機動戦姫ガンダムPrincess第二章

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502第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 20:49:14 ID:rDXaAqXP
追撃というにはあまりに乏しいロマニア皇国MS群と艦砲を振り切って、モトラッドUは
地球へ直進していた。
対してハンニバルとフェレンツバロシュを中心にしたロマニアの艦隊は、
眼前の、自分達にサイド2・16バンチ毒ガス注入事件の容疑を着せる連邦軍艦隊
との睨み合いを余儀なくされていた。

この状況下、最も自由を謳歌していたのはソフィア軍である。
ネオ・ザンスカールは成立基盤も脆弱ゆえ、今回の地球侵攻作戦に持てる力の
殆ど全てを投入している。
加えてザンスカール本国も彼らが支持すべき勢力かどうかを見極めている段階だ。
ネオ・ザンスカールもかつてのネオ・ジオン同様に政庁化を望んでいるのだ。
これら事実はマスコミにU.C.OO93の事例を想起させる。
が、ネオ・ジオンとネオ・ザンスカールは成立過程が全く違うだけに単独で動く
事もできない。

その不自由を喚起しているのがソフィアの存在だ。
彼らはかつてのベスパの一勢力から肥大してザンスカール帝国の再興の鍵を握る
までになっている。
しかし彼らにはマリア主義やギロチンのように世間の注目を引き出すほどの新奇性が無い。
そこで、やマリア・ピァ・アーモニアの弟であるクロノクル・アシャーを
神輿として利用しサイド2全体を反連邦主義で結束させようとしている。
そして、サイド2のベスパの技術や工廠、残存サナリィ施設をほぼ完全に接収した今の
ソフィアには駒を自在に動かせる力がある。
自分達がモトラッドUで地球を再整地する作戦が、その後に待っているソフィアの
真のパフォーマンスを覆い隠す陽動であることを知っているからこそ、クロノクルは
またひとり歯噛みするのだ。
確かに14年前のインパクトを鑑みればこれ以上ない陽動であろう。
503第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:05:06 ID:rDXaAqXP
モトラッドU艦隊の先頭に立つクイーン・マリア。
その形状は14年前の名残を残しつつ、ブリッジの上方に女王マリアの
銅像を備え付けていた。
これは勿論ゴッズ・イン・ヘブン大佐の発案である。
クロノクルは過去を振り切って前に進もうとしているのだが、ソフィアに
とってはザンスカール帝国の脅威を想起させる装飾を施すことによって、
世間の耳目を集める必要がある。

それによって自分達の逃げ込めるエアポケットを作るのだ。
マスコミも以前のように一枚岩ではない。
相互に複雑に絡み合っているので、二者択一や二元論的評論はもはや陳腐と
しか受け取られない。
カルト宗教的批判を受けたザンスカール帝国や「今さら」的な見方しか
されていないソフィアだけではなく、サイド全体の連帯によるスペースノイド
独立運動を目指す。
これはマスメディアも短絡的に否定できないはずだ。

クロノクル「減速。索敵は続けろ」
テーベ「了解しました、総帥。
しかしゴッズ大佐は何を考えているのでしょうね?」
クロノクル「何だ、地球への直接攻撃ではこれまでの根回しも無駄になって
しまうということか?
それは心配ない。連邦がいかに腐っているかは、お前の想像を遥かに越えている。
ネオ・ジオン紛争時のアクシズ譲渡しかり、UC100年代初頭の連邦政府調査権
修正法案しかり、ダブリンへのコロニー落とししかり、ティターンズ壊滅後の
エゥーゴへの鞍替えしかり、だ。
官僚達は自分さえ無事なら虐殺を搾取と同レベルに考える。
ゴッズは気に食わないが、利用できるものはできる時に活用しなければ」
テーベ「は・・・・・・・そこまで考えておられるならご心配はしていません」
504第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:29:23 ID:rDXaAqXP
一方、フェレンツバロシュ艦内では分断された艦隊の配置と拉致された
イオン・イリエスク王子に関する激論が交わされていた。
満を持して望んだサイド2侵攻は惨敗に終わったのだ。
クルーの一人を人質に取られ、
それを陽動と読んでもさらにもう一枚の壁が用意されていた。
どうするべきか思案している間に、それぞれの艦が独自に動かざるを得ない
状況になっていた。
その結果としてのイオン王子拉致事件である。

ユウリ「すいません・・・・・・・あたしが、アイア大尉との戦いに熱くなり過ぎて
しまって、ハンニバルを捕捉できなかったから」
ニコライ「終わったことはもういいんだ。
とにかく、今は王子を救い出す方法を考えなければ」
シャーベット「しかし、救出するといってもハンニバルのクルーの話では
目標の特定すら出来ません。
ネオ・ザンスカールだとしたらモトラッドUの艦隊内だし、ソフィアなら
また進路は180度異なってくる」

アレーナ「いえ、貴方は仰っていることは正しいのだけれど、ロマニア皇国と
ソフィアの歴史的対立関係を失念してらっしゃるわ。
地球出身の人達はコロニーはみんな反連邦だと思ってらっしゃるようだけど、
もうそんな時代ではありませんの。
この状況を見ればそれがお解かりになるのではなくて?
ただでさえネオ・ザンスカールはソフィアの援助なしに成立できない、
実質的にはゴッズ・インヘブン大佐のコネクションとポケットマネーによる
私兵団なのですわ。
それが、あれだけの大規模なバイク艦隊を再開発するだけで精一杯の筈なのに
敵軍の将まで人質として抱え込める道理がありませんわ。
十中八九、王子はこの宙域に残留するソフィア艦隊にいます」
505第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:31:37 ID:???
その時であった!
連邦軍特務部隊「ローゼン・ナイツ」が敷設した「ソーラー・システムIV」により、モトラッド艦隊は焼き消されていった。
クロノクルは、自らの身が焦がされていく中、叫んだ。
「助けて、姉さん!」



機動戦姫ガンダムPrincess第二章
〜完〜
506第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:49:16 ID:rDXaAqXP
以前はアレーナがFBのパイロット内参謀であった。
その立場はシャーベットが来てから少し揺らいでいる。
だからといって二人が対立するわけではない。
シャーベットはあくまでリガ・ミリティアから派遣された助っ人であって
それ以上ロマニア皇国に干渉する権利がない。
加えてそうして自分の欠落点を指摘されれば随時シャーベットにとっては
将来への肥やしになる。それはカミオンに戻った時、役に立つはずだ。

ドミトレスク「艦長、通信が入りました!またソフィアからです」
ニコライ「・・・・・・・・・・なんだって!?」
シレジア「またかよ!?」
カルル「今度は、なんだってんだ・・・・・・・・」
それは、緊迫した雰囲気をむしろ緩ませたように見えた。
何故なら論議の要なくして自分達の目指す目標を発見できるかもしれないからだ。
ルペスク「読み上げますか?」
ニコライ「頼む。というか、議論の余地も無いだろう」



