【バキ】漫画ネタ2次創作SS総合スレP-15【ドラえもん】

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588オートマティック・レイバー
「昨日の夕方、俺はここで7号と話した。そして、隊長から7号の二課配属の話を聞いた。
あいつがあの時、どんなに嬉しそうな顔をしていたか。泉、お前にも見せたかった」

「ほ、ほんとう……ですか。それじゃわたし、これからもずっと……ずっと……」
「明日からわたし、三号機だって話ですけど。でも、ずっと7号って呼んで欲しいです」
「忘れられないんです。わたしなんかのために、『7号ぉっ!』って何度も何度も叫んで
下さった、太田さんのあの声が。だからわたし、ずっと『7号』でいたいんです」

太田が、地面に爪を喰い込ませた。
「き、昨日の、夕方だぞ? たった半日前だぞ? 半日前、あいつは、これからも二課に
いられる、って喜んで……さ、三号機だけど7号と呼んで欲しい、って……俺はそれを
約束して……ずっと、ずっと7号と呼ぶ、って……」
太田が、引っかいた土を握り締め、その拳を振り上げた。
「約束したんだ、俺は! あいつをずっと7号と呼ぶ、って! 壁にぶつかるから
稽古もつけてやる、って! ……や、や、やくそく、したんだ……ぅおおおおぉぉっ!」
ドン、と地面を殴りつける太田。そのまま号泣、嗚咽、後はもう言葉にならない。
励ますつもりで来た野明だったが、今の太田を正視できず、かける言葉も見つけられない。
そしてその様子を、二階の窓から後藤が見ていた。
「……なあ。篠原、進士」
太田らしくなく、よりにもよって野明の目の前で泣き喚いている太田を見ながら、言った。
「お前たちの知識を見込んで頼みがある。今から俺の言うこと、可能かどうか教えてくれ」

数日後。二号機のメーカー修理が終わって、帰ってきた。熊耳巡査部長も退院、復帰した。
特車二課第二小隊は、元に戻った。全てが、元通りになった。
……元通り。エナメルホワイトの制服を来た、長い黒髪の少女は、ここにはもう、いない。