1 :
通常の名無しさんの3倍:
SS書いた(書きたい)んだけど、投下先がない時にお使い下さい
素人玄人なんでも来い
2
3 :
通常の名無しさんの3倍:2007/12/31(月) 08:35:04 ID:jRBtpal8
はじめての3ゲット
4 :
通常の名無しさんの3倍:2007/12/31(月) 08:35:49 ID:jRBtpal8
続いて4ゲット
5 :
通常の名無しさんの3倍:2007/12/31(月) 08:37:00 ID:jRBtpal8
まだまだ5ゲット
GジェネDSで書いてますが、出来たら投稿しておk?
俺も一年戦争物書いてる
ミリ色強め
出来たら投稿したいけど、いつ出来上がるのか……
ほす
執筆中ほす
とりあえず出来た分だけ。
SD Gundam G-Generation DS Appendix Session:序(ついで)
Prologue
サイド3に土を納入した業者は良心的だったらしい。
元エゥーゴ所属連邦軍中尉、現ジオニック社民生MS開発部実地試用課サイド3主任コウ・ウラキが
見ず知らずの民間人に殴られて倒れたときにまず思ったのはそのことだった。地球の連邦軍士官学校
校庭の土の感触を、彼はラグビーをやっていたためよく覚えていた。コロニーでその懐かしい感触を
思い出すとは予想外だ。お陰で、路地裏で突然殴られたという状況を一瞬忘れた。
「連邦の蛆虫!!」
そう喚く痩せぎすの中年男の顔色は、明らかに泥酔している。黙って殴られておこうと思ったとき、
その男の姿が視界から消えた。大きな音が同時にしたことに気付くのが、遅れた。
「貴様もジオン国民なら、もっとマシな屈辱の雪ぎ方を見つけられる筈だ」
男性的な声の模範とすべき冷静な叱咤が街路に響く。それだけでアナベル・ガトーだと気付く。
不揃いな足音が闇の奥へ消えていった。中年男の背中に泥で形作られた足跡が見える。
「武器を捨てる、という覚悟はいいが、心配する者もいるぞ」
二つの影。一つが飛び出して、倒れているウラキの脇に膝をつき、軽い痣の付いた顔を覗き込む。
「たっくこの娘が大慌てで飛び込んできたと思ったら、黙って殴られてるなんて、タマ付いてんのか!」
路地の入り口に佇んでいるシーマの声がする。
「助けられたんだから有難うぐらい言ったらどうだい!」
そういうと彼女のカツーンとしたハイヒールの音が響き、遠くなっていった。
少女の目は幽かに歪み、赤い瞳はじっとウラキを見ている。そんな心配そうな顔をするなよ、
声をかけようとしたが、口の中が切れて、言葉にならない。
1st scene
木星帝国のドゥガチ総帥が大気圏で燃え尽きた一ヵ月後、ウラキ中尉はロンド・ベル臨時司令ブライト・
ノアに辞表を提出した。引き止められる謂れはない。連邦・ジオン・アクシズ・ブルーコスモス・ザフト・
OZ・ネオジオン・ムーンレイス等等、誰も名前を覚え尽くしてはいない程多くの勢力が入り乱れた戦いは
急激に終息していた。残党狩りも、ほぼ締めの段階に入りつつある。彼は自分がそれなり以上の腕前を持っ
ていると自負してはいた。しかし、ニュータイプ、と呼ばれる人種には勝てないとも認めていた。
真空を伝う脳波を察知し、生身の肉体以上にモビルスーツを操る新人類。だが、彼らの多くはモビルスーツ
操縦以外の分野では驚くほど能力が低い場合が多かった。整備・開発にもタッチした事がある自分が席を
空けるべきだと、決意したのである。理由はもう一つ有る。
「少し羨ましくもあるな、正直な話」
ロンドベルの背骨は意外なことを言う。
「俺は、ハロを作った時以上に楽しいと思ったことは無い。そんな風にモビルスーツを開発したかったんだがな」
というとアムロ大尉はウラキと共通の故郷のサケを口の中に放り込み、飲み下した。
昔読んだアングラ文書とは違うな。ウラキは大尉の成長を実感した。ウラキの実力が、必要欠くべからざるという
程のものではない、と分かっていても、色にも出さず、おだててさえいる。
「自分はもう、これ以上モビルスーツを嫌いにはなりたくないのです」
一升瓶からぐい飲みに注ぎ、一口だけ飲んでから、応えた。
「小官にとっての人生最大の感激は、士官学校をでた直後、パイロット過程で始めてザクのシートに座ったときです。
しかし、本来モビルスーツは宇宙開発の道具であって、兵器では有りません。これ以上軍でパイロットを続けていたら、
その感動ですら、忌まわしい物になりそうな気がして」
「それで、民間に行きたいなんて言い出したのか」
「勝手な申し出であることは承知していますが…」
「いいさ。そういう気持ちは俺にも分かる。長いことパイロットをやっているとな、潰れるのもおおいのさ」
酷く重大で痛いことを努めて淡々という口調が、人気の少ない士官クラブに響く。
「どんなことをやりたいんだ?」
「実地でモビルスーツを扱いつつ、それを研究開発にフィードバックさせるような作業が出来たら、と考えてます」
「確かに君には向いているな。知り合いで機械工学に詳しいパイロットを探しているのがいるから、連絡する」
「是非お願いします」
辞表を出した3日後に戦闘部長に誘われて以上のような会話を交わし、さらに2週間後、彼はサイド3にいた。
アムロ大尉とも繋がりの深いアナハイム社に入るものと思ってはいたが、まさに復興の途上であると、詮索はしなかった。
とはいえ、もう一つ与えられた仕事については納得しきれなかったのだが。
乙
なかなか文章は上手いと思う
期待して待ってます
/2nd scene
出発の3日前に、再びアムロから呼び出された。午後というのに士官クラブは閑散としている。
皆が自分の場所へと戻ったのか、と強く思った。
「ディー・トリエルな、サイド3に帰す事にしたから、連れてってやってくれ」
「いいですよ」
「それと、向こうで生活の面倒も見てやって欲しい。身よりもいないし、ニタ研も予算が削られて苦しいらしい」
「は?」
何を言ってるのか分からない。
「ええっと…彼女は女ですが」
「女だから彼女なんだ。男だったら彼とよんでいる」
「誤魔化さないでください、異性に面倒見させるなんて何考えとるんですか!あっちにはシーマさんとか女もいるでしょ!」
「彼女はジオン共和国軍艦隊勤務だ。そんな仕事は頼めない」
「ライデンさんとかマツナガさんとか、家にメイドがいそうな人もいるじゃないですか」
「駄目だ。あのラインだと、情報が漏れる可能性がある」
「どんな情報が誰に漏れるんですか」
するとアムロは一瞬黙り、全人類の苦悩を背負った上に原液の青汁を一息に飲み下したような表情でカウンターを睨み、
吐き捨てるように答えた。
「…シャアが生きているらしいんだ」
「そりゃそうでしょ。大尉が生きているぐらいなんですし」
ウラキがいっているのは、「シャアの叛乱」―ギレン・ザビ近衛レギオン部隊との戦いの直後、ロンド・ベルの前身
であるエゥーゴから姿を眩ましたクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルが地球全体に対して挑んだ戦いの、
末尾を飾る一つの奇跡的な出来事である。シャア率いるネオ・ジオン軍団は壊滅するも、アースノイド全てに対する
死刑執行であるアクシズ落としは成功したかに見えた。しかし、土壇場になって超自然的現象によりアクシズは
地球から離れていったのだ。愛機νガンダムでアクシズを押し返そうとしたアムロ大尉は救出された。が、愛機サザビー
を破壊され脱出ポットをアムロに捕獲されていたシャアは、騒ぎが落ち着いて彼を探そうとする暇人が現れたとき、
初めていないと分かったのであった。死体も見つからなかった。
「あっさりというなあ」
「超常現象の類にはもう慣れました。で、それと僕が彼女のお守りをするのと何の関係が?」
「あいつはロリコンだ」
「常識です」
「一々混ぜっ返すな。ともかくヤツの毒牙から彼女を守るためだ。マツナガ氏かライデン氏の邸宅に預けるというのも
考えたが、何しろシャアの戦友だ。結託するか幻惑するかして彼女を…。そんな訳だ、責任重大だぞ」
「はぁ」
「それに、彼女は君に懐いてもいるしな。君は迷惑か?必要な手当ては用意させるぞ」
「別に、迷惑なんて事はないですよ。妹、とまでは思っていませんが」
「その内思うようになるさ」
Gジェネか。
なまじ知っている名前なせいで混乱するなw
それはそれとして、台詞だけを並べるのは程々に。
誰が喋ってんの?その辺の通行人?
/3rd scene
不慣れな仕事を一つ抱えることになった。ウラキの脳内でシャアに対する格付けが4ランクほど下がり、軍法会議で
彼に有罪判決を下した法務士官以下となる。
ふと、トリエルとであったときの事を思い出した。
人類が宇宙で生活することで、新たな可能性が拓けるのではないか、という憶測は長年細々と息づいてきた。それが
オカルトの殻を破ったのが、一年戦争においてである。しかしニュータイプの登場は、強化人間という副産物を産んだ。
シャアの叛乱当時は技術も進みそのようなことは無かったが、グリプス戦役においては極度の情緒不安・記憶の錯乱を
被強化者に強いたのである。
そういった不幸な革新の一つに、マシンチャイルドがある。古くは中世期海軍のデータリンク―各艦艇のマザー・
コンピュータを緊密にリンク・同期させることで、艦隊をあたかも一つの艦であるかのように統一的かつ自在に操るー
にまで遡る発想を基にした物だ。時間軸歪曲転移によって黒歴史の回避を図らんとしたムーンレイスの先遣隊が
ギレン・ザビ指揮下の部隊に捕まった。そこから得られた技術を応用して作られている。
このシステムはマシンチャイルドとセンチュリオ・シリーズと呼ばれるMSからなる。前者はナノマシンによって
高速に培養された、MSの運用に特化し、護身程度の戦闘能力を付与されたサイボーグ肉体を持ったパイロットである。
最大の特徴は「自我」というものを持たないことだ。それにより各個体が一体となり、極めて効率的な集団戦闘を実現
した。後者は彼女達の搭乗機だ。月光蝶を応用した技術によって、マシンチャイルド―ギレンの兵団ではレギオンと
呼ばれていた―の呼びかけに応じ、周囲にある物質から数分で構成され、姿を現すという信じられない機能を実装している。
ディー・トリエルはレギオンの開発過程で生み出されたプロトタイプである。当時は試作D号、或いはDトライアルと
呼ばれていた。要求性能を満たせず破棄されかかっていたところを、彼女に自我が芽生えているのに気付いた
研究員に「戦い続けて自分の人生を見出せ」とプログラムされた上で逃亡させられたのである。研究員は彼女の
預け先にエゥーゴを選び、勤務先であるサイド2の最寄のエゥーゴのアジトの近くで彼女を放した。その意図
は成功したが、研究員のその後は杳として知れない。
トリエルを最初に発見・保護したのはウラキだった。当時彼はモビルスーツ整備工場で勤務し、エゥーゴから
勧誘を受けていたところだった。彼のパイロットとしての経験、『星の屑』作戦における抗命により1年の懲役
を宣告され、数ヶ月で罪状消失で釈放・除隊、という経歴に期する事あってのリクルートである。彼自身は軍隊
にも戦闘にもうんざりしていたところだったが、偶然がそれを許さなかった。
/4th scene
その日の夕方、例の如く手早くノルマを片付けた彼は、日課のジム通いの後、気分を変えて隣町の酒場に行こう
と3276通りを歩いていた。それが分かれ目であった。彼自身としても、すぐ側の見知らぬ少女を銃弾が掠めるの
を眼にして、軍隊時代に植えつけられた本能によって即座に彼女の手を引いて路地に連れ込んだときには、流石に
そうと気付かなかったのだが。
「警察に電話を…ってえぇ!?」
路地の入り口から踏み込んできたのは警官だったが、彼らの構えたライフルから伸びるレーザーポインターは
ウラキ自身の胸に集中していた。またもや本能的に身をかがめるや、脇にあった丸い金属製のゴミ箱を転がした。
金属音と銃声が飛び交うのを尻目に雑居ビルの裏口に転がり込む。自分でも後で考えてなぜそんなことが出来たのか
分からないが、咄嗟に地下(コロニー外殻部)に通じるライフライン・パイプへの鍵を持っていた工具でこじ開けて
潜り込んでいた。
消されかねない人物であるとは自認していたが、抵抗もせず死ぬのは納得できない。
「追ってるのは僕らしい。君は今来た道をもどるといいよ」
「……?……!!…」
彼女は口をつぐんだまま、ウラキの袖を掴んでいた。表情からは拒否の意思らしいものが読み取れる。
「…物騒なご時世だからね、そういうこともあるか」
彼はそういって今までの平穏な生活に別れを告げると、エゥーゴのリクルーターに指定された専用回線で連絡を
とり始めた。やや興奮気味な相手に緊急事態であることを告げ、指示を仰ぐ。すぐさま行き先を指定された。
これも運命か、などと呟きつつガス・電気・通信等のパイプの隙間を匍匐前進し、アジトへと向かう。
携帯ライトを付けて前方を観察した後、彼はその少女の顔をよく見ていないことに気付き、後にライトを向けて
見た。
驚くほど幼い面立ちの上に淡くブルーに輝く髪と、意外に太い眉。そして赤い瞳。
乙です。続きを期待してます。
/5th scene
全身を埃まみれにした二人を迎えたのは、意外にもかつてのウラキの上官であるサウス・バニングであった。
「良く来たなウラキ、では逃げるぞ」
「…すいません、この機体は動かせません」
「俺もだ」
エゥーゴのアジトはコロニーに無数に開けられた外部への穴の一つに隣接して設置されていた。モビルスーツを
直接エントリーさせ、整備・保管する小さなポートである。間の悪い事に、その時本部から送られていたのは、
いかなる手違いによるものか、最新型―つまり多くのパイロットにとって馴染みの無い―の黄金の機体、MSN-100こと
百式であったのだ。
やっとの思いで出港したものの、設計思想が斬新すぎたため、神ならぬ二人の操作は稚拙だった。今にも追ってきた
2機のハイザックの射程に捕らえられかかった時
「……!…」
ああでもないこうでもないと怒鳴りあっていた二人からトリエルが操縦桿を奪い取るや否や、近い方の敵機に
ビームライフルを命中させ、そのスキに近接してヒートホークを横から薙ぎ払おうとしたもう一機にバルカンを
浴びせてバラバラに引き裂いた。
「…誰だ?いやそもそも何だ?それ以前に一体どういう理由で?」
「自分の方が教えてもらいたいぐらいです!」
二人とも進展の速さに激しく混乱していた。只一人冷静そうにしていた奴はというと
「君、名前は?」
「…?」
「首から名札が下げてあるぞ、ウラキ」
「幼稚園児?見たところ中学生っぽいですけど」
喋らなかった。
そして3人はバニングの操縦でエゥーゴサイド2本部がある11バンチに入港した。そこの責任者もウラキのかつて
の上官だった。エイパー・シナプス大佐。ティターンズ内部に自らを消そうとする動きがあることに気付き、バニングを
はじめとする同調者とかたらって乗艦アルビオンごとエゥーゴに参加したのだった。もう一つウラキとの再会を待って
いたのが、シナプスの脱出時にたまたまアルビオンと接続されていた、デラーズフリートとの戦いの後半での搭乗機、
GP03デンドロビウムである。
それからウラキとトリエルは流されるようにしてエゥーゴへ参加し、それぞれに慣れている物を、とウラキには
デンドロビウムが、トリエルには百式が専有として与えられた。一月の訓練後、ウラキ・トリエル・バニングは急遽
アルビオン隊に編入され、アーガマを中核とする友軍と合流すべく、月面都市アンマンへの途に就いた。
―そして、全地球圏を巻き込む半年間の戦いが始まる―
今日初めて見たけどおもしろい。続きに期待
てかシャアw
/6th scene
サイド3での生活は、表面上は滑らかにスタートした。一年戦争に備えてのジオン軍増強から始まった民間モビルスーツ
パイロットの徴兵、そして消耗は、数年に及ぶ戦いの連続でコロニー維持の限界を割っていたのだった。数多くのコロニー
が閉鎖されていた。ジオン共和国としても戦後復興の為パイロットのレンタルを連邦に強く要請はしていたのだが、この
現象は全地球圏において深刻な物となっていることは誰の眼にも明らかであった。戦闘能力・生残性において大きな優位を
見せたニュータイプ・強化人間の活躍が期待されたが、彼らの優位性は敵パイロットの心理を読む事にこそ有り、更に
どこの職場でも重大な失点とされる欠点―コミニュケーション能力不足―が多く見られたことも祟り、彼らの大多数は
軍に残るか、出戻る場合が多かったのだ。
そういった訳で、将校としての正規教育を受け最低限のリーダーシップを持ち、人並み以上に付き合いやすい相手で、
なおかつ操縦・整備・開発に一通りタッチしているウラキがそれなりの歓迎を受けたのも当然である。
とはいえ、旧ジオン公国国民のアースノイドに対する反感はその程度の事で緩和されるほど安易なものではなかったのだが。
物資の搬入・倉庫管理(無論MSを使ったものだ)という、軍ではパイロット候補生すら嫌がるような初歩的な
雑用から、コロニーの穴塞ぎ(大掛かりかつ繊細な作業が要求される難しい作業なのだ)まで、彼の行うべき業務は
極めて多岐に渡った。その上与えられた機体は壊れかけのザクTである。かつての練習機よりも古い物で作業しなければ
いけないことについて複雑な思いも無いではなかった。外の作業員の場合も大同小異ではあったが、彼に与えられた機体
は古く傷ついているという点で際立っていた。
それでもウラキは、少なくともロンド・ベルにいた時以上には活き活きとしているように見えたし、周囲と比して
優秀でもあった。要するにモビルスーツが好きだったのである。故に専有機体の修復と改善を楽しんで行い、やりつけない
作業にもすぐ慣れることができた。パイロットというのは元来が開けっぴろげで気のいい連中で、彼が熱心かつ合理的な
労働者である事が分かるとすぐに胸襟を開き、しばしば仕事帰りに飲酒に誘うようになった。
仕事を除く彼のサイド3における日常がそう気楽でなかった理由は2つある。一つは、懸念していた通りに人種的な
理由で一般人とは同僚ほど簡単に打ち解けられなかったという事。もう一つは、同僚の誘いの3回に2回は断らなければ
いけなければならなかったという事だ。無論、トリエルが原因である。
彼女自身がウラキを束縛するような事は一切無かった。しかし、それ故、彼は余計にトリエ(エゥーゴで彼女はそう
呼ばれていた。とはいえ彼女と接触する人物自体、希少なものであった)を気にかけるようになった。戦闘行為(軍での
生活、ではなく)に嫌気が差すような性格や、サイド3での働きぶりから分かるとおり、彼は本質的に善人であった。
故に、深酒したある金曜の夜、部屋で彼を待っていた淋しげ(ウラキにはそう見えた)な紅い瞳を忘れられなかったのだ。
そのような性行は必然的に彼を女性から遠ざけていた。周囲に歳の離れた妹だと説明した結果
「度を越したシスコンらしいから確かめておいてくれ、と部下がいっていた。何と返事しておこうか聞いておきたい」
ガトーにもそういわれた。
ウラキは紫に腫れ上がった頬を擦りつつ、
「こういう状況なら誰だってこうなる、とでもいっておいてくれ」
幽かな声で、答えた。
/7th scene
そこはかつてジオン公国軍士官が好んで溜まり場にしていたバーだった。一年戦争末期にマスターが徴兵され、その後
行方不明となって閉鎖されたままだったのが、シャアの叛乱の時にマスターの遠縁という者が浮ついた空気に乗じて再開し、
シャアの敗北後も営業を続けていたのだ。常連客はほぼ全てがジオンの古強者で、人数は少なかったが長居するうえに
手柄話に酒を必要とするためそれなりに儲かっているようだった。もっとも、日系人である現マスターの趣味であるらしい
篳篥・琵琶・筝・十七弦・尺八による宇宙式モダンジャズの即興生演奏については意見の分かれるところではあったが。
その晩、海兵隊の人数を工作に割いてくれないか、との要望をシーマに届けるため、彼女の行きつけであるそこにガトー
がやってきた。そして、ウラキが殴られている事を知らせるためにトリエが飛び込んできたのだ。特に同性に対しては
面倒見のいいシーマは何かあったら夜は大体そこにいる、とトリエにその店を教えていたのだ。
ウラキの話を聞いてやろうと、路地裏の一幕の後ガトーはトリエをシーマに預けて店に連れ込んだ。ガトーは指揮官として
の経験も長く、長期間月に潜伏するなど苦労人であったため人情の機微を心得ていた。理不尽に耐える男を見捨てては
置けなかったのだ。しかし、一通り鬱憤を晴らさせてやった後には自分の好奇心を満たさざるを得なかったのだが。
「しかし、貴様はよくやっている」
「お前が人を褒めるなんて珍しいな」
「いや、工兵隊の連中の間では評判がいいぞ。それに、変わってはいるが女と暮らしていられるのだからな」
「女は苦手なのか?シーマさんは、どっちかというと付き合いやすいほうだろ?」
「そんな事は無いぞ。あの女狐と来たら時勢の変転も理解せず、子飼いの部隊を後生大事に抱え込むつもりだ。
今どれだけコロニーの維持が大事か分かってないのだ。いやそれ以上に酷い女が月に…」
「どうした?お前が落ち込むなんて、珍しいな」
「よせ思い出させるな。悪酔いしたくなる」
ガトーの眉間に深い皺が刻まれた。
「…今日はもう帰ろう。そうそう、新しく考えた武器のアイディアがあるんだ。こんど見てくれ」
「…」
余程嫌な事を思い出しているのか、片手で額を押さえたまま、ガトーはもう片方の手で別れを告げた。
乙です
今宵も期待してます
/8th scene
次の日、ウラキは風邪をひいた。
普段通りの時間に起床する事はした。しかし、すぐに頭の奥の方に痺れを知覚し、次第にそれは広がって
頭痛に近い物となった。軽い寒気を伴い、食欲も無かったので朝食は暖めなおした白米と味噌汁のみで済ませる。
トリエルのためにそれに加えて生ハムを刻み込んだサラダを一皿だけ用意した。
食事中から既にトリエは表情に不安そうな色を見せていた。普段であれば、ウラキは必ずハムエッグか焼き魚を
朝食に食べていたからそれも無理は無い。
「大丈夫だって。士官学校で習った事の一つに、走れば治る、というのがあって…」
頭がぼやけてそれに続く言葉が思いつかない。彼女の顔を見慣れているウラキでなくても、心配していると分かる
表情が視野を突き刺す。それでも必死に背中を丸めまいと虚勢を張りつつ玄関に向かう。
「今日休んだら、昨日殴られて逃げた、なんて噂が立つかもしれない。何のためだったんだ、これまでのことはぁ…」
右膝がガクッと折れる。不意に、力の抜けた右腕が柔らかい物で締め付けられた。
トリエルが両腕でウラキの右腕を抱き締めていた。細い腕と柔らかいが薄い胸の感触に、全力を出しているらしいが
今のウラキでも簡単に振りほどけそうな圧力が痛々しい。懇願するように眉がハの字を形作り、上目遣いの赤い瞳は抗議
するように歪んでいる。
「分かったよ、今日は休む、だから…」
倒れる音が聞こえた。自分が倒れたらしく、右肩が痛む。トリエルがベッドまで連れて行こうと袖を引っ張っている。
自分でいける、言おうとしたのを最後に意識が途絶えた。
気が付いてその声を聞いたとき、ウラキは銀河に蛇行する龍の如き驚きに襲われた。
「ようやく目覚めたようだな、コウ・ウラキ」
「あ…!…!!!…?…!?」
「その様子なら大丈夫だろう。もう少し休むといい」
カタ、と二つのマグカップがサイドテーブルに置かれる音がした。お盆を持ったトリエルがウラキの個室から出て行く
後姿が見える。
「良い女になった。よくああも育ててくれたものだな」
慌ててお茶を飲み干して、口の乾燥と喉に絡んだ痰を一気に片付けると、なお慌てた口調で詰問を開始する。
「君の見舞いに来た。そういっても納得してはくれないだろうが、実際そうだから、仕方が無い」
忘れようの無い、掠れ気味の糞落ち着きに落ち着き払った声。オールバックに整えられた豪奢なプラチナブロンドの髪。
アイボリーの上下。間違えようがない。
「何やってんですか、 ク ワ ト ロ 大 尉 ! ! 」
ロ、ロリコンだー
なんという真打登場
トリエ!トリル!トリル!トリエぇぇうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!トリエトリエトリエぇううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ディー・トリエルたんのラベンダー色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
UCルートのトリエたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
隠しルートでは仲間でよかったねノーマたん!あぁあああああ!かわいい!トリエたん!かわいい!あっああぁああ!
クロスドライブも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!クロスドライブにトリエたんは出ない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
ト リ エ ル ち ゃ ん は D S で 使 い 捨 て ? にゃあああああああああああああん!!
うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!
センチュリオ・アウジリスぅうう!センチュリオ・レガートゥスぅうう!!センチュリオ・コンスラーレぇえええ!
インペラトールぅううう!トライアぁあああああああ!!!レルム・Dぃいいいい!!フィールド・インペリウムぅぅうう!!!
この!ちきしょー!くそ!やめてやる!!Gジェネなんかやめ…て…え!?見…てる?パッケージのトリエちゃんが僕を見てる?
イベント絵のトリエちゃんが僕を見てるぞ!トリエちゃんが僕を見てるぞ!アイコンのトリエルちゃんが僕を見てるぞ!!
戦闘シーンのトリエちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはトリエちゃんがいる!!やったよギレン総帥!!ひとりでできるもん!!!
あ、センチュリオのレギオンちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあシーマ様ぁあ!!ティ、ティファー!!マリオンぁああああああ!!!ステラァぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよトリエへ届け!!マシンチャイルドのトリエへ届け!
ディー・トリエルをレイプしたい。
縛り上げて散々嬲った末にあそこの毛も剃りたい。
痛々しいまでに華奢で、蒼白い身体を麻縄と白濁液で彩りたい。
それでも顔色一つ変えないトリエに向かって
「写真をウラキに送る」
といって表情の青ざめる様を堪能したい。
写真を見たウラキの反応を電話越しに無理矢理聞かせて、
目尻から零れ落ちてしまう涙を舐めたい。
>>30 UCルートだとウラキの嫁で平成ルートだとアポリーの嫁になるのには驚いた
アポリーはねぇだろ、さすがにww
シャアが来る・・・てかトリエ逃げてー!
/9th scene
「だから、見舞いに来たのだといっているだろう」
「いえ今の「何やってんの」はそういうのじゃなくて!」
「私が生きているということぐらい、薄々感づいてはいた筈だ。アムロにもそういったじゃないか」
「盗聴器でも仕掛けてたんですか…」
「いくら私でもそこまで手は回らんよ。バーテンが、マツナガに話したそうだ」
「じゃあマツナガさんは知ってたんですね」
「口の堅い男だ」
風邪に伴う、手足を蝕む筋肉痛が酷くなった気がした。大きくため息をつき、起こしていた上半身を再びベッドに投げ出す。
「礼ぐらいいったらどうだ。私が君をここまで運んだんだぞ」
「…」
左腕を上げて、眼を隠す格好を取った。
「…分かった。とりあえず、どこから説明したらいい?」
「…全部…」
「簡単にいうと、気がついたら何か生きてたんだ。ずっと死のうと思っていたのだが、これも運命だと諦めたのさ」
簡単すぎる。
なぜここまで悪運が強い人間がいるのか、そもそもなぜこの人物を、運命は生かすことに決めたのか、
余計に頭が痛くなる。体の右側を下に寝相を変えて、シャアに背中を向けた。
「…もう帰ってください」
「失礼だな」
「ここには幼い少女がいるんで。体が動いたら、殴り倒して警察に突き出しているところです。
見舞いに来てくれたのに免じて見逃すから、土星辺りにでもいって二度と帰ってこないでください」
「私もよくよく嫌われたものだな」
全く傷ついた様子が無い。
「それは冗談としても、そもそもなんでここが分かったんですか?」
「ジオニックで働いているのでな、社員の情報は入手できる。部署は違うが、何度か君と同じ現場
に入ったこともあるし、その内2,3度はお互いモビルスーツに乗っていなかった」
呆れて口も利けない。
「無遅刻無欠勤の君が来ないと、現場監督が慌てていたぞ。部署宛のメールに、トリエル君から風邪
をひいたので休む、というのがあってな。こういう機会でもないと会えないし、話しておきたいこともあるからな」
メールボックスを管理し、自分の都合で職場を離れても文句をいえないような立場、ということだと予測がつく。
/10th scene
「それで、何の話なんですか」
「そう急くな。お茶が来たぞ」
再びドアが開き、トリエが入ってきた。お盆をサイドテーブルに置いて、シャアには紅茶を、ウラキには
ベッドテーブルをセットしてからお粥と氷水を給仕する。
「ありがとう、お嬢さん」
えらく深みを帯びた声でいう。ウラキの予測通り、続けて右手をとって手の甲に口付けしようとしたが、
思ったよりも動きが素早く空振りに終わった。つい苦笑してしまう。
「…?」
「ああ、君は何も悪くないよ。ありがとう。ここはもういいから宿題を片付けて」
ウラキが住んでいるアパートは2LDKで、それぞれが個室を持っている。トリエは学校にいく代わりに、
ウラキの監督の下自室のPCを使って通信教育を受けているのだ。
「中々いい兄貴っぷりだ。紅茶を淹れるのも上手いし。君については、認識を改めるべきだな」
今までどう思っていたのか非常に気になるが、彼とは誠実に向き合うだけ損なのでその件は腹に収める。
「当初は大変だったんですよ。紅茶を淹れたそうな目付きをしたかと思えば、一度にスプーン5杯ほど使おうと
するし、シャワー浴びた後裸でウロウロするし」
どんな鈍感な人間でも、その瞬間シャアが眼を細め、鼻の下を伸ばしたのを見過ごしはしなかっただろう。
意志の力によって本能を表に出すまいとする努力が表情を更に滑稽にする。
「…サングラスか仮面使った方が良いんじゃないんですか?」
「それだと目立ちすぎるな」
中世紀、宗教戦争というものがあったという。その激化に懲りたことが、キリスト暦から宇宙世紀に移行する
理由の一つだ、ということはどの歴史教科書にも書いてある。それが耐え難い局面に踏み込んだことを示す
象徴的な事件に、当事者は世界の中心と、異教徒からすれば邪教徒の伏魔殿と見ていた都市を象徴する建物
へのカミカゼ攻撃があった、というのも、高等教育を受けた人間なら大抵知っている。首謀者は最後まで見つから
なかった件については、そういうと意外そうな顔をする人が殆どだ。
現在の連邦政府にとってシャアは、その首謀者以上に重要度の高い標的であるのによくもまあヌケヌケと。
仲間に謀殺された革命家の遺児。本来ならば真っ先に歴史の闇に葬られる立場であるシャアを、一時は
時代そのものを弄ぶ立場に押し上げたものがなんであったか、ウラキは理解した。いや、もしかしたら今も。
「またなにk…」
「このサイド3は危機に瀕している、君に救ってもらいたい」
<interlude>
今日の分の学習を済ませたのに、ウラキさんは大事な話があるから待ってろという。
つまらない。胸の辺りが重く、冷たくなったみたい。
―誰かがいなくなるのは、とても悲しい事―
それは知っている。なら、すぐそばにいる人と会えない、というのはなんというのか、見当もつかない。
壁に耳をつける。実はここの壁は薄く、隣の物音が簡単に聞こえるのだと、自分だけが知っている。
私は喋れないから、ウラキさんはその事を知らない。
「…もとのバランスのよさを損なっていますね。防御力だけが旧世代のままじゃないですか」
「だからアーマーをつけさせた。確かに重心が難しく、駆動系の制御がキツくなっている。
そこでタンデム・ドライブを採用した」
「俺が、というのは分かります。でもいやな思い出がありますね。中々振り切れません」
「あのときの話は、向こうでは知らない人はいなかったな」
何を言っているのか、よく分からない。
今日はもう寝よう。変な目で私を見る赤い車のあの人も、起きたらいなくなってるはず。
</interlude>
訂正
>35
>ウラキの監督の下自室のPCを使って通信教育を受けているのだ。
↓
>ウラキの監督の下居間のPCを使って通信教育を受けているのだ。
>>今日はもう寝よう。変な目で私を見る赤い車のあの人も、起きたらいなくなってるはず。
シャア完全に変人じゃないかw
シャアがゲーム本編で変な相性補正があるからこんなことに…
いいぞもっとやれ
巨乳ー! \
<⌒/ヽ-、___ 巨乳ー! /
/<_/____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
… 巨乳ー! \
<⌒/ヽ-、___ 巨乳ー!/
/<_/____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
r'⌒⌒⌒'、
(ミ"""メ""ミ)
ヽ▼∀▼ノ 貧乳? 貧乳!>
_| ⊃/(___
/ └-(____/
r'⌒⌒⌒'、
;;(⌒〜 (ミ"""メ""ミ)
(⌒⌒;;(⌒〜 ヽヽ▼∀▼ノ/ 貧乳!貧乳!
(⌒;; (⌒⌒;;(⌒〜 ( )
(⌒;; (⌒⌒;;(⌒ ≡≡ミ
/11th scene
それから数日は、何事も無く平穏に過ぎ去った。
シャアに言わせると、変装というのは至極簡単だそうで、喉に埋め込んだボイスチェンジャーと毎朝
15分のメイク、それに特殊な肉襦袢だけで印象を一新できるという。翌日、ウラキは社内にシャアら
しい人物はいないか鵜の目鷹の目で探したが見つからず、すぐ諦めた。
ウラキの朝は早い。毎朝6時に起き、朝食の準備をする。飯の時もあればパンの時もあり、特に定まった
好みはない。彼自身は米を食べた方が力が出るように思い、きっと日本人の遺伝子に由来する物だろうと
パイロットらしからぬ非科学的な解釈を与えていた。トリエはパンの方が若干食が進むように見えたが、
二人ともたいした好みの違いは無い。
味噌汁(サイド3はアジア系住人が少なかったが、日系だけはそれなりにいたので味噌も入手しやすい)
を火にかけると歯を磨いてからトリエを呼ぶ。規則正しい生活が身についているのか、いつも呼ぶと直ぐに
来る。それから顔を洗い歯を磨くのだが、最初の2,3度は水道の勢い調節を知らなかったらしくずぶ濡れ
になった。濡れた服が肌に張り付いて体型を露になったのを眼にするたび、ウラキはシャアのようになったら
おしまいだと自分に必死に言い聞かせたものだった。
食後、ウラキは自分用にコーヒーを、トリエ用に緑茶か紅茶を淹れる。特に深いわけがあって
別々の物を飲んでいるのではなく、昔子供はコーヒーを飲んではいけないと言われた通りにしている
だけだ。サイド3での生活を始めた頃は、トリエは紅茶の場合、何も混ぜずに飲んでいた。5日後には
テーブルの上にウラキが用意したミルクやレモンに興味を示し、その翌週からは自分の意思で味付けを
行うようになった。
食後、しばらく二人でニュースを見てからウラキは日課のジョギングに行き、シャワーを浴びてから出社
する。何も言わなくてもトリエは居間のPCを立ち上げて発話障害児童Z課程の受講を開始する。昼食は
一人で用意するよういくばくかの金銭を渡してはいるが、何を食べているかはウラキには見当もつかない。
現場はその時々によって違う。ウラキの作業は試作作業用モビルスーツの実地運用と評価で、試用する
モビルスーツ、環境、工法は場合によってガラリと異なる。丁度軍事技術の民間転用が熱心に行われていた
時期で、データはいくらあっても足りなかった。ウラキに課せられた負担も重く、毎日レポートの作成に追われ、
休日を丸々潰す事も珍しくは無かった。保護者らしい事はしてやれない、と心苦しくもあったが、トリエ自身
からして口のきけない体なのでその感情が成長することもない。
乙
ウラキ・・・うらやましいのう
/12th scene
「で、今はどんな試験をやっているのだ」
「企業秘密だ」
例え話せたとしても、ザクレロの旅客業務への転用なんて口に出せるか。
その日の作業内容を説明された途端、「無理だ」という言葉が喉から飛び出し舌を滑り、歯をこじあけかかった。
それでも唇を結んだまま言葉を押し殺したのは、鹵獲されたジ・Oの工作転用試験を押し付けられたときに
同じ事をいって無視されたことがあるからだ。腕が普通より多いから単純に工作には便利だと本社第二開発部
では考えたらしい。格闘戦の補助以上を期待するには簡素すぎる仕様で、さらに改造するとなるとフレームに
まで手を入れなければならないと判明し、すぐお流れになったが。設計途中見つけた僅かな余裕をこのような
形で生かし、しかも使いこなしたシロッコの幅広い手腕をこそ賞賛すべきだろう。それ以外は忘れろ、とウラキは
レポートを締めくくった。
ザクレロはもっとひどい。一年戦争の時トライアルに負けたはずが、なぜか大量に部品が残っていたのだ。
一度ホワイトベース隊と交戦したという未確認の情報があるきりで如何とも評価のしようがない。乗ってみた
結果、確かに出力・武装は一年戦争時のものとしては優秀で、奇怪な外見にあわず取り回しも楽だった。
その分かなり無理のある設計で、旅客用スペースの増設など思いもよらない事だったし、無理に改造すると
安全性に重大な欠陥が発生するとよそうされます。ていうかなににつかうつもりだったんですか。しかもこりずに
つかいつづけようとするひとがじおにっくではたらいているなんて、じおんがまけたのもとうぜんだとおもいました
まる 気がついたらハンディパッドに打ち込んでいた。疲れているらしい。
以前と同じバーの個室。前回口に出した新型兵器について相談にのってもらうことになっていた。兵器と
いっても民需転用を視野に入れたもので、現在ジオン共和国工兵大隊の指揮官として腕を振るうガトーは
格好の相談相手だった。
工兵、というと地味な裏方を想像する人も多く、それも一面の事実ではある。確かに実戦に参加する機会は
ない。しかし、歩兵が行軍するにしてもまず道路を作り地雷を撤去しなければならない。対陣するにあたっては
塹壕やトーチカを建設する必要がある。実戦部隊に先立って最前線に赴かなければならないという点では、
寧ろ最も危険な兵科であるのだ。また、異なった職能を持つ集団を効率的に組み合わせ、運用しなければ
ならない。指揮官に要求される資質も並大抵の物ではない。中世紀におけるD.マッカーサーも工兵出身
であるぐらいだ。宇宙世紀においてもこの事は変わらない。艦隊行動・モビルスーツ移動の前には機雷と
スペースデブリを除去する必要があるし、小惑星を用いた要塞設置もある。更に、サイド3復興において
工兵に期待される役割は絶大である。リーダーシップと旧ジオン国民からの人気を兼ね備えたガトーが指揮官
に任命されるのも当然の事だ。
「確かに革新的な技術であるとはいえるが、実用性が無いな。アステロイドベルト辺りでは喜ばれるかも
知れんが」
「シャアはお前にも接触したんだろ?敵がBプランを実行するつもりだとすると、これしかない」
「一応報告はしておいたが、それらしい動きはなかったといわれた。出来る範囲で備えはしてみたが。
あれだけ大掛かりなことをして、今の今まで情報が漏れてないとは考えにくい」
「経験者は語る」
「そういうことだ」
その時、ガトーの携帯通話機(軍人にのみ支給される特殊な携帯電話)がけたたましく鳴った。
顔つきが一瞬でソロモンの悪魔のものとなる。非常事態が発生した事を告げる音色だったのだ。
「何だと!…そうか、すぐ行く」
「どうした?」
「…第2警備艦隊が音信を途絶した。全兵士に非常召集がかかっている。お前も準備しておいた方がいい」
「やはり、Bプランか」
「糞!一体どうやって擬装できたというのだ!」
窓の外に眼を遣る。まだ静かだ。闇と静けさに隠れて、行軍する歩兵。そこかしこで瞬く非常警報。
そして、ポートへと向かう武装したモビルスーツ。
戦闘状態が始まったのだ。
「君には、私の取って置きを、くれてやる」
ウラキはぼんやりと、シャアの言葉を思い出していた。
44 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/01/20(日) 13:10:42 ID:lf7zPta5
訂正
>41
>ウラキの作業は試作作業用モビルスーツの実地運用と評価で ×
>ウラキの業務は試作作業用モビルスーツの実地運用と評価に変更されていて ○
45 :
通常の名無しさんの3倍:2008/01/21(月) 15:07:06 ID:J0yoX9Qc
乙 おもしれWWW
/13th scene
『…全人類の半数以上を死に至らしめ、現在の混乱を招いた責任を直視しないジオン国民に告げる。
我々はサートゥルヌス。ジャブローに眠る英霊の志を受け継ぐ者である。日和見主義者に占拠された傀儡政権
を打倒し、真の地球連邦を樹立すべく立ち上がった。虐げられしアースノイドの権利と自尊心を回復
することこそが、生き残った全人類に課せられた義務である。これを理解せぬ愚かなるジオン国民の
粛清を開戦の烽火とする。今なおニュータイプ・人の革新といったイデオロギーを奉じ、ザビ家・マツナガ家・
ラル家などの貴族を崇め、戦争犯罪者への祭祀を絶やさない愚かさの報いを受けよ…』
突然、かつてデラーズがやったように全てのTVチャンネルがジャックされ、スイッチがつけられていたモニター
から低い機会音声で犯行声明が放映された。予想外な電波ジャック・あまりにも唐突な内容・何を企んでいるか
分からない不気味さ以上に視聴者を震え上がらせたのは、画面いっぱいの静止画像であった。
http://www.ican.zaq.ne.jp/tonpe/museum/Saturuno.jpg ウラキの顔色が青くなり、ガトーですら眼を背けている。女性客が嘔吐する音が複数聞こえる。
「ご覧になってはなりません。ミネバ様」
店奥のVIPルーム(狭い部屋が一つあるきりだが)の扉が開き、髭面の大柄な男が出てきた。脇には
やっと彼の腰に頭が届く、といった背格好の少女を連れている。少女はジオン共和国軍総司令官ミネバ・
ザビ。そして男は、その副官、つまりジオン軍の実質的な支配者であるシン・マツナガである。
「マツナガ閣下!」
ガトーが慌てて敬礼し、それにつられてウラキも民間人でありながら敬礼する。それ程ミネバとマツナガには
威厳があった。
「堅苦しいことは抜きだ。貴官とは同輩であるし、非常事態だ。全く、ミネバ様に兵士の生活を見せて
差し上げようとしていた所に、無粋なことをするものだ」
鷹揚に答礼しつつ、マツナガが応える。ジオン共和国軍の再建に当たり、国民の敵愾心を和らげる意味で
連邦政府はミネバを軍の形式上のトップに据えた。独立戦争に反対だったドズル・ザビの一粒種という理由で、
連邦内部からも反対の声は少なかった。マツナガが副官に据えられたのも同様の事情からで、ドズルの腹心
でありつつも早い段階からエゥーゴに参加していた経歴、確かな実力、それに名門マツナガ家の当主である
という文句の付けようの無い登用であった。
ちら、と店の天井隅から吊るされたモニターに目を遣る。
「S?turnus。土星(Saturn)の語源でもある。しかしこの場合は、ゴヤの『わが子を食うサトゥルヌス』を
イコンとして使用していることから、土星と共に強く連想されるものがある。あの絵画で描かれているのは
サトゥルヌスと同一視されているギリシャ神話の神、クロノスだ。息子に殺されると予言を受け次々に自分の
子供を腹に収めたが、結局は息子ゼウスに倒された。自らが創造した物を破壊する農業神。なおクロノス
を初めとするゼウス以前の神々を巨神と呼ぶ。我々に馴染みのある呼び方では」
突然大学教授のような口調で話し出したかと思えば、ここまでいって辺りを睥睨し、
「ティターンズだ」
と締めくくった。
「ティターンズの残党を名乗る者達が、反体制分子を糾合しているのは周知の事実です。しかしこうも大掛かり
な事をやってのけるとは予想外でした」
ガトーが応える。彼のほうには知性と諧謔に満ちた会話を楽しむ気はない。
「報告は読んだ。情報源は信頼できそうだったが、本当にあのようなことを…」
マツナガの答えを聞いた後、ウラキの方に向き直る。
「奴らの目的は混乱そのものだ。アースノイドへの憎悪を煽っている。こいつを持ってけ」
といって護身用のビーム銃を渡す。
「すまん。では早く合流する」
駆け出した。
「トリエを傷つけさせるなよ!リリー・マルレーンで待ってるから!」
ミネバの護衛に就いていたらしいシーマの声が背中を蹴る。外は、もう明るい。
乙。
だが、画像に注釈くらいはつけてくれw
文面から予想は付いたがあまりいいもんではないからね。
>>47 ああスマン。
名画なんだが、確かにブラクラだよなw
>46
の画像はグロ注意ってことで
文体とか結構ちゃんとした小説してて、気分よく読めます。
続きを毎日楽しみにしております。
……攻略本だけ読んでソフトは積んでるGジェネDSに手をつけるべきか。
>49
そういって頂けて大変ありがたいです。
こんな妄想駄文でも、もっと楽しんでいただけるよう精進すべく決意を新たにします。
やってなくても問題ないように書いてはいますが…やった方がいいかなw
中々いいデキですし。時間があれば、オススメします。損はしないかと。
ディー・トリエルをもっと見たい!というのが執筆動機なんで、彼女に萌えてもらいたいw
<interlude>
―あなたたちの想いはとても強かった。だけど、それはただ一人の人へ向けられた想い―
―だから、エゥーゴのみんなへの想いに、勝てなかった―
本当に?
あの娘―ノーマ・レギオの乗ったインペラトールをブレード・ルミナリウムで切り裂いたとき、私は彼女に
そう告げた。けどそれが正しかったのか、今では分からない。
ずっと気がついていなかった。私の中にはぽっかりと空いた部分がある。ウラキさんが仕事で帰らない夜、
一人で眠っていると、初めてなのに懐かしいような心細さで胸を締め付けられた。あの日、研究所の人に
カプセルから出されウラキさんと出会った日から今まで、そこをあたたかいものが埋めていた事に気がついた。
淋しい事に気がついていなかった。気がついてからは、もう無視できない。。
ウラキさんと暮らすようになって、私は弱くなった。きっと私の姉妹達も、ギレン総帥をお父様と呼ぶ事で、
淋しさを埋めていたんだろう。私は、それを理解して上げられなかった。でも今なら分かる。だからあの娘たち
は戦えたのだと。
その夜、ウラキさんが脱いで放って置いたままのワイシャツに袖を通してみた。汗と機械油の匂い。それで
私は少しだけ安心して、眠る事が出来た。その晩からずっと、夜は洗濯機にウラキさんが放り込んだワイシャツ
を下着の上につけて眠っている。勝手に彼のものに触ったら悪い気がするから、朝は必ず早く目を覚まして
シャツを洗濯機に戻し、またベッドに戻っている。
―今夜は、いつ戻ってくれるんだろう―
</interlude>
/14th scene
窃盗罪と飲酒運転か。普通なら一月ほどブチ込まれても仕方がないが、警察もそれどころではあるまい。
盗んだバイクで走り出したウラキはそう考えた。バスも電車も止まっている上、歩いて帰るとなると2時間
はかかる。その前にサイド3が全滅する可能性だってあるのだ。
甘かった。さっきの放送でパニックになっていてバイクになんぞ気がつかないだろうと思ったが、走り出して15
秒後、後ろの方でだれぞ騒ぐ声が聞こえ、遠ざかっている筈なのに声は大きくなっていく。集団で騒ぎ出したのだ。
「あの連邦の野郎だ!」
「ガトーの旦那に取り入りやがってスパイに違いねえ!逃げる気だぞ!」
話が通じる雰囲気ではない。右手をジャケットの裏に差し込み、レーザー銃の感触を確かめる。
幹線道路が近い。トリエの待つアパートまでは一本道だ。右折するためにスピードを落とす。後から聞こえる
モーター音が気になってミラーに視線を落とす。バイクが近づいてきた。複数台。先頭で運転しているのは血色
の悪い若い男だ。その2台ほど後には、この前ウラキを殴った痩せた中年男がいる。道路に入る。若い男の
コーナーリングに負けた。差を詰められつつある。右手を懐に入れる。相手はそれに気付かないほど逆上している。
近づけさせる。後輪が今にも接触しそうになる。まず前方を広く見て、前に余裕があることを確認する。素人には
真似できない電光のような素早さでレーザー銃を抜いた。出力は最弱に調節してある。若い男の乗るバイクの
モーターに狙いを定め、死ぬなよ、と小さく呟き、発砲した。途端に転倒し、後続車両が巻き込まれる物凄い
音が後方から追ってくる。コロニー内では排気ガスをだすエンジンの使用は許可されていないので、皆
電池で動くモーターバイクを使用している。炎上する事はないから死にはすまい。そう願った。
アパートが近づく。ウラキの部屋は4階だ。トリエの携帯にかける。20秒ほど待たされた。
「今すぐベランダに出ろ!」
ミノフスキー・クラフトを作動させ、前進しつつ少しずつ高度を上げていく。天馬ペガサスに跨った気分を
楽しもうにも、電池の消耗が激しいから時間をかけていられない。自室のベランダが近づく。
「トリエ、おいで!」
右手を差し伸べた。トリエはというと、下は黒い膝までのスパッツで、なぜか上にウラキのワイシャツを
羽織っている。目も口も驚いたように開かれ、握った左手が口に当てられている。なぜか口元が嬉しそうに
歪んでいる。そういえば、2着しかないパジャマ、間違えて両方とも洗濯して干していたような気がするな。
トリエの服装についてまで深く考えられる状況ではない。
トリエの体を柵越しに抱きかかえてバックシートに載せると、両腕を自分の腰に回し、後ろから抱き締めるような
格好を取らせた。
「しっかり捕まってて」
そういうと、電池を節約するために落下するのと大差ない速度で下降した。
「大丈夫?」
「……ン…」
苦しいほど腕が腰を強く抱き締めている。驚いたのか、背中に押し付けられた顔が彼女には珍しく
赤くなっているらしいのが脇から見えた。
/15th scene
町外れ、工場の多い地区にあるウラキのアパートから、更に郊外へ。ジオニック社所有の広大な空き地を目指す。
さっきの衝突を切り抜けた連中が追ってきた。300メートル離れていても、怒り心頭に発しているのが分かる。
目的地までギリギリの電気しか残っていない。だといのにウラキは不思議なほど落ち着き払っている。
広々とした区画に出た。最高速度で走ってきたのでもう電池残量はない。幸いにも目的地は近い。トリエを
降ろすと、彼女の足では心もとないので抱きかかえて走った。まだその程度の体力はある。トリエは強い力で
しがみついているから軽い。
大きく広がっている小高い丘の手前、段を形作っている小さな平面に登る。怒り狂った集団が近づいて
いるのに、ウラキは狂ったのではないかと思えるほど冷静だった。流石のトリエも心配そうに彼の左胸にしがみ
ついている。左腕を彼女の肩に回したまま、ウラキはどことも知れない番号に電話をかけた。携帯を口元にも
やらず、丘を振り返っていう。
「おい、そろそろ起きてくれないか」
―その途端、丘が震えた。
地面が二人を掲げるように持ち上がる。雑草の生い茂った丘が割れ、茶色い土の中から黄金の輝きが
開放される―
「そういえば、君と初めて会ったときもこいつだったね。設計にかなり手が加えられているし、アーマーも
ついてるけど」
黄金のモビルスーツ!?暴徒の中から驚愕が発せられた。オーバーだな、百式はこの辺では珍しいのか?
ウラキは思った。
ハッチを開ける。シートは前後に二つ並んでいるが、設計に余裕がないらしく両方とも窮屈だ。バイクの
時とは逆に、前にトリエを坐らせ、ウラキは後に坐る。
「こいつは不安定だから、宇宙空間に出るまでは機体管制は任せた。気をつけて、こいつはクワトロ大尉で
すら一人では操縦し切れなかったんだ」
うなずくのが見える。
フルアーマー百式改。操作性に難があり一台きりで生産が中止されたが、際立った性能を惜しんだシャアが
処分される前に密かにサイド3に隠しておいたのだ。それが、この前の訪問でウラキに託された。
「すごいエネルギーゲインだな…5倍なんてものじゃないぞ。こうなるともうバスター砲とでも呼ぶべきだな」
付属する大型ライフルの性能を確かめつつ口走る。
「行ける?」
「…ン…」
トリエはモビルスーツであればなんでも操縦できるよう、ナノ・マシンによる操作を受けている。マシーンの
本質を理解する回路が脳に組み込まれているのだ。
「じゃあ、行こうか」
足元で騒いでいる連中には目もくれず、百式改を離陸させ、二人は再び飛び出していった。
戦場へと。
中の人繋がりネタか…バッチコイ
あとトリエルがいじらし可愛い
>下は黒い膝までのスパッツで、なぜか上にウラキのワイシャツを羽織っている
シャアのようになっちゃ駄目だ。シャアのようになっちゃ駄目だ。シャアのようになっちゃ駄目だ。。。
ちょ、金色繋がりにもなるのかw
トリエルの破壊力はどうしようもないよもう
ウラキィィィィ!
モンシアじゃなくてもこうなっちまうぜ
58 :
通常の名無しさんの3倍:2008/01/23(水) 07:03:24 ID:JOERG9gn
トリエル萌えww
ウラキの誕生日を知り、プレゼントを贈る事にしたトリエル。
そんな事はした事ないので、どうすれば良いか仲間達に尋ねてみる。
ジュドー「プレゼント?俺だったら金になるジャンクパーツが良いな、リィナのお金にしたいし。」
ルー「プレゼントねぇ・・・だったら、自分で作ったケーキがいいんじゃないかしら、あたしが作り方教えるからさ。」
バルトフェルド「誕生日プレゼントとは久しぶりに聞くなぁ・・・僕だったらコーヒーカップとかが良いねぇ。」
ムウ「ウラキ少尉にプレゼント?なら、リボンを巻いて「プレゼントはワ・タ・シ♪」って言えば、喜んでくれるぜ。(俺だったら)」
と色々アドバイスを聞くが、どれを実行すれば良いのか悩んでしまう。
結局全てを実行し、それにウラキは萌えるわ、苦笑するわ、泡を吹くわな状態に。
でも、ペアのコーヒーカップをプレゼント出来た事が、トリエルには嬉しかった。
・・・とか書ければ良いんだけどなぁ。
トリエの人気にノーマさんが嫉妬しています
>>60 ノーマさんはサングラスっぽいの取れば可愛いのに取らないんだもん
バイザーの向こう側の瞳を妄想するんだ
/16th scene
「今回の任務はあくまでも偵察だ。マハー・カーラーから何らかの攻撃があった場合は撤退する。いいな、
深追いは禁物だ」
中隊長の声がコックピットに響く。
「「「了解!」」」
同時に返答する声が続けて聞こえた。無論、ウラキ自身の声も含まれている。
「ウラキ大尉!酒が抜け切ってない上にあんだけの大暴れをしでかした後だ。お前は特に気をつけろよ!」
「了解です。ライデン中佐」
別に、悪気があって言ってるわけじゃないよな。そう思った矢先に
「間違ってもあのロリコンの方の赤見たいなスタンドプレーは許さん!絶対にだ!」
鋭さを増した声で叱咤とも罵倒ともつかない台詞が飛んでくる。
「ですから自分はロリコンでもシスコンでもないと何度も言ってるじゃないですか!」
言い返した直後、機体が僅かに左側に傾くのを感じた。左後方の機体が百式の左肩に右手をかけたのだ。
「大目に見てやって下さいよ小隊長。アクシズの一件以来、中隊長は今まで以上にシャア大佐が嫌に
なったんです。只でさえ赤が被るってのに、叛乱を起こしたんですからね。お陰で大佐と同じ性癖すら、
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって奴で…」
「ワイズマン准尉、よもや卿までが私をロリコンだと…」
「私語は慎め、もうまもなく散開座標だぞ」
ライデン機からの割り込みを機に無線を切る。散開時に中隊長機がミノフスキー粒子を先頭濃度まで散布
するので、つけていても意味が無いのだ。幸い、着信もそれきりつくことは無かった。口調の乱れをこれ以上
拡散させないで済んだ。中隊長もショックの余り錯乱したのに気付いてくれたらしい。
全く、こんな状況でもなかったら思う存分写真を撮りまくっている所なのだが。ウラキは左後方を振り返った。
経験豊富で機転も利くが、いまいち性格が不器用な憎めない男、バーナード・ワイズマン。一年戦争後期に
学徒動員でジオン宇宙軍に入隊してパイロットになる。どうした因果か、連邦の女パイロットと恋仲になって
二人で脱走し、戦後共にアクシズに身を投じた。その彼が乗っている機体は、ハマーンの第一次ネオ・ジオン
崩壊後没収されたザクV改であった。
ジオン共和国軍の軍制ではモビルスーツ4機で一個小隊とする。彼の指揮下にあるもう2機は、ネオ・ジオン
に引き続いて共和国軍に制式採用された、ザクUの衣鉢を継ぐ名機ギラ・ドーガだ。とはいえ数が揃わない為、
Rジャジャ、ドライセン、量産型バウ、ガブスレイ、メタス等等の雑多な機体によって員数を合わせているというのが
実情だ。今偵察行動においては4個小隊がライデン中佐の指揮下に組み入られているが、その中には何とジェガン
のみで構成された小隊もある位だ。ウラキのようなモビルスーツマニアには垂涎のシチュエーションといえよう。
外から見る分には理想的な状況なのに、まさか自分自身がその一員だとは。ウラキは何となく納得できないもの
を感じていた。リリー・マルレーンに着艦したあたりから歯車がズレたか…。そう思って数十秒後、散開座標に
到達した。無線を開いて予定通り散開行動を行うよう指示し,すぐスイッチを切る。所々が不気味に発光する巨大な
黒い塊へと、単機接近していく。久しぶりの戦闘行動だ。
/17th scene
リリー・マルレーンといっても、一年戦争時のコロニーへの毒ガス攻撃や『星の屑』作戦で名を馳せたザンジバル級
ではない。旧リリー・マルレーンは老朽化が激しいため解体され、現在シーマが座乗しているのは、艤装が開戦に
間に合わず放棄されていたのを戦後サイド3で完成させられたレウルーラ級の一艦である。ウラキとトリエを送った
後、ガトー・シーマ・マツナガ、それにミネバは一目散にポートへと向かったが、折り悪く出撃可能体勢にあったのが
リリー・マルレーンのみであったのだ。資金不足が理由である。シーマの好戦的な性格が幸いしたといえよう。
彼女は乗艦の戦闘能力を確保するために最大限の努力を払っていたのだ。サイド3の各コロニーのポートで発進を
待つ各艦艇・モビルスーツのレーダー上では、現在このリリー・マルレーンはザビ家の家紋で表現されている。
総司令官ミネバ・ザビの座乗を示しているわけだ。
「心配かい?」
シーマは心細げにマハー・カーラーのある方向を見つめるトリエルに声をかけた。トリエルが頷く。仕事で
モビルスーツに乗っていたウラキとは違い、トリエルにはニタ研でのシミュレーションを別とすれば長いブランク
がある。そのため着艦後すぐ、発艦前に凍結を解除され運び込まれたトライアに騎乗して短い慣熟飛行を
行ったのだ。彼女の操縦はブランクを感じさせなかった。着艦後即座にブリッジに向かい、ジオン式パイロットスーツ
を着たまま窓の外を見つめている。
「……ン…」
「それにしてもガトーの野郎、趣味の悪い冗談を吐いちまったねぇ。気にするこたないんだよ、あんな奴」
トリエが床に視線を落とす。不愉快に思ったのではなく、ウラキが腹を立てていたことを思い出したのだ。
リリー・マルレーンに着艦し、ハッチを開けると、早くも仰々しい格好に着替えたガトーが白紙を手にタラップを
上がってきた。労をねぎらうでもなく開口一番、逮捕礼状でもあるかのように白紙を構えつつ
「コウ・ウラキ、飲酒運転、窃盗、銃刀法違反、傷害罪で逮捕する。なおお前には黙秘権が有り…」
話している途中、フロントシートに座ったトリエルの格好が目に入った途端眉をしかめ、
「…それに児童福祉法違反、強制猥褻罪もつく。懲役10年は堅いな」
と付け加えた。
数ヶ月間土に埋まっていたわりには、百式改の不具合は少なく、その後僅かなメンテナンスで即座に偵察
部隊に編入された。数少ない例外の一つが冷暖房である。どうした不具合か、後ですぐに解決されたのだが、
コックピット内の気温が35度にまで達していたのだ。そのためウラキは上半身裸、トリエルも羽織ったワイシャツ
を脱ぎ捨て、スポーツブラにスパッツという格好だった。ガトーの方ではウラキの良心の呵責を和らげるための
軽い冗談の積もりだったが、ウラキは予想以上にロリコンだのシスコンだのと呼ばれる事にムカついていた。
「帰る」
ハッチが閉じる。
「おい待て!この程度の冗談に大人気ないぞ!!」
「…駄目な男供だねぇ…」
シーマが外野から突っ込む。
「ハマーンもよくシャアを駄目な男だといっていたぞ。だがいなくては困るとも。あの二人もそうなのか、マツナガ?」
ミネバがたずねる。
「全く以って、頼りになる、愛すべき男達ですよ」
ハッチをこじ開けようとするガトーを見ながら、マツナガは応えた。
コウ……不憫なw
ガトーもずいぶんと柔らかくなったもんだ。何このいいコンビw
乙
ワイズマンが伍長から准尉にwしかもザクV改とは豪勢なw
俺はギラドーガに乗せてたなぁ
/18th scene
ガトーの怪力によってハッチが開きかかり、このままではフレームが歪みかねないと判断したウラキは
素直に扉を開けた。不意打ちを食らったガトーは派手に転んだが、即座に立ち上がり、何事も無かったかのように
「では、ブリーフィングを始めましょう」
とマツナガに向かっていき、言った。マツナガも、一連の出来事を見なかったような冷静極まりない態度で
うむ、と応えた。全員が一列になって会議室へと歩き出す。軍人は歩くのが速い。ミネバは既に家庭教師の
待つ部屋へと送られている。トリエルだけが、男達の集団から取り残されて小走りで追う形になった。
ウラキもコックピットの中で自分で脱いだジャケット、シャツ、それにトリエルの脱ぎ捨てたワイシャツを脇に挟んで
その中に混じっていたが、トリエルがいないのに気付き、振り向いた。流石にこの格好ではまずいと思い、
ジャケットをトリエルに羽織らせる。
「すいません、更衣室どこですか?」
前の方に声をかけた。
「二つ目の交差点を左だ。真っ直ぐ進むと、士官用更衣室と書いてあるドアが見える」
とガトー。
「この艦には制服のスペアも用意してある。連れてってやるよ」
とシーマ。
シーマを先頭に3人並んで歩く。トリエルは相変わらずパタパタと小走りで、追いつくのがやっと、という風に見える。
それでも先導するシーマは遅めに歩いている方だ。制服が置いてある酒保に近づいてペースを遅くする。ふと後を見遣ると、
一番後ろにいるトリエルが上半身裸のウラキを凝視していた。左手でジャケットの前を合わせ、右手は口元においている。
目を細め口元を緩めた如何にも幸せそうな表情で、袖口の匂いを嗅いでいる。
(…どうやらこの娘の方が色々と重症らしいね…それに気付かずズンズン一人で先行くなんて、どんだけ鈍感な男
なんだい。健気なのに気の毒な娘だねぇ…)
シーマは、むしょうに靴でウラキの頭を引っ叩きたくなっていた。
/19th scene
着替えを済ませてから会議室に向かう。おろしたての制服のぎこちなさ以上に、ジオンの制服を着ている、という事実
にウラキは違和感を感じる。会議室の中にはマツナガ、ガトー、それにリリー・マルレーン艦載モビルスーツ隊隊長
ジョニー・ライデンが上座に座り、その他に小隊長クラスの将校など、計20人程がいた。マツナガの隣に坐っている
秘書官らしい男がウラキの目の前まで歩いてきて、告げる。
「元連邦軍中尉、コウ・ウラキ。非常事態を以って、臨時にジオン共和国軍大尉の階級を与える」
階級章を渡された。マツナガとガトーが重々しく首を縦に振るのが見える。敬礼を返す。
「では、揃ったところで状況の分析を始めよう。まず、分かっている範囲を全て説明してもらいたい」
マツナガが口を開く。クラシックなジオン式の軍装の男が立ち上がり、モニターの前に立つ。部屋が暗くなった。
『…昨日の2334、第二警備艦隊が正体不明の小惑星の存在を感知しました。周知の通、これは極めて
異例な事態であるため、当該艦隊は警戒レベルCを打電し、その後対象への探査行動に入りました。
日付変わって本日の0107、襲撃を受けたため戦闘行動に入ると通告。0153、艦隊を構成する全艦艇・
モビルスーツからの信号が途絶しました。その間に本部へと送信された画像は以下が全てです』
ざわ、と暗い会議室にどよめきが走る。スクリーンに続けて映し出されたのは、まず歪な卵のような形をした
真っ黒な小惑星。その存在そのものではなく、周囲を取り囲む星の光を覆い隠す闇として、見るものを不安
にさせる。次に見せられた写真では、所々に点のような光が写っている。3枚目、楕円形の小惑星の中心から
少し右下に離れたあたりに、局所的に強い光を放っている部分がある。4枚目には小惑星から集中砲火を
浴びてスペースデブリと化しつつある艦艇とモビルスーツ。型式は分からないが、小惑星から発進とおぼしきモビルスーツ
らしい影も見える。
重々しい雰囲気を打ち破ってマツナガが口を開いた。
「この写真と交信記録を分析した結果、対象は約3宇宙キロ、つまり標準的な火砲の射程距離内に入った人工物
に対し、無差別に攻撃を与えることが分かった。それだけならば放置しておいても何の問題も無いが、現在対象は
このサイド3を通過する軌道をとっている。計算によると5日後にはサイド3に到達する。そうなればコロニーや
資源衛星との衝突、そこまではいかないとしても強大な重力場によって位置関係が狂った結果月への落下や
互いの衝突や空域からの離脱の発生など、いずれにしても甚大な被害が予想される。なお、現時点を以って
対象を敵と認定し、以後マハー・カーラーと呼称する」
空気が一層沈鬱となった。
〃´ ̄゛ ヤ
| レv小),,) ウラキハワタシノモノジャケン
ムり ´ーノ (⌒)
((\ n_  ̄
ゝヽ、二、__彡
ん、,、、, ゝ
/ / |
じ´ J
乙
乙、それと此処で質問。
シャアが生きているという事は、ハマーンも生存している?
