○○も泣いた!

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1通常の名無しさんの3倍
2ch一のネタ職人が集まるという旧シャア版の皆さ〜ん
ドライアイナ俺の涙腺を潤ますネタをプリーズ
2通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 11:41:32 ID:???
2get
3通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 11:48:45 ID:???
>1これでも読め!で、満足してカエレ!
実家に電話して一言@明日はボールで初陣
http://ebi.2ch.net/shar/kako/1002/10028/1002802164.html
4通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 12:05:47 ID:???
おーい、ただいま〜
親父ぃ、お袋〜、家出してコロニー出て軍に入ってた息子が逢いにきたぜ〜
あーつかれた。道なんか無くなってるんだもの
そこをこうして逢いに来たんだから…勘弁してくれよな

……

……風?
涼しい。それによく見りゃいい景色じゃないか

二人ともよく「いつか海の見えるところに住みたい」って云ってたもんな
ちょっと寂しいけど静かだし、心の底で喜んでるかも

……お、もうこんな時間
じゃあ俺もう宇宙へ帰るけど、毎日親父たちの居る湾に向かって挨拶するからそっちも見守っててくれよな

じゃ行ってくるわ
5通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 12:27:01 ID:OmVqCNx3
ねえねえ知ってる?今夜「リュウセイウ」ってのがふるんだって!

お姉ちゃんの話だと流星が雨のように降るから流星雨って云うんだけど
その流星にねがい事を3回となえると、ねがい事がかなうんだって!
でね、あたし「パパが早く帰ってきますように」っておねがいするんだ!えへ
パパね、「るざる」っていうお船に乗ってたんだけど、せんそう終わってもまだ帰ってこないの・・・
だから、たくさんの流星さんにたくさんお願いするんだぁ・・・

そうそう、その流星雨の名前が「イフィッシュ島流星群」って云うんだ〜。変な名前でしょ?
6通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 12:53:09 ID:PnzutmuK
…うん確に変な名前だな………
7通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 04:24:38 ID:3HSBipt2
(告げる、こちら艦長。5分後わが艦は小惑星帯へ向けて加速を開始する。
地球圏の見納めである。各員一時任務を解く。よく心に留めておくように)

お、下弦の地球と月が別れを悲しむ涙をたたえた女性の瞳の様や。
我等のサイド3は弾けた涙の雫と言うところか・・・

 おお 麗しのブルー・アイの君よ
 そなたの輝く瞳を 我等は恋焦がれ
 君の元より旅立つ今 その思いはなお強し
 御姿見えなくなろうとも 我 片時も君忘れず
 再び会えるであろうその刻まで 君 忘れたもう事勿れ
 麗しきその姿のまま 我等を忘れたもう事勿れ

・・・いかん、地球がアイツの目とダブってきよった
わいは男や、泣くか!こんなことでで泣いたら・・・アカン・・・

(告げる、こちら副長。これより加速シークエンスを開始する。総員配置につけ)

じゃあな、絶対帰って繰るでな!お前も元気でな・・・

8通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 09:06:05 ID:3HSBipt2
く、くそっ!バリュートがが!このままだと機体が・・・
(警報音)
機体温度・・・推力・・・AMBAC・・・機体強度は・・・駄目だ!
シートに体が沈む。宇宙があんなに遠い・・・地球に落ちる、落ち続ける感覚・・・気持ち悪い!
俺死ぬのか?いやだ!こんなのいやだぁぁぁぁ!!

(爆発音)

う、腕が吹き飛ん・・・機体がショックで進行方向に向いて・・・あ、体が前に・・・
・・・地球が、大きい。夜明け?外輪が明るい。海と雲が虹色に・・・
あれ?この感覚・・・、遠い昔どこかで・・・
どこか暖かくて、迎え入れられるような・・・



そうか、産まれた時の・・・かあさn
9通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 06:41:59 ID:AEyon4su
ぼくのおとうさん
1ねん とーます・りー

ぼくの、ぱぱわ、ぐんじんさんです。
ちいさなふねに、のています。
そろもんと、いうところで、たたかいました。
ほし1ごうさくせんじゅうぐんきしょうと、かくらんまくとつげききしょうを、もらいました。とてもかっこいいとおもいます。
あと、あおばくーというところで、たたかいました。
しづみかけの、ふねから、なかまをたすけようとして、せんししました。
くんしょうを、また2こもらいました。
せんしわ、とういおほしさまになることだと、ぱぱのじょうかんわ、いってました。
じょんくんわ「ぼくのぱぱわ、じむにのってて、きみのぱぱは、ぱぶりくにのってるから、ぼくのぱぱのほうがすごい」と、いいます。
だけど、くんしょうを4こと、おほしさまになったぱぱのほうが、すごいとおもいます。
ぼくわ、おおきくなったら、ぱぱとおなじぱぶりくにのって、ぱぱのほしに、あいにいきたいです。おわり。
10通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 09:34:53 ID:???
カツ「童貞だけど戦死しました」
11通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 06:47:41 ID:???
あら、久しぶりぃ!元気にしてた?
…ってそうでもない顔してるわねぇ。
久しぶりに恋人に逢ったっていうのになんて顔してるの〜。
もう、どうしたの。言ってみなさい?

えーっ!あなたボールに機種転換になったの!?

…ふんっ!ボール乗りなんてカスも同然ね。
パイロットとしてもMS乗りとは格が違うし、あんなもの作業ポッドに毛が生えた様なものじゃない!一緒にいるのが恥ずかしいわ
私たち、別れましょ。




…そのかわり、戦争が終わるまで生き残ってたら結婚してあげる
その強運で今度は私を死ぬ気で守りなさい!
いい?だから、勝手に死んだら許さないんだからねっ!(ぐすっ)…わかった?

…うんっ、宜しい!
12通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 09:40:47 ID:???
「なあなあ、お前らぁ。モビルスーツの中でなにがいちばん好き?
おれはぜったいガンダムだなぁ」
「なにいってんだよケンちゃん。
ザクがゼッテーいちばんかっくいーに決まってんじゃん」
「なんだよー、このひこくみん〜」
「なんだよー、このがきんちょ〜」
「…よう転校生。お前は何がいちばんかっこいいと思う?」
「女子にへいきのかっこよさなんてわかるわけねえべ。
それにコイツ一っ言もしゃべんねーし」

「…わたし、ミディアっていう飛行機がすき
わたしが住んでいた町がコロニー落としの影響でメチャクチャになったとき、最初に助けに来たのがミディアとそれに乗った兵隊さんだったの…
だから、人殺しをするロボットは嫌いだけとミディアはすき…」

「…そ、そうだよな!やっぱたたかわないミディアだよな!
誰だよ!ガンダムがいいって言ったやつは」
「ケンちゃん自身だよ…、あ〜ケンちゃん、惚れてんな〜転校生に〜」
「うるせー!
……おい、おれがミディアの兵隊さんみたいに助けてやるから安心しろよな」
「……………………ありがとう」
「わーい、ふたりとも顔真っ赤だ〜!」
「うるせー!!急降下ばくげきだ〜!」
「ケンちゃん〜、ミディア急降下爆撃やんないよ〜」
13通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 11:26:01 ID:???
…もう、おじいちゃん!無理しないで!

急に「アフリカに行きたい!」なんて言い出して、アタシが手配から付き添いまでしたけど・・・
こんな奥地に来るなんて聞いてなかったよぉ〜!
(ぼそ)まさか呆・・・ああっ!危ない!・・・自分の年を考えてよねっ

あっ、おじいちゃん。あれ、あそこに在るの「ザクU」って云うんでしょ?歴史の授業で習った!
角が付いてる〜。もう何十年も前だよね?あれが戦ってた1年戦争って
出発するときホテルのヒトに聞いたんだけど、ここら辺昔ダイアモンド鉱山があって1年戦争後もジオン軍残党がしばらく居たんだってぇ…


・・・お、おじいちゃん!?何で泣いてるの!?
うわっ、急にビシッて敬礼までしだして。何?何!?
「ご無沙汰しておりました」って誰に?何のこと?
あ〜あ、涙と鼻水とよだれで顔グシャグシャ・・・。もうはずかしいよぉ・・・。誰も居ないけど・・・
14通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 13:01:47 ID:k6TkvtWX
・・・おい先任軍曹、何人残っている?
・・・そうか、そんなに喰われたか
新兵たちはだいぶ衰弱しているだろうな・・・

中隊長より全兵に告げる
たった今、オデッサの放棄決定が司令部より下された

司令部はすでに宇宙に『転進』あそばされたそうだ
それに対し、わが隊は現在敵に包囲されつつある
そこで今よりわが隊は東の展開中の敵に対し総員突撃を敢行し、一気に戦線を抜ける
進む先では諸君らを宇宙に帰すべく味方が待っているはずだ
今一度諸君の奮戦を期待する!歌え!新兵!

