[なんでも]SS、小説投稿スレ[来い]

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459名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/07(日) 09:44:13 ID:oHTsBDXB
[session 12]

 時に、宇宙世紀0090年6月5日。
 朝方、赤毛の青年がサイド3は57バンチ(当時コウ・ウラキ予備役大尉が居住していたコロニーである)の第3ポートに旅客機から降り立った。
彼は他の全ての乗客と同じく、たった1時間前に地球のオーブ共和国で発生した政変についての情報を得ようと躍起になっていた。一年戦争当時
から使っている、壊れかけのAM(Anti-Minovsky:抗ミノフスキー)ラジオをあれこれ操作しつつ、『オーブ民主政府準備委員会委員長』と名乗る男の
妙に芝居がかった演説を耳に入れようとしていたが、聞こえるのは8割が雑音であった。
 と、不意に脇から、彼自身が持っているものよりも小さく、丸っこい洗練された形のラジオが差し出された。
 「氏族政を廃し、完全な民主主義に移行する、といっていますね。連邦政府の出方によっては離脱を考えているそうですが」
 いつの間にか、左に目元の涼やかな、やや彼よりも背の低い若者が立っていた。年は彼より若干下であるらしい。
 「アルフレッド・イズルハ中尉です。以後、お見知りおきを」
 「ジークフリート・ウェドナー中尉だ。全く、物騒な事になってしまったな」
 世間話をしながらポートの正門まで歩いて行くことになった。
 「イズルハ中尉は…」
 「アル、で結構です。階級が同じですし、そう呼ばれる方が好きなもので」
 「ならおれはシグだな。アルは転属で来たのか?」
 「はい、第25工兵大隊で大隊長副官を拝命しました」
 「ガトー中佐の副官か!彼は、いい男だ。楽しいと思うぞ」
 「皆様そうおっしゃいます」
 「ところで、アルはどこの生まれなんだ?」
 「サイド6です」
 「なんでまたジオンに」
 「幼いころ…一年戦争の時、兄と慕っていた男と、姉のように思っていた女性が、目の前で殺し合いました。それ以来私はずっと、戦争をなくす方法を考え続けていました」
 「その結論か」
 「はい、国家が戦争を起こさないようにするためには、戦争を、より厳しく、犠牲を伴い、得るところの少ないものにすればいいのです。。誰が何をするにしてもその動機は
利益を得るところにこそあるのですから、戦争によって強いられる犠牲が大きく、いかなる利権をもってしても埋め合わせのできないようにすれば、誰も戦争などしようとは思わなくなるでしょう」
 「えらく過激な事を言うな…。それでも起こったらどうするんだ?可能性はえらく低いんだろうが。しかし、流石はギラ・ズール計画の大立者の一人なだけはある。切れ者はいうことが違うな」
 「買いかぶりですよ。提案のいくつかが、運よく基本プランに採用されたというだけのことです」
 「モビルスーツが好きなんだな」
 「はい、特にザクが」
 そう答えるアルの顔は、モデルガンをクリスマスツリーの下に見つけた少年のように輝いていた。        
 突然照明が落とされ、赤い警告灯がとってかわった。警報が鳴り響く。
 「何だってセラ!…すぐいく!待ってろ!」
 「どうしました!」
 シグは携帯電話をポケットに入れつつ、答えた。
 「実験中の機体が暴走したらしい」
460名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/07(日) 09:58:48 ID:???
今週はこれだけです、すみません(涙

どうしてこんな組み合わせになったかというと、それはとりあえず、
Fate/ZeroのドラマCDを聞いてください、ということなのです。

昨日は消失で今日はなのは〜♪
461通常の名無しさんの3倍:2010/02/14(日) 16:38:54 ID:???
乙です

これはガンクロとかには保管せんの?
462通常の名無しさんの3倍:2010/02/15(月) 01:13:28 ID:???
>>460
GJ
短くてもwktk度は変わりません
軍人アルの活躍に期待


>>461
ガンクロって新シャアの保管庫じゃないのか
というかいまあそこに保管するのは危険な気が
463通常の名無しさんの3倍:2010/02/16(火) 02:57:58 ID:???
>>461-462
今何か改竄荒らしが暴れてるしな。掲載には3尉氏の許可も要るし。
464名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/20(土) 03:25:57 ID:???
[session 14]

 「センチュリオ・トライアとパイロットのハーモニクス正常。感情制御、生体電算システム、全て問題なし。行けるわね」
 「…その用語は何とかならんのか?人を機械扱いしているようで、どうにも自分としても落ち着かない」
 「製作者が持ってきたマニュアル通りよ。女が細かいことを気にしちゃいけないわ、セラ」
 「ファーストネームはやめろっつっただろう!マグクリフ博士!!」
 「セレーネでいいっていったでしょ」
 「貴官には貴重な特技がある。人の話を全く聴かないということだ。惜しいな。大人しくハイスクールの教師の忠告に従って士官学校に進んでいれば、
その勇猛果敢にして唯我独尊な性格を生かし、かのシーマ・ガラハウに勝るとも劣らない女傑として華々しく戦い、挙句の果ては今頃部下全員を引き連れて
ヴァルハラを席巻していたであろうに」
 「何言ってるのか良く分からないわ」
 「下の名前は紛らわしいから口にするな、といっておるのだ!」
 「トリエ〜問題ないからちゃちゃっと始めてとっとと終わらせるわよ〜」
 「貴様ーーー!!!!」
 
 (またサイレンコンビの漫才かよ…)
 何度目になるかわからない嘆息をもらしつつ、オリヴァー・マイ技術少佐はトライアの外部ロックを解除した。サイレンというのは言うまでもなく言い合いを続けている
二人の女性―セレーネ・マグクリフ博士とセレイン・イクスペリ中尉―からとられている。二人の良く似た名前は、元来ギリシャ神話における月の女神に由来する。
だが着任以来いつもこの通り言い争いを繰り返しているので、いつしか美声で船乗りを惑わす女神、に名称を由来する極めて散文的な機械が彼女たちの総称と
なってしまっていた。
 イクスペリ中尉はロンド・ベルを離れた後、ジオン共和国軍に恋人のジークフリート・ウェドナーとともに復帰、軍に編成されたニュータイプ実験群本部付き
となっていた。ディー・トリエル軍曹も同部隊所属の為、彼女が直属の上官としてトライアの改修作業に付き添っているのだ。一方サイレンコンビの片割れである
マグクリフ博士は人工知能の専門家であり、特異なバグ―『感情』−を発生させた貴重な個体であるディー・トリエルに興味を抱いていた。この場にいるのはDSSDに
おける彼女の上司が、かつてギレン・ザビの下でセンチュリオ・プロジェクトに関わっていたことを利用してのごり押しである。
 「…!感情値急変!機体制御に問題が出るレベルよ、これ」
 「おいトリエどうした!?機体に異常でもあったか!黙ってちゃわからんだろう!何か言え!」
 「…イ…タイ…」
 「どこが痛い!お姉さんに言ってみろ!救急車呼んでやるから!!」
 「貴方の方こそ少し落ち着きなさい、イクスペリ中尉。オリヴァー少佐、大丈夫?」
 「肉体的異常は観測されていません。しかし、これは…」
 「「暴走!?」」
 『トライア異常行動、市街地に被害が出ています。直ちに措置を講じるように』
 ニュータイプ研究所に緊急放送が流れた。
 「おい、マジで洒落にならないぞ、これ」
 「機体は自動操縦に切り替えます。速度が付きすぎてコロニー内での停止は不可能ですから、減速させつつポートに誘導し、外部で機能を停止させます。
大丈夫、問題ありません」
 「変なAIね〜混乱するなんて」
465名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/20(土) 03:26:37 ID:???
[session 15]

