【SS】もしアムロがジオンに亡命してたら part2

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71 ◆Zxk1AsrDG6
「ど、どうしたのアムロ?」

顔をしかめ、額をさすりながらコックピットから這い出して来たアムロにセイラは驚いた。

「・・・大丈夫です。それよりどうしたんです、こんな所に?」

意外そうな顔をアムロはしている。
戦闘中以外でハンガーにわざわざ出向くセイラなど今まで見た事が無かったからだ。
もとより、こんな油臭い場所はセイラみたいな女性には似合わない。
出撃するMSパイロットをサブモニターの中から涼やかな声でオペレートする彼女こそが相応しい。
そう思っていた。いや、確かにそう思っていた筈だったのだが。

「あの、これ、ハモンさんやメイさんを手伝って、皆さんの分を作ったの。
せめて待機時ぐらいはちゃんとした食事を摂って欲しいって」

慣れない手付きでおずおずと差し出されたトレイには
暖かな湯気を立てるシチューと少しだけいびつな形のサンドイッチが乗っている。
うつむきながらセイラは頬を真っ赤に染めた。

「恥かしいわ・・・メイさんの方が私よりずっと上手なんですもの。
私ときたら今までお料理なんて殆どやった事が無くて・・・」

と、いう事は、これはセイラさんの手作り

アムロはもう一度食事とセイラを見比べた。
・・・確かに炊事で悪戦苦闘する彼女など、普段凛とした姿しか見た事が無い身としてはイメージすら湧かない。
彼女を少しでも知っている人は、試しにやってみるといいだろう。

「アムロと話がしたかったの。少しだけで良いのだけれど」

セイラのすがるような、それでいて真摯な眼差しに
アムロの心臓は再び跳ね上がった。