親愛なるロマニア皇国軍の貴兄姉諸氏、御機嫌よう。
君達サイド7のスペースノイドが崇拝するイオン・イリエスク王子は
いま我々の手の中にある。
彼の誇り高き功績と存在を無に帰すのは、この地球圏にとって多大なる損失であろう。
しかし、諸君の南極条約から連なる宇宙の秩序を無視した蛮行は見過ごすに
余りある。
従って我々は連邦軍一部勢力との癒着の下、過去に我々サイド2の民に
働いてきた虐行の数々に対する正当な粛清を下すため、U.C.0167
11月10日午後10時、つまり
現時刻から四時間後に彼を断首刑に処すことを宣言する。
これを回避するための条件はロマニア皇国軍とそれを支援する全ての勢力の
即時武装解除以外に用意しないものとする。
賢明なる対応を期待する。

ゴッズ・イン・ヘブン
レフスキ・ソフィアの名の下に
507第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 21:58:53 ID:rDXaAqXP
ニコライ「くそっ!くそっ!どういうことなんだ!」
シレジア「落ち着いてよ、艦長!」
ニコライ「別に、冷静だ・・・・・・・・いやいや、そうじゃない。
王子を拉致したことも、全ての戦乱の責任を俺達サイド7のスペースノイドに
押し付けようってことも、別に怒っちゃいない。
問題はだ、連中のやることは、どうしてこうも次から次へとうまくいくのか?
ってことだ」

アレーナ「確かに。ソフィアの艦隊のデータは全てFBやわたくし達のMSの
TRAPAに入っているし、こうまで敵の戦略ばかりが成功するなんて不自然ですわね」
シャーベット「・・・・・・・でも、そう考えていくと、恐ろしい結論が出てこないかい?」
ニコライは憔悴しきった顔を引き締めて言葉を返す。
ニコライ「いや、恐ろしくもなんともない。
この際、はっきりと言い切ってしまっても良いんじゃないか?
奴らは連邦の中に協力者を作っている。
最悪のパターン、プロジェクト・ロマニア実行委員会の中にだ。
それしか考えられないじゃないか!!」

ユウリ「・・・・・・でも、それだったらあたし達がやってきたこと、ぜんぶ、
ぜんぶ、ぜーんぶ無駄だったってこと?」
シレジア「誰なんだよ、協力者って」
イズモ「俺じゃねぇぜ!?言っとくけど。確かに以前は連邦軍のスタッフ
だったけどな」
カルル「俺とシャーベットも違うぜ。リガ・ミリティアは連邦と提携し始めて
いるけど、そこまでの癒着じゃない」
次第にブリッジの雰囲気が刺々しくなってきた。
508第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:09:07 ID:rDXaAqXP
ニコライ「そんな犯人探しは、やめろ!!
今やるべきことはそんなことじゃない。
確かにTRAPAシステムは、SWWつまりインターネット上から得られる限りの
情報をMSや戦艦の優先行動順位に生かせる最先端技術だ。
これだけ情報化した地球圏で、機密を全て漏らさずにおけるわけがない。
だとしたら、ソフィアに都合の悪い情報を意図的に各サイトから削除したり
検索制御したりしている黒幕がいるんじゃないか?
ってこと。それだけだ。
それより、目の前の事態をどう乗り切るかだけを考えようってことだ」

ユウリ「そう・・・・・・・・・そうですよね。
でも武装解除って、戦争をやめるってことですよね?」
シレジア「ああ。でもそれをやっちまったら、地球だって宇宙だって
奴らのモンになる。全ては終わりだぜ」
ニコライ「どうする?多数決でいい。
これは俺達だけの問題じゃない、地球圏の将来を決める多数決だ。
武装解除を受け入れる者、手を上げてくれ」

カルルの肩がピクリと動いた。
何故だろう?
どっちみち地獄が待っているだけなのに。
むしろ、自分のユウリへの思いを考えれば王子に死んでもらうのが本望。
だが要求を呑まないほうがソフィアも手荒な対応をしてくる。
どうすればいいんだ・・・・・・・・・・
が、たまにはシャーベットのように冷静な判断もしてみよう。
少しは大人になったってとこ、ユウリに見せなきゃ。
509第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:17:14 ID:???
その時であった!
同時刻、月軌道上から地球連邦軍月方面所属第13機甲師団内宇宙危機管理機関保有「ロンギヌスの槍(旧称:カイラス・ギリー)」がサイド2コロニー「ソフィア」に向け、一閃が走った。
その1時間後、ソフィア政庁から地球連邦政府宛に全面降伏を発した。


機動戦姫ガンダムPrincess第二章
〜完〜
510第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:22:22 ID:rDXaAqXP
ニコライ「ゼロか。
よし、次に王子の救出を望む者は挙手してくれ」
ブリッジクルーとイズモを除く全員が手を上げた。
ニコライ「シャーベット・イノエ、何故後者を選択した?」
シャーベット「はい。それは」
カルル「はい、はい!自分が答えます!」
ニコライ「ん、いいだろう」
カルル「よし・・・・・・・・・・」

カルルはユウリが発言する自分を珍しそうに見ているのを確認した後に
説明を始めた。
カルル「理由は、王子を救出することが武装解除した後の建て直しより
遥かに容易だと考えたからです。
武装解除しても我々は抵抗し続ける覚悟ですよね?
ならば現状で、冷酷なようですが指導者を失ってもサイド7やロマニア皇国、
そして我々リガ・ミリティアをはじめとする支援勢力が一致団結すれば
かならずや戦争継続は可能と考えます。

第二に、この宙域に残留するソフィアの戦力がそれほど大きくはないからです。
ネオ・ザンスカールは、アレーナさんが言ったように小規模私兵団です。
それがあれだけの規模のバイク艦隊を作り発進させるためには、
それ相応の人手と金をソフィアに負わせたはずなのです。
従って、戦争初期から現在まで確認されたソフィアの戦艦が四つだけという
事を考えてもソフィア自体もまだ戦争継続に耐えうる体力をつけている
最中であり、
現に我々もその守備網を容易に突破できたではありませんか。
そこから更にモトラッドU艦隊支援の戦力を割いたのです。
工夫次第で王子の救出は十分可能と考えました。以上です」
511第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:35:17 ID:rDXaAqXP
ニコライ「ん、実は俺も同じ事を考えていた。
多数決の結果、武装解除を拒否し徹底抗戦の構えを取る。
が、やはりイオン王子はサイド7全体のカリスマだ。
王子を失うわけにはいかない。
ダミーとして近宙域にいる全ての僚艦に撤退命令を出そう。それが済んだら
作戦概要を説明するのでブリーフィングルームに集合。
それまでは各自、短い時間だが休憩を取ってくれ」

納得いかない者も含めて、パイロット全員が自室に戻っていった。
その途上でユウリがカルルを引き止めた。
カルル「あ、ん、何だよ・・・・・・・・」
カルルは頬を髪と同じ色に染める。
ユウリ「すごかったね。カルル君があんなに冷静に局面を分析するなんて
珍しい。初めて見たもん」
カルル「い、いやあ、ハハ・・・・それより、悪かったな。
最悪の場合、王子を見殺しにしてしまうかも」