 トライアの制御は困難を極めた。センチュリオは人機一体を旨として設計されている。それ故、搭乗者の精神の乱れが、そのまま機体の動作に直結しているのだ。
市街地の損害が古いビルの屋上に穴をあけただけに留まったのは、オリヴァー少佐の外部制御の巧緻によるところが大である。しかし郊外地域に移ると手がつけられなくなり、
地面に体当たりを繰り返した揚句、コロニーの自転軸付近まで土ぼこりが舞いあがった。宇宙空間へと続くポートを通すのは、後に証言したところによると「αアジールを針の穴に
通すより難しかった」そうである。だが彼はやってのけた。しかし、宇宙空間に出たところで再加速を始めたため、「止むなく小惑星にぶつけました」とのことである。修理には2週間かかった。
 「気は済んだか、トリエ」
 「…イタ、イ…」
 「どこが痛いんだと聞いてるだろ」
 「…ド…リョク…ロ…イタイ…どうして…」
 「さっぱり分からないわね」
 「黙ってろ。オリヴァー少佐、暴走が始まった時の視覚データを出してくれ。それとトリエ、そういうときは歌でも歌ってると、以外に紛れるもんだぞ」
 「これです」
 モニターに、ジオニック社の研究施設が映し出された。画面上に、トリエの視線が向いていた地点がオレンジ色の点で表示されている。拡大された。
 コウ・ウラキとニナ・パープルトンが映っている。二人の距離が、徐々に近づいて行った。
 「もういい原因は十分すぎるほどよく分かった。一段落したらあの鈍感莫迦をシメにいくぞ」
 「そうね。ちょっとこれは酷いわね。所で、この歌は何かしら」
 「ああ、あの娘最近操縦中よくこの歌をハミングしてるんですよ」
 「ああ思い出した。懐かしいわね〜小学校の時に流行ってたのよ。なんであの子が知ってるのかしら」
 「女が簡単に年齢をバラすな。最近カバーされたんだよ…同じ所ばかりハミングしてるな。…っ!まさか、これは…!」
 ttp://www.youtube.com/watch?v=hoYzPQFBWSQ
 「…なあオリヴァー少佐、ここの歌詞は知ってるよな?」
 モニターを見つめているマイは、イクスペリ中尉の微妙な表情の変化に気がつくはずもない。
 「ええ」
 「で、ウラキ大尉は、今何の仕事をしているんだったっけ?」
 「Zプラスに乗ってるそうですが」
 「それを知っててあの子を仕事漬けにしたのかーー!貴様何を考えている!!」
 「え!?駄目なんですか?」
 「「ここにも鈍感莫迦がいたかァァァーー!」」

               ”…だけど彼ったら私より自分の飛行機にお熱なの…”
466名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/20(土) 03:32:13 ID:???
最近そらおとにはまってます。
イカロス可愛いよイカロス
467通常の名無しさんの3倍:2010/02/20(土) 04:00:11 ID:???
キューンキューンktkrwwww
トリエがそのうちOPのほうを歌い出す
なんてことにならないよう願っています
468名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/20(土) 04:04:55 ID:???
オマケですよ


[INDIVIDUAL FILE 1:ルナマリア・ホーク]

”デスティニー事変”を最後に行方不明となっていたが、「紅の騎士団」によるオーブ共和国のクーデターにおいて再び姿を現す。
重力を自在に操るが如き華麗にして豪快なバトルスタイルを身上とするが、反面泥臭いまでの粘り強さを併せ持つ格闘戦のスペシャリスト。
プライベートでは革ジャンを着用することが多い。

(=ω=.) <ぶっちゃけ髪が赤くて胸がでかいということ以外は完全に両儀式ですw
       コルレルに乗せたのも、モビルスーツで式に合ってるのは何かと考えた結論です
       ちょっと真希波・マリ・イラストリアスがはいってますが
    ご存じない方は、とりあえずオリジナルの眼つきをやたら悪く脳内修正して下さい


[INDIVIDUAL FILE2:シン・アスカ]

同じく”デスティニー事変”で機体を破壊されて以来行方をくらませており、ユウナ・ロラ・セイマンの民主政府準備委員会発足宣言の時に半年ぶりに
「紅の騎士団」一番隊隊長として公の場に姿を現す。詰襟の学生服を好んで着ている。プライベートでは眼鏡をかけていることが多い。面倒見の良さには定評がある。

(=ω=.) <要するに沖田総吾。
       コクトーでもあるけど、その辺はまあおいおい

他にもご要望があれば、ネタバレにならない範囲で解説しようと思います。
皆さんのご意見ご感想、お待ちしています
469名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/21(日) 21:26:36 ID:???
>>467
それルナの持ち歌wwww

[INDIVIDUAL FILE 1:ルナマリア・ホーク 補足]

好きな映画 「グロリア」「下妻物語」
好きなアーティスト ピンクフロイド、相対性理論

カガリ・ユラ・アスハとは一度だけ顔を合わせたことがあり、それ以来犬猿の仲
理由「梶浦由記といえば〜kalafinaに決まってるだろ〜が〜」
   「いいやFiction Junctionだっつってんだろ〜」

[INDIVIDUAL FILE 2:シン・アスカ 補足]
好きな映画 「タクシードライバー」「魔界転生(深作版)」
好きなアーティスト ガンズアンドローゼズ 氷室京介

[INDIVIDUAL FILE 3:ディー・トリエル]
本作"APPENDIX SESSIONS"全編を通してのヒロイン、詳しくは >>17
好きな映画 「天使にラブ・ソングを」「涼宮ハルヒの消失」
好きなアーティスト ALI PROJECT 相対性理論


470通常の名無しさんの3倍:2010/02/22(月) 01:13:03 ID:???
シグは相変わらず出世しねえなあwww
471通常の名無しさんの3倍:2010/02/22(月) 01:53:51 ID:???
>>467
中の人的にはルナマリアだが
歌詞の内容的にはセラとかでも・・・・・w
472名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/13(土) 02:49:14 ID:1GDnpVbX
[session 16]

 「地球がどれだけ広かろうと、お前の居場所なぞ畳一枚程もないぞ」
 段ボール箱の中身に言われたのでなければ、この言葉をもっと真剣に受け止めていたはずだ。コウ・ウラキは後によくそう思い返した。
 外の騒ぎが治まり、ニナ・パープルトンが電話で呼び出されて去った後、彼のオフィスの机の横に未処理の荷物を入れておいた段ボール箱
から大男がぬっと出てきた。彼にはもうなれた出来事ではあるが。
 「相変わらず女心を解せぬ男だな、貴様は」
 「理解した結果があれか」
 「言っている相手が違うな。まあいい、その点は、後で適任者がゆっくりとお灸をすえてくれるだろうさ」
 「不法侵入の癖をいい加減直せ。用があるなら普通に来い、普通に」
 「ちょっと、余人に聞かせたくない話なのでな。…ウラキ、貴様、正式にジオン軍に入る気はないか?」
 「唐突だな。あいにくと俺はアースノイドだ。地球でいい仕事が見つかったら、トリエを連れて帰るよ」
 「見つからんだろうな。あの景気の悪さでは」
 「ムンゾが木製航路を押さえているからだろ。北米の復興も15年は遅れるらしいぞ。俺の故郷はマシらしいけど」
 「我々の正当な権利だ。お前の故国にしたところで、我等との協力あるが故の特権を享受しているにすぎん。向こうでのスペースノイドに
 対する反感はひどいものだ。帰ったら、殴られるだけではすまないだろうな」
 「俺は地球生まれだ」
 「だがジオンの為に戦った」
 「テロ組織を撃破しただけだ。それがなぜ悪い?」
 「『サートゥルヌス』はティターンズの残党だった。連邦の内部ともつながりがあったことが分かりつつある。それを騒ぎたてないこちらの事情も
 察してもらいたいが…ともかく、連邦軍の内部にはお前を付けねらう動きもある。当分の間、地球に降りるのは自殺行為でしかないな」
 「いくら連邦軍だからといって、そこまで腐っちゃいないだろう。アムロ大尉が一言言ってくれれば」
 「彼は退役したぞ」
 「え?」
 呆けたようなウラキの顔に、人口の赤い西日が照りつけていた。
 その2週間前、マフティーことハサウェイ・ノアが処刑された日から数えると35日目にあたる日、アムロ・レイ大尉はHi−ν計画からの除名を
正式に通告されていた。彼は即日辞表を提出し、それに答えた。
 宇宙世紀開始と共に本格的に始動した宇宙移民計画の骨子の一つに、人口密度の高い地域の住民から移民させる、というものがあった。
それ自体は妥当なものではあるが、同時に所得水準も教育水準も低い集団を選択的に宇宙に送り出すことを意味してもいた。その結果、
スペースノイドの連邦政府に対する反感は手のつけられないものとなってしまった。わずかな火花で大火事を起こしかねない乾燥した冬山
に例えられるだろう。歴史学者の中には、コントリズムでさえ、その火花の一つに過ぎないと主張するものが多い。
 サイド3が燃え尽き、そして住人の多くの故国であるドイツと日本がそうであったがごとく焼畑のような猛烈な再成長を遂げていくのを
横目で見るしかなかったサイド1に代表される地区において、火種となったのは環境問題であった。シャア・アズナブルによる第二次ネオ・
ジオンもそれを旗印としていたが、要するに対岸の火事、参加する大多数にとっては騒ぎ立てる理由が必要であっただけだ。
473通常の名無しさんの3倍:2010/03/13(土) 07:17:20 ID:???
巧い・・・
474名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/13(土) 09:16:13 ID:1GDnpVbX
[session 17]