Ob's stu"rmt oder schneit,  Ob die Sonne uns lacht,
(嵐の日も雪の日も      太陽 我らを照らす日も)
Der Tag glu"hend hei?    Oder eiskalt die Nacht.
(炎熱の真昼も         極寒の夜半も)
Bestaubt sind die Gesichter, Doch froh ist unser Sinn,Ist unser Sinn;
(顔が埃に塗れようと、     我らが心は快活ぞ。我らが心は快活ぞ。)
Es braust unser Panzer    Im Sturmwind dahin.
(戦車は轟然と          暴風の中へ驀進す)

有難う諸君、彼の地で必ずまた会おう。全軍、前進
15通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 13:20:51 ID:???
まんこ諸君、鹿野値で必ず股蒼う。善軍、射精
16通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 15:01:16 ID:6pB0CDdL
203、コースクリアーです。発進どうぞ
(203了解。〔ピッ〕・・・あのさ、ケティー。・・・もし生きて帰ってこれたら・・・付き合ってくれないか?)
・・・准尉、恥ずかしいです。・・・でも嬉しい。・・・早いお帰りをお待ちしています
(よっしゃ〜!203、出る!)

「ちょっとケティー・・・、さっきから出撃する人の告白を受けるような事云って大丈夫?もう4人目よ?」
「うん・・・
・・・でも皆さんのこと好きですし、もし『私のところに帰らなければ』という想いが、少しでも皆さんの生き残る力になれればって・・・」
「・・・はぁ、大したオペレーターよ、アンタは。分かった、後で謝るとき私も一緒に謝ったげる」
「・・・うん!ありがとう」

204、発進位置へどうぞ
(204了解。〔ピッ〕・・・ケティー曹長、実は話があるんだ・・・
17通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 22:02:21 ID:???
○○モナ板!
http://love6.2ch.net/mona/
18通常の名無しさんの3倍(1/8):2007/04/05(木) 10:35:49 ID:???
 その時僕は、どんな顔をして彼女の顔を見ていたのだろう?
 なんせ、初めての敵兵との遭遇と一目ぼれを一度に体験したのだから。

 0079.12月初旬。その年の初めに始まった『ジオン独立戦争(1年戦争)』はその舞台を再び宇宙に移しつつあった。
 此処に至るまでの経緯はいろんな人が述べてるので、僕からは説明しない。
 それに当時の僕は、9月に急遽徴兵された身で、周りの世界の事など殆ど何一つ分かってなかったのだから…
 19歳の誕生日を明日に控えたその日、ジオン公国、突撃機動軍伍長の僕は、先にサイド6・パルダに入港したザンジバル級巡洋艦に合流すべく入港したパプア級輸送艦「ミカワマル」に乗船、食料調達の任で上陸して、迷子になった。
 彼女とは、そんなあせって注意散漫な時に出会った。…歩道で正面衝突する形で。
19通常の名無しさんの3倍(2/8):2007/04/05(木) 10:37:15 ID:???
「いったたたぁ…。だ、大丈夫ですか?ごめんなさい、道に迷ってしまっ…」
「こちらこそ、前を見てなかったから…。…あの〜、大丈夫ですか?どこか打ちましたか?」
「…い、いいえ!大丈夫です!そちらこそ…、ああっ、荷物拾うの手伝います!」
「ふふっ、ありがとう」
僕は恥ずかしさを取り繕うように、彼女の持っていた紙袋からこぼれた野菜や果物を拾い集めた。
 ふと彼女のほうを見る。年のころは僕と同じくらいか…。低めながらスラリとした体つきとよく動く大きな瞳が活発そうな性格を思わせる。うつむき耳に掛かる栗色のセミロングの髪を掻き揚げる仕草に、僕はまたドキリとした。
「ありがとう。…うふっ、敵の前だからってそんなに硬くならなくてもいいのよ伍長さん。ココは中立地帯なんだから」
 よく見ると彼女は曹長の階級をつけていた。僕は舐められまいと少しむきになって答える。
「そんなことありません!道に迷って気が動転していただけです!」
「えっ?あ、あなたも道に迷ってたの?私も!なんだぁ、道を聞こうかと思ってたのにぃ…」
 彼女の落胆振りに僕の肩の力も抜けて、なんか笑いが込み上げてくる。
「なんだ、君も迷子かぁ。…失礼しました曹長殿」
「いいのよ、私士官じゃないし敵同士なんだから」
 微妙に「敵同士」のところでトーンダウンしたように僕には聞こえた。
「もしかして君、いま入港している『木馬』に乗ってるの?」
「えっ?う、うんっ!そ、そうなの!(…そっか、いま『ホワイトベース』が入港してるんだ…、やっぱり納入は間に合わないか…)」
 後ろのほうのつぶやきは、僕には聞こえなかった。
20通常の名無しさんの3倍(3/8):2007/04/05(木) 10:38:37 ID:???
「あーココに居たのか、伍長!」
 遠くから聞き覚えのある声がした。見ると同じ隊のガルベス・ゴードン軍曹が荷物を満載したエレカに乗って近くに停車させるところだった。
「て、てめぇ、俺が1人であくせく働いてるときにお前は連邦のWAVEといちゃつきやがってぇ〜」
「ち、違うんです軍曹!いつの間にか軍曹とはぐれてしまって、で、彼女とはそこで衝突して…」
「なにぃ〜!こんな街中で『合体』しただとぉ〜!なんて破廉恥な…。そこに直れ!!!」
「どんな聞き違いしてるんですか!こんな街中で恥ずかしい」
 ふと隣を見ると彼女が目を点にして立っている。
 さすがに『レッドカード』な会話だったかと心配したが、彼女はその大きな瞳を子猫のように細めて笑い出した。
「あははは、ジオンの方々もそんな会話するんですね。もっと固い人たちかと思いました。」
「ふっ、硬いのはあそこだけで十分でさ。曹長、もしよければ送りますぜ」
 僕も彼女も初めの台詞は聞かないフリをした。
21通常の名無しさんの3倍(4/8):2007/04/05(木) 10:40:42 ID:???
 道中、彼女は軍曹の一方的に捲くし立てる話に微笑みながら耳を傾けていたが、やはり敵兵二人と同衾しているということで緊張していたのかもしれない。
手は軍服の裾を握り、肩には力が入っていたのを、僕は荷台から見ていた。思えば僕に「硬くなるな」と言った台詞も彼女なりの強がりだったのかもしれない。
「あ、わたし『リボー』に用事があるのでここで結構です。ありがとうございます」
 港に入る手前で彼女は言った。自分の荷物を僕から受け取って車を降りる。人ごみに彼女が消える前、僕は彼女に声をかける。
「あ、あのっ、君の名…」
 その後の言葉を軍曹が手で制した。振り向いた彼女は一瞬憂いをたたえた目をしたが、すぐにあの笑顔で手を振り、人ごみに消えた。
「何で止めたんです!名前を聞くだけだったのに…」
 僕は軍曹に聞いた。
「やめとけ…。下手したら戦場で銃を向け合うかも知れん相手だ。名前を知ってる相手じゃ…な…」
 その時だった。いままで陽気な音楽を流していたエレカのラジオが逼迫したアナウンサーの声に変わったのは。
「…を申し上げます!たった今入りました情報によりますと、現在サイド6領内で連邦軍とジオン公国軍との間で戦闘行為が行われている模様です!詳しい情報は…」
 同時に僕らが持っていた通信機が緊急呼集のアラームを告げた。そのアラーム音と軍曹の寂しそうに呟いた言葉が、僕は戦争を今しているのだと言うことをいやでも思い出させた。
22通常の名無しさんの3倍(5/8):2007/04/05(木) 10:42:19 ID:???
 翌日、コンスコン艦隊隊員の遺体を回収した僕らは、ザンジバル級とともに出港。公海でバタシャム曹長他1名が新型MS以下機密部品を含む補給物資と乗機とともに移乗、僕とゴードン軍曹は『ミカワマル』でグラナダへと戻った。
 その後、部隊を第7師団のMS隊に再編されア・バオア・クーへと移った僕らは、そこでまた彼女と再会することとなった。軍曹の言ったとおり、銃を向け合う相手として…
23通常の名無しさんの3倍(6/8):2007/04/05(木) 11:04:48 ID:???
(伍長!そっちに追い込んだ!ちゃんと落とせよ!)
 1機のGMが格好のタイミングで飛び込んでくる。僕が引き金を引くと吸い込まれるようにザクUの120mm弾がGMの頭部に命中した。
 0079 12月31日。1年近くにわたる戦争も、幕引きを迎えつつあった。
 ア・バオア・クーはほぼ陥落し、噂ではギレン・ザビ総統、キシリア・ザビ突撃機動軍司令も戦死。ジオン残存部隊はこの宙域を放棄しつつあった。
 僕はゴードン軍曹とバディーを組んでこの戦いに臨み、なんとかまだ生きていた。
 そしていま、僕は現在所属する艦ムサイ級『キウメル』を逃すべく戦っている。