ユウリ「いいよ。あたしだって手を上げたし・・・・・・・・それに、それにね。
いきなり結婚て言われても実感湧かないんだ。
あたしなんて、ガンダムに乗っていなきゃ全然取り柄の無い女の子だったし、
急に境遇が変わって、混乱してるの。
だからカルル君みたいな普通の男の子と喋っているほうが安心するな」
カルル「・・・・・・・・・・・・・ノマノマよりも?」
ユウリ「えっ?」
カルル「い、いや・・・・・・・・・・・・なんでもない!
作戦、がんばろうな!」
ユウリ「うん・・・・・・・またハロの機能とか教えてよ」
512第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 22:54:05 ID:rDXaAqXP
それぞれの部屋に戻っていく二人の姿を通路の隅からイズモが見ていた。
イズモ「ちっくしょぉあのオレンジ髪のガキィ!
ユウリは俺が目を付けてたんだからな。蹴りを入れられてパンツの色を
見たときから!」
シレジア「お〜っとぉ!?
こいつは聞き捨てなりませんなぁ!!^∀^ 
あたしゃ言っとくけどロリコンの働いてる店で牛丼なんか食いたくねぇぜ!?」
イズモ「なっ・・・・・・・・・・・・・!こ、この雌ガキ!
いつの間に背後に回りやがった!?」

アレーナ「あ〜〜っ五月蝿いピリオドピリオドピリオド!!!!!!!
ロリコンだの牛丼だの下賎な響きを撒きちらさないでいただけます!?」
シレジア「おおっここにも欲求不満の方がまた一人!!!
ぶっちゃけノンちゃんとはどこまで進んだん?
キス?ハグハグ?そ・れ・と・も^^・・・・・・・・・・・・
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!
ヨルダネスク家の娘ともあろう者が、お嫁に行けませんわ!!!」

アレーナ「いいかげんになさいっ!いいかげんにしないと・・・・・・・・」
アンジェイ「そうですぞお嬢様!!
仮にもサイド7経済を背負うお方が下賎かつ俗悪な単語の数々を何の躊躇いも
なく発するとは・・・・・・・・・・・・ああ!!!
アンヘル卿が!聖コンスタンツァが!聖アムロが泣いています!よよよ・・・・・」
シレジア「おいっ、爺さん!スカートの下から現れんなよっ!」
イズモ「そうだっ俺はロリコンじゃない!ただ、ちょっと最近ムネがでかく
なったなって注目してただけだ!!!」
アレーナ「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
五月蝿い!!!ピリオドピリオドピリオド!!ピ・リ・オ・ド(以上)!!!!!」
ハロ「ヤベェゼアネキー」

こんなバカ騒ぎで和んでいられる時間も、もう残り少なかった。
513第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:07:54 ID:rDXaAqXP
サイド7ロマニア皇国は今のところ、何の攻撃も受けてはいなかった。
気候調節の降雨が終わり、まだ水気を含んだ歩道に一人のぼろけた服に
身を包んだ浮浪者が寝転がっていた。
そこを一人の青年が通り過ぎた。
「オイじいさん、ホームレス収容所に行けよ。
それでなくたってもう少しマシなところで寝たらどうだ?
こんなところじゃ肺炎になっちまうぜ」

「・・・・・・・・・・大丈夫さぁ。聖アムロが守ってくれる」
「なんじゃそりゃ」
「・・・・・・・・・・最近のわけぇモンは・・・・・・・・・・アムロ・レイも知らんのか。
サイド7のスペースノイドの恥さね。
ウチに帰って父さんにでも教えてもらいなや」
「バカいえ。俺達が崇拝する神サンといや聖コンスタンツァに決まってら」

「・・・・・・・・・・・・だから、お前らは旧世紀の民族性や宗教に凝り固まってんだ。
古い価値観は、宇宙に上がったら捨てんのよ・・・・・・・・・・・
人類最初のニュータイプをよ、俺ら1バンチの民が崇めなくてどうする」
「1バンチ?何だそれは」
「・・・・・・・・・・・・それすらもしらねぇのか・・・・・・・・・・・・・・
最近の教育はどうなってんだか・・・・・・・・・・・・・・・
このロマニア皇国は、大昔、てめぇらの親も生まれてなかった昔にな、
1バンチと呼ばれてたのよ。
そのちょっと後にはグリーンオアシスってな。聖アムロを信じなされ。
聖アムロを信じれば俺たちゃ、サイド7のスペースノイドはニュータイプになれる。
誤解無くお互いを理解し合える人類に革新できる・・・・・・・・
ここは、ニュータイプの故郷だからよぉ・・・・・・ゴホッ!ゴホッ・・・・・・・」
「ああ、わかったわかった。とりあえずそこの交番行こうぜ」
514第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:34:09 ID:rDXaAqXP
アリエルのブリッジに移ったアイアはフリストおよびゴッズと会談を持っていた。
アイア「おそらく、これで連中も万策尽きたでしょう」
ゴッズ「ん、しかしトオマス・マンもこれ以上は世間の目を気にして我々の
支援もできまいて。
地球に下りた後のことを考えて残存艦隊の集結を図らねば」
フリスト「キャリバンの損傷は思ったより軽度でした。
カタパルトデッキもビームシールドも無事です。
現在、この宙域に向かっています」

ゴッズ「ロマニア皇国の艦隊の動きはどうか」
フリスト「イチワ・シンセイカ、どうだ?」
イチワ「フェレンツバロシュ含めて全艦隊の反応がなくなりました。
ホト・バシール少尉の報告です」
アイア「FBだけは危険です。あれは放っておいてはいけない。
撃沈できるまで安心できません」
ゴッズ「チューノ・カオリ補給基地から何か連絡はあるか?」

イチワ「タマリー・マセンネ基地司令と連絡が取れました。どうしますか?」
ゴッズ「タマリー、私だ。ナニ・カイテ、アル・ノカ、サパーリ・ワカラン、
タダコー・バシィ、コト・ダケ、ワ・カッタの六つの太陽電池は無事か?」
タマリー「前三者はロマニアに奪われました。
が、残りは無事です。
ああ、そうだ。キャリバンは間もなくアリエルに接舷するとの通信です」
ゴッズ「わかった。ありがとう」
前方に各所が被弾したキャリバンの姿が見えていた。
515通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 23:34:20 ID:???
皇国本土でありながら、貧富の差、激しすぎw
「ホームレス」って、どうやって入植してきたんだw?
入植・居住管理機関は存在しないのかよw
虫喰いだらけの管理体制を司る機関に対して、わざわざ表立って侵攻するバカがどこにいるw

もう少し「世界」を考えろ!!!

〜完〜
516第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/25(火) 23:55:46 ID:rDXaAqXP
接舷したキャリバンとアリエルはパイプやランチで人と物を運び合う。
「アイア大尉、回収ありがとうございます」
アイア「久しぶりだなネン・チャーク少尉。
コ・ピーペ、シュウリョウ・チュウも無事か?」
「はい。しかし、ロンギヌスの槍とソーラー・システムがソフィアと
モトラッド艦隊を狙っているという情報があるのです。
一刻も早く負傷したクルーの治療と戦力の建て直しを」

アイア「ロンギヌスの槍に、ソーラー・システムだと?」
「はい。ソーラーシステムWは地球連邦軍特務部隊ローゼン・ナイツ、
ロンギヌスの槍は旧カイラス・ギリーで、地球連邦軍月方面所属第13機甲師団内宇宙危機管理機関
が保有しているものだそうです」
アイア「何という適当で安易な最悪のネーミングだ。陳腐すぎる。
どうせロマニアの連中がネットで流した撹乱情報だろう」
「私もそう思います。が、とにかく早くクルーの治療を」
アイア「ん、いいだろう。部下の指示に従え」
ネン・チャークはバイザーを開けずにバカ・ネンチャック軍曹の指示に
従い通路を進んでいった。

