642 :
おくりもの:
昨年のクリスマス・イブ。
空から降下してくる運送会社のサーペントの群れ。
各家庭に贈り物……この場合はもちろんクリスマスプレゼントを配達していた。
兄弟一家にもプレゼントが届いたのだが、その中に一際大きい怪しげな箱があった。
「これ、誰のだ?」
「キラへ。一人で開けてね……って書いてあるんだが」
「怪しい」
「あからさまに怪しい」
「またフレイのいやがらせじゃないのか?」
グエンから届いたドレスの山にウンザリした顔のロランが言う。
「とりあえず、皆で開けてみる事にしませんか?」
「そうだね……罠もみんなで掛かれば怖くないかもしれないね」
「いや、僕は罠に掛かるのはゴメンなんだけど……」
「それじゃ、せーのっ!」
リボンを解き、箱を開けると中から……
「メリー・クリスマス、キラ!プレゼントはわたくしですわ!もらって下さいまし!」
なんと中から、裸身にリボンをかけただけの姿のラクスが飛び出した。
「……って、きゃあ!」
「うわっ!ラクス!なんで君が!」
「ひどいですわ、キラ。一人で開けるように書いてありましたのに……」
643 :
おくりもの:2006/03/13(月) 23:41:23 ID:???
【息子へ。メリー・クリスマス】
「インフィニット・ジャスティス……父上、俺はまだジャスティスにもセイバーにもロクに乗ってないんですが……」
格納庫でつぶやくアスラン。
彼の前には4体のMS──イージス、ジャスティス、セイバー、そして新たにインフィニット・ジャスティスが加わった。
「父上……俺は別にMSが欲しい訳じゃないんですが……」
妻のレノアと別居中の父パトリックは、寂しさもあってか息子であるアスランに不器用な愛情をみせる。
口では厳しい事ばかり言うが、さりげなく最新のMSを贈ったりするのだ。
「ん……?なんだこの箱は?アスランへ。一人で開けてね……?」
格納庫に怪しげな箱が届いている。
「誰からのプレゼントだ?怪しいが……開けてみるしかないじゃないか!」
リボンを解き、箱を開けると中から……
「メリー・クリスマス、アスラン!プレゼントはわたくしですわ!もらって下さいまし!」
なんと中から、裸身にリボンをかけただけの姿のラクスが飛び出した。
「うわっ!ラクス!……ってミーアだろ君」
「今のわたくしはラクス・クライン!それ以上でも以下でもありませんわ!」
「ラクスはこんな事しない!」
「息子よ!プレゼントは気に入っていただけたかね?……って、これは一体何事かね!?」
タイミング悪く、パトリックがやってきた。
「ち、父上!い、いや、これは、その」
「そうか!あのスーパーアイドルのラクス嬢と恋仲だったのか!」
「だから」
「この事は私の胸だけに留めておく事にしよう」
「そうじゃなくて」
「アイドルの色恋沙汰がバレたらファンが悲しみますからな!ハッハッハ」
「違う!」
息子の言葉などまったく届かぬ様子で、パトリックは退場した。
「理解力のあるお父様ですわね」
アスランの前髪が数本抜け落ちた。
「アスラン!私の家でクリスマスパーティーをしないか!……って、どういう事だアスラン!」
「うわっ!カガリ!なんて時に!」
「アスランさーん!私と一緒にクリスマスを過ごしませんか?……って、先客がいた!?」
「うわっ!ルナマリア!」
「アスランさーん!クリスマスケーキ焼いたんですけど、一緒に食べましょうよ。……って、お姉ちゃん!?チッ」
「うわっ!メイリンまで!」
突如発生した想像を絶する修羅場に、アスランの頭髪はただ抜け落ちていくのみであった……
644 :
おくりもの:2006/03/13(月) 23:42:13 ID:???
そして今年のバレンタイン・デー。
なぜか次々と降下してくる運送会社のサーペント。
兄弟宅には人が入りそうな大きさのバレンタイン・チョコが多量に届けられた。
しかもどの箱にも「○○へ。一人で開けてね」などとかかれているのだ。
「おいおい、まさか……」
その一方で、ヒイロ宛てのチョコは普通の大きさで、リリーナからのものだった。
包みを開けると「私を殺しにいらっしゃい」とのメッセージと、歪な形のチョコが現れた。
恐る恐る口にしてみたが……決して美味くはないが、食えないこともなかった。
去年までの劇物に比べると、飛躍的な進歩である。
「任務……完了」
いつもの仏頂面だが、心なしか満足そうだ。
そして他の面子の分だが……
『それじゃ、せーのっ!』
全員一斉にリボンを解くと、中からチョコを持った裸リボンの女性達が飛び出した!
『流行ってる──ッ!?』
ブバッ!
シーマとティファの裸身をモロに見てしまったコウとガロードは、どこぞの増血鬼の如く鼻血を噴出した。
しかも『私ごと食べて』などと云ったものだから、さあ大変。
「俺はこの場でアイナと添い遂げるゥ──ッ!!」
「お前が欲しい!レイ──ンッ!!」
熱血バカ二人の理性のタガが外れたと同時に、鼻血の海の中での乱交パーティが開始された……
『アッスラーン!私ごと食べてぇ!』
「キラタン、ボスケテ……」
4人の裸リボンの少女達に取り囲まれ、アスランの頭髪はただ舞い散るのみである。
「一度に4人を相手か……やるな、息子よ。レノアサミシイヨ、カエッテキテオクレ……」
この光景はネオジャパンの各地でみられ「血のバレンタイン」として人々に記憶された。
645 :
おくりもの:2006/03/13(月) 23:43:00 ID:???
嵐のような一夜が明けて……
アルとシュウトはどう反応して良いか判らず、ドロシーとセーラをとっとと帰してしまった。
庭先のでっかいコンテナにはキャプテンの彼女が分離した状態で入っていたらしい。
不満気なウッソ。
「はいっていたのはシャクティだけだった……お姉さーん!」
ウッソが期待していた酒楽隊の面々はオリファーの家に現われ、マーベットとの夫婦仲に亀裂を生じさせたとか。
同じく不満気なヒイロ。
「リリーナは裸リボンをしてくれなかった……ゼロはなにも答えてくれない……」
どうやら、チョコを作るので精一杯。
最近の流行までは把握できなかったらしい。
シンの脳裏に昨夜の出来事が蘇る。
「ステラ……俺とマユとで3Pなんて言い出すなんて……あんな無垢な娘が、一体どこで覚えてくるんだ?」
「女子高生援交3P。これも無修正ニダ!」
「スゲーぜ、ネオ。でもいいのかよ?未成年にこんなもの観せて」
「はっはっは、君達。これは性教育の一環だよ」
ちなみに赤い人は社員からの義理チョコしかもらえなかったとか。
誰かが言い出した。
「……で、ホワイトデーはどうするんだ?」
兄弟(ヒイロ除く)が一斉に顔を見合わせる。
「俺達も……裸リボンやらなきゃダメなのか……?」
その日、ネオジャパンの各地で苦悩する男達の姿がみられたという。
そして3月14日が訪れる……