「半目?」
「ええ残念ながら進藤君は…」
「高永夏の壁は厚いな」
「楊海さん」
「……はは」ジャッ
「ダメじゃんオレって」
『敗れたとはいえまさしく大将戦と呼ぶにふさわしい一局を
打ってくれました進藤君!高永夏君をここまで揺さぶり苦しめたのです』
『大健闘です!』パチパチパチパチパチパチパチパチ
「惜しかったですね!ね!北島さん」
「ああ!」
「進藤君……」
「また力をつけやがったなアイツ」
「”健闘”なんかいらんから勝ってくれってんだ」
「全くなぁ」
「結局塔矢以外は全敗だ」
「健闘で拍手かよ 日本は最下位だってのに」
「将来への期待もどうだかなあ こっちが成長しても向こうだって成長するだろ」
「てめェ!今何てった!?」
「え?」
「え?あっち?」
「負けて一番悔しいのは本人なんだ!」
「あ あの人――」
「院生のとき碁会所で進藤と打った人だ」
「わっ私はただザンネンだと…」
「ガタガタ文句言うんじゃねェ!」
「河合さんっ」
「ちょ…ちょっと!」
「先生!私達が止めますから」
「それよりお願いですから大盤解説を終わってください
表彰式の準備ができませんので…」
「あ…」
「負けだ負けだ!」ジャラ
「オレってえらそうなこと言って大将になったくせに笑っちゃうよ」ジャラ
「結果が出せないのは力不足のせいだ」
「……」
「ごめんなさい倉田さん」
「フン 笑ってごまかしてもムダだぜ」ジャラ
「力の差を思い知ったろ?」
きたーーーー?
「永夏!」
「子供のようにつっかかるのはやめたらどうだ」
「これだけの碁を打たれて力を認めないわけじゃないだろう」
「まァ1回くらいはヒヤリとさせられましたけど」ガシャ
「なんだよその言い方!1回!?」
「じゃあ2回」
「永夏!」
「進藤」
ビクッ
「対局前に何か言いかけていたよな」
「聞かせろよ」
「……?」
「進藤 対局前におマエ 碁を打つワケを言おうとしてたろ?」
「聞きたいな なぜ碁を打つんだ?」
なぜ碁を打つのか
答えははっきり オレの中にある
「………遠い過去と 遠い未来をつなげるために」
答えは はっきり オレの中にある
負けても それは かわらない
「そのためにオレはいるんだ」
ただ 負けたことが 悔しい!
キタっぽい〜〜〜???
「オレ帰るよ」
「今から表彰式だぞ」
「アパートにもどって日韓戦の検討する」
「オレも行こう みんなは?」
「表彰式には興味ない」
「団長並びに選手の方は大盤解説場へ来ていただけますか」
「すぐ表彰式を始めたいと思いますので」
「何?」
「今から表彰式だそうです」
「みんな会場のほうへ来てください―――」
はっ
「遠い過去と遠い未来をつなげるためにオマエがいる?」
「オレ達は皆そうだろう」
「永夏」
「通訳なんかするな秀英!行くぞ!」
「おい!アレ」
「あ」
「塔矢行洋だ」
「ホントだ」
「進藤君」
「来年があります」
「来年の北斗杯」
「また代表選抜戦を勝ち上がって来て下さい」
「あれ?今年だけの棋戦だと聞いてるけど?」
「社長に来年の開催を先程進言して来ました」
うぁ…まじなのか…
「大盤解説会は上々の人出 ネット中継は好評
何より韓国・中国のメディアは予想以上に注目してくれました
来年もやらない手はありません
表彰式で社長から正式に発表されます」
「楊海さん 何の話です?」
「来年19歳になるおまえには関係ないよ さァ行くぞ」
「行きましょうか」
「おい 行くぞ」
「ねェ さっき 高永夏のヤツ 何を言ったんです?」
「『遠い過去と遠い未来をつなげるのはおまえだけじゃない
オレ達みんなそうだ』そう言ってたぜ」
「楊海さん」
「まァ 進藤君と違い秀策1人にこだわった言葉じゃないだろうが――」
「すべての先人を指して言ってるんですね
高永夏君からトップ棋士の自負を感じるなァ」
「ふんっ」
「青臭いガキのセリフさ
遠い過去と遠い未来をつなげる?
そんなの 今生きているヤツ 誰だってそうだろ
棋士も囲碁も関係ナシ
国も何もかも関係ナシ」
267 :
211:03/04/24 19:13 ID:ogMXJZTA
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!?
「なぜ碁を打つのかも なぜ生きてるのかも 一緒じゃないか」
「行こう 進藤」
「これで終わりじゃない」
「終わりなどない」
「遠い過去と」
「遠い未来をつなげるために」
「そのためにいるんだ オレは」
「オレ達は」
「誰もが」
誰もが
(………)
(………聞こえるのですか?)
(私の声が―――)
(聞こえるのですか?)
北斗杯編 終