それと、ウラキとジオン側意外のキャラも登場しますか?
/20th scene
「それにしてもマツナガ閣下、意外と冷静そうだったな」
更衣室でさっき着替えたばかりのジオン共和国士官制服からノーマルスーツに着替えながら、ウラキは
ガトーにいった。
「そうでもないぞ。いつもならば、何故目標を”マハー・カーラー”と名付けたかについて、さっきの店で
やったように5分ほど薀蓄を垂れていた所だ。よっぽどの事が無い限り、閣下は衒学的な話をする機会
を逃さない」
答えるガトーも、同様に着替えている。彼の指揮する工兵大隊に属するモビルスーツには現在急ピッチで
戦闘装備への転換作業が行われている。ウラキも小隊長として参加することになった、ジョニー・ライデン
中佐率いるマハー・カーラーへの偵察部隊が発艦した後、準備のできた機体から逐次発進し、リリー・
マルレーンの護衛につくことになっている。
「だいぶ影響されているらしいな、ガトー。『衒学的』なんて言葉、普通は使わないぞ。…所でどういう意味だ」
「知識をひけらかすような、という意味だ。以前閣下と一杯やったとき、よく奥方からそういわれると零されていたが、
私もその時はどういう意味か分からなかったので、後で調べた
マツナガ家はジオンでも高名な文武両道の家系である。サイド3に移民した彼の祖父は優秀なコロニー技術者
であり、なおかつ連邦空軍に関を置く軍人でもあった。彼の父は法学に志し、ズム大学法学部で学ぶ傍ら
ROTC(奨学金と引き換えに士官教育を受け、有事には将校として徴兵される課程)を受けた。ジオン軍の
前身であるサイド3軍で法務士官として勤務し、ジオン軍の気風である秋霜烈日たる規律正しさの確立
に一役買ったとされる。彼自身化学と史学を専攻し、大学院で宗教史を研究していた身である。なお、当時
彼が執筆した論文には、ジオン・ズム・ダイクンのイデオロギー性を批判する箇所が数多く見受けられる。
あくまでも保守的で地道な思想の持ち主であるが、地球連邦との中が怪しくなるや兵卒として志願入隊した。
その後の活躍と累進、そしてエゥーゴへの転身はまた別の話だ。
彼はあくまでも冷静沈着を以って旨としていたので、どのような危機的極まりない状況も、100年前に起きた
軽い火災であるかのように話すことが出来た。とはいえ深層心理までは、支配し切れなかったのだが。
「現在サイド3近辺の空域に存在する連邦軍は、スクリーンを見れば分かるとおり警備程度の貧弱なもので
あのような対象と戦うことなど不可能だ。連邦軍の他、ロンド・ベルやプリベンターにも救援を要請したが、
凍結状態にある モビルスーツの復帰、休暇中のパイロットの招集など準備すべき事柄が多く、どんなに
急いでも我々と合流するまでに3日はかかるそうだ」
うめき声がいくつも漏れた。十分な兵力でマハー・カーラーに攻撃をかけられるのはわずかに2日間のみで、
そのデッド・リミットを越せばサイド3は破滅する。その上、それまでの三日間は決して十分とはいえない
ジオン共和国軍の兵力のみで相対しなければならないのだ。その間に何が起こるか分かったものではない。
マツナガは唐突にウラキを手の平で指し示し、いった。
「そこで、だ。紹介しよう。貴官らの中には既に知っている面々も多いかと思うが、コウ・ウラキ大尉だ。
連邦軍とロンド・ベルでの経歴を考慮し、現地任官で大尉の階級を与える事になった。モビルスーツ隊
小隊長を務めてもらうことになる。いいな」
ハイッ、と久しぶりに軍人らしい声を出し、ウラキは敬礼した。その途端室内にざわめきが戻った。あまり
いい雰囲気ではない。一同を代表するように、リリー・マルレーン艦長デトローフ・コッセルが起立して発言する。
「連邦だった野郎と戦えるか!地球の重力に魂を引かれて俺たちの戦友を殺した奴なんかと!」
棒暗記したジオン・ダイクンの用語(彼自身は言われるほど多用した訳ではないのだが)を使って司令官に
反抗する。マツナガの顔色が変わったが、ガトーがやんわりとそれを制するような仕草をして、鋭角的な口調
でコッセルの発言を中断させる。
「連邦だったから、だ。百式はアナハイム、つまり連邦の機体だ。貴官らの中に動かせる者はおるまい。今は
一機でも戦えるモビルスーツが惜しい。隠忍自重してもらいたい」
そして、実力でも認めさせないといけないな。ウラキは、久しぶりに血が熱くなっていた。
>>70 >ハマーン
死んでる。
原作ゲームと同じように
一応仲間にも出来るけど、ムービー用意されてるからそっちが公式ということで
>ウラキとジオン側意外のキャラ
出る。ネタバレになるから詳しくはいえないけど、敵方で。
味方キャラはこれだけ。理由は本日投下分参照。
/21th scene
どうやらマハー・カーラーを目覚めさせてしまったようだ。ウラキは幽かにそんなことを思った。第二警備艦隊が
送った画像ではその名の通り完全な暗黒であったのが、そこかしこに明かりがついている。人が乗っているらしい。
また、人を殺すことになるのか。だがそんな振り切れない甘さも、全方位スクリーンの左下に映し出された映像を見て
吹っ飛んだ。
Iフィールドの存在を示す鮮紅色のポインタである。搭乗機の左側面を守っているのは本当にワイズマン機なのか?
そうであるはずがない。だが。ザクUとほぼ同じ色に塗装されたギラ・ドーガよりもやや黄緑がかかった影が後方へと
退避行動をとっている。ザクV改。まださほど近づいているわけではないが、誰だってそうするはずだ。ウラキも愛読
している『月刊ミリタリージャイアンツ』の3ヶ月前の号の表紙をバーナード・ワイズマン准尉の名前が麗々しく飾って
いた。新型プロペラント・タンクの搭載、スラスターの改良、思い切った新型砲への換装などといった比較的地味な
改良の積み重ねにより、愛機の主砲であるメガ粒子砲の威力を4倍近く―ダブルゼータのハイメガキャノンに匹敵
する―にまで引き上げたという巻頭記事に、ウラキは感銘を受けていた。近距離からではないとはいえ、それが通用
しないほどの強力なIフィールドなど、想像もつかない。
俺たちは、一体何と戦っているんだ。瞬間、驚愕に体の自由を奪われた。百式改の前進は止まらない。マハー・
カーラーまで、あと3,02宇宙キロ。
「小隊長!」
僚機のギラ・ドーガから泡を食ったような無線が入る。はっと気がつき、眼前に迫ったマハー・カーラーの大きさに
恐怖する。が、2度続けて我を失うほどの新米でもない。
「実体弾による攻撃を試みる!各機、ワレと並び各々の判断によって攻撃せよ」
逆噴射で減速しつつ絶叫した。上と右とでギラ・ドーガ2機がほぼ同時にシュツルム・ファウストを発射するのが見える。
この距離でもあの大きさなら、外しようがない。ウラキも、本来ならば格闘戦用の武装である炸裂ボルトを百式の
肩から引き毟って投擲する。両肩に一つづつ装備されているものだ。両方とも、投げつけた。シュツルム・ファウストを
使い果たした僚きはグレネード・ランチャーを乱射している。
どうだ?凝視した。この距離だと実体弾に対する対空砲火も多少は効果がある。閃光、それに続くおびただしい煙。
煙が薄くなったとき、コックピットの中に歓声が反響した。クレーター、それも15個ほどの。マハー・カーラーに向けて
放った実体弾の、半分以上が命中した事になる。とはいえこの程度ではかすり傷を付けたことにすらならない。だが、
この場で一人、ウラキだけが確信の光明に包まれている。
不意に、右側遠く、マハー・カーラーの地平線近くで黄色い光線が幾条も自転車のスポークのように延びるのが見えた。
撤退信号だ。
「敵モビルスーツの接近を確認!各小隊、応戦しつつ帰投せよ!」
戦闘濃度のミノフスキー粒子すら物ともしない強力な電波で中隊長の指令が下された。もはや、通信封鎖に意味
は無い。
各機体が一旦マハー・カーラーに背を向け、最大戦速へと加速する。それから再び向きを変える。撤退運動だ。
敵の機体群を光学カメラがキャッチする。見た瞬間、ウラキは苦笑してしまった。こんな状況だが、絶好のシャッター
チャンスじゃないか。
マハー・カーラーの表面に多数穿たれているらしいモビルスーツ発射口から同時に30機ほどの機体が同時に
射出される。ビルゴU、ゼク・ツヴァイ、サーペント、メッサーラ。敵さんも、数をそろえるのに苦労してらしいな。
/22th scene
帰還はさほど困難なものではなかった。どうしても逆噴射では出力が不足するので母艦の方を向いて再加速
する必要がある。それに多少手間取った位で、一機たりとも欠ける事無くリリー・マルレーンへの着艦を果たした。
それ程追撃する敵の技量は未熟で、かつ粘りも足りなかった。帰途の三分の一も消化しないうちに、向こうの方でも
引き返したのだ。燃料が足りないらしい。ただ一つ、ウラキだけではなく出撃したほぼ全員が抱いた感覚として、
敵機のパイロットがそろいも揃って未熟だったという事がある。その上全機が同一のクセを持ち、なおかつ、戦闘
時間が長引くほどに技量がわずかづつ上昇するという不可解極まりない動作をしていた。学習性のAIを搭載した
モビルドールなのではないか、との声も聞かれたが、実際にモビルドールと交戦したこともあるベテランパイロットに
よってその説は打ち消された。間違いなく人間による操縦だというのだ。
第2警備艦隊が一機一艦残らず壊滅したのは、マハー・カーラー近辺における濃密な対空砲火との相乗効果
と、未知の強力なビーム砲―発射回数が限られていて、偵察中隊程度にまで使用すべきではないと判断された
のであろう―によるものだと結論付けられた。
が、これらの結論が出たのは、ウラキ達が帰還してから少し時間がたってからの話である。
着艦して百式から降りてすぐブリッジに上がり、休養のシフトに入っていたガトーに、息も絶え絶えに声をかける。
「…喜べ、ガトー…”スタークラッカー”で倒せるぞ…。3日後に来る援軍に任せよう…俺は、もう、疲れた…。
所で、寝室どこだっけ…?」
「エレベーターで第四甲板まで降りてすぐ左に行った突き当りだ」
返事もせずウラキはエレベーターへと直行する。
「「おい待(て)(ちな)!」」
ガトーとシーマの声が重なる。これは、『星の屑』作戦から彼らと転戦して来たブリッジ管理役の下士官にすら、
異例中の異例といっていい事態であり、彼はその日、何度もその話をせがまれる事となる。それ程ガトーと
シーマはお互い噛み合わない仲だった。が、ウラキの行動はそれ以上に異例なものであったといっていい。
近づいてきたトリエルを無視して通り過ぎたのだ。
ウラキの姿がエレベーターへと無言のまま消える。
トリエルは、じっとその場に立ち尽くしたまま、床を見つめている。
「ホントに駄目な奴だね!後で叱ってやりな。アタシも手伝ってやるから」
シーマが元気付けようと肩を叩いていう。それでもトリエルは、雷にでも打たれたように固まっていた。
ウラキとしても悪気があったわけではない。普通の状態であったら、あのような状態のトリエルを見たら何事かと
慌てふためいていただろう。ただひたすら疲れていて、寝台以外の何者も脳内に介在させる余地はなかったのだ。
(起きたら全て解決しているだろう。そしたら休みをとって、トリエと地球に遊びに行きたいな…)
眠りに落ちる直前、トリエルの気も知らず暢気にもそう思った。
コウ・ウラキの人生最悪の一日はこうして終わった。思ったよりも短い眠りから覚まされたとき、彼の
人生で最も長い一日が幕を開ける。
<interlude>
「ホ、ホラ!あいつは今日一日ずっと戦い通しだったから、すごく疲れてたんだよ!そ、それで…
だからそんな顔おしでないよ!」
「そそその通りだ、少女よよよ!ここ毎日ずっと疲れる仕事の連続だったそうだしだったそうで、
その上にカーチェイスだの更にて偵察行動だのの、普通だったら、あ〜〜そうそう気が狂ってもおかしくはないぞ。
そう、おかしくなってるんだ!頭が変なんだ!後で黄色い救急車を!いや精神科医を呼ぼう!!」
「ガトー!何やってるんだい、マジックで顔に手術跡の縫い目みたいなの書いて!?」
(お二人が、心を一つにしていらっしゃる…)
ベテラン下士官は感涙に咽んでいた。だがそんなことはどうでもいい。
…嬉しかった。淋しくて淋しくて堪らなかったところに、いきなり私を迎えにきてくれて。
お伽噺に出てくる白馬の王子様ってああなのかって。あんなに強く、私を引っ張ってくれて…
けどあの金色のモビルスーツを動かさせたら、すぐにいっちゃった。一緒に乗れて、嬉しかったけど…
みんなを守るための大切な戦い、なのかな。ずっと心配してたんだよ。なのに、無視なんて…
私はウラキさんがいないと、さみしくて死んでしまいそうになる。
だけど、ウラキさんにとって、わたしはいったいなんなのだろう…
どうでもいいのかな?わたしをむかえにきてくれたのも、モビルスーツをうごかすためだけなのかな?
わたしもあの娘達(レギオン)と同じでただの道具、だったのかな…?
ウラキさんと出会わず、あのまま研究所に戻っても、今とおなじだったのかな?
それでも、わたしは…
涙が一滴だけ床に落ちる。駄目中年2人組が駄目さを加速させる。ウラキの予想余命が物凄い勢いで縮む。
</interlude>
ウラキィィイーッ!
おまえがッ トリエルの好意に気付くまで 殴るのを止めない!
/23rd scene
「なぜ、先程の敵襲の折、出撃しなかったのかね?」
チャトゥルブジャの地下第16層に設けられた、この小惑星には不似合いな豪奢な応接室。アステロイドベルト
に在り、ジオン公国の管理下にあってヴァイクンタと呼ばれ、資源採掘及びアステロイド・ベルトにおける前線基地
に供されていたときに設置されたものである。目隠しのような金属製の仮面をつけた男が、大理石を模した滑らか
な大テーブルの向こう側の三人がけソファに深く身を沈める二人の男に尋ねた。
「見ただけで、警備艦隊とは段違いのベテラン部隊だと分かった。我らとてその全てを討ち果たすのは、とても」
大柄で肩幅が広いほうの男が答える。
「切り札は最後まで隠し通しておくもの、といわれたのは、あなたの方ではありませんか」
隣に座っている華奢な男が続けた。
「その凶暴な愛馬が、古強者を蹄で踏みにじるのを見たかったな」
「待たせはしない。2日遅れの援軍に絶望を味合わせた後は」
「その援軍を、血祭りに挙げて差し上げます」
「期待していいのだな」
「「無論」」
遠くで起こっている重大な問題も近くで起こった深刻な問題も露知らず、ウラキは緩みきった顔で起床した。
「良く寝た…そういえば、目覚まし消してなかったか…。腹も減ったし、もう起きるか…」
ここで寝台を離れなければ電流で無理矢理起こされていたところだということを、ウラキは知らない。
寝台のサイドテーブルの棚に艦内の地図があった。軍服に着替え、食堂の位置を調べる。移動する。
食事の時間ならば込み合っているはずの士官食堂が、なぜか閑散としている。寝ぼけて時計すら見忘れたのだ。
「すいませーん、食事、出来ます?」
「おお、アンちゃんには上からの指令でスペシャルメニューが用意してあるよ!」
「へ〜楽しみだな」
―次の瞬間、リリー・マルレーンの巨体を揺るがす絶叫が轟いた―
"C A C A R R O T −−−−−−−−−−!!!!!!"
キャキャロットーキャキャロットーカカロットーーーー
「どうやら起きたらしいな」
「全くいい気なもんだよ。ジョニーの奴がパイロットには睡眠が不可欠だ、なんていうもんだから見逃して
やったけど、いい加減ギリギリじゃないか」
「では、たっぷりお灸を据えられたあいつのアホ面を拝みに言ってやるとするか」
「いやアンタの方がアホ面だから」
/24th scene
ガトーとシーマが食堂にやってきた。ウラキはオレンジ一色のお盆の前で頭を抱えている。
「どうだ、少しは目が覚めたか?」
「覚めた所じゃない!なんだよスペシャルメニューって!?ニンジン入りの炊き込みご飯に付け合せが
ニンジンたっぷりの金平ゴボウで主菜がニンジンがゴロリと二本分も入ったポトフでサラダもニンジンスティック
のみで飲み物までニンジンジュースで、デザートに至ってはニンジン入りケーキじゃないか!!僕がニンジン嫌い
だって知ってるだろう!嫌がらせもここまでくると逆に感心するよ!驚きのあまり英語で絶叫しちゃったよ!
…ってガトー、お前なんで顔の左上が黒くなってるの?なんか手術跡っぽいのも見えるし。負傷したのか!?
あれ?どうして震えてるの」
ガンッ!と、右側でガトーは机に正拳を叩き込んだ。ジュースが零れてくれたらいいんだが、とウラキは思ったが、
なぜか波立ったのみで1mgも零れなかった。
「どうしたんだガトー!」
「…怒りを、持て余す…っ!」
「僕の方こそ怒りの余り純粋な悪に目覚めそうだよ!ニンジンにトラウマがあるって話しなかったっけ!?」
シーマがウラキの左側に寄ってきて、掌をテーブルに置いて身をもたせかけ、ウラキを威圧する格好をとった。
「あの娘の方が辛い想いをして泣いてるんだよ!そして、あんたが何とかしてやらないと、あたしたち全員死ぬんだ!」
「トリエ泣いてるの!?泣かせた奴は誰だ!ラグビーで鍛えたタックルをブチかましてやる!!」
「「あいつだ」」
ガトーとシーマが同時に壁際の鏡を指差す。
「地球もろとも宇宙のチリになれーっ!!! ってこれ鏡じゃないか!何!?僕何かした!?」
キレつつ脱力するという一生に一度あるかないかの体験を、二人は同時に味わった。
リリー・マルレーンに急遽しつらえられた司令官室で、マツナガ副司令官は早くも戦勝会見の草稿を推敲していた。
指揮官が動揺すると兵隊はそれ以上に不安になり、勝てるものも勝てなくなる。それ故将校には常に沈着冷静さが
要求される。実質上の最高司令官ともなれば尚更だ。先程の会議では、沈着然とした印象を取り繕うのに精一杯で、
彼の唯一の悪癖である薀蓄の披露をし損ねた。この度克服された危機の重大さと、それが与える印象、双方を考慮
して名付けたマハー・カーラーとはどういう意味かというと…。彼の精神は早くも恍惚境へと彷徨いつつあった。その
瞬間に
「マハー・カーラーが加速を始めました!」
ノックも無しに駆け込んできた伝令が絶叫した。
その伝令が後に語り草とした話では、その時マツナガ将軍は書類に目を落としていたが、その体勢のまま上目遣い
に彼を軽く睨み、
「作戦は変更だな」
と、事もなげに答えたという。将器とはあのようなものか、と彼はいつもその話を締めくくるのだが、マツナガの内面
は荒れ狂っていた。そこでも沈着さを装う第二の天性がやっとの思いで勝利を収め、彼の精神の中で湧き出て暴れ
まわっていた言葉のうち、口に出すべきと判断した物の発話を許可した。実際にここでいわれている「作戦」とは
スピーチの内容である。
/25th scene
ほぼ同時に、ロンド=ベル旗艦ラー・カイラムとプリベンター旗艦アークエンジェルにその報せが入った。
「それで、マハー・カーラーのサイド3空域通過はいつになるんだ?」
第一報のショックから覚めた後、ロンド=ベル臨時司令官ブライト・ノア少将はやや上ずった声で尋ねた。
「予定より二日早まって、明日です!」
伝令が絶叫した。ブライトは絶句する。この位置からでは到底間に合わない。
「最高速度でいけば間に合わない事はないわ。現在我々が集めた兵力で、何とかできないかしら?」
時をほぼ同じくして、アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスは会議室で発言した。しかし
「数は揃っているのですが、ジオン共和国軍より要請のあった大出力ビーム砲を搭載している機体が
現在我々の占有になく、貸与を要請するとしても各種手続きで最低でも一週間はかかります」
オペレーターのミリアリア・ハウの答えは絶望的なものであった。
「ヒイロ君のことね」
「はい、サンクキングダムのドーリアン外務次官に強力を要請したのですが、別途任務に従事中だと」
「強力かつ連射可能な実体弾、というのもあるわ。ドモン君に頼んでみたら」
「現在修行中とのことです」
「ジオンは一旦連邦による武装解除を受けた。共和国軍はその後改めて連邦の監督下の元再建された。
多くの制約が加えられ、その中には核武装・対コロニー用BC兵器などと共に、高出力ビーム砲もある。
計算の結果、お前の計画を実行するのに十分な威力を備えたビーム兵器はサイド3にたった一つしかない…
お前の百式のバスター砲だ。貴重極まりない以上、防御にも細心の注意を払わなければならん」
モビルスーツデッキでガトーがそういってすぐ、ウラキは隅のほうで黄昏ていたトリエルの元へ物凄い勢いで
駆け込むや否や、
「ゴメン!本当に悪かった!言い訳はしない、気が済むまで俺を殴ってくれ!!」
と土下座していった。さほど悪いことをしたと思ってはいないが、トリエルを傷つけてしまったことについては
激しく後悔していた。
(男ってのはどうしてこうアホなんだろうね…ガトーもなんか感動してるし)
大きな箱のようなデッキの壁にあるオペレーター室から二人を眺め下ろしながら、シーマは溜め息をついた。
一分ほど経った後、壁のほうを向いて体育座りをしていたトリエは立ち上がった。足を隠さない紺色の小さな
短パンらしいものを履き、袖の長さが二の腕の半ばまでの奇妙な白いシャツを着ている。
/26th scene
その服装は中世紀の20世紀に地球(当時人類は宇宙にやっと足を一歩踏み入れた程度だったから特定する
必要はないが)の日本で、女子学生が体育の授業において着用していたブルマーと体操服とよばれているものだ。
総帥シャア・アズナブルの直接かつ協力な指示により、ネオ・ジオンにおいてはレウルーラを初めとする各艦艇に、
「民間人の少女が乗船した場合の換えの服装」という奇怪な理由で一隻につき最低5組づつ常備するよう義務
付けられていた。不思議な事に、この決定の後ネオ・ジオンの成人女性からの支持が微減したのに対し、成人
男性からの支持は目に見えて上がり、組織内の結束も高まったとのことである。とはいえそれが役に立ったのは
今回が初めてだが。なお、総帥がこの決定を下した直後、首席秘書官ナナイ・ミゲルが精神科を受診したことを
付言しておく。
トリエルはしばらくウラキを見下ろしていたが、やがてウラキの前にしゃがみこんだ。どうする!?とその場に
いた全員が注視した。拳を握る。スワ、と緊張感が走ったかと思うと、ぽか、と気の抜けた音が、デッキに響いた。
状況を飲み込めないウラキは顔を上げて鳩が豆機関銃をヤンマーニ(目撃者の一人の証言より、意味は不明)した
ような顔でトリエルを見つめる。口をややへの字に曲げ目を細めた微妙な表情からは意味が読み取れない。
「さ、儀式も済んだ所で作業を再開するぞ!」
パンパン、と手を叩き、ガトーが指令を下した。マジックを石鹸で落とそうとして失敗し、左上が黒く染まって
異人種からの植皮手術を受けたようになっていた顔は、
「油性マジックだったら油で拭き取ればよくね?」
とのライデン中佐の冷静な指摘を受け、常態に復している。
トリエルの表情が何を意味していたのか、この場で唯一の女性であるシーマにすら理解できなかった。
(…悪かったと思っているのはわかる。もうあまり気にはならない。
けど、わたしのことをどう思っているのか、まだよく分からない。
もしウラキさんがわたしがいてもいなくてもいいと思ってるのなら… 後で考えよう)
噛み合わない気持ちのまま、二人は互いの命を預かりあう次第となった。
シャアは変態だなぁ
ナナイ不憫wwwww
/27th scene
「要するにこの作戦は、敵の応戦能力を全て搾り尽くそうというものです」
ガトー率いる工兵部隊が射撃用トーチカと球形陣、そして生命維持に必要な分を除くサイド3中のエネルギー
をかき集められるだけかき集める準備をしている間、ウラキは発案者としてミネバ・マツナガ・ライデン・シーマ・
コッセルを初めとした首脳部相手に作戦の説明を行う事になった。
彼の発案した”スタークラッカー”は兵器ではなく、それらの組み合わせ、ビーム砲撃と実体弾を同時に対象に
ぶつける、という運用法をいう。資源用の小惑星を小さくして扱いやすくしたり、大きめのスペースデブリをコロニー
の壁面が耐えられる程度の大きさにまで粉砕する事を目的とする。それが命名の所以である。ビーム兵器に
よって対象に口径の小さな穴を開け、コンマ1秒以下の時間をおいて弾丸(場合によっては手榴弾ほどの大きさ
のものでもいい)をそこに潜り込ませ、爆発させる。これはウラキが旧ザクで作業を行っていたときに聞いた話
から思いついたアイディアだ。古くからモビルスーツでコロニー維持などの作業を行っている老人によると、
中途半端なエネルギー出力で打たれたビーム砲に当たり中核まで通じる穴が穿たれた小惑星はよく見つかる
そうで、破砕処理する場合は穴の中に適当な大きさの爆弾を投げつければ済むので楽だという。
とはいえ、実用化までの道は遼遠であることはウラキ自身も認めている。最大の問題はビームを撃った後
即座に実弾射撃に切り替えるシフト機能だ。宇宙空間ではありとあらゆるものが移動し続けている。その上、
対象と完全に動きを同期させるのは手間がかかる。その為ビームを発射した直後に実体弾を撃ち込まなければ
ならないが、二発続けて同じ箇所に射撃を命中させるのは”ピンホール・ショット”と呼ばれ、物体が宇宙空間
と比べ格段に静的な重力下にあっても至難の業だ。調整を行うオペレーティング・システムは近い内に実現
されそうな見込みらしいが、それでも切り替えの際に発生するブレまでは対処のしようがない。
が、この度の作戦はそのような繊細なものの正反対だといってもいい。
敵が一定距離に侵入するや否や突如開始される対空防御、全機が同一人物によって操作されているとしか
思えないほど統一的な動作をする迎撃モビルスーツ群。これらのことから、マハー・カーラーは中世期のニホンと
アメリカの海軍の巡洋艦で採用されていたイージス・システムに近似した、自動防御システムを搭載しているもの
と推察される。
ならば、強力な攻撃を間断なく与え、そいつをパンクさせてやればいい。
偵察出撃からの帰艦途上、ウラキが大急ぎで作成し、暗号で司令部へ上申したメモの内容は
@迎撃機がこない程度の距離からの大出力ビーム狙撃
A全方向からのファンネル・ビットモビルスーツ等による実弾射撃
上の2つを同時に行う事によっていずれかの攻撃が相手に打撃を与え、なおかつ敵の燃料切れを期待しようと
いうものである。
一旦は大規模すぎる割りには確実な効果を期待できないとして否決されかかったが、他に有効な手立てがない
ことと、第二警備艦隊が遺した映像を分析した結果、戦艦のビーム砲をIフィールドで防ぐ際に若干だが対空砲火
が疎らかつ乱れたものになるという結論が出され、採択された。
「しかし、自分で立案しておきながら、無茶な作戦だと思うよ。その上、準備が上手くいってるとはね」
「エネルギー公社にどこからか圧力がかかったらしいよ。危険度Eまでのコロニー住人の退避も、現在23%完了
しているし、連邦が真面目に仕事するなんて、死ぬまで一回でも見れるなんて思わなかったわなぁ。
お陰でコロニーや月はおろか,地球までがアップアップさ。全く、どんなお偉いさんが蔭にいるのやら」
ブリーフィングで作戦概要と現状の解説を終えた後、ウラキとシーマは改めて物事がうまく運んでいることに
驚いていた。
<answer>
「そうだ、今サイド3と月にある船の全てを、住人の脱出にあててもらいたい。デパートを半年閉める羽目になる?
人命には換え難いだろう。それとも、例の汚職、アレをリークしてもいいのか?」
「君の所でS56空域に備蓄している燃料があったな、あれを共和国軍に供出しろ。ルウムで助けてやった恩を
忘れたのか」
―気がついた時は、全てが終わっていた―
この世に「神」などというものはいるはずがない。いるならば、何故ザビ家の独走によって地球の人口の半分以上
が死に至らしめられたのか。何故地球連邦はこの事態から何も学ばなかったのか。何故この状況を静観しているのか。
「神がいなければ、全ては許される」
3人兄弟の次男がそういったという。それに影響されて、兄弟の父親が私生児として産ませた4番目が父親を殺し、
結果として長男はその罪を被せられて投獄。次男は裁判の途中発狂。私生児は自殺。三男はいずこかへと旅立った。
そういう小説を、昔読んだ。解説によると、作者は三男が皇帝を殺そうとする話の前段としてこの小説を書いたそうだが、
手をつける前に死んだという。私としては、その話のほうが気になったのだが。
ともあれ、神がいないとしても、何者かが天罰を加え、否が応でも教訓を骨まで刻み付けてやらねばならない。
そう思っていた。
しかし、私があの時あそこで感じたものを『神』と呼ばずして、一体何と呼べばいい?それも、我々が折角代行して
やろうとした神罰を無に帰すことで、その存在を露にするとは。
目が覚めたとき、サザビーの脱出ポットは海に浮かんでいた。大気圏に突入したらしい。万が一に備えて耐熱処理
もパラシュートも装備してはあったが、燃え尽きも跳ね返されもしない絶妙な角度で突入するとは思わなかった。
悪い冗談だ。ハッチを開けて澄み切った青空と深い藍色を湛えた海、水平線に見え隠れする島らしい影を見て、
美しい、ただそれだけを思った。
これら全てを、自分の手で、破壊しようとしていたのに。
海流によって島まで運ばれた後、しばらくの間、草を噛み湧き水を啜り魚を齧って露命を繋いだ。無精ひげと伸びきった
髪のせいで誰も私だと分からなくなった頃にやっと貨物船が近くを通った。もしあそこであの船を見つけていなければ、
今もあそこでああしていただろう。
それからスラム街で日雇いの生活に身を沈めた。その内に分かったことがある。地球で暮らしていれば、宇宙にいる
時には理解できなかったアースノイドの物の見方や考え方が、自然と自分自身のものになってしまうということだ。
ならば再び宇宙に上がればどうなるか。それを確認するため、再び宇宙に上がった。即座にスペースノイドに戻る自分
がいた。
何のことはない、人は全て同じだ。こういう考えが出来るようになったのも、アムロと正々堂々、お互い最高のモビル
スーツに乗った挙句、負けたからだろう。自分がもっと強ければララァは死なずに済んだのではないか?その疑問に
答えを見出した。私は、いつだって出来るだけのことは、してきたのだ。そして人間というのは、大抵がそうだ。
そのことに気付くと、色々とこだわって来たことが妙にくだらなくなった。とはいえ過去の自分を否定する気にもなれ
ない。人はそうやって前に進むものだ。だから私は、大衆の一人となり、その進歩に力を尽くそうと思った。
故にラウ・ル・クルーゼよ、ザフトの産んだ鬼子よ。お前には世界を憎む資格が十分にあることは認めよう。が、その
世界の方も、黙って破壊されるほどヤワなものではないことを、経験者として、教えてやる。
</answer>
88 :
通常の名無しさんの3倍:2008/01/31(木) 03:23:00 ID:vRQQ2uXy
ほすage
ロリコンかっけぇ
/28th scene
トリエルは出撃前最後の睡眠に入っている。リリー・マルレーンの士官クラブで、作戦に参加する将校の面々も
また、出撃前最後の寛ぎの時間を楽しんでいた。ウラキはカウンターの隅に座り、置いてあったモビルスーツの
カタログに目を落としている。飲酒は,大目に見られてはいるが、建前では許可されていない。そして、サイド3に引っ越し
てきて以来、彼に可能な暇つぶしといえば、モビルスーツいじり、飲酒、あとはトリエルの面倒を見ることのみであった。
ガトーがそこにやってきた。手には何か箱のようなものをぶら下げている。
「少しは飲んだほうが気分が解れていいぞ。アルコール分解アンプルもある」
ウラキは体勢を変えず、横目でガトーを見る。
「そんなことだからジオンは負けたんだ」
「モビルスーツのキル・レシオでは1:2.7だ」
その数値には心当たりがあったため、ウラキはカタログを閉じ、しばし目をつぶった後
「…一杯だけくれ」
と返事をした。ガトーは手際よく箱を持ったままカウンターの裏に回り、なにやらゴソゴソしていたかと思うと、
グラスをカウンター越しに差し出した。
「テキサスコロニー謹製のバーボンだ。やっと商品として出荷できるそうだぞ」
「…ン」
無言のままグラスを取り上げ、少し揺らし氷がぶつかり合う音を立て、一口だけ流し入れる。
「どうした?いつもいつもつまらない奴だとは思っていたが、今日は例になく無口だな。それにンってなんだ、
トリエル君の影響でも受けたのか?」
「…お前が俺のことをどう思っているかよくわかったよ。別に分からなくてもよかったけど」
「えらく刺々しいな」
「…まだ胃腸の具合が悪い」
「あの件はすまなかった。シーマがどうしてもというものでな」
いつの間にか隣に座っていたガトーがストレートでチビチビと飲みつつ答える。彼としても、少女を泣かせるような
奴はどんな理由があれ軍人失格だと思い、シーマの思いつきにも別に反対はしなかったのだが。
「これが終わったら、もうこんなことには関り合いにならなくて済むのかな」
「弱気なことを言うな。貴様だって、自分の意思で士官学校に願書を出したんだろう」
「ああ、敵を殺すのが仕事で、自分も殺されるかもしれない。十分すぎるほどに覚悟してた、つもりだったんだが」
「何か転機になるようなことでもあったのか?」
歴戦の勇士が些細なことが原因で戦場を離れることがよくあると、経験豊富なガトーは知っていた。
「ジェネシスの戦闘でな。あの、センチュリオがやたらたくさん湧いて出てきた」
「ああ」
「一機、中々倒せなかったんで無理してデンドロのメガビーム砲を腹にねじ込んで、直接低出力で砲撃して破壊した。
操縦していたレギオンが腹から真っ二つになって、顔にかかってたバイザーが外れて、トリエと同じ顔で俺を
見ていたんだ。…なあ、ドズル・ザビはコロニーを落としたあと、自分は何億人ものミネバ様を殺したって嘆いた
んだろ?」
「その通りだ」
「俺もそれと同じだ。トリエのことは、大好きだよ。妹がいたらこんな感じだろう、って思う。たまに、新婚のような
気分にもなる。でもトリエのことを可愛いと思えば思うほど、あの時殺したレギオンのあの目がちらついて、踏み
込めなくなるんだ」
「…そうか」
ウラキの首の裏にいい蹴りが一発入った。全身が痺れる感覚に襲われ、グラスを取り落とす。机の上で痙攣する。
蹴ったのはシーマだ。
「女々しいねえ!兵隊なら敵を倒すのは当然だろ、そんなことに捕らわれて、すぐ側で泣いてる女の子を無視
するなんて、あんたそれでも男か!」
余りの事にガトーは呆気に取られた顔でシーマを見ている。ウラキは、それもそうだ、と少し思いつつ、いきなり
延髄切りは酷いんじゃないかな?と息の出来ない喉から声を絞り出そうと必死だった。
ああ、そりゃ辞めたくもなるよな……
ってシーマ様カッケェそしてひどいwww
GJだ!
しかし、コウとガトーのやりとりがイイなあ
/29th scene
サートゥルヌスの犯行声明が出る前にシャアの警告に従ってガトーが行った『最低限の備え』には、2つある。
一つは、各所に保管、あるいは放置されていた新旧問わず全ての戦闘可能モビルスーツの徴発及び最低限
の戦闘能力と信頼性を確保できる程度の整備。もう一つは、マハー・カーラーを迎撃するための防衛線の設営
である。
一年戦争が終結した後、連邦はアステロイド・ベルトや火星に逃亡した残党勢力のサイド3との合流を阻むため、
『絶対防衛圏』の名の下にサイド3を蓋うように資源用の小惑星を配置した。監視所、モビルスーツ格納庫など
も設置された本格的な防衛線である。ギレン・ザビを黒幕とした半年間にも及ぶ紛争の中で放置されていたのを
復旧するだけの、割合に楽な作業であった。ガトーにとっては連邦がジオンに押し付けた屈辱以外の何者でも
ないが、それがサイド3の護りとなる。連邦を利用してやるのだ、と作業開始前にガトーは訓示し、部下と己を
納得させるよう試みた。
ウラキのメモを司令部が具体化した作戦案では、まずかき集められたモビルスーツ・モビルアーマー・戦闘機などを
マハー・カーラーの対空射撃が有効にならない程度の距離に、大量に、囲い込むように配置する。マハー・カーラーは
サイド3を目指す軌道に乗っているからその動きに同期させなければならない上、モビルドールによる迎撃を防ぐ
ためにまずマハー・カーラーの遠方に配置して少しづつ前進させ、大出力バスター砲の命中とほぼ同時に射撃地点
に到達し、射撃を開始させるという複雑な動作を遠隔操作で行わなければならない。そのためサイド3のニュータイプ
研究所の協力を得て全機体のビットモビルスーツ化を前もって完了させておいた。その操作にはジオン共和国軍に
所属する数少ない強化人間であるゼロ・ムラサメとレイラ・レイモンドがあたる。二人がそれぞれマハー・カーラーの
北極点と南極点(便宜的に与えられた名称であり厳密な物ではない)を見下ろす位置で待機し、司令部からの指示
に従って攻撃を開始する。
バスター砲の砲手であるウラキが騎乗したフルアーマー百式改は、上で述べた防衛線に置かれた、元来は狙撃
砲台として運用されるべく構想されていた小惑星より狙撃を行う。この小惑星は巧みに配置され光学的な視認が
難しい上に、周囲の小惑星には妨害電波発生装置が設置されている。更に有線通信、有線動力回路が配備され、
このような任務には絶好の環境だ。その際、百式の護衛としてトリエルの騎乗するトライアが、丁度百式の盾になる
位置に配置される。トライアはその名の通りトリエルの姉妹であるレギオンが騎乗すべく設計されたセンチュリオ・
シリーズの試作機で、ほぼ同等の性能・武装を備えている。その中にはムーンレイスより強奪された、人工物を
破壊するナノ・マシンを撒き散らす月光蝶を改良したフィールド・インペリウム、逆に稼動して自機・味方機の破損を
逐次修復するレルム・Dがあり、盾役にはうってつけなのだ。とはいえ大変危険な任務であることには変わりはない。
それ故ガトーとシーマは、援軍に以上の任務を押し付けるつもりでいたウラキに、トリエルの機嫌を直すよう強要
したのである。
ここまで読んだがやっぱりトリエルが可愛すぎる・・・
日常パートでニヤニヤが止まらんw
もっと欲しかったところだが贅沢は言えないな。
とはいえGJ
>>79の二人組の男・・・アインの弔い合戦でもやるつもりなのかなー・・・・・
/30th scene
出撃の時間が来た。
リリー・マルレーンの食堂に集合したパイロット達に対し、マツナガが行った激励は簡潔なものであった。
「現在まで分かっている範囲のことを伝える。マハー・カーラーは旧名をヴァイクンタといい、かつてはアクシズ等と
ともに我々ジオン公国がアステロイドベルトに占有していた小惑星である。ただし、ティターンズの残党でアステ
ロイド・ベルトにおいてそれだけの行動を起こせるだけの権力を有する勢力は、今もって確認されていない。
つまり、敵の正体は全くの不明である。だがサイド3そのものを滅ぼそうとする意思は明瞭だ。各員の奮励努力を
期待する」
ウラキとトリエルも連れ立って格納庫へと歩いていったが、トリエルの表情からはややウラキに対する不信感が
拭い切れていない様子が覗える。
(…私がウラキさんを守らないと皆が死ぬ、だから今は戦う。でもその後は…)
流石に何ヶ月も同居していただけあってトリエルの表情を敏感に読み取れるウラキは、何とかして機嫌を直そうとして
数少ない女性経験を、訓示も聞かずに一時間ほど振り絞っていた。そして、互いに百式・トライアと別々の道を進み
かかった時、意を決したかのように立ち止まり、トリエルの方に歩み寄ると
「勝利を手に入れたら、二人で…」
とささやいた。すぐにトリエルの表情には気分を良くしたかのように、険が取れ、淡い笑顔のようなものが浮かんだ。
ウラキがなんといったのか誰もが知りたがったが、その謎が解明されることは、ついに無かった。
二機は連れ立って、用意された狙撃ポイントへと向かった。
トーチカとはいっても、万が一敵機が来襲した場合に応戦することを考え、中世紀の第二次世界大戦までに存在
した戦艦に設置された司令塔や要塞のような、密閉された空間に銃眼のみが開けられたものではない。平に整地
されている。その中心でウラキの百式改は腹ばいになり、既に地球から見た月の倍ぐらいの大きさに視認される
マハー・カーラーの中心に照準を合わせる。トライアはその前に立つ。
トリエはトライアに騎乗した場合に限り、マシンのサポートを受けて限定的にではあるが発話が可能となる。
(…何か、いっておかなきゃいけないかな)
ウラキはなおも、トリエルの感情を害してしまったことを気に病んでいた。先程の誘いでやや機嫌を直したかのように
見えたが、彼は小心者であった。
「もしかしたら、僕たち、これで死ぬかもしれないね」
何てことを言ってしまったんだ。口に出した瞬間、そう思った。だがそれが、彼の偽らざる本音であった。
「…ダイ、ジョブ…ウラキ、サ…シナナ…イ…ワタシ…マ、モル…」
何てことを言わせてしまったんだ。返事を聞いた途端、そう思った。彼女も本音をいってるのか?少し疑ったが、
だがそれを確認するためにも、二人揃って生き残らなければ、ならない。そう思うと、自然と次の台詞が口から
滑り出した。そう、男ならば、こういわなければならない。
「ありがとう、トリエ。僕もトリエを守るよ。その後は…」
「…ン…」
その後。それを思い,ウラキの気分はかなり浮き立った。全く、半分愛を告白したようなものじゃないか。だがその
前に。
彼は改めて眼前の、極わずかずつではあるが拡大しつつある闇を睨みつけた。アレをぶっ壊した先に、俺たちの
明日がある。
/31th scene
その睨みつけられているマハー・カーラーことチャトゥルブジャにおいて、2機の異形のモビルスーツが発進しよう
としていた。一機は本体を越えるほど大きい三角形のバックパックを背負った黒を基調とし、所々に赤が配色された
ガンダムタイプらしき機体。もう一機は、手足を臙脂色、体幹部を黒に塗られ、胸部に左右一つずつ設置された緑色の
放熱パネルが悪魔の眼のようにも見える、同じくガンダムタイプらしい機体。
「行くのかね。少し、早すぎるような気もするが」
仮面の男が乗り込もうとする二人のパイロットに問いかける。
「偵察ですよ、あくまでも」
「敵は一度武装解除されたとはいえ、ジオンであることには変わりありません。いかなる備えをしているか、分かった
ものではありませんからね」
「では戦果を期待しているぞ。何だったら、守備隊を壊滅させても構わん」
「「では」」
(それに、こんな悪趣味な場所には長くいたくないからね、兄さん)
(全くだ、オルバよ)
二人を特殊たらしめている能力―とはいえ特殊なのはそれのみで、その結果軍から受けた待遇が彼らをここに
導いた―二人の間だけで通じるテレパシーで、彼らは話した。と同時に、全く同じものを、彼らは思い出していた。
縛り付けられた華奢な肢体。薄くブルーに輝く髪。バイザーに隠された表情。
トーチカの周囲は、ジョニー・ライデン率いる公国軍以来の伝統ある精鋭キマイラ隊とガトー率いる工兵隊によって護衛
されている。さらにシーマ率いる海兵隊が、攻撃終了後マハー・カーラーに上陸し、コントロールを奪取して軌道を変更する
ために独立して対象に接近する軌道をとっている。
工兵隊によって狙撃の最終準備が行われた。百式改がホールドしている、機体より長いのではないのかと思われる
バスター砲に外部電源が接続された。電源はトーチカである小惑星の内部まで伸びている。更に小惑星からは、黒く塗られ
ているため視認はほぼ不可能だがケーブルが何本も外のいくつもの小惑星まで伸びている。伸びた先の小惑星から、また
有線・無線を問わず多くの小惑星や戦艦、コロニーなどに電源がリレーされている。現在サイド3に設置されているリアクター
の、実に67%がウラキの制御下にあるたった一本のビームライフルへと接続されている計算になる。
連邦によって何ヶ月もかけて作られた設備である。サイド3がアクシズ等の外部勢力と呼応して蜂起した場合、連邦軍は
早急に発電所を差し押さえてエネルギーを他にいくつかあるこのようなトーチカに流し込む算段になっていた。それが不可能
な場合には艦隊を横付けしてエネルギーを供給する。そして大出力ビーム砲を持ち込み、来るであろう援軍を打ち砕く。
今回はサイド3の守りということになるが、運用としては全く想定されたとおりだな。作戦計画書に3度目の確認の目を
走らせながら、マツナガは考えた。同様のものに、彼の父祖の国で有名な熊本城がある。古世紀において例外的な程の
安定と文化的発展を見せ、崩壊後の経済的・軍事的躍進を準備する結果となったエド・エラの初期に立てられた要塞である。
一度はニホン南西の(小さな国であるニホンの基準からすると)巨大な島を征服するも、ほぼ同時期に成り上がって全土を
支配した鼠(政敵はおろか、主君からもそう呼ばれていた)によってその島の南端に押し込められ、鼠の死後も在世中から
第二の実力者として名高かった狸(後世のイメージではあるが)に反逆したシマヅ氏族を押さえつけるという理由で、鼠
に可愛がられた武将が心血を注いで作り上げた。約250年後狸の子孫は、弾の一発も撃たずにシマヅの家臣、サイゴーに
居城を明け渡す。だがそれから10年後サイゴーは叛乱し、シマヅの故地より北上を開始する。その際に新政府の要塞として
熊本城は極めて有効に機能した。
フム。マツナガは幽かに唇の端を上げた。この教訓は、いい話のタネになる。だがそれもこれも。リリー・マルレーンの
ブリッジからもマハー・カーラーははっきりと肉眼で確認できるようになっていた。
/31th scene
真空の宇宙空間を通じて、緊張感がコックピットへと入り込んできている。実戦ではなく、手術室のような雰囲気だ。
「エネルギー充填率87%」
「試算によるとバスター砲の発射可能回数は2回か、多くて3回。外すんじゃねえぞ」
「ムラサメ、レイモンド、それぞれ担当ビットの配置終了。対空砲火確認されず。いつでもいけます」
次々と、準備が上手くいっていることを告げる報告が入ってくる。ウラキは改めて前方を注視した。マハー・カーラーは、
もう既に人の手が入っていることを示す、人工物の光が見える程度にまで接近している。視線を手前に戻す。トライア、
センチュリオ・シリーズと比べて色が全体に灰色がかっていて地味だが、天使のような輪と羽、それに似合わぬ悪魔の
長く伸びた爪を思わせる方錐形の指に、ここからでは見えないが禍々しげな表情を思い浮かべる。
(…トリエと似合うのか似合わないのか)
ただ戦うためだけに作られたマシンチャイルドであっても、少なくともディー・トリエルというウラキが良く知っている個体
に関してのみ言えば、どこにでもいるような普通の少女だと彼は確信していた。だが、彼女の姉妹達であるレギオンと
センチュリオは極めてマッチしていた。
(つまり、トリエは何なのかってことだよな…こんなこと考えるのはやめよう)
「エネルギー充填、まもなく完了。終了の合図が出次第、発射せよ」
「了解」
改めてバスター砲のホールディングが万全であることを確認し、照準に眼をやる。充電の完了まであと5秒、3秒。
充電終了のサインと共に、機械的に引き金を引いた。レーザー砲は光速で直進する。即座に、マハー・カーラーがその
名(サンスクリットで「大いなる闇」という意味)と正反対の存在へと変貌するのが見えた。バスター砲と釣り合うだけの
Iフィールドを展開し、それぞれが干渉しあって純銀の眩い楕円形を形作る。太陽の次に明るい。実弾攻撃がどうなった
かまでは分からない。光が消える、どうだ?
思うまもなく、視界が一回転した。体の左側面が叩きつけられる。
一瞬、意識を失った。眼を開ける。トライアがトーチカに留まったまま、バスター砲を守りつつ戦っているのが見える。
俺はどこにいる。突然、右側面から攻撃を受け、左側の小惑星に叩きつけられたらしい。動くか。チェックパネルを拡大
した、百式の右足が吹っ飛び、左腕が小惑星に潰されている。スラスターが潰され、動けない。
赤紫色と青紫色の影が、トライアの周りを飛び回っていた。アレが攻撃したらしい。赤紫色の機体の胸が開く。即座に
大出力のビーム砲が発射される。瞬間、トーチカもバスター砲も攻撃に曝されるが、レルム・Dによって即座に中和され、
復旧していくのが見える。ランチャー・ジェミナスを咄嗟に赤紫の機体に向け、撃ちまくる。敵も相当の使い手らしく、当た
らない。直ぐに向きを変え、視界から消える。後方から青紫色の機体が襲い掛かり、背中の巨大なバックパックから二つ
の大きなハサミを出しつつ、ビームサーベルで切りかかる。しかし、振り向きつつブレード・ルミナリウムを展開し、右下
から摺り上げる。リーチはトライアの方が長い。察知した青紫は即座に逆噴射を行うが、ブレード・ルミナリウムがかする。
本当に、人類抹殺の破壊天使の一人なんだな。中破した百式を動かそうともがきつつ、ウラキはかすかにそんなことを
考えた。その一瞬の隙の合間。
赤紫の機体が、接近してきている。この距離なら。アーマーに付属しているメガ粒子砲を連射した。命中はしなかったが、
右下へとよけ、視界からは消えた。このスキに。そう思った途端、腕が伸びた。前方スクリーンを左上へと横断するのが
見える。衝撃。左肩を撃たれ、炸裂ボルトが誘爆した。一旦離れたかと思うと、ビームサーベルを構え、やってきた。
やられる。確信した。
/32th scene
だがその刹那、天使が翼を広げた。
トライアに備わった最強の武器、フィールド・インペリウム。トライアの4枚の羽根が体を離れ、4方へと離れ離れになり
進む。トーチカから離脱して、さらに広がったと見るや、その全てから虹色の光が放出される。やはり優秀なパイロット
であるらしく、赤紫の機体は慌てて向きを変え、逃亡する。月光蝶ならこっちも危険だ。しかし動けない。だが虹色の
カーテンは鼻先をかすったのみで、百式には影響を与えない。
(体の一部、なんてものじゃないな。あれじゃ本当に…)
青紫の影がトライアの背後―こちらからは左側からに見える―に接近するのが見えた。心配しなくても、直ぐにナノ
マシンによって分解されるだろう。
しかし、七色の嵐が治まった時、青紫の機体はトライアを羽交い絞めにしていた。
背後に背負っていた巨大なバックパックは消失している。アレを被って突進していたお陰で助かったのか?そう思う
や否や、赤紫のモビルスーツが飛びつき、構えたままのビームサーベルで即座に四肢を切断した。
「嬲り殺しにする積もりか!?糞ッ!!動け!動いてくれ!!!」
だが無情にも、モニターには大きく"ENERGY NOT ENOUGH"と赤く表示されていた。
コックピットを突き刺そうと、青紫の機体に損害を与えないよう出力を弱めたサーベルを構えなおす。
―何とも不可解なことに、一瞬両機の動作が止まったかと思うと、トライアを開放して去っていってしまった―
だがそれを不思議がる余裕はない。マハー・カーラーはどうなっている?拡大する。見える範囲の30%が赤く燃えて
いた。やったか?
次の瞬間、バスター砲に匹敵するほどのレーザー砲がトライアを直撃した。その瞬間、ウラキはトリエルが初めて、
片言ではない流暢な言葉を話すのを聞いた。
「さよなら」
<interlude>
『オマエはワタシ、ワタシはオマエ、昔、ワタシタチだったモノ』
『そう、あなたは私、私はあなた。昔、あなた達だったモノ』
『ナゼ、オマエガ?』
『……?…』
『ワタシモ「ふてきかく」トイワレ、ステラレタ。ナニモナイ。ナニモ』
『……!……!』
「ゴ…メン…サ…ワタ…ダ…ケ…シアワ…ゴメ…」
トリエルが泣きながら途切れ途切れに発する声がコックピットに響く。
ウラキの中で、何かが切れた。
</interlude>
……つ……続きを! 一心不乱の続編を!!
えーい、ホワイトベースはいい!続きを読ませろ!
やっぱり強化人間系は幸せになれないのかよ!
いや、例外もいるけどさ
/33rd scene
赤黒く輝く異様なビーム砲に炙られ、トライアは枯れつつあった。モビルスーツではあっても、死んだ植物のように
萎び、色褪せて茶色くなりつつある。機械よりも生物に近い。
「動け!動け!動け!!」
それを見つめることしか出来ないウラキの声は、最早人間のものではなくなっていた。ビーム砲が停止する。トライア
の姿は、浜辺に流れ着いた流木に近い。
潰された左腕を何度も何度も岩盤に叩きつけ、強引に機体を小惑星から引き剥がすことに成功した。それでもスラスター
の半分以上が破壊され、満足に動くことすら出来ない。機体の質量が重過ぎるのだ。
「ウラキ機、アーマー放棄!」
「死ぬつもりか!?」
リリー・マルレーンのブリッジに悲鳴にも似た報告が響く。モニターに写る百式改は、左腕が潰され、右足がもげ、装甲
が傷だらけで今にもバラバラに分解しそうだ。トーチカの有る小惑星にとりつくのには成功したものの、微妙な動きは望む
べくもない。満身創痍の状態で無様にバスター砲へと這いずっている。だが、百式改特有の傲然たる面構えと黄金の
輝きは、色あせていない。
「ウラキ大尉!バスター砲を掴んだらトーチカを捨てて3204に移れ!敵の攻撃はこのトーチカに集中している」
ライデン機からの緊急通信が響いた。
「嫌だ!!時間がかかれば、それだけトライアが傷つく!ここから撃たないと、トリエが危ない!」
「お前が死ぬぞ!!」
何を言っているんだ、この似非赤は?よく聞こえていないらしいから、通常回線、非常回線、予備回線、全て使って
聞かせてやる。
「構うか!!トリエのいない世界になんか、何の興味もない!」
/34th scene
「完全に我を忘れてるな…副司令官殿!砲手を更迭し、ライデン中佐への委任を意見具申します」
リリー・マルレーンのブリッジで艦長のデトローフ・コッセルが操舵盤から顔を上げ、発令席にミネバと並んで座っている
マツナガに、半ば以上理性を失った声でいった。
「ウム…」
マツナガが呻く。だが雷鳴のように割って入った声があった。
「この玉無し共が!!アンタらがコウの坊やに命令したんだろう。やるっていってるんだ、やらせるべきだろう!
