【妄想】もしもウッソとシーラ様が出会ったら

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1通常の名無しさんの3倍

最終決戦、エンジェルハイロゥを止める為にアサルトバスターで突っ込んだウッソ、
シャクティを助け出し、ゴトラタンとの決戦の最中、エンジェルハイロゥから閃光が迸しった

「な、何だこれ!?――うわぁぁぁぁああ!!??」
閃光に包まれたウッソのV2アサルトバスター

ウッソの目の前に真っ白な光が広がった。

つづく・・・の?
2通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 22:32:39 ID:???




====================妄想終了====================


3通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 22:32:52 ID:???
つづけてくれ
4:2006/01/30(月) 22:35:23 ID:???


──機動戦士ダンバイン、第一章、白いオーラバトラー



シャクティの祈りを受け散りじりへと分解していくエンジェルハイロゥ
その中にして、二人はまだ戦っていた


「おかしいですよ!カテジナさん!!」
 『覚悟しろウッソ!!』


天使の輪の上で、衝突するウッソ=エヴィンとカテジナ=ルース
ゴトラタンのトンファーとV2のビームサーベルが切り結んだ瞬間、その光が起こった

 ビガガアッッッ

「な、何?!なんなの?!」
 『なんだ・・!?これは・・!?なんの光だ!』

機体が蒼く輝くとモニターは真っ白な光に包まれた
必死に眼を開けて状況を確認しようとするが、モニターには光以外映らない

 ドドドドドッ

機体が小刻みに揺れている、一瞬、モニターに宇宙の闇と空の青が見えた気がした
もしかしたら機体が地球へと落下してるのかも知れないとウッソは思った

「ハロー!?!」
『ヤベエゼアニキー!』

やがてウッソの意識は遠のいていく、ハロに声をかけることでもそれは保てなかった
5:2006/01/30(月) 22:38:49 ID:???


「・・・・・ぅ」


静まり返ったコクピットの中で、ウッソは眼を覚ました


「・・どこだ?・・ここ」

モニターは正常に稼動しているらしく、どこか知らない『大地』を映し出していた

「ハロー?」
『イテテ、イテテ、イテ〜ヨ〜』
「・・何が痛いもんか」

ウッソはハロを台座からはずすと、機体中のモニターを見渡してあたりを伺った

「地球なの・・?」

ウッソは地球へ落下してしまったのか、と考えたが
しかし見たことの無い植物ばかりだ、とも考えた

ウッソは一息つくと、今度はエンジェルハイロゥはどうなったのかと思い、空を見上げる
すると、太陽が存在しないことに気付いた、別に雲が多いわけではないし、明るいのだから夜なはずもない

『クルゾ! ウッソ!!』
「なにが!?」

突然、声を出すハロ、あわててレーダーを見るウッソ
しかし、肉眼のほうが速かった

「・・モビルスーツ?!かこまれた・・!?」
6:2006/01/30(月) 22:43:28 ID:???
 『そこの白いオーラバトラー!所属と名を名乗れ!!』
「え?ええ?」


ウッソの前に現われた見慣れぬ飛行型のロボット
モビルスーツと呼ぶにはあまりに小さく、生体的な構造をしている


 『貴様!どうやってこんなところまで進入した!!』
 『でかいな、こいつはドレイク軍の新型なのか?ラウでこんなものを作っているとは聞いて無いが』
 『隊長!早く仕留めましょう!これがラウのものであるはずがありません!これ以上シーラ様の御前に・・!」
 『まあ、待て、アの物だとしてもたった一機だ、それも新型というならば捕らえたい』

何を言ってるのこの人達は?? ウッソは筒抜けの通信会話を聞きながら考えていた
彼らはどうみてもザンスカールには見えないが、攻撃してくる意思はありそうだ

 『どうした、所属が言えんのか、とりあえずその機体から降りて貰おうか?』

一機の”ボゾン”が腰を突いていたV2の目の前まで接近し、”ガッシュ”をコクピットに構えた
しかしその瞬間、V2の右手がボゾンの左手を掴み投げ飛ばす

「ごめんなさい!!」
 『ぬわあ!』

吹き飛ぶボゾンと同時にV2も飛び出した

『ウッソ!ヤッタ!』
「ヤッてない!!クソッ・・!追ってくるの・・?!」

 『撃て!いかせるな!!』
 『いかん!向こうはシーラ様の居城だぞ!!』
 
ドガッドガンッ!!!

「そんなもの!!」

しかし、ウッソにはボゾンのミサイルがまるで当たらない、また、距離もドンドン離されていく

 『ギャラウーよりでかいんだぞ!なんで当たらない!!』
 『・・・速い、そしてあのパワー、あのオーラバトラーはバケモノか・・!』

投げ飛ばされたボゾンのパイロットが呟いた
7:2006/01/30(月) 22:45:41 ID:???
しばらく飛行すると、お城が見えてきた、さっきの小型ロボットはまだ完全には振り切れていないが、もう大分遠い
ウッソは”城”を見るのは初めてではなかったが、その城は以前に見たことある”遺物”とはまるで違い
いままさに使われている感じがした、多くの人間も見えた、町、いや村のようなものも見える
目が覚めたその時から思ってはいたことだが、ウッソはもう一度深く思った

「どこなのここは?!」

その時、眼前の居城から大きな力を感じた



「シーラ様!どうかお下がりください!」
「強いオーラ力を感じます」
「ハイ・・!現在未確認のオーラバトラーがこちらへ向かってきていると報告が!」
「未確認とは?」
「おそらくはアかクの新型かと・・!」
「確かか」
「い、いえ、未確認ですので・・」
「・・良きオーラ力を感じます、その者はこちらへ向かっているのですね?」
「ハッ」
「では、私が会いましょう」
「何を・・!?シーラ様!!」

シーラはカワッセの静止も聞かずに城のテラスへと赴いていく

『シーラさま〜、どこへゆかれるんですか〜』
『エル、お前も来るか?』

8:2006/01/30(月) 22:48:30 ID:???
ウッソがぼんやりと城を眺めていると、その居城からあの小型ロボット達が発進してくる
後方からもさきほどの部隊が迫ってきていた

『ウッソ!キケン! キケン!』
「・・わかってる」

しかし、ウッソは危機迫っているような表情をしていない
それを察してか、はたまたレーダーから機影を読み取っているのかハロは警告を続けた

『テキダ!テキダ!テキダ!ウッソ!』
「うるさい・・!静かに・・!!」

ウッソは何か小さな音でも聞き取ろうとしているのか、五月蝿いとハロを怒鳴りつける
しかし、ハロのほうが正しい、敵が接近してきているのだ、いまはそんな場合ではない

ついにボゾン隊はV2を取り囲むと、一斉放火をかけた─

『ヤラレター!!』

─かに、思えた、しかし、ボゾン隊は”ガッシュ”を放っていない
ただ構えたままで静止している


眼前の居城の、一番中心のテラスに、女性が立っているのが見えた

『ドウナッテルー??ヨクワカランー??』

しかし、ウッソは何かを悟ったように、V2を少しづつ城へと接近させる
だが、V2が城へ接近した瞬間、一機のボゾンはたまらずガッシュを発射した

 ドガンッ!!
9:2006/01/30(月) 22:51:07 ID:???
「くっ・・・!」
『ウゲー』


コクピットを強い衝撃が走る、しかし、ウッソは動じなかった
逃げることも反撃することもしなかった


『あ〜、撃っちゃった〜』
「カワッセ!攻撃をやめさせろ」
「は・・ハッ! ・・そこのボゾン!攻撃をやめるんだ」
 『しかし、これ以上シーラ様に!』
「そのシーラ様のご命令ぞ!」
 『・・・ハッ』


道を明けるボゾン、立ち尽くすV2
数発のガッシュを浴びせられたV2ではあったが、不思議と無傷だった
しかし、V2の装甲はガンダリウムなのだから当然といえば当然だ

ウッソは、V2を城まで歩み進めると、その城の、女性の立つテラスの前でコクピットを開いた

「・・兵が無礼を」
「い、いえ・・」

その女性は赤い瞳と翡翠色の長い髪、柔らかな表情でウッソを迎え入れる
ウッソは、少しだけその女性に見とれたが、次の瞬間には驚いた

『キャ〜、シーラ様〜、変なのがいる〜!』
『ウッソ!ナンダ!コレナンダ!』

「よ、妖精?!」

ウッソはエル=フィノに対し当たり前の反応を見せた
シーラはクスっと笑うと、ミ・フェラリオです、と答えた
そして、やはりこの者はバインストンウェルの人間ではないと確信した

「シーラ=ラパーナと申します、・・貴方は?」
「ウッソです、ウッソ=エヴィン・・」
10:2006/01/30(月) 22:58:02 ID:???
『エル〜、こいつなんだぁ?』
『わかんない、ハロだって』
『オモタイ!オモタイ!ノルナ!』
『まっ、失礼ね〜!』
『ヤメローー』


ハロは、エルとベルに転がされていた


「・・では、やはり地上から参られたのですね」
「地上・・っていうか宇宙ですけど」
「ウチュウ?」
「はい」
「・・そうですか」
『シーラさま〜、ウチュウってなんですか〜?』
「・・エル、ごめんなさい、私にもよくわかりません」
『ええ〜、シーラさまでもご存知ないことなんてあるんですねっ』
「・・・・・・」
「宇宙を知らないんですか?」
「・・・・・はい、おそらくこのバイストンウェルにはウチュウと言う物は存在しません」
「ええ?じゃぁ、空の向こうに何があるんです?」
『空の向こうはウォ・ランドンよ』
「うぉらんどん?」
「エ・フェラリオ達の聖地です」
「エ・フェラリオ??」

ウッソは、ここは本当に自分の知らない世界なんだなあと実感したし
シーラはウッソがやはり子供であると、認識した
あの機械から彼が降りてきたときには驚いた、まさか自分よりも幼い少年だったとは
しかし、幼く見えるのはその容姿だけで実は地上ではこれで大人なのかも知れないとも考えたが
彼の見せる表情や態度はどれも普通の子供のものだった
伝説や、ラウ国から聞いていた聖戦士の姿とはまるで違う
それがシーラを迷わせた、彼を聖戦士と呼ぶことに
別に彼が子供だからと実力に不安を持っているわけではない
ナの国に聖戦士が現われたとなれば、これからドレイクと戦うという意味でもすごく大義なことだ
だが、ソレを背負わせても良いのだろうかと、シーラは思ってしまった
シーラにはその辛さがわかるからだ
11:2006/01/30(月) 23:01:00 ID:???
「じゃ、ここはバイストンウェルという世界のナの国で、そして貴方がナの国女王・・・なんですね」
「・・・はい」

ウッソは”女王”という言葉にマリア主義のことを思い出すと
確かにシーラの雰囲気がどこかマリアに似てるなとも感じた
シーラはマリアよりずいぶん若く見えたが、むしろシーラのほうに威厳を感じた


「あの機械は地上の兵器ですか」
「・・はい、モビルスーツと言います」
「・・では、貴方は地上でも戦士だったのですね」
「・・地上でも・・?」
「・・・・地上では、子供があんなものに乗るのですか」
「い、いえ、僕は特別で・・」
(特別・・・)


貴方は聖戦士です、この世界を救う存在なのです
これからこの国ために、この世界のために戦いなさい

しかし、シーラはそれを言葉にできなかった
彼女は17にしてこの立場にある、そのため年上のも者に命令することには慣れていても
自分よりも幼い物に命令することは初めてだった


「どうにかして帰れないんですか・・?その・・地上に」
「・・・帰りたいですか」
「はい、向こうにいたみんなのことも心配ですから」
「・・・残念ながら、私には帰す術がありません」
「・・・そうですか」
「・・・・しかし、ジャコバ=アオンならあるいは」
「ジャコバ??」
「・・・エ・フェラリオの長です」

ウッソを哀れんだのか、シーラはウッソに帰る方法を教えてしまった、その時

「シーラ様!!」
「どうしたか」
「未確認のオーラバトラー、いえ、恐らく聖戦士殿の機械と同様の物がウロポロス周辺で暴れていまして・・!」
「暴れて・・?」
「はい、手当たり次第に・・こちらのボゾンを破壊しています、・・まるで歯が立たず・・」
「・・・カテジナさん!!」
「・・知っている者か?」
「わかりません!でも、多分カテジナさんです!僕が行きます!」
「ウッソ・・!」

部屋を飛び出すウッソ、シーラも後を追う
12:2006/01/30(月) 23:04:24 ID:???
 『おいお前!V2がこっちへ行ったというのは確かなんだろうな!』
 『あぁ・・ああ、・・・あの青と白のロボットなら確かに・・』
 『嘘だったらわかっているな』


そう言いながら振り回す
ゴトラタンは左手でボゾンを中釣りにして飛行していた
ウッソ同様にカテジナもバイストンウェルにやってきていた
カテジナはボゾンをリガミリティアの新型とは思わなかったし、ここがどこなのかもわからなかったが、とりあえず撃破した
もうどうでもいい、ザンスカールとか、リガミリティアとかそんなことは
ただウッソを見つけて殺したいと、ただそれだけを考えていた
”この世界”にやってきてからはその念がより一掃強くなっているようにも思えた


─見つけた、まだ見えてはいないが、この距離で十分にウッソの存在が感じ取れる


 『気持ち悪いんだよ!虫みたいなカッコして!!』
 『うわああ』


カテジナはボゾンを投げ飛ばすと、ビームライフルで追撃した
メガ粒子がコンバーターを貫くとボゾンは激しく爆発する


 『ホラ、見えるだろ? 私はここにいるよ・・・ウッソォォッ!!!!』


ゴトラタンは加速しウッソへ向かっていく
13:2006/01/30(月) 23:07:29 ID:???
「ナムワンは出せるか」
「ハッ、ただちに」
「ウッソ・・・・、うぅ・・」
「シーラ様?!」
「・・何か、禍々しい・・・、悪しきものが・・・こちらへ・・(これがカテジナという人なのか)」


 ブフォオォォォッッッ!!!!!!


すでに城から飛び出していたV2は、全速でカテジナの元へ飛んでいた


「カテジナさん!どうして!!」
 『貰ったよウッソ!!!』


爆発地点へ飛ぶV2を、下の森からゴトラタンは狙撃した


「卑怯なんですよ!カテジナさん!!」

しかし、その禍々しいオーラにウッソはとっくに気が付いていた
逆に直上からゴトラタンを狙い撃ちにする


 ドガドガドガドガドガッッ!!!!!!!


 『これでも撃てるかウッソ!!』

しかし、ゴトラタンは町まで逃げ込むと、その場に停止しV2を狙撃始めた
町にいられてはウッソはゴトラタンを狙えない、例え必中したとしてもゴトラタンが核爆発すれば何百人と死者が出る

「どうしてそこまでするんですか!!カテジナさん」
 『お前が憎いからだよ!!!」

しかし、カテジナの砲撃もV2には当たらない

 『ちぃっ、・・・そーだ、ウッソ、これならどうだい?』

そう言うとカテジナは、城へとメガビームキャノンを構えた
14:2006/01/30(月) 23:11:00 ID:???
 『あっはっはっは!ウッソ!優しいお前ならかばうんだろ?あの城を!!』
「やめてくださいよ!!」

 ズガガガガガッッッガガガッ!!!!!!!


「くぅっ・・!!」

V2のビームライフルが地面に落下する、ウッソが捨てたのだ
ゴトラタンから放たれた光の波はウッソがV2で受け止めた
メガビームシールドはすでに無い、両手のビームシールドを重ねてなんとか堪えている
だが、両手がついに融解を始めた

「まだやまないの!?」
 『アハハハハッハ!ウッソ!!往生なさい!!』

すでに20秒は経過していた、ゴトラタンのメガビームキャノンは発射を続けている
連射したのではなく、途切れることなく放出しつづけているのだ、しかも時が増すたび出力も増してる気さえする

「ぐううぅぅっっ!!」

V2は一歩も引かなかった、圧し掛かる重圧はミノフスキードライブでなんとか押し返す
しかし、両腕への負担はどうにもならない、正直、止められているのが不思議なくらいだ

 『いい加減にしろ!ウッソォ!!』
「ぐああぁぁっっ!!!ダメだ・・・もたないよォ・・!!」

(・・ウッソ!)
(し、シーラさん・・?!)
(・・悪しきオーラ力に負けてはなりません)
(わかってますよ・・!!でも・・!!)
(・・貴方のオーラ力なら、彼女にも勝てます)
(おーらちから??そんなこと言ったって・・)
(・・甘えないでください、貴方は聖戦士なのです、勝って見せなさい)
(聖・・戦士・・?)
(・・貴方なら・・・できるでしょう)
(・・・・・・・・・はいっ!!)

 ブォォォオオォォォッッ!!!!!!
15:2006/01/30(月) 23:15:22 ID:???

 ババッバッバッババッババッバッバババッッ!!!!

 『なんだ!?!ビームが届いてない?!』
「うぉぉおおぉぉぉぉおぉぉっっ!!」

ミノフスキードライブ全開で羽ばたくウッソのV2!メガビームを一直線に遡りゴトラタンへと向かっていく

 『私がやられる?!』
「うぉぉおおぉぉぉぉおぉぉっっ!!」


ブォォォオオォォォッッン!!!!!!


ゴトラタンの真横を通り過ぎるV2、減速し、反転し、着地する
一瞬、光の翼に包まれたはずのゴトラタンだったが爆発はしなかった、目に見える破損もなかった

 『なんだ?!回避できたのか・・・? ・・・どうした、機体が動かない・・? ゴトラタン!!』
「核爆発なんて・・させられない・・!」
 『どうした!?メガ粒子で内部機器がいかれたのか!?ウッソォォッ!!』

 ドガガッッ!

 『お前は忌々しいガキだよ!本当にぃぃ!』

カテジナは無理やりにコクピットをこじ開けると機体をすてて町へと消えていく

しかし、ウッソにはそれを追うだけの体力は残っていなかった
これほど疲労したのは始めてだと思うくらい疲れていたし、とっくにウッソの意識は途絶えていたからだ

ナムワンから倒れこむV2を見下ろして、シーラは思った
やはり彼は聖戦士なのだと──



続く・・カモ
16通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 23:19:40 ID:???
お、ダンバインの世界と交わるとは新鮮な切り口だ。
期待。超期待。
17通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 23:20:36 ID:???
カテジナはあいかわらず怖いお姉さんだなw
18通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 23:52:16 ID:???
ゆっくりでいいので続けて下さい、
職人さん
19通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 07:46:03 ID:???
うまいなぁ。
20通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 21:10:04 ID:???
またウッソ君シリーズか・・・・・
21通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 21:38:32 ID:???
今までの『もしもウッソ〜』は、VやV2の行く先に艦隊があって補給とか出来たけど
今回はバイストンウェル・・・V2の修理・補給はどうするのかちょっと気になる。
もしやV2にオーラバトラー技術を使った改造を施されたり、
ウッソがオーラバトラーに乗ったりするんだろうか…

職人さん、御自分のペースで頑張って下さい。ワクテカ
22通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 18:53:25 ID:???
良い物だ
23通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 14:31:27 ID:4oL7rLWJ
良スレ保守
24通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 15:33:11 ID:???
スレタイ見てシーラ様をシーマ様と勘違いしてしまった
25通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 23:54:50 ID:???
>>24
それはそれでいいが、シーマ様が鈴を鳴らしそうだな。
26通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 01:55:58 ID:???
シーマは様付けするようなキャラじゃない
27:2006/02/08(水) 07:17:35 ID:???



バイストンウェルの物語を覚えているものは幸せである
私達はその記憶を記されて生まれてきたにもかかわらず
思い出すことの出来ない性を持たされたから・・・・・。
それゆえに、ミ フェラリオの語る次の物語を伝えよう・・・・。


エンジェルハイロゥでカテジナとの決戦中に謎の光に包まれたウッソ
気がつくとそこれは見知らぬ異世界だった




──第ニ章、ナの国の聖戦士




ウッソは暖かい夢を見ていた

ふわふわとしたやわらかい風に体が包まれている、抱かれていると言ったほうが適切かも知れない
無重力とも違う浮遊感が心地良い、赤ん坊の頃のゆりかごのようだ
なんだか、遠い昔に失ってしまった記憶達が体の中へ還ってきている、そんな感じがした
ウッソは夢の中にもかかわらず眠ってしまいそうになる、だが、その瞬間、おでこに何か冷たいものを感じた

「うあぁあぁぁ!!」

思わず声をあげてしまうウッソ
それまでがあまりに平穏すぎたため、たったそれだけのことに体が驚いたのだ

「・・大丈夫ですか」

「は、はいっ・・」

はぁはぁっと息を切らしながらウッソは答えた
ウッソが気が付くと目の前にシーラが座っていた
彼女の手が宙を泳いでいる、さきほど額に触れたのは彼女の手だったのだろう
ウッソの様子を察したシーラは悪い夢でも見たのですかと問うたがウッソは不思議な夢を見たと答えた

『ウッソ!ウッソ!オキタカ!ウッソ!』
『もぅ〜!いつまで寝てんのよー!ずっと起きないかと思ったじゃないー!』

ハロとエルが跳ねている
そんな非現実的な二人を見て逆にウッソはこれは夢じゃないんだなぁと実感した
28:2006/02/08(水) 07:19:43 ID:???
ほっとすると人間はお腹が空くものだ、だが、ウッソがおねだりするより早く食事が運ばれてきた
シーラが見越してエルに指示しておいたのだろう

「い、頂きます・・」
「ハイ」

けれどウッソはすぐには食べ始めなかった、それじゃぁまるでがっついてるみたいだからだ
しかもシーラにじっと見つめられていては緊張する

「し、シーラさんは食べないんですか・・?」
『なにいってんのよー、私達はとっくに食べたわよー』
「・・そうね、エル」

そんなこと言ったって知らないよ、とはウッソは言い返さなかった
今何時なんだろうとも思ったが、部屋を見渡しても時計は無かった

「じゃぁ、失礼して戴きます・・」
「・・ハイ」

シーラは、ウッソのその子供らしからぬ子供らしさにクスッと笑ってしまった
が、ウッソのほうはそれが何か悔しかった

食事をしながらウッソはシーラにたくさんのことを聞いた
行儀が悪いかとも思ったが、無言で食べ続けるのも間が持たない
それに聞きたいことは山ほどあった、カテジナの行方とか、どれくらい寝ていたのかとか、この世界のこととか

ウッソはバイストンウェルが魂の安息の場なのだと教えられると、どこか寂しげな表情をした

──地上で死んだ人間がこの世界に生まれ変わると言うのなら、母さんもこの世界のどこかにいるのだろうか

母親だけではない、今まで自分が殺してきた人間達もこの世界に転生しているのかと考えると、なんだか怖くなった


そんなウッソの表情を見て、シーラはますますと悩まされた

29:2006/02/08(水) 07:22:27 ID:???
シーラは、ウッソの持つオーラ力を強いとも良いとも表現したが、その悲しさも読み取っていた


何があったのかまではわからなくても、
これまでこの小さな体に、どれだけの希望と絶望が課せられて来たのかくらいはわかるのだ

叶うことならばこのまま地上へ返してやりたいとも思ったし
地上でもあんな機械に乗せられるのならいっそこの城で保護してはどうかと、そんなことさえ思った

だが、それはシラーナ ラパーナが思っていいことではないとわかっている

国を、世界を、考えなければならない、王として一個人のことに拘るべきではないのだ
さらに言うならば幼くとも彼は聖戦士であり、同じ使命を持っている、持たせねばならない
自分がすべきことは彼に聖戦士としての道を説き、そして導くことだ
そう、自分と同じこの道を・・・、自分よりももっと幼い子供に・・・、


「本当ですか!?僕のほかにも地上の人が?」
「・・ハイ、私もまだ実際に会ったことはありませんが、ラウの国からはそう聞いています」

「シーラ様!!」

「・・カワッセ」
シーラは、突然入って来て叫ぶカワッセを騒々しいと睨みつける、実は今深夜なのだ
だが、何かあったのだと察してすぐに部屋から出た
病み上がりのウッソに心配を掛けまいとして、シーラは毅然と部屋を出たのだが、ウッソにもそれくらいすぐわかる
ベッドの横からスリッパを取り出して履くと、シーラを追って部屋を出た

「まさかカテジナさんですか?!」
「・・ウッソ、いえ、違います」

ウッソは違うと聞いて安心したが、しかし、まだシーラの曇った表情が気になった

「何があったんです?」
「・・・・・」

シーラは何も答えなかった、答えれば、まるでそれは頼っているのと同じだからだ
だが、カワッセは普通に答えた

「クのオーラバトラーが夜襲を掛けてきているのだ」
「くのおーらばとらー??」

よくはわからないが、ナの敵国が攻めてきているのだと、それくらいはわかった

「僕が行きます!!」
「・・ウッソ?」
「それってカテジナさんがこの国の防衛隊の人達を蹴散らしちゃったからなんでしょ!だったら僕がいかないと!」

そう言うと、止める暇なくウッソは走り出す

「・・・さすがは聖戦士殿ですな」
「・・・・・」

シーラはカワッセを一睨みすると、ウッソを追った
30:2006/02/08(水) 07:30:00 ID:???
ウッソは、ウロポロス城を走り回るのは当然初めてだったが、元来 勘は良い方だった
すぐに格納庫へと辿り着き、V2を発見する、が、機体を見て驚いた

「・・・腕が溶けてる!」

これで動くのかと思いながらもとりあえずコクピットへ入る
しかし、両腕どころか起動もしない

「なんで?!」
『スマン!聖戦士殿!その機体を修理させようとしたのだが・・』
「・・・・逆に壊してしまったんですか」
『元々壊れていたのだ!!』

ウッソは悔しそうにパネルを弄繰り回す

「動けよ、動くんだよ!V2!!ここには母さんがいるんだぞ!!」

しかし、V2は静止して動かない
こういう時にウッソはつくづく自覚する、自分はスペシャルでもなんでもない、ただの無力な子供だと
だが、今のウッソはそれで絶望してしまうほど子供ではなかった

ウッソはV2から飛び降りると、身を翻しシーラの元へ向かう

「オーラバトラーを貸して下さい!」
「・・ウッソ」

シーラは、ウッソのその言葉に驚かされた

「・・オーラバトラーに乗るということの意味が、わかって言っているのですか」
「ええ? ・・そんなのわかりません! でも、僕が戦わないといけないってことはわかります!」
「・・何故か」
「何故って、それは・・、いままでも・・、ずっとそうで・・、だから・・」

シーラは、ウッソのその言葉に胸を締め付けられた
だから、つい言ってはならないことを言ってしまう

「・・ここは、あなたの世界ではないのです、・・あなたが戦わなければならない理由はどこにもないはず」

そうだ、女王として生まれた自分とは違う
この国を、この世界を守らねばならない理由は彼にはどこにも無い


「でも、僕はここにいるんです・・!」


それこそが聖戦士に持たされた性なのだと、シーラは知った
31:2006/02/08(水) 07:41:07 ID:???
「・・わかりました」


シーラは、ウッソに微笑みかけた
自分より幼いとばかり思っていたが、自分のほうが遥かに未熟だったと思い知らされた


「カワッセ、ボチューンを」
「シーラ様、しかし、あれはまだ試作の域を出ておらず、コンバーターの出力が」
「・・彼は聖戦士である」
「・・・・・ハッ!」

そう言うとカワッセは走っていく
ウッソはまえまえからチラチラと聞こえていたその単語のことを聞いてみた

「聖戦士ってなんです?」
「・・貴方のことです」
「はぁ」

結局意味はわからなかったが、なんだか嬉しかった


「我が国でもっとも新しいオーラバトラー、ボチューンです」

白く気高い、そんな感じのオーラバトラーだ
これはラウとナで共同開発した新型である、その完成品一番機がまさにウッソの目の前にあった
完成品とは言っても、それは機体本体だけの話で旧式のオーラコンバーターやオーラマルスでは出力が足りずまともに稼動しない
ラウの国へ引き渡すにはまだまだいくらも改良が必要な欠陥品だった

だが、コモン人には動かせずとも、聖戦士であるウッソならば・・・・と、シーラは考えた

ウッソはさっそくボチューンに乗り込んだ
いきなりの実戦とはいえ、クロノクルからシャッコーを奪ったときのことを考えれば全然の余裕である

『ウッソ!マッタ!マッタ!』
『私も私も〜〜っ!』
「わわぁっ」

ハロとエルがコクピットに乱入してきた

『セマイ!セマイゾ!ウッソ!』
「だったら降りろよ」
『だってねえ、ハロ、シーラ様にウッソを助けてあげなさいって言わたのよねぇ』
「シーラさんが・・?」
『シーラ様っ!』
『ダイジョウブカ!ウッソ!』
「・・・大丈夫、僕にはこういうのだって動かせるはずだ」

 ぐぉぉぉぉんっ っと轟音をあげて、膝を突いていたボチューンが立ち上がった
32:2006/02/08(水) 07:52:06 ID:???

ボチューンのモニターにシーラが映った

『・・お願いします』

「はいっ!!」
『シーラ様〜、いってきますね〜っ!』
『セマイ!セマイゾ!ウッソ!』
「だったら跳ねるな!!」

あまりに騒々しいコクピットの様子に、シーラはクスっと笑ってしまった
それに驚くカワッセを一睨みすると、ゲートを開くよう指示を出す


「ウッソ=エヴィン!!ボチューン!!いきますっ!!」


  ヴォォォォッッ!!


欠陥品だったはずのボチューンが、まるで当たり前のように空へと飛んだ──





続け・・
33通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 08:13:16 ID:???
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
34通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 08:55:07 ID:???
イ呆守
35通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 23:04:47 ID:???
よし、きた!

続けよ!!
36通常の名無しさんの3倍:2006/02/11(土) 15:48:49 ID:???
帰ってきたらもっと保守してやる
37通常の名無しさんの3倍:2006/02/11(土) 16:29:10 ID:???
そういやオデロが来てそうだなぁw
38通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 21:03:00 ID:JcKnUiXP
よっしゃ!保守
39通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 21:38:49 ID:SeBHiXlu
これはスゴイ…
40通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 22:07:53 ID:???
ウッソとシーマ様だと思ったのに・・・
41通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 23:30:02 ID:???
それじゃ話が広がんねぇw
エロで終わる
42通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 07:05:04 ID:???
ほす
43通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 01:17:36 ID:294OmK+A
俺も間違えたな・・・ほしゅ!
44通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 01:30:20 ID:???
45通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 00:40:28 ID:???
ほっしゅほっしゅ
46通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 03:04:50 ID:???
>エロで終わる

40氏ではないのだが、不覚にも
激しく納得してしまった(w
47:2006/02/21(火) 20:21:49 ID:???
バイストンウェルの物語を覚えているものは幸せである。
私達はその記憶を記されて生まれてきたにもかかわらず、
思い出すことの出来ない性を持たされたから・・・・・。
それゆえに、ミ フェラリオの語る次の物語を伝えよう・・・・。

バイストンウェルの地にて、カテジナのゴトラタンを辛くも退けたウッソ
だが、ナの国へはまた新たなる脅威が迫りつつあった


──第三章、ウッソの戦い


『キャー!なんで揺らすのよ〜っ!』
「テストしておかないと戦えない!」

エルが苦情を叫んだ、ウッソのボチューンはクの攻撃隊へ向かい飛行をしている、が、
傍から見ればマジメにやっているのかと問いたくなるくらいボチューンは右往左往とひらひら飛んでいた
別にウッソの操縦が下手なわけではない、初フライトであるために、機体を試しているのである
減速加速を繰り返し、着地上昇も繰り返し、反転してみたり、剣を振ってみたり、コクピットは大揺れだ

『キャー!ウッソのへたくそーっ!こんなんで戦えるのー??!』
『キモチワルイ!ハキソウダ!ウッソ!』
「うそをつけ」

そう言うとウッソはハロを足元へ追いやり踏みつける
別に腹が立ったからというわけではない
ボチューンにはV2のようなハロを固定する台座が無いからだ
激しく動くと目の前をハロが跳ね回って邪魔だし痛いし、・・だから足でハロを固定した

『イタイ!イタイゾ!ウッソ!』
「黙ってろ」

ウッソってヒステリーなのね、とエルは心に思ったが言うと自分も危ないので口には出さなかった

『ウッソ!あそこよー!ひかって見えたわ!』
「どこ?!」

48:2006/02/21(火) 20:31:13 ID:???
数キロは先だろうか、だが、夜だからこそ余計にハッキリと見えた
”ドラムロ”の放つフレイポムが町を焼いている、その炎はどこかウーイッグを連想させた
ウッソはこれから戦う相手のことを余り知らなかったし、見知らぬ世界で戦うということにも多少の抵抗はあったのだが
これだけ見せられれば戦うに値する

「どうして街を焼くの!!」

叫ぶとウッソはオーラバルカンを乱射した

 ダダダダダダッッ!!

視界が暗い夜戦のうえ距離もまだ遠く、とても当たらない
だが、一刻も早く町への攻撃をやめさせたかった、その目論見は成功する

 『なんだ?ボゾンではない、新型か?』
 『どうする兄貴』
 『新型ならば捕らえたい、ビショット王への手土産にな!』
 『了解っ!』

赤い三機のオーラバトラー、”ドラムロ”達がウッソへと向かってくる
一機は正面、一機は左、一機は右と、ウッソを取り囲むように動く

「なんだこの動き・・!」
『キャー!!後ろよ後ろ!!』
「わかってるけど前にもいる!!」

正面のドラムロがバルカンを放ったかと思うと、左のは上空高くへ、右のは背中へ回り込んだ
一機づつ撃破するしかないと踏んだウッソはまず正面へ斬り込みに行く
だがウッソの斬撃はドラムロの剣に弾かれた、それでも再びウッソは斬りかかる
一機に出来るだけ接近していれば他のニ機も射撃はしてこれないと考えたのだ
ウッソはとにかく がむしゃらに斬りかかる

 ガシンッ!!

「うぁぁ!」

しかし、正面のばかりに気を取られすぎた、別の機体に背中かから羽交い締めにされる

「後ろ!?そんな・・!!ハロォォッ!!」
『だーかーら言ったじゃないっ!!』

ボチューンは、センサーもモニターもV2とは違うのだ、それくらい知っていたはずだ、わかっていたはずだった
49:2006/02/21(火) 20:41:26 ID:???


 『よくやった!ニェット!!』

「どうして撃たない!?捕まえようとでも言うの!バカにするなァァッ!!」

ウッソは巧みに操縦桿を動かす、 素早く、 正確に、 捌く

 ガンッ!! ガンッ!!!  ガゴォォッッ!!

肘撃ち、裏拳、回し蹴り、吹き飛ぶドラムロ

ボチューンは、まるで人間以上の体捌きで羽交い締めを脱出した

 『ぐああああぁぁぁ!』
 『ニェットッ!!』
 『・・あんな動きが出来るのか、新型め・・!』

違う、それはボチューンの性能でも、地上人のオーラ力によるものでも無い、ウッソの卓越した操作技術によるものだ
”オーラバトラー”でこそこれが初めての戦いになるが、ニュータイプとはそういうことにも適応する人種である
なによりウッソは彼ら3騎士よりも遥かに長く、多く、戦ってきた、才能ばかりか経験も心構えも違うのだ
油断もするしミスもする、だが、彼はそこで終わらない不屈の心を持っていた

50:2006/02/21(火) 20:45:43 ID:???

 『ダー!鹵獲はもういい!撃墜する!』
 『あいよ!!』

バッヒュン!バッヒュンッ!!

『撃ってきたわよぉ〜っ!』
「接近戦をやらせてもらう!!」


2機のドラムロはフレイポムを連射する、しかし、ウッソはすべてを回避した
風のように、嵐のように、突き抜ける


バッキシシシシッっ!!!!!

 『ぐあああ・・・』
 『ダー!!』

千切れ飛ぶドラムロ、本来、ボチューンのソードにこれほどの切れ味は無い、ウッソのオーラ力の賜物だ
火力はドラムロにも劣るボチューンだが、速度とパワーなら話は違う、ウッソが乗っていればなおの事である、
フレイポムを撃つことに集中し、剣を構えていなかったダーのドラムロは一瞬にして斬り捨てられた


 『ダーまでやられただと・・?! こんなことなら最初からトリプラーを掛けるべきだったか・・!』

「あと一機・・!!」

しかし、突如ボチューンへ向けて別な方角から火線が走る、蹴り飛ばされたニェット機が戻ってきたのだ

 『ニェット!無事だっ・・・うおぉぉっ!?』

 ドガンッッ!!!

ガラミティはその言葉を終えることなく、ニェット機のフレイポムに撃ち抜かれた

『どうしちゃったの??仲間割れしちゃったの??』

エルにはわけがわからなかったが、ウッソには わかった

「・・カテジナさん・・!?」

暗闇に、そのドラムロの禍々しいオーラ光が渦巻いている
51通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 20:52:37 ID:???
キタ━━━━━☆-(ノ゚∀゚)八(゚∀゚ヽ)-☆━━━━━!!!
52:2006/02/21(火) 20:59:32 ID:???
『カテジナって誰よ〜?!』
「カテジナさんですか!!カテジナさんでしょう!!」

速攻でボチューンへと斬りかかってくるニェット機のドラムロ
もしかしたら助けてくれたのかも知れない という期待は淡く消えた
だが、それでもウッソは通信つまみを回し、最大音量でドラムロへ問いかける

 『アハッハッハハハッ!!そんなに私に会いたかったのかいー?ウッソォォッ!!!』

ズガガッッンッ!!

ウッソはドラムロの斬撃を剣で受け止めると、その衝撃を利用して弾き飛ぶようにドラムロから距離を取る
しかし、カテジナは右手のフレイポムを発射し追い撃ちをかけた
ウッソは森への引火を恐れボチューンの高度をあげる、カテジナの放つフレイポムはそれまで物とは明らかに違う火力だ

「会いたくなんかッ!!」
『知ってる人なの〜??』

しかし、逃げるばかりではどうにもならないとウッソは悟った
カテジナを止めるためには自分のほうからカテジナへ向かっていくしかない

 バッキキキンッ!!

「なんでカテジナさんがそんなもののに乗ってるんですかッ!!」

斬り結ぶ、二機のオーラバトラー

「そんなものからは降りるんですよ!!カテジナさん!!」
 『よく言う!!この虫人形を私の目の前に降らせたのはおまえだろッ!!ウッソォッ!』

 ガッキキキッッンッ!!!

カテジナ渾身の一撃に、ウッソも渾身の一撃を重ねた、一本の剣が弾き飛ぶ
飛んだのはカテジナの剣だ、ボチューンの右手にはまだ黒刃の剣が存在していた

「カテジナさん!!」
 『ほ〜らぁっ!!ホントはそうやって戦うのが大好きなんだよ!オマエはァッ!!』
「そんなこと!!」
 『まだ勝負はついていないよォ!ウッソ!!』

剣の無いカテジナは、ドラムロのオーラバルカンを連射する
ウッソは油断していた上に、接近しすぎていた、回避しきれずに数発被弾してしまう

ドガガガガガッッ!
53:2006/02/21(火) 21:03:11 ID:???
『キャァァァ!!』
「エルうるさいよ!!」

エルはウッソに怒鳴られると、慌てて手でクチを塞いだ、ハロのように踏みつけられたくはないからだ

バルカンを数発貰ってしまったボチューンは、慌ててドラムロから距離を取る
そして、急いで機体の体勢を取り直す、ウッソは足元のハロに問うた

「ダメージは!?」
『エ?ヨクワカラン…』

ウッソは、役立たず!とハロを踏みつける
しかし、何の計器とも連結していないのだ、ハロにわかるわけがない
半分八つ当たりである、それくらいカテジナのことで余裕がなくなっていたのだ

『きたぁぁぁ〜!!』
「わかってるっ!!」

前面の大スクリーンに映し出されるドラムロ、接近してくる
ドラムロの剣は吹き飛んだはずだったが、爪を、拳を、武器に迫ってくる
ウッソはボチューンの剣を盾にして構えたが、ドラムロは下から蹴り上げてきた

「そんなっ!?」
『い〜〜やぁぁ〜〜〜!!』

カテジナさんだってこんなものに乗るのは初めてのはずなのにっとウッソは思った
衝撃で機体が傾く、レバーやペダルを操作しながらウッソは叫ぶ

「なんでバランサーくらいついてないの!!」
『わか〜んな〜い!!』
『ウッソ!オチツケ!ウッソ!!』

 『遅いんだよっ!!』

バゴ!! ドガガガガガガッッッ!!!!

ボチューンは思い切り殴り飛ばされる、剣による斬撃ではないため、一撃で真っ二つとはならなかったが
機体は、強い衝撃と共に地面に叩きつけられた
機体だけではない、パイロットであるウッソにも激痛が走る

「うぅぅ」
『ウッソ〜!?しっかりして〜!!ウッソ〜〜!!!』
54:2006/02/21(火) 21:09:18 ID:???
『オキロ!ウッソ!』
『や〜だぁ〜〜!! 私こんなところで死にたくないのよ〜!〜!』

パシパシっとエルがウッソの頬を叩くと、ウッソは呟いた

「・・わかってる」

ウッソは、足元から飛び出してしまっていたハロを再び足元に追いやる

『アーレー??』

次に自分の両頬を思い切り叩き気合をいれた

「・・頭で考えすぎたんだ!これはオーラマシンなんだからオーラ力で動かさなきゃダメだっていうんだろ!!」
『ええ??』
「こんのぉぉぉっっ!!」

ウッソが力強くレバーを引っ張ると、ボチューンは何かに打ち出されたかの如く 激しく飛び出した

 『トドメだ!ウッソォォッ!!!』

しかし、カテジナのその言葉より素早く飛び出したボチューンは、ドラムロの右手に剣を突き刺した

「うわぁぁっっっっ!!!」

ウッソはドラムロの右手から剣を引き抜くと、その返し刃で左腕も切り落とす
両腕を失ったドラムロは、しかし、いまだオーラバルカンをボチューンへ放つ

「・・カテジナさん、カテジナさん!!!」

「どうして、どうしてそうまでして戦うんですかカテジナさん!!」

「ここは僕達の世界じゃないんですよっ!!ここは死んだ人たちの魂が安らぐ場所なんですよ!!!」

「そんなところまで来てカテジナさんは何でまだ戦うんですかァッ!!!」

 『五月蝿い!!』

しかし、カテジナは発砲を止めない、ウッソはなんとかドラムロの背中を取ると、機能を失っている右手とボディを押さえつけた

「僕達がこんなところで戦う理由なんて無いんですよッッ!!」

 『お前はクロノクルを殺したァッ!!」

「!!」

 バッゴォォォオォォッッンッ!!!!!

次の瞬間、ドラムロから強大な斥力が放出される、明るい光の膜がボチューンを弾きと飛ばす

『キャァァ〜〜!!!』
「うぅぅぅ!!!」
55:2006/02/21(火) 21:25:26 ID:???
「かァッ・・ぁ、ぅぅ・・・!」
『イテテテ・・・』
『いったぁぁ〜ぃ』

突然、強い閃光が走ったと思うと、機体が遠く吹き飛んだ
この世界にやって来た時の閃光は、どこか引き込むような光だったが、それとは逆の反発し拒絶する閃光だ

とりあえず辺りを確認するウッソ、もしかしたら地上へ戻れたかも知れないとも思ったが
どうやらさきほど戦っていたままの場所のようだ、しかし、そこにカテジナのドラムロの姿は無かった
もしかしてさっきのはカテジナのドラムロが爆発した現象かとも考えたが
あれは爆風というよりは光そのものに弾かれたという感じがした、腕以外の残骸も見当たらない
単純に残弾が尽きて撤退したのか、それとも言葉をわかってくれたのか、
・・死んで欲しくは無い、けれど、生きているとするならばもう一度戦わなければならないのだろうか・・
・・わかりあうことは出来ないのだろうか・・

そんなウッソと裏腹に、エルとハロは大騒ぎ

『あぁ〜、もうダメかと思ったじゃない〜!ちゃんとやってよね〜!』
『ヤッタゾ!ヤッタナ!ウッソ!』
「ハハ・・」
『あ、シーラさまよ〜!シーラさま〜〜!!』

コクピットを開き空を見上げると、ウッソにもナムワンの甲板に立つシーラの姿が見えた
月明かりに 緑の髪が映え、とても綺麗だ
だがウッソには、それが”ウーイッグのカテジナルース”にだぶってみえた
初めて出会った頃の、遠い気持ちを思い出し、ウッソの眼に熱いものが込み上げてくる




・・続く
56通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 21:59:17 ID:???
乙です。次回期待
57通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 05:30:33 ID:???
きたきたーー!
いつもたのしみだよ!!
58通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 07:03:13 ID:???
乙でした!
59通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 16:49:42 ID:???
保守
60通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 04:52:08 ID:???
61通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 02:15:46 ID:???
☆ゅ
62通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 21:51:19 ID:???
まだ?
63通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 23:46:13 ID:/mnUKi1H
楽しいぞコレ
64通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 23:20:17 ID:2L3mHJte
続きまだ?
65通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 23:24:06 ID:???
やばいな、シーラさまがあの頃のカテジナに見える。
つまり、それはこれからシーラさまはカテジナになるという可能せぃぐはっ!
66通常の名無しさんの3倍:2006/03/03(金) 02:54:32 ID:???
もともと人としての気質が違うから
67通常の名無しさんの3倍:2006/03/03(金) 15:06:19 ID:???
つーか、ショウ達は出てくるのだろうか?

カテジナさんのハイパー化・・・。ジェリルより恐そう。
68通常の名無しさんの3倍:2006/03/03(金) 19:45:47 ID:???
確か本編じゃバイストン・ウェルと地上の時間軸は同じだったような・・・
エンジェル・ハイロゥのせいだったりするんだろうか?
はるか未来の世界の住人に当たるウッソに対してのショウ達の反応が楽しみだ。
69通常の名無しさんの3倍:2006/03/05(日) 09:00:05 ID:???

70通常の名無しさんの3倍:2006/03/05(日) 23:29:04 ID:???

71通常の名無しさんの3倍:2006/03/08(水) 03:12:18 ID:???

72通常の名無しさんの3倍:2006/03/08(水) 20:37:56 ID:???

73:2006/03/08(水) 21:41:42 ID:???


 ダンッッ!!


月夜の森に銃声がこだまする
夜鳥が飛び立ち、森に静けさが戻った頃に、その銃を撃った女性が質問をした

「ここはどこだと聞いている」
「・・・ク、クだよ!クの国だよここは!」
「はぁ?」

 ダンッッ!!

「クノクニ? ふざけるなッ!」
「ま、まて!ふ、ふざけるもなにもないっ!ここはクの国だ!」
「わからない言葉を吐くなと言っている!」

 ダンッッ!! ダンッッ!!

(・・クノクニ? だいたいこの趣味の悪いモビルスーツはなんなんだ、・・・モビルスーツじゃないのか)

「う、うつな・・、お、おまえこそ誰なんだ、何故ニェットのドラムロに乗っている・・」
「ドラムロ?これか?これは私の目の前に落ちてきたから奪ったんだ」
「奪った!?ニェットを殺したのか!?」
「どうだかねェ、戦いの流れ弾に当たってなきゃまだ生きてるよ」
「・・お、おまえは、ナの国の者なのか? ・・・それともアか?」
「はぁ??」
「ま、待て撃つなっ・・!」
「私はザンスカールのカテジナ=ルースだ、アとかナとかそんなものは知らない」
「ざんすかーる?? ・・なんだそれは、・・・・まさかお前は地上人なのか?」
「ちじょうびと?」
「・・・ここはバイストンウェルだ、・・・それを知らないというなら、お前は地上人、いや聖戦士なのだろう」
「聖戦士・・?」
「そうだ、思えばあの異様なオーラ力も聖戦士と言えば納得できる」

「聖戦士? 私が聖戦士? アッハハハッハッ! 悪くない、私が聖戦士、アハハハハハッハハ!」



──────────────
74:2006/03/08(水) 21:44:02 ID:???
バイストンウェル、海と陸の間にある人の心の故郷である。
私達はその記憶を忘れて、この地上へ生まれ出でてしまった。
しかし、ミ フェラリオの伝えるこの物語によって私達はその記憶を呼び覚まされようとしている。

突如出現したゴトラタンとの戦闘で、ナの国の防衛力は弱まっていた
その隙をついて攻め入ったクの赤い三騎士だったが、ウッソのボチューンに敗北するのだった




──第四章 二人の聖戦士




「・・星ですか」

シーラはそう呟くと、ウロポロス城のテラスから夜空を見上げる

「はい」

ウッソは、地上では、空は海ではなく宇宙で、月は魚ではなく星なのだと、シーラに教えた

「・・綺麗なのでしょうね」
「は、はい・・」

シーラ ラパーナは物知りだ
王として、それは当然の義務である、誰よりも博識でなくてはならない
幼い頃よりたくさんを学んできた、それを苦痛だと思ったことは無いし、学ぶことが楽しいとも知っていた
だが今は、そんな理屈を介することなくウッソの話を聞いている

「それで朝になると今度は太陽が昇るんです」

「たいよう・・?」

「ハイ、それも地球の周りを、月よりもずっと遠くを回っている大きな星で・・・・・」

シーラはくすりと笑った
まるで今の自分が、いつも質問してくるエルのようだったからだ
思えば、女王になってからは無心に人に尋ねることなどほとんど無い
それが心地よい
ウッソが少年だからか、地上人だからか、それとも他の理由か・・・
わかるのは、自然でいられることのこの心地よさだけ・・・
75通常の名無しさんの3倍:2006/03/08(水) 21:46:26 ID:???
リアルタイムキター
76:2006/03/08(水) 21:53:10 ID:???
「シーラさん・・!」

ウッソは、部屋を出ようとしているシーラを呼び止めた
シーラはゆっくりと振り向く、エルは もぅなによぉ と眠たそうにウッソに言った

「僕以外にも、地上の人がいるって・・・言ってましたよね」

「・・会いに、ゆかれますか」

シーラは少し間を置くと悟ったように答えた

「はい、何かわかるかも知れませんし・・、・・何もわからなくても会ってみたいです」

「・・私の知る限り、今バイストンウェルにいる地上人は全部で9人
 アの国に5人と、ゼラーナに2人、そしてウッソと、あの女性・・」

アがナの敵国であることはもう聞いている
だから、ウッソは ”ゼラーナ” のことをシーラに尋ねた

「・・ゼラーナはニー=ギブンの所有するオーラシップの艦名で、
 お二方の地上人は、ニーギブンと共にドレイクの野望を挫くため戦っていると聞いています」

「会えますか・・?その人達に」

「・・彼らは聖戦士として、ドレイクの軍勢と最前線で戦っています、
 ・・ウッソ=エヴィン、それに会いに行くということが、どういうことなのかはわかりますな」

「わかります、僕も聖戦士なんでしょう」

「・・バイストンウェルを救いたいと、考えますか」

「・・・・・世界を救うとか、よくわかりません、でも、人が死ぬのは悲しいことです、それはわかります
 だから、聖戦士がそれを失くすものならば、・・僕は聖戦士でありたいと思います」

「・・己が犠牲になってもか?」

「命って、そうやって繋いでいく物だって、思うんです」

「・・そうか」

彼の眼は、一点の曇りも無く真剣で、
この年端もゆかぬ少年が、いったいどんな人生を歩んでくればそんな答えを出すのか
『聖戦士の在り方』など必要ない
幾度も読み聞いた伝承よりも、ずっと彼の言葉が尊く響く

また 教えられてしまった、とシーラは微笑んだ
77:2006/03/08(水) 21:55:58 ID:???
翌朝のことである、さっそくウッソはラウの国へ向かう準備をしていた
こういう素早さは若さからくるものだろうか

「本当にこのボチューンを持っていってもいいんですか?」
「どうぞどうぞ!どうせそのボチューンを扱えるのは聖戦士様だけですから!ご自由にお使いください!」
「はぁ・・」

ナの国の技術者がウッソにそう答えた
技術者は、ウッソほどではないが若い青年で、リガミリティアの爺様達と比べると、逆な意味で頼りない印象がある
オーラマシンが最近に開発されたものだから、もしかしたら ”ベテラン” なんて人はいないのかも知れない

「敬語なんて使わなくていいですよ、それに聖戦士様って呼び方は・・、ウッソって呼んでくれませんか」
「いいえいいえ!聖戦士様は聖戦士様であられるのですから私は聖戦士様とお呼びします!」
「はぁ・・」

青年は、目をキラキラと輝かせている

「昨晩の戦闘は私も拝見させて頂きました、あのように見事なオーラバトラーの羽ばたきを!
 さすがは噂に違わぬ聖戦士様! 兵達ではあーはいきません! 私は感服いたしました聖戦士様!」
「はぁ・・」
「仰せの通りにハロさんを固定する台座の方は取り付けさせて頂きました! 他にも何かあればおっしゃってください!
 聖戦士様のお持ちになられた地上の機械のほうも、お帰りになられるまでにはかならず修理しておきます!」
「え・・、V2を・・?」
「ハーイ!」
「でも、部品が足りないと思いますけど」
「オレンジの機械をバラせば揃いましょう!」
「・・こ、壊さないで下さいね・・」
「お約束します!」
「はぁ・・」

少し心配になったウッソだったが、見送りにやって来たシーラを見つけると、そっちに気を取られてしまう

「シーラさん・・」
「・・ウッソ、もう行きますか」
「はい」
78:2006/03/08(水) 21:58:03 ID:???


