【バキ】漫画SSスレへいらっしゃいpart12【スレ】

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560作者の都合により名無しです
鬼の連撃が、ゼットンにヒットする。といっても当たるのはカカトの辺り。どんなにジャンプしても、
ふくらはぎの半ばが限度だ。
絶対的に大きさが違うのである。物理的にこれは、どうしようもない。ゼットンにとっては勇次郎が
何をしようと、蚊にさされたようなもの。いや、痒みを生じさせることができるだけ、蚊の方が
マシかもしれない。今の勇次郎の攻撃では、ゼットンを昼寝から起こすこともできないだろう。
「ち、ち、ち、ち、畜生おおおおぉぉっ!」
殴っても殴っても、ゼットンは意にも介さない。勇次郎に背を向けて、歩いていくだけである。
攻撃を止めて振り向いてみれば、隕石(ウルトラマン)が倒れている。その、焼け焦げた胸の光が、
どんどん、どんどん弱くなっていく。……直感的に勇次郎は察した。あの光が消えた時、隕石は死ぬと。
『俺は、俺は絶対に死なねぇんだ! そんな俺を、弱いお前が、勝手に庇っ……くっそおおぉぉ!』
勇次郎は攻撃を再開するが、何も変わらない。ウルトラマンから離れた今となっては、派手な
必殺技なんかもないし、できるのはせいぜい殴ることと蹴ることと、それから……
「……っ! そうだああぁぁっ!」
勇次郎は一旦下がって、それから猛然とダッシュ! した。ゼットンに追いつくと、そのカカトから
ふくらはぎ、太ももの裏側、そして腰から背中へと、垂直にズドドドドッと駆け上がっていく。
一体何をする気だ、と刃牙たちが見ている前で、勇次郎はあっという間に数十メートルを駆けきって
ゼットンの肩に到達、そこから更にジャンプした。
「噛みつく時はぁぁ! 狙いをぉぉ! 頚動脈のみに絞るのがぁぁ! 得策ううううぅぅっっ!」
落下して、がぶっ! ゼットンの首筋に噛み付いた。もちろんそんなものでは、相変わらず
ゼットンにとっては痛くも痒くもない。
が、勇次郎はそこから、がぶがぶがぶがぶがぶ、喰いちぎって喰いちぎって、喰い掘って喰い掘って、
あっと言う間にゼットンの体内に潜り込んでしまった。
「ま、まさか親父っ!?」
刃牙が叫んだ、そのまさかだった。ほどなくしてゼットンが、唐突に歩みを止めたのである。
そして胸に手を当て、腹に手を当て、掻き毟り、のけぞり、膝をつき、倒れ、のた打ち回った。