自分の仲間を、信じられないのかい!?」
マハー・カーラーへの突入態勢を整えていたシーマからの通信だった。艦長が上ずった声で言い返す。
「でもシーマ様、あいつは連邦の…」
「あたしゃ、故ありゃ肩入れするのさ!」
それでも艦橋はなお混乱していた。が、この場に最も似つかわしくない、幼女の冷静な声がそれを鎮めた。
「ウラキ大尉に任せろ」
ミネバがつぶやくようにいった。
「しかしミネバ様、あの者は個人的への勝手な愛情に凝り固まっております。あのような無謀な愚行は、彼自身の生命
にも危険が…」
マツナガが諭そうとするや、ミネバは急に色をなし、目を吊り上げて言った。
「無礼者!父上も母上と私が逃げる時間を稼ぐために、自らビグ・ザムを棺桶として討ち死になさったのだぞ。うぬは
それを愚行というか!?」
マツナガは思いもかけないミネバの激昂に少し戸惑っていたが、幼い頃からプライベートでは俺・お前の仲で通していた
ドズル・ザビを相手にしていたときを思い出し、勝手を取り戻した。全く、ドズル、見た目からは分からないが、お前さん
そっくりだよ。
「…畏まりました。まさに、あれこそがジオン軍人の伝統というものでしょう」
「分かればよろしい」
育ちのいい人間特有の切り替えの速さで、ミネバは答えた。だが問題はこれだけではない。レイラ・レイモンド中尉の
αアジールから緊急通信が入る。
「しかし、先ほどの砲撃でビットは実弾の5割を消費し、対空砲火も再開され、ビットの2割が使用不能となっています。
これでは有効な打撃が…」
「いいや、実弾はある!ムラサメ中尉、レイモンド中尉、実弾攻撃の代わりに、全ビットをマハー・カーラーに激突させろ!」
トーチカの周囲を警備する工兵隊を指揮するガトーからの通信が割って入った。
「いいんですか?あの中には中佐の…」
ゼロ・ムラサメ中尉が騎乗するαアジールから疑問の無線が入った。だが
「構わん!旧式の機体なぞ、いい機会だから処分してしまえ!」
感傷を振り払うように言い捨てると、ガトーは、自らが騎乗しているギラ・ドーガと同じ色に塗装されたゲルググがある
はずの空域に目をやり、思った。
(お前がかつてソロモンの悪魔と呼ばれた私の空蝉ならば、我が想いを、守れ)
/35th scene
この距離からは効果がない対空砲火がマハー・カーラーからトーチカへと集中していた。周囲を弾丸の軌道が包む。
普通ならばなぜ弾丸を無駄遣いするのか、トライアを破壊したい理由でもあるのかと疑問に思うところだが、ウラキは
完全に理性を失っている。
百式はもう、スクラップにしか見えない。それでもウラキが健在の右腕をバスター砲へと伸ばすと、無事接続が行われた
ことを示す、気の抜けたような電子音が鳴った。いける!狙撃用バイザーを後ろの天井から引っ張り出し、手動で顔の前
へと持っていく。エネルギーの最充填まで、あと10秒。
丁度その頃、監視カメラをハッキングしてその模様を注視している面々があった。避難シャトルに乗っている。
「おい、これ、あの連邦のアンちゃんじゃねえか?」
「金色だしな」
「動かし方のクセも似てる。しっかし、すみにおけねーなー」
モニターを眺める一団の中に以前ウラキを殴打した痩せた男もいた。
(すまねえ兄ちゃん、後で俺のこと、好きなだけ殴ってくれ。だから、サイド3を救ってくれ…)
「マハー・カーラー、再び主砲発射態勢に入りました!」
絶望的な声がブリッジに響き、有線通信を通じて百式に届く。だがウラキの耳には入らない。
撃った。
タッチの差で、ウラキが早かった。主砲”ガルダ”のために充填されていたエネルギーが大慌てでIフィールドへと
まわされ、結果として双方が中途半端なものとなり、バスター砲に圧殺された。マハー・カーラーの姿は、一年戦争に
おけるソロモンを上回る悲惨なものとなった。なお捕虜の証言によると、対空砲の観測要員であった同僚からの通信が
「悪魔だ!ソロモンの…」
を最後に途絶したという。
だがそれもこれも、後になって分かったことだ。
/36th scene
「ええい、何故だ…なぜ言ったとおりに動かん!」
砲撃で酷い打撲を負ったらしいラウ・ル・クルーゼがよろけつつ極秘のCPUルームに入りながら、いった。目の前には
レギオン―トリエルの姉妹―が複数のコードに接続され、緊縛されている。
「だが仕方ないか…敵があれだけの武器を持っているなど、計算外だった。このチャトゥルブジャ(サンスクリットで
4つの武器を持つ者、という意味)の、対空砲、ガルダ、それ自身に続く最後の武器を見せてやる…自爆させ、
この空域をデブリで満たせばサイド3は実質上機能不全に陥る」
突然、操作パネルが吹っ飛んだ。慌てて部屋の入り口に視線を移すと、シャギア・フロストが片手で拳銃を構えていた。
馬鹿な、同志のはずだ。自分のような忌まわしい存在を産んだ世界への復讐、自分たちを認めず、同士アイン・レヴィを
葬り去った世界への復讐。動機は違えど共に世界を憎み、サイド3に壊滅的打撃を与えることで憎悪の連鎖を巻き起こ
そうと計画していた筈だ―
「貴様は、我が兄弟のタブーを犯した」
「同じ肉体と魂を持ったもの同士を争わせるなんて、僕らにとっては冒涜以上だ」
「ま…待て、誤解だ!」
「問答無用」
シャギアの拳銃がクルーゼの頭を吹っ飛ばした。
「さて…この姫君をどうしたものか」
だがオルバは既に、レギオンを解放する作業を開始していた。
「兄さん、実は僕、妹が欲しかったんだ」
「奇遇だな、オルバよ。私もだ」
「トリエーーッ!!」
トーチカのケーブルを接続し、鉄屑同然の百式を無理やり動かした。肘の部分から切断されたトライアの左腕の下に
右腕を回し、モビルスーツ整備プラントがある小惑星へと連れて行った。エアロックへと連れ込み、モビルスーツ用
スイッチを押して与圧する。気圧が十分なものになったことを確認すると、ヘルメットを脱いでコックピットから飛び出した。
仰向けに寝かせておいたトライアへと駆け寄る。トライアは生気を取り戻しつつある。自己修復を開始したのだ。
白茶けた色は濃い灰色を取り戻し、切り落とされた手足の切断面からは早くも芽らしいのが顔を出している。その分の
資材を百式から吸収しているのだ。ものすごい音を立てて倒れた。分解されている。もはやモビルスーツでもなんでもない。
しかし、ウラキにはそんなことに気がつく余裕はない。大急ぎでトライアの腰に乗り、ハッチの右下にある強制開放ボタン
を押す。ブォンという音を立てて隙間が開いた。普通ならハッチが吹っ飛ばされるはずだ。まだ万全ではないのか。
隙間に手を差し入れ、ハッチをこじ開けようとする。あまりの熱さに一瞬ひるむが、すぐに作業を再開する。ノーマルスーツ
の焼ける嫌な音と匂いがするが、今はそれどころではない。
「トリエ、大丈夫か!?」
目は閉じている。しかし胸は小刻みに上下している。生きている。安堵した。ヘルメットを脱がせ、肩を揺さぶった。
「ア…ウラ、キ…サ…」
安心のあまり脱力する。手が肩から床に滑り落ちる。
「ああいう時にさ…それに、初めてカタコトでなくて、それが、さよならなんて…悲しいじゃないか」
自分でも何を言っているのか分からない。後から後から、涙が溢れてくる。
「ダ…メ…タスケ、テモラッタトキ…ノ、コ…トバ…シーマサ…イッテ、タ…」
「そうだね」
微かに微笑みながら、いった。
「「ありがとう」」
そのとき、トリエルもつられて微笑した。ウラキにはそれが、大輪の花が開いた様に見えた。
/stage clear
/37th scene
フロスト兄弟の攻撃を受けて大分数が減ったキマイラ隊の一機が、ようやくウラキとトリエルの避難した小惑星を探り当てた。
二人がいる休憩室のドアを開け、ライデン中佐が入ってきた。
「無事だったか」
この場には不自然なソファーに仰向けになって、ウラキは眠っていた。トリエルもそのソファーに座り、太股の上にウラキの
頭を乗せ、いとおしげに安らかな寝顔を見つめている。
「…シ…ズカニ、シ…テ…。ウラキサ…ツカ、レ…テル。ネカセテ、アゲテ…」
「ああ、悪かったな」
ライデンは振り向いて廊下にいる部下に静かにするよう伝えると、休憩室の壁にかかっていた通信機を取って報告を
はじめた。
「こちらライデン中佐、コウ・ウラキ大尉とディー・トリエル伍長の無事を確認した。トライアは自己修復中、あのまま2,3日も
ほっとけば直るだろ。百式は、もう見る影もない」
報告を終えてから振り向いた。トリエルの顔が見えない。ソファーに近寄ってみた。
トリエルは、いつのまにかウラキに寄り添う位置に移って、安心しきった顔で眠っていた。ライデンは苦笑しつつ囁いた。
「全く、お前さんもその男も、よくやったよ」
「…我々は対象をマハー・カーラーと呼称しておりました。これはサンスクリットで大いなる闇という意味ではあります
が、ヒンドゥー教において世界の終末をつかさどる神、シヴァの別名でもあります。一方でサートゥルヌスの面々は、
チャトゥルブジャと呼んでおりました。これは同じく4つの武器を持つ者、という意味ですが、ヒンドゥー教における
世界を維持する神、ヴィシュヌの別名です。そしてこの違いが、サートゥルヌスの企んだBプランをまさに象徴するもの
でありまして…」
記者会見の場。戦勝に浮き立つマツナガの口からは無限に薀蓄が飛び出すようで、慣れているはずの報道陣の面々も
いささかウンザリした表情を作っている。
「ところで、今回の作戦は何という名前なのですか?」
プレスの一人が立ち上がって質問した。返答を求める声がいくつも湧き出る。
「作戦名、ですか…」
考えていなかった、とはいえない。ふと、今回の戦費と共和国軍再建の資金を低利で融資してやると申し出た財団
の名前を思い出す。確か本家のご令嬢でもあるロンド・ベル司令官の奥方が、作戦に参加できなかったお詫びに、
と提案して下さった筈だ。彼女の旧姓は…
「ヤシマ作戦です」
マツナガは堂々と答えた。これならば格好もつくし、スポンサーも喜ぶだろう。
/38th scene
…柔らかな夢を見ていた…
暖かく、懐かしく、直ぐ側に有る筈なのに、ひどく遠かった。そんなものに包まれているような夢を見ていた。
目を開ける。眩しくてすぐ閉じる。
「お、起きたぞ!」
(その若いはずなのにおっさん臭い声は、ガロード君か…エゥーゴで転戦していたときは、要らなくなったモビルスーツ
を高値で売りさばく手腕に感心してたんだよ)
「大丈夫か」
(アムロ大尉、今こられても遅いんですよ…)
上体を起こした。どうやら病院の個室らしい。ベッドの左側に置かれた椅子に座ったトリエルに、まず目がいく。部屋を
見渡すや、大騒ぎになった。
全くの壮観だった。エゥーゴのアムロ・レイ、チェーン・アギ、ガロード・ラン、シロー・アマダ、ワイズマン准尉に
マッケンジー中尉、カミーユ・ビダン(医大生のはずだが)、セイラ・マス…
それに提携組織のプリベンターからも、ドモン・カッシュ、ミリアルド・ピースクラフト、ヒイロ・ユイといった面々が揃っている。
彼らが思い思いに話しているのだから騒々しいことこの上ない。
なぜか、ガロードとドモンとアマダが親近感の籠もった瞳でこっちを見ている。何かしたっけ。
と思うや否や、中年の看護婦が
「病室で騒ぐなーーっ!」
と絶叫して、全員を追い出した。病院でベテラン看護婦に勝てるものはいない。
「騒がしくて大変ですねぇウラキさん、大丈夫ですか?」
「ええ、何も問題はありませんが…」
看護婦も好奇に満ちた視線でウラキとトリエルを見ている。一体なんだ?
/Last scene
看護婦が出ていって一息つく。とおもったら、ベッドの下からぬっとシャアがでてきた。
「ギャー!」
と叫びかかったが、打撲に響いてえらく痛い。
「よくやってくれた。百式はお釈迦だが、まあ構わない」
相変わらず糞が付くほど落ち着き払っている。ゼイゼイいいながら、疑問を解消しておこうとおもった。
「あの、何か皆俺を見てるんですが…特にドモン君が」
「合同演習の時の君のGP03は彼に一発で撃墜されたな」
「嫌なこと思い出させないでください!」
また大声をだして、傷跡に響く。しばらく横たわって七転八倒した。
「いや、例の射撃の時に、な」
シャアの唇は、おかしくてたまらぬ、というように片側が吊り上がっている。
「所で…ドモン君がデビルガンダムを退治したときのことを覚えているか?」
「サイド2の、ネオジャパン・コロニーの事件でしょ。あの全世界を前に恥ずかしい告白した」
シャアの表情がいっそう奇妙に歪む。意味もなく人をからかってはよくこういう表情をしたものだと、ウラキは思い出した。
「…君、バスター砲の第二射の時、全回線を開いただろう」
「ああ、そういえばそうですね」
「あの百式は、通信電波の出力を試験的に強くしておいたんだ…で、そのとき君が言ったことが、あの辺一帯に
中継されて…」
気の毒でたまらなさそうな顔を作ろうとしても笑いを抑えきれない、とてつもなく変な顔でシャアは言った。ウラキ
はしばらく狐につままれたような顔で何をいったのか思い出そうとしていたが、やがて絶望しきった顔で天を仰いだ。
「ま、お幸せに」
シャアはいつの間にか黒い長髪のかつらを被り、和風の羽織を身に着けている。
「…ザフトのデュランダル議長の変装ですか?」
「よく似ているといわれるが違う。少し活動しすぎてな、ジオニックは辞めた。今は剣道の師範をやっている」
その後は、何も言わずに去ってしまった。ウラキとトリエルだけが病室に取り残されている。
トリエルは、いつもの夢見るような目でウラキを見ている。ウラキはしばらく頭を抱えていたが、深呼吸をすると
「ま、それもいいか」
とつぶやいた。左手で招きよせる動作をしつつ
「おいで、トリエ」
といった。トリエルが身を寄せると、左手で肩を軽く掴みつつ、右手を生え際に差し込み、頭をクシャクシャに撫で始めた。
トリエルは最初じっと耐えるような顔をしていた。が、少しクセのある柔らかな髪の感触を楽しむように撫で方を優しくすると、
次第に目を細め、顎の下を撫でられている猫のような恍惚とした表情になる。
不意に、首の裏に両手を回された。
顔が近づく。
瞳が少し潤んでいる、閉じた。
暖かい体温を感じる。
甘い体臭と石鹸の香りが混じった空気が鼻孔を満たす。
唇が重なる。
/Epilogue
壁にかかったカレンダーには、3日後からのサイド3行きが示されている。
シャワーの音を止めると、ラジオの音声が聞こえるようになった。サイド3が辛くも破滅を免れた件についての特集を
放送している。工兵大隊長の名前が出た。
「まだ、戦ってるのね…代わらないわね、貴方は」
全裸のまま窓辺に立ち、ニナ・パープルトンはサイド3の方角を見上げた。
「会えるときが楽しみよ、ガトー」
112 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/02/08(金) 00:21:05 ID:SVMzk2kg
完結記念age
疑問、質問、要望等あったらどしどしどうぞ
GJすぎです曹長!
33〜34で目から粒子が漏れ出ました……でも、その、作戦名そのまんまかよ大将ー!w
あと双子自重しろwwwww
>>113 楽しんでくれて有難う。
とりあえず、タイトル(
>>12)を確認して欲しいんだ。
シャアが完全にネタキャラになってるwww
ウラキもこれでトリエとの相性が+20だな。
完結おめでとう!
GJだっ!
>太股の上にウラキの頭を乗せ
ちょっと代われ
ジョニーライデンはクールに去るぜ
GJだ
タイトルに「序」とあるから続くのかい?
ネタを思いついたら。
小ネタで短編を投下できたらいいな…と思う。
2人が秋葉原に行く話しとか。
そうか
お疲れさん&ありがとう
122 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/08(金) 20:54:32 ID:SVMzk2kg
読了、乙&age
誤爆…orz
124 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/09(土) 20:10:42 ID:t1HbTLVB
ブラン「アッー!シマーがぁ…アッー!シマーがぁぁぁぁぁアッー!」
ウッダー「少佐…いいアナルでした…」
クルーゼ生きてたのか…
フロスト兄弟が生き残ったのは次回作への伏線だろうか。
それとも妹によって荒んだ心を癒されたフロスト兄弟はアインの復讐を忘れ(ry
アインの復讐に燃えるフロスト兄弟VSシグ
見てみたい…
そもそも戦後のシグ達は何してるんだろ?
ジオン共和国軍?ブラックロー運送?テストパイロット?
>>128 ウラキ&ヒイロ「俗な名前だ、ジークフリートなんて」
>>128 モノアイのラストでシスクードのコクピットから花を手向けてるから
多分にパイロットだろう
131 :
128:2008/02/10(日) 23:41:06 ID:???
>>130 うん、パイロットなのは想像つく(というか他にすることなさそう)けど、所属はどこかなー、と思って
普通にロンド・ベルに在籍してるのかもしれんけど、ジオンに戻ったりなんかもありそうだし
そしてセラとミアンの板挟みに苦しむ、と
そもそも何故モノアイなんてマイナーゲームをみんな知っているのだ。
DSならまだしも、WSの方はほとんど知られてないと思ったのに。
そしてまたアクシズにジョニーとマツナガを連れて逃げるわけだな
そこはそれ
シグがはっきりすればいいのさ
シグはジオンそのものにはこだわりなさそうだし普通にロンド・ベルっぽい
ロンド・ベル・・・というか連邦に所属してるとセラが危ない気がする。
いや死亡してるなら別なんだけど。
でもセラの件で連邦への嫌悪感は少なからずあると思う
ライデンやマツナガと仲良いから普通にジオンに帰ってそうな気はする。多分故郷ではあるだろうし。
なんかオールズモビルに参加しててもおかしくはないかも。まあゲームではシグが軍に入った理由は描かれてないからアレだが。
もしくは地球圏を影から守る為にブラックロー運送とかか。
F99のテストパイロットも適任かなとか思ったけど普通にV2が存在するこんな世の中じゃ。
139 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/12(火) 21:56:37 ID:lKiD5ZOu
age
トリエ!トリエ!トリエ!トリエ!トリエぇぇええええわぁぁああああああああああああああああん!!!
ごめんよディー・トリエル!クンカクンカのパスワードが消えちゃってハァハァできなかったんだよぉん!
忙しくって!悲しくって!少し気が移って!!僕のせいじゃないんだよ!僕は悪いティターンズじゃないよっ!!!
では…クンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
ふぁああ!!!モフモフしたいお!トリエたんのラベンダー色の髪をクンカクンカじゃなくてモフモフしたいお!
モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ!!あっ!ふわふわしちゃうよ!ふわっふわっふわっ!!
よかった…僕にはまだ…モフモフできる場所があるんだっ!えっ?ト、トリエちゃん!そんな目で僕を見ないで…
い、いやぁああああああああああ!!にゃあああああああああああん!!現実いやだぁああああああああ!!!
ああああっ…くっ…いい加減に!いい加減に目を覚ませ俺!!トリエなんてもうGジェネには出ない!レギオンもっ!
俺はどうすればいい…そうだ!トライアでどついてもらって目を覚ませばいい!ブレード・ルミナリウムで斬ってもらえばいい!!
ビシバシ!アンアン!ビシバシ!アンアン!ムチムチ!いやっほぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
目が覚めたぞ!トリエルは存在する!俺は今ラー・カイラムにいる!待ってろトリエ!今迎えに行くぞぉおお!!!
ノ、ノーマたん!その…すまない…君はどうあがいても1番目にはなれない…あぁっ!やめろ!や、やだぁ!!
あっあんああアイナ様ぁああ!!プ、プルー!!ティファ!ティファ!ティファ!フォ…フォウぅううううううう!!!
俺の想いよラー・カイラムへ届け!トリエへ届け!俺はオマエだけだトリエ!!!届けレギオン!!ティファ!!!
とりあえずモニターが液体まみれになるのは確実ですね
コーヒーとか紅茶とか栄養ドリンクとか心の汗とか
そしてトリエの熱い視線がウラキの胃に穴を開ける(汗)
144 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/02/13(水) 22:49:30 ID:0Qxuw8Q5
番外編開始。短いと思う。
145 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/02/13(水) 22:50:57 ID:0Qxuw8Q5
「ディー・トリエルの憂鬱、或いはコウ・ウラキの回想」
<Opening>
意識を回復してからもう3日になる。いまだに退院許可は出ない。何でも打撲がひどいらしく、もう少し様子を
見ておきたいそうだ。時間が余って仕方がないので、プリベンターとの合同演習について個人的記録を作って
おくことにする。
昔読んだ小説に、怠け者の節句働きということわざが出てきた。自由奔放かつアナーキー極まりない文章で、
落伍者の砂をかむような単調な日常ともがきを書いた作家の私小説だ。何でわざわざそんなものを冒頭に持って
来たかというと、これが俺自身のことでもあるからだ。
労働についての考え方、というわけでは無論ない。そんなことでは兵隊なんかそもそも志願しやしない。感情
のありかたについての問題だ。元来が感動しにくい性質で、特に周りが大騒ぎしている時ほど却って醒めている。
その逆に、周りが冷静なときに自分一人興奮しているということも、よくある。そのお蔭で全サイド3と月の裏側に
(こっちから見れば表だが)酷い恥を晒した。そう考えていることが分かればトリエが傷つくだろうから考えを転換
しようと思ってはいても、頭の中にある物は追い出そうとするほど居座る傾向がある。
話が逸れた。だがこの性格のお蔭でデンドロビウムがぶっ壊されて、修理に時間がかかり、ロンド・ベルの事務方
(特に経理)から睨まれることとなり、退職を決意する理由の一つともなった。
とりあえず順を追って説明しよう。
146 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/02/13(水) 22:52:27 ID:0Qxuw8Q5
<Chapter 1>
プリベンターとの合同演習の話が持ってこられたのは3度目のゲリラ討伐行の直後だった。そのころになると
マトモに活動している勢力などなく、放棄されたモビルスーツの回収ばかりやっていた。当然連邦としてもロンド・
ベルの規模縮小を検討し始める。自分としてはどうなろうと構わなかったし、主だったパイロットの面々にも帰る
所があった。が、世の中手を汚す人間だけで動いているのではない。スポンサーをやっていたヤシマ財団として
はこれが軍への影響力を弱めることにはしないかと勝手に深読みして勝手に心配していたし、さしあたって身を
寄せるべき場所のない連中も若干だがいたらしい。それに、何だかんだいって古巣が冷遇されるのは辛いものだ。
これはロンド・ベルがまだエゥーゴと名乗っていた時期、同様に各地で反連邦勢力だの何だのとの戦闘を繰り返して
いた提携組織、プリベンターも同様であった。
そんなわけで、自然発生的に最後の祭りが企画された。
要するに実弾演習である。誰もいなさそうな空域で盛大にモビルスーツをぶっ壊しあい、スカッとしてから日常に
戻るということだ。極力コックピットへの攻撃は避けるが、万が一ということはある。その辺は古強者の悪運に任せる
ことになった。戦争の狂気の残り香か。ありとあらゆる系統のモビルスーツが出揃った以上、この演習を通じて得ら
れた教訓を元に次世代のモビルスーツを選定すればいい、などという屁理屈を以って軍の上層に伺いを立て、要約
すれば「勝手にしろ」という返事が来た。勝手にすることにした。
向こうはどうだったか知らないが、当陣営では皆やる気に満ち溢れていた。ジュドー・アーシタ君はルー・ルカさん
に平身低頭して木星行きを2ヶ月延長してもらい、ガロード・ラン君も処分したはずのGXを引っ張り出してきた。地球
で隠居したディアナ陛下のお側仕えをしていたはずのロラン・セアック君も来た。こういうことは嫌いだと思ってたが、
陛下に勝って来いと命令されたという。高貴なお方の考えることは分からない。こうなると本来やる気のない人物も
義務感に駆られるらしく、演習開始の2日前にブラックロー運送という小さな企業のマークをつけた大きな船が艦隊に
横入りして来た。スワ敵襲かと皆焦った。誰もがその時、ブラックロー運送は以前ブッホ・コンツェルンの傘下だった
ということを忘れていたのだ。シャトルに乗ってやってきたのはシーブック氏にセシリー嬢(今はその名で呼ぶべき
だろう)、それにトビア君と、シグ・セラ・ミアンの三角関係組だ。後者については、まだ決着が付いてないらしい。
とりあえずブラックローで働いているそうだ。書き忘れる所だったが、エターナルも参陣した。その件については後だ。
<Chapter 2>
で、ここでようやく冒頭のことわざの件に話が戻る。
戦闘前のブレインストーミングで俺が発言しようとすると、皆必要以上に注視する。
「ウラキのおっさんに任せときゃ、勝てるよな」
「ガロード君、俺は君と10歳とちょっとしか違わないんだが」
「黙って聞くべきです。何しろ、このお方は常勝を約束されているのですから」
いつも思うのだが、サイド5領域の連中は皆どうしようもないアホだ。だからわざわざ遺伝子を改造してコーディネー
ターなんて人種を生み出したんだろうが、続けて頭が悪い。なので二十歳にもなってない歌手を、ただプラント議長
の娘だという理由だけで指導者に祭り上げたりするんだ。この偏見ばかりは捨てる気になれない。第一ナチュラル
(普通の人間のことを向こうではこう呼ぶらしい)にもコーディネーターにも友達はいない。
それもこれも、冒頭で言った俺の性格のせいだ。
思い起こせばあのジェネシス外郭部、多数(後で数えたらなんと54体もあった)のセンチュリオ・シリーズに包囲された。
ネェル・アーガマのブリッジは混乱していた。当方はMS,MA、戦艦、合わせて24しかない。
「敵は三方から我々を包囲しようとしている」
「しかもあの数だ!一旦退却して、援軍を待ってからのほうが…」
あれだけてこずったセンチュリオがどっさり出てきたからパニくるのも分かるが、といってこの程度の理屈で見上げられ
たくもない。俺は、周りの熱気に反比例する冷静さでこういった。
「まず3つのうちの1つから倒していけばいいんじゃないですか。それから別の一つ、もう一つと。そうすれば数の上で
はこっちが上ですし」
「机上の空論だ!」
作戦参謀が咄嗟に口を挟んだ。今までは大体、堅陣を布いて敵を待ち構える戦術で勝てた。だがこの程度の術策、
思いついてもよさそうなものなのに。
「まあ聞いてください。何も敵の兵力を殲滅する必要はないんです。残存勢力にはどうでもいい兵力(きっと僕のデンドロ
がそうなるんでしょうが)を宛がって艦隊への接近を阻み、主力を別の勢力へと差し向ければ。順番は…そうですね、
この地図の左下の奴がいいでしょう。近いですし。その合間に右下と上の主力も接近してくるでしょうが、進軍後、陣を組む
前に逐次倒していけば何とかなるはずです」
何とかなりはしたが、そんなことを理由に常勝の2つ名を崇め奉られても困る。第一、ブライト臨時司令の目が怖い。
白眼ないし。
それはともかく、試してみたいことはあった。
「敵は数の上ではこちらをやや上回っています。正攻法であたっても勝てないことはないでしょうが…。一つ
ハイリスクハイリターンなアイディアがあります。鮮やかに勝つか、負けはしないでも酷く苦しい戦いを強いられるかの
どちらかですが」
ガロード君のほうを見た。君が主役だ、といって肩に手をやる。戦場で主役というのは、できるだけ避けたい役回りでは
あるのだが。
>第一ナチュラル (普通の人間のことを向こうではこう呼ぶらしい)にもコーディネーターにも友達はいない
マシンチャイルドとニュータイプにしか友達がいないのかw
>>148 ああ、すまん
サイド5の非コーディを指してナチュラルと呼ぶ
…と思ってたが、確かにOTではガトーぐらいしか友達いないなw
キース…あ、DSにはいなかったわw
まぁDSにいなかったニナやフロスト兄弟もいたんだからキースもどこかにいるはずさ。
後日談キタ
今回もGJ!
>「黙って聞くべきです。何しろ、このお方は常勝を約束されているのですから」
これはラクスのセリフか?w
テラローエングラム公wwww
155 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/16(土) 16:32:41 ID:iW83UtL2
ほしゅ
<Chapter 3>
ここまで書いたところで退院の許可がでた。準備でなんやかやと記録に手をつけられなかったが、個人的なもの
なので別に締め切りなどない。
昨日は一日遅れのバレンタインで、トリエに作ってもらったチョコレートケーキを二人で食べた。ややビターな、俺の
好みに合った味だ。こんな特技があるとは知らなかったよ、といったら、ティファ・アディール嬢と一緒に作ったとパッド
(福祉関係の仕事をしている人でもない限り知らないだろうが、発話障害者用が筆談するためのキーボードとモニター
がくっついたノート型の通信機だ、近親者も同様のものを持っているのが通例)で返信された。彼女はパッドを所持
していないはずだが、どう協力したのか非常に気になる。ニュータイプ的な電波でも使ったのか?
なんで俺の好みを知っていたのかと聞いたら、見舞いにサイド3来ていたキースに聞いたという。いつもこの季節に
なると「甘いものは嫌いだ」といっていた、と答えたそうだ。あんな奴もう友人ではない。ティファさんも同じことをガロード
君の同僚に聞いて、同様の返事を得たという。お互い、知り合いに恵まれてはいないようだ。所でガトーの姿が見えないが
どうしたんだろう。
まあいい、記録の続きを書く。
マリュー・ラミアス艦長は融通が利かない。
なんとなくそんなことを考えていたので、この策を思いついた。悪い人間ではない。胸も大きいし(別に大きいのが好きな
訳ではない。いやでも小さいのがいいってことでもないぞ!赤いのと一緒にするな。とりあえずこの件については深く考える
べきではない。事と次第によってはまた人参のフルコースになりかねない。そもそもあの野菜にあるまじき妙な甘さが…
いや甘いのがイヤだというのでは決してない。去年までは実際そういってたけど)
ともかく、プリベンターの戦闘記録を見ると戦略レベルでの戦いに硬直性、もっといえば融通の利かなさが目立つ。孫子
の兵法(士官学校で習った)でいう所の軍争、位置の取り方の問題だ。技巧的であるし、結局数の優位を押し切ることが
完全にできるような便利なものではない。が、戦いにやりなおしはない。その一回だけ、勝てればいい。負けたら終わりだ。
敵軍が情報が不徹底だったり士気が低くて非合理的な挙動を示した場合、プリベンター艦隊の動きは途端に精彩を欠く。
一番多かったのがとりあえず直進、というパターンだ。敵軍が横隊を形成せず後方に遊兵が見受けられたときなど、
直進した結果、大きく迂回したその遊兵に母艦を直接攻撃されるというかなりお粗末なことが何度かあった。やる気がなくて
サボっていたモビルスーツにわざわざチャンスをくれてやったことになる。
プリベンターにはロンド・ベルのような完全な上位下達型のシステムが形成されていない。というのも創立の立役者である
トレーズ・クシュリナーダ氏が母艦からの指揮を嫌い、最前線でモビルスーツに乗って戦ってばかりいるからだ。次席にあたる
ラクス・クラインは途中からエゥーゴに合流し、その当時もロンド・ベルにいた。そういう訳で旗艦アークエンジェルのラミアス艦長
と参謀スタッフの合議によって意思決定がなされる形になっていた。だが彼女自身からして、連合の体質と戦争目的に嫌気が
差して艦ごと脱走した。つまり指揮官としては統率力をあまり期待できないのだ。トレーズ氏の口癖は「私は敗者になりたい」
だそうだが、一般兵としてはたまったものではない。
向こうとしても教訓を認識してはいるだろうから、逆手をとることにした。ブライト臨時司令には無謀すぎるといわれ、自分でも
強く勧める気がなかった。じゃあなんで俺の作戦が受け入れられたかというと、そういう空気だったからとしかいいようがない。
いっそ負ければそういうのからも開放されると思ったが、とりあえず勝った。結果として、いつの間にやら常勝だのなんだのという
評価は雲散霧消してしまったが。
とりあえず今日はここまでだ。
思い出したが、体力回復のため街中を軽く走っていると途中スラム街で変なものを見かけた。金髪で水色のスーツを着た女
がこの辺りで評判の最近開業した無免許医(白人だか東洋系だか分からないが、顔面に黒人から皮膚移植を受けているらしい)
をチョコレート見たいな包みをいくつも抱えて追い掛け回していた。受け取ってやればいいのに、医者は異常なまでに必死に逃げ
ていた。
俺も、アムロ大尉ならば邪気とでも表現するであろう嫌な予感がしたので後をつけたりはしなかったが。
ほしゅ
(Chapter 4>
突然だが、夕陽が見たい。
夕食時にそういったら、トリエに不思議そうな顔をされた。そういえば、エゥーゴで転戦してる時地球にも
長くいたが、トリエは、沈む夕陽そのものは眼にする機会がなかったことに気が付かなかった。そんな余裕は
無かったからな。コロニー生まれの人は、グリニッジ標準時に合わせて機械的に昼と夜とが切り替えられる
環境で生まれ育っている。だから地球の朝陽と夕陽のようなものは、発想からして思いもよらない。経験と
して知っているはずだが、思い出せなかった。
まだ工学部の学生だった時、連邦軍士官学校に合格した後一人で貧乏旅行をしたことがある。カントー州の
チョウシという岬の上にのっかった町に行き、冬の寒い夜を一人明かして、朝日を見た。なんでそんなことをと
いわれても知らない。自分が知りたいぐらいだ。要するに子供で、自分が歩むことになった道がさも素晴らしい
ものでもあるかのように勘違いして、自分で自分を祝福しようと思ったんだろうが。しかしまあ、あの朝日は今まで
自分が見た中で2番目に美しいものだった。一番目は何かって?これを読んでいる人(誰にも見せる予定はないが)
だったら、見当はつくだろ。
朝日を堪能してから海岸線をさまよい、寂れたホテルの看板に入浴のみも可なんてことが書いてあったから
温泉に入って冷えた体を温めた。そういえば、温泉にもしばらく入ってない。トリエは寒がりらしく、モーターバイク
(前に盗んだものじゃない。あれはドサクサにまぎれてもとあった場所に返しておいた。元から持っていたヤツだ)
でツーリングする時など、必要以上に強く俺の背中にしがみついている。体温は、高いのだが。きっと温泉
を気に入ってくれるだろうと思う。
予備役将校の身分証明書を見せればスペースノイド籍でも地球に旅行するぐらいはできるはずだから、今度
トリエをつれて地球に行こう。色々と見せてやりたいものもある。子供には情操教育をしてやらないとな。
<Chapter 5>
言いだしっぺとしては責任を取らなければならない。俺はネェル・アーガマに移った。無論デンドロは横付け
してある。それに作戦のカギであるGXとZZも搭載させた。後のパイロットはそれで自動的に決まった。ガロード
君は当然ティファさんと小隊を組むし、ジュドー君にはルー・ルカさんとエルピー・プルさんがつく。一隻の戦艦が
運用できる戦力はモビルスーツ・モビルアーマー問わず6機である。(エターナルは快速巡洋艦であるため2機
しか運用できない)これで枠は埋まった。
トリエには、別に考えていることがあってキラ君とアスラン君の小隊のフロント(小隊の前に出て指揮する役)
を割り振った。今にしてみれば自分の鈍感っぷりに呆れる思いがするが、ネェル・アーガマに移るシャトルに
乗り込む際、トリエが俺と、仲睦まじそうなガロード君とティファさんをチラチラと横目で代わる代わる見ていた。
後者を見る時はうらやましそうで、俺を見る時は、なにやら訴えかけているようだった。で、当時の俺はトリエの
気持ちなんぞ気づかず、食事の時に最後に一つだけ残ったデザートのコーヒーゼリーを取ったのが(後プリンと
パフェがあった)いけなかったのか、などとアホなことを考えていた。列の前にいたルーさんが飛び出していって
トリエに何事か言っていた。で、シャトルに乗っている間中ずっとジュドー君と二人で俺を怖い眼で見ていた。
深き所より、神よ(といっても俺は特に何かの宗教を信じているわけではない。無神論者だと主張していても
いないが。とりあえず、誰だか知らないが、いるとしたら、これを読んでいる人か?)俺は阿呆だ。
そのネェル・アーガマを先頭にアーガマ、ラー・カイラム、エターナルの順で艦隊は進撃を開始した。既にミノ
フスキー粒子は十分に濃く、敵陣営の模様は艦の大雑把な位置位しか確認できない。敵もそうだとすれば、
この作戦が図に当たる可能性はそれなりに高い。
ところで今日の夕食はカレーだった。コロニーでも馬鹿みたいな値段で手に入る牛のスジ肉のカレーだ。長時間
茹でなければ食えたものではないので、昼のうち(サートゥルヌスの一件のお陰で現在転用評価試験どころでは
なく、その上前使ってた旧ザクも故障してるそうで、現在は自宅の警備に従事してる)に市場にいった。
帰りに突然トリエが俺に抱きついてきた。何があったんだと聞いたら、道の隅においてあった段ボール箱を指差した。
異常なまでに怖がっている。こんな顔も可愛い…何を書いてるんだ、俺は。清掃が行き届いているはずの公園内の
大通りに段ボール箱があるのも不自然なので、近寄って箱を持ち上げてみた…中にガトーがいた。
「何故ダンボールの中に隠れているのに見つけられるんだ、貴様は!」
「知らねェよ!」
金髪で水色のスーツの女はいなかったかと聞かれた。あいつも色々と苦労しているらしい。
訂正
>160 アーガマ→マザー・バンガード
何という声優ネタwwww
そういやBJも大塚さんだったな。
ダンボールって、吹きましたwww
アナベルさんに抱いていたかっこいいイメージがすごい勢いで崩壊していくぜwwwww
ガトー可愛くなっていくよガトー
そして不憫だよガトー
無線で大佐と連絡をとるガトー・・・
<Chapter 6>
カラオケにはいい思い出があった試しがない。
キースの奴が主催する親睦会だの合コンだのでしかいってないが、あいつは酒飲めないくせに無暗矢鱈にお調子者
で、何度もデュエット付き合わされたりヤダっつってんのに無理強いされたりで、体に悪い。
何でそんなことを唐突に書いたかというと、カラオケで乱闘になりかかったからだ。俺は雰囲気が悪くなった時点で
逃亡したから詳しいことはよく分からないが。
事の発端は、そのキースがジオン軍人と交流したいと言い出した辺りだ。ガトーだのシーマさんだのの予定を聞きだす
役を押し付けられた。奴はモビルスーツパイロットに憧れているアースノイドの女の子(女子大の研修旅行と飛行機で
ぶつかったらしい)を連れてくるとかいってたが、そんなことが俺にとってどういう利益になるのだろうか?似たような機会
は前に何度かあったが、いつもモビルスーツの話しかできなくて、結局隅でジン・トニックを傾けていた。つか遅くなると
トリエが寂しがるし。
いつものことだが、酔った勢いで軍だのジオニックだのの上層部に対し「戦理を解せぬ愚か者どもが」とか「家柄がいい
だけの何の内実もない奴らよ」とか毒を吐いたらしい。気が付いたら2次会で、ソロモンのボールを思わせるほど沢山
いたはずの女子大生は、一人もいなくなっていた。キースは不貞腐れている。きっとビグ・ザムが来たに違いない。
ガトーはというと、ケリィ氏と肩を組んで軍歌を熱唱している。つかノリノリだ。二人ともいやに女の子にチヤホヤされて
いた筈だったが。
「貴様と俺とは〜同期の桜〜」
クラシックだ。確か中世紀の、どこの国だったっけ…俺の母国の軍歌だ。さっきはジオン公国軍のを歌ってた。歌も終盤
に差し掛かった頃、問題だらけではあるがそれなりに穏便に幕を閉めつつあった飲み会に、地獄の釜の中身がブチ撒け
られた。
「ズムの都の〜ナイン・ステージズ〜同じ梢に〜咲いて会おう〜」
二人とも感極まった表情になっている。ロトゥウン・レイディー(女のオタクをそう呼ぶらしい)なら大喜びというところか?
が、腐ってないレディーにはお気に召さなかったらしい。シーマさんがもっていたグラスをガトーに投げつけた。ガトーは紙
一重で避けたが、よほど強く投げられたらしく、ガラスが後ろにあった時代遅れの液晶モニターを破り、水分が中に入り
嫌な音を立ててモニターが死ぬ。
「貴様何をするぅぅうううう!!!」
「ウォークリの神殿なんかで咲くんじゃねぇぇえええええ!」
逃げた。キースはあまりの状況の変化に戸惑っていたが、危険であることだけは理解できたらしく逃げ足の速さも鮮やか
だ。当事者の一人であるはずのケリィさんも匍匐全身している。片腕なのに器用だ。通信機を持ち出して司令部に連絡か?
とおもったら、
「今からかえるよ」
家に電話していた。
背後からは絶叫、悲鳴、轟音、爆音、その他戦場では聞きたくないし戦場以外の場所ではもっと聞きたくない音の交響曲
が奏でられている。こんな緊迫した状況は、バイクを盗んでトリエを迎えに行った時以来だ。
<Chapter 7>
「しかしあのシーマっておばさん、なんであそこでキレたんだろうな」
カラオケボックスから逃亡し、やや人通りの少ない道を帰宅ついでにホテルまで送る途中そんなことを言われた。
「ナインステージズってのはズム・シティの地名で、戦没者を称える神殿…たしかヴァルハラとか言う名前だったか?
それがあるんだ」
「で、なんで怒るの?」
「ギレンとかデギンとかキシリアとか、戦死したザビ家の人間も”エインヘリャル”(ヴァルハラの本尊である所の戦死者の
名前を記載した名簿)に名前が載ってるんだ。シーマさんだけじゃなく、一年戦争中ジオンに占領されていた地域の住人
にはそれが不愉快らしく、ギレンの石像(なもんねーよ)を撤去しろとかいってる」
「そういう考え方をされると軍人を辞めたくなるな…。俺たちだって勝ったからいいようなものの、負けたらレビルなんか
縛り首だろ?その後まで戦ったことを悪だなんて言われ続けたら、死んでった奴は浮かばれないぜ。なんだかんだいって
ジオンはよくやったって、士官学校でも教えてるしな」
「俺もそう思うよ。だからサイド3に引っ越してすぐヴァルハラに花を手向けた。けどまあ、シーマさんはキシリアに騙されて
民間コロニーに毒ガス攻撃をさせられたからな。納得できないのも、分からないでもない」
「やれやれ。戦争って奴は、終わってからも厄介なもんだな」
ここまで話した所でホテルの前に着いた。軽く手を上げて別れを告げ、そのまま商店街のほうまで歩いていった。遅く
なった詫びに、トリエに好物のドーナッツを買ってやることにしたのだ。
ハイスクールの世界史の時間、ある箇所にたどりつくと生徒がいつもいつも
「うはwwwwwwwwアリエネェwwwwwwwブススギテキモスwwwwwwwww」
と大騒ぎするのは、世界史の先生だったら皆知っているだろう。俺も騒いだ。
その女こそローデルシア・ダイクン、ジオン・ズム・ダイクンの正妻だ。宇宙世紀一の醜女に早くも決定しつつあるが、
最近では、彼女の存在はそれなりに評価されている。
彼女は晩年神がかった言動をするようになり、ダイクン家に坊主だの神父だの神主だの牧師だの陰陽師だのを呼ぶ
ようになった。西暦時代、既に人間の生活における宗教の位置は、もはや宗教の名に値しないほど低いものになって
いた。ジオンはスペースノイドのための新しい信仰を提唱していたらしいが、それを形にする前に死んでしまった。で、
ザビ家による簒奪が進む中、ローデルシアに主導された旧宗教の復活は、サイド3住人に驚くほど大きく支持された。
新しく寺やモスクや教会や神社や神殿が次々と建立され、ローデルシアとその取り巻きによる後援はやがて一般大衆
にも広がっていった。彼女自身は、自分を太陽神アマテラスだか地母神ガイアだかと思いたがっていたらしい…幸い、
サイド3に宗教が根付きかかったところで心臓病で死んでくれたが。
要するにサイド3式神道だ、とマツナガ閣下は論じていた(ジオニック社の各部署に彼の著書が配布されているのだ)。
閣下自身は、それについてとくにいいとも悪いともいってはいないが。
もっともクワトロ大尉はイマイチよく理解できないでいるらしい。エゥーゴにいた折、アムロ大尉と食事中こんな会話を
しているのを見たことがある。
「宗教なんて、信じたい奴が勝手に信じたいものを信じてればいいんだ。政治に口を出させるのはマズいが、かと
いって抑圧するのも不自然だろう」
「だが、これから人間がニュータイプへと覚醒し、宇宙へとその生活圏を延ばしていく。今はそんな時代だ。
過去の迷信に捕らわれたままではな」
「人はそんな便利なものじゃない。体だって言葉だって、昔の人たちから受け継いだものだ。それともお前、
何かいやな思い出でもあるのか?」
「…子供の頃、教祖になったローデルシアがな、よく私とアルティシアに『あんた、地獄に落ちるわよ』といって
たんだ」
児童虐待が性格形成に与える影響については、まだまだ研究の余地がある。あとセイラさんはともかく、クワトロ
大尉が地獄に落ちないはずがないだろう。
シャアがマザコンになったのも納得w
ここでトリエが両手でドーナツを持ってパクついてる絵を想像して萌えた俺が通りますよ
<Chapter 8>
ロンド・ベル、プリベンターの両艦隊はそれぞれ予想戦闘空域を前にして、同時に左舷回頭を行った。
縦列を横列に組みなおしたことになる。当然、俺も乗っているネェル・アーガマが陣形の左翼に回ることに
なった。ここまでは常識的な展開を一歩も出ていない。横列が完成した直後、ネェル・アーガマの艦長
フィル・アッカマンが予定通りの命令を下した。俺の最初で最後の大博打の、第一歩だ。
「右舷180度回頭。我が本陣と敵陣の間を横断し、敵左翼へと取り付け」
全く生きた心地がしなかった。
以下は後でプリベンターの面々から聞いた話などを交えつつ記述していく。
アークエンジェルのブリッジは大混乱に陥っていた。今まさに全艦隊に戦闘速度を命令せんとし、誰もが全速力
でロンド・ベルとぶつかる心の準備をしていたときにオペレーターのミリアリア・ハウが
「敵陣左端の艦、艦隊を離脱。これは…エ?ウソ!?回頭しつつ最大戦速で前進、我が陣の前面を単独で横断
しています!」
というや否や、誰も当方が何を考えているのか掴めず、意図を探り出すのに躍起になっていたのだ。だが
こうしているあいだにも時は無常に過ぎていく。ネェル・アーガマは敵と味方からほぼ均等に距離を置きつつ、
一つの砲撃も行わぬままに戦場の主役となっていた。そんな間にも作戦参謀達とアークエンジェル艦長マリュー・
ラミアスとは議論を重ねていた。
「今すぐ前進し、敵艦を撃沈するべきです。敵が何を考えているかは分かりませんが、その間に主力に肉薄
された所で、接触前に敵左翼艦を沈めてしまえば、数の上では有利なまま戦闘を継続できます」
「でも、あまりにも突飛な行動もあるし…あそこまで露骨に先制攻撃を誘う体制をとっている以上、何か裏が
あると考えるのが自然じゃないかしら?例えば、あの艦の部隊と戦っている間に敵主力が回りこんで当陣営の
後方を突くとか」
「ですが現在のECM(サイド5ではミノフスキー粒子をそう呼ぶらしい)濃度では距離をとった部隊同士でそのような
連携した行動をとることなど不可能です」
「いや、しかし…!」
「だが…!」
結果としてプリベンターは期待通りの行動をとってくれた。間をとって、巡航速度のまま前進を続けてくれたのだ。
接触時間を遅らせることで我々の意図にはまるのを極力遅くまで回避し、当方に主導権をとらせないただそれだけが
目的の行動だ。実はそれこそが、俺の意図そのものであったのだ。
「ネェル・アーガマを除く各艦、最大速度で前進せよ。旧戦闘予定空域を通過と同時にモビルスーツを発進、以降は
艦ごとの判断に従って自由に戦闘を開始!」
ラー・カイラムのブリッジからブライト艦長が絶叫するのが聞こえる。それを聞く俺が乗るネェル・アーガマはというと、
予定通り暗礁空域への侵入を行う所だった。既に徹底的な調査が行われ、双方共にこの空域を安全に通行することが
可能だ。が、戦闘濃度のミノフスキー粒子の下では、小惑星も戦艦もモビルスーツも見分けがつかない。この時点で
ロンド・ベルの勝利は確定した。
<Chapter 9>
砂糖をまぶしたオールドファッションドと、トリエの好きなチョコレートがかかったドーナツを3つずつ買って帰宅した。
居間では明かりを付けたまま、トリエが床の上に毛布をかけて寝ていた。食卓の上にドーナツの入った紙袋を置いて、
オールドファッションドを取り出して齧りながら、机の上でスリープ状態になっているモバイルワークステーションを起動
させる。留守の間にやっておくよういっておいた課題を確認する。うん、頑張ったじゃないか。
トリエの一番得意な科目は物理で、以下国語、数学と続く。いずれもモビルスーツのパイロットとして必要な素養
である。無重力下、重力下でのモビルスーツの挙動は全く違うから、パイロットはかなり強烈に物理を仕込まれる。
国語(俺が養育してるんだから当然日本語だ。英語も無論習ってるが)能力がないことには命令を理解し、自主的に
行動するというパイロットに必要な力を養うことは出来ない。数学だってそうだ。
反面、最も苦手なのは生物だ。マシンチャイルドだから普通の生物を人間のように自分の地続きのものだと感じ
られないのか?とも思ったが、そう思った自分の残酷さを呪った。あと化学と歴史も点が悪い。暗記が苦手らしい。
でも努力の跡が見られるなと、モニターの隅に表示されているカラオケボックスが爆発したというニュースを無視
しながら自動採点の結果を見ながら思っていると
「…ン……」
幽かな声がした。
「ああごめん、起こしちゃったね」
右手でドーナツを持ったまま、しゃがんでトリエと向かい合う。
「ドーナツ買って来たよ、君の好きなチョコレートのもある」
といっていると、トリエは少し身を起こし、俺が右手に持った食べかけにかぶりついた。
「おいおい寝ぼけるなよ。今チョコレートのをとってやるから」
立ち上がろうとする。…トリエが何かを訴えかけるような潤んだ瞳で上目遣いに俺を見る。この表情には弱い。
(カロチン的な意味で)
「やれやれ、仕方ないな」
左手で頭を撫でてやると、そうされるのが好きらしく、くすぐったそうな嬉しそうな顔をする。と思ったら
「ひゃっ!」
情けない声をあげてしまった。トリエが猫のように一心不乱に、俺の指についた砂糖を舌で舐めとっているのだ。
舌の感触がくすぐったい。
「おいおい変なまねするなよ…」
しかしトリエはやめない。両手で俺の右手を挟み、親指の砂糖を舐めた後、人差し指を口に含んだ。口の中の
暖かさが奇妙に心地いい。舌が、何か別の生き物のように俺の指を撫で、包み、愛撫している。…いけませんよ、
これは。トリエは幸せそうな顔をしている。無理に右手を離そうと思ったら、また上目遣いに俺を見た。妙な気分
になる。
「あんまり妙なことは…」
突然、指が解放された。と思ったら、俺の右手を両手で握り締めたままトリエはまた寝てしまった。
「仕方ないな、起こすのもかわいそうだ」
で、俺は左手だけでモバステを机から床に下ろし、以上の記録をつけ、これからトリエの横で眠るのである。
やべえかわええ
ちょっとウラキそこ退いてくれw
GJです!
此処って小説投稿用のスレだけど、何でも投稿して良いのかな?
ザ・グレイトバトル風な話を書こうと思ってるんだけど。
>>174 ガンダムが関わってるなら良いんじゃない。
投下待ってます。
>>172 俺には二つの選択肢がある
起きた後で(私なんてことしてたんだろう……)と思って恥らうか
寝ぼけてとみせかけての確信犯(誤用)だったのか
どちらで妄想するかという選択肢だ
>>174 是非読ませてください。楽しみにしてます。
4月からリアルで曹長になるもんで…
>>174 また懐かしいものをw
あのゲームは大好きだったw
プロローグ
此処はSDネイション・・・SDキャラが暮らす平和な世界。
ある日、突然この平和な世界を蝕もうとする邪悪な者達が現れた。
彼等は自らを『ダークシャドウ』と名乗り、SDネイションへの侵略を開始した。
その恐るべき力によって、多くの惑星が彼等によって侵略されていく・・・。
ダークシャドウを倒すべく、世界の平和と秩序を守るSDポリスは
・・・仮面ライダークウガ、ウルトラマンティガ、騎士フリーダムガンダム・・・
この3人に出撃許可を出し、彼等はダークシャドウ討伐の為に飛び立っていった。
だが、その後彼等からの連絡は途絶え、一ヶ月の月日が流れた・・・。
事態を重く見たSDポリスは、第二討伐隊として新たな3人を選出した。
選ばれたヒーロー達の名は・・・・・・
SDポリス 総合本部・・・
「揃ったようだな、SDヒーロー諸君。」
総合本部では、SDポリスを統括するハロ総司令がヒーロー達を見つめていた。
何故ハロが総司令なのか・・・それは彼がバンダイのマスコットキャラだからである。
「よっしゃ、遂にこの日が・・・俺の時代が来たぜ!!!」
最初の第一声を出したのは、インパルスガンダム・・・以後インパルスと呼ぼう。
SDポリス訓練所を次席で卒業した、優秀なヒーローである。
「ふっ、とうとうも何も、お前の時代なんて来ていない。」
インパルスの言葉を鼻で笑ったのは、仮面ライダーカブト・・・以後カブトと呼ぶ。
彼はSDポリス訓練所を主席で卒業したライダーだが、イマイチ協調性に欠ける。
「んだと、コラ、主席で卒業したからって偉そうに・・・。」
「まあ、まあ、抑えてインパルス・・・カブトさんもあんまり言わないで。」
二人を宥めるのはウルトラマンメビウス・・・二人同様以後メビウスと呼ぶ。
彼も3番手とはいえ、優秀な成績で卒業したヒーローだ。
こんな感じの3人に不安を持ちつつも、取り合えずハロ総司令は話を進める。
「・・・オホン、私が君達を呼んだ理由は解っているね?」
「あ・・・はい、ダークシャドウ討伐と先遣隊の捜索ですね?」
彼らの任務は2つ・・・一つはダークシャドウの討伐だ。
ダークシャドウは着々とSDネイションを侵攻し、多くの星々が彼等の魔の手に落ちている。
一刻も早く、彼等を倒さないとこの世界が闇に包まれてしまう。
そして、もう一つの任務は先遣隊・・・つまりクウガ、ティガ、フリーダムの捜索である。
彼等を見つけ出し、共にダークシャドウを討つのだ。
「行方知れずになった奴等なんかいなくても、俺だけで充分だって。」
「お前だけで何が出来る・・・せいぜい一人で敵に突っ込んで捕まるだけだ。」
「だから、何でお前はそういちいち・・・。」
「もう、やめてくださいよ、二人とも。」
また喧嘩を始めるカブトとインパルスを宥めるメビウス。
彼等は訓練所時代から共にいるのだが、カブトとインパルスは仲が悪かった。
「(人選、間違えたかな・・・だが、彼等しかいないからなぁ。)」
他のヒーロー達が平和の為に各地に出動している今、動かせるのは彼等3人しかいない。
先行きは不安だが・・・きっと何とかなるだろう。
3人が騒いでいる中、空中を浮遊する小型メカが彼等の所へやってきた。
『総司令、話は終わりましたか?』
「ん、何だお前?」
「彼女はナビゲートロボのナビィ、君達のこれからの道先をサポートする優秀なメカだ。」
『ナビィよ、今後ともよろしく。』
ナビィと名乗ったロボットは、3人に挨拶する。
姿は小さな妖精といった感じだが、某伝説に登場するキャラとは違う。
「では、SDヒーロー諸君、君達の今後を期待する・・・出動!!!」
「よーし、今回の任務で俺が1番だって事を証明してやる。」
「止めておけ、お前が恥をさらすだけだ。」
「だから止めてくださいって・・・もう・・・。」
ハロ総司令が出動要請を出すが、既に彼等は話すら聞いちゃいなかった。
そのまま去っていく彼等を見て哀愁を漂わせる総司令を、ナビィが見つめる。
『総司令・・・では、私もいってきます。』
「ああ・・・彼等を頼む。(本当・・・人選間違えたかなぁ)」
涙目になっている総司令に挨拶し、ナビィは出発した彼等を追っていった。
司令室を後にした3人は、惑星移動用小型宇宙艇・ポリスバードに乗り込んだ。
彼等が目指す、最初の場所は・・・。
「ねえ、ナビィ・・・最初の目的地は何処なの?」
『惑星フライトよ、其処で先遣隊が消息を絶ってるの。』
惑星フライト・・・現在ダークシャドウの侵略を受け、クウガ達が最初に向かった惑星である。
だが、彼等がその星に到着したという報告を最後に音信不通になっている。
「先輩達の足取りを追いつつダークシャドウと戦う・・・厳しいですね。」
『そうよ、だから貴方達SDヒーローが共に力を合わせて戦わなきゃいけないの。』
「そうか・・・じゃあ俺の足手まといになるなよ、特にインパルス。」
「だから、何でお前はそうイチイチイチイチ・・・・・・。」
カブトに名指しされ、激怒するインパルス。
ナビィは先行きが不安だった・・・こんな調子で大丈夫なのかと。
その後、彼等を乗せたポリスバードは大宇宙へ向かって発進した。
こうして、彼等SDヒーロー達の笑いあり、涙ありの冒険が始まるのであった。
インパルス・・・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
ダークシャドウ第二討伐隊に任命された若きヒーロー。
成績は優秀だが熱血漢で、一人で突っ走る傾向がある。
メビウス、カブトとは訓練生時代の頃からの腐れ縁だが、カブトとは仲が悪い。
カブト・・・仮面ライダーカブト
ダークシャドウ第二討伐隊に任命されたヒーローで、3人の中では最年長。
成績はSDポリス始まって以来の優秀なものだが、イマイチ協調性が欠けている。
それは自分が1番偉いと思っているからで、それがインパルスの怒りを買う事もしばしば。
メビウス・・・ウルトラマンメビウス
ダークシャドウ第二討伐隊に任命されたヒーロー。
本来は内に強力な潜在能力を秘めているが、その優しさから3番手に甘んじている。
インパルス、カブトとは訓練生時代からの仲で、主に二人の仲裁をしている。
ナビィ・・・オリジナルキャラクター
ハロ総司令が3人のサポートの為に呼び出した妖精型ロボット。
主に敵の分析とマップナビ、後この作品の唯一の良心としてツッコミもこなす。
あまりにも協調性のない3人に、行く先の不安を感じている。
ハロ・・・機動戦士ガンダム他
ガンダムシリーズのマスコットとして名高いハロ、この作品ではSDポリスの総司令。
数多くの子ども達がおり、子ども達はヒーローのサポートを行っている。
ナ ビ ィ 胃 潰 瘍 の 予 感 !
なんか懐かしい流れなんだぜ
スカルナイトとかデブデダビデとか出てきそうだ
ザグレの新作が出るとしたらプレイヤーキャラに抜擢されそうな面子だなw
ナビィの元ネタは時オk(ry
<Chapter 10>
「ロンド・ベル離脱艦、暗礁宙域に侵入。追撃は不可能です」
アークエンジェルのブリッジに以上の報告が入ると、議論が再燃したという。
「敵に仕掛けなどなかった!我が方の左翼を包囲し、各個撃破に移るつもりだったとは…!」
「ならば我々も左翼を下げ、右翼を前にだして敵と平行に向き合えばよい。上手くやれば、敵本陣を包囲できる
かも」
「敵艦隊、モビルスーツを出しました!」
「糞っ!陣形変更の暇はくれんか」
気づくのが遅い。だがマリュー艦長も経験だけは積んでいるだけあって、それなりの統率力は見せた。無駄
だったが。
「まだ負けると決まったわけではないわ。全艦モビルスーツを発艦、迎撃して!」
ま、それ以外の選択肢もなかっただろうが。
ネェル・アーガマは既に全MS・MAの発艦を終了し、小惑星の中に身を隠していた。その前方右側に俺のGP03
左側にジュドー君、エルピー・プルさんとルー・ルカさんの小隊、そして中央にガロード・ラン君とティファ・アディール
ちゃんのタッグが配置されている。高感度センサーには敵艦隊がモビルスーツを繰り出した証である小さい微かな
影がいくつも映っていた。獲物以外の何者にも見えなかった。
―慢心は負けフラグだって、分かっててもハマってしまうのは何故だ?―
ここまで書いた所でそのガロード君とティファちゃんが家に来た。
トリエはティファさんと二人、それぞれお茶とケーキを前にしてテーブルを挟んで向かい合って座っている。しかし
お互い一言も喋らない。一体何やってるんだ?あ、ティファちゃんが少し笑った。声は出さないけど。トリエはなぜだか
むくれたらしく目付きがちょっと怖い。ティファちゃんが宥める様に手を掲げている。トリエも機嫌直したらしい。やはり
全く喋ってないが。
そんな様子をチラチラと伺いつつ、俺はガロード君とテレビを見ていた。丁度新番組の第一回が放送されていた所だ。
(>180-184ココハエスディーネイション、エスディーキャラガクラスヘイワナセカイ…
「面白そうだね。設定は王道だけどキャラがしっかり作ってあって、それだけで楽しい。何をしでかすのか楽しみだ」
「ああ、だけど次回からは無事に見れっかなー。今ちょっとイロイロとヤバくて、あっちこっち転々としてんだよ」
相変わらずおっさん臭い声だ。彼が育ったのは北米のコロニー落としの被害が地球上で最も甚大だった地域だそう
で、タフでしぶとい性格を形成する上で余程の辛酸を舐めたであろうことがしのばれる。それでも、やっていいことと
悪いことの違いは誰にとっても例外なくあるが。
「そりゃ、あんなことしでかすからさ。いい加減腰を落ち着けろよ。ティファちゃんと一緒に旅してるんだろ。男は、
女を守らないと」
「おっさんはその点しっかりしてるよな。見たぜ、ヤシマ作戦のアレ、ニュースで」
「だから俺はまだおっさんでは…いやそれよりも…」
おっさん臭い声でおっさんと呼ばれるわ、折角忘れかかっていたトラウマをえぐられるわ、今日は厄日らしい。いや、
別に例の絶叫を恥かしがってる訳ではない。自分の正直な思いだと、全人類の前で誓える。だからといって人目に
触れさせたいものでもない。ま、人の噂も七十五日というし、気にしないほうがいいか。
頭を抱えながら、そんなことを考えていた。ガロード君はそんな俺を気にせずテレビに噛り付いている。
189 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/29(金) 19:42:18 ID:VcO3WLAy
あげほす
ほしょ
<Chapter 10>
目の前を敵影が横断しつつある。チャンスはこれしかない。自分の合図で開始されることになっている。なんと言おうか
迷っていたが、気が付いた時にはサイド3で少し覚えた、響きを気に入っていたドイツ語の単語を絶叫していた。
「ファイエル(発射)!」
ほぼ同時に、俺とジュドー君とガロード君がトリガーを引く音がした。眼には見えないが強烈なマーク・レイが宇宙空間
を画する。マーク・レイというのは機動演習時にビーム砲の代わりに使用されるレーザーである。演習の時には各モビル
スーツに専用のセンサーが付けられ、当たったマーク・レイが実際のレーザー砲だった場合どの程度の損害を蒙るかを
乱数を用いたプログラムによって計算し、モビルスーツの挙動に反映させることになっている。これは実弾演習だから
本来は不要のはずだが、流石に死人を出す訳にもいかないので強力なビームに限ってマーク・レイで代用することに
なっている。そして、この時放たれた攻撃はいずれもマーク・レイに取って代わられていた。即ちZZのハイメガキャノン、
デンドロビウムのメガビームキャノン、そしてGXのサテライトキャノン。
シミュレーションではここでプリベンターの全モビルスーツの4割が撃墜判定を受け、戦線を脱落していた。が、次の
瞬間レーダーに映ったものはあまりにも意外だった。
その場で停止するはずの撃墜判定を食らったと思われる敵モビルスーツが、何故かこちらに向かってきた。
「エラーか?それにしても、数が多すぎるな」
その疑問は即座に解決され、俺は色々とイヤになった。ガロード君の声がコックピットに響いたのだが
「じゃ、この機体はもらってくよ。みんな、もう当分の間会うこともないだろうけど、元気でな」
ハァ?と思ってレーダーに目を落とすと、ガロード君のGXとティファちゃんのゲーマルクが戦線を離脱し、後退していった…
ジェガン4機とリック・ディアス3機と思われるモビルスーツ群を引き連れて。機体を分捕られたプリベンター側パイロット
の文句だの絶叫だの悲鳴だの愚痴だのが五月蝿く、無線の周波数を切った。ミノフスキー粒子が濃いから彼らの声は
アークエンジェルには届かない。だからといって救出に向かえば折角の好機を逃すことになる。無視することにした。
…因果応報。
後で分かったのだが、ガロード君の手口は非常に単純、かつ巧妙なものだった。どんなモビルスーツにも自動着艦
プログラムが組まれている。モビルスーツ等の密度が比較的高い母艦近辺で事故の発生を防止するため、母艦の
官制コンピュータに操作を移すのだ。パイロットの目視ではどうしてもデブリや物陰などを認識しきれない故の措置で
ある。ガロード君は非常時に母艦が強制的に操作を奪い、着艦を誘導するプログラム・レーザーを照射したのであった。
…サテライト・キャノンの大容量エネルギーを使って。
誠に大胆かつ繊細な手口で、二号機を奪取した以上の手並みだと後でガトーが悔しがっていた。とはいっても、
お陰でロンド・ベルとプリベンターとの関係は険悪極まりないものとなった。
それと俺が一つ怪しんでいることがある。マハー・カーラーを偵察に行った時にジェガンのみで構成された小隊が
あった。サイド3にジェガンがあるなんて変だと思ったが、もしかしたら。
訂正
<Chapter 10>→<Chapter 11>
もう駄目なのか?俺orz
<Chapter 12>
ともあれ、その後は極簡単なものではあった。
「突撃!」
誰もが絶叫していた。混乱の極みにあったプリベンターMS隊はロンド・ベルにいいように蹂躙される一方だった。
だが、古来より英雄とはこのような絶体絶命の窮地においてこそ初めて現れるものであった。
「我々の負けですね、師匠」
「なぁに、負け戦こそ、面白いのよ!」
「…同感だ」
「若造が、いうようになったではないか!」
「その意気やよし!では死ぬ気で付いて来い」
文字通り、薙ぎ払われた。アークエンジェルを討ち取ろうとした小隊に属する機体全てのモニターに"DOWNED"
(被撃墜)の大きな赤文字が表示され、活動を停止させる。彗星のごとき一個小隊が飛び出したかと思うと、そこ
ら中のロンド・ベル機が停止する。中には握りつぶされたように破壊されているものもある。
プリベンター、いや人類における最精鋭小隊であった。マスターアジアこと東方不敗、キングオブハートことドモン・
カッシュ、そしてヒイロ・ユイ。ロンド・ベル陣に突撃するための先鋒として編成された小隊は、予定通り我が方を
ウイングゼロのバスターライフルで蹂躙し、格闘戦で屠りつつ突撃を開始した。目標は、当然ラー・カイラム。
プリベンターの残存部隊も彼らに空けられた穴を広げようと続けて突入する。だが、ここで俺の2つ目の仕掛けが
炸裂する。
突入の起点がトリエとキラ君、アスラン君の小隊から離れていたのは幸運だった。そして、彼らは予定通りの行動
を取ってくれた。小隊は敵の突入を阻むように割ってはいる。即座に囲まれる。中にはアークエンジェルにプリベンター
の主力であるアレキサンドリア級もある。
奴らは再び、罠にはまった。
トライアのフィールド・インペリウムとフリーダムのハイマット・フルバーストが同時に発動した。プリベンターの残存
勢力はほぼ全てがドモン隊に引き続いて戦果拡大を果たすべく集中していたので、もうひとたまりもない。
<Chapter 13>
が、精鋭はどこまでいっても精鋭だった。散開しつつもなお前進を継続する。
「よいか、敵の後方を蹂躙し、戦艦を全て沈めた後にさらに後方で集結するのだ、さすれば勝つ!」
東方不敗の叱咤が飛ぶ。ミノフスキー粒子の濃度は充分だったはずなのだが…。あの辺の連中は全てにおいて
常識を超越している。
「やらせるかぁーっ!」
燃料がカラになるのを覚悟で、俺は彼らの後方にとりつくべく最高速度を出した。と思ったら、近接警報が鳴った。
「出来ること、やれること、すべきこと…全て同じだろ?ハウメアの加護があらんことを!」
赤いガンダム、ストライクルージュか。認識したとたん、妙に腹が立った。プリベンターのシン・アスカ君とは一度
話がことがあるが、アスハ家の非暴力主義で妹を亡くした事、そのくせ現当主であるカガリ・ユラ・アスハはルージュ
で戦っているという欺瞞に憤懣を禁じえないでいた。俺も同感だ。戦おうとする意欲のない人間は負けるだけだ。
それがいやだというのに、看板は下ろさない。
「この、日系人の恥がぁーーーーーっ!!!!」
俺は絶叫していた。瞬時に向きを変え、ビームサーベルを取り出し、接近する。ルージュもそうだ。Iフィールドを搭載
しているGP03にライフルは利かないから、向こうとしても渡りに船である。サーベルで切り結ぼうとする体勢をとって
いるが、無駄だ。間合いに入る前に残っているエネルギーを全てサーベルにまわした。サーベルの長さは、ちょっとした
戦艦ぐらいになっている。突き出し、頭部を破壊した。
「こんな…私はこんな…くそぉっ!」
頭の悪い声でキンキン絶叫するのが聞こえて頭に響く。腹立ち紛れにルージュの手足を根元から切り落とし、ついで
にマイクロ・ミサイルを発射しておく。結局、ルージュは修復不可能だったそうだ。
一番近いゴッドガンダムに接近するため再び加速する。敵影はもはやレーダーには映らない。わけが分からん原理
で黄金に輝く姿が見えた。マイクロミサイル、爆導策、メガビーム砲、全て発射するがことごとくかわされた。格闘戦で
は明らかに不利だから離脱しないと…
―その時点で、エネルギーが切れた―
ルージュがウザいからといってサーベルにエネルギーを使わせすぎた。でもドモン君は容赦してくれませんでした。
「俺のこの手が真っ赤に燃える…」
死刑宣告を座して聞くしか、なかった。赤熱した掌がメインカメラ一杯に広がる。
俺は生まれて初めて心の底から震え上がった…真の恐怖と決定的な挫折に…恐ろしさと絶望に涙すら流した…
これも初めてのことだった…
<Last Chapter >
そこで俺の記憶は途切れる。向こうもエネルギーを使い果たしたらしく、ラー・カイラムに撃沈判定を与えたところで
活動が停止した。危ういところで、ロンド・ベルの勝ちとなった。
俺の撃墜状況については、結論だけ書いておく。修復は可能だったが、試作とはいえ開発と運用に一般的なモビル
スーツの100倍のコストを要したデンドロビウムの修理にかかった費用はそりゃもう莫大なものだったそうで、主計将校
に何度も嫌味をいわれた。
3度目の長い説教の後で俺は退職の意図を固めた。部屋から出るところでトリエと遭遇した。その時一つ思い出した
ことがある。初めてトリエにあった時、百式のコックピットの中でバニング隊長と交わした会話だ。
「この名札は妙だぞ。D-Trialって、まるでなんかの実験台みたいじゃないか」
「書き間違えたんでしょう。書いた人もきっと緊迫してたんでしょうし。本当の
名前は…。トリエルってんじゃないですか?ディー・トリエル。うん、可愛い名前ですよ」
あてずっぽうではあったが、彼女はその名前を気に入ってくれた。レギオンに誘拐され、ジェネシスで俺たちの敵に
回ったとき
「私はディー・トリエル!道具なんかじゃない!」
といった。エゥーゴに入るきっかけでもあるし、俺とは縁が深い。彼女にだけは打ち明けておこうと思った。
「ロンド・ベルを辞める事にしたよ。君とも会わなくなるけど、元気でね」
といっておいた。すぐにその場から立ち去ったが、まだ嫌味を言い足りないらしく部屋をでた主計将校によると、その時
のトリエは例に無く青ざめ、慌てた様子だったそうだ。全く、自分の鈍感さに腹が立つ。彼はトリエに、困ったことがあったら
ブライト臨時司令にいうといいよと助言したそうだ。…感謝するべきなのか?