アイア「・・・・・・・・・・あの声、どこかで聞いたな?」
ガブリエル「・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・」
アイア「どうしたガブリエル?」
ガブリエル「いえ、思い過ごしならいいのですが・・・・・・・・・・・・・
念のため、行きます」
アイア「行く?どこへだ?」
517:2006/04/26(水) 00:06:51 ID:otNXQhJK
>>515
ウザイなぁ・・・・・・・・・いい加減ウザイから吊られてやるよ。
その疑問を解消したいならコロニーの経済についてガンダム系の資料を
一から勉強しなおせ。
そして最後に完とか付けてる時点で永遠に誰もお前を評論家とは認めないだろう。
粘着も程々にしないとそれなりの対処をするぞ。
518第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 00:20:33 ID:otNXQhJK
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
アイア「何だ、どうした!?」
突如、コンベアの向こう岸から聞こえてきた驚声にアイアが振り向くと、
キャリバンの艦体を突き破ってガンダムチームとマジ隊・ジーク隊が現れた。
そしてジークフリードは腕部のビームシックルでアリエルの機銃座を破壊して
いった。
他のMSは素早く展開してアリエルを半円状に包囲する。
他のソフィア軍の艦が援護にこれないように、盾にするのだ。

アリエル艦内ではネン・チャークがMSデッキに向かっていた。
「私は敵MSの撃破に向かう!ザガスを一機貸せ!」
「馬鹿を言う!この状況で動くわけにはいかない!」
ガブリエル「待て、ユウリ!」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・!ガブリエル・・・・・・・・・」
メカニックマンと口論するネンをガブリエルが制した。

ガブリエル「よくこの短時間で誤報流しと鹵獲艦への偽装をやったもんだ。
ほめてやるよ・・・・・・・!
しかし、人質が三人になってはそれも無駄だな!」
ガブリエルの放った拳銃でユウリは慄(おのの)き、ヘルメットを脱いだ。

ガブリエル「やはり、ユウリか・・・・・・・・・!
素直になってくれれば殺すつもりはない。
さぁ、ノマノマが待っている。お前もレフスキ元帥の大いなる理想の一部と
なって俺と共に戦うんだ」
ユウリ「やだねっ!」
ガブリエル「ぐあっ!!!!!!!!?」
ヘルメットをぶつけられガブリエルが倒れると、ユウリは約10メートルを
疾走して拳銃を奪った。
そして周囲の人間を威嚇しながらザガスに乗り込む。
ガブリエル「ぐっ・・・・・・・・・・・ユウリ!」

519第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 00:34:31 ID:otNXQhJK
ザガスに乗り込んだユウリは足元の人間達が退避するのを待って、
ベッドに付けられた他のMS達の各部を破壊して動けなくしていく。
ユウリ「抵抗しなければ、攻撃はしません!
投降してください!」
アイア「馬鹿なことを!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ユウリ「はっ!!!!!!!!!!!!!?」
強烈なプレッシャーにユウリが身を竦(すく)めた瞬間、ランチで自艦に
脱出したアイアのバルデウスがカタパルトデッキから細く絞ったハンドビームを
放ってきた。

アイア「ガブリエル、今だ!」
アイアがユウリのザガスを押さえている間にガブリエルも隅にあって
無傷のザガスに乗り込んだ。
アイア「どうやら貴様らの中にもウィルスのプログラムに長けた奴が
いるようだな・・・・・・・
で、なければ貴様のような小娘に新鋭機のザガスの共通リモートホストが
わかるものか!しかし、残念だったな」
ユウリ「なに・・・・・・・・・・うっ!?!?!」

ユウリのザガスはガブリエルのザガスが振り下ろしたトマホークの一撃を
受けて右腕を斬りおとされた。
ユウリ「な、何で・・・・・・・・!データで完璧に覚えていたはずなのに、駆動系が
重い!出力も落ちている!?」
アイア「ふん・・・・・・・・・気付くのが遅かったようだねぇ!」
ユウリ「は、ま・・・・・・・・・・・まさか!?」
その時、再びユウリを含めた全ての仲間達があの重くて冷たいプレッシャー
を感じた。
そして同時に全てのロマニア側のMSの動きが鈍くなり、周囲を固めるソフィア軍の
艦砲射撃を容易に受けてしまう。
520第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 01:54:17 ID:otNXQhJK
アレーナ「ぐっ・・・・・・・・・・・またこの前のウィルス!」
シレジア「どういうんだ!?」
カルル「TRAPAでガードしているはずだろぉ!?」
シャーベット「新しくなってるんだ、プログラムが!」
イズモ「くっ、くっそっぉおお!!!」
ニコライ「落ち着け、落ち着くんだ!!!」

ゴッズ「全地球圏に放送する」
ニコライ「なっ!?」
その声は両者の対峙する宙域を越えて、文字通り全地球圏に放送されていた。
ゴッズ「ロマニア皇国軍は、我々の忠告を無視し無謀にも攻撃を仕掛けてきた。
我々は当初の宣言どおり、イオン・イリエスク王子を処刑する。
誠に遺憾であるが、清浄なる宇宙を作り上げるための橋頭堡だ。
さようなら、ロマニア皇国。
さようなら、イリエスク一族。
サイド7がニュータイプを生むという幻想は終わったのだ。ニュータイプすら幻想だと
わかったのだ。君達の夢は終わった」

アリエルのブリッジの中のギロチンに捕らえられたイオン王子。
その顔は死を受け入れたように静かで、まるで眠っているかのようだ。
ゴッズの手振りと共にギロチンが降ろされた。
イオンの首が胴から離れ、ブリッジの窓を鮮血で染め上げる。
ゴッズはイオンの首を持ち上げ高々と掲げる。
それは、クロノクルがマーベットの首を持ち上げた時と同じ光景だ。
521第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:05:54 ID:otNXQhJK
ゴッズ「君達の夢は終わった・・・・・・・・・・・終わったのだよ!
ククッ、ヒヒッ、ハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっハッハッ!!!!!」
その顔はまるで狂気のような笑みを浮かべていた。
いや、積年の恨みを晴らした充実の、会心の笑みは狂喜そのものだ。
近くにいたフリストもそれを気味悪がって後ずさりをしていた。

ユウリ「うっ、うっ、うわあああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
アイア「なっ、何だ!!!!?」
ガブリエル「こ、こいつは・・・・・・・・!!??」

またしても、ユウリの強烈な思念でガンダムPrincessが無人のまま
キャリバンに偽装したFBのカタパルトデッキから高速射出された。
アイア「ぐああああああああああああっ!!!!!?」
それはバルデウスの背後に直撃した。
ユウリはザガスとガンダムPrincessのコクピットハッチを口付けのように
密着させると、ハロが咥えてよこしたヘルメットをかぶる。
ユウリ「お前らは、お前らは、お前らはーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
522第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:21:05 ID:otNXQhJK
アイア「ガブリエル、イメンシアに乗り換えろ!血路はあたしが
開く・・・・・・・・・・・ぐはっ!!?」
アリエルから脱出し上昇したガンダムPrincessのスカートヴェスバー一斉射で
バルデウスはカタパルトデッキごと吹っ飛ばされてしまった。
もはやアリエルは傷だらけだ。
フリスト「出力を調整しろ!こういう時のTRAPAだ!」
イチワ「はい!わ、わかっているのですが・・・・・・あのガンダムから妙な
電波が出てTRAPAの遂行に支障が出ています!」
ゴッズ「ぬううううっ・・・・・・・・・・!!!」
ゴッズはもはやイオンの生首など放り捨てていた。