 ネオ・ジオンの精神的後継者こそがマフティーであった。ハサウェイ=ノアことマフティー・エリンは元来、ただの農学部の学生だった。
連邦の環境政策に異議を持っていたに過ぎなかった。が、彼の父であるブライト=ノア中将の親スペースノイド的な姿勢と不幸な化学
変化を起こした結果、彼はテロリストに身を落とし、結果、父の名前で出された命令で処刑されたのだった。
 「ハサウェイ君の事件でブライト提督は退役に追い込まれた。彼の派閥も力を失った」
 ガトーは視線を落とし、片手で両目を覆った。彼には雌伏していた期間に多脚式人工知能搭載型プチ・モビの整備工場で働いていた
時期があって、プチ・モビを趣味にしていたハサウェイとは仲がよかったのだ。
 「当然の結果ではあるね。でも、アムロ大尉からガンダムを取り上げるなんて…」
 「貴様が望もうと望むまいと、ジオンの救世主の名はずっと付きまとう。アムロ大尉より非情な道しか、地球には用意されていないだろうな」
 「…故郷と縁を切るのはいやだな。入隊するなら、国籍を変えなきゃならないだろ」
 「いや、その必要はたぶんないだろうな」
 ガトーは否定したが、その理由が明かされるのは人類の歴史にとってもウラキにとっても重大な局面が訪れてからのことになる。

 ―同日、オーブにて―
 首都警備隊のモビルスーツが一挙に撃破された混乱に乗じ、衛星軌道上から降下した3隻からなる艦隊(MS一個連隊に相当する)は
苦もなくオーブ全土を掌握下に入れた。うち一隻が着水するや否や飛び出した艦載機は大急ぎで首相官邸に向かった。官邸では、
彼ら”紅の騎士団”一番隊隊長シン・アスカ、一番隊所属ルナマリア・ホーク、そして睡眠薬を打たれて昏倒したユウナ・ロラ・セイマンが
腰を下ろしていた。
 「ご苦労だった。総帥もお喜びになっている」
 艦載機から降りたった金髪の麗人がいった。床で胡坐を組んでいるシンとソファーに寝そべったままのルナマリアを見ても、冷たい美貌は
全く動じない。
 「強化を開始する。セイマン氏は?」
 「奥の部屋で寝てますよ。全く軟弱な御仁だ。目に入る範囲では精精15人ぐらいしか殺してないのに、うなされすぎでさぁ」
 刀を磨く手を休めることなく、シンは答えた。
 「それはこちらの問題だ。口を慎め、一番隊隊長。それと、ホーク中尉」
 「どうした〜?」
 気だるそうな声がソファーから返ってきた。
 「総帥がお褒めの言葉を賜りたいといっている」
 携帯電話を差し出した。ルナが受け取って耳に当ててすぐ、独特のかすれ気味な低音が飛び出してきた。
 「鮮やかな戦いぶりに感動している。モビルスーツ格闘の新機軸といってもいい戦いであった」
 「悪いな、コルレル壊しちまって」
 「君にはまた、良いものを用意してある。その代わりといっては何だが、また一曲歌ってくれないか」
 「あんなサービス滅多にないんだぞ」
 電話をたたむ。たっく、と一言呟き、目を閉じる。麗人は溜息をつくと、スーツケースを持って奥の部屋へと届くドアを開けた。

 2時間後。目覚めたユウナ・ロラ・セイマンは、一言も発せず鏡に向かい、トレードマークの長髪を短く切りそろえた。細められた目に、
異常な光が宿っている。頭髪の仕上がりに満足すると彼は、自らの失脚後アスハ派に転向した旧セイマン派の議員や官僚を自ら
電話で呼び出した。
 1時間後、20人近くの老若男女が戦々恐々と官邸の庭に集まった。パーティーのホストのように庭の中心に立ったユウナの左右を
シンとルナが固めている。柵の向こうには報道陣がひしめき合っていた。
 「ご苦労。今回の件、ご心配ではあろうがたいしたことではない。オーブは氏族制を廃し、民主制に移行することとなった。何か異議は?」
 鋭くも余裕に満ちた眼光をきらめかせつつ、ユウナは裏切り者たちに言った。返事は一言もない。
 「よろしい。では、民主政府準備委員会発足の記念として」
 集められた者たちの表情に安堵したようなものが広がった。がユウナは懐に手をいれ
 「斬刑に処す」
 棒のようなものを取り出す。飛び出しナイフだ。ルナ・チタニウムの青味がかかった光沢が露になる。左端の男の胸に叩き込まれた。逆手
に構えたまま右に走る。5人分の心臓が切り裂かれた。斜めに、垂直に、水平に、ナイフの光が乱れ舞う。一人逃げ出した。即座にナイフが
投げられ、首に後ろから突き刺さる。
 惨劇を見つめながら、シンとルナマリアは唇を満足そうに歪めていた。
475通常の名無しさんの3倍:2010/03/13(土) 12:11:15 ID:???
GJ

ユウナは何されちゃったんだ?
“紅の騎士団”一番隊の周りは血の匂いが濃いなぁ…
この↑ネーミングからルナのイメージは紅月カレンぽいのを想像してました
(残念ながら両儀式を存じておりませんのです)
476通常の名無しさんの3倍:2010/03/16(火) 06:26:47 ID:ywZN46sX
昔、チョンのボール乗りのSS書いてた人がいたっけあれ面白かったな
ネタ成分薄い面白いSS乗せてるとこないかな
477名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/28(日) 02:38:27 ID:y4rEFfNb
[session 18:?bermensch]

 「たとえ幻想でも…あなたにそれを見せるわけにはいかないっ!」

 (あの突入角度より深ければ、うまくいく。終わらせられる)

 半年前、木星帝国首魁クラッスス・ドゥガチが太平洋上で燃え尽きた日のグリニッジ深夜、ラー・カイラム
の不寝番にあたっていたアストナージ曹長が最初に、ハンガーからトライアが無くなっていることに気がついた。
 (…大切なもの、見つけたよ。だから、もう…)
 無断でトライアを発進させたディー・トリエルは、大気圏への突入を開始した。
 「ディアナ様、流れ星が」
 地上でそれを見つけたのは、一年戦争と半年紛争の間に地球圏を平和裏に統治しつつもティターンズなどの
蠢動を抑えられなかったことに責任を感じ、隠遁していたムーンレイスの女王、ディアナの従者である、ロラン・
セアックだけだった。
 