(伍長、新手だ。GM4機!10時の方向、北天30度!横一文!)
 軍曹からの指示。レーダーで確認する。あと5秒ほどでお互いの交戦距離に入るところであった。
 僕は残りすべてのクラッカーを敵左翼機の予想進路に撒いた。回避運動を取りつつタイミングを合わせてクラッカーを撃つ。さっきまで居た所をビ−ムの光が薙ぎ払った。
 クラッカーが爆発。どうやら左翼のGMはメインバーニアに破片を食らったらしい。脚部スラスターを吹かして後退していく。
(よし、2on2だ。俺は右をヤル!左は任せたぞ)
「了解!」
 いつの間にか1機落とした軍曹からの通信に僕は短く答えた。
 この1日で僕は戦場にいつの間にか慣れてしまった。それでもまだ交戦中に文章を紡げるほどの余裕は僕には無かった。慣れるという事の意味を考える暇も…
 GMが1機、ビームガンを乱射ながら一直線に突っ込んでくる。
 僕はロールして回避しながら腰のヒートホークを持たせる。GMもサーベルを抜いてきた。
 正面から組み合う。互いに攻撃は開いている腕により押さえ込まれる。
 何とかしようともがいていると、ヘッドホンから声が聞こえてきた。
(…の…族を返しなさいよっ!この虐殺者!!)
 
 それは、あの日聞いた彼女の声だった…
24通常の名無しさんの3倍(7/8):2007/04/05(木) 11:07:04 ID:???
(あんたたちがシドニーの両親を殺した!弟を殺したっ!みんなを返せっ!!)
 僕は頭が真っ白になった。
 えっ?あの娘がいま目の前に?逢いたかった…。けどなんか僕を責めている。何で?…
(サイド6で弟のような人に逢った時、ジオンも同じ人間なんだと思った…。
 けどその後あなた達がやったことは何!罪も無いリーアの人たちを巻きこんでっ!!
 あなたは見たの!?MSに踏み潰された母子の無残な姿を!!
 やっぱりあなた達は人でなしだわ!消えて無くなれぇぇぇ!!)
 その言葉を聞いた時、僕は愕然となった。
 いつの間にか『敵』と呼ぶ人をを殺すのに慣れ、旨く撃墜できた時には『快感』すら覚えていた事を…!
 その隙に彼女のGMは僕から離れた。少し離れたところでビームガンを構える。
 僕を叱りつける軍曹の声も、味方の艦砲射撃を警告するアラームも聞こえず、僕はただ、「彼女が僕を撃つ事で救われるのなら、それでも良い」と、ただそれだけを思っていた。
(サヨウナラ、虐殺者)
 彼女の声を聞いたその時、視界いっぱいに光が溢れた…
25通常の名無しさんの3倍(8/8+1):2007/04/05(木) 11:09:37 ID:???
(バカヤロー!!自殺なら俺の目の届かないところでやれ!動けるならズラかるぞ!)
 軍曹の罵声が聞こえた。あれ、僕、まだ生きてる…
(連邦の巡洋艦が迫っています。再度30秒後に15秒間艦砲射撃で援護しますので退却してください。2分40秒後に本艦は小惑星帯へ向けて加速を開始します。)
『キウメル』のオペレーターが状況を説明している。
 だいぶ頭がはっきりしてきた。さっきの光は味方の艦砲射撃だったのか…。はっ、彼女は!?
 僕は彼女のGMを探した。…いた!正面だいぶ離れたところを漂流している!
「軍曹!先に戻ってください!僕はやることやったら戻ります!」
(え?お、おい!どこへ行く気だ!?時間がねえんだぞ!)
 ゴードン軍曹の言葉を聞かずに僕はGMに向かって加速した。
 近づいて見ると彼女のGMは、両腿から下を吹き飛ばされメインエンジンにもスパークが走っていた。だが外見にはコックピットには被害がなさそうである。
 僕は無線で呼びかけたが反応が無い。そのまま抱きかかえて連邦の巡洋艦のいる方向へ加速した。
 味方の艦砲射撃が始まる。この隙になるべく近付かないと…
 耳に再び彼女の声が聞こえ始めた。
(…う、うん…。わたし…どうした…)
「大丈夫、味方のところまでつれてってあげる。安心して」
(ザ、ザク!…どうして、あたしを?)
「僕たちのした事を許してなんて云えない。どうしたら許してもらえるかも分からない。
 …だから、僕が許してもらえる方法を見つけるまで、生きて」
(そ、その声!あの時の!?)
 僕が『キウメル』とサラミス級の軸線上に入ると両艦とも射撃を停止した。
 そのままそこにGMを残し、『キウメル』へと戻る。
(き、きm……n…前h………)
 ミノフスキー粒子の影響か、彼女の声は聞こえなくなっていった…。
26通常の名無しさんの3倍(9/8+1):2007/04/05(木) 11:11:09 ID:???
「まったく…。俺がワイヤーを流さなかったらお前置いてけぼりだったぞ!」
 ゴードン軍曹が僕の頭を小付きながら云う。
『キウメル』の船外が見えるテラス。そこにほとんど全ての乗員が集まっていた。見納めになるかもしれない地球の姿をとどめに…
「しかし、お前が何をしでかすかと思えば、GMを敵の射線上に置いてこちらを撃てなくするとは、よく考えたなぁ!」
 今度は僕の頭をヘッドロックする。けれども当の僕は上の空だった。
「そうそう、お前あのGMと何か話してたみたいだが、何を話してたんだ?」
 僕の両頬を引っ張りながら軍曹が訊く。僕は答えた。
「軍曹…、やっぱり…名前は教えあったほうがいいですよ…」
 軍曹は僕の顔を見ると、その大きな手で僕の髪をクシャクシャにして静かに立ち去った。
 僕が目をしばたせると、目の前の天体に新しい衛星が増えた。


