○新作画、旧作画についての富野由悠季 総監督 発言集
「ただ、全部新作となると、50カットから20カットにしていくという再構成という作り方では
なくなるため、元の『Ζ』とはテイストが まったく違ったものになってしまうでしょう。
「絵はキレイだけど、これはΖじゃないよ」と絶対言われてしまう。
「 結局、ジジイが好き勝手に作ったんだよね」なんて感想でおしまいですよ。 概ねすべての
リメイクものと呼ばれる作品がオリジナルに勝てないのは、言ってしまえば、テイストを
残してるようで実はまったくの新作で、好き勝手にやってるものだからでしょう。
元の作品のテイストは絶対に元の作品の中にしかないのです。」
「結局、全部新作にした瞬間にリメイクも何もなくなってしまうのです。すべてを新作カットに
するかどうかのせめぎあいは何度もありました。でも旧作を残さざるを得なかったのは、
この作品はダイジェスト版でありリメイク物であり、そして何よりも『Ζガンダム』というのは
TV版の”あれ”しかないんです。新Ζガンダムを作ったとしても「『新』はさ、よく動いてたよね、
きれいだよね、だけどあれはさ・・・」という風に絶対言われてしまうでしょう。
だから古い絵と新しい絵の差があるのだけれど、だからゆえにあの構成ができたのです。」
「この作品のカミーユはカットカットで違う顔をしている。それでも充分に
鑑賞できる作品が作れるかもしれないと確信して、今回の作業にかかったんです。
でも決して我慢できるレベルではないと思います。人によっては、我慢できないくらい
ひどいかもしれない。それは僕のTV版のときのディレクションで”アニメーターを放任
し過ぎた”という、仕事の仕方に原因があったのでしょう。この点では申し訳なく思って
おります。
その分、この劇場版では新作カットを旧作のイメージに近づける努力をしています。」