機動戦士ガンダム 【ファースト/1st/初代】 vol.17
Cut富野インタビューより
―次は、ラストシューティングについて聞きたいんですけど、あの時にアムロがガンダムを降りますよね。
で、降りたあとも機体が歩いていって、上に向かって銃を撃つわけですけども、明らかにガンダムが生きているように見えます。
最初から生きているものとしてガンダムを描いてらっしゃったんですか?
「全然違います。その前のジオングのところで『脚なんて飾りなんですよ』って言わせてます。
機械なんていうものはエンジンさえあれば動くわけで、あとあの当時、ああいう演出をしてるのはどういうことかっていうと、
自立的に走行する=オートマチックっていうのは絶対にあり得ると考えたからです。
それでミノフスキー粒子、云々もあるんで電波兵器が使えない。
つまりセンサーが動いてないかもしれないけれども、この局面でいった時に、
例えば、あの場所で完全にセンサーが完全にセンサーが全部殺されてる局面なのかって言ったら、
そこまではしていないだろう、だったらロボットは……これは実を言うと今だから言える言い方なんだよ?
自立走行し得るっていう機能は当然持ってるわけだから、
パイロットがこれから30秒間の自動走行をセットすれば1分や2分はきっと動くだろうという想像です。
全部機械論です。生命体論は一切なし。あれメカですから。モビルスーツですから」
―(笑)。
「僕はあれの時にものすごくワクワクしたのは、巨大ロボットもののレベルでは、
頭が吹き飛んだ機体が歩くなんてことは誰もやってないはずだからっていうんで、あのシーンはほんとに燃えたもんね。
これが思い付けたことで、僕は当分食っていけると思ったもん。そのくらい身の毛がよだつアイデアでしたね」
―(笑)。
「ただ、演出的には、アムロから見た目線での頭がないガンダムが歩いてる画がないのがいまだに悔しいことですが、
やっぱり30年近く前にあの画を作ったっていうことに関しては、ほんとに誉めて欲しいんだけど、およそ誉められたことはない(笑)。
こんなことをいう僕は、究極的にはどうもメカ好きらしいのよね。それは自覚してます。
結局、30年以上この仕事続けてられたのは、やっぱりそこに本性があるからでしょうね。
オーガニックなものが好きなんじゃなくて、やっぱりメカ好きなのよね、所詮。それが嫌だなと思いますけど(笑)」