敗」だからな。 「敗けるイメージが出来ない」という意味では、コイツはえなりキャラトップクラス。 板垣は、ネタによっては意外とアッサリ敗けるイメージが出来るんだが 今はそういうモードでも無いしなぁ・・・ 全く予想つかんよ。
(
>>544 )
───二匹の鬼の周辺で、さらに空気が変わる。
あらゆる存在を圧倒し支配し蹂躪していた板垣の鬼気の中に、
あらゆる存在と同化し同調し循環している川原の鬼気が混じり始めた。
板垣の気が深海の暗黒と同じならば─── 川原の気は様々な顔を持つ海原の水面───
(・・・せんせーの顔が真っ赤だ・・・)
息苦しそうに胸を抑える、霊体のにわのの視線の先。柳が揺れるように起つ川原は、
先程のベンチの破片で顔のどこか・・・まぶた辺りを切ったのだろうか。
鮮血が彼に残酷な化粧を施し、視界の半分を奪われている。それでもやはり。
笑っている。一見いつもの微笑に見えるが、違う。
(楽しそうだ・・・ダメだよ、それ以上行っちゃったら、どちらかが死ぬまで終わらない。
今のボクは幽霊だから、蘇生術は使えないし・・・そんな問題じゃあない。
せんせー、川原せんせー。負けないで。勝ってとは言わない。負けないで・・・)
にわのが声なき声を全霊から絞り出す。それをどこかで感じたのか、
一歩も動けなかった岡村が、呪縛が解けたように右足を踏み出し、花びらの小山を踏む。
「川原ァ!!てめえ俺に勝っておいて今更負けんじゃねえぞ!!
大体あんたにゃ戦闘相手の先約がうじゃうじゃいるんだろ、俺に本宮さん、KIYUども、
バンチ連中、ついでににわの・・・忘れんな!これはあんただけの闘いじゃ───」
「岡村、そこは踏むな」「な!?」
予想外の返事に素っ頓狂な返事をする岡村。彼が足下を見ると、桜に混じる薄汚れたぼろ布。
これが何だと───岡村が聞き返す間もなく、特攻してきた板垣の拳が唸りを上げ川原の頬をかすめた。
一発、二発、三発、何かを呼び覚まさせるかのように、板垣は川原の首から上を狩りにかかる。
髪一本の距離で躱す川原の皮膚が空圧で裂け、ボロボロの道着が新しい赤色に彩られる。
昨夜以上の悪夢に晒され、しかし心の支えを得た裏御伽副将は、己の大切な人に向かって叫ぶ───
『ま・・・負けないでぇ!!川原せんせー、負けないでぇぇーーーー!!!!』
───次の瞬間。鼻先を真正面から砕かんとする板垣の拳は、
同じく真正面から川原の右掌でしっかりと受け止められていた。
二匹の鬼は、なおも笑う。全身の牙を剥き、互いを≪鏡≫のように見つめ合いながら────。
バオッ! 板垣と川原の間合いが、離れた。 そして、幾度目かの対峙が始まる。 それを固唾を飲んで見守る、にわの達。 そのとき、ふいに川原が訊いた。 「ひとつ訊いておきたいんだが……あんた、何でヒラマツミノルを殺したんだい?」 「何かと思えば、くだらんことを訊くモンだ。……まさか、話の内容によっちゃ承知しかねるということかな?」 「……俺自身はどうでもいいさ。ただ、その事を気にしてるヤツが、ひとりいるんでね」 ぴくり、とその言葉に反応するにわの。 すると、板垣はつまらなさそうに軽い鼻息を漏らすと、おもむろに話し始めた。 「アイツ……いきなり、俺の泊まってる部屋に乱入してきてな…………」 「ら……ッッ、乱入ゥ!?」 板垣が話し始めた途端、にわの達が唖然とした顔になった。 「機関銃を撃ちまくりながら、俺の全財産と愛人の全てを自分によこせときやがった……」 口頭で「ダッダッダッダッダッダッ」と妙な擬音を発しながら、マシンガンを両手で構える真似をする板垣。 明らかに戯けた、その仕種に、にわの達は閉口してしまう。 「夢中で組みついた俺と血みどろの大乱闘…………反則の急所蹴りでかろうじて難を逃れた俺………危ないところだった……」 わざとらしい溜息をつく板垣に、にわのと岡村は恐怖とは別に怒りを憶え始めていた。 「……で、本当のところはどうなんだい?」 最初から相手にしていなかった…と言わんばかりの口調で、川原が言った。 板垣は心底面倒くさいと言わんばかりに髪を掻きむしり、そして今度こそ真相を語り始めた。
時間軸的には、昨日の夕方、慰労会メンバーが別府に到着した頃。 矢吹艦内でも最高級のホテル―その最上階に位置するスウィートルームに、二人の男の姿があった。 ひとりは無論、板垣恵介。 壁一面の窓ガラスの側に立ったまま、暮れなずむ夕日に染まる街並を見下ろしている。 もうひとりは、板垣の後方に、どこか緊張した面持ちで立ち尽くす、覆面姿の巨漢―ヒラマツミノルであった。 たかしげ宙と別れ、喫茶店を出た後に『どこでもふすま』で戦場を探し回った板垣だったが(15部406参照)、その時には既に矢吹艦内の抗争はひとまず沈静化してしまっていた。 結局、ヨクサル戦以降、因縁が増えただけで満足な闘いができなかった板垣は、自らの宿泊するホテルに帰還していたのだ。 そこへ、『手塚国光殺害事件』(14部209から15部72-74あたりまでを参照)の容疑が晴れ、釈放されたヒラマツミノルが訪ねてきたのである。 そして、ヒラマツが訪ねてきてから、板垣は一言も口をきいていない。それどころか、ヒラマツの方を見もしなかった。 無言の威圧に、いい加減耐え切れなくなってきたヒラマツが、何度目か唾を飲み込んだ時― 「ヒラマツ……」 ぼそり、と言葉を千切るように板垣が言った。 「はい…………」 一瞬、ビクリと体を震わせると、ヒラマツが答えた。 すると、板垣は唇の端を物騒な笑みに吊り上げると、 「シュートやりてェんだって……?」 そう言った。 ヒラマツが、また唾を飲む。 「真剣勝負をやりたいそうじゃないか……」 再び、そう訊くと、 「はい、やりたいバイ」 もっさい博多弁で、意を決したように答えた。 板垣が、得心を得たように、さらに笑みを深くした。
「やりてェよなあ………思いきりブン殴って、思いきり蹴とばして…………」 「…………ッ」 「ボキボキヘシ折って、グリグリ目ン玉えぐって、グシャグシャ金玉ツブして」 「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」 板垣の過激な発言に、ヒラマツの顔が青くなっていく。 『真剣勝負』というものを、単なる『ルール無しの試合』ぐらいにしか考えていなかったヒラマツである。 そこに込められた残虐性を、あっさりと言葉にする板垣に、ヒラマツは唸るしかない。 「なァ」 振り向いた板垣の顔には、すでに悪鬼の表情が刻まれていた。 「……で?そんな『真剣勝負』をヤリたいなどとほざく貴様の、あの無様な試合はなんだ?」 それが、『島』での、にわのとの試合を指していることはすぐに分かった。 最高の充実感を感じた、あの試合への侮辱の言葉に、ヒラマツの顔色が変わる。 「あの闘い……あのまま首を攻め続ければ、頚椎を破壊できたはず」 MONSTERに支配され、殺すつもりでにわのの首を攻めた事を言っているのである。 「つくづく救えぬ。ヒラマツミノルに失望した」 いつか追いつき、そして再戦することを夢見ていた男からの、あまりにも厳しい宣告。 衝撃にうちのめされ、ヒラマツは絶句する。 「おまえには才がない。プロレス漫画を極めんとする漫画家……その心意気にほだされ協力してはみたが……まさか、これほどのボンクラとは……」 唾を吐き捨て、さらに辛辣に続ける。 「プロレスなるもの 一 応 格闘技だと思ってたんだが……馴れ合いはしょせん馴れ合い……茶番に期待してバカを見た」 「!!」 板垣が、ヒラマツのタブー中のタブーに触れた。 自分をバカにされるのはいい。しかし、プロレスをバカにされるのだけは許せない。 それまで恐怖に支配されていたヒラマツの内部を、憤怒が一気に塗りつぶした。 「貴様ァッッッ!!」 激昂して叫んだ瞬間、ヒラマツの太い足が、床を蹴って跳ね上がった。