ユウリ「そこだーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
が、次の瞬間ユウリが狙ったのはアイア隊でもアリエルのブリッジでも
無く、デブリに隠れていたヴァーナルディだった。
リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・逝く・・・・・・・・・・・・・・・」
ユウリ「覚悟しろ!!!!!!!」
激しく組み付くガンダムPrincessとヴァーナルディ。
ビームザンバーの斬撃は怒りに任せた単純なもので、ヴァーナルディの
変幻自在な三連ショットクローに対応されてしまう。

ユウリ「お前だ、お前だ、お前なんかいなくなれば!!!!!」
リリア「いなくなるのは、貴様だ」
ヴァーナルディが巨大なビームフィールドを発生させガンダムPrincessを
吹き飛ばすと、ソーラ・システムにも似た巨大なビーム砲を放ってきた。
それはFBへの直進軌道をとっていた。
ユウリ「つっぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」
当然、ガンダムPrincessは止めに向かう。
リリアはこれを計算していたが、相手の性能までは計算できなかった。

プシィィッィィィッィィィx!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

リリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?」
ビームフィールドが通用しないならば、同じ威力の戦略照射システムで
対応するまでだ。
もちろんヴァーナルディの戦略反ミノフスキー粒子照射システムは遥かに
ガンダムPrincessの胸部ハイメガ粒子砲の威力を超えていたのだが、
ユウリは周囲にいる全てのMSが展開したビームフィールドやビームシールドの
エネルギーをバルデウスの核ミサイルを防いだときのように引っ張りこんだのだ。
523第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:35:22 ID:otNXQhJK
とはいえ、この攻撃には基本的にビームバリアは通用しない。
そこでユウリは周囲から集めた粒子を両側に寄せて、ヴァーナルディから
放たれた閃光の正面に向かって細い「溝」を作った。
つまり防御のためではなく自身のメガ粒子砲を細く絞るためのコース作りだったのだ。
これでバナナの皮が剥ける様にヴァーナルディの放った閃光は四方八方に
分散していった。

リリア「バカな・・・・・・・・・・・・・・」
リリアはヴァーナルディからバックパックの照射システムを切り離し、
自動で狙撃をさせようとする。
そして自身は退避軌道をとりつつガンダムPrincessにビームキャノンを連射する。
元々長距離射撃用で格闘戦に持ち込まれては不利なMSなのだ。

ユウリ「逃がすか!!!!!!!!!!!!」
勝算はあった。いくら戦略反ミノフスキー粒子照射システムが強力とはいえ
あれほどの出力を出すにはチャージに時間がかかるし、バックパック単体の
独立行動時の戦闘力は規模的に低いはず。
つまり、本来ならばデッドウェイトとして切り離すはずの照射システムの
分離機能の使い方をリリアは失念してしまっていたのだ。

ユウリ「墜ちろ、墜ちろ、墜ちろーーーーーーーーーー!!!!!」
ニコライ「ユウリ、止まれ!」
ユウリ「えっ!?」
ヴァーナルディが再び照射システムと結合し退避していく。
ユウリ「どういうことなんです!?」
ニコライ「リガ・ミリティアがマハに襲われている!ウォレン少佐から
支援を依頼された!地球に向かうぞ!」
ユウリ「でもでも、でも!もう少しであの艦を落とせるのに!」
ニコライ「いいか、冷静になるんだ!俺達は負けたんだよ!それより、
これ以上周りの人たちを死なせちゃいけないんだ!地球に行けばウッソさん
達を助けることにもなるし、モトラッドUも止められる!連中が追ってくれば
そこで決着も付けられるんだ!今度こど連邦も指を咥えて見ている訳には
いかなくなるだろう!撤退するんだ!」
ユウリ「うっ、うっ、うわあああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああ・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」
号泣しながら、ユウリはアームレイカーやフットペダル、全天周モニターを
ヘルメットで叩き付けた。
ハロ「ハロォ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
524第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:46:52 ID:otNXQhJK
キャスト
ユウリ  かないみか  アイア     折笠愛
シレジア 高山みなみ  イズモ     渡辺慶
アレーナ 白鳥由里   カルル     くまいもとこ
ニコライ 森川智之   シャーベット  水橋かおり


なぜ恋するのか      なぜ愛するのか




525第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:55:01 ID:otNXQhJK
キャスト
クロノクル 壇臣幸   ルペスク   津田健次郎
テーベ   戸谷公次  ドミトレスク 関智一
イチワ   水樹奈々  ガブリエル  松本保典
ゴッズ   屋良有作  タマリー   高橋広樹
フリスト  関俊彦   アンジェイ  茶風林
青年    山寺宏一  老人     清川元夢   



確かな男を        見つめればいい
526第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 02:57:16 ID:otNXQhJK
原画
森崎工事  戸田和幸   斉藤久人  菅野宏紀
月満欠   根性蟻    女王蟻   瀬尾康弘
成瀬翔   菅野弘之   相沢健四郎 川元利浩
菅野孝之  沖浦啓之   銀座背例部 内田順久
藤井真紀  甲斐借家   只野和子  伊藤郁子

  
   何も取り柄のないあなたが  カワイくなれる瞬間





527第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:00:20 ID:otNXQhJK
動画
釜多大儒   西村誠芳   蟋蟀里美    金山明博
道教陰陽   北崎拓    大蟻九位   愛野聖名子
仏曼荼羅   鳥山飽田   耶麻多野   富野井伊子
釈迦解脱   今敏     本田徹    春日部枕街 


 昨日までの内気さなんて   もうどこにも見当たらない




528第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:05:19 ID:otNXQhJK
編集 反町泰治           制作進行  玉野順
録音 エジミウソン         美術進行  片岡正弘
音響効果 シルビーミョ       仕上    玖波正友
選曲 上野勇作           美術    平本一樹
記録 菊池直哉
  



   それが          それが        いま 





529第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:11:49 ID:otNXQhJK
背景 IG新潟               デジタル撮影 大橋正弘
   スタジオぎゃろっぷ                 金沢芯   
デジタル彩色 サンライズ台湾               高木良成
       ジョージ・ヨナシロ             柳沢正行           
色指定 津波聡                      藤田康成
                         




   女の子ってもっと    ワガママでもいいんじゃない




530第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:14:39 ID:otNXQhJK
エンディング・テーマ「ワガママになろうよ」
歌・作曲・作詞・編曲 JAM Project feet
           (松本梨香&奥井雅美)




   いつもの自分じゃなくて  飾った自分じゃなくて






531第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:29:45 ID:otNXQhJK
脚本   まついひとゆき  演出   西森章
作画監督 菅野宏紀     絵コンテ 西森章





        PRINCESS         SHOWER







532第三十四話「絶望の宇宙」:2006/04/26(水) 03:48:10 ID:otNXQhJK

          次   回   予   告


ユウリ「マハがライプツィヒまでカミオンを追いかければ、ウォレンさん達を
反連邦の逆賊と看做した連邦軍は、モトラッドUが地上を整地しても何の対応も
しないって酷くない!?
そんなんだからカミオンも壊されちゃってスージィさんも死んじゃうんだよ!
こうなったら、誰も味方してくれなくたって戦うしかないじゃない!
   