 トライアはゆっくりと落ちていった。青い海が、ゆっくりと迫る。
 (…ありがとう、私を逃がしてくれて。私を仲間だといってくれる人たちと会えた。大切にしてもらえた。
 その人たちを大切だと思えた)
 かかり続ける加速度が、次第に実感できるものとなってくる。
 (ありがとう。キラ君。私がわたしたちに捕まったとき、私を人間だといってくれたよね)
 トライアに作用する重力エネルギーがはっきりと増大し続けるGとして体感できるようになった。
 (さようなら、アポリーさん。私にアーガマの配置や、早めに給油してもらうコツを教えてくれて、私の事を
 気にかけてくれて、とても嬉しかった)
 大気との摩擦により、装甲が赤熱し始めた。
 (ルー・ルカさんも、一緒に食事したり、服を選んだりしてくれた。木星でも、ジュドー君と、元気で…)
 遂にPNR(Poin of No Return)を超えた。警報が絶叫するが、トリエは気にせず、自分が触れることもなく
大気圏の塵と化すであろう緑の地表面を見つめる。
 (さよなら、ウラキさん。あの時助けてくれて、多分そこから、私が始まった。私を、仲間だといってくれた…
 でも、もう、さよなら。もう会えないけど、でも私はずっと…)
 ぽたり。モニターに水滴が落ちた。
 (え…!?何、これ。もしかして、これ…)
 涙が雨のように、落ち続けていた。
 (そんな…泣いてるの?人間じゃない私が)
 コックピットの気温がじりじりと上昇を始めていた。
 (やだ、やだよう。もうウラキさんと会えないなんて…!)
 はっきりと嗚咽している自分を、トリエは自覚していた。目をこすりながら泣きじゃくる姿は、もはやマシンチャイルド
でもなんでもない、ただの少女だった。
 (…私は「大切なものを見つけろ」という命令を果たした。私たちは、命令をクリアーしたら、あとはただ
 消えていくだけの存在のはず。でもなんで?私、ウラキさんと離れたくない。ねえトライア、教えてよ。私、
 どうすればいいの…っ!?)
 両手で顔面を押さえながら、あふれ出す感情とサウナ並の気温に耐えていた。

 (私、本当はまだ生きてても良かったのかな?命令を果たしたら私は終わると思ってたけど、でも…私、
 実はまだ始まってもいない、今はそう思うんだ)
 装甲が熱に耐えられず融解し始める。右肩部のパーツが千切れ飛んだ。
 (どうして大切なものを見つけた後の事は何もいってくれなかったの!?私は、ウラキさんと、ずっと、
 一緒にいたい。誰か命令して!私はどうしたら…)
 しばらく、苦悩して両手で抑えた頭を屈めていた。だが、
 (そうだよね、トライア。あなたも、こんなところじゃ終われないよね。分かった。誰も私に命令しないのなら…)
 涙はもう流れない。両手でしっかりと左右の操縦桿を握り、元々虹彩が赤いことに加え、泣きはらして白目が
真っ赤に充血した真紅の両目を決然と開き、モニターを見据えた。
 (私自身が!私に命令する!ディー・トリエルに命じる…私は!私の大切な人たちと、ずっとずっと、一緒にいる!)
 幼い指が、コンサートピアニストのようにキーボードの上を舞い始めた。
 (上手くやれるかどうかわからない。でも)
 モニターに"Lunatic Cocoon"の表示が移った。赤熱するトライアの翼が七色に光り、光の触手を一本、二本と吐き出した。
 (ここで燃え尽きるのはこれまでの私…本当の自分を、ここから始めよう)
 真珠のように輝く繊維が、いつしか球体と織られ、トライアを包み込んでいた。

 二日後、トリエは大目玉を食らった。
478通常の名無しさんの3倍:2010/04/14(水) 21:25:44 ID:???
トリエル!トリエル!トリエル!トリエルぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!トリエルトリエルトリエルぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ディー・トリエルたんのラベンダー色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
UCルートのトリエたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
ライバルルートでは味方になってよかったねノーマたん!あぁあああああ!かわいい!トリエたん!かわいい!あっああぁああ!
クロスドライブも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!クロスドライブにトリエたんは出ない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
ト リ エ ル ち ゃ ん は D S で 使 い 捨 て ? にゃあああああああああああああん!!
うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!
センチュリオ・レガートゥスぅうう!!コンスラーレぇえええ!インペラトールぅううう!トライアぁあああああああ!!!
この!ちきしょー!やめてやる!!Gジェネなんかやめ…て…え!?見…てる?パッケージのトリエちゃんが僕を見てる?
イベント絵のトリエちゃんが僕を見てるぞ!トリエちゃんが僕を見てるぞ!アイコンのトリエルちゃんが僕を見てるぞ!!
戦闘シーンのトリエルちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはトリエちゃんがいる!!やったよコウ!!ひとりでできるもん!!!
あ、センチュリオのレギオンちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあシーマ様ぁあ!!ティ、ティファー!!マリオンぁああああああ!!!ステラァぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよトリエルへ届け!!マシンチャイルドのトリエルへ届け!
479通常の名無しさんの3倍:2010/04/15(木) 23:13:11 ID:???
こんなスレあったんですねー、最初から読んでみてウラキとロリコンの話はすごくよかったすわ。

アタシも書いていいですかね?
2つ構想あるんですけど一年戦争パラレル物書こうかとおもってんですが需要あります?
1つは昔、この板にあった逆シャアアムロが一年戦争にタイムスリップしてくるやつ、てのの自分なりの構想のやつで、
もう1つは異説、というか異世界一年戦争みたいな、例えばありがちなとこでいうと、ガルマが死ななかったりドムがラルに届いたり?とか?そんな。
どっちかどうですかね?
480通常の名無しさんの3倍:2010/04/16(金) 00:18:02 ID:???
聞く前に書け
481通常の名無しさんの3倍:2010/04/16(金) 23:01:52 ID:???
いいんすか?じゃあ書きますよ?
じゃあ差し障りのなさそうなほうにしようかね。
ageてみます。
482ブタ:2010/04/16(金) 23:31:04 ID:???
「ふざけるな。たかが石っころひとつ、ガンダムで押し出してやる!」
「馬鹿な事はやめろ」
「やってみなければわからん」

「νガンダムは伊達じゃない!」

「駄目だ、摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ、もういいんだ。みんなやめろ」
「結局、遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がって地球を押しつぶすのだ。ならば人類は、自分の手で自分を裁いて自然に対し、地球に対して贖罪しなければならん。アムロ、なんでこれがわからん」
「離れろ、…ガンダムの力は」
「こ、これは、サイコフレームの共振。人の意思が集中しすぎてオーバーロードしているのか?なのに、恐怖は感じない。むしろあたたかくて、安心を感じるとは」
「何もできないで、おあっ」

「そうか、しかしこのあたたかさを持った人間が地球さえ破壊するんだ。それをわかるんだよ、アムロ」
「わかってるよ。だから、世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ」
「ふん、そういう男にしてはクェスに冷たかったな、え?」
「俺はマシーンじゃない。クェスの父親代わりなどできない」
「だからか。貴様はクェスをマシーンとして扱って」
「そうか、クェスは父親を求めていたのか。それで、それを私は迷惑に感じて、クェスをマシーンにしたんだな」
「貴様ほどの男が、なんて器量の小さい」
「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ。そのララァを殺したお前に言えたことか」
「お母さん?ララァが?うわっ」

──────??!

「────────────アムロぉ?」
(・・・・・・・・?・・・・・ぁ?)
「──アムロ?まあ、まだ食べてない」
「アムロ?」
「こんなことだと思ったわ。ちゃんと朝食を取らないと、体の為に良くないのよ」
「ハロ、アムロ、ハロ、アムロ」
「ぁ・・・・ハロ、今日も・・・元気だ・・ね・・・・」
「サンキュ、アムロ、アムロ、アムロ?、アムロ、脳波レベル?、アムロ」
483ブタ:2010/04/17(土) 00:34:23 ID:???
「何を着ていくつもり?・・・アムロ?」
「・・・この・・・コンピューター組んだら食べるよ・・・・・」
(なんだ・・・走馬・・灯?とかって・・・たしか・・・)

精密作業用の顕微鏡から覗き見える基板から頭をもたげ視界を水平に向けてみたアムロの目に映ったそれは、父に連れられ地球を離れた後、少年時代を過ごしたかつての、うっすらと記憶の片隅にある彼の自室に似ているように見えた。