「・・エル、お前もついて行っておやり」
「え?」
『ええー??シーラさま〜??』

シーラの肩に止まっていたエルは、驚きと共に飛びまわる

「・・ウッソはバイストンウェルのことを知らない、お前が案内してやるのです」
『でもー、シーラさまは〜??』
「・・私にはベルもいる、・・私の代わりにウッソと行っておいで」

二人のやり取りにウッソは戸惑っていた
確かに自分はバイストンウェルの常識というものを知らないし、エルがいると何かと助かるかも知れない
だが、エルは心底イヤそうだ、それだけシーラのことが大好きなのだろう

「あ、あの・・、大丈夫ですよ、僕な・・」
「・・エル」
『はぁ〜ぃ・・、わかりましたぁ〜・・、ウッソと行きますょ〜・・』
「・・ふふっ」

良い子ねっとシーラはエルを撫でる

「・・ウッソ、よろしいですか?」
「はぁ・・、エルが案内してくれるのは・・・・助かりますけど」
「・・では、エルのことを頼みます」

はい、と返事した後ウッソは、良かったの?とエルに小声で聞いた

『しょうがないでしょ〜、シーラさまは言い出したら聞かないんだからーっ』
「・・エル」

シーラが睨みを効かすと、エルはウッソの背中へ隠れる
ウッソは笑って誤魔化した
79:2006/03/08(水) 22:00:59 ID:???
シーラとの短い別れを終えるとウッソはボチューンのコクピットへ乗り込んだ
城の格納庫を歩かせて外に出ると、大勢の見送りが待っていて驚いた
”聖戦士様ー!” という声援が聞こえる
まるで英雄かアイドルか、先の技術者の青年もだが、『聖戦士』とはそういう盲目的な憧れの対象なのだろう



「離れてください!飛びますよー!」



 ブォォォォッッッ!!


その羽の音が、拡声されたウッソの注意を掻き消した頃、オーラバトラーは舞い上がる


『あ、シーラさまよ〜!』


エルの指差す方向を見下ろすと、確かにテラスにシーラが見えた
ボチューンの飛行風のせいだろうか、緑の髪がそよいでいる

・・行って来ます、ウッソはエルにも聞こえないような小さな声で呟くと、ウロポロス城を後にした

『待って!!』
「なに?エル?」
『あれ・・、ハロじゃない?』
「え゛」

今度はそっちに目をやると耳をパタパタさせながら、緑のボールが跳ねている

「忘れてた・・・」

仕方なくウッソは城へもう一度着陸させる、コクピットを開いてハロを迎えた

『ヒデーゼアニキ!』
「うるさいよ、一緒に乗ってないのが悪いんだろ」

本当はシーラとのお別ればかりが気になってハロのことをうっかり忘れた自分が悪いのだ
と、自覚した瞬間、ウッソは紅くなる

「悪かった・・、ホラいくぞ、エルもいいね?」

ふと、城の方へ目をやるとこちらを見て笑っているシーラの姿が見えた、それがとっても恥ずかしくってウッソは慌てて機体を発進させた


ウロポロスの空を、白い翼が飛んでゆく・・




80:2006/03/08(水) 22:03:59 ID:???
──────────────



「アンタがビショット王かい?」

鋭く低い女性の声が玉座に響き渡る
見慣れぬ黄色のスーツを纏い、右手には黒身の銃、左手には人質を取っている
人質と言っても、案内させるために捕まえたただの一般兵士なのだが

「お、おい!」

ビショットと呼ばれた男は、おどおどしながら兵達を呼びつける
3、4人の兵がビショットの目先に立ち、抜刀すると、彼は強気に言った

「何者か?」
「この国ではアンタが一番偉いんだろう?」

言葉はほぼ同時だったが、音律の差かビショットの言葉のほうが掻き消えた
ビショットはコホンっと一息吐くと、周りの兵達を見回し自慢げに答える

「そうだ、・・それでそちらは何者か」

女性は答えを聞いてフフフと笑う、その容姿と相まっていかにも妖しげだ

「フフ、いいねェ、良い眼をしている、・・柔弱な眼だ」

女性は人質を突き倒し、護衛の兵をなぎ退けて、ゆっくりとビショットへ忍び寄る
右手の銃を床へ落すと、そのままビショットの頬を触り、撫でた

「・・ビショット殿下、私がアンタを王にしてやろうか」
「なにを・・」
「こんなちっぽけな国の王じゃなくて、この世界の王様にだよう!アッハハハハハッハ!!」

たじろぐビショット、これではどちらが兵で囲まれているのかわからない

「な、何者かと聞いている・・」
「聖戦士様だよ、あたしは、フフフッ」



続く
81通常の名無しさんの3倍:2006/03/08(水) 22:39:31 ID:???
スゲー

惹きこまれた!GJ
82通常の名無しさんの3倍:2006/03/08(水) 23:17:44 ID:???
おもしろいな
気が早いけどぜひとも完結まで頑張ってくれ
83通常の名無しさんの3倍:2006/03/09(木) 22:40:10 ID:???
続きは来週ですか?
(*´Д`)ハァハァ
84通常の名無しさんの3倍:2006/03/10(金) 22:48:50 ID:???
気長に待ってるぞ職人殿
85通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 03:59:36 ID:???
ちょっと感動的。
すごくいい!
86通常の名無しさんの3倍:2006/03/11(土) 14:56:32 ID:???
スゲーゼ!アニキ!!
ゆっくりでいいから、是非とも完結させて下さい。
気長に待ちます!!
87通常の名無しさんの3倍:2006/03/12(日) 17:02:25 ID:???
巨人のほしゅ
88age:2006/03/15(水) 01:12:21 ID:k1TZ6YIT
とりあえずageてみる。
89通常の名無しさんの3倍:2006/03/16(木) 17:29:39 ID:eL/pC8pQ
南無三!!
90通常の名無しさんの3倍:2006/03/16(木) 23:06:07 ID:???
ホッシュ
91通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 14:20:35 ID:???
(´・ω・`)捕手
92通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 15:16:30 ID:???
補習
93通常の名無しさんの3倍:2006/03/17(金) 22:49:27 ID:qiitRjAF
シーラじゃなくてシーマだと思った。
つまんね
94通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 00:57:49 ID:???
93はツンデレ
95通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 22:43:18 ID:???
ageつつ、☆ゅ!
96通常の名無しさんの3倍:2006/03/18(土) 23:10:17 ID:???
昔サイバーコミックにバイストンウェルに召喚されたズゴックが海でドラゴンと戦うって漫画が載ってたっけなあ。
97通常の名無しさんの3倍:2006/03/20(月) 09:34:40 ID:???
報酬
98通常の名無しさんの3倍:2006/03/21(火) 13:39:19 ID:???
>>96
詳しく

そろそろか?
99通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 07:02:44 ID:???
保守
100通常の名無しさんの3倍:2006/03/23(木) 10:06:52 ID:???
100get!
保守…
保守が足りたない…
オラに保守をわけてくれ!
\(´・ω・`)/
101通常の名無しさんの3倍:2006/03/24(金) 14:40:55 ID:???
保守
102通常の名無しさんの3倍:2006/03/25(土) 03:22:45 ID:0vvRQPrQ
捕手
103:2006/03/26(日) 00:39:01 ID:???





「怪獣!?」


ウッソは、モニターに映し出された巨大な生物を見て驚いた

『あれはギャラウーよ〜』

エルは当たり前のように言う
しかし、よく考えてみれば目の前に妖精がいるのだから、いまさら怪獣がいたって不思議でもなんでも無い
と、感じてしまう自分にウッソは呆れた

「・・まぁ、ドッゴーラよりは可愛いげもあるか」
『ドッゴーラ??』

ウッソは少し笑うと、機体を森の中に降ろし通り過ぎるギャラウーを見送った


ナの国から飛び立ったボチューンは多島海を越えラウの国へと入る
途中、『敵』と出会うこともなくすんなりとフォイゾン王の下へと辿り着いた
シーラからの親書を渡し、自己紹介をするウッソ
ウッソの容姿を見たフォイゾンは驚いた、が、ウッソは驚かれるのに慣れていた、超然とした態度で王へと接する
「そんなこと」に拘る自分達の方がよほど子供のようだとフォイゾンは感じた
自分と部下の非礼を詫びると”聖戦士”を歓迎する

そんなウッソは、今、フォイゾン王からウィングキャリバーを一機譲り受け、アの国のエルフ城へと向かっていた

そこに、ゼラーナがあるからだ




──────────────
104:2006/03/26(日) 00:42:35 ID:???
バイストンウェル、海と陸の間にある人の心の故郷である。
私達はその記憶を忘れて、この地上へ生まれ出でてしまった。
しかし、ミ フェラリオの伝えるこの物語によって私達はその記憶を呼び覚まされようとしている。

ドレイク ルフトが新たな地上人を呼び寄せたことが、トッド ギネスに焦りを覚えさせた。
同じ思いのガラリアと共にゼラーナに強襲を掛けた二人だったが、トッド ギネスは敗北をした。



──第五章 エルフ城防衛戦



空は青かった、しかし、ぽつりぽつりと黒い点が浮かび始める

『ドロ隊 第一軍 仕掛けろ!続いてオーラーバトラー隊 バラウより離脱、第一軍に続け!』

黒い点達は、一気にはじけるとエルフ城へ舞い降りる


 ダダダダッダッダダッダダダッ!!!!!!!


エルフ城、それはアの国の王、フラオン エルフの居城である、この国の首都である
ドロから放たれる赤い火炎が、その荘厳たるエルフ城を焼いていく


『ガラリア、第ニ波攻撃をフォローしろ』
『ふん、このバストールが出るほどの敵がいるのか』

 『ここにいるぞッ!』

『ダンバイン?ショウザマか!』

フォウから分離するとダンバインは、二人のもとへ斬り込んでいく

105:2006/03/26(日) 00:47:32 ID:???
『このバストールなら!!』
 『ガラリアか!!』

  ガッキッッンッ!

剣が交じった瞬間、ショウはワイヤークローを放ちバストールの足に引っ掛ける
ガラリアは慌ててオーラランチャーをダンバインへ構えるが弾が無い、ゲドやナムワンへ撃ち過ぎた

『ショウザマァァ!!』
 『貰った!!』
『ふうんっ!』

バーンの唸りと共に、ワイヤークローがズブリと切れる

 『バーン バニングス!!』
『・・礼は言わないッ』
『結構、私はショウザマを討てればそれで良い!!』

ズガッガガッッンッ!!

 『くぅっ!!』
 『ショウ〜〜!!後ろからガラリアが来るよぉ〜〜!』
 『わかってる!でも前にだってバーンがいるんだ!!』

ガギッッ!ドガンッッ!!

 (かはっ・・! ゼラーナとマーベルはまだか・・!バーンとガラリアほどの相手が二人では・・!)

「見えた!!あれだ!!・・どっちも青色!?」
『ドッチガミカタダ!ウッソ!』
「・・多分、水色!!」
『わかるの〜〜?』
「何となくッ!! ・・うぉぉぉっっ!!間に合えぇぇっっ!!!」

  バゴォッッッ!!!

『ぐおぉぉっ!?なんだ!?蹴り飛ばされたのか!?このビランビーが蹴り飛ばされて吹き飛んでいるのか?!』
106:2006/03/26(日) 00:49:58 ID:???
ガラリア ニャムヒーはショウ ザマに憎しみを抱いていた、もう何度も敗北しているからだ
ゼット ライトに伏してまでバストールを手に入れたのも、すべてはショウ ザマを倒すためなのだ

しかし彼女は、そのこだわり過ぎてすぐムキになる性格こそが自分の敗因だと気付いていない
隙を付かれワイヤーに絡め取られてしまう、だが、それはバーンが断ち切った

バーンもまたショウを憎んでいる一人である

若年ながらドレイクの騎士団長を務め、アで随一の騎士とも言われていた彼は
しかし、ショウの出現以来の度重なる失策によりドレイクに見限られつつあったのだ

この二人は、相手がショウだからこそ負け続けて来ているが、決して弱い騎士ではない
二人がかりで来られれば、さすがのショウも押されてしまう

エルフ城への攻撃が既に始まってると知らされ、フォウとダンバインは先行してやってきた
ニーもマーベルもここにはいない

バストールと激突した瞬間を、後ろからバーンに狙われる
ビランビーのオーラランチャーが火を吹くその刹那
雪色のオーラバトラーがビランビーを蹴り飛ばす

ウッソのボチューンは、最大速度でビランビーへと突っ込んだ
青いオーラバトラーがダンバインだとは聞いたが、映像は見ていない
こっちが敵であるという確かな証拠は無かったが、迷い無く突っ込んだ
ウッソは、力強く蹴り飛ばした


  バゴォッッッ!!!


『あ〜あ、蹴っちゃった〜、もぅあっちがダンバインだったらどうするのよぉ〜』
「・・キツネ眼は敵なんだよ」
107:2006/03/26(日) 00:51:36 ID:???
 『味方か・・!?』
「すみません!ショウさんですか?ショウ ザマさんですよね!?」
 『ああ、そうだけど、キミは・・』
「僕は・・・」


『白い機体だと!聞いていないぞ!どこから現われた!!』


 『・・バーン! ・・話は後だ、味方なんだろ?』
「はいっ!!」

ウッソの力強い返事を聞くと、ショウは疑いなく彼を信じた

「キツネ眼は僕がやりますっ!!」
 『バーンを・・? ・・気をつけろ、奴は強い・・!』

二手に分かれる、ショウとウッソ、それぞれガラリアとバーンに立ち向かう

『どこの領主の者だ!? ・・まさかギブン家の他にもフラオンを庇い立てる者がいようとはな!』
「フラオン?」
『アの国の王様よぉ〜』

『知らんわけではあるまい!フラオンエルフが、守るに値しない人物であるということを!!』
「・・そうなの?」
『う〜ん・・、シーラさまはアの王は愚拙だと言ってらしたけど』

『とぼけるな!!』

  ガギンッッ!!!

思いきり斬りかかったビランビーを、しかし、ボチューンは跳ね飛ばした

『・・なんだあの白いオーラバトラーは!ビランビー以上のパワーだというのか!!』



108:2006/03/26(日) 00:55:04 ID:???


「フラオンって人のことはよく知りません・・!」

「でも、貴方の武器が憎しみだってことはわかります」

「・・そういうのは良くないんですよ!!」


今度はボチューンからビランビーへ切りかかる
正面から来た、と思った瞬間、横から腕を切り落とされていた
動揺した瞬間、もう一度 蹴り飛ばされる


『ぐあぁぁぁっっ!!』

・・なんなんだ奴は、どうなっているのだ
このパワーは、あの速度は、機体によるものか、それとも・・
フラオンを知らんと言った、・・まさか地上人か・・!

『・・ガラリアも敗れたか、・・オーラマシン隊引き上げる!ゼラーナが出てくるぞ!・・・くっ』


「・・引き上げていく」
『やった〜♪』
『アーツカレタゼ』
「・・おまえなにもしてないだろ」

 『・・すごいなぁ、キミは、あのバーンを簡単に追い返すなんて』
「ショウさん」
 『・・名前は? 俺はキミをなんて呼べばい?』
「ウッソです、・・ウッソ エヴィン」




続く
109通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 01:43:47 ID:???
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!




>「・・キツネ眼は敵なんだよ」
最高ww
110通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 02:07:54 ID:???
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)-_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!!

111通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 06:48:21 ID:???
キタコレ
やっぱりウッソはウッソだなあ
燃える!
112通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 12:41:29 ID:???
キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・ !!!
続け保守だっ!
113通常の名無しさんの3倍:2006/03/26(日) 18:44:54 ID:???
キターーーーー(゚∀゚)ーーーーー!!
>>1氏、G.J.!
キツネ目は確かに敵だよな〜。
114通常の名無しさんの3倍:2006/03/27(月) 18:43:54 ID:???
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
115通常の名無しさんの3倍:2006/03/29(水) 19:08:16 ID:???
久々に続きが気になるストーリー☆
116通常の名無しさんの3倍:2006/03/31(金) 00:32:43 ID:???
そうではあるがぁぁぁ!
117通常の名無しさんの3倍:2006/03/31(金) 21:32:32 ID:CkdNk9ed
この世界で、ウッソがオーラロードを開いたら
何処へ行くんだろう。
118通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 01:28:58 ID:???
3月32日でも保守!
119通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 21:55:27 ID:ywiBpo70
保守アゲ
120通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 01:42:25 ID:???
3月33日保守
121通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 01:43:58 ID:???
あれ?
直ってる!?
ミスった!
122通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 02:36:03 ID:???
>>121
3/32は2ちゃん運営サイドのエイプリルネタだよw


【ウッソとシーラ様の成分解析結果】
ウッソとシーラ様の72%は欲望で出来ています。
ウッソとシーラ様の15%は月の光で出来ています。
ウッソとシーラ様の13%は記憶で出来ています。

職人様の欲望が形になるのを待ちつつホッシュホッシュ
123通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 02:59:03 ID:???
まだ直ってないとこもあるみたいよ。
124通常の名無しさんの3倍:2006/04/03(月) 00:37:12 ID:???
保守
125通常の名無しさんの3倍:2006/04/03(月) 02:14:55 ID:???
保守
126通常の名無しさんの3倍:2006/04/03(月) 22:54:25 ID:???
保守
127通常の名無しさんの3倍:2006/04/04(火) 00:15:53 ID:???
保守
128通常の名無しさんの3倍:2006/04/04(火) 06:20:21 ID:???
ハイパー保守
129通常の名無しさんの3倍:2006/04/04(火) 22:20:29 ID:???
ミラクル保守
130通常の名無しさんの3倍:2006/04/05(水) 12:59:58 ID:???
民主・・・いやさ保守。
131通常の名無しさんの3倍:2006/04/05(水) 15:22:08 ID:???
ほす
132通常の名無しさんの3倍:2006/04/08(土) 02:15:47 ID:El7OHzJD
保守あげ
133通常の名無しさんの3倍:2006/04/08(土) 05:32:12 ID:???
今日こそはってやつだよ!!
134通常の名無しさんの3倍:2006/04/09(日) 02:23:56 ID:???
>>1
今日初めて拝見しました
1読者として月並みなことしか言えませんが
職人氏のペースでがんばってください

数年かかろうが
この物語の結末が知りたくなりました
135通常の名無しさんの3倍:2006/04/09(日) 14:20:43 ID:???
>>134がいい事言った!

ご褒美にこれあげる。





つトマト
136通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 08:15:35 ID:???
hosyu
137通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 12:43:39 ID:???
138:2006/04/10(月) 19:55:53 ID:???

「ショウ、怪我は無くって?」

通信機から女性の声が聞こえてくると、ウッソは耳を澄ませた。

まだ黒煙の残るエルフ城の空に、一機のオーラバトラーが飛んでくる。
型はボゾン、しかし、ナの国やラウの国で見かけた物とはカラーリングが違う、紺色だ。

「こんなに早く敵を引き上げさせるなんて」
「ああ、彼のおかげさ」
「う、ウッソといいますっ」
「・・あら、・・・はじめまして」

スクリーン上部のモニターに、お互いの顔が映し出される。
女性はヘルメットを被ってはいたが、目元だけでもはっきり美人だとわかった。
ウッソは思わず赤面してしまう、その耳をエルが思い切り引っ張った。痛い。笑われた。
自己紹介をしていると、続いてゼラーナがやって来た。

ゼラーナはエルフ城には入城せず、すぐ近くの森林にキャンプを張る。
まだフラオンエルフとの会見も無く、公式で言えばギブン家は逆賊となっているからだ。
ウッソもボチューンをキャンプへ着陸させる。

「あなたがウッソ・・?」

地面の上で再会して、マーベルは驚いた、ショウも驚いている。
二人ともコクピットの小さなモニターで見たときは、彼がここまで若いと思っていなかったようだ。

「ショウ ザマさんとマーベル フローズンさんですよね・・?」
「ええ、・・でも、どうして?」
「お二人は地上の方だって聞いて・・、僕もそうなんです」
「あなたも地上から・・?」
「はい」



──第六章 戦場を駆ける少年
139:2006/04/10(月) 19:58:56 ID:???
ところで、チャム=ファウとエル=フィノは顔をあわせるなり喧嘩をしていた。

『ウッソのほうがすごいわよっ!』
『ショウのほうがすごいわっ!』
『ウッソだってば!!』
『ショウよぉッ!!』

『ヤメロ!ケンカハヤメロ!!』

『『 うるさいっ!! 』』

ゴロゴロゴロッ  ←ハロが二人に転がされる音



「・・・もしかしてキミはドレイクが新たに呼び寄せたという地上人の一人なのか?」
「違います、僕はナの国から来ました、このオーラバトラーも シーラ ラパーナさんから頂いて・・」
「ナの国?」
「東方にある大国よ、ラウとは友好の、シーラ ラパーナというのはその国の女王の名前ね」
「ああ、そういえばフォイゾン王がそんなこと言ってたっけ」

ショウは一呼吸してもう一度ウッソに尋ねる。

「じゃあ、キミも聖戦士をやりにきたってことなのか?」
「・・はい」
「聖戦士をやると言っても、ウッソくん、いくつ?」
「・・14になります」
「わかすぎるわね、戦争をやる年齢じゃないわ」
「腕は確かだよ、それは俺が保障する」

さきほどのウッソの戦闘を高く評価しているショウがクチを挟んだ。
それにショウは、身長はともかくウッソの顔つきは立派なものだと思っていた。
だが、マーベルは納得しない。

「そういうことを言ってるんじゃないの」
「14と言っても俺と3つしか変わらないさ」
「子供の頃の3つというのは大きいものよ、それに14と言えば戦争なんかより、もっと別なことを学んだほうがよくなくて」

マーベルの言うことはもっともである。
普通に考えれば、まだ未成熟な子供に戦争をさせることはできない。
戦争に必要な、肉体も精神も判断力も、14と言えばやっと今から養われていく年頃である。
仮に、そんな時期に無理やり教えこんでしまえば、その体はその色を二度と忘れることは無いだろう。

「マーベルの言うこともわかるけど、それが世界だってこともある」
「だから、私達は、そのために戦っているのでしょう」
「ウッソもそれをやりたいってことなんだよ、な?」

「あ、はいっ」

「子供がやることじゃないと言っているの」
「贅沢言うなよ、いいじゃないか、本人がやりたいって言っているんだから」
「子供を戦わせたくないというののどこが贅沢だっていうのっ」

「あ、あの、僕のことは・・その・・」

「「 ウッソは黙ってろさい! 」」
140:2006/04/10(月) 20:03:07 ID:???
「もぅ、二人ともやめなさいよ、ウッソ君が困ってるじゃない」

見かねたキーンが止めに入ってる。ウッソは助かったと溜め息を吐いた。

「マーベルはウッソくんがあんまり可愛いもんだから戦わせたくないのよねぇ、ショウはそれにヤキモチやいてる」

「「 キーンっ!! 」」

「あっははは、ウッソくん、二人は置いといて先にゼラーナに行きましょ、ニーが待ってるわ」
「は、はい・・」
「ふふふ、ほんとはねぇ、ニーが リムル リムル言うもんだからマーベル気が立ってるのよ
ショウもそうなの、マーベルが ニー ニー言うから」
「はぁ・・・」

ウッソは、よくわからない裏情報を聞かされながらゼラーナの中を歩んだ。
船体はホワイトアークより少し大きいが、通路は狭く進み辛い。
奥まで行くとはしごがある、それを昇りブリッジに出る、そこには台形な髪型の青年がいる。
もうひとり地味な髪型の男もいるが、こちらの台形な髪型の方が、ニーギブンであろう。
ニーギブンの髪の毛は、ピンク色で台形でハチマキを巻いていた、思わずウッソは圧倒される。

「ニ、ニーギブンさんですか?・・ウッソと言います」
「ん? あぁ、さっきの白いオーラバトラーの?」

はい、と答えるとウッソはフォイゾン王からの手紙をニーに渡した。

「そうか、ナの国から・・」
「はい」
「・・・シーラ ラパーナは何を考えているんだ、ボゾンの生産が間に合わないからってキミみたいな子を」
「は?」
「シーラ ラパーナに言われてエルフ城へ来たんだろ? ボゾンの代わりに」
「・・違います」
「違うのか?」
「違います」

ウッソは、きっぱりとニーギブンを否定した。
フォイゾン王からの手紙を読んだニーギブンは、何故か急に怒り出した。
怒り出したというよりはシーラを侮辱し始めた。
手紙になんと書いてあったかは知らないが、それは心外である。

ニーには、ウッソが何故こんな不機嫌そうなのかわからなかった。
自分はまともなことを言っていてるだけだ。

「だが、キミをシーラ女王が利用していることには変わり無い、いくら地上人でオーラ力が強いと言っても子供を使うなんて・・」
「だったら貴方はどうなんです、ショウさんやマーベルさんを利用してるんですか」
「彼らは自分の意思で戦っている、子供でも無い」
「僕だってそうですよ」

ウッソは殺伐と答えた。
もっと愉快な人だと思ったのに、余計に腹が立ってくる。
141:2006/04/10(月) 20:09:10 ID:???
ゼラーナには、しばらく険悪なムードが漂ったが、それもすぐに一掃される。
エルフ城から特使がやってきたからだ。
ニーとウッソ、それにショウとマーベルは、使者を迎えいれラウンジに集まった。


「我々にエルフ城へ入って戦えと言う命令は、随分一方的ですね」

フラオンエルフを良く思っていないニーギブンは、使者へ向けて不機嫌に言った。
ドレイクのことや、両親が死んだことも、もとはと言えばフラオンのせいだといっても過言ではない。
でも今は、それを追及してる場合ではないと、指揮官としては考えていた。しかし、未熟なのか態度には出てしまう。
事情を知らないウッソは、ニーのことを失礼だと思った。まさか、さっきのことで不機嫌なのか、と。

「命令ではありません、連携作戦にしても一緒の方が作戦を立てやすいですから、是非入城をと・・」
「・・しかし、そうおっしゃって頂けるのなら、我々の夜襲に協力して頂けませんか?」

ニーは、逆にエルフ城の使者へと提案を持ちかける。
少ない戦力で戦うには、城で守りに徹するより、不意打ちをかけるほうが効果的だと作戦を説明する。
もっとも、もう少しだけフラオン王に人徳があれば、諸国の救援を待ち篭城するのも良いのだろうが。

使者は、なるほどと頷き、協力を約束してくれた。

「ウッソはどうする?協力してくれるのか?」

ショウがウッソに問うた、しかし、ウッソより先にマーベルが答えた。

「ダメよ、大人の戦いに子供を巻き込むものじゃないわ」

マーベルはニーに同意を求め、見つめる。

「そうだな、確かに戦力は多いほうがいい、だが、足手纏いということもある、戦いに不慣れな者がいれば成功する物も・・」
「足手纏いになんかなりませんよっ!!」

ウッソはバカにされたような気がして、大きな声でニーに反論した。
マーベルは、そんなウッソをやっぱり子供だと思った、だから、なだめるように説得する。

「でもね、ウッソ、貴方がどんなにオーラバトラーを上手く扱えても戦争はゲームじゃないの、人を殺すことになるのよ」
「それはわかっています、・・僕は地上にいたときも戦争をやっていましたから」
「・・・・そうなの、でもね」
「でも、戦争って人を殺すことだけじゃないでしょ、それで何かを守れるってことも知っています
だから、僕に出来ることがあるなら、・・手伝わせてください」
「・・・今夜の作戦にはウッソにも協力して貰おう、いいよな? ニー、マーベル」

ショウが優しくウッソの肩を叩いた。
マーベルは黙ってウッソから視線を離す、確かに強い眼をしている、自分なんかよりも遥かに。
けれど、それは悲しいことだと思った、だから、マーベルは最後まで頷かず、ただ視線を離した。

142:2006/04/10(月) 20:12:25 ID:???
作戦の決行は深夜2時である。
マーベルと少し気まずいウッソは、時間までゼラーナの外を散歩していた。

「フラオンエルフってどんな人なの?」

見たこと無い植物を触りながら、不意にウッソがクチを開く。エルフィノが答えた。

『だーかーらーよく知らないのよ〜、わたしアの国に来たのなんてこれが初めてなのよォ〜?』

そんなこと言うなら自分はバイストンウェルに来たのも始めてだ、と思ったがクチには出さなかった。

「じゃぁ、チャムは何か知ってる?」
『え〜、あたし? う〜ん、ニーはね、フラオンエルフは愚王だって言ってたかなぁ』

今度は、いつの間にかエルと仲良しになってるチャムファウに尋ねてみた。
どうやらフェラリオという生き物は、ハロを転がすのが楽しくてたまらないらしい、今も二人でやっている。

『ウッソ、タスケロ、メガマワルー・・!』

嘘をつけ、と思いながらウッソは、エルフ城を眺めた。
まだ復旧作業を行っているのか、城の各所に灯りが見える。血と硝煙の匂いも流れてきた。


ウッソは、今夜の作戦に志願したことを、少しだけ後悔していた。
戦うのが怖いとか、そういう理由ではない。
ドレイク ルフトがオーラバトラーを使って、世界に破滅をもたらそうとしていることはシーラに聞いた。
でも、それだけだ。
確かに、シーラ ラパーナは信頼に値する人物だし、彼女の敵だと言うなら自分に取っても敵だと思う。
実際にクやアの部隊と戦ってみて、ショウやマーベルと会ってみて、シーラの言っていたことが真実だとも思う。
でも、それでも自分は部外者だ。
無関係でよく知りもしないくせにこの戦いに参加してもいいのだろうか。昼間、バーンに言われた言葉を思い出す。
いつの間にか、自分は戦争を軽く見ていたのかも知れない。
マーベルの言うとおり、そう、戦争は人を殺すと言うことだ。
ふと、カサレリアに立てた十字架のことを思い出す。

・・もう少し様子を見るべきだったのかな。

ついニーの言葉に反抗して志願してしまった。
これじゃあ確かに子供だと思われても仕方ない、とウッソは自分で自分を苦笑した。


ウッソは、星空のようで星空ではない夜空を見上げると、地上のことを思い出す。

みんなは無事かな・・。

エンジェルハイロゥが崩壊するところまでは見たから、きっと地上は平和だろうと、ウッソは漠然にそう考えた。
だってそうじゃなければ、自分は何のために戦っていたのかわからない・・。

143:2006/04/10(月) 20:14:36 ID:???
「そう言えば、チャムは ジャコバ アオンって人のこと知ってる?」
『ええ? ジャコバ様? ・・そりゃぁ知ってるけど・・・』

チャムは憂鬱そうに答えた。

「その人なら地上に返してくれるって聞いたんだよ」
『返すも何も、ジャコバ様はコモン人なんかとお会いになんて なられないわよ〜』

そうなの、と、残念そうにウッソは呟いた。

もう帰れないのかなと考えると、急に寂しくなってくる。
オデロさん、マーベットさん、シャクティ・・、スージィやカルルもみんな、元気かなぁ・・。

一瞬、ハロに収められてるみんなの映像を見ようかとも思ったが、
それじゃぁまるでホームシックだと思い直し、やめた。

『ドウシタ?ウッソ?』
「・・余計寂しくなるだけじゃないか」
『え?』
「・・なんでも、ないよ」

空を、無数の星が瞬いていた。
だが、あれはウォランドンを泳ぐただの深海魚なのだと。
夢の無い話だ、ここは夢みたいな世界なのに。
地上でも、宇宙でも、こんなところでも、人はどうして争うのだろうか。

『 ジカンダ! ジカンダゾ! ウッソ!』

ハロが急に耳をひろげ跳ね回る。妖精二人は何事かと飛び上がる。

「・・行くか、エルはチャムと一緒にお留守番してるんだよ」

私もいく〜と言って後を追ったエルだったが、
ウッソからさきほどまでの少年の表情が消えていることに気が付くと、もぅ と唸って見送った。
144:2006/04/10(月) 20:18:37 ID:???



  ブォォォォッ!



闇夜を裂いて、ゼラーナが忍び行く。

月こそ出ていないが、闇夜というには少し星明りが多いし、
忍び寄る、というには深夜の森にエンジン音が響きすぎている。
奇襲というよりは強襲か。

しばらくすると、ドレイク側の監視塔が見える。
監視塔と言っても、対空砲火も何も無い、
木で組み上げただけの簡単な物見やぐらに過ぎないが、気付かれることには変わりない。

船体が塔の上空に差し掛かったところで、いよいよウッソ達は発進した。


『ウッソくん、・・もう何も言わないけれど、・・無理はしちゃだめよ』
「はいっ!」

マーベルの暖かなその声に、ウッソは深夜だと言うのに元気よく返事をした。
しまったとモニターを見返すと、マーベルは呆れた顔で微笑んでくれている。
そんな二人をモニターに見て、ショウはくすくすと笑った。

『ははは、知らなかったなぁ、マーベルがそんなに子供好きだったなんて』
『あら。だから、ショウにだって優しく接してあげてたでしょ?』
『そりゃぁ、ニーと比べれば俺も子供に見えるだろうけどさ』
『・・よくわかってるじゃない』

ウッソは、二人の言葉の間に何か棘のようなものを感じた。
二人は仲が悪いのかな・・、キーンさんが何か言っていたけれど・・・。
そういえば、オリファーさんとマーベットさんがあんな風だったな、と思い出すと、ウッソは納得して微笑んだ。

『もうっ!二人ともいい加減にしてっ!攻撃目標見えたわよ!!』
『『 了解ッ! 』』

キーンの叱咤に二人は同時に答えた。ウッソも慌てて狙いをつける。
本陣が見えた、オーラバトラーの姿が多数見えるが、どれもまだパイロットが乗っていない。良いカモだ。
監視塔から本陣へ連絡は言っているはずだが、敵は驚くほど無警戒だった。

あたりまえだ、オーラバトラーの飛行速度とはそういうものなのだ。騎馬や歩兵とはわけが違う。

オーラバトラーによる”新しい戦法”を売りにしていたドレイク軍だったが、まさにその戦法で不意を突かれた。


  ドガドガドッガガッッン!!


キーンのフォウを含めた4機のオーラマシンが、ドレイクの本陣を空襲する。
数機のドロとドラムロ、弾薬か食料が積み込まれたコンテナ、そして兵が寝ていたであろうテントの残骸。無数に倒れこむ肉塊。
気分が悪くなるほどに、夜襲は大成功だった。
それでもしばらくすると多数のドロが浮遊し始め、砲台が立ち上がり、オーラバトラーも発進してくる。
感傷する間もなく、こうして戦場は動いていく。

145:2006/04/10(月) 20:21:48 ID:???


ウッソはボチューンのオーラバルカンを、次々と未機動のドラムロに撃ち込んで行く。
不意に、ドラムロに乗り込もうとしたパイロットの体に炸裂して千切れ飛んだ。
ウッソは掃射をやめると、今度は機体を地に下ろして建物や砲台を剣で直接 薙ぎ払う。
ドンッと背中に音がして機体が揺れた、モニターを見ると、5,6人の兵が両手持ちのショットライフルで撃ってきている。
ウッソは機体を振り向かせると、オーラバルカンで彼らを一掃した。


「これじゃぁまるで僕がベスパじゃないか・・」


自分と相手達とのあまりの戦力差を、ウッソはそう比喩した。
ボチューンのバルカンから逃れるように、何人かの兵士達が石作りの建物へ逃げ込んでいく。
だが、誰かが撃墜したドロが、その建物に落ちていくのが見えた。
ウッソはとっさに集音機を消すスイッチを探した、集音機さえ消してしまえば外の音は聞こえないはずだから。
それらしいスイッチを見つけたが、でも、それは卑怯なことだと思い直し、手を止める。

自分は選んでここに来た。
確かに、好きでバイストンウェルに来たわけじゃない、でも、いまここにいるのは自分が選んだことだ。
それなら逃げちゃいけない。

爆音がこだまする、意外にも悲鳴はあまり聞こえなかった。
即死したのか、ただ声が出ないだけなのか、それはわからない。


シーラ ラパーナは聖戦士は世界を救う存在だと言っていたけれど、具体的に何をするものなのかはわからない。


思い出す、自分は何故、ザンスカールと戦っていたのか。
世界を救いたいなんて考えもしなかった、ただギロチンやモトラッドやエンジェルハイロゥは許せなかった。
そういうものが、世界を救いたいという気持ちなら、確かに自分は持っている。
でもそれって、みんなが持っているものだと、思う。

・・今の自分も持っているだろか。・・今の自分はその気持ちで戦っているのだろうか。

相手が機械に乗っていようが、生身だろうが、戦うことには変わらない、殺すことには変わらない。前にもあった。
けれど、やはりこういうのは気持ちよくない。嫌だ。その気持ちが聖戦士ってことなんじゃないのか。
初めてモビルスーツに乗ったときも、ずっと戦ってこれたのも、そして、初めてオーラバトラーに乗ったときも、
すべて、その気持ちから始まった。


『ドウシタ?ウッソ?』
「・・後悔したことはやっちゃいけないんだよ!! 」
146:2006/04/10(月) 20:23:45 ID:???


  ブオォォオォッォォッ!!
   

ボチューンは、何かを振り払うように羽ばたくと、高く舞いあがった。


『ユレル!ユレル!』
「我慢しろっ!」

・・ドレイク ルフト!シーラさんが言っていた、バイストンウェルを破滅へ追い込む諸悪の根源ッ!こいつを探すんだ!

ウッソは一番立派そうな建物に狙いを定め、降下する。

「 ドレイク ルフト!貴方が作ってるオーラバトラーはこんなものなんですよ!! 」

ウッソは建物に剣を突き刺して、窓を覗いて行く。
・・兵が少ない、ここじゃないのか。 別な建物・・? 避難した・・? ・・クッ!

ウッソは辺りを見渡すと、神経を尖らせた。
シーラやカテジナのような強い気は、多少離れていても感じ取ることが出来る。
ドレイクにもそういうオーラ力があるとすれば、探り当てることができるかも知れない。

──────そこだっ!!

  ブォォォォッ!!

ウッソはボチューンを奔らせる。
その先には一隻のオーラシップがあった、さらにその後ろに一軒の建物がある。
おそらくその建物こそが本命だ。
オーラバルカンを数十発叩き込み、オーラシップの機銃を黙らせると一気に飛び越えた。
剣を抜いて、屋敷へ向けたその瞬間。

 バッキキキッッッンッ!!!!!

剣と剣が激しく衝突し、音が鳴る。

「ビランビーとかいう奴!」
 『お館様にはッ!!』

ガッキィィッッン!!

147:2006/04/10(月) 20:25:48 ID:???



「バーンめ、苦戦しておる」
「新型のようですな」
「大方あれがビショットの言っておった、ナの国の聖戦士とか言う奴であろう」
「・・避難なされますか、直に後陣のガラリア隊も駆けつけるとは思われますが」
「ワシは ドレイク ルフトである」
「・・ハッ」
「フフッ、ゼラーナめ、せわしないことだ」
「・・・」




『チャム!エルフ城からの援軍は見えないか!?』
『見えないわよ・・、どこにもっ!』


  ドガッドガガッッンッッ!!!!!


夜襲は確かに成功だった、だが、それでもドレイク軍には正面から戦えばゼラーナを数回全滅に追い込めるだけの戦力がある。
ゼラーナが機動部隊を引き付けてるうちに、エルフ城から騎兵を出して制圧して貰わなければ、勝ちはない。
でなければ、作戦をここまでとして、敵の態勢が整うまえにさっさと引き上げるほかには無い。
ここは確かに”本陣”ではあるが、小規模の陣地は他にもある。いまはそこからここへ救援が派遣されていることだろう。

刻一刻と時間が過ぎてゆく

ニーギブンは引き際を考えていた。敵の数が増えている、これ以上は危険か。
だが、ここでゼラーナが逃げてしまえば、もしも、すぐそこまで騎兵隊が来ていた時に彼らはオーラバトラーに蹂躙されてしまう。
そして、フラオンエルフとの溝は深刻なものとなってしまう。

だが、どこにもエルフ城の騎兵達の姿は見えない。


『ショウ!ウッソはどこ?さっきから姿が見えないのだけれど』
『ウッソ?・・どっかその辺に、・・あそこだ、バーンもいる!』
『バーン!?』

148:2006/04/10(月) 20:28:01 ID:???


「どけぇェッ!!!」
『アセルナ!ウッソ!』

ウッソ渾身の太刀は、ひらりと回避された。
避けるとは思わなかったのだ。後ろにドレイクが控えているのだから。
思い切り空振りしたボチューンは前のめりに体勢を崩す、その時、横から来たドラムロが体当たりでボチューンを弾き飛ばした。

コクピットを酷い衝撃が走る、ウッソの唸りとハロの抗議が五月蝿く響く。
白いボディが土と草を巻き上げ染まっていく、気が付くと今度は上空からビランビーが撃って来た。
ウッソは慌てて機体を飛び上がらせ回避する、が、エンジンの調子がおかしい。
飛行が安定しない。

 『貰ったァァッ!!』
「うそだろっ!?」

バジジジッンッ!!

白い左腕が吹き飛んだ。そのままボチューンの機体は地面に落下してゆく。
ウッソは必死にバルカンを放ってバーンの追撃を拒んだ。

「うぁぁあっっっ!!』
 『くぅっ!!』

バルカンの数発がビランビーに被弾、剣での追撃を諦め離れていく。
今の機体の状態で地面と激突すればどうなるかわからない。ウッソは巧みに機体を立て直す。
だが、なおもバーンはオーラランチャーを撃って来た。
地面を足で蹴りながら必死に後退していく。

「壊しすぎた・・!パワーが出ない・・!」
『ウシロダ!ウッソ!』
「うしろ?!」

バッゴォッッンッ!!

背中にドラムロのフレイポムが炸裂した。
ウッソは深入りしすぎたのだ。
当然だがドレイクに近づけば近づくほど敵の守りが厚くなる。ウッソは知らず囲まれていた。


149:2006/04/10(月) 20:31:24 ID:???


『ダメミタイ・・』
「うるさいよ!!・・くそっ!動かないのか・・!!」

ボチューンは派手な重火器を積んでいないため爆発こそしなかったが、大破には違いない。

「・・こんなことって・・・!周りが見えてないっていうの、こんなに敵がいたなんて・・・クソォッ!」

ウッソは力任せにレバーを引っ張った。もうヤケクソだ。
次の瞬間、バチバチっとコクピットに火花が散った。・・爆発する、そんな予感が奔った。

「だ、だめだ・・!脱出する!ハロ!!」
『オチツケ、ウッソ』
「置いてくぞ!!」

と、言いながらも、ベルトを外して、ハロを台座から引っ張りだし抱えると、足でコクピットを開く。
幸いにも異常なくコクピットは開いてくれた。

慌てて外に飛び出すと、夜空に藍色のオーラバトラー、ビランビーが映えた。
こうして見上げると、随分と恐ろしく見える。

『 バーン バニングスだァッ!!刻みゆけェッ!!! 』

次の瞬間、ビランビーのオーラランチャーが、動かなくなったボチューンを貫いた。
生身からしてみれば、とんでもないほどの大爆発が起こる。
ウッソは慌てて近くの窪地に飛び込み爆風を逃れた。

・・危なかったぁ。

よく考えるとこのへこみはボチューンが落下した時に出来た物かもしれない。
ふと振り返ると火炎と黒煙だけが見える。・・ありがとう、と一言だけボチューンに謝ると、ウッソは再び駆け出した。
いまは反省している暇も無い。
見ると、目の前のドラムロが右手をこちらへ向けている。フレイポムを撃ってくるつもりだ。

ドガンッ!! バゴンッ!!!

ウッソは逃げた、必死で走った。
どこか建物に身を隠そうとも考えたが、さきほどの、建物にドロが墜落して炎上した場面を思い出してとどまった。
・・森へ逃げるしかない、直感的にそう感じた。
体中が痛かったが、とにかく走った、立ち止まれば殺される、走るしかなかった。
150:2006/04/10(月) 20:33:34 ID:???


 ガギンッ


後100メートルで森に紛れられる、そんな時、
目の前にピンク色のオーラバトラーが降りてきた。
それでも前進するしかないウッソは、ハロをきつく抱きしめると、腹を括ってそのオーラバトラーの股下へと走っていく。


「うおぉぉっっぉっ!!!」


しかし、あっさりと鷲掴みにされた。


「うあぁ」
 『なんだ?子供?・・子供がなんでこんなとこにいる?』
「・・女の人・・?」

 『ガラリア!そっちに地上人が行かなかったか!?』
 『バーンか、地上人? ショウザマか?』
 『いや、白いオーラバトラーのパイロットだ・・、部下が脱出したのを見たといっている』
 『さぁねぇ、こっちには来て無いようだけど』
 『えぇぃっ、まぁいいっ!こちらはゼラーナを追撃する!お館様のほうは任せる』
 『フンッ、言われるまでも無い』

 『ただちに工兵を呼べ!ドレイク様のもとへ火を回すな、警戒も怠るなよ!』

 『・・さて、・・地上人、ねぇ?』
「あははは・・はは・・」





・・続く

151通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 20:45:16 ID:???
>>1

すごい文章の量でつね
152通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 21:15:35 ID:???
職人さん乙です!
いつもキャラのそれぞれの思惑がしっかり描かれてるのが凄い…

上手くかみ合わない男女と囚われの少年の行く末を想像しながらスレ保守に励みます
153通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 21:21:09 ID:???
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
154通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 21:22:44 ID:???
よし、もまいら
職人氏が燃料を投下する間に
ダンバインについて語らないか?
155通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 23:26:12 ID:???
14歳がどうとか言うけどキーンも15歳だよな確か。
156通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 23:36:43 ID:???
>>154
Ζよりダンバインの方が面白い
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1136100185/
>>155
キーンは16、でもエレが13らしい

157通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 23:37:02 ID:???
あれ?ウッソってEH戦の時まだ13歳だよね?
158通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 23:49:47 ID:???
書いた後に調べるなって話ですが
ウッソの誕生はUC140年4月1日で、一話が153年の4月6日、最終話が153年の6月23日ですね
1年戦ったはずだから14だろうと思ったら、3ヶ月だったとは・・
完全に13歳です、ずびばぜんでじだ・・
159通常の名無しさんの3倍:2006/04/10(月) 23:53:35 ID:???
いつもながらGJ!!
人物もオーラバトラーもいい動きですな
160通常の名無しさんの3倍:2006/04/11(火) 07:59:18 ID:???
ウッソには正式な誕生日ない。

>>158
ウッソはひとつとしをとった
161通常の名無しさんの3倍:2006/04/11(火) 10:08:40 ID:???
小説の記述だと決選の時はまだ歳とってない気がする。
冬には14になってるけど。
162通常の名無しさんの3倍:2006/04/11(火) 12:53:08 ID:???
小説のエピローグでひとつ年をとったと書かれているくらいだね。
誕生日ももちろんなし。

ところでUC140年4月1日のソースって?
163通常の名無しさんの3倍:2006/04/11(火) 13:25:34 ID:???
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/4%E6%9C%881%E6%97%A5とか
設定の由来は、4月1日=エイプリルフール=ウッソという安易なものらしい。
まぁ、その由来はどっかのスレで聞いたものだからただの憶測かも知れ無いが。
164通常の名無しさんの3倍:2006/04/11(火) 16:11:18 ID:???
燃える・・・
165通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 12:24:29 ID:???
ロト6が当ったら、ダンバインのメモリアルBOXを買おう。
166通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 18:55:56 ID:???
1st、V、∀なんかは劇中の時間で数ヶ月しか経ってないのに
Ζが約一年あるのはちょっと信じられん
でもエルガイムは時間の流れが違うけど数年の出来事だった気もする
167通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 20:02:02 ID:???
ガンダムとは関係ないが「ダイの大冒険」も作中時間では半年足らずの話なんだよな。
168通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 21:22:50 ID:???
それはすごいなw
169通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 23:18:17 ID:???
>>167
うそ!!?
170通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 16:09:07 ID:???
少なくとも俺は知らない…
171通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 22:08:57 ID:???
ダイは二か月じゃなかったか?
172通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 23:29:12 ID:???
君は敗れた敵に手を差し伸べ
173通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 23:53:45 ID:???
許すだろう
おお勇者よ
今は まっすぐにホシュれ
174通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 09:37:56 ID:???
保守れ!
保守れ!
保守れー!!
175通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 20:49:00 ID:???
ホシュ
176通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 20:47:30 ID:???
ほしゅ
177通常の名無しさんの3倍:2006/04/17(月) 22:56:51 ID:???
喉渇いた〜
178通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 05:34:37 ID:???
ほっしゅれ ほっしゅれ
179:2006/04/18(火) 20:37:57 ID:???


──第七章 ガラリアという女


そのひとは、女性にしてはずいぶん長身で、すらっとしていながらも騎士らしい強い体つきをしていた。
鮮やかな蒼い髪が、ところどころハネている。
赤い唇、棒状の特徴的なイヤリング、少し垂れ下がった眼に長いまつ毛、しかし、瞳の色はきつく映えた。
とても女性的であり、だが、どこか男性的な色気も持ち合わせる、そんなひとだ。

「坊やがあの白いやつに乗っていたというのは、本当のことか?」
「まさか、・・あれは子供が乗るような物ではないんでしょう?」
「それは、そうだ」
「僕が大人に見えるんですか」

その女性、ガラリアは、ウッソがボチューンから脱出するその瞬間は見ていないようだった。
いや、見ていたとしても夜眼だ、戦場の灯と言っても『電気』も無いこの世界、たかが知れているし、カメラのような物も無い。
証拠は無い、証拠は無い──が、明確な法律なども無い、まして戦場だ、少しでも怪しまれればそれで終いだ。

目の前の生き残るチャンスを、決して逃してはいけない。

ウッソは、ほとんど希望の無いことと分かっていながらも誤魔化し続けた。
幸いウッソは戦闘服を着ていない、釈明の余地はある。
いちおうシーラから貰った物があったのだが、サイズもあわず、好みでもなかったためにすぐ脱いだ。
宇宙空間で戦うわけじゃあるまいし、と鷹を括ってラフな格好でオーラバトラーを操縦していた。

そして、ウッソは自分はパイロットに見えないと言う事も経験で知っていたし、女性に好かれるとも知っていた。欠片の希望はあった。

「……見えると、言ったら?」

ガラリアはからかうように口許を弛ませて言う。

「……嬉しいですよ?」

それは、本心でもあった。
180:2006/04/18(火) 20:42:17 ID:???
ふふっと笑うとガラリアは質問を続けた。
確かにそれは尋問というよりは質問という感じの口調だった。

「なら、おまえはなんであんなところにいた?」
「あ、遊んでいたんです・・」
「あんな時間にか」
「ええ、まぁ・・」
「あんな場所でか?」
「ええ、まぁ・・」

しまったと思った。しかし、今、もう一度考えてみたって他に良い理由を思いつかない。
即答できただけ上出来だ、と自身を庇護する。
ガラリアは数秒だけ考える表情を見せたあとクチを開いた。

「坊やはドレイク様の軍に志願にやって来たのだな?」
「え?」
「坊やはフラオンの圧政に苦しむ付近の家の子なのだろ?それでドレイク様の元へやってきた、…違うのか?」
「ち、違いません!その通りです」
「ふふっ、そうだろう? ならば、私がドレイク様へクチを聞いてやっても良いぞ」
「はぁ・・、ありがとうございます」

ウッソはわけがわからなかったがとりあえず礼を述べ、敬礼をしてみせた。
その姿を見てガラリアは機嫌良さそうに声を出して笑った。
なんだかわからないが助かった、とウッソは思った。
暖具の前で酒を飲むガラリアの隙を見て、少しづつ足を擦らせて距離を取る。
油断しているのか、甘く見られているのか、ウッソは縛られたりはしていなかった。体は自由だ。

「……どこへゆく?」
「あの・・、その・・、よ、用を足しに・・」
「だれが『逃げて』いいと言った」

 ブォンッ!