 そして・・・
27通常の名無しさんの3倍(1/ep2):2007/04/05(木) 11:13:20 ID:???
0093 3月12日。地球衛星軌道上
 僕はアクシズを押していた。
 6年前、地球圏に戻ってきた僕はまだ謝罪の方法を、そして彼女を探していた。
 その後もいろいろな戦場で戦った。気付けば僕はアクシズを地球に落とそうとしていた。連邦を悪として。全ての権化として。
 けど何か違うと『聞こえた』と思ったら、僕はアクシズを押していた。
 全ての始まりをまた繰り返しては!!
(ギラ・ドーガまで。無理だよ、みんな下がれ)
 誰かの叫びが聞こえる。
「地球が駄目になるかならないかなんだ。やってみる価値ありますぜ」
 僕は云った。そうだ、ココでこれを落としては彼女に顔向け出来ない。彼女がいるかもしれないアソコにこれを落としては!
(そうよ!みんなが強く願えば、人は変われる。不可能も可能になるわ!)
 聞いたことのある声が、ずっと聞きたいと思っていた声が、その時僕の耳に響いた。
 その途端、僕のギラ・ドーガのバックパックがオーバーロードで爆発した。
 アクシズの表面を流される僕の手を、1機のジェガンが掴んだ。
(が、頑張って!…やっと、やっとまた逢えたんだから!!)
 彼女がすぐそこにいる!やっと、やっと逢えた!!
 強く、しっかりと繋ぎ直そうとしたとき、再び僕は飛ばされてしまった。
 そんな!せっかくまた逢えたのにっ!!
 このまま後悔に苛まれたまま死ぬのが僕に与えられた罰なのか…
 そう思った時、僕の周りを暖かい光が包み、僕は意識を失った…
28通常の名無しさんの3倍(2/ep2):2007/04/05(木) 11:19:49 ID:???
(…え!お願い!目を覚まして!!)
 彼女の叫び声で僕は目を覚ました。
 モニターにジェガンとハッチをたたくノーマルスーツ姿の彼女がいる。
 僕はハッチを開けた。彼女が飛び込んでくる。
(よかった…。私、わたし…)
 涙で曇ったシールドの向こうに見える彼女の顔は、逢ってから10年以上経った今でもあの時と同じままだった。子猫のような目が涙を湛えている。
「アクシズは…?」
(…どういう訳か分からないけど、大丈夫。軌道を外れたわ)
「僕、君に謝る方法を今まで探してきたけど…」
(ううん…、もういいの。あなたはもう行動で示したわ。
 謝らないといけないのは私の方…。私、あなたにとんでもないことを…)
 僕は言葉にする代わりに行動で示した。彼女を強く抱きしめることで。

 僕たちはやっとすれ違いから解放された。メビウスの輪から外れ同じ道を一緒に歩みだすことが…
 その一歩として、やっとお互い云えなかった言葉を、僕たちは尋ねあった。


 「あなたの 名は・・・
                               =end=
29通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 00:15:51 ID:/lanKbRY
・・・よう、今日も寒いな。
へっ?「俺たちのいる宇宙の真空のほうがココ南極より寒い」?ははっ、そりゃそうだ!
おっ、タバコか?ありがと。・・・ふう
・・・結局、終戦合意には至りそうにねえな。こんな辺鄙なところで会議したくせに・・・。クソ!
お前らジオンの間抜け面を間近で拝むのも今日あたりが最後か・・・。・・・うるへー、スケベ面で悪かったな!

お前とはこの数日よく目を盗んでポーカーとかやったな・・・、金は使えないからタバコやエロ本を掛け金にして。
おかげでコチトラ大分楽しい南極生活が出来ました。アリガトウゴザイマス〜!
え?勝ち逃げは許さない?・・・いいぜ、何で勝負する?

「終戦まで賭けの相手が生き残るかどうか。
 予想が当たったら、生き残ったその賭けの相手は、自分の家に対戦相手を招待し、満足させるまで歓待すること」

ん?んん?・・・ふふっ、そういうことか。面白ぇ・・・。乗った!もちろん『生き残る』方に賭けるぜ。
ちっ、向こうで小隊長が呼んでやがる。どうやらお別れみたいだな・・・
いいか?お前が賭けに勝つ事は十中八九決まってるんだ!
嫌気がするほど歓待してやるからなぁ、俺も賭けに勝たせて引き分けにさせてくれよ!

いいか、絶対だぞ!忘れるな!!
30通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 17:15:15 ID:jcL4tF6Q
 「俺の約1年にわたる復讐劇も、多分今日で最後だな・・・」
 発進直後のGを体中に感じつつも、指はいつものようにコンソールの隅に吊るされた携帯端末へと伸びた。
 軍に入る前から使っていた携帯。そのディスプレイには1組の若い男女が写っていた。結婚したての頃の私と彼女。
 その彼女は今はもう、いない。
 
 結婚してすぐに仕事の関係で私たちはサイド2に引越した。体の弱い妻を無理を押して引き連れて。
 本来なら病弱の妻を気遣わなくてはならなかったのだが、当時私は仕事が忙しく、1年の内の7割が地球や月への出張で妻の元に居られる事は少なかった。
 クリスマスを1週間後に控えたその日も、急な出張を申し訳なさそうにしている私を、妻はいつものように気丈にも玄関まで笑顔で送り出してくれた。
 「私のほうは大丈夫。あなたこそ元気で帰ってきてね…」と。

 そして、年が明けた1月10日。
 妻の居たコロニーが、眼前を輝きながら流れていくのを、私は地球でただ見ているしかなかった。
 私は、彼女の元に帰ることが、守ることが、声を聞くことが、二度と出来なくなった…

 私はすぐに会社を辞め軍に入った。妻の敵をとるために。
 MSパイロットとして各地を転戦し、そして今ア・バオア・クーに居る。
 宇宙に来たのはあの日以来である。私は今まで感じたことも無い恐怖を感じていた。
(大丈夫。私がそばに居るから)
 妻が横に居た。
 「そうか、今日はお前を近くに感じる気がしていたが、迎えに来てくれたのか…」
 今日私は死ぬつもりだった。妻への謝罪の意味をこめて。
 妻は寂しく笑っただけだった。
(小さい頃から病弱だった私だから家の遠くの事なんか夢の世界のことだった。
 だから、あなたが宇宙に連れていってくれたとき、出張先の話をしてくれたとき、とっても嬉しかった…)
 震える私の右手の上に彼女の手が添えられる。恐怖感が消えてなくなる。
 「よし、一緒に行こう。どこまでも」
 私はスロットルを開いた………

 (…12聞こえるなら応答せよ、112聞こえるなら応答せよ。着艦できるか?新撃墜王)
 私の機体を呼ぶオペレ−ターの声で目を覚ました。
 …たしか、敵の中に突入して…、感覚が冴えてたのか5機をあっという間に落としたが、6機目に攻撃を食らって…
 ふと見ると、懐に携帯が漂っている。衝撃でコンソールから飛んだみたいだ。
 着信ランプが点滅していた。
 私は着信していたメールを開く。
 私は愕然とした。今まで通信事情が戦争により断絶されサ−バーに留め置きされていたのだろうか?妻からのメールであった。

-----------------------

From: [email protected]
To: [email protected]
Date: 1/3/0079 07:23

Sj:

 死ぬのは怖くない、小さい頃から病弱だったから、ね…
 心配なのはあなた。気真面目だから
 私は大丈夫、あなたは私の分の生きて

----------------------- 
 死の恐怖が迫っていただろうに、気丈にもこう書かれていた。
 「…私のほうが…お前を労わらなけりゃ…いけなかった…のに。俺を諌めに…本当に…ゴメン…ゴメン…」
 溢れる涙も気にせず、私は携帯を握り絞め続けた…
31通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 17:14:42 ID:CykG4VL/
 あっ、まだ居た!内陸へ避難してなかったの!?
 ・・・な、何よっ。私は別れたあなたを心配して来たんじゃないんだから。忘れ物を取りに、・・・何笑ってるのよ!
 あなたはいつもそう、大変だって云う時、いつも何でもないかのようにヘラヘラ笑って・・・
 一応判ってないかもしれないから言っておきますけど、私には新しい彼氏が待っているんだから
 あなたも、ジャブローにコロニーが落ちたらココにも津波が来るかもしれないんだから、早く避難したほうがいいわよ!
 「せやかてどうせ交通渋滞で街から一歩も出られへんし」って・・・、何もう達観してるのy・・・ちょっと待って!テレビ、ニュース見て!!