バチイッ!! 派手な音をたてて、ヒラマツの必殺のキックが、板垣の顔面をモロに叩いた。 しかし、板垣はヒラマツの蹴りをまともに喰らっても、ダメージを受けるどころか、微動だにすらせずに悪鬼の笑みを浮かべている。 ドキャッ!! 間髪入れず、ヒラマツの逆水平チョップが、板垣の首に決まる。 やはりこれにも、板垣は身じろぎすらしない。 「どうした……そんな蹴りや手刀じゃ、俺を昼寝から起こすこともできねェぜ」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ」 ヒラマツが声にならない呻きを漏らす。 「一つ教えといてやろう。お前のいる場所は、すでに俺が三千年以上前に通過している」 よく考えると意味が分からないが、板垣の絶対的な自信だけは嫌というほどうかがえる発言だった。 実際、その自信を裏づけるだけの実力差が両者にはあった。 初めて板垣に叩きのめされた時から、ヒラマツは血のションベンを出し尽くすほどの修行をしてきた。 試合も数多くこなし、真のプロレスラーと呼ばれるにふさわしい実力を備えるに至った。 だが、目の前の壁は、あまりにも巨大すぎた。 板垣は、ヒラマツと闘った時よりも、遥かに強くなっていたのである。 いや、今この瞬間にも強くなり続けている。 限りなく広大な宇宙が、光の速度でさらに膨張を続けるように。 結果、両者の実力差は縮まるどころか、むしろ圧倒的に開いたのである。 「全力を出そうとした俺も大人気なかった」 板垣が、片手を開き、ヒラマツの眼前に差し出した。 ヒラマツは驚愕する。 「どうした……手四つだよ……これなら少しは闘いらしくなるんじゃないか?」 舐められている。 その事実に対する怒りと、板垣に対する底知れぬ恐怖が、ヒラマツの中でぶつかりあう。 様々な想いが去来する中、最後に思い浮かぶのは、かつて敗れ、再戦の約束をした、もうひとりの男。 「ウォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」 強烈な雄叫びをあげながら、ヒラマツが差し出された手を掴む。 刹那、ヒラマツの手を、凄まじい力が握り潰した。
それはさながら、5匹の蛇がからみつき、強力に締め上げてくるのに似ていた。 あまりにも桁外れの握力に、レスラー・ヒラマツの力はあっけなく潰された。 凄まじい激痛に、ヒラマツが悲鳴をあげた。 「どうした、これはキサマの領域だろう」 ヒラマツの手を、人外の握力がさらに締めつける。 か細い音をたてて骨が次々と折れ、ヒラマツが絶叫をほとばしらせる。 「握力が足らんな……いったいなにを練習してたんだ」 束ねたトランプの一部をひきちぎり、古タイヤを引き裂く、板垣の超握力。 それを相手にしては、本職のレスラーであろうとも勝てる道理はなかった。 板垣が軽く手首を返した。 それだけの動作でヒラマツの肘関節が極まり、今度は逆に強制的に爪先立ちの状態にさせられた。 「ヒラマツよ。漫画家の名を返上し、今一度アシスタントからやりなおせ」 グシャンッ!! 次の刹那、板垣の金的蹴りが火を噴いた。 ヒラマツは睾丸はもちろん、骨盤までも完全に破壊され、股間からあらゆる内臓器を吐き出した。 床に顔面が激突し、ヒラマツの巨体が大量の血を吸い込んだ高級絨毯に倒れ込む。 そのときには、すでにヒラマツの意識は永劫の暗黒に没していた。 「ガキめが…………」 もはや、ただの肉塊となった存在を、板垣の冷徹な鬼眼が見下ろしている。
テーブルに置かれたワイルドターキーのビンを掴んだ。 ビキッ! 口を素手でねじ切り、一気に中身をあおる。 「アハッ♥ アハッ♥ アハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」 ウイスキーを飲み干し、高笑いする板垣。かと思えば、その哄笑が、ふいにぴたりと止まった。 「子供は子供らしく格闘ごっこで遊んでりゃいいものを…………」 ビンが床に叩きつけられ、粉々に散った。 「真剣勝負などと…………」 板垣にとって、真剣勝負とは、正真正銘の『果たし合い』である。 誰も死なない、リング上の真剣など、板垣にはとっては『ごっこ遊び』でしかない。 その覚悟も持たずにハネ回った『チーム・タフ』など、板垣にして見れば到底許すことのできない存在であったのだ。 「漫画家のレベルも堕ちたものだ……」 忌々しげに吐き捨てながら、板垣が窓の外を睨む。 その視線は、それから数時間後に地獄と化す事になる、別府の街がある方角を向いていた。 そして、物語は『チーム・タフ+1殺害事件』(16部326-328)へと繋がっていくのである。
板垣は、全てを語り終えた。 にわのと岡村は、怒りすら忘れ、ただただ戦慄に震えていた。 その真相の、あまりの猛悪さ、あまりの凄絶さゆえに。 「……完全にイッちまってる……アイツは……人間じゃない……本物の鬼だ」 岡村が、かすれた声をしぼりだした。 にわのに至っては、板垣のあまりにも巨大な凶気と狂気にさらされ、ショックで完全に自身を喪失していた。 「川原は……あの男の前に闘気をたもったまま……よく立っていられる……」 「岡村君……」 「川原という男は言うなれば鍛えぬかれた名刀のようなものだ。 人を斬る……という最大の目的としながら……それを見る者に清冽な感動をあたえることができる。 対して、板垣には感動がない。 板垣恵介は生ける兵器だからだ……。 ただ人を大量に殺傷する、そのことを目的としてつくられたマシンガンのようなものだ。 あいつと戦うということはまるで……いつかは弾の出るロシアンルーレットをやりつづけるということに等しい……。 俺はアイツとだけは死んでもやりたくない……心の底からそう思ってる。 川原……おまえは怖くないのか……」 わずかな勇気が、板垣恵介という巨凶を前にして、あっけなく摘み取られた瞬間であった。 もはや手の届かない領域に二匹の鬼の精神はあった。 人の声は届かず、人の想いは届かず。 修羅と悪鬼の、魔戦は果てなく続く。
一緒に11部(島プロレス編)も読み返してほんのり涙 ヒラマツ君・・・ (ノ兪)
これはいわゆる『日本刀vsマシンガン』の図!?