その瞬間、銀色の切っ先がウッソの目の前を奔った。
かの女性は、女性であっても騎士だった、別にウッソを信じて放してるわけではない、縛らなくても逃がさない自信があった。
ウッソは、自分がまだ全然助かってないと判ると、そのままその場に倒れた。
181:2006/04/18(火) 20:46:05 ID:???
「・・僕が敵だとわかるなら、どうして殺さないんですか」
「バーンの手柄になるからさ、おもしろくないだろ?」

そう言われてもウッソにはわからないことだ。
どうやら、最初からバレていたらしい、・・当たり前か。

本性を晒したウッソに対し、ガラリアも剣を収めながら自分の本心を語りだした。

「お前は地上人だと聞いた、ならばそのオーラ力を、私のモノにしてやっても良いということだ」
「何を言ってるんです」

ウッソはガラリアの言っている意味はわかっていたが、そう言い返した。
ガラリアは、つまりはニーギブンがシーラに対して思ったようなことをやろうとしているのだろう。
ウッソを、自分の配下、つまりは手駒にしようと言うわけだ。
不満そうな視線を向けるウッソを、ガラリアは不敵に笑った。

「・・忘れるな、嫌だというならお前をギャラウーの餌にくれてやっても良いんだからな」

そう言われるとラウの国で見かけたギャラウーの姿を思い出す、あんなのに食われるなんて最悪だ。
ぞっとした様子が表情に出ると、ウッソを見てガラリアは再び微笑んだ。

「ははは、安心しろ、冗談だ、・・私に従っている限りは な」

最後の一言には冷気が篭っている様だった。
彼女は歴とした騎士だ、やるとなれば躊躇わずにやるだろう。
だが、だからこそ、その言葉が生きてるうちは安全だとも思えた。

いま逆らえば殺される、手足は自由だが、彼女が剣を抜けばとても敵うはずない。
それに休息が欲しかった。体中が痛かった、喉も渇いていた、・・機会はまたあるはずだ、と考える。
その考えが悟られないように精一杯表情を繕いながらウッソは言った。

「・・わかりました、・・貴女の言うとおりにします」
「ほう、素直だな、・・そういう男なら嫌いじゃないんだ」

頬を触られる、酷く緊張をした。

「泥だらけだな、シャワーでも浴びるか?」
「ひ、ひとりではいりますっ!」
「何のことだ、当たり前だろう?・・一緒が良いという意味なのか?それなら・・」
「ち、ちがいますっ、す、すみません、なんでもありませんっ、ひとりで入りますってっ!」

ウッソにはトラウマがあった。
頬を染めて必死に叫ぶウッソの姿は、可愛げであった。
182:2006/04/18(火) 20:48:11 ID:???
ウッソは、希望通り、一人でシャワーを浴びていた。
足は逃げ出さないように輪繋ぎされていたが。そもそも、まだ逃げるつもりはなかった。

捕まえられた時に──ウッソがガラリアのバストールに捕まれる瞬間に、ハロは蹴って森へと逃がした。
ハロは、上手く行っていれば、今頃、ゼラーナのキャンプに辿り着いていることだろう。
きっとそのうち、エルかチャムが探しに来てくれる、それまではここで大人しく待つほうが良いかもしれない。

「あの・・、すみません、ズボンに紐が引っかかって履けないんです、ズボンに紐くぐらせてくれませんか」
「ふふ、なにをいう」
「え?」

ジャララッ

ガラリアはウッソの足鎖を引っ張った。
慌てて局部を隠したウッソが引きずり出される。

「わわわぁっ、な、なにするんですかっ!」
「・・なにをするんだろう」
「何言ってるんですかっ?!」
「地上では子供でもすると聞いたぞ」
「だから何をです?!」
「ふふふふっ」

コンコンッ

部屋にノックをする音が響く、二人は動きを止めた。
ガラリアは、隠れろと視線で促した、ウッソは数十回頷くと服を抱えて奥へと逃げた。

「こんな夜更けに何用か、・・・ゼット ライト殿か」
「おう、ガラリア、バストールの様子を見に来たんだが・・」
「バストールの様子をか? それなら異常は無い」
「そうか、だったら次はガラリアの様子を見ないとなぁ」

ゼットライトは、卑猥な声で話している。
183:2006/04/18(火) 20:54:14 ID:???
ゼット ライトは、エフェラリオのナックル ビーによってマーベルと同時に召喚された地上人で、
地上人ではあるが、ショット同様、強いオーラ力は持ってなく、主にオーラマシンの開発に携わっていた。
バストールは、彼が設計した物である。

「明日は作戦がある、それにもう夜も明けよう、・・またにして貰えないか、ゼット殿」
「硬いこと言うなよ、一回だけ、な?」
「・・ゼット殿、お願いする、今日は勘弁してほしい」

ガラリアは、言葉としては下手に出ていたが、口調はきつかった。
断るが穏便にはすませたい、ということだ。
これ以上迫るなら、互いに穏やかには終われない。

ゼットは、しぶしぶと言った。

「・・明日また来るぞ」
「ああ、歓迎しよう」

笑顔を見せて、ゼット ライトは立ち去った。
ガラリアは扉を閉めると、かんぬきを降ろした。
そして、ゆっくり振り返り部屋を戻る。ウッソが奥から現われた、ちゃんと服を着ている。

「あの人は・・、お、お付き合いしてるんですか?」

ガラリアは、ウッソ「お付き合い」という言葉に口許が緩んでしまった。

「・・そうなるか」
「だ、だったらッなんで僕にっそのっ・・」

言葉に詰まり、頬を真っ赤にして言うウッソの姿は初々しかった、本当に初々しく思えた。
ガラリアはおもわずウッソに背中を向ける。

「・・ふん、お前も手篭めにしてやろうと思ったのだがな」
「手篭めって・・それって・・・」
「まぁいいか、私にはバストールがある、オーラ力だってお前やショウ ザマに劣るつもりは無い」

そう小さく吐くと、ガラリアは戦闘服に着替え始める。

「どこにいくんです・・?」
「下見だ、お前たちがバーンの本陣を討ってくれたおかげでな、明日の城攻めの先陣は私が取ることになった」
「・・どうして、戦うんですか、ガラリアさんは、・・フラオンエルフが愚王だからですか」

微動せぬまま一時置くと、ガラリアはその質問に答えた。

「私はガラリア ニャムヒーだ、その生まれを呪ったことは無い、野望がある、私は騎士だ」

バタンッ

扉が閉じた、ガラリアが部屋からで行く瞬間、一瞬だけ表情が見えた気がした。
不敵に笑っていた。
184:2006/04/18(火) 21:00:47 ID:???
ウッソは呆然とした、何がなんだか。
が、すぐに正気に戻って、冷静に自分の置かれた状況を考えた。

部屋に一人残していったのは、見逃してくれるという意味なのか。
逃げようと思えば逃げられる、足かせは、とっくに風呂から上がった時に外れていたし、まだ、ギリギリ夜も明けていない。
だけど・・。
ウッソはガラリアのことを思い出す、・・変なことまで思い出した。
まずい、気が変わってまたおそってこられたら大変だ、ウッソは、あわてて逃げ出す決心をした。

急いで水と食べ物をクチに押し込むとクローゼットを漁り出す、アの戦闘服に着替えるのだ。
やはりそのほうが逃げやすいだろう。
気の利いた考えだった、しかし、ウッソのその様子だけを見ればコソ泥にしか見えないから哀れである。
しかも、女性だが体格に優れるガラリアの戦闘服は、一般男性並のサイズを持っておりウッソには当然大きかった。
これでは逆に不自然がられるし、動きづらいと考え、元に戻した。なんだか悲しくなった。

そんな場合じゃないと頬を張り、ウッソは部屋を飛び出す。
飛び出すと行っても、ちゃんと外に兵がいないか確認してから飛び出した。何より冷静さが大切だとわかっている。
オーラバトラーかウイングキャリバーを奪って逃げようとも考えたが、それでは余計騒ぎが大きくなる、徒歩で逃げることにした。
ふと家の側に、角の生えた馬が目に止まる。ユニコーンだ。
徒歩よりこっちのほうが断然良い。
ウロポロス城で餌をあげたことがある。あのときは角を掴んで暴れられたっけ。

「しー、鳴くなよ〜」
『ブルルルルッ』

ウッソは、飼葉を拾ってユニコーンに食べさせると、ゆっくりと背中に跨った。
ゼラーナの位置はわからなかったが、とりあえずこの陣地から離れるほうが先だ。
ウッソは馬を適当に走らせる。・・そのうち遂に夜が明けた。

朝日が昇る、と言っても実際に太陽が上がっていくわけではないのだが、世界は光に染まっていく。
光の中で、一点の大きな影が見えた、エルフ城だ。その傍に、ゼラーナのキャンプがあるはずだ。
ウッソは馬を走らせる。




───────────
185:2006/04/18(火) 21:04:53 ID:???
「だから私は言ったのよ」

マーベル フローズンは、重い口調で呟いた。
初めて聞かされた言葉ではなかったから、ショウは少しうんざりした口調で言い返す。

「じゃぁ、マーベルは俺のせいだと言いたいのか」
「違うと言えて」

マーベルの熱くなった眼差しに耐え切れず、ショウは視線をそらした。

二人がウッソのボチューンに気付いたのは、そのボディがビランビーに貫かれる寸前のことだった。
間に合わなかった。
機体は爆炎をあげて燃えさかる、生存は絶望的だった。
怒りをあげてビランビーへ斬りかかるショウ、しかし、すぐにニーから撤退の命令が下る。
仇すらも討てなかった。

結局その夜、エルフ城からの援軍は来なかった。
一応はドレイク軍に損害を与えたものの決定打にはならず、ゼラーナが受けた被害だって少なくない。
ゼラーナの修理には大分時間がかかってしまうし、さらに補給無しでは後一度戦えるかもわからなかった。

それこれもすべてフラオンのせいだ。
ショウやニーはそんな風に考えていた。しかし、マーベルはそんなことを考える余裕もなかった。

戦争で人が死ぬのは当たり前のことだ、それはわかっている。
マーベルは別に反戦主義というわけではない、戦うことの意味もわかるつもりだ、だからこそゼラーナにも参加している。
だが、ウッソのような子供までもがそれが当たり前という世界に同調する必要は無いと考えていた。
それは、本当は自分もこんな世界に同調したくはない、という本心から来たものだろう。
そして、自分の不幸を自分より弱いものへ与えたくないという、そんな想いだ。

泣きじゃくるエルフィノを見ると、マーベルは胸が苦しくなってくる。
どうして男という生き物はこの感情をわかろうとしないのだろうか、責任や原因といったものばかりを追及して。
自分のせいではないと証明することしか頭に無い。
そう言う自分だってさほど変わり無いと、そんなことはわかっている。だからマーベルはこんなに苦しがっているのだろう。
女性の心はいくらか複雑なのだ──。
それをわからないショウ ザマは、マーベルがただ悲しんでいるようにしか見えなかった。
自分が死んでもあんな風に悲しむだろうか、そんなことすら考えた。
そして、自分は冷たい人間なのかもしれないと感じた。しかし、それは男の性というものなのかも知れなかった。

186:2006/04/18(火) 21:08:56 ID:???
だが、いつまでも感傷に浸っていられるほど、二人に余裕は無い。

ドレイク軍再侵攻の報が、ホン ワンより寄せられた。
ホン ワンとは、ギブン家子飼いのガロウランで、密偵である。

「何があったの」
「ガラリアが隊を再編してエルフ城へ仕掛けたのさ」

突然の呼び出しに慌ててブリッジへ入るマーベル。
ニーの答えを聞くと、ほっとしたようにショウが呟く。

「こっちじゃないのか」
「ああ、助かったよ、フラオンがいなけりゃ、こっちが攻められていただろう」

ニーは皮肉を言った。
だが、事実、今ゼラーナを攻められればひとたまりも無い。
ボゾンやダンバインはともかく、ゼラーナ本体はまともに飛行するのも危ういほど損傷があるのだ。

「ニー、救援にはいかないつもりなの?」
「・・救援も何もゼラーナは動けないだろう?」
「それなら、オーラバトラーだけでも・・」

「約束を守らない国王に、手を貸すことは無い」

ニーとマーベルの言い合いに、ショウがクチを挟んだ。
ショウの言うとおりだと、ニーも頷く。

「何を言いだすの、そんなことを言っている場合じゃないでしょう」
「ウッソのことで一番悲しんでるのはマーベルじゃなかったのか」
「ウッソのためにも私達が戦わなければいけないんじゃないの」

「・・ダンバインとボゾンだって整備は完全じゃないだろう?」

ニーは、マーベルのヒステリーをなだめるように言う。マーベルはそれが腹立しかった。

「だからと言って、ドレイクの横暴を許しておいていいわけないでしょう!」

・・私は行くわ、そう残すとマーベルは凛々とした足取りで格納庫へ向かっていった。
ショウとニーは困ったように顔を合わせる。

「・・俺も行って来るよ」
「頼む」


二人だって本当はわかっている。
そもそもエルフ城へ来たのはフラオンへの忠誠からではないのだし。
187:2006/04/18(火) 21:12:30 ID:???



「見ろ!あのバカどもが夜襲などかけるからだ!」


城では、フラオン エルフが怒声をあげていた。

「夜襲は余の知らぬところだと、ドレイクに言って来い!!」
「陛下、すでに戦いは始まっているのですぞ・・」
「うるさい!!」

しかしそんなフラオンの怒声も、けたたましい爆発音に掻き消されていく。
フラオンは慌てて城の奥へと逃げ去った。


雄大壮美であったエルフ城も、いまでは所々果て朽ちている。
白色だった石畳は黒く焦げ染まり、青々としていた庭園も焼け枯れていた。

先の戦闘で多大な被害を受けたエルフ城だったが、
アの国の王城だけのことはあり、その兵力も戦力もまだまだ備蓄があった。
また前回とは違い、兵達には多少の覚悟と準備もある。
とはいえ、その戦力差は明らかだ。
エルフ城側には、少数の旧式オーラバトラーと砲台、対強獣用のボウガン、弩などしか無い。
ドレイク軍もドラムロの数は大分減り、主力はドロとバラウになってはいるが、
これまでミの国やゼラーナと戦ってきたドレイク軍のほうが、フラオンの兵より遥かに戦争に手慣れていた。

このまま戦い続ければばエルフ城は落ちるだろう。


『ショウ・・、来てくれて』
『こうして戦場に来てみればわかるよ、感情的になりすぎてたのかも知れないな、俺は』
『それは私もね……』
『マーベルは違う、感情的だけど、・・優しかった、俺は利己的になっていた』

先に飛び出したボゾンに、ダンバインは追いついた。
ゼラーナのキャンプは、エルフ城からそう離れてはいない、戦場はもう目の前だ。
眼前で飛び交う閃光が、ショウにより大きな物の見方を求めているようだった。

『ダンバインめ!今頃のこのこと!』
『ガラリアか!!』
『私はドロ隊をやるわ、・・踏み込みすぎないでね、・・ショウ!』


そういうと、ダンバインとボゾンは二手に飛ぶ。

188:2006/04/18(火) 21:18:24 ID:???
ドンッドガガンッバァガンッ!!

戦いの音が森にビリビリ響きわたると、ウッソはさらに馬を走らせた。

「もっと早く走れるはずだろ!お前はユニコーンなんだぞ!」
『ブルルルルッッ!!』

そう唸ると、馬は角を振って暴れ出す。
ウッソは慌ててなだめると、ゆっくりでもいいから急いでくれよと囁いた。
実際、地上の馬よりこのユニコーンは速く走れない、体型が地上の馬のようにしなやかではなくぽてっとしている。
どちらかといえばロバに近いだろう、毛並みが豊かで心地よい。なんて浸ってる場合ではなかった。

すでに、ガラリアの陣を出発してから5時間は経つ──と言っても時計は無いので適当だ。
途中、見たことも無い虫に絡まれたり、泥々とした沼に嵌ったりして時間を費やした。
頭上をオーラマシンが駆けていく、しばらくして遠くにダンバインとボゾンが飛び行く姿も見えた。あと少しだ。
だんだんと、景に見える城の姿が昨夜見た城の姿に近づいてきた。方角や距離が合って来ている証拠だろう。

──見えた。

シートや草木で隠蔽されているものの、あの塊はゼラーナだ。眼を凝らせば確かにゼラーナだ。

「あっちだ!あっちだよ!」
『ブルルルルッッ!!』

右を差すウッソ、しかし、ユニコーンは進路を変えようとはしない、ひたすら直進だ。
あぁもう!と綱を手放すとユニコンから飛び降りた、そしてウッソはその足でゼラーナに駆けて行く。
もう昨日から散々だ、体中が色んな痛みを訴えてくる、それでも走った。
ふと思う、自分はなんでこんなに急いでいるんだろう。
そんなに急ぐ用事があったっけ。

『ウッソ!?ウッソォォ〜〜!!嘘〜〜!?』
「エル?どうしたの?」
『どうしたのって死んだって聞いたのよ〜!心配したのよぉ!!ウッソのバカぁぁ!!』
「あはは、ごめんごめん」

出迎えにエルが飛んで来た、いつものひらり〜とした飛行ではなくぎゅんっとした飛び方で。
エルはウッソの頬をたくさん叩いた。その痛みが何故か心地よかった。
でも、蹴られるとさすがに痛かった。これ以上エスカレートするまえに謝った。


189通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 21:18:28 ID:???
キタコレ
190:2006/04/18(火) 21:20:35 ID:???
『ウッソが帰ってきたの? 二ー!ウッソが帰ってきたってー!』

チャムが慌てて飛んでいく、整備士がウッソの頭を撫でた。よく無事だったな、と。

「戦況はどうなってるんです? 攻められてるんでしょ? エルフ城」
「ああ、ショウとマーベルが出撃したよ、押されているようだが」

ウッソは、再びエルフ城を眺めた、無数の閃光が煌いている。
あの中に、ショウさんとマーベルさん、それに・・ガラリアさんが・・。
ウッソは何かを決意すると、整備士のほうへ向きなおした。

「まぁ、おまえさんはいまは休め、ゼラーナもしばらくは出撃は・・」
「あそこのオーラバトラー!使えるんでしょ!借りますよ!」

整備士が言い終わるより早く、ウッソは駆け出していた。
整備士は慌ててウッソを制止する。

「待て! ・・ダーナか? 使えんことはないがそれは・・」
「借りてきます!!」

ウッソはもう一度大きな声で申請すると、素早くコクピットに乗り込んだ。
場に居たみんながあっけに取られた。

「エル?何で乗ってるの!」
『私もいく!こんどはいくからぁッ!!』

ウッソがコクピットを開いた時に、エルも素早く潜り込んでいた。
何を言っても降りそうに無い、本当は戦場へなんて連れて行きたくはないけれど。

「・・わかったよ、その代わり命の保障はできないよ」
『えぇぇぇええぇぇえ』
「冗談だよ、・・でも嫌なら降りるんだ」
『・・私もいく!』

ウッソはふぅとため息を吐いた、しかし、それは安堵によるものだ。
何故だかわからない、けれどウッソはエルにただいまと言いたくなった。
だが、我慢した。それは戦いが終わってからの楽しみだ。ウッソは機体を発進させる。

191通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 21:22:34 ID:???
待ってたよ
192:2006/04/18(火) 21:23:09 ID:???
ダーナ オシー、それがこのオーラバトラーの名称だ。
ドレイクに対抗してギブン家が見様見真似で開発したオーラバトラーである。
しかし、その性能は、史上初のオーラバトラー ゲドにも劣る程度ものだ。
この機体は決定的にバランスが悪い、無理もない。
買い、そして盗んで得た、ちぐはぐな技術をなんとか繋ぎ合せて完成さたものであるからだ。
とはいえ、機械や科学の知識がほとんど無いバイストンウェル人がこれだけのものを完成させるのは容易なことではなかっただろう。
そして、この機体の設計データや教訓を元にボゾン・ボチューンが開発されていったことも忘れてはならない。


「ところでハロは? 帰ってきてないの?」
『ハロ?ハロはウッソが連れて行ったでしょ?』

ハロの奴まだ戻ってきてないのか、・・さてはあいつも沼に嵌ってるな。
ウッソはまた一つ溜め息を吐いた。

『ウッソ!無事だったのは良い!だが発進の許可は出した覚えは無い!』

ダーナオシーのコクピットに、ニーギブンの怒声が響く。

「ニーさん・・、すみません!でも、お願いします!」
『お願いしますじゃないだろう!』
「そうですけどお願いします!行かなきゃいけないんです!」
『・・何故だ!』
「わ、わかりません・・」

それは本心だ、わからない、だが自分が行かなければならない気がする。
もう関わってしまったから、ガラリアという人に、この世界に、戦いに。
義務とか責任とか使命とかいう立派な言葉よりは、好奇心という言葉が近いのかも知れない。
黙って何もしないでいるわけにはいかない。衝動だ。
もしかしたらそれはバイストンウェルの意思というものなのかも知れなかった。

『ウッソ!!』
「ごめんなさい!!」

オーラノズルから吐き出される蒼い軌跡だけを残して、ダーナ オシーは飛んで行く。

ニーギブンは理解できないと言うように頭を抱えた。

「ゼラーナはまだ飛ばせないのか!!」
「やっています!」

193:2006/04/18(火) 21:26:51 ID:???
「あのボゾンはマーベルさん!? それにキツネ眼の奴!!」
『ウッソなの!?』
『その声は白い奴のパイロットかッ!』

バイストンウェルではミノフスキー粒子こそ無いものの、世界に満ちるオーラの影響で長距離の電波通信は行えない。
この距離にして、ウッソの声は初めて届いた。

『無事だったの!?』
「はいっ!」
『どうしてまたそんなものに乗っているの!』
「・・戦うためです」
『ウッソ!!』

『ふん!昨日の借りでも返しに来たのか!!地上人よ!!』
「僕はあなたほど小さくはありませんよ!!」

バキィッッィッンッ

バーンのビランビーはターゲットをウッソのダーナに決めて、猛然と斬り込んで来た。
ウッソはとっさに剣で受け止める、しかし、衝撃で機体が大きく振られた。

「ダメだ、パワーが負けてる!流さないと・・!!」
『出来るかッ!!』

バーンのビランビーはひたすら猛然と斬り込んだ。
正面から受け止めては機体が持たない、受け流すように剣で弾いて逸らす。だがそんなこといつまでも続くことではない。

  バキィッッィッンッ

「……クッ! ・・コイツ、ミサイルがついてるの!?」

ドッヒュッッーンッ!!

「あたらない!どうして!」

巧みにビランビーの斬撃をかわしながら、ダーナオシーの左手からミサイルが発射された。
しかし、それはことごとく外れていく。かわされたんじゃない、まず狙い通りに飛んでいない。
194:2006/04/18(火) 21:38:28 ID:???
『そんなものがこのバーンバニングスに通用するものか!!』
「クソォッ!! どうして照準が固まらないの! ……腕が勝手に動いてるんだろ!!」

ウッソは突如、全速後退をさせ、ダーナオシーが右手に持った剣を、ビランビーへ向けて投げ飛ばした。
グルグルと回転して向かっていく剣。しかし、後退しながら投げたせいか、それともそもそもパワーが足りないせいか、大した速度も勢いも無い。
バーンは得意げに機体を左へ逸らして回避した。

「そこォッ!!」

次の刹那、ウッソはダーナオシーの左手に右手を添える、固定する、と、回避直後の減速したビランビーへ向けて、ミサイルを撃ち放った。

ズガゴッンッ!! ドガンッッ!!

『うぉおおっ!』

黒煙が上がった、ミサイルがビランの腹部に直撃した。

「やった!」
『・・何故だ!何故白い奴に勝てて!ダーナに負ける・・!!』

墜落する機体の中で呆然とするバーン。
そのミサイルは大した火薬を使っていないようだった、直撃だが、爆発まではいかない。

投剣を回避した直後のビランビーは、なすすべもなくミサイルを食らってしまった。
そもそもダーナのミサイルがまともに飛ぶとは思わなかったこともあって油断したのだろう。
彼の言葉を借りるなら、白い奴に勝った今更ダーナオシー如きと思っていたのだろう。

ダーナオシーの両腕は、お世辞にも上等な造りではなく、機体が動くと同時に腕も動いてしまう、ぶれるのだ。
空中を飛びまわりながら撃ったところで、とても照準通りに飛びはしない。
だから、ウッソは左腕に右手を添えた。
結果、ダーナオシーの放ったミサイルは、回避直後の減速したビランビーへ一直線に奔って行った。


しかし、バーンへ仕返しにやって来たわけではない。
投擲した剣を回収すると、ウッソは本来の目標を探して飛びまわる、ピンクの色のオーラバトラーを。

『ウッソ!!』
「マーベルさん!・・助かりました!」
『え?』
「フォローしていてくれたでしょ」
『ウッソ!!』
「すみません!まだ帰れません!!」

ブォォッッ!!

言うだけ言うとウッソは勝手に飛んで行く。
マーベルは唖然とした、まるで疾風のようで。

195:2006/04/18(火) 21:39:21 ID:???
『ショウザマ!益々腕をあげている・・!しかし、このバストールが負けるわけが無い!!』
『新型だからって・・!!』


バッキッッンッ!!
             ガキッキッッンッ!!
    ズガガガンッッ!!


 ヒュッッーンッ!!ヒュッッーンッ!!


『なんだ!?』
『ダーナオシー!?』

「ショウさん・・!・・・ガラリアさん!!」

『ウッソ!?』

『おまえか!せっかく見逃してやったものを!』
「貴女は僕の視線が耐えられなかっただけでしょう!!」
『なにをいう!!』

ガキッキッッンッ!!

「そういうものが騎士っていうんですかッ!!」
『お前に何がわかる!地上人で子供のお前に!!』
「わかんなくたって!言いますよ!!」
『南無三!!!』

 バジッッチッチッチッッ!


『ショウザマァ!!くぅ・・引き上げる、後退する・・!!』
「ガラリアさん・・!!」

 ブォッッンッ!


『・・ウッソ、何かあったのか? ガラリアと何か話していたようだが』
「・・なんでもありません」
『そうなのか・・?』
「・・はい」




・・続く
196通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 21:43:35 ID:???
燃えた!興奮した!!最高だよ、職人さん。


                                   トラウマウッソ…(*´-`*)
197通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 21:51:59 ID:???
大人の女、ガラリアが可愛い・・・

それにしてもこのスレのウッソはハロの扱いが荒っぽいですね。
まるで兄弟喧嘩みたいで微笑ましいw
198通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 21:59:04 ID:???
恐ろしい拷問キタ━━━(;´Д`)*´Д`)*´∀`)*´Д`);´Д`)━━━━!!!
199通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 22:56:23 ID:???
乙!気長に続き待ってるよー
200通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 23:24:15 ID:???
感動した!
201通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 06:43:39 ID:???
小説版Vの雰囲気を感じる。いや同じ文字なんだから当然かもしれないけど
トミノ節を感じるけど、そのくせ読みやすくて没頭できる
あんたすげぇや。GJGJGJ
202通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 09:33:20 ID:???
職人が燃料を落としているときに
割り込みカキコをする早漏がいるスレはここですか?

>>1
ネカフェ版バンダイチャンネルでダンバイン見てきたから
すんなりかみ砕けますた
203通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 14:40:19 ID:???
爆撃が始まったらすみやかに退避壕へ
職人が通り過ぎるまで顔を出さない事
204通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 16:58:13 ID:???
うれしくていても立ってもいられずゴメソ
205通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 20:10:20 ID:???
みんなテカテカになって待ってるよ
206通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 23:29:03 ID:???
揚げ保守
207通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 02:29:34 ID:???
すげー!!すげーよ!!職人さん!!!

欲を言えば、ガラリアを殺さないでやって・・・
208通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 03:33:40 ID:???
内容に干渉するような事を書くと、書き手の負担になるから程ほどにな
209通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 05:44:43 ID:???
その頃、何故かリの国に来ているオデロの図

「シュンジさん、明日は何すんだ?」
「やっとオデロもゲドの操縦になれてきたようだしな、強獣狩りにでも行こうかと思うんだ」
「へえ、んじゃもしかして…」
「機械の館で余ってたアルダム、明日から使っていいぞ…但し、無茶はするな」
「ひゃっほーう」
「言ってるそばから無茶する…あ、危ないオデロ!避けろ!」
「あ?」

グチャ

「……帰る途中に、余所見しててはぐれドラウゲンに操縦席を一発…ですか…」
「ああ、ミンチより惨い、フィナは見ないほうが良い」
「なんでえ、息子がもう一人できたと思ってたのによ…こんな、こんなのってありかよ…」
「ザン団長は、かわいがってただけにショックが大きいでしょうな…」

みんなが俺の体囲んで泣いて…俺死んだのか、こんなあっさりと…

「おい、おいオデロ、生きてるか!おい!」
「う…ザンさん?ってことは今のは夢、夢なんだな…」
「何言ってんだ、心配させやがって馬鹿息子二号!熱でもあるのか…どれどれ」
「熱なんてないって、ちょっと…気絶してた間の夢見が悪くてさ」

「たまたまつけてた補助装甲がなかったら…骨折と打撲じゃ済みませんでしたね」
「ここまで変形するなんて、普通のドラウゲンじゃないな、フィナ」
「この間逃げていった白いドラウゲンでしょうか、シュンジさん」

「ま、まさか…半分正夢?」

全部夢落ちかもしれない
210通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 22:45:19 ID:???
>>207
PSゲームみたいに仮面の女騎士展開で味方になるとかなw
211通常の名無しさんの3倍:2006/04/21(金) 16:26:28 ID:???
やはりウッソはエロいな
212通常の名無しさんの3倍:2006/04/21(金) 18:21:59 ID:???
エロくなきゃウッソじゃありません。
213通常の名無しさんの3倍:2006/04/22(土) 18:08:47 ID:???
ダーナオシー保守
214通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 23:04:06 ID:???
ジームルグ保守
215:2006/04/24(月) 02:34:22 ID:???

──第八章 帰郷


少年の眼は、どこまでも純粋に満ちていた。
ガラリアはそんな眼を見るのは初めてだと思った。
バイストンウェルのどこにも無い、知っている地上人の誰にも無い、眼差しだ。
自分が如何に汚れたものかと、思い知らされる。
だが、それは特別な物ではなく、自分もかつてに持っていた物だと思い出す。

昔の自分を思い出した、まだ、父に憧れていた頃の自分の姿。

馬に跨る父の姿は眩しかった、掲げる剣が輝いていた。
ずいぶんと幼かった、何も知らなかった。だから、あんな眼を出来たのだろう。

この少年はどうだろうか、決して幼いわけではない、決して何も知らないわけでもない。
純粋だが、ひたすらに強い眼、強い意思を感じる。
おどけていても、笑っていても、その輝きはくすまない。
現実と夢とを、両方を見れる眼差しだ。


ドレイク軍の二次攻撃も失敗に終わる。
バーンに代わり先鋒を取ったガラリアではあったが、ショウとウッソの前に敢え無く敗れた。
もちろんそれでドレイク軍が攻撃を諦めたわけではない。
戦闘指揮をショットウェポンに一任すると、戦隊を再編させた。

「この世界の騎士という連中は自尊心ばかりが強い、決闘をしたがるのさ
 だが、地上人であるお前たちまでそんなことに付き合う必要は無い、隙を見たら割って入れよ」
「わかってるさ」

地上人アレン フレディがショットに答えた、ジェリル クチビとフェイ チェンカも賛同するように笑っている。
三人は、ドレイクがシルキーマウに呼ばせた新しい地上人である。今回が初出撃となる。
しかし、ショットは三人には後方を任せ、前衛はバーンとガラリアに任せた。
初陣だから当然といえば当然なのだが、自分達がダシに使われているようで、バーンもガラリアも良い気はしない。
機械による戦いが騎兵戦の要領と違うとはわかっても、その誇りまでは捨てられないからだ。
だが、前衛を取れるのは幸いだ、上手くやればドレイクの不信も返上できよう、けれどそれがショットの手柄にもなるということがやっぱり気にいらなかった。
216:2006/04/24(月) 02:36:53 ID:???

 ガラガラガラガラッ ガラガラッ

幌付きの馬車が駆けていく、ドルプルの馬車だ。
ドルプルと言うのはギブンの抱える整備士の名で、補給物資を持ってゼラーナへ合流した。と、エルが教える。

ウッソが目を覚ました、ここはゼラーナの寝室である。
寝室と言っても小さな船室に四対のベッドだけがある粗末なものだ。
しかし、ウッソはこの部屋でたっぷりと熟睡できた。疲れていたからだ。
無理もない、昨日はまる一日戦ったり走ったりで忙しかった。擦り傷や打撲などの怪我も多い。
カサレリアにベスパが侵攻してからは、そうゆう毎日にも大分慣れてはいたが、それでも昨日は酷いほうだった。
やっとゼラーナへ帰り着いた時には、もうコクピットで寝むりについてしまっていた。
いつの間にかこの部屋にいるのは、誰かが運んでくれたということだろう、誰か、は覚えていない。
ただ、頭を抑えて呆れたようにこちらを見つめるマーベルの姿だけはなんとなく記憶に残っていた。

……お腹すいた。

そう感じるうちは体は動けるものだ。自然と起き上がり、自然と歩き出す。
ウッソはラウンジへ向かった。

「どうしたんですか?」
「・・ウッソ!」

休日の勤労者のように、頭を掻きむしりながらウッソは現われた。
驚いたようにマーベルが名前を呼んだ。ウッソは慌てて謝る。

「す、すみませんでした! 昨日はご心配をおかけして……」
「いいのよ、……よくはないけどね」

ウッソは素直に謝った、マーベルは少し困ったように考えると言葉を繋げる。

「……無事ならいいわ」

マーベルはウッソに微笑んだ。
おもわず赤面するウッソだったがエルに蹴飛ばされると顔色が戻った。


217:2006/04/24(月) 02:42:12 ID:???
さすがに三日連続で攻撃を仕掛けてこられるほどの余裕はドレイクにもないようだった。
エルフ城で二回、そして夜襲、損害の規模で言えばゼラーナよりも疲弊しているのだろう。
ドレイクの現領地だけで物資を賄うのはそろそろ限界のはずだ。アの制圧を急いでいるのもその表れと言えた。
次の一戦、それでドレイク側に大勝できれば、或いはこの戦争の決着となるかも知れない。

それはさておき、つまりこの日だけは平和だった。久しぶりの休日だ。
とは言っても戦闘が無いというだけで、整備や調整などの仕事は山ほどあるのだが、、

ニーギブンはエルフ城の使者と何か協議をしている。
ウッソは、マーベルから入れてもらったお茶を啜っていた。

「寝てなくて良いの?」
「はい、大丈夫です」

マーベルは、ウッソに心配そうに言った。当然だ。
死んだと思ったら元気に帰ってきて、元気で帰ったと思ったら死んだように眠っていた。体中生傷だらけで。
ウッソをベッドへ運んだのはショウだったが、怪我の手当てをしたのはマーベルだ。

「……それで、何があったの?」

ウッソは事情を話した、と言っても浅く、だ。
ビランビーにやられて、脱出して、バストールに捕まって、でも、隙を見て逃げてきた、と。

「怖くは無かった?」
「え」

怖い、そうか。そういう経験だろう、確かに。
ある意味怖いこともあったけど、真の意味では恐怖は感じていなかった、ような気がする。
それは慣れというものか……、それとも。

いつの間にか当たり前になっているのかも知れなかった、それは例えば人が宇宙で暮らすことのように。
染まって染み込んで、いつか放せなく、渇望するようになるのかも知れない。
そう思うと、怖かった。
ふっとウッソの肩を暖かいものが触った。マーベルの手のひらだ。

「……ごめんなさいね」

マーベルの豊満な唇から紡がれるその言葉は、愛と温もりというものを含んでいるようだった。懐かしかった。

218:2006/04/24(月) 02:45:03 ID:???
ウッソは、久しぶりの穏やかな時間に浸っていた。が、それもすぐに終わった。

──忘れてた。

ハロのこと、である。
慌てて森へ探索に行くウッソ、マーベルは笑って送りだしてくれた。
格納庫ではクルー達が慌ただしく作業をしている、ショウもいた。
急いでいたので簡単な挨拶だけ済ませるとスロープを降りる。
だが、ショウが呼び止めた。

「これを使えよ」

指をさす、シュットだ。
ニーが良く愛用してる一人乗りの飛行機械。さしづめ、オーラ グライダー である。
いいんですか?と断ると、ウッソはさっそく乗ってみた、実は始めて見たときから興味があった。

「使い方はわかるか?」
「体で覚えます」
「ははっ、らしいな」

 ブォォォッッ

オーラバトラーに比べると遥かに小さい音量の、オーラノズルが呻きをあげる。
落ち葉や誇りを巻き上げてシュットが飛んだ。

 ビュゥッッ

思った以上に速度が出る、思わず振り落とされそうになった。
ブレーキ──は無い、アクセルを緩めるしかない。しかし、こういうものは得意だった。
風に頼らずこうゆう物で空を飛べるということは、夢があるというのか無いというべきなのか少々迷いはしたが、
子供らしくそんなことはすぐに忘れて、夢中で飛びまわった。ついでに言えばハロを探すという目的さえも……。

「イヤッホゥッー!!」

ウッソの歓声が青空にこだました。


219:2006/04/24(月) 02:48:28 ID:???


『ヒドイワ、 ウッソ、シクシク……』
「……おまえいつから女の子になったんだよ」


日も暮れる頃、泥々になったハロを抱えてウッソがキャンプに帰る。けれどそこにゼラーナの姿は無かった。
どうやらエルフ城へ入城したらしい。ウッソもシュットでエルフ城へ入る。

「なんだ?この童は?どこから潜り込んだのだ?」
「……ウッソですけど、貴方こそ誰ですか?」
「誰とはなんだ!無礼な奴め!おい、誰かこの子供をつまみ出せ」
「お、お待ちください、閣下、彼はうちのクルーでして……」

金髪で、鼻が大きく長い、ひょろっとした男に絡まれていると、ニーギブンが現われた。
しっしっとやってウッソを追い払う。
少しイラッとしたが、笑顔で手招きしてくれてるマーベルの姿が見えたのでそっちに行った。

「誰なんです?あれ」
「ふふ、あれがフラオン王よ」
「……あれがぁ」

ウッソは、納得したように言った。

その夜、ゼラーナのクルーには各自寝室があてがわれた。
もちろん一人一部屋とはいかなかったが、それでもゼラーナの船室よりは過ごしやすかった。
料理も美味しかった。
しかし、あのフラオン王に感謝するのは嫌な感じだ。
ショウは、こっちは戦うんだからお互い様さ、と。ウッソもその通りだと賛同した。
マーベルはそんな二人を呆れて笑っていた。──楽しい夜だった。



──よく朝、ドレイクの再侵攻が始まった。


220:2006/04/24(月) 02:50:26 ID:???
まず、無数のドロが空に現われた、それらは一気にエルフ城まで進撃すると一斉に放火した。
迎撃に出たオーラバトラーには、バーンとガラリアがぶつかって行く
ドロ隊はエルフ城のオーラバトラーは無視して、ひたすら城へ砲撃を加えた。

『マーベルはドロを!!』
『やらせるかぁっ!』

 ブァァンッ

ドラムロの剣先がダンバインを掠めた。
この機体はドラムロではあったがバーンのものだとすぐに分かった。威圧が違う。
ウッソにビランビーを大破させられたため、今回は下士官からドラムロを取り上げて出撃してきたのだ。
そういう事情もあって今日の彼は必死だった、さらに言えばドレイクに見限られそうだということもある。
せっかくウッソのボチューンを撃墜したものの、ショットには壊しすぎだと言われ、ドレイクにはパイロットを逃したことを責められた。
彼は、なんとしても今日こそ功績が必要だった。
その気迫にショウは押されていた。マーベルはそんな二人の戦いが気になって集中を欠く。

『ショウ!!』
『余所見とは余裕だなァ!』
「人のことを言えますかっ!」

 ヒュゥッーン

今度はダーナオシーのミサイルがバストールを掠める。
マーベルのボゾンへ斬り掛ったバストールを、ウッソが狙い打ちにした。

『ありがとう、ウッソ』
「いえ……」

その通信は酷くノイズが混じっていたが、ガラリアにもしっかりと聞こえていた。
……このガキが。

 ブォァァッッ

バストールのオーラノズルが唸りを上げる、機体を加速させダーナオシーへ斬りかかる。


221:2006/04/24(月) 02:53:38 ID:???
バストールは剣を両手で掲げ上げると、一気に振り下ろしてきた。
とてもダーナオシーでは受けきれないと判断したウッソは、めいっぱいペダルを踏み込み回避した。
空振りした剣を、今度は斬り上げるようにして振リ上げるバストール、それも躱されると、さらに斬り下ろす。

『ええい!逃げるのか!男だろう!』
「……ヒステリーですよ!!」
『黙れェッ!!』

苦戦するウッソにマーベルは援護射撃を行う、対強獣用ボウガン『ガッシュ』を放った。
四本の黒鉄の矢が一直線にバストールへ突き進む、しかし、その瞬間、マーベルにはバストールの像が歪んで見えた。

『ちぃっ、女の地上人!』
『かわされた?!』

邪魔をするなァァッ! そう猛るとバストールはマーベルのボゾンへ向かっていく。
その背中を、ウッソがダーナオシーのミサイルで狙い撃った、しかし、やはりバストールの像がぶれた。

「エル!! 今一瞬消えたように見えたけどッ……!」
『うん!私にもそう見えたわ〜っ!』

同乗していたエルがウッソに答えた。
幻覚じゃない、確かに一瞬消えてミサイルを躱されている。
……どういうことだ!
ハロ!と聞いたが彼は言った、ワカラン、と。

「お前ってばいつもそうなんだからなー!!」

ハロへの怒りを剣先に込め、ウッソはダーナオシーを吹かせ飛ばした。
ガラリア渾身の一撃を、マーベルは剣で受け止めた、しかし、ボゾンの腕が支えきれない。

『このオーラ力には、私じゃ敵わないというの……!』
『ハァァァッ!!』
「マーベルさん……!!」
222:2006/04/24(月) 02:57:21 ID:???
マーベルのボゾンがパワーを失って落下していく。
ウッソはバストールの頭上──上空から勢いよく斬り込んだ、足りないパワーを重力と重量で補おうと言う算段だ。
考えた というよりは 思った、本能的に、これしかないと──。

『やる気になったかッ!』
「やりませんよっ!!」

 ガギギッッガガギギィィッ!!

落ちてくるダーナオシーの一撃を、バストールは堂として受け止めた。
ぶつかり合う二本の剣、互いにエンジンの出力をあげ、押し上げ、押し込もうとする。
限界を超えてオーラノズルから放出される排気の光が、淡く緑色に輝いた。

 ブォァッァッァッ

光はさらに広がっていく。
硬直する二機に隙を見出したジェリルはフレイボムを放った、しかし、炎は捻じ曲げられ、届かない。
──なんだあの光は?
ジェリルだけではない、その場にいたすべての者が同じ想いだった。
オーラノズルの輝きと言うには、随分と仰々しい。
まだ陽も暮れていないのに、空の光にも勝る光量で、それは輝いていた。
不気味、というには何故か心地よい波動を感じる。オーラの光、それ以上の言葉は誰にもわからなかった。

 ブオァォォァッァッアオァァァオァォッ!!!!!

風が吹いた。
その風は、光の中心から吹いたのではなく、光の中心へ向かって吹いたようだった。

次の瞬間には光が止んでいた。
ゆっくりと、それでいていつの間にかに光は消え去って、中心にあったはずの者達も、消えていた──。



223:2006/04/24(月) 03:00:59 ID:???
雲が流れた。
青い青い、しかし、乾いた冬の空を、細長い雲がゆったりと流れていく。
しばらくすると、雪が降ってきた。
しんしんと、雪が降る──。

「……積もるのかしら」

木造りの、外見だけ見れば粗末な造りの小屋の窓から、少女が空を眺め呟いた。

 ガリガリガリッ

内側から小屋のドアを、彼女の愛犬が爪でこすっていた。外へ出たいようだ。
ダメよ、フランダース、とその犬の名を呼び、諌める少女。
その時、赤ん坊──というには少しだけ大きい子供が歩いてきた。

「……どうしたの? カルルまで」
「ッソッ……ウッ……ッソッ……」
「ん……?」

少女は、優しくその子供の額を撫でた。
その時、少女にもまた、何かの予感が奔った。

この暖かい感じはなんなの……?

「シャクティぃ〜、ご飯まだなの〜!おなかすいたよ〜、カルルも、ね〜♪」
「……ちょっとここで待っていてね、スージィ」
「あー、どこいくのっー!シャクティ〜??」

……行っちゃった、と立ちすくむスージィに妊婦の女性が微笑んだ。


224:2006/04/24(月) 03:02:47 ID:???
「エリシャさん!マルチナさん!早くそこから出てください……!」

決して怒鳴ることが得意ではないシャクティが、それでも必死に声をあげて叫んでいた。
扉をあけて、ウォレンが顔を出す。

「どうしたの? シャクティ、夕食が出来たの?」
「ウォレンさん……!いいから部屋を出てください!エリシャさんも!マルチナさんも!……みんなです!」

えええ??と困惑しながらも部屋から引っ張りだされる三人。
ウォレンがもう一度ご飯なの?と尋ねると、シャクティはそうです、と言った。
その時だった。

  ブオァォォァッァッアオァァァオァォッ!!!!!

淡い緑の閃光が、光の柱が、小屋から昇った。

「うわぁあぁっあっ」

あわてて転げる三人、しかし、シャクティは静かにその光を見つめた。
……帰って来るのね。

一秒か二秒、それくらいの時間が流れた後、光の中から巨人が現われた。
その巨人は現われたかと思うと小屋に尻を突いて倒れこんだ。

「あ〜、僕達の家が……」

ウォレンが出した落胆の声に、ウッソの家よ、とシャクティは小さく返した。

「それよりこれはなんなの!?」
「知らないよ〜、モビルスーツじゃないの」
「どうしてモビルスーツがいきなり現われるの!」

マルチナは暢気なウォレンをバシバシ叩く。

225:2006/04/24(月) 03:04:50 ID:???
シャクティは、そんな二人を無視して謎の巨人へと歩み寄った。
危ないよ、と言われたがそれも無視した。
エリシャはマーベットを呼びに行ったようだった。

謎の巨人の胸部が開く、中から一筋の光が飛んでいった。
次に緑のボールが転げ落ちてくる。
そして、最後に、みなが見知った少年が顔を出した。

「ウッソ!!」
「マルチナさん……! ウォレンさん……!エリシャさんも……マーベットさんも……!スージィ……カルル……!」

その場にいた全員が驚いた、しかし、中でも一番驚いていたのはやはりウッソであろう。
思わず目に見えた全員の名前を呼び上げた。
そして、気が付いた、シャクティがいない……!?

「わんっ!」

足元で犬の鳴き声がする、よく知った声だ、見下ろすとフランダースがいる。
そして、──彼女もいた。

「……おかえり、ウッソ」

彼女は、澄ました笑顔で微笑んだ、彼女だけは、平常に見えた。
ついつられてウッソも普通に返してしまう。

「……た、ただいま」



・・続く
226通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 03:19:51 ID:???
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
227通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 07:01:06 ID:???
ヤバッ、朝から興奮しすぎる!
職人さんsugeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!
228通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 07:18:56 ID:???
“ウォレンさん”にちょっと笑った…

何はともあれ神キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
もしかしてガラリアあたりも一緒に地上に来てる!?wktk
229通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 08:59:34 ID:???
>>1の筆力万歳
230通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 17:02:05 ID:???
更新が速い!
>>1のオーラ力がパワーアップしてるのか!?
231通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 18:29:02 ID:???
1さん上手いなぁ
232通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 19:37:06 ID:???
>>228
ただそれだと別にダーナオシーで戦わんでもいいような気が・・・
その辺にVやガンブラスターが転がってるはずだし。
でもそれだとオーラ力の作用が起きないからむこうに戻れないんだよな。

そういやトマーシュたちマサリク兄弟はどこ行った?
233通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 21:20:59 ID:???
Gガンに行きました
234通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 22:52:21 ID:???
>>232
多分ハイランドに帰ったんじゃないかな、最終話にいない
235通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 03:03:13 ID:???
保守からはじめよう
236通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 16:25:55 ID:ccFI6wmx
ゾロアット保守
237通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 20:47:09 ID:???
シーラ・ラパーナ様保守
238通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 00:41:54 ID:???
ハイパージェリル保守
239シーラたまぁ:2006/04/27(木) 22:28:21 ID:???
ほしゅ
240通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 21:48:19 ID:???
ハイパーザンネックって言うのがいたら、マジ恐そーだね保守
241通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 23:53:47 ID:???
>>240
ハイパーザンネック=ミニ・カイラスギリー=擬似GX

確かにやばすぎだw
242通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 03:12:25 ID:???
静止衛星軌道から一つの基地を狙撃するMSのハイパー化…

うひょーwww
お風呂入んない、一緒に?
243通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 04:34:25 ID:???

一緒に風呂に入った(入らされた)のはルペ・シノじゃ無かったか?
244通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 16:30:21 ID:???
カテジナさん まだぁ〜?
245通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 16:47:32 ID:???
>>244
忘れてたw
そうか、ウッソならカテジナを連れ戻す、
もしくは自分でケリをつけるためにあえてダーナオシーで戦うこともありえるか。
246通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 19:45:24 ID:???
対空レーダーは反応なし。敵爆撃機はいつ来るんだ…?
247通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 23:46:48 ID:???
>>246
いきなり何の話だw
248通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 00:52:04 ID:???
>>247
多分、職人様のSS絨毯爆撃の事を言ってるかと。

カサレリア保守
249通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 02:50:41 ID:???
>>245
いくらウッソでもカテジナさんにダーナオシーで勝てるとはオモエナス

カデシナさんも規格外だからなwww
好敵手であって欲しい…
250通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 03:18:34 ID:???
>>249
いや、そうじゃなくてさ。
ウッソなら戻ってくるときに二機のオーラ力が作用したことに薄々気付いてるだろうし、
だからカテジナとのケリを付けにバイストンウェルに戻ろうとするなら、
ガラリアが出て来れば性能に信頼の置けるヴィクトリーじゃなく、
オーラ力で動いてるダーナオシーで戦うんじゃないかな、ってこと。
251通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 04:55:06 ID:???
>>250
なるほどね…。
そういうことか…

で、最終的にカテジナさんはハイパー化して、ウッソに破れて失明、精神崩壊ってパターンかな?
感だけと…
Vのエンディングに繋がりそうな予感…
252通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 21:24:11 ID:???
ひょっとしてビンゴかも!
253通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 22:36:52 ID:???
おまえらストーリー予想は自分の腹の中だけでしとけ
>>1が書きづらくなっちゃうだろ
254:2006/04/30(日) 23:23:10 ID:???
構いません、構いません、全然嬉しいくらいです
頑張って斜め上目指しますので、お構いなく予想してください
ところで、ハイパーザンネックはすごい良いですね、天才ですね、ほんと怖いわッ
でも、残念ながらザンネックを出す機会が……、、惜しぃ
エンディングはもちろんぜ……げふんっげふんっ……ハッピーエンドを目指しましょう、、
ぁぁ、シーラ様の出番が待ち遠しぃ……ところですが、しばらくはお預けだ、、カテジナ様も、、その代わりシャクティ様が頑張られる、、ハズ
255通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:40:48 ID:???
一輪車のオーラバトラー










ごめんなさい言ってみただけです。 orz
256通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:00:46 ID:???
おぉっ、>>1氏登場!

ガンダムは過程が面白ければ、個人的に結果はどうでもいいので、マイペースで書いてください!


応援してます!
257通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 01:46:11 ID:???
保守
258通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 19:20:20 ID:???
This is the Aura Road It's right here♪
The sparkling lights just going through me out♪
259通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 12:45:19 ID:???
G.Wでも保守
260通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 12:07:54 ID:???
保守してもG.W
261通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 12:09:09 ID:???
やっぱageよう
262:2006/05/04(木) 21:49:31 ID:???


