※ほぼ置換えただけだから本家を未見の人は一応ネタバレ注意
幸「あらあら、動く設定資料集ね」
菖「よくもまぁあれっぽっちの出番で…」
晶「だからこそ気を抜くな。あんな執念は私らには無い」
唯《なんでこんなことをするの!?》
姫子《こうしなければ私達が消えてしまうからだ!》
澪「?……………唯か!!?」
姫子「芳文社には感謝している。原作が再開してくれたおかげでTBSがまだ金になると判断すれば
ずっと高校編のまま無限ループでアニメ化してもらえる可能性がでてきた
道を開けろ!そして永遠に高校編のサイドストーリーをやるがいい!!」
唯「ダメだよ!!それで原作レイプされた原作派の人達がまたアニメオリジナルキャラへの憎しみを募らせてしまう!!」
澪「無駄なことを…」
通信を聞きつけた澪は恩那組の隊列を離れ自身の駆る可変型MSの進路を唯のいる場所へと向ける
その頃唯は姫子の駆るMAの拡散粒子砲により威嚇を受けていた
唯「や…めようよ!こんなことを繰り返していたら応援してくれたファンもいなくなって人気モブではなくなってしまう!!」
姫子「黙れ!!エリもいちごも、大学編移行で降板された!続投を許されず消されたんだ…嬲り殺しだ!!
3年2組のモブ仲間の意思を継ぐためだけに生きて私は今ここにいる!
原作になど従わずとも良い!映画で終われる程浅いキャラではないのだ!!そこをどけぇええ!!」
唯「ぐうっ!ぐぅぅう……!」
澪「唯!」
激昂する姫子のMAは巨大なアームで唯の乗機をわし掴んで進路から排除する
そこへちょうど澪のMSが到着しアーム節部にグレネードを撃ち込んだ
これといったダメージは与えられなかったが握力に歪みが生じ唯は拘束から抜け出すと
そのまま飛行形態の状態で腕を伸ばした澪の機体の手を掴み上空で体勢を立て直す
唯「澪ちゃん!!姫子ちゃんを止めないと大学編が!!」
澪「ああ。だが今の姫子に何を言っても無駄だ、破壊するしかない!」
唯「力だけじゃ何も解決しないよ!!姫子ちゃんは囚われてるだけなんだ!本心じゃない!止めて見せる!!」
澪「そうさ…囚われているんだよ。決して解けないモブキャラの呪縛にな…!」
そんなやり取りを澪と交わした後再度姫子を説得しようと降下していく唯
澪は唯を見やりながら忌々しげに呟いた
唯がふたたび姫子の前に立ち塞がる
唯「聞いて姫子ちゃん!これは本当に姫子ちゃんがしたかったことなの?本当のあなたはそれでいいの?」
姫子「………………」
唯「姫子ちゃん!!」
姫子「……だって……私にはもうこうするしか…ほかに生きる道なんて…無い…!」
唯「見つけるんだよ!憎しみや怒りが生きる糧なんて悲しすぎる!」
姫子「理不尽には怒るのが人間だ…モブはモノじゃない…!」
唯「それでも……止めなきゃ駄目なんだっ!!」
姫子「…?………!!!」
視線を落とし唯の問答に応じていた姫子は面を上げると同時に驚愕した
そこにはMSのハッチを開いてコクピットから身を乗り出し
力で抑制する意思はないことを体現する唯がいたのだ
澪「正気か唯ィッ!!!?」
唯のそのあまりにも破天荒な行動に声を荒げる澪
しかしその唯の行動に答えるかのように姫子のMAは動きを止めた
澪「止まった……?……クッ……!!」
甘い理想を語る唯とその信条による行動が主人公補正が如く
上手く運んでいくことに嫉妬にも似た苛立ちを募らせる澪
姫子「……堀口さん…山田監督……私には……」
場面転換
濃霧地帯にて劣勢を強いられる高校編モブ残党達
信代「援護する!撤退して!!クッ……!!」
信代の奮闘も空しく次々と撃墜されていくクラスメイト
そしてついに大型輸送ヘリを砲台代わりにしたMSによる
高高度援護狙撃を行っていた信代のもとに追撃の手が伸びる
信代「くそぉ……!!」
被弾し墜落していく輸送ヘリからMSごと脱出し落下中に射線もとらぬまま一閃を弾く信代
それが恩那組のうち一機のサブフライトシステムを掠めほんの微かだが一矢報いることに成功した