   来週の機動戦姫(きどうせんき)ガンダムP(プリンセス)は

               さらばカミオン

          ガンプリは、みんなで見てね!






533第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/26(水) 23:10:48 ID:dxTAEm8N
今はまだ伝えられない  この気持ちだけど

Princess Roadは開かれた ときめく予感あたしを打つ

恋のときめきは 時代を映す

恐れるな男心を 恐れるな出会いの日を

Searching今は会えなくとも Comingその人はやってくる

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

萌える炎が戦姫になれと 乾いた唇ルージュで染める

People belive the alternative of Jeanne Darc 

Because of my destiny to be Princess in the war

いま 愛 胸に抱いて GUNDAM PRINCESS








534第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/26(水) 23:44:40 ID:dxTAEm8N
サイド2のコロニー政庁「ソフィア」が地球連邦に宣戦布告してから半年以上が経過した。
現在、地球連邦軍全体としての対ソフィア軍事行動は起きていない。
明確なアクションが無くとも攻撃を受けた各サイドやコロニーの駐留連邦軍や
現地市民の抵抗で何とか紛争の域を出ないレベルの被害で済んでいるからだ。
ソフィアが現時点で制圧した地域はウーイッグを中心にした東ヨーロッパ各所。

そのうち、ブダペストとコソヴォはリガ・ミリティアによって奪回されたものの、
後にウーイッグ制圧部隊の攻撃で再び占領下に置かれた。
ネオ・ザンスカールが地球へのモトラッドU降下・整地作戦を決行したのも、
この地を明確な拠点として確保したいからだ。
その上で、過去の宇宙戦争で幸運にも大きな被害を受けてこなかった西ヨーロッパ
制圧へ乗り出すのである。
元はといえばダイタロスガンダムを連邦から譲り受けたモンテネグロのスーパーサイコ
研究所のコネクションでゴッズ・イン・ヘブンは漁夫の利を狙うマハを地球上での
味方に付けたという事実があった。

それによって地元のゲリラを駆逐されても、リガ・ミリティアから支配地域を奪回
することができたのである。
さしあたってマハは、「地球の不法居住者摘発」の名の下にカサレリアへの攻撃を
開始した。
この点でソフィアとマハの利害は完全に一致していたのである。
警察機構を統括するグレゴリー・ヨクサン長官は兵器不況によるバブル・リバウンドも
あって地球上の人口を一人でも減らしたいと願う派閥の急先鋒であったが、彼は他の
官僚と違ってソフィアとのコネで手に入れた武力と技術がある。
後に、彼らが現在の思想やスタンスと逆行するような主義を掲げる跳梁となるのだ。
535第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/27(木) 00:19:30 ID:ogR4v1yl
ウォレン「対空砲火!弾幕薄めるな!」
クッフ「やってますよ!」
エリシャ「街に入るわ!これで敵も攻撃を弱めるはずよ!」
マルチナ「ねっ、姉さん!前方に降下してきたわ!」
カレル「僕が食い止める、早くライプツィヒへ!」
シャクティ「うっ、うっ、ううううう・・・・・・・・!!!!」

マハのMSヴェストールの群れに追われるカミオンのキャビンの中は騒然としていた。
ようやく断崖絶壁の山岳地帯を抜けてライプツィヒの街が見えてきたところで、
シートの一つに座っていたシャクティが呻きだした。
お腹はパンパンに張っており、今にも破裂しそうなほどの熱く躍動感あふれる
鼓動を響き渡らせている。
ウォレン「シャクティ!大丈夫なの!?」
シャクティ「だ、大丈夫・・・・・大丈夫よ」
ウォレン「ここは危険だ、奥へ!」

ゲリラ戦用の機銃やバズーカではマハの新鋭MSに歯が立つはずもなく、カミオンに
直接弾幕を張る砲台はジェムズガンが引き受けていた。
ヘビーガンとジャベリンがいくら抵抗したとしても、ヴェストールの戦闘力には
歯が立たなかった。
若手達を率いるカレルにも焦燥感が滲み出る。
カレル「くそっ・・・・・・・・・・FB!早く来てくれーーーーーーーっ!!!!」
536第三十五話「さらばカミオン」:2006/04/27(木) 00:58:37 ID:ogR4v1yl
サイド2宙域での激戦から一日と少し、フェレンツバロシュは止む無きこととはいえ、
僚艦の随行を全く得ぬまま地球の静止衛星軌道へ到着していた。
イオン・イリエスク王子の、結局は失敗に終わった奇襲による救出作戦において
敵軍のゴッズ大佐は王子を解放する条件としてロマニア皇国軍とそれを支援する
全ての勢力の即時武装解除を要求した。
これに対し、ダミーとして一応は全ての友軍に撤退命令を出したのだ。
これはサイド2に戦力を傾けていたために即座に本国の防衛ラインを修正しなおす
意味もあったのだ。

しかもリガ・ミリティアとの協力体制はあくまでFBのみのものであり、それ以上の
協力は仰げない。
ただでさえ王子の戦死で、皮肉にもリガ・ミリティアのオイ・ニュング伯爵がギロチンで
処刑された時とは正反対に皇国軍とソフィアに対抗する全ての勢力の士気は日に日に
下がっており、今更地球を守ってやるなど、スペースノイドとして自分達の住む土地
第一の精神を覆すことは出来なかった。

しかし、来てしまったからにはやるしかない。
ニコライには、東ヨーロッパを奪回して現地の連邦軍人にかけあい今度こそ援助を
引き出さなければ、という思いもあるからだ。
FBの無断運用の汚名、そしてロマニア本国への経済援助打ち切り。
全てがソフィアのシナリオ通りに動いている。
ここで連中の勢いに歯止めをかけなければ、それこそユウリの言うとおり、
これまでやってきたことが全て無駄になってしまう。
ニコライ「モトラッド艦隊、まだ捕捉出来ないのか!?」
537第六話「本気の友情」:2006/04/27(木) 01:22:28 ID:ogR4v1yl
仮眠をとって後、ユウリは昼食をとるために食堂へ向かっていた。
もう何日、学校へ行っていないのだろう?
シレジアやノマノマ、アレーナ達とバカ騒ぎしていた日々が懐かしい。
地球へ降りて、その後ロマニアに戻ってからは学校の機能も全て皇国に
戻されて自分達は皇国軍と聖コンスタンツァ学園を結ぶ特別強化指定生徒の
制度に助けられ、一定の単位が免除されるようになった。
しかし、そんなことはどうでもいい。
ただ、あのころの慎ましくも平和な生活に戻りたいだけだ。

イズモ「よ、ユウリ!よく眠れたか?」
ユウリ「少尉!・・・・・・・どうしたんですか?」
イズモから話しかけてくるなんて珍しいことだ。
イズモ「あ、あのよぉ・・・・・・・俺も軍属の先輩としてだな、そのぉ・・・・
これまでお前らに先輩らしいことをしてやれなかったと思うんだ。
そりゃ、まだ女子高生だ。
戦争が辛いのは当たり前だろ?
だから、悩みがあったら何でも言ってくれ。聞いてやるからさ」
ユウリ「あ・・・・・・そりゃ、あの・・・・・・ありがとうございます」