──第九章 カサレリア上空


終戦からニヶ月ほどが経った。
冬が来る前にと大急ぎで復旧を行っていたウーイッグの街は、
元通りとまでは言わないまでも、ずいぶんと美しい景観を取り戻しつつあった。
宇宙世紀以前の旧時代のヨーロッパのままを思わせる、そのしゃれた街並みは、彼女に、ラースワウの城下を思わせた。
しかし、明らかにラースワウでは無い、所々崩れてはいるが、建物一つ一つがラースワウより立派に見えた。
まず泥臭くも砂っぽくも無い、それに二階三階と言った大きな建物が林立している、街行く人々の格好も綺麗なものだ。
崩れた瓦礫の一角に、小型のロボットを発見する。
オーラバトラーの半分ほどの大きさで、コクピットむき出しで、その機体は瓦礫の撤去作業を行っている。
それはオーラマシンとは別の物だと感じた。
生きている感じがしない、ほんとうにただのマシンのようだ。
オーラバトラーも決して生物と言うわけでは無いが、オーラ力を使うからそういう生気のようなものがある。
質感だって硬く冷たい感じだし、動作もぎこちなかった。
ガラリアはバストールをそのマシンの傍に着陸させ、機体から降り実際に触ってみた。
「アの国にはこんなものはないはずだが……」
聞こうにも、先ほどまでここにいた人間達はバストールを見るなり即座に逃げていった、聞くことはできない。
いや、聞くまでもなく、ここはアの国ではないだろう。
とするならば、ここは地上の世界でこれは地上のマシンということになる。

ふと、空から白い綿が降ってきた。
ゆっくり、ゆっくりと、降り落ちる。触ると冷たかった。溶けて水になる。
空を見上げると、暗く曇っていた。
その空は、いや、風も空気も何もかもが、『知っているもの』とは異なっているようだった。
遠目に見ればどこかラースワウにも見えなくは無かったこの街も、こうして直に見ればハッキリと別物だ。
「どこだ、ここは……」
そう呟きはしたものの、本当はもうわかっている。
ここはバイストンウェルではない、地上の世界に出てしまったのだと──。

ダダダダダッッ

銃声が奔った。
さきほど逃げた地上人が、武器を持って帰ってきたようだ。
バストールとガラリアに向けて機銃を乱射する。
ガラリアは急いでバストールに飛び乗って、機体を空へ飛びあがらせる。
そして、撃って来た地上人へ、オーラランチャーで反撃をした。

ズブブブッブッバババァァッ

視界に閃光が広がっていく、街が炎に飲み込まれていく。
ガラリアは地上人が何かしたのだと思ったが、そうではない、それは確かにガラリアの一撃により起こったものである。
バストールのオーラランチャーの一撃は、彼女の予想の数百倍の火力を持って、ウーイッグの街を炎に沈めた。
263:2006/05/04(木) 21:55:23 ID:???
ウッソはダーナオシーから降り立つと、辺りをゆっくり見渡した。
「ここはカサレリアなんだ」
ほっと一息吐くウッソの背中を、ウォレンが押した。

「寒いよ〜、早く家に入ろうよ〜」

あんたねぇ、とマルチナが呆れている。
ウッソは、シャクティの家に入る前にもう一度自分の家を眺めてみた。
そこには、家の半分を押しつぶしてダーナオシーが座っている。
その光景はバイストンウェルであった出来事も確かに現実だった、という証明のようである。
それにしたって家の直上に現われ半壊させることは無いじゃないか、と、誰にでもなくウッソは不満を思った。

「ウッソ、心配していたのよ、いままでどこに行っていたの」

エリシャがウッソに尋ねた、エリシャはマルチナの姉である。
マーベットを除けば、彼女が彼らの最年長者で全員に取ってもお姉さんであった。
彼女達はもともとハイランドの管理人の子供達だったのだが、縁あってリガミリティア、というよりはウッソに協力をした。
最後の日、あのエンジェルハイロゥの戦いまでホワイトアークを使って共に戦い、共に生活をした仲間である。
ホワイトアークがカサレリアに不時着したあともエリシャとマルチナは宇宙へ戻ることなく、そのままこのカサレリアで暮らしていた。
あの日、エリシャはオデロを亡くしている。
正式には行方不明だが、声を聞いたから、もういないと、わかっている。
シャクティがカサレリアでウッソの帰りを待つと言ったとき、しかし、エリシャはオデロの十字架は立てることにした。
心苦しそうに見つめるシャクティにエリシャは優しく微笑んだ、きっとウッソは帰ってくるわ、と。

そして、本当にウッソは帰ってきた。

「そうだよウッソ!僕達心配したんだから〜、無事だったんなら連絡くらいしなよ〜、ニヶ月間も音沙汰無しで〜」

ニヶ月と聞いてウッソは驚く、幾らなんでも、自分がバイストンウェルへ行って二週間くらいしか経っていないはずだからだ。
だがウッソが聞き返す間もなく、マルチナが次の質問を尋ねてきた。

「それよりあのロボットはなんなの?モビルスーツなの?」

みんな興奮していた、それは嬉しいという感情によるものだった。
マルチナだけではないエリシャもスージィもみんなでウッソを質問攻めにする。
しかし、ウッソは口を開かなかった。何も答えなかった。
だって久しぶりに飲むシャクティのスープがあんまり美味しかったものだから、だから、いまはもう少しだけそれをクチにしていたかった。
答えるのは、その後で……。談笑は食後にするものだ。

264:2006/05/04(木) 21:58:37 ID:???
「コホンッ」

ウッソは一息吐く。
周りがあんまり五月蝿いもんだから、立ち上がって一息ですべての質問に答えた。

「僕は本物のウッソだよ!あれはオーラバトラーっていうの!どこにってバイストンウェルって世界に行ってたんだけど、元気といえば元気だったかな……?」

そんなウッソにみんなは唖然として笑い出した。
それがなんだかとっても懐かしかった。
会っていないのはほんの二週間足らずの間だったけれど、出会ってからだってそんなに経ってはいないのだけれど、本当に懐かしかった。
ふと、マーベットの姿を確認すると、彼女のお腹が大きくなっている。
あれが過食によるものではないとするならば、確かにこちらでは二ヶ月とか時が過ぎているようだった。
「異次元世界だものな」
理屈はわからなくても、そう思うだけで時の流れの違いが納得できるような気がした。
数百年とか過ぎなかっただけ幸いかも知れなかった。SFでならよくある話だ。
とはいえ、ニヶ月分シャクティに追いつかれたのかと思うと、少し憂鬱ではある。

……とにかく帰ってこれたんだ。

ウッソはほっと胸を撫で下ろす。
バイストンウェルの未来とか、シーララパーナのこととかも気にはなったが、
無事に帰ってこれたことに比べれば、それらは些細なことなのかも知れなかった。だから、心が休まった。
それはこの世界のことだってそうだ。
ザンスカールがどうなったのかとか、これから連邦軍がどうなるのかとか、そんなことだってどうでも良かった。
目の前に、みんながいて、自分がいて、カサレリアに帰ってこれたのだから……。それで幸せだと思った……。

 ドッゴォォォッン

遠くで、ずっと遠くで大気が振れた。大音となって耳に轟く、小屋の戸が振動をする。
何?とマルチナが窓を覗いた。ウーイッグの空が、赤黒く燃えていた。


265:2006/05/04(木) 22:03:41 ID:???
「ウーイッグが攻撃受けてるよ!」

ウォレンがみんなにわかるように叫んだ。
窓はウォレンとマルチナが占拠していたから戸をあけて外に飛び出して、ウッソはウーイッグを見渡した。

「誰に!?」
「ベスパの残党じゃないの?」

ウォレンが答えた、声や態度は焦っているが、言葉自体はやはり間が抜けている。
ゆっくりと小屋から出てきてマーベットが続けた。

「それはないと思うけど、なんでウーイッグなのよ、やるならラゲーンのはずでしょ」

どういうこと?と呟いたウッソにスージィが教えてくれた。
今は、ラゲーンの基地には連邦軍が駐留しているそうだ。

「なんか飛んでる!」

マルチナが双眼鏡を眺め、言った。
ウッソは貸してと断って、しかし返事はまたずに双眼鏡をとりあげた、さっそく覗く。
上端のスイッチを操作して画像を拡大させる。
鮮やかな桃色の飛行体が見えた、桃色と言っても、ゾロのようにビームローターの光がそう見えるのではなく、本体が桃色だ。
さらに言えば、ビームローターなどは使わず飛行している。
それが何であるか、ウッソはよく知っていた──。

「バストール!!」

急に叫んだウッソにみんな驚いて振り向くと、
なんでもないよ……と誤魔化して、しかし、ウッソはダーナオシーへ走っていった。

「どこへいくの!?」
「……し、知り合いなんです、すぐ戻りますから! ウォレンさん、スープ全部食べてしまわないでくださいね!!」
「えぇ〜〜」
「バカっ」

ウォレンの頭にマルチナの拳が炸裂したころで、ダーナオシーの胸部ハッチがガッチリ閉じた。
ゆっくり立ち上がるとそれはそのままは飛び立っていく。
仰ぐ風を手で避けながら、唖然とするみんなにマーベットが言った。

「……まぁ、ウッソのすることだから」

シャクティは、それに微笑みで同意すると、さっそく夕食の支度を始めた。
どうせお腹空かせて帰ってくるに決まっているんだから。



266:2006/05/04(木) 22:07:06 ID:???


「なんだ、あの大型のオーラバトラーは……ラウの国の新兵器か!?」

不意にレーダーが異常な反応を見せた。故障のようだ。
ついさきほどまでバインストンウェルのときよりも良好に稼動していたはずだったのに。
しかし、いまはまるで役に立たず、何も映らない。
ガラリアは何かが来る前触れだと感じた、嵐の玉とかそういう物に出会う予兆なのかも知れない。
もしかすれば、バイストンウェルへ帰れるのかも知れないとも思った、しかし、それは違った。

視界に、二隻のオーラシップが映る。
初めて見る特異な形の物だ、ブルベガーやゼラーナよりも随分粗末なつくりで、砲塔なども見当たらず、
細い鉄骨の間に大型のオーラバトラーが二機づつ絡み付いている。
次の間には、そのオーラバトラーが艦より飛び出し降下した。そう、降下した。
オーラバトラーならそのまま飛行するはずだが、その大型のものは地面に落ちるように降下した。
そしてオーラシップは離れていくようだった。
「……あれは地上のマシンなのか」
見たことが無い特異な形状のオーラマシン、いや、マシン。
ここが地上の世界だというならば、地上のマシンが現われても当然、いや、それこそが道理である。
そして、地上のマシンが現われるということは、ここが地上界であるという証明にもなった。

その地上のマシンは薄紫の淡い色をしていて、アンテナなどが無いため頭部は丸く、言い方を代えれば丸坊主のような面構えであった。
だから、全長はオーラバトラーの倍は有りそうであっても、威圧というものは感じられなかった。
それは単純に、かの機体はオーラコンバーターを積んでいない、ということもかも知れない。

しかし、そのマシンが光の盾を展開すると、さすがにガラリアを震撼させた。

地上のマシン──ジェムズガンは現地球連邦軍の制機であり、主力のモビルスーツである。
が、開発は三十年も昔のものだ、そのためザンスカール侵攻の際にはことごとく破壊されてしまった。
と言っても、バイストンウェルからするならば500年は進んだ機械技術の塊のものだ。もっともオーラコンバーターを除けば、の話ではあるが。

光の盾、ビームシールドを展開しながらウーイッグへ接近するジェムズガン。
彼らが見慣れぬ機体──バストールがもしモビルスーツで核融合炉を搭載しているとすれば、迂闊に街の上空で撃破するわけにはいかない。
威嚇をかけて街の空から追い出すか、それとも、ビームサーベルを使い爆破しないように撃墜するか、この二択しかなかった。
が、ビームサーベルによる接近戦など、技術的にも度胸的にも、この場にいる連邦の軍人達に出来る話ではなかった。
迂闊にもミノフスキー粒子を散布したために未確認機に通信をいれることは出来ない。
だからジェムズガンは外部音声で未確認機に呼びかける。原始的な方法だが、未確認機に集音機が搭載されていれば通じるはずだ。
267:2006/05/04(木) 22:09:56 ID:???

「私はアの国のガラリア ニャムヒーだ!」

未確認機からの返事が響く。スピーカーから聞こえるが、これは通信ではなく集音したものである。
桃色の小型のモビルスーツらしき未確認機は、ジェムズガン隊の上空を駆けていった。
背中に回られた、と思った。
これはザンスカールのゾロと戦うときによくあることだった。その機動力と飛行性を生かして敵機はこちらの背中についてくるのだ。
ビームシールドさえ展開していれば、まず正面から撃墜されることはない、こと、地上戦においてはそうだった。
しかし、その信じ込みから連邦軍はザンスカールに大敗を喫してしまった。
連邦軍のパイロットからすればゾロの飛行性能と機動力は計算外のことであった。
訓練では相手の機体もジェムズガンと同等の機体と想定していたからだ。そう言うと大敗は仕方ないものと聞こえるがそうではない。
三十年も経てばジェムズガンが旧式になると、そんなことは子供にでも予測が出来るはずのことだった。それを出来ないのが連邦軍である。
もちろん平和であれば兵器の開発など進めるべきものではないし、兵の鍛錬などする必要ないことではあろう。それは幸せなことだ。
しかし、世は平和だったのか、本当にこの三十年間平和だったのか。それは違う。
知らないところではいつだって戦争と言うものがあった。ただ、自分達に直接害をなすほどの、危機を感じて立ち上がるほどの戦争が無かったという話である。
ザンスカールの地球侵攻だって連邦はほとんど容認していた、リガミリティアが、ジンジャハナムが無理に尻を叩いたというだけのことだ。
それだってすべての連邦軍というわけではない。結局は他人事なのだ。それは連邦というよりは人という生き物がである。
それほどに、人は、人の世界は、人類の繁栄というものは、大きく広がっていた。

背中を取られた、と考えたジェムズガン隊は、急いで機体を振り向かせた。
振り向いた前方の空に、さきほどの未確認機が飛行している。その真下が森であることを確認した小隊長は攻撃開始の合図をした。
放つビームライフルが、空にピンク色の軌跡を描いていく。
五本六本、七本八本、無数の光の線が未確認機を狙って放たれる。
しかし、一発も当たらない。
当然と言えば当然だ、かの機体は、ゾロより小さく、ゾロよりも速いのだから。

ガラリアは、撃って来た地上のマシンにオーラランチャーを撃ち返す。
少し躊躇った、が、向こうがやる気ならばこちらもやる、それが騎士でありガラリアである。
光の線を起用に掻い潜りながら、敵のマシンの一機にオーラランチャーを叩きこんだ。

ズドォンッ ゴオオオオッ

風が吹く、嵐のような旋風が、バストールの視界に広がった。
吹きあげられた土や黒煙が、風の軌跡を描くようにして舞って飛ぶ。
機体が少しだけ揺れた、正面では、白の炎と黒の煙が吹き上がっていた。
その光は恐ろしいものだった。
ウーイッグへ撃った初弾よりも凄惨だった。

268:2006/05/04(木) 22:12:51 ID:???
燦然とする僚機の爆発に、ジェムズガン隊はおののいた。
そういう事態も想定して各機の距離は取ってあったため、爆発の余波で機体が損傷することは無かった、が、恐怖があった。
ザンスカールが敗北してからニヶ月、女王マリアを失った帝国は、想像以上に早く、脆く、崩れた。
特別に抵抗を見せることも無く降服し、テロなどもほとんど無かった。
平和だった。気が抜けていた。
まさか、またこうして命を賭ける日が来るとは思わなかった。それもこんなにも早く。
また十年とか二十年、ひたすらこの青空を見上げて地球で暮らすのだと思っていた。
だから、余計に恐怖した。
恐怖した人間は錯乱する、死にたくないから必死になる、必死な行動という奴は、酷くシンプルで、浅はかなものだ。
ジェムズガンのパイロットはひたすら未確認機への射撃を続けた。冷静ではない射撃など余計に当たらないものだった。
そのうえ、それはガラリアを逆上させる結果になった。

想像以上の爆発だった。あまりに、黒い爆発だった。
ガラリアはオーラランチャーを放つのを少し躊躇した、しかし、向こうがさらに撃って来るというのなら、やはり撃つ。
基本的に騎士というものは、敵に背中を見せることはしない。
敵機の光線砲は、フレイボムやオーラショットとは比べ物にならない破壊力がありそうに見える。
一発でも当たればこちらも命が危ういと思えた。それは彼女の闘志を燃えさせる。

ニ撃目のオーラランチャーがジェムズガンへと放たれる。
ジェムズガンは回避行動をしなかった、それが間違いだった。
二機目のジェムズガンも白炎に包まれ消滅していった。

「ビームシールドを展開していたはずだ……」
それは光景を見ていた小隊長の感想だった。
僚機は確かにビームシールドを展開していた、それなのにこの爆発だ。
たまたま弾頭がシールドに触れなかったとしても、それで壊れるのは腕とか足とかそんな部分で、エンジンが誘爆するなんてことは無い。
ということは、敵の攻撃はビームシールドを突き破ってエンジンに直撃していることになる。
大型のメガ粒子砲ならそういうこともあるのだろうが、正面の未確認機は、酷く小型で、装備だって小さなハンドランチャー一つのはずだ。

さらにもう一機の僚機が、回避したにも関わらず、爆破の炸炎を受けて、核爆発を起こした。
敵が放ったランチャーは、地面に着弾したかと思うと大きな閃光を引き起こす。それは、熱とか炎とかいう閃光だ。
新原理のナパーム弾か、小型の核兵器によると思われる、それほどの規模の爆発だ。光が広がっていく。
僚機はそれに飲み込まれるようにして包まれた。その次の瞬間には、エンジンが誘爆したのであろう、さらなる大爆発が起こった。
すでに、三機のモビルスーツの核融合炉が吹き飛んでいる。
空は酷く黒かった。
269:2006/05/04(木) 22:17:57 ID:???
「ハハハ……、なんだ、案外脆いじゃないか、見かけだけか……!」

それが、ガラリアが地上のマシンに持った感想である。
光の盾、光のライフル、いずれもバイストンウェルには無い超装備だったが、しかし、それらの三機を容易に撃墜できた。
「しかし、なんというんだ……、バストールのこの威力は」
ガラリアはそれを、地上に上がって自分のオーラ力が拡大したのだと理解した。
地上に上がってからのバストールはすこぶる調子が良い。運動も速度も反応も見違えるように鋭敏だった。
地上のマシンを容易に撃破出来たこともそれゆえのことであろう。
例えば、水を得た魚のように。これは元々地上で扱うべき物だったのだと言うように、オーラバトラーの性能は拡大していた。
ショット ウェポンが地上人であることを考えるならばそれも理屈ではある、しかし、地上のマシンこそ地上人が作ったもののはずである。
バイストンウェルで作られたものが、地上に現われて真価を発揮するということは、ガラリア ニャムヒーが地上へ出現したことも必然と言うことになる。
世界は時にして、そうやって言葉を語るものだ。
ならば、異常なほどに火力を上げたこのオーラランチャーが語るのは、地上を焼き尽くせという啓示であるのかも知れなかった。
しかし、ガラリアが望むものは騎士としての殊勲であり、世界の破滅ではない。
バイストンウェルにおいて、アの国において、自分の家の名を知らしめて名誉と領土を得るというそんなことだ。
だから、地上世界になど用は無かった。
自分がここにいることは何かの間違いで、そして、すぐに戻れると、そう考えたかった。
バストールのこの異常な力は、世界による差異ではなく、自身の成長によるものだと信じたかった。
そのほうが、自尊的だと自負する自分に合っていると思えた。
だが、この黒く吹き上がる粉塵は、自分の力というものを遥かに超えているように思える。
地表には三箇所ぽっかりと穴が開いている。穴の周囲は燃えていたが、穴の中心に炎は無かった。ただ、黒く。ただ、黒く。

ビヒューンッ ビヒューンッ

眼下に最後の一機の地上のマシンの姿が映った。
だがそれは、もはやただのうすのろの木偶の坊にしか見えない。
視界の上に、下に、左に、右に、赤白い光跡が次々映えたが、それらが当たる気配は無い、もはやでたらめに乱射しているだけのようだった。
ガラリアは、その最後の一機に向けてオーラランチャーを構えた。撃つ──が弾が出ない。
弾切れだった、予備弾装はまだある、とはいえそれだってあと二つ。
ここが地上の世界だというならばそれを無闇に使いきるわけにはいかなかった。
ガラリアは、バストールの右手に剣を抜かせると、最後の一機を剣で刻むべく降下した。
270:2006/05/04(木) 22:22:29 ID:???
ジェムズガンは必死で迎撃するが、ライフルが当たらない。
急に敵が降りてきたということで、操者は余計にパニックを起こしていた。
背後に回られる、しかし、機体を振り向かせても視界にはいない、センサーはまた背後を指した。
背部スクリーンを正面に出す、しかし映らない、次は右と示される。右を見た。いない。
ジェムズガンのコクピットは、全周囲モニターであるから、足元と完全な背中以外に死角は無い。それだって、正面のモニターに呼び出せば見ることができる。
しかし、結局、生身の人間にだって死角はあるのだから、そんなものは完全ではない。
平凡なオールドタイプであるこのパイロットに、バストールを見切ることは出来なかった。
「──上か!?」
わかった瞬間に衝撃が奔る。衝撃を感じるのだから即死では無いらしい。
斬られたというよりは何かをぶつけられたという感じに、コクピットに強い揺れが奔った。
バストールが剣を突き降ろしたのだった、しかし、貫けなかった。ジェムズガンはこう見えても装甲はガンダリウムである。
しかし、空へ身構えていたジェムズガンは、壊れなかったものの突きの衝撃でそのまま仰向けに倒れた。

「何故、貫けない……!」

ガラリアの声である、今度も、容易に撃破できるものと踏んでいた。
しかし、結果がこれである。
バストールの黒身の太刀が、地上のマシンの肩部の装甲に弾かれた。
ガラリアが目を見開いた、その瞬間、地上のマシンの右手に何かの筒があった。
それは光を放つ、光の剣であると直感で感じ取った。光の銃が有り、光の盾が有れば、道理である。
──危機を感じた。

「ふうああ!」

バストールは、もう一度、剣を振り下ろす。両手にキツク握り、振り下ろす。
一瞬、剣が蒼く輝いたようにも見えた。
剣は、ゆっくりと、それでいて快速に、地上のマシンに突き刺さっていった。
無理やりに刺さるのではなく、まるで吸い込まれていくかのように。
力で押し刺していることは確かなのだが、相手の装甲の抵抗というものを感じない、受け入れているのかとも思えた。
ズブブッ、ガサツではない軋みを立てながら、バストールの剣はジェムズガンのコクピットを貫いていく。

「剣にもオーラ力が篭るというのか……」
271:2006/05/04(木) 22:28:05 ID:???
ウーイッグの空に黒いきのこ雲が三つあがると、ウッソ エヴィンは慨嘆の想いにかられた。
ダーナオシーはバイストンウェルにあった頃よりも飛行速度が上がっている、と感じたが、だがそれでも遅かった。
一つ目の雲が上がった頃にカサレリアを飛び出して、そして今、ようやくこの場に辿り着いた。

眼下には、ジェムズガンに馬乗りしてコクピットを突き刺すバストールの姿があった。
紛れも無く、この惨状は彼女の仕業であった。

「ガラリアさん……!」
「おまえか……」

ガラリアにはウッソの声が聞こえた。
正確に言えば、音の波という声ではない。意思の声、もしくは、ダーナオシーの姿を確認したガラリアの脳が見せた幻聴なのかも知れない。
彼は、この地上世界において、唯一知ったる仇敵である。

「何故、こんなことするんです!!」

今度はしっかりと耳に聞こえた。
ダーナオシーの拡声機とバストールの集音機を隔てたその声は、多少くもっていても、確かにあの少年の声の音だ。

「先に撃って来たのは地上人の方だ!」
「そうかも知れませんけど……!」

地上の人間が正体不明のバストールを攻撃することは当然であり、ガラリアがそれに反撃するのもやっぱり当然のことである。
だが、当然、なんて言葉で片付けるには、あまりにその光景は惨たらしかった。

ガラリアがウーイッグの街に撃ったランチャーはたったの一発だったが、それは街を劫火に沈めていた。
このときはまだ、オーラランチャーがこれほどの威力だとは知らなかった。ただ、ライフルやバズーカを撃って来た地上人だけに反撃したつもりだった。
続いて三機のモビルスーツが核爆発を起こした。幸い街の外でのことではあるが、距離はかなり近かった。
特別区の街と外界とを隔てていた外壁は無残にも崩れ去り、街中にも粉塵と爆風が照り付けていた。
黒煙をいっぱいに吸い込んだ黒雪だけが、しんしんとウーイッグに降りそそぐ。

「それに……、地上人たるおまえが敵ならば、ここは私にとって敵地だろう……!」

ジェムズガンから豪快に剣を引き抜くと、バストールはダーナオシーへ向かって飛び上がった。
あわてて回避行動を取るウッソ。

「敵って……! 敵なんですか!?」
「敵だろう!!」
272:2006/05/04(木) 22:33:31 ID:???
間違いなく敵だ。
ガラリアはドレイクの騎士であり、ウッソはドレイクに抗う者であるのだから。
そんなことはこの地上世界においてはなんの意味もないことではないかと思えても、
意地というものがある人間には『そんなこと』こそ何の意味も持ちはしない。
ただひたすらに、ガラリアはこの世界において唯一の仇敵に切りかかる。

どうして、そんなにしてまで戦おうとするのか、ウッソには理解できない。
だから、ひたすらに逃げた。
バストールの太刀を弾き、躱し、説得を続ける。しかし、通じない。

さきほどまでカサレリアでシャクティのスープを飲んでいたウッソに比べれば、
いきなり地上界に投げ出され、いきなり未知のマシンとの交戦を強いられていたガラリアの神経が昂ぶっているのは無理もないことである。
そう自分に言い聞かせて、必死に焦燥を抑えて、ウッソは説得を続けた。
が、次の瞬間にはウッソも冷静ではいられなくなった。
バストールがオーラランチャーを放ったのだ。ダーナオシーに命中したのではない、回避した。その後が問題だった。
背後に、異常な広がりを見せて火焔が立った。
百年かけて地球に再繁していた木々の森々が、一瞬で焦土と化した。
幸い、方角はカサレリアとずれていた。しかし、一歩間違えれば、それは、最悪な結果を生んでいたと想像させる。

「……ガラリアさん!」
「私だって知らなかった!」

剣と剣が衝突する。
逃げれば、これを撃つ、ガラリアのさきほど射撃がそういう脅しだとわかったから、ウッソは正面から剣を受け止めた。
しかし、正面からぶつかればダーナオシーがバストールに敵うはずは無い。
だが、このパワーのぶつかり合いはそういうマシンの性能なんていう次元の戦いとは異なっていた。
機体に、剣に、込めた想いが強いほうが勝つという、なんとも夢想的な戦いだった。
しかし、オーラマシンがバイストンウェルの産物であるというのならそれもまた道理であろう。
剣と剣の狭間から、蒼い光が迸る。
それは、エルフ城上空の衝突の再現のようでもあった。
だが、ダーナオシーの剣の煌きは、あのときに比べ酷く弱い。バストールの方が一方的に輝いているようだった。
次の瞬間、ダーナオシーの剣がザックリと斬れた。
剣先を翻し、ガラリアはいよいよダーナオシー本体のボディを狙う。
右腕が持っていかれた。
しかし、それで済んだのはとっさに機体をずらさせたウッソの技量の賜物だ。
ダーナオシーに残された武器は左腕のミサイルのみだ。しかし、それは撃ちたくない。
バストールのランチャーをダーナオシーのミサイルが再現するとは限らなくても、可能性があるならば撃てないというのが、
ウッソがこの危機に面してなお理性を残している証拠であった。
ウッソはひたすら機体運動による回避で逃げた。それでオーラランチャーを撃たれてもそれは仕方ないことである。
最悪、カサレリアにランチャーが飛ばないようには気をつけた。
この時代、特別区以外にほとんど人間はいない、だから、森の上を飛べば森が焼けたとしても人は死なない。
しかし、自分達のような不法居住者がいない保障は無いし、森だって動物だって、あんなもので焼け殺して良いものだとは思わない。
だが、それでも仕方が無いのだ。
続けられるガラリアへの説得は、もはや命乞いにしか聞こえていないのかも知れなかった。
273:2006/05/04(木) 22:37:09 ID:???
不意に、ウッソにとっての救援が現れた。

「なんだ……! あの巨大なオーラシップは……!?」

ガラリアのウッソを追う手が止まった。
目の前に現われた、余りに巨大な艦影に目を疑ったのである。それも三隻だ。
ブルベガーの数倍はある、いや、10倍はあるかも知れない、さきほど倒したのと同じ型の地上のマシンを多数引き連れていた。

「ラーカイラム級!?」

ラーカイラム、それは五十年以上前に開発された連邦軍の宇宙戦艦である。
しかし、五十年前の物に比べれば改造と補修を加えてあるし、ミノフスキークラフトにより大気圏内航行も可能である。
ジェムズガン同様、いまだに地球連邦軍の主力として配備されている。とは言っても、ウーイッグの周辺には無かったはずだし、あったとしてもとっくにベスパに破壊されているはずだ。
しかし、外出前のスージィの発言を思い出した。あれはラゲーンの駐留部隊のものだろう。
ラゲーンは、ザンスカールのベスパ侵攻の際に一番初めに攻撃を受けた地球の都市で、制圧後はザンスカールの地上最大の拠点となっていた。
いまでは、連邦軍の統治下に戻っているらしい。

「前方の未確認モビルスーツに告ぐ、直ちに武装を解除して我が方の指示に従え」

通信機から声がした。ミノフスキー粒子はまだ散布していないようだった。
怒喝するガラリア、止めるウッソ。

「黙れッ!」
「ま、待ってください!」
「直ちに機体を降ろし、こちらのモビルスーツの指示に従え! 従わぬ場合は撃破する!」

ウッソは、少し木が少ない空き地へあわてて機体を降ろした。そしてミサイルパックを捨て左手をあげ投降を表す。
しかし、ガラリアはそうはしない、降りたダーナオシーに向けてランチャーを放った。寸前で飛び上がり回避する。

「……ガラリアさん! あれだけの機体全部と戦うつもりなんですか!?」
「必要ならそれもする!」
「体が持ちませんよ!」
「私を女扱いするのか!」

そんなこと……、しかし、激昂したガラリアに言葉は届かない。
それもオーラ力の拡大による一旦なのかも知れなかった。
274:2006/05/04(木) 22:40:55 ID:???

「ハァハァハァハァ……!」

しかし、ガラリアは実際に体力的な限界を感じてはいた。
ランチャーの予備もこれで最後だ、十も二十もいるように思える地上のマシンすべてに勝てるとも思えなかった。
だが、どうせ、ここは地上の世界だと思えば、それでも良かった。
それにバイストンウェルが魂の世界だと言うなら、それで帰れるのかも知れなかった。

「死んだらダメなんですよ!」
「……!?」
「どうしてそうやって死に急ごうとするんです!!」
「……黙れ」

ゆっくり小さく言い放つと、しかし、ガラリアは飛び去った。
連邦軍に投降はしなかったが、戦いは避けた、死は避けた。
ウッソの言葉が届いたのかも知れなかった。
そう思うとやっと一息が吐けた。

旗艦であろうラーカイラム級は残り、随伴のクラップ級二隻はバストールを追っていった。
しかし、速度からするならば追いつかれることはなさそうだ。

降服の仕草を示すダーナオシーの周りに、ジェムズガンが数機降りてくる。

「所属と名を名乗れ!」
「う、ウッソ エヴィンです! リガ……ミリティア……の……」
「リガミリティア?」

リガミリティア、と声に出した後で少し後悔をした。
今現在リガミリティアがどうなっているか知らなかったし、自分以外の人間を巻き込むことにもなる。
そして何より、何故か恥ずかしかった。
それは例えば不始末を起こしてしまって親に泣き付く子供のような心境だった。



・・続く

275通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 22:47:00 ID:???
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
いつもながら乙です、>>1氏!

何だか最近、あなたのSSの影響でガラリアさんがすごく可愛く見えます…
276通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 00:13:21 ID:???
>>1氏GJ!
さて、このままいくとやはりダーナオシーはMSの技術を転用して改修か?
277通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 03:47:02 ID:???
    _  ∩
( ゚∀゚)彡 GJ!GJ!
 ⊂彡

地の文がちゃんとトミノ節してるよ

>>275
原作でもこの辺でかわいくなってましたな。
278通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 06:11:10 ID:???
仕事から帰ってきてみれば……ヽ(゜∀゜)ノGJ GJ
279通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 06:31:10 ID:???
なんという職人さんだ……GJ
280通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 14:55:30 ID:???
お、恐ろしい出来だ。これは保守しないと。
つか、そろそろ絵描き職人さんの出番を求む!
281通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 15:09:47 ID:???
>>280

壁|∀・) ジー

壁|∀・) …今迄遠慮してたんだけど、描いていいの?
282通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 15:57:12 ID:???
280じゃないけど超期待
283通常の名無しさんの3倍:2006/05/06(土) 23:31:18 ID:???
更新している!?
284通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 00:52:23 ID:???
オーラバトラーの攻撃力が数百倍ってなんだそりゃ。
285通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 01:30:18 ID:???
>>284
ダンバイン見たこと無い人?
286通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 02:30:01 ID:???
スパチュー
287通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 02:49:27 ID:???
あーでも俺も初めてダンバイン見たときはビビった
オーラバリアもビームしか弾けないと思ってたw
288通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 10:45:18 ID:???
>>284
地上に出るとそうなるの、核攻撃も効果が無いくらい。
まあ、それでも戦おうとする地上人の熱い連中には燃え…なんだが。
289通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 17:37:21 ID:???
あの頃から主人公の両親ときたら('A`)
290通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 17:51:47 ID:???
方向性は違うけど、
ウッソもショウもあまり両親に恵まれてたとはいえないキャラだよな。
291通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 20:00:08 ID:???
鈴木くんも微妙な親だ。
292通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 21:07:19 ID:???
トミノ作品で両親に恵まれてるヤツって少なくない?
っていうか俺の知るかぎりいないんだけど…
293通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 21:08:42 ID:???
>>292
アノー父は?
294通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 21:50:55 ID:???
カツ
295通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 22:27:16 ID:???
ロランの両親は人間が出来てそう。
出てないし存命かも分からんけど。
296通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 22:59:25 ID:???
小説版読んだかぎりではダメポ>>セアック家
297284:2006/05/09(火) 00:10:38 ID:sXpch8Ps
>>285
リアルタイムで見てた年寄なので、地上編は両親がなんか嫌なキャラだったことぐらししか覚えていません。

ただ言われてみると、288さんが書いてるように核攻撃にも耐えてましたね。
298通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 00:14:49 ID:???
まぁ落ち着け
299通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 00:16:56 ID:???
>>297
覚えてない?ガラリアが新宿にオーラランチャー撃って何万人も死ぬシーン
俺は衝撃的だったけどな、いきなりだったし
300通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 00:41:24 ID:???
300ゲトc
301通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 02:11:41 ID:???
敵爆撃機の気鋭は見当たりません。引き続き警戒を続行します
302通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 04:36:05 ID:???
>>293
アノー家か、映画なんでなんですっかり忘れてた…
珍しくあそこん家はいい家族だったな〜

>>299
ミサイル一発がdでもねー威力だったな〜、確か…

個人的には『リモコン作戦』が好き。
テラアツスw
303通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 23:54:10 ID:???
水を差すつもりは無いが、1つだけ言う。


× フレイポム
〇 フレイボム


どうにも気になってしょうがない
3041よん:2006/05/10(水) 01:48:22 ID:???
>>303
それはそう思って初期はフレイポムって書いてたんだけど
オーラバトラー戦記読むとフレイボムになってたからフレイボムの発音の方が良いので後からはこちらを取った
元々、英語の発音をカタカナで表現してるってだけなのでどっちが正解とかは無いはず、強いていうならスペル書かない限りどちらも正確ではない
まぁ、英語って言うかバイストンウェル語?でも、ショット様が名づけたのならやっぱり英語かな
305通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 05:42:18 ID:???
>>1氏登場
キターーーーー(゚∀゚)ーーーーー!!
↑携帯サイズ



フレイボムのフォーメーションなっていったけ?
艦砲射撃並の威力があったよな〜

個人的にはガンダムよりバイストウェル物語系の好きだったりもする…。
リーンの翼とかガーゼィの翼とか…
306通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 15:08:07 ID:???
珍しくあそこん家はいい家族と言いたいところだが母親がな
307通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 18:40:57 ID:???
>>306
アノー博士は、小鳥になった人よりもマシだと思う。
トミノ作品の中だと比較的善人の方だと思う
308通常の名無しさんの3倍:2006/05/11(木) 21:15:03 ID:???
小鳥になった人って誰?
309通常の名無しさんの3倍:2006/05/11(木) 22:51:43 ID:???
カミーユの母ちゃんの昼だ・美談
310通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 18:12:48 ID:???
俺はショウの両親は立派だと思う。
あの訳わからん状況で、ちゃんとショウをショウとして認めて
いち日本人としてのショウの立場も守ったんだから。
対外的に、ショウを否定して見せる事でね。
311通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 20:44:29 ID:???
しかし子供にとっては切ないよ
312通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 22:54:05 ID:???
          ,';:``' ‐ョ 、 ,_ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; , - '"l;:;:;:;:l
          l;:;:;:;:;:;:;ミ   ` ` '' ー -‐ '"    ,リ;:;:;:l
          l;:;:;:;:;:;:;:ゝ   く三)   (三シ  `ヾ;:t、
         fミ{;:;:;:;:f'´  , -−-_,, _,ィ 、_,,ィ,.-−、  };f }
         l トl;:;:;:;:l  、,ィ或tュ、゙:ミ {,'ィt或アチ l:l,/
         ゙i,tヾ:;:;:!  `ヽ 二ノ   ト ` ‐''"´  l:l:f
          ヽ`ー};:l       ,r'、   ヽ      リ_)
           `"^l:l      ,/゙ー、  ,r'ヽ    l
             ゙i    ,ノ    `'"  丶.   ,' 麿をだましやがったな!!!!
               ゙l、   ′ ,, ィrェェzュ、,_ 〉 } /
              ',ヽ  ヘヾ'zェェェッ',シ' //ヽ
               } 丶、 ` ー--‐ '"'´,/ノ:.:.:ヽ
              /l   丶、      ,.イ:.:.:.:.:.:.:.:丶、、


313通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 02:58:17 ID:???
ヒイイイイイ
314:2006/05/13(土) 18:42:25 ID:???


──第十章 地上の人々


『ハロハロ!』
『ダメぇー!』

耳を開いてパタパタ跳ね回ろうとするハロを、エルは必死に押さえつけた。

エルがダーナオシーのコクピットから降りると、まず目に付いたのは空から降る雪だった。
雪と言う名前は、コクピットでウッソが叫んだからわかるのだ。
雪がエルの頭にボソッと落ちた、冷たくて悲鳴が出た。
必死に降りそそぐ雪から逃げ回るエル。半壊したウッソの家の内側へと逃げ込んだ。
ウッソはそれに気が付かない。
地上へ帰って動転していたということもあるし、みんなが懐かしくってエルどころではないというのが本当でもあった。
ウッソを含めた人間達は、みんなもう一つの小屋へ入っていく。
置いてかれまいとエルは必死にハロだけは呼び止め押さえつけた。
『エル ドシタ?』
『ここは地上の世界なの??』
『ココハ ウッソノ イエダ』
ここが地上人のウッソの家だということは、ここが地上の世界であるということになるわけだ。
ミフェラリオにしては賢いほうのエルはそのことを理解出来た。

地上界、シーラに何度も尋ねたことがある。
ワーラーカレンやインテランよりもさらに上にあるという世界。バイストンウェルではない世界。
フェラリオなどはどこにも存在しない、存在してはならない世界。
そんな風に考えれば、急にここにいることが恐ろしくなった。
『シャクティ!シャクティ!』
『待ちなさいよォ〜!』
もう一つの小屋へ行こうとするハロの耳を、エルは引っ張って連れ戻す。
『あれはなんなのよ?』
『ユキカ?』
雪という名前は知っている、だが、それだけだ。
これは何なのか、もしかしたら触れたら死んでしまうのではないか、何もわからないのだ。
それは地上という言葉にも言えた。
バイストンウェルでは、強獣や燐の光に戸惑うウッソに、得意げに説明してみせたものだが、
ようやくもってあのときのウッソの気持ちがわかったような気がした。
知らない世界にいるということは恐いことなのだ。
315:2006/05/13(土) 18:43:48 ID:???
しばらくすると、ずっと遠くに炎があがった。爆発だ。
もっと高いところから見たいとは思ったが、雪が怖かったのでエルはその場を動かなかった。
ウッソが隣の小屋から出てくる、一目散にダーナオシーのコクピットに走りこんで発進した。
「待ってよ〜!」と飛び出したものの間に合わない、エルは乗り遅れてしまった。
そのエルの姿を見つけてウォレンがギョッとした。

「うわあっぁぁぁあ」

腰を抜かして倒れたウォレン、ぴくぴくとエルを指差した。
しかし、そこにはもうエルの姿はない、またウッソの家に隠れたのだ。

「何よ?」
「妖精がいたんだ!」
「は?」

マルチナがうんざりした表情でウォレンの首根っこを掴んで小屋へと引きずっていく。
「ほんとだよ〜」と追いすがるウォレンだったが「はいはい」とあしらわれてしまった。
その時、スージィがエルを見つけた。

「妖精さんだぁ!」

慌ててハロの後ろに隠れるエル、足を止めるマルチナ、「ホラッ」と自慢げに唸るウォレン。
シャクティがスージィのもとへ歩み寄っていく。

『シャクティ!シャクティ!』
『ハロのうらぎりもの〜っ!』

シャクティへ跳ねて行くハロに見切りをつけると、エルは半分に割れて倒れたテーブルの陰に身を隠す。
が、犬に吠えられ慌てて飛び出した。

「妖精……さん……?」

そう尋ねたシャクティに、エルは最高に甲高い声で返事した。

『ミ フェラリオよぉっ!』

316:2006/05/13(土) 18:45:31 ID:???
ミフェラリオのエルは、シャクティの家に案内されると、とりあえずスープをご馳走となった。
「食べられるのかしら」というのはシャクティの杞憂である。
指をそっとスープにつけて味見をして、食べられると思ったのか起用にスプーンを操って啜りだした。
シーラの子飼いだっただけはあって、エルはミフェラリオの中では上品なほうである。
シャクティの野菜スープは、エルの冷えた体にとても美味しく感じられた。
バイストンウェルの食べ物と比べても特別大きな無い違いは感じなかった。

そんなエルの姿を、スージィはマジマジと見つめた。
ウォレンも見つめていたのだが、何故かマルチナに殴られた。
「どこから来たの?」とエリシャが問う。

『バイストンウェルよー』
「そういえばウッソもそのようなことを言っていたようだけど……」

ハロはシャクティのその言葉だけで命令を理解して、シャボン玉を吐き出した。
気が利くロボットである。
このシャボン玉は、ハロが記録した映像を投影するときに使うものだ。
次々とバイストンウェルでの光景を映し出していく。
最初に映ったのは数機のボゾン、初めてウッソがバイストンウェルにやってきて、囲まれた時の映像だ。
次に映ったのはウロポロス城の上空からの映像。そして、シーラ ラパーナとの初対面。
『シーラさま〜!』と、エルは感嘆の声をあげる。
「止めて」と、シャクティはハロに命令をした。

シャボン玉には、シーラと呼ばれた緑の髪の女性が映っている。
ハロが録画した、あまり鮮明とはいえない画像であっても、その人は輝いてみえた。
整った、しかし柔らかみのありそうな白い肌、強い意志が篭った赤い瞳、ゆるぐことの無い凛とした唇。
「綺麗な人……」と呟いたウォレンはマルチナに小突かれた。
マルチナの気持ちはシャクティにもわかった。
次の映像で顔を真っ赤にしているウッソを見ると、本当によくわかった。
「この人は私の敵になるのかもしれない」
そう感じた。
317:2006/05/13(土) 18:49:00 ID:???
次々と映し出されていく映像にゴトラタンがあった。
逃げていくカテジナの姿も映った。もっとも「あれがカテジナだ」とわかったのはシャクティのみである。
タータラ城、フォイゾン王、エルフ城、フラオンエルフ、それにショウやマーベル、変な頭のニーギブン。
ドローメやギャラウー、ゼラーナ、ドラムロ、ビランビーそしてダンバイン。
どれも見たことが無いものばっかりだ。
そしてどれも生きた映像だった、映画などではない、人も兵器も生の暖かさと、現実の持つ冷淡さというものの両方を持っていた。
確かに、バイストンウェルという異世界があって、この妖精がミフェラリオであると、みんなが納得した。
もっとも最初からウッソの言葉を疑ってなどいなかったのだが。
こうして映像を見せられると興奮する。

「すごいよ!どこにあるの?バイストンウェルって!」
「……それより、どうしてウッソがバイストンウェルという世界に呼ばれてしまったの、シーラという人がウッソを呼びつけたの?」

ウォレンの質問を遮って、シャクティがエルに尋ねた。

『バイストンウェルの意思が呼んだんじゃないかってシーラさまは』
「バイストンウェルという世界の意思……?」

しかしそれは、シーラという女の居直りではないかとシャクティは思った。
そんな心のうちを察したのかエルがシーラを弁護するかのように続けた。

『ウッソは聖戦士なのよ、聖戦士は世界を救う存在だから、バイストンウェルがウッソを呼んだのよ〜!』

世界が意思を持つなどということは、地上世界には無い概念ではあるがシャクティには理解できる気がした。
そして、ウッソがそうやって世界とかに呼ばれてしまう体質であろうということも、わかる。
「どうしてウッソなの……」
その答えは、自分が一番知っている気がしたから、エルには尋ねなかった。
しかし、ウッソにとっての幸せは、宇宙にも異世界なんかにも無く、このカサレリアにあるとも信じていた。
「また好い気になって、大人達のいいように使われている……」
いくらウッソが自分の意思だと信じて戦っていても、結局それは掌の上なのだと、シャクティにはわかるのだ。
シーラという緑の髪の女性は、シャクティにとってはウッソを災難に巻き込むであろう厄介者でしかなかった。
だが、会った事も人間をそんな風に思うのは自分が嫉妬しているのかも知れないと思った。
それは、シャクティが少しだけ大人に近づいたということかも知れなかった。


318:2006/05/13(土) 18:53:13 ID:???



「だから!コロニーじゃなくてバイストンウェルなんですよ!」

捕らわれのウッソ エヴィンは、連邦軍から執拗な尋問を受けていた。
どうやら、オーラバトラーはどこかのコロニーの秘密兵器だと思われているらしい。
つい先日までサイドUのザンスカールと戦争をしていた連邦軍からすれば、それは自然な発想だと言えなくも無かった。
だが、詳しくオーラバトラーを調べれば、それが明らかにこの世界の物ではないとわかるはずだ。
とはいえ、ウッソとダーナオシーがラゲーンの基地へ収監されてからまだ一時間も経っていないのだから。しばらくはこの質問が続くであろう。

「……リガミリティアだと言ったが、あれはリガミリティアの新型なのか?」
「違いますって……」
「そうか、ザンスカールが終わったから、リガミリティアは次は連邦を粛清しようとかいうのだろう!」
「バカなこと言わないで下さいよ……!」

連邦兵の極端な発想に、ウッソは呆れてしまった。
いくらウッソが地球連邦に不満を持つ子供でも、自分の手でそれを粛清しようとまでは思わ無かったからだ。
だが、あながち的外れなことでも無い。
リガミリティアは、元々はザンスカールに対抗するだけに生まれたわけではないのだし、
それに戦後、戦う相手が無くなれば軍隊化したリガミリティアはあぶれてしまう。
その辺は、ジンジャハナムが上手く連邦へ再就職させてはいるはずだった。
ベスパによってあけられた連邦軍の穴にそのまま編入させればいいのだから、そんなに難しいことではない。
しかしもしも連邦がそれを拒否すれば、あるいは双方による戦争ということもありえるだろう。
だとしても、それでウーイッグに攻撃するというのはやはり可笑しな話ではあった。

「リガミリティアのウッソエヴィンですよ、知りませんか、結構活躍したんですけど……V2に乗って……ニュータイプって呼ばれたりして……」

ウッソは自讃するような発言をしてしまった。
人から言われることがあっても自分から言ったのなんて初めてだ。
そういう思い上がったことは言わないように心がけていたし、そもそもそんなこと考えてもいないと、思っていた。
しかし心のどこか奥底では、自分はニュータイプで特別だと思っていた所があったからこそそんな言葉が出たのかも知れない。
そう思うと自棄になる。
「だって、そうでも言わないと信じてくれないんだから」
それは言い分けである、と誰よりウッソが自覚していたから、余計に自棄になった。
しかし、そこまで言ってもウッソの話が信じて貰えることは無かった。
ウッソの写真や名前を軍で流しているわけは無く、ニュータイプの少年がいるなんて噂くらいがあっても、それがウッソであるという証明にはならなかった。

「……だれかいないんですか!元リガミリティアの人とか、ゴメス大尉やムバラク将軍の部下だった人とか……」

しかし、リーンホースもジャンヌダルクも撃沈している。
それはウッソも知っていた。シャクティをキールームへ戻す前のことである。
バイストンウェルへ召喚される少し前のことだった。
あの時もあの後も、考えるだけの余裕が無かったから、今ここで思い出した。

319:2006/05/13(土) 18:56:10 ID:???
日が暮れた。
ウッソはとりあえずは牢に入れられた。
オーラバトラーがモビルスーツとは違うものだということは連邦も理解したらしい。
キツイ尋問は受けたが、暴行だとか薬だとか、そういうところまではされなかった。
しかし、それも明日はわからない。
己の無力さがよくわかった、せっかく地上に戻ったというのに、何も出来ない。
自分はジンジャハナムやリガミリティアという組織に守られて、大人に守られて活躍していただけの、ただの一人の兵隊に過ぎないのだ。
言葉一つも信じてもらえない、それがどんなに惨めなことかと思い知らされる。
ウロポロス城に現われたウッソエヴィンを、シーララパーナは何の疑いも無く迎え入れてくれたが、それは本当に特別なことだったのだと改めて思い知らされた。

格子の嵌った牢をふと見上げると、月が見える。
本物の月だ。
だが、こうしてみると、ゆらゆらゆらぐバイストンウェルの月が懐かしく思えた。
あれはあれでけっこう綺麗だったし、幻想的でもあった。
バイストンウェルにいた頃は、綺麗に整った地上の円月を懐かしく思ったものだった。
人はそういうものなのだろう。
失くして初めて気付くというか、手が届かないものほど恋しくなる。

そのとき、一瞬、窓の外が光ったように見えた。
燐の光に見えたが、そんなわけは無いので気のせいだと考えた。
しかし、それはもう一度キラッと光った。
「エル?エルがいるの??」
ウッソは小声で窓の外を伺った。
『ウッソ〜〜!』
エルも小声でやってくる。
『ウォレンこっちよ〜〜!』
エルがウォレンの名を呼んだことがウッソにはちょっと意外だった。
が、それは後回しである。

「どうしてここが??」
「ラゲーンにはリガミリティアの人間もいるんだよ」

ウォレンが得意げに答えたが、ウォレンがその人から連絡を受けたわけではない。
ただ、マーベットが妊婦であるから、ウォレンとエリシャとマルチナ、それにエルとハロが救出にやってきたのだった。

「話は聞いたよ〜、ちょっっと連邦の人がウッソを返してくれるとは思えなかったから」
「助けに来てくれたんだ」
「そうゆうこと♪」

久しぶりのいざこざに、マルチナはなんだか楽しそうだった。

320:2006/05/13(土) 18:57:43 ID:???
「……で、どうやって脱出するんです?」
「……どうしよう」

ウッソは、少しでもウォレンが頼りになると思ったことを後悔した。

「壁を爆破するわよ」

しかし、エリシャが顔に似合わず大胆に言ってのけた。

「爆破ってばれますよ!」
「どうせセンサーかモニターくらいはあるんでしょう、同じよ」

そう言いながらエリシャは器用に壁に爆弾を仕掛けていく。
「エリシャさん、なんだか強くなったみたい……」
ウォレンはエリシャの周りをおろおろとしているだけだった、相変わらず、である。

「ウッソくん!壁から離れて!」
「は、ハイッ!」

 ドッガッッンッ!!