三千年〜は笑った お前何年生きてんのか、とw
えなりスレ最凶の気まぐれ暴虐王に人生を振り回されたヒラマツ、合掌 個人的に一番驚いたのは板垣に愛人がいたということだw
>479 バサアッ!! 蹴り放たれたサッカーボールは鋭い弧を描き、吸い込まれるようにゴールネットを揺らした。 テンテンと転がるボールを、キーパーはしばし見つめ、そして満足したように笑う。そして言った。 「合格だ、許斐くん」 キーパー―――高橋陽一に太鼓判を押された許斐も、ここでようやく安堵の笑みを浮かべた。 「やっと・・・完成しました」 テニス選手にとって、ラケットとは手の延長である。 テニス選手として最も重要な「タッチ」を、一流選手は皮膚感覚と同じように扱う。 そして、一流のテニス選手は同時に、手以上に「足」の感覚を重視する。 踏み込むタイミング、角度、歩幅、強さ。 大地の感覚を、素手と同じくらいに感ずることが、一流の条件と言えよう。 その一流である許斐にとっての必殺シュートへの近道―――それはラケットと同じ感覚で、足を操り、テニスの必殺技をサッカーに応用することであった。 そして、今ここに、許斐は全ての技を、サッカー用に改良し終えたのである。 ちなみに、たった今陽一からゴールを奪ったのは、「スネイク」の応用である。 「村・・富沢くんも、必殺シュートは身につけられなかったが、それに匹敵する『必殺ドリブル』を修得した。これでようやく戦力が整ってきたな」 「ドリブルしながら『あの走り』をするのは難しかったけど、なんとか成功しました」 村田もまた、許斐に先んじて、『必殺ドリブル』により、陽一からゴールを奪うことに成功していた。 「あとは・・・車田くんと井上くんだけか・・・」 陽一がつぶやく。 ここまでは順調にきたが、車田と井上にいたっては、いまだ必殺シュートの糸口すらつかめていなかった。 「やはり・・・ボールが蹴れん!!」 「むうう〜〜天才であるはずの俺が、なぜ必殺シュートのひとつも打てん!?」 二人が頭をかかえながら叫ぶ。 陽一は考えた。 「(車田先生は後で考えるとして・・・問題は井上くんだな。他と違って、彼だけがサッカーに応用できるスキルを何も持ってない)」 井上の得意は、バスケと剣術。どちらもサッカーにはおよそ関係がない。 「(かといって・・・サッカー用の必殺技を何も持たないでフィールドに立つのは危険すぎる・・・とすると・・・)」 そこで、ふと陽一は練習場に備え付けてある、試合中継用のモニターを見た。 そこにはちょうど、無人のゴールにガンサンの3点目が決まった瞬間の映像が映っていた。
「(まずいな・・・早くメンバーを揃えないと点差は開く一方・・・せめて優秀なキーパーがいれば・・・)」 その瞬間、陽一はピンときた。 「(キーパー・・・そうだ、これだ!!)」 「井上くん!!」 急に陽一に呼ばれ、井上は驚いたような顔をした。 「ああ、なんだヨーちん」 珍妙なあだ名で、元キャプテンに返事する井上。 「残念ながら、君は必殺シュートを身に着ける才能がないようだ」 「な、なにい〜〜!!」 ガガーンとショックを受けた顔で硬直する井上。 「だが、君には、別の才能がある。それはバスケで鍛えた君にしかできない!!」 『君にしかできない』という言葉に、井上は敏感に反応した。 即座に、ショックから立ち直る。 「なんだなんだ、この天才にしかできない仕事というのは!!」 上機嫌で大声を出す井上に、陽一は言った。 「君にはキーパーをしてもらう」 「キーパー!?」 「ああ、今の俺たちに最も必要なのは攻撃力以上に、頼れるキーパーの存在だ。 この状況下で、優秀なキーパーはまさに救世主的存在! そして、この中で、俺たちの守護神になりうるのは、バスケで鍛えた能力を持つ、君しかいない!!」 『救世主』『守護神』『君しかいない』 心地よい単語が、井上の脳内をかけめぐる。 「ハッハハ、そうかそうか。俺にしかできないか、そこまで言われては仕方あるまい!!」 胸をそらして、高笑いする井上。 さすが元キャプテン。井上の性格を知り尽くしている陽一であった。 「・・・というわけで、君には別の練習メニューを受けてもらおう」 そういうと陽一は、転がっていたボールを拾い上げ、リフティングをし始めた。 「ルールは簡単だ。これから、 俺 が 打 つ 必 殺 シ ュ ー ト を ひ と つ で も 止 め ら れ れ ば 合 格 と す る !! 」 井上雄彦、地獄の試練の始まりであった。
許斐と村・・富沢がインか。 てか大丈夫か井上…
(
>>94 >>483 )
「じゃあ、何か情報があったら連絡ください」
裏御伽控え室。本宮との閑談を終え、お茶を飲み干し席を立つ荻野。
「おう、わかったよ。あ、そうだ、ジュ・・・佐渡川にも言っておくけどよ。
最近俺らァ、ちょいとやっかい事に巻き込まれててな。
面倒が嫌ならあんまり俺らと関わんなよ!尾行とか暗殺とかされたらうぜェだろ?」
“隠し事はしない主義”の本宮、満面の笑顔で豪快に笑い飛ばす。
「いいのかよ大将?そんなコトあたしらにぶっちゃけちまってさぁー」
「あいたた!何よくつろいじゃって、あんたウチの一員にでもなったつもり!?
ヒロインの座は渡さないわよ〜ってやめてー!あたしの足を引っ張らないでー!!」
なんとなく居残って澤井をいぢめていた佐渡川が鼻先で笑う。
「はは、相変わらずトラブルだらけですね、師匠。
そんなの気にしてたら、とっくに縁を切っていますよ。ではお元気で」
錫杖をシャランと鳴らしながら、荻野は深々と礼をして控え室を去っていった。
「というわけだ、佐渡川ちゃんも早く帰れよ」
「余計なお世話さね大将。こちとらヒマなんだ、帰りたくなったら好きに出てくよ・・・ん?」
控え室に近づく足音が複数。なんだなんだと思ってる間にドアが開けられ、
白衣姿の男たちが担架を持って入って来た。担架の上には毛布にくるまれた人間。
「本宮先生ですね?この男性が意識不明で、トイレの個室で発見されまして。
医務室に運ぶ前に通りすがったのでこちらに・・・おたくの選手ですよね?」
運ばれてきたのはもちろん、現在幽体離脱中で霊体が公園にいるあの人。
「う・・・ うおおおおお!!に、にわの!!どうしちまったんだァァ!!!」
椅子を壊す勢いで、血相変えて担架に駆け寄る本宮。
毛布を剥ぎ取るとそこには、疲れた顔で死んだように眠るモモマスク姿の副将が・・・。
「死んだのか!?この俺に黙って勝手に死にやがったのか!?このバカ息子がァ!!
さてはKIYUの刺客かよ!!あいつら今度こそぜってえ許さねェ!!すり潰してやる!!」
控え室中に、本宮の咆えるような男泣きが響き渡った・・・。
『岡野・・・これただの幽体離脱だよな?誰かオヤジ止めろよこれ』
「真倉、お前がにわのの身体に入って、あいつの演技してごまかせ」
『お断りだ!!』 とりあえず中身が帰ってくるまで放置する事にした。帰れればいいけど。
>>439 >>499 >>517 「―――カ、カムイが… 生き返ったぁ〜〜〜〜〜ッ!!!」
驚きと喜びの快哉をあげる安西の目の前。ゆらりと立ち上がったカムイの体から、静かなる闘気が後光のように迸り始める。
その光量に両の目をしかめながら、
無意識にあとずさっていた岸本は、脳裏に浮かんだ疑問を思い出したように吐き捨てた。
「―――こ、こんな馬鹿なっ!? たしかにお前の生命エネルギーは途絶えていたはず! 何故……生きている!?」
「それは簡単な事だ」
あふれる力を確かめるように拳を握り。
死を超え得ることに成功した、以前の何倍もの『闘気』を、突き出した拳からジャブに似せて放つ。
一瞬の光条。
回避した岸本の服が破け。その背後で、芝が大きくはじけ飛ぶ。
「……俺の体の中で二つの『ネタ』が戦っていた……! そして一方が勝った!!!
お前が感知していたのは、敗れた方の『ネタ』だったのだ……!!!」
「あ、あぁぁ……」
何事かを悟ったか、また一歩たじろぐ岸本。
カムイはそれに合わせ今度は一気に間合いを詰めると、小細工無しの拳を顔面に叩き込む。
まともに喰らって、センターラインを一瞬で横切り、再びライン外の壁に岸本の体が激突する。
しかしそれに追い討ちをかけるでもなく、さらに向き直り、カムイは言葉を続けた。
「かつて―――三条陸は俺に言った。漫画家は自らの『世界』を相手の漫画家に押し付けることを忘れ、弱くなったと……
俺も、その例外では無いと。……確かにそうなのかもしれない。だがそれは、見方を変えれば
他人から押し付けられた『ネタ』を超克することが! 即ち何にも勝る修行になり得るということ!!!」
台詞通り、瓦礫の中から這い出た岸本の顔面は、威力のため痛々しく腫れ上がっている。
「―――お前が『呪印』の力を受け入れろと言った時。俺は逆にそれが自らを強く鍛え直す最後のチャンスだと思った。
というより、すでに漫画家として成長のピークを越えていた俺には、他に取れる手段が無かった……
むろん、一歩間違えれば、『呪印』に飲まれお前や大友の手でネタの暗黒面に引きずりこまれるか、
あるいはパクリ漫画家へと堕ちてしまう危険な賭けだったが―――見ての通り、なんとかモノにすることが出来た……!!!!」
「ぐっ……!」
自らのネタである『呪印』を大友に喰われ。そこから流し込まれる『力』に頼ってしまった岸本とは、まさに真逆の選択。
力の根源の一つであった『狐』を失い。
それを理由に妥協を覚え、大友の甘言に乗ってしまった岸本のプライドが木っ端微塵に砕かれる。
「―――もう、気付いたろう? お前の『弱さ』の原因は、『才能』でも、本来は自らのネタである『呪印の反動』でも無い。 ―――『狐』の時に学ばなかったのか? 目の前にぶらさげられた『他者の力』に軽々に飛びつき、それを、自らの実力であるかの如く振舞う。 その脆い精神性こそが、他者につけ込まれ、利用され続ける原因だと!!!」 「…だ……」 「―――目を覚ませ!!! 俺は、お前の漫画家としての志も、弟を殺された事で生まれた復讐心も、阻むつもりは無い!!!! だが大友は、大友克洋は!!! お前が考えているような甘い」 「 ――― 黙 れ ェ ッ !!!!! 」 真摯な説得にも聞く耳持たず、弾丸のような勢いでつっかけてくるその姿に。カムイは息を途切れさせ、唇を噛み締める。 岸本は今、完全に冷静さを失っている。 カウンターで仕留めることは、容易く見えた。 しかし、しかし―――
その時だった。 逡巡しながらも、腰溜めに構えたカムイ。前傾姿勢で、片手に全霊のチャクラを蓄え『千鳥』で突っ込む岸本。 二人のちょうど中間点に、激突を制すように一枚のトランプカードが突き刺さる。 「「 !? 」」 瞬時に停止し、カードの飛来した方向へ顔を向ける二人。 現れたのは、奇妙な雰囲気を纏った、奇術師のような男。 「そこ、センターサークルなんだけど♠邪魔だから、どいて欲しいな♦」 からかいを込めた口調でそう言って、両の手の間でカードを繰り渡しながら、どこか嫌な笑みを浮かべる。 カムイと岸本は、同時にその名を脳裏に浮かべた。 ―――『今井』といったろうか。 両チーム中、最も無名で、最も得体の知れない男。 確か『特訓』とやらをしていた筈だが。 いつの間に? 「すいませんーありがとうございますー」 そこへ今度は、審判の山田がボールを手に駆けて来る。 「どういたしまして♥」 今井がひらひらと手を振る。 「―――ガンガンチーム、三点目です! あとぉー、えなりチームの今井さん・藤崎さんとあんどさん一人が交代だそうです」 息せき切らせながら。 センターサークルのド真ん中。既に硬度を失い、ただの紙片と化したトランプの上に、山田の手でボールがちょこんと置かれる。 「―――では、試合を再開してください!」
いよいよあんどチームの反撃が始まるのか? 試合は前半の折り返し地点ですねい 新スレは478KBぐらいに立ててほしいな(半端
これで、あんどチームの正規メンバーは、X仮面・大和田・岸本・今井・藤崎・あんど(オリジナル)の6人か 二人とも応用が利く能力な上に知略系 特に今井は、荒木不在の穴を埋めてくれそうだな
そのまま帰って来なかったりして>荒木
不吉なことを
X仮面はそろそろUMA子キッスのダメージから回復した頃だろうか?