そして俺はアムロ大尉に呼び出され、サイド3で彼女の面倒を見るように仰せ付かったのだ。
書き終えた所で、トリエに袖を引っ張られた。向くと、不機嫌そうな顔をしている。
「ごめんごめん、演習のときの記録を書いてたんだよ。もう終わったから、散歩にでも行こうか」
即座に顔がほころんだ。現金な娘だよ。可愛いからいいけど。
「…ン、コ…ヒ、イレ、タ…」
マグカップを差し出された。中には真っ黒な液体が入っている。飲んでみる。…俺より淹れるのが上手いじゃないか。
「ド…ナツタベ…トキ、イツモ…イレ、テタ…」
「今度から、僕の分も淹れてくれるかな?」
「…ン…」
返事したかと思うと、突然頬を赤らめ、目を閉じて控えめに唇を突き出してきた。
…もしかしてあれか?プロポーズとでも思ったのか?でもそれは味噌汁で…けどまあ、悪くはない。
2度目のキスは、俺からだった。
196 :
名無し曹長 ◆BiueBUQBNg :2008/03/03(月) 04:21:19 ID:idIFLkbn
やれやれ。
…トリエたんのSS書いたのってもしかして俺だけか?
では、
>>174さん、続き楽しみにしてます。
あの〜OVA連邦組を主役にしたSSを書き始めたんですが
投稿してもよろしいでしょうか?素人で初投稿なんですが…
では投稿してみます…
題名は実はまだ未定だったりしますが…
シロー「くっ…何か方法があるはずだ!何か…」
密林の中に巨大なMSが立っている…
どこからか攻撃を受けているのか、傷がついている…
ザクなどのジオン系とは違うフォルム。
かと言って連邦のジムとも違うデュアルアイである…
そう…それは連邦の技術の粋を集めたガンダムである。
しかしガンダムとも少し違うロッドアンテナ…
それは現地で大破したRX−79[G]陸戦型ガンダムを
現地で改修した機体である、RX−79[G]Ez−8だ。
Ez−8に乗っているシロー・アマダ少尉は現在交戦中である。
シロー「どうしたんだ…攻めてこない?」
密林の中での戦闘を計算されているEz−8は
100mmのマシンガンを構えて身を潜めている。
シロー「レーダーに反応!?後ろ!」
Ez−8の後ろに現れたのは青と白のトリコロールカラーの
RX−78NT−1アレックス…
一年戦争でガンダムのパイロットでありNTとも言われた
アムロ・レイ少尉のために開発された機体である。
しかし一年戦争でアムロ少尉の元に届くことはなかった…
シロー「くっ…後ろか!?」
Ez−8は咄嗟に右へステップ移動をして回避する。
アレックスはBRを撃っていたが致命傷には至らない。
シロー「倍返しだぁぁ!!」
Ez−8は頭部及び胸部バルカン砲とマシンガンを
アレックスにめがけて全弾発射する…
だがアレックスは手元の盾で致命傷を避ける…
シロー「致命傷にはならないか…」
即座にアレックスはBRをEz−8に連射してくる…
シロー「しまった!?」
全弾発射の反動で防御が疎かになったEz−8にBRが
Ez−8の左腕を的確に貫いた…
Ez−8は左腕を失う…それは盾を失ったことも意味する…
シロー「思い出すな…あの時のことを…」
過去にアマダ少尉はEz−8の左腕を失っている…
MS−07B−3 グフカスタムとの戦闘では
アマダ少尉率いるMS08小隊が交戦した。
その戦いでグフカスタムのヒートロッドが
Ez−8の左腕の盾に命中、左腕を故障させている…
その後Ez−8は自ら左腕をもぎ取り武器として使用している…
その結末は勝負には負けているような結末であった…
アレックスは攻撃の手を緩めない。
Ez−8は密林を駆けつつ反撃を繰り返す。
勝負は結末に近づき始めていた…
シロー「うぉぉぉ!」
Ez−8が突如方向転換してアレックスに迫る。
アレックスはBRで反撃しようとするが叶わなかった…
Ez−8の攻撃でBRは破壊されたのであった…
シロー「行くぞ!」
Ez−8は膝部にあるビームサーベルを抜いて迫る。
アレックスは背部のビームサーベルを抜いて構える。
互いにビームサーベルを振り下ろす…
ビームサーベルは互いにぶつかり合う…
互いのビームサーベルが弾きあって、間合いが空く。
シロー「まだまだ!」
Ez−8は再びビームサーベルを構えて突っ込んだ…
しかしそれは叶うことはなかったのである…
アレックスが左腕を構える…腕部90mmガトリング砲が、
接近していたEz−8にめがけて撃ち出された…
Ez−8はガトリング砲の直撃を受けてしまい動かない…
これはEz−8の敗北を意味していた…
途端に周囲が暗くなる。
シミュレーション終了
画面にはこの文字が浮かんでいた…
とりあえずここまでは書いてあるんですが…
何か気をつけたところとかはありますか?
初心者なんでいろいろ問題があると思うのですが…
GJだ。
とにかくガンガン投下してくれ。
シロー「ま…負けた…」
シミュレーションの中でうなだれているシロー…
敗因は迂闊すぎであったことであろう…
外に出ると、数人が先ほどの戦いを見ていた…
クリスチーナ・マッケンジー中尉
女性ながらアレックスのテストパイロットである。
コウ・ウラキ少尉
成り行きでRX−78GP01ゼフィランサスの
パイロットになり、その後デラーズ紛争を生き抜いた。
ちなみに紛争後に軍事裁判を受けたが、紛争自体を
なかったものにされたために復帰している…
以下は簡潔に述べてしまうが
アルファ・A・ベイト中尉
ベルナルド・モンシア中尉
チャップ・アデル中尉
チャック・キース少尉
全員戦艦アルビオンのクルーであった。
そして俺が隊長である08小隊のメンバーであった
カレン・ジョシュア曹長テリー・サンダースJr軍曹
あとの2人は正式なパイロットではないのでここにはいない。
説明していたら先ほどの戦いが最後まで流れたようであった…
すいません。上はsectionX パイロット集結
として考えてください。
シロー「クリスさん、先ほどは見事でしたね」
クリス「いえ…機体性能のおかげです。腕では負けてました」
周りから少し離れたところで会話をする2人。
クリス「なんで旧式のEz−8にしたんですか?」
そう…選択できる機体にはEz−8改などもあった。
シロー「密林は陸戦型の機体の方が有利だと思ったんです」
クリス「なるほど…」
だんだん遠くの方が騒がしくなってきた…
どうやらモンシアさんとウラキ君が原因のようだ…
クリス「モンシア中尉も本当に懲りないですね」
クリス中尉とモンシア中尉が戦った時は…
機体性能に関係なくクリス中尉の圧勝であった。
モンシア中尉はRX−78GP01Fbフルバーニアンに
乗っていた。性能はアレックスよりも高い。
しかしモンシア中尉はその力を活かしきれず負けた…
その点クリス中尉はアレックスの性能を活かしている。
テストパイロットはやはりエリートなのである。
クリス「そういえばアイナさんは元気ですか?」
シロー「ああ、今は家で育児を頑張っているよ」
実は先日ようやく父親になれたのである。
シロー「そういうクリスさんこそ、バーニィ君は?」
クリス「今は家事を覚えようと必死ね」
バーニィ君は先日クリス中尉にプロポーズされた。
今は主夫として日々を過ごしているそうだ。
クリス「あら?もうこんな時間なのね?」
時計を見るとすでに夜7時を回っていた…
さて、そろそろ帰るかな…
シロー「では自分はこれで帰ります」
クリス「ええ、さようなら。アイナさんによろしく」
シローとクリスは互いに自宅へと帰っていった…
一方そのころアルビオン組は…
コウ「あれ?キース、もう帰るのかい?」
キース「ああ、そろそろ帰らないとモーラがね」
コウ「ふーん、じゃあ僕も帰ろうかな」
モンシア「ウーラキ!これから飲みに行くぞ!」
コウ「いや…僕は帰って…」
モンシア「なにぃ!俺と飲みに行くのは嫌だと!」
コウ「いえ…そういう訳では…」
モンシア「じゃあ行くぞ!」
コウはモンシアとベイトに引きずられて行ってしまった…
キース「はは…コウのやつもかわいそうに…
あとなんでアデル中尉はここにいるんですか?」アデル「私には家で待っている妻がいるんでね」
キース「そうですか…」
どこからかコウの叫びが聞こえた気がした…
とりあえず今日はここまでにさせていただきます。
続きはシローVSコウを書きたいと思っています。
シローはEz−8HMC
コウはフルバーニアンに乗せようと思います。
2人のことをすっかり忘れていました…
カレンとサンダースは周囲から忘れられていた…
なぜなら2人はいまだに戦い続けているからである。
2人とも陸戦型ガンダムに乗っているために性能差はない。
しかも2人とも腕もたつので決着がつかなかったのであった…
時刻は午後7時半を過ぎていた…
うわーギャザビっぽーいw
ユウの出番はないですか、そうですか・・・・・。
はい…クリスとモンシアあたりはその通りです。
バーニィとクリスはDSのEDを使っています。
あといつの間にか主役がシローになっていますが気にせずに。
そのうち08小隊+アイナの部隊と
クリス、バーニィ、コウ、ガトーもやるかも知れません。
なにせOVAは大好きですから。
あとリクエストがあるなら、ユウもだしますよ。
ユウ、シロー、マットで陸戦型ガンダム系統乗りとかで。
相手はニムバス、ノリス、ケンになるのですかね?
統一するために…ラル、ノリス、ヴィッシュかも…
全員グフシリーズ乗り&渋いおっさんなので。
現在地球圏はロンドベルなどの活躍により紛争はない。
数年前には彼らも同じ部隊に所属していた。
ジオン、ティターンズ、ネオジオン、コスモバビロニア、
…他にもさまざまに連邦に敵対する組織はいた。
シロー・アマダの現在は妻であるアイナ・サハリンも
一年戦争ではジオンに所属するテストパイロットであった。
しかし、さまざまなことを経て、シローと結ばれたのである。
そして彼らは数ヶ月前に子供を授かった…
その子供の名前はキキ…
一年戦争中にシローに協力してくれた少女の名前である。
家に帰ったシローは、アイナとキキに真っ先に会いに行く。
この先は書いていると甘くなるので割愛させていただく。
(本音→書き始めたら戦闘シーンより長くなりますので…)
シローやクリス、コウなどは現在ロンドベルを抜けて
連邦軍のテストパイロットとして働いている。
アイナ・サハリンも本来はシローと同じ仕事であるが
現在、育児のため休暇をもらっている。
今日、していたことはシミュレーションによる演習である。
本来ならば最新鋭の機体を使うべきであったが、
全員が旧式のMSパイロットであったので、
レクリエーションも兼ねて旧式で演習をおこなったのである。
しかし、現在の世界では紛争も起こらない。
それはロンドベルの活躍によるものに他ならない。
つまり、軍は他にすることがなくなったのである。
そこで彼らはテストパイロットになったのである。
翌日、再び彼らはシミュレーションによる演習が待っていた。
今日はシロー・アマダ少尉とコウ・ウラキ少尉である。
シロー「よろしく、ウラキ少尉」
コウ「はい、こちらもよろしくお願いします」
2人はシミュレーションの中に入っていった。
今回の演習をおこなう舞台は宇宙である。
シローはEz−8を宇宙用に改修した機体の
Ez−8HMC(ハイモビリティカスタム)を選ぶ。
この機体は装甲を薄くすることで軽量化をはかり、
機動性を高めた機体である。ただし武装は貧弱ではあるが…
シロー「ふぅ…昨日は負けたけど今日は負けられない」
モニターが少しずつ明るくなり始める。
カタパルトハッチの上に立つEz−8。
そしてEz−8は戦艦のハッチから発進した…
時を同じくして反対側からはウラキ少尉が発進した…
Ez−8は宇宙に浮かぶデブリに身を潜めて移動していた。
ミノフスキー粒子によりゲリラ戦術も有効となるのである。
徐々に舞台の中心に近づいているEz−8…
シロー「そろそろウラキ少尉も近いだろう…はっ!」
不意にアラートがEz−8に響く。
シロー「接近する熱源反応…これはミサイル?」
巨大なミサイルコンテナがEz−8に向かってくる…
Ez−8はギリギリのところでかわしつつ敵を見つけ出した。
動く要塞と表現してもいい機体…GP03デンドロビウム
巨大なコンテナに収納されたさまざまな武装、
機体から伸びるメガビーム砲、大型のビームサーベル、
さらにはIフィールドまで搭載されている。
味方の時は頼もしい機体であった。
敵にすると威圧感や恐怖を感じてしまう。
シロー「離れたら負けるな…行くぞ!」
Ez−8は機動性をいかして一気に間合いをつめていた…
シロー「ビームスプレーガンUはGP03には効かない…
となると接近するしか勝ち目はない!守ったら負ける!攻めろ!」
Ez−8はぐんぐんGP03に接近していく。
GP03は収束ミサイルやFバズーカで迎撃するも、
寸前でEz−8は器用によけていた。
GP03はその大きさからか、Ez−8には格好の的である。
ついにEz−8はGP03の懐に潜り込んだ。
シロー「いけぇぇ!!!」
Ez−8はGP03にビームサーベルを突き刺す。
刺さった場所はIフィールド発生装置である。
Ez−8はこの機会を逃さない…
ビームサーベルをしまい、ビームスプレーガンUを出す。
シロー「銃身が焼け尽くすまで撃ち続けてやる!」
とにかくGP03に向かって撃ち続ける。
GP03はIフィールドがなくなった今はただの的同然である。
ついにGP03は動かなくなった…
シロー「まだだ!まだ終わりじゃない!」
GP03にはもう一つ特徴がある。
それはGP03Sステイメンという脱出ユニットがあることだ。
GP03SはBRを持ってGP03から脱出していた…
GP03に乗っていたコウ・ウラキは過去のことを思い出していた…
デラーズ紛争で決着をつけるために待っていたソロモンの悪夢
アナベル・ガトーとの対決した時のことである。
あの時もコウはIフィールド発生装置を破壊されている…
思えばガトーとはさまざまなことがあった…
GP02Aを強奪された時にGP01に乗って追いかけた…
あの時は実力の違いを思い知らされた…
また、ソロモンでの戦いもあった…
あの時は左腕が故障していたGP02Aで相打ちであった…
その時初めてガトーと直接会話を交わしたのである…
次に会ったのはコロニー阻止限界点である。
決着をつけるために待っていたのであった…
ノイエジールに乗っていたガトーとの対決は
今同様にGP03を破壊され、ステイメンだけを残して…
また、落下するコロニーの中ではニナに裏切られた…
ニナは最後はガトーを選んでいたのであった…
思えばガトーには1度も勝つことがなかったのか…
ふと昔のことを思い出していた…モニターには
アマダ少尉のEz−8がビームサーベルを抜いて迫っていた…
Ez−8は脱出したばかりのステイメンに迫る。
ここで隙を与えればステイメンに反撃の機会を与えるからである…
Ez−8はビームサーベルをステイメンに振り切った…
ウラキ「くっ、むざむざやられるか!」
とっさにステイメンは後方に回避行動をとった。
その直後ビームサーベルがステイメンのいた地点を通る…
シロー「なに!?…しまった!?」
虚をつかれたEz−8は一瞬動きが止まる。
ステイメンはその隙を逃さず、手元のBRで攻撃した。
それがEz−8のビームスプレーガンUを撃ち抜いていた…
コウ「相手の武器が…チャンスはこれしかない!」
ステイメンは距離をとってBRを撃ち続ける。
Ez−8はみるみるうちに損害が増えていた…
シロー「くっ、もう手段を選べない…」
最後の手段を選んだEz−8は一か八かの特攻を仕掛けていた…
コウ「くっ、止まれ!止まれ!」
ステイメンはEz−8に向かってBRを乱射する…
Ez−8はコックピットと右腕のみの被弾をさけてつっこんでくる…
シロー「うぉぉぉぉ!!」
コウ「うわぁぁぁ!!」
両者の叫び声が響き渡る。
ステイメンと半壊のEz−8はぶつかり合う…
互いにビームサーベルをコックピットに突き刺しながら…
引き分けである。
さて、なぜ紛争が終わった今演習をおこなうのか説明しよう。
MSを減らすためにどっかのバカが提案したことがある…
それは実弾を使用した本格的な演習である…
そこで8人1組でチーム戦をすることとなった。
連邦軍は代表として
ユウ・カジマ少佐とマリオン・ウェルチ少尉、
ゼロ・ムラサメ少尉とレイラ・レイモンド少尉が選ばれた…
そして残りの4人をこの演習で選出するのである。
連邦高官「さて…代表の選出が終了した。
まず、クリスチーナ・マッケンジー中尉。
次にコウ・ウラキ少尉」
ここまでは予想通りである。
連邦高官「3人目はシロー・アマダ少尉だ」
よかった…選ばれた。シローは心の中でつぶやいていた…
連邦高官「選出はここまでだ。あと1人はすでに決定済みだ。
最後の1人は…
fin
とりあえず個人演習はここまでにします。
なんかグダグダで終わってしまいましたがすいません。
extra sectionとしてチーム戦も書きたかったのですが、
あと1人がどうしても浮かばないのでやめました。
駄文のうえにグダグダですいませんでした。
223 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/07(金) 14:32:53 ID:wM58XGx0
あげほしゅ
224 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/08(土) 18:22:05 ID:CaNJZHvQ
EVOLVE版でクェスにほれ込んだのでイラスト描きのクセに
SS書こうと思い立った厨が通りますよ。 と
・アクシズ返しは、やっている(シャア・アムロ共に消息不明)
・連邦は腐りっぱなしで、ティターンズこそ存在しないがグリプス戦役直前みたいな社会状況
・反地球連邦としての活動はあっても、
大規模な衝突はない状態ロンドベルは治安維持のために活動してるけど、
せいぜい小競り合い程度。
ナナイなど、ネオ・ジオン残党は消息不明。
(何故かアナハイムのサイコミュ関連の技術レベル上がってる)
こんな感じの前提でスタート。
冒頭だけ書いたので報告してみる。
ttp://blogs.yahoo.co.jp/pastyal/16347172.html 炎上は勘弁な。
2chで宣伝するのは荒らし依頼と変わらんがな(´・ω・`)
読者定着させたいのなら週一でもいいから定期的にうpするこったね。
二次だとプロローグで終わるの多すぎ。
226 :
通常の名無しさんの3倍:2008/03/11(火) 00:37:28 ID:YEfpXfy4
>>225 すまない配慮が足りなかった。
3話までうpしてるので、まとめて書いてみる。
1話
整備された居住区画と貧民層をとりあえず押し込んだスラム…正規住民の多くが軍属・軍需関連であるのを除けば、ごくありふれたコロニーである。
アナハイム・エレクトロニクスの巨額な資金提供の元新設されたこの官民共営コロニーを、当初の名で呼ぶ者はいない。
当然の如く宇宙港の大半の航路もコロニーの大部分の区画も、軍とアナハイムが占めている。連邦高官と巨大企業との蜜月の一コマを匂わすが、ありふれ過ぎたスキャンダルに市民の関心は薄い。
雑踏の中ターコイズブルーの髪をなびかせて走る少女。
人並みを軽やかに縫ってターミナルへ向かう少女の後を、ヨタヨタと青年が追走している。
両手には、ラフな服装に似つかわしくないケバケバしくも高価そうなバッグが下げられているが、重量もかなりありそうだ。
他のコロニーへと向かう者、ここ”アナハイム”に帰ってくる者が行き交う宇宙港ではありふれた光景だ。
「クェス…僕はキミの執事でもなければ、配達屋でもないよ?」
青年の息を切らせながらの抗議を気にするそぶりも見せず、搭乗手続きを終えるとようやく少女は振り返る。
「あら?私も口答えするような執事を雇った覚えもなければ、
小荷物持っただけで息切れするような配達屋を雇った覚えもないよ??
ったく、軍人のクセにだらしないなぁ」
無邪気な笑顔でトゲだらけの言葉を吐く少女、クェス・パラヤだが、歳は青年とさほど変わらない。
ゴシックパンクファッションと変型ポニーテールが彼女を何となく幼く見せている。
「バンドのツアー観に行くだけで、なんであの大荷物なんだよ?」
「モニターで見るのと生で見るのじゃ気合の入れ具合も違うってものじゃない、気合の現れよ!」
何故かガッツポーズを取るガールフレンドにため息をつきつつも、言われっぱなしも癪というものだ。
「まぁ変な男に声かけられて、ほいほい付いていくなよ。浮気はダメだぜ?」
「…浮気って、私に恋人いないと成立しないんだけどさ…その辺どう思う?」
わざとらしくキョトンとした仕草でまっすぐ見つめ返すクェス。
カウンターをもらうがこの程度でダメージを受けるメンタリティーではこの小娘とルームメイトなどしていられない。
一人旅というわけでもなく、女友達数名と一緒だし、なんら心配することもない。
「ハサウェイこそ新しいオモチャ貰って、浮かれて事故っちゃダメだよ?アンタ調子乗りやすいからさ」
自分を棚に上げつつも、一応の心配をしてくれている言葉につい顔を緩めてしまうハサウェイだが、こんな調子だから尻にひかれるのだという自覚を持つべきだろう。
「実験機の事かい?別に戦場にでるわけでもないし心配いらないさ。クェスが新しい携帯の使い方覚えるより早く乗りこなしてやるさ」
「バーカ」
ひとしきりじゃれ合ったところで、シャトル搭乗口へと歩き出すクェス。
その後姿を優しく見送ると、踵を返すハサウェイ。
意中の女に振り回される頼りなそうな青年は、一軍人の顔になっていた。
――新型サイコミュ兵器搭載機の模擬戦テスト…NTとは言えない僕だが、やってやろうじゃないか。
2話前編(改行で弾かれたので)
油の臭いと重々しい金属音が溢れるハンガーで、ハサウェイは”彼”との初対面をした。
RX-104ガンダム・オデュッセウス――神話の英雄の名を冠するガンダムタイプのMSである。
30m級の機体は眩いまでに白く、ハサウェイにνガンダムを間近で見たあの時の光景を思い出させた。
サイコミュを有し、機体の反応速度は現時点で存在が確認されている機体全てを凌駕する。
基本兵装のビームライフルも新機軸の設計により、初速は従来の1.5倍とも2倍を越えるともされている。
カタログスペックとしては、正にガンダムの名を頂くに相応しい機体である。
「ユニットの換装によって、MS単体での飛行能力を有することも可能だ…単機能フライトユニット装備形態での別名はペーネロペー…」
機体の解説をするだけで、何故にこうも嫌味ったらしく聞こえるのだろう?
「もっとも…今呼ぶとしたら……アルゴスだがね」
頭一つ小さい、いかにもな風貌の男――開発主任ローズマリーだ。
人格が声を作るのか、声が人格を作るのか?
人当たりの良いハサウェイですら、この男には正直嫌悪の念を抱かずには入られなかった。
声が不愉快だ。他人を見下すような、それでいて媚びるような卑屈さを帯びたイントネーション。
視線が不愉快だ。どこか焦点のずれた様な目が、無感情でありながらも器質的に自分を観察しているかのようなその視線。
兵器の開発者の容貌としては満点に近いのかもしれない。死を生み出し死を運び死を演出する新兵器開発者。
任務でもなければ目を合わせるのも嫌な男だが、民間人でありながらもこの任務完遂までは彼が事実上のハサウェイにとって直属の上官だ。
「アルゴス…あのバックパックに取り付けられたユニットの名前でしたね」
バックパックから伸びる異様な4基のコンテナに視線を移す。
「そう……機能的だと思わないかね?AMBACユニットとしても機能しつつ……機体の最大戦力となる…
大火力と機動性というのは基本、両立しがたいがこのシステムは非常に高バランスでそれを達成している」
「4基のファンネルコンテナに5基のファンネル、20基のファンネル搭載とは豪勢ですね」
「僕は、自分自身NTだとは思っていません。何故僕に?」
アルゴス・ユニットの装着はハサウェイの予期するところではなかった。
2話後編(改行で弾かれたので)
規模こそ小さいが抗争は多い。ジオン残党やそれを名乗るテロリストとの実戦で優秀な戦績を挙げている自分だ。
素体としてのオデュッセウスの戦闘データのために呼び出されたと踏んでいた。
新型サイコミュによる、機体追従性向上…そのテストケースのサンプル採取ではなかったのか?
20基のファンネルを完全制御など、あの伝説のエース、アムロ・レイでもなければ不可能だろう。
「私はね…」
指を顎にあてがい、上目遣いなのか白目をむいているのか分からない視線がハサウェイを捉える。
「酢豚が好きでね…」
ハァア!?と、思わず飽きれた声を出しそうになるのを堪えたハサウェイを気にするそぶりも見せず、ローズマリーは続ける。
「パイナップルを入れるだろう?パイナップルのタンパク質分解酵素…ブロメラインが肉を柔らかくする素敵な素敵な隠し味だ…
かといって、缶詰一杯のパイナップルを鍋にぶちまけるマヌケは…いないだろう?」
ならば尚のこと20基のファンネルなど意味不明だ。要領を得ない回答ではぐらかす癖もハサウェイにこの男を嫌わせる点である。
「NT能力も同じでね、キミくらいの方がアルゴスには向いている」
いやらしく唇を歪めてローズマリーは哂った。
「0では困るが100でも困る。最適なのは50か40、それとも10か?NT適正が査定値ギリギリのキミを見つけられたのは僥倖だな」
褒められている気はしない。だがこの男は、心底ハサウェイが適任だと思っている。
なんとなくそう理解できるが、良い気がするはずも無かった。
純白の機体に向き直る。十字架を背負った英雄――そんな柄でもないフレーズが何故か浮かんだ。
クェスのバンド好きがうつったか?ローズマリーに気取られぬよう、ハサウェイは一人苦笑した。
3話
「ローズマリー主任!」
慌しく男がハンガーに駆け込んできた。何かねとノロノロと歩み寄った彼に、男は口頭で何かを伝えた。
猫科の動物を思わせる勢いでローズマリーはハサウェイの方を向き直ると、またいつものノロノロとした足取りで近づいてくる。
ハサウェイがこの男の目に感情が宿るのを見るのは、これが初めてである。
ハサウェイの肩に骸骨のような手が伸びる。
「さて、ハサウェイ君…模擬戦は取りやめだ」
ローズマリーはニタリと哂った。
「ビーム兵器の出力を実戦配備へ変更…管制に従い出撃したまえ」
スクランブルを告げるアラームが鳴り響き、ハンガーは正に最前線の如く慌しくなっている。
サイコミュ増振機の同調をチェックするハサウェイがオデュッセウスのコクピットにいた。
ギラ・ドーガを中心とする1個中隊がコロニー外壁の連邦施設への接近。
目が良ければ、この施設からでもジョイントが確認できる距離だ。
「MS9機を擁する”テロリスト”…連邦はどこまでも憎まれてるな」
このコロニーは連邦とアナハイムという金と権力の亡者の巣窟であると彼らは言う。
事実その建設、運営に至るまでそれを否定できるものは何もあるまい。
お飾りの慈善事業で難民をスラムに押し込め、宇宙港を連邦施設・軍需産業のために資金がばら撒かれる。
「だがコロニーへの攻撃は民間人にも被害が及ぶ…ヘタをすれば、取り返しの付かないことにだってなるんだ…
そんなことをして、正義も大義もあるものかよ…」
連邦に対する反発への共感は出来る。
だが…
その行動は同調できるものではない。
その行動は許されるものではない。
その行動は阻止しなければならない。
コロニー外壁、しかも爆発物の貯蔵庫ともいえる軍施設への攻撃は、たやすく数万の虐殺行為へと発展するのだ。
「ハサウェイ少尉、ビーム兵器及びアルゴス・ユニットこそ実戦配備ですが、実弾兵器はペイント弾のままです!お忘れなく!!」
「過保護だよナウシカア――把握している、テロリストの射程にこのコロニーを入れさせはしないさ」
「貴方一人ではないの!増援到着までの時間稼ぎで良いからっ!!」
――泣きそうな声だった。連邦は嫌なところだけど、連邦全てが嫌いなわけじゃない。
「警備のジェガン部隊が応戦に向かっていますが、足止めがやっとです!」
「…へのシェルターへの誘導は!!?」
「実戦慣れした相手でっ!!!」
「ジェガン3機!後退します!!」
「ラインを突破したヤツがっ!」
回線が乱れ飛ぶ。混乱の中でハサウェイは静かに出撃を待つ。
2機のジェガンがカタパルトを出る。
不幸中の幸いか?模擬戦闘のためにオデュッセウスを含む1個小隊の出撃準備は半ば完了していたも同じだ。
――クェスの帰る処は、このハサウェイ・ノアが守る!
発進灯が出撃を告げる。
「RX-104ガンダム・オデュッセウス!出ます!!」
トリップ試してみた
4話前編
振り下ろされたサーベルを容易く受け流しコクピットへ蹴り込む。
制御を失ったジェガンと赤いギラ・ドーガがライフルの光で結ばれ、それが両者の別れとなる。
「なってない…なってないぞ連邦、この程度の腕で何が!!」
赤いノーマルスーツの男、チンクエは苛立ちの怒声を上げる。
迎撃に向かってきたジェガン部隊の錬度は低い。
失望を感じなくもない。噂の甘チャンがいないからだ。
ノーマルのジェガンを駆りながらも、敵の戦闘能力のみを奪い、投降を促す連邦の若きパイロット…。
連邦の伝説的艦長、ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアといったか…彼と相対出来るかもしれない――。
強者との戦いの予感は、戦士としての自分を大いに奮わせた。だがそれはどうやら期待ハズレだったようだ。
しかし、それは同時に彼を安堵させた。脅威となりえる戦力が無いのなら、同志の犠牲も少なくて済む。
何より作戦成功の確率が上がるのは、指揮官としてのチンクエにとって嬉しい誤算と言えよう。
「同志!ここは任せる、私は先行する3人を援護する!墜ちるなよ!?」
新米が1機後退したとはいえ、損耗は向こうの方が多い。
”無駄死にする必要はない”。腑抜けた連邦に実戦をレクチャーしてやればそれで良い。
姿勢を整え、先行する3機目指しバーニアを噴かすと、彼用にチューンされた赤い機体はデプリを縫う彗星と化す。
ミノフスキー粒子の濃度は薄い。センサーには同志2機に加え、2つの機影…。
――新手か?だがっ!
デプリを蹴り上げ、『ヘタリア』のエース、チンクエは更に加速する。
深緑の機体と黄色い機体が斬り結ぶ。
深緑の機体はギラ・ドーガ。ライフルは既に撃ちつくした。――さっきの腑抜け共は違う…。この黄色いジェガンは…強い!
横薙ぎに襲い掛かったサーベルをすんでのところでサーベルで受け留める。
2本のサーベルが閃光を迸らせ、ギラ・ドーガのパイロット、ジェシーの顔を焼く。
彼女とて『ヘタリア』の突撃部隊の一人だ。白兵戦でまで、こうも押されるとは!?
ジェガンのパイロット、ビックスも感じていた。
よくあるテロリスト――MS操縦のいろはを齧っただけの素人の寄せ集めとは違う…ジオン残党か?実戦慣れしたヤツ!!
これだけの時間を俺にかけさせるか?ライフルはあと何発ある?2発か?1発か?
ウェッジもてこずっているようだが、フォローは出来そうにない…。
「ココが分かれ目だな!」
ビックスが叫んだ。サーベルの出力を落とす。
反力を失ったギラ・ドーガのサーベルが大きく弧を描き、反動で大きく姿勢を崩した。
そこに一閃。
「ぐぅううっ!!」
シールドで切っ先を変えた。左腕がもげかかり、激しく火花を散らす。シールドの弾薬が誘爆しなかったのは奇跡だった……が――。
「あ…」
完璧なタイミング。さっきの一撃を防ぐのは計算の内か?
斬り付けた際の運動エネルギーは2機の間合いを離す離脱運動を補うには十分だった。
見開かれたジェシーの瞳に、ライフルを構えるジェガンが焼き付けられる。
4話後編
――最後の一発だ!
必殺を確信してビックスはトリガーに指をかけた。
だが…。
トリガーを押した瞬間、彼のライフルは爆散した。
――!?
「もう1機来たかっ!!」
迂闊だった。予想以上の相手に気を取られ、接近に気付かなかった…だがこの距離で?ライフルを撃ち抜くだと!?
「チィイ!フラグ、立っちゃったか!?」
右腕は動かない。ライフルの爆発で機関不良を起こしたか?
残る武器はサーベルのみ。しかも機動性まで削がれた…。死の文字が頭を掠める。――マズイ!!
「大佐!すみません!」
「今は少佐だよ、ジェシー…だが、連邦にもまだまともな兵はいるようだな」
「すみません、少佐…強敵です!お気をつけて!」
幾分色づいた声に苦笑するチンクエだったが、その眼は冷徹に敵機を捉えている。
――直撃を狙ったが…ジェシーを救えたなら良しとするか。
苦し紛れにビックスが放ったペイント弾のミサイルランチャーを易々とすり抜けた彼のライフルは、だが在らぬ方向へと撃ち出された。
「え?」
一瞬ワケが分からなかったビックスであったが、その意味を解した時彼の目は見開かれた。
「!?ウェーーッジ!!」
――俺じゃない…ウェッジを狙ったのか!
歯噛みするビックスであったが、その耳に動揺はあるがビックスの声が届く。
「すまん!ビックス、メインカメラを持っていかれた!…なんだ!?
仲間の背中越しに撃ちやがった??当てない自信でもあったってのか!??」
狙える箇所が頭部だったからこそのメインカメラの破壊か?
だとすれば敵機とのほんのわずかな座標のズレが、ウェッジを救ったのだ。
「落ち着け!目の前の敵に集中しろ!」
精一杯の一言だった。チンクエから放たれる正確な射撃は確実に彼の命の灯火を消そうとしている。
1発目を回避したが、そこに2発目が撃ち込まれ今度は左腕を持っていかれた。
相手の回避運動までコントロールする射撃技術。ビックスでなければこの2発で終わっていただろう。
「趣味がワリーんだよクソったれ!!」
ペイント弾だが選択肢は無かった。――最後の望みは”アイツ”!”アイツ”が来るまで生き延びろ!
攻撃力など皆無なペイント弾…。幸か不幸かチンクエがそれに気付くことはなかった。
バルカンはチンクエ機の赤い塗装を幾ばくも汚すことなく空しく撃ちつくされ――。
「任務ご苦労!戦士よ!お別れだっ!!」
正面――無情な死の宣告と共に赤い死神はサーベルを振りかざしていた。
「赤い彗星かよぉおっ!!?お前はぁあああ!!!?」
ビックスの絶叫が、轟音に掻き消された。
イイヨイイヨー
GJだ
目の前でモビルスーツが乱舞するような描写に心奪われました!
5話前半
チンクエは哂っていた。
チンクエは震えを止められなかった。
武者震えだ。この興奮、震えをどう鎮められようか?
「ふ…ふふふ…そうか、そんなところから狙えるか、この距離で、この間合いで!この2機の合間を撃ち抜けるかぁ!!」
消耗した者を打ち倒す事など、冷めたディナーの残りカスほどの興味も沸きはしない。
強者との遭遇、強者との戦闘――。
宴だ。一度味わうともう忘れられぬ甘美な瞬間――彼の望むそれが、今ここにあるのだ。
「仲間のピンチに颯爽と駆けつけるヒーロー…ってのが、最近の流行なのかい?ハサウェイ」
流した冷や汗が落ちるよりも早く、ビックスの口からそんな軽口が飛び出す。
不思議なものだ、死にかけていたというのに、今はこんなにも安堵している。
白銀の光となって、ガンダム・オデュッセウスは馳せ参じた。
「遅れてすまない、ビックス…先行していたギラ・ドーガは”止めた”…あとは、僕に任せてくれ」
4つ上のビックスへのその言葉には、エースの風格すら感じさせる。
ハサウェイ・ノア――コリントス隊攻撃隊長の存在は、彼を知る者に勝利への絶対の信頼を与える。
満身創痍のジェガン2機が後退する。
損耗が激しいギラ・ドーガ2機も動きを止め、招かねざる客人に神経を集中させる。
赤いギラ・ドーガと純白のガンダムは相対した。
攻め上る者と守り防ぐ者…デプリ漂うこのエリアは事実上の最終防衛ラインとなっていた。
モニターに映し出される純白の機体を見つめ、チンクエは何を思うか?
データには無いガンダムタイプのMS――。
ガンダムタイプが連邦の最新技術の集大成として開発されてきた前例を考えれば、
機体性能は相当のものであることは確かであろう。
「ガンダム…連邦め、正当なる支配者の象徴のつもりか?なってないなっ!
虚像にすがってでもこの不当なる統治を…圧政をっ!正当だとほざくかっっ!!」
チンクエの眉間に深くシワが刻まれる。
ネオ・ジオンの高性能機として上げられる機体の中に、ヤクト・ドーガの名がある。
総帥専用機としてはいささか物足りないとの評であったが、その基本スペックは極めて高い。
そのベースとなった機体こそが、量産機ギラ・ドーガである。NT能力を持たないチンクエに、かさばるサイコフレームの導入など不要であった。
可能な限り高機動・高出力にチューンされた赤いギラ・ドーガは、カタログスペックではヤクト・ドーガをも上回る。
だが――専用OS CAの補助をもっても敵は最新鋭のガンダム…厳しいか――。
しかし、そんな事など良くあることだ。戦力差・能力差、そんなものは戦場では言い訳に過ぎない。
「跳ね返してやるさ、グリプス以来、私はそうしてきた…」
相手が脅威であればあるほど、この男にとっての喜びは増すのだ。
――連邦の象徴を駆る者よ、お前は戦士か?
5話後半
ハサウェイの瞳に、相対するギラ・ドーガの赤が鮮やかに映る。
「もともと汎用性・拡張性に優れた傑作機だ…あのギラ・ドーガ…中身は別物と思って良いかな?」
このオデュッセウスとの模擬戦用にチューンされた試験用ジェガン…
それに乗ったコリントス隊の腕利き2人をここまで追い詰めた相手である。油断はしない。
赤いギラ・ドーガの随伴機2機、彼らの動きが止まったのはハサウェイにはありがたかった。
ビックス達を追撃・ラインを突破するというのであれば、この状況だ…。”止むを得ない”。
だが、幸いにもその動きは無い。
ここは赤いヤツに任せ、静観を決め込む気か?
ならばハサウェイにとって、敵は赤いギラ・ドーガ1機となる。
状況認識に彼らが要したのは1分か?10秒か?数秒だったのかもしれない。
ほぼ同時――2機のMSは同時に奔った!
237 :
◆NDD5HaAhTA :2008/03/13(木) 20:26:18 ID:17sNrqUn
第6話前半
「これほどの機動性を有するとはなぁ!」
チンクエが吼えた。
予測を上回るガンダムの機動性、あの4つのぶ厚いスラスターか、30m級のMSでありながらこのギラ・ドーガの上をゆく。
緊張と歓喜に唇が歪む。
――ライフルを連続で2発、ここまでは避わす!だがっ!!
ビックスを翻弄した予測射撃――。
OS CAと彼の卓越した射撃技術…その連動がなされた時、放たれた弾道は正確に敵を照準へと誘導する――!
しかし――。
「!?」
モニターのアラートが左に警告を発する。と同時にチンクエはサーベルを引き抜いていた。
ギィイーン!
拮抗するエネルギーの奔流が生まれ、2機は鍔迫り合いの形を取った。
「良い判断だ、サーベルの形状なら…ケリは付いていた」
共通回線を介し、ハサウェイは称賛とも余裕とも付かぬ言葉を発した。
通常のサーベルより面あたりの出力で勝るアクス・モードに切り替えたのはチンクエではなくOS CAの判断だった。
――機械に助けられるか!?なってない!!
しかし、今考えるのはそんな些事ではない。眼前の敵、眼前の脅威、眼前のガンダムだ。
サーベルをいなし、一閃。ハサウェイも容易くそれを受け流す。
「素晴らしい機体だなぁ!ガンダムのパイロット、出力!加速!機動性!どれをとっても超一級だ!」
「何故こんな愚かな行為をする?外壁に大穴でも開けば、取り返しの付かないことになるっ!」
「粛清だ!何年経っても連邦の本質は変わらん!それを我々が断罪する!そのために私は帰ってきた!!」
一旦仕切り直し――互いに構えながらハサウェイは問う。
「『帰ってきた』だと?お前は!?」
いぶかしむハサウェイにチンクエが迫る。
「なってない!なってないぞ連邦!忘れたか!私を!!」
怒涛の斬撃で攻める!この間合いならば、サーベルよりもアクスの方が疾い!
「この恐怖を!!」
ガィイイン!
またも受け切った…鍔迫り合い…流石はガンダムを駆るだけの事はある。
だが、白兵戦に持ち込めたのはチンクエにとって理想的な交戦状態である。
機体性能の差を最も埋めやすい近接兵器を用いた格闘戦――これならっ!
「その身をもって思い出せぇ!ガンダム!!」
ビームトマホークの形状を変化、出力を一点に集中させる。
ピッケル・モードに切り替えたそれは――絶対的な貫通力を有する。
オデュッセウスのサーベルの光刃をブチ抜き、コクピットへ突き立てた――!
――はずだった……。
「っっ!?何故見切れるっ!!?」
第6話中
「勘が良くてね…シャア・アズナブル…そう呼んで貰いたいのかい?偽者さん」
ハサウェイは不敵に笑った。
ピッケルの柄を、オデュッセウスの腕がガッシリと掴んでいた。
貫通力に特化するあまり、その間合いは明らかに狭い…。無類の貫通性を有した光の楔は、
コクピット寸前まで迫りながらも空しくその輝きを誇示するのみであった。
「ぬぅう!!」
チンクエは呻いた。
力勝負となっては優劣はあまりにもハッキリしている。抵抗の余地も無く武器をもぎ取られ――。
己の武器で斬りつけられようとは!
ピッケル・モードであったのが幸いしてか、辛うじて回避できた。信じたくは無いが、格闘戦において分はヤツにある…。
――認めん!認めんぞ!!チンクエは獣の如くオデュッセウスをにらみつける。
「私がっ第二のシャアとなるのだっ!」
牽制しつつサーベルの間合いから離脱する。
「欺瞞に満ちた連邦はっ!我々が粛清せねばならぬ!!」
だが――。
グレネード4発の同時発射に加え機雷、ライフルでの予測射撃――それをもってしてもオデュッセウスを捉えきれない。
「あの男はこんなチンケなやり方で人類を変えようとは思わん!!」
オデュッセウスのライフルがチンクエ機を捉え、ハサウェイが叫ぶ。
「お前達の行いもまた、欺瞞に満ちたものであるとっ!何故分からない!!」
「くぅっ!!」
身を翻し回避――が、出来ない!!
ドン!と衝撃がコクピットを揺るがす。予想を上回る超高速で撃ち出されたオデュッセウスのライフルはチンクエ機の左肩から先を吹き飛ばしていた。
「な、なんだ!?あのライフルは??初速が違いすぎる!!」
動揺と共にもう一つの感情…怒りが込み上げる。
「外れたんじゃ…ないな?外したな!?わざとっ!この俺にぃ!情けをかけるか!!?」
唇をわなわなと震わせるチンクエにハサウェイが冷徹に言い放つ。
「過去の亡霊になりすまし、人の死に乗って、何が世直しだ!!投降しろ!さもなくば今度こそ墜とす!!」
その言葉がチンクエを激昂させた。
「戦士を侮辱するかぁ!?貴様ぁ!!なってない!なってない!!戦場とは戦士の魂のやり取りの場だ!
己が命を賭して殺すところだ!奪われるところだ!覚悟があるっ!省みん!戦士は己が命など省みんっ!!
貴様は俺を侮辱したにとどまらん!かつてこの宇宙に散っていった、幾千幾万の英霊を侮辱したっ!!
ガンダムのパイロット!!貴様はっ!貴様だけは!!」
6話後半
チンクエ機のライフルが放たれる。
――!?どこを狙って…?
ガボッオォオ!!
見当違いに放たれたと思われたそのビームは、オデュッセウスの頭上――デプリ付近に残った機雷に命中した。
「チィイ!」
即席のクレイモアと化したデブリの残骸がオヂュッセウスに殺到する。
掻い潜ったハサウェイの技量もさることながら、その軌道を見切ったチンクエも正にエースである。
「悪あがきを!」
チャフが仕込まれていたのか、センサー類が飛び、完全な目視戦闘を余儀なくされる。
「!?」
視界の隅に赤い機影を捉えたハサウェイ――だが――。
――フェイクだ!主に捨て去られたシールドとライフルが漂っていた。
一瞬注意を削がれたハサウェイの死角に赤い狂乱の戦士が躍りかかる!
「戦争を舐めるなぁ!小僧ぉおお!!」
予備サーベルを出力全開で無防備なオデュッセウスの背に突き立て――られない!
振り向きざまにオデュッセウスのサーベルは凶刃を受け止めていた。
「バカな…チャフ付きの機雷だ…センサーは飛んでいた…お前は…後ろにも目があるのか!?」
爆散したチャフによる電波障害はすぐに止んだ…。
「お前は戦士じゃない…戦士は生きなきゃいけない…生きて何かを守りぬかなきゃいけない…
詭弁にすらならない妄言を並べて戦闘に酔うお前は、単なる戦闘狂に過ぎん!」
怒りを帯びたハサウェイの言葉に唇を引き攣らせるピンクエ。
「小僧ぉお!それこそが連邦の傲慢そのものだと何故分からんっ!!」
だが絶叫と共に振り下ろされたサーベルはオデュッセウスを掠めることも無かった。
チンクエは斜め左前方を見上げた――振り下ろされるサーベルがやけにスローモーションに見えた。
「バカ野郎ぉおお!!」
オデュッセウスの一撃がチンクエ機の頭部から右腕をなで斬った。
「ぐっ!モ、モニターが!?」
激しくショートする赤い機体、モニターがブラックアウトし、計器類が狂ったように点滅を繰り返す。
捕縛された肉食獣の獰猛さでチンクエは純白の機体を睨みつける。
「これで分かったろう!ギラ・ドーガのパイロット!キミでは僕を倒せない!
おとなしくしていろ…キミたちの処遇は、法の手に委ねられる」
苦々しくハサウェイは通達した。
――命を大切に出来なくて、何で理想を語れるっていうんだよ!?
7話前半
「く…クククッ…くはははは!!」
薄闇のコクピット内でチンクエが突如哂い出した。
勝ったのは俺だといわんがばかりの哂い声にわずかに戸惑うハサウェイ。
2度も命のやり取りを拒否したハサウェイをチンクエが嘲笑する。
「ほんとに…舐めている…なってない…なってないぞぉ!ガンダム!!」
「負け惜しみを…」
だがチンクエは続けた。
「お前達はどこから来た!?お前達はどこへ向かっている!?あの宙域に何がある?
一切合財連れ出して!フヌケの雑魚共と我が同志達のパーティーに、遅れて参加して何になる!!」
背筋に冷たいものが流れる。ハサウェイ達は1個中隊と交戦中の警備部隊へ向かっていた。
警備部隊は1個中隊の迎撃へと出撃していた。
つまり――。
「オトリだと!?」
全く別方向からの1個中隊分の機影がコロニーに近づくのをセンサーが無情に捉える。
「間に合わんよっ!ガンダム!捕捉されていないMSをどう止める!?30バンチの報いを受けろぉ!!」
ドクン!と、全身が心臓になったように脈打った。
耳を疑う。
おぞましい歴史的虐殺事件。
その名を?
何故??
全身が凍りつく――こいつの意味するところは…!
――ガスだ!!!
「くっそぉおおおお!!」
最大全速で追うハサウェイ。バーニアが焼き切れようが構わない。
あの中隊は、1機たりともコロニーに侵入させてはいけない。
間に合え!
間に合ってくれ!!
外壁近隣で閃光が輝きだす。対空砲火による最期の抵抗。
噛み締めた唇から血が滴る。
バーニアが出力を落とし始めている。いかな最新鋭機といえど、限界というものはある。
抵抗の光が消える。
間 に合 わな い。
絶望的な――確信。
7話中
――でもっっ!僕が!!
ハサウェイの中で、何かが弾ける。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
「お前らぁ…何でっそんなマネができるっっ!!」
絶叫とともに失速しかかっているオデュッセウスの背後、4つのコンテナが開放された。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
神々の命を受け、アルカディアで雄牛の怪物を、ペレポロネソスでエキドナを葬った魔神の名。
ジョイントから開放され、ファンネルが射出される。
爆発的な推力は20条の閃光となって到達不可能な最終防衛ラインへと攻めあがる。
メガ粒子砲の嵐が不意打ちとなって襲い掛かり、光陣と化した。
しかし――。
予期せぬ20基の”増援”は確かに中隊の足を止めた。
被弾した4機は大きく体勢を崩しはした。
「ファンネルとはな!」
グリプス戦役からの古参である。
一度視界に入れさえすれば推力だけに重きを置いた鈍重なファンネルなどただの自走砲に過ぎない。
いかに旧型・改修機の寄せ集めであるこの特殊任務班とはいえ、この程度――!何ということはない。
ファンネルが一つ閃光となって消えた。
しかもこのファンネルの制御はとても”制御されている”とは言いがたい。
被弾した寮機に止めを刺すわけでもなく、闇雲にノロノロと攻撃するだけである。
回避は容易い。我々は乗り込みさえすれば良い。ハッチを打ち抜き、プレゼントを撃ち込めば粛清の狼煙は上がる。
”自走砲”の相手などしている暇は我々には無い。かいくぐって乗り込んでやる!
撃墜をそこそこに古参兵は外壁へと急いだ。
だが――。
アルゴス――それはギリシア神話に登場する魔神の名。
神々の命を受け、アルカディアで雄牛の怪物を、ペレポロネソスでエキドナを葬った魔神の名。
百の目を持ち、しかもそれらの目は交代で眠る為に、アルゴスは常に目覚めている。
つまり、アルゴスには時間的にも空間的にも死角が無い。
ゆえにこのシステムは、アルゴスの名を与えられた。
ファンネルのフレームが弾け飛ぶと同時に、顔を引きつらせてハサウェイは絶叫した。
「やめろぉおおおお!!!!」
7話後半
弾けたフレームから飛び出したものが何であったか?
彼らのうち、何人が理解できただろう。
50をゆうに越えるチャイルドファンネルの狂乱の宴はただの一度。
基点となるマザーファンネルたちを結んで形成される死の結界に、最初から誘い込まれていたと誰が気付いたか?
閃光が消え、真空の闇の中をギラ・ドーガの無数の残骸が漂っている。
コクピットの中、ハサウェイは呆然と呟いていた。
「止めたかった…止めたかったんだ…・・・でも…違うんだ……僕は……僕は殺したかったワケじゃない…。」
ナウシカアの歓声は耳に届いていない。
ビックスとウェッジの喝采も聞こえはしない。
コクピット内に”ノイズ”が響く。
コリントス・コロニー――”アナハイム”を救った英雄の頬を、涙が伝っていた。
微笑む家族の顔。
子供のはちきれんばかりの笑顔。
妻と思しき女の顔…。
あの瞬間、狂乱の宴に呑まれた者たちの思念がサイコミュを通してハサウェイの精神に怒涛となって流れ込んでいた。
吐き気を催すまでに……。悔恨の念、家族への思慕、子への愛情…恐怖――。
敵味方何十人という人間のあらゆる感情がハサウェイの中に渦巻き、その濁流に窒息しそうになる。
闇だ…どす黒い闇……黒く黒く…どこまでも黒い…血の闇だ……命を奪う事の本質――。
――守りたかった人たちは…誰にでもいたんだ…。
両手で涙に歪んだ顔を覆った。最後に映ったのは暖かな光――。
――クェス…。
陽炎のように少女は消え、闇だけが残った。
一人ぼっちの世界…。そこでハサウェイの意識は途切れた。
×閃光が消え、真空の闇の中をギラ・ドーガの無数の残骸が漂っている。
○閃光が消え、真空の闇の中を無数のMSの残骸が漂っている。
でした。スマソ
8話前半
白い部屋にソファー――。
クッションを抱えたクェスと一緒にTVを見ている…。
でも僕には、TVよりもクェスを見ている方が楽しい。身を乗り出したり、ビクリとのけぞったり…。
何年経ってもクェスはクェスだ。この子供っぽい表情、仕草…。
そのくせ、真剣な顔になると妙に大人っぽい……ダメだなぁ、どうもダメだ…僕って…。
フッと照明が落ちた。
キャッと小さい悲鳴を上げたクェスが可愛くて、クスクスと笑ってしまった。
「ちょ…何よ、ちょっとビックリしただけじゃない!ハサウェイ!何か明かり持ってきてよ!」
照れてるのかな?暗闇で顔が分からない。
大丈夫だよ、すぐつくさ。
多分近くの工場の消費電力が増えたんだろうね…仕方ないことさ。
発電量が再調整されるまでのんびり待とう。
「そういうことじゃなくてぇ…変に理屈っぽいとこ、良くないよぉ」
あれ?何かちょっと涙声…。
あ…そうか、僕らは深夜ホラー映画を見てたんだ。
かすかに震えるクェスの手が、そっと僕の手に触れる。
僕は優しくその手を握り返した…。
大丈夫、怖がらなくて良いよ。ゾンビが来たって何が来たって、キミだけは僕が守るから――。
停電はいつまでたっても直らなくて…僕はジェガンのコクピットにいた…。
身体のあちこちが痛い…応急処置用のテープが足りて良かった…とりあえず窒息死は免れる……。
ジェガン…動かないな…クェス!?なんで泣いてるの?泣かないで…僕はここにいるから……。
泣かないでクェス…泣いたら、かわいい顔が台無しだよ。
…出血が酷いのかな?ちょっと意識が遠くなってくる…真っ暗だ…。
でも…ああ…温かい……。クェス…これは…キミの心の光なのか?
「ハサウェイ!!」
温かい…光…。
来てくれたのか…ありがとうクェス……また泣いて…。
ゴメンね。
キミを助けたかったのに…泣かせてばかりで…。
帰ったら、アムロにお礼言わないとなぁ…。
差し伸べられたクェスの手を、弱々しく掴んだ。
助けるはずが助けられちゃったね…。
今回は、アムロがキミを助けてくれた…でも…クェス…これからは、僕がキミを守るから…・・・。
キミだけは――僕が守るから……。
8話後半(保守age)
視界が白く染まり、ハサウェイは目を細めた。光量に合わせて瞳孔が調整されるまでの生理的反応だ。
白い天井、白い壁…飾り気の無い医務室のベットにハサウェイは寝かされていた。
「良かった…目が覚めたんですね…少尉」
透き通った優しい声。プラチナゴールドの髪と清楚な顔立ち…管制を勤めるナウシカアだ。
心なしか目が赤い。頬もちょっと赤みを帯びている。
「あの…手…」
ナウシカアの言葉に視線をその手に向ける。
「あ、ゴ、ゴメン!」
慌てて彼女の手を離す。バツの悪そうなハサウェイを察したか、ナウシカアは何か話題をと考えをめぐらす。
自分を気遣うナウシカアが、少し可哀想に見えてしまった。
「僕は…どれくらい眠ってた?」
「2時間半くらいです…と…2時間40分くらい…ですか」
ナウシカアらしい答えだ。
「ナウシカア…事態の把握が僕にはさっぱりだ、教えてもらえないかな?」
促され、ナウシカアは報告をメモしたノートの写しを手に取り、まだ正式なものではないという確認の上で伝えた。
重傷者こそ出たが、ジェガン隊に死者は出ていない事。
サイコミュ兵器使用による精神的負荷のためにハサウェイは昏倒した事。
ビックスとウェッジが、オデュッセウスを回収し、彼を医務室へと運んだ事…。
「助けたヤツラに、助けられちゃったな」
力無くハサウェイは微笑んだ。
分かっているのだ。
ナウシカアが敢えて伝えたがらない事があることを…。
しばらく白い部屋に沈黙が続いた。時折風に揺れるカーテンが、何故か物悲しく見える。
「ナウシカア…外壁で防御にあたった兵達は…?」
沈黙を破ったのはハサウェイだった。自分の迂闊さが招いた結果だ。当然それを知る義務がある。
「貴方のせいじゃないからっ!!!貴方は…全力でやったわ!」
ハサウェイの考えていることは、ナウシカアにはよく分かった。強過ぎる責任感は、時に自らを苦しめる鎖となる。
目を強く閉じた。一呼吸置き、ナウシカアは途切れそうな声で伝えた…。
「砲座の要員は5名を除いて…全員……」
ギュッっとシーツを強く握り締める。食いしばった歯がギリリと音を立てた。
「ハサウェイ…少尉……私、これで退室しますね…
枕の横に掛かってるブザー、御用があったら鳴らして下さい…。看護員、来ますから」
察したナウシカアが席を立つ。
ありがとう。というハサウェイの声を肩越しに、そっと会釈するとパタンとドアを閉じた。
一人になったハサウェイ――。涙が、一筋、二筋と流れた……。
第9話上
明くる日の昼下がり――。
施設の一角、機材と資料が溢れる無機質な一室は、似つかわしくもない食欲をそそる香りに満ちていた。
「うぅ〜〜ん…デリシャス!やはり酢豚は広東店(カントンテン)に限るねぇ!そうは思わんかねサリー君!」
ペチャクチャと、およそ上品とは言えない食べ方で酢豚を貪るローズマリーの姿があった。
同席するのは助手のサリー。見た目は20代後半か?