 コロニーが、分裂した・・・

 ど、どうなる訳?ねえ?
 「分裂・減速した破片がここシドニーにも落ちてくるかも」って・・・、そんな・・・
 ・・・私たち死ぬって事?
 ふふっ、あなた、こんなときでも残酷なほど優しい顔で微笑めるのね・・・
 
 私にはあなたのその優しさ、芯の強さが辛かった。1人で頑張らなくちゃいけない時でも寄りかかってしまいそうで・・・
 だから、私はあなたと別れた。なのに、こんなことになって最初に浮かんだ顔があなただった
 そう、新しい彼氏が待ってるなんて嘘。本当は1人で寂しくて、心細くて仕方がなかった・・・。あなたに会いたかった!
 ・・・死を前にすると人は嘘はつけないって本当ね。誰かに本当の私を覚えててほしくて
 え?「そんなもん最初から俺は全て判ってた」?「いつも俺が笑顔でおれたのは、隣でいつも強がってたお前が居ったからや」?
 ・・・バカ、泣けてきちゃうじゃない。最期くらいあなたと一緒に笑って居たいのに・・・

 風が強くなってきたね
 ねえ・・・、キスして・・・。そのときまで・・・

 っ・・・
321:2007/04/14(土) 22:57:12 ID:???
>17
○○モナイタ・・・

半月かかってやっと判ったよorz
33通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 16:50:43 ID:iE61x7P0
♪じんぐるべーるじんぐるべーる くりすますー
 あといーくつねるとー くりすますー ヘイ!
 じんぐるべーるじんぐるべーる くりすますー
 はーやくこいこい かえってこい ヘイ!

《ピロロロロ ピロロロロ・・・》
 あ、電話〜!ミリーがでるー

 もしもし〜、どちらさまですか〜
 あっ!パパぁ!!
 ・・・ううん、さみしくないよ!ほんとにほんと!本当なんだからぁ!!
 え?・・・そうなんだ、帰ってこれないんだ。・・・ううん、だいじょうぶ。お仕事だもんね。
 ・・・ほんと!?ありがとう!うれしい!ミリーほしかったんだぁ
 んーとねー、んとねー、ミリーね、パパにたくさん話したいことがあるんだぁ
 ・・・うん。それじゃあ帰ってきたらね!やくそくだよ!!
 うんわかった!ちょっとまってて!

 ママぁ〜、でんわ〜。パパから!!

 じょん〜、おいで〜
 じょん。パパがねぇ、クリスマスに帰ってこれないおわびにね、ぬいぐるみを送ってくれたんだって!
 パパの友だちが作ってくれんだよ。「ぼーる」ていうんだよ。パパが乗ってるのと同じなんだぁ。うふふ、いいでしょ?

 あっ、ママぁ!お電話終わったの?パパと何お話したの?
 ・・・ママ泣いてるの?おなかいたいの?
 ママぁ、いたいよぉ。・・・ママぁ、泣かないで。いい子いい子してあげるからぁ・・・
34通常の名無しさんの3倍:2007/04/19(木) 16:31:59 ID:mrDd2fES
 そうかい、あんたら引っ越すのかい
 強制疎開でこんなせせこましい処に押し込まれたけど、コロニー再建計画で新しい移住先が増えたからねぇ
 マハルからずっとお隣さんだったけど寂しくなるね・・・
 え?あたしかい?あたしは此処に残るよ。
 此処に食堂を構えてだいぶ馴染みの客も出来たし、息子を待ってなきゃならないからね
 「けど、息子さんは・・・」って、・・・確かに旦那は御国に捧げたさ。けど息子の戦死通知はまだ来てないからね
 終戦から3年、通知が来ていないということはまだ死んでないって事だろ。きっと帰ってこれない理由があるのさ
 おや?表でトラックの運転手が呼んでるよ?
 じゃあ元気でね。たまには手紙をおくれよ
35通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 00:02:33 ID://WsiH4Y
 さあせっくん、町に着いたわよ!
 今日はパパのクリスマスプレゼントを買うために来たんだからねっ!おもちゃ屋なんかで油なんか売ってちゃ駄目だよ
 おねえちゃんから離れちゃ駄目よ。いい?わかった?
 
 で、何も考えてこなかったけどどうしよう?
 …そういえば、この前来たパパの手紙に「フネのご飯に飽きた。地球の、故郷の食べ物が食べたい」って書いてたよね?
 うん!そうね。パパの好物を送ろうか!

 え〜と、パパの好きな食べ物って何だっけ?
 たしか…、「でこぽん」が好きだったような…
 …え?「ちゃんぽん」!?…確かにちゃんぽんはパパの好物だけど…
 もうダダこねないの!この町にちゃんぽんなんか無いし、第一どうやって送るのよ!パパのお船まで出前なんか頼めるわけ無いじゃない!
 きめた!でこぽんを送ろっ?ね、いいでしょ?
 もう「いつもおねぇちゃんが勝手に決めて〜」って…。しょうがないじゃない。
 …泣いてもだめ!置いてくよ!ほら、手、つないで。ね?

 すみませーん、でこぽんくださーい
 …え?そんなに高いの?…気候の変化で超不作で値段が高騰?
 こづかいじゃ足りないや…、どうしよう…

 …せっくんそんな顔しないでよ。おねえちゃんだってくやしいんだからぁ…。ぐすん

 …そうだ!せっくん、いい考えがあるの!耳貸して…


 「艦長、作戦前に何笑ってるんです?」
 「いや、子供たちからのクリスマスプレゼントがね…」
 「…ふふ、可愛らしいじゃないですか。必ず生きて、受け取りに帰らなくてはいけないですね」
 「ああ、そうだな…」

《パパへ
 クリスマスおめでとう!
 プレゼントの写真を送ります。
 ナマモノなので
  お早めに引取りをお願いします。
 早く取りに来ないと他の人に取られちゃうぞ!
 お仕事頑張ってね
         マリより 愛を込めて

 ぱぱえ
 はやくかえってきてね
 くりすますおめでとう!
         せいじ  》

(同封された写真には
 大きな白い袋に入ってニッコリカメラに微笑むサンタ姿の姉弟の姿)
36ジオン某基地料理長:2007/04/22(日) 00:37:27 ID://WsiH4Y
コックは楽だろうって?
そうでもないさ。色々計画して計算して手配して工夫して…
でも一番辛いのはアレかな

開戦から時が経つにつれてさ
食事を作る量は減ってるのに
手の付けられていない残飯が増えていくのよ

あれは仕事してて辛かったな・・・
37188(本当に来ちゃった・・・☆):2007/04/23(月) 07:20:02 ID:???
援護射撃しますよ!任せて下さい!>>1
そして>>36さん・・・あなたに触発されました!

【障がい者】シローの天下り【自立支援】

『新入り!キャリフォルニア巻きまだか!?』
『ま・・・待ってください!』
『アボガドロールまだですか?』
『あ、あと少しです!』
『ソンシロール追加分出来ました?』
『・・・すみません!まだです!』

その手狭な厨房で独楽鼠のように働く男達の
罵声交じりの怒号が響く。
新入りと呼ばれ、他の職人から小突かれっぱなしの
その『 男 』は悔し涙を浮かべながらも必死に
調理を続けていた、が、慣れない職種での初仕事で
容赦なく『苛め?』られた事に動揺してか
その手元は、義足であるその足元よりも覚束無(おぼつかな)い
ものであった。そして汗まみれになってやっと完成した
『アボガドロール』を、先程から耳元で怒鳴り続ける
自分の年齢よりも遥かに年下なのに『さん』付けで呼び
しかも『敬意』までもはらわなくてはならない『若者』に
手渡そうとした時、その悲劇は起きた。

乾いた音が調理場に響く。
間髪いれず、まるでそれを待ち構えていたかのように
その『新入り』に対して一斉に聞くに耐え難い
罵声が投げつけられた。

『バカヤロー!だからカ@ワは使えねーんだよ!』
『カタ@のくせに一丁前に働こうなんてどだい、無理×2!』
『この税金ドロボー!!』
『悪い遺伝子は消えてなくなれッ!!』
38通常の名無しさんの3倍:2007/04/23(月) 07:21:16 ID:???
そのチェーン店の厨房は、CMの爽やかなイメージと謳い文句とは裏腹に
衛生的で安全・・・とは言い難かった。実際、調理する人間そのものが
不潔で衛星概念など、さらさら持ち合わせていない様に思えた。
その現場に一歩踏み入れた瞬間、誰もが打ちのめされる事になるであろう。
飛び交う怒号、予測し難い事件の連鎖、個々の力では最早どうする事も
出来ない強大な権力からの圧力、不条理な仕打ちと怨嗟(えんさ)の言霊
そんな・・・現場の雰囲気は、まさに『戦場』そのものであった。