黒煙が舞い上がる、中からゴホゴホと咳を立ててウッソが現われた。

「向こうにワッパがあるわ!早く!」
「待って下さい……!ダーナオシーを置いてはいけません!」
「あのオーラバトラーっていうロボット??」
「そうです!」

「そんなのいいじゃないか」とウォレンが言った、もっともである。
今は逃げることが肝心だ。
だが、ウッソは地上でのオーラバトラーの性能を知っていたから、やはりこのまま残していくことは出来ないと思った。
「自分がこの世界に持ち込んでしまった物で戦争が起きるなんて最悪だよ」
それは責任逃れという意味ではなく、道理というものであろう。

「先に行って下さい! ……ハロは来い!」
「ウッソくん……! カリーンという所の地下工場にホワイトアークがあるから!」
「わかりました! ダーナオシーもカリーンに持って行きます!!」



321:2006/05/13(土) 18:59:22 ID:???
「エルも来たの!?」
『あったりまえよ〜っ!』

ウッソはダーナオシーもそうだが、エリシャ達が無事に逃げられるように、自分が囮になるつもりだったから、
エルには向こうのチームにいて欲しかった。
しかし、エルからすればこの世界に置いて知っているのはウッソと、それにハロだけなのだから、
こちらのチームへ来るのは必然であった。

基地が騒がしくなってきた。
まずエルに先行して偵察して貰い、兵との鉢合わせを避けながら格納庫まで走っていく。
ウォレンが入れたのかハロには、ラゲーンの基地の見取り図が入っていたから場所はすぐにわかった。
しかし、格納庫には、当然だがいっぱいの兵がいる。

「ハロ!アレだせないのか?アレ!」
『アレッテナニアレ??』
「アレだよ!!」

アレで命令が通じるのがハロというロボットである。
クチから巨大なシャボン玉を吐き出すと、そこにゴトラタンの映像を出して見せた。

「……なんであれなんだ?」
『イチバンコワイ』
「納得」

突然出現した十メートルはある虚像に、格納庫の兵士達は惑わされ逃げ出した。
意外なことに、虚像に対して戦おうとするものはあまりいなかった。
ほとんどの者がジェムズガンに乗り込もうとすらしなかった。
それでも、既に乗り込んでいたうちのバカの一人がビームライフルを撃ったりしてそれが壁に当たり爆発したりもする。
その爆発を敵の攻撃だと認識して、連鎖的にジェムズガンの射撃が始まった。
「エンジンに当たったらどうするんだ」とか叫ぶ奴もいたし、だからこそ何も言わず一目散に逃げる奴もいた。
まさにパニックである。
322:2006/05/13(土) 19:01:13 ID:???
予想以上の混乱ぶりだったが、こういう時に平常心でいられるというのはウッソの強みである。
隙を見てダーナオシーへ走りこんだ。
特に厳重な警備をされていなければ、幸いまだ分解もされていない。
今回ばかりは連邦軍のずさんさという奴に感謝したくなったし、同情したくもなった。
連邦軍としては、ウーイッグや自分達に攻撃をしかけてきた謎のモビルスーツを捕まえたというだけで何の非も無いことなのだ。
ウッソの話を信じなかったとしても、バイストンウェルがファンタジーだというならそれは仕方の無いことである。
あまりに滑稽な光景であっても、そこに死者が出たかも知れないと思えば笑えないのがウッソであった。
それはまだ、ウッソが正常であるという証拠なのかも知れない。
だが、それでも、いつまでも連邦軍の捕虜となっているわけにはいかなかったし、
オーラバトラーの技術を不用意に連邦の物とするわけにもいかなかった。
そもそも、事情を話せばわかって貰えるだろうという考えが浅はかだった。自分はウッソエヴィンなんだという驕りもあった。
ここに死者が出たとすれば、それは間違いなく自分の責任だと、自戒した。
しかし、そして、ダーナオシーのシートへ腰を下ろす。

「動けよ……!」

ハロとエルが乗り込んでいることを確認すると、ハッチを閉じた。
そしてゆっくりと機体を立ち上がらせる。動いた。

「飛べ……ッ!」

気合と共にウッソはフットペダルを踏み込んだ。
背中の羽が激しく振動する、一陣の風を起こして、機体が舞い上がる。
月の明りを背に受けて、しかし、目立たぬよう森に添うようにして、ダーナオシーは飛び去った。




・・続く
323通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:27:48 ID:???
思ったよりも早く来てくれた!
GJ!
324通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 00:21:11 ID:???
>>「……なんであれなんだ?」
  『イチバンコワイ』
  「納得」


ここのやり取りに爆笑&納得


黒尺が今後何をしでかすかも楽しみです。
325通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 05:51:48 ID:???
シャクティが嫉妬するシーンってのはホノボノするw
326通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 08:08:19 ID:???
燃え萌えな感動を巻き起こす>>1氏に感謝の意を込めて

つ【ttp://up.2chx.net/gif/up/1147560999.jpg
つ【ttp://up.2chx.net/gif/up/1147561076.jpg
327通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 08:22:01 ID:???
やはりうっそはえろいな
328通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 09:44:18 ID:???
>>326
やっぱりシーラ様は良い!
329通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 10:06:17 ID:???
シーラ様お美しゅうございますシーラ様
330通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 11:23:51 ID:???
>>326
おおお、すげGJ
331通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 18:23:44 ID:???
>>1
筆力テラコウゴウシス
マジおもしれえ

>>326
絵師様じゃあ
絵師様の降臨じゃあ!
GJ!
332通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 01:30:29 ID:???
>>1
ペースが早くなってる!
ハイパー>>1氏か!?

>>326
ダンバインっぽさとウッソタソオーラがよく出てるな〜
大人に囲まれてちやほやされる感じがすげーウッソって感じ。

G.J!
333通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 06:10:14 ID:???
>>326
ウッソが保護者に付き添われる園児みたいでカワ(・∀・)イイ
334通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 12:33:20 ID:???
>>326
シーラ様の戦闘服姿なウッソがエロス
そういえばこのスレ的にウッソは甲冑着てるんだろうか?
カテにナイフ刺されて裂けたままのパイロットスーツの下に
半袖シャツとズボンのままバイストンウェルに行ったんだよな?
シーラ様と出会った後はシャツとズボンの普段着でボチューン乗ってそうだ。
335通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:44:49 ID:???
ふと疑問に思ったんだが、
バイストンウェルで使われてる鎧ってパイロットスーツとして見た場合どうなんだろ?
兜はヘルメット代わりだとしても、
生身で戦うことの少ないオーラバトラーのパイロットにとって果たして適当な装備なんだろうか?
336通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 20:13:43 ID:???
>>355
オーラショットやフレイムボム等、火器が存在する世界だから、
オーラバトラー、オーラシップが被弾したときに破片や熱から身を守る効果があるだろう。
(あの鎧も強獣の殻製だっけ?)
第二次大戦時に爆撃機のパイロットに配布された防弾チョッキみたいなもんだ。
337通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 21:00:31 ID:???
(*´_>`)y-~~
338通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 17:10:05 ID:???
(*´_>`)y-~~
339通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 23:04:31 ID:MC+isI2R
ハイパージェリド
340通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 03:01:19 ID:???
ハイパールウ
341通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 05:40:07 ID:???
(*´_>`)y-~~
342通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 18:09:25 ID:???
(;´゜_>゜)y-. タバコ キレタ
343通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 00:54:32 ID:???
(*´_>`)y-~~
344通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 09:56:07 ID:???
(*´_>`)y-~~
345通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 15:42:06 ID:???
(*´_>`)y-~~


まあ、禿げとくよ
346通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 03:30:39 ID:???
バイストンウェルにはタバコはなさげだ。
今のうちに、ニコチンパワーを補充するんだ!

(*´_>`)y-~~
347通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 14:13:45 ID:???
   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   │ニコチンパワー?オーラ力より強いのですか?
   \__  _____________
   _,,_ |/    ._,,_
  ./    ヽ    /    ヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | 川 ハ 川.)    ( 」l ハ 川 〉 < ニコチンは身体に良くないですよ
  川* ゚ o ゚ノ    (´∀` ;゙/   \____________
348通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:32:27 ID:???
一気に全部読んじまった
キャラが原作のイメージを壊さず生き生きしてる
マジ面白いわ
349通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 14:14:08 ID:???
こちら>>349 現在敵影なし
爆撃を待ちます
350通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 14:42:58 ID:???
>>350より、>>349
>>1氏は敵機なのか?
(*´_>`)y-~~
351通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 22:11:13 ID:???
ウボァァァァァァァァァァァァァァァァッッ('A`)
352通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 10:26:24 ID:???
ウッソ「その怨念で何を手に入れたんです!」
353通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 12:14:29 ID:???
力と狡猾さだよ、ウッソ!
354通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 12:23:46 ID:???
トッド「いい夢見せてもらったぜ、ウッソ!」
355通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 23:15:06 ID:???
なんだか黒シャクティが、戦いを早く終わらせるためとか
考えて(ウッソとシーラ様を離れさせるため)ドレイクの
ところに説得に行きそうですね。で、また捕まっちゃって
いろいろ利用されると。
356通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 12:42:14 ID:???
黒シャクティ「悪意よ、去れ」
357通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 21:44:45 ID:???
(*´_>`)y-~~
358通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 09:14:32 ID:???
(*´_>`)y-~~
359通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 11:56:12 ID:???
カテジナとバーンが、似た者同士で合体攻撃するのかなー
360通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 12:39:45 ID:???
>>359
おっかないな。
361通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 20:08:13 ID:???
(*´_>`)y-~~
362通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 23:50:45 ID:???
>>335-336
小説「オーラバトラー戦記」だと、至って普通の革鎧。
バイストン・ウェルの航空戦は地上で言えばまだ第1次大戦のレベルで、基本的に騎士の家の出でないとABには乗れないんだ。
そもそもバイストン・ウェルの人には、鳥の形をしていないものが空を飛ぶこと自体に非常に抵抗感があって、空を飛ぶという概念から教えなければならなかったらしい。

アニメのダンバインでもかなり終盤、アメリカ人のトッドが教えるまでは集団で1体を叩くという戦法・発想もなかった。
363通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 16:55:04 ID:???
>>362
ドラムロのヤツ?
364通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 19:33:46 ID:???
>>363
そう。
騎士だから一騎討ちなのね。
365通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 10:45:56 ID:???
(*´_>`)y-~~
366通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 15:33:13 ID:53gRarOp
(*´_>`)y-~~
367通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 16:55:51 ID:???
まあ気長に待ちまっさ
368通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 17:21:20 ID:???
   _, _
 ( ,_ノ` )y━・~~~




   。、_
 ( ,_ノ゚ )y━~~ クワッ
369通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 19:10:58 ID:???
(・∀・)
370通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 21:03:17 ID:???
(*´_>`)y-~~
371通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 01:00:15 ID:???
(*´_>`)y-~~
372通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 01:32:37 ID:???
373通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 02:22:13 ID:???
↑は、ウッソとマリューが出会ったら
↓は、ウッソとキラが出会ったら
http://www.geocities.jp/blackwidow75jp/uk/uktop.htm
374通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 16:13:45 ID:???
ウッソとハマーンスレが好きだつた
375通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 19:17:58 ID:???
ウッソとハマーンのはみたことないな。
マリューのも始めてみた
376通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 21:26:23 ID:???
>>375
史実から逸脱していて結構面白かった。
確かZZ編の途中で自然消滅したけど、
カミーユが精神崩壊しなかったり、シロッコが良い人っぽい死に方をしたり…
377通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 22:44:04 ID:???
>>376
見たいけどアド知らないしな〜。
現行するスレもないみたいだし…
378通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 23:23:53 ID:???
【妄想】もしもウッソがハマーン様と出会ったら
http://www9.plala.or.jp/delpippo/hamanusso.html
ミラー倉庫
http://www9.plala.or.jp/delpippo/
379通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 00:19:49 ID:???
ウッソって2chでは異世界やらに飛びまくりだなw
380通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:42:30 ID:???
ウッソは子供だから相手の警戒心を解きやすいし
戦闘より交渉を好むから他キャラと絡ませやすいんじゃね?
381通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 13:22:48 ID:???
>>378
コウとニナワロス
382通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 22:01:40 ID:???
>>378
dクス!
いや〜見たかったよ…


というか、>>1氏はなんかあったんだろうか?
急にペースダウンしたな〜。
応援保守!
383通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 01:11:57 ID:???
いつも途中で放棄するのか?
384通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 01:52:02 ID:???
>>382
もともと月1ぐらいもペースだよ。
>>383
無理な時は破棄宣言するんじゃないかな?
まあ、気長に待とうや。
385通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 06:36:29 ID:???
ハマーン様版も、ZZになだれ込まなければいい感じで終わってたようなものだしね。
そもそもあっちは複数職人様による打ち合わせ無しの共同製作だし。
気長に待ちまっせ〜!
386通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 10:45:36 ID:???
>>384
確かに…
気長に待とう保守
387:2006/05/30(火) 18:46:25 ID:???
──第11章 今日、限り

 ヴォ ヴォ ヴォ ヴォ

暗闇の中に、嫌な唸りの風吹き音が流れた。
ダーナオシーのオーラノズルと、羽撃きの音である。
機体は、羽は何枚か千切れて、エンジンだって正常な形を保っていなくて、少し異常な音を出していた。
それでも飛んでいるのだから大したものだろう。

ラゲーンの基地から飛び立ったダーナオシーは無事にカリーンまで逃げきれそうだった。
追っ手の姿は遥か後方に光って見えるが、向こうからはこちらの姿は見えていないようである。
それもオーラ力による物かも知れなかったし、ただ単に低空を飛んでいるのでレーダーにかからないのかも知れない。
ただ、モビルスーツに比べればオーラバトラーの材質は遥かに電磁波を反射せず、
またオーラ力には、ある程度電波を遮断する力があるというのは事実である。
運が良かった、と片付けるならば、そういうことだろう。
さらに、宇宙世紀末の地球には、人はあまり住んでいなかった。
一部の特権者を除き、そのほとんどはコロニーへ移住しているからだ。
そういうことも味方して灯りや人の目さえもほとんど無かった。
だから、ウッソは本当に誰にも見つかることも無く、逃げていけた。
そこまで偶然が重なって自分に味方をしても、ただ運が良かっただけだと片付けるのがウッソである。
運命だとは思わない。
まして神の仕業だ、などとは思わない。
ウッソはそういうものを信じていない子供だった。
神は、存在ではなく手段だと知っている。
普通の人間ならば、キリスト教なり仏教なりの、最初に知ったただ一つを信じるのだろう。
だが、ウッソは家の地下の膨大なコンピューターバンクから、一度にすべてを知ったから全部が違うと思うのだ。
それはウッソの両親が、良い子にしていれば神様が見てる、とか、悪い子にしているとお化けに連れて行かれる、なんていう教育をしなかったという結果なのかも知れない。
ウッソ・エヴィンはどんな時でも現実を直視する。
それは、彼の最大の強みかも知れなかった。
388:2006/05/30(火) 18:57:58 ID:???
しかし、そんなウッソの両親も、一度だけ神様というものを信じたことがあると言ったことがある。
母は、ウッソを身ごもった時に、
父は、ウッソがジャンヌダルクまで辿り着いた時に、
天啓というものを感じたらしかった。

しかし、それすらも「貴方たちがやったことだ」とウッソは思うのだ。
それは確かに事実である。
自分が結局は作られた存在だったとしても、それは神によるものではなく、親によるものだと思いたい。
そう思うのは、ウッソがそれだけ両親を愛しているということだろう、そして、愛して欲しいということなのかも知れない。
(……運が良かったんだよな)
いままで、ウッソが死にそうになったことは数知れなくあった。
しかし、当たり前だが一度だって死んでいない。
それを、神のおかげとは思わなかったし、また、自分の力が秀でてるせいだとも思わなかった。
しいて言うなら、生んでくれた両親と、自分を育てた環境と、出会った仲間達のおかげであると思っている。
自分が生かされてる存在だとしても、それは世界などという大きなものにではなく、周りの、極近い仲間達に生かされてるのだとそう思う。
つまりは運が良かったのだと、そう思うのだ。

自分がリガミリティアへ入って戦ったことも、バイストンウェルへ召喚されたことも、再び地上へ戻ったことも、
運命だとは思わない。
ただ”そういうものだ”と理解する。

例えば、シャクティに明日の天気がわかるように。
それは”ちょっと不思議な当たり前”なのだ。
奇妙とは思わない「だってシャクティだもんな」で済む事なのだ。
例え、同じカサレリアに住んでいる自分が出来ないことであっても、具体的な原理を説明できなくても、
ただ、そういうものだと、わかるのだ。
『シャクティ』がそれを出来るのは当然のことだと理解する、自然で、当たり前なのだ。
何か、他の力によるものではなく、シャクティが生きてきた経験の中から生まれたごく当たり前の結果だと思うのだ。
だから、自分がバイストンウェルへ行った事だってごく自然な成り行きなんだとウッソは感じた。
行くべくして行ったのだ、と、受け入れる、そして直視する。
ならば、これからどうなるのか、ではなく、これからどうするのかと考えるのだ。
このままカリーンに機体を隠して、ガラリア・ニャムヒーを見捨てて、それでカサレリアで隠れて冬を過ごすのか。
それとも、彼女に会いに行くのか。
シーラ・ラパーナのことも、カテジナ・ルースのこともある。
それならいっそ、バイストンウェルにもう一度戻るべきなのか。……戻りたいと思うのか。
そうやって、自分の感情とかさえもまっすぐ見つめ直すことが出来るのがウッソだった。
389:2006/05/30(火) 19:01:17 ID:???
逡巡とするウッソを呼び戻したのは、「ミエタゾ」とうハロの知らせであった。
と言っても、地下工場だから見えるわけは無い。
もちろん陽の射す昼か朝ならば、一軒廃墟に見えるだけの建物を目印にわかるのだが、いまは真っ暗闇な夜である。
しかし、わずかに照らす星明りの陰影だけで、ウッソは「ミエタ」ということを理解できた。
「あの辺りだ……」と思い出す。

カリーンの地下工場は、リガミリティアのビクトリー計画の末端を担った工場だった。
ウーイッグから程近く、カサレリアからもワッパで数時間という距離にある。
ウッソは、ロメロ達に連れられカミオンでここへ来て、そしてヴィクトリーのパイロットとなった。
しかし、ここはベスパに位置を発見され攻撃を受け、廃棄された。今は、使われていない。

最終決戦の日、ホワイトアークはカサレリアへ不時着した、その後、マーベットがホワイトアークをこのカリーンへと隠したのだった。
工場としては使えなくても、敷地が広く、また、多少の物資や設備が残っていたため最適だった。
決戦後はリガミリティアの組織もバラバラとなっていたし、この艦を連邦軍にくれてやる理由も無かった。
もしものときに役に立つかも知れないと、ここへ保管したのである。

ウッソは機体を地面に降ろすと、ダーナオシーの頼りない光量のライトで照らして入り口を探す。
地下の格納庫まで直通のカタパルトがあるはずだった。
瓦礫の中に発見する。
真っ暗な中、こんなところを降りていくのは危険かとも思ったが、
ダーナオシーの大きさはモビルスーツの半分しかないと言い聞かせて、入っていった。

ガタガタガタガタ

歩くたびに、壁や地面が崩れていく。
ウッソは、怯えるエルを根拠の無い言葉で励ましたりした。
そういうウッソも、ほんとは少し怖いのだ。
ダーナオシーのライトは、照らすというよりは、知らせる、ためのライトであって、それ以上の光はない。
閉鎖された建物の中は、宇宙空間よりも真っ暗だった。
天井からパラパラと落ちてくる石片が、重力というものまで感じさせる。
崩れたら押しつぶされるんだろうな、と思った。
390:2006/05/30(火) 19:09:51 ID:???
手探りで、一歩一歩降りてゆく。
見えない、わからない、それでも歩く。
それは、誰でも一度は経験することである。
恐怖もあり好奇もある。
ウッソも改めて今、それを感じていた。

リガミリティアへ入ったことも、バイストンウェルへ行ったことも、怖くはあったけど、辛くもあったけど、不幸なことではなかったと、そう思う。
もちろん不幸なことはたくさんあった、後悔もした。
でも、無かったことにはしたくない。
やって良かったとまでは思わなくても、やらない方が良かったとは思わない。
それでは、あまりに寂しいからだ。
カテジナ・ルースとの出会いは不幸だったのか、
そんなことは無い、そんなことにはしたくない。
今までのすべての出会いだって、一つだって不幸だったなんて思わない。
だから、『バイストンウェル』と出会ったことだって、不幸になんかしてはいけないと、思った。


パッと視界が開けた。
ただっ広い空間に灯りがついている。
面長の白いボディの戦艦、ホワイトアークが見えた。

「ウッソ!」

褐色の肌の小柄な少女と、同じく褐色の肌のお腹の大きな女性がウッソを出迎えた。

「シャクティ! マーベットさん!」

自分が無事だと知らせる言葉の代わりに、大きな声で二人の名前を呼びながら、ウッソは機体から降りた。
「もう心配させて」と頭を触ってくるのはマーベット。
不機嫌に、しかし、ほっとしたようにウッソ睨み付けるのがシャクティだった。

391:2006/05/30(火) 19:12:35 ID:???
「ご、ごめん」

ウッソは、心配をかけたことをシャクティに謝る。

「……カサレリアに帰りましょ」

それが彼女の答えだった。
しかしウッソは、聞いてもすぐに歩き出そうとはしなかった。
せかすようにしてシャクティは続けた。

「スープは新しく作っておいたから、……今日は特別だから、冬に取っておこうと思っていたハムも入れてあるのよ。
 でも、ウッソの分の食料は買い置きがないから、明日、街に買出しに行かなくちゃならないわね」

ゆっくりと言葉を探しながら、しかし、シャクティは早口に言った。

「……ごめん」

それが彼の答えだった。
彼は「行かなきゃ……」と続ける、彼女は「ウッソ……」と呟く。
二人の、たったその二言は、百万の言葉に値するだけの意味が詰まっていた。
だから、二人ともそれ以上は何も言わなかった。

「マーベットさん! あのヴィクトリー使えますか?」
「ええ、使えるとは思うけど……」

言葉を最後まで待たずにして、ウッソは走り出す。
その時、一台の戦闘機が目に映った。
ヴィクトリーシリーズ特有の、青と白のツートンカラー。
しかし、その機体には大きな翼があった。
翼と言っても、普通の戦闘機のような揚力を生み出す主翼ではなく、
背面に大きく突き出したバーニアだ。
それを翼と呼ぶのは、それが『V2の翼』に酷似していたからである。
しかし、V2のコアファイターではない、カラーリングもデザインも違うし、一回り大きい。
強いて言うなら見た目はV1のコアファイターの方に似ている。だが、翼がある。
そう、その戦闘機は、二つの機体のちょうど中間の形をしているように見えた。

392:2006/05/30(火) 19:16:41 ID:???
「あれはなんですか!?」

特異な形のコアファイターを指して、ウッソが聞いた。

「ああ、あれね、あれは置いてあったのよ、初めから」

マーベットの答えに、「初めから……?」と聞き返す。

「そう、私達が持ち込んだものじゃないの、多分、リガミリティアの誰かだとは思うんだけど、ここに隠しておいたのね」

ウッソはそのコアファイターに向かって駆け寄った。
外から見た感じでは、どこにも損傷は無いようだ。
しかし、中を見てみないことにはわからない、未完成ということもある。
だが、この機体のコンピューターは異常無く起動した、キーまであった。
触ってみても、普通に動きそうだった。
しかし、”いまここにある”機体ならば、それで当然なのかも知れなかった。
(こいつ動いてくれる……)
それは運が良いということなのかも知れないし、運命ということなのかも知れない。
誰が持ち込んだものかはわからなくても、”いまここにある”のならばそれはウッソが乗る代物である。
シャッコーもヴィクトリーもボチューンもダーナオシーも、すべてがそうだった。
だが、どれかが欠けていたとしても、別の何かを探す少年だったから、ウッソはそれらに尽く出会ってきたのだろう。
だからやはり運命ではなく、人の意志による巡り合わせなのだ。

「これで出ます……!」
「ブーツとハンガーはどうするの!?」
「射出してください!」

簡単に言ってくれる、とマーベットは頭を抱える。
だが、ウッソがそう言うのならそうしてあげるというのが彼女であった。

「ブーツとハンガーはヴィクトリーの物しかないけれど、互換は利くの?」
「利くはずです!」

その答えは、ヴィクトリーの設計目的とか汎用性から導き出した答えではなく、直感による答えだった。
後からコンピュータを探って裏づけを取った。
(……セカンドヴィクトリー)
ディスプレイに表示されたこの機体の名前を、ウッソは小さく読み上げた。
393:2006/05/30(火) 19:18:42 ID:???
「発進一分後にブーツ、その三十秒後にハンガーを出すわ!」
「了解です……!」

久しぶりにリガミリティアのパイロットスーツを着て、ウッソはコアファイターに改めて乗り込んだ。
黙ってこちらの姿を見つめるシャクティに、手を振ってみた。顔をそらされた。
溜め息をついて俯くと、何故かエルに蹴り飛ばされた。

「なにするんだよ」
『いーーっっだ』

と、自分の口を引っ張って何故か不機嫌を表現するエルを、ウッソは笑ってしまった。
(この子をバイストンウェルに還してあげたいって理由だけでも良いんだよな)
それがオーラロードを開く力になるかも知れないと思った。

「ウッソ・エヴィン! セカンドヴィクトリー出ます!」

声高に叫んで、ウッソは機体を発進させる。
しかし、カタパルトは瓦礫だらけなので、本当の射出などは出来ない。
機体を浮かせて、低速で、しかし、外へ向かって飛び出していく。

真っ暗な闇が、星空に変わった。

続けて発進してくるブーツ、ハンガーに、久しぶりに『Vモード』を行った。
三つの戦闘機が重なるようにして、人型のロボットへと姿を変えた。
背中に突き出したVの字の翼を大きく開いて、ウッソ・エヴィンは翔けて行く。

「ガラリアさんと出会ったことを、不幸になんてするもんか……!」

ミノフスキードライブの光が、蒼い軌跡を描いて翔けて行く。
394:2006/05/30(火) 19:20:07 ID:???
「ちょっとちょっとちょっと!マーベットさん!!」
「ウォレンくん?」

ウッソを送り終えてぼんやりとしていたマーベットの前に、激しく息を切らせてウォレンがやってきた。

「あのガンダム!ウッソが出たんですか!」
「ええ、そうよ」

マーベットはさらりと答えた。
「そんなぁ」と言いながら崩れるウォレン。

「なんでウッソくん、またビクトリーで出たんです?」

後から歩いて来たエリシャの質問に、マーベットは「さあ」と答えた。

「さあって……、いいんですか」
「本人が行くって言ったのよ」

それを止めるのが大人というものかも知れないし、しかし、応援してあげるというのも大人なのかも知れなかった。
エリシャにはどっちが正しいかなんて判断がつかなかったから、不服には思っても、そのまま黙った。

「まぁ、ウッソだもんな〜」

ウォレンが楽天的に言う。
しかし、それが真理だったから、みんな納得して笑いだした。
(そう、ウッソはそういう子よ)
と、シャクティも頷いた。
そして、ならば、自分もコアファイターに乗り込めば良かったんだと、後悔した。
それを出来なかったのは、いつの間にか芽生えていた女の気持ちというもののせいかも知れなかった。
だが、次は、決して放さないと、心に決めた。



・・続く
395通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 19:31:47 ID:???
>>1ガキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
396通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 19:39:11 ID:???
キター
セカンドVもキター
397通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 19:41:47 ID:???
>>387-394
V2じゃなくてセカンドVか!?
wktkしながら続きを待ってますよ。


小説版Vはライトノベル史上最高の作品だとおもた

保守っていこう!
(*´_>`)y-~~
398通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 21:35:41 ID:???
>>397
ガッテンだ!

(*´_>`)y-~~
399通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 22:35:13 ID:???
そのAAうぜー
てか一人で張ってんだと思ってたが複数犯だったのか
400通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 23:21:15 ID:???
君だけのスレじゃないんだよ
401通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 23:48:15 ID:???
>>399-400
むっ、このAAのよさを伝えようと頑張ってたんだが不評なようなのでこのスレでは使わない。
ごめん。
402通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 00:14:27 ID:???
>>401
あ、いや俺399に言ったんだけど
403通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 02:10:27 ID:???
>>402
わかった。
ならさっそく使う…
(*´_>`)y-~~
4041(超本物):2006/05/31(水) 04:53:00 ID:???
そのAAやめてください、超 <BIG>イヤ</BIG> です←脳内拡大

ちなみに399はわたくしですね、本当はこんなこと書きたくないのですが
ええ、もちろん器のちっちゃな人間だと思われたくないので
後、ガキだとも思われたくないし、性格悪いとも思われたくないしぃ
それに〜、えぇ、こんな奴が筆者なの〜とかガッカリされたくないしぃぃ
このレスの後六十時間くらいレスが付かなかったらどうしようとかも思いますし
応援してくれるみなさんが去っていったり、嫌われたりするの怖いですし
しかしかかしせんめんき、そのAAは頂けない
非常に不快
見てると段々気分が悪くなってくる
更新押すたびそれが出ると鬱になる
前回の更新が遅いのは(といっても二位だけど)そのAAせいだと言っても過言ではありません
今日投下したのもそれが無かったからだというのは確かです
ええ、せっかく消えたと思ったのにまた現われたから余計刺さりますね
なんででしょうね、タバコを吸わないからでしょうか、生理的にイヤですね
NGワードにでも入れとけって話ですがね、それをしないのがアホ作者というもので
だって、見えなきゃ見えないで気になるじゃないですか
本当は、おおらかに大人の対応って奴をしたかったんですがね
ダメでした、寝れませんでした、おかげで電波ビンビンでこんなの書き込んでるんですよ
しかも、送信まで押しちゃってるんですよ、読めてますよね、押してますねぇ、あほですねぇ
これで色んなものが崩れ去るのではないかと不安に思っても、バックスペースを叩かないのがアホ作者で
いまも迷ってるんですけどね、送信押すか、押さないか、ええい!押してしまえ!
ぽちっ
あ、押しちゃった←嘘
まだ書き続けたりして(笑) いまなら引き返せるぞー! 帰って来いー! ←理性の声
ふふふっふふふふ、無駄だよ、何時だと思ってるんだ、あっはははあははははは


ぽちっとな
405>>347=その他いくつかのGJカキコ:2006/05/31(水) 07:23:08 ID:???
>>404ワロタw
いえ、当方もそのAA好きじゃないから出来れば出現頻度が減ればいいな派なんですけどね。

>>1氏、いつもながらGJです!
マイペースでいいので頑張ってください。お待ちしています!(・∀・) 
406通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 07:55:15 ID:???
>>404は実はカテジナさん?
407通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 07:58:45 ID:???
>>404
賛否両論ですね。
とりあえず当分は使いませんよ。
408通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 10:24:39 ID:???
( ゚д゚)<……

( ゚д゚ )
409通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 12:43:43 ID:???
V2じゃなくセカンド!
ヤベまじコーフンする!

>>408
こっち見んな
410400:2006/05/31(水) 16:26:05 ID:???
うは…399は>>1さんかよ…w
「君のスレじゃない」とかほざいたけど、もろに1さんのスレですがなw
凄い勢いで土下座しまつ
4111(残念ながら本物):2006/05/31(水) 17:37:10 ID:???
いえいえいえいえいえいえいえっ、土下座すべきは私の方です
ここは皆様のスレです、私のスレではないです、違うです
気に食わないレスがいやならサイトでも作って勝手に篭ってろって話ですから
こういうところにスレ立てて書いている以上どんなレスだって受け止めなければならないんです
偉そうに書いてるコイツの頭がオカシイんです
貴方がたは一切持って非は無い
そこまで言うならなんで書いたのかって話なりますが、それはジェームスのせいです
ジェームスが・・・・・、ジェームスの奴がぁぁぁぁああぁぁ
399なんてものすごく地が出てますね、それはダニエルの仕業です、ダニエルめッ
ちなみに私の名前はカールですよ、他にもマイケルとかジャックとか住んでます(どこに!?)
ああ、いけない、そろそろ病院にいかないと(もちろん精神科)

ああ、それと404が脅迫に見えるかも知れませんが、大丈夫ですので、
すねて書かなくなるとか、そういうことは絶対しませんので ←変な意味篭ってません ←腹黒いから自分でそう見えるだ
もしも書かなくったとしたらそれは車に轢かれたりして冥福した時ですので、
あれです、どうぞご自由に、お好きなこと書き込んで構いませんので ←もはや嫌味にしか見えん
違うんだ、本心です、あれです、どうぞ、なんでも突き刺して下さい
本当は、続きを速攻で書き上げて投下して流したいところですが、残念ながらまだオーラ力が貯まりません
もうしばしお待ちください、申し訳無い
かならず完走させると、それは誓います ←おまえ破った前科があるだろ
うるさいぞジェームズ!
ああ、いかん、お薬を貰いに行ってきます・・・げふっ・・・
↑オレはオマエがイヤだ ←黙れジェームス!
412通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 17:52:57 ID:???
>>1が物凄い勢いでイタい人になってる気がするんだが
俺の気のせいでしょうか
413通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 18:01:56 ID:???
面白いっちゃ面白い
ただしゃべりすぎで潰れるつぶされる叩かれる字書きは
2ちゃんでは少なくないぞw

期待してるんでがんばってください>1
414通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 18:44:48 ID:???
>>1
ダニエルってあいつのこと?
415通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 18:54:53 ID:???
そう、フルハウスの。
416通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 19:07:37 ID:???
このネ申スレはハイパー>>1が戻ってくるまでワクテカしつつ保守続行。

このスレの影響でラポート社のダンバイン大辞典を購入したけど高かった…定価650円なのに1800円。
プレミア付きすぎ。おかげで他の資料が買えなかったヽ(`Д´)ノ ウワアァン!!
417通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 19:07:50 ID:???
最近>1の発言が強化されているな
418通常の名無しさんの3倍:2006/05/31(水) 22:21:39 ID:???
この>>1は偽者?
それとも本物がハイパー化してるの?
419通常の名無しさんの3倍:2006/06/01(木) 00:34:11 ID:???
鳥つけてくれればいいんだけど。
420通常の名無しさんの3倍:2006/06/01(木) 18:04:12 ID:???
セカンドVとは珍しい・…

超GJ
しかし通常VがセカンドVの出力に耐えれるのかどうか・……
確かセカンドV専用のハンガーブーツじゃないと全力飛行で空中分解するって感じだったような
421通常の名無しさんの3倍:2006/06/01(木) 18:07:13 ID:???
オーラ力で何とかなる
422通常の名無しさんの3倍:2006/06/02(金) 19:41:37 ID:???
オーラコンバーター搭載セカンドV?
すごい夢が広がるな
423通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 00:38:56 ID:???
物書きは電波な思考じゃないと面白くない
424通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 04:16:15 ID:???
>>423
禿同
425通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 13:57:36 ID:???
>>416
こんなの見つけた。良い買い物したな


>808 :通常の名無しさんの3倍 :02/09/22 23:50 ID:WEED9sjN
>>805
>俺もラポートのダンバイン大事典欲しい。
>当時まだガキだったので金が無くて買えなかったよ。
>メディアワークスのデータブックしか持ってねえ。



>809 :通常の名無しさんの3倍 [sage] :02/09/23 01>:09 ID:???
>>808
>古本屋で探してくれ(^_^;)
>たまに見かけるけど今時のアニメムックの
>新刊より、やや高いぐらいだ(3000円とか)。
>定価と比べると、ムカつくかも知れないが(w

>ダンバインのムック本は
>色々買ったけど作品資料的価値では
>これに勝るものはなかった。
426通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 17:02:05 ID:???
ラポートの大事典シリーズはいいよ、どれも資料価値が高い
427通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 02:46:13 ID:???
大辞典って内容どれぐらいなの?
辞典言うくらいだからかなりページ多いんでしょ?
428通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 14:35:13 ID:???
二〇〇nくらいだったかな
429:2006/06/04(日) 19:37:56 ID:???
──第12章 逆襲の連邦軍

夕日がだんだんと紅く染まり、海に沈んでいく。
ガラリア・ニャムヒーがそういう光景を見るのが初めてだというのは、彼女がバイストンウェルのコモン人だったからである。
彼女は、太陽というものが存在しない世界に生まれた女だった。
太古の人間が”神”とか言って奉ったその圧倒的な光源を前にして、しかし彼女は暗澹とした気持ちになっていた。
益々ここが”自分の知らない世界”だと思い知らされるからだ。
光が、海に沈みきると、辺りは闇に染まっていく。
バストールは森に隠したままで、自分は海岸の方へと歩いて行った。
海は臭かった。
それが滲みたのか、瞳に熱いものを感じる。
天を見上げると、キラキラと星が輝いていた。
それは、バイストンウェルの天にある”ウォンランドン”よりも遥かに絢爛に輝いて見えた。
それが寂しくもあり、救いでもあるような気がした。
(……こういう広い世界に出るというのは、騎士の誉れというものかも知れない)
そう思えば救われる、というのがガラリアだった。
名誉ある死ならば受け入れられる、というのが騎士である。
しかし、ここが地上世界だと言うならば、名誉というものは誰からも受けられない。
恥、というものにだって意味は無い。
それでも、彼女は騎士である。誇りがある。
だから死ぬならば、やはりオーラバトラーで勇敢に戦って死にたいと思うのだ。
せめて、この”絢爛に輝く夜空”が見ていてくれるなら、それでいいと思った。
しかし、心のどこかに寂しさが残るのは、彼女にまだ少しだけの未練があるからなのかも知れない。
それは、人間という種の女性というサガかも知れなかった。
鬱蒼と静まりかえった森を一人歩いて、バストールのコクピットに戻る。
いとおしそうに、コクピット中を撫で回す。
(お前だけか……)
物言わぬ計器に一人ごちると、ガラリアは、本当に少しだけの眠りに落ちた。
430:2006/06/04(日) 19:41:16 ID:???
この日の連邦軍は慌ただしかった。”そういうこと”は二ヶ月ぶりである。
突然、ウーイッグの街を襲った謎のモビルスーツに、そしてラゲーン基地への襲撃。
”地球暮らし”が出来ると、喜んでラゲーン配属となっていた連邦兵達は一斉にその考えを改めさせられた。
確かに、地球で暮らせると言うのは魅力的だった。
しかし、それは平和であれば、だ。
地面があって、海があって、空がある世界は魅力的でも、それに命を賭けようとまでは思わない。
だから、また戦争が始まるのではないかと思わされれば憂鬱になった。
命令が下る。
第一種の戦闘配備である。
しかしどんなに心に不満があっても、いざ命令を貰えば命を張れるのというのが軍人であった。
連邦の軍人は怠惰ではあったが、誠実だった。
命令を受け、指揮に入れば、”兵士”なのである。
綺麗に制服を整えて、規則正しく整列をして、額に指を立て敬礼を行う。
その瞬間に、兵士である。
軍隊といものは、真っ当に稼動すれば、恐ろしく強いのだ。
それが人という生き物でもあった。
連邦軍は、地上最大の軍隊である、もう百年以上も地球圏を制覇している。
大きくなりすぎているからこそ腰が重く、しかし、一度立てば恐ろしく強かった。
ジオンもザンスカールも、その連邦軍の巨大さの前に結局最後は屈服したのだから。

出撃するラーカイラム級の戦艦隊。
”目標”はすでに捉えてあった。
衛星というものだってあったし、索敵員もいる。
すぐには攻撃はしない、それが”作戦”というものである。
逃がさぬよう包囲を敷いて、戦力を集め、戦闘データの分析を行う。
そして、迅速に各隊に伝達していく。
この”速度”こそがその”軍隊”の力量だと言ってもいい。
連邦軍は優秀とまでは言わなくても及第な実力が十分あった。
夜も開け切れぬその日のうちに、配備を終える。

そして、作戦を開始した。
431:2006/06/04(日) 19:45:29 ID:???
オーラバトラーは、森のザワメキというものを感じ取れる機械なのかも知れない。
それは地上に出てオーラバトラーそのものの感覚も鋭くないっているということかも知れなかった。
突然のザワメキに、ガラリアは目を覚ます。
ふと見渡すと、辺りが騒がしくなっていた。
と、言っても何かが見えるわけではない、感じるのだ。
実はこの時、ガラリアの眼下には連邦の兵が確かにいた、しかし、安易に見つかるほど工作兵というのはバカではない。
だから、何かが見えたわけではなかった。
それでも、不信を感じたガラリアは、目も冷め切れぬまま、バストールを飛翔させる。
それは、待機する連邦軍にとっての”工作失敗”の合図にもなったし”攻撃開始”の合図にもなった。

コバルトブルーの朝闇の中、無数に赤い閃光が奔った。

それは夜明けの光ではなかったが、ガラリアの眼を覚まさせた。
フットペダルを思い切り踏み込んで、とりあえず高く高く上昇をかける。
戦況がよくわからないときには、最大に高いところから見下ろしてみるというのはオーラバトラーの常套手段である。
空から見下ろして、愕然とした。
朝日が昇りきらぬ薄闇に、無数の赤の発光元に、大量の数の敵機が見えた。
地上の機械の大集団である。
それらは、華を開くように、赤の光をバッーと開いた。
上空へ昇ったバストールを見据え、ビームシールドを開いたのである。
数十を超える、赤の花びらは、美しかった。
赤の光の群れの中に、黒の斑が次々浮かぶ。
それはミサイルだった。
バイストンウェルのものとは比較にならない精度のミサイル群が、バストールの機体を掠めていった。
躱しても追尾し、接近すると勝手に炸裂し、バストールの機体に衝撃と破損を与えていく。
エンジンの一部に当たってしまったのか、急に出力が落ちて、バストールは落下していった。
落下ぎわオーラランチャーで必死に反撃するが、ランチャーは敵機へ辿り着く前に弾頭が撃ちぬかれ、虚空にて火焔の華が咲く。
目眩ましにはなったが、それは相手以上に、自分への負担になった。
視界が潰れて、閃光が奔って、衝撃を食らう。
オーラランチャーを闇雲に撃ったところで、何一つ事態は好転しなかった。
(死ぬ時というのはこんなものか……)
あっけない、せめて、もっと劇的に、騎士らしく死にたかった。
しかし、意外なことに「案外そういう物かも知れない」と受けいれられそうでもあった。
それは、彼女が絶望していたからである。
潔く死を受け入られる人間は、絶望している人間だけだ。
そうではない人間は、無駄であってもあがくのだ。ごねるのだ。
それは、まるで聞き分けの無い子供のように。
生きる力を失った人間はあがかない。目を閉じて、受け入れる。
ガラリア・ニャムヒーは、この時、眼を閉じてしまった。
432:2006/06/04(日) 19:49:27 ID:???
走馬灯のように流れる記憶。
騎士だった父、勇ましかった横顔。
その父が罵られ、卑怯者と呼ばれるようになって、卑怯者の娘となった。
それでも少女は剣を取った。
指が痛むほどにキツク握り締めて、力の限り剣を振るった。
あれだけ重たかったその日々が、しかし、いまこうしてみれば随分と軽いように思えるのは何故だろう。
ショウ・ザマやゼラーナに敗れた屈辱も、恨みも、今にしてみればちっぽけだ。
堕ちて行く心を、繋ぎ止める力は無かった。
心残りではあっても、見限れる。もういいのだと、諦められる。
目を閉じる、暗闇が支配する。
ああ、命が消えるのだと、覚悟する。

その時、二枚の光が鮮やかに輝いた。

まぶたを閉じているのに、目が眩むほど、強く、輝く、その光は。
黄金に青く、白銀に赤い。
鮮烈にして曖昧で、峻烈にして穏やかで。
冷たいのに暖かいという。
一刻として一様ではないリズムで煌いて、夢を見せる。

(ああ、天使のお迎えという奴か……)
”そんなもの”はバイストンウェルには存在しない物であり概念であるが、しかし、ガラリアはそんな風にこの現象を思った。
夢であり、幻であり、神々しくも人智を超えている、光だった。

ヴゥアーッ ヴゥアーッ ヴゥアッーッ

メガ粒子同士の鋭い衝突音が、バストールの装甲を突き破るようにして、コクピットの中にまで強く響いた。
機体を揺らし、空気を揺るがし、脳髄にまで揺さぶりをかける。
(なんだ……、”なにか”起こっているのか……)
確かに感じるその光が、衝撃が、夢ではないことを強く物語る、強く眼を開かされる。
ガラリアは、まだ自分が現実の世界にいるとようやく気付く。
寝ぼけたまなこをうっすらあける。
翼が見えた、絢爛に輝く、光の翼。
(これは……リーンの翼というものか……)
それは、聖戦士が顕現させるという奇跡の翼の名。
だとするならば、あながちの間違いではないのかも知れない。

「ガラリアさん……ッ!!」
「おまえか……」

その”聞き覚えのある聖戦士”の声に、ガラリアはうっすらと笑みを浮かべた。

433:2006/06/04(日) 19:54:13 ID:???
両の手のビームシールドを全開にして、両翼の翼を全開にして、
ウッソのセカンドヴィクトリーは、バストールの機体を守るようにして佇んだ。
両腕同時に、しかも通常以上の出力でシールドを展開しても、セカンドヴィクトリーの出力には余力があった。
これ以上の出力では、腕の方が持たない。
だから、V2でそうしたように、セカンドヴィクトリーの翼を広げた。
初めてではあったが、この機体でも出来ると確信していた。そして、出来た。
それはニュータイプというものの感性であり、力であった。
ウッソ・エヴィンは、その光の翼でガラリア・ニャムヒーの体を守った。

「ガラリアさん! 生きてますか! 生きてますよね!?」

通信機から響く怒鳴り声、異常があるのか、それとも”光の翼”の影響か、
ガーガーと擦れながら、しかし、ハッキリと強く聞こえる。

「何をしに来た……、ふふっ、私を討ちにでも来たか、聖戦士だものな」
「帰るんですよ!!」

なに……と呟いたガラリアの声は、小さすぎてウッソには届いていないはずだったが、
しかし、聞こえたかのように、もう一度、強く言い押してくる。

「バイストンウェルに帰るんですよ!!」
「帰るも……何も……おまえは地上人だろう……」
「”帰る”んです!!」

強くて無邪気なその声は、どんなに乱暴であっても不快には感じない。
そのずうずうしさは”子供”であり”男”であって、彼女が求めていた両方なのかも知れなかった。

「僕にだって戻りたい理由はあるんです! だから”帰る”んです! ガラリアさんにだってそういうもの、あるんでしょ!」
「だが、どうする、帰りたいで帰れるものか……」

ガラリアが堕ちた絶望を、しかし、ウッソ・エヴィンは斬り裂いて行く。

「僕が聖戦士だって言うんなら、オーラロードは開くはずでしょ!!」
「あはは……、道理、だな……」

その”希望”には、賭けるに値する価値というものを感じた。
それは”聖戦士”ではなく”この少年”にという意味である。
この者にならこの身を奉げるのも悪くないという女の感情だった。
だから、彼女は、もう一度だけ眼を開いた。
434:2006/06/04(日) 19:59:20 ID:???
「とりあえず海のほうへ離脱します……! 飛べますか……!」
「ああ、なんとかなる」

バストールの機体は酷く損傷していたが、しかしそれでも、操者の気持ち次第で稼動するというのがオーラバトラーだった。
もしかするならこの時が、今までで一番強く応えてくれていたのかも知れない。
しんがりをウッソが抑えて、バストールは海上へと飛んで行く。

「しかし……、お前は地上に思い残すことは無いのか」
「ありますよ、でもまた、地上にも帰ってきますから」

「そうか」とガラリアは笑みを見せた。
その答えが、とても”この少年”らしかったからだ。
もう一度バイストンウェルへ行って、その後で、もう一度地上へ帰ってくる気でいるのだから、本当に良い性分だ。

「カテジナさんって人がいるんです、僕が救わないといけないんです」

ガラリアはまた「そうか」と答える。
しかし、女の名など聞かされても嬉しくは無いから、今度は少し口許が閉まっていた。

ウッソがついカテジナのことなんかをクチに出してしまったのは、
ウッソ・エヴィンが、カテジナ・ルースを救うには、ここでガラリア・ニャムヒーを救って見せなければならないと心の奥底で思考していたからである。
それを、この瞬間、意識として自覚した。
(……そうなんだ)
カテジナ・ルースはもしかしたら今もバイストンウェルで一人かも知れない。
ウッソ・エヴィンはシーラ・ラパーナと出会ったが、カテジナ・ルースが自分を理解してくれる人間と出会えたかはわからない。
連邦軍に囲まれた、ナの国のオーラバトラーにだって最初は囲まれた。
カテジナがナの国で暴れたことが無理もないことであると、前より身近に感じ取れた。
まして、彼女はエンジェルハイロゥでの決戦中だった。意識が昂ぶっていたのだ。彼女には”ハロ”だって無い。一人なのだ。

『お前はクロノクルを殺したァッ!!』

その声が、今の彼女の心を繋ぎ止めるすべてなら、やはり自分はバイストンウェルへ戻るべきなんだと、ウッソ・エヴィンは決意した。
435:2006/06/04(日) 20:06:32 ID:???
散漫になっていたと言えば、それまでである。
海へ出て、敵を引き離し、迂闊になっていた。

「どうする?」
「加速して”バイストンウェルへ向かって飛んでみる”んです」
「想えば、いいのか?」
「そういうことです! ……エルもいい?」
『まっかせてー♪』

(ふふ……)
知らず、笑みばかりが漏れるガラリア。
途方も無い挑戦なのに、あたかも簡単に出来る気分になる。
まして昨日までは敵だった相手とこうしているということは、愉快でしかなかった。
ガラリア・ニャムヒーは、ウッソ・エヴィンに感化されていく。

加速する、両機。
しかし、なかなか世界は変わらない。

「そんな地上の機械でも……! オーラロードは開くものか……!?」
「ガンダムだから……! 開きます……!!」

根拠はある、”ガンダム”というのは昔から奇跡を起こせる機械なのだ。
ただのそれだけの理由で、しかし、ウッソが信じるには十分な理由だった。
神や運命というものを信じないウッソであっても、
この半年間、自分が”ガンダム”で戦ってきたという経験からするなら、
”ガンダム”がそれを出来る機械だというのはわかる話だった。
ガラリアは”ガンダム”なんてものを信じなくても”この少年”のことは信じている。
”すがる”とか”あてにする”とかいう意味ではない。
ただ、心から、気持ちよく、同調できた。
目を閉じて、しかし、心は開いて、ペダルを踏みこむ。

ヴォォッーと加速していく二機のロボット。
段々と視界が、朝日の赤が、蒼く、翠緑に染まっていく。
広大無辺だったこの空に、限りある大地が見えた、世界が見えた。
雲がモヤのようにかかって、泡白く、世界をぼかす。
(ああ、帰れるのか……)
その瞬間のことだった、機体に強い衝撃が奔った。
436:2006/06/04(日) 20:12:48 ID:???
何かが機体にぶつかった。
丸い、車輪のような、巨大な塊。

「タイヤ付き?!」

ウッソが叫ぶ。
ガラリアは、声無き声でそれを復唱した。
(タイヤ付き……?)

眼下の、海を裂いて現われた塊は、”タイヤ”という通称のSFS『アインラッド』だった。
それは、連邦軍がラゲーンで接収したザンスカールの遺物である。
”この戦い”の切り札だった。

「逃がすかァァ!」

それは、ウーイッグに家族がいた男の言葉であった。
その一撃に跳ね飛ばされて、バストールの機体は無残にちぎれて吹き飛んだ。
ガンダリウムの車輪が、強獣の装甲をずたずたに引き裂いた。
ウッソは、機体の手首からビームサーベルを引き出して、タイヤごとジェムズガンを両断にする。
(しまった……)
と思う瞬間にはいつも遅かった。
セカンドヴィクトリーの、過剰な出力の元に、ビームサーベルはウッソの想い以上に強く輝いた。
真っ二つとなった、タイヤとジェムズガンが海へ落下したのは、バストールの残骸が海へ落ちるのと同時だった。

火球がひらく。
暁の太陽よりも、熱く赤い火球がひらく。

(──そんな、──どうして)

その外界で強く輝く熱と閃光よりも、もっと鋭く熱い感情が、体の中から込みあげてくる。

(──どうして、──どうして、──死なないとダメなんですか、──どうしていつも、──誰かが死んで)

そして、自分だけは生き残る。
結局は、そうだ。
それは”当たり前に培ってきたことによる結果”ではなく、何か”人智を超越したものによる運命”だと、思いたくなってくる。
自分のせいではないと、思いたくなってくる。
それほどに過酷な現実だった。
涙が溢れて、しかし、しかし、ウッソ・エヴィンは眼を逸らさなかった。
ガラリア・ニャムヒーの最後の命の輝きを、しっかり瞳に焼き付ける。
(無駄にしちゃいけない……、不幸に思っちゃいけない……)
その命を貰って、自分はこれからも戦わなくてはいけない、生きねばならない。
立ち止まってはならない、行かなければならない。
そうでなければ、本当に無駄になる。不幸になる。
だから、今までも此れからも、ウッソ・エヴィンは歩みをやめない。

光の中で目を閉じた。

ジェムズガンの核爆発が止んだ頃、セカンドヴィクトリーの姿は地上のどこからも消えていた。


・・続く
437通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 20:41:46 ID:???
おお、いつもながらGJです
しかし、ガラリアはどうしてもそうなってしまう運命なのでしょうか
438通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 20:51:02 ID:???
ガラリアさん、自ら死亡フラグ立てちゃった…

        .。::+。゚:゜゚。・::。.        .。::・。゚:゜゚。*::。.
      .。:*:゚:。:+゚*:゚。:+。・::。゚+:。   。:*゚。::・。*:。゚:+゚*:。:゚:+:。.
ウワ━.:・゚:。:*゚:+゚・。*:゚━━━━゚(ノД`)゚━━━━゚:*。・゚+:゚*:。:゚・:.━ン!!
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ラストバトルのいわゆる幽霊召還にガラリアさん追加
439通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 21:39:50 ID:???
1氏GJ!

