東京アンダーグラウンド 地下1階

このエントリーをはてなブックマークに追加
804C級職人
東京アンダーグランド外伝
『大切な人のために』

ここは広いアンダーグラウンドの一区画にある、小さな村の宿。

その二階の電気の消えた薄暗い小さな部屋のベッド上で、
生まれたままの姿の私は男の下になっていた。
男はこの村に駐在している低級の師兵だった。

「巫女様の護衛役とヤレるなんて、俺の人生も捨てたもんじゃねーな。」

カンパニーはアンダーグラウンド全域に、ルリ様と私を指名手配していた。
次々と追っ手がやって来たりもしたが、地方の師兵の中には職務怠慢な者もいる。

「デカいおっぱいしやがって、パイズリもできんじゃねーか?あぁん?」

脂ぎった顔の男は、下卑た笑みを浮かべて私の胸を掴み、
その先端の突起を、ここ最近は濯いだ事もなさそうな汚い口で含んだ。
冷めた感情とは裏腹に、私の身体は男の行為一つ一つを敏感に感じとっていた。
男は空いた方の手を、私の下腹部へと徐々に移動させていく。

『チュクッ』

「ちゃんと濡れてるんじゃねーか。だったらもっと良い顔しろよ。約束だろ?」

そう。
これは約束だった。
名も知れぬ師兵とのではない。
私にとって最も大切な人、ルリ様との…。
805C級職人:02/05/03 17:13 ID:/fsycYzI
「んっ…、あぁっ!」

突然の身体を貫く衝撃に、私は思わず声を上げてしまった。

「ひゃはっ、処女じゃねーのか…。だが余り使い込んではなさそうだな、えぇっ?」
「ちっょと…、もうちょっと、優しくしてよね…。」
「だったらオマエが好きなように動け。俺をイカせたら約束は守ってやるんだからよ。」

男はそう言って、繋がったままの私と身体を入れ替えた。
その拍子で男のモノが私の奥に当たり、つい声を出しそうになったのを私は堪えた。

「敏感なんだな。それとも男は久しぶり過ぎなだけか?」

仰向けになった男の言葉を無視して、私は少しずつ腰を上下に動かした。
己の征服欲を充たすために、男は私の表情と行為を、
さっきと同じ下卑た笑みを浮かべたまま、じっと見ていた。
私はさっさと、この男をイカせる事に集中して腰を振り続けた。
806C級職人:02/05/03 17:14 ID:/fsycYzI
「…俺が憎いのか?悔しいのか?だったら何故、俺をさっさと殺さなかった?あぁん?」
「うるさい…わね…、アンタ…なんかに…関係…ない…でしょ…。」
「関係なくは無い!俺達は今、愛し合ってるんだぜ?そうだろ?」
「誰が…アンタ…なんかと…。」
「愛情もないのに巫女様の護衛役ってのはセックスするのか?こいつは傑作だ!ひゃはっ!」
「ちょっと、静かにしなさいよ!」

私は腰を動かすのを止めたて、声を荒げて叫んだ。
それと同時に、男の顔から下卑た笑みは消えていた。

「…隣りの部屋に、巫女様がいるんだろ?」

私は男と視線を外した。
コイツの言う通り、隣りの部屋ではルリ様が私の帰りを待っている。

「俺の能力は火だ。能力としては俺のは弱いが他の奴と違って使用範囲が広いんでね…。」
「だったら…、どうしたのよ?」
「巫女様のいる部屋に火を飛ばす事だってできるんだぜ。」
807C級職人:02/05/03 17:14 ID:/fsycYzI
男の表情に下卑た笑みが戻っていた。
こんな事ならルリ様をもっと安全なところに預ければ良かったと後悔したが、
追われる身である私たちに、安全なところなど有り得ない。
こうやって土地土地の師兵を懐柔していく他には…。

「どうすりゃ良いか…、解るだろ?」

私は無言のまま再び男の上で腰を動かし始めた。
すでに時刻は深夜になっていた。
窓から入る街頭の明かりがうっすらと私の身体を包んでいる。
ふと男の目を見ると、光りに照らさた、髪が、胸が、
身体全体が、神秘的に輝く自分の腰を振る姿が映っていた。
まるで光の天使が舞っているような…。
808C級職人:02/05/03 17:15 ID:/fsycYzI
 『チェルシー、もう私のために人を殺すのは止めて!』
 『きっと師兵だって話せば解ってくれる人もいるよ。』
 『だって私、チェルシーに出会えたんだもの。』
 『アンダーグラウンドのみんなが仲良くなれる時が来ると思う。』

 ルリ様。
 残念ながらルリ様の仰る事は現実ではありえません。
 ですが、ルリ様の理想を“本当の現実”にするためにも、
 私が“今の現実”を引き受けます…。
 ルリ様…。
809C級職人:02/05/03 17:16 ID:/fsycYzI
「あっ、あぁ、んっ、はぁっ、あんっ…。」