黒いワンレンにべっ甲縁メガネ――美人だがお茶に誘ってもそうそう快い返事など貰えないだろう…そんな印象の女性だ。
カチャリと2皿目を置いたところで、ローズマリーはリモコンを操作した。
映し出されるのは先日の戦闘記録。解析結果であろうか?彼の操作で何やらデータが映像に重なる。
チンクエ機をあしらうオデュッセウスの記録である。
「ほらココ…大したものだ」
デプリを利用したチンクエの”即席クレイモア”を回避するオデュッセウスの軌道――。
そして同時にチンクエの不意打ちを防ぎきる反応動作。
「NT適正とはね、結局は杓子定規な定義に過ぎんと私は考えるよ。」
ズズリと食後のお茶をすするとローズマリーは続ける。
「目安としては機能するがね…本当にハサウェイ君は典型的なパターンだ。
真に必要な時――戦闘時においてその能力が発揮されている。」
「サイコミュによるNTとしての空間認識能力の拡大、第六感的感覚の鋭敏化…。
見たまえ、テストケースとの比較を、まるであのアムロ・レイを彷彿させるものではないかね?」
ローズマリーの声は弾んでいる。まるで新しいオモチャを自慢する子供のようだ。
「博士、それは過剰評価です…平時におけるデータとの相対値としてのNT能力の向上は確かに興味深いものですが…」
サリーが手元のリモコンを操作する。伝説的英雄のデータが比較対象として映し出される。
「ですが絶対値としての比較では、NTとしてのハサウェイ・ノアはアムロ・レイと比喩するには価しません
…無論、データ採取の状況・サイコミュの性能差・実戦経験など、加味しなければならない要素は多いですが
客観的視点においてハサウェイ・ノアの評価は”NTとしての素質”がある…に止めるべきでしょう
極めて完成度の高かった強化人間、ギュネイ・ガスが”格下”とあしらわれるほどのNT、アムロ・レイはやはり別格として扱うべきです」
淡々とサリーは上司の言葉を否定した。
キャハハとローズマリーは笑うと、彼女のアムロ贔屓をからかった。
第9話中
「事実を申し上げただけです」
目を合わせようともせずに言い切った…。美人の部下にないがしろにされる自分も悪くない。
むしろそれが、研究生活の中でなかなかのスパイスとなっている。
ゆえにローズマリーはサリーのみを助手として常に同伴させているのだ。
「よろしい…少々認識に差異こそあるが…ハサウェイ君に対し一定の評価を与えている点では、私達の認識は一致しているな」
「次のフェイズ〜」
モニターに映し出されたのはアルゴス・システムの解析データである。
「ハサウェイ君の脳波パターン…そう、この部分…音声データによると、毒ガス散布部隊への…怒りをあらわにした時だ」
「敵意の発露、明確な攻撃意思ですね」
サリーが記録してゆく。
「そう…まさにその通りだ……もう一つ重要なのはこの点…悲しみかな?失望かな?
とにかくある種のマイナスの感情…このケースの状況を考えると…絶望か…
まさに怒りという感情の酸化現象を爆発的に高める酸素の役割を果たしているものと私は見ている。」
「博士にしては珍しく推察でモノをおっしゃいますね」
面白そうにサリーはクスリと笑った。
「ですが同感です。だからこそ、ハサウェイ・ノアのレベルでもアルゴス・システムは起動した…。私もそう推察します」
美貌がそう見せるのか?その声は酷薄に響いた。
「さぁ、いよいよ本題……わざわざ営業までして得たこの機会だ。存分に検証していこうではないか…”パイナップルの分量”を」
マザーファンネルの軌跡からその展開、チャイルドファンネルの射出から”仕上げ”に至るまでのデータがモニターを賑わせる。
「マザーファンネルの軌跡を見る限り…ハサウェイ君のサイコミュ兵器操作能力は…期待できるものである…と、私は思う
これほどの遠距離から的確に攻撃ポイントへ飛ばし、”狂乱索餌”状態にありながらも的に当てるとは…正直……予想してなかったよ」
「同感です…マザーファンネル、及びチャイルドファンネルは互いの情報を完全にリンクさせることでキリングゾーンの形成、
及びイレースを行います…基礎アルゴリズムとの連携で、使用者のNT能力に依存しない正確性を持った攻撃パターンを生み出せます…
理論的には、まさに理想的なシステムですが……
サイコミュからのオーバーバッファはパイロットの精神状態に影響を与え、ファンネルコントロールに大きく影響を与えます」
「そう…情報の共有とは、同時に情報の混乱という危険を伴う…ターゲットを捕捉したときの情報の伝播がスムースに行かなければ
当然行動パターンの演算に支障が生まれる…掻い摘んで言えば暴走する…これが第1の課題”狂乱索餌”…
さらに各々のファンネルがサイコミュ増振器となって…パイロットへ過剰な情報の還元を行う…これが第2の課題…オーバーバッファ」
第9話下(保守age)
「今回問題となったのはまさに第2の課題ですね」
「いかにも…第1の課題”狂乱索餌”については現時点では概ね良し…
ハサウェイ君のレベルでここまで制御できるのであれば問題ない…元々、”チャイルドファンネルはコントロールなど必要ない”のだから」
「同意します…マザーファンネルでチャイルドファンネルの行動範囲さえ定義すれば、あとはたとえ”狂乱索餌”が起きようが問題ないです…
1つのターゲットに対し複数のチャイルドファンネルが攻撃行動を起こすという点は、ターゲットの完全破壊を目的としている以上、
かえって好都合です」
「20基というマザーの数には、私にも躊躇があった…だがね…仕事は手早く、正確に行うべきだと判断した」
「素晴らしいことです」
ニコリとサリーが笑った。まるで子供の教育方針を論じる祖父と母親のような和やかさである。
「オーバーバッファに関しては、ファンネル間の共振レベルを下げることで対処する以外はなさそうだな…
サイコミュを通じて周囲の思念を吸い上げ…パイロットへフィードバックする…
どの道パイロットには多かれ少なかれ負荷はあるが…ハサウェイ君のレベルで壊れかけるようでは困る」
「ごもっともです。強化人間の技術開発は大きく進みました…とはいえ、やはり”感じすぎる”傾向は否めません」
「使う度にパイロットが壊れる…それではコスト的に採算が取れん…兵器も強化人間も、NTも変わらんよ…大切に扱いたいものだ」
「提供された各研究所の”失敗作”は使い潰してしまいました…ハサウェイ・ノア…彼にはがんばってもらわねばなりません」
兵器も人間も、彼らには同じものなのか――黒い認識が2人の間で一致した。
ズズズゥーッと、冷めたお茶を飲み干すとローズマリーは目を細めた。
「重篤な事態にならなかったのは正に僥倖…ハサウェイ君の回復を待ち、次の試験をせねばな…」
魔神の名を冠する兵器を育てる悪魔は、2人顔を合わせると破顔した。
第10話上
オルレアン特区4バンチ…複数のコロニーから成るオルレアン特区の中心的コロニーの一つである。
賑やかな都心部の中、特徴的な建造物は異様な雰囲気に包まれていた。
「なんか客層スゲーな」
「なんかライブだとよ」
「ヘビメタ?」
「若いヤツラの趣味はわからんねぇ」
入場を待つ長蛇の列を、仕事帰りのサラリーマンが怪訝そうにチラ見する。
開演時間が近づき、門が開くとファン達は殺到した。
爆音のようなドラムとベース、ギターが織り成す重低音がドームを揺るがす。
歓声を上げるファン達の事など眼中に無いのか…虚ろな瞳でステージに立つ男…。
怪物の胎動を思わせる旋律は更に勢いを増し、男の身体は徐々に痙攣を始める。
そして――。
胎動が止み、男は強張った身体をマイクスタンドに巻きつけていた。声援が――止んだ。
――そして、地獄の門を開くかのような絶叫と共に、爆音は再開された。
再び巻き上がるファンのそれは、歓声か絶叫かつかない。狂乱の宴が幕を開けた。
メタルバンドと呼ぶ者がいる。ヴィジュアル系バンドともてはやす者がいる。
しかし、正確に彼らを形容するジャンルは浮かび上がらない。
ライブでのパフォーマンスの激しさのため、その身体には生傷が絶えない。
会場の上から飛び降り、骨にヒビを入れながらもライブを続行した時もあった。
某コロニーの地上波でライブが流された時はそのあまりの過激さに、地上波からはその後オファーが来なくなった。
破滅へ突き進むかのようなその軌跡はある種のカリスマとなって熱狂的ファンを生み出し惹きつけて止まない。
自分で何を叫んでいるかすら分からない。感動と興奮が全感覚を支配していた。
狂騒の中にクェス・パラヤはいた。
第10話中
汗だくなったクェスたちが会場を出ると、既に時計は22時を過ぎていた。
「超感動だったよね!」
興奮冷めやらぬミサカが抱きついてくる。
「ちょっと、苦しいよミサカぁ」
抗議するクェスとミサカのじゃれあいを楽しそうに眺めるマリアンとケイ。
「オリジナルTシャツ買ったけどさぁ、サイズ合うかなぁ?」
にやつきながらクェスを見るミサカ。
「良いよねぇ、クェスは胸ちっちゃくて――サイズの心配ないんだもん」
ポンポンとはたかれ、クェスのこめかみに青筋がうっすらと浮かぶ。
「コラコラ、ミサカ〜、あんまりからかうと噛みつかれちゃうよ」
全くたしなめる気もないマリアンの声。
「彼氏いるんだろー?揉ませろ揉ませろ!ちょっとくらいは大きくなるかもよ〜」
――ミサカ…ライブで私がご機嫌じゃなかったら殺す!
「アレは彼氏じゃないよ、ただのルームメイト!やらしい勘ぐりしないでよね」
「え?アレって誰?誰もハサウェイだなんて言ってないよ?」
――うっ。
耳まで赤くなるクェス。
「ほらほら3人とも…はしゃぎ過ぎよ」
かしましい3人をまとめるのは、最年長のケイの役目だ。
「ホテルのレストランは閉まってるし…適当な店探しましょうか」
――助かった。どうもコイツらにはオモチャにされっぱなしだ…。ハサウェイ…覚えてなさいよ…!
ムチャな論理で怒りの矛先をルームメイトに向けるクェスであった。
騒がしい4人の姿にチラチラと視線を向けながら通行人が行き交う。
そんな中、足を止めクェスを注視する女がいた。
長身のグラマスな身体をスーツに包んだブロンドは、モデル張りの美貌である。
歳は30半ばを過ぎているか――。が、それがかえって女の色香を艶のあるものにしている。
「知り合いかい?」
連れの男が尋ねる。歳は彼女と同じくらいに見える。
少しウェーブのかかった栗色の髪、整った顔立ちのようだが、サングラスで素顔は知れない。
「そうね…昔の部下で…恋敵だったわね」
自嘲とも懐かしさとも取れる微笑を浮かべると、男に視線を移す。
「貴方にとっても”元知り合い”よ…ホワイト」
僕にとっても?と、怪訝そうなホワイトに微笑むと携帯を取り出し何やら指示を出す。
「私よ、お使いを頼みたいの…仕入れて欲しいものは――」
第10話下(保守age)
20時間後――。
「遅い!」
コリントス・コロニー――”アナハイム”に降り立ったクェスは苛立っていた。
冷やかすミサカのスネを蹴ること3回、到着後30分を過ぎてもルームメイトは姿を見せない。
「じゃあ、私達これで帰るね、また今度騒ごうね!」
この様子では、たとえ彼氏が迎えに来たところで痴話喧嘩勃発――巻き添えを喰らい兼ねない……。
そう判断してか、3人の友人はターミナルを後にした。
引き攣った笑顔で彼女達を見送ると、チラッと脇を見た。来る時よりも更に質量を増大させた荷物がどっしりと横たわっている。
「携帯にも出ない…アイツゥ〜〜、私を何だと思ってんのよぉ」
唇を尖らせながら、ずるずると荷物を引きずりタクシーに乗り込む。
どんな文句を言ってやるか考えながら家の門をくぐった時には、もう陽も暮れ始めていた。
鍵は開いている。そのくせ、お帰りの声は無い――。
「休日だからって寝っ放し?弛んでるなァー」
文句を言いながらも何か寂しい。1週間ぶりなのに…。
何故か沈んでしまった顔を、無理矢理怒った顔にしてノックも無しにドアを開ける。
――?
西日が差し込む薄闇――ベッドの上、半身を起こしたまま放心しているハサウェイがいた。
「あぁ…クェス……おかえり」
「ハサウェイ…?あなた……??」
西日が作り出す強い陰影のせいだと思いたかった。酷くやつれた顔を見て、クェスは絶句した。
君の元にも、殺戮の天使が訪れよう
第11話上
「ハサウェイ?ハサウェイ!?」
只事ではないと、驚きの内に駆け寄り彼の肩を揺さぶるクェス。
これは夢だ――。自分は帰りのシャトルの中でうたた寝しているのだ。この光景は悪い夢だ――。
そう思いたかった。
だが、触れた感触は確かに現実だ。
自分を映す虚ろな瞳は、確かに現実なのだ。
「何があったの…?ねぇ、何があったのよ…ハサウェイ…」
へたり込みそうになった彼女の腰を、ハサウェイの腕が抱いた。
ビクリと一瞬身体を強張らせたクェスだったが、”そういう意味”ではなかったらしい。
ハサウェイは泣いていた。
子供のように――。
どうすべきかクェスにはよく分からなかった。身体が熱っぽく、鼓動は落ち着きを取り戻さない。
潤んだ瞳が胸元で震えているハサウェイを映す…。
まとまらない思考のまま、ただ…ぎこちない手つきで彼の頭を撫でていた――。
クェスが戸惑いから幾ばくの平静を取り戻した時には、ハサウェイの嗚咽は寝息に変わっていた。
陽は沈み、闇の中静かに時が流れる。
寝静まったハサウェイに膝枕をするクェスであったが、
この手の場面でよくある、”聖母のような”だの”母親のような”といった形容は似合わなかった。
「私ね…インドにいた頃、皆とはぐれちゃって……あの時も…夕方だったなぁ…」
子守唄を歌うかのように、ポツリポツリとクェスは独り語り始めた。
「猫がいたのよ…小さな子猫……迷子の私が、迷子の子猫を見つけて…」
そっと、ハサウェイの涙の痕をぬぐってやる。
「あの時もやっぱり、こんな風にそのコを撫でてあげてたなぁ……」
険の取れた声は透き通っていたが、それゆえに何処か物悲しかった。
そっと抱くように膝元のハサウェイにもたれ掛かる。
あの頃迷子になった少女は、果たして家に帰れたのだろうか?
静寂の闇の中に少女の意識は溶け込んでいった。
第11話中
差し込んだ朝陽で目覚めたクェスは、”抱き枕”に絶句した。
混乱した頭で、何とか帰宅してからの経緯を反芻すること数十秒――。
”何事も無かった!”と、状況把握を終えた彼女は、
”抱き枕”を起こさぬよう、ぎこちない動作ながらも静かに部屋を後にした。
キッチンに向かうと、冷蔵庫からおもむろに卵とベーコンを取り出す。
「ったく世話焼けるわねぇ、何でこの私がご飯なんか作らないといけないのよ」
誰に聞かせるわけでもなく言ってみる――が、聞こえていたら彼女を止めたであろう。
フライパンを発見すると、そのまま火に掛けるとベーコンを並べ、卵をグシャリと割ってみた。
豊富なカルシウムをトッピングされた卵が、まだプルンとした透明感を有しているうちに、
ベーコンは既に己の油を出し切り干乾び始めている。
「あれ?火が通らない?おかしいなぁー」
フライ返しでガリガリとベーコンごと卵をめくりあげ、華麗に卵返し――など出来るはずもなく、
惨殺された卵黄がフライパンを黄色く染めるやいなや、狐色となる。
が、これでは狐というより烏色だろう。
煙がかったキッチンにハサウェイがやってきたのはそれから10分ほどしてからのことだ。
「あ、おはよう」
得意げな声で振り合えるクェスを見て全てを把握したハサウェイは、挨拶を返しつつ換気扇を回す。
換気扇のヒモを、もう少し長くした方が良さそうだ。
食卓に安置された、食材の亡骸にチラリと目をやる彼だが、昨夜の事もあり何も突っ込む気になれない。
一週間ろくに眠れない日が続いていたハサウェイにとっては、昨夜のクェスはまさに安らぎを与える天使だった。
その天使は、今や食卓の死神でしかないが……。
第11話下(保守age)
「別にハサウェイに食べさせたくて作ったワケじゃないからね、
アンタがいつまで経っても起きてこないから、代わりに作ってやっただけだから」
照れ隠しがヘタなクェスだが、先の戦闘で疲弊したハサウェイには、只々嬉しかった。
しかし舌と胃腸には甚だ苛烈なものだ。
炭化したベーコンに”卵だったもの”を絡め頬張ると、牛乳で何とか流し込む。
賞味期限ギリギリの牛乳がこれほどありがたく、美味く思えたことは無い。
試練を終え、TVを見ているクェスの横顔を眺める。
――この横顔を曇らせたくない……。だから僕は戦ったんだ…。悔やみ続けるワケにはいかない…。
――僕にはクェスがいて、クェスは僕に微笑んでくれる。
――それだけで良い…この幸せを、失わないためにもしっかりしないと……。
半ば廃人だった昨日までの自分が嘘のようで、身体に生気が蘇っているのを感じる。
「っ、なによ?ジロジロと」
「いや、クェスが元気で良かったなぁってね」
「そんな事言うならあんまり心配かけないでよね、昨日はマジでビックリし――た」
と、急に赤くなったクェスは言いかけた台詞を飲み込むと視線をTVに逃がす。
「ああ、悪かったよ昨日は…でも、もう大丈夫さ」
その様子が可愛らしくて、ついクスクスと笑いながらハサウェイは答え席を立つ。
「そろそろ支度するよ、給料泥棒になりたくないからね」
「えーっ?休んじゃいなよ、顔色良くないし…倒れて看病なんて、私ヤダよ?」
立ち上がった瞬間の眩暈を気取られぬよう振舞ったが、やはりクェスには心配らしい。
その言葉に甘えたい気もしなくも無いが、そうも言っていられない。
「大丈夫さ、膝枕の寝心地、良かったしね」
飛んできたタオルをかわしてキッチンを後にする。
身支度を整え、ハサウェイ・ノアは一週間ぶりの施設へと足を向けた。
保守あげ。
保守。感想も書かずに言うのもなんだが、続きに期待してるんだぜ……
保守上げ
仕事の方が修羅場ってて更新滞っていた…スマソ_| ̄|○
第12話上
施設のガードに身分証を提示すると、ゲートは重々しい音と共に開かれた。
白い外壁が木々の緑とコントラストを織り成す。機能性のみを形にするとこうも無機質な構造体となるのか―。
深緑の美しさが、それをより強調している。
一区画離れたハンガーからは相変わらずの重々しい重機の音が響き、整然としたこの施設にもオイルの臭いを届けている。
何もかも変わらないが、何もかもが変わっている。見る者の心一つで景観など如何様にも受け取れてしまうのだろう。
慣れたはずの順路が、やけに不案内で落ち着かない。
――嫌な所だ。顔をしかめ、一呼吸すると意を決してハサウェイはゲートをくぐった。
部外者のようにおぼつかない足取りのハサウェイを最初に出迎えたのは、意外にもローズマリーであった。
いつものノロノロとした足取りではあったが、顔は上機嫌そのものである。
「復帰感謝するよ、ハサウェイ君…もう出てきてくれないかと思って…心配していたよ」
ガシリと肩を掴んで迎えてくれた”上官”だが、その言葉が本意なのか皮肉なのか掴み所がなかった。
「自分は軍人です…いつまでも…うな垂れていては死んでいった者達に申し訳ないです」
と言いながらも、その三歩後ろに控えて佇む女性と上官との奇妙な組み合わせに首を傾げた。
黒いワンレンのメガネ美人もこの男には似合わなかったが、
清楚純真を絵に描いたようなナウシカアの可憐さと、掴み所のないこの男の不快さは実に奇妙な組み合わせだ。
「少尉…おはようございます」
可憐な花がほころぶ。
「サリー女史の代わりに、戻るまで私が主任の補佐を兼任することになったのです」
主任――ローズマリーに見えないよう、可愛く唇を尖らせるナウシカア。
「代わりに?」
「なぁ〜に…ちょっとお使いをね…頼んだのだよ…鳥籠等の納品と、パーツの仕入れにね…」
ローズマリーの言葉は相変わらずだ。リアクションに困る言葉で煙に巻く態度は変わらない。
「ローズマリー主任、本日の任務についてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「説明はナウシカア君に任せている…”つのる話”もあるだろうし、昼過ぎまでゆっくり聞くと良い…」
ハサウェイに興味など失せたかのように、白衣の足は既に研究室へと向かっていた。
アルゴスの件を問い詰めたかったハサウェイであったが機を逸した。
軍人は軍人らしく、任務遂行に当たるしかないか――。
「おはようナウシカア、心配かけたね」
「皆喜びますよ、ビックスもウェッジも、ここ一週間しょんぼりしてましたから…
復帰祝いと言ってはケチですが、コーヒーでもいかがですか?たまにはリラックスしたミーティングも、良いと思うんです」
第12話下(保守age)
ナウシカアに促され施設内のカフェへ入る。
何かとストレスの多い環境の中、施設の管理局も職員への最低限の配慮は見せているようだ。
冷たいコンクリート建築内で、木製のテーブルが並ぶこの一角だけは温かみを感じさせている。
「…で、この図面の…と…あ、こっちの図面の通りの配置で展開して頂いて――」
数枚の書面をテーブルに広げながらのナウシカアによるブリーフィングは、丁寧ではあったがチグハグさは否めなかった。
オペレーターとしての有能さとのギャップが微笑ましい。
”スクランブルには向いていない”と断言されているのも頷ける話だと内心苦笑する。
「…と…以上です!…分かって頂けましたでしょうか?」
メールでのやり取りなら、語尾に汗とでも付していそうな自信の無さだが、
サリー女史の淡々とした事務的かつ簡略なそれよりは遥かに受け取りやすい。
「十分だよ、サリーさんなら『今日のセッションの流れは書面の通りです、分からないことが”あれば”聞いて下さい』で済ませちゃうからね」
「そうなんですか?」
「あの無言のプレッシャーは強烈」
どうしようもないからと、ジェスチャー交じりでおどけてみせた。
なるほど、とガトーショコラを崩して口に運ぶナウシカア。その仕草は、好物を頬張る時の子供のそれに似ている。
オペレーターなどやるより、ニュースキャスターとしてやっていった方が明らかに様になる容姿である。
自分の作ったケーキで美少女がこんな愛らしい仕草をしていると知れば、
作ったバイトも今日の分のバイト代は返上しても構わないと言い出すかもしれない。
ひとしきり与太話に花を咲かせる二人――正確にはハサウェイへ、やっかみと嫉妬混じりの視線が集まる。
近寄りがたいトゲだらけのサリーと口をきく機会がある男性はローズマリーを除けばハサウェイだけであるし、
朗らかなナウシカアが明らかな好意を見せるのもハサウェイだけである。
独り者の同性職員が抱くハサウェイへの感情は微妙なものだが、当の本人は我関せずを保っている。
――そういえば、チェーミンはどうしてるかな?
地球に残してきた妹の事がふとハサウェイの頭をよぎった。
精神的に疲れた時、人は温もりを求めて家族や友人などの事を気にかけるらしい。
――今の僕もそうなのかもな。
目の前のナウシカアに、妹を重ねている自分に気付いて苦笑した。
2時間もすれば実戦さながらにオデュッセウスの試験が行われる―そんな事など忘れさせるかのように穏やかな一時が流れる。
が、不意にナウシカアの顔が曇った。
「?…どうしたの?」
「少尉…無理してる」
冷めたコーヒーを軽く揺らす。和やかだった空気が、別れ話を切り出すタイミングに悩むカップルのように気不味いものへと変わってゆく。
「無理?僕がかい?」
居心地の悪さを感じて尋ねたハサウェイだが、その顔を悲しげな青い瞳が映した。
「だって少尉…今朝お会いしてから、まだ”一度も笑ってない”じゃないですか……」
意外な言葉に眉をひそめ、窓ガラスに映る自分を見てみた。
さっきまで笑い、おどけて、今はこうして困り顔をしている。そのつもりだったのに、ガラスには彫刻のように堅い無表情が映っていた。
保守上げ。
ハサ……(ノД`)
貧乏暇無しとはとは言ったもので、時間取れなくてスマソ…
13話(上)
白を基調とした施設が、機能美を重視した無機質さがもたらすある種の冷たさを有しているのに対し、
絶え間無く響く重機のハーモニーとめまぐるしく動き回る整備員、研究者達が織り成す喧騒でここハンガーは生命力に溢れている。
重力の働く三番ハンガーを抜け、コロニー内壁と外壁を分かつ二番ハンガーを抜けた先はカタパルトへと続く一番ハンガー。
3機のMSはすでにジェネレーターに火が入り、出撃の時を待っていた。
2機はジェガン、1機はオデュッセウスである。
ハサウェイの復帰を喜び合う暇もなく、ビックスはコクピットに押し込められていた。
「自分が時間潰し過ぎたせいのくせ冷てーよなぁ、俺達だってハサウェイといちゃつきたいのにさぁ」
「ウェッジ、文句言ってるとまたお姫様にどやされるぞ?」
「誰がお姫様ですか」
モニターの顔がむくれている…ここは反論しない方が良さそうだ。素直に相槌を打ちながら頭を掻く。
とはいえ、病み上がりのハサウェイを攻めるのは悪趣味としか言いようがなかった。大丈夫か?まだ一言も言葉を交わしていないハサウェイに声をかける。
「病み上がりだって加減はしねーからな」
「良いのか?惨敗した時の予防線、自分から撤去しちゃって?」
思いのほか元気な声に安心した。が、
「言うなぁハサウェイ、じゃあ俺お前にジュース一本賭ける」
相棒の声にはずっこけた。
「ウェッジ!テメーも俺のチームだろうっ」
「ウェッジ!ビックス!ふざけすぎです!私語は慎んで下さい、任務中ですよ!」
「チャラけたのはウェッジだけだろ?何で俺まで…」
「貴方達は二人で1セットだから良いんです」
言い切られた。
――しかしまぁ元気になってくれて良かった…ハサウェイが引き篭もって以来暗かったからなぁ、お姫様のしょげた顔は見てて辛い。
「?…何ニヤついているんですか?」
ムッとした顔も可愛いと思う。これをスルーするんだから、アイツの朴念仁ぶりも大したものだ。
と、らしくなく他人に嫉妬を感じている自分に気付き軽く頭を小突いた。
あの戦闘の後、まだ足取りが危なっかしいハサウェイを気遣って家まで同伴したのはナウシカアだけではなく自分とウェッジも一緒だった。
能天気がハサウェイの活躍を話題にしたことが仇となって被害の実態まで話すハメになってしまい、
何でそこまで話す必要があったのかと、ナウシカアには引っ叩かれた上に泣きそうな顔で責められ、おかげで休日誘うつもりだった映画のチケットはゴミ箱行きだ。
発進灯に促され、オデュッセウスが星屑またたく闇へと消える。
「全く…気にし過ぎるヤツに限って知らなくても良い事まで聞きたがる…俺達の死を数字でしか扱わない上やマスコミに、その無駄な責任感はくれてやれよ」
そのテールビールへやり切れなく呟いた。
13話(中)
目立ったデプリもない真空の空間――交戦ポイントAで制動をかけ”敵機”を待つ。
両腕へのシールド追加に伴ってアライメントの再設定がされたが問題はないらしい。
――機械は良いよ、調整すれば誤差の範囲に留まる…ならお前はどうだ?ハサウェイ・ノア。
星がまたたいた――二つ。有視界戦闘とはいえ2機のジェガンはまだ点にしか見えない。
だが視覚以外の何かが「狙える」と判断させた。
「早くも”ウェッジ”、退場か?」
セーフティーを解除――胸のつかえを振り払うようにトリガーを引く。
出力調整されたとはいえ、その弾速に衰えは無い。
「のわぁ!?」
コンマ数秒の差で狙撃に気付けたのは生来の勘の良さだった。
正確な射撃は身を翻したウェッジ機の頭部を掠めるに留まったが、思わずゾッとするような衝撃をコクピット内に伝えていた。
「ほんとにシミュレーション用か?死んじまうぞ!?」
「パニくるな!お前の悪い癖だぞソレ!」
肝っ玉の小さい相棒に呆れながらもビックスはハサウェイのいる方角を見定めた。
「ウェッジ、散開だ!射撃戦は不利だ」
「仕切るなよぉもお!」
二手に別れ挟撃すべくバーニアを噴かす。加速力だけならばこちらに分があるはずだ――。
ハサウェイも動いた。二人のコンビネーションを受けて立つほどお人好しではない。
放たれたミサイルたちを潜り抜け標的をビックスに絞る。
「すぐ前に出るのは悪い癖だな!」
右腕を振り上げると同時に内蔵されたサーベルが眩い光刃を形成する。
ビックスも素早くマウントされたサーベルを抜く。
「そうかい!」
巨体に見合う大出力に任せた一撃を容易く受け流す。格闘戦だけならハサウェイにも引けを取るビックスではない。
左腕のシールドのサーベルでの追撃を身を屈めて避け、カウンターを叩き込んだ!
ギィン!
ウェイトの差、機体出力の差は体勢の優劣を打ち消しほぼ五分のタイミングで両者を光刃で結んだ。互いのコクピットを眩い光が焼く。
「攻めが荒いぞ!ハサウェイっ」
「関係あるかよ!」
なおも攻めようとするハサウェイだったが、ビックスが離れた。
――!?
反射的に身を翻したところをライフルの一閃が掠めた。
「ウェッジか」
舌打ちして狙撃者を見据える。だがその隙を突くようにビックスの一撃が襲い掛かる。
「注意散漫だぞ!?」
「逃げといて何をっ!」
ジェガンの実に1.5倍の巨体が押される。自分でも良く分からないが何かが違う。
状況認識がこんなにも”メンドクサイ”事なのか?オデュッセウスの動きが極端に鈍く感じる。――いや――”僕自身が遅い!?”
「くっ!」
2機をまとめて補足できるよう緊急離脱する。
「やっぱおかしいぜ?ハサウェイ!」
ダミーを撒き散らかしながらビックスが追う。計器がアラートを鳴らし始めている。
「確かにソイツはすげぇMSだよ!こっちはさっきからレッドゾーンブッこんでるのにまだまだ余裕そうじゃねぇか――でもなぁ!」
薙いだサーベルを辛うじて受け止たハサウェイだったが、そのまま受けに回るので精一杯だった。
「病人は引っ込んで休んでろ…いつものお前がこんな脆いワケねーだろう?」
「くっ!」
2機をまとめて補足できるよう緊急離脱する。
「やっぱおかしいぜ?ハサウェイ!」
ダミーを撒き散らかしながらビックスが追う。計器がアラートを鳴らし始めている。
「確かにソイツはすげぇMSだよ!こっちはさっきからレッドゾーンブッこんでるのにまだまだ余裕そうじゃねぇか――でもなぁ!」
薙いだサーベルを辛うじて受け止たハサウェイだったが、そのまま受けに回るので精一杯だった。
「病人は引っ込んで休んでろ…いつものお前がこんな脆いワケねーだろう?」
不意にビックスが離れた。予期せぬビックスの動きにハサウェイの反応が遅れた。
――!? ダミーか?
周りを漂うダミーの群れにさらに気を散らされる。
「くそっ!見えたら良いんだ…見えたら絶対に当てるんだよっ」
苛立ち紛れか?ばら撒かれた十数発のファンネルミサイルが4つのダミーを瞬時に破裂させた。
「まだ早いだろ?それは次のフェイズで使うやつだろ!?」
「そこかっ!!」
飛び出したビックスにファンネルミサイルが殺到する。
「クソッ、ルールは守れよっ!」
なんとか回避を試みるが不可視の糸で結び付けられているかのように振り切れない。
「ははっ、こりゃ無理だわ」
諦めが乾いた笑いとなった。強い衝撃がビックスを揺らし、モニターには「YOU DEAD」の表示。
「やっとか・・・」
息を切らせながらペイントまみれのジェガンを睨んだ。装甲越しに二人の視線が絡む。
「なぁ、ハサウェイ―やっぱお前しばらく休んでろ」
回線からビックスの声がする。
「大丈夫だよ、現にこうやってちゃんとファンネルだって扱える」
と――その刹那。
ガンッ!
衝撃で激しく揺さぶられる。
――っ!なんだ!!??
モニターに「YOU DEAD」の表示があざ笑うかのように赤く光っている。
「落された?」
「おいおい…俺のこと忘れ過ぎだってよぉ」
ダミーの後ろからひょこりとウェッジ機が現れていた。
「ウェッジ…お前隠れ過ぎ…でもってハサウェイ…」
チームメイトに突っ込み、大きく息を吐く。
「やっぱりハサウェイ―お前しばらく休んでろ」
「僕は――」
何か言い返したかったが言葉が浮かばなかった。不意に回線が開く。
キャハハというローズマリーのけたたましい笑い声が五月蝿い。
「ハサウェイ君〜君のアドリブ好きにも困ったものだねぇ、ファンネルミサイルはコンビニで買える花火と違って君の小遣いで買えるような代物ではないのだよ?」
「え…?あ…しまった…」
ようやく事態を把握したハサウェイにローズマリーは続ける。
「まぁ、とりあえずは本日のテストは予定外のシナリオ展開を楽しませてもらった…それはそれでまぁ良いだろう、これはこれで面白いデータだ…帰還したまえ」
こちらの返事など気にもしないのか、通信は一方的に切れ、代わりにビックスからの接触通信が耳に届く。
「気にするなよハサウェイ、病み上がりなんだしよ」
「ビックス……すまない…」
力なく答えると、施設へとバーニアを噴かした。
旧シャアってss流行んないね
保守
保守
保守
惑星フライト・・・空中に大地が浮かぶ惑星、ダークシャドウに侵攻されつつある
「此処が惑星フライトか…本当に大地が空に浮かんでら。」
SDポリスを出発後、3人はこの惑星フライトへ降り立っていた。
3人ともこの惑星に来るのは初めてで、インパルスは地面の端っこから下を眺める。
地面の下は、見渡す限りの空…下には何にもない。
『此処は空と大地しかないの…落ちたら危ないから、あまり崖に近寄らないで。』
「大丈夫だって…俺がそんなへまをする筈…うわぁ!?」
嗚呼、何と言うお約束…インパルスは足を踏み外してしまった。
彼は崖下へと転落し、この空の星となって…
「…って、俺はまだ星になってねーってーの!!!」
「ああ、インパルスが…何でこんな事に。」
「騒がしい奴だったが、つまらない奴では無かった…せめてお経ぐらいは唱えてやろう。」
「おい、勝手に殺すな!!!」
ぎりぎりで助かったインパルス、気付かずに嘆くメビウス、念仏を唱えるカブト。
見事なまでに凸凹なトリオに、ナビィは不安を感じずにはいられなかった。
『本当に…この三人で大丈夫なのかしら、不安だわ。』
作者も同意である。
とはいえ、ようやく気付いた二人がインパルスを引き上げ、助け出した。
そして、それから色々あって無駄な時間を過ごしてしまって数分後…
「えーっと、ハンカチ持った、ティッシュ持った、水筒とお弁当、おやつは三百円までで…。」
「おい、遠足に行くんじゃねぇんだから、そんなの必要ねぇだろ。」
「あっ、大丈夫ですよ、インパルスの好きなゾノの串焼きとデュートリオンキャンディーもありますから。」
「本当?わーーい……って、そうじゃなくて!!!」
メビウスの天然ボケに対し、インパルスのノリツッコミが炸裂する。
そんな二人を置いといて、カブトはナビィと話をしていた。
「それで、敵のアジトは何処にあるんだ、ナビィ?」
『えっと、此処から北東の大地・・・普通に進んで三日ぐらいの距離よ。』
この星は、中央の大大陸と無数の小島で構成されている。
彼等がいるのは、大大陸から最も離れたこの小島なのだ。
「三日!?どうしてそんなに時間も掛かる場所に不時着したんだよ!!!」
『仕方ないでしょ、この辺りしか安全に不時着出来る場所がなかったんだから。』
冒頭で言った通り、この惑星はダークシャドウの侵攻を受けている。
それによって大部分が侵略され、唯一残ったのがこの大地くらいだったのだ。
大大陸に直接向えば、敵の砲撃でカトンボの如く撃ち落されていただろう。
「兎に角、先遣隊がどうなったか調べつつ、敵のアジトに向かわないといけませんね。」
『ええ、だから早く行きましょう。』
「よっしゃ、此処から俺の伝説が始まるぜ。」
「すぐに終わらないと良いがな…。」
状況確認を終え、そんなこんなで出発する事にしたSDヒーロー達。
此処より、彼等の物語は始まろうとしていた。
「待て、此処から先には一歩も通さないぞ。」
彼等が出発しようとした時、何者かの声が聞こえてきた。
4人が声の方を振り向くと、そこには1匹の怪獣がいた。
「あっ、お前は!?」
「知っているのか、ライデン?」
「ライデンって誰ですか、カブトさん?」
またもや珍妙なアクションを取る3人組。
だが、インパルスはこの怪獣について知っているようだ。
「ほう、俺を知っているのか?」
「ああ、知ってるぜ、お前は…お前は………誰だっけ?」
その時、目の前の怪獣は思いっきりこけた。
「お、俺様はオイルドリンカー、怪獣を超えた超獣だ!!!!」
「ああ、そうそう、そんな感じの名前だったっけ。」
怪獣…もとい、超獣に言われ、インパルスはポンと手を叩く。
さて、何故彼がこの超獣の名前を知っているかと言うと…。
「こいつさ、超獣の癖に怪獣に食べられた情けないやつなんだぜ。(ウグッ)」
「そう言えば聞いた事があります、アストロモンスに食べられたんですよね。(ウグウグ)」
『それも、自分から突っ込んで食べられてるわ。(グハッ)』
「フッ、まさかこんな3流超獣が俺達の最初の相手とはな。(グアアアアアアアアアア)」
カブトにトドメをさされ、その場に崩れ去るオイルドリンカー。
まあ、事実は事実なのだから、仕方ないと言ったら仕方ない。
『因みに、オイルドリンカーはウルトラマンタロウ第1話に登場した超獣よ。』
詳細を知りたい方は、近くのレンタルビデオ店に向うべし。
間違っても、違法な方法で見るのは駄目だぞ。
「僕と君達との約束だよ。」
「……メビウス、何明後日の方向見ながら言ってるんだ?」
「くそー、俺様を馬鹿にしやがって…お前等SDヒーローを倒して、汚名挽回しちゃる!!!」
「それを言うなら、汚名返上だ…しかし、俺達と戦うというなら…。」
何やら色々あったが、兎に角戦闘開始という事になったようだ。
カブトがバックルのボタンを押す、メビウスが光線のポーズを取る、インパルスがビームライフルを構える。
全員が必殺技の構えを取ると、ジリジリとオイルドリンカーへと歩み寄る。
『ジリジリ、ジリジリ…。』
「えっ、あっ、その、ちょっと待ってくれません、大勢で一人を…。」
『ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ……。』
ぎゃあああああああああああああああああ
空と大地しかないこの星に、オイルドリンカーの悲鳴が木霊するのだった・・・。
「うう、鬼や…あんさんら鬼や………。」
『数の暴力って恐ろしいわね。(にしても、何故に関西弁?)』
数分後、そこには3人にボコボコにされたオイルドリンカーの姿があった。
しかも身包み剥がされて、逆さ張り付けにされているのだから恐ろしい。
「貴様、正直に答えろ…この星に来たSDヒーロー達は何処にいる?」
「は、はいぃ、言います、言います…確か騎士フリーダムがこの先の砦に捕まっています。」
カブトがクナイガンをちらつかせ、オイルドリンカーを脅す。
すると、超獣は騎士フリーダムに関する有力な情報を吐いた。
「騎士フリーダムが…やっぱり、先遣隊は捕まっていたんですね。」
「らしいな…他の二人はどうした、何処にいる。」
「ひぃぃ、わいはフリーダムの事しか知りまへん、ほんまですがな。」
『(だから何故に関西弁?)』
手に入った情報はフリーダムが捕まった事…後の二人は解らないらしい。
この状態から本当であろう…カブトは怯えるオイルドリンカーを放した。
「騎士フリーダムが捕まったという事は…余程の敵という事か。」
「へっ、つまりそいつを倒せば俺の強さを証明出来るってもんだぜ。」
「でも、勝てるんでしょうか、僕達が…。」
敵の強大さを知り、不安になるメビウス…だが、此処で引いてはならない。
何故なら、君達はヒーローなのだから。
『何か、無茶苦茶な理由ね。』
「そうか?これくらいなら解りやすいもんだぜ。」
「ふっ、お前の頭は単純だからな。」
「何だと!!!」
「まぁ、まぁ…抑えて抑えて。」
カブトに殴りかかろうとするインパルス、それを宥めるメビウス。
兎に角、目先の目的は囚われの騎士フリーダムを救う事に決まった。
「よし、じゃあ行くか。」
「ええ、行きましょう。」
「目指すはこの先の砦…だな。」
目的を見出した彼等は、目の前に見える道を歩き始める。
彼等の戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
「…あのー、誰か助けておくんなし〜〜〜。」
…因みに、縛られたオイルドリンカーはすっかり忘れ去られていた。
274 :
あとがき:2008/08/11(月) 17:58:23 ID:???
どうも、プロローグ以降随分と間が空いてしまいましたが、第一話です。
色々とあって書くのが遅くなりました、楽しみにしていた人すいません。
これからちょくちょく書き込むので、暇つぶし程度に読んでください。
では、次回予告
騎士フリーダムを助けるべく、敵の砦へと向ったSDヒーロー達
カブトの華麗なる攻略法で敵地に侵入した彼等は、そこで絶世の美女と出会う。
だが、それは宇宙忍者バルタンの恐るべき罠であった
次回 新ザ・グレイトバトル 1−2 強敵!? 宇宙忍者バルタンの罠
を、皆で見よう。
SS、小説と言い張りたいんなら、内容はともかくト書き台詞の羅列を止めてくれ。
固有名詞についての説明を、もっとやったほうがイイかなー。
カタカナの単語が何を指してるのか、ぜんぜん分からんぞ。
時事ネタしか書けないおいにとっては
その勢いが『妬ましい』・・・次回も期待しまつ。。。
ほすついでに次回予告
"Appendix Session:破(遥かなる地球の歌)”
年末か来年あたりから開始します。
…欝展開かも
保守アゲ
>>278 もしよければ登場人物などをちろっと教えて貰いたい
281 :
ご挨拶:2008/08/27(水) 23:17:51 ID:???
282 :
277:2008/08/28(木) 07:16:55 ID:???
>>281氏
挨拶にいってきたYO〜♪ ノシ☆
久しぶりに書いてみる
【夏休みの】健太君と新戸(にいど)おじさんのお話【自由研究】
この国で、自身のプライドを納得させる事が出来る
『仕事』に就く事に失敗した『青年』が、地政学リスクの高い地域に
自分探しの旅に出て、そのまま帰らぬ人となってしまった・・・という
悲しむべきニュースを『私』が知ったのは、酷暑日が嫌という程続いた
8月も残り僅かとなり、所謂、夏休みが本当に
終わろうとしている頃であった。
一体・・・何度、同じ過ちを繰り返せば、学習するのだろうか?
そんなんだったら、働かずに家で、ゴロゴロしていた方が
よっぽどマシなんじゃないか・・・国に迷惑もかからないし
親を悲しませる事もなかっただろうに・・・と、独り愚痴る。
>>282の続き
オリンピックが終わって、すっかり普段通りのTV欄に戻った
気だるい休日(※平日だけど毎日)の午後、ザッピングをしながら
休みなしで襲い来る不安と焦燥感を、なんとかまた誤魔化そうと
リモコンを繰っていたら、新たなニュースがまた私を虜にした。
原稿を読むだけで高給が約束されているキャスターが鼻息を荒らしていた。
『A県で、@日前から行方不明となっていた@@健太君(12歳)が
伯父の、新戸 明(にいど あきら)容疑者(38歳)の供述通り
N市の山林で遺体となって発見されました・・・』
よく考えると、ちょっぴりおかしい日本語の使い方に突っ込みを
入れる間もなく、インターネット掲示板の実況スレは
何時にも増して盛り上がっていた。
>>283の続き
『祭り』とも言うべき盛り上がり様に、違和感を感じた私は
質問してみる事にした。
===============================================================
>>@@@
なんで、こんなに盛り上がってるの?
>>@@@
4んじゃった男の子が、旧社亜板の
小学校最後の夏休みの自由研究は『一年戦争について』にします!という
スレ主だったからさ
>>@@@
夏厨ってやつ、まさか本当に8ってしまうとは・・・
>>@@@
ニート明は『 神 !!』
>>@@@
とんだゆとり教育だなw
先生も可哀想に・・・
>>@@@
ふーん・・・そうだったんだ。。。
みんなありがと納得したよノシ☆
===============================================================
こんな世の中なってしまった今では別段、珍しくもない話だが
旧社亜板という現実社会では鼻摘み者扱いの特性と、犯人の生い立ちが
所謂、(私も含め)ジェレーションZ?に何らかの共感を呼び覚ましたようだ。
それらはプチ『秋葉原無差別殺傷事件』とも言うべき(※言いすぎ)
『事件』になっていった。何故なら、数時間後には技術があっても人件費削減の煽りで
暇になってしまった香具師が創ったと思われる幾つもの『ファンタジー』が
コピペされ、あらゆる掲示板に載り出したからだ。
>>283 訂正
×キャスターが鼻息を荒らしていた。
○キャスターが鼻息を荒らしている。
>>284の続き
取分け人気を集めた『ファンタジー』はこの様なものであった。
(無駄に?腕の良い腐女子が描いたと思われる『モノ』であったのだが。)
聞くところによると、正式に削除されてしまうまでに
相当なアクセス数を誇ったらしい。正直、嫉妬してしまった。
===============================================================
初めまして・・・僕、ケンタ!小学6年生です!
(言わされてる感が出てしまった?)
もう夏休みが終わりだというのに『自由研究』が全く出来ていない・・・orz
この前の登校日に、@@先生が見るなり破り捨ててしまった自由研究
『校長先生が喜ぶ商品券について』を超えるテーマがまだ見つからない。
嗚呼!もう・・・イキナリ破るなんて酷過ぎる!
誰か手伝ってくれないと、本当に間に合いそうにないよおおっ!
お父さんは平日の真っ昼間からお酒を飲んでるし、お母さんは
『パート』と言って厚化粧をして、外で他の男の人と会ってるし・・・
こうなったら、しょうがないけど、ニート伯父さんの力を
借りる事にしよう・・・せいぜい頑張ってくれるといいんだけど・・・・
『ピンポーン♪』
ニート伯父さん今日もいるんでしょ?『ケンタ』だよ居留守使わないでよ?
『ガチャ』
誰がニート伯父さんだ!ケンタ君・・・頼むから『アキラ兄ちゃん』って
呼んでくれないかな?
じゃあこの間、貸したお金・・・返してよ
ニート伯父さんでいいっス・・・orz
ああ!もう泣かないでよ!恥ずかしいなぁ・・・それよりも今日は
伯父さんに手伝って欲しい事があるんだ・・・ほらほら鼻水拭いて!
ズズズ・・・何?
あのさ・・・夏休みの自由研究についてなんだけど実はまだ
ぜんぜんやってないんだ。。。
===============================================================
ニート伯父さん情けねー!!
そう思いつつ、本当に心の底から笑えない現実に
私は改めて打ちのめされていた。
(今週分?・・・おわり 本当に続けても良いのだろうか・・・?
需要があるとは思えないが。。。)
>>280 基本プロットと盛り込みたいシーンがあるだけで、はっきりしたことはいえないけど。
@ディー・トリエルがヒロイン、ウラキが主人公なのは変わらず
Aガトー、シーマといった83メンバーの影は薄くなる
Bシグ・ウェドナーがウラキの副官になる(赤毛で名前がジークフリートだからw)んで、モノアイも多めに
Cシャア・アムロが美味しい所とってく。特にシャアは流行を取り入れて…
D00の面々も出す、つか出したい
>>286 280の者ですありがとうございます。
個人的にはシグの参戦が嬉しい!
ゆっくりと待っております。
>>285の(ファンタジー)続き
ハァハァ・・・ケンタ君・・・お兄ちゃんの言ったとおりにやってみな?
こ、こう?あっ!?これ、なんだか気持ちイイ
ハァハァ・・・ケンタ君・・・これが、そう・・・『合体』だよ。
ね、ねえ?・・・これ、動かしてもいいの?
ハァハァ・・・ケンタ君・・・焦らないでね最初はゆっくり・・・
わ、判った・・・じゃあ、動かしてみるね・・・
ハァハァ・・・ケンタ君・・・ああ、上手だよ・・・上手・・・
・・・って!暑いよ、この部屋!!ゲームの世界では
『合体』が可能な『ロボット』まで開発して、量産出来るようになっても
遊んでいるプレイヤーの空調設備が、未だに『扇風機』のままだなんて
ちゃんちゃら可笑しいよ!!ねえ、おじさん?もう、本当にいい大人なんだから
せめて『エアコン』ぐらい自分で買って付けようよ!!
おじさん・・・ニートだから、贅沢できないんだ(泣)
ああ〜〜!!もう!!イライラするぅうう!!だから泣かないでよ!
余計に暑苦しくなるじゃんか!!
・・・ごめん。
じゃあ・・・気を取り直して・・・
僕が建てたスレの、住人の助言通りに、ゲーム進めるよ?
・・うん・・・orz
本編を見るよりも、ゲームの方が時間が節約できて、より深く
理解しやすいってみんな言ってたけど、本当かなぁ?
伯父さんみてたらなんだか怪しくなってきた。
それにしても・・・みんな『 暇 』なんだね。お盆休みなんか
とっくの昔に終わったのにねw・・・おっ!またレス付いたw
返事する時間が無いよw・・・こんなんだったら、一人で『自由研究』できたかも?
・・・(´・ω・`)
まっ、古〜〜いゲームだから、この街では、おじさんぐらいしか
持っていないかもしれないけどさ。・・・じゃあ、次は『北京攻略作戦』だよね?
う・・・うん。
======================================
ニート伯父さん本当に情けねー!!
ケンタ君しっかり者!!
職人が手がけたファンタジーはここでも、少なからずの
人々を傷つけ?ながらも進む。そして、ファンタジーが進行する度に
何故、ニート伯父さんが年端も行かぬ子供を
殺さなければならなかったのかが、今の私には『痛すぎる程』よく判った。
>>288の続き
そして、ファンタジーはある結末を迎えようとしていた。
==============================================
ねえ?おじさん・・・ゲームばっかりやってないで少しは
働いたら?
・・・!!
なんなら、このゲーム・・・借金の代わりに貰って上げてもいいよ?
===================================================
辛過ぎる・・・
私はいつの間にか泣いていた。
どんなにゲームが上手くても、どんなにプラモデルを上手に組み立てれても
どんなに独創的?なアイデア(例えば、古代エジプトの象形文字のような
シルエットの戦闘機をコアとし、廃品流用パーツで合体するロボットの話とか)
・・・を持ったとしても所詮は『 無 職 』 世が世なら
『新撰組』に切り捨てられてしまう存在だ。
あまりの辛さに、私はその『ファンタジー』の続きを見るのを止めた。
(今回分 おわり 続く・・・のか?)
保守
>>290 ◆TSKBdEFA9U 氏
保守 乙です ノシ☆
>>289の続き
これも、『ファンタジー』の成せる技なのか?
私はその『記者会見』に耳を疑った。
『YOUとは違うんです。YOUとは!!』
・・・度重なる官僚の不祥事と、内閣を改造したばかりだというのに
また、新たに明るみに出てしまった某・大臣の不適切な事務経費処理問題。
そして何よりも、未だ一向に回復できないままでいる経済対策。
年金、雇用、教育、医療制度・・・この国の政治が早急に解決すべき問題は
先延ばしされたまま、放置されていた。
国民の生活を第一に考えなければならない国が、政府が
国民を棄てたのである。@@政権の支持率が
伸び悩んだままなのは、寧ろ、当然の結果であった。
『国民の生活目線で政治を改革していく』
ほんの三日前まで、彼は国民に対して熱弁を奮っていた。
だが、しかし・・・その舌の根が乾かぬうちに
イレギュラーとはいえ、聴き様によっては『庶民とは違う』といった
『特権階級意識』が感じ取れる発言を公の場でしてしまった。
凡そ、一国の最高権力者たる者が口にすべき言葉ではない。
しかも、『キレた』と各メディアが報じた様に、見苦しい程『感情的』になっていた。
彼の『国民の代表』としての『品格』も疑わしいものである事が証明されたのである。
>>291の続き
子供達の楽しい?夏休みが終わって、新学期が始まったばかりなのに
二代に渡って政治を投げ出した?この国の最高権力者の発言は
早速、某・巨大掲示板に幾つものスレを生み出す事となる。
(推奨参照スレ)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/x3/1220760785/ だが・・・ここで私が本当に言っておきたいのはそんな事ではない。
本当に憂慮すべき事は、この私を含めた、『若い世代』が
未来に失望し、閉塞感を募らせている事だ。
その証拠に、週末・・・この私が、人の目を盗んで密かに『プレイ』している
オンライン版『戦場の傷な』は何時にも増して『荒んで』いた。
文字通り、お互いに誹謗、中傷で傷つけあっていたのである。
電話回線でしか繋がっていない所詮、プログラムと何ら変わらぬ
互いに素顔も知らない、全くの見知らぬ者同士とは言うものの
以前は・・・勝ち負けを競うゲームとは言え、もっと『マターリ』していたのだが。
>>292の続き
クソ!・・・思い出すだけで腹が立ってくる。
(なんで、あいつは『特攻』ばかりするんだ!?
3倍の速さ?何ですかソレ?連携を全く無視しやがって・・・
それにいちいち、芝居がかった『台詞』を吐くんじゃねーよ・・・
『私にも見える!』とか・・・いい歳ぶっこいて『キモい』んだよ!)
回線を荒々しく切ってから、随分と時間が経つのに
私はまだ、苛立っていた。くせ毛で覆われた頭を掻き毟ると
割れた爪に毛が引っかかり、さらにストレスを増やした・・・
親指の爪はもう随分前に、歯型がついたまま、ささくれている。
『チィイイ!!』
・・・足が痛いだけなのにと判っていても、私は足元に纏わりついてくる
『緑の球体』を蹴っ飛ばさずにはいられなかった。
『ガッ!!』
案の定、涙目になり、足の指を押さえ転がる私を尻目に
その『緑の球体』は・・・昔と全く変わらず、甲高い電子音で
私に『忠告』をした。
『・・ムロ・・・ノウハ、オチテル・・・』
============================
※教訓
『無職』の人が『無能』とは限らない
(ちょっぴり不器用かもしれないけど)
(おわり)
>>293の捕捉?蛇足?(藁)
推奨:参照スレ
・・ムロの(監視)監禁日記
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/x3/1145455956/ ============================
(次回作 予告 えっ!?マジで!?)
『御用改めであるッ!!』
・・・野太いが、決して下品ではない
その意思の強さを、耳にする者に与える力強い声が辺りに響いた。
(推奨イメージ・・・大塚何某ボイス)
騒ぎを聞きつけ、奥より様子を見に来た男は
次の瞬間、絶叫した。
『ヒッ!・・・し、親衛組だぁああ!!』
その叫びは、そのまま、男のこの世で最後の言葉となった。
全身、『浅葱色』に塗られ、袖口にあたる部分に
『楔形』で白抜きされた意匠が施されている『ロボット』が
刹那に放った『鞭状の武装』によって蒸発したからである。
============================
・・・時は『公国暦末』。尊皇攘夷を掲げ、恐れ多くも
『総帥』の暗殺計画を目論む不逞の輩を
我等が『親衛組』が斬る!?
【公国異聞録】烈風! 親衛組【愚歩、大好き☆】
・・・本当に暇なんです。・・・orz
(今週号? おわり)
295 :
通常の名無しさんの3倍:2008/09/14(日) 00:43:10 ID:17I+jId5
>>295氏
覗きに行って来た
なんだか知っている人が
そこにいる気がした。
みんな頑張ってるなぁ。。。
>>291訂正
×また、新たに明るみに出てしまった某・大臣のry
○またもや、新たに明るみに出てしまった某・大臣のry
×先延ばしされたまま、放置されていた。
○延々と、先延ばしにされたまま、放置されていた。
>>294訂正
×・・・野太いが、決して下品ではない
その意思の強さを、耳にする者に与える力強い声が辺りに響いた
○・・・野太いが、決して野卑ではない
発した者の『意思』の固さを、耳にした者に感じさせる
力強い声が辺りに響いた。
==============================
【ジンクス】死神の安息日【再び・・・】
主の与えたもう『試練』は、僕(しもべ)たる子羊達にとって
多くの場合、はなただ困難ではあるけれども、決して
抱えきれぬ程のものではない。必ずや超えられるものである・・・
成長する機会を与えて下さった主に感謝しなさい・・・
懺悔に来る信者達に、ミサの度、常日頃より
『私』が語りかける神の教えの一節だ。
だが・・・この度『私』に与えられた『試練』は果たして
本当に、超えることが出来るものだろうか?
私は・・・今更ではあるが『過去のジンクス』について
再び、悩み出さずにはいられなかった。
>>297 訂正
×必ずや超えられるものである・・・
○必ずや越えられるものである・・・
×本当に、超えることが出来るものだろうか?
○本当に、越えることが出来るのだろうか?
>>297の続き
その日は朝から嫌な予感がしていた。
その予感を裏付けるかの様に、この季節にしては珍しく
深い霧が辺り一面に出ていた。
門を潜る信者達のローブはどれも皆、濡れそぼり、ただでさえ
黴臭い堂内を、より陰鬱なものにした。
貧困で喘ぐこの村に、またもや天候不良による飢饉が
襲い掛かろうとしている。
私を見つめる村人達の顔はどれも悲痛そのものである。
私は自分の無力さを呪いながら、祈りの詞を唱えた。
『・・・アーメン』
『あーめん』『あぁあめん』『・・・アーメン』
次々に村人達の祈りが木霊する。
果たして・・・この祈りは、本当に『神』に届いているのだろうか?
私は自信が持てなかった。
>>298の続き
そんな疑念を持ったままであっても、この小さな教会の
祈りの儀式は滞りなく進んで、普段と同様に私は・・・さらに小さな
懺悔室で村人達の罪の告白を聞き届け、それを神の名において
赦す役目に就いた。
本当は・・・この私こそ『悔い改め』なければならないのに。
様々な罪の告白を耳にしながら・・・私は
村人達に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
>>299の続き
突然、小さいとは云えども、神聖なる神の家に似つかわしくない
怒号と罵声が飛び交った。
『出てゆけ!』『悪魔めッ!去れッ!』『うわっ!こっちに来るなッ!』
『汚い手で触るんじゃない!』『キャーッ!く、臭いッ!!』
何事かと、罪の告白が全て終えるまで姿を見せてはならぬという
戒律を破って小部屋を出た。すると、そこには・・・辺りに
如何とも形容し難い『異臭』を放つ蓬髪の『男』が立っていた。
男の視線が私とぶつかる。嗚呼、なんて事だろう!!
かつての『命の恩人』がこんな姿になっていようとはッ!!
『ま・・・まさか、隊・・・隊長ですか?』
私は声にならない声をやっとのことで絞り出す。
驚きのあまり、掠れたといえども、この距離である。
男に私の声が届いた筈だ。
『・・・@@@@』
蓬髪の男は、何か分けの判らない言葉を発した。
その時、初めて気がついたのだが、男の鼻の部分が
大きく欠けていた。
『神父さま・・・こいつ梅毒にかかってますぜ?』
『梅毒だと!?まさか!!』
『だって・・・ほら・・・鼻が・・・』
『@@@@@@』
梅毒に侵されていると村人から弾劾された男は
再び何か言葉を発したようだが、顔の真ん中で、醜く爛れた
穴から息が漏れてしまう所為なのか、言葉を成していない。
『・・・・』
私はその哀れな男を目の前にして、人々を導くべき任に当たる
自分の・・・今の立場を呪わずにはいられなかった。
思わず目をそむけかけ、視線を男に再び慌てて戻す。
そして・・・認めなくてはならない事実をまた、確認させられた。
その男の、あるべき両の足の片方は・・・義足であった。
保守
303 :
通常の名無しさんの3倍:2008/10/19(日) 02:25:46 ID:OZghZelf
大都市に住む富める人々と.大戦争で荒野になった所に住む貧しい人々に人口爆発と戦争によって二極化した未来世界
そして、この世界の砂漠地帯に住む放浪集団流れ人。彼らが理想郷を探す物語。
流れ人に伝わる伝説によると、理想郷は自分の理想の世界像をこの世にもたらしてくれるらしい
彼らは、誰にも味方しない。理想郷のことわりにしたがって生きるのみ
理想郷に行くには、理念石と呼ばれる石に触れてなければならない。この石に触れると、自分の理想とする物や概念を具現化したイデア(超能力・気・心力とも呼ばれる)を得る。流れ人になるには、イデアを習得する事
富める社会は未来社会のイメージ。全ての大都市を一つの国が管理する。個人を全て集団としてあてはめようとする徹底した管理社会。
貧しい世界の人々は、荒野のスラムに住む。彼らの中には国に対抗する革命派の組織がある。
流れ人はどちらにも味方しない。しかし、一人の流れ人が理想郷の真実を知った時、世界は大きく動く
主人公‥ある事件がきっかけで、友をあやめた過去を持つ。昔亡き友と約束した理想郷を目指す為に流れ人になる。理想郷を目指すうちに、やがて一つの真実を知る。
304 :
通常の名無しさんの3倍:2008/10/19(日) 02:39:14 ID:OZghZelf
ヒロイン…富める管理社会の大都市に住む住民。
異質を排除する社会のやり方に疑問を持つ。
我が儘で破天荒。自分で正しくないと思った事は絶対に認めない。ある意味正義感が強い。
なんでも来いとはいっても、板と関係がないのはちょっと。
これをガンダムに置き換えろって事なんじゃねーの?