ふと思ったんだが、感情とかによって性能が大きく左右されるのって
なんかGガンのMFみたいだな。
まああっちは上方向はともかく下方向への振れ幅はオーラバトラーよりも小さいような感じがするが。
440通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 23:28:17 ID:???
良作だ(*´Д`)
441通常の名無しさんの3倍:2006/06/05(月) 00:06:26 ID:???
ガラリアさんが、クスタンガの丘にいっちゃたー!!(T_T)

光の翼ってコモンの人からすればリーンの翼やガーゼィの翼に見えるよな、やっぱり。
本編でもリーンの翼伝説がどうのこうのってシーラ様が言ってたよな。


>>428
意外に少ないけど、定価以上の金額ならそれだけ内容が濃いってことか…
442通常の名無しさんの3倍:2006/06/05(月) 07:11:22 ID:???
出版社が同じなだけあって、ダンバイン大辞典はVガンダム大辞典みたいな編集になってる
詰め込み過ぎな感はあるけどなかなかいい

問題は、昔の印刷技術だから少々線が荒い事
443通常の名無しさんの3倍:2006/06/05(月) 12:20:45 ID:???
ラポートの詰め込みぶりは神

ダンパ事典は200n定価650円 現在は出品が倍〜5倍くらい
V大事典は170n程度で定価1600円(本体1553円 出品は定価〜倍くらい、タイミングによっては半額強くらいの時も
444通常の名無しさんの3倍:2006/06/06(火) 01:36:58 ID:???
。・゚・(ノД`)・゚・。>>1GJ!!
445通常の名無しさんの3倍:2006/06/06(火) 12:35:47 ID:???
ウッソはよく死者の意志を感じとって会話してるけど
ガラリアの“最期の声”は聞いたんだろうか。
聞いたとすれば、ガラリアは何を残していったんだろう。

ガラリアさん…。・゚・(つД`)・゚・。
446通常の名無しさんの3倍:2006/06/06(火) 12:54:49 ID:???
>>443
む、買い時が難しいな。
447通常の名無しさんの3倍:2006/06/06(火) 21:57:10 ID:???
保守(゚д゚)
448通常の名無しさんの3倍:2006/06/06(火) 22:31:04 ID:???
ホント良スレだー
449通常の名無しさんの3倍:2006/06/07(水) 20:00:49 ID:???
ガラリアさん
カテジナさん
なんか似てない?
450通常の名無しさんの3倍:2006/06/07(水) 21:27:44 ID:???
たしかセカンドVはビームキャノン撃ったりビームシールド使ったりしてないと
光の翼を維持できないとかでV2に比べると性能が落ちるんだよね
451通常の名無しさんの3倍:2006/06/09(金) 00:09:02 ID:???
>>450
それでも強いし、光の翼もある。
十分でしょ?
452通常の名無しさんの3倍:2006/06/09(金) 20:48:54 ID:???
保守っと
453通常の名無しさんの3倍:2006/06/09(金) 22:29:09 ID:???
保守がてらにペプシを飲む
454通常の名無しさんの3倍:2006/06/11(日) 08:37:09 ID:???
おはよー保守
455:2006/06/11(日) 21:21:05 ID:???

──第13章 邂逅


うねうねとした気味の悪い空間が、ウッソ・エヴィンの視界に広がった。
しかし、それは視界ではなく脳裏に広がっているのかも知れなかった。
蒼と藍の、マーブル模様の空の色が、グルグル交錯するようにして、”その世界”を彩っている。
星のように輝いてきらめく”点”もある。
その像が、棒状の線のように連らなって、螺旋を描いていく。
視点が高速で移動しているということかも知れない。
ウッソは、”感覚”を探してみた。
まぶたを閉じてみたり、指を動かしてみたり、声を出そうとしてみたり、しかし、何も出来なかった。
まるで”そんなもの”は最初から体についていなかったように、何も機能しない。
しかし、視覚だけは、映像だけは、頭の中に流れ込む。
気味の悪い、マーブル模様の、しかし、宇宙の姿。それだけが見えた。

ここがオーラロードなのかも知れないと思ったが、それを確認する術は無い。
ウッソは、オーラロードに乗るのはこれで三度目だったが、いずれの時も意識は失っていた。
何か、大きな力に引かれるようにして、宇宙のような闇の中を、しかし、広大な大地へ向かって、
冷たくも暖かくもあり、気分悪くも心地よくもあり、その途中で、いつも意識が失くなっていた。
だから、その先を体感するのはこれが初めてだった。
今回も、意識が途切れそうにはなっている。
”まぶたを閉じる”ことは出来そうになかったが、”思考すること”をやめてしまえばそれで意識は開放されそうだった。
だが、ウッソ・エヴィンは無理に思考を続けて意識を保った。
”世界を繋ぐ道”というものがどんなものなのか、それは”自分は見ておかなければならないもの”だと思うのだ。
一度目も二度目の時も、不意のことだった。
だから、意識を保てなかった。
しかし、今度は違う、自らの意思でオーラロードを開いたとまでは言わなくても、
自らの意思でここへ飛び込んで来たのだ。
ならば、ここを出るときには、それをこの眼に焼き付けて出なければならないと思うのがウッソだった。
不快な感覚から目をそらさず、しかし、心地よい波動にも享受することなく、
ウッソ・エヴィンは思考を続けた。

456:2006/06/11(日) 21:35:48 ID:???

バストールの一欠けらの破片すらも連れて来れなかったというのは、
ウッソにとってはショックなことだった。
彼女は、バイストンウェルへ帰還することを望んでいたはずだった。
それは、ウッソが想う以上に、もっと強い想いだったはずだ。
それなのに、その彼女はここにいない。

例えばウッソにしたって、どうしても死ぬ時には、カサレリアが良いと考える。
望郷という感情は、誰にだってあった。
バイストンウェル人であっても、木星まで行った人類であっても、その気持ちは捨てられない。
だから”彼女の魂”は、せめて、バイストンウェルへ連れて帰ってやりたかったと思うのだ。
ウッソは、そもそも彼女が地上へ出てしまったのは、自分のせいかも知れないと思っていた。
眼を凝らして辺りを探る。
向き一つ変えられない視界ではあったが、映るものすべてに、一つ一つに神経を立てる。
ふと思い出した、バイストンウェルが”魂が還る場所”だとするならば、
隣にガラリア・ニャムヒーがいたとしても不思議は無いのである。
彼女も今、オーラロードにいるかも知れない。
だが、見つからない、目に映るのは、ただ闇闇うごめく空だけだった。

「すみません──、僕は──」

音には鳴っていないはずのその言葉は、しかし、何度も脳裏にコダマする。
ガラリアと出会ったことを不幸に思ってはいけないとは思っても、
しかし、自分のせいで彼女が不幸になったのでは無いかと思えば、胸が痛む。
自分と出会うことが無ければ、彼女は地上に出ることもなくて、戦争で死ぬことにはなったとしても、それはバイストンウェルで、騎士として死ねたはずではなかったのか。
その彼女の運命を捻じ曲げてしまったのは自分ではないのか。
それはカテジナ・ルースにも言えることだった。
ウーイッグに、自分は彼女を助けに行ったつもりでも、しかし、あの瞬間から彼女の運命が捻じ曲がってしまったのではないのか。

それは、恐らく事実だろう。
良かれ悪かれ、ウッソ・エヴィンと出会ったことで、二人とも人生は変わっている。
二人だけではなくもっと多くの人だってそうだ。
そして、ウッソ自身にも言えることだった。

目の前にある現実が不幸なものだったとして、
たとえばその起因が自分だとしたら、それはどんなに辛いことだろう。
ウッソ・エヴィンは考えるのをやめたくなった。
457:2006/06/11(日) 21:41:13 ID:???
視界のマーブルが薄くぼやける。
もともと音なんてどこにも無かったが、しかし、”世界”が無音に染まっていく。
それは、意識が断絶しかけているという兆候だった。

その時、ただ、ただ、白く染まっていく世界に、蒼いハネ髪が、ふわっとそよいだ。
少し痩せた白い肌、大人と思わせる赤い唇、少しだけ垂れたサファイアの瞳。
まなざしはキツク──、しかし、優しく見えた。

(──笑って、くれてる)

その瞬間、”世界”はざわめきを取り戻し、空のマーブル達は色合いを取り戻した。
白い世界に映えて見えた蒼髪は、溶け込むようにして消えていく。
しかし、その一瞬を、ウッソ・エヴィンは忘れない。
確かに、笑って見えた。
”その幻”は一言も語らず、一瞬で、しかし、笑って見えたのだ。

”騎士らしく死ぬことができなくても”、”女らしく死ねたなら”、それは誇れる幸せなのだ。

ウッソには、そういう心情まではわからなくても、”彼女も不幸には思っていない”とうことだけわかれば十分だった。
それで、ウッソ・エヴィンも笑顔になれるのだ。

「あは……、あははは……!」

もしも、”目の前にある笑顔”が自分の成した成果なら、それはどんなに幸せなことだろう。
そういうものさえあれば、他に何も無くても人は生きていけるのだと、本気でそう思えるほどに、幸せだった。

バイストンウェル──、視界に、やわらかい緑の大地が映る。
この暖かさを、そこで”自分を待つ人たち”にも伝えるということが、自分の使命という奴かも知れないとウッソは思う。


『──人よ、──地上人よ』

「──誰? ──何の声?」

『──地上人よ、──何故、バイストンウェルに戻ろうとする、
 オーラロードに堕ちて、しかし、魂を引かれぬ地上人よ──』

「──僕のこと……?」

『地上に生き、地上を求め、地上を望み、地上を愛し、
 しかし、地上に囚われることの無い、新しき地上人よ──』

458:2006/06/11(日) 21:45:54 ID:???
『何故、そうもはばたこうとする──、
 その偽りの翼で──、
 その地上の機械を持って──、
 このバイストンウェルで、一体何を成そうというのだ──』

「何って……」

『驕り昂ぶるな、地上人よ──、
 自分が聖戦士の器だとでも思っているのか──、
 世界を救えるとでも思っているのか──、
 おまえという存在が、このバイストンウェルを歪ませる元凶になるということが、わからんわけではあるまい』

「…………」

『本来、生と死によってのみ通じる二つの世界を──、
 肉を持ち、機械を持ち、行き来することなどあってはならない──、
 オマエの行いが世界を崩すことになったとしても──、それでもゆくか──、地上人よ──』

「……ウッソ・エヴィンの道を、ゆきます」


数々の出会いと経験、ウッソ・エヴィンは培われてきた存在である。
だから、ゆく。
その決定は誰のでもない、”神”でも”世界”でも”運命”でもなく、
”育まれた感情による彼の意思”、
”彼を愛する者たちの彼の意思”。
だから、──ゆく。


瞬間、視界が”白”ではなく”光”に染まるようにして、”世界”が変わった。



・・続く
459通常の名無しさんの3倍:2006/06/11(日) 22:01:51 ID:???
乙です
ほんとに御大の雰囲気が出ていますね
460通常の名無しさんの3倍:2006/06/11(日) 23:31:41 ID:???
相変わらずのgb!

謎の声はいったい誰の声だろう
やっぱりジャコバ・アオンかな

早く続きが読みたいです
461通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 02:05:02 ID:???
一番恐いのは、ジャコバ・アオン。
462通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 02:35:36 ID:???
いつもながら良い味出してます。GJ!!

少々出遅れましたが、貢物を持ってきました。
つ【ttp://119wataru.net/cgi/viewsys/updata/1150045779_1.jpg
463通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 02:55:35 ID:???
ガラリアさん…
464通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 06:10:34 ID:???
あげ
465通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 06:43:04 ID:???
飛竜で最後まで戦ってた某国の騎団でさえ、
倉庫にシーラ様んとこで買ったの置いてたら強制送還するお人だからなあ>ジャコバ・アオン
466通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 08:42:48 ID:???
今回も感動。

>>462
GJ!
467通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 11:17:18 ID:???
今、レンタルで1巻から見なおしてます。
…なかなかどうして面白い。
噛み締めて味が出るな、富野作品は。
468通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 17:54:54 ID:???
>>467
寝ぼけてたせいもあって「もしもウッソと〜」のビデオがあるのかとオモタ
良い夢を見させてもらったぜ
469通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 18:16:38 ID:???
SS職人も絵師もGJ!

いつの日かハァハァなシーンを描いてほしいと言ってみるテスト
470通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 22:51:24 ID:???
バストール、結構小さいんだな
調べてみたら9.2mだった
セカンドは15mくらいだっけ?
471通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 12:19:54 ID:???
_ト ̄|○ ホス
472通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 16:39:55 ID:???
>>471
真ん中の飛び出してるのは何?
473通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 17:48:05 ID:???
脇腹刺されて腸がはみ出た
474通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 00:31:33 ID:???
>>473
来ると思ったよ…
甘ちゃん坊やはこの舟が沈めば、この舟もろともみんなが幸せになるんだろう?
4751(朝Ver):2006/06/14(水) 06:48:26 ID:???
>>462
バカっ!天才っ!ありがとうっ!すごいっ!えらいっ!ああっ!良いっ!
朝日が良い、朝日が良いっ
良く読んでらっしゃるっ、ヤッホォッ!
476通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 19:00:01 ID:???
>>1がある種の萌えキャラになりつつある件について

( *´д`*)ハァハァ
477通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 19:36:13 ID:???
>>475
なんだこれ……
478通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 23:44:46 ID:???
からみにくい

フォローしにくい
479通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 01:51:11 ID:???
>>476
ごめん、賛同できない…
SSは面白いけど、>>1氏に萌えは…

スマソ、無理…
480通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 02:37:17 ID:???
>>1に萌える必要はないが
おまいらは電波発言をスルー出来ない低脳ですか?
>>1は電波発言でストレス解消しているんだろうよ

電波な奴ほど創作力があるんだから
客の俺は優しい目線で>>1の文章を読ませてもらう

↓以下何事もなかったかのように保守
481通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 03:53:39 ID:???
荒んだ心に保守は危険なんです
482通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 10:05:59 ID:???
電波発言でストレス解消?そんなもん他でやればいいんじゃねの?

>>475>>1騙りの嵐じゃないのか?
483通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 10:40:22 ID:???
>>1氏とは萌え的なつながりはないけど、からみたい衝動にかられる。

スルーするのもな…
スレ主だし…
484462:2006/06/15(木) 12:45:05 ID:???
>>1さん、トリップ付けませんか?
そのほうが安心感がありますよΣd(・∀・)
485通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 17:07:53 ID:???
>>419
>>484
でも出ているけどトリップつけてほしい。
486通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 20:20:29 ID:???
新シャアの方でもかけもちしてっからむりじゃね?
487通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 01:27:17 ID:???
>>486
kwsk
488通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 05:12:43 ID:???
かけ持ちしているとムリって・・・意味が分からないんだげどw
489通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 10:04:27 ID:???
>>1氏は新シャアで何を連載してるの?
490通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 12:36:56 ID:???
もしかしてモップ?
491通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 17:28:46 ID:???
>>490
まさか┐(´ー`)┌
考えすぎだろ?

>>1氏、召喚しよう。
>>1氏よ、今こそ現れ我らの疑問に答えたまえ〜
あーゆーモップ?
492通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 21:02:34 ID:???
モップ氏じゃないよ、確か掛け持ちはSDか何かだったハズ
トリは前みたく自分から付けるのは何か気恥ずかしく、
かと言って偽者も出る訳じゃないから誰にも言われず付ける機会がなかったみたいな感じだろう
みんなでお願いすれば付けてくれると思われる
493通常の名無しさんの3倍:2006/06/17(土) 09:38:25 ID:???
1鳥希望
494通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 16:58:07 ID:???
>>493
いまさらだけど、鳥って何?
495通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 19:48:26 ID:???
>>494
幸せの青い鳥
496鳥 ◆ouUsoV97eI :2006/06/18(日) 23:48:43 ID:???
>>494
知ってて聞いてるのかも知れないけど、保守ついでに余計な世話を焼いてみる。

鳥=トリップ
本人の書き込みである事を証明する保険のようなもの。
名前の後ろにある◆〜がトリップ。板によって8桁、10桁のどちらかになる。
試しに、この書き込みにトリップ付けてみる。


【トリップの付け方】
名前の後に #好きな文字列
※#は半角で
※文字列は半角8文字(全角4文字)まで反映されます

【検索ツール紹介】
◇見知らぬ国のトリッパー(w
http://tripsage.hp.infoseek.co.jp/
◇Trip-Mona
http://dawgsdk.cside.com/tripmona/
◇うとりっぱ〜 (for Un*x)
http://www.geocities.com/tk2001b/utripper/
◇とりっぱー for Mac
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/9482/
◇ra8
http://trip.is-a-geek.net:4/ra8/
497通常の名無しさんの3倍:2006/06/19(月) 19:31:30 ID:???
>>494だが>>496
dクス。
普通に知らなかったぜ
498通常の名無しさんの3倍:2006/06/20(火) 00:14:20 ID:???
>>489
SDガンダム外伝 ナイトガンダムSEED
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1145535814/l50
499通常の名無しさんの3倍:2006/06/21(水) 01:05:42 ID:???
>>498
まだ、見に行ってないけど、本当に>>1なのか?
イメージが…
500通常の名無しさんの3倍:2006/06/22(木) 00:46:57 ID:???
>>490,491
ウッソじゃなくて ハマーンさま の方の話の作者でしょ?
501通常の名無しさんの3倍:2006/06/22(木) 17:52:38 ID:???
>>500
あ〜
なるほど…
似てるかも…
502通常の名無しさんの3倍:2006/06/22(木) 19:58:47 ID:???
てっきり特殊趣向の方かと・・・
>>1氏が誰であれ、次スレに突入しようとも保守するつもりだけどなw
503通常の名無しさんの3倍:2006/06/22(木) 23:28:26 ID:???
>>502が良いこと言った
504通常の名無しさんの3倍:2006/06/24(土) 15:07:05 ID:???
まだ〜?
505:2006/06/24(土) 16:35:01 ID:???
「じゃ、走って」
「ぇ゛……」

マルチナの短絡的な結論に、思わずウォレンは絶句する。
それはあんまりだ、”ここ”からカサレリアまで走るなんて……。
だから、反抗するように、否、懇願するように(だが言葉にはしないで)パクパクとジェスチャーで気持ちを訴える。

「仕方ないじゃない、ワッパの重量オーバーなんだから」

それはそうだけど……と、ウォレンは俯いた。
仕方ない。
いつものこと、だ。
はぁ。

「おとこのこでしょ」

それだ、いつも”その言葉”で”押し付けられる”。

ウッソのいないカサレリアは、ウォレン一人が男手だった。
「カルルがいるじゃないか」
とは思っても、カルルに”仕事”をさせられるわけなく、
「頑張ってね」
と、マルチナに微笑まれれば、逆らえないのがウォレンである。
「マルチナさんのほうが僕より体力あるのに……」
しかしそれは、おもにウォレンへの折檻にしか使われない。
「あんまりなんだよなあ」
一見、ハーレムに見えるこの生活も、内実、マーベットは妊婦だし、
エリシャとシャクティは未亡人(?)だし、スージィなんかオシメだし(してないよぉ!byスージィ)。
ウォレンにとっての”まともな女性”はマルチナだけだった。
いや、”まとも”じゃあない。
確かに顔は可愛いけれど、わがままだし、すぐ怒るし、気まぐれだし……。
それでも、それなのに、ウォレンは彼女が好きだった。
それはもう、ハイランドで出会った時から好きだった。
一目惚れとか、そういうの。
リーンホースやホワイトアークで一緒なうちにますます好きになって、
カサレリアに来て、虐げられてるのに、やっぱり好きで、好きだった。
「あぁ、もぅ」
自分に呆れて、彼女に呆れる。
鬱憤と声高に汽笛を鳴らし、彼はやっぱり走り出す。
506:2006/06/24(土) 16:36:24 ID:???
「ほらほらっ〜、早く早く〜! 置いてっちゃうよ〜!」

楽しそうに、言う。
こちとら必死で、息を枯らす。

「……はぁはぁはぁっ、……フランダースじゃないんだからぁっ!」

少し考えて、

「……”フランダース”でしょ♪」
「フランダースじゃないでしょッッ!!」

その瞬間、ウォレンは足がもつれて転んでしまった。
……痛いッ。
特に左腕の肘を強打した、赤くなってる、血は出てないけど、腫れてる、痛いッ。

しかし、それを見て、高らかに笑う彼女。あはは、あはは、と、馬鹿にする。

腹が立つ、、けど、、可愛い、、悔しいけれど、、、そんな笑顔が堪らない、、、
どこが、なにが、などは無い、ただ”それだけ”で好きなのだ。
もう”フランダース”でもいいやとか思ってしまうのは彼の悲しいサガだった。

力いっぱい立ち上がり、埃を払って、深呼吸をする。
ぐんぐん遠ざかって彼女。
コケてすぐはワッパを止めてくれたけど、無事だとわかるとそのまま発進させて、引き離す。
何故、引き離す必要があるのか、、
それは彼女のサガかも知れない。乙女なのだ。
「まったく、可愛いんだから」
フラフラと、しかし力強く立ち上がり、彼は彼女を追いかける。
置いてかれて、笑われて、それでも幸せだと感じるこの日々。
遠い空に、ウッソとオデロの姿を思い出す。
「いつまで、続くのかな」
彼女の背中を追いかける日々は、出来ることならいつまでだって終わって欲しくない。
そりゃあ、追いつけるのなら追いつきたいものだけど。
なーんて考えながら走る、ウォレン・トレイスの昼下がりだった。
木枯しが、吹く中で。


──第13.5話、ウォレンさんの日常、完──
507通常の名無しさんの3倍:2006/06/24(土) 22:43:29 ID:???
まったり閑話休題。イイヨイイヨー
このカサレリアにはマサリク一家もイリエネス父もいないのか・・・
男の株を上げる機会が自然に増えたウォレンは幸せ者

個人的には、豪快に半壊中のエヴィン家が気になる
508通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 00:58:01 ID:???
マサリク兄弟は?
ウォレンよ、無視するな。



だが、そこがいい!



聞き飽きたかもしれないけど…
>>1氏、グッジョブ!
509通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 01:05:56 ID:???
そういえば、ストライカー達もカサレリアに住んでたんだよな。

意外に多いよな。
マザーもあるし、ウーイッグに回線で繋がってるから情報も不自由ないし、立地条件もいい。
住むには良いとこかもしれない…。
野良仕事が嫌いじゃなければね。
510通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 01:14:06 ID:???
マサリク兄弟はハイランドに帰ったんでしょ、ていうか最初からいないじゃん
いまさら何言ってんの?
511通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 01:19:23 ID:???
>>510
確かにアニメ最終話にはマサリク兄弟いなかったが、もしかしたら何故か二人で家でお留守番してたかもしれないじゃないかw兄弟でw

512通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 04:08:38 ID:???
そもそもカレルはともかくトマーシュのガンブラスターはカサレリアに降りて来て無い気がする
>>507でマサリク一家とかあるが、マサリク一家がカサレリアに移り住むって話がなんかの本にあんの?
確か小説はウッソとシャクティとカルルだけだったしな
513通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 12:38:16 ID:???
電波イラネ
514通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:20:14 ID:???
本編もそろそろ読みたす。
515通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 18:00:34 ID:???
>>512
多分、>>508-509はカサレリアスレの住人だと思う。
マサリク兄弟とかストライカーはそのスレでは住んでることになってる。
もちろん映ってないとこにいる可能性はあるが公式にはそんな設定はないはず。
少なくても俺の知ってる範囲では。
てか奴らはわざわざカサレリアで暮らす理由は無いと思われ。
エリシャとマルチナはともかくトマーシュとカレルは宇宙船とかが好きそう。
516通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 18:36:38 ID:???
カサレリアスレの設定なんて知ったことか!
517通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 18:37:42 ID:???
マルチナエロかわいい(*´Д`)
518通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 22:01:21 ID:???
やっぱり1トリは必要だろ
519通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 22:46:18 ID:???
>>517
ウォレン乙
520通常の名無しさんの3倍:2006/06/27(火) 01:23:05 ID:???
ネタないので保守
521通常の名無しさんの3倍:2006/06/27(火) 02:18:38 ID:???
ネタ?、ネタと言えなくも無い
今見たら消しちゃってたよ22日
消すほどの事でも無いだろうに……
522通常の名無しさんの3倍:2006/06/27(火) 07:41:07 ID:???
誤爆
523通常の名無しさんの3倍:2006/06/29(木) 13:03:17 ID:???
爆発!!
524通常の名無しさんの3倍:2006/06/29(木) 23:28:49 ID:Bj1n9TCA
保守させていただく
525通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 09:26:39 ID:???
軽くなって落ちないはずだ!!
526通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 17:28:22 ID:???
527通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 17:49:47 ID:???
>>525
>>522-523の爆発が強すぎたんです!!


>>524
ハロ(*´д`)テラモエス
528通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 22:36:55 ID:???
チャムとエルに小突き回されているハロ?イイネ
529通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 01:12:07 ID:???
かわゆすなーw
530通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 02:06:27 ID:???
高速で保存した!!1
531通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 20:28:20 ID:???
>>526
かみさま……(*´Д`*)ハァハァ
532通常の名無しさんの3倍:2006/07/03(月) 22:18:41 ID:UY2fkyED
保守
533通常の名無しさんの3倍:2006/07/05(水) 12:19:57 ID:???
保守だよ。
保ち守ることをしている。
534:2006/07/06(木) 21:00:13 ID:???
煌々とした文明の光が、夜闇の中に、荘厳たる白い居城を栄えさせていた。

本来、そんな光はバイストンウェルには存在しないものである。
バイストンウェルでの明かりといえば”炎”か、もしくは”燐”の輝きを指す。
しかし、この城に灯る光はそのどちらでもなかった。電気による光であった。

ゆらぎのない、しかし華やかな、エレクトリカルな光。

電気とは、アの国の地上人ショット・ウェポンの発明だったが、その技術はオーラバトラーと同様に裏から裏へと流れ、
ついに、このナの国のウロポロス城でも実用化に至っていた。

暖かみのないその光は、しかし、誇らしく高らかで、紛れも無い文明の輝きであった。

明かりを手にした人間は、もう夜闇を恐れることは無いだろう。
だが、そんな人間がこれから突き進む先は、果たして明るいものなのだろうか。

地の果ても、海の向こうも、空の先さえも、もはや、届く、世界。

そう奢れる人間の突き進む先は、未来は、果たして明るいものなのだろうか。

しかし、人は突き進む。
例えば、そこに知恵の実があるのなら、人はそれを食べる生き物だ。
愚かである。
しかし、暗闇の中でいつまでも震えているよりはずっと良い。
その考え方が人の業ならば、このバイストンウェルに置いてもそれが人の生き方なのだろう。

バイストンウェル、太陽の無いこの世界。
悠久の刻は今崩れる。
フェラリオは天より堕ち、ガロウランは地より這い上がり、地上人が顕現する。

バイストンウェル、人々は、その記憶を失くし、地上へ生まれ出る。
バイストンウェル、人々は、その世界へ還る時、地上の記憶を失くしていく。

バイストンウェル、ミ・フェラリオの語る次の物語を続けよう。
535:2006/07/06(木) 21:01:34 ID:???
──第14章 白き宮殿の女王・前編



淡々とした闇夜であった。
月も無く、風も無い、穏やかな夜。
そんな夜の闇に、しかし、ぽっかりと輝く一つの”白”があった。
ウロポロス城である。
広大な広葉樹の森の中に、一箇所だけ大きく盛り上がり、城壁がせりたち、宮殿が建っている。
電灯による橙黄の光が、白亜の外観に混ざって、しかし、闇の中には、ハッキリ白く輝いていた。

その、白き城を眺めて、カテジナ・ルースは唇を噛む。
忌々しい。
ただ、白い、というだけで、忌々しい。

彼女は、”白とかいう色”が嫌いだった。

”白とかいう色”を見ると、それを破壊したいという衝動に駆られてしまう。
そんなものは黒く濁せと何かが言う。
そんなものは赤く染めろと何かが言う。
奥底で、沸くように、滾り溢れる、黒の衝動。
悪寒が奔るが、しかし、震え立つ。

(”白”が嫌いだって? 大好物の間違いだろう)

キツク、操縦桿を握って、

「おい! 三連星!」
「三騎士だ!」

歪んだ唇から微笑を滲ませて、

「どっちでもいいっ、……いくぞ!」

舞い上がる。
黒衣の化身。
536:2006/07/06(木) 21:03:07 ID:???
そんなカテジナに不満があるのが、赤い三騎士のガラミティだった。
いくらビショット王の勅命とはいえ、赤い三騎士である自分達が何故こんな女のおもりをしなければならないのか。
しかし、ガラミティのそういう気分を読み取って、カテジナ・ルースは突いて来る。

「文句でもあるのか」

通信機を介した、しかし、強みと寒気の損なわれない声で、

「いま、何故自分がこんな女のおもりをしなきゃならないのかって考えてたろ」

蒼くなるガラミティを嘲笑うかのように、

「あははは! 私は聖戦士だって言ったろう! それくらいわかるんだよ!」

言い放つ。
もしそれが聖戦士でありこの女だと言うのなら、とても自分達に”おもり”が出来る相手ではない。
オーラバトラーの装甲をすり抜けて、いや、突き抜ける視線で睨みつけて、

「おまえ達は、”私の言う通り”動けば良い」

優しく、ゆっくりと、しかし、凍らせるほどの迫力で。
外側からは、耳からは、聞こえない。
内側から響く、彼女の戦慄。
まるで脅迫だった、弱みなど何も無いのに、逆らえない。
マシンを突き抜けて、肉体を、精神を、包み込むように、抱きこむように、冷たいオーラが満ちてくる。
その言葉は圧し掛かり、凍てつかせ、濁らせる。カテジナ・ルースの黒のオーラ。
恐怖ではない、いや、”恐怖”なのだろう。
視覚や触覚、理性で判断する外的なものではなく、内側から湧き上がってくる本能の恐怖。
”逆らえない”、ではなく、”逆らってはならない”。
例えば、神を恐れおののくようにして。
汗が噴出し、しかし体は凍てつき、硬直して動かない。

開く、羽音。
瞬く、オーラノズル。

静かな夜を、いたずらに、ぶち壊していくカテジナのビアレスの姿。
赤い三騎士のガラミティ・マンガンは、しかし、それを呆然と見つめるしかなかった。

537:2006/07/06(木) 21:05:48 ID:???
「おまえたちいつまでボケッとやってる! 早く攻撃をするんだよ!」

カテジナの”命令”。

「し、しかし、作戦は……、地上の機械の奪還だろう……」

やっと紡ぎ出したガラミティの言葉を、一蹴する。

「だから、こうやって陽動をやってみせて注意をそらそうっていうんだろうッ」

あぁ、そうか、と頷き、攻撃を開始するガラミティ。
ダーとニェットもそれに続く。
その様を、満足げに見渡すカテジナ。
ブオッンブオッンと打ち出されるフレイボムの火砲が、赤く線を引き、黒く塗りつぶしていく。

カテジナは甲高く大きく一笑して、次の作戦に取り掛かった。

「私はゴトラタンを取ってくる、お前たちはここでしばらく暴れていろ」

そう言い残して去る彼女に、もはや反論はできない。
不満には思っても、顔にも出せない。
あぁ、と力なく頷いて、遂行する。
”監視”の任を放棄するほうが安かった。
ビショットの勅命よりも、カテジナの言葉は尊く感じらされた。
思い知らされた。

しかし、そんな無様な三騎士をビショットだって責められない。
何故なら彼も同じだった。
カテジナの妖気に当てられていた。

フェラリオよりも妖艶で、ガロウランよりも豪胆で、どんな人間よりも悪辣で、
そんな女に魅入られれば、逆らえる男などはいはしない。
538:2006/07/06(木) 21:09:46 ID:???
ドレイク・ルフトはエ・フェラリオを使ってたくさんの地上人を召喚してはいたが、モビルスーツなどを持ち込めた例は一つも無い。
だから、そんなものを手に入れられれば、ビショット・ハッタはドレイク・ルフトを越えることが出来るかも知れない。
というのは建前でしかなかった。

もはやそんなことはどうでもいいと思うくらいに。
彼女の瞳に魅入られていた。
透きとおる金の髪、同じ金枝の太い眉、白い肌にとても映えて、美しく、気高くもある。
鈍色の濃い瞳は、しかし、光を湛えて、艶めかしい。
その、刺すような冷たい視線と、蕩けさせる熱い吐息で、もはや動悸が止まらない。
細くしなやかな彼女の指先は、しかし、少し力を入れるだけで自分を殺せてしまえそうで、恐ろしい。
その感覚がたまらない。
恐ろしいのに、いとおしい。
逆らえない。
もしここで力を入れられてしまったとしても、もはや目を閉じることくらいしか出来ないだろう。
抵抗は無意味。
命乞いさえも無意味。
彼女が殺したいと思うなら、自分は殺されるしかない。
そんな不条理さえ適わせる、彼女の瞳。
深く、深く、深い、色。


地上人、地上人はみなそうなのか。
それともこの女が特別なのか。
ああ、これが”女という生き物”なのか。
しかし、ルーザ・ルフトすらも超えている。
フェラリオよりも、ガロウランよりも、超えている。


決決と広がる鼓動は、体全身を駆け巡り、火急する。
”縋がらせるほどの畏怖”。
ビショット・ハッタはカテジナ・ルースに服させれた。

539:2006/07/06(木) 21:10:56 ID:???
爆音と共に外壁を打ち破り、格納庫へ侵入するカテジナのビアレス。
起動直後のボゾンに対し、次々とフレイボムを撃ち込んで爆破する。
羽根を開く間もなくして、ことごとく砕け散るボゾン。
カテジナ・ルースは”人間”に対してもフレイボムの斉射を行った。
ふわりと宙に浮いて、しかし、すぐに落下する、肉片。
炎が、血が、どうしてこんなに美しい。
赤い血塵が、黒い廃煙が、世界を美しく、心地良く染めていく。

快感に、熱きり立つ。

ひとは壊すために生まれてきたのだという本懐。

「あははははははははは!!」

撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。

撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。

燃え上がる、飛び散る、命。
儚く、美しく、砕けていく、命。
散っていった命たちが、少しづつ、少しづつ、彼女に力を与える。
吸収する、飲み込むように、取り込んでいく。
それはまるで狩猟のように。
それはまるで食事のように。
飢えた、女が、求めて、撃つ。
奪っていく。
まだ足りない。
自分が失ったものにはまだ足りない。
もっと、もっと、奪いつくす。撃ちまくる。

「あははははははははは!!」

奪いつくす。
しかし、だからこそ、いつまでも遊んではいられない。
ゴトラタンの奪回、それが今日の目当て。

540:2006/07/06(木) 21:14:23 ID:???
一通り撃ち滅ぼしたところで、カテジナは引き金を引く手を止めた。
昂ぶった感情を、しかし、理性でこらえて、落ち着ける。

酷く黒く染まりきったこの格納庫に、もう用は無い。
ここにはゴトラタンは無かった。
別の格納庫か工場区を探しにいく。
ウロポロス城の敷地は広く、そういった場所は複数ありそうだった。
もはや電灯ではなく、原始的な炎によって明々と照らされた場内を闊歩するカテジナ。


眼が合った。


緑の髪の女。
城のテラスにうっとり佇む。
”澄ました眼の女”。

虫唾が奔る。

「なんだその眼はッ! 高いところから見下ろしてッ!!」

激昂する、本質的な不快感。
城内を爆破したときとは比べられないほど強く、興奮して、フレイボムを引き放つ。


ドオガンッ


炎がさかる。



・・続く
541通常の名無しさんの3倍:2006/07/06(木) 22:20:59 ID:???
続きキター!
カテジナさんがいい感じに悲しく壊れてますね
こっちまで魅入られそうですよカテジナさん!(;´Д` )ハァハァ
542通常の名無しさんの3倍:2006/07/06(木) 23:26:38 ID:???
イ呆ウ
   寸
543通常の名無しさんの3倍:2006/07/07(金) 00:59:17 ID:???
「おい!三連星!」にツボったwww
たしかにwww
544通常の名無しさんの3倍:2006/07/07(金) 01:01:06 ID:???
>>1キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
545通常の名無しさんの3倍:2006/07/07(金) 02:54:47 ID:???
ビショット浮気キター
まあ、もともと不倫してるやつだしね
546通常の名無しさんの3倍:2006/07/09(日) 03:28:19 ID:???
1乙ーーーー!!!
相変わらず良い仕事ですね!!!

それにしてもカテジナさん恐っ。。。17歳なのに・・・
547:2006/07/10(月) 19:46:36 ID:???
吹き抜ける、黒き風。
ウロポロスの空を、城壁を、外壁を、すり抜けて、突き抜けて、吹き抜ける。

(……この感覚は)

込み上げるそのモノが、熱いのか冷たいのかよくわからない。
色々な感情が複雑に混ざり合い、重なり合い、絡み合っている。
色も形も、一瞬ごとに姿を変えて、溶けては歪んで、歪んでは固まって、また溶ける。
怒りも喜びも、愛も憎しみも、すべてが其処に存在し、しかし、すべてが何処にも無い、そんなカタチ。
わかるのは、苦しみ。
少なくても、この”風”の主は憂えている。
それと、覚えがあった。
この感覚は、この”風”は覚えがある。

(カテジナ・ルースという地上人がここへ来るのか……?)

悪意を、持って。



──第15章 白き宮殿の女王・後編

548:2006/07/10(月) 19:49:15 ID:???
すぐにカワッセを呼びつけて、警戒態勢を言いつけるシーラ。
しかし、その最中に、警報が鳴った。
間に合わない。
想像よりも圧倒的に早く、速かった。カテジナ・ルースの侵食。

「お下がりください!」

カワッセの静止を、しかし、聞こえぬかのようにテラスへ赴くシーラ・ラパーナ。

ウッソにカテジナのことを詳しくは聞いていない。いや、”聞かなかった”。
聞くべきだったのかも知れない。
やたらに相手の”心の色”などがわかってしまうから、聞けなかった。
だが、聞くべきだったのかも知れない。
それが例えば、辛く悲しい出来事だったとしても、相手に不快に思われたとしても、聞けば不幸になるようなことだったとしても、
聞くべきだったのかも知れない。
シーラ・ラパーナなのだ。
何一つ、恐れてはならない。何一つ、見落としてなどならない。

(カテジナ・ルース、ウッソの知り合いの地上人……)

だから何だという。
其が何処の誰であれ、自分とナの国に害を為すものならば、叩き伏せねばならない。
王たる者が、まして有事の際に、私情などを挟んで良いものでない。
たとえ此処にウッソ・エヴィンがいなくとも、あれは討たねばならない。
結果、ウッソ・エヴィンの不興を買ったとしても、あれは討たねばならない。

「カワッセ……! ”アレ”はかならず”此処”に来る、罠を張らせよ……!」
「は……? ……ハッ」

言い終えると、そのままテラスから空を眺めるシーラ・ラパーナ。
たゆたゆと月が浮かぶ夜空は、しかし、あんまり輝いては見えなくて、美しくない。
それは、ウロポロスに電灯があるせいかも知れないし、カテジナ・ルースのことが心を陰らせているということかも知れなかった。
月が輝く、しかし、暗い夜空。

「……ウッソ」

意味もなく、その名前がクチから洩れた。

549:2006/07/10(月) 19:53:54 ID:???
現われるカテジナ・ルースのビアレスに、しかし、凛とした眼差しで見つめ返すシーラ・ラパーナ。
さっそくにして撃ちだしてくる火炎を、しかし、純白のボチューンが切り裂いた。
純白のボチューン、しかし、ウッソが持っていった未完の機体とは違う、制式仕様の完成機。
従来のボゾンタイプは勿論、アの国のビランビーやレプラカーンをも凌ぐ高機動オーラバトラーである。
また、純白色は親衛機であり、近衛騎士団のものであった。
知力、体力、人格、操縦能力、オーラ力、すべてが優れたごく一部の騎士にのみ与えられ、
一機一機特別なカスタムを施されている。
胸部には大きくナの紋章が刻まれ、ナの国の守護をつかさどる最高位の巨人騎士。
その親衛機のボチューンが六機で、カテジナのビアレスを取り囲んでいた。
彼等は、騎士らしく一対一で戦う、などという真似はしない。
シーラの守護を第一に考え、行動する。容赦も無い。
シーラの眼前で立ちはだかる一機を残し、他の五機は一斉に、多角からビアレスに斬り込んだ。
上にも下にも後ろにも、どこにも逃げ道は無い。
しかし、カテジナ・ルースは不敵に笑う。

「逃げる? 誰が逃げるってッ?!」

剣を眼前に突き出して、一周大きく振り薙ぎる。
その剣圧だけで吹き飛ばされる五機のボチューン。
しかしそれは、”剣圧”ではない、”威圧”。つるぎからほとばしったのは衝撃ではない、彼女のオーラ。
”吹き飛ばされた”のではない。
”止まったのだ”、”引いたのだ”、”逃げたのだ”。
物理的ではない衝撃に、自らの手で後退した。
無意識に、本能的に、踏みとどまり、いや、逃げた。
戦慄というものを思い知らされる。
恐怖。
だが、逃がさない。
逃げたところで余計に逃がさない。
カテジナ・ルースは、高速に、追う。
鉤型に湾曲した特異なソードで、引っ掛けて、千切る。
”白とかいう色”のオーラバトラーを、漆黒の爪牙で両断していく。

「あははははははははっっ!!」
550:2006/07/10(月) 20:02:33 ID:???
一機、また一機と、”背中を斬られ”落ちて行く。ボチューンの姿。

「なんというプレッシャーか……!」

押し潰すような黒。塗り潰すような黒。
闇、闇、闇、闇。
シーラ・ラパーナでさえも、その場に留まることが困難なほどの威圧。
しかし、負けられない。
降り荒ぶ爆風を左手で避けて、なびく髪を右手で抑えて、視界を確保する。
凛として、睥睨する。

「カテジナ・ルースという地上人……! 剣を引きなさい……!」

そのような言葉を聞けば、余計に逆上するというのがカテジナであった。
ボチューンの相手をやめて、シーラ・ラパーナ目掛けて一直線に突っ込んでくる。

「うっとうしい女ッ! そういうのがお高いっていうんだよッ!!」

だが、それがシーラの狙いだった。
カテジナの殺意がすべてシーラへ集中した瞬間、ボチューンのパイロット達を縛っていた何かが解けた。
残ったボチューンはただの二機、しかし、体は自由になった、そして、ビアレスは隙だらけになった、もはやこちらの姿を見ていない、”見えていない”。

がら空きになったビアレスの背中に、オーラソードを斬り降ろす。黒い翼がもげる。
注意散漫となったビアレスの左方から体当たりで機体を吹き飛ばす。石の城壁に突っ込んだ。
ビアレスを飲み込んで、ガラガラと、崩れ落ちる岩塊達。
シーラの身を案じ、テラスの傍へゆっくりと着地するボチューン。
口許を抑え、息を切らし、膝をついてはいるが、外傷などは無さそうだ。テラス自体も無事である。
ほっと安著するパイロットに、しかし、シーラは叱咤する。

「戦いに集中なさい! あの程度のことで終わるものか!」

そう、まだ終わらない。この悪夢は。
ガラガラと、再び音をたてて崩れる岩塊の山。吹き飛ばし、黒い機体は舞い上がる。
慌ててオーラバルカンを連射するボチューンだが、しかし、弾丸が空中で何かに弾かれ、届かない。
ビアレスは、右の翼がもげていた。
しかし、オーラノズルから黒き光を噴出して、悠悠綽綽と宙に浮いている。

「やってくれる……! バカにしてぇぇえぇっ!!!」
551:2006/07/10(月) 20:07:00 ID:???
投げた右腕のトマホークソードが、ボチューンの腹に突き刺さり、爆発する。
投げた左腕のトマホークソードが、ボチューンの腹に突き刺さり、爆発する。

もはや、シーラを守るものは何も無かった。
両手の武器を投げ飛ばし、しかし、手の甲の爪を突き立てて殴りにかかる、カテジナのビアレス。

一直線に、シーラの建つ、露台へ。
拳を下ろす、砕け散る石片。
右手の次は左手を、左手の次は右腕を、振り下ろし、振り上げて、振り下ろす。
崩壊するテラス。
崩れる足場に巻き込まれ、崩れる天井に降りかかられて、体のあちこちが痛みが奔る。壊れ、血が滲む。

もはや、白亜の城が石の山とかしていた。

動かない体、痺れる意識、しかし、それでも、シーラは生きていた。
息を切らし、唇を噛んで、しかし、眼は閉じずに、カテジナ・ルースを睥睨とする。

ビアレスは、少し高く上がって、石の山に炎を構えた。

「黒焦げになりなさいッ! あはははは!」

高笑いするカテジナを、しかし、まだ凛と睨みつけて、けれど、か細く呟いて、

「……ウッソ」

引き金が引かれたその瞬間、光が奔った。
赤い、黒い、鈍い、憎しみの、光ではない。
白の、透きとおるような白の、赤の、輝きまばゆい赤の、光の翼。

 ブオオオオッッオオォォッ!!!!

風が吹いた。
すべてをすり抜けて、すべてを貫いて、しかし、優しき白き穏やかな風。
吹き抜ける、翼。

「……ウッソ」

もう一度、同じ言葉を呟くシーラ。
そして、もう一度、高笑いをするカテジナ。

「……来ると思ったよ、来ると思ったよッ、来ると思ったよォッ!!ウッソだものね!あははははははッ!!」


・・続く
552通常の名無しさんの3倍:2006/07/10(月) 21:21:23 ID:???
GJ1!
熱いぜ。
553通常の名無しさんの3倍:2006/07/11(火) 10:41:01 ID:???
>>1が見えると言うことは乙だと言うことだ!!

そしてこの作品にカテジナさんはなくてはならない人だと思う。
554通常の名無しさんの3倍:2006/07/11(火) 20:03:54 ID:???
1氏GJ!!
もしここでゴトラタンが敵の手に渡ったら後半ハイパー・カテジナにゴラオンとか一刀両断されそう・・・
555通常の名無しさんの3倍:2006/07/13(木) 23:23:00 ID:???
555ゲトc
556通常の名無しさんの3倍:2006/07/14(金) 15:42:34 ID:???
>>554
ハイパーカテジナさんの操るゴドラタンのメガビームキャノンの威力なら!
グランだろうが、ゴラオンだろうが、ウィル・ウィプスだろうが!!

天敵はウッソ…
557通常の名無しさんの3倍:2006/07/16(日) 01:13:59 ID:???
とりあえずageるけど…
558通常の名無しさんの3倍:2006/07/16(日) 12:58:22 ID:???
シーマ様だと思って読んでしまった
559通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 04:41:40 ID:???
シーマなんて様付けするようなキャラじゃない
560通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 12:18:31 ID:???
シーラが様付けするようなキャラだとおっしゃる
561通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 17:48:36 ID:???
王候貴族だから様付けしないと不敬罪で首跳ねられる
562通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 18:20:16 ID:???
罪とか罰とか関係ない
俺は心の底から様付けしたくて仕方が無いんだ
563通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 19:30:59 ID:QuZnfaR4
>562
そういう発言するとシーラ様に

α.キモ扱いされてドン引きされる
β.涙を流して嬉しがられる
Υ.重いと溜め息吐かれる

さてどれでしょう?