「・・どうかしたの?・・・なにかいつにもまして・・・あ、避難命令聞いてなかったの?」
「避難?命令?・・・あのサイレン、そうなの?」
(これ・・・どう・・・・・・)
「あきれた。軍の放送聞かなかったの?軍艦が入港するから避難するんだってさ」
「・・・なん・・・で?」
「知らないわよ」
「アムロ、時間がないのよ」
「わかったよ・・・・・・て・・・・・・フラウ」
正直、茫然、というのか、まったく訳のわからない軽いパニック状態のアムロは、その状況に頭を整理できずに、彼の自室の扉から背を向け歩み出ようとしたフラウ、かつての眩しい少女時代のそれそのままの姿の彼女を目で追った。
次に彼はふと立ち上がり、何故か、かつてそうしたようにシャツとパンツしか身に着けていない自身を外出できる程度にしなきゃ、と、上着とズボンを見繕いはじめた。
ズボンを履き、上着を羽織りながら彼は、かつて無頓着であった身嗜みを、父に事あるごとにだらしない、と指摘されるのが鬱陶しかったので申し訳程度に整えるのに使用していた鏡に自身を映し見た。
(ははっ・・・・・・)
僅かに寝癖のついた赤毛の癖っ毛、映る自身は、青年となった彼にしてみれば青臭い少年特有のあどけなさの残る少年時代の顔。
何故か昔みたテレビの登場人物のように彼は、その少年時代のアムロ・レイの顔を自分でつねってみた、痛い、当たり前だ。
「・・・なんだっていうんだ、どうなってるんだ!」
484ブタ:2010/04/17(土) 20:06:00 ID:???
「どうかしたの?アムロ。やっぱり・・・今日のアムロ、何かヘンよ?・・もぅ、外で待ってるから!」
「ハロ、いらっしゃい」
「わかったよフラウ、少し、少しだけ、待っていてくれ・・・」
「えっ?なんていったの??!」
踵を返したフラウ・ボウが、何故か彼女自身でも気付くか付かないかというほどの妙な違和感を感じてなのか、ほんの少しだけ不可解に苛立ち眉間にシワをよせ口を尖らせながら問い返した。
「いや、すまない、すぐにいく・・・」
「・・・んもう、いいから早くしてよね!」
(なによ、どうかしちゃったのかしらアムロ・・・)
小首を傾げながら外へ歩み出ていく彼女の後をハロが転がり僅かに飛び跳ねながらついていくのをアムロは鏡越しに映し見ながら、困惑する自分を努めて鎮めようと数秒間自問自答する。
(いや、まてアムロ、夢だ?幻覚・・・シャア・・アクシズは・・・・・・・・さっき・・・痛みはある、覚め・・・)
パン!パン!
また滑稽に自らの頬を二度ばかり両の手で張ってはみるのだが。
「・・ははっ、子供騙しの陳腐な中世紀のSF映画じゃないか、まるで」
自身と今を嘲笑し、そうひとりごちる。
(・・・間違いない・・・はずだ、これはあの日の・・・確かに・・・・これから俺は・・・モビルスーツに・・・・・・・!!)
まだいくつもの整理のつかない頭の中身、出来事、現状、覚悟や混迷を散らかしっ放しではあった。
が、しかし、彼は何かに駆られるが如く、振り返り、そして外へ飛び出すように走り出した。
485ブタ:2010/04/17(土) 21:37:13 ID:???
「アムロ!やっときた、遅いじゃない」
自宅の扉から飛び出したたアムロは、そのままの勢いで軽快に飛び乗るとすぐさま退避カプセルのある方角へとエレカを走らせる。
「入港する軍艦にアムロのお父さん乗ってるんでしょ?」
───ああ、そうか、親父──。
「だと思う。一週間前に地球に降りるって言ってた・・・はずだ」
「ここも戦場になるの?」
───!!?!
「きゃ!・・なによ!急に止まっ・・・」
エレカを急停止させたアムロは、フラウの両肩を力強く掴み、彼女と自身とを少々強引に正対させると、瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「いいかい、フラウ、よく聞いてくれ」
あまりにフラウ、彼女の知るアムロ、らしからぬ力強さと真摯で強い眼差し、やはり妙にらしからぬ大人びた落ち着きを払ったかのような言の抑揚。
それに気圧されたかのように、彼女は呆けたように数瞬アムロを見つめ返すと、何故か赤面していく自分に更に混乱する。
「・・・な・・・ァム・・どうし」
意味も意志も伝わらぬ言を発しかけた彼女の唇、そこにアムロは自らの人差し指を優しく当て、また落ち着きを払ったかのような口調で諭すように言う。
「しっ、ほら、はは、しっかり落ち着いて、まずオ・・僕の話を聞いてほしい、いいかい?」
「・・・な、なによ」
「約束だ、約束してほしいことがある」
「ここからもう少し先にある退避カプセルに今から行くのは解るね、そこに君のお爺さんとお母さんも先に行って避難している、そうだよね?・・・とにかく、約束してほしい」
「フラウ、君のお爺さんとお母さんと、何があってもそこから、退避カプセルから離れない、って、そう約束してほしい」
486ブタ:2010/04/17(土) 22:33:42 ID:???
「僕はこれから・・・すぐに、いかなきゃならないとこがあるんだ、やらなきゃならないことが」

・・・・・・・・・・・・・・は?

──意味がわからない。
なんだかこんな緊急時にわたし・・告・・・・・・とにかく、もう!──
自身の瞬間の予測と期待?を肩すかしされたようで何故か理不尽に筋違いな怒りがほんの少しこみ上げてきたのも束の間、アムロが続けてくる。
「いいかい?理由は、・・・いやいい・・・いいかい?絶対に、僕を信じて退避カプセルで待っていてくれ、必ず、必ず僕が君らを迎えにいくから、約束だ、いいね?」
アムロの動じぬ強い視線に瞳を射抜かれたフラウが応える。
「・・うん」
「よし、前を向いて・・・・じゃあ急ごう」
再びエレカをアムロは今度は急発進させ、程なく退避カプセルに到着したアムロは、フラウを降ろすと、またもやこれまで以上にエレカをとある方角に急がせた。

────!!!

戦場、になるであろうその地帯を出来る限り迂回しつつ向かったその先の、道のりの半ば、到着まであと1分を切ったか、といった頃合いであった。
アムロはたしかに最初の爆破の振動を感じた。
「ちぃ、間に合わなかった・・・」
余計な迂回などをした迂闊な自分にそう苛立ち、久しぶりに無意識に爪を噛んでいた自分に苦笑いをしつつ、程なくエレカでは目立ち過ぎるとそれを乗り捨てた。
その直前にやはりというか見えた、いた、そう遠くはない距離に、ある種禍々しくすら今は見えるその緑色、一つ目の頭部が。
487通常の名無しさんの3倍:2010/04/17(土) 22:47:08 ID:???
これは期待。支援
488ブタ:2010/04/18(日) 00:09:27 ID:???
───確か

そこを目指しアムロは全力で走った、しかし、ここで何か、何か、はっきりとはわからない、だが違和感があるのだ。
そして、兎にも角にも、すぐにアムロは目的の場所にたどり着いた。