誰かに書けってこと?無茶言うなw
強襲用揚陸艦アルヴィオン艦内
次の作戦に向けて部隊編成を案じるエルフリーデ少佐、
不意に部屋の呼び鈴が鳴る、
ネグリジェ姿で扉を開ける・・と、そこには正装でバラの花束を抱えた見覚えのある男が・・
ビリー「エルフリーデ少佐! 私です! ビリー・ブレイズ少尉です!」
ビリーの行動がいささか理解できないエルフリーデ、
エルフ「何の用だ、少尉」
ビリー「少佐を、お食事に誘いたいと思いまして・・!」
エルフ「(ハァ・・・)」
重要作戦が間近に迫る時期にあって、まったく緊張感のないビリーに思わず溜息が漏れる・・
エルフ「少尉、いま世界は大きな変革期を迎えようとしている。
その事について、何か考えるような事はないのか?」
ビリー「ハイ!ないです!!」
即答するビリー
呆れ顔のエルフリーデ、
どうやら彼の頭の中には自分に対する想いしかないようだ・・エルフは理解した
エルフ「まったく・・放って置けん男だ」
ビリー「? 何です?」
エルフ「待ってろ、用意してくる」
1度部屋に戻るエルフリーデ
満開の笑みでガッツポーズをとるビリー
ビリー「や、やったぁあああああああ!!!!」
第1話 完
サラミス内部---
クレーンがMSのパーツや武装を運んでいた。
掴んでは付け掴んでは付け。
数分後機体は元の姿より二周り程大きく見えた。
「重装型でも作ってんのか?」
一人のパイロットが声を出した。
「ああ。」
もう一人のパイロットが答えた。
元となった機体はGMなのだが狙撃ライフルが肩に二丁、ロングライフルが肘から先に二丁。
ジオンの兵器をパクったと思わしき膝ミサイルが太腿の側面に二つ。
「出撃だ。」
「大事にしろよ。オシャカにしたら大目玉だぜ。」
「お前こそな」
ーーソロモン宙域
「おいおいゲルググの試運転って本番でかよ…やべえだろ いくら何でも!」
「ごちゃごちゃいうなよ。」
リックドムに次ぐ量産機体 ゲルググ。
彼等は今そのテストを始める所だった。
が…実戦がテストの場になるとしって彼等は動揺を隠せない様だ。
「ビームナギナタ以外にヒートアックスとかビームサーベルとか…ごちゃごちゃし過ぎだろ…
機体内部に収納できるのはいいけどさあ…もっとこう…」
「腕さえやられなければ結構戦えるんだ。チェックを済ませたらさっさと配備につけ。」
「わーった。ゲルググで出るぞ。」
通常装備ではゲルググには盾とビームナギナタとビームライフルが付いている。
が…今ジオンの彼が乗っているゲルググは機体内部にビームサーベルが何本も収納できる機能が
あったりした。
「9時の方角に敵影確認!ジム1機です!」
ゲルググの動きが変わった。
「ミノフスキー粒子は薄いな。行くぞ!」
ムサイのカタパルトから一機で出撃するゲルググは非常に頼りなく見えた。
「あれはジオンの新型か!?ビームライフルだと!?」
GMのパイロットは驚きを隠せなかった。
ビームライフル(以下BR)と言えば今の連邦の最強MSと言っても過言ではないガンダムの武装だった筈。
が…ジオンにそれをパクられた。
一瞬GMの動きが止まる。
「へッ、戦艦の主砲並の装備だぜえ!たっぷりとくらいな!」
勿論ハッタリであるがBRの威力を知っている人間にとっては非常に脅威であった。
「うおお!」
「ううッ」
ゲルググが左右に動いたり回転しながらBRをGMに向かって連射する。
それを何とか避けながらGMはバルカンで応戦するが機動力がまるで追いつかない。
「そらそらどうしたあ!」
遂にゲルググがGMの片腕をビームナギナタで切断する。
バチバチと火花が飛び散り残す手段はバルカンしかない。
「もう一丁!」
ゲルググがGMの頭をひしゃげさせる。
終わった。もう決着はついた。
後は捕虜とするなり止めをさすなりすればいい。
そうゲルググのパイロットが思った時だった。
コクピット内でピピ、と音がなりゲルググのBRが爆ぜた。
「何ッ!?」
BRの調整が不十分だったのか?否、ピピとはロックオンされた時の警告音だ。
つまり。
(狙撃か)
どこから来たのか。ロックオンできる距離は近い筈。
ゲルググのパイロットがロックオンに関する処理をオートに任せ作戦を練る。
ビームなのか実弾なのか。
手持ちの武装を確認してみる。
「これは何だ…?」
ヒートアックスにビーム放出機能、そしてビームサーベル内部に謎の機能がある。
そして…ゲルググの腕にも。
「腕にだけバーニアをつけてどうしろと…?」
彼は考えた。
適当に動いてはいるので相手も照準をつけ難いらしい。
岩の裏側に機体を固定して彼は作戦を立てた。
「成る程…これは使えるな。」
突如又警告音が鳴った。
「狙撃後接近…中近距離戦闘も可能か…」
遂に彼は相手の姿を捉えた。ライフルを多く装備したGM。
ゲルググがGMに向かって突撃する。
GMは待っていたかの様にロングライフルをゲルググに向けビームを発射する。
「それを待っていた!」
ゲルググの前面にビームが円状に展開されロングライフルのビームを弾いていく。
「何ッ!?」
GMのパイロットが盲点をつかれ動揺した隙をゲルググのパイロットは見逃さなかった。
「今必殺のぉぉぉぉ、ビームナギナタ流星斬りぃぃぃぃ!!」
GMのロングライフルと狙撃ライフルと両腕がスパスパと切断され、もう勝負は決したかの様に見えた。
「ちっ…だがまだまだあ!」
GMの両足からミサイルが発射される。
「ぬおお これは我がジオン軍のザク用の装備…連邦め!」
ゲルググのパイロットは焦っていた。
ナギナタのエネルギーはあるがあのミサイルを避けて相手を撃墜する余裕が自分には無い。
「まてよ…ビームサーベルの柄の中にあるあの部分は…何…爆弾だと…?」
相手にバレない様にビームサーベルの柄からそっと何かを抜き出す。
それはスイッチ式時限爆弾だった。
「全部で二つか…上等!」
バーニアを吹かしてあえて相手の横に出ようとする。
「狙っているな…いいだろう…来い。」
GMのパイロットが脚部ミサイルを放つ。
「今だあ!」
ゲルググのパイロットが爆弾を投げ起爆させる。
爆弾が爆発しミサイルが誘爆し煙によって両者の視界は完全に遮られる。
「どこだッ!?」
GMのパイロットが相手の機体を探す。
直後、ガインという音がしてGMの両足は切断された。
「脆いな…」
ゲルググのパイロットは愚痴った。
ヒートアックスが砕けたのだ。
「うううう!」
GMのパイロットは恐怖におびえていた。
達磨にされてもう何も出来ない。
後は止めを刺されるのを待つばかり。
「データ採取としては上出来だ。さあ終わろう。ぬうッ!?」
突如ゲルググの右肩に一本のビームサーベルが刺さった。
「止めを刺さなかったのが不味かったな!」
「お前先ほどのアイツか!大人しくしていれば捕虜にしてやったものを!」
ゲルググがGMから離れていく。
「この場から離脱するぞ。」
「了解。」
ピピ、とGMのコックピット内部に警告音が鳴った。
「何・・・うわああああ」
「ぎゃあああ」
鋭いビームの刃によって二機のGMは両断され四散した。
「フフフ…ビームにはこういう使い方もあるのだ!」
ヒートアックスの柄の上下に施されていたビーム噴出機能。
ゲルググのパイロットはそれを使いビームカッターの様にしてGM2機を切り裂いたのだ。
数日後
「私だ。ゲルググの準備はできているか?」
「はい。しかし右肩の部分が脆いのですがよろしいのでしょうか?」
「構わん。」
この後赤い彗星がガンダムに敗北した事を知らされたジオン軍の中には不安を抱くものは少なくなかったという。
313 :
通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 23:07:54 ID:IvmqqBFm
どこのスレ?
ロボゲ板のブルーディスティニースレ
315 :
通常の名無しさんの3倍:2008/11/15(土) 21:24:56 ID:vmGz7iQl
ゲンコツ男
昔々、あるところに河童太郎という若者がいました。
河童太郎はある日いつものようにごみ箱をあさっていると、
ゴミ袋の中から古ぼけたラジカセを見つけました。
河童太郎はそれを家に持って帰りました。
しかし、河童太郎は機械に弱いので直せませんでした。
だから、河童太郎はラジカセを直すために知り合いの
ゲンコツ太郎のところに行きました。
しかし河童太郎はゲンコツ太郎の店までの道が
分からなかったため交番で道を聞くことにしました。
「おまわりさん、僕にゲンコツ太郎の店の場所を
教えてくれませんか?」
河童太郎は自分の知っている限りの敬語を使いたずねました。
おまわりさんは言いました。
「よかろう、まずこの道を道なりのまっすぐに歩いて
突き当りに屋敷がいるから屋敷に5ドル払って
雑居ビルに入れてもらって5階に上がって
右から数えて3番目のドアに入ってその中にカギがあるから
赤色のカギの隣にある鍵を取りそのカギを使って
その部屋から出てビルを出たところから右に歩いて行って
その先のコンビニの隣に杉の木があるからそこにさっき
使った鍵を置いてその杉の木から190メートル南下して
その先にいる朱音とじゃんけんをしてグーで負け、
その後ろの木の中に箱があるのでそれをもって
木から南に30m歩くと港が見える丘公園があるから
そこのトイレに入ってさっきの箱の中から鍵と取り出して
右から数えて4番目のトイレに入って便座を外し
そこの穴から向い側の道路に出てそこから南東に
3m行ったところにゲンコツ太郎の店があります。」
>>301の続き
この地方特有の強すぎる午後の日差しが
埃っぽく、しかもあちこちが継ぎ接ぎだらけで
アンティークキルト状態であるというものの
神聖な『 白いマットのジャングル 』を照らしだす。
何ら娯楽施設をも持ち得ないこの村で、唯一の楽しみというのは
お決まりすぎて、全く口にするのも、小恥ずかしく思うのだが
かく言うこの私も含め、伝道師や教誨師達が
ミサの合間に扮して執り行なう?
『レスリング』であった。
・・・臭い『田舎芝居』と
他の街から来た者たちは腹を抱えて笑い転げるだろうが
当の本人たちは勿論
(そう思わないと、やってられないのが本音の所であるが)
村民達には存外に好評であり
職にあぶれ、やさぐれた飲んだくれや
学歴といったものには全く無縁の・・・力だけが取り柄の
荒くれ男たちは無論の事
普段から、亭主の八つ当たりの暴力に
ただ・・・怯えるだけの女たちや、子供たち
場合によっては腰を深く折り曲げた老人たちまでもが
私達が演じる『レスリング』に熱中した。
>>317の続き&訂正
×私達が演じる『レスリング』に熱中した。
○私達が演じる『レスリング』に熱狂した。
それはそれで悲しむべき現実なのだが
悩める子羊達に代わって神に祈りを捧げる・・・という
『非・生産的な仕事』を生業としている私達にとって
そんな村人達を経済的に救える筈もなく
日頃の憂さ晴らしの一役になれば・・・と謙虚に
心から願うばかりである。
この日の試合?も村人たちの野次が強烈であった。
時折、野太い男達の罵声に混じって、年端もゆかぬ
子供たちの甲高い声が耳をつく・・・
『雷帝(ライディーン)!!日照り神なんか、やっけちゃえ!!』
『らいでーん!!やっちゃえ!!やっちゃえ!!』
思わず苦笑する。
『雷帝(ライディーン)』って何だよ?私のリングネームは
『雷神(サンダース)』の筈だぞ?
・・・まぁ、額の真ん中に古代シナ国の受刑者宜しく
刺青で『 米 』とか書かれている『超人』の名前で
呼ばれるよりはましだが・・・
心中、そう愚痴りながらも予め決めている『筋書き通り』に
村人を苦しめ続けている『日照り神役』の男のマスクに手をかけた。
>>318の続き&訂正
×予め決めている『筋書き通り』に
○予め決めている『筋書き通り』に
雨雲の化身である『雷神』に扮した私は
いよいよクライマックスである。
村人たちもちゃんと心得たもので、一斉に立ち上がり
野次と声援を飛ばす。
お芝居とはいえ、こういう時は・・・告白するが、ちょっと興奮してしまう。
今回の『日照り神役』の男のマスクは中々、凝ったもので
聞くところによると、古代アステカ時代に執り行なわれたという
『生贄』の儀式に『神官』たちが頭からすっぽり被ったといわれる
『人間の生皮』をヒントに得たものらしい。
なんともまあ、血生臭い事ではあるが・・・
だが、私は太古の神官達を笑う事ができない。
きっと・・・彼らは彼らなりに真剣だったに違いない。
丁度、現在のこの私達のように・・・
だがしかしながら、結局のところ太古の神官たちの
努力?も虚しくかの文明は、滅び去ってしまうのだが。
所詮、人間は運命には抗えないのだ。
『らいでーん!!やっちゃえ!!やっちゃえ!!』
『雷帝(ライディーン)!!日照り神なんか、やっけちゃえ!!』
子供たちの甲高い声で我に返る。
不意に襲われたなんとも苦々しい気持ちを振り払うべく
慈雨を齎す化身・・・『雷神』の私は
災いを齎す『日照り神』のマスクを力いっぱい引っ剥がした。
>>319の続き
『どうだ!?まいったか!?』
『日照り神』のマスクを高々と掲げて
私は勝ち誇り、ポーズまで決めてみる。
戦いに勝った私を讃える村人の声援が
一斉に聞こえる。
・・・筈であった。
(静か過ぎる・・・)
どうしたことだろう?私は訝しげに観客席を見た。
(今回分終わり・・・気が向いたらまた書いてみます)
保守
322 :
age:2009/01/12(月) 22:13:09 ID:???
age
323 :
age:2009/01/26(月) 13:31:27 ID:???
age
>>320の続き
===========================
>>321さま
>>322さま
>>323さま
保守書き込み、お疲れ様です
朝青龍みたく?恥ずかしながら帰ってきました・・・
(いい歳ぶっこいて何やってんだろ・・・百年に一度だから
じょうがないっちゃあしょうがないんだけど。。。orz)
===========================
田舎芝居とは言え、ライブ感に沸いたこの催し物?に
およそ不釣合いな静寂が辺りを支配する。
観客の一人一人が某・家具店が提供するCM?みたく
動きを止め、マネキン人形のように硬直していた。
丁度その時、剥ぎ取ったマスクを掲げた私の手に
汗とは違う生暖かい感触が・・・
『ぎゃああああ!!』
『血が!?』
『鼻がもげているぞ!?』
『マスクのワイヤーで切れたんだ!!』
会場は違った意味で本当に盛り上がる事となってしまった。
数時間後・・・
私は脂ぎった教区長に
子供のように叱られていた。
『困るんだよねぇ・・・
ただでさえこの村は
その昔、司祭が変死した
いわくつきなんだから』
熱心な育心?が引き起こした事故とは言え
私は、ただただ誤る事しか出来なかった。
(今回分終わり 結局、シモネタで終わりそうな予感ですが。。。)
>>326さま
ごめん・・・ネタとニュースがまさか・・・また被るとは・・・
封印しますね。。。依って今回も未完って事で
328 :
だーれだ:2009/02/12(木) 00:25:02 ID:kl2ypxPe
(この掲示板にはまだ人が来るのかな。。)
・・・・・とある時代 とある時のお話・・・・・
「師匠。。。」
「な〜に?」
「やめてくださいさいよ。。。」
「や〜だよ〜♪」
バギーに10代くらいの男の子と20代くらいの(けっこう)カワイイ女の人がいます。
どうやら・・・・男の子に抱きつきながらバギーを走らせているようです。(すごいな。。)
「師匠。。。」
「ん?」
「やめてく・・げふっ!」
「へへへ〜ん♪なんか言ったかな〜♪?」
師匠がまた抱きついた。。
(はぁ。。ほんとに師匠なんだろうか?)とは言えずに、仕方なくその間の状態に。。
「ところで師匠〜次は何処へ行くんですか?」
「食べ物がおいしいので有名なところよ〜♪」
「。。。 」
(。。師匠なのか?)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜しばらくして〜〜〜〜〜〜〜〜
「。。。。。」
「師匠。。国ですか?これ。。道間違えたんじゃ。。」
「む〜ここで合ってる!!!ハズ。。。」
国(?)の前の山の上から、アサルトライフルのスコープを除きながら口論する2人。
その国はあちこちから煙が上がり、建物はがれきの山と化していた。
「。。。とりあえず行ってみましょ♪」
「はぁ。。」
〜〜〜〜〜〜〜〜さらにしばらくして〜〜〜〜〜
「嘘!?城門が打ち破られてる!?」
頑丈な鉄でできていたたようだが、あっさり破られている。
「師匠。。。戦争か何かじゃ。。前の国にいったん戻りましょうよ。。」
「それが。。。食糧がないんだけど♪☆」
「え。。。」
(というよりなんでこの人はこんなにきらくなんだ?)
=================================
とりあえず終了。。誰か書き込みしたら続きかくけど。。(2日以内)
>>329 mixiなんぞどうでもいい
>>328 投下してくれること自体は嬉しい
が、もう少しまともな文体で書いた方がいいよ
331 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 18:33:13 ID:kl2ypxPe
今気がついたんだがここってガンダムの小説投稿スレかwwww
気がつかんかったw
>>330 ほっといてくれ!;;
【ジム】ケーブル・ガイ【キャリー(運搬?)】
『おいッ!地獄サァあぁ・・・行くだぁでぇ!?』
・・・もう何日も風呂に入っていない所為で
身体の至る所から、いかんとも形容し難い臭気を
辺りに漂わせてる男がノックも無しに
突然入って来た。
『ナァンだぁあ?アンちゃん・・・ひょっとして
【 鱒 】かいてたンかァあ?俺ッたちゃの獲物は
【 蟹 】なんだぜえェ!?うぇッへへ・・・』
下卑びた笑いと共に、男は酒臭い息を間近に吹きかけてくる。
流石にムッと来て抗議の眼差しを向けようとしたが
自分の首に巻きつけてきた男の腕の太さを改めて考えると
己の闘争心が、瞬く間に萎えてゆくのが
我ながら情けなかった。
『おっと!いけねェえ・・・大船長様ぁが怒ってる!?
おらァあッ!【カンオケ】にさっさと乗らないかッ!!』
本来のスケジュールなら、自分は・・・今日こそは
『非番』の筈である。それもかれこれ3ヶ月ぶりの・・・
だが、そんな約束なんぞ、労働局の査察が行き届かぬ
この海域には関係が無かった。
『おいッ!・・・休みが無いからって
気ィ抜くんじゃァあねえぞ?
判ってるよなァあ?新入りッ!!』
言われるがままに、決して疲れが取れた事のない重い身体を
【カンオケ】に預ける・・・男の怒鳴り声が疲労を更に
重いものにした。
芋虫のような形状の【 船 】から
幾つもの【カンオケ】が漆黒の闇夜に産み落とされてゆく・・・
耳元で男に怒鳴り散らされた所為か
まだ耳鳴りがしていた。
・・・我々の目標は敵が撤退の際、苦し紛れに
あちこちにの宙域にばら撒いた
『 機 雷 』だ。その形状が丁度、今ではもう
絶滅してしまった甲殻類の類に似ているため
我々は【 蟹 】と呼んでいた。
(今回分終わり・・・)
>>333の続き
耳鳴りを更に疼かせる警告音が、くそ狭い【カンオケ】に
鳴り響く・・・この苛つく警告は【カンオケ】の唯一?の武装である
【チョンマゲ】を取り外した代わりに、様々な電波観測機器や何やらを
取り付けたお陰である。・・・全く、ありがたいことだ。
しかも、付属品として装飾されるものは大概、もとのデザインより
ダサくなるのは避けられぬ事で、この【カンオケ】も残念ながら
もっと・・・頼もしいものになってしまった。
そしてその容姿?を最も現す愛称がまたしても生まれる事となる。
曰く【ぜんまい付きカンオケ】・・・
略して【ゼンマイ】である。
今更だが、上層部のセンスの無さを改めて呪った。
こんな物に押し込められたまま天に召される事になったら
きっと、自分は自縛霊になってしまうだろう。
間違いない。
せめて【 足 】でもついていれば、喩え@んだとしても
自分への【愛を覚えて】いそうな?恋人の枕元に立つことが
出来るかも知れないが、それをやってしまうと意匠権の問題が発生し
著作権や何やらで面倒だからそんなリスクは犯さぬだろう・・・
すまない、つい冗長になってしまった。
蛇足話?で耳鳴りの痛みを紛らわせていたのだが
そんなささやかな試みも次の瞬間には無残に打ち砕かれた。
あの男の怒鳴り声が音割れと一緒にやって来る。
『おいッ!【 砲撃型蟹座(クラブ・ガンナー) 】じゃない
からって 手ェ抜くんじゃァあねえぞ?
判ってるよなァあ?新入りッ!!』
全く・・・判ってるよ
思わず舌打ちする。するとすぐさまカウンターを食らった。
『聞こえたぞ・・・新入りッ!舌打ちなんぞしやがって!
後でさっきの続きしてやるからなッ!?覚えておけッ!!』
疲れがたまっていたとはいえ、迂闊だった・・・
あたり憚らず怒鳴り散らす癖に、男は地獄耳であった。
つい先ほど男に激しく揉まれた【 股間 】の痛みを
思い出し、自分は全く情けない事に縮みあがってしまった。
だが・・・お陰で眼が覚めた。
もし警告音を発生させている標的の【 蟹 】が
【 機雷同化型兵器(ギラ・ドーガー)】だったとしたら?
想像するだけで怖気が走る。
こんな寄せ集めの部隊なんぞ一瞬にして全滅である。
間違いない。
つきつけられ続けている【ダモクレスの剣】宜しく
目の前の現実の危うさを改めて感じ、気を入れ直す。
不思議なことに耳鳴りの痛みさえも
いつの間にか吹き飛んでいた。
(今回分終わり・・・)
>>336の続き
敵の【脅威のメカニズム】を余す処無く
注がれた【 蟹 】に我等の【ゼンマイ】が文字通り?
ぎこちなく、もどかしげに近づいてゆく・・・
その光景は丁度、子供の頃に遊んだ【だるまさんが転んだ】に
似てなくもなかった。
じりじりと間合いを詰める。【ゼンマイ】の中の人はもう大変だ。
警告灯の点滅が【てんかん】を引き起こさんばかりに
激しくなり、ミュート設定にした筈の警告音が再び悲鳴をあげた。
何度も何度も舌打ちと放送禁止用語を吐きながら
必死に耐え続ける。全く、『希望は戦争』って嘯いていやがったのは
どこのどいつだ?・・・あ、自分か(泣)。
>>333訂正
×あちこちにの宙域
○あちこちの宙域
>>337の続き
【 蟹 】に接近するという数分間の出来事なのに
その昔、戦争が始まる前に遣らされていた【明日の見えない労働】の
何日分もの疲労感がどっと襲ってくる。・・・この種類の疲れは
間違いなく生命を削るものであろう。きっと現在の自分は
【カンオケ】に押し込められる前の自分より【おくりびと】が
より仕事がしやすくなる容姿をしているに違いない。
そんなこんな?で言い切れないのだが
兎に角、やっとの思いで【 蟹 】を捕らえる事ができた。
だが、本当に大変なのはこれからである。
何しろ単にセンサー網をかいくぐって接近しただけの事だから。
次には・・・起爆装置の解除という大仕事が待っている。
噂によるとこれら憎っき【 蟹 】を敷設していった
敵の部隊は【 策 士 】として名高い将軍が
率いていた部隊らしい。聞くところによると
その・・・策を労する将軍が、更にその上の謀略を
巡らせる将軍に贈る【 宝 物 】を届ける
時間稼ぎの為に準備しておいたものらしい。
>>339訂正
×率いていた部隊らしい。聞くところによると
○率いていた部隊だそうだ。
そして、さらに聞くところによると
×更にその上の謀略を巡らせる
将軍に贈る【 宝 物 】を届ける
○更にその上を行く【 謀 略 】を巡らせる
将軍の為に贈る【 宝 物 】を届ける
訂正を踏まえて(すみません)続き・・・
有難い事に、これらの【 蟹 】は
策士という将軍の名に恥じぬように良く出来ていた。
って言うか策士という将軍の性格が反映されたのか?
全く持って厭らしい罠がそこかしこに施されていた。
まずはセンサーの判断通り
起爆装置解除の第一段階に入る。
するとすぐに警告音と共に通信が入ってきた。
・・・あの男だ。
『おいッ!不発弾みたいな手を抜いた
仕事をするんじゃあねえぞッ?
後々・・・開拓の際、政治問題になるんだからなッ!』
・・・判ってるって。
今度は舌打ちをするを自制する事に成功した。
(よっしゃ♪)
旧世紀に経営破綻した自動車会社の名前をそのまま称した
ロボット(センサー強化改装型)の助けも借りて
解除に取り掛かる。解除作業は滞りなく次の段階に進む。
すべて順調であった。
だが・・・自分は不満であった。
何故なら通信で繋がっている男と自分との力関係を
このような形で見せ付けられるのは我慢ならなかったからだ。
(結局・・・エライ奴はリスクが低いんだな・・・
戦争なんかしても死ぬのは貧乏人ばっかじゃないか。)
同じ戦場にいる筈なのにその『 絆 』は脆いものであった。
なるほど、古参の兵が新兵をいびりたおす理由が理解できた。
畜生・・・【 蟹 】をこのまま爆発させたら
さぞかし気持ちの良いことだろうなぁ・・・
そんな妄想が首を擡げたとき、センサーが次の指示を仰いできた。
『何々?次はジャンル選択・・・だと?』
男の耳障りな声が悪戯に自分の心をざわつかせる。
ここは少し悪ふざけをしてやろう。
コンソールを操作して、決定コマンドを入力する。
すると次の瞬間、甲高い声があたりいっぱいに響いた。
『アニメ・漫画ね ☆ わかったわ!』
・・・今回の【 蟹 】のトラップは
クイズゲームタイプであった。
ゆとり第二世代にはちと辛かろう。
『ぬっふふっふ・・・♪』
・・・思わずかの策士のように笑みがこぼれてしまった。
(今回分終わり・・・)
>>332加筆訂正
己の闘争心が、瞬く間に萎えてゆくのが
我ながら情けなかった。
【 出 漁 】を促すサイレンが
気ぜわしく唸りだす。
『おっと!いけねェえ・・・大船長様ぁが怒ってるry
>>333補足訂正
×絶滅してしまった甲殻類の類に似ているため
○絶滅してしまった甲殻類の類(たぐい)に似ているため
>>336訂正
×もし警告音を発生させている標的の【 蟹 】が
【 機雷同化型兵器(ギラ・ドーガー)】だったとしたら?
○もし警告音を発生させている標的の【 蟹 】が
【 機雷同化型機動兵器(ギラ・ドーガー)】だったとしたら?
>>341加筆訂正
『おいッ!不発弾みたいな手を抜いた
仕事をするんじゃあねえぞッ?
後々・・・開拓の際、政治問題になるんだからなッ!』
【 出 漁 】の際、大船長から直々に訓示を受けた
そのまんまのフレーズを男が口にする。
全く、何が政治問題だ・・・そんなタマかよ。
思わず、失笑する。
>>342加筆訂正
だが・・・自分は不満であった。
何故なら通信で繋がっている男と自分との力関係を
このような露骨な形で見せ付けられるのは
自分の自尊心が我慢できなかったからだ。
(結局、エライ奴はリスクが低いんだな・・・
戦争なんかしても死ぬのは貧乏人ばっかじゃないか。)
戦時とは言え、究極の【 モ ノ 】扱いをされている
自分自身に腹が立ってきた。
(畜生・・・一体、何のために今まで努力してきたんだ・・・)
思わず唇をかみ締める。そして、上司?とは言え
粗雑で横柄な男の下で【いじられて】いる自分が
より一層、惨めに思えてきた。
『おらァ!カレッジ卒!ボケてんじゃねぇッ!!』
一連の不況の所為で進学を諦めたというのが口癖?な
男の罵声が木霊する。
『す、すみません!次のコマンドOKですッ!!』
(チッ・・・いちいち五月蝿いんだよ・・・)
【面従腹背】を絵に描いたら、このような関係なのだろう。
同じ釜の飯を喰う仲間の筈なのにその『 絆 』は
実に脆いものであった。
なるほど、古参の兵が新兵をいびりたおす理由が
少々、自分にも理解できてきた。
加筆訂正等々を踏まえて(本当にすみません)続きです・・・
>>343の続き
『いっしょにモンゴルに帰って
噂とかされると恥ずかしいし・・・』
モニターには屈強な巨漢の男が
少々、困り気に身をよじらせていた。
『だーーッ!ムカツク野郎だぜぇ!』
巨漢の男に下校の誘いを断られた自分たちは一様に憤慨した。
耳を済ませるまでもなく、コントロールを壁に?投げつけた音が聞こえる。
『どんだけコイツは高望み野郎なんだッ!』
通信ケーブルで繋がっているとはいえ、自分は男と一緒に
クイズゲームのキャラクターと謡っているものの、明らかに
某・伝統国技のチャンピオンを意識した【高望みモンゴル野郎】の
悪口をぶちまけたかった。できれば【 酒 】なんか飲みながら。
しかし、ここで某・大臣みたく後先考えず、暢気に
酔っ払うわけにはいかなかった。解除制限時間までには
まだまだ余裕があるが、気を引き締めていかねばならない。
『先輩、ここはクールに行きましょう。』
熱くなり過ぎているのが容易に理解できる上司を
落ち着かせようと努力する。
幸い、自分の願いはすぐに聞き届けられ
『よっしゃ!次はお前に任せた!頑張ってくれッ!』
やる気を奮い立たせる激励の言葉まで送ってくれた。
(よし・・・やるぞっ!)
気分の切り替えは終わった。次の問題は・・・?
ライフラインはまだ残っている。まだまだやれる。
次こそは・・・落としてみせるッ!
決意を新たにコントローラーを握りしめた次の瞬間
『♪ドッカーン!!☆』
爆発音がした。
怒りが爆発したキャラクターは『アニメ大好き眼鏡力士』こと
『ミサカタカミ』であった。
しまった・・・コイツの存在をすっかり忘れていた。
トラップ解除の時、最初にウケ狙いで選択したのが
そもそも間違いであった。ゲームを進めてゆくにつれ
『薬物問題』とか『暴行問題』とか
果てには『八百長問題』まで出てきて、『ミサカタカミ』の好きな
『アニメ・漫画問題』まで手が回らなかったからだ。
むくれ面の眼鏡がモニターに映る。
『馬鹿にしてると思ったから爆弾を造ったんだ・・・』
某・大志を抱けという像のある酪農が盛んな地域の
学生が呟きそうな台詞を『ミサカタカミ』は
しゃべっていた。
(今回分終わり・・・絶対、怒られそう。。。)
読みにくいので、漢字に振り仮名をつけてくれ。
それと文章中に自分のコメント書くのやめれ。
おい、振り仮名はいらんだろww
それより【】が気になるな、何か意味があるの?
>>344-345 一回メモ帳とかに下書き&推敲してから投下するのをおすすめする
まともな人なら理不尽に叩いたりはしないから、もっと自分の作品に自信を持った方がいいよ
とりあえず投下乙、続きを楽しみにしている
>>328 というか、いくらスレタイが「なんでも」とはいえ、
いくらなんでも酷すぎなレベルでは?
。。。←これにしてもありえないレベル。
それをほっといてくれと返すとは・・・・
当人のレベルが分かるような気がするわ。
>>351 >>328はもう見なかったことに……しかしあの返答はないよな
うん、なんだ……スルー推奨って奴だ
>>349さま
ごめん・・・次からは気をつけるよ。
読み仮名もつけます。自分だけ読めても仕方がないしね。
(コメントは照れ隠しでついついつけちゃうんだよなぁ
いい歳ぶっこきすぎてるからさ・・・orz)
>>328氏
自分は保守だと思っています。(若いっていいよなぁ。。。)
>>350さま
【】は・・・あんま意味ないです。強いて言えば
カッコイイから?かな。
告白いたしますが、メモ書きは一度
家族に見られて赤っ恥をかいたので
川柳とか短歌を詠む時みたくキーワドだけ書いた
紙片を用意してる。しかも、ばれないように某所にて
直接打ち込んで送信してるもんで推敲時間が
あまり取れないんです。
すみません、本当に。なるべく訂正しないように
頑張っているんだけど、読み返すと
『あーもうっ!!』ってなるんだよなぁ。。。
ほんま、すみません。。。
あやまることはない。がんばれ。
>>353 もし上手く書きたいのなら、創作発表板にでも
行ってきたら?
たまに良作とかあるし、ガンダム関係なら探せばあると思われ。
新シャアが落ちて今週はCCAスレのSSが来ないのに絶望
>>354さま
こんなおいに優しい言葉をry(つд`)・。。
>>355さま
あそこは敷居が高いっぺよ、(マジで)
一度、なんちゃって話?は書いたけどね・・・
>>348の続き
『いい加減、大人になりたまえ・・・大体、君達は今年で
一体、幾つになった?ええ?声に出して言ってみろッ!』
やっとの思いで作業船に辿り着いた俺たちを
【小人】を絵に描いたような上司が叱り飛ばす。
もう、ずーっと・・・こんな調子である。
(全く、トシは関係ねーだろ。年齢給?なんかじゃねーんだから。)
だがしかし、流石に小一時間近くも子供のように罵倒し続けられると
幾ら温厚な俺でも殺意の一つや二つ沸くってもんだ。
(こいつ・・・いつか殺してやる。)
胸の奥に抱いた密かな決意を、心にもない悔悟(かいご)の言葉で取り繕う。
『すみません!新人の教育が行き届かなかったのは
仰るとおり俺の・・・いや、私の責任ですッ!』
垂れた頭(こうべ)に奴の鼻息が吹きかかる。
『ふん!口ではどうとでも言えるがなッ!損害は甚大だぞ?
貴様の給料では・・・ry』
(ちっ!またそこに戻るのかよ!)
思わず、殺意の篭(こも)った眼差しを向ける所を
なんとか抑えて謝り続ける。クレーマーとは
こんな奴の事を言うのだろうか?
先に小人を絵に描いたと言ったが、容姿ばかりではなく
こいつの本名もムカツク名前であった。
おまけにこの聞かされ続けている声色さえもが
いちいち俺の癪(しゃく)に障った。
大破した俺のセンサー強化型GM(頭がでっかくなったGM)【パルタ】が
分析するまでもなく・・・キーは高いし、トーンもおかしかった。
(今回分おわり)
359 :
通常の名無しさんの3倍:2009/03/29(日) 21:45:33 ID:2Cj4MERF
ガンダム00 最終話
後部のバーニアが敵のライフルを受け破損した
「まずい!これじゃあなんとかザム(スピードが上がるやつ)が使えない」
刹那はその時生命の危機を感じた
しかし...
「くあっ、馬鹿な」
トム(ラスボスの名前(仮))のなんとかガンダムも機体の性能を越えすぎた
いける、そう判断した刹那は最後の力でトム(仮)に迫った
トムも呼応するように接近してきた
「定額給付金制度!なんとしてでも」
刹那は無意識のうちに叫んだ
トムのなんとかガンダムは最後の武装と思われる
なんとかブレードを出した
そして…………
C.E 0804
刹那の、ソレスタルビーイングの人類の希望であった
定額給付金制度が可決されたのであった
カミーユ「随分時間もあるし、少し街を見てまわるか。」
ファ「そうね。あら…ねぇカミーユ、あの店…」
カミーユ「あの外装…ティターンズ!こんな所にまで手を伸ばして!」
ビラ配り「お願いしま〜す」
ファ「あ…。」
カミーユ「そんなもの受け取って!…なんだ?」
〜美容室てぃた〜んず♪〜
男性カット:モデル写真→ジェリド・カクリコン
紳士カット:モデル写真→バスク
女性カット:モデル写真→エマ
各種セット、着付け、承ります:モデル写真→シロッコ
エマ「エマ機、発進よろし!#」
ブライト「ま、待て中尉!」
*「ピッチャー、ドモン」
ドモン「行くぞ!ばぁぁくねぇぇぇつっ!しゃああああいにぃ…」
ボーク!
ドモン「…。」
東方不敗「ドモンよ!だからお前はあほなのだ!」
ドモン「師匠!そうだ…俺一人じゃストライク一つとれやしない…。」
東方不敗「行くぞドモン!流派・東方不敗は!」
ドモン「王者の…」
*「ランナースタート!スチール成功です!」
ドモン・東方不敗「……。」
>>359氏
WOは観てないから何とも言えないけど
定額給付金制度並に質量保存&等価交換の法則から
外れている事が良くわかりました。
>>360氏
和露他w 特に『 # 』←に♪
>>361氏
元ネタを実は観たことがないのでこれも判りませんが
(かなりの偏食家?・・・いい歳ぶっこいてるから、これが普通だと思う)
WBCでイチローが時折、見せた俊足を思い出しました。
>>358の続き
日をまたいだと言うのに、説教はまだまだ続いている。
いつもなら貧血で?とっくの昔にぶっ倒れている新人が
今回に限って根性を見せている。
(チッ!倒れてくれれば助かるのに、全く、空気の読めない奴め!)
つい先ほどまで、これも珍しく見事なチームワーク?で
難問を解決してきた相棒に俺は苛立っていた。このままだと
あの『おしおき』が待っているに違いない。
それだけは絶対に勘弁してもらいたいものだ。
所謂、トラウマってやつだ。
あの『おしおき』の所為で、俺は風呂に入って身を清める事が
嫌になってしまった。詳しく話すつもりなど全くないが
掻い摘んで説明すると、捕虜となり敵の筆舌に尽くしがたい拷問を受け
そのヘアスタイルの如く(
>>360氏のネタ:奨参照)
サディスティツクな趣味に、更に磨きがかかった『小人の上官』による
直々の『おしおき』は昔、映画でみた『アラビアのロレンス』を
彷彿させるものがあった。(アーッ!!)
だが、俺には勝算があった。
流石のハゲでも、@@日間も風呂に入っていない俺を
犯す気なんぞ興さぬに違いない。・・・たぶん
(結局シモネタ?・・・今回分おわり)
>>362の続き
(全く・・・どいつもこいつも、私の出世の邪魔をしやがって!)
船を預かる責任者としての務めである
『航海日誌』をつけながら、私は再び怒りに震えた。
今回の騒ぎの所為で、ただでさえ数字は『赤字』なのに
『漁に出られない』となれば・・・もうお手上げである。
このままでは現在、幅を利かせているいまいましい派閥の主流から
外れた為に、閑職へと追いやられたこの身の首さえも
差し出す覚悟をしなければならないだろう。
冗談ではない。まだまだローンが残っているのだ。
『鉄の板、一枚下は地獄』という職場で働かされていると言えど
ローン地獄まで背負い込むつもりなどない。
尤も、死んでしまえば元も子もないのだが
私の胃潰瘍を和らげる為にも取り敢えず
不遜(ふそん)な態度を時折、見せるあの『男』は
予(かね)てかの、上役の言いつけ通り『お仕置き部屋』送りにしておいた。
念のため、誤解のないように言っておくが私には
そっちの趣味は全く理解出来ないのだが・・・
辞めておこう、上役の悪口は・・・出世に響く。
>>363の続き
だが、行過ぎた『仕置き』は更なる事件を生み出した事を
報告しなければならない。(ああ、頭が痛い)こんな時ほど
責任者たるこの身を恨む。その事件のあらましというのは
自分の凡ミスによって『男』が酷い仕打ちをこれから受ける事を知った
『新人』が止せばいいのに、苛立つている『男』に
不用意に慰めの言葉をかけた事から始まった。
激昂した『男』はいきなり『新人』の急所を蹴り上げた。
結果・・・後方送り(欠員)を一名、また生み出す事となった。
使えない『新人』は更に違った意味で『使えない』モノになったのだ。
>>364の続き
胃薬と頭痛薬を交互に飲みながら
視線を外に移す。窓の外には丁度、前線からの
傷病者たちや何やらを満載している連絡船が
何隻も連なって通り過ぎてゆく光景が縁取られていた。
(いっその事、ケーブルかなにかで繋げて運べば良いだろうに)
全く絵にならぬ風景?を見て、そんなつまらない感傷を
ふと胸に浮かべてしまった。こんな事も日誌に書き連ねるべきだろうか?
(馬鹿な事を・・・)
すぐさま頭(かぶり)を振り、ペンを置く。
そして、休暇の折、ぶらりと立ち寄った古書店で入手した
前世紀の文豪が書いた『司馬遷』を紐解いた。
【史記を書いたのは恥ずかしさを隠すために書いたのだが
書けば書くほどその恥ずかしさは増していったと思われる】
かの文豪が稀代の歴史家を斬って捨てるその一節に
年甲斐もなく感銘を受けてしまった。
取り敢えず、私は先程まで書いていた日誌の誤字・脱字を見直すことにした。
================================
数年後・・・とある組織に属する船室にて・・・
ついに出撃である。
武者震いと言い訳しつつも、落ち着かない『ひよっ子』を
かつて自分がやられたように
タマを蹴り上げたい気分にさせられたが
・・・ドルバ照準で蒸発した『先輩』の轍は踏むまい。
『どおぉおした!?縮んでるぞぉおお!?』
ひよっ子のアレを優しく手でつかんで更に言い放つ。
『シャキッとせんかぁあ!シャキッと!!』
この時、かつての『上司』の気持ちが理解できた。
(おわり)
366 :
通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 23:19:35 ID:op2cBNKa
群像ものでもいいですかー?
367 :
◆HE57WXQK1Y :2009/04/18(土) 00:04:30 ID:qhdpj9Xp
オデッサ作戦において地上戦はもちろん、地中海及び黒海における
海上戦、水中戦いはキャリフォルニアベース攻防戦を遥かに超える激しい戦闘となった。
なぜここまでの激戦になったのか?
それはオデッサには貴重な鉱物資源が大量に存在しているからだ
ジオンが第一次地球降下作戦にオデッサを選んだのはジオンが宇宙で手に入れることの出来ないレアメタルが埋蔵されていることを地球で行動するジオンシンパの情報で知らされていた。
それらを使うことにより120ミリザクマシンガンの威力が格段に上がることも確認されている。
368 :
通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 00:06:26 ID:op2cBNKa
訂正
水中戦い×
水中戦○
369 :
通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 00:26:17 ID:qhdpj9Xp
ここを巡る攻防はジオンがオデッサを手中に治めた翌日から始まっていた。
降下作戦に巻き込まれ家族を失った住人や若い力が地球連邦軍に協力し、ゲリラ戦を仕掛けることにより
毎日ジオンは苦しめられていた。
物理的ダメージではなく夜間に散発的に撃ち込まれる迫撃砲やロケットランチャーによる攻撃により寝不足や神経過敏症に陥るケースが後を絶たなかったからだ
ゲリラは旧世紀に広く使われていたRPGシリーズを有効的に対MS戦に活用していた
その戦い方は決してMSそのものを倒すことにあらず、ザクが苦手とする膝、股関節、モノアイを狙い撃ちにし、
部品不足、整備にかかる時間、費用、人員を割かせるためにある。
初期のジオンは対歩兵戦を重要視していなかった
なぜならザクに対して歩兵は対抗策を持たないという安易な考えがあったからだ
120ミリザクマシンガンでは威力が大きすぎることや、小さな目標に当てるのは非常に技量がいるので対歩兵戦には向かない
ましてやヒート・ホークは小隊長クラスでないと配備されない
貴重な兵器であるためなかなか最前線で戦線を張るザクパイロットにはまわって来なかった
しかし、そのゲリラも命運尽きることになったのは5月3日月夜の深夜ゲリラ掃討作戦が開始された
ザク15機、マゼラアタック30台、ドップE18機(攻撃機使用)他、後方支援多数を率い、
鉱山地帯一帯の民家という民家を攻撃した
ザクの120ミリが民家を直に直撃し、砲弾の芯管が
爆発することなく、次次と撃ち込まれていった
ゲリラに対抗策はなく為すべくなく死んでいった
いつものようにジオンの基地に攻撃した5時間後であった
休憩や仮眠をとっていたものが殆どであろう
ジオンは温情はなくドップEによるナパーム攻撃を開始した
上空500という超低高度から
編隊を組み「グェーン」というドップ独特のエンジン音が
オデッサを振るわせた
ドップEが民家を通り過ぎるかと思ったのも束の間ドップから切り離された巨大な「鉄パイプ」が降下され
その3秒後には小爆発が上空で起こり、まるで花火が弾けたかのように爆散した
しかし、それは花火のように綺麗ではなく、まがまがしい火に炙られた鉄の雨かのように見えた
忽ち民家に火の手があがりナパーム特有の鼻につく臭いがし始めた
蟻の巣を棒でつつかれて溢れ出るようにちりじりになったゲリラを含む住人約800人が
必死に逃げ惑っているところにマゼラアタックによる3バレルマシンガンがありとあらゆる方向から人々にそそがれた
木々をも根こそぎ切り裂いて次々と住人は倒れていった
女、子供も容赦なく死んだ
腕に当たると腕がもげ、胴に当たると体に風穴が出来た
その機銃網を突破してもドップEによる機銃掃射により倒れていった
372 :
通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 01:44:44 ID:qhdpj9Xp
1時間程で戦闘という名の虐殺はジオンのワンサイドゲームに終わった
残されたゲリラ兵50、女子供を含む住人約70は全て虐殺されたがそれは酷い物だった
ゲリラ兵全ての性器をナイフで切り落とし、刃渡り10センチ前後のナイフを一刺ずつゆっくりと差し込んでいった。それはとても人間のやることではなかった。
死ぬまで続けた。オデッサの採掘指揮を取るマ・クベ少将は苦悶に満ちた顔や、抑えきれない、叫び声に近い苦悶を酒の肴にしたという逸話もあるが定かではない
地球という大きな器に降り立ってまだ数ヶ月、血を見たい若者やPTSDになった者もかなりいただろう
この惨劇は不幸に起こった物だが必然的でもあった
また、女は残らずレイプされた
女に飢えたジオン兵士にとってはまさに天国であっただろう
中には基地に連れ帰り「性奴隷」とした者もいたようだが事が終わったあとは残らずザクの足跡になった
>>366氏
自分は
>>1でも何でもないんですが
多分、いいんじゃないかと。
>>367-372 ◆HE57WXQK1Y 氏
田嶋陽子さんが青筋たてそうなお話ですね。足跡はキツイなぁ。。。
某・米CG映画のスライム?なら頑張れそうだけど・・・
五木寛之氏の『不安の力』を読み返したくなりました(´・ω・`)
いい歳ぶっこいた男達が未だに『アイドル』として
持て囃されている超・少子高齢化格差社会で
平和ボケ?を象徴した椿事(ちんじ)がまたもや起きた。
耳障りな雑音を大量に吐き続けるラジオ曰(いわ)く
『・・・メンバーが深夜、・・・公園で
全裸で騒いでいるところを付近の住民が通報し
直ちに駆け付けた警備請負会社社員によって
身柄を確保され、後に遅れてやってきた
警官達により、公然わいせつの疑いで
緊急逮捕されました。』
その一報を耳にした時、私は自分の聴力を改めて疑ったと同時に
【全く、本当にいい歳ぶっこいて何やってんだか・・・】と
自分自身の未だ置かれている立場も含め、嘲(あざけ)り笑う事を
止める事が出来なかった。
『警備してますか?』
ニュースの合間に流れる警備請負会社のCMとその出演メンバーに
色々、突っ込みをいれてやりたかったが、取り敢えず
不規則な生活習慣を送り続けた自堕落なこの身体と精神に
【活】
を入れる為に私はシャワーを浴びる事にした。
もう随分と長い間【異性】を知らない身体に成り果ててしまった
私は少し熱めのシャワーを浴びながら【夢やぶれて】を口ずさんでいた。
(やっぱり、スーザンさんはあのままの眉毛の方が良かったよなぁ・・・)
そんな事を思いながらも自分自身の姿を鏡に映してみる。
先ほどから【いい歳ぶっこいて・・・】などと散々笑い飛ばしていたが
【明日のエコなど構わない】とばりに、出しっぱなしにした
シャワーの湯気で曇り、見にくくなっている鏡ではあるが
映し出された私の肉体は歳相応の姿形以上に醜く崩れていた。
今更、生臭い事なんぞ興味がないと言えば、それは全くの
【虚勢】だろう。自分自身ではまだまだ若いつもり?である。
無論、それ相応に【欲求】もある。
こう見えても一応、あれほど世界的に流行し、かなりの数の
犠牲者を出した【新・豚インフルエンザ】を生き抜いてきた
健康体?なのだから。
しかしながら・・・
酩酊(めいてい)してたとは言えど、深夜の公園(公共施設)にて
【全裸】でオペラが出来る程、私は【ブートキャンプ】で鍛えてはいなかった。
(いい歳ぶっこいて・・・羨ましい。奴等がモテ系?なのは判ってるけど。)
自分自身の不甲斐なさをかみ締めながら
私は胸に手を添えた・・・
(くっ、くやしい・・・淋しい・・・)
もう何年も前から独りで慰めている行為だ。
だが、今回はいつもより激しい行為になる予感がした。
私は、まだ石鹸の泡が微(かす)かに残る胸に
触れている指先に力を込めた次の瞬間
『コリッ?』
心地よい感覚の代わりに妙な違和感が指先から伝わってきた。
『余命・・・一ヶ月です。』
診察し終えた医師が無表情に言い放った。
私は再び自分の聴力を疑った。
だが、それは私の空耳ではなかった。
医師曰く、若い頃に無茶をした事がたたって
ホルモン等のバランスが崩れ、手の施しようがないという。
その後、色々と懇切丁寧に説明をされたが
全く私の記憶に留まる事は無かった。
『・・・さん、少し休まれたらどうですか?』
同じ課の部下が気遣いの言葉をかける。
だが今際(いまわ)の私にとってそれは死神からの
香(かお)りでしかなかった。
僅かとなってしまった私の生命を今の仕事に注ぎ
この世に生きた証をなんとしても残したかった。
『・・・君、大丈夫。これを仕上げたらもう終わりだから・・・』
私は無理に笑顔をつくり、反って部下を
怖がらせる事に何等、躊躇(ためら)いを感じなかった。
・・・全く不思議でたまらない。
気の進まなかった今の仕事さえもいつの間にか
愛(いとお)しいものになっていた。
ついに・・・プレゼンの日がやってきた。
周囲の者は休暇を取るように頻(しき)りに進めたが
私の鬼気迫(ききせま)る気迫?に最後は押された形となった。
見事、主要デザインを勤め挙げた私は今回のプレゼンの
主任をも自ら進んで就く事にした。
並びいる社の重役達が食い入る様に見つめるモニターに
我が【分身】とも言えるシルエットが仄(ほの)かに浮かび上がる・・・
失礼・・・分身ではなかった。
もうこれは【我が子】と言って良いだろう。
哀しいかな、今となっては自分自身の遺伝情報を引き継いだ
子供を後の世代に送り出す事が出来ぬ【義務を果たしていない】
人間の最後の矜持(きょうじ)である。
会議室の、どよめきが漸(ようや)く収まった今、私は
社の重役達や関係者達の質問責めに独り立ち向かっていた。
その質問の多くはシルエットがモニターに浮かんだ時と同様に
冷ややかなものばかりであったのだが・・・
しかしながら、今となっては旧世紀の亡国に存在していたと
言い伝えられる【神風】以上に怖いもの知らずの私は
性悪い難問を難なく切り返していた。
『君ぃ・・・足がコレにはついてないようだが?』
『代わりにタイヤを装着します。キャタピラ等では路面などの
損傷が激しいのでコストに見合わないと思われます。』
『ふむ。では頭部の装備はなんとかならなかったのかね?』
『あれは【スモウ・レスラー】の髷(まげ)を模したものです。
搭乗員は妙な薬物なんぞに頼るよりも勇気百倍となる事でしょう。』
『だが、余剰部品を流用したとは言えデザインが・・・』
『お言葉ですが余計な突起物があると耐弾面で問題が出てきます
のっぺりとした面構えですがステレス性をも兼ねなえています
現在、本部が開発運用中の【ヤヌス】でも同様のコンセプトが
とられていると聞きましたが?』
私はすらすらと口答え?をしながらも、もう少し早くに
開き直っているべきだったと後悔した。
こんな辺鄙な部署に追いやられた自分の運命を呪ったが
今ではこれも在りかもと思い始めていた。
プレゼンも終盤となり、漸く言いくるめられて?納得したのか
最後に重役の一人が口を開いた。
『・・・で、この機体の正式名称はなんというのかね?』
私は暫(しば)し間を置き、万感の想いを込め
手狭な会議室とは言うものの高らかに
我が子の【名前】を宣言した。
『ギィーガ!!』
・・・だが、気負っていた為かマイクが上手く音声を
拾えなかったようだ。ハウリング音が辺りにまだ響いている・・・
しかめっ面をしながら重役達は口々に不平不満を漏らし始めた。
聞き間違いは【老人力】で耳が遠くなっている重役達ならば尚更であろう。
『疑癌?ぎがん?』
『君ィ・・・いくらなんでも狙いすぎだろう。話は聞いているが・・・』
『同情はするが・・・いや、何でもない。』
赤面しながら慌てて訂正する。ああ、恥ずかしい・・・
『すみません!・・・【ギ・イ・ガ】です!旧世紀のモンスター映画で
一世を風靡したデザイナーに因んで名づけました。』
今度は幾らなんでもしっかりと耳に届いた筈である。
だが、私の期待とは裏腹に重役達の表情は冴えなかった。
『ギィーガ?』
『・・・あれ?なんか大昔の電化製品にあったような名前だな。』
『大雪?・・・中雪だったけ?』
数年後・・・
私はまだ天に召されていなかった。(笑)
結局、名前の事で揉めたプレゼンから短気を起こし
辞表を叩きつけた私は、残り僅かとなった?人生を
【 恋 】
に生きる事とした。それが今となっては
職場でもあり生きがい?でもあった。
『・・・ちゃん!3番テーブルに御指名でーす!』
『ハーイ!』
いい歳を本当にぶっこいているのに甲高い声をだす。
指名されたテーブルには大昔の【ヤンキー】を彷彿させる
金髪のリーゼントの【良い男】と額が大きく禿げ上がった
大柄な男がいた。私は迷わず金髪リーゼントの良い男に
身体を寄せる。するとすぐさま大柄な男が不平を漏らした。
『おいおい!・・・少しは俺にもサービスしろよ!』
『ごめん〜〜♪でも、わたシィ・・・この人が好きになっちゃったのォ!』
親子ほど歳が離れているとは言え、金髪リーゼントは
まんざらでもなさそうだ。しきりに私の胸元を盗み見ている。
全く、可愛いったらありゃしない。決めた・・・アフターの
誘いをこちらから申し出よう。そんな願望を
思い描いていたのにも関わらず
ふて腐れた大柄の男が禁句を発した。
『・・・ド、気ィをつけろ・・・ちゃんはなぁ本当は・・・』
『!!だめ!!言わないで!!』
ああ、こんな事になるんだったら大柄な男を先に
隔離(かくり)しとけば良かった。店の対応の拙さに今更ながら
腹をたてるが跡の祭りである。
『・・・ちゃんは大昔、モロッコで手術したんだぜ?
確か・・・デザイナーやってた頃?あれ?前だったかな?』
大柄の男の衝撃の告白に金髪リーゼントは白髪になって固まっていた。
きっとこれは【青春リアル】級の痛々しさだろう。
===============================
俺はまだあのネタでからかわれ続けている・・・
今日も禿げが酔っ払って絡んできた。
『なあ・・・ド?あの時、お前のゼーラマトップは
分離していたんか?俺が忠告しなければあのまま
白い悪魔のケツに特攻してたんだろ?へっへえ・・・うええっ』
俺はうんざりしながらも今後、性別を有耶無耶にする
輩を徹底的に軽蔑してやる事を心に決めた。
ヴェニス(ペズン)物語 @ギガン編 (おわり)
386 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 18:44:20 ID:cqQHM7VO
ここってセリフだけのものでも貼っていいかな?
まあ良いんじゃないの?
なんでも来いだし
388 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 19:39:35 ID:cqQHM7VO
機動戦士ガンダム逆襲のシャアVS美少女戦士セーラームーン
第一話 セーラープルート
時空回廊
プルート「なんなの?この衝撃は?」
「あそこに人が倒れている。」
アムロ「うーん」
「なんだ?ここは?」
シャア「目が覚めたようだな。」
アムロ「シャアか?一体ここはどこなんだ?」
シャア「それは私にもわからんよ。」
クェス「アムロ気が付いたんだ。」
ギュネイ「ふん」
アムロ「なぜだ?死んだはずのお前たちがなぜこんな所に」
クェス「それがよく分からないの、死んだと思ったらいつまにかいたんだ。」
アムロ「ギュネイもそうなのか」
ギュネイ「ああ、そうだ。」
???「どうやら気がついたようですね」
アムロ「君は?」
プルート「失礼、申し遅れました。私はセーラープルートと申します。」
シャア「プルートとやらここはどこなのだi?」
プルート「時空回廊、そして、私はここを守る番人なのです。」
クェス「それって永遠に?」
プルート「ええ」
アムロ「では俺たちがここに迷い込んだ原因はなんなんだ。」
プルート「恐らく何らかのカが作用し時空のねじれに巻き込まれたのでしょう。」
アムロ「・・・・」
シャア「・・・・」
プルート「どうやら心当りがあるようですね。」
アムロ「あ、ああ」
ギュネイ「俺達は元の世界に戻れないのか?」
プルート「もう一度同じカが加れば戻れるかもしれません。」
「しかしこの場所では、不可能です。」
クェス「じゃああたし達ー生このままなのi?」
シャア「ええい、では我々はどうすればいいのだii」
プルート「皆さん私に付いて来てください。」
全員「?」
これはアクシズ落下阻止の後にアムロとシャア(クェス、ギュネイ)が
セーラームーンの世界に跳ばされる話なんだけど、どうかな?
状況が全然わからん。
セーラームーンのアニメ知らないけど、いいんじゃ?ここ過疎ってるし
シャアやアムロがしゃべってる文なら読むよ
プルートはリストラされたんじゃ・・・?w
392 :
DPPE:2009/06/21(日) 00:23:05 ID:X0vkiYXU
俺はいつもと変わらずいつも通りに文芸部室に向かった。
キョン「なんだ古泉、お前だけか」
古泉「おやキョン君、お先に失礼してました。」
キョン「今日は掃除当番でな少々遅れてしまった。」
キョン「って!?今、お前、何て言った!?」
古泉「キョン君…」
やれやれ、とうとう古泉は頭が逝っちまったのか…
古泉「今日は涼宮さん遅いようですね…」
キョン「どうしてそんなに気になるんだよ?あいつが居なくて文芸部室は静かだというのに…」
古泉「でわ、あなたは涼宮さんは居なくても良いとおっしゃっているのですか?」
キョン「何故そうなる?俺はハルヒといつも一緒に行動するわけ無いだろ…」
古泉「話は変わりますが…涼宮さんは今日はここには来ませんよ…」
キョン「何故分かる…?」
古泉「いつもなら分かってしまうのだからしょうがないと言いたい所ですが…
実は、放課後に僕のところに涼宮さんが来まして、本日の部活動には参加できないと言われまして…」
キョン「そうかい」
古泉「おや?疑問をもたれないようですね…」
キョン「疑問だと?あいつのことだから、また不思議探しでもやってんじゃねぇーの?」
古泉「そこでは無いのです…」
キョン「じゃぁ、どこだ?」
古泉「よく考えて見てください。あなたと涼宮さんは何組ですか?
同じクラスでありながら何故あなたに欠席のことを言わないでわざわざ僕のクラスに来たのでしょうか?」
このとき俺も少しの疑問を持った。
俺とハルヒはクラスが一緒どころか席も前と後ろではないか…
今日のハルヒの様子はこれといって変わりは無かった…
やっぱり謎探しをやっているのか?それとも…
394 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 10:28:18 ID:Q2H/Ahjt
時空扉
アムロ「?、扉?」
プルート「ただの扉ではありません。時空と時空とを?ぐ扉なのです。」
「この扉の向こうの世界には私の仲間がいます。彼女達に強力を仰げば元の世界に戻れるかもしれません。」
クェス「じゃあ早くいこう」
アムロ「ああそうだな」
シャア「まてアムロ、クェス」
アムロ「なんだ?」
クェス「どうしたの?大佐」
シャア「よく考えろ必ずしも、もとの世界に戻れる保証はないぞ。」
ギュネイ「俺も大佐と同意見だ。」
クェス「ギュネイ、あんた怖いの?」
ギュネイ「そんなことあるわけないだろ。」
アムロ「じゃあどうする死ぬまでここにいるつもりか?」
シャア「そこまでは言っていない、私はただよく考えろと言っただけだ。」
アムロ「だったら今は少しでも可能性のある方へ賭けるべきだ。」
シャア「・・・一理あるな、わかった今はお前達の言うとおりにしよう。」
クェス「さすがは大佐。」
シャア「ギュネイもいいな。」
ギュネイ「はい」
プルート「やっと決心がついたようですね。」
「では、出発する前にこれをわたしておきます。」
アムロ「これは?」
シャア「ボールペンのようだが」
プルート「それは、変身ペンといって自分の望む姿になれるペンです。」
「ここぞと思った時に使ってください。」
アムロ「すまないなプルート、必ず俺達は元の世界に戻ってみせる。」
クェス「プルートは、一緒にきてくれないの?」
プルート「すみません私はここを離れるわけには、いかないのです。」
クェス「そっか、いろいろありがとうプルート」
プルート「どういたしまして、では皆さん絶対に手を離さないでください。」
アムロ「ああ、よし、いくぞ。」
395 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 11:34:24 ID:Q2H/Ahjt
そして1週間後
十番中学校庭
なる「うさぎー大変よー。」
うさぎ「なるちゃん、海野どうしたの?そんなに慌てて」
なる「どうしたもこうしたもないわよ、さっき職員室に用事があったの、それでね先生の話しを聞いちゃったのよ、明日生徒一人と教師二人が新しく赴任してくるんだって。」
海野「しかも三人とも外国の人らしいですよ。」
うさぎ「へーカッコイイ人だったらいいなあ。」
海野「あのまだそうと決まったわけじゃあ」
うさぎ「何よ夢ぐらい見たっていいじゃない。」
なる「そうよ、そんなだからあんたはモテないのよ。」
海野「そんなこと言われても。(泣)
うさぎ「早く明日にならないかな。」
そして放課後
うさぎ「会話中」
なる「会話中」
海野「会話中」
アムロ「まったくシャアの奴、買い物当番を人に押し付けて・・だがあの男に任せるよりは、いいかもしれんな。」
なる「うさぎiiあぶないii。」
うさぎ「え?」
ドンi
アムロ「うわ」
うさぎ「イタタ、ちょっと気をつけなさいよi」
アムロ「すまない考えごとをしていて前をみていなかったんだ、ケガはないかい?」アムロ、うさぎを助け起こす
うさぎ「はい、平気です。」
アムロ「そうかそれはよかった。」
なる「ここらじゃ見かけない人ですけど。」
アムロ「ああ、最近この町に越してきたばかりなんだ。これも何かの縁だ君たちの名前を教えてくれるかい?」
うさぎ「月野うさぎです。」
なる「大阪なるです。」
海野「海野ぐりおです。」
アムロ「俺は、アムロ・レイよろしく、それじゃ」
なる「なんだか不思議な人ね」
うさぎ「そうね、でも私の知っている奴とはえらい違いね。」
衛「その奴てのは俺のことか?お団子頭」
うさぎ「その腹が立つ言い方は、またあんた?いく先、いく先あたしに恨みでもあるわけi?」
衛「そんなつもりはないさ、ただ俺の行先がお団子頭と同じなだけさ。」
「と、こんな所でお団子頭と珍問答している場合じゃなかった。」
396 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 11:37:45 ID:Q2H/Ahjt
うさぎ「あー腹が立つー」
なる「でもあの人、好きな女の子にちょかいだしている小学校の男子みたいね。」
うさぎ「あいつにかぎってそれはないわよ。」
海野「う―ん」
なる「どうしたの海野?難しい顔して」
海野「いえ、さっきの人の名前に聞き覚えがあるんです。」
うさぎ「気のせいじゃないの?」
アムロ「ただいま」
クェス「おかえり」
ギュネイ「・・・」
シャア「御苦労だったな。」
アムロ「貴様が、貴様が俺に押し付けたんだろii」
シャア「それは違うぞアムロ、私はただそれが正しいと判断したまでだ。」
アムロ「貴様は一体何様のつもりだi?」
シャア「そう怖い顔するな。」
アムロ「誰のせいだと思っているii」
クェス「そんなことはいいから早く御飯にしてよ」
アムロ「ああ、わかった。」
四時間後
クェス「睡眠中」
シャア「やれやれ」
アムロ「貴様は何もしていないだろi」
シァア「いや、そうではない我々の置かれた状況に対してだ。」
アムロ「状況もなにも俺達はプルートの仲間を探し出し、元の世界に戻るために協力してもらうしかない。」
シャア「手掛かりもないのにか?」
アムロ「だとしてもだ、幸い俺達はこの世界では、中学校の教師ということになっている、あわよくばセーラー戦士とやらにあえるかもしれない。」
シャア「その根拠は一体なんだ?無事接触できるとはかぎらないのだぞi?」
ギュネイ「あの、大佐」
シャア「なんだ?」
ギュネイ「そんなに悩まなくてもこのままこっちで一生を過ごすことにすれば、幸い俺達はMIA扱いでしょうし。」
シャア「そうもいかん、私達は招かねざる客にすぎんよ。」
アムロ「そう、悲観することもないんじなゃいか?」
シャア「どういうことだ?」
アムロ「実は、俺はあまり絶望視はしていない、逆に馴染めるかどうか不安になっているくらいだ。」
シャア「一理あるな、悩んでても仕方あるまいな、私達がこうだとクェスまで不安になる。」
アムロ「そういうこと、よし明日は早い今日は早めに寝よう。」
シャア「フ、そうだな。」
ギュネイ(・・・なんだこの疎外感は?)
