>>205 安彦 そういえば、そのころ、『エウレカセブン』の作監をやった吉田健一さんと対談する機会もあって、
何の先入観もなく観たんだけれど、醜悪だと思いましたよ。
あれもおじさんオタクが意味ありげに物を作るとこうなる、という典型的作品でしたね。
吉田さんとは作監同士ということで「あんたも大変だね」という話をしたんですが、
あまりにもつまらなくて腹が立ったんで、作品にはかなりひどいことを言いました。
―『エウレカセブン』は、僕も「大人のノスタルジーを子供に押しつけちゃいかんだろ」と
『Comic新現実』に書いて、角川書店からえらく怒られました。
安彦 僕も「演出なんて何もわかってないんだから」とか
「くだらないホンを渡されたら、作監は正直にいえばいいんだよ」
とか言ったら、ゲラ刷りで大幅に削ってきたんです。
「削るくらいなら最初から対談なんか組むな」と怒ったらかなり戻してくれたんですけど(笑)。
(略)
安彦 でも『エウレカセブン』で腹立たしかったのは、庵野さんや山賀さん、
貞本(義行)くんのような才能が彼らになかったことですね。
もっと巧妙に描かれていれば、それはそれで参ったと思ったんだろうけど、
過去のアニメの劣化コピーであることをカバーする技術もなかった。