それが見えたのは学校の帰り道
真っ赤な夕日を正面に浴びて
住宅街にはあまりに不似合いな
あの緑色の巨頭がそこにあった
「ちょっと待てよ……」
家の裏の小さな畑に埋まっているそれを見て、思わず口に出して言ってしまった。
待て待て落ち着け俺。慌てたら負けだ。
その異様な光景に、自分でそう言い聞かせる。状況を整理してみよう。
雲一つない夕暮れの空、しんとした住宅街、遠くで鳴く犬。ここまではオッケー、
いつもの黄昏時の光景だ。
しかし……
「ひゃぁぁ!」
「!」
後方で悲鳴が聞こえた。家から出てきた母ちゃんが、「それ」を見て腰を抜かしたらしい。
そりゃそうだ。
ちょうど1年前くらいにガンダム、あの機動戦士ガンダムに出てくるMSが出現した
事件があったのは記憶に新しい。あの時もこんな、眩しいくらいの夕日が出ていた時だった。
今でもそこら中にMSやその残骸が転がっているが、住民もすっかり慣れている。
んが。
「何コレ……!? 何でこんな……」
それはあくまで「普通の」MSに限ってのことだ。俺が今見ている、コイツみたいに
おかしな状態のヤツじゃない。
(こういうのは……見たことねーぞ?)
ウチの裏の畑の中に、異様な迫力を持ったデカくて丸いモノがひとつ。
今まで見たこともないタイプのザクが、地面から頭だけ生えていた。
しばらくして、警察がやってきた。
こりゃデカイ騒ぎになると思っていたが、現実は思っていたものと違っていた。
警察は何枚か写真を撮り、調査もそこそこに終えると「あまりいじらないで下さい」とだけ言い、
さっさと帰っちまったのだ。
つーかいくら慣れてるってもこれはねーだろ!? こういうのがお役所仕事か?やる気が無い
にも程がある。
中1の俺だって頭に来るぞ……
「フルミ、ちゃんと写真撮ったー?」
「ん?」
と、野次馬も帰った道路に、おかしな学生の集団を発見した。
男3人、女4人、どれも同じ制服着て……ってウチの学校じゃん。1人違うのがいるけど。
「つーかこれスゴクねえ!? 超笑えんだけど」
「ウチのと同じかな? ちょっと違うかな」
「そ、そんなことより先輩、こんなタイプ見たことないですよ! 新種ですよ!」
彼らは人1倍、いや通常の3倍はザクに興味を示している。制服から判断してどうやら
ウチの学校っぽいが、とにかく怪しい。
それにしても……
「確かに、こんなタイプは初めて」
「何だか先輩、凄そうですねぇ」
「あたしもニシノと同じ感想なんだけど。ただ笑えるだけじゃん」
「こりゃ新たな事件の香りがすんじゃないのー? んー?」
カワイイ……
勝気そうなツインテールにクールなショート、明るい笑顔の子とキレイ系姉さん女4人かなり
ルックスのレヴェルが高い。
こういう子達の短いスカートはかなり大歓迎な感じだ。強い風吹いたら確実に見えるんだが……
彼氏とかいんのかな……って、あれ?
妄想が走り出した所で1人、こっちに近づいてくる?
「あのーすいません」
「はっ、はい?」
人の良さそうな少年が、話しかけてきた。
「同じ学校、ですよね? 僕科学部部長のアサカワ ヒロっていうんですけど、ちょっとお聞きしたい
ことが……」
ヒロと名乗った彼は、色々と質問を始めた。
だが……
「では発見した時の様子をできるだけ詳しく……」
やっぱおかしいぞ。
発見した時の状態や周囲の状況なんかを、さっきの警察より詳しく聞いてくる。どう考えても
興味持ちすぎだ。
普通の中学生がこんなに興味持つか? まるで何かの調査みたいだ。
「なるほど。あっ、どうもありがとうございました」
「はぁ……」
聞くだけ聞くと、この怪しい集団はさっさと帰っていった。何だったんだ?
とにかくこれでやっとウチの周りが静かになり、我が家でも遅い夕食となった。
で、次の日。
学校に登校して間もなく、周囲の会話から事の大きさを実感させられた。
「1年ぶりに出たな、MS!」
「今度はよくわかんねーのが現れたっていうじゃん? なんだアレ!?」
「俺1stも見てるけどさ、全然わかんねーよ」
朝のHR前の教室は、いつも以上に騒がしい。
なんか、MSが出たのはウチだけじゃなかったっぽい。しかも、同じように見たこともない
タイプのMSが出現したようで、俺を含め1年2組の男共は騒然としている。
対照的なのは女子の様子だ。
「すごい邪魔だよね。あれ」
「男子何騒いでんの? バカみたいに」
「子供だねー……まだ小学生気分なんだよ」
興味がないってのは恐ろしい。こんな凄ぇ事件なのに、この冷めた態度。さすがにもっと
盛り上がれよ! って言いたくなる。
特に、俺の隣は……
「ユイちゃん家の近くにも、何か出た?」
「……」
相手を見もせず、首を一振り。
「ちゃんと声に出して答えてやれよ」
「……」
無視か……
コイツは本屋の娘で名前はユイ、男嫌いとして知られている。
ユイとは小学校からの付き合いだが、ハッキリ言って、まともな会話っつーもんを
したことがない。ていうか覚えてねえし。声をかけてもシカトされるだけだったし、
向こうから話しかけることもないので会話が発生しなかった。
俺も俺で女子には色々セクハ……ちょっかい出してたから、たぶん興味ないのを通り越して
嫌ってさえいると思う。帰りの会とかでよく女子に告発されてたからな……俺。
と。
「……」
ユイの奴、なんかこっち睨んでるのに気付いた。
彼女は文庫本を片手に、横目でチラッと鋭い視線を投げ掛けている。目こそ合わさない
ものの、ちょうど俺の机の上辺りをじっと見つめたまま動かない。
何がしたいんだよおい? そう不思議に見ていると、ユイはおもむろに紙切れを取り出した。
「?」
そして、それを俺の机の上に置いた。
「何これ」
「……」
質問の答えはない。その代わり紙切れを指差し、それを読めという仕草が返ってきた。
全くわけわからん上に感じ悪いがまあいいや、読んでみよう。
(えーと……)
"放課後、科学部の部室まで”
…… 意味がわかんねぇ。
科学部って、昨日俺ん家に来たあの科学部だよな? 部室までってことはそこに来いと?