自分より10メートル身長が高いイズモに対し、少し上目遣いに頬を赤らめた
ユウリは言葉を拙く搾り出すように返した。
イズモ「あの、さ。
覚えてるだろ?フォン・ブラウン。あの時、女子高生は電車でケータイでも
いじってりゃいいんだって、言ったのまだ怒ってるか?
だったら、謝るよ。お前は間違いなく凄腕のパイロットだ。
どこへ行ったって通用するよ。うん、俺が保証してやる。
だから、悩むことなんてねぇんだ。俺達みんな、ユウリがいなかったら
死んでたんだからな」
538通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 03:12:02 ID:???
その時は ・・・



要塞の様らしい。

539通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 21:18:30 ID:kO3h1a8t
ソード出して
OK?
540:2006/05/04(木) 00:41:27 ID:IJGsfj6C
ぬぉーーーーーー復活したぞ!!
風邪ひいた!
寝込んでた!!
そんだけ!!!
541通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:43:45 ID:???
その時は・・・




ー 完 ー
542第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/04(木) 01:05:18 ID:IJGsfj6C
イズモは頭を掻きながら、目を逸らすユウリを見つめる。
彼自身も自分の中の感情を確かなものとして肯定できてはいなかったが、
今やっていることは仕事なので、肯定する、否定する以前にいみじくも
イズモ自身が言ったように、フォン・ブラウンの時のように過剰に否定する
ことなく、かといって年端も行かない女子高生に軍人の自分がへーこら
するわけにもいかない。
だから、とりあえず最低限の「職場的コミュニケーション」を取ろうとしているのだ。
例えるなら新入社員の副店長と優秀なバイト店員の関係である。

イズモ「じゃ、俺は自分のMS隊の整備を監督しなくちゃならんから・・・・
あ、そうだお前も!
今度から自分の乗る機体のパーツや燃料を各自で発注する事になったの、
知ってるよな?ちゃんとやれよ」
ユウリ「あ、はい!がんばります」
そう言い残して、イズモはMSデッキへ去っていった。
取り残されたユウリはイズモの妙な人の良さに戸惑いをおぼえて一人
立ち尽くしていたが、そこに迫る影があった。

シレジア「わっ!!!!!!!」
アレーナ「う、わぁ!!!?なにっ!?」
突然後ろから抱き押さえられたユウリとその上に覆い被さるシレジアは、
傍目からするとデートの待ち合わせをしていたカップルのようである。
シレジア「ユウリ、気付いたかい?」
ユウリ「気付いたって・・・・・・・な、何を」
シレジア「そりゃあオメェ、少尉の態度がいつもとえらく違うってことさ」
ユウリ「そ、それは気付いたけど・・・・それがなに?」
次にシレジアが何を言うかわかってもいたのだが、それは長年の付き合いだから
ではなくて、この手の話題に敏感になったからだとわかっているからこそ、
ユウリは頬を少し赤らめたのだった。
543第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/04(木) 02:12:44 ID:IJGsfj6C
シレジア「なぁんだ、オメェまだ気付いてねぇのか?
イズモ少尉の気持ちにさ。ったく、可愛い顔して罪作りだよ・・・・・その鈍感さ!
なんかアイアおばさんの気持ちもわかるぜ」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・」
ここで「わかってるよ、イズモ少尉はあたしのことが好きだっていうんでしょ」
とでも言ってしまうとする。
それは自惚れだろう。それこそ、いみじくも名前が出たアイアのいつも言っている
賢しい小娘そのものになってしまうので、いつものようにシレジアのイジりを
無視するようにユウリは起き上がって何処かへ立ち去った。

シレジア「ユ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
呼び止めようとして、やめた。
ここから先は本当に戦争を実感する戦いになる、そう言ったのはシレジア自身だ。
事実その通りになったからって、全然偉くもなんともない。
自分がもっとしっかりしていれば、恋愛沙汰・色恋話に現(うつつ)を抜かしたり
していなければ防げた犠牲もあったはずだ。
そう、ここは友達と遊ぶ場所じゃない。戦争をやってる戦艦の中なんだ。

それをわかっているのに、ユウリの温もりを求めたのは、それこそ目の前で人が
死ぬのを見ればいつもの日常の中にある安心感に浸って自分を落ち着けたいと
思ったからである。
だが、今のシレジアにはニコライがいる。
ニコライに精神的充足を求めることはできないのか?
それも駄目だろう。彼はこの艦を、そして今やロマニア皇国軍を預かる立場だ。
そして、王子の生首を見れば、ニコライが同じ目に遭うことを想像して余計に
会うのが怖くなるのである。生理も乱れる道理なのだ。
544:2006/05/05(金) 13:48:44 ID:???
いろいろ考えた結果、無断で個人・会社名を引合に出し、さも公式であるかの装いをした為、三十五話をもって終了致します。
関係各位に大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ありませんでした。
なお、新作・続編を製作しようとする計画もありましたが、二次創作の範疇を越える為、中止致します。
545通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 14:05:39 ID:twpaWDy1
しつこいのが多いね
546通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 14:49:51 ID:nTXFPliy
良スレあげ
547第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 04:48:53 ID:jvJq9vxT
ドミトレスク「艦長、機影です!二時の方向!」
ニコライ「いや、いい・・・・・・・・・・・モトラッド艦隊は!?」
ルペスク「ダメです・・・・・・・・ミノフスキー粒子は哨戒濃度ですが、それでも衛星軌道に
それらしき質量は確認不能です。
おそらく既に大気圏・・・・」
ニコライ「それ以上はいい。
連中が足止めに出した部隊だろう。突破するぞ!ミサイル発射だ」
ブリッジのその声と同時に、フェレンツバロシュ全体が戦闘体制に入った。

MSデッキでも全てのパイロットが準備を終えている。
ニコライ「聞こえるか?
敵MS群の先頭にはザガスと、未確認のものもある。TRAPAシステムのガイダンスに
頼りすぎるなよ」
イズモ「わかってますよ、艦長!うちらマジ・デウゼー隊はデータの取得に専念させて
もらって、随時ガンダムチームとジーク隊のTRAPAに送信しますんで。
イズモ・カトウ、マジ・デウゼー出るぜ!」
シャーベット「さすがだな、少尉・・・・・シャーベット・イノエ、ジークリンデ出ます!」
カルル「よし・・・・・・・・・今日が俺にとって勝負の日だな。
カルルマン・ドゥカートゥス、ジークフリード出ます!」

全てのMSがFBと共にそのまま大気圏突入後にモトラッドU艦隊を捕捉・追撃する構えだ。
アレーナ「今は、ノマノマさんのことも、全ての余計なことも忘れなくては・・・・・
アレーナ・ヨルダネスク、ツルベナ・ズベズダ出ますわ!」
シレジア「ユウリ、出遅れんなよ!
シレジア・ファン・ホーヴェン、ナディア・コマネチ出るよ!」
ユウリ「・・・・・・・・・・・・・・・・よし・・・・・・・・・・・・敵を倒す。倒すんだ・・・・・・それは、最後に
大切な人をみんな救えることなんだ・・・・・・・・それを、信じるしかないんだ。
ユウリ、ガンダムPrincessいきます!」
マジ、ジーク隊に続き、赤・青・白の三機のガンダムタイプがカタパルトデッキを飛び立った。
548第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 04:58:59 ID:???
その頃、モトラッド艦隊は大気圏の高熱を圧倒的な出力のビームフィールドで
突破しドレスデンへの降下軌道シークェンスをとっていた。
旗艦クィーン・マリアはビームフィールドの連結のための艦隊配置から、
戦闘体制に移行するための修正指示で慌しくなっていた。
地球連邦軍に動きが見えない以上、それを警戒する手は無い。
問題は既にライプツィヒまでカミオンを追い詰めているマハとのバッティングを
避ける作業だ。

