>>169 【女性軍人】
女性の出世に関してはいろいろとあるのだろうが、ジオン・連邦両軍における
女性士官・下士官・兵のバランスを示す資料が存在しないので、映像などを元に
考えてみることにする。
もともと、女性が戦場に出てくるのはまれなこととされている。
それは『女性は部族の財産』という、原始的な思考によるものだと考えられる。
子孫を残し、部族を維持していく上で、男はほんの一瞬でも女性と交われば終わり
だが、女性は10月10日の間十分な栄養を取り続ける必要がある。
また男は短期間に一人で多数の子孫を残せるが、女性は一人で数ヶ月の時間を
要する。このことから女性は『部族全体で保護し続けなければならない宝物』だった
のだ。
部族を繁栄させるには、多数の女性が必要である。男は強いやつが一人いればいい。
これは自然界の原理でもある。そこで男は食料を調達し、外敵から部族を守り、必要
なら他部族から女性を略奪しても部族(自分の生活圏)を守る必要があったのだ。
つまり、部族の維持は女性の仕事で、部族の防衛が男の仕事だったのだ。
極論してしまえば、部族にとって男はていのよい消耗品なのである。
とりあえず、このことを根本において考えていきたい。
人間は、自分の領域<部族・生活圏・世界)を守ろうとする本能がある。
これは、仕事場でも例外ではない。
自分とうまくやっていく人間がいた場合、他の人よりもその人を優遇することは多い。
その人を引き立て、自分の側近にするのだ。もしイヤなヤツだったら、できる限り遠くへ
やりたがるものであろう。
自分と話の合う部下ほど、ありがたいものはない。阿吽の呼吸が成立するからだ。
しかし、ここで問題がある。上司と部下が、異性であった場合である。
男性は男性同士で、女性は女性同士で、言葉以外のコミュニケーションがとれるものだ。
それは深層心理的なものであり、言葉遣いや、身振り手振り、細かなジェスチャーでそれと
感じられる程度のものである。
これが理解しあえると、非常にすばらしいコミュニケーションがとれる。だがこれが理解
できないと、その意思の疎通はめちゃくちゃになってしまう。
そして残念なことに、異性でこれが通用する確率は、あんまり高いとは言えないのだ。
異性が言葉以外でコミュニケーションがとれる場合、かなり心理描写が似通った者同士、
長い付き合いの親友など、特殊な場合でしかないことが多い。少なくとも、初対面でかなり
認識がシンクロするということは、実にまれである。
そして、異性と認識がシンクロしたと気づいた場合、ほとんどの者はこう思うのだ。
「これが……恋か……」
ヤッカイな物で、こうなるともはや手がつけられなくなる。
世界各国の軍で、女性と男性と同じ内容の仕事につかせないのと、同性愛者を絶対的
に排斥するのも、ひとえにこの「恋愛感情」があるからなのだ。
認識のシンクロした異性の上司・部下が、そのまままともな仕事を続ける確率は、
きわめて低い。これは本能的なものだ。互いに互いを求め合ってしまうのだ。
そしてこうなると、その部下を特別扱いしてしまう。公私混同してしまうのだ。
こんな状態で、まともな仕事ができるはずがない。
通常の会社ならばまだいい。だが連邦・ジオンともに、軍組織なのだ。
軍に所属している以上、前線と後方の差がある。誰が愛しい人を前線に送ろうとするだ
ろうか。ナンヤカンヤと理由をつけて、別の人材を送るだろう。無論、自分もその状況を
守りたいがゆえに、前線へ決して行きはしない。
これでは、上司への信頼はがた落ちである。
軍が、同性愛者を拒む理由もこれである。
命をかけた戦闘中、小隊長が、愛人の兵のみを安全な場所に常に配置し、別の兵を死地に
送るなどということがあっては、とてもじゃないがやってられない。クリントンがブッシュ
に大統領の座を明け渡した背景には、彼が「同性愛者にも軍に入れる、リベラルな制度を」
などと言ってしまったからだ。
信頼をなくすこと、仕事の効率、阿吽の呼吸が計れる部下希望などの諸要素から、結局
男性は男性の、女性は女性の集団を作ってしまいがちになる。
互いの安全と、精神的安らぎを求めて。
すると上司に女性がいない組織は、結局女性が排斥されてしまう確率が高くなる。
これは未確認情報だが、中央組織が男気あふれるヤロウばかりだと、そこで女性は
出世できない傾向があるらしい。「女性とは」「男性とは」という概念を持っているが
ゆえに、女性を仕事場から隔離してしまうのだ。
これが、女性を悪く見ているのではない。逆に女性を神聖化してしまうがゆえに、
男の戦場(仕事場)というケガレたところにいさせたくないという、一種のやさしさが
根本にあることを忘れてはいけない。
それでも、出世欲のある女性にしてみれば、迷惑極まりない考えだろうが。