★★ ゼロから語る 機動戦士ガンダムZZ Part28
ニュータイプ 超・富野宣言抜粋
ジュドーは、今までのアムロでもなくカミーユでもない。
いい主人公になれる可能性を秘めたキャラクターです。
いい意味で何も考えない主人公でいられるキャラクターです。
それに比べてカミーユは、勝手に自分ひとりで考えこんじゃう。
そんなに勝手にひとりで考えるなら、考えるのやめなさい(笑)、
て言いたくなるキャラクターですよね。
ただ最終回の話が出たついでに言っておくと、カミーユはまだやれる。
元に戻る可能性は多分にある、という予感をはらんだ終わり方にします。
一方のジュドーは、まだまだニュータイプ同士で理解しあえる、
わかりあえるというところまで、精神的に成長していません。
でも、一度旅に出て帰ってきたら、人間的にも精神的にも成長して、
いい主人公になってくれる。そう思っています。
最終回、ジュドーを旅に出させるというのは、それが理由なんです。
そして、一年の空白の後、彼が帰ってきた時、また新しいガンダムが始まるんです。
そうやって、ΖΖの継続じゃなくて、全く新しい話で、
ジュドーにもう一度看板を背負わせてみたい。
そういう欲はつくり手として大いにあります。
そして、カミーユですが、心神喪失の期間を通して、彼もまた成長しているんです。
ΖΖの34話から36話にカミーユが登場しますが、
戦闘中のプルに対するニュータイプのメッセージなど、
廃人のはずのカミーユが、とてもたのもしく見えるんです。
なぜ「Ζ」のカミーユより、今の彼の方がよくなっているのか。
要するに、理屈でなく本能で事に当たっているからです。
以前のカミーユの場合、相手の気持ちのことばかり考えて行動していましたが、
それはしょせんカミーユのものさしで測った相手の気持ちにすぎないんです。
ジュドーのように、相手のアクションに対して本能的にリアクションすることができなかった。
人間というのは、そうしたリアクションが正しく出来るかどうかのトレーニングが大事なんです。
今の状態から復活して、この本能的なリアクションを実生活のなかで継続できるなら、
カミーユはいい主人公になるでしょう。
ですから彼も、もう一度主人公をやらせてみたいキャラクターですね。
なぜ僕が続編のことを口にするかというと、この9月2日という時期に、
僕がこういうことを考えていたということを、活字として残しておいてほしいからなんです。