「奥のリフトが使えるはずだ」
(───親父・・・・・・まったく)
「第三リフトがあるだろう」
(苦笑いするしかないな、ははは・・・)
「リフトは避難民で」
「避難民よりガンダムが先だ。ホワイトベースに上げて戦闘準備させるんだ」
(これだ・・・えらく腹が立ったような気がする)
何故だろう?アムロは胸がこみ上げて、どうしてか目蓋が潤んでいるのが自分でもなかなか意味もなく不可思議であった。
「父さん・・・」
こういう人だった、当然なんだが、相変わらずというか、死ぬまで機械に、モビルスーツに取り憑かれたような、ある意味で凄い、歴史のほんの片隅にも名を刻む程の技術者だった。
「ん、アムロ、避難しないのか?」
「父さん?まったく・・・人間よりモビルスーツの方が大切なんですか?」
少し呆れた風に昔と同じことを言ってはみるのだが、やはり相変わらずだ。
「早く出せ」
「父さん?」
「早くホワイトベースへ逃げ込むんだ」
「ホワイトベース、か」「入港している軍艦だ・・・・何をしている」
「エ、エンジンがかかりません」
「ホワイトベースへ行くんだ」
「事が済んだら後でいきますよ」
「なに?・・・牽引車を探してくる」
──よし、と、アムロはさっと、横たわる懐かしくもあるようなかつての愛機、敵を恐怖にすら陥れた白き巨神、その腹部に取り付き、そして彼の父テム・レイ技術大尉に向かって言う。
「牽引車は必要ないですよ父さん」
「ん?・・・!?な?あ、アムロ!??な、なにをしている!!それは!!」
酷く慌てている父が何故かたまらなくおかしく見えたアムロは、吹き出しそうになるのをすんでのところで堪えた。
──本来の歴史での彼、テム・レイはガンダムとザクとの交戦に巻き込まれ宇宙空間に長時間放り出された為に酸素欠乏症となり、結果、哀れな最後を遂げるのである──
それを出来ることなら阻止しようと目論むアムロ自身がその危険な瀬戸際の父を、狼狽する父を滑稽、と愉快に感じてしまうのもやや不謹慎な話ではあるのだが、おかしいものは仕方がない。
「大丈夫です、危ないですから父さんは下がっていてください」
489ブタ:2010/04/18(日) 02:24:37 ID:???
(───さて、確かこれを、こうか、問題なく動く、覚えているもんだな、体が)
コクピットのハッチを閉じ、次いで前面のモニターに景色が映し出される。
「こ、こら!?アムロ!!このぉ・・おまえと・・いうやつは・・・!・・・こっ・・の大バカ息・・・・これはっ!このガンダムはっ!連邦の技術の粋を集め・・た・・最新兵・・・決して・・おまえのような子供に扱えるようなもので・・・わぁ!?」
『父さん、本当に邪魔です、前を見てください、ザクがすぐ目の前に迫っているんですよ、このままじゃ戦えません』
やれやれ、と、ガンダムの上半身を、父を気遣いつつゆっくりと起こした後、外部音声に切り替えたアムロは、半狂乱で喚く父に落ち着いてそう言ってみた。
『敵もこちらに気がついたようです、大丈夫ですから、相手はザクです、父さんのガンダムの性能をもってすればバルカンとサーベルだけで十分に制圧できますから、今後の研究の為にも下がってよく見ていてください』
彼の父、テムは何か飛び跳ねたり何なりしてこちらに向かいまだ何かを言っているようではあったが、ガンダムをゆっくりと起動させ立ち上がらせると仕方なしにか少しずつ渋々後退してくれているようであった。
やはりというのか、懐かしくもあり、しかしΖプラス、リ・ガズィ、νガンダムといったような後年、その時代の高性能機体と比べればはっきりとその物足りなさも、たった立ち上がるだけの動作で感じてもしまう。
しかし、先程、父テムが言った通り、連邦軍の持てる技術の粋を、湯水の如く費用を、徹底した高品質の材質、部品を惜しみなくつぎ込んだその非常に完成度の高いこのRXー78ガンダムという機体の味わい深い重厚感や懐の深さは、他の追従を許さない。
性能だの最新の技術の導入だの何だの、そんなある種の安っぽい感覚や感性を度外視するのならば、恐ろしく心地のいい機体だったのだな、と改めてアムロは感じていた。
「やってみるさ、いや、十分にやれる・・・しかし・・・」
至近距離に近付きつつあったジオンの緑色の機動兵器、ザクが一機、こちらが立ち上がるのを確認するやいなや、後退し距離をとった。
「やはりだ、違うぞ・・・なんなんだこの違和感は・・・それにこの感覚・・・まさか・・・・・・ヤツなのか?」
490ブタ:2010/04/18(日) 14:06:12 ID:???
アムロの乗るガンダムのコクピット内に背後からの急接近を示すけたたましい警告音とシグナルが点滅しはじめるのと、咄嗟に前方へ飛び退きギリギリの回避行動をとるのとが殆ど同時であっただろうか。
ほんの僅か一瞬の前にガンダムのあったその空間を凶悪な質量と鋭さをもった赤熱の刃、殺意が上方から斜めに人工の大地に向かい切り裂いた。
機体を斜めに強引かつ滑らかに滑らせながら、そのいかめしい頭部のブレードアンテナと一つ目の他を圧殺するが如き赤色、その手に赤熱した斧型の凶器を握った明らかな殺意のそれと姿勢制御バーニアを巧みにふかし正対するよりも先にアムロは呻いた。
「シャア!!」
と同時に、赤色の殺意の一つ目は左足で地面を強く蹴り上げるとバーニアを急旋回の方向に仕向けまたもやガンダムに向かい突進する形となりながら、今度は下方から右上に向かい赤色の刃をアムロの乗るコクピットに叩き込もうとなぎ払う。
「続きをやろうというのか!?」
何故であろう?ニュータイプ同士の共感であったのか?否?何故かシャア・アズナブルをそう感じたような奇妙な感覚で、模範的なボクサーのような巧みなスウェーバックを披露しその斬撃をかわしながらアムロはそう洩らしていた。
───ガシィン!
次の瞬間、相手が体勢を整えるよりも速くアムロの駆るガンダムは突出し対象のそれと距離を詰め、その凶器の握られた殺意の手に、右のマニピュレーターを拳の形に形成し叩きつける。
衝撃に耐えかねた赤いザクの右手からヒートホークが離れ、歪な回転と飛行を一瞬披露し墜ち人工の大地に突き刺さる。
そして互いの意識と意志が同調したかのように、白色と赤色の人型兵器はあたかも膠着を望んだかのように同時にマニピュレーターを互いに絡め組み合い睨み合った。
「アムロ、だな」
互いの機体同士が接触し「お肌の触れ合い回線」の状態となったことで鮮明に、数刻前には地球の運命を賭けた死闘と私闘を演じていた男の音声がガンダムのコクピットに響きわたった。
491ブタ:2010/04/18(日) 22:17:52 ID:???
「・・・アクシズは、落ちなかったのだな・・・・・きこえているか、アムロ・レイ、4、6、3、だ」
「!??────────」
意図するところを半ば理解したアムロは、通信周波数をそう合わせ言ったた。
「・・・・・わからない、どうなっている?これはいったい何なんだ?」
『──シャア少佐!!─』
人でいうところの力比べといったところの膠着状態を続けていたガンダムと赤いザクの通信回線に割り込む声。
「・・・ここは私一人でいい、スレンダー、貴様は先行しているデニム、ジーンと合流し制圧を手伝え」
『は、しかし・・・』
距離をとり、ザクマシンガンを構えつつも、赤いザクと白いモビルスーツが接近しすぎている為に何もできず逡巡しているのであろう緑色のザクの様が、ガンダムのモニターの隅に映し出されていた。
「かまわん、いけ!!」
『は、はっ!!』
通信に割り込むアムロの記憶にない声の主は緑色のザクに乗る者のものであったのだろう、そのザクは警戒をしつつ徐々に後退しアムロ達から更に遠くへ離れていった。
「貴様はいったい何をしている?!」
「────??!それはこっちの台詞だろう、シャア!!・・・・・あのとき、光に包まれた・・・・そこまでだ・・・これは何なんだ?夢なのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・そうか、貴様も導かれたのだな」
「───導かれた?」
「・・・・いや、戯れ言だよアムロ、同じだ、─────あのとき、アクシズが阻止限界点を越え落下の軌道に乗った、私は貴様に敗れ──付き合わされて──死ぬ、はずだった」
「現実、なのか・・・・これは・・・・・・認めて・・・・馬鹿な、時を越えたとでも・・・有り得ないだろう」
そう口に出して言ってはじめて、アムロは現状を理解しはじめたような、シャア・アズナブルとのここでの奇妙な邂逅が、目の前の出来事を無理にでも理解しなければならないと、そんな気がしてきていた。
492ブタ:2010/04/19(月) 21:43:53 ID:pWvxUCy9
「───認めざるをえんだろう、といったところではないのか、お互いにな、まあ貴様に会ってみてはじめて確信に至った、というのが本当のところかもしれんが」
そんな多分に自嘲を含んだような、らしいシャアの言い回しを流しつつ、アムロは考えにふけて呻く。
「・・・・・シャア、一年戦争だよ、ここで・・・・・親父に連れられ移り住んだここサイド7で俺ははじめてモビルスーツに乗った・・・あのときの、かわらぬ姿のままの俺に・・・意識だけが存在するなんてな・・・」
呻くアムロに、シャアが唐突に、その仮面の奥に潜む眼光を一層鋭く突き刺すようにザクのモニター越しには見えぬアムロを睨みつけこういった。
「覚えているだろう、ア・バオア・クーを、アムロ、貴様にもう一度いう、私の同士になれ」