この話は・・・
理想と現実は違うものだと、現実はそんな甘いものではないと
またしても知る事となる『 男 』の物語である。
39通常の名無しさんの3倍:2007/04/23(月) 07:42:10 ID:???
(また・・・クビになっちまったな。)

手切れ金?を受け取り終えると
俺は、『ハロ@ワーク』で紹介されたスシ屋を後にした。

官民競争入札制度が適用され、効率、収益優先の
市場原理泰一主義が大手をふって蔓延(はびこ)る昨今の
労働環境において、例え、税金の無駄遣いと酷評される
『ハロ@ワーク』でも仕事を紹介される事は稀に見る幸運と
言えた。ましてや、俺は勝者の軍属とは言えど
脱走兵という不名誉な職歴?を経ているのだ。
尤も、今回のスシ屋の仕事は自分の名前がそのチェーン店に
よく似ていた事とジャパン系の出身である事が有利に
働いたということであるのだが・・・実は俺が義足だという事が判ると
担当者は露骨に嫌な顔をした。
40通常の名無しさんの3倍:2007/04/23(月) 08:03:10 ID:???
足を引きずりながら路地裏を歩き続ける。

(この歳になって就職活動とは・・・な・・・orz)

まるで隻眼の大河ドラマの主人公のような気分である。

既に日は落ち、辺りには夕闇が迫っていた。
突然、蒼い稲光と共に雨が落ちてくる。
ずぶ濡れになりながらも俺は必死で家路を目指す。
もう・・・誰も待って迎え入れてくれぬ
家ではあるが。

            (序章?・・・おわり)

次回予告 『ふたりだけの戦争』

 援助金を打ち切られ、困窮する家計
世間を、社会を逆恨みし捻くれイジケ、引き篭もる
『 男 』に零落したとは言え、貴族の血を受け継ぐ
『 妻 』の怒りが爆発する・・・!!

(・・・続けてもいいかなぁ。。。本当に。。。)
411:2007/04/23(月) 12:47:02 ID:???
援護射撃感謝です

あのシローが落ちぶれて…
クレイジーキャッツの「これが男の生きる道」を思い出したよ(涙)

ぜひ続けてください!
42188:2007/04/26(木) 00:41:18 ID:???
>>41
いやぁ・・・駄洒落を思いついた勢いで
書いてしまったんですよ(汗)
取り敢えず、ウザくならないように
空気を読みながら書いてみます。。。(てへっ☆)

あ、ぁあ・・・これからも宜しくでつ。。。ノシ♪

>>39
訂正
×市場原理泰一主義
○市場原理第一主義
43通常の名無しさんの3倍:2007/04/26(木) 01:28:36 ID:???
>>38
訂正
×不潔で衛星概念など
○不潔で、衛生観念など

>>40の続き

 
『もっと稼いで下さい・・・あなた・・・』

結婚生活2周年目を目前にして
妻がふと漏らしてしまった呟きが俺の心を抉(えぐ)る。
夫婦喧嘩というものは、どんな時も些細な事がきっかけで始まるものだ。
だが・・・その原因が家計に関しての問題だったとすれば
直接『カネ』に係わる事だけに、人の心の醜さがより一層・・・際立つ。

『何だと!?もう一度、言ってみろ!!』
『もっとお金がいるのよ!この子の為にも!』

お互いに傷つく事が判りすぎる程、判っているのに
あの時の俺達はその衝動を抑える事が出来なかった。
そして普段、口にする事が無い汚い言葉や
考えてもみなかった事をぶっけあった。
今にして思えば余りにも・・・愚かであった。

『援助金が打ち切られたのは、お前が敵陣営だった所為だろ!?
 こっ・・・この・・・テロリストめ!!』
『ひ・・・酷いッ!!私だって好きで戦ったわけじゃないのに!!
 やっと兄の看病から解放されたと思ったら、今度は義足で@タワの
 亭主の面倒を見なければならないなんて・・・もう、うんざりよッ!!』
『い、言いやがったな!それが本音か!?』
『貧乏暮らしはもう嫌なの!!』
44通常の名無しさんの3倍:2007/04/26(木) 02:15:45 ID:???
この季節でも黄昏時は寒い。しかも、職を失った身では尚更である。
降り頻る雨に濡れ、身も心もすっかり冷え切ってしまった。
カチカチと歯を鳴らしながらも足を引き摺る。

嗚呼、そう言えば、あの時も震えていたっけ。
あの時・・・俺は自分自身の不甲斐なさと『 妻 』の言葉の暴力に
逆上し、初めて『 妻 』に暴力を振るってしまった。
しかも・・・妊娠中にも関わらず・・・である。
殴りつけられた妻は暫く呆然としていたが
やがて、ワナワナと肩を震わしたかと思うと
その場にどっと泣き崩れた。
言いようの無い遣り切れの無さが、これでもかと胸を絞めつける。
俺は居たたまらなくなって部屋を出た。
俺の造った拳は・・・やはり、怒りでまだ震えていた。

 (ふたりだけの戦争 おわり)

次回予告 『密林の岩ダム』

 逼迫する水資源の確保の為に、かの地でも
ダム建設がついに始まった。
峻厳で冷徹そのものの政府が下す一枚の立ち退き命令書が
冷え切った二人の関係を更に険悪なものとする・・・

(うへぇ・・・欝になってきたお♪)
45Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:13:53 ID:???
(プロローグ)

 俺の前に座った女性は、1本のソプラノサックスをケースから取り出して呟いた。
「この子がいたから、今の私がいるんです」
 新しい仕事の一環としてザビ家の人達の人なりを纏め始めた俺は、1人の女性にアポをとった。

 セ−ジ・メイ・ショーター。そんなに大きくないソプラノサックスが大きく見えるほど小柄な体、白い肌、ウェーブかかった金色の長髪、紺碧のつぶらな瞳。
 今では新進気鋭のジャズ・サックス奏者として名の知れた彼女。
 1年戦争当時、彼女は複雑な経緯の末、ザビ家3男の妻ぜナ・ザビの侍女を仰せ付かっていた。
 今まで彼女はその事を周りに伏せていた。今回のインタビューは彼女のカミングアウト、特別な思いのこもった会見でもあった。

「このサックスは、父の形見なんです…」
 そういう彼女の顔が愁いを帯びた。
「今日はドズル様とゼナ様、そしてミネバ様の件でお話を聞きに来られたんでしたね。その為にもこの子の事も話さないと。私には少し辛い話だけど…」
「申し訳ありませんが、よろしければ」
「わかりました。ドズル様ご家族をよく知ってもらう為でもありますものね。宜しくお願いします」
 彼女が一礼する。俺も礼を返すと、懐からレコーダーを取り出し彼女の告白を記録し始めた。
46Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:17:32 ID:???
(1)

「私の名前はセ−ジ・メイ・ショーター。
 0068年5月3日、サイド2の農業プラントで働く父と普通の主婦の間に生まれました。
 父は草木と音楽が大好きで、セージという名前も「スカボロー・フェア」に出てくる薬草の名前を、生まれた季節と花言葉から父が付けてくれました。
 ただ「セージじゃ女の子らしくない」との母の言で、メイというミドルネームが付けられましたけど…
 去年の秋には妹が生まれ、「ローズマリー」という名前を父がつけました。
 母はそんな父を半ばあきれ、半ば嬉恥ずかしく思っていました。
 母曰く、私たち姉妹の名前は両親の馴れ初めにも由来するのだそうです。…最近やっとその意味がわかりましたけどね。

