ディアナ・ソレルのよしなに日記 in2007

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94某月某日
「ゼロからの再出発。これを実現するというのは非常に困難な事だ。
 見知らぬ人、違う文化、風習…成功を収めるのは並大抵のことではない。
 だが!愛する者を想えば何だってできるものさ。そうだろう?」
「ぼんぼんにしちゃ頑張ったんじゃないかい」

次回、グエン・ラインフォードのローラ、私は!日k…何をする放あqすぇdfrtgyふじこlp;
次回、ディアナ・ソレルのよしなに日記「CherryBlossom」
春の風は気まぐれ…



予告↑から2ヶ月経ったうえにディアナ様萌えになってないけど…
95某月某日:2007/05/06(日) 18:03:30 ID:??? BE:914846999-2BP(123)
「船路で7日陸路で3日。片道10日か…随分かかるものだな。」
「何言ってんだい。あたし達がここに来た時は1ヶ月以上掛かったじゃないさ」
「あの時とは状況も立場も違う。
 私は大陸間を結ぶ航空路線が出来ていると踏んでいたが、まだ数年かかりそうだな」
「ま、技術的には向こうの方が進んでるからね」
「だからこそだよ。向こうから飛行機を送ってくると予想していたのさ。
 どうやら私の認識以上にこっちへの警戒心が残っていると言うことか…」
「どうするんだい?」
「決まってるだろう?その為にこの数年を費やしたのだからな」


グエン・サード・ラインフォードはガリアにいた。
あの戦争によりアメリアにおける全てを失った彼はガリアへと渡り、小さな商社を起こした。
起業当初は食料品や雑貨といった利益は薄いものの手堅い商品を中心に展開していたが、
企業家・実業家としての才覚を活かし、最近では貴金属や工業製品など幅広く取り扱い
ガリアにおいて名を知られるほどの総合商社へと発展していた。
癖のある性格を持つ彼であるが、パートナーの強烈な個性によってその性格が
打ち消された事も事業の発展に繋がったのかも知れない。
彼のパートナー、メリーベル・ガジットのアメリアでの様子を知っている者が
今の彼女を見て当人だと気付く事は難しいだろう。
グエンと行動を共にするようになってからは濃い化粧を止め、髪を下ろし、
そこらの街娘と変わらぬ衣装を着るようになっていた。
黙って立っていれば中々の美少女である。が、そこはメリーベル。
商談の席で要らぬ茶々を入れては、ご破算にした事も一度ならずである。
本人はガリアでの新たなポジションが気に入ったようで今ではグエンの有能な
秘書を務め公私に渡るパートナーとなっていた。
96某月某日:2007/05/06(日) 18:03:43 ID:??? BE:338832656-2BP(123)
今グエンは予ねてから練っていたある計画を実行しようとしていた。
事業は部下に任せ1ヶ月間アメリアへ赴くと言うものである。
部下たちへは新規販路と顧客開拓の為にアメリア東岸の数都市を視察すると説明している。
無論これは名目であり本音は別の所にある。
「今会いに行くよ、ローラ」
グエンの人生を大きく変えた一人の少年。
その少年のために彼はあらゆる辛苦を耐えてきたのである。