「────?!!」
反射的に膠着した力比べを、ガンダムのフットペダルを底まで踏み込みレバーを力強く押し込んだアムロは、赤いザクをガンダムのその高いポテンシャルを存分に発揮するかのように押しのけ脱した。
「貴様、まだそんな!!」
アムロのガンダムが飛び退きざまに背部のビームサーベルを引き抜き急速反転突進するのと、やはり同じく後方へ飛んだシャアの赤いザクが地に突き刺さるヒートホークを抜き身構えるのが同時であった。
───ザッ、ギシン、ザキン、ザン、──ギィィィン──
瞬間に数合、互いに、人体で例えるのであれば致命の一撃であろうか、を狙った凄まじい斬撃の攻防を繰り広げたアムロのガンダムとシャアのザクは、今度は僅かに距離をとった。

「アムロ!!そうすればララァも喜ぶ、といった!!感じるか?・・・存在を・・・・貴様はどうおもう?ララァは・・・この世界で生きているとおもうか?」
「・・・・・・・・!!」
直線的な頭部のバルカンを放つガンダムの攻撃を難なく横方向に不規則にザクを機動させながら巧みにかわしたシャアが、そのままの勢いで再度ガンダムに迫り、互いの機体はその手に握る武器を鍔迫り合いの形にしまたもや膠着する。
493ブタ:2010/04/21(水) 18:26:11 ID:???
携帯しかないんでちょっと今ドコモ規制に引っ掛かって書きたくても書けない状態です
このレスは代行人に頼んでレスってる状態す
もしも需要が少しでもあるのなら規制解け次第投下再開しようとかおもってんですけど
どうですかね?
494通常の名無しさんの3倍:2010/04/21(水) 19:48:15 ID:???
需要あるよー
495通常の名無しさんの3倍:2010/04/21(水) 20:06:48 ID:???
一文が長すぎるために句点が多すぎるので
読みづらいし意味が解りづらい。
台詞の羅列では情景が想像できない。

あとなんか膠着しすぎw
496ブタ:2010/04/21(水) 21:19:05 ID:???
需要ありとか嬉しいよ
だいたいのendまでの大ざっぱな構想はできてるんで早く書きたいす
ただ、すまんね、見ての通り、そこらのいっぱしのSS作家や作家志望のヤツらみたいにまともな文書けるほど学校でお勉強もしてないし、才能もないんですわ
しかも、もしもしだし、読み辛さの解消とか表現描写の力量不足とかはちょっと期待にはこたえられんとおもうw
その場で文考えて書いてそのまま書き込みしてるしw
497通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 13:18:28 ID:???
だが面白い
498名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/06(木) 20:46:00 ID:vNcjWgiw
[session19]

 夢から覚めた。あの時選んだ私のまま、私はここにいる。確かなのはそれだけで、あのときなりたかった私には、まだ届いていない。
―人を好きになることがどういうことか分かっても、そこからどこにいけるのか。これは、誰に聞いてもわからない。
とりあえずウラキさんといれれば、それだけでいい。嘘。なら私の本当は?

 「やっと眠り姫が目覚めたな」
 「で、貴君は何を目的に来られたのかね?グラハム少佐」
 「趣味で身を滅ぼす者同士、もうすこしお手柔らかに願いたいものですね。ギニアス技術少将閣下」
 「…それを認めるのは、わが生涯で2番目の苦痛だな」
 「ほう?では一番目は?」
 「母親の正体を知った時だ。妹が連邦の男と駆け落ちしたこともあるが、それほどでもなかった」
 「閣下は何をなさりにここへ?」
 「彼女のMSをもとに、新兵器を作っているのでな。それはそうと、貴官は?」
 「プサン基地に転属になって、木星から帰ってくる途中です。折角だから、ギレン・ザビの手によるガン
ダムとはどういうものか、見てみようと思いまして」
 「センチュリオ・シリーズはガンダムではない。ナノマシンやらサイコフレームやら最先端のテクノロジーが
惜しげもなく詰め込まれているという点では近いかもしれないが、ガンダムと形容するには、信頼性が高すぎる。第一、目が一つしかない」


 好きなもののためになら何だってできる人たちが、私のそばで何か話している。私は…どうしたいんだろう。自分でウラキさんを押しつぶして、
好きにして、ぐちゃぐちゃにして、そうでなかったらウラキさんにそうされて…ずっとそんなことばかり考えている。私は人間じゃないから、
そんな事を考えるのだろうか。そんな私を、ウラキさんはきっと気味悪がるだろう。…あの時守ってくれたのもきっと、そんなことを知らないから、
長い間知り合いでいるから、それだけなのかな?考えるだけで、胸が痛くなる。もういやだ。寝よう。もう起きなくてもいい。

 「またすぐに寝入ってしまったか」
 「彼女の機体に新しい名前を付けたが、いつ教えられるやら。。それはそうと、プサンということは≪帝国≫を…?」
 「全力で黙秘します」
499名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/06(木) 22:27:41 ID:???
[session 20]

 「…そんな事を考えていたらしい、全く鈍感もあそこまで行くと犯罪だな、そうは思わんか?シグ」
 「そう言うことは本人が視界に入らないところでいってくれないか?セラ」
 シグ・ウェドナーはサイド3への異動と同時に大尉に昇進し、各コロニーに一つずつつけられている警備大隊の情報将校に任ぜられていた。
彼の担当は技術であり、ジオニック勤務の「ヤシマ作戦」で一躍名をはせたコウ予備役大尉とはエゥーゴ以来の旧交を再度温めることを希望していたのだった。
 ディー・トリエルが退院した日、彼ら3人は待ち合わせて買い物にい出かけた。快気祝いに軽いパーティーを開くためである。
 「しかし、ギレンという男は本当にスケールのでかい政治家だったんだね」
 手に持ったサバの缶詰を眺めながら、ウラキはシグに漏らした。
 「そうか?ここじゃこんなもの、珍しくもなんともないが」
 「サイド2じゃちょっとした高級品だったんだ。連邦から食べ物を買わなくて済むようにするためとはいえ、コロニー一つ海水で満たすなんて、全く頭が下がるよ」
 「流石世界一の美食民族だけのことはある、目の付け所が違うな」
 絶対零度の視線を向けつつ、セレイン・イクスペリはいった。
 気にせずウラキはカートをすすめる。中には白菜、大根、豚バラ、長ネギ、それに酒しか入っていない。
 「…これだけでいったい何を作る気なんだ、何を?」
 「白菜鍋だ。簡単でうまい」
 「…コンソメスープをもらったのだが、味付けに使っていいか?」
 「面白いかも」

  〜注意!ここからブーン小説になります〜

 
 (´・ω・`) 白菜と豚バラ肉を食べやすい大きさに切って、層を作るように鍋に入れる。
        後はコップ一杯の水を入れて火にかける、それだけ。僕はそれにネギも入れたのが
        好みだけど、そのへんは好き好きで。水を切った大根下ろしとポン酢を混ぜてタレを作る。
 ( ,,゚Д゚)  …いくらなんでも手抜きすぎるだろjk。
 川 ゚ -゚)   自分じゃ全然料理しない身で偉そうなことを言うな。…だがそれにデザートがコーヒーゼリー
        か、漢らしいにもほどがある。いいのか、それで?
 w*゚ ‐゚ノv   …ン…
 川 ゚ -゚)   そうか、なら文句は言うまい。
 ( ;゚Д゚)  今ので何が分かったんだァァッッ!
 川 ゚ -゚)   人造人間なめんな
 (´・ω・`) 煮えてきたよ。所で例のコンソメというのは…
 川 ゚ -゚)つ流ザパー
 (;´・ω・`)あああ駄目だよ勝手に入れちゃ!どうしよとりあえず味見を…って (;゙゚'ω゚'):グフゥー
 w;゚ ‐゚ノv   …ッ!
 ( ;゚Д゚)  おいどうしたいったい何を入れた!
  川 ゚ -゚) ちょっとお灸をすえてやろうと思ってな、ジオニックでアナベル・ガトーからもらったんだ
       