>>567 中央にボールを戻して仕切り直し。
好き勝手散っていたガンガンチームの者たちが、試合開始前のポジションになんとなく戻る。
さらに今井が、なにやら藤崎たちに耳打ちし。
それを受けて。えなりチームもめいめいが少し変化した配置を済ませる。
どうやら、今井が攻撃的MF・藤崎が守備的MFに加わり、攻防のてこ入れを図るようだ。
「―――さ♣どうしようかな♦」
センターラインを挟んでガンガンチームと対峙しつつ、そう言って今井がボールに近付く。
それを見て、当然、ドリブルなりパスなりをするのだと思い込むガンガンチームだったが、
今井は横顔にうすら笑いを浮かべると、ボールを置いてけぼりにしたまま、あさっての方向に歩き出した。
「?」
不可解な行動に戸惑う安西の視界を、散歩するような足取りで横切る今井。
その姿が、徐々に、1人、2人と『増えて』ゆく。
『あれは―――【肢曲】か!?』
実況席で、克が思い当たったその名を叫ぶ。
『【肢曲】……?』
『うむ。暗殺術の一つだ。足運びに緩急をつけることで残像を生じさせ、相手を幻惑する技。
【暗歩】と呼ばれる無音歩行術を応用した高等テクニック―――とにかく、そんじょそこらの漫画家に可能な技ではない』
『ふむ』
『……あの男……一体何者だ……? この解王の脳内データベースにも、今井などという漫画家は……』
克が一人ぶつくさと呟く間にも、試合は動く。
既に今井の『人数』は『5人』を超え、なおも―――
ス・・
いきなり足首を返し。ガンガンチームのメンバーに向き直る今井。
反応する間もなく。最前列の土塚・安西・雷句が一瞬にして抜き去られる。
「ッ!?」
弾かれたように振り返り、自陣に進入した今井の背中を確認。ゆっくりと遠ざかるそれを呆然と見送り
さらにまた、慌ててセンターラインに向き直る。 瞬き一つしていない。 なのに自分達の間合いは、一瞬で踏破されてしまった。 奴にもしこちらを攻撃する意志があったなら。3人の内誰かが、少なからぬ傷を負わされていただろう。 だが、不気味なのはその事ではない。 今井はボールを『センターサークルに置いてけぼりにしたまま』なのだ。 ―――もしや、味方からのパスを待つつもりか? それにしては、向こうのチームの誰一人、ボールに触れようと―――いや、近付く様子すら、無い。 「――― リ ッ ク !!!! 」 誰かの叫び。 確認するより早く、雷句の足もとを何かが素早く通り抜けた。 「!?」 両チームの目前で、 緑のグラウンドを『ひとりでに、這うように、サッカーボールが一直線に飛んで』いた。 その現象は、もはや『ボールはトモダチ』などというレベルではない。 一体どんなトリックを使ったのか。 そしてその行く手には当然――― ダッ 今井が走り出す。 夢から覚めたように、三人も追う。 素晴らしいスピードだが、特に飛びぬけているわけではない。 ガンガン陣地を半分ほど行ったところで、今井は『ボール』と合流。 同時に、水野と留美子・椎名が今井の前に立ちはだかり、後ろからは土塚・安西・雷句も――― (いちばん弱いのは――――この娘だね♦) 目線をざっと斜めに走らせ、今井は即断する。 勢いよく踵にぶつかったボールを跳ね上げ、ループ状に頭上を越えさせ、自らの腿に落ちたそれをトラップ。 すぐさま蹴足を叩きつける。
「―――ぁあっ!?」 水野が、小さな体にまともに今井のボレーシュートを喰らい仰け反った。 中央の留美子がそちらに目を移した隙を、今井はするりと避け抜ける。 「水野ちゃん!? ―――クソッ!! やらせるかッ!!!」 フォローに入る椎名の前で、左足を引きそのまま流れるように半回転。 水野を壁にし戻ったボールを半身に引き込み、背中で椎名に鮮やかな別れを――― 「―――クライフ・ターン!?」 ガンガンベンチで、村枝が信じられないといった感じに立ち上がる。 特殊な漫画技では無い。 現実にも存在するサッカー技。しかし、ワールドカップレベルの超高等技術である。 そんなモノまで身に付けているのか―――あの今井(おとこ)は!? 克だけでなく、村枝にも、今井はその出自を疑問視させる。 再び、ドリブルを開始した今井の障害になる者は、既にGKの金田一のみ。 そしてその背後から追いすがる、土塚・安西・雷句・留美子・椎名――― 見ようによっては全てを率いているような、それはいっそ、壮観なほどの眺めである。 「ヒュゥゥゥ―――」 敵を背負ったまま地響きと共にゴール前まで走り抜け、足を止め 追いつかれるギリギリで、笛吹くような、呼気。 と、突如、今井の周囲に、サッカーボール大の『霊気』の塊が、いくついくつも現れた。 背後に、全力シュートの溜めだと言わんばかりの長い足が高々と掲げられ 「必殺シュートその1 行くよ♦」
インパクトの瞬間、ボールに吸い寄せられ、数十の『霊気』が重なる。 「 裂 蹴ゥゥ 紫 炎 弾 !!!!! 」 爆音と共に一斉に放たれる、ゴールポストの面を覆い尽くすほどの『霊気弾』。 同時に、水野に当てた時とは比べものにならない勢いを得て、サッカーボールが地を疾る。 「蓮―――ッ!!!」 安西が悲痛な叫びをあげる。 数十発射されたそれの内、どれが本物であるか、見た目からは全く分からない上 本物以外は全てが殺意に満ちた『霊気弾』なのだ。 ゴールゲットか、あるいはGKの死は、不可避かと思われた。―――しかし――― ば ふ っ ほんの一瞬。世界が黒に包まれる。 なにかが喉を通り過ぎる、奇妙な響きが聞こえたような。 一秒後に戻った『世界』からは、霊気弾とサッカーボール『のみ』が、それが白昼夢であったかの如く、綺麗に消失していた。
「イマイチ」
ニヤリ、と口端を曲げる、ゴール前のちんちくりん娘。
シュートを放った姿勢のままで、今井の、呆気に取られたような、顔。
「ふむ……
>>517 でトランプを投げた時、仕掛けしておいたようだな?
