【Z】ゼロから語るカミーユとジュドー【ZZ】Part1
取材拒否カードを受け取った。記者がやってきた。あのことを訊かれた。少年は、ただ一筋に誠実だった。
拒否カードを渡す時、「分かっているな」という目をした教師の口臭が蘇った。少年はただ一筋に、誠実だった。
だから。
拒否カードを提示、しなかった。
見たことを話した。聞いたことを話した。知ったことを話した。感じたことを話した。それが。正義だと思ったからだ。
あれを黙殺した己の贖罪だと信じたからだ。
決して逃れることできない、拭うことできない、どろりとした、裁かれることのない罪状があった。
胃袋から逆流して、けれども吐瀉することできない、どろりとした、汚濁の塊。
それがほんの少し、希釈された。この告白は、だから自分の為でしかない。
それでも。もし。償えるなら。その思いもまた。ウソではなかった。
なのに。
人は。人は。人は。
誰一人として。
翌日になって分かったことには。
誰一人として。
取材を受けたものはいなかった。
少年以外には。
そのことを誰かが言い出すのに、拒否カードを提示するよりも労苦はいらない。
異物感。疎外感。連帯。隔離。
生徒たちが、気付いた。
こいつはおれたちのなかまじゃない。
教師たちが、頷いた。
こいつはおれたちのなかまじゃない。
害虫はいらない。
少年は、害虫になった。