【予選】2ちゃんねる全板人気トーナメント7【突破】
『少年漫画板を取り巻くこれまでの流れ』
熱血主人公の少年漫画は、シャア兄貴の(脳内)恋人・園芸タンに
ほのかな憧れを抱いていた。
そんなある日、隣に住む幼馴染みの少女漫画に、
タラシと評判の半角かなが急接近!
それを機に、ただの幼馴染みだと思っていた少女漫画への
恋心に気付く少年漫画。
大人で優しい半角かなにときめき、全力で応援に当たる少女漫画を見て、
少年漫画は半角かなにライバル心を燃やす。
しかしこの半角かなが、話してみると紳士的で
意外といいヤツだと知った少年漫画は、少女漫画のためもあり、
半角かなを全面的に支援。本戦にて、正々堂々と倒すことを心に誓う。
一方、噂で少年漫画の思いを耳にするも、突然のことに戸惑う少女漫画。
そこへ3人共通の知人・ファッション姉さんが、
様々なアドバイス(煽り)を送る。
シャア兄貴をはじめとして、三戦、ラノベ、プロレス、801などから
生暖かく見守られる中、今夜、少年漫画の愛をかけた戦いが始まる…。
ライトノベル板の有志の方より頂いたSS
登場人物 少年:少年漫画 少女:少女漫画 H先輩:半角かな
SE:ミンミンゼミ 風鈴。
夏休みのある日、こんがりと日焼けした水泳部の幼馴染みがやってくる。
隣の家から生垣を乗り越えて来た少女。
少女「う〜す、生きてるか〜?」
畳の上で、少しでも冷たいところを求め移動していた少年。
縁側からこちらを見つめる少女と目が合う。
少年「おまえか〜、何しにきた〜?」
少女「見よ、ばーちゃんから送られたこのスイカを!」
少年「おお〜っ! ないす! ぱちぱち」
少女「つーわけで切ってくれ」
少年「……お前、いくらなんでもスイカぐらいは切れるだろ?」
少女「あたしが切ると、どんなものでも前衛芸術になるんだよな」
仕方なく少年がスイカを切って、ちゃぶ台で食べる二人。
少年「あ〜、しっかし暑いな〜」
少女「プールでも行く? いいかげん泳げるようになりなよ〜」
少年「おめーは毎日泳いでて、よく飽きねーなー」
少女「う〜ん、泳ぐのはともかく、ちょっと焼きたいんだよね。
ほら競泳用水着だと、お腹のあたり真っ白」
無防備にぺろんとTシャツをめくる少女。
向日葵が咲く庭の向こうに入道雲。
SE:風鈴
暗転
SE:ヒグラシ
夕暮れも迫る縁側。庭の洗濯物を見つめながら…
少女「……あのさ……」
少年「あ〜?」
少女「3年の、H先輩って知ってる?」
少年「知らねー。水泳部の先輩か?」
少年独白(嘘。実は知ってる。全国大会にまでいった、学校の有名人)
少女「あのさ〜、嘘みたいな話なんだけどさ〜」
少年「……」
少女「付き合ってほしい……って言われた……って言ったら、信じる?」
少年「……」
寝転がっている少年。俯いて話す少女の顔が見えない。
少年「……まあ、そういうこともあるかもな」
少女「元気で可愛いって言ってくれてさ……正直、嬉しかった」
少年「そっか……」
声がかすれる。頭の中がぐらぐらする。
沈黙が長い。ぺたぺたと、少女は足の裏で地面を叩く。
少女「……嬉しかったけどさ、先輩だから嬉しかったってわけじゃないんだよね」
少年「……どういうこった?」
半身になって起き上がりかける少年。
SE:風鈴
少女「あたしさ〜、好きだって言われたの、初めてだったんだよね」
少年独白(嘘だ。子供の頃、毎日でも言った。少女は覚えていないのだろうか)
少女「ドキドキしたよ? この人があたしのこと好きなんだって思ったら、
すごく嬉しかった」
少年「……」
もう少女の独白を聞くしかない少年。
少女「で、先輩がどういう人かって、あたし全然知らないのに気づいた」
「先輩の目に映ってるあたしだって、あたしの一部なんだって気づいた」
「結局よく知らないんだなって思って、なんか悲しくなった」
少年は起き上がった。少女の横顔を見つめる。
少年「……断ったのか?」
少女「うん。ちょっとこのあたりが違うかなって」
胸を抑えて話す少女。
少女「やっぱりさ、好きな人とじゃなきゃ、付き合えないよね?」
少年「……好きじゃなかったのか?」
少女「たとえばさ……やっぱりその、比べるとたろーの方が好きだったりするし」
少年「……」
微妙な言い回しに言葉を失う少年。
少女は顔を覆うようにして腕を組み、畳に寝そべる。
少年「……まあ俺だって、お前のことは普通に好きだけどな」
少女「……そうだよね。あたしも普通に好きだしね」
少年「……………昔から、けっこう言ってたしな」
少女「……まあ子供の頃の話だしね」
少年「……子供ってのは良かったよな、素直で」
少女「……今じゃそんなこと言えないよね」
少年「……そうだな」
SE:遠い祭囃子