独りでに走るボールの秘密は、伸び縮みする、透明なゴムのようなもの―――
ボールとオヌシの体に引っ付き、繋いだところを見ると、『ゴム』だけでなく『ガム』のような性質もあるのか……
……三点差・得点直後の緩みと『相手は一人』という見くびりを突いたなかなかの奇襲だったが―――」
ぺ、と唾ひとつ付いていないボールが、ちんちくりんの口から出現する。
「―――通じんよ」
のっぺりとした手で、ボールをひょーいと同胞達に投げ渡す。
それを受けて。細波が引くようにえなりチーム陣へとガンガンチームが攻撃に向かう気配。
背後を一顧だにせず、今井もまた、笑った。
「驚いたね♠『伸縮自在の愛(バンジーガム)』が一見で見抜かれるとは♥
『隠』で、隠しておいたのに―――そういえば―――さっき雷句誠に注意を促したのは君か♦
『念』が―――いや、『凝』が使えるのかい?」
そう。今井の目に映るちんちくりん娘の両目には。一点に集中する『オーラ』が『凝』が、確かに存在していた。
今井の『念能力』をハンパなく見え難くする、同じく『念能力』『隠』を見破るにはそれが必須なのだ。
「両方6.0」
どこか見当はずれな返答に、今井はスウッと目を細める。そして
「所詮『同人』と―――かなりキミ達を見くびっていたよ♥―――名前を聞かせてくれないか♦」
「金田一蓮十郎」
金田一TUEEEEEE!!! てか、いいのか『今井』。そんなに能力出して。正体ばれるぞw
(
>>406 >>468 )
沸点が高まる矢吹艦サッカースタジアムの、喫茶コーナーに男は居た。
男はカウンター席に座り、ガラスの先の広大な芝の戦場を眺めている・・・
ようなフリをして週刊少年漫画誌を読みふけりつつパフェを食べている。
周囲の人々が、ガラスの向こうにあるバーチャル映像(臨場感を出すため、
違う次元からの観戦でも観客とピッチの距離感は統一されている。
>>408 )に対し、
いかにもサッカーの応援らしいノリノリの歓声を送る中、
大き目のパフェを貪り食いながら漫画をめくるその銀髪男は、
ひどく異質な存在に思えた。しかし周囲の人間が彼に構う事はなかった。
男は長柄のスプーンを空っぽのグラスに放り込む。
げっぷをひとつかますと、横目で試合を見ているウエイトレスに向かい、
「おねえちゃん、パフェお代わり。えなりチームのツケで」と声をかけた。
渋々といった顔でパントリーへ向かう制服姿の女性の、
腰から下をけだるい眼で追いながら、男はひとりごちる。
「糖尿病の心配がない身体ってな、それだけで財産だねえ・・・」
再び漫画誌に目を落とす、腰に木刀を差した着流しの男の、
ほぼ真上1メートルの地点に浮かぶ霊魂。
霊は何をするでもなく、ただ眠ったようにそこにいる。
魂でも夢は見るのだろうか。
それとも夢の世界こそが魂の帰る場所なのだろうか。
異能力を持つ者と、一人前のクリエイターにしか存在を認知されない、
不安定で依り代を失った少年のそれは、ふわふわと風船のように銀髪の男の上に佇む。
少年は───
少年の名を冠する≪未来の叙事詩≫の原稿用紙に───
果たして活躍を書き留める羽根ペンを再び走らせられるのか───
それは誰にもわからなかった。 ←TO BE CONTINUED.
空知キタワァ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゚゚・* !!!!!
おそるべし今井 そして、さらにおそるべし金田一 つか、ザル状態のあんどゴールに比べて、ガンガンゴールは鉄壁すぎるような気が(w 空知も最初はただの瞬殺要員だと思ってたのに、よくぞここまで生き延びたものよ・・・
―――――――俺たちが好きだった紅い花――――――― ―――――――ゼラニウム――――――― ―――――――花言葉は――――――― 「決意」 猛攻を受ける"Neo-Z"の甲板上で、平野耕太は文字通り指揮をとっていた。 その指揮に合わせ、Zの下部から、二つのバルーンを持つ双胴の飛行船が切り離された。 ヴイアサクラ 高速戦闘巡洋艦「聖なる道」である。 解き放たれたそれは、艦首を真っ直ぐとエリア88に向け、その進路を定めた。 その隙をみすみす見逃す小林源文ではない。 直ちに離脱しようとする双胴船に主砲を向け、破壊の咆哮を轟かせた。 だがしかし、その必殺の砲は、ヴイアサクラにも"Neo-Z"にも届かなかった。 平野「ドグ」 七三「承知、エーテルガス緊急放出!」 "Neo-Z"から噴出したガスが、ふたつの飛行船を覆い、放たれた砲火を全て逸らせてしまったのだ。 小林「反重力化ガスを噴出して、周囲に反重力空間を張ったか・・・」 七三「ハーッハッハッハ!見たか、我等が「神の見えざる盾(エーテルシールド)を」。 大隊の科学力は世界一ィィィィィィィ―――――!!」 自分が、ゴットハンドのスパイであることを忘れて、猛る七三太郎。
一方、ヴイアサクラの艦橋では、田島昭宇が冷静に反撃の指示を出していた。 田島「T鉱弾、発射!」 双胴船から放たれた砲弾は、アルカディア号に着弾同時に気化し、質量をマイナスへと変化させ、膨大な破壊エネルギーを生み出していた。 さしものアルカディア号も、この攻撃には少なからずダメージを受け、数秒の間行動不能へと陥ってしまった。 そのわずかな隙に、"Neo-Z"は艦首をアルカディア号に向け、Z砲の発射準備に入っていた。 危機を察した小林原文は、爆光収まらぬ内に、艦のエネルギーを主砲に集中させ、反撃の準備をいち早く整えた。 爆発が収まるころには、互いに必殺の主砲を突きつけあった両艦が、エネルギーを臨界まで溜めた状態で睨み合っていた。 撃てば相打ちは必至。 動けぬ両艦を尻目に、ヴィアサクラは悠々とエリア88に向かっていった。 乗員「まもなく、エリア88上空です」 田島 「総員戦闘配置・・・」 戦場を悠々と進むヴィアサクラは、間もなく最も戦闘が激しい地点、原子力空母エリア88に着こうとしていた。 目的は上空からの爆撃。 塵も残さず消滅させることであった。 田島 「T鉱弾、発射準備」 だが、完璧を喫した田島は、必殺の弾丸を打ち込んで早々に全てを終わらせる気であった。 乗員「発射準備完了」 田島 「よし、ゴットハンドの犬どもに腹いっぱい食わせてやれ!発射(ファイエル)!」 乗員「発射(ファイエル)!」 乗員「発射(ファイエル)!」 乗員「発射(ファイエル)!」 乗員「発射(ファイエル)!」 乗員「発射(ファイエル)!」 一斉に放たれた24発の砲弾は、真っ直ぐにエリア88に向けて突き進んでいった。
一発でも直撃すれば、いかな原子力空母といえども周囲の海域ごと塵も残さず消滅する代物である。 だが、その中の1発が、着弾を待たずして、突然爆散して消えた。 田島 「何事だ・・・」 その破壊は1発に留まらず、他の弾丸も次々と爆発していった。 田島 「状況を報告しろ!」 乗員 「狙撃されています!エリア88から射撃を受けています!」 田島 「なんだと・・・」 乗員 「T鉱弾、全弾撃墜!」 乗員 「馬鹿な!24発の同時攻撃だぞ!」 田島 「探照灯(サーチライ)。探照灯エリア88を照らせ・・・」 乗員 「危険です。狙い撃ちされます!」 田島 「かまわん!奴には、もう見えてる!」 田島の言葉に、息を呑んだ乗組員は、恐る恐るエリア88を照らし出した。 それは、原子力空母の先端に咲いていた。 ゆっくりと、照らし出される光によって映し出されたそれは、どす黒い死と恐怖が交差する戦場には不釣合いなほど紅く、色鮮やかに咲き誇っていた。 花は、手に十字架を持っていた。 人の背丈ほどもある、巨大な白い十字架である。 その十字架の足の方、先端がゆっくりとヴィアサクラに向けて構えられた。 田島 「来るぞ!"あれ"はこの船の軽金装甲くらいでは紙屑同然だ。総員衝撃に備えろ・・・」 田島の指示と同時に、紅い花の十字架が火を噴いた。 乗員 「第3ブロック大破」 乗員 「第4ブロック大破」 乗員 「第7ブロック火災発生!」 乗員 「左右バルーン大破!高度を維持できません!」 その火砲は、ヴィアサクラの装甲を易々と貫き、巨大な双胴船を一瞬で壊滅へと追い込んだ。
乗員 「中尉、後退を!」 田島 「無駄だな・・・。 奴と、あの火砲の前では、音速を超える最新のジェット戦闘機ですら逃げらんよ・・・ それより、この艦をエリア88・・・いや、奴にぶつけろ!!」 乗員 「奴は・・・あの火砲は・・・・いったい何なんです!」 田島 「あれか、あれはな・・・・」 花が持つ十字架が裏返され、頭の部分がヴアサクラに向けられた。 田島 「あれはミカエルの眼製・・・」 十字架の頭が上下に開かれ、中から砲塔が飛び出した。 田島 「最強の個人兵装・・・」 ガチリという音とともに、十字架に弾丸が装填された。 田島 「パニッシャー・・・」 轟音とともに、ロケット弾が十字架より放たれた。 田島 「そしてその使い手・・・」 もう一発、十字架より死の弾丸が放たれた。 田島 「射手なき銃たち"GUN-HO-GUNS"の長・・・」 ロケット弾が二つのバルーンに激突、大爆発を起こした。 田島 「漫画界最強のガンアクション漫画家の一角・・・」 爆発を見届けた紅い花は、十字架を降ろし、右手を突き出して、一指し指と中指を絡ませ、奇妙なサインを作っていた。 田島 「ヒューマノイド・タイフーン・・・・」 ヴイアサクラが海面に激突する瞬間、それはあらん限りの声で叫んだ。 ?? 「ラ ヴ ア ー ー ー ン ド ・ ピ ー ー ー ス だ ー ー ー ー ! ! 」 田島 「内藤・ザ・トライガン・・・・」 愛と平和の狩人、ここに復活!