パイロットA「おい、あの話、本当だったのかよ」
パイロットB「マーティンのおっさんはジオン上がりだったからな」
パイロットA「どうするの」
パイロットB「そりゃあ、お前」
レズン「なんだよ?」
パイロットA「あ、いや」
レズン「うまい話かい?」
パイロットB「こないだのオートレースがね、八百長じゃないかって」
レズン「へえ…?あんた賭け事は嫌いだったろ?」
パイロットB「か、家計が苦しくってさ、はは」
レズン「いいから、言えよ」
パイロットB「ちょっと!うッ…!」
レズン「いいんだよ?あんたが貨物船の臨検で、何をしてるかバラしてやっても」
パイロットB「そっ、それは…!」
パイロットA「ま、待てレズン、わかった、言うよ」
レズン「はン…」
パイロットB「あぁっ…」
パイロットA「お前もグリプス戦役には、参加してたんだっけな…」
パイロットB「おい!」
レズン「エゥーゴには少しいたからね。で?」
パイロットA「…シャア・アズナブル、生きてたんだよ」
レズン「へえ…?ホントなら、しぶといじゃないか。」
パイロットA「それが軍を興したらしい。だから、人がいるって。」
レズン「よく言うよ…今さら王子様になりたいって?」
パイロットB「ザビ家やジオン共和国は関係ないよ。スペースノイドの自治権要求が」
レズン「ははは!趣味で戦争とは景気がいいね!馬鹿馬鹿しい。」
パイロットA「その趣味に、今回は他のコロニーも力を貸そうってんだよ。」
パイロットB「ネオジオンの残党や、反連邦組織も参加するさ。」
レズン「モビルスーツはどうする。アクシズは連邦が管理してるじゃないか。」
パイロットB「詳しい話が聞きたきゃ、マーティンに頼みな。おっさんが窓口だ。」
整備兵「モビルスーツ、チェック入ってもいいですかーっ?」
パイロットB「他のヤツらだって、その気になってる。どう思おうと勝手だが
水だけは差さないでくれ。口外もするな。どうなっても知らんぞ。」
レズン「はいはい…。」
レズン『志はいいんだけどね…。言うとやるとは違うさ。』
マスター「いらっしゃい。一人かい?」
レズン「今日はね。ビールを。」
マスター「特別税の話、聞いたろ。半年後に繰り上げだって。」
レズン「いつものことさ。」
マスター「コロニーの環境整備だって言っちゃいるが、あれ、地球の話だぜ?
ふざけるんじゃないよ。」
レズン「ティターンズがいた頃と、そう変わらないってね。」
マスター「殺されるか奴隷になるか、だもんなあ。ハムでいい?」
レズン「ああ、ありがと。空家のコロニーって、まだあるのかね?」
マスター「ええ?ははは、そりゃあるだろうさ。でも、使えるヤツがなあ。」
レズン「…シャアでもいれば、やってくれる?」
マスター「…そうだな、彼がいれば、やるさ。必ず。」
レズン「ふふ…ま、いないヤツの話をしても仕方ない。」
マスター「ああ、そうだな。」
レズン「…ネオジオン」
マスター「!」
レズン「残党がさ、サイド4で出たらしいよ…。」
マスター「あ、ああ…よくもってるもんだ。」
レズン「海賊暮らしも悪くないか。おかわり。」
マスター「…」
レズン「なんだい、急に顔色が悪くなったね?具合でも」
マスター「昨日、遅かったからさ。」
レズン「シャアが軍隊を用意してるんだろ?」
マスター「えっ」
レズン「ハン…どうやら本当らしいね。」
マスター「知らんよ!そんな話は!だいたい、シャアは死んで」
レズン「馴染みだろ、隠さなくってもいいよ。あたしは連邦の手先じゃないさ。」
マスター「…」
レズン「もう、そういうレベルの話なんだね。」
マスター「…どこで、それを。」
レズン「こっちが聞きたいよ。隊の連中もいきり立ってるし。」
マスター「入るのか?」
レズン「さあて…連邦は気に入らないけど、無駄死にする気もないんでね。」
マスター「話が聞きたいなら、人を紹介するぜ。」
レズン「たいしたもんだ…」
マーティン「これだけか?」
ジャック「7人もいるんですよ?」
マーティン「情けない…メシが食えるからって、豚に成り下がったヤツばかりか」
ジャック「まあまあ…家族のある人だっているんですし。」
マーティン「家族も豚にするってんだぞ。」
ジャック「まだ時間はあるんですから、焦らずに行きましょうよ。」
マーティン「そんな悠長なことを言って」
レズン「ここかい」
マーティン「!?レズンか?」
レズン「まったくコソコソしやがって、余計に怪しいんだよ。」
ジャック「あなたも?」
レズン「暇だからね。」
マーティン「貴様、遊び半分で」
レズン「華があっていいだろ?」
マーティン「そういうタマか、お前が!」
レズン「はははは」
マーティン「失礼、鴨料理のうまい店をご存知ありませんか?」
協力者「え?ああ、知ってますよ。団体さんで、ご旅行ですか?」
マーティン「会社の慰安旅行でして。私の後継ぎが産まれた記念に。」
協力者「そりゃあ目出度い。随分とお待ちになった?」
マーティン「なんの!産まれてみれば、そんなこと。」
協力者「そういうものですよね。では、ご案内しましょう。」
協力者「よく来て頂きました。」
マーティン「こちらこそ、感激しております、ええ…」
協力者「ウィルバー・スタークです。よろしく。」
マーティン「私はマーティン・クリード。ジオンでは宇宙攻撃軍に所属しておりました。」
ウィルバー「それはそれは。今までさぞご苦労のあったことでしょう。ま、ともかくお掛け下さい。」
マーティン「は!全員、休め!」
レズン「はぁ…?」
>>388-402さま
乙です・・・(時間を見てゆっくり×2、
咀嚼(そしゃく)する事にしまつ・・・♪)
==============================
冷蔵庫を開けた瞬間・・・
先日、天に召されたアーティストの
歌が頭に鳴り響いた。(推奨動画)
http://www.youtube.com/watch?v=I7FeQ23pC3Y 休暇を取る度・・・毎度の事とはいえ
この時程、独り身の辛さが臭気と共に心に沁みる。
わが身の不甲斐のなさに嘆きながら、所謂(いわゆる)
『月面歩き』で正体不明の物体と格闘しながら
ポストに溜まりに溜まった郵便物も片していると
カードの督促状の束や、エロサイトの
架空請求メールの山に混じって
何やら見慣れぬ封筒が紛れているのに気がついた。
数分後・・・
自分はウィキペディアで『裁判員制度』について
調べなければならない羽目になってしまった。
全く・・・なんでよりによってこの糞忙しい時に・・・
毒づきながらも内心、これでまた有給を消化する
理由が出来た事にほっとする自分が確かにいたのを
告白しなければならないだろう。
結局・・・貴重なその日の休暇は
部屋の片付けと調べ物(エロサイト巡りも含む)で
浪費し尽くしてしまった。やれやれ。
翌日・・・
自分は『写生(しゃせい)』が趣味という、坊ちゃん上司に
仕事の報告と、件(くだん)の休暇の申請を
遠慮がちに申し出た。
書類に目を通し終わるなり、高貴な生まれの末裔だという
自分の上司の言葉を聞いた時・・・まあ大方、予想していた事であるが
やはり、この『スケッチ野郎』の反応にまたもや幻滅する事になった。
上司、曰(いわ)く・・・・
『法廷画をスケッチ出来る、またと無いチャンスじゃないか!
君、是非とも僕と代わってくれないか?』
上司の秘書?である労働者階級の娘っ子の突っ込みは
今回もいつもながらに冴え渡っていた。
(ものすごく長くなりそうだから端折ります。。。)
結局、自分の職業が、今日の社会状況が『裁判員制度』などという
生ぬるい制度に当て嵌まる事など無く・・・此処に至っている。
自分は現在、目の前の物体を必死にスケッチ(盗み描き)しながら
かのシルエットをデザインし、その上、GOサインまでも出した
ライバル企業に脱帽しなければならなかった。
その物体は・・・地質学で云う所のカンブリア期の古生物以上に
独創的でグロテスクあった。
これが、脅威の・・・メカニズム・・・なのか?
物体のシルエットを描き終えると同時に自分は
産業スパイという身分を忘れ、思わず失笑してしまった。
だって・・・いくら『橋頭堡』造りの為とは言え
棘の付いた『ハンマー』の銃器を装備しているなんて
以前、シルエットを盗み取る事に辛うじて成功した
『本拠地攻略用』の兵器以上にあり得なさ過ぎる。
『まぁ・・・『ドリル』よりはマシかな?』
独りごちながら、こんなトンデモ兵器に乗せられる羽目となる
兵士の身を案じた。だが、次の瞬間、自分は油断という
大きな敵を招いてしまった事を後悔する事となる。
『ガシャーン!!』
ただ、すべり落ちただけなのに愛用のペンが
無人であった筈の工廠(こうしょう)に
大げさすぎる程の音をたてて転がった。
========================
差し入れに、お手製の『パン』を持ってきたんだけど
やっぱり規則によって跳ね付けられてしまった。
取調べは全て、録画されているというけれど、そんなもの
CGでいくらでも合成できる技術がありと溢れている
状況で一体、どれほどの価値があるのだろう?
すっかり冷めて硬くなったパンを公園の鳩達に
千切りやりながら、私は『芸は身をたすく』という諺を
改めて噛み締めていた。取り敢えず、この不況の中でも
私は『パン職人』としてなんとかやっていける・・・筈だ。
筈だろう。。。筈に違いない。。。筈なれry(ナントカ活用)
【ヴェニス(ペズry)物語@ガッシャ編】(おわり)
409 :
通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 19:02:53 ID:l6xBzml2
第二話
春菜「では今日赴任、転校してきた先生と生徒を紹介します。」
アムロ「アムロ・レイです、担当科目は情報です。よろしく。」
うさぎ「あ、昨日の人だ。」
なる「なるほど、昨日海野がいってたのってこのことだったのね。」
うさぎ「なるちゃんなだけに?」
なる「いや、シャレのつもりでいったんじゃないんだけど」
シャア「シャア・アズナブルです、政治経済を担当します。ジーク・ジオンi」
全員「?」
シャア「いや失っ敬、ごほん、とにかくよろしく頼むよ。」
なる「なんだか素敵なオジさまね、ちょっと変ってるけど」
クェス「クェス・パラヤです。よろしく」
なる「ねえ、クェスは一体どこから来たの?」
クェス「インドよ。」
全員「インド?」
うさぎ「どうして、インドなの?」
クェス「お父さんが外交官で、仕事の都合で日本に来たんだ、でも仕事が礒がしいから親戚の人に預けられたんだ。」
うさぎ「へー、でもあまり似てないわね。」
クェス「あはは、よく言われるんだ。」
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
生徒A「起立、礼、着席」
シャア「諸君、全校集会でも言ったと思うが、私が政治経済を担当することになったシャア・アズナブルだ、よろしく頼む。」
海野「先生、質問があります。」
シャア「言ってみたまえ。」
海野「先生が集会で言っていたジーク・ジオンとは一体、僕はそれが気になっているんです。」
シャア「・・別に忘れてもらってかまわんよ。」
海野「はあ」
>>408 推奨BGM
http://www.youtube.com/watch?v=xP4oDb_JDLU >>403 訂正
×わが身の不甲斐のなさに嘆きながら
○わが身の不甲斐のなさを嘆きつつ
====================
『マイン!おめでとう!』
『これでマインも大人の仲間入りだな!』
『お赤飯でお祝いしなくっちゃな!』
決して恵まれた環境ではなかった、就職戦線の中で
自分と同期に入社した『あいつ』は、この度の新プロジェクトに
『斜陽』と密かに陰口を叩かれるこの部署から、ただ一人引き抜かれた。
冒頭(敢えて、可笑しな表現で申し訳ないが)に
同期の仲間たちから口々に『祝福』めいた言葉をかけられていたが
その言葉を発した仲間の目が、実は笑っていない事を『あいつ』は
果たして気づいているだろうか?
いや・・・気づいていないだろう。何も大して苦労もせずに
若くして(中の人はもう本当にいい歳ぶっこいているのだけども)重要な
プロジェクトを任せられるのは、ここでも、実力なんぞ以上に
『コネ』が効くという証明に他ならない。
『オリバー君、私からもおめでとうを言わせてくれないか?』
近い将来、OBとして所謂、『企業年金リスク』の当事者となる
(推奨参照サイト:キーワード『WBS』)
『室長』までもが『あいつ』に握手を求めている。
『ありがとうございます!室長・・・』
上司と部下・・・がっしりと互いに両手を握り合う姿は
一般的に見れば、実に感動を覚える場面であるが
暗く陰湿で、不穏な空気が満ち満ちているこの部署を
背景にした場合、残念ながら全く違った印象を
目にした者達に与えていた。
それは・・・
単純に世代(昭和と平成みたいな?)が代わると
こうも顔つきや体つきが変わってしまうものなのか?といった
あくまでも表層的な、グラフィツク&ビジュアル面だけでは無く
所謂・・・『勝ち組』と『負け組み』という
痛烈であり、残酷すぎる現実までも、並び立つシルエットは
残された者たちの脳に焼き付けることになった。
『今度、会う時は私が敬語を使わなければならないかな?マイン?』
『そんな・・・室長まで・・・からかわないで下さいよ。』
『はっはは・・・冗談だよ!冗談!』
部下の出世をわが事のように喜ぶ『前世紀生まれ』の瞳は
一世代前のCG宜しく、冷たく光る。
ああいった社交辞令という『処世術』を半世紀近くも
繰り返していると、燻(くすぶ)り、やさぐれている
自分達の両眼も、やがてはアンティーク人形の
ガラス玉のようになってしまうのだろうか?
『よーし!今日は室長の奢りだ!みんな飲むぞー!!』
『おおっ!?室長・・・ふとっ腹!!』
『おいおいおい!なるべくお手柔らかに頼むよ?』
負け組み達の雄叫びが木霊する・・・
半ばやけくそなのは『アイツ』以外、誰もが感じている事だろう。
はぁ〜〜・・・今夜もも悪い酒になりそうだ。
『ずらかれ!』・・・と連呼する
超・世界的なアーティストの歌ではないが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=_87VTSrJS4U&feature=related 案の定、『あいつ』事、『オリバー・マイン』の
送別会は荒れたものになった。
誰もがみな・・・絡み酒なのである。
『畜生・・・お前の顔だけ浮いてるんだよ!』
『CGで並ぶと別世界なんだ・・・少しは空気読めよ!』
『今度こそ、日の目を見れると思ったのに・・・』
『斜陽』な部門の面子の怨嗟が延々と続く・・・
それは図らずも、プロジェクトから外されたキャラクター達の声を
代弁していた。
『びっくりどっきり機械まがいの癖に・・・なんでお前らだけ本採用?』
『なんとかの脅威のバカヤロー!!』
負け組み達の雄叫びが今日も木霊する・・・
これからも彼らは酒などを煽りつつ、『無かった事』にされる
EPや会社のプロジェクトに恨み節を吐きながら、みっともなく
生きてゆく事になるのだろうか?いや・・・そんな筈はない。
新たな機会を目指し、雌伏の時を再び過ごすに違いない。
(消化不良・・・orz 正直スマンかった。
【今更?】なんとかの脅威V【所感】ネタ・・・終わり)
ライラ「!?何をしている!」
ジェリド「オレたちが二毛作を教えてやろうってんだよ。」
カクリコン「今時、稲だけなんてなァな。」
ジャマイカン「農地は我々が接収したのだ。文句を言われる筋合いはない。」
ライラ「接収しただと!?村長?」
チャン「会議での決定だ。ここは彼らに主導権がある。」
ライラ「認めるか!」
ジェリド「やめなって!違う種類の作物が食えるようになるんだ。悪い話じゃないだろ。」
ライラ「新参者に、ここの土の何がわかる!」
ジェリド「ちゃんと調べたさ。同じような土は、他でも見てきた。」
ライラ「それが甘いんだよ!都育ちの子供に」
カクリコン「穴熊は黙っていろ!」
ライラ「あッ…!」
バスク「何を遊んでいる。もう日は昇っているのだぞ。」
ジャマイカン「は、申し訳ありません。物分りの悪い女が騒ぐもので。」
バスク「たかが雌一匹に。これ以上騒ぐのなら生贄にしろ。いま殺しても構わん。」
ジャマイカン「それでは村のヤツらが黙ってはおりますまい。」
バスク「ここは我々の土地だ。余所者に遠慮はいらん。」
ジャマイカン「ははッ!」
山岡www
418 :
通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 09:44:24 ID:uT8oqT8/
age
419 :
age:2009/08/24(月) 02:45:09 ID:???
age
エマ「どうして売れないか、考えた?2カ月よ?」
カミーユ「はい…ぼくの、まず飛び込みする時のイメージが悪いって」
エマ「笑顔でお邪魔してるんでしょう?」
カミーユ「はい、それは」
エマ「なら、違うわね。パンフレットや名刺は置いて帰ってる?」
カミーユ「はい。どんな対応をされても、それだけは必ず。」
レコア「まさか、置いて帰ってそのままなんてことないわよね?」
カミーユ「一週間後に、再度お邪魔しています。」
エマ「いらないって、言われたら?」
カミーユ「いらないんだから、帰りますよ。」
レコア「あなたね!!」
エマ「はァ…」
カミーユ「パン屋や書店にモビルスーツが必要だと思いますか!?」
エマ「あなた、そんな所を周っているの!!??」
カミーユ「だって、工場や製造所にはもうあるじゃないですか!!」
レコア「あきれた。老朽化や効率性の向上ってことを考えられないの!?」
カミーユ「ティターンズ製のは、性能いいんですよ!」
エマ「ウチと出所は同じでしょうに!」
カミーユ「アッシマータイプなんです!オークランドの!そこへネモなんていうのはね!!
ドダイとセットでどうですかって、無茶苦茶ですよ!収納スペースだって」
レコア「アッシマーは大きいのよ?ネモをドダイに乗せて置けば、そんなに違いはないわ」
カミーユ「レコアさんは単独飛行のメリットがわからないんですか?」
エマ「甘えないで!コストで責めれば勝てます。」
カミーユ「それ、導入時のコストでしょ。メンテを考えたら二機分ですよ。」
レコア「なぜウチが整備班を自社雇用してるか」
カミーユ「業務効率の向上って言われたら、そんなの無駄です。」
エマ「ドダイは無人で動く。あなた、もう一度ロープレをやる必要があるわね。」
カミーユ「もういいですよ!いきなり開発から転属させられて、嫌なんです!向いてないんです!」
レコア「子供のようなことを!」
ファ「あの、レコアさん、サイド2のベンテン商会からお電話が…」
レコア「ええ…?会議中って言っておいて。どうせゴルフのお誘いよ。」
ファ「それが、あの、ジムUからギャプランに乗り換えるから、全部引き取ってくれって…」
レコア「な…ったく!!エマさん、後はお願い。」
エマ「ええ。」
カミーユ「それみろ!」
エマ「カミーユ!!」
クワトロ「いや、カミーユの気持ちもわかる。」
エマ「部長」
クワトロ「在庫過多の二線級を処分してから、というのも、そろそろ限界だろうな。」
エマ「でも、ウォン社長は」
クワトロ「ネモはバージョンVというプランで、グラナダの警備会社へ売り込むことになった。
ジムUは思い切ってジャンクだな。」
カミーユ「じゃあ」
クワトロ「売ってみるか、リックディアス」
カミーユ「ディジェと抱き合わせなんて、嫌ですよ?」
クワトロ「SE-Rもあるじゃないか」
カミーユ「今は、空を飛ぶモビルアーマーが流行りなのに…」
クワトロ「来月中に10台!なんなら、百式を二割引してもかまわん。それができたら、いいものを扱わせてやる。」
エマ「まさか!!」
カミーユ「できたんですか!?」
クワトロ「いよいよ受付開始さ。だから、ここで投げるな。大人しくエマに指導してもらえ。」
カミーユ「ぼくのかんがえたモビルスーツが、売れる…」
エマ「よかったわね!じゃあ、ロープレ、やりましょうか!もちろん、商材はリックディアス。甘やかさないわよ?」
カミーユ「はい!」
レコア「くそっ…あんな会社にギャプランなんて必要ないのよ!」
アポリー「ただいまー」
ファ「お疲れ様です!お茶、入れてきますね!」
アポリー「おー、ありがと。なんだいレコアさん、イライラして。」
レコア「ベンテンの肥満体が、ジムUを突き返してきたのよ。」
アポリー「ええ、会社畳むのかい。」
レコア「乗り換えよ」
アポリー「モビルアーマーかー。どこもかしこもビュンビュンってさ。」
レコア「今日の商談、どうだったの?」
アポリー「百式5機は決定したけど、やっぱりMAも欲しいってさ。どうするかね。」
クワトロ「ゼータが来るぞ。」
アポリー・レコア「えっ」
クワトロ「それなら、何機いけそうだ?」
アポリー「百式が減りそうですけど、あそこなら10機以上は。」
レコア「予約、受け付けていいんですか?」
クワトロ「ベンテンか…ま、いいだろう。ただし、納期はボカせよ。」
レコア「了解!!」
アポリー「ウチもいよいよ可変ですか。忙しくなりますね。」
クワトロ「カミーユには現場を知ってもらって、今後の開発に生かしてもらう。」
アポリー「ヤツ、だいぶ溜まってるけど、大丈夫ですか?」
クワトロ「目の前で客が買えば、喜びも一入さ。その後で開発に返すよ。ケアしてやってくれ。」
アポリー「ケアしてやれってよ。」
ファ「えっ、あ、はいっ!」
ファ「お疲れ様。よかったわね、ゼータ。コーヒーでいい?」
カミーユ「ありがとう。そろそろ辞め時かもな。」
ファ「自信あるんでしょう?じゃあ…」
カミーユ「そりゃ見届けるつもりさ。けどね、オレにはペコペコやるの向いてないよ。」
ファ「わかるけど…でも、きっとたくさん売れるわ。こっちから行かなくたって。」
カミーユ「ずっとは続かないだろ。だから、もっと新しいマシーンがいる。」
ファ「ここでは、もう嫌?」
カミーユ「悪い人達じゃないのは知ってるよ。頑固すぎるのさ。」
ファ「フフ…アハハハ」
カミーユ「なんだよ」
ファ「だって、カミーユが人のことを頑固だなんてさ。」
カミーユ「オレは間違ってないぜ。」
ファ「ほら!アハハハハ!」
カミーユ「もういいですよ!」
ファ「フフ…ね、日曜日、久しぶりにサイド2の13バンチへ行かない?」
カミーユ「ボートかい?まったく、ファはいつでも女の子だな。」
ファ「女じゃなかったら、なんなのよ。」
カミーユ「胸を見せてくれないから…」
ファ「バッカじゃないの!」
カミーユ「ムードがないんだから。」ファ「どっちが!」
ファ「会社でしょ。これで我慢して。ン…」
カミーユ「…コーヒー、ちょっと苦いだろ。」
ファ「もう!!」
ジェリド「カクリコン!」
カクリコン「よう月間MVP。また売ってきたか?」
ジェリド「ガブスレイの話ばっかりさ。そっちは?」
カクリコン「アッシマーもギャプランも好調だが、お陰でマラサイが余ってる。良くないな。」
ジェリド「そんなに数はないんだろ。いざとなりゃ親に回せばいいって。」
カクリコン「そういう甘さが足元をすくうんだぜ。」
ジェリド「優等生だな。状況は利用できるだけ利用する、当然だ。」
カクリコン「ま、それも一理あるがね。新人は見てきたか?」
ジェリド「ああ…女ばっかりってのは、ジャマイカンの趣味かね。」
カクリコン「おい、シロッコだ。」
シロッコ「…以上、各々の部署で周知徹底するように。では、解散。」
サラ「部長、お車の用意が整いました。」
シロッコ「ん。ほう、化粧を変えてきたか。」
サラ「あ、はいっ…!」
シロッコ「それでいい。今日の客は、相手を舐めるかもしれんからな。」
ジェリド「コソコソと何をやってるんだかさ…」
カクリコン「アクシズと組むんじゃないの。」
ジェリド「本当か?」
カクリコン「噂レベルだが、そういう怪しい話が出て、あいつが動く。オレは信じるね。」
ジェリド「安物メインだが、商売敵だろ。」
カクリコン「エゥーゴの新製品とも、関係があるかも。」
ジェリド「今年に入って、下請けが3件逃げたこととも?」
カクリコン「さあてな…ん、メール…アメリアか」
ジェリド「ケッ」
ハマーン「炭酸が欲しいな…あるか?」
運転手「はい、右のボックスに。」
幹部「珍しいですな。」
ハマーン「俗物と食事を共にすると考えれば、喉が気持ち悪くていかん。」
幹部「なら、何か軽く入れていかれますか。」
ハマーン「いや、いい。腹が膨れて眠ってしまっては、流石に申し訳ないだろう。」
幹部「ははは。私共だけで十分でしたのに。」
ハマーン「ま、何事も始めが肝心と言う…ミネバ様も気にかけておられるのだから。」
幹部「はい。あの御歳にして、既に経営者の資質を感じさせられます。」
ハマーン「そうだ。ミネバ様が高校へ進学なさる前に、地球主要都市での支店開設は達成したい。」
幹部「その時にはもう、ティターンズはゴミ拾い。」
ハマーン「フフ、環境整備は重要な仕事さ。新規事業なのだから、胸を張ってもらおうではないか。」
幹部「しかし、シャア様は…」
ハマーン「返事は来たか?」
幹部「日程を調整中とのことで。」
ハマーン「ゼータガンダムか…我々とて、安価なガザシリーズの改良だけではなく、新型も準備している。
だが、短期で目標を達成するに、ティターンズ・エゥーゴ双方の販売網を利用しない手はない。」
幹部「果ては政界へ、ですかな?」
ハマーン「それはミネバ様にお願いしよう。あの方の美しくも強い血は、単に経営者で終るものではない。」
幹部「まったくです。」
運転手「ん…?ああ、事故のようです。こりゃ酷いな。迂回します。」
ハマーン「慌てずとも、少し遅れるくらいで丁度よい。立場を教えてやるのだ。」
ん?
あ?
1stその後の普通の話が読みたい
一年戦争が終わり、混乱の中にもわずかながら人々につかの間の穏やかな日常が
戻り始めた頃のお話。
駆け出しジャーナリストとしてカメラとケータイ端末を友に旅してまわり、へとへとに
なって裏路地の古びたアパートメントに戻ったカイの元へ、2通の淡い色合いの封筒が
投函されている。
-あちこち旅してるうちにお近づきになったご婦人もいなかったわけじゃない
が俺のネグラのこと教えたっけ?こんな色っぽい封筒ってまさかどこかで俺のご落胤が・・・
いや、確かに酔って色々あったことはあったがそんなにオイシイことはそうそう
なかった筈・・・
頭の中で色々な思いを走馬灯のようにぐるぐる駆け巡らせながら、おそるおそる
ドアポストから床に落ちた封筒を微かに震える手で拾い上げる
-俺って本当に臆病者、大丈夫。何も無ありゃしないって・・
カイはもう一度自分自身に言い聞かせ、腹を決めて封筒の表書きに目をおとす
「結婚式のご案内 カイ・シデン殿 ブライト・ノア、ミライ・ヤシマ」
えーっと、もう一通はと・・ハヤト・コバヤシ、フラウ・コバヤシ
「結婚のご報告とご挨拶」
へぇ〜、2組まとめて片付いたんだ。ってことはチビどもの親権問題も俺が
ここを離れているうちに落ち着いたってことか、そりゃよかったよかった。
ハヤトの方は写真が入ってるな。チビどもとハヤトとフラウか、
なんか顔見るの久しぶりだな。ふうーん、何だかんだ俺も相談うけてたけど
結局チビどもはハヤトん所が引き取るのね。なんか子供が子供育てるみたいだけど、
チビどものキモチも考えりゃ生活の安定したブライトん所よりもそっちのが幸せなんかねぇ。
で、ブライトの方は式はやっぱり軍で挙げるんか?あんまり気は乗らないけど
一応元上官だし、出席しなきゃならないんかなぁ。
何か断る口実、ねぇかなぁ?
1stその後、今20分ほどで勢いでさくっと書いた荒っぽいのだけどこんな
感じのがご希望ってことですかい?
方向性が違ったらごめんだけど、正解だったら今度はもうちょっと落ち着いて書いてみるよ
正解も正解、大正解
個人的にカイは大好きなキャラなのでもっと読みたいでございます
430だけど、カイ語りで意表をつかれた
でも読むから続けてください
434 :
牙隠す閑職:2009/12/06(日) 23:08:07 ID:???
ようこそ、ケネディ空港戦争博物館へ。
今日は・・・そうですか、パイロット志望だから一度位は見ておきたいと?
それは勉強熱心ですね。
え?休日でもこんなに空いているのかって?
もう終戦から4年も経ちますからね、むしろあの戦争の事など忘れたい人の方
が多いんでしょう、だからこんな調子でいつもガラガラなんです。
こちらにあるモビルスーツや艦船の一部は定期的に整備されていて実際に動かす
ことが出来るものもあるのですよ。大半がレプリカとはいえそれが当博物館の自慢なんです。
かつて軍でメカニックをしていた者を数名雇っておりまして。また、私自身も一年戦争当時は
自ら整備の手伝いをしたことがありますのでね。
勿論たまにメンテナンスでメカニックや息子がテストする以外は軍の許可無く
動かすことは不可能なのですが、全く動かないハリボテばかり並べている博物館なんて
面白くないでしょう?
政府もそれで客が増えるならと容認してくれてましてね。
そう、あれがあの有名なガンダムのレプリカ、あれは流石に動くようにするする
許可が下りませんでしてね。あちらの方のザクやジムなんかは武器系統以外はきちんと稼動
するんですけどね。あっちにあるのがガンタンク、やぼったいけど私個人的には味があって
結構好きなんです。イマイチ人気が無いのがとても残念なんですけどね。
あちら側がジオンのモビルスーツですね。終戦後に軍が捕獲したものの余りや研究済みの
ものを集めてきたようです。戦争当時は恐怖と嫌悪の感で見るの嫌だったものですが、いざ
自分が管理する立場になると。連邦のものとはまた違ってよくできているもんだなぁと
不思議と愛着が出てくるものでしてね、何故雇われ館長の私にとっては大切な
預かりものですから。
ええ、そうです。私のような戦果の少ないパイロットのことまで流石によくご存知ですね。
現在この博物館の館長であり、元ホワイトベースクルーのハヤト・コバヤシです。
今回はカイじゃなくてスマヌ
えー…ものっそい遅れましてすいません。
予定は未定ですが、とりあえず、再開させていただきます。
SD-GUNDAM
G-GENERATION DS
APPENDIX SESSION:破
月は無慈悲な夜の女王
[session 1]
『貴方は納豆に葱を入れて食べますか?』
モニターの中で、典型的な北欧の美少女が日系のジャーナリストに問いかけていた。
(あれば入れたいな。そういえば士官学校に、朝食の時卵を混ぜるなんて納豆に対する侮辱だと言い出して
一悶着起こした奴が居たっけ…あいつたしかティターンズにはいったと聞いたが)
などと考えつつ、コウ・ウラキは胡麻ドレッシングを大皿に盛ったレタスとトマトの簡素なサラダにたっぷりとかけた。
『私は付いているものを加えるだけですね。最近はあまり食べることもありませんが、たまに黒酢が付いているのを
買って食べています。そうそう、ケチャップを使うのもなかなか乙なものですよ』
『あらそんな方法があるのですか。今度試してみます』
屋外の庭園に設けられれた記者会見場から、小柄な東洋人の少年が小走りに姿を消した。その場にいた記者も、
視聴者も、誰もそのことに気を留めはしなかった。
『今シデンさんが仰った事をよく考えてください。ただ納豆を食べるだけでも、多くの手段があります。それと同じことです。
確かにわたくしたちの中に意見の対立は存在しますが、それでも、この休戦状態を恒久的な平和へと導くことを目指している
ことは変わりません。我がサンクキングダムがジオン共和国に対し木星航路の連邦への譲渡を求めているのは決して制裁で
はなく、その利益を地球の難民救済にあてるための一時的な措置であることを、どうぞご理解ください』
(どうなんだろうね、ジオニックの皆は明日にでもまた戦争を始めそうな勢いだけど…いい加減引き揚げたほうがいいのか?
でもどこに?仕事はどうする?)
ここ数日彼を悩ませている問題が再び脳裏によみがえった。が、すぐに振り払うとウラキはグラスを二つ取り出し、両方に牛乳を
注いでから廊下の奥によく通る声でいった。
「トリエ、朝食が出来たよ」
[session 2]
「まあ食え」
例のごとくたっぷりとチリソースのかかったシャシリク(ロシア風ケバブ)を目の前にして、アスラン・ザラは
生え際の心配をしていた。心配が前髪の絶対防衛線を犯すのではないかと考慮し、その考慮が頭髪の密度
に悪影響を及ぼすのではないかと悩んでいた。
「いつもこれだな…」
「なんか言ったか?」
「いや、何も」
唯一味覚に関することのみは逆らわない、それが彼の、美貌の婚約者に対する掟であった。
「あのお姫様は理想主義にすぎる。あんな言い方をしたところで、サイド3がうんと言うわけないだろう」
「じゃどうする?また戦争か、君の嫌いな」
「そこまではいわないさ。だが、木星のヘリウムとそれを売った金位でしか、地球環境の大修復と難民
の保護は不可能だ。私は嫌だぞ、難民をこの狭いオーブに受け入れるなんて」
「が、木星航路は本来ジオン公国が開拓したものだ。渡したくない彼らの立場だって」
「その後いったんは連邦が接収した。今奴らが確保しているのは、木星帝国のゴタゴタの後の火事場泥棒
にすぎない。それを手放すことで奴らが地球を滅茶苦茶にした落とし前をつけられるなら、安いもんだろ」
「こっちの理屈を、わかってくれるといいんだが」
「言ってはみるさ…ブリーフィングの続きは機内だ。支度しろ」
二人は気だるそうにベッドから起き上がると、何も付けていない体を隠そうともせず、アスランは左にカガリは右に、
それぞれ歩いて行った。
wktkして待っておりました
[session 3]
潮風が強くなった。
詰襟の前をはだけた、茶色いサングラスを掛けた黒髪の少年が、浜辺のボードウォーク(床が木材で出来ている散歩道)の喫茶店で、
アイスコーヒーのグラスに汗をかかせたまま、座って午前の鮮やかな日光を楽しんでいる。この時間帯は客も少ない。店の主人は
連邦福祉委員会の自国政府に対する難民受け入れ勧告についての研究に、余念がない。彼はテレビから目を離さない。
暇を持て余した少年が、海を見たまま背中の方にいる店主に声をかけた。
「最悪ですよ、こっちで難民を引き受けろ、だなんて」
「けどまあ、ね。与党のアスハ派が条件付きで、っていってるから…やっぱりいくらかは来ることになるんじゃないですか」
「アスハってそうなんですか?僕は宇宙から来たんで知らないんですが」
「カガリ様は反対なさってるそうですが、ウズミ様以来の議員は賛成していますね。連邦との協調に、難民の多い南米との貿易に、
色々難しいと思いますよ」
突然少女の声がした。
『電話だよ〜♪』
「あ、すいません、ちょっと」
「彼女さんの声ですか?その着ボイス」
「妹のです」
「アタッチメントと追加デバイスが来ないんですが」
油の匂いが強い、壁を白く塗られた明るくだだっ広い工場の倉庫だった。若干太り気味の事務員は目の前の機体に困惑顔だった。
倉庫に入るまでは、目の前を歩く体にぴったりとしたスーツを着た少女の尻に意識が向けられていたのだが。健康的な魅力を発散する
すらりとしたボディラインを露骨に主張した姿は廊下を歩く作業員全ての視線を誘っていたので、彼を責めるのも酷だろう。
「これで完成していますよ、問題ないです」
骨。見るもの全てにその一文字を強制的に想起させる機体が立っていた。薄いアイボリーの塗装、極端に細い手足、一方それに不釣り合いな、
肩に取り付けられた大型のスラスターから、機動性の高さと極端な取り回しの悪さが窺える。何を目的で設計されたのかどうにも理解に苦しむ。
「整備は終わっているから、もう動けますよ。燃料は2時間分入れてあります」
「ありがとうございます!突然の話で申し訳ありませんでした。もう、断られちゃったらどうしよう、って心配だったんですよ」
赤い髪が首のところで無造作に切られている後頭部から、再び尻に視線を移し、手を伸ばしながら言った。だが邪な思惑を見透かしたように、
少女は走り出し、軽快に梯子に駆け寄り、登りだした。
「イベント用って、何に使うんですかー!これ!?」
「そうですねー、まず…」
ハッチが閉じられた。即座に事務員の襟元に付けられた無線機から声が聞こえてきた。
登場する前の溌剌とした少女そのものの声の代わりに、低く、冷たい声で
「−私は、お前を殺したい―」
突然の爆音にも動じず、少年は携帯をポケットに入れ、立ち上がった。
「あ、逃げる必要はないですから。こっちには来ません。あとこれお代です」
カウンターの奥で頭を押さえて震えている主人に、間延びしているほどのんびりと落ち着いた口調で少年は告げ、ゆっくりと出て行った。
↑すいません名前忘れてました
age
[session 4]
「流石はキラ准将だ。対応が早いね」
詰襟のボタンをつけながら、ゆったりと海岸沿いを歩く少年が一人つぶやいた。左肩にゴルフバックを担ぎ、まるで散歩をしている
ようだ。だが彼が左手に眺める景色は、彼の様子とは裏腹に、あまりにも鮮烈で、壮絶であった。
工場へと続く、十分な幅を持った全ての道路に、オーブ本土防衛軍首都警備隊の制式装備であるストライクダガーがそれぞれ
十分な距離を保ちつつ列を作り、ゆっくりと輪をつめるように進んでいる。だがその中心にある細いモビルスーツは、そんなことなど
気にしないかのように、舞踏していた。一挙に間合いを詰めてその持つ唯一の武器であるビームナイフを、正確にコックピットに突き
刺す。と見るや、ナイフを引き抜く動作も見えずその場で頭を下にして跳躍し、後方からのビームライフルによる射撃をかわす。浮か
んだまま一回点し、着地するや否やクラウチング・スタイルからすべるように工場から伸びる幹線道路を駆け出す。前進していたスト
ライクダガーの脚部の付け根にナイフを突き刺すと、細身の体からは想像もつかない豪快な動作でそれを一挙に前方に押し出す。
後続の機体が転倒するや、即座に飛びかかり、胸部にナイフを突き立てる。骨の如き機体が飛び去ったかと思うと、ナイフを突き
立てられた機体の動力炉が誘爆した。路上はたちまちに瓦礫の山で埋め尽くされ、爆風で吹き飛ばされた機体は別の通路を
前進していた機体にぶつかり、押し倒す。異形の機体はなおも血に餓えているかのように立ち上がり、真後ろに飛び掛っていった。
「危ないからすぐに避難しなさい!」
と、その時、1キロほど離れた海岸で、警官が少年の肩をつかんだ。
「ちょっとこの方向に用があるんで。ところで、政治刑務所ってどこでしたっけ?」
少年は警官の存在を意に介さないように答える。
「そんな所に何の用があるっていうんだ!とにかく逃げなさい!」
「大丈夫ですって、こっちには来ませんから」
「何でそんなことが…もしかして、君は!?」
「あ〜あ、アンタも運の悪い人だ。…仏説摩訶般若波羅蜜多心経…」
少年は不意にゴルフバックを肩からはずして足元に転がすと、わずかに開いていたチャックに手を突っ込み、中の物を取り出した。
刀だった。
[session 5]
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時」左手に鞘を握り、右手で刀を抜く。警官の首を落とす。
「照見五蘊皆空、度一切苦厄」走り出す。左手に曲がり、路地に入る。
「舎利子!」跳躍し、異変を察知して走ってきた警官4名を飛び越える。
「色不異空、空不異色」そのまま振り向いて刀を左に一閃する。
「色即是空、空即是色」さらに右に閃かせる。
「受・想・行・識亦復如是!」崩れ落ちる肉塊に目もくれず駆け出す。
「舎利子。是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減」50メートルほど駆け抜け、マンホールを開け、飛び込む。
「是故空中、無色、無受・想・行・識、無眼・耳・鼻・舌・身・意、無色・声・香・味・触・法」前方から4名の兵士が来る。
手回しのよさに、つい口笛が洩れる。が、発砲を許す前に刀を右に地面に平行に突き出して前方へと駆け飛ぶ。兵士の真ん中
をすり抜けた次の瞬間、右側の2名が真っ二つに割れる。ボトボトという音が4回聞こえた。続けて振り向きざま蜻蛉に構え、
残った二名のうち少年から見て左にいる兵士を背中から袈裟切りにする。瞬時に刀を持ち替え、刃を上に向け、跳ね上げる。
右側の兵士も股間から右肩にかけて真っ二つに切り裂かれ、そのまま倒れた。
「無眼界、乃至、無意識界。無無明、亦無無明尽、乃至、無老死、亦無老死尽。無苦・集・滅・道。無智亦無得。以無所得故、
菩提薩?、依般若波羅蜜多故、心無?礙、無?礙故、無有恐怖、遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃。三世諸仏、依般若波羅蜜多故、
得阿耨多羅三藐三菩提」刀を鞘におさめ、鞘を左腰のベルトに差し込む。上がった息を整えるため、またゆっくりと500メートルほど
歩く。
「故知、般若波羅蜜多」不意に足を止め、抜刀するのと同時に左手の壁を切り裂く。さらに3度、方向を変えて切り裂く。
「是大神呪」壁を蹴り、周囲から切断された部分を後方に押し落とす。
「是大明呪」懐中電灯を胸元から引き出し、通路があることを確認すると前進する。
「是無上呪」通路を15メートル進んだ。
「是無等等呪」梯子に行き当たり、そのまま登る。
「能除一切苦、真実不虚」登りついた更に上のマンホールを跳ね上げる。即座に銃弾が飛んできた。
「故説、般若波羅蜜多呪」一旦下り、即座に刀を下から銃を持った看守に投げつける。心臓が正確に貫かれた。
「即説呪曰」稲妻の如く駆け上り、刀を引き抜いて左右に飛び、その場にいた者を皆殺しにする。
「羯諦羯諦(行けり、行けり)」奥のドアをあけようとするが、鍵がかかっている。
「波羅羯諦(超えて行けり)」再び刀でドアに穴を開け、進む。
「波羅僧羯諦(全て超えて行けり)」歌うように唱えつつ、廊下を歩く。
「菩提薩婆訶(何という悟りよ、嗚呼!)」突き当たりにあった鉄格子を切り裂く。
「般若心経」中にいた男に向かい、跪く。ナイスタイミング。少年はほくそ笑んだ。
「な、何だ!?君は」
快適そうに調えられた監房のなかで、不似合いな囚人服を着せられた男は震えた声で少年に向かい尋ねた。
「Crimson Knights(紅の騎士団)一番隊隊長、シン・アスカ。この国の正当な支配者であらせられるユウナ・ロラ・セイマン様を
お助けに参上仕りました」
全身を朱に染めた少年は、それだけいってしまうと跪拝したまま顔を上げ、唇を片方だけ吊り上げた。
[session 6]
「申し上げます!政治犯収容所に、侵入者が!」
「そんなことに構ってる場合じゃない!それよりも、一般人への被害の拡大を防ぐんだ!」
中性的な容貌をした少年が、部下に叫ばれ、叫び返した。
「糞っ!カガリもアスランも留守にしているときに…っ!」
「フリーダムを出します!出撃のご用意を!」
「駄目だ!あんなものを使ったら、余計に被害がでる!」
かつてのオーブ攻防戦での、些細な事故がきっかけで起こった悲劇が少年を呪縛していた。が
「為政者としては、あるいは立派な態度なのかも知れんな、それは」
「き、君は…!」
司令部にいた幕僚は、全員倒れ付している。
「便利な体だな、コーディネーターというのは。毒ガスにも耐えられるとは」
少年より一回り小柄な男が、拳銃の銃口を向けながら近づいてきた。
「貴様のその甘さはミスだ…」
次の瞬間、少年の意識は、闇に溶けた。
「あと、一組っーーーーっ!!」
先ほどから縦横無尽に暴れまわっていた異形の機体も、限界が見えていた。集中する弾丸を、すり抜けていくかのように
かわしていた手足も無茶な動きのツケかひびが入り、ビームナイフはすでに稼動せず、捨てられている。
残った2台のストライクダガーが、前後から挟み撃ちにするかのようにかけてきた。異形の機体は再び空中に舞う。だが
前にいた機体の後方に着地したとき、左脚部が折れた。
「さあ、最後の仕事だ!」
前のめりに倒れたまま敵機に抱きつくと、そのまま肩のスラスターを噴射させ、もう一台にぶつける。残った3つの手足
で蜘蛛のように2つの機体を絡めとり、押し倒す。少女は操縦席左脇のレバーを引いた。2秒後、スラスターの下が開き、
脱出ポットが飛び出た。5秒後、異形の機体は最後に残った敵を道連れに自爆した。
脱出寸前に、ポットが海に着水するよう準備してあった。
少女は円形のカプセルの窓を開け、身を外に乗り出すと、被っていたヘルメットを外し、未だ盛大に煙を上げている
方向に顔を向けた。
「お役目ご苦労様。じゃあな、コルレル」
447 :
通常の名無しさんの3倍:2010/01/17(日) 01:18:08 ID:+0jISPDP
あげてみる
この分でいくと、完結まで半年はかかりそうだ…
アウトラインは一年前に完成していたのですが、その後見たいろいろな物の影響が入っています。
ご意見ご感想ご批判ご質問、お待ちしております!
>名無し3尉殿
すごく…面白いです
般若心経を唱えつつ殺しまくるシンがシュールすぎるw
序のほうも読ませて頂きましたが
いまいち地味でショボイと思っていたコウ・ウラキを
初めてカッコイイと思いました
正座して0083を見直すことにします
今後の展開にwktkしております
[session 7]
「…ええ、その話でしたら、このアンドロメダに住む者で知らないものは居りませんわ!ウラキ辺境伯がジェネシスで
初代総帥(ディクタトール)をお討ちになられた時のことでしょう。今時の幼い子でしたら、それこそ赤子の時から
よく聞かされておりますとも。でも信じられない思いですわ。あんなにお優しそうな、失礼ながら頼りないといってもいい
少年めいた顔立ちのお方が、自軍に倍する兵力に囲まれながらも『撤退など思いもよらないことです。我々が敵より
圧倒的に有利な状況にあることは明白ではありませんか!』などと自信満々にいえたなんて!
…正確な表現は違うとおっしゃるのですか。キャプテン・ブライトの回想録にそうあるのでしたら、そうなのでしょうね
(あのお方も本当にお可哀そうに!息子さんがまさかあんなことになるとは。今頃ヴァルハラで、ペガサス公や二代総帥
のお話に花が咲いていることでしょう)
交友、ですか…。やはり副官であらせられた、赤毛のジークフリート様が、一番館に来られた回数が多いのではないかと
思います。とはいえ、一番多い時でも週に一度ぐらいでしたが。ウェドナー様は当時二人の女性と付き合っていらして、
どちらか一人は必ずお連れになっていました。三人でお見えになったことも、一度や二度ではありませんでしたとも!
セラ様とミアン様、どちらがご夫人になられるのか、使用人は賭けに興じたものでございます。他には、ガトー卿(リッター)や
カムイ・フォン・オーベルクリプトメリア伯等、軍人の方がほんの数人位でしたね。ウラキ様を御訪ねにいらっしゃったのは。
地位や業績からいっても、もっと多くてよかったと思うのですが。
…まあ!そんなことがあったのですか。ええ、この事は、アマテラスオオミカミとオーディンとユピテルと玉皇上帝にかけて、
絶対に誰にも言いませんとも。墓まで持っていきます。それにその事を知ったとはいえ、わたくしの辺境伯様への尊敬は、
揺るぎはしませんとも。
そうそう、思い出しました。使用人はそう多くいなかったので、メイドの私が辺境伯様にお料理を作ることも多うございました。
タムラさんからニンジンを使わないようにとの指示は受けてはいましたが、コーヒーにも一度も手をつけられたことはありませんでした。
それもそのことに関係あるのでしょう。ええ、あの愛らしいディー・トリエル様にあのような事があったのですから…」
(UC100年記念出版『宇宙百年史』取材データベース、ファイルナンバーUS−3 けー776より
取材者カイ・シデン)
[session 8]
本来なら確保しているべき予備兵力は、全て両翼の残存勢力を足止めするために使われていた。俗に、一年戦争と
並列して『半年紛争』と呼ばれる混乱の最終局面である。数多くの挑戦者たちが一つのリングに乱入し、時には手を取り合い、
時には裏切りつつ戦い続けた。最後に残った勝利者であるエゥーゴは、その時累卵の危うきにあった。
「敵機30、彼我戦力差2:1」
アークエンジェルのブリッジで、サイド5の反ジオンレジスタンス「サテリコン」出身のオペレーター、パーラ・シスが悲鳴を上げた。
「たっく、3つあるから一つ一つ潰してきゃいいって、考えが単純すぎンだよ」
愛機(ティターンズから鹵獲したガンダムMK−X)の補給に戻ったアークエンジェル艦載MS隊隊長ムゥ・ラ・フラガ大尉が、
ハンガーで栄養剤入りのグレープフルーツジュースのストローから口を離し、恋人であるアークエンジェル艦長マリュー・ラミアス大尉
に向き合って、いった。
「始まってしまったことよ。今さらどうこう言わないで。大体、3機も撃墜して帰った後に言う台詞じゃないわよ」
「お陰でライフルもインコムも空っぽだよ。整備に時間がかかる分、休めていいけどね」
言うなり彼は力を抜き、彼女の肉体の中でも最も彼が愛し、賞賛し、執着して止まない部位―当時はパイロットの一人でもあった
カガリ・ユラ・アスハを中心とした、「ある種の女性は周囲に与える影響からいって無重力圏での活動に適していないのではないか」
との深刻な議論を巻き起しもした―である二つの膨らみに顔面を押しつけるようにしてもたれかかった。恋人の抗議も周囲の視線も、
もはや気に止まらない。
(畜生。こうするしかないのは分かっていても、後でウラキの奴に多少嫌味をいってやらんと気が済まん。だが俺も奴も、
2時間後生きているかどうか…)
そう考えながら、彼は海溝のように深く、短いまどろみに落ちていった。
勝機は思いがけずに現れた。その名の通り全センチュリオの指揮統制を司る機体、インペラトール(ラテン語での本来の意味は将軍である)
と、第一線部隊であるセンチュリオの群れの間に大きめの間隙が開いたのだ。もとより迂回しての侵入は望めない。それでも、モビルスーツ
一個小隊が展開するには十分な地積ではあった。
センチュリオの試作型実験機トライアが、インペラトールの眼前に飛び込みつつ八双に構えた獲物―ブレード・ルミナリウム―を振り下ろした。
マシンチャイルド故、としか言いようのない直感によって好機を捕え、切り結んでいたセンチュリオの獲物を差し出した右腕、次いで頭部を踏み台
にして飛び上がり、ジェネシスの壁面から離脱。次いでスラスターをふかし、一挙に女王蜂をねらったのだ。
紙一重で致命傷は免れたが、機体前面は大きく切り裂かれ、キャノピーから搭乗者の顔が見えた。バイザーをかけた上にヘルメットを被ってはいても、
それは明らかに、トライアの搭乗者、ディー・トリエルと同じ顔であった。
怯まず獲物を真横に切り返す。トライアの正面も切り裂かれる。隔てるものなく、二人は見つめあった。
(ゼノビアーーッ!)
(私は…ディー・トリエル!)
一瞬、濃厚な思念の粒と波が真空を飛び交った。と見るや、二つの機体は同時に間合いをとった。互いに銃―ランチャー・ジェミナス―を射ちながら
前後左右に駆け続ける。トライアの方が先に弾が切れた。銃を放り捨て、素手のまま駆けだした。次々に被弾し、装甲に穴が開き、自己修復も追いつかずに
崩れ落ちていく。それこそがトリエルの狙いだった。軽くなった。
ノーマ・レギオの計算よりも0,3秒早く、トライアはインペラトールの前に着いた。両手に握られたブレード・ルミナリウムが胸に突き刺された。対応すべく
急速に生成され、右下から切り上げられたブレード・ルミナリウムは、トライアの左足を切り離すに止まった。
インペラトールは死んだ。ナノマシンと月光蝶により作り上げられたその機体にとっての最後は、破壊されることではなく、まさに死ぬことであった。
制御を失ったナノマシンは結合を解き、次々に自らの月光蝶によって分解される。生物体でいえば免疫機構の暴走、アレルギーが最も近いだろう。
だが通常動物がアレルギーで死ぬことは少ない。
インペラトールは虹色に発光しつつ、溶け崩れていった。統制をうしなった他のセンチュリオは、突如として動きが鈍くなり、討たれていった。
(…お父様…)
ノーマ・レギオの最後の想いを、ディー・トリエルだけが受け止めた
[session 9]
訳ではない。
「負けたな」
指令室でギレン・ザビがモニターを見つつ淡々といった。戦闘開始から今まで、身じろぎもせずに保たれていた直立不動の
姿勢は全く揺るいでいない。彼は常に鉄面皮であった。彼の表情は、出撃前のノーマ・レギオに
「どうか、戦いが終わったら、父上と呼ぶことをお許しください」
と言われ、ほんの少し驚いたように三白眼を見開いて以来、完全な無表情を保っていた。
「総帥、まだ武装はあります!」
「諦めることなく、どうかご再考を!」
データ取りと制御に必要とされる科学者を中心とした幕僚の面々が叫ぶ。とはいえ彼らの表情は、ギレンとは正反対に
怯え切ったものであった。
「私は貴官らの何倍もの数の勝利と敗北を経験したのだぞ。その私が言っているのだ。最早我々に勝ち目はない」
8年の雌伏を経た計画が敗北に終わったというのに、彼の態度は未練がましくも潔くもなく、例のごとく傲慢不遜であった。
「私はこれからジェネシスを自爆させて自決する。逃げるなら早い方がよいぞ。うまくいえば逃げ切れるかも知れぬし、
捕まったとしても、貴官らの才能をあたら無駄死にさせるほど、連邦も愚かではあるまい」
息子に殺されたパトリック・ザラの死骸を蹴り飛ばし、彼の目から見れば悪趣味としかいいようのない、機能美も様式美もない、
中途半端な指令室を一人去っていく。艦艇がいくらか残っているはずのドックへと駆け去っていく幕僚の足音など、彼には雑音ですらない。
彼自身のために作られた執務室がすぐ隣にあった。ジェネシス建造にソーラ・レイの技術を提供する見返りの一つとして作らせたのだ。
本来ならば、彼が適当な時期を見計らってパトリック・ザラを除き、ここからアースノイド殲滅の指揮を執るはずであったのだが。
サイドボードからサイド3産の、ギレン自身の肖像がラベルにプリントされたブランデーの瓶を取り出す。ブランデーの中で最も品質の
高いものをナポレオンと呼ぶのは、彼がフランス皇帝であったある年、ブドウがあまりにも豊作であった事に対する対策として彼が生産を
奨励したからである。言い換えれば、それだけ農業生産力に余裕がなければ到底作ることなどできない代物である。その瓶は、彼にとって
秘かに連邦に対し誇る業績の象徴であった。
底の平たいウイスキーグラスにダブルで注いだ。豪華なマホガニー製の机に置き、見るからに快適そうな黒いソファーのような執務用の
椅子に腰掛けようとした。が、ほんの少し物を思うような表情を作って中腰から再び立ち上がり、グラスをもう一つ用意して、ダブルに注ぎ、
座った時に向かい合う相手の為の位置に置いた。
座り、机の引き出しから自爆スイッチを取り出す。彼はグラスを誰もいない前方に掲げ、言った。
「子を持つというのは、いいものだな。ドズルよ」
ギレンは一息にブランデーを飲み下し、スイッチを押した。
以上が、3年前の出来事である。
GJ
ラストの1シーンが中の人追悼にみえた
やっと休み。
FATE見て二郎食って帰ってから書きます。
>>449 ご愛読ありがとうございます!
"Bleach"っぽくしようと思ってこうなりましたw
>初めてカッコイイと思いました
そういって頂けて何よりです。「序」を書いた動機の一つに、シンほど露骨ではなくても
ウラキも主人公持ってかれてるよなぁ…と可哀そうに思ったことがあるので。
これからもコウ・ウラキとディー・トリエルの物語にお付き合いいただければ幸いです。
まだまだ皆さんを驚かせる展開が待ってますので。
>>453 このシーンはずっと前に思いついて温めていたものですが、まさかこんなことになってしまうとは…
遅れてすいませんでした
[session 10:Marquis Talks T]
「…(マグカップを差し出す)」
「コーヒーか、ありがとう。今日はモカか。それとトリエ、早く着替えなさい。大体どうしていつも俺のYシャツを着て寝るんだ?新しいパジャマ買っておいたじゃないか」
「…?(何がいけないんだ、という眼、しかしすぐに閉じられ、唇が突き出される)」
軽くキスして、すぐに離れようとした。そろそろ仕事に出る時間だったから。でもこうして二人で朝を迎えるのは5日ぶりで、次に二人が家に揃っていられるのは1週間後だと
いうことを思い出した。サイド3に移ってから同じ家に住んでいたということになってたけど、彼女はニタ研に、俺はジオニックに詰めていることが多く、正直、家族だったなんて
実感はない。週に2日も一緒に入れたらいい方だったんだ。父親だか兄貴だか、とにかく自分の役割をまともに果たせていないと、いつもすまなく思ってはいた。
で、痛くないよう、少しだけ力をいれて彼女を抱きしめ、またキスして、後頭部やら背中やらを撫でてやった。彼女には猫っぽいところがあって、その時も、今にもゴロゴロ
言い出しそうな、うっとりしたような表情が浮かんでいた。
「じゃ、そろそろ行こう」
そんな状態のまま気付かれないよう玄関まで連れて行った。二人でいる時、朝は大体毎日こんな感じだったから自然と彼女が目を閉じている間に足を運ばせる技術が
身についていたのだった。体を離す時、いつも彼女は不服そうに見えた。それでも仕事が大事、と彼女を残してさっていった全ての朝が、どれだけ貴重なものだったのか。
…挽きたてのコーヒー豆のような、芳しい日々が続いていた。終わらない夏休みのような、ただ毎日が楽しくて、現実感のない浮遊した日々。彼女が好きだ、その思いだけで、
自分がそれなりにまともな人間であると思うことができた。そう思うだけで、幸福を実感できた。トリエがいたからこそ、職場で食べる弁当も美味いと思えたし、音楽を聴いて素直に
感動できたし、散歩道の何でもない花も、奇麗だと思えたんだ。生まれてきて幸運だった、とすら思えた。
だが俺は知っていたはずだ。そんな幸せは、長続きするはずがないって。誰だかわからないが、取り立てに来る奴がいる。恐るべき悪徳金融だよ。で、幸せだった日々の何倍
、何十倍もの長さの日々、またあの砂を噛むような何の手ごたえもない、ただ日々が来ては去っていくだけの、ぼんやりと死をまつだけの灰色の時間を過ごすことになると。
[session 11:Marquis Talks U]
当時俺はZプラスの試験をやっていた。なんでジオニックがって?俺に聞かれても困る。可変ム―バブル・フレームのデータ取りだろ、多分。
アナハイムから苦情がくると思ってたが、来なかった。何だったんだありゃ?