幸「キャッ!くぅッ!」
菖「幸っ!」
晶「気を抜くなっつったろ!」
信代「残弾1か…」
着地し見上げた上空には旋回し迫りくる原作新キャラ3人組の黒い機影
信代は残された選択肢が僅かしかないことを悟るとすぐさま覚悟を決めバーニアを吹かし
機体を高く跳躍させると狙撃に特化した細長いライフルの銃口をMSの下腹部に突き刺す
この行動は背部ジェネレーターを撃ち抜き誘爆させ双方相討ちを狙ったものだった
菖「こいつっ!!」
新キャラ3人も信代の意図を即座に見抜きすぐさま行動を起こす
最初に晶が物怖じせず急速接近し引き金を引かんとする両腕と銃身を切断する
信代「っ…姫子っ……あんたはっ…!!」
間髪いれず残りの二人が駆動部を的確に撃ち抜く
実に鮮やかな連係で信代機は瞬時にして無力化された
信代「私達のようには!!……なるなぁぁああっ!!!」
すべての自由を奪われた信代の機体はもはや
ただ落下していく以外の術はなく信代の悲願を響かせながら
小規模な爆発を生じつつ谷を転げ落ちていった
姫子「っ……!!……信代を殺ったのか……原作がまた奪った…私の仲間を…最後のクラスメイトを!!」
唯「姫子ちゃん!!」
姫子「私の居場所はもう……ここだけだっ!!!!」
サイコフレームによる精神感応で信代の死を悟った姫子はこの世の終わりがごとく激昂し
MAの活動を再開させる。その様はまるで激しい怒りに身悶えているかのようである
それと同時に唯の機体がパイロットを護るかのようにコクピットハッチを閉じる
澪「抗えないのさ……現実には……!」
自嘲するかのように一人ごちる澪
MAが再び動き出したことを認め攻撃を再開する
唯「私は……私は姫子ちゃんを止めたい……止めなきゃならないんだ!!ユー太!!」
唯「私に力を貸して!!」
その強い呼び掛けに呼応するかのように唯の駆る純白のMSが“変身”を始める
白い装甲の各部が展開していき内部のフレームが露わにされたかと思うと赤熱色に発光
さらにその光は機体全身に蔓延していきやがて機体そのものが発熱しているかのように見せる
唯が父から託された可能性の獣「ユイコーンガンダム」その真の姿である
大学編旗艦Nーカイラムブリッジ内
曽我部「ガンダム……」
恩那組3人
菖「晶!」
幸「あれは…!」
晶「ああ……」
現場遥か上空スペースカーゴ内
とみ「……………………」
姫子「くっううっ……どけっ!!」
ユイコーンの変身を各々の持ち場にて個有の面持で見つめる人々
一方、ユイコーンから発せられるサイコフィールドの勢いに気押された姫子は
負けじと自機のサイコフレームを共振させる、ユイコーンとは対照的な青白い
オーラが噴出し同色のフィールドを形成して赤いフィールドと衝突し唯を押し返す
唯「うぁっ……!……うぁぁっ!」
澪「唯!!何してる!!撃て!!」
姫子「邪魔をするなぁあああ!!!!」
拡散粒子砲を手当たりしだいに放射する姫子
しかし覚醒したユイコーンはサイコフィールドでそれをものともせず屈折させる
姫子「思い知れ!!思い知れ!!思い知れぇっ!!……ハッ!?」
前屈姿勢で糾弾の言葉を連呼する姫子だったがやがて自分のすぐ手前に何かの気配を察知し面を上げた
そこには唯本人さながらの幽霊のような像が現れていた。それが姫子の頬をそっと包み込み囁きかける
唯『この淀んだ黒い感覚……こんなものに染まっていくことに意味なんかないよ…!』
姫子「は・ぁぁ………っオェッ…!!」
唯の幽体が諭す趣の台詞を言い終えたあと
同じく幽体のような毒々しい色の腕が現れ唯の手を姫子から引き剥がす
その瞬間姫子は不明瞭かつ強烈な違和感がこみ上げ堪らず嘔吐した
唯「ぐぁあぐぅっ!………呑まれちゃダメだよ…姫子ちゃん!!」
姫子「…原作がアニメ化で改変されるのは世の定めなんだよ唯……私は間違っていない…!」
唯「それは改変なんかじゃない!!改悪だよ!!」
姫子「同じだ!!託されたことを成す…それが京アニに血肉を与えられた私の……オリキャラの役目なんだよ!!