どれが正式なサブタイなんだー 時間的に田島君はこの後熱海の別荘に向かうのかー そして内藤タソ元気だなー
ラヴアンドピース!!
>>586 すまん、最初と2番目間違い。
とりあえず、最後の採用してくれ。
最後だと「のの」になるので三番目でw
>>589 眠い中、あんまやるもんじゃないな。
それじゃあ、後は頼むよ・・・・(涙
内藤、キャラ変わりすぎだw しかし黒田と再会したらかなり凹みそうな気がする
乙 あと3個ぐらいで新スレか 今回誰かまとめ作ります?
「よっと」 金田一から渡されたボールを安西が胸でトラップする。 「折角あいつが守ってくれたんだ。絶対決めるぜ!」 軽快にドリブルをしグングンとゴールを目指す安西。 しかしえなりチームは今井以外は全て動いていない、残り10人の壁が彼の前に立ち塞がっていた。 「安西君こっち!」 樋口が声を出す。安西の前からは何人ものあんどが迫ってきている。 突破できる自信はあるが、経験者の彼女に任せたほうが確実かも知れない。 「よし頼んだぜ!」 信頼と共に力強いパスを出す。えなりチームが反応さえ出来ずにそのパスを許してしまう。 樋口は足でトラップしまっすぐ――ガンガンゴールへと走っていった。 「安西君違うっ!私はこっちよ」 「えっ?な……樋口が二人!?」 この場にいる全員――えなりチームを除く――の視線が二人の樋口に注がれる。 片方の樋口は笑みをたたえながらなおガンガンゴールへと進んでいく。 もう片方は状況が未だに理解できずパニクっていた。 「オルダ・アクロン!!」 雷句の魔法により再度無数の水の鞭が現れ、ボールを持つ樋口へと襲い掛かる 「ここまでかの。今井先生っ!」 樋口の手元に混元珠が現れて同じだけの水の鞭が水の鞭とぶつかり合う。 そのお陰で邪魔されること無く再度今井の下にボールが戻った。 「やはり藤崎先生ですか……俺も変化は出来るがあんたは完璧に変化できるんだな」 「宝貝があればもっと完璧に変化できるんだがのぉ。まぁ自力でも『闇』や『砂』になら出来るが」 闇や砂って……概念に化けたりもできるのかよ。 表情こそ変えないもの雷句は藤崎の変化の完成度に驚かずにはいられなかった。 「さて、お主は中々厄介だ。あのGKもだがお主もなんとかせんとわし等に勝利はなさそうだ」 変化を解除に藤崎は元の姿に戻る 「それは有難いね」 「故にお主をまず封じる。水を操る術を持つお主は厄介だ。こっちのアドバンテージが無くなる」 「こっちこそ。今ここであんたを倒せば水のフィールドは無くなり状況的な不利は消える」 二人の間に緊張が走る。 「ジャンプの奇才・藤崎竜……参る!」
(
>>585 22部80・109等)
荒川や伊藤真美と離れ、姿をくらましていた内藤の華麗なる復活!
赤いコートを戦場の爆風にたなびかせる、特徴的な丸メガネをかけた青年には、
パクリ文化に絶望し世界の消滅を希望していた頃の鬱屈した表情はない。
人懐っこそうな、優しげな瞳の男は、変なピースサインを誇らしげに天高く捧げていた。
「なんじゃ、ありゃあ・・・?」
高揚感で熱病のように浮かれていた、七三の顎がガクンと下がる。
眼下の海面では、今しがた墜落した巡洋艦ヴィアサクラが爆光に包まれている。
艦から脱出できた、数少ない戦闘員たちは、銘々救助ボートに揺られている。
・・・彼らはやがて、山賢の≪最強の切り札≫の餌食になる運命だったが、
現時点では知る由もなかった。
そしてNeo-Zの甲板には、難を逃れた田島昭宇が現れ、
彼は疲れた様子で片膝をついて座った。
「やれやれ、またうちのボスが喜びそうな事態だな」
しかし田島が平野の許についた時、彼はやや不機嫌そうに折り畳み椅子に座っていた。
周囲には別府に派遣していた調査部隊がいる。別府騒動の報告を受けているようだ。
「・・・で、山本英夫を殺した男も恐らく格闘家系漫画家であると?」
「はっ。現在目撃証言から漫画家の絞り込みに・・・」
「もういい。そっちもどうせ例の男の仕業だろう。
調査が面倒ならあっちの計画にテキトーに組み込んでおけ。『悪魔超人編』だかに」
「はあ、わかりました・・・」
首をかしげながら引き下がる調査員たち。
平野はおたのしみの時間を邪魔されて、少々おかんむりなのだ。
(相変わらず気まぐれな男だ)
田島は肩の煤を払いながら、腕時計を見る。
鹿児島の遅い日の出から戦闘が始まり、2時間近く経過。
時針は午前9時を示していた。長いような、短いような。
「やあ田島か。炎のダイブは楽しめたかね」 視線を移した平野が歪んだ笑みを浮かべる。田島は無言のままだ。 「艦を壊されたついでに仕事を頼もうか。熱海の別荘に漫画家をひとり捕まえてある。 そいつにこの写真を渡して、彼の友人と闘わせるように仕向ける。 その友人──川原正敏には山田から別の手紙が渡っているはずだ。 明日、直接会談したいと思ってね。捕まえた男は川原の人格調査に使う。 彼が敵も味方も遠慮なくぶっ殺す人となりかどうか、な。 お前は今から別荘に向かい、明日客人を迎える準備をしてくれ」 平野は顎に奇妙な力を込め、頬に皺を寄せながら命令する。 「・・・今度は格闘家に手を出しますか。相性がいいとは思えませんが」 「まあそうだろうね。だから明日は別の漫画家を当てようかなとも思ってるよ」 「らしくない言葉ですな」 「だってあいつら──格闘家って人種はうっとうしそうだし。 汗臭そうだしエッチもしつこそうだし。今時仁義とか義理人情とか言ってそうだし。 殺したら死ぬくせに全然死んでくれないし筋肉で銃弾弾きそうだしモミアゲ長いしぃ」 「いやモミアゲは関係ないと思いますけど」 「とにかく格闘家と対戦して面白いかどうか事前に調べておかないと、 企画がコケるというか実は昨日はノリノリだったけどいざこっち始まるとどうでもいいと言うか」 話が変な方向に進んできた。 「だがせっかく大場つぐみが持ち込んできた暇つぶしなんだから活用せねばねーみたいな。 なもんで別荘の試合場セッティングが終わったら小畑の残りパーツの在処捜してくんない?」 後半やけにフランクなノリの平野。エリ8攻略に専念したいため気もそぞろなのだ。 田島は小さく頷くと、写真の入った封筒を持って小型飛行機へと向かった。 この1〜2時間後、川原の機転で平野の別荘は跡形も無く潰され(22部143)、 計画がとっ散らかった『悪魔超人編』は再構成を余儀なくされるのだが、 果たして明日まで平野はこの企画を憶えているであろうか? 悩むのは当て馬にされた某副将のみ。 そして鹿児島湾の小戦争は、これからが本番であった。 ←TO BE CONTINUED ≪24部へつづく≫
新スレ立てられませんでした・・・ URL直したテンプレをしたらばに置いておきますね。 次の方よろしくです
新スレおめ まとめ製作希望者おります?