係員 「15時発アメリア行き客船"ラルカンスィエル号"にお乗りのお客様は3番出国ゲートより…」
グエン「では行ってくる。留守の間は頼んだよ」
部下A 「はい」
グエン「状況がよければ毎晩無線電話を掛ける。何かあったらその時に教えてくれ」
部下A 「畏まりました」
月からの技術流入により地球世界は交通・通信技術を中心に急速な発展を遂げつつあった。
無線電話もその一つである。天候に左右されるものの数年前まで
伝書鳩で連絡していた事を想えば隔世の感ありである。
97某月某日:2007/05/06(日) 18:03:53 ID:??? BE:316244047-2BP(123)
「おはようございます、ディアナ様」
「おはようロラ…ん…」
「今日もいい天気ですよ」
「あ、窓は開けないでくださいまし」
「すみません。でも少しは空気を入れ替えないとかえって毒ですよ」
「でも…うぅ…ズルズル」
「さ、どうぞ」
「チーン…」
「すぐ朝食ができますからお着替えになったら降りてきてくださいね」
「よしなに」
最愛の人に鼻を噛むのを手伝わられる。これ以上の恥辱はないでしょう。
しかし、今月になってから急に鼻水が出やすくなってしまい朝の日課になりつつあります。
ロランが言うには花粉症というものだそうで…
98某月某日:2007/05/06(日) 18:04:10 ID:??? BE:90355542-2BP(123)
「ストレスやライフサイクルの変化が体質に影響して発症するそうです。
 今まで平気だったのに急になる場合もあるようですね。」
「体質ですか」
「去年と何か変わった事はありますか?」
「いえ、(体重以外)特には…あ、最近ウォーキングを始めましたがそれでしょうか?」
「去年も雪がないときは散歩をされていましたから、それはないと思いますが…」
「はぁ」
「とりあえずここに来られた頃の食生活に戻してみましょう」
「食生活ですか」
「まず10時のお茶の際、お茶請けはなしにします」
「クッキーが数枚程度ですよ?」
「でも、ここに来られた時は紅茶1杯でしたよね?」
「えぇ、まぁ…」
「次に午後のティータイムのおかわりは1杯までお茶請けを半分にしてみましょう」
「……」
「それから夕食後のお茶の際は一切お茶請けなしと言うことで如何でしょう?」
如何でしょう?と聞かれてもこれといった代案が出せるわけもなく
自らがいかに間食していたかを再認識させられ、ましてその結果に悩んでいる現状では
「よ、よしなに……」
そう応えるのが精一杯なのでした。
99某月某日:2007/05/06(日) 18:04:22 ID:??? BE:474365276-2BP(123)
朝食後、そんな回想をしていたワタクシの耳にドアベルの音が届いてきました。
ロ「どちらさまです?」
グ「やぁ、ローラ」
ロ「グ、グエン様?」
デ「え?」
グ「お邪魔していいかな?」
ロ「あ、はい。どうぞ」
デ「ん?」
グ「あぁ、こちらはメリーベル。私の秘書だよ」
ロ「メリーベル?メリーベルって…あの?」
メ「久し振りだね。ローラ・ローラ」
ロ「ロランです」
メ「ま、どっちでもいいんだけど…ディアナ・ソレル?」
デ「キエル・ハイムです」
グ「ご無沙汰しています、キエル嬢。ご機嫌はよろしいようで?」
デ「えぇ。グエンさんもお元気そうで」
100某月某日:2007/05/06(日) 18:04:32 ID:??? BE:203300036-2BP(123)
予想外の訪問者に戸惑いつつもロランは手際よく用意をし、
グエンさんとメリーベルさんは軽めの朝食をロランとワタクシは紅茶を手にテーブルを囲みます。
ロ「それでグエン様はどうしてこちらに?いえ、今まで何を?」
グ「話せば長くなるので割愛しますが、今はガリアで商社を経営しています。アメリアへは市場開拓の為の調査に」
デ「そういう事は経営者がする事とは思えませんが?」
メ「まぁ、そうなんだけど、部下は全員ガリア人かムーンレイスだからねぇ」
グ「調査するからには相手の事を知っている必要があるからね。それで私が動いたまでさ」
ロ「じゃあ、リリ様たちにもお会いになったんですか?」
グ「いや、リリ嬢やボルジャーノ公と言った人たちとは会っていない。
  ビジネスの為に来たのであって政治の為じゃあないからね」
ロ「そうですか。でもそれなら何故ここに?」