本命はΥ
564通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 19:42:33 ID:???
やんわり流されるだろうな
565通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 21:02:04 ID:???
その場では微笑みでスルー、一人になって溜め息とかそんな感じじゃね?
566通常の名無しさんの3倍:2006/07/17(月) 21:21:56 ID:???
>>563
Δ.他人行儀だとガッカリなさる
567:2006/07/18(火) 00:16:35 ID:???
光の羽根が、舞い落ちる。
一本一本、形あるかのように、ふわふわと、舞う。
翼の付け根が動くたび、右往左往と羽根が舞う。
柔らかな、赤い光を放つ、暖かな羽根。
夜空をキラキラと輝かせる。月や星の光などものともせずに、
それは、春の夜の花霞、それでいて、冬の夜の極光よりも輝いて、いと美しく、輝き、彩る。
炎に満ちたウロポロスの空を、しかし、一瞬で、塗り替える、光の、翼。
白い四肢に、青空のボディ。
人の十倍もある大きさで、オーラバトラーよりも巨大な大きさで、
しかし、小さな少年の駆る、翼。

夢か、幻か。
光景が、あまりに美しく、
刻が、あまりに絶妙で、
だからそれは、まるで夢のようにしか思えない。

ああ、とシーラは息を呑んだ。傷口からの痛みさえも一時忘れて、

”ああ──、本当に現われた”
”たしかに、そういう予感はしていたし、そういう期待もして在った”
”情け無いけれどそれは事実”
””けれど、本当に現われた””
”叶えられるものか”
”こうも、簡単に”
”いとも、容易く”
””人の願いを叶えられるものなのか””
”この少年は”

──シーラは再び息を呑む。そして、空を見上げた。
見えるは、光、輝く、少年の、翼。



──第16章 瓦礫の少女
568:2006/07/18(火) 00:18:38 ID:???
「カテジナさん!!」

その、少年の一声を機に、火蓋が落ちる。

「会いたかったよォォッ!! ウッソォォッ!!」

落ちていたボチューンの剣の一本を拾い上げ、構え、切りかかるはカテジナのビアレス。
ウッソの乗る『ガンダム』目掛け、一直線に剣を奔らす。
迎え撃つ、ウッソ。
突然のことである、つい今しがたまではオーラロードを彷徨っていた。
現われて、これである。
しかし、カテジナの、懐かしきカテジナの、黒きオーラに”気付け”られた。
鋭敏に、わかる。目の前の見知らぬオーラバトラーは、間違いなくカテジナのものだ。
刹那の間だけで、状況を把握し、理解し、判断にまで至れるというのがウッソの長所である。
それは子供としては異常であり、戦士としては理想なことだ。
それを既に極めている少年がウッソだった。
カテジナが壊そうとしていたものを庇い、自らも身構える。
わずかの隙も見せないで。
しかし、隙など無くても、斬りかかる女がカテジナ・ルースだった。
臆もせず、感銘なども無く、ただ、真っ向がむしゃらに剣を振るう。

ズザザンッ

金属の焼き切れるような音。
黒い刀身が千切れて、千切れた黒い刀身が宙を舞った。
剣戟の衝突は、ウッソのビームサーベルが競り勝った。
折れた剣を捨て、舌を打つ、カテジナ。
フレイボムを撃ちながら、後退する。
機と見、もう一度”名前を呼ぶ”ウッソ。

「カテジナさん!!」
「煩いんだよォォッ!! ウッソォォッ!!」
569:2006/07/18(火) 00:20:31 ID:???
しかし、カテジナは退いて行く。
屈辱だが、仕方ない。
こんなオモチャみたいなロボットじゃあ、ウッソは倒せない。
『ゴトラタン』が必要だ。
だから、退く。
カテジナ・ルースは莫迦ではない。
豪胆だが、悪辣だ。
勝てぬ戦いはしない、勝つ手段を取る。
いまは、退く。
そして、勝つ。
かならず、勝つ。
その日を、浮かべて、

「うふははははははッッ!!」

高笑いで退いていくカテジナ、しかし、黙って見過ごせないのはウッソ。
どういう結末を望むとしても、それは課程を経ねば、得られない。
さけられない。
救うにしても、討つにしても、会ってぶつかって、戦って、そして、答えを出すしかない。
だから、追う、が、それをエルが止めて、

「シーラさまよ〜っ!!」

スクリーンをバンバン叩いて、声を張り上げて、ウッソの耳を引っ張って、

「シーラさまがいるのよ〜っ!!」

目を凝らすウッソ、映像を拡大させて、ライトを向けて、すると、確かに見える。
瓦礫の上に、暗く煤けて、それでも映える、翠色の髪。

「怪我してる……?!」

左腕を押さえてうずくまる彼女の周囲には、赤黒く染まった瓦礫の山。
あれがすべて血液だとすれば、相当な量だった。
しかし、それでもウッソは迷った。
”ここで、いま、カテジナ・ルースを追いかけなかったら、もう彼女を止めることが出来ないんじゃないのか”
そして、同時に、
”ここで、いま、シーラ・ラパーナを置いて行ってしまったら、もう彼女に会えなくなるかもしれないんじゃないのか”

570:2006/07/18(火) 00:23:58 ID:???
後悔をするだろう。

きっと、どちらを選んでも後悔をする。
人生とは、そういうものだ。

だと、しても、どちらかを選ばねばならない。
人生とは、そういうものだ。

だが──しかし。
しかし、そういうもの、に逆らえるのがニュータイプだというのなら、
そういうもの、に逆らうものが聖戦士だと言うのなら、
そういうもの、に従わないのが、子供だというのなら、ば、

ならば、ウッソ・エヴィンはそのどちらかではなく、両方を取ることが出来るかも知れない。





機体を降ろし、”ハロに任せ”自分とエルは、飛び降りる。
応急キットだけを抱え込み、一目散にシーラの下へと走り寄る。

「ウッソ……」

息を、切らせて、

「何故来たのです、追いなさい、あの女性(ひと)を」

彼女の、透きとおる あでやかな白肌は、今は灰に煤けて、だが、いつも以上に白かった。
蒼白い。
何も答えず、黙々と傷口の手当てをするウッソに、

「追うのです、あれの狙いはおまえが最初に乗ってきた地上の機械です、……行かせてはなりません」

言葉とは裏腹に、彼女の声は酷く弱々しい。
そんな彼女だから、ウッソ・エヴィンが置いていけるはずはなかった。
571:2006/07/18(火) 00:31:38 ID:???
手を、振り解き、

「追いなさいッ、ウッソッ」

頑と、見つめて、

「出来ませんッ!!」

今すぐに追いかけたいというのは、切実であった。
だが、シーラをこのままにして置いていけるはずが無い。
傷だらけの彼女。
広がる瓦礫のヤマ。
流れ弾一つ、いや、たとえ”何も起こらなくても”シーラの体が無事である保障はどこにも無い。
いますぐに治療が必要だった。
こんな応急のものではなく、本当はもっとちゃんとした。そして、安全なところへ。

「貴方は聖戦士でありましょう、……私などにかまうな、為すべきことを為しなさい」

「シーラ・ラパーナを助けるということだって大切なことでしょ」

「私は聖戦士の行いを為せと言っておるのです」

興奮し、傷口が開くのも構わず声を張り上げる彼女。
ウッソもまた、熱くなって言い返す。

「それならシーラ・ラパーナは死んだって良いって言うんですか?!
 貴女がここで倒れたらナの国はどうなるんです! 何をしてでも貴女は生きなきゃいけないひとでしょう!
 その貴女が、命を乞おうともせず、僕に行けって言うんだったら、僕だって行きませんよ!!」

言葉を失うシーラに、
ウッソは、泣きじゃくるエルの姿を一目見て、それから視線をシーラに戻して、

「……ほっとけません」

ゆっくりと、呟いた。
ウッソの眼は、赤く、熱く、潤んでいた。
冷たくなっていたシーラの手は、熱くなったウッソの手から熱を奪い、奪われ、互いにひんやりと、暖かくなって、心地良くて。
もはや思考とかそういうものはどうでも良いもののように思えてくる。
眼が合った、瞬間、二人は急いで首を反対方向に回して息を切った。
572:2006/07/18(火) 00:34:36 ID:???
エルに、人を捜してくるようにと言いつけると、二人きりになってしまった。
静まり返る世界。
遠くで爆音が響いたり、火の鳴る音が聞こえたり、だが、二人にとっては静寂だった。
肌に触れるウッソの手、包帯を巻く衣擦れの音、こんなにも近い彼の吐息。
一分にも満たない永遠を、しかし、シーラはそのクチを開き、自ら破る。
戒めるように、ゆっくり、話す。

「……ウッソ、あの”女性”は、とても”悲しい眼”をしていました。
 ……ウッソ、救いたいのでしょう、あの方を、
 貴方ならきっと出来る、いまなら、まだ、間に合います……」

そう言って、手を解く。
悩む表情で動かないウッソに、シーラは言葉を続ける。

「地上の薬は大したものです、……私はもう大丈夫、……ウッソ」

気丈に微笑んで言う、彼女に、ウッソは渋々立ち上がる。
だが、言う。

「……シーラさんだって悲しい眼をしてるじゃないですか」

またも絶句させられるシーラ。
しかし、それだけ言い終えると頭を下げて、ビクトリーの下へ走り去るウッソに。
ただ、言葉も失く、見つめて送る、シーラ。

ああ、とシーラは息を呑んだ。交わした言葉の一つ一つを思い出しながら、

”ああ──、そうか”
”ああ──、そうか、私が望んだことなのか”
””ああ──、そうか、私が望んでいたことなのか””

”だから、ウッソは行かなかった”

期待に応える少年だから──。

573:2006/07/18(火) 00:35:58 ID:???
ふふっと、口許を緩めて、

「ウッソ・エヴィン……」

”私と対等に──”
”もしかしたら私以上に、強い、少年──”

そういう男の子に出会ったということは少女に取っては大変喜ばしい出来事である。

怒り、悲しみ、喜び、心配。
こんなにも、無数の感情が自分の中に沸きたったのは何時振りのことだろう。

だが、少女は女王だった。

少女は、女王なのだ。

痛みを堪え、立ち上がり、見送るシーラ。
だが、その瞳に宿るものは恋ではなく、恩威。
それ以上でも、それ以下でもない。

瓦礫に立つ女王は、昂然として、ウッソ・エヴィンを見送った。

だが、風に、髪がなびく。

一人なれば感情というものは巡りに巡って煮詰まっていく。
抑えきれないものが、鼓動となって衝動なって脈を打つ。
うつむいて、ついに、言葉が漏れた。

「……ウッソ」

星が降るような明るさの夜の下、少女は、瓦礫の海に立ち尽くしていた。



・・続く
574通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 00:45:01 ID:???
>>1
GJ!
その一言に尽きる
クォリティ高すぎ
575通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 07:50:54 ID:???
あいかわらず素晴らしいです
シーラ様もカテジナさんも、ついでにウッソも皆魅力的だ!
576通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 11:00:12 ID:???
カテジナさん好きとしては、ゴドラタンをあるべきもとに!
577通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 11:14:16 ID:???
>>1
乙ったわぁ。ザンスパイン来盆ぬ。
578通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 12:36:42 ID:???
シーラ様は幸せになれないのかねぇ
最後まで女王として生き、その責務を全うするからこそのシーラ様だからなんとも言えんが
579通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 22:46:19 ID:???
やっぱ電波だけあってすごいな
普通の職人さんとは一線を画くおもしろさだ
580通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 02:48:40 ID:???
カテジナさん、早く主要キャラを2−3人ぶっ殺してくださいね。
581通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 04:52:51 ID:???
カテジナに殺されたウッソがララァ状態になってカテジナの心を解き放つ。
これが斬新な結末と言う奴だな、うん。
582通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 15:38:01 ID:???
>>581
斬新すぎね?
583通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 18:57:38 ID:???
>>581
「あたしは……取り返しのつかないことをしてしまった……」
584通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 22:36:32 ID:???
>>583
それはもうカテジナ・ルースさんじゃありません!

カテジナ・レイですな…
585通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 11:29:38 ID:???
で、カテジナさんが主人公になって
憎しみのオーラ力に囚われたシーラ様を討つんですね?
586通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 01:55:23 ID:???
多分、それがトラウマになってシャクティがバイストンウェルに宣戦布告。
カイラスギリー落としを決行。

シャクティとカテジナさんのオーラ増幅器が共振して暖かい光が、カイラスギリーを包み、世界は救われる…
587通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 01:57:26 ID:???
その後、カルルがテロリストになって最後は処刑されるのか
588通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 03:10:52 ID:???
更に時が経つと、アフランシ・シャクティが誕生するのね
589通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 03:11:54 ID:???
もう何が何やら
590:2006/07/25(火) 20:18:01 ID:???
「……シーラさんだって悲しい眼をしてるじゃないですか」

つい、生意気なことを言ってしまうというのは僕の悪い癖なのかも知れない。
きっと、シーラさんにとっては酷くショックであろうその言葉を、僕は平然として彼女に吐いた。
でも、だって、そうだよ。
シーラさんだって悲しい眼をしているじゃないか。

彼女の身体は、血の気が薄れ、病的なほどに白く染まっていた。
それでも、気丈を振る舞おうとする彼女に、僕はそんな言葉を投げかける
彼女はとても強い人だけれど、それは、”強くあろうとすることが出来る人”というだけのことであって、
彼女の身体や心は、決して、他人より頑丈でも強靭でもなく、鈍くもない。
繊細で脆くて、しかし、芯がしっかりとしているから決して折れることは無くて、
だけどそれは、”折れない強さ”があるというだけで、決して傷や痛みを受けていないわけではない。
ズタズタなのだ。
彼女の瞳を見ればわかる。
決して、彼女の中は安穏とはしていない。
それでも、彼女は、いつだって、平然と、澄まして、凛として、しかし、微笑みを絶やさない。
彼女の覇気は、決して満ち満ちるものではなく、やっと搾り出した張り子のオーラ。
暖かい感情を、人らしい感情を押し殺し、漂わせる女王としての威厳。
けれど、彼女はまだ幼くて、成熟はしていない。
捨てきれない感情と慣れきれない環境。
だから、痛む。だから、痛い。
それでも彼女は歩みをやめない、女王たる道を。
もうしばらくしたならば、彼女は”痛みさえも請うことなく平然と女王になれるのかも知れない”。

でも、だけど、それって幸せなことなのだろうか。

自分を完全に捨てされば、もう痛くはないかもしれない、ただ女王として生きる。
完全理想なナという国の女王へ。
それは、彼女にとって幸せなのだろうか。彼女が望むことなのだろうか。
わからない。
ニュータイプと言ったって、人の気持ちの表面さえも、完全には理解できないのだから。
わからない。
もしかすれば、本当に本気で彼女がそれを望んでいて、それが本当に本当の彼女の幸せだってこともあるかもしれない。
わからない。
シーラ・ラパーナの深層心理などは、ウッソ・エヴィンにはどうしたってわからない。
所詮は他人、肉の隔たりを超えられぬ互いの存在。
じゃあ、僕はどうだ? ウッソ・エヴィンの深層ではどうなっている?
”ウッソ・エヴィンは、シーラ・ラパーナを完全な女王になって欲しいのか”。
彼女ではなく、僕が、どう思う……。
それすらだって、よく、わからない。
わかるのは、ただひとつ。
何か、寂しい、この感情……。


──第17章 奪われたV2
591:2006/07/25(火) 20:23:44 ID:???
顔を見ないように、見せないように、深々と、しかし、素早く頭を下げて、シーラさんに別れを告げる。
とりあえず応急の手当てはしておいた。すぐにエルも人を呼んでくるだろう。
それでも心配はあったけど、これ以上僕が此処にいれば彼女を余計に追い詰めてしまうかも知れないから、やっぱり僕は走り出す。
ヴィクトリーの下へ。
待たせたなとハロの頭を一小突きして、僕はシートに座る。
ハッチを閉じると全周囲モニターが点いて、正面に、シーラさんの姿が映った。
白と桃色の薄手のドレスに、翠の色の長い髪、拡大なんてしてない遠景であっても、ハッキリと”彼女”だとわかるその姿。
コクピットの中で、もう一度小さく頭を下げて、僕は機体を発進させた。
シーラさんのことも心配だったけど、僕はもう一つ悩みの種を抱えていた。
知っての通り、カテジナさんのことである。
カテジナさん、……ウーイッグのカテジナ・ルースさん。
あの頃とは随分人が変わってしまっているけれど、その理由の大半は僕のせいでもあるんだろう……。
責任感なんて大人な言葉を使うつもりはないけれど、やっぱりカテジナさんもほっとけない。
自分のせいで誰かが不幸になったり苦しんでいるなんていうのは、嬉しいはずがないんだから。
僕のせいで彼女が変わってしまったというのなら、やはり僕の手で彼女を元に戻すしかないはずだった。
もとの、優しい、ウーイッグのカテジナ・ルースさんに……。
その僕の願望が、カテジナさん本人にとっては勝手で迷惑な押し付けだったとしても、
でも、望むから、やらなくちゃいけないんだ、と、思う。
今のカテジナさんが本物のカテジナさんなんて結末は、僕は、望まない。……そんなのってない。
だって、今のカテジナさんはちっとも楽しそうな笑顔をしない。
あげるのは狂気に満ちた奇声だけ。
でも、それを不快に思うってのはいけないことなのかも知れない、とも思う。
いまあるカテジナさんだって、結局は本物だもの。
いまのカテジナさんも、培ってきた、僕や、他の人と出会い、育まれてきたカテジナさんだもの。
……だけど、”それ”はここまでで終わりじゃない。
これからだって、彼女は変わっていくはずだ。……まだまだ、完結はしていない。
……続いてるんだ。
出来るなら、その方向を、僕が望むようなカタチにしたいと思うのは、
やっぱり身勝手な我侭というものかも知れないけれど、でも、今のカテジナさんは見ていられない……。
だから、僕の手でやろうというんだから、カテジナさんにだって文句は言わせない……。
なんと言われたって、ハッキリと、答えは決まっていた。

むかしの、お店のお客に見せるだけの愛想笑いのほうが、まだ、よほど、楽しげだったから。
それを、僕はよく知っているから。
だから、今のカテジナさんを見ているのはとても辛い。
いつか、いつか、あの時よりも、もっともっと幸せに満ちた笑顔を、彼女に見せて貰いたい。
見たいんだ……。
やっぱり、わがままですか、カテジナさん……。
592:2006/07/25(火) 20:24:56 ID:???
僕は頭を振って思考を切り替える。
そして、レーダーのスイッチを入れてカテジナさんの機影を探した。
バイストンウェルの世界は、ミノフスキー粒子こそ存在しなくても、オーラ力というものの存在で電波はあまり遠くに届かない。
けれど、この至近距離なら十分だった。
セカンドヴィクトリーの索敵能力はV2には一歩劣るように思えても、その辺のオーラバトラーとは比較にならない高感度。
機体シルエットまでしっかり識別できた。
間違いなく、さきほどの、黒い機体。
黒い機体は、城の外へ飛び出すのではなく、城の一角に停止していた。不信に思う。

「降りてる……?!」

シーラさんの言葉を思い出す。
(……あれの狙いはおまえが最初に乗ってきた地上の機械です)

V2を狙ってる? ……いや、ゴトラタンの方?
だとしても、どっちもが壊れてるはずだった。
しかし、違う、と思い出す。
”僕がウロポロス城を飛び立つ前にかわした整備士との会話だ”。

『聖戦士様のお持ちになられた地上の機械のほうも、お帰りになられるまでにはかならず修理しておきます』

『でも、部品が足りないと思いますけど』

『オレンジの方の機械をバラせば揃いましょう』


──終わっていたとしたら。
──V2の修理が終わっていたとしたら。

””ウロポロス城の整備士がゴトラタンのパーツを使って修理したV2が完成していたとしたら””


 ドゴオッンッ!!


僕の目の前には、焔が起った。
建物が、中から爆発し、それは、生まれるように、現われて。
””形のない赤黒い翼””を開き、”蒼と白のボディ”、”胸部から背翼にかけ黄色の流線が入り”、””不似合いにでかく派手なオレンジの両腕””。
右腕には巨大な黒い砲身、恐らくはメガビームキャノンを抱えている。と、それを落す。
両腕にサーベル、いや、”トンファー”を展開して、こちらに向かって殴りに掛る、かの機体。

「ハッハッーッ!!!」

その波動は、紛れも無く、

「カテジナさんッ……!!」
593:2006/07/25(火) 20:28:04 ID:???
声など、聞くまでも無く、カテジナさん……!
右半身を前に出し、右腕を正面に構え、左手を添えて、確固とする。
全開で開くビームシールド、衝突してくるビームトンファー。
ギリギリまで引き付けて、粒子と粒子が衝突する瞬間を見計らい、ペダルを思い切り踏み込んで回避する。
いなす、ようにして回避する。
だが、完全にはいかない。僅かな半秒ほどの衝突でさえも、かの一撃は多大な衝撃を生み出して、コクピットは酷く揺さぶられる。
機体は、もう一度いなせるような体勢には整わない。
空中で傾き、隙だらけになった。
直すには、もう半秒ほどかかる。
だが、カテジナさんという人は、一瞬だって待ってくれたりしないとわかってたから、無理だと言う単語が脳裏に過ぎった。
だが、カテジナさんは再攻撃をしてこなかった。
何故だ、とモニターを見返すと、どうやら、相手の機体の様子がおかしい。
さきほどの衝突のあと、停止も旋回も”出来なかったようだ”。何故か無意味に遠い位置にいる。
地面すれすれの位置から、ふわふわ、と浮き上がって、だが、ゆらゆら、と揺れている。
バチバチと、右腕のほうに火花が出ているのが見えた。
故障……? もしかしたら、完全な修理なんて出来てなかったのかも知れない。
いくらオーラバトラーを作れるようになったと言っても、モビルスーツとは勝手が違うだろうし、
あれから何日経ったのか、オーラロードを経由したからはっきりとはわからないけど、そんなに何ヶ月も経っているとは思えない。
よく考えれば、修理もそうだけどテストや調整もろくにしていないはずなんだ。故障や異常の一つくらい出ても不思議はない。とはいえ、
(まさかとは思うけど、オーラコンバーターなんて搭載してないだろうな)
一抹の不安が過ぎる。
何と言っても、”オーラバトラーを作れるようになった”ような人々なんだ。
あるいは、完璧な修理どころか、パワーアップを施してるなんてことだって有り得ないわけではない。
遠くから、マジマジと観察してみた。
外観からわかるのは、紛れも無くそれがV2であると言う事と、両の腕がゴトラタンの物になっているようだ、ということ。
よく考えれば、こんな風に対峙してV2を眺めるなんてことは初めてかもしれない。
だが、思う。
まるで、あれは自分が使っていた頃とは別の機体。
そう、見える。
夜だからか、それとも別な理由か、機体が全体的に黒ずんで見える気がした。
けれど、紛れも無く、あれは僕の機体。
リガミリティアのみんなの、……母さんの、……僕の機体。

「カテジナさん……!」

呼びかける僕に、カテジナさんは冷笑を浮かべて言う。

「ウッソ……! 覚えておけよッ……! 次はこの機体を完全にしておまえを倒してやるからなッ!」

セリフから推測するに、やはり修理は完全ではなかったらしい。
落としたメガビームキャノンだけを拾いなおして、一目散に離脱していくカテジナさんのV2。
594:2006/07/25(火) 20:29:32 ID:???
逃げる、だが、逃がせない……!

「待ってくださいよ!! カテジナさん!」
「無抵抗な私を撃つ気かい、ウッソ!! いとおしいんだろう、あたしがァッ!!」

ハッハッー!と高笑いしながら駆けていく。
僕は、追う。だが、どうする。
取り付くか!? いや、接近すればトンファーにやられてしまう。
なら、ライフルを撃つしかない……。
コクピットを避けて、腕や足を撃ち落せば……!
だが、それでは、カテジナさんを逆上させてしまうことになるんじゃないのか……!

「カテジナさん……! 聞いてくださいよ……! カテジナさん! 僕は……!」

呼び、止める、

「地上に戻ってたんですよ……! 地球に、カサレリアに戻ってたんですよ……!」

通信を大にして、声を大にして、僕は叫ぶ。

「戻れるんですよ……! 帰れるんですよ!! カテジナさん……!! カテジナ・ルースさん!!」
「……ぬけぬけと」

喜びなど微塵も感じさせない声で、怒声に繋ぐ。

「それがどうしたァ! 私に帰る場所などどこにも無いッ!!」

カテジナさんは機体を反転させた、左腕のビームトンファーを展開させて斬りにかかってくる。
僕は、特に反撃することなく、ただ、回避した。

「おまえが……おまえがァッ!奪ったんだろうがァッ! ウッソォッ!!」

怒り任せの、単純な一撃。
しかし、それの持つ速度とパワーは尋常ではない。
だが、覚悟を持って、冷静に躱す。あせってはダメだ。だが、熱く、込めて。

「ありますよッ!! 一緒に帰りましょうよ! ウーイッグへ・・・カサレリアへ!! カテジナさん!!」

595:2006/07/25(火) 20:31:01 ID:???
搾り出す言葉を、しかし、跳ね除けて、

「お嬢さんだったカテジナ・ルースはとっくに死んだんだ、まだそんなことをゆってるのか! ウッソォッ!!」
「目の前に、生きているでしょう!! カテジナさんは!! 死んでないじゃないですか!」

僕はビームサーベルを抜く。腕を狙う。ゴトラタンの腕。
だが、ビームシールドに阻まれる。
飛び散る粒子、モニター中に赤い粉雪が映る。

「お前が殺したッ!」
「僕が?!」
「そうなんだよ!!」

メガビームキャノンを再び捨て、あいた右腕からの再びの一撃。
僕はビームサーベルで受けとめる。受けきれない。
弾き飛ばされる機体。だが、背翼とスラスターを使いすぐに飛び上がらせ、舞い戻る。

「じゃあ、僕が憎くって、こんなことしてるって言うんですか!?」
「そうなんだよォッ!! ウッソォッ!!!」

メガビームキャノンを拾い上げ、こちらに構えるカテジナさん。
まさか、撃てるのか……?!
構造上から云うなら、撃てるはずは無い。
だが、そんなもので図れないのがバイストンウェルという世界なら、撃てるのかも知れない。
どうする……。
逃げるのは簡単だ。
躱すことも出来るだろう。
先制で攻撃をかけるということさえ出来るかも知れない。
でも……、それじゃあ、きっと、何も解決しない。きっと、また、彼女を逆上させる。
……なら、……どうする!?
(じゃあ、僕が憎くって、こんなことしてるって言うんですか!?)
(そうなんだよォッ!! ウッソォッ!!!)
だったら……、
そうだ……、
確かに、僕のせいなんだ。
カテジナさんがこんな風になってしまっているのは僕のせいなんだ。
彼女が望むなら……。
それで、カテジナさんが救われるなら……。
596:2006/07/25(火) 20:33:08 ID:???
(ウッソッ!!)

その時、声が聞こえた。
誰の声かはわからない、いや、きっと”みんな”の声だ。
”みんな”が僕の名前を呼んだ。
そうだ、
そうだよね。
そんなのってない、そんなのでカテジナさんが、本当に幸せに笑ったりはしない……!
””そんなことでひとが幸せになるもんか””

放たれたイカヅチを、両の赤い翼を大いに広げ、弾き弾くウッソのセカンドヴィクトリー。
そのまま加速し、しかし、ゆったりと流れるように、だが、高速に、V2へと迫る。

「カテジナさん……!!」

メガビームキャノンへ、剣を立てる。
こんなものがあるからいけない。
だが、貫く、その瞬間。
視界に、赤、が広がった。
赤黒い、灼炎の翼。
”カテジナさんのV2”の背中より放出される、赤く、赤く、黒い、マグマのような、地獄の溶岩を思わす、灼熱の翼。
とっさに両の腕のビームシールドで機体を守る。
だが、吹き飛ばされる。
押し流される。
弾き飛ばされる。

「うわぁぁっ!!」

声をあげた僕を尻目に、かの機体はメガビームキャノンを再び抱え、上昇し、言う。

「……ウッソ、……ウッソォッ! ……覚えておきなさい。 ……覚えておくのよォッ!!
 ……かならずお前は、あたしが殺す。
 この機体を完全にして、そしたら、お前を殺してあげる。
 それまでに、せいぜい大切なものをたくさん作っておきなさいね、ウッソ。
 全部、あたしが、あたしが、壊してあげるから、……ウッソ」
597:2006/07/25(火) 20:33:57 ID:???
そして立ち去る、カテジナ・ルース。
もはや、ウッソは後を追えなかった。
疲労によるものか、衝撃によるものか、それともその言葉によるものか、ウッソの両手は痺れて動かない。
瞼に、熱いものが満ちていくのさえ感じていた。

ただただ、離れていく、赤黒い翼を見送った。
透きとおらない赤色の。
漆黒の闇を切り裂いて、だが、より深く、染めていく、その翼。

ボッブレスの最下層、ノムより深き、カ・オスの翼。

「うふははは……、うふはははははッ!!」

高笑いして去る女を、少年はただじっとして、みつめて、見送った。
赤い闇が世界を包む。
少年は、見上げて、呟いた。

「……カテジナさん」




続く
598通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 21:11:42 ID:???
グゥレイトォウ
599通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 21:27:12 ID:???
GJ!
しかしこれはまさか、ザン・スパイン登場フラグ!?
600通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 03:50:20 ID:???

こりゃそのうちハイパーザンスパインになるな
601通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 10:13:25 ID:nbhchA2c
支援

>1機動戦士ダンバイン

第1章 >4-5>6--15
第2章 >27-32
第3章 >47-50>52-55
第4章 >73-74>76-80
第5章 >103-108
第6章 >138-140>141--150
第7章 >179-188>190>192-195
第8章 >215>216-225
第9章 >262-264>265--274
第10章 >314-322
第11章 >387-394
第12章 >429-436
第13章 >455-458

番外編 >505-506

第14章 >535-540
第15章 >547-551
第16章 >567-573
第17章 >590-597
602通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 11:38:03 ID:???
こうして並べてみるとすごい本物っぽいな、やっぱり全50話?だとするとまだまだあるな

01:白いオーラバトラー
02:ナの国の聖戦士
03:ウッソの戦い
04:二人の聖戦士
05:エルフ城防衛戦
06:戦場を駆ける少年
07:ガラリアという女
08:帰郷
09:カサレリア上空
10:地上の人々
11:今日、限り
12:連邦軍の逆襲
13:邂逅
14:白き宮殿の女王 (前編)
15:白き宮殿の女王 (後編)
16:瓦礫の少女
17:奪われたV2
603通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 12:24:16 ID:???
お前のおかげでアタシは地獄を見たんだよ、ウッソ!
604通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 12:25:50 ID:???
>602
補足してくれてありがd(。人σ σ)


それだったら全4クール52話だね

って、1さんにプレッシャーかけてどぉするのっ!(-_-;)
605通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 13:51:13 ID:???
相変わらず台詞回しうまいな
長文はスルーの俺だがこのスレだけは台詞が楽しみで読んでます
606通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 21:39:49 ID:???
凄すぎる…

今日初めて拝見したのですが、ここまで一息に、しかも楽しく読ませてもらえるなんて>>1氏最高です!!

俺の中ではまさにSGGK(スーパーグレートゴッド書き手)ですw

とにかく頑張って下さい!!応援してます。
607通常の名無しさんの3倍:2006/07/27(木) 00:24:51 ID:???
久々に来たら更新してた!
>>1
ぐっじょぶ!!


>>606
書き手だけ日本語なとこがいい…
608通常の名無しさんの3倍:2006/07/29(土) 15:03:55 ID:???
どぅおーん
609通常の名無しさんの3倍:2006/07/30(日) 01:09:33 ID:???
610通常の名無しさんの3倍:2006/07/30(日) 01:09:35 ID:???
相変わらず目尻が熱くなる良い台詞が並びまつね
>>1氏は素敵な物書きさん
611通常の名無しさんの3倍:2006/07/30(日) 08:42:01 ID:???
そういえばガラリアが前に出ていたが
トッドはMSパイロットの候補生になるのかな?
まあ出てこないかもしれんが
612通常の名無しさんの3倍:2006/07/30(日) 18:01:40 ID:???
扱い上手そう
613通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 01:34:27 ID:???
>>612
響きがエロい
614通常の名無しさんの3倍:2006/08/01(火) 20:56:09 ID:???
エレ様の頭
あれはなんて言えばいい?
615通常の名無しさんの3倍:2006/08/01(火) 21:04:00 ID:???
>>614
形がエロい
616通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 12:28:19 ID:???
それエマさんじゃねw
617通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 12:38:33 ID:???
>>611
ウッソとショウやトッドは世界が違ってたりしてw
世界観の違いとか言及されたりするシーンにワクテカ
618通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 15:12:59 ID:???
>617
ショウらは核の危機感が今より強い冷戦の時代から来たんだよな?
Vの動力知ったらどうなるかな?
核分裂と核融合の違いが分かる程詳しくもないだろうし。
619通常の名無しさんの3倍:2006/08/02(水) 18:24:55 ID:???
分かるんじゃね?
原爆は核分裂
水爆は核融合(但し、核融合を起こすエネルギーを発生させるのに原爆を使用)
620通常の名無しさんの3倍:2006/08/03(木) 13:53:20 ID:???
>619
アンチMSになりそうだね。
特にマーベルなんかは。
621通常の名無しさんの3倍:2006/08/04(金) 19:25:25 ID:???
>>620
でも核という強大なエネルギーを破滅に至ることなく御しつづけた先にU.Cがあるわけで・・・
あまり過剰に恐れすぎるのも良くないという結論に至るかも。
622通常の名無しさんの3倍:2006/08/05(土) 13:38:11 ID:???
ガンダム全体の流れがそんな感じだしね
アムロ曰く、人は戦争が無ければ滅んでいたらしいし
ターンエーも戦争が終わった後、地球側が月の技術を使ってた
623通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 22:47:41 ID:???
きれいな核なんて・・・
624通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 00:13:19 ID:???
スレタイがシーラ様じゃなくて「シーマ」様だったらよかったのに・・・
625通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 02:05:16 ID:???
>>624
自分で立てろ
626通常の名無しさんの3倍:2006/08/10(木) 00:40:59 ID:???
>>624
それなんてキングゲイナー?
627通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 00:00:27 ID:???
da
628通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 23:44:34 ID:???
n
629通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 16:04:58 ID:???
お盆休み保守
630通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 01:03:27 ID:???
1様〜光臨ください
631通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 08:58:55 ID:???
ぬるぽ
632通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 09:03:58 ID:???
ガッ
633通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 16:00:38 ID:???
キラハマーンのHP見ると、続きは無いかも…
634通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 21:59:38 ID:???
>>633
1氏連載終了フラグ?
635通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 10:02:40 ID:???
>>634
一ヵ月もたってないのに諦めんなよ
636通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 10:04:13 ID:???
保守をするんだ
637通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 21:57:31 ID:???
途中で書き込んでしまった・・・
638通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 00:20:46 ID:???
休み明け保守
639通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 21:23:52 ID:???
やりっぱなしage
640通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 17:27:52 ID:MyLLjWub
age
641通常の名無しさんの3倍:2006/08/25(金) 00:23:46 ID:???
セカンドVの操縦席を尻で磨きつつ保守
642通常の名無しさんの3倍:2006/08/25(金) 10:15:15 ID:???
そんな>>641と激突しつつ保守
643通常の名無しさんの3倍:2006/08/26(土) 17:30:17 ID:???
ユニヴァァァァァス!
644通常の名無しさんの3倍:2006/08/28(月) 23:16:18 ID:???
マダ?(・∀・っ/▽⌒☆キン
645通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 01:41:22 ID:???
H
646通常の名無しさんの3倍:2006/09/01(金) 00:55:55 ID:???
どうなったら、落ちるの?
647通常の名無しさんの3倍:2006/09/01(金) 01:41:41 ID:???
1様は、もう連載を終了なさるのですか?
648通常の名無しさんの3倍:2006/09/02(土) 00:26:40 ID:???
もちつけ、おまい等。
>>1氏がいつ来てもいいように保守をするんだ!!
649通常の名無しさんの3倍:2006/09/02(土) 01:55:25 ID:???
カテジナ「いえね 冬になるとわけもなく哀しくなりません」
650通常の名無しさんの3倍:2006/09/02(土) 19:51:14 ID:???
シャクティ「ならねぇぜッ! 消えな!!」
651通常の名無しさんの3倍:2006/09/03(日) 00:46:22 ID:???
>>649
シャクティ「そうですね」
652通常の名無しさんの3倍:2006/09/03(日) 12:37:05 ID:???
>>650>>651
どちらかが偽物のシャクティだ!
653通常の名無しさんの3倍:2006/09/07(木) 20:00:57 ID:???
過疎ってる…。
654通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 13:04:24 ID:8Gz/v6w2
>>650
腹抱えてワロタw
655通常の名無しさんの3倍:2006/09/11(月) 09:28:23 ID:???
ノコッタ
656通常の名無しさんの3倍:2006/09/13(水) 01:17:13 ID:bZsacMTi
連載辞めるの?
いつものように?
657通常の名無しさんの3倍:2006/09/13(水) 22:46:57 ID:???
age
658通常の名無しさんの3倍:2006/09/14(木) 11:46:28 ID:???
スレタイを一瞬シーマ様と間違えたのはひみつだ
659通常の名無しさんの3倍:2006/09/14(木) 22:14:42 ID:???
>>658
大半の人間は間違うから問題ない
660通常の名無しさんの3倍:2006/09/15(金) 22:51:10 ID:???
だれかウッソとシーマ様でやってくれ
661通常の名無しさんの3倍:2006/09/15(金) 23:05:54 ID:???
コロニーに毒ガス入れたシーマ様と人をギロチンにかけたファラ様
662通常の名無しさんの3倍:2006/09/19(火) 16:11:41 ID:???
俺の感が告げている。
何気ない保守の中に>>1氏がいるとみたね。
663通常の名無しさんの3倍:2006/09/21(木) 07:18:13 ID:???
いてくれるといいなぁ…
664通常の名無しさんの3倍:2006/09/21(木) 09:26:27 ID:???
保守上げ
665通常の名無しさんの3倍:2006/09/21(木) 23:34:39 ID:???
おなかいっぱいでブ〜
666通常の名無しさんの3倍:2006/09/22(金) 22:23:27 ID:???
今日は俺が保守
667通常の名無しさんの3倍:2006/09/24(日) 00:06:35 ID:???
守ってみるか
668通常の名無しさんの3倍:2006/09/26(火) 12:48:47 ID:???
お昼の保守
669通常の名無しさんの3倍:2006/09/28(木) 00:19:45 ID:???
寝る前の保守
670通常の名無しさんの3倍:2006/09/28(木) 01:39:56 ID:???
断筆宣言まだぁ〜?
671通常の名無しさんの3倍:2006/09/28(木) 22:46:54 ID:???
            ,r‐―‐-、
          /      \
         /   ,ィ       ヽ
        i'   _.j_,j,rj_j,:、_ 、 l
        iト、._j'ji !! ァ-、 !j !;l! トヽ   
         ( .`t.!!/ _!.ヽ='イi ,' )   
          ヽヽ,j  ,__''_、  j r,'     ウッソ!ウ保っ や ら な い か
          /iヽ.  ー  /l )   
    ,.、-  ̄/  |  |`ー‐/ | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  |
_|      |.|-<    \ i / ,イ____!/ \
  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
__f゙// ̄ ̄     _ -'     |_____ ,. -  ̄ \____|
  | |  -  ̄   /   |     _ | ̄ ̄ ̄ ̄ /       \  ̄|
___`\ __ /    _l - ̄  l___ /   , /     ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄    |    _ 二 =〒  ̄  } ̄ /     l |      ! ̄ ̄|
_______l       -ヾ ̄  l/         l|       |___|









672通常の名無しさんの3倍:2006/09/28(木) 22:58:03 ID:???
>>1は死ね・くたばれ・消えろ・失せろ・潰れろ・立ち去れ・出て行け・邪魔するな・葬れ・馬鹿・あほ・間抜け・ドジ・エロ。   
ポンコツ・トンチキ・ガラクタ・クズ・ゴミ・カス・最低以下の下劣・下等種族・蚤・ダニ・ナメクジ・蜘蛛・囚人・鈍亀。       
ケダモノ・ボッコ・じゃじゃ馬・VXガス・ウンコウマー・ウンコたれ・ウンコ星人・オタンコナス・さらし首・打ち首・首飛び。        
自己満足・傍若無人・厚顔無恥・精液・我田引水・グロ画像・不倶戴天・毒ガス・問題児・あぼーん・地獄逝き・ファックユー。 
猫に小判・豚に真珠・ワガママ・嫉妬・権利ばかり主張して義務を果たさない大バカ者・くだらん奴・チ○ポでかい・変態。   
劣等種族・下衆野郎・腐れ外道・邪道・外道・非道・ゴキブリ・ウジ虫・害虫・南京虫・ダンゴ虫・油虫・ガン細胞・お前がウザい。
ソマン・マスタードガス・ダイオキシン・イペリット・クソブタ・悪魔・電波・殺人犯・ブタ野郎・畜生・鬼畜・悪鬼・離反。       
ライトニングロードローラーの餌食になってしまえ・マンキンEXE・欠陥住宅・寄生虫・ワラジムシ・ゲジゲジ・大虐殺者。    
廃棄物・発ガン物質・猛毒・毒物・アメーバ・シラミ・毛虫・ボウフラ・芋虫・掃き溜め・汚物・糞・ゲロ・糞虫野郎・ほら吹き。   
不要物・障害物・産業廃棄物・ムシケラ・雑魚・クレイジー・ファッキン・サノバビッチ・原爆・水爆・核ミサイル・ガッデム。    
ウィルス・ばい菌・疫病神・病原体・汚染源・公害・催涙ガス・有毒物質・ゴミ虫・毒虫・駅のトイレ・便所コオロギ・矢毒ガエル。
詐欺師・ペテン師・道化師・危険分子・痴呆・白痴・魔物・妖怪・妖魔・悪霊・怨霊・死神・貧乏神・奇天烈・奇人・変人・サリン。
邪気・邪鬼・露出狂・風俗女・下着泥棒・チリ・怒られ小僧・>>1じゃなくて豚よ!!・抜け殻・ヒ素・青酸カリ・痴漢・シデムシ。   
小便・便所の落書き・便所のタワシ・お漏らし・童貞・のび太・サルモネラ菌・サディスト・カビ・エログロ好き・腐ったミカン。  
土左衛門・腐乱・腐臭・落伍者・犯人・ならず者・インチキ・いんぽ・チンカス・膿・垢・フケ・化膿菌・消滅・抹殺・О157。    
放射能・放射線・仏も神もいない奴・鬼っ子・異端者・包茎・妄想・邪宗・異教徒・恥垢・陰毛・白ブタ・監獄・獄門・下水道。   
打ち首・市中引きずり回し・戦犯・絞首刑・斬首・乞食・浮浪者・ルンペン・物乞い・下等生物・ヴァカ・ヴォケ・アフォ・愚か者。 
怒られ小僧・鼻たれ・猫のゲロ・放射性廃棄物・余命1年・アク・割れたコップ・胸毛マン・精神年齢7歳・裁判は必要なし。  
不良品・規格外・欠陥品・不要物・チムポの皮が3メートル近くある・糞スレ・埃・掃き溜め・吹き溜まり・塵埃・インチキ・居直り。
ふてぶてしい・盗人・盗賊・かっぱらい・残忍・残虐・残酷・冷酷・非情・薄情者・ガキ・クソガキ・哀れな奴・負け犬・戦死。    
大便・糞尿・ファッキン・ガッデム・サノバビッチ・ブルシット・ボロ・反省する気も謝罪する気もゼロのDQN・ボッコ・妄信・臆病者。
狂信者・有害物質・毒薬・猛毒・発ガン物質・誇大妄想狂・他人の悪口は山ほどほざくが反省は一切しないガキ根性野郎・腐れ根性。
電気の無駄遣い・死にたい奴は前に来い・マザコン・爪のあか・サランラップ・落伍者・犯人・破廉恥・通草木葉・ミトコンドリア。  
腐って歪んだプライドの持ち主・ピラニア・リソソーム・だ液・自己中・狭量・ケツだけ星人・サルモネラ・ゴルジ体・サド・埃。
コミケ野郎・チキン野郎・腐って歪んだプライドの持ち主・狭量・ボケ・ボケナス・アホンダラ・ヘタレ・たわけ・自己引退。
腐れ野郎・失恋野郎・血祭り・怠け者・無能・無脳・狂牛病・脳軟化症・思考停止・アメーバ・単細胞・蠅・蚊・カビ・排気ガス。
タイムリーエラー・三振・短気・腐敗・膿・下劣・ゾンビ・下等生物・劣等種族・へたくそ・クレイジー・マッド・ストーカー。
スカポンタン・おねしょ・人格障害・守銭奴・見栄っ張り・ええ格好しい・粗製濫造品・偽物・似非・類似品・キャベツ太郎・蝿取り紙。
イカレ・うっとおしい・乞食・浮浪者・ルンペン・狼藉者・失望者・放蕩息子・道楽息子・極道息子・要らぬ存在・ヘッポコ。
目障り・迷惑・上手いぼー困りもの・厄介者・村八分・異端者・アウトサイダー・死人・水死体・バラバラ死体・ポルポト派らと同類。
ナンパ野郎・スカトロ野郎・マザコン・ロリコン・永遠の仮性包容・ギロチン台逝き・エリア51逝き・奴の名前は「あ」・ブラクラ。
自分勝手・自分本位、自己中心的・自己中・現実逃避・自己陶酔・体脂肪ww
673通常の名無しさんの3倍:2006/09/28(木) 23:00:23 ID:???
674通常の名無しさんの3倍:2006/09/29(金) 21:13:10 ID:???

    -―――――-            ブレイクッ!!ブレイクッ!
   /  ̄ ̄ ̄// ̄ ̄.|| |    (゜∀゜)
  /ブレイク!//   ブレイク! (ヽ□=□))   ────────
[/_____ヾ(゚∀//[ ](゚∀゚ )シ|__ > > ___
.||_    ___|_| ̄ ̄ ̄|.| | 日本ブレイク工業 |   ────────
.lO|--- |O゜.|____|.|_|ニニニニニニニl.|
|_∈∀∋ ̄_l_____l⌒ l.|_____ _| l⌒l_||  ─────────
  ̄ ̄゛--' ̄ ̄゛ー'  ̄ ̄ ̄゛--'  ゛ー'

ブレイク!ブレイク!あなたの街の日本ブレイク工業が2ゲットだ!

>>1役 買わせてくれないか?
>>3カルアンカー 大地を揺らしてみようぜ
>>4ボ 正義のハンマーは君のものだ!
>>5ンプレッサー 大地に響くから使用はほどほどにな
>>6 サポートするからよろしくな
>>7ールボール Da Da Da!
地球の平和を阻む>>8ら 俺たちがBREAK OUTしてやるから安心だぜ
>>9年数 過ぎちまったらいつでも俺たちのところに電話してこいよ
欠陥>>10宅 悪いことはいわねえ、取り返しのつかないことにならんうちに解体したほうがいいぜ
>>11-1000   B R E A K  O U T ! ! ! ! ! ! ! ! 


675通常の名無しさんの3倍:2006/09/29(金) 23:43:12 ID:???

                 ,,_________,,              |  :::|
     ______       /________,/l             ┥  :|
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;;ゝ;;ヾ |l.      l|     ,       |  {二} {二} |         ノ;;ミ;;ゞ   ソ;;ミ|  :::|
ゞゞ;;;ゾ─ ;;''ヾ, ┘   '"`   ,; [::]|  {二} {二} |       ヾ ミ ゞゞ  ミゞ;;|  :┝
 ゞ;;;ソソ;;;ゝ;;;ノ  ___      |  {二} {二} | ゙ ' .___.ノ;;;ソ ゞヾミ .; ミゞ' |  :::|
ゞ;;;ソソ;;;; ゝ;;;'ノ /   /| '      |  {二} {二} |./  ,/| ゞ;;ミ;;;ゞ;;;;ミ;;;;, ミミ|  :::|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|  |,____|_____|| ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_;;;| ̄
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            |r────‐v────‐t| ||晴耕|              .|l l lll|  がや がや
            ||  ||  || ´ ̄` ,;   `';        |l l lll|
            ||  ||  ||                | ̄'''|
  ∧_∧  ∧_∧ ∧∧ ∧∧  /■\ ∩∩ ∧_∧ ∧ヘ ∩_∩ ,ヘヘ
 (   ) (    )(   )(   )(    )(   )(    )(  )(    )(  ) 
  ∧_∧  ∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧_∧  ∩∩ /■\ ∧ヘ ∧_∧ ,ヘヘ
 (   ) (    )(   )(   )(    )(   )(    )(  )(    )(  )
    __ ___           __               \   |    /
  ! ̄( ̄(   ( )ー‐─────´   iニ!   .   .      .  _┌┬┬┬┐_
_,,,!二ニiニニ!ニ! ̄ ̄     PARAMEDCU `ヽ        ――┴┴┴┴┴―、
                            ヽ     //     ∧// ∧ ∧||. \
__ ___  ____________i  __[//____(゚_//[ ].゚Д゚,,) || _ \__
   //` ̄ ̄ | | |´ ̄ ̄ ̄`|i| ̄ ̄ ̄! ̄ ̄ ̄! | lロ|=☆= |ロロ゚|■■|■■∪警視庁■■||
 ┌―――――――――-、
 |こちらは、容疑者(^^;の自宅前です。たくさんの報道陣が集まっています。|
 └――――――――――――――――――――――――――――――――
676通常の名無しさんの3倍:2006/09/29(金) 23:44:23 ID:???
今、>>1は、Zスレ荒らすのに夢中のようだな…
677通常の名無しさんの3倍:2006/10/02(月) 00:11:34 ID:???
自動保守装置はちゃんと稼動しているようだな。安心安心。
678通常の名無しさんの3倍:2006/10/02(月) 23:16:11 ID:???
煽るとまた変な蟲どもが湧くぞ
679通常の名無しさんの3倍:2006/10/03(火) 16:30:45 ID:???
ホシュ
680通常の名無しさんの3倍:2006/10/05(木) 14:28:04 ID:???
シャクティ「やれやれだぜ」
681通常の名無しさんの3倍:2006/10/05(木) 21:41:21 ID:???
シャクティ「次回 最終回 毎度おなじみ皆殺し!! 診て下さい」
682通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 13:24:13 ID:???
>1機動戦士ダンバイン
第1章 白いオーラバトラー>4-5>6-15
第2章 ナの国の聖戦士>27-32
第3章 ウッソの戦い>47-50>52-55
第4章 二人の聖戦士>73-74>76-80
第5章 エルフ城防衛戦>103-108
第6章 戦場を駆ける少年>138-140>141-150
第7章 ガラリアという女>179-188>190>192-195
第8章 帰郷>215>216-225
第9章 カサレリア上空>262-264>265-274
第10章 地上の人々>314-322
第11章 今日、限り>387-394
第12章 連邦軍の逆襲>429-436
第13章 邂逅>455-458
番外編 ウォレンさんの日常>505-506
第14章 白き宮殿の女王・前編>535-540
第15章 白き宮殿の女王・後編>547-551
第16章 瓦礫の少女>567-573
第17章 奪われたV2>590-597
683通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 13:31:19 ID:EoSf7Txn
ウッソは弱い
684通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 13:55:05 ID:TD9leqt5
シーラってサウスパークのシーラ・ブロスロフスキーのこと?
685通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 19:17:42 ID:???
保守をしよう、また物語が紡がれるまで。
686通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 22:40:49 ID:???
>1機動戦士ダンバイン
第1章 白いオーラバトラー>4-5>6-15
第2章 ナの国の聖戦士>27-32
第3章 ウッソの戦い>47-50>52-55
第4章 二人の聖戦士>73-74>76-80
第5章 エルフ城防衛戦>103-108
第6章 戦場を駆ける少年>138-140>141-150
第7章 ガラリアという女>179-188>190>192-195
第8章 帰郷>215>216-225
第9章 カサレリア上空>262-264>265-274
第10章 地上の人々>314-322
第11章 今日、限り>387-394
第12章 連邦軍の逆襲>429-436
第13章 邂逅>455-458
番外編 ウォレンさんの日常>505-506
第14章 白き宮殿の女王・前編>535-540
第15章 白き宮殿の女王・後編>547-551
第16章 瓦礫の少女>567-573
第17章 奪われたV2>590-597
第最終章 そして皆殺しへ....>671-1001
687通常の名無しさんの3倍:2006/10/06(金) 23:11:31 ID:???
飽きたらしくてここで別作品書いてやがる


http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1151429848/l50
688通常の名無しさんの3倍:2006/10/08(日) 01:18:17 ID:???
七十五日
689通常の名無しさんの3倍:2006/10/08(日) 02:11:00 ID:???
>>688
人の噂が?
690通常の名無しさんの3倍:2006/10/08(日) 13:40:18 ID:???
ウッソ弱すぎ
691通常の名無しさんの3倍:2006/10/09(月) 00:51:21 ID:???
>689死出の旅路
692通常の名無しさんの3倍:2006/10/09(月) 02:32:00 ID:???
シーブック最弱
693通常の名無しさんの3倍:2006/10/09(月) 15:35:34 ID:???
続きはここで

(><;)をカタロ「ニア」
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/x3/1159442743/l50
694通常の名無しさんの3倍:2006/10/12(木) 20:18:47 ID:???
保守
695通常の名無しさんの3倍:2006/10/13(金) 22:33:25 ID:???
保守だけで1000目指すスレ
696通常の名無しさんの3倍:2006/10/14(土) 23:30:30 ID:???
戦士の鉄則を教えてやる!





保守
697通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 00:15:43 ID:???
これもすぐ飽きるんだろうな・・



ほしゅ
698通常の名無しさんの3倍:2006/10/15(日) 22:56:56 ID:???
            巛彡彡ミミミミミミ彡彡
           巛巛巛巛巛巛巛ミ彡彡
   r、r.r 、    i:::::::::::::          l   
  r |_,|_,|_,|    |::::::::::    ⌒ 、,ノi,ノ´|   
  |_,|_,|_,|_,|    |,r-、     -・=-,  、・=-    「終わりやね。ウッシーラスレも終わりやね」
  |_,|_,|_,|_,| (^i  |{ り      ⌒ ) ・_・)' `ヽ   
  | )   ヽノ | ノ `ー'     ┃,ィェエェ、┃ |     
  |  `".`´  ノ \. !      ┃ ヽニソ┃ l     
  人  入_ノ  l  ト、ヽ    ┗━━┛ノ     
/  ゝ   ノ ヽ  |   ヽ ヽ、.  ー--一 /i、 
    ヽ、//    、 `ー-、 ヽ -、` ー--一' ハ ヽ  
     /    |     \ ヽ ` ̄ ̄ ´ 。 l ヽ 、
     }     }      i `. ゚''・、。.  .。'゚  | | .!
     /    ノ       .|  l   _「l_  | | l
   ノ   /        |  |  └┐r=┘  | | |
___, - '           |  |    Ll     | | `,
     |            |  |           | | ,;'
     |            |  |          | | i
699通常の名無しさんの3倍:2006/10/18(水) 21:29:19 ID:???
保守
700通常の名無しさんの3倍:2006/10/19(木) 11:13:52 ID:???
700はいただいた
701通常の名無しさんの3倍:2006/10/19(木) 18:44:46 ID:???
後継いでもいいけど、Vの最後は良く覚えてないし特にMS
ダンバインは更に知らない
702通常の名無しさんの3倍:2006/10/19(木) 21:09:45 ID:???
そんな人は後継げないと思うんだが・・・
703通常の名無しさんの3倍:2006/10/20(金) 21:11:59 ID:???
>>701
ならば今すぐダンバインのビデオをレンタルしてくるんだ!!
ラストまで見た時きっとおまいのモチベーションは上がっている筈だ!
704通常の名無しさんの3倍:2006/10/22(日) 15:22:48 ID:???
見たけど、どうせみんな殺しEND

うそ「ぼくは、人はころしません!」と言いつつ剣でザク
かて「うっそつくなこのエロ餓鬼!!!!」と言いつつ剣でゾロ

相打ち〜END
705通常の名無しさんの3倍:2006/10/24(火) 01:59:36 ID:???
ぎゃー!
706通常の名無しさんの3倍:2006/10/25(水) 16:50:37 ID:???
保守
707通常の名無しさんの3倍:2006/10/27(金) 17:32:14 ID:???
全部はまだ見てないんだけど
いくらV2でもオーラバトラー相手じゃ厳しくね?
708通常の名無しさんの3倍:2006/10/28(土) 16:02:33 ID:???
そこらは水掛け論じゃない?
709通常の名無しさんの3倍:2006/10/28(土) 16:51:53 ID:???
バリアがあるオーラバトラー
バリアがなく装甲が弱いV2

オーラバトラーだな
V2はドラムロにも負けそう

ウッソは微NTだからバリアもないし
ショウに惨敗だろう
710通常の名無しさんの3倍:2006/10/29(日) 03:18:32 ID:???
>709
書き込む前にまず本文嫁
過去レス見てないのまる分かりだから
711通常の名無しさんの3倍:2006/10/29(日) 03:22:22 ID:???
>682
712通常の名無しさんの3倍:2006/11/04(土) 16:08:25 ID:???
保守
713通常の名無しさんの3倍:2006/11/04(土) 17:19:46 ID:???
バリアがあるオーラバトラー
バリアがなく装甲が弱いV2

オーラバトラーだな
V2はドラムロにも負けそう

ウッソは微NTだからバリアもないし
ショウに惨敗だろう
714通常の名無しさんの3倍:2006/11/04(土) 19:25:07 ID:???
;y=ー(゚Д゚)・∵.
715通常の名無しさんの3倍:2006/11/07(火) 09:02:10 ID:???
bosh
716通常の名無しさんの3倍:2006/11/09(木) 17:03:26 ID:???
( ゚д゚)マダマダツヅクヨ

>>1シハ、キテクレル(゚д゚ )


( ゚д゚ )
717通常の名無しさんの3倍:2006/11/10(金) 21:24:10 ID:???




