自分でも気付かない間に、私は喘ぎ声を上げていた。
ルリ様に聞かれた!?
これ以上は声を出すまいと、私は腰を振りつつも両手で口を抑えた。
しかし、すでに来たいた快楽の波までも抑える事は出来なかった。
本意でない快楽に、私は目に悔し涙を浮かべながらも懸命に腰を振り続けた。

「おいおい、さっきより動きが弱くなってねーか?」

私が両手で口を抑えた事が男には不満だったらしい。
男は起き上がり、体位を騎乗位から座位の形に変え、自らも下から腰を振り出した。
どの道、今の私にも腰の振りを抑える事など出来ないのだ。
私は唇を難く閉じて、男の背に手を回し、男の腰の動きに合わせて動く事にした。

「だんだん共同作業って感じになって来たな。アンタ、良い顔になって来たぜぇ。」

私は思わず出そうになる快楽による声を殺すのに必至だった。
810C級職人:02/05/03 17:17 ID:/fsycYzI
「何を我慢してんだよ。声を出したきゃ出させてやるよ。」
「んんっ!」

何かが私の唇を塞いだ。
それがキスだと気付くのに私はしばらくかかった。
男は臭く汚い舌を私の舌にからませて来た。
始めは汚臭に眩暈がしたが、そんなものは今の快楽と興奮の前には無縁だった。
私は自分が腰を振りながらも夢中で舌をからませに行った。
男は混ざり合った二人の唾液を私に送り込み、私はコクコクとそれを喉の奥に流した。
そう言えば、あの人が私を抱いてくれた時、あの人はキスはしてくれなかったんだっけ?
これが、私のファーストキスなんだ…。
811C級職人:02/05/03 17:18 ID:/fsycYzI
「おい…。」

男が私の顔をじっと見ながら言った。
どうやらまたトリップしてしまったらしい。
まだ繋がったままだが、二人とも腰の動きは止まっていた。

「ご、ごめん。」

自分でも解らないままに私は男に謝っていた。

「このまんまじゃ深く入らねぇし、ちょっと変えるぞ。」
812C級職人:02/05/03 17:18 ID:/fsycYzI
男の言っている意味はすぐに理解した。
繋がった状態のまま相手の要望通りに私は身体を移動させた。
自分の中にも、せめて最後までは繋がっていたいという思いが有ったからだ。
そして再び私は男の下になった。

「ラストスパートだ。良いな?」
「えっ…、えぇっ、あぁっ!」
813C級職人:02/05/03 17:19 ID:/fsycYzI
私が頷く前に男は大きく腰を打ちつけて来た。
確実に私の奥にヒットしている。
私の中から抜ける寸前まで引き、そして再び奥まで一気に打ちつける。
男はどんどん、そのペースを上げで行く。
それと共に私の中の快楽の波は、その大きさを増していく。
これ以上の声は出せない。
男の背に手を回し、今度は私から男の唇を奪った。
男は腰に夢中なはずなのに、私の舌にちゃんとからめて来てくれた。
行きずりの行為でしかないのに、私は少し嬉しくなった。
2箇所からの水音はしばらくの間、奇妙なハーモニーを奏でていた。
もう、私にはこの刻が永遠に続くものと思っていた。その時、
814C級職人:02/05/03 17:19 ID:/fsycYzI
「くっ、もうイキそうだ!」

男はとっさに私と唇を離して言い放った。
それは私も同じだった。
あの人に抱かれた時には感じなかった絶頂が、今、目の前に来ている事を感じ取った。

「中に出して!」
815C級職人:02/05/03 17:20 ID:/fsycYzI
私は男に咄嗟に言っていた。
安全日だが、初めはそんなつもりはなかった。
それどころか、こんな男に抱かれるだけでも反吐がでそうだった。
でも今は中に出して欲しいと思っている。
一緒に絶頂を迎えたいと思っている…。
快楽が理性を麻痺させたのだろうか?
それともホントに何かしらの愛情のようなものを、
この男に対して抱いてしまったのだろうか?
今はもう、そんな事はどうでも良かった。
男の方はは始めから中に出すつもりだったのだろう。
無反応のまま私に腰を打ちつけていた。
816C級職人:02/05/03 17:20 ID:/fsycYzI
「一緒に…、一緒に!」

私の声は男に届いていなかったのかもしれない。
いや、もう既に二人には言葉は必要なかったのだろう。
男は「うっ!」と一声洩らすと、最後の一突きと共に私の最奥で精を放った。
それと同時に私も絶頂を向かえてた。