グ「ははっ。息抜きも必要だよ。ローラとは仕事や政治抜きで会えるからね」
ロ「はぁ…グエン様、先ほどムーンレイスも働いていると仰ってましたが?」
グ「あぁ、そうだよ」
デ「アメリア大陸以外にムーンレイスが入植しているのですか?」
グ「んー。ディアナ・ソレルはアメリアへの、正確にはサンベルト地帯への帰還政策を行った訳だが、
  人と言うのは好奇心が強い生き物だからね。その先に見知らぬ地があると分かれば行ってみたくなるものさ。
  数は少ないがガリアに止まらずエフリコやエイジアにもムーンレイスは住んでいる。
  100年もすれば、今地球人がいるところにはムーンレイス或いはその子孫もいるのが当たり前になるだろう」
デ「そういうものですか?」
グ「そういうものです」
ロ「そういうものなんですか」
メ「そういうものなんだろ」
101某月某日:2007/05/06(日) 18:04:45 ID:??? BE:338832465-2BP(123)
デ「どうしてメリーベルさんはグエンさんと一緒なのです?」
メ「ギンガナムがいなくなって清々したのはいいけど、行く宛なんてないから付いて行っただけだよ」
デ「入植やディアナカウンターへの合流は考えなかったのですか?」
メ「私はギンガナムの元にいたんだよ?そんなとこ行ったら戦犯として処分されるのが落ちさ」
デ「そのような事は…」
グ「キエル嬢」
デ「はい」
グ「メリーベルにはメリーベルの事情があって私の元にいるんだよ。君がローラとここにいるようにね」
デ「あ…不躾な事を聞いてごめんなさい」
メ「別にいいさ」
グ「さて、そろそろお暇するとしよう」
ロ「え?もうですか?」
グ「うん。仕事で来ているからね。朝食美味しかったよ、ローラ」
ロ「お粗末さまでした」
グ「じゃあ。またいつか会おう」
ロ「はい」
メ「バイバ〜イ」
デ「ごきげんよう」
102某月某日:2007/05/06(日) 18:05:12 ID:??? BE:304948793-2BP(123)
「すんなり帰っちまうのかい?」
「あぁ」
「何のためにここまで来たのさ?この3年の結果が30分の朝食でいいのかい?」
「彼が動いたとなれば、止むを得ないさ」
「彼?」
「船上の無線電話で金塊の話があったろう?」
「?」
「あれは架空の取引で実は暗号になってるんだよ」
「どういうことだい?」
「軍用と違って船舶電話は暗号化されているわけじゃない。傍受設備があれば誰にだって聞ける」
「それで?」
「大口取引のため小切手とは別に金塊300sでの支払い許可を求める。
 この場合、小切手だから後、金塊はゴールドタイプ、300sは3日。
 つまり3日後ハリー・オードが来ると言う意味なのだよ」
「それじゃあ?」
「あぁ、昨日のうちにここへ来ている筈だ」
「だから引き下がるのかい?」
「私だって命は惜しい。それにチャンスはまだある。
 今回アメリア復帰への足がかりを掴めば、1年後には本拠地をこっちに移す事もできるだろう。
 そうなれば、メリーベル。お前の月帰還のチャンスも巡ってくる」
「わ、私は別に…月に戻れなくても…」
「メリーベル。このまま私と一緒でいいのか?」
「だ、だから前々から私はそれでも…
 わ、私がいなきゃ困るんだろ?だから居てやるって言ってるんだよ!」
「…あぁ。そうか、すまんな」
「ったく、いつまで経ってもぼんぼんなんだから…」

「グエン」
「ん?」
「来る時、列車から見えたピンクの奴…桜だっけ?あれ見にいこう」
「そうだな、見にいくとしよう」


#END
103通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 18:57:39 ID:???
>>94-102
乙、そしてGJ!!!

CherryBlossom、桜の花。
銃で撃ち抜かれない真面目なグエンを久しぶりに見た気がする
ED以降をシリアスに書くとやっぱり
ディアナ様はキエルお嬢様として名乗るんだよな
104通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 20:26:12 ID:???
>>93>>94〜以降は別のSSなんだよね?
どっちもディアナ様の鼻具合が悪そうなのは共通してるが…
もし別ならぜひ続きを。