今スレはちょっと忙しくて無理かもなのです>まとめ 有志募集!
保守600!
_ ∩ (; ゚∀゚)彡 職人!募集! ⊂彡
⊂)))∩ ⊂(; ゚ A゚)彡⊃ ・・・!! ・・・!! ((( ⊂彡
ごめんな 俺は力になれない
まとめは相当に読み込んでないと書けない。よって俺は無理。 書いてみたい気持ちはあるが、いい出来にする自信が無いし。
そっそんな事ないよ゚(ノД`)゚ 自分が最初に作った頃ヘボヘボだったし 3つぐらいやれば慣れるし全然気負う事ないのよう
うーん、マジでお願いしたいんだけどなあ(;ω;) どーしても無理だと言うのならやりますけど、ちょっと寂しい(涙
いつもいつもすまんね。 こんな時間に即レスしといてなんだが、俺も結構忙しいんよ。 どうしてもアレなら、しばらく放置してみるのもいいと思うが… そういや本スレもピタリと止まってんな。
いえいえ忙しいのはお互い様ね。 放置すると後々自分が後悔しますでのう・・・ あと2日だけ職人待ちます〜
大学院の試験前で、俺もSS書いてる状況ではない あと、誰かが書くと、他の人も触発されて書く気になる場合もあるし、その逆にあまりに誰も書かないと自然とやる気が失せるケースもある まあ、気長に待つしかないな 前スレまでの、まとめ職人さん、すまんな それにしても一本気蛮なんて作家は始めて聞いたな
蛮ちゃんは調べると色々と漫画家同士の繋がりが出てきてビビりますよ (一本「木」なので注意)また時間見て新キャラテンプレ書いておきますね
一本木蛮て、むかーしFRでマンガ連載してたよね?なつかしや。
昔のガンガンでやってた「勇者コジロー2」が印象深いよ……いろんな意味で。
しかし秋本が壊れた原因の一人だったりするし
一説には吼えペンの萌嬢の一部モデルだとか
永井とマブダチか… ゴッドハンドとガンサンのパイプがまたひとつ。
>615 どうもお疲れ様です。 というか、「ぼうけんのしょ」のHPの存在に今更気付いた……。
おっとっと。名前欄は見なかったことに(笑)
そりゃ今日まで秘密でしたもの(ノ∀`) ♪お手紙頂戴ね 女子高生だけね〜
畑 「こんばんわ!24部から登場の漫画家・久米田師匠の弟子で新人の畑と申します。
どうかよろしくお願いします。こんな時間帯ですが、23部のまとめをお手伝いしています!
うう、真冬なのに暖房切れてて寒いです(涙)それでは、はりきってどうぞ〜」
≪23部まとめ≫
>>4 前スレまでのあらすじ
>>176-177 地下闘技場周辺地図メモ
※注意! トナメ編は昼1時以降 ヤマト編は同じ日の午前9時前の時間帯です。
【神様HELP!〜決勝トーナメント抽選会・組み合わせ決定】
■別府騒動も収まり大会再開。決勝戦第一試合はサッカーだが、えなりTの人数が全然足りない!
克君・ハッシーのドキドキ☆トーナメント生中継 ――― >11
Watching games on TV ――――――――――――― >22
防人の詩 ―――――――――――――――――― >47 >48 >49 >50 >51
BACK STAGE ――――――――――――――――― >77
BACK STAGE 2 ―――――――――――――――― >81 >82 >83
BACK STAGE 3 ―――――――――――――――― >86 >87 (訂正>88)
その頃の観客席 ―――――――――――――――― >90 >91
BACK STAGE 4 ―――――――――――――――― >94
ざわついて来た観客席 ――――――――――――― >96 >97
BACK STAGE 5 ―――――――――――――――― >107 >111
確かえなりチームにサッカー経験者はいなかったよね ― >129 (回答>131)
始まる前からレッドカード ――――――――――――― >135 >136 (訂正>138)
必殺シュートを会得せよ! ―――――――――――― >167 >168 >169
記憶(メモリー)を取り戻せ! ――――――――――― >244 >245 >246 >247 >248 >249
【ガンマンたちの宴〜戦艦ヤマトシリーズ・エリア88決戦】
■鹿児島湾周辺海域に、続々と駆けつける複数の陣営・戦士たち。戦乱の帰趨はどこへ定められるのか?
オメガ降下開始 ―――――――――――――――― >20 >21
もうひとつの戦争 ―――――――――――――――― >40 >41 >42 >43 >44
最強の戦闘国家 ―――――――――――――――― >140 >141
Public Enemy ――――――――――――――――― >147 >148 >149 >150 >151 >152 >153
ダイナマイトが百五十屯 ――――――――――――― >165 >178 >179
変貌 ――――――――――――――――――――― >180 >181 >182
死のリング ――――――――――――――――――― >203 >204 >205
リングの掟 ――――――――――――――――――― >228
デス・ゲーム開始 ―――――――――――――――― >298 >299
13人目の獣神将 ―――――――――――――――― >237 >238
BIG DEVIL ―――――――――――――――――― >300 >301 >302
化物(けもの) ―――――――――――――――――― >303 >304 >305
※エリア88・キャラ配置図
>>312-313 (訂正>317)
−肉体と心− ―――――――――――――――――― >324 >325
再会、無情 ――――――――――――――――――― >334 >335 >336 >337 >338 >339
ナンバーワンは誰だ! ―――――――――――――― >346
戦闘領域 ―――――――――――――――――――― >403
悪魔の戦術 ――――――――――――――――――― >423 >424 >425 >426 >427 >428 >429 超獣の牙 ―――――――――――――――――――― >472 >473 >474 >475 死蝶vs死竜 ――――――――――――――――――― >506 >507 王蛇登場 ―――――――――――――――――――― >508 >509 >510 戦場の中心でアイを叫ぶ ――――――――――――― >582 >583 >584 >585 暇と湾外と私 ―――――――――――――――――― >594 >595 【バトル漫画界・夢のダブルマッチ〜Aブロック空港超決戦】 ■暗黒化激しい宮下に勝負を挑んだ“闘神”夢枕!そして≪鬼酒≫を欲する稲田は鳥山と因縁の対決! 策の宮下、武の夢枕 ――――――――――――――― >26 >27 立ちはだかる魔獣 ―――――――――――――――― >57 >58 >59 烈の指拳vs神の正拳 ―――――――――――――― >62 >63 >64 >65 悪夢の超魔パワー ―――――――――――――――― >68 >69 >70 >71 >72 超戦士見参…!! ―――――――――――――――― >122 >123 >124 >125 魁!!餓狼伝 −すべてを貫く兜指− ――――――― >172 >173 >174 >175 −拳舞− ――――――――――――― >197 >198 >199 >200 (訂正>201) −空手道− ―――――――――――― >348 >349 >350 −伝説− ――――――――――――― >441 >442 >443 >444 荒野の大格闘!! ―――――――――――――――― >461 >462 鳥山明最大の危機!! ―――――――――――――― >463 >464 魁!!餓狼伝 −挑発− ――――――――――――― >528 >529 >530 >531 −罠− ―――――――――――――― >535 >536 >537
【このカテゴリに主人公が納まってどうする〜その他・各地の細かい動向】 ■大局と関係ないところでも、当然ながら色々事件があり、また戦闘が行われていた。 けっしてひとりをいのってはいけない ―――――――― >213 >214 >215 狐者異 ―――――――――――――――――――― >230 >231 凶凶しき日常に乾杯 ――――――――――――――― >347 恐るべき勝者の証!! ―――――――――――――― >362 >363 四季のエッセイ ――――――――――――――――― >532 死期のエッセイ ――――――――――――――――― >533 >534 BACK STAGE おまけ ―――――――――――――― >564 【げに恐ろしきは格闘系漫画家頂上決戦〜板垣vs川原】 ■その局地バトルのひとつに、観客2名のみの前で史上最強の格闘漫画家を決する闘いが存在した! 板垣、奔る 〜オーガ再動?その弐〜 ――――――― >30 >31 >32 >33 >34 >35 >36 鬼は再び戦地へ 〜オーガ再動編完結〜 ―――――― >100 >101 >102 >103 >104 >105 最危険接近遭遇 ――――――――――――――――― >160 >161 >162 鬼と修羅 ―――――――――――――――――――― >188(追加>189) >191 >192 動と静 ――――――――――――――――――――― >220 >221 武と暴力 ―――――――――――――――――――― >223 >224 >225 >226 >255 >256 >257 >258 静かな死闘の裏で ―――――――――――――――― >279 力と技 ――――――――――――――――――――― >318 >319 >320 >321 愛は心の仕事です ―――――――――――――――― >483 >484 >485 >486 悪鬼咆哮 ―――――――――――――――――――― >540 >541 >542 >543 >544 影見(かがみ) ――――――――――――――――― >549 巨凶・板垣恵介 ――――――――――――――――― >550 >551 >552 >553 >554 >555 >556
