【バキ】漫画SSスレへいらっしゃいpart12【スレ】

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381魔界編
 「楽しいねえ。私はこんないい年になって、子供のようにはしゃいでるよ」
 「ケッ。もうすぐそんな寝言も言えなくなるぜ、象山ッ!!」
血がポトポト滴り落ちている。常人ならば即死の攻撃を何十発もお互い喰らっているのだ。
しかしこの2人の域、尋常ではない。獣を超え魔人の域である。
究極の矛と盾。矛盾極まるこの闘いも、終わりは近い。いかに鋼鉄の肉体の2匹とはいえ、
耐久力には限度がある。動けばスタミナも落ちる。外部から内部から、ダメージは貯まる。
お互いそれを熟知している。百戦錬磨どころか、万の戦場を駆け抜けた2人である。
最高≠フ状態はもう長く続かない。擦り切れた状態でドロ試合を好む2人では無い。
相手が最高・最大・最強の状態を、敢えて喰らう。
そうでは無いと勝利≠ナは無い、とすら思っている、我の強き怪物2匹。

先程までの潰し合い≠ニは状況が一変していた。お互い動けなくなっている。
十分な間合いが開いていた。お互い、ミリ単位でジリジリと歩み寄る。慎重に、細心に。
普段の2人はこんな闘いは決してしない。豪快に殴り、傲慢に叩き伏せる。
それが範馬 勇次郎。それこそが松尾 象山。
だが今回の闘いはそれが出来ない。目の前の相手のレベルが、それを赦さない。
究極のレベルが故に、少しのミスは赦されない。将棋の名人戦の終盤のようなものだ。
ミスは即ち敗北。そして死に繋がる。だからそう簡単に動けない・・・と思われた。
しかし、やはりその精妙な均衡を打ち破ろうとしたのはこの男。範馬 勇次郎である。