;y=ー(゚Д゚)・∵. >>1
718通常の名無しさんの3倍:2006/11/12(日) 17:28:18 ID:???
719通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 20:11:45 ID:???
720通常の名無しさんの3倍:2006/11/13(月) 21:26:12 ID:???
721通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 10:30:12 ID:???
722通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 14:37:02 ID:???
ラパーナ
723通常の名無しさんの3倍:2006/11/18(土) 11:21:09 ID:???
724通常の名無しさんの3倍:2006/11/18(土) 13:16:31 ID:???
725通常の名無しさんの3倍:2006/11/18(土) 13:44:47 ID:???
726通常の名無しさんの3倍:2006/11/21(火) 20:20:55 ID:???
カテジナさんって言えよ!
無礼でしょ!!
727通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 11:57:49 ID:???
ゲロゲロリ……
728通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 14:27:00 ID:???
ウッソ「その怨念で何を手に入れた!?」

カテジナ「(*´_>`)y-~~え?」
729通常の名無しさんの3倍:2006/11/27(月) 11:42:59 ID:???
「ウッソ!
お前は、お前だけは今、この時にいてはいけない人間なのよ!!
死になさい、ウッソ!!」
「う、動け!どうして動かないのさ!!」
730通常の名無しさんの3倍:2006/11/28(火) 23:28:00 ID:???
>>729
奴との共通点なんて有能すぎる所と女性にもて過ぎる所くらいじゃないか!

・・・十分か?
731通常の名無しさんの3倍:2006/11/29(水) 01:11:55 ID:???
>>730
ウッソ
「一人で死ぬのなんて嫌ですよ!
だからカテジナさんの心も連れていきます!!」
カテ
「わぁ!大きな星がいっぱい!!
あれは流れ星なのかしらぁ?
違うわね
流れ星はもっと、こう
バァーッ!!
って動くものね
もうー、暑苦しいなー
ねぇ?
どなたかいらっしゃいませんかー?
ねえったらー
ここ、開けてくださらないかしらー?」
732通常の名無しさんの3倍:2006/11/30(木) 07:45:14 ID:???
>>729
吹いた
733通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 17:54:43 ID:???
カテジナさん(*´д`*)
734通常の名無しさんの3倍:2006/12/07(木) 10:59:49 ID:???
寒いよ〜
735通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 09:14:13 ID:???
俺も書いてみようと思っただけ
736通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 14:20:46 ID:???
まぁ、思っただけですがね。
737通常の名無しさんの3倍:2006/12/20(水) 17:50:58 ID:???
まだ〜?
738通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 01:49:19 ID:???
どん平買ってきたぜ。
特盛りのヤツ、後乗せサクサクをあえて最初から入れてデロデロにして食うのが好きなのさ。
739通常の名無しさんの3倍:2006/12/23(土) 20:46:04 ID:???
もう一つ作品混ぜあわせて
機動聖戦磁ロボ・ダンバトラーV
ってタイトルにしようぜ。
740通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 01:02:25 ID:???
>>739
何故コンバトラーが出てきたのかが気になるな。
741通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 03:13:27 ID:???
V繋がりじゃね
742通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 15:12:25 ID:???
>>741
なるほど〜
頭良いな!!
743通常の名無しさんの3倍:2006/12/24(日) 15:41:33 ID:???
コンバトラーってV2に勝てるの?
744通常の名無しさんの3倍:2006/12/25(月) 14:22:55 ID:???
楽勝だろ
745通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 12:13:38 ID:7x5ElhOD
>>739
ボルテスVもたまには思い出してあげてください
746通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 12:50:39 ID:???
ボ〜ル〜テ〜ス〜ファイブに〜
命をかけ〜て〜♪

ブイじゃなくてファイブだから駄目
747通常の名無しさんの3倍:2006/12/27(水) 17:12:47 ID:???
そこはファイブイでひとつ
748通常の名無しさんの3倍:2006/12/31(日) 00:33:39 ID:???
とりあえず今日はそばじゃね?
749通常の名無しさんの3倍:2007/01/01(月) 02:06:55 ID:???
食えなかった
750通常の名無しさんの3倍:2007/01/04(木) 23:25:19 ID:???
ナナジンと名付けたか、七福神の!!
751通常の名無しさんの3倍:2007/01/04(木) 23:46:28 ID:???
べッ……別に子供が可愛いなんて思ってないんだからなッ!
752通常の名無しさんの3倍:2007/01/07(日) 20:09:42 ID:???
ウッソ「そうではあるがぁぁぁぁァッ!」
753通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 11:23:10 ID:???
ハイパーウッソ「より頭でっかちになりますよ」
754通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 15:18:46 ID:???
ハイパーカテジナ「私は優しくなります」
755通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 15:32:39 ID:???
ハイパークロノクル「私はハイパー化はしません」
756通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 04:31:10 ID:???
ハイパーシーラ「3番海羅。グレますっ!
。。。どーすればグレられるのでしょう?」
757通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 11:13:42 ID:???
おくがふかい
758通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 20:20:47 ID:???
シーラ「コーラを持ってこさせない」
759通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 19:30:47 ID:???
スレタイみてシーマ様と勘違いした俺が記念カキコ
760通常の名無しさんの3倍:2007/02/02(金) 15:40:50 ID:???
>>759
多分勘違いしたヤツの方が多い
761通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 23:55:55 ID:???
シーラ「エイサップ!」
762通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 18:23:19 ID:???
オーラ力を高めるんだ!
763通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 10:14:18 ID:???
シーマ「あいよ!」
764通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 21:04:22 ID:???
もしもウッソとシーマ様が出会ったら
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/x3/1138627875/
765通常の名無しさんの3倍:2007/02/14(水) 00:16:23 ID:???
オーラロードが♪
766通常の名無しさんの3倍:2007/02/15(木) 16:11:43 ID:???
開かれた♪
767通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 17:46:45 ID:???
きらめく光♪
768通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 00:54:26 ID:???
俺をうつ♪
769通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 06:19:18 ID:???
恐れるな♪
770通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 23:58:29 ID:???
オーラの力♪
771通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 11:04:33 ID:60d3Pt4j
蓄えて♪
772通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 13:02:22 ID:???
Stand up to tha Dun-Bine♪
773通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 20:13:25 ID:???
たたたーたたーたたーたー♪
774通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 15:43:01 ID:YbXYOKvM
もう続きは読めないのか?なんつーか消化不良だな。
レイズナーの最終回を見た時の気分というか、ある日突然女に別れ話を持ちかけられた時の気持ちっつーか。
とにかく、そんな感じだぜアゲ。
775通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 18:20:42 ID:???
電波発言が出来なくなって、モチベーションを維持出来なくなったとか
776通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 09:55:10 ID:???
単に飽きたとか…
777通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 12:47:15 ID:???
777ゲトc
778通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 14:24:12 ID:???
なかなか落ちないな、保守してると
779f:2007/03/10(土) 15:22:10 ID:???
gg@tertwetgr



drewwerew



sadasd



wewrer



sdsdfdyu



trereghjuyrty


erwtyilkhuitrer





yhrtyyughertte
780通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 14:13:15 ID:aIBkLmF4
保守
781通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 13:32:43 ID:MbTM3d8b
まだ終わらんよ!
782通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 03:33:10 ID:???
ウッ
783通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 14:16:03 ID:CInHjL0E
保守アゲ
784通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 11:03:35 ID:???
お腹空いたばい
785通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 10:31:49 ID:???
保守
786通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 02:13:25 ID:???
墜ちて下さいカテジナさん!
787通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 00:24:01 ID:b9QDeq1C
今北。続き見たィィィィィ
788通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 16:15:53 ID:???
sfgsfgsdgdfd

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trwrewer




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hghfg





789通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 01:47:32 ID:???
>>787
飽きてるらしいから無理!

とか書くと戻ってこないかな〜
790通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 22:43:19 ID:???
やってみるさ
791通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 19:48:22 ID:???
fg[l@g[l@

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cvxzsg



hgdh


cnhghjh




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jhjhkh



afsasdfsa
792通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 13:15:17 ID:???
二次創作ガンダムスレのここで質問です。私自称ラノベ作家志願者なのですが
いつかオリジナルガンダムSSをこの板で投降したいと思いました。
そのためにはどんな本を読んだりするなどして、勉強すべきでしょうか。
793通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 23:55:05 ID:???
 まあ基本の文法の本じゃないかな。
 あとはひたすら書いて書いて書いて推敲して推敲して添削たのんで腕あげれば良いんじゃない?
 あと質問としてはスレ違いかなぁ。
794通常の名無しさんの3倍:2007/04/21(土) 11:01:26 ID:???
まだある
795通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 22:41:06 ID:???
>>1がどこにも居ないなんて、そんなこと!
796通常の名無しさんの3倍:2007/04/26(木) 10:17:03 ID:???
なんでガンダムは元気なんだよ!?
797通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 02:49:04 ID:???
バイストンウェルの物語を覚えているものは幸せである。

798通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 23:10:21 ID:???
>>797
そうではあるがァァッ!
799通常の名無しさんの3倍:2007/05/17(木) 05:25:14 ID:???
800通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 17:22:59 ID:???
         ,.- '´  ̄ ̄ `  - 、
        r'   _,. -―-- .、  ヽ
       l r '´        `ヽ  l
       l'.......-―.:::::: ̄ ̄:::::::::::‐.`L.._
     ,-:::´::::::::::-::‐ ''  ̄ ̄  ‐-、:::::::::::::ヽ
   r':::::::::::::::::::/          lヽ:::::::::::::::i
  .i'::::::::::r:、:::::l   _       i:::::::::::::::::::::!
  .l::::::::::i:rヽヾ  ri't:Tヾ、 ;::::- 、 !:::::::::::::::::::/
    ヽ:::::lヽ.、     ̄ノ :.'`-'ヽ`ir' )::::::::::;r'
     ` ヽニ:.      ,.   ::.`   'i:.r'::;;-'´
        l::.   ,,..--`-:く   /'-' ´
        イ :.  "'''''''"';;;;:ミ .!
    r:::'::::::l  :..      `/
 ,.-:':::::::::::::::::!ヽ   、.    i'
':::::::::::::::::::::::::::i ヽ    ̄ /!ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::i,.--ヽ._,〃´l:::::::::ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::l  _/_i_l   ,!、:::::::::::::::ヽ

     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
801通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 21:19:43 ID:izNup0Dn
ぼくぁ幸せだなぁ〜
802通常の名無しさんの3倍:2007/05/30(水) 12:13:42 ID:???
加山雄三は黙ってろ
803通常の名無しさんの3倍:2007/05/31(木) 06:15:57 ID:???
>>802
いやここはあえてジャスティ・植木・平ではなかろうか
804通常の名無しさんの3倍:2007/06/08(金) 17:00:23 ID:???
805通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 00:27:09 ID:???
jsfjafpb



nb sgn




jtjr,




tuyt


iltyil



uyhte4uhj



krtuku



kuetkkut

806通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 17:27:39 ID:???
807通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 19:59:41 ID:???
>>760
俺はスレタイ見た瞬間、シーラ様ってダンバインかよwwって思って開いたら本当にダンバインだったのでオーラちからふいた。
808通常の名無しさんの3倍:2007/07/24(火) 13:32:02 ID:bXEvVnug
定期アゲ。
戻ってこい!そして続きを…
809通常の名無しさんの3倍:2007/07/31(火) 23:11:58 ID:/HXj3Yrk
age
810通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 23:17:53 ID:fpOTFvdM
保守age
811通常の名無しさんの3倍:2007/08/15(水) 23:24:24 ID:JYKP48g5
パイスーの頭の部分を持って一言
「これが、シーラ様です…」
ショウ「なんとぉぉぉ!」
812:2007/08/17(金) 21:32:15 ID:???




 バイストンウェル、天の向こうに無限なる宇宙が広がる地上とは違い、閉鎖された世界である。


 宇宙世紀に入り人類は、地球というゆりかごには納まりきれないほどに増大し、その生活圏を地上からさらに外側の宇宙空間にまで広げていた。
 しかしそれは巣立ちと呼ぶには程遠いものだった。
 宇宙移民が推し進められて百余年が経つも、結局、権力のあるものは地球にしがみ付き、無い者でも不法に地球での居住を続けている。
 またせっかく完全な宇宙空間で生活する方法を確立したにも関わらず、その生活圏は相変わらず地球軌道から広がりを見せようとはしなかったのである。
 時に宇宙世紀0093年。それを憂いたシャア・アズナブルは、小惑星アクシズを地球に落下させ、強制的な人類の巣立ちを目指したのだった。
 しかしいよいよ落下目前にまで迫ったアクシズはアムロ・レイの見せた人の心の輝きによって押し返されたのである。
 あの淡く蒼い光が何だったのか、この地上には答えられるものは誰も居ない。
 
 時はさらに経て、宇宙世紀0153年。
 ザンスカール宰相フォンセ・カガチは、地球圏支配のため、地球そのものを傷つけることなくサイキックウェーブで全人類の生体活動を停止させる究極のマシーン「エンジェルハイロゥ」を地球に降下させる。
 だが、結局はそれも、地球に拒絶されるような形で、最後は散り散りになって宇宙へと飛んでいくのだった。

 その激戦の最中、暖かな淡い燐光に包まれた天使の輪の上で。
 ウッソ・エヴィンはバイストンウェルへのオーラロードを開いたのである。


 バイストンウェル。空には海が広がり、地の底には地獄が犇めく、天上にして俗世の世界。
 気とも魔力とも呼ばれる人の魂が満ちる場所。すべての魂の還る場所。
 ミ・フェラリオは斯く語る。バイストンウェルに現われた一人の地上人の戦いを。
813:2007/08/17(金) 21:35:13 ID:???
      第18章 もう一度TENDERNESS


 如何に地上ではニュータイプともスペシャルとも呼ばれるウッソ・エヴィンであっても(バイストンウェルでは聖戦士と呼ばれている)自由自在にはオーラロードを越えられるハズはないのである。
 しかして彼は、シーラ・ラパーナの窮地の前に、敢然として現われたのだった。
 その様は、年頃の少女であれば心を奪われるのに相応しいシチエーションであり、シーラ・ラパーナでも例外ではなかった。
 ただ、それを表面に出せるほど幼くも奔放でもなかったけれど。
 シーラ・ラパーナはともすればバイストンウェル一の大国と言っても過言ではないナの国の女王であった。
 年齢は僅かに17である。王女ではなく、彼女が女王なのだ。
 それもただの女王ではなく「聖女王」と呼ばれる尊き立場。
 このバイストンウェルでは、地上で言うファンタジーな世界ではあるが、魔法というものは存在しない。存在しないが、信じられてはいる。
 実の所、呪文を唱えれば炎が飛び出すような魔法はないが、エ・フェラリオなどの高度な存在になると魔法を使えないこともない。
 バイストンウェルで言う魔力・霊力は、つまりはオーラ力のことであり、それは人の心と意思の強さに比例する。
 そういう意味では、確かにシーラには人より優れたオーラ力があるのだろう。
 そしてそれこそが、彼女が若くしてナの国の女王たる由縁でもあるのだ。
 戦乱の世に、人民を引き付け、家臣に愛され、国を平和に統べるためには、強く気高く純粋なオーラ力が必要になる。
 聖大国であるナでは特にそうなのだ。
 ナで生まれ育ったすべての人間は、シーラ・ラパーナを敬っているし、畏れてもいる。
 シーラにまっとうなクチが聞けるのは、これは身分ではなく気分の問題で、エルとベルを除けば他にいないのだ。何故なら、それはあまりに畏れ多い。もっと言うなら畏ろしいことだからだ。
 それで良いと思っている。
 そもそも平民や一般人から畏れられない王なんて有り得ない。そんなものでは国は治まらない。
 オーラ力がハッキリと顕著するこの世界では、シーラ・ラパーナを眼前に拝して平伏せずにいられる人間は多くはない。
 だが、それで良いのだ。
 それが出来るから、シーラはナという大国を治められるのだし、内乱もなければこれまで外から攻められることもなかったのだから(ドレイク・ルフトはシーラに劣らないオーラ力を持っている)。
 だから、シーラはにこやかに微笑むことも、優しげな態度を取ることもあまりなかった。
 エルやベルにだって、言葉使いや姿勢は崩さない。
 それがこの国を、この世界を平和に治めるためだと思えば我慢も出来た。
 いや、我慢というと弊害がある。
 これまでは、そう、これまでは、なかったのだ。
 自分を恐れも敬いもせず、ただ、ちょっとだけ頬を赤く染めて話しかけてくる少年などは──。
 まして、自分より強いちからを持った少年などは──。

814:2007/08/17(金) 21:37:57 ID:???
 時刻は深夜、星(ワーラーカレンを泳ぐ魚の燐光)も疎らの夜だった。
 ウロポロス城では、いくらか電気の光というものも実用されていたが、今宵は轟々に篝火が灯されてあたりを一面をほの赤く染め上げていた。
 煤と埃を払った白肌は、炎に照らされてか少し赤み差して闇に映えていた。
 美しい翠の髪が、遠くで吹きあれるオーラノズルの煽りを受けて、ファサファサと揺らめいていた。
 瓦礫の玉座に腰を降ろし、シーラ・ラパーナはしんと息を呑む。
 少年の駆るオーラバトラー(ほんとはモビルスーツ)の蒼と白のボディが鮮やかだった。
 城から遠く離れ篝火など届かないはずなのに、その背中から吹き出す赤い燐光がきらびやかにそのシルエットを映し出す。
 初めて少年がウロポロス城へ現われた時に乗っていた地上の機械──V2に酷似した機体だった。
 ああ、やはり地上に帰っていたか。
 シーラは誰ともなくそう思う。
 ウッソ・エヴィンがガラリア・ニャムヒーと衝突し、バイストンウェルから姿を消したあの日、ニー・ギブンからの報せを待つまでもなく、シーラは事を悟っていた。
 ニー・ギブンの手紙にはウッソは死んだかも知れないと書いてあったが、そんなことはないとシーラにはわかるのだ。 
 死んだのではなく、消えた。何処へ? 考えるまでもないことだった。
 ……ウッソは地上へと帰ったのだ。
 その結論に至るまでの時間は僅かも掛からなかった。
 ウッソは最初から地上へ帰りたがっていたし、バイストンウェルに残ってドレイク・ルフトと戦わなければならない謂れもない。
『聖戦士』と呼びはしたが、彼が自分とは違ってそんなものに縛られたりする人間では無いとわかっていた。
 無責任と思わないでもない。
 理由などなくても理不尽であっても、ちからを持って生まれれば事を成してみせるのが正道だと思うのだ。
 だが、その考えを、自分より幼い者に押し付けようとは思わなかった。
 ウッソが只者ではないということはわかるのたが、同時に、ただの少年でもあるということもシーラにはわかるのだ。
 なにより彼は、見た目以上に内面が疲れきっていた。
 それこそ自分以上と言っても過言ではないほどだった。
 既に限界寸前まで頑張ってる人間に、どうしてもっと頑張れと強いることが出来ようか。
 しかし彼はナの国に現われた聖戦士である。これからアの国のドレイク・ルフト一戦交えようかというこの時だ。例え、実力など無い形だけの聖戦士であっても、自軍の強大な旗頭になり、味方の士気は大きくあがるのだ。
815:2007/08/17(金) 21:40:34 ID:???
 旧来以前の合戦でもそうだが、オーラマシンによる戦闘は、士気によって大きく左右されるところがある。
 だから、例え形だけであっても、居てくれるだけでウッソ・エヴィンはナの国にとって大きなちからになる存在だった。
 まして彼には本当に優れたちからを持っている。
 しかし、シーラは本気でウッソを地上へと返してはあげられないだろうかとさえ考えた。
 ナの国の女王としては、それは有り得ない選択肢である。
 正しき聖戦士の在り方を示し、自分の良い様に扱えてこそ立派な王なのだ。それこそドレイク・ルフトのように。
 相手がウッソでなければそれが出来ただろう。それが正道なのだ。
 だが、シーラはウッソをナに引き止めることもなく、ゼラーナにいるという他の地上人の元へと送り出したのだった。
 あれは少年なのだから、一度飛び出してしまえば、帰って来る保障など何処にも無いとわかっていた。
 覚悟していたことだった。
 これで良いとも思っていた
 もともとウッソが現われなくても自分たちだけで決戦するつもりだったのだ。
 現われる前に戻った。
 それだけのことだった。
 寂しいと思わないでもない。
 自分と対等に話してくれる少年なんていままではいなかったのだから。
 悲しいと思わないでもない。
 彼になら──と、少しだけ考えないでもなかったから。

 そんな思考とは決別を決める。

 いなくなった者を想い縋ってもどうにもならないのだから。
 既にエルフ城は陥落し、アの全土を手中に収めたドレイク・ルフトは、既に先遣隊をラウへ向けて出撃させている。
 ショウ・ザマやニー・ギブンもよく戦ってはいるが、アとクの合同軍の圧倒的多数の前には押されている。
 純粋な国力であれば、ラウやナは、アやクなど比較にならない大国であるが、どうしてもオーラバトラー技術では二歩も三歩も遅れを取っている。
816:2007/08/17(金) 21:43:26 ID:???
 オーラバトラーの素材に使われるのは主に野生の強獣の骨や鱗や神経なのだが、これを狩るにしても強力なオーラバトラーを多数有するアやクに比べれば、前時代同様に弩弓かガダで狩らねばならないラウやナは圧倒的に不利である。
 ようやく共同で開発していたボゾンも完成したが、いまだに数は揃わない。
 また密偵によればアやクでは巨大戦艦を製作しているという報告もあり、それに対抗してラウとナでも巨大戦艦の開発を進めているのだが、これのせいでオーラバトラーの生産が遅れているのだ。
 だが、アやクが巨大なオーラシップを導入して来たときに、こちらにも対抗できるオーラシップがなければ、とてもじゃないが戦(いくさ)にならない。
 タータラ城やウロポロス城が如何に堅固な城だと言っても、それは騎兵や対人・対強獣に限られたもので、オーラバトラーはまだしも、巨大な大砲を積んだような空中要塞が相手では、まったく手も足もでないだろう。
 オーラバトラーの生産が多少遅れても、オーラシップは建造しなければならない。
 城の無い騎兵隊などは、戦線を維持できるはずも無いからだ。
 だが、もともと性能が劣り、パイロットの技術も劣り、オーラバトラーの生産数さえ少ない現状では、アやクの攻撃を防ぎきることなど容易ではなかった。
 着々とドレイク軍の侵攻は進んでくるのである。こちらの生産体制が整うより早く、設備や戦力を切り崩されていく。

 頭の痛い話だ。

 以前の戦争であれば、同盟国なり友好国なりに援軍を請うこともできるのだが、オーラマシンの軍隊を所有する国家などほとんどなかった。
 アのオーラマシンのたった一部隊に王城を攻めこまれれば、それだけで小さな国は降伏せざるおえないのである。
 残念ながら、今のラウやナにはそれを助けるだけの余裕は無い。
 結局の所、労働力や穀物といった援助すらもほとんど望めないのである。
817:2007/08/17(金) 21:46:00 ID:???
 こんな時にウッソが居てくれれば……、などとつい考えてしまって、シーラは自分がよほど疲れてしまっているのだと気付くのだった。
 思えば、これまでの女王の業務だって決して楽なものではなかったけれど、これほどの困難を強いられたのは初めてだった。
 こんな時に頼れる誰かを求めてしまうのは、彼女にもある女性としての性の一端かも知れなかった。
 ウッソ……、なんて無意識に呟く自分が嫌になる。
 地上へ帰ってしまった少年のことをいつまでも想い続けてなんになる。
 いま必要なのは、居ない誰かに頼ることではなく、己のちからで事態をなんとかすることだ。
 そうは思いながらも、ふうと一つ溜め息を付くと、机に並べられた書類の山から目を離し、遠く開け広げられた出窓の向こうへ視線を向けるのだった。
 夜空は、月もなく星が疎らで少し物寂しく見えた。
 星が少なく見えるのは、ウロポロスに灯った電光のせいかも知れなかった。
 いつも通りの夜だった。
 予感も無かった。
 あのカテジナ・ルースという女が目の前に現われて、その引き金を引くその瞬間までは。
 だけど、その一瞬。その一瞬だけは、こころに叫んだ。
(……ウッソ!)
 常闇を裂いて現われる、光の翼を持つ蒼と白の巨大なマシーン。
 分厚いガンダリウムの装甲を貫いて、シーラの視線は、搭乗者であるウッソ一点に集中される。
(……ウッソ)
 避難することを忘れ、家臣に指示を出すことも忘れ、ただ呆然とシーラはウッソ・エヴィンへ眼差しを向けていた。
 手を引くカワッセに視界を変えられ正気に戻る
「シーラ様!」
「……カワッセ、わかっている」
 王たる者にうろたえることなど許されない。そういう時こそ毅然に振る舞い、家臣達に平静を取り戻させねばならない。
「城は崩れる、みなを避難させよ。指揮系統はグランへ移す」
「しかし、グランガランは……」
「飛べなくても良い、ウロポロス城の代わりになれば、な……」
 それだけ言うと、シーラは外へ向かって走り出した。適当に言伝をして従者も下がらせる。
 ウッソが見えるところに行きたかった。
 ただそれだけの思いで打ち付けて痛む足を抑えてひたすら走る。
818:2007/08/17(金) 21:49:45 ID:???
 破けたスカートを幸いに、はしたないくらいに力強く走った。それは女王の見せるべき姿ではないのかも知れない。まして非常時に。指示は出したがそれだけだ。本当ならもっと細かくどんな事態が起こっても対応できるよう自分もみなの傍に居るべきなのだろう。
 何より身の安全が問題だ。ナに限ったことではないが王国というものは王があって始めて成り立つ国家である。聖女王ともあればなおさらなのだ。いまシーラの身に何かあれば、アと戦争をするどころの話ではないのである。
 それでもシーラは走るのだった。
 石造りの壁や柱が次々崩れる。舞いあがる土埃を口許は手布で抑えるのだが、目は閉じない。
 閉じれば視界を閉ざされる、動けなくなってしまう。首を振りながら埃を払い、ただそれだけの対応で目は閉じず、頑として突き進む。
 正門に回る時間はない。大広間から調理場へと入り勝手口を目指す。もちろん調理場などへ入るのは初めてだったが、自分の城の内部構造くらいはすべて頭に入れているというのがシーラだった。
 私は料理はできないが……。
 そういうのってどうなのだろうとか考える自分が異常におかしくって吹き出しそうになった。
 ……なんてはしたない。
 いまさらながら自分を戒める。
 私は何をしているのだろう。こんなに必死になって、一体何を。
 疑問には思っても、シーラの足が止まることは無かった。
 扉を開く、視界が一気に開けた。テラスから望んだときと同じ、星の疎らな夜の空。いまは篝火が轟々に付いて、少々目煩いが。
 少しだけ小高い瓦礫の山の登頂に立って、シーラはウッソの姿を探すのだった。
 探すまでも無かった。向こうから降りてきてくれた。
 コクピットが開いたと思うと、白い燐光の軌跡を描いて、ミ・フェラリオのエル・フィノが飛び出してくる。
「シーラさま〜〜〜っ!!」
 次いで降りてくる少年の姿、見紛うことなく、ウッソのものだった。
(ウッソ……)と、しかし、第一声は、「何故来たのです、追いなさい、あの女性(ひと)を」
 気圧されて後退るウッソを追い討ちするように、
「追うのです、あれの狙いはおまえが最初に乗ってきた地上の機械です、……行かせてはなりません」
 それがシーラの意地だった。さきほどまでの必死で城内を駆けてきた”はしたない面影”など微塵も無い、格好こそ土埃に汚れているけれど、誰もが認める気高く高貴なナの国の女王の姿だった。
819:2007/08/17(金) 21:52:28 ID:???
「でも……」
 戸惑いの表情を浮かべるウッソ。わからないことを言う子供を叱り付けるようにシーラは追いなさいと声を荒げる。
「出来ませんッ!」
 決意の込められた一言だった。眼は頑なに、拳は握り、足は踏み出して、言い終えた唇は真一文字に引き締められている。
 押してもダメとなれば引いてみるというのは定石だった。優しく諭すようにシーラは語る。
「貴方は聖戦士でありましょう? ……私などにかまわなくてもいい、為すべきことを為せばいいのです」
「シーラ・ラパーナを助けるということだって大切なお役目のひとつでしょ」
 そんな物言いは気に入らない。
「私は聖戦士の行いを為せと言っておるのです!」
「それならシーラ・ラパーナはこんなところでボロボロになって突っ立ってていい人じゃないハズでしょ!」
 ウッソのあまりの勢いに、今度はシーラの方が後退る。
「貴女は僕に助けを求めて、ここから早く避難しないといけない、そうじゃないんですか!」
 シーラには、人の心やオーラ力の色や流れというものを敏感に感じ取るちからがあった。
 例えば、人が自分に対して惧れを抱く瞬間がわかるのだ。
 負ばかりではなく、良い印象でもそうだ。例えばこの人は私に好感を持ってくれたと、ハッキリ知覚できる。
 それにしても、こんな熱い感情は初めてだった、本気の本気という奴だ。
「貴女がその勤めを果たさないで、僕にだけに聖戦士の仕事をしろっていうんなら、行きませんよそんなの!!」
 返す言葉などあるはずも無く、シーラはただ声を奪われた人魚姫の如く押し黙る。
 黙りきったシーラを前に、少しばつが悪そうにウッソは俯いて、
「……ほっとけませんよ」
 ゆっくりと呟いた。
 ウッソの眼は、赤く、熱く、潤んでいた。
 それでもシーラは何も言葉を紡ぐことはできず、ただウッソの手を取った。
 シーラの冷え切っていた手肌に、ウッソの暖かい手のひらが沁みわたっていく。
 心地良かった。
 城の所々が崩れ落ち、付近の樹木が燃え上がっているにも関わらず、そんなことが気にも入らなかった。
 突然間に入ってきたエルに驚いて手を離す、お互い赤くなって視線を外す。
 ウッソがエルを追い払って、再び二人の間に静寂が流れたが、もう、充分だった。
820:2007/08/17(金) 21:54:54 ID:???
 いまさらだが、いまはそんな場合ではないのだ。
 シーラは、今度こそ渾身の笑顔を向けて、私は大丈夫ですからと頷いてウッソを送り出した。
 一瞬安堵の色を見せたかと思うと、途端にキリッと表情を変えて、ウッソは自分の機械へと走り出す。
 シーラは黙って見送った。
 何故か微笑がこぼれる。
 ウッソは行ってしまったが、呼べばまたいつでも来てくれるだろうという確信があった。
 そうなのか──、と理解して、さらに笑みが込み上げてきた。
 そうだ、私は知っていたか、呼べばウッソは来てくれると、頼めばウッソは助けてくれると。
 けれど、同時に、ウッソがとても優しい子だとも知っていたから──。
 一度頼んでしまえばウッソは決して断ったりはしない、何を犠牲にしてでも戦ってくれるだろう。
 ウッソは誰より優しい子だから──。
 それがわかるから、私はウッソだけには頼りたくなかったか……。
 でも、ダメだった。
 ダメだったのだ。
 何故か、笑みがこぼれて。
 そんな自分を厭に思いつつも仕方ないと納得できるのは、彼女が女という性別で生まれたからに違いなかった。
 つまりそれは、自分がウッソを好いているということなのだと、彼女は淡く自覚するのだった。

 夜の空を裂いて飛び去るウッソの姿は、
 どんな伝説の聖戦士たちよりも、凛々しく気高く華麗に見えた。



* 少々前回とセリフが違いますがパラレルでス *
* 一年ぶりの更新なのにまったくお話進んでなくてゴメンなさい *
* 久しぶりに来て残ってて感動しました、そしてすみません *
* 次回は何年後になるか(死)未定です、申し訳ありません…… *
821通常の名無しさんの3倍:2007/08/18(土) 09:00:29 ID:???
おおGJ!
なんという僥倖じゃ。
いつか、またゆるりと来て下され。
822通常の名無しさんの3倍:2007/08/18(土) 15:28:11 ID:???
失礼だとは思うのだが……中の人変わってないかい?
823通常の名無しさんの3倍:2007/08/19(日) 12:13:36 ID:???
彼は職人なのだ。
誇りばかりか気持ちまでが職人なのである。
神と言われようが彼には関係のない事であった。
…故に現れたのだ。一年もの月日を越えて。
彼は職人なのだ。

この物語を覚えている者は幸せである。
824通常の名無しさんの3倍:2007/08/20(月) 07:33:05 ID:???
ここはageるべきだろう
825通常の名無しさんの3倍:2007/08/29(水) 09:54:30 ID:???
826通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 22:33:48 ID:???
827通常の名無しさんの3倍:2007/09/05(水) 09:45:30 ID:???
828通常の名無しさんの3倍:2007/09/06(木) 09:16:27 ID:???
829通常の名無しさんの3倍:2007/09/07(金) 09:19:28 ID:???
830通常の名無しさんの3倍:2007/09/08(土) 08:43:02 ID:???
831通常の名無しさんの3倍:2007/09/09(日) 09:03:42 ID:???
やりおった!!!
832通常の名無しさんの3倍:2007/09/10(月) 13:12:03 ID:???
お美事
833通常の名無しさんの3倍:2007/09/23(日) 16:01:58 ID:???
834通常の名無しさんの3倍:2007/09/26(水) 05:02:06 ID:???
二週間も放っておいて
   『ほ』
じゃねぇよタコ。
835通常の名無しさんの3倍:2007/09/28(金) 11:23:53 ID:???
お美事でござる
836通常の名無しさんの3倍:2007/10/01(月) 15:51:27 ID:???
落ちた方がよかったと?
837通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 12:30:55 ID:???
保守
838通常の名無しさんの3倍:2007/10/30(火) 18:43:01 ID:???
ほす
839通常の名無しさんの3倍:2007/11/13(火) 16:03:41 ID:???
保守age
840通常の名無しさんの3倍:2007/11/15(木) 16:12:17 ID:???
ペニバススレの続きはここでいいのかな
841通常の名無しさんの3倍:2007/11/23(金) 21:36:17 ID:???
842sage:2007/12/01(土) 05:02:30 ID:9cIMtlUp
保守
843通常の名無しさんの3倍:2007/12/20(木) 22:39:26 ID:???
>>844
「ageるなカス」という
844通常の名無しさんの3倍:2007/12/27(木) 11:25:49 ID:???
ペニスバンドが似合うシーラスレか
845通常の名無しさんの3倍:2008/01/01(火) 18:02:29 ID:???
明けましてほめでとう
846通常の名無しさんの3倍:2008/01/05(土) 15:36:19 ID:???
今日初めて読んだが面白いな
アニメで観たいわ
847通常の名無しさんの3倍:2008/01/13(日) 21:22:31 ID:1h+QZRBR
848:2008/01/27(日) 07:27:04 ID:???
第19章 ウッソとシーラ

 カテジナ・ルースのウロポロス襲撃より一日が経った。というよりは夜が明けて朝になったというほうが正確か。
 『白き宮殿』と謳われ、バイストンウェル一静謐な造形で彩られていたウロポロスの城は、見るも無残に崩れ落ちていた。
 電気の無いこの世界では(もっともウロポロス城ではウッソのもたらした地上の技術を応用して僅かに電気を取り入れてはいたが)、明かりといえば油を燃やしてつけるものであった。
 全長9メットにも及ぶ巨人は一撃で城の壁を突き破り、部屋も何もかもをも蹂躙してみせた。城内にはおびただしい数の蜀台が設置してあったし油瓶もあった。
 石作りの城はそのままでは足元がとても冷えるのでそこら中に絨毯が轢きつめられてあった。それらが燃え上がり一気に大火となった。確かに建物本体の壁は石や石膏だが、内装などは布や木材など可燃性のものが多かった。
 また、戦時中ということもあって武器弾薬火薬の類は城内に所狭しと保管されていたのである。
 もちろん無防備に野ざらしになどしていたわけではない。本宮より少し離れた位置に、厚い壁に守られた貯蔵塔が建てられていた。
 武器庫や燃料庫というのは、城の中でももっとも重要な要所のひとつである。侵入者、及び敵の攻撃には最新の注意を払って充分な警戒をしていたつもりだった。しかし、それは甘かった。
 これまでの馬や剣を使った戦いとはわけが違うのだ。オーラバトラーで一気に乗り込み砲を撃ち込まれては人の警備などなんの役にも立たず、硬い石の塔といえどたったの一撃で打ち折られてしまうのだから。
 そう、所詮ウロポロス城は、対人用の要塞ではあってもオーラバトラーと戦うようには出来ていないのである。
 伝説の強獣ドラゴ・ブラーでも斯くもというほどに、カテジナ・ルースは暴れまわったのだった。
 かつてドレイク・ルフトが大軍をもってエルフ城を攻めたことがあったが、カテジナ・ルースはたった一人でたった一夜でウロポロス城を崩壊寸前にまで至らしめたのだった。
849:2008/01/27(日) 07:30:57 ID:???
 ウロポロス城は本宮を中心に4つの離宮からなった建物だった。本宮を含め3つの宮は半壊、あるいは無残に崩壊していたが、カテジナ・ルースの進入方向からちょうど裏手になった2つの宮はなんとか原型を止めていた。
 その宮の一室を与えられたウッソは、黙然とベットに腰掛けている。
 とにかく休むようにと与えられたこの部屋だったが、ウッソはいまだ寝付けないでいるのだった。
 ドタバタと廊下を走り回る足音が響いた。ガガ、ガガガと、瓦礫をオーラバトラーで動かしている音が響いた。
 閉じていたまぶたを開いて、しかし、ウッソはひとつ溜め息を付いた再びまぶたを瞑るのだった。
 外は酷く騒がしかった。当たり前だ。昨夜の一件から行方のわからなくなった人間の数は百人を優に超えている。そうしたもののうちのほとんどは、いまだ崩れ落ちた宮殿の瓦礫の中に埋もれているに違いない。
 何人が生きた状態でそこに居るのかはわからないが、決死の救出作業が続けられていた。
 昨夜の戦闘で城のオーラバトラーのほとんどは破壊されてしまったのだが、急報を聞いた付近の領地や工廠から援軍が幾らか駆けつけている。ナムワン級のオーラシップとボゾンが数機駆けつけていた。
 それらは城の警戒を行いつつも瓦礫の撤去を行っていた。
 残念だが、賊の追撃を編成するだけの余力はナの国には残っていなかった。相手が人間ならいくらでも兵隊をだせるのだが、相手がオーラバトラーとなれば兵隊を千人向かわせようとなんの役にも立たないからだ。
 ナの国の持つ、残されたオーラバトラーの手駒は多くはない。それよりは、いまは城の守備を固める方が優先とされた。
 実際のところ、石造りの城などオーラバトラー戦ではほとんど意味をなさないとはいえ、あるとないとでは心の拠り所が違った。城を失った王などは丸裸も同然なのである。
 側近の一人はシーラに対し、とにかく付近の出城などに避難するようにと進言したのだが、この辺にはオーラバトラーの工廠を備えた城などウロポロスしかなく、シーラは移動はせずこのまま、残ったニ宮を核に陣を張ることを決めたのだった。
 窓の外でわーっと歓声があがるのが聞こえた。
 誰か生存者がみつかったのかも知れなかった。
 そうだといいなあ、と思いながらウッソはやっぱり寝付けずにぼーっと天井を見上げるのだった。
 瓦礫の撤去を自分も手伝いたいと申し出たのだが、とにかく休めと断られた。それが戦士の仕事なのだと叱られたのである。
 そうかも知れないと思う。
 いまはウロポロスは大変に無防備な状況だったし、カテジナさんはともかくクの国の他の攻撃部隊が今すぐに攻めて来てもなんら不思議はない状況だった。
 万一に備えて、ウッソはとにかく休まねばならない立場にあった。
 実際に疲れ果てていた。身も心もくたくたにぼろぼろだった。
 それでも何故か眠れなかった。妙に昂ぶった身体が神経がウッソに眠りを許さないのだった。
(それでも眠らなくちゃいけないんだよ、僕は戦士なんだから)
 何の羽毛だろう? 羽なのはわかるが、少し硬めのまくらに頬をうずめる。ここはバイストンウェルなのだから、自分の全然知らない生き物の羽かもしれないなと考えたらなんだか少し悲しくなった。
 目頭が熱くなって、なんだか暖かい物が溢れてきて、そしたら途端にちからが抜けて。
 シャクティ……。
 まるで母をねだる赤ん坊のように、何故か幼馴染の少女の名前を呟いて、ようやくまぶたを降ろすウッソなのだった。
850:2008/01/27(日) 07:36:07 ID:???
 シーラ・ラパーナは決意を迫られていた。
 眼前には、十余年を過ごしてきた己の母胎とも故郷とも言えるウロポロス城の無残な有様が広がっている。
 自分がこれまであれほどの苦労をして背負ってきたこの城が、たったの一夜で無残にも崩壊せしめられていた。
 これがオーラバトラーの為せる技というものだろうか。
 以前の戦争なら、数万の大軍と数百の火砲用意して攻めてこられたとしても、たったの一夜でこうも辱められることはなかったろう。
 それがたったの一夜、たったの一機、いや、たったの一人の地上人の手によってこの有様なのだった。
 怖ろしいというよりは虚しいという感情が広がった。
 これだけのちからを手に入れればそれを行使せざる負えないというのが人の性であるからだ。
 何故、天は、バイストンウェルにこのような過ぎた力を呼び込んだのだろうか。
 バイストンウェルに『神』というものは存在しない。
 それでも『運命』や『流れ』というものの存在はシーラにもわかるのだった。
 もちろんオーラバトラーが誕生する以前から、バイストンウェルは戦争に溢れていたのたが、それでもこんなものを使って戦争をしてしまえば世界が壊れてしまうのではないかと危惧するのだった。
 たった一機のオーラバトラーでこうもオーラ力を引き出せるというのなら、「アレ」を使うのがどれほど愚かなことかは容易に想像できる。
 ああ、と呟いた。
 それでも、それでも、使わなければならない時が、今、なのだ。
 皮肉にも、使うべきではないと痛感させられたこの夜こそが引き金なのだ。
 使わないで済めば良いと思った。そう都合良くはいかないともわかっていた。それでもやはり使いたくは無かった。
 あまりにも大きく、あまりにも巨大な、あまりにも禍々しいオーラマシーン。
 人を狂わせるには充分すぎるほどの強大なちからを秘めている。
 オーラマシンは人を狂わせる。
 ドレイク・ルフトはもともとは領民たちにも慕われていた人の良い、何処にでもいる一領主に過ぎなかった。胸に多少なりの野心を秘めていたかも知れないが、それは誰でも一度は夢見る願望というものだろう。
 まさかそれを叶えられるちからが手に入るなどとは夢にも思っていなかったに違いない。だが、彼の前にショット・ウェポンが現われたのだった。
 なるほど、このオーラマシンの圧倒的なちからに魅せられれば野望のひとつも抱きたくなってしまうのは仕方のないことかも知れなかった。
 最初は暗愚であるフラオンを打ち倒し、アの国民たちを救いたいとかそんな崇高な目的があったのかも知れないが、次第に世界制覇、如いては地上進出へとその野望は展望を見せていった。
 それもまた、オーラマシンのちからの増大によるものなのかも知れなかった。
 ビショット・ハッタももとは気の小さな優男であった、とても世界制覇を企む器にはなかった。
 ナの国の騎士たちも例外ではない。オーラバトラーのパイロットの中には必要以上に自身を過大評価するようになったものも多く居る。確かに、馬を蹴り地を這っていた頃に比べれば、巨人に乗って空を舞う自分の姿はさぞ陶酔に値する華々しさがあるのだろう。
 そう、過ぎたちからは人の心を変えるのだ。
 私はどうか、とシーラは考えた。
 あんなものを宙に浮かべても、変わらずいまのままで居ることが出来るのだろうか。
 今は、野望に走るドレイク・ルフトを打ち倒すという崇高な目的があるが、それを為した後でも清白でいられるのだろうか。
 自信が無い、なんて表情は誰にも見せられない。何故ならシーラは女王だった。
 城は失っても国民がいる。多くのものを失ったが、まだ守るべきものはたくさん抱えている。
 戦わなければならない。戦って、勝って、征さなければならない。あれを浮かべ、ドレイク・ルフトを打ち倒し、オーラマシンに魅入られず、そして、バイストンウェルを立て直すのだ。
 それが自分の使命なのだとかみ締める。
 それがどんな重責だったとしても、困難なことだったとしても、自分がそれに立ち向かえる人間だとみなが信頼してくれているから自分は王なのだとシーラは理解していた。
 逃げない、立ち向かい、そして勝つ、それが王たるものの務めなら、迷うことなど何処にもない。
 グランは浮かべる。そして、しかし、オーラマシンに魅入られない。
 毅然と振舞い、敢然と立ち向かい、そして何物にも勝利せねばならない。
 それは最高の結果を求める代わりに、最も険しく熾烈な道を歩むという覚悟の決断だった。
 悲壮な想いを胸に、しかし、凛としてシーラ・ラパーナは側近へと告げた。
「グラン・ガランを用意せよ」
851:2008/01/27(日) 07:39:45 ID:???
「シーラさん」
 驚いたようにクチをぽっかりあけてウッソが空を見上げている。
 結局あれから一週間が経ったのだが、クの軍があれから攻撃を仕掛けてくることは無かった。
 2日目からはウッソも瓦礫の撤去を手伝った、あれからも数人の生存者は発見されたが、行方不明者の総数から考えれば、その程度では慰めにもならないほどの少数だった。
 それでも、ひとり見つかるたびに本当に嬉しくて涙がでるウッソだった。
 人が死ぬところなんてこれまで飽きるほどに見せられた。だから恐怖を感じることは今はない。それでも悲しさとか生きていてくれたことへの嬉しさとかの感情のうねりははちっとも薄らがないで、むしろ大きくなってきているとさえ感じるウッソだった。
 それは悪いことじゃないと思うから素直に悲しい時は落ち込んで、嬉しい時は精一杯喜ぶようにしようと思っている。
 なんだか照れくさくなって、ぼくもすこしは成長してるんだよとハロを小突いてみた。機械のくせに不思議そうな顔をするハロだった。
 ところでウッソが見上げた物体は、全長500メートルはあろうかという、巨大な空中戦艦のシルエットだった。
 ヴィクトリーのスラスターを吹かせて飛び上がってみる。上空から全体を見渡して見たかったのだ。
 その造形は巨大な城を連想させた。
 三方に突き出した足を持ち、中心は塔のように高くせり立っている。
 揚力とか風の抵抗とかを考えるなら、明らかに空を飛ぶのに不便なかたちをしているようにみえた。
 全長500メートルという長さだけならラーカイラム級の戦艦やリーンホースとも大して変わらないのだが、その聳え立つ中心の宮殿部分が圧倒的な存在感を生み出しており(実際、全高ではグランガランの方が遥かに大きい)、
 とても戦艦には見えない優雅で洗練された外観とあわせて実尺よりも随分と巨大な空中宮殿に見えた。
「すごい船ですね」と通信を入れる。感嘆するウッソと裏腹に少し物憂げな声でシーラは返事を返した。ウッソはさらに尋ねる。
「着艦しても良いんですよね?」
 本来ならば管制指示を女王本人に尋ねるなど無礼極まりない行為に他ならないのだが、シーラは何か言いかけたカワッセを押し止めて応えてくれた。
「構いません、一番ドッグ。向かって正面の発射口から入城してください」
 ウッソは言われたとおりに機体を降ろしていく。ウッソのヴィクトリーは小型MSとは言っても普通のオーラバトラーより二周りも三周りも大きかった。そこで機体を分離させてから格納させる。
 ウッソのヴィクトリーは、ブーツとハンガーは初期ヴィクトリーのものであるが、コアファイターだけはセカンドヴィクトリーと呼ばれる新型機種のものだった。
 オーラロードの気まぐれで一度だけカサレリアに戻った時に偶然手に入れた機体である。
 もともとバイストンウェルに乗って来たV2は、カテジナのゴトラタンと相打ちし、修理していたところをそのカテジナに持ち逃げされて行方知れずとなったのだった。
「地上にもこのグラン・ガランのような戦艦はあるのですか?」
 少し神経を集中させながら分離、格納を行っていたウッソだったが、シーラに声を掛けられるとあっという間にそちらへと気が向くのだった。
「ありますよ。あー、まったく同じってわけじゃないですけど。もっとヘンな形の戦艦だってあります」
 ウッソは大きな車輪つきのアレを思い浮かべながらそう言ったのだが、それじゃあ、暗にグラン・ガランのことをヘンだと言ってるみたいじゃないかと思ってあわてて言いなおした。
「でもこんな! お城みたいな綺麗な戦艦はありません!」
「……綺麗、ですか?」
「はい、芸術作品じゃないですけど、戦争の道具というよりは飾り物みたいで」
 しかし、それではまるでグラン・ガランをオモチャだとでも言ってるみたいに聞こえてしまうと思って言い直す。
852:2008/01/27(日) 07:43:17 ID:???
「えと、とにかく、すごく綺麗だなあって……」
 フォローになってない気がしたが他にどう褒めれば良いのかもわからなかったのでとりあえずそれで締めることにしたウッソだった。
「そうですか……」
 なんとなく元気がない、と思った。無理もないことだろう、ウロポロスの城があんなことになったのだから。
 ウッソは自分に何かできることはないかと思い、そのままクチにした。自分とカテジナの確執のせいでシーラを巻き込んだようなものなのだ。
「何か、僕にできることってありませんか?」
「え?」
「シーラさんのちからになりたいんです」
「ウッソはよくやってくれています」
「でも、辛そうにしてるじゃないですか。少しでも、何か、できることはないんですか」
「ウッソ……」
 少しの間、二人に沈黙が訪れる。
 トップリムが格納され、ボトムリムが格納され、その程度の時間しか立っていないというのにもう数時間も過ぎてしまったようにウッソは感じていた。
 しかし、催促するのは男らしくないとも思う。ここは待つ。そして求められたことには出来るだけ応えようと思った。
「では、お願いがあります」
「はい」
 少し躊躇うようにして再び間を空けてシーラは呟いた。
「……もし、この私がグランのちからに溺れて、ドレイク・ルフトのように道を踏み外そうとなったとき、あなたは私を討ってくださいますか」
 カワッセを初めとする話を聞いていたブリッジ要員達から「シーラさま!」と声があがる。しまった、と思った。いつの間にか二人だけで話しているような気分に陥っていた。
 この部屋には十人以上もいると言うのにすぐ隣にカワッセが立っていると言うのに、そんなことがいつの間にか眼に頭に入らなくなっていた。
 弱音を吐いてしまった。示すべき部下たちの前で自分はとんでもないことを口走ってしまった。
 深い自責の念が責め立てる。
「……いいですよ」
「え?」
 なんでぼくにそんなこと頼むんですかああ、と思いながらもウッソはそう答えた。だってそれがシーラがウッソに求めていた答えだとわかるから。
 苦しいのだ、不安なのだ、何か、後ろ盾が欲しかったのだ、支えてくれなくてもいい、けれど、もしも自分が崩れ落ちてしまった時に、それを受け止めてくれる何かが欲しいのだ。
 間違いを犯さない人間はいない。そして間違いを怖れない人間もいない。まして背負っているリスクが大きすぎるのだ。
 それは甘えというものなのかも知れなかった。自分が間違った時に誰かが叱って諭してくれるなら、こんなに安心できることはないだろう。
 だから、言った。
「ぼくは聖戦士だから、シーラさんが間違いを犯せばかならず止めます」
 とても真剣な口調だったそれまでから一転して、とても暖かい声音で、
「だからシーラさんが正しい限りは、ぼくはずっと貴女を手伝いますから」
 感極まったシーラは、これ以上自分の失態を己の部下たちに見せたくなくて席を立つのだった。突然、部屋を出て行こうとするシーラをカワッセが呼び止めるが、来るなと一喝されてしまう。
 仕方ないというようにマイクに向き直るカワッセ。
 当惑しつつ、何処か苛立ちを込めて、だが、微笑んだ表情でウッソに言った。
「シーラ様がお待ちかねだ。晩餐を用意する、さっさと入城を済ませよ」
「は、はい!」
 ポリポリと頭をかきつつ、ちょっとクサかったかなとハロを突付くウッソであった。



──続く



* なんだか眠れなかったので久々に7時間かけて書きました *
* うわあ、朝になってるよー *
* 次回は何年後になるか未定…… *
853通常の名無しさんの3倍:2008/01/27(日) 11:01:14 ID:???
続きキテルー
シーラ様を口説くなんて!シャクティに刺されてしまえ!
854通常の名無しさんの3倍:2008/01/28(月) 14:47:46 ID:???
うひょー!
これはageざるをえない
855通常の名無しさんの3倍:2008/01/28(月) 21:43:44 ID:OCzj3055
つづききてるーーー
うれしすぐる
856通常の名無しさんの3倍:2008/01/29(火) 01:01:10 ID:???
きたー!流石もて男ウッソと言ったところかw
857通常の名無しさんの3倍:2008/02/10(日) 07:18:37 ID:???
保守
858通常の名無しさんの3倍:2008/02/14(木) 14:50:26 ID:???
保守
859通常の名無しさんの3倍:2008/03/04(火) 00:14:10 ID:???
保守age
860通常の名無しさんの3倍
保守してみる