【ビバ超起動暴発シュート!俺たちのハングリーJファンタオレンジ翼〜サッカー編開始】 ■決勝を前に続々と選手が集まる両陣営。そして180レス(延長あり)の試合のホイッスルが鳴った! 助っ人、続々集結? ――――――――――――――― >260 >261 >262 >263 新たなる布陣 ―――――――――――――――――― >268 新たなる問題 ―――――――――――――――――― >271 真・新たなる布陣 ―――――――――――――――― >269 テンション上がるぜ、ガンサンイレブン ―――――――― >275 >276 >277 前哨戦 ―――――――――――――――――――― >281 或いは出番これだけ ――――――――――――――― >282 帝王、行者を信ずるの事 ――――――――――――― >283 >284 >285 >286 >287 キックオフ直前! ―――――――――――――――― >345 初陣 ――――――――――――――――――――― >353 >354 >355 >356 エロテロリスト木村太彦 ―――――――――――――― >520 エロテロリスト木村夕日子 ――――――――――――― >521 28歳児 ―――――――――――――――――――― >522 一刀両断 ――――――――――――――――――― >523 決勝トーナメント第一試合、開始! ――――――――― >366 (修正>374) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [決勝トーナメント] ∩ _ ― 、::::::::::::::::::::::::::::::: _ ∩ ミ(゚∀゚ ) (.) (.) ヽ::::第一試合::: ( ゚∀゚)彡 ∩ ミ⊃ ⊃ ヽ―‐ノ l:::::::::::::::::::::::::::: ⊂彡 ミ( ゚∀゚) (⌒ __)っ \/ /::::開始!!:::: ⊂彡 し'´ <::::::::::::::::::::::::::::::::: −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 迫り来る脅威(1/180) ――――――――――――――― >367 Trap&Trap(2-4/180)―――――――――――――――― >375 >376 >377
サッカーの怖さ(5-8/180) ――――――――――――― >379 >380 >381 >382 −U・M・A− うま(9/180) ――――――――――――― >384 連 弾(10-13/180) ―――――――――――――――― >388 >389 >390 >391 先取点(14/180) ――――――――――――――――― >395 疾風!御法度乙女 !!(15/180) ―――――――――― >399 UMA子乱舞(16/180) ――――――――――――――― >400 或る男の悲劇(17-19/180) ――――――――――――― >404 >405 >406 一日千秋(20-21/180) ――――――――――――――― >408 >409 ゴール際の攻防(22-25/180) ―――――――――――― >411 >412 >413 >414 2点目(26/180) ―――――――――――――――――― >415 必殺シュート完成? ―――――――――――――――― >416 >417 ボールはトモダチ ――――――――――――――――― >421 今井 ―――――――――――――――――――――― >438 >439 今にも落ちてきそうな…… ――――――――――――― >466 >467 >468 あんど7人冬物語(27/180) ―――――――――――― >469 イヴの奇蹟とカレーの王子(28/180) ――――――――― >478 激闘の行方(29-34/180) ――――――――――――― >487 >488 >489 >490 >491 >492 邪悪の呪印(35-38/180) ――――――――――――― >496 >497 >498 >499 みず(39/180) ―――――――――――――――――― >513 天才の知略(40-42/180) ――――――――――――― >515 >516 >517 特訓は続くよ、どこまでも ――――――――――――― >561 >562 転換点(43-45/180) ――――――――――――――― >565 >566 >567 底無し(46-49/480) ―――――――――――――――― >573 >574 >575 >576 底無しのふたり(50/180) ――――――――――――― >577 策士VS天才(51/180) ―――――――――――――― >593 たゆたう時間 ―――――――――――――――――― >579
■おまけ・やまと人物別チャート(なんとなく作成) (オメガ7) オメガ降下開始 ―――――――――――――――― >20 >21 (かわぐち) 最強の戦闘国家 ―――――――――――――――― >140 >141 (欣太) もうひとつの戦争 ―――――――――――――――― >40 >41 >42 >43 >44 (福地系) 死のリング ――――――――――――――――――― >203 >204 >205 リングの掟 ――――――――――――――――――― >228 デス・ゲーム開始 ―――――――――――――――― >298 >299 化物(けもの) ――――――――-―――――――――― >303 >304 >305 −肉体と心− ―――――――――――――――――― >324 >325 超獣の牙 ――――――――――――――――――― >472 >473 >474 >475 (和月系) 死蝶vs死竜 ――――――――――――――――――― >506 >507 王蛇登場 ―――――――――――――――――――― >508 >509 >510 (裏の動き) 13人目の獣神将 ―――――――――――――――― >237 >238 BIG DEVIL ―――――――――――――――――― >300 >301 >302 (荒川系) Public Enemy ――――――――――――――――― >147 >148 >149 >150 >151 >152 >153 ダイナマイトが百五十屯 ――――――――――――― >165 >178 >179 再会、無情 ――――――――――――――――――― >334 >335 >336 >337 >338 >339 ナンバーワンは誰だ! ―――――――――――――― >346 悪魔の戦術 ――――――――――――――――――― >423 >424 >425 >426 >427 >428 >429 (渡辺) 戦闘領域 ―――――――――――――――――――― >403 (平野) 変貌 ――――――――――――――――――――― >180 >181 >182 戦場の中心でアイを叫ぶ ――――――――――――― >582 >583 >584 >585 暇と湾外と私 ―――――――――――――――――― >594 >595
■NEXT STAGE■
【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第24部
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1105945845/ _ , -‐ー- 、
, -'"´,- 、 , -‐、 ` ‐ 、
l i! / `'´ ', ` ‐、.
,┴'´ ', \
/ l ', ヽ.
,' l ,' l i l ', i. ', ,、-ィ
lニ i l イl l. l i', l i , -'i /
J l l/ l l l',l ', l', i l l l/
l l l l'´「ヽl', l ,ィ-、', l l / ヽ l
l l l |i、じ ',! l:::::ヽ リ´`i ',\
lヽ lヽ l 、 └-' ._ノ ', ',ヽ、
', \l `\ フ _,、-くヽニ二7ヽヽ
」`ヽ `‐/ー、:::::ヽ、',. \
r'´ ' l l:::::::::::ヽ::::::', ';::::::ト
(⌒⌒) ´, ,、-‐ー〈 l::::::::::::::':;::::', ヽ::\l
\/ 〈::::o:::::::::', l::::::::::::::::::l:::::::i ';::::\
';:::::o:::::::::',l::::::::::::::::::l::::::::::l ヽ:::::\
';:::::o::::::::l::::::::::::::::::l` ‐ 、l 「  ̄ \ヽ
畑 「これから世界はどうなるのかな?気になる君は今すぐリレーに参加しよう!
では師匠の朝ごはんとお弁当を作りに行きますね。皆さまおやすみなさい♪」
▲まとめポップアップ▲
>>620 >>621 >>623 >>624 >>625 >>626 ←TO BE CONTINUED
いつも思うが、まとめって大作だよなぁ。 お疲れ様っす!
629 :
訂正 :05/01/27 18:20:04 ID:R4wwU4+n0
>625 ×底無し(46-49/480)→○(〜/180)
まとめポップアップ
>>622
畑キュンベィリー乙!(チガウ
631 :
まとめ人 :05/01/27 18:41:45 ID:KB9piQXS0
訂正アリガトォォォ あとは試験シーズンの終了待ちかぁ
6部と9部Bのdatファイルうp希望しております。 これが欠けているので倉庫でファイル配布ができないのです・・・。 お持ちの方はうp先のURLを第二倉庫の、 ≪一言投稿フォーム≫に送ってくだるとありがたき所存(敬礼