「ああぁぁぁぁーーっ!」
817C級職人:02/05/03 17:22 ID:/fsycYzI
思わず声を上げてしまったが、後悔はなかった。
初めての絶頂というものを思う存分に味わっておきたかった。
ドクドクと止めど無く男のモノは精を吐き続けていた。
それを私自身は全てを奥に飲み込もうとするのか、ビクビクと動き続ける。
そして男が、精の最後の一滴を出しきってもなお、私自身は男の精を搾り取ろうとしていた。
まるで母親の乳首を吸い続ける赤ん坊のようだ。
818C級職人:02/05/03 17:22 ID:/fsycYzI
「………ぷっ、ハハ、ハハハ!」
「…アハ、ハハハ…。」

ふと私と視線が合うと、男は笑い出し、私もつられて笑ってしまった。
バツが悪そうに私は男との繋がりを解いた。
『チュポン』と音がして、見てみると男のソレはすでに萎びていた。
私の方に目をやると、ソレを抜いた拍子で、少し精が漏れていた。
私は当初の約束を思い出し、話題を戻そうとした。

「約束は守ってもらうわよ。言いわね?」

いつもの強気な態度の私に戻っていたのに、自分でも意外に思ってしまった。
819C級職人:02/05/03 17:24 ID:/fsycYzI
「まぁ、コトの後だ。まずはこれを飲めよ。」

男は水差しからコップに水を注いで、私に渡した。
その時、男がコップの中に何かをいれたのを私は見逃さなかった。
私は水を一口飲むフリをした。

「で、約束なんだけど。」
「この村の通行許可と口止めと旅の費用のカンパだろ?」
「その事だが…、やっぱ無かった事にしてくれや。」

男がまたまた下卑た笑みを見せた。
手に持った何かの粉薬の袋を私に見せつけた
820C級職人:02/05/03 17:24 ID:/fsycYzI
「その水の中には強力な睡眠薬を仕込んどいた。やっぱ俺も出世したいからなぁ。」
私は黙ってだらだらとしゃべる男を睨んだ。
「女の身体一つと出世なら出世選ぶだろ、普通。こんな田舎とさっさとオサラバしたいしよ。」
なおも私は黙って聞いていた。
「でも俺は欲張りだから、両方手にいれちゃう。巫女様を確保すりゃ本部に帰れるんじゃねーのか?」
私の様子に変化がない事に、この男は気付かないのだろうか?
私はこんな男に身体を許したのか?
「ひゃはっ!確保すりゃ良いだけだから、何ならヤッちまっても良いのかな、おい、なぁ?あれ?」
やっと気付いたらしい。

「私は水など飲んでいない。それがオマエの本性なんだな。」
「ええっ!いやっ、だっ、だからさ、ジョジョークだって!」
「あろう事かルリ様にまで手出ししようと企むとは…。許さない!」
821C級職人:02/05/03 17:25 ID:/fsycYzI
『コンコン…』
ドアをノックしても中からは反応がない。

「ルリ様?」

ベッドの上でスースーと寝息を立てるルリ様の姿があった。
どうやら待ちくたびれて、とっくに寝てしまっていたのだろう。
あの声が聞かれていれば、ルリ様はきっと起きていたはずだ…。

「…ルリ様。」
「ん…、チェルシー?」

呟き程度の声だったはずなのに、ルリ様を起こしてしまった。
ルリ様は起きあがると、目をこすり、口に手を当てて小さくあくびをした。
822C級職人:02/05/03 17:26 ID:/fsycYzI
「チェルシー、どうだったの?話し合いは。」
「はい。この通り、旅の資金の方も工面してもらいました。」

私はアンダーグラウンドでのみ使える、カンパニー発行の硬貨の入った麻袋をルリ様に見せた。

「良かった!ここの師兵は良い人だったのね。チェルシーみたいな師兵だったの?」
「えっ!?い、いえ、男性でしたよ。」
「ふーん、そんな良い師兵ばかりになれば良いのにね。」
823C級職人:02/05/03 17:26 ID:/fsycYzI
私みたいな師兵…。
いや、実際はそうだったのかもしれない。
奴も私も快楽の虜になっていたではないか…。
奴は私と言う性欲の捌け口を。
私も理性を無くし、あの男に快楽を求めていた。
コトが終り、お互いの目的を取り戻しはしたのだが…。
『私みたい』
誰もが、あの時の私のように快楽の虜になり続ければ平和になるのだろうか?

「チェルシー?」

馬鹿な考えだ。
そんなわけはない。
824C級職人:02/05/03 17:27 ID:/fsycYzI
「さ、明日は早いですよ。お休みになって下さい。」

ルリ様の笑顔の源は、快楽などではないではないか。

「うん。おやすみ、チェルシー。」

本当の平和はルリ様の中にあるんだ。
汚れた私の中には何も無い。
私はルリ様の支えに、ルリ様の剣になるしかない。

「ルリ様、おやすみなさい。」

ルリ様の理想は、私が叶えてみせます。
たとえ、ルリ様が拒む手段だとしても…。
それがルリ様のためになるのなら…。
825C級職人:02/05/03 17:36 ID:/fsycYzI
注:上記の舞台は「煉照を倒し、公司を抜け出した直後」だと思いねぇ。