★★ ゼロから語る『逆襲のシャア』 Part28 ★★
ネタがないようなので、公開時に劇場限定で販売されたムック「シネマブック」富野ロングインタビューから
ミネバの消息についての部分を抜粋
―描かれていない物語部分について何もないということですが、
やはりミネバ・ラオ・ザビがシャアと一緒にいないというのは気にかかるのですけれど。
彼女もすでに14歳ですから自分で自分の意思を表現できる年齢のはずですよね。
それはね、それを動かすと先ほどの個人の趣味に走ってしまうので、彼女には触れませんでした。
それをやってしまうと、シャアとミネバの物語ができてしまうのです。まるで別な一本の物語がね。
そんな物語にアムロが噛んできたらややこしくなるだけです。
ちょうど「Z ガンダム」でハマーン・カーンガ出てきたときのややこしい感覚と似たような状態になってしまうでしょう。
だから、本能的にそのようなストーリィは避けました。
では、「逆襲のシャア」を基点としたシャアとミネバの関係はどうなのかという質問に対しては、
結局シャアはザビ家を問題としていなかった人ですし、ミネバを殺しても怨念話にも何にもなりませんから
単純に捨てたというか、彼女のことを忘れてしまったと思ってください。
そのようにしないと逆にミネバの悲劇という物語が簡単にでき上がってしまうのです。
それに、僕もその部分には入り込みたくなかったのです。
映画の中でチラッと触れている、もし本当にシャアがロリコンであったならば
良いにしろ悪いにしろミネバいじめが始まるわけです。
いたぶられもするだろうし、逆に持ち上げられてヨイショされもするでしょう。
でもね、彼女にしてみればどちらも拷問です。僕はそういう話が個人的に好きではないのです。
そういう人間の中にある本性的なサディスティックな部分を描こうという気はロボットモノにはなじみません。
とうことで、シャアは彼女のことを忘れたということにしてください。
さもないと血生臭い話になってしまいますから…。
もちろん、ふたりの物語を見てみたいという御要望はとてもよくわかります。
僕の頭の中からもようやく「逆襲のシャア」が離れてきているからなのだろうけれども、
本当はミネバとシャアで物語がひとつ作れるのです。
(続き)
―ミネバも、相当な“重み”を持ったキャラクターでしたからね。
だからこそ、ひとりくらい忘れられた女の子がいても良いのではないでしょうか?
ベルトーチカの場合は一度取り上げておいて後方へ追いやったわけだから、まだ良いのだけれど。
「ガンダム」という作品にはそうやって人物をピックアップしてしまう部分があるのでしょうね。
だから、全部を選んではいけないという気にはなるね。
全てを几帳面にやっていったら病的になってくるような気になるね。
僕は番外編でミネバも含めて、扱わ…いや、扱うな(笑)。
だけど、扱うとしたら成人したミネバになるでしょうね。
さもないといやらしいのとかわいそうな気持ちになるから。
成人式を終えて子供ではなくなった状態にしてからですね。
大人になったら後は煮て食おうが焼いて食おうが良いだろうという思いがありますから。
いま頭の中にそういう考えがあって、それを次の「ガンダム」で…