 小さい頃はおてんばで、よく学校が終わるとコロニーの外を回る農業プラントまで父に会いに遊びに行ったものです。
 関係者以外の人間が農業プラントに行くのは危険なことなので、父はいつもこまった顔をしながらも仕事の合間に植物のいろんなことやサックスを教えてくれたりしてくれました。
 特にサックスについては熱心に教えてくれ
「我が家は遠い先祖に有名なサックス奏者がいて、お父さんにもセージにも音楽的センスが受け継がれているはずさ」
 というのが父の口癖でした。
 真相は兎も角、私が父の休憩中にサックスで父が好きな中世の曲「We are the word」を吹くと周りの大人たちは仕事の手を休め聞き入っていましたし、今日私がサックスを演奏することで生活しているんですから、それらを思うとこれも父の教育と洗脳の賜物でしょうか。
 とにかく私たち親子は互いを愛し幸せに暮らしていました。
 
 あの日も、そんな風に朝から父のところにお弁当を届けるのを口実に遊びに行きました。
 母の「お昼ご飯までには戻ってきなさいね。かわいいミツバチさん」という声を背に…

 それが、母の声を聞いた最後でした。
47Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:20:18 ID:???
(2)

 農業プラントに着くと、職員たちが蜘蛛の子の様に慌しくどこかに連絡をつけようとしたり外の様子を確認しようとしてました。
 私も着いてすぐに男の人に肩を掴まれ、此処へ来る途中何か見なかったかを聞かれましたが、何も見ていないと答えるとその人はすぐに私の側から離れていきました。
 その人の不安と恐怖におびえた顔を、私は忘れることが今でも出来ません。

 騒々しい中、私は心細く父を探して歩いてると遠くから父が私の名前を叫びながら走り寄ってきました。
 そして私を抱きしめると
「セージ一人か?母さんは?」
 と怖い顔で聞いてきなした。
 私は父達が何か仕事で慌しい時に邪魔をしに来てしまったと思い、「ごめんなさい、邪魔ならすぐに母さんのいる家へ帰るね」といいました。
 父は一瞬悲しい顔をするとすぐに私に微笑みかけ
「いいんだ、セージが此処へ来てくれて父さん嬉しいよ」
 といってもう一度私を抱きしめました。私が「お父さん、ちょっと痛いよ」といってももう2度と私を放まいと、力強く、長い時間…。

 しばらくして私を抱擁から解放すると、父はいつにも増して真面目な顔で私の顔を覗き込みこう言いました。
 「今ちょっと外で大変なことが起きているんだ。悪いけどしばらく一人でお部屋で待っててくれるかい?大丈夫、すぐに迎えに行くから」
 私が大きくうなずくと、父は私のでこにキスをすると「良い子だ」といってロッカールームに案内しました。

 「ココなら気密がしっかりしている。何が在ってもココから出るんじゃないよ。ノーマルスーツがロッカーの中にあるから。大人しくしているんだよ」
 そういうと父はもう一度だけ大きな手で私の頭をなでて出口へ歩いていきました。
 私は嫌な予感がして、さっきまで私の頭を優しくなでてくれた父の手を引こうと入り口へ駆け出したんです。
 しかしその手は、掴もうとした瞬間に閉まる扉の向こうに消えました。
 と、同時に大きな衝撃が部屋を揺らしたんです。
 私は壁にぶつかった衝撃で気を失ってしまいました。
48Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:22:37 ID:???
(3)

 言いようの無い静けさの中で、私は気が付きました。
 一瞬私は自分の部屋にいると思ったんですが、すぐに農業プラントのロッカールームにいたことを思い出しました。そして扉の向こうの父の存在も…。
 私はすぐに扉に飛びつきました。
 が、緊急キーロックがかかってて何をしても、ノーマルスーツの通信機で父の名を叫んでも扉は開きませんでした。

 まったく音のしない空間の心細さ…。
 気が付いたら父のロッカーからサックスを出してました。
 きっと「辛いことがあったら、音楽を奏でてごらん?いつの間にか気持ちが落ち着くから」と言っていた父の言葉のせいでしょうね。
 それこそいろんな曲を一心に吹きましたよ。「スキヤキ」「早く家に帰りたい」「新世界」と言った古い曲から「S´ポンキッキーズ」「宇宙家族SAZAE」「ドラゴンボールAF」「キャプテンZION」「キャプテンジョー」といった当時の子供番組の主題歌までね。

 しばらくすると、ノーマルスーツの通信機から人の声が聞こえるのに気が付きました。
 私は父が呼んでくれているんだと思いすぐにヘルメットに飛びつきました。
 しかし聞こえた声は知らない中年の男性の声でした。
 「おい、誰か生きてるのか?オーボエ吹いているやつ!聞こえたら現在地を教えろ!頼む、生きてて…、返事をしてくれっ!」
 男の人は切実そうな声で叫んでいました。きっと開きっぱなしにしていた通信機からもれ流れた私の演奏を聴いたんでしょうね。
 私は今自分が農業プラントのロッカールームにいること、閉じ込められていることをその人に伝えました。
 相手は私が子供であることに驚いていましたが、すぐに迎えに行くからノーマルスーツを着る様にといって一度通信をきりました。
 私はまた、独りぼっちになりました。
49Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:25:21 ID:???
(4)

 10分位…、もしかすると実際には3分くらいだったのかもしれませんが、暫くしてドアをたたく声が聞こえました。
 私が通信機で
「ハイ、ここです」というと彼が
「今から扉を強制解除する。空気が吸い出されるから体を固定しておいてくれ」
 といいました。
 私は急いで父のサックスを抱えて扉の脇の手すりにロープで体を固定すると、彼に
「OKです、お願いします」
 と伝えました。

 扉が開くと同時にロッカールームの中は竜巻が発生したような騒ぎになりました。
 私は体を揺さぶられながらも、父のサックスを離すまいと目をギュッとつぶり体を強張らせて嵐が収まるのを待ちました。
 暫くして誰かが私の肩をたたきました。目を開けるとそこには見慣れない緑色のノーマルスーツを着た人がいました。
「大丈夫か?ココを出るぞ。俺が手を引くからできれば目をつぶっていてくれないか?」
 私はうなずいて彼の手をとりました。
 引かれる手の大きさを感じていると、ついさっき握ろうとしていた父の手のことを思い出しました。それをきっかけに頭の混乱が整理されていくんです。

 振動…
 ドアの強制ロック…
 開くと同時に吸い出される空気…
 作業員のでも連邦でもなくジオンのと思われるノーマルスーツ…
 目を閉じなければいけない意味…!

 私はたどり着いた推論を、そうであってほしくない予想を確かめる為、目を開けてしまいました。そして見てしまったのでしまったんです…。

 壁に張り付いた人影を…。
 その人、父…の顔を…。

 …ごめんなさい、ちょっと、休ませてもらっていいかしら…」
50Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:28:18 ID:???
(5)

「…ありがとう、もう大丈夫。続きを話すわね。

 気が付いたら、私はジオンの軍艦の一室で寝かされていました。
 若い眼鏡をかけた女性の看護兵が私のもとにやってきて「大丈夫、ココはもう安全だから」といって私の体温を測ったり点滴を換えたりしました。
 私はその女性看護兵にコロニーの事、どうしてこんな事になったのか、私はこれからどうなるのか、訊こうとしました。

 けど、声が出ないんです。
 何度しゃべろうとしても、かすれた音が喉から出るだけで、声にならないんです。
 私は泣きそうになるのを我慢して何とかしゃべろうとしました。

 すると彼女は横になっていた私を起こして抱きしめてくれたんです。
 消毒のにおいの奥にほのかに香る甘いにおいが母を思い出させました。そうしたら感情が溢れてきて私は彼女の胸の中で泣きじゃくってしまいました。静寂の嗚咽と一緒に。

 気持ちが落ち着いた頃を見計らって彼女は「いま先生を呼んでくるからいい子で待っててね」といって部屋から出て行きました。
 しばらくして年配で小太りの軍医が彼女とともにやってきました。
 彼は私に声を出させたり喉の状態を診察した後
「多分、心因性の失言症だろうね。大丈夫、ゆっくり養生すればまた声が出るようになるよ」
 といいました。
 私は意味不明の言葉の羅列にまだ不安が解消されてはいませんでしたが、「また声が出るようになる」という言葉を信じて一先ず納得しました。