で、その日はレポートをまとめる位しかなかったから、自分の個室で仕事をしようと思った。ああ、ジオニックでは、予備役の将校には専用オフィスをくれるんだよ。
そしたら…嫌な客がいた。
「久しぶり」
即座にまわれ右して逃げようとした。
「待ちなさい。何も逃げることはないでしょ」
「何しに来たんだよ!ニナ!!」
「仕事よ、し・ご・と。別に今さら、貴方にどうこうってんじゃないわよ」
軍法会議で一年の刑を食らって、釈放された後、いくばくかの金を渡されて月にある軍刑務所の門をくぐって、迎えに来ていたのがこの女だった。
その話は前しただろ?コロニーでガトーと撃ち合いになったら、ニナに撃たれたって。あの作戦ではもう何をやっても全てが裏目に出ていくようで思い出すのすら辛いが…
あれは特別だ。ム所にいた時も、サイド2でゴロゴロしていた時も、何かの拍子で思い出すたびに、手が止まって、冷や汗が出る。自分がそこにいることに実感が持てず、
もしかしたら本当の自分はあそこで死んでいて、今のこれは、全て幻覚か何かではないかと真剣に疑った。
…しかし、その時奇声を上げながらニナとは反対の方向に駆けだし、どの道をどう通ったものか気が付いたら駅の近くで、落ち着こうと列車に乗って、終着駅が港だったから
もっていた金の分だけ切符を買って、気が付いたらサイド2にいた。トリエと会えたのもある意味ではこいつのお蔭かもしれない。許す気にはなれないが。
「今、ニタ研で新しい機体作ってるでしょ。あそこはアナハイムとも提携してるから、SEとして私が派遣されたの」
「なんでまたジオニックに」
「あの娘の機体なのよ、それ」
ヤシマ作戦でぶっ壊れたトライアを、大幅に改造するとかいう話は聞いていた。なんでも、センチュリオを開発した、ギレン・ザビの部下だった学者たちが大人数帰順したから、
せっかくだから近代化改修を行う、ということだった。
「きれいにしてるじゃない」
「で、この部屋には何の目的で入った」
「ただの挨拶よ。お互い昔の事は忘れましょ。あの娘もいることだし」
「トリエは…年の離れた妹か、娘みたいなもんだよ。いずれいい男を見つけてくれるんじゃないか?君の想像するようなんじゃない」
「猫可愛がりしてるくせに」
「そりゃ可愛いから!…ごめん、自分で何を言ってるかわからない」
「何よ、認めるのが怖いだけじゃない。でも、そう言ってる事をばらしたら大変ね。あなた、結構女子社員の間で人気あるみたいよ」
「そんな訳ないだろ」
「本当よ。ほら
ttp://node3.img3.akibablog.net/09/sep/10/girl-gundam/112.html 」
気が付けば、互いの距離がかなり近くなっていた。昔の女だから気安いところもある。ま、悪い思い出だけじゃないのは確かだ。
と、その時突如として天井の赤ランプが点灯した。近くで何か分からないがものすごい音がしていたのは覚えている。
「警戒警報!警戒警報!コロニー内でモビルスーツが暴走しています!直ちにシェルターに避難してください!」
慌ててニナを抱え、地下のシェルターに駆けだした。破壊音が激しくなった。
参考画像にフイタwww
地味さゆえの人気かwww
459 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/02/07(日) 09:44:13 ID:oHTsBDXB
[session 12]
時に、宇宙世紀0090年6月5日。
朝方、赤毛の青年がサイド3は57バンチ(当時コウ・ウラキ予備役大尉が居住していたコロニーである)の第3ポートに旅客機から降り立った。
彼は他の全ての乗客と同じく、たった1時間前に地球のオーブ共和国で発生した政変についての情報を得ようと躍起になっていた。一年戦争当時
から使っている、壊れかけのAM(Anti-Minovsky:抗ミノフスキー)ラジオをあれこれ操作しつつ、『オーブ民主政府準備委員会委員長』と名乗る男の
妙に芝居がかった演説を耳に入れようとしていたが、聞こえるのは8割が雑音であった。
と、不意に脇から、彼自身が持っているものよりも小さく、丸っこい洗練された形のラジオが差し出された。
「氏族政を廃し、完全な民主主義に移行する、といっていますね。連邦政府の出方によっては離脱を考えているそうですが」
いつの間にか、左に目元の涼やかな、やや彼よりも背の低い若者が立っていた。年は彼より若干下であるらしい。
「アルフレッド・イズルハ中尉です。以後、お見知りおきを」
「ジークフリート・ウェドナー中尉だ。全く、物騒な事になってしまったな」
世間話をしながらポートの正門まで歩いて行くことになった。
「イズルハ中尉は…」
「アル、で結構です。階級が同じですし、そう呼ばれる方が好きなもので」
「ならおれはシグだな。アルは転属で来たのか?」
「はい、第25工兵大隊で大隊長副官を拝命しました」
「ガトー中佐の副官か!彼は、いい男だ。楽しいと思うぞ」
「皆様そうおっしゃいます」
「ところで、アルはどこの生まれなんだ?」
「サイド6です」
「なんでまたジオンに」
「幼いころ…一年戦争の時、兄と慕っていた男と、姉のように思っていた女性が、目の前で殺し合いました。それ以来私はずっと、戦争をなくす方法を考え続けていました」
「その結論か」
「はい、国家が戦争を起こさないようにするためには、戦争を、より厳しく、犠牲を伴い、得るところの少ないものにすればいいのです。。誰が何をするにしてもその動機は
利益を得るところにこそあるのですから、戦争によって強いられる犠牲が大きく、いかなる利権をもってしても埋め合わせのできないようにすれば、誰も戦争などしようとは思わなくなるでしょう」
「えらく過激な事を言うな…。それでも起こったらどうするんだ?可能性はえらく低いんだろうが。しかし、流石はギラ・ズール計画の大立者の一人なだけはある。切れ者はいうことが違うな」
「買いかぶりですよ。提案のいくつかが、運よく基本プランに採用されたというだけのことです」
「モビルスーツが好きなんだな」
「はい、特にザクが」
そう答えるアルの顔は、モデルガンをクリスマスツリーの下に見つけた少年のように輝いていた。
突然照明が落とされ、赤い警告灯がとってかわった。警報が鳴り響く。
「何だってセラ!…すぐいく!待ってろ!」
「どうしました!」
シグは携帯電話をポケットに入れつつ、答えた。
「実験中の機体が暴走したらしい」
今週はこれだけです、すみません(涙
どうしてこんな組み合わせになったかというと、それはとりあえず、
Fate/ZeroのドラマCDを聞いてください、ということなのです。
昨日は消失で今日はなのは〜♪
乙です
これはガンクロとかには保管せんの?
>>460 GJ
短くてもwktk度は変わりません
軍人アルの活躍に期待
>>461 ガンクロって新シャアの保管庫じゃないのか
というかいまあそこに保管するのは危険な気が
[session 14]
「センチュリオ・トライアとパイロットのハーモニクス正常。感情制御、生体電算システム、全て問題なし。行けるわね」
「…その用語は何とかならんのか?人を機械扱いしているようで、どうにも自分としても落ち着かない」
「製作者が持ってきたマニュアル通りよ。女が細かいことを気にしちゃいけないわ、セラ」
「ファーストネームはやめろっつっただろう!マグクリフ博士!!」
「セレーネでいいっていったでしょ」
「貴官には貴重な特技がある。人の話を全く聴かないということだ。惜しいな。大人しくハイスクールの教師の忠告に従って士官学校に進んでいれば、
その勇猛果敢にして唯我独尊な性格を生かし、かのシーマ・ガラハウに勝るとも劣らない女傑として華々しく戦い、挙句の果ては今頃部下全員を引き連れて
ヴァルハラを席巻していたであろうに」
「何言ってるのか良く分からないわ」
「下の名前は紛らわしいから口にするな、といっておるのだ!」
「トリエ〜問題ないからちゃちゃっと始めてとっとと終わらせるわよ〜」
「貴様ーーー!!!!」
(またサイレンコンビの漫才かよ…)
何度目になるかわからない嘆息をもらしつつ、オリヴァー・マイ技術少佐はトライアの外部ロックを解除した。サイレンというのは言うまでもなく言い合いを続けている
二人の女性―セレーネ・マグクリフ博士とセレイン・イクスペリ中尉―からとられている。二人の良く似た名前は、元来ギリシャ神話における月の女神に由来する。
だが着任以来いつもこの通り言い争いを繰り返しているので、いつしか美声で船乗りを惑わす女神、に名称を由来する極めて散文的な機械が彼女たちの総称と
なってしまっていた。
イクスペリ中尉はロンド・ベルを離れた後、ジオン共和国軍に恋人のジークフリート・ウェドナーとともに復帰、軍に編成されたニュータイプ実験群本部付き
となっていた。ディー・トリエル軍曹も同部隊所属の為、彼女が直属の上官としてトライアの改修作業に付き添っているのだ。一方サイレンコンビの片割れである
マグクリフ博士は人工知能の専門家であり、特異なバグ―『感情』−を発生させた貴重な個体であるディー・トリエルに興味を抱いていた。この場にいるのはDSSDに
おける彼女の上司が、かつてギレン・ザビの下でセンチュリオ・プロジェクトに関わっていたことを利用してのごり押しである。
「…!感情値急変!機体制御に問題が出るレベルよ、これ」
「おいトリエどうした!?機体に異常でもあったか!黙ってちゃわからんだろう!何か言え!」
「…イ…タイ…」
「どこが痛い!お姉さんに言ってみろ!救急車呼んでやるから!!」
「貴方の方こそ少し落ち着きなさい、イクスペリ中尉。オリヴァー少佐、大丈夫?」
「肉体的異常は観測されていません。しかし、これは…」
「「暴走!?」」
『トライア異常行動、市街地に被害が出ています。直ちに措置を講じるように』
ニュータイプ研究所に緊急放送が流れた。
「おい、マジで洒落にならないぞ、これ」
「機体は自動操縦に切り替えます。速度が付きすぎてコロニー内での停止は不可能ですから、減速させつつポートに誘導し、外部で機能を停止させます。
大丈夫、問題ありません」
「変なAIね〜混乱するなんて」
[session 15]
トライアの制御は困難を極めた。センチュリオは人機一体を旨として設計されている。それ故、搭乗者の精神の乱れが、そのまま機体の動作に直結しているのだ。
市街地の損害が古いビルの屋上に穴をあけただけに留まったのは、オリヴァー少佐の外部制御の巧緻によるところが大である。しかし郊外地域に移ると手がつけられなくなり、
地面に体当たりを繰り返した揚句、コロニーの自転軸付近まで土ぼこりが舞いあがった。宇宙空間へと続くポートを通すのは、後に証言したところによると「αアジールを針の穴に
通すより難しかった」そうである。だが彼はやってのけた。しかし、宇宙空間に出たところで再加速を始めたため、「止むなく小惑星にぶつけました」とのことである。修理には2週間かかった。
「気は済んだか、トリエ」
「…イタ、イ…」
「どこが痛いんだと聞いてるだろ」
「…ド…リョク…ロ…イタイ…どうして…」
「さっぱり分からないわね」
「黙ってろ。オリヴァー少佐、暴走が始まった時の視覚データを出してくれ。それとトリエ、そういうときは歌でも歌ってると、以外に紛れるもんだぞ」
「これです」
モニターに、ジオニック社の研究施設が映し出された。画面上に、トリエの視線が向いていた地点がオレンジ色の点で表示されている。拡大された。
コウ・ウラキとニナ・パープルトンが映っている。二人の距離が、徐々に近づいて行った。
「もういい原因は十分すぎるほどよく分かった。一段落したらあの鈍感莫迦をシメにいくぞ」
「そうね。ちょっとこれは酷いわね。所で、この歌は何かしら」
「ああ、あの娘最近操縦中よくこの歌をハミングしてるんですよ」
「ああ思い出した。懐かしいわね〜小学校の時に流行ってたのよ。なんであの子が知ってるのかしら」
「女が簡単に年齢をバラすな。最近カバーされたんだよ…同じ所ばかりハミングしてるな。…っ!まさか、これは…!」
ttp://www.youtube.com/watch?v=hoYzPQFBWSQ 「…なあオリヴァー少佐、ここの歌詞は知ってるよな?」
モニターを見つめているマイは、イクスペリ中尉の微妙な表情の変化に気がつくはずもない。
「ええ」
「で、ウラキ大尉は、今何の仕事をしているんだったっけ?」
「Zプラスに乗ってるそうですが」
「それを知っててあの子を仕事漬けにしたのかーー!貴様何を考えている!!」
「え!?駄目なんですか?」
「「ここにも鈍感莫迦がいたかァァァーー!」」
”…だけど彼ったら私より自分の飛行機にお熱なの…”
最近そらおとにはまってます。
イカロス可愛いよイカロス
キューンキューンktkrwwww
トリエがそのうちOPのほうを歌い出す
なんてことにならないよう願っています
オマケですよ
[INDIVIDUAL FILE 1:ルナマリア・ホーク]
”デスティニー事変”を最後に行方不明となっていたが、「紅の騎士団」によるオーブ共和国のクーデターにおいて再び姿を現す。
重力を自在に操るが如き華麗にして豪快なバトルスタイルを身上とするが、反面泥臭いまでの粘り強さを併せ持つ格闘戦のスペシャリスト。
プライベートでは革ジャンを着用することが多い。
(=ω=.) <ぶっちゃけ髪が赤くて胸がでかいということ以外は完全に両儀式ですw
コルレルに乗せたのも、モビルスーツで式に合ってるのは何かと考えた結論です
ちょっと真希波・マリ・イラストリアスがはいってますが
ご存じない方は、とりあえずオリジナルの眼つきをやたら悪く脳内修正して下さい
[INDIVIDUAL FILE2:シン・アスカ]
同じく”デスティニー事変”で機体を破壊されて以来行方をくらませており、ユウナ・ロラ・セイマンの民主政府準備委員会発足宣言の時に半年ぶりに
「紅の騎士団」一番隊隊長として公の場に姿を現す。詰襟の学生服を好んで着ている。プライベートでは眼鏡をかけていることが多い。面倒見の良さには定評がある。
(=ω=.) <要するに沖田総吾。
コクトーでもあるけど、その辺はまあおいおい
他にもご要望があれば、ネタバレにならない範囲で解説しようと思います。
皆さんのご意見ご感想、お待ちしています
>>467 それルナの持ち歌wwww
[INDIVIDUAL FILE 1:ルナマリア・ホーク 補足]
好きな映画 「グロリア」「下妻物語」
好きなアーティスト ピンクフロイド、相対性理論
カガリ・ユラ・アスハとは一度だけ顔を合わせたことがあり、それ以来犬猿の仲
理由「梶浦由記といえば〜kalafinaに決まってるだろ〜が〜」
「いいやFiction Junctionだっつってんだろ〜」
[INDIVIDUAL FILE 2:シン・アスカ 補足]
好きな映画 「タクシードライバー」「魔界転生(深作版)」
好きなアーティスト ガンズアンドローゼズ 氷室京介
[INDIVIDUAL FILE 3:ディー・トリエル]
本作"APPENDIX SESSIONS"全編を通してのヒロイン、詳しくは
>>17 好きな映画 「天使にラブ・ソングを」「涼宮ハルヒの消失」
好きなアーティスト ALI PROJECT 相対性理論
シグは相変わらず出世しねえなあwww
>>467 中の人的にはルナマリアだが
歌詞の内容的にはセラとかでも・・・・・w
472 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/13(土) 02:49:14 ID:1GDnpVbX
[session 16]
「地球がどれだけ広かろうと、お前の居場所なぞ畳一枚程もないぞ」
段ボール箱の中身に言われたのでなければ、この言葉をもっと真剣に受け止めていたはずだ。コウ・ウラキは後によくそう思い返した。
外の騒ぎが治まり、ニナ・パープルトンが電話で呼び出されて去った後、彼のオフィスの机の横に未処理の荷物を入れておいた段ボール箱
から大男がぬっと出てきた。彼にはもうなれた出来事ではあるが。
「相変わらず女心を解せぬ男だな、貴様は」
「理解した結果があれか」
「言っている相手が違うな。まあいい、その点は、後で適任者がゆっくりとお灸をすえてくれるだろうさ」
「不法侵入の癖をいい加減直せ。用があるなら普通に来い、普通に」
「ちょっと、余人に聞かせたくない話なのでな。…ウラキ、貴様、正式にジオン軍に入る気はないか?」
「唐突だな。あいにくと俺はアースノイドだ。地球でいい仕事が見つかったら、トリエを連れて帰るよ」
「見つからんだろうな。あの景気の悪さでは」
「ムンゾが木製航路を押さえているからだろ。北米の復興も15年は遅れるらしいぞ。俺の故郷はマシらしいけど」
「我々の正当な権利だ。お前の故国にしたところで、我等との協力あるが故の特権を享受しているにすぎん。向こうでのスペースノイドに
対する反感はひどいものだ。帰ったら、殴られるだけではすまないだろうな」
「俺は地球生まれだ」
「だがジオンの為に戦った」
「テロ組織を撃破しただけだ。それがなぜ悪い?」
「『サートゥルヌス』はティターンズの残党だった。連邦の内部ともつながりがあったことが分かりつつある。それを騒ぎたてないこちらの事情も
察してもらいたいが…ともかく、連邦軍の内部にはお前を付けねらう動きもある。当分の間、地球に降りるのは自殺行為でしかないな」
「いくら連邦軍だからといって、そこまで腐っちゃいないだろう。アムロ大尉が一言言ってくれれば」
「彼は退役したぞ」
「え?」
呆けたようなウラキの顔に、人口の赤い西日が照りつけていた。
その2週間前、マフティーことハサウェイ・ノアが処刑された日から数えると35日目にあたる日、アムロ・レイ大尉はHi−ν計画からの除名を
正式に通告されていた。彼は即日辞表を提出し、それに答えた。
宇宙世紀開始と共に本格的に始動した宇宙移民計画の骨子の一つに、人口密度の高い地域の住民から移民させる、というものがあった。
それ自体は妥当なものではあるが、同時に所得水準も教育水準も低い集団を選択的に宇宙に送り出すことを意味してもいた。その結果、
スペースノイドの連邦政府に対する反感は手のつけられないものとなってしまった。わずかな火花で大火事を起こしかねない乾燥した冬山
に例えられるだろう。歴史学者の中には、コントリズムでさえ、その火花の一つに過ぎないと主張するものが多い。
サイド3が燃え尽き、そして住人の多くの故国であるドイツと日本がそうであったがごとく焼畑のような猛烈な再成長を遂げていくのを
横目で見るしかなかったサイド1に代表される地区において、火種となったのは環境問題であった。シャア・アズナブルによる第二次ネオ・
ジオンもそれを旗印としていたが、要するに対岸の火事、参加する大多数にとっては騒ぎ立てる理由が必要であっただけだ。
巧い・・・
474 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/13(土) 09:16:13 ID:1GDnpVbX
[session 17]
ネオ・ジオンの精神的後継者こそがマフティーであった。ハサウェイ=ノアことマフティー・エリンは元来、ただの農学部の学生だった。
連邦の環境政策に異議を持っていたに過ぎなかった。が、彼の父であるブライト=ノア中将の親スペースノイド的な姿勢と不幸な化学
変化を起こした結果、彼はテロリストに身を落とし、結果、父の名前で出された命令で処刑されたのだった。
「ハサウェイ君の事件でブライト提督は退役に追い込まれた。彼の派閥も力を失った」
ガトーは視線を落とし、片手で両目を覆った。彼には雌伏していた期間に多脚式人工知能搭載型プチ・モビの整備工場で働いていた
時期があって、プチ・モビを趣味にしていたハサウェイとは仲がよかったのだ。
「当然の結果ではあるね。でも、アムロ大尉からガンダムを取り上げるなんて…」
「貴様が望もうと望むまいと、ジオンの救世主の名はずっと付きまとう。アムロ大尉より非情な道しか、地球には用意されていないだろうな」
「…故郷と縁を切るのはいやだな。入隊するなら、国籍を変えなきゃならないだろ」
「いや、その必要はたぶんないだろうな」
ガトーは否定したが、その理由が明かされるのは人類の歴史にとってもウラキにとっても重大な局面が訪れてからのことになる。
―同日、オーブにて―
首都警備隊のモビルスーツが一挙に撃破された混乱に乗じ、衛星軌道上から降下した3隻からなる艦隊(MS一個連隊に相当する)は
苦もなくオーブ全土を掌握下に入れた。うち一隻が着水するや否や飛び出した艦載機は大急ぎで首相官邸に向かった。官邸では、
彼ら”紅の騎士団”一番隊隊長シン・アスカ、一番隊所属ルナマリア・ホーク、そして睡眠薬を打たれて昏倒したユウナ・ロラ・セイマンが
腰を下ろしていた。
「ご苦労だった。総帥もお喜びになっている」
艦載機から降りたった金髪の麗人がいった。床で胡坐を組んでいるシンとソファーに寝そべったままのルナマリアを見ても、冷たい美貌は
全く動じない。
「強化を開始する。セイマン氏は?」
「奥の部屋で寝てますよ。全く軟弱な御仁だ。目に入る範囲では精精15人ぐらいしか殺してないのに、うなされすぎでさぁ」
刀を磨く手を休めることなく、シンは答えた。
「それはこちらの問題だ。口を慎め、一番隊隊長。それと、ホーク中尉」
「どうした〜?」
気だるそうな声がソファーから返ってきた。
「総帥がお褒めの言葉を賜りたいといっている」
携帯電話を差し出した。ルナが受け取って耳に当ててすぐ、独特のかすれ気味な低音が飛び出してきた。
「鮮やかな戦いぶりに感動している。モビルスーツ格闘の新機軸といってもいい戦いであった」
「悪いな、コルレル壊しちまって」
「君にはまた、良いものを用意してある。その代わりといっては何だが、また一曲歌ってくれないか」
「あんなサービス滅多にないんだぞ」
電話をたたむ。たっく、と一言呟き、目を閉じる。麗人は溜息をつくと、スーツケースを持って奥の部屋へと届くドアを開けた。
2時間後。目覚めたユウナ・ロラ・セイマンは、一言も発せず鏡に向かい、トレードマークの長髪を短く切りそろえた。細められた目に、
異常な光が宿っている。頭髪の仕上がりに満足すると彼は、自らの失脚後アスハ派に転向した旧セイマン派の議員や官僚を自ら
電話で呼び出した。
1時間後、20人近くの老若男女が戦々恐々と官邸の庭に集まった。パーティーのホストのように庭の中心に立ったユウナの左右を
シンとルナが固めている。柵の向こうには報道陣がひしめき合っていた。
「ご苦労。今回の件、ご心配ではあろうがたいしたことではない。オーブは氏族制を廃し、民主制に移行することとなった。何か異議は?」
鋭くも余裕に満ちた眼光をきらめかせつつ、ユウナは裏切り者たちに言った。返事は一言もない。
「よろしい。では、民主政府準備委員会発足の記念として」
集められた者たちの表情に安堵したようなものが広がった。がユウナは懐に手をいれ
「斬刑に処す」
棒のようなものを取り出す。飛び出しナイフだ。ルナ・チタニウムの青味がかかった光沢が露になる。左端の男の胸に叩き込まれた。逆手
に構えたまま右に走る。5人分の心臓が切り裂かれた。斜めに、垂直に、水平に、ナイフの光が乱れ舞う。一人逃げ出した。即座にナイフが
投げられ、首に後ろから突き刺さる。
惨劇を見つめながら、シンとルナマリアは唇を満足そうに歪めていた。
GJ
ユウナは何されちゃったんだ?
“紅の騎士団”一番隊の周りは血の匂いが濃いなぁ…
この↑ネーミングからルナのイメージは紅月カレンぽいのを想像してました
(残念ながら両儀式を存じておりませんのです)
476 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/16(火) 06:26:47 ID:ywZN46sX
昔、チョンのボール乗りのSS書いてた人がいたっけあれ面白かったな
ネタ成分薄い面白いSS乗せてるとこないかな
477 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/03/28(日) 02:38:27 ID:y4rEFfNb
[session 18:?bermensch]
「たとえ幻想でも…あなたにそれを見せるわけにはいかないっ!」
(あの突入角度より深ければ、うまくいく。終わらせられる)
半年前、木星帝国首魁クラッスス・ドゥガチが太平洋上で燃え尽きた日のグリニッジ深夜、ラー・カイラム
の不寝番にあたっていたアストナージ曹長が最初に、ハンガーからトライアが無くなっていることに気がついた。
(…大切なもの、見つけたよ。だから、もう…)
無断でトライアを発進させたディー・トリエルは、大気圏への突入を開始した。
「ディアナ様、流れ星が」
地上でそれを見つけたのは、一年戦争と半年紛争の間に地球圏を平和裏に統治しつつもティターンズなどの
蠢動を抑えられなかったことに責任を感じ、隠遁していたムーンレイスの女王、ディアナの従者である、ロラン・
セアックだけだった。
トライアはゆっくりと落ちていった。青い海が、ゆっくりと迫る。
(…ありがとう、私を逃がしてくれて。私を仲間だといってくれる人たちと会えた。大切にしてもらえた。
その人たちを大切だと思えた)
かかり続ける加速度が、次第に実感できるものとなってくる。
(ありがとう。キラ君。私がわたしたちに捕まったとき、私を人間だといってくれたよね)
トライアに作用する重力エネルギーがはっきりと増大し続けるGとして体感できるようになった。
(さようなら、アポリーさん。私にアーガマの配置や、早めに給油してもらうコツを教えてくれて、私の事を
気にかけてくれて、とても嬉しかった)
大気との摩擦により、装甲が赤熱し始めた。
(ルー・ルカさんも、一緒に食事したり、服を選んだりしてくれた。木星でも、ジュドー君と、元気で…)
遂にPNR(Poin of No Return)を超えた。警報が絶叫するが、トリエは気にせず、自分が触れることもなく
大気圏の塵と化すであろう緑の地表面を見つめる。
(さよなら、ウラキさん。あの時助けてくれて、多分そこから、私が始まった。私を、仲間だといってくれた…
でも、もう、さよなら。もう会えないけど、でも私はずっと…)
ぽたり。モニターに水滴が落ちた。
(え…!?何、これ。もしかして、これ…)
涙が雨のように、落ち続けていた。
(そんな…泣いてるの?人間じゃない私が)
コックピットの気温がじりじりと上昇を始めていた。
(やだ、やだよう。もうウラキさんと会えないなんて…!)
はっきりと嗚咽している自分を、トリエは自覚していた。目をこすりながら泣きじゃくる姿は、もはやマシンチャイルド
でもなんでもない、ただの少女だった。
(…私は「大切なものを見つけろ」という命令を果たした。私たちは、命令をクリアーしたら、あとはただ
消えていくだけの存在のはず。でもなんで?私、ウラキさんと離れたくない。ねえトライア、教えてよ。私、
どうすればいいの…っ!?)
両手で顔面を押さえながら、あふれ出す感情とサウナ並の気温に耐えていた。
(私、本当はまだ生きてても良かったのかな?命令を果たしたら私は終わると思ってたけど、でも…私、
実はまだ始まってもいない、今はそう思うんだ)
装甲が熱に耐えられず融解し始める。右肩部のパーツが千切れ飛んだ。
(どうして大切なものを見つけた後の事は何もいってくれなかったの!?私は、ウラキさんと、ずっと、
一緒にいたい。誰か命令して!私はどうしたら…)
しばらく、苦悩して両手で抑えた頭を屈めていた。だが、
(そうだよね、トライア。あなたも、こんなところじゃ終われないよね。分かった。誰も私に命令しないのなら…)
涙はもう流れない。両手でしっかりと左右の操縦桿を握り、元々虹彩が赤いことに加え、泣きはらして白目が
真っ赤に充血した真紅の両目を決然と開き、モニターを見据えた。
(私自身が!私に命令する!ディー・トリエルに命じる…私は!私の大切な人たちと、ずっとずっと、一緒にいる!)
幼い指が、コンサートピアニストのようにキーボードの上を舞い始めた。
(上手くやれるかどうかわからない。でも)
モニターに"Lunatic Cocoon"の表示が移った。赤熱するトライアの翼が七色に光り、光の触手を一本、二本と吐き出した。
(ここで燃え尽きるのはこれまでの私…本当の自分を、ここから始めよう)
真珠のように輝く繊維が、いつしか球体と織られ、トライアを包み込んでいた。
二日後、トリエは大目玉を食らった。
トリエル!トリエル!トリエル!トリエルぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!トリエルトリエルトリエルぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ディー・トリエルたんのラベンダー色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
UCルートのトリエたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
ライバルルートでは味方になってよかったねノーマたん!あぁあああああ!かわいい!トリエたん!かわいい!あっああぁああ!
クロスドライブも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!クロスドライブにトリエたんは出ない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
ト リ エ ル ち ゃ ん は D S で 使 い 捨 て ? にゃあああああああああああああん!!
うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!
センチュリオ・レガートゥスぅうう!!コンスラーレぇえええ!インペラトールぅううう!トライアぁあああああああ!!!
この!ちきしょー!やめてやる!!Gジェネなんかやめ…て…え!?見…てる?パッケージのトリエちゃんが僕を見てる?
イベント絵のトリエちゃんが僕を見てるぞ!トリエちゃんが僕を見てるぞ!アイコンのトリエルちゃんが僕を見てるぞ!!
戦闘シーンのトリエルちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはトリエちゃんがいる!!やったよコウ!!ひとりでできるもん!!!
あ、センチュリオのレギオンちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあシーマ様ぁあ!!ティ、ティファー!!マリオンぁああああああ!!!ステラァぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよトリエルへ届け!!マシンチャイルドのトリエルへ届け!
こんなスレあったんですねー、最初から読んでみてウラキとロリコンの話はすごくよかったすわ。
アタシも書いていいですかね?
2つ構想あるんですけど一年戦争パラレル物書こうかとおもってんですが需要あります?
1つは昔、この板にあった逆シャアアムロが一年戦争にタイムスリップしてくるやつ、てのの自分なりの構想のやつで、
もう1つは異説、というか異世界一年戦争みたいな、例えばありがちなとこでいうと、ガルマが死ななかったりドムがラルに届いたり?とか?そんな。
どっちかどうですかね?
聞く前に書け
いいんすか?じゃあ書きますよ?
じゃあ差し障りのなさそうなほうにしようかね。
ageてみます。
482 :
ブタ:2010/04/16(金) 23:31:04 ID:???
「ふざけるな。たかが石っころひとつ、ガンダムで押し出してやる!」
「馬鹿な事はやめろ」
「やってみなければわからん」
「νガンダムは伊達じゃない!」
「駄目だ、摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ、もういいんだ。みんなやめろ」
「結局、遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がって地球を押しつぶすのだ。ならば人類は、自分の手で自分を裁いて自然に対し、地球に対して贖罪しなければならん。アムロ、なんでこれがわからん」
「離れろ、…ガンダムの力は」
「こ、これは、サイコフレームの共振。人の意思が集中しすぎてオーバーロードしているのか?なのに、恐怖は感じない。むしろあたたかくて、安心を感じるとは」
「何もできないで、おあっ」
「そうか、しかしこのあたたかさを持った人間が地球さえ破壊するんだ。それをわかるんだよ、アムロ」
「わかってるよ。だから、世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ」
「ふん、そういう男にしてはクェスに冷たかったな、え?」
「俺はマシーンじゃない。クェスの父親代わりなどできない」
「だからか。貴様はクェスをマシーンとして扱って」
「そうか、クェスは父親を求めていたのか。それで、それを私は迷惑に感じて、クェスをマシーンにしたんだな」
「貴様ほどの男が、なんて器量の小さい」
「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ。そのララァを殺したお前に言えたことか」
「お母さん?ララァが?うわっ」
──────??!
「────────────アムロぉ?」
(・・・・・・・・?・・・・・ぁ?)
「──アムロ?まあ、まだ食べてない」
「アムロ?」
「こんなことだと思ったわ。ちゃんと朝食を取らないと、体の為に良くないのよ」
「ハロ、アムロ、ハロ、アムロ」
「ぁ・・・・ハロ、今日も・・・元気だ・・ね・・・・」
「サンキュ、アムロ、アムロ、アムロ?、アムロ、脳波レベル?、アムロ」
483 :
ブタ:2010/04/17(土) 00:34:23 ID:???
「何を着ていくつもり?・・・アムロ?」
「・・・この・・・コンピューター組んだら食べるよ・・・・・」
(なんだ・・・走馬・・灯?とかって・・・たしか・・・)
精密作業用の顕微鏡から覗き見える基板から頭をもたげ視界を水平に向けてみたアムロの目に映ったそれは、父に連れられ地球を離れた後、少年時代を過ごしたかつての、うっすらと記憶の片隅にある彼の自室に似ているように見えた。
「・・どうかしたの?・・・なにかいつにもまして・・・あ、避難命令聞いてなかったの?」
「避難?命令?・・・あのサイレン、そうなの?」
(これ・・・どう・・・・・・)
「あきれた。軍の放送聞かなかったの?軍艦が入港するから避難するんだってさ」
「・・・なん・・・で?」
「知らないわよ」
「アムロ、時間がないのよ」
「わかったよ・・・・・・て・・・・・・フラウ」
正直、茫然、というのか、まったく訳のわからない軽いパニック状態のアムロは、その状況に頭を整理できずに、彼の自室の扉から背を向け歩み出ようとしたフラウ、かつての眩しい少女時代のそれそのままの姿の彼女を目で追った。
次に彼はふと立ち上がり、何故か、かつてそうしたようにシャツとパンツしか身に着けていない自身を外出できる程度にしなきゃ、と、上着とズボンを見繕いはじめた。
ズボンを履き、上着を羽織りながら彼は、かつて無頓着であった身嗜みを、父に事あるごとにだらしない、と指摘されるのが鬱陶しかったので申し訳程度に整えるのに使用していた鏡に自身を映し見た。
(ははっ・・・・・・)
僅かに寝癖のついた赤毛の癖っ毛、映る自身は、青年となった彼にしてみれば青臭い少年特有のあどけなさの残る少年時代の顔。
何故か昔みたテレビの登場人物のように彼は、その少年時代のアムロ・レイの顔を自分でつねってみた、痛い、当たり前だ。
「・・・なんだっていうんだ、どうなってるんだ!」
484 :
ブタ:2010/04/17(土) 20:06:00 ID:???
「どうかしたの?アムロ。やっぱり・・・今日のアムロ、何かヘンよ?・・もぅ、外で待ってるから!」
「ハロ、いらっしゃい」
「わかったよフラウ、少し、少しだけ、待っていてくれ・・・」
「えっ?なんていったの??!」
踵を返したフラウ・ボウが、何故か彼女自身でも気付くか付かないかというほどの妙な違和感を感じてなのか、ほんの少しだけ不可解に苛立ち眉間にシワをよせ口を尖らせながら問い返した。
「いや、すまない、すぐにいく・・・」
「・・・んもう、いいから早くしてよね!」
(なによ、どうかしちゃったのかしらアムロ・・・)
小首を傾げながら外へ歩み出ていく彼女の後をハロが転がり僅かに飛び跳ねながらついていくのをアムロは鏡越しに映し見ながら、困惑する自分を努めて鎮めようと数秒間自問自答する。
(いや、まてアムロ、夢だ?幻覚・・・シャア・・アクシズは・・・・・・・・さっき・・・痛みはある、覚め・・・)
パン!パン!
また滑稽に自らの頬を二度ばかり両の手で張ってはみるのだが。
「・・ははっ、子供騙しの陳腐な中世紀のSF映画じゃないか、まるで」
自身と今を嘲笑し、そうひとりごちる。
(・・・間違いない・・・はずだ、これはあの日の・・・確かに・・・・これから俺は・・・モビルスーツに・・・・・・・!!)
まだいくつもの整理のつかない頭の中身、出来事、現状、覚悟や混迷を散らかしっ放しではあった。
が、しかし、彼は何かに駆られるが如く、振り返り、そして外へ飛び出すように走り出した。
485 :
ブタ:2010/04/17(土) 21:37:13 ID:???
「アムロ!やっときた、遅いじゃない」
自宅の扉から飛び出したたアムロは、そのままの勢いで軽快に飛び乗るとすぐさま退避カプセルのある方角へとエレカを走らせる。
「入港する軍艦にアムロのお父さん乗ってるんでしょ?」
───ああ、そうか、親父──。
「だと思う。一週間前に地球に降りるって言ってた・・・はずだ」
「ここも戦場になるの?」
───!!?!
「きゃ!・・なによ!急に止まっ・・・」
エレカを急停止させたアムロは、フラウの両肩を力強く掴み、彼女と自身とを少々強引に正対させると、瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「いいかい、フラウ、よく聞いてくれ」
あまりにフラウ、彼女の知るアムロ、らしからぬ力強さと真摯で強い眼差し、やはり妙にらしからぬ大人びた落ち着きを払ったかのような言の抑揚。
それに気圧されたかのように、彼女は呆けたように数瞬アムロを見つめ返すと、何故か赤面していく自分に更に混乱する。
「・・・な・・・ァム・・どうし」
意味も意志も伝わらぬ言を発しかけた彼女の唇、そこにアムロは自らの人差し指を優しく当て、また落ち着きを払ったかのような口調で諭すように言う。
「しっ、ほら、はは、しっかり落ち着いて、まずオ・・僕の話を聞いてほしい、いいかい?」
「・・・な、なによ」
「約束だ、約束してほしいことがある」
「ここからもう少し先にある退避カプセルに今から行くのは解るね、そこに君のお爺さんとお母さんも先に行って避難している、そうだよね?・・・とにかく、約束してほしい」
「フラウ、君のお爺さんとお母さんと、何があってもそこから、退避カプセルから離れない、って、そう約束してほしい」
486 :
ブタ:2010/04/17(土) 22:33:42 ID:???
「僕はこれから・・・すぐに、いかなきゃならないとこがあるんだ、やらなきゃならないことが」
・・・・・・・・・・・・・・は?
──意味がわからない。
なんだかこんな緊急時にわたし・・告・・・・・・とにかく、もう!──
自身の瞬間の予測と期待?を肩すかしされたようで何故か理不尽に筋違いな怒りがほんの少しこみ上げてきたのも束の間、アムロが続けてくる。
「いいかい?理由は、・・・いやいい・・・いいかい?絶対に、僕を信じて退避カプセルで待っていてくれ、必ず、必ず僕が君らを迎えにいくから、約束だ、いいね?」
アムロの動じぬ強い視線に瞳を射抜かれたフラウが応える。
「・・うん」
「よし、前を向いて・・・・じゃあ急ごう」
再びエレカをアムロは今度は急発進させ、程なく退避カプセルに到着したアムロは、フラウを降ろすと、またもやこれまで以上にエレカをとある方角に急がせた。
────!!!
戦場、になるであろうその地帯を出来る限り迂回しつつ向かったその先の、道のりの半ば、到着まであと1分を切ったか、といった頃合いであった。
アムロはたしかに最初の爆破の振動を感じた。
「ちぃ、間に合わなかった・・・」
余計な迂回などをした迂闊な自分にそう苛立ち、久しぶりに無意識に爪を噛んでいた自分に苦笑いをしつつ、程なくエレカでは目立ち過ぎるとそれを乗り捨てた。
その直前にやはりというか見えた、いた、そう遠くはない距離に、ある種禍々しくすら今は見えるその緑色、一つ目の頭部が。
これは期待。支援
488 :
ブタ:2010/04/18(日) 00:09:27 ID:???
───確か
そこを目指しアムロは全力で走った、しかし、ここで何か、何か、はっきりとはわからない、だが違和感があるのだ。
そして、兎にも角にも、すぐにアムロは目的の場所にたどり着いた。
「奥のリフトが使えるはずだ」
(───親父・・・・・・まったく)
「第三リフトがあるだろう」
(苦笑いするしかないな、ははは・・・)
「リフトは避難民で」
「避難民よりガンダムが先だ。ホワイトベースに上げて戦闘準備させるんだ」
(これだ・・・えらく腹が立ったような気がする)
何故だろう?アムロは胸がこみ上げて、どうしてか目蓋が潤んでいるのが自分でもなかなか意味もなく不可思議であった。
「父さん・・・」
こういう人だった、当然なんだが、相変わらずというか、死ぬまで機械に、モビルスーツに取り憑かれたような、ある意味で凄い、歴史のほんの片隅にも名を刻む程の技術者だった。
「ん、アムロ、避難しないのか?」
「父さん?まったく・・・人間よりモビルスーツの方が大切なんですか?」
少し呆れた風に昔と同じことを言ってはみるのだが、やはり相変わらずだ。
「早く出せ」
「父さん?」
「早くホワイトベースへ逃げ込むんだ」
「ホワイトベース、か」「入港している軍艦だ・・・・何をしている」
「エ、エンジンがかかりません」
「ホワイトベースへ行くんだ」
「事が済んだら後でいきますよ」
「なに?・・・牽引車を探してくる」
──よし、と、アムロはさっと、横たわる懐かしくもあるようなかつての愛機、敵を恐怖にすら陥れた白き巨神、その腹部に取り付き、そして彼の父テム・レイ技術大尉に向かって言う。
「牽引車は必要ないですよ父さん」
「ん?・・・!?な?あ、アムロ!??な、なにをしている!!それは!!」
酷く慌てている父が何故かたまらなくおかしく見えたアムロは、吹き出しそうになるのをすんでのところで堪えた。
──本来の歴史での彼、テム・レイはガンダムとザクとの交戦に巻き込まれ宇宙空間に長時間放り出された為に酸素欠乏症となり、結果、哀れな最後を遂げるのである──
それを出来ることなら阻止しようと目論むアムロ自身がその危険な瀬戸際の父を、狼狽する父を滑稽、と愉快に感じてしまうのもやや不謹慎な話ではあるのだが、おかしいものは仕方がない。
「大丈夫です、危ないですから父さんは下がっていてください」
489 :
ブタ:2010/04/18(日) 02:24:37 ID:???
(───さて、確かこれを、こうか、問題なく動く、覚えているもんだな、体が)
コクピットのハッチを閉じ、次いで前面のモニターに景色が映し出される。
「こ、こら!?アムロ!!このぉ・・おまえと・・いうやつは・・・!・・・こっ・・の大バカ息・・・・これはっ!このガンダムはっ!連邦の技術の粋を集め・・た・・最新兵・・・決して・・おまえのような子供に扱えるようなもので・・・わぁ!?」
『父さん、本当に邪魔です、前を見てください、ザクがすぐ目の前に迫っているんですよ、このままじゃ戦えません』
やれやれ、と、ガンダムの上半身を、父を気遣いつつゆっくりと起こした後、外部音声に切り替えたアムロは、半狂乱で喚く父に落ち着いてそう言ってみた。
『敵もこちらに気がついたようです、大丈夫ですから、相手はザクです、父さんのガンダムの性能をもってすればバルカンとサーベルだけで十分に制圧できますから、今後の研究の為にも下がってよく見ていてください』
彼の父、テムは何か飛び跳ねたり何なりしてこちらに向かいまだ何かを言っているようではあったが、ガンダムをゆっくりと起動させ立ち上がらせると仕方なしにか少しずつ渋々後退してくれているようであった。
やはりというのか、懐かしくもあり、しかしΖプラス、リ・ガズィ、νガンダムといったような後年、その時代の高性能機体と比べればはっきりとその物足りなさも、たった立ち上がるだけの動作で感じてもしまう。
しかし、先程、父テムが言った通り、連邦軍の持てる技術の粋を、湯水の如く費用を、徹底した高品質の材質、部品を惜しみなくつぎ込んだその非常に完成度の高いこのRXー78ガンダムという機体の味わい深い重厚感や懐の深さは、他の追従を許さない。
性能だの最新の技術の導入だの何だの、そんなある種の安っぽい感覚や感性を度外視するのならば、恐ろしく心地のいい機体だったのだな、と改めてアムロは感じていた。
「やってみるさ、いや、十分にやれる・・・しかし・・・」
至近距離に近付きつつあったジオンの緑色の機動兵器、ザクが一機、こちらが立ち上がるのを確認するやいなや、後退し距離をとった。
「やはりだ、違うぞ・・・なんなんだこの違和感は・・・それにこの感覚・・・まさか・・・・・・ヤツなのか?」
490 :
ブタ:2010/04/18(日) 14:06:12 ID:???
アムロの乗るガンダムのコクピット内に背後からの急接近を示すけたたましい警告音とシグナルが点滅しはじめるのと、咄嗟に前方へ飛び退きギリギリの回避行動をとるのとが殆ど同時であっただろうか。
ほんの僅か一瞬の前にガンダムのあったその空間を凶悪な質量と鋭さをもった赤熱の刃、殺意が上方から斜めに人工の大地に向かい切り裂いた。
機体を斜めに強引かつ滑らかに滑らせながら、そのいかめしい頭部のブレードアンテナと一つ目の他を圧殺するが如き赤色、その手に赤熱した斧型の凶器を握った明らかな殺意のそれと姿勢制御バーニアを巧みにふかし正対するよりも先にアムロは呻いた。
「シャア!!」
と同時に、赤色の殺意の一つ目は左足で地面を強く蹴り上げるとバーニアを急旋回の方向に仕向けまたもやガンダムに向かい突進する形となりながら、今度は下方から右上に向かい赤色の刃をアムロの乗るコクピットに叩き込もうとなぎ払う。
「続きをやろうというのか!?」
何故であろう?ニュータイプ同士の共感であったのか?否?何故かシャア・アズナブルをそう感じたような奇妙な感覚で、模範的なボクサーのような巧みなスウェーバックを披露しその斬撃をかわしながらアムロはそう洩らしていた。
───ガシィン!
次の瞬間、相手が体勢を整えるよりも速くアムロの駆るガンダムは突出し対象のそれと距離を詰め、その凶器の握られた殺意の手に、右のマニピュレーターを拳の形に形成し叩きつける。
衝撃に耐えかねた赤いザクの右手からヒートホークが離れ、歪な回転と飛行を一瞬披露し墜ち人工の大地に突き刺さる。
そして互いの意識と意志が同調したかのように、白色と赤色の人型兵器はあたかも膠着を望んだかのように同時にマニピュレーターを互いに絡め組み合い睨み合った。
「アムロ、だな」
互いの機体同士が接触し「お肌の触れ合い回線」の状態となったことで鮮明に、数刻前には地球の運命を賭けた死闘と私闘を演じていた男の音声がガンダムのコクピットに響きわたった。
491 :
ブタ:2010/04/18(日) 22:17:52 ID:???
「・・・アクシズは、落ちなかったのだな・・・・・きこえているか、アムロ・レイ、4、6、3、だ」
「!??────────」
意図するところを半ば理解したアムロは、通信周波数をそう合わせ言ったた。
「・・・・・わからない、どうなっている?これはいったい何なんだ?」
『──シャア少佐!!─』
人でいうところの力比べといったところの膠着状態を続けていたガンダムと赤いザクの通信回線に割り込む声。
「・・・ここは私一人でいい、スレンダー、貴様は先行しているデニム、ジーンと合流し制圧を手伝え」
『は、しかし・・・』
距離をとり、ザクマシンガンを構えつつも、赤いザクと白いモビルスーツが接近しすぎている為に何もできず逡巡しているのであろう緑色のザクの様が、ガンダムのモニターの隅に映し出されていた。
「かまわん、いけ!!」
『は、はっ!!』
通信に割り込むアムロの記憶にない声の主は緑色のザクに乗る者のものであったのだろう、そのザクは警戒をしつつ徐々に後退しアムロ達から更に遠くへ離れていった。
「貴様はいったい何をしている?!」
「────??!それはこっちの台詞だろう、シャア!!・・・・・あのとき、光に包まれた・・・・そこまでだ・・・これは何なんだ?夢なのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・そうか、貴様も導かれたのだな」
「───導かれた?」
「・・・・いや、戯れ言だよアムロ、同じだ、─────あのとき、アクシズが阻止限界点を越え落下の軌道に乗った、私は貴様に敗れ──付き合わされて──死ぬ、はずだった」
「現実、なのか・・・・これは・・・・・・認めて・・・・馬鹿な、時を越えたとでも・・・有り得ないだろう」
そう口に出して言ってはじめて、アムロは現状を理解しはじめたような、シャア・アズナブルとのここでの奇妙な邂逅が、目の前の出来事を無理にでも理解しなければならないと、そんな気がしてきていた。
492 :
ブタ:2010/04/19(月) 21:43:53 ID:pWvxUCy9
「───認めざるをえんだろう、といったところではないのか、お互いにな、まあ貴様に会ってみてはじめて確信に至った、というのが本当のところかもしれんが」
そんな多分に自嘲を含んだような、らしいシャアの言い回しを流しつつ、アムロは考えにふけて呻く。
「・・・・・シャア、一年戦争だよ、ここで・・・・・親父に連れられ移り住んだここサイド7で俺ははじめてモビルスーツに乗った・・・あのときの、かわらぬ姿のままの俺に・・・意識だけが存在するなんてな・・・」
呻くアムロに、シャアが唐突に、その仮面の奥に潜む眼光を一層鋭く突き刺すようにザクのモニター越しには見えぬアムロを睨みつけこういった。
「覚えているだろう、ア・バオア・クーを、アムロ、貴様にもう一度いう、私の同士になれ」
「────?!!」
反射的に膠着した力比べを、ガンダムのフットペダルを底まで踏み込みレバーを力強く押し込んだアムロは、赤いザクをガンダムのその高いポテンシャルを存分に発揮するかのように押しのけ脱した。
「貴様、まだそんな!!」
アムロのガンダムが飛び退きざまに背部のビームサーベルを引き抜き急速反転突進するのと、やはり同じく後方へ飛んだシャアの赤いザクが地に突き刺さるヒートホークを抜き身構えるのが同時であった。
───ザッ、ギシン、ザキン、ザン、──ギィィィン──
瞬間に数合、互いに、人体で例えるのであれば致命の一撃であろうか、を狙った凄まじい斬撃の攻防を繰り広げたアムロのガンダムとシャアのザクは、今度は僅かに距離をとった。
「アムロ!!そうすればララァも喜ぶ、といった!!感じるか?・・・存在を・・・・貴様はどうおもう?ララァは・・・この世界で生きているとおもうか?」
「・・・・・・・・!!」
直線的な頭部のバルカンを放つガンダムの攻撃を難なく横方向に不規則にザクを機動させながら巧みにかわしたシャアが、そのままの勢いで再度ガンダムに迫り、互いの機体はその手に握る武器を鍔迫り合いの形にしまたもや膠着する。
493 :
ブタ:2010/04/21(水) 18:26:11 ID:???
携帯しかないんでちょっと今ドコモ規制に引っ掛かって書きたくても書けない状態です
このレスは代行人に頼んでレスってる状態す
もしも需要が少しでもあるのなら規制解け次第投下再開しようとかおもってんですけど
どうですかね?
需要あるよー
一文が長すぎるために句点が多すぎるので
読みづらいし意味が解りづらい。
台詞の羅列では情景が想像できない。
あとなんか膠着しすぎw
496 :
ブタ:2010/04/21(水) 21:19:05 ID:???
需要ありとか嬉しいよ
だいたいのendまでの大ざっぱな構想はできてるんで早く書きたいす
ただ、すまんね、見ての通り、そこらのいっぱしのSS作家や作家志望のヤツらみたいにまともな文書けるほど学校でお勉強もしてないし、才能もないんですわ
しかも、もしもしだし、読み辛さの解消とか表現描写の力量不足とかはちょっと期待にはこたえられんとおもうw
その場で文考えて書いてそのまま書き込みしてるしw
だが面白い
498 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/06(木) 20:46:00 ID:vNcjWgiw
[session19]
夢から覚めた。あの時選んだ私のまま、私はここにいる。確かなのはそれだけで、あのときなりたかった私には、まだ届いていない。
―人を好きになることがどういうことか分かっても、そこからどこにいけるのか。これは、誰に聞いてもわからない。
とりあえずウラキさんといれれば、それだけでいい。嘘。なら私の本当は?
「やっと眠り姫が目覚めたな」
「で、貴君は何を目的に来られたのかね?グラハム少佐」
「趣味で身を滅ぼす者同士、もうすこしお手柔らかに願いたいものですね。ギニアス技術少将閣下」
「…それを認めるのは、わが生涯で2番目の苦痛だな」
「ほう?では一番目は?」
「母親の正体を知った時だ。妹が連邦の男と駆け落ちしたこともあるが、それほどでもなかった」
「閣下は何をなさりにここへ?」
「彼女のMSをもとに、新兵器を作っているのでな。それはそうと、貴官は?」
「プサン基地に転属になって、木星から帰ってくる途中です。折角だから、ギレン・ザビの手によるガン
ダムとはどういうものか、見てみようと思いまして」
「センチュリオ・シリーズはガンダムではない。ナノマシンやらサイコフレームやら最先端のテクノロジーが
惜しげもなく詰め込まれているという点では近いかもしれないが、ガンダムと形容するには、信頼性が高すぎる。第一、目が一つしかない」
好きなもののためになら何だってできる人たちが、私のそばで何か話している。私は…どうしたいんだろう。自分でウラキさんを押しつぶして、
好きにして、ぐちゃぐちゃにして、そうでなかったらウラキさんにそうされて…ずっとそんなことばかり考えている。私は人間じゃないから、
そんな事を考えるのだろうか。そんな私を、ウラキさんはきっと気味悪がるだろう。…あの時守ってくれたのもきっと、そんなことを知らないから、
長い間知り合いでいるから、それだけなのかな?考えるだけで、胸が痛くなる。もういやだ。寝よう。もう起きなくてもいい。
「またすぐに寝入ってしまったか」
「彼女の機体に新しい名前を付けたが、いつ教えられるやら。。それはそうと、プサンということは≪帝国≫を…?」
「全力で黙秘します」
[session 20]
「…そんな事を考えていたらしい、全く鈍感もあそこまで行くと犯罪だな、そうは思わんか?シグ」
「そう言うことは本人が視界に入らないところでいってくれないか?セラ」
シグ・ウェドナーはサイド3への異動と同時に大尉に昇進し、各コロニーに一つずつつけられている警備大隊の情報将校に任ぜられていた。
彼の担当は技術であり、ジオニック勤務の「ヤシマ作戦」で一躍名をはせたコウ予備役大尉とはエゥーゴ以来の旧交を再度温めることを希望していたのだった。
ディー・トリエルが退院した日、彼ら3人は待ち合わせて買い物にい出かけた。快気祝いに軽いパーティーを開くためである。
「しかし、ギレンという男は本当にスケールのでかい政治家だったんだね」
手に持ったサバの缶詰を眺めながら、ウラキはシグに漏らした。
「そうか?ここじゃこんなもの、珍しくもなんともないが」
「サイド2じゃちょっとした高級品だったんだ。連邦から食べ物を買わなくて済むようにするためとはいえ、コロニー一つ海水で満たすなんて、全く頭が下がるよ」
「流石世界一の美食民族だけのことはある、目の付け所が違うな」
絶対零度の視線を向けつつ、セレイン・イクスペリはいった。
気にせずウラキはカートをすすめる。中には白菜、大根、豚バラ、長ネギ、それに酒しか入っていない。
「…これだけでいったい何を作る気なんだ、何を?」
「白菜鍋だ。簡単でうまい」
「…コンソメスープをもらったのだが、味付けに使っていいか?」
「面白いかも」
〜注意!ここからブーン小説になります〜
(´・ω・`) 白菜と豚バラ肉を食べやすい大きさに切って、層を作るように鍋に入れる。
後はコップ一杯の水を入れて火にかける、それだけ。僕はそれにネギも入れたのが
好みだけど、そのへんは好き好きで。水を切った大根下ろしとポン酢を混ぜてタレを作る。
( ,,゚Д゚) …いくらなんでも手抜きすぎるだろjk。
川 ゚ -゚) 自分じゃ全然料理しない身で偉そうなことを言うな。…だがそれにデザートがコーヒーゼリー
か、漢らしいにもほどがある。いいのか、それで?
w*゚ ‐゚ノv …ン…
川 ゚ -゚) そうか、なら文句は言うまい。
( ;゚Д゚) 今ので何が分かったんだァァッッ!
川 ゚ -゚) 人造人間なめんな
(´・ω・`) 煮えてきたよ。所で例のコンソメというのは…
川 ゚ -゚)つ流ザパー
(;´・ω・`)あああ駄目だよ勝手に入れちゃ!どうしよとりあえず味見を…って (;゙゚'ω゚'):グフゥー
w;゚ ‐゚ノv …ッ!
( ;゚Д゚) おいどうしたいったい何を入れた!
川 ゚ -゚) ちょっとお灸をすえてやろうと思ってな、ジオニックでアナベル・ガトーからもらったんだ
ド ー ピ ン グ コ ン ソ メ ス ー プ を
(;゙゚'ω゚'):あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!
川 ゚ -゚) こんなところにピンク髪のお姫様はいないぞ
( ;゚Д゚) お前もう黙れ!大丈夫かウラキ大尉!?なんか人相まで変わってきてるぞ!
(;´・ω・`)ううっうぅうう!!…(`・ω・´) シャキーン
( ;゚Д゚) 見ろ本当に別人になっちまった!
川 ゚ -゚) おお、プラチナブロンドの髪に蒼氷色の眼…これ程の美男子は銀河系にも二人といないだろう
だが全身から漂う童貞臭が余計きつくなったのは何故だ?
(`・ω・´) …俗な名だ、ジークフリートなんて
( ;゚Д゚) 失礼な!親からもらった名を!
(`・ω・´)核攻撃は必死で止めようとしたんだーー!!!知っててやらせたんじゃないーーーー!!!
( ;゚Д゚) 言ってることがわからねェヨォォォ!!
(`;ω;´)死ぬなアアア赤毛ののっぽーー!!!
( ;゚Д゚) アンタの方が背ェ高いだろうが見てわからんかーー!!!
川 ゚ -゚) きが くるっとる まぁ見た目がいいだけこっちのがマシか?
w;゚ ‐゚ノv …フルフル…
川 ゚ -゚) よくもまあロクデナシに惚れ込んだものだ。私も人のことは言えんが。
キリ番アゲです・・・
ミアンはどうした
ほしゅ
503 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 21:54:53 ID:0cOKt4Wc
[session21]
「女の子、売るよ!」
シャングリラ・コロニーのスラムには似つかわしくない、薄暗い、上等の調度品を整えた、ルゥム・ボッサ
の流れるバーに、スパムメールの暗号に吸い寄せられた陰気な中年男が入ってきた。奥の仕切りで彼を待ち構えていたのは、如才ない、見かけの割に老けた声をした少年であった。少女が二人、奥に座っている。
「処女かね?」
黒い少女は顔を紅くして小さく頷いた。白い少女は動ぜずゆっくりと首を横に振った。
「惜しいな。だがどうとでもごまかしは利く…なにより上玉だ。気にいった。キャッシュで5万だそう」
「10万だ」
少年が直ちに異議を挟む。結局、8万で折り合いがついた。
薄暗い開放ダクト(コロニーの港部によくある気密されていない宇宙船用運河)を、中年男と少女二人
はノーマルスーツを着て横切っていく。少女は二人ともスーツケースをてにもっていた。300m遊泳して対岸についた。エアダクトを開け、侵入する。
入った先はサイド6当たりから密輸入されたと思しきトリップ・シガー(要するにアヘンである)の煙が
立ち込め、ピンクの室内灯が眼を眩ます健全な社会人全てが拒否反応を起こしそうな怪しげな部屋
だった。
「連れてきたぞ」
「おや美少女ぞろいじゃないか。稼げるな」
中年男がやや年下の男と言葉を交わす。
「ええっと、名前は…」
だが眼をそらしていた一瞬の隙に、二人とも姿を消していた。
白い少女は、二人の男の心を掌中にしているかのように巧妙に、黒い少女の手を引き、テーブル、
カウンター、椅子の下を掻い潜り、奥の廊下へと侵入していたのだった。
入って3番目の扉を開ける。
「これはひどい」
白い少女は呟いた。黒い少女は、眼をそむけている。彼女らよりもずっと年少の少女が、老人の醜悪
な裸体に、見るもおぞましい奉仕をしていた。
「おい何をしてる!」
遠くから叫び声が聞こえる。老人は何の反応もない。痴呆だとは、部屋に入る前から白い少女は
理解していた。
「向こうはまかせました」
「は、はい!」
504 :
名無し3尉 ◆BiueBUQBNg :2010/05/23(日) 21:55:43 ID:0cOKt4Wc
[session22]
黒い少女は、自分のスーツケースを開けた。サブマシンガンの名品、UZIである。
「ごめんなさーーーい!!!」
謝りながら弾丸を廊下にばらまいている。その様子に安心した白い少女もまた、自分のスーツケースを
開けた。AK74を手早く組み立て、排泄器官に与えられる快感に恍惚となっている老人のこめかみに、
銃口を押し当てた。さすがに驚いて顔を銃口に向けてきた。即座に銃を回転させ、銃床で顔面に強烈な
のを一撃くれてやる。
爆音が聞こえた。
「ますたーはどう、したの…?」
「貴方に御主人(マスター)なんかいないの。もう誰にも、貴方を苦しめたり、痛いことをしたりなんてさせませんから、安心して、マリーダ」
白い少女は銃のスリングを肩にかけると、ためらいなく、先ほどまで見るもおぞましい行為を行っていた
オレンジ色の髪をした全裸の少女の唇に、自分の唇を重ねた。
「……なあ、とりあえず二人ともシャワー浴びた方が良いんじゃないか?いやその前にうがいだな」
少年の老けた声が、部屋の入り口から投げられる。
「ですよねー」
白い少女は答えた。苦笑を返すと、少年は部屋にあった固定電話を手に取った。
「ああ、4番隊隊長?終わったから。つかやだねこういうの。じゃ、恐喝写真と客の財布と機械、約束通り持ってっから。んじゃね〜」
電話の向こう、赤い戦艦の中、茶髪の少年は通話モニター(但し、先ほどの通話では映像は映らなかった)のスイッチを切り、ため息をついた。
「シャクティになんていえばいいんだよ。そして連絡士官として派遣されただけの僕が、どうして4番隊
隊長なんて呼ばれているんでしょうか?」
一人愚痴ると、ブリッジに通話を始めた。総帥は満足している。
「戦利品の件、よろしいのですか?あれでは与えすぎかと」
「構わんさ。これがデュオ・マックスウェルならその場にいる全員の尻の毛まで毟っていくだろうし、ジュドー・アーシタなら売春宿ごと持っていくに違いない。安くついた方さ、まだ」
「さほどの大物は、予想通り居ませんでした。なぜこれほどのリスクを冒してまで……」
「最強のニュータイプのたっての希望だ、彼女は、味方につけておきたいからな。それに」
「それに?」
「いや」
総帥は黙ることにした。ずっとついてきてくれた優秀な秘書兼愛人の胸を痛めまいとする、彼なりの
優しさではあった。
(全ての少女に幸せを、が私のモットーだなんて、言えやしないじゃないか)
[]訂正
>>503と
>>504の間に挿入
白い少女は涙をこらえきれなかった。眼前の光景と、彼女と声が老けた少年との毎夜のプライベート
な営みとの落差に。
しまった!同じ個所にもう一つ訂正
この時代、ボディチェックといえばビームガンの放射能(電源をオフにしていても
若干の放射線を出す)チェックであり、クラシカルな実弾兵器は見逃されがちなのだ。
乙
マリーダさんキターーーーーーーー
まさかのマリーダの過去からの展開だな
華麗に救出され、そして…フヒヒヒ
って、シャクティがこんなに行動派であるわけはねぇだろwwwww
あ、そういえばシャクティがGジェネDSのSP007クリア後にしか登場しなかった
活躍できるのはちょっと驚いたわ