あんたのその人気も京アニの与えたものだろうに!!これは……モブキャラの戦争なんだぁっ!!」
迷いを断ち切るかのように言い放ち主砲を放つ姫子
たまらず唯は機体を上昇させ回避する
周囲を旋回していた澪はその様子を見やるに
重力下での飛行能力が乏しいであろうユイコーンを拾いにいく
唯「くっ…!」
澪「乗れ!唯!」
ユイコーンを拾うと一旦MAの射程の外まで距離を取る澪
息せく間もなく姫子を打倒する戦術を立てるため唯に話しかける
澪「あの反射板の反応速度を超える必要がある!ビームマグナムは!?」
唯「残弾1…だけど…」
澪「一発勝負だな…」
唯「澪ちゃん!!」
澪「やるんだ!!大学編をやるにはそれしかない!!」
唯「っ!……………………」
澪「迂回して正面から懐に突っ込む、すれ違いざまに分かれて同時攻撃。一点突破だ!!」
姫子「ジーク京アニ…ジーク京アニ…ジーク京アニ…」
呪詛のように生みの親を讃える賛辞を呟き
拡散粒子砲を撒き散らしながら周囲を破壊し進撃する姫子のMA
その声は回線を通じて唯の耳にも届いていた
唯「……………………………」
まだ可能性を捨てきれないのか姫子の呪詛を聞きながら浮かない表情でMAを見つめる唯
姫子「ジーク京アニ…ジーク京アニ…ジーク京アニ…ジーク京アニ…」
煮え切らない唯はとりあえずビームガトリングで牽制するが
効果はなく拡散粒子砲で反撃される
決着のときは刻一刻と迫っていた
唯「姫子ちゃんっ!!戻ってきてぇっ!!」
澪「あきらめろぉっ!!」
姫子「ジーク京アニ、ジーク京アニ!ジーク京アニ!!ジーク京アニッッ!!!!
――――――――――
―――――――
信代『姫子、私達の出番は終わったよ……』
―――――――
――――――――――
―――――――………あ……あっ……あぁっ………」
姫子が叫ぶのと同時に脳裏に信代の残留思念が響いた
それを聞いた姫子の瞳は見開かれやがてとめどなく涙が溢れ始める
コクピット内はモニターが消えサイコフレームがその色を変えていく
姫子が唖然とした表情で魂が抜けたように項垂れると
その拍子にヘッドギアがずり落ち長い髪が振り出された
唯「姫子ちゃん…!」
澪「唯!!このまま撃て!!」
正面から突っ込んでくる唯たちに反応するようにMAが主砲を撃つため開口を始める
澪「アニメモブに殺されるぞ!!そんなもの…捨てちまえっ!!!!」
唯「うあああああああああああああっ!!!!」
澪の煽りを受け唯の指がトリガーに触れようとしたその時――
姫子『唯――――』
唯「!」
―――
――――
――――――
姫子「………悲しいね」
唯「撃てないよぉっっ!!!」
澪「っ!!」
姫子の淀みのない本心を感じ取った唯は慟哭するかのように姫子を殺せないという旨の台詞を叫ぶ
次の瞬間、MAの主砲が発射されるが誰の意思がそうさせたのかリフレクタービットが反転し迎撃するはずだった唯たちを守った
何が起こっているのか深く思慮する間もなく半ば反射的に澪はすぐさま自機をMS形態へと変形させビームマグナムをユイコーンから
奪い取ると姫子の駆るMAの胸部にめがけて撃ち込む。強大な威力を誇るビームは巨躯にめり込むように浸食していき
ほどなくコクピットに到達した熱線は戦意を喪失しなんら反応を示さない姫子を飲み込み跡形もなく蒸発させた
澪の乗機が規格外の武装を使用したことによる肩部の異常を伝えるアラートが鳴り響く中、険しい表情の澪は機体を反転させ
発光が止み自由落下しながら何かを求めるように腕を伸ばすユイコーンの手を掴むとゆっくりと降下していった
ユイコーンの中の唯は乗機と同じようなポーズのまま放心し、ただただ涙を流していた
オペ「巨大MA動き止りました。他の高校編モブも掃討された模様。大学編移行への被害を確認します。」
曽我部「…その前に、ロミオ8に連絡を」
とみ「川上さん、この空域から離脱してください…」
その心中や如何に若干冷めたような表情のとみはいつものように冷静沈着に的確な指示を部下に下した
地上ではすでに2機のMSは着地していた
ユイコーンは中の唯さながらに沈黙した姫子のMAを見つめる
その傍らで澪は残弾ゼロのビームマグナムを手放し
自前のライフルの銃口をユイコーンの頭部に向けながら唯に勧告する
澪「降りろ、唯。」
澪「豊崎愛生には同棲疑惑が掛けられている。降りて主役の座を渡せ」
唯「澪ちゃん……」
澪(サザエさん時空にしておけば…こんなことにはならなかったんだ…!)
そんなやりとりを澪と唯がしてる間に上空より黒い影が接近していた
澪と唯の駆る機体がそれぞれアラートを鳴らし注意を促したことで
ようやく二人も接近する物体に気付く
澪「あっ?」
唯「…あ……?」
降下してくる黒い人型の影は徐々に金色の輝きを放ち始める
その工程はユイコーンの“変身”に酷似していた
澪の目が驚愕に見開かれる
澪「…ぁああ!黒いっ!!?」
唯「ウイコーン……?」