 そして私は先生からペンとメモを借りて、私が農業プラントに着いてから周りで何が起こったのか、私はなぜ此処にいるのか、これから私はどうなるのかを先生に聞きました。
51Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:31:40 ID:???
(6)

 先生はメモに目を通すと私の目を覗き込みゆっくりと言葉を選ぶように話しました。

「君が農業プラントにいたときに君のいたコロニーと我々ジオン公国の間で戦争が始まったんだ。
 君は我々のモビルスーツ。…ロボットに救助されたんだ。
 なんでもパイロットがプラントのそばを通ると誰かを呼んでいるような音楽が聞こえたんだそうな。
 救出する途中で君が暴れだした上失神したんで、そのパイロットはあわててこの船に戻ってきたんだ。管制官をどやしつけてね。」
 失神の段で体を強張らせた私を見て看護兵が私の隣に座って手を握ってくれました。

 先生は話を続けました。
「君のこれからだけど、…現在検討中だ。
 後方に送ることが出来ないためしばらくこの船にいてもらわなくてはならなくなりそうだが。
 事が終わったあと身元を引き取ってくれる人がジオンか月かサイド6にいればいいんだけど…」
 私は首を横に振って、メモに次の一文を書きました。
『父は農業プラントで死んでいました。母がコロニーにいましたが、コロニーはどうなっているんですか?』

 2人は一瞬目線を私から外しましたが、先生がもう一度私の目をじっと見て言いました。

「コロニーの中の人は全滅だ…。救命ポッドも確認されていない。残念ながら…」

 私はそこまで聞いて、もう訊きたくないとばかりに首を激しく横に振りました。
 そしてメモに『1人にして』と書いて見せました。
 先生はため息をつき看護兵の肩をたたいて部屋を出て行きました。
 看護兵は机の上からサックスを持ってきて私に手渡しながら
「預かっていたこれ、お返しするわ。何かあったらそこの内線で呼んで。画像通信モードにしておくから。番号は992番よ」
 といってもう一度私を抱きしめてから出て行きました。

 二人が出て行ったあと、私はベッドに毛布を頭からかぶって横になり眠りました。
 サックスを抱きしめ、止まることの無い涙を流しながら…
52Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:34:58 ID:???
(7)

 喉の渇きなどの不快感で、私は目を覚ましました。
 しばらく考えて、私は自分1人で廊下に出て食堂かお手洗いを捜すことにしました。

 扉には鍵がかかっていませんでした。
 恐る恐る廊下に出てみると、1人のパイロットと思わしき中年男性がちょうど部屋の前を通りかかったところでした。
 中年…というのは彼に失礼ですね。私にはその時、顔を覆う髭と落ち着いた物腰のせいで父より年上に見えたんですが実はまだ彼はその時24歳だったんですから。

 私はびっくりして扉の陰に隠れると、彼が話しかけてきたんです。
「おお、気か付いたみたいだな。大丈夫か?どこか気分は悪くないか?」
 その声に聞き覚えがありました。農業プラントで私に呼びかけてきたあの声でした。
 私がもう一度扉の影からのぞきこむと、屈託のない笑顔で
「なんだ、どこか行きたい所があるのか?案内してやろうか?」
 と私を気遣って訊いてきました。

 私は俯き気味に、どうしようか悩みました。
 しかし、彼の細い瞳をさらに細め「ひげが笑う」というという形容がぴったりの顔を上目遣いに覗くと、この人は信じて良いかもという気になってきました。
 けれども私は自分の意志を相手に伝える方法を失っています。
 それに、このとき一番相手に望むことはたとえ口が利けても恥ずかしくて言いにくいことでしたから、私は彼の目を見たり俯いたり手をモジモジしたりを繰り返すばかりしていました。
 それを見ていた彼はあごの髭を手でさすり思案していましたが、合点がいったらしく私の手を取ると廊下を案内し始めました。
 そうして私をお手洗いまで黙って案内してくれました。
 私はそっぽを向いている彼に軽く会釈し、『荷物を下ろし』に行きました。

 廊下に戻ると彼がまだそっぽを向いて待っていました。そして私に気付くと
「何か冷たいものでも飲むか?」
 と訊いてきました。
 私はこくんとうなずいて、自分から彼の手を握りました。
53Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ :2007/04/27(金) 22:39:37 ID:???
(8)

 私は食堂に案内されました。
 テーブルについている人は入り口に遠いところに軍服姿の男性が3人ほどしかいませんでした。
 しかし食堂は先ほどまで慌しかったのでしょう。バイキング形式のおかずがおいてあった食品コーナーにはすでに物がほとんど無く、食器返却コーナーの奥にはたくさんの食器がうずたかく積まれていました。

 私を席に座らせると彼は食品コーナーからプリンとベンダーマシンからオレンジジュースを取ってきて私にくれました。
 私は会釈してお礼するとコップに手をつけました。

 すると奥の3人のうち1人が私たちのテーブルまでやってきました。彼は感情を抑えた口調で話し始めました。
「よう、お前さんが拾ってきたってのはその餓鬼か?一等兵」
「拾う?自分は彼女を救助したのであります、曹長。」
「は?そいつは選ばれたる優良人種じゃねえんだ。ゴミなんだよゴ・ミ!
 ゴミは助けるもんじゃねえ、拾うもんだろがよ。ゴミは溜めちゃいけねえな、この艦がゴミ屋敷になっちまう。なんなら俺が捨ててやろうか?」
 軍服の男の手が私に伸びてきます。
 私が怯えると、髭の彼の右手が私に伸びてくる手を捕らえました。
「彼女は人間であります。自分は『救助を求めるものが居た場合、戦闘行為中であっても救助すべし』という国際法に則っただけであります」
「けっ、よく言うぜ。
 俺ぁ砲座から見てたが、お前らMS乗りの戦い方、ありゃ一方的な虐殺じゃねえか。コロニーの中に核撃ち込むなんざぁ俺には出来ねえな〜。
 それとも何だ?上流階級のお坊ちゃんはああいう行為もお堅い耳障りのいい言葉で美化してくれるのかな?」

 髭の彼の手が震えているのを私は見ました。
54Sage´s story ◆MdIV8u2rpQ
(9)

 ちょうどその時、食堂入り口から声が聞こえました。
「あー、ここにいたのねー。よかったぁ、迷子になったかと心配したわよ。」
 見るとあの看護兵がそこにいました。

「マツナガ一等兵ね?連れ出したのは。駄目じゃない彼女の気持ちも艦内もまだ落ち着いていないのに。問題が発生したらどうするのよ」
「い、いや自分は彼女が心配になって部屋の前に行ってみると彼女が外へ出たがっていたようなので…」
「うふ、冗談よ。閣下〜、いました〜。こちらです」
 彼女が廊下に向かって呼びかけると、一人の老人が食堂に入ってきました。
「ああ有難う。失礼するよ」
 立派な口髭を蓄えたその老人が部屋へ入ると部屋にいた全員が直立不動の体勢を取ったのです。私も思わず席を立ちました。
「キリング閣下、どうしてまたこんなところへ?」
 髭の彼…マツナガさんがびっくりした顔で聞きました。

 後で聞いたんですが、このとき作戦中で、口髭の老人…キリング中将が出歩いている暇など無い上、普通士官といわれる偉い人は専用の食堂があって一般兵の食堂にはあまり来ないですって。

「いや、救助した彼女に逢ってみたくてね。
 君かね。…君の身の保全は現在全力で上にかけ合っておる。必ず悪いようにはしないから安心しなさい。
 君のご両親をはじめサイド2の住民にはすまないことをしたと思っておる。しかし我々もこうするしか仕方がなかった…。
 今はわかってくれとは云わん。
 ただ私の言ったこと、今までのこと、これから起こることをしっかり覚えておきなさい。いいね?」
 私はただ頷きました。
「そうそう、マツナガ一等兵。あとで君の上官からの話があると思うが、今回の戦闘の働きを鑑み上等兵に昇進、さらにB作戦前に伍長に昇進することになった。
 今は一人でも優秀な兵士がほしい。2階級特進が戦死者のためのものなのでこういった特殊な昇進で申し訳ないが、特に期待しておるので頑張ってくれたまえ」
 そういうとキリングさんは食堂から出て行かれました。