テーベ「クロノクル総統!
ショスタコーヴィチのジェロニモ部隊が出撃許可を求めています」
クロノクル「ショスタコーヴィチが?
それはともかく、何故いまジェロニモなのだ・・・・・・・・・世間に余分な詮索を
させるだけだろうに・・・・・・・が、静止衛星軌道に配置した部隊の数を考えれば
テストも兼ねて出すも止むを得ないところか。
いいだろう」

クィーン・マリア両舷のMSデッキから、頭部に羽飾りをつけた筋肉質のGMが
次々に射出される。
中欧安全保証機構ヘキサゴナーレは旧世紀から長い年月をかけてアルプス対空砲火線を
築いた。
ここを突破するのに、各勢力への顔向け・調整を考えているヒマはない。
そうしていてはやられてしまうからだ。
クロノクル「イヴァン大尉からの連絡はまだか!」
549第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 05:20:31 ID:jvJq9vxT
地球の静止衛星軌道では、FBのMS部隊が敵の防衛網を突破する戦いを始めていた。
太い火線、細い火線、磁場、粒子が目まぐるしく交錯する。
まさしく、地球を巡る戦いの正念場である。
クロノクルはマハに期待して、さらに地球リクリーン作戦の先にある真の目的に
向けての意味であえて保有MSの四割をここに配置したほどなのだ。
ユウリ「む、ザガスっていうのが数機・・・・・・・・ってことは、両脇の一機ずつが、
新型なのか」
ザガスには、ヴァホウスの隊がそれぞれペアを組んでいた。

近接戦闘用のザガスに、中・遠距離射撃用のヴァホウス。
ユウリも苦戦したようにこの二機はコンビネーションで動く。その為、ネオ・ザンスカールの
中でも特に意思疎通のあるパイロット同士がペアを組むことになっていた。
その中には恋人同士も含まれていた。
ガンダムチームの驚異的な火力は、彼らの未来の門出を阻む悪魔の力だ。
それでも彼らは進まなければならない。
理想の社会のため、そこで安心して暮らせる夢を願いながら・・・・・・・・・

アレーナ「悪いけど・・・・・・・・・一掃する!」
シレジア「オッケイ!」
ユウリ「よし、いこう!」
ガンダムチームがスカート・ヴェスバーを一斉射した。
しかし、敵MS群もシャカが素早くロータス・フィン・ファンネルを展開して味方機の
半数以上をスッポリ包み込むバリアを形成した。
その数は尋常ではない。シャカもかなり量産が進んでいるようだ。
蓮の花のような形をしたファンネルのバリア帯が消えたのと、ヴェスバーの嵐が止んだ
のはほぼ同時であった。
縮退率を細かく調節すれば薄い部分を狙うこともできたろうが、ガンダムチームの
ビームフィールド連結は大気圏突破に不可欠。ここで出力の無駄遣いは出来ない。
550第三十五話「さらばカミオン」:2006/05/06(土) 05:58:52 ID:jvJq9vxT
ヴェストールの攻撃は、ライプツィヒの街中にも被害を及ぼした。
ウォレン達はカミオンのホロを被せたMSの荷台を森の中に隠し、さしあたって
クルー達を市民と共に聖トーマス教会に避難させた。
この街は、文化・芸術・政治経済的な面で旧東ドイツ地域の要となっている。
ここを破壊されることはあらゆる人に心理的動揺を与える。
そして地元の人々はリガ・ミリティアを厄介者と感じていることも事実だった。

「なーにが、中欧安全保障だよ」
「厄介なモンを抱えこんじまったな」
「この時代に地上戦なんてやっからよぉ」
耳に痛い言葉の数々は、シャクティの腹にも響いていた。
一人の若手クルーがシャクティの額に水で冷やしたタオルをあてる。
シャクティ「あ、ありがとう・・・・・・・・・・・」
「いいんですよ」
いつまでも、ここに世話になるわけにはいかないだろう。
カサレリアを奪われ、退却せざるを得ないとはいえそれは同時に戦線を自分達の
都合で広げていることにもなるからだ。

ズドンッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「きゃっ!!!!!!!!」
「何だぉ!?」
「く、ああああああ!!!!!!!」
「リガ・ミリティアは、何してるんだ!」
ライプツィヒの街が泣いている。
路上に転がったゲーテや森鴎外の銅像の首も、泣いている・・・・・・・・・・
空を覆う厚い雲の、慈悲だろうか。
551第三十五話「さらばカミオン」
再び、衛星軌道。
散開したネオ・ザンスカールのMS部隊に混じっていた二機の新型MSの
うちの一機がズベズダに組み付いた。
アレーナ「ぐっ、うう・・・・・・・・・・!」
アームレイカーをしっかり握り締めたまま振動で上半身を倒され、亜麻色の長髪を
揺らすアレーナ。そして、全天モニターで背後のMSを視認する。
アレーナ「これは・・・・・ハジ!?い、や・・・・・・違う」
イズモ「マジ!?マジだと!?
野郎共、鹵獲したマジをパーツに使いやがったなーーーーーーっ!!」

いきり立つイズモが口角に泡をこぼして隊を離脱する。
が、ズベズダを解放したハマジはビームサーベルの一閃でイズモの突進を
受け止める。
イズモ「ぬうううっ・・・・・・・マジ・デウゼーは連邦とロマニアの信頼の絆だぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
パイロットは頭部バルカンと脚部ミサイルポッドを使ってイズモのマジの
体制を崩す。
イズモ「あ、ぐぉあ!便利に出来てやがる・・・・・・・」

しかし、ガンダムチームの隊列を修正するのには役立った。
アレーナは素早くシレジア、ユウリと合流する。
もう一機のハマジは各局面をこまめにフォロー砲撃。戦線は完全に膠着した。
カルル「イズモ少尉!ここは俺に任せて!」
カルルもジークフリード隊から離脱してハマジに突進していった。
イズモ「カルルか!・・・・・・・・・・・・すまん!」
妙な行動をとるこのハマジはともかく、もう一機のデータを取って各機のTRAPAに
送信すれば確実に道は開ける。イズモは的確な対応をした。

しかし、こちらのハマジに乗るパイロットは熟練のようだ。
カルルも全力で互角の戦いを演じていたが、ハジとマジの機能を兼ね合わせた
それを上手く生かして、寄せ付けない。
ギィィッィン!!!!!!!!!!!!!!
交錯したジークフリードとハマジがビームサーベルを交差させ火花が飛び散る。
カルル「こ、このパイロット・・・・・・・・何だ!ケレン味がある・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カルル「何・・・・・・・・・・・・・・・何なの、この手触り!?
会ったことがある人!?でも・・・・・・・・」