               ド ー ピ ン グ コ ン ソ メ ス ー プ を

(;゙゚'ω゚'):あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!
川 ゚ -゚) こんなところにピンク髪のお姫様はいないぞ
( ;゚Д゚) お前もう黙れ!大丈夫かウラキ大尉!?なんか人相まで変わってきてるぞ!
(;´・ω・`)ううっうぅうう!!…(`・ω・´) シャキーン
( ;゚Д゚) 見ろ本当に別人になっちまった!
川 ゚ -゚) おお、プラチナブロンドの髪に蒼氷色の眼…これ程の美男子は銀河系にも二人といないだろう
      だが全身から漂う童貞臭が余計きつくなったのは何故だ?
(`・ω・´) …俗な名だ、ジークフリートなんて
( ;゚Д゚) 失礼な!親からもらった名を!
(`・ω・´)核攻撃は必死で止めようとしたんだーー!!!知っててやらせたんじゃないーーーー!!!
( ;゚Д゚) 言ってることがわからねェヨォォォ!!
(`;ω;´)死ぬなアアア赤毛ののっぽーー!!!
( ;゚Д゚) アンタの方が背ェ高いだろうが見てわからんかーー!!!
川 ゚ -゚) きが くるっとる まぁ見た目がいいだけこっちのがマシか?
w;゚ ‐゚ノv …フルフル…
川 ゚ -゚) よくもまあロクデナシに惚れ込んだものだ。私も人のことは言えんが。
500通常の名無しさんの3倍:2010/05/13(木) 18:02:24 ID:???
キリ番アゲです・・・
501通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 19:23:53 ID:???
ミアンはどうした
502通常の名無しさんの3倍:2010/05/21(金) 23:08:26 ID:???
ほしゅ
503名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 21:54:53 ID:0cOKt4Wc
[session21]

 「女の子、売るよ!」
 シャングリラ・コロニーのスラムには似つかわしくない、薄暗い、上等の調度品を整えた、ルゥム・ボッサ
の流れるバーに、スパムメールの暗号に吸い寄せられた陰気な中年男が入ってきた。奥の仕切りで彼を待ち構えていたのは、如才ない、見かけの割に老けた声をした少年であった。少女が二人、奥に座っている。
 「処女かね?」
 黒い少女は顔を紅くして小さく頷いた。白い少女は動ぜずゆっくりと首を横に振った。
 「惜しいな。だがどうとでもごまかしは利く…なにより上玉だ。気にいった。キャッシュで5万だそう」
 「10万だ」
 少年が直ちに異議を挟む。結局、8万で折り合いがついた。
 
 薄暗い開放ダクト(コロニーの港部によくある気密されていない宇宙船用運河)を、中年男と少女二人
はノーマルスーツを着て横切っていく。少女は二人ともスーツケースをてにもっていた。300m遊泳して対岸についた。エアダクトを開け、侵入する。
入った先はサイド6当たりから密輸入されたと思しきトリップ・シガー(要するにアヘンである)の煙が
立ち込め、ピンクの室内灯が眼を眩ます健全な社会人全てが拒否反応を起こしそうな怪しげな部屋
だった。
 「連れてきたぞ」
 「おや美少女ぞろいじゃないか。稼げるな」
 中年男がやや年下の男と言葉を交わす。
 「ええっと、名前は…」
 だが眼をそらしていた一瞬の隙に、二人とも姿を消していた。
 白い少女は、二人の男の心を掌中にしているかのように巧妙に、黒い少女の手を引き、テーブル、
カウンター、椅子の下を掻い潜り、奥の廊下へと侵入していたのだった。
 入って3番目の扉を開ける。
 「これはひどい」
 白い少女は呟いた。黒い少女は、眼をそむけている。彼女らよりもずっと年少の少女が、老人の醜悪
な裸体に、見るもおぞましい奉仕をしていた。
 「おい何をしてる!」
 遠くから叫び声が聞こえる。老人は何の反応もない。痴呆だとは、部屋に入る前から白い少女は
理解していた。
 「向こうはまかせました」
 「は、はい!」
504名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 21:55:43 ID:0cOKt4Wc
[session22]

 黒い少女は、自分のスーツケースを開けた。サブマシンガンの名品、UZIである。
 「ごめんなさーーーい!!!」
 謝りながら弾丸を廊下にばらまいている。その様子に安心した白い少女もまた、自分のスーツケースを
開けた。AK74を手早く組み立て、排泄器官に与えられる快感に恍惚となっている老人のこめかみに、
銃口を押し当てた。さすがに驚いて顔を銃口に向けてきた。即座に銃を回転させ、銃床で顔面に強烈な
のを一撃くれてやる。
 爆音が聞こえた。
 「ますたーはどう、したの…?」
 「貴方に御主人(マスター)なんかいないの。もう誰にも、貴方を苦しめたり、痛いことをしたりなんてさせませんから、安心して、マリーダ」
 白い少女は銃のスリングを肩にかけると、ためらいなく、先ほどまで見るもおぞましい行為を行っていた
オレンジ色の髪をした全裸の少女の唇に、自分の唇を重ねた。
 「……なあ、とりあえず二人ともシャワー浴びた方が良いんじゃないか?いやその前にうがいだな」
 少年の老けた声が、部屋の入り口から投げられる。
 「ですよねー」
 白い少女は答えた。苦笑を返すと、少年は部屋にあった固定電話を手に取った。
 「ああ、4番隊隊長?終わったから。つかやだねこういうの。じゃ、恐喝写真と客の財布と機械、約束通り持ってっから。んじゃね〜」

 電話の向こう、赤い戦艦の中、茶髪の少年は通話モニター(但し、先ほどの通話では映像は映らなかった)のスイッチを切り、ため息をついた。
 「シャクティになんていえばいいんだよ。そして連絡士官として派遣されただけの僕が、どうして4番隊
隊長なんて呼ばれているんでしょうか?」
 一人愚痴ると、ブリッジに通話を始めた。総帥は満足している。

 「戦利品の件、よろしいのですか?あれでは与えすぎかと」
 「構わんさ。これがデュオ・マックスウェルならその場にいる全員の尻の毛まで毟っていくだろうし、ジュドー・アーシタなら売春宿ごと持っていくに違いない。安くついた方さ、まだ」
 「さほどの大物は、予想通り居ませんでした。なぜこれほどのリスクを冒してまで……」
 「最強のニュータイプのたっての希望だ、彼女は、味方につけておきたいからな。それに」
 「それに?」
 「いや」
 総帥は黙ることにした。ずっとついてきてくれた優秀な秘書兼愛人の胸を痛めまいとする、彼なりの
優しさではあった。
 (全ての少女に幸せを、が私のモットーだなんて、言えやしないじゃないか)
505名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 22:05:55 ID:???
[]訂正
>>503>>504の間に挿入

白い少女は涙をこらえきれなかった。眼前の光景と、彼女と声が老けた少年との毎夜のプライベート
な営みとの落差に。
506名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 22:35:24 ID:???
しまった!同じ個所にもう一つ訂正

この時代、ボディチェックといえばビームガンの放射能(電源をオフにしていても
若干の放射線を出す)チェックであり、クラシカルな実弾兵器は見逃されがちなのだ。
507通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 22:11:30 ID:???
508通常の名無しさんの3倍
マリーダさんキターーーーーーーー
まさかのマリーダの過去からの展開だな
華麗に救出され、そして…フヒヒヒ

って、シャクティがこんなに行動派であるわけはねぇだろwwwww
あ、そういえばシャクティがGジェネDSのSP007クリア後にしか登場しなかった
活躍できるのはちょっと驚いたわ