しかもあの男嫌いのユイが、よりによってこの俺を……? 告るんじゃねーだろな。
何だか唐突に、奇妙極まりないお誘いを受けてしまったようだ。正直女子が仕掛けたドッキリ
とも考えられるが、まあ、ここは行くべきなんだろうな。
「とりあえず、わかった。行くわ」
「……」
ちょっとマジな表情で言ってみる。
だが、ユイの表情は変わらないままだった。
その日の放課後、俺は約束通り科学部の部室へと向かった。
古めかしい戸の前まで来ると、中から声が聞こえてきた。暗い部のイメージとは
違い、ずいぶん賑やかな声が漏れてくる。
入りづらいが、ここでうだうだしててもしょうがない。
「失礼しまーす」
1年らしく腰を低く丁寧に、中へと入った。
「え、あっと、何か?」
すぐに、近くに座っていた背の小さいメガネが話しかけてきた。
どうやら会議っぽいことをしていたようで、昨日の面子が集まり黒板に色々書かれている。
あの1人だけ制服が違った姉さんはいないが。
「君、昨日の……またいいタイミングで来たね」
この黒板前に立つ先輩は覚えてる。ヒロって人だ。
つかいいタイミングって?
「あの、俺クラスの奴に、放課後ここへ来るように言われて来たんですけど」
「クラスメイト……って、1年生部員はウチにはいないはずだけど」
「いや確かにユイ、じゃなくてマユズミって同級生に……」
「マユズミ?」
ん? なんだ?
ユイの名前を出した途端、ヒロ先輩は驚きの表情を見せた。そして、ゆっくりと顔を
ある1人の女子の方へと向ける。
「……」
このショートの子、昨日来てた子だ。冷たい瞳、独特の雰囲気……
と、何故かみんなの視線も彼女に集まり出した。
「ヨシイくんって言ったっけ? そのマユズミって子のことなんだけど……
もうちょっと詳しく教えてくれるかな」
「ああ、はい。っていうか小学校からの同級生です。そいつから科学部の部室に
来いって紙渡されて、ここにこうして来て…」
「あのさぁ」
と、人が説明しているのを遮り、だるそうに椅子にもたれていた野郎…先輩が口を
開いた。
「俺がみんなを代表して聞くけどさぁ、そのユイって子……」
「……」
「お前の妹じゃね? マユズミ」
「えっ?」
彼がそう言うと、マユズミと呼ばれた彼女に向けられた視線が一層強まった。
マユズミだ? 妹? なんのことだっつーの!
「……えぇ」
えぇ〜〜!?
!? な、何だ?
「!! やっぱりか! 前にそんなこと言ってたもんな! いやビビった〜」
「マユズミ先輩妹さんいたんですか! 知らなかった!」
「ユウさん、そう言えば妹がいるって言ってたもんね」
「ユウにユイ、ねぇ」
と、彼女が答えた途端歓声が上がった。俺は状況がつかめず、ただ呆気に取られるしか
ないんだけど。
「……ふぅ」
そんな他人の騒ぎをよそに、もう1人のマユズミは沈んだ表情でため息をついた。
惜しい、もう少し早ければこのスレを立てずとも済んだでしょうなぁ。
8 :
通常の名無しさんの3倍:04/04/20 21:17 ID:HbYbFGNu
>>8 17日22:00〜19日おそらく午前の間に前スレは落ちてるって事ですねぇ。
いつの間に復活したんだage
これって驚くようなことか? ただ妹がいたって事実がわかっただけだろ?同じ部活の
仲間なのに、今まで知らなかったのだろうか。
「ごめんごめん、勝手に盛り上がっちゃって」
ぽかんとしてたら、気を使いヒロ先輩が話しかけてきた。やっぱこの人いい人だ。
「いや、別にいいんですけど……それより、俺に何か用事でもあるんですか」
「用事? 用事……えーと、ないかも」
「……はい?」
思わず耳を疑う。あなたマジで言ってますか? じゃ何で俺呼ばれてんの?
「正直に言うと、思い当たる節がないんですよ。だからこちらとしても混乱してて…」
「は、はぁ」
「あっでももしかしたら、彼女なら何かわかるかもしれないですよ。君の同級生の
お姉さんなら、何か…… ユウさん」
先輩が呼びかけると、話題の中心になっていた彼女がこちらへ振り向いた。
マユズミの姉さん、名前はユウってのか。ユウ先輩ね……
「ごめんなさい、私にも……」
ガラッ!
「!」
と、突然彼女の言葉を遮り、俺の後ろの戸が開いた。
驚いて振り向いてみると、視界にまさに渦中の人物が飛び込んできた。
「ユイ!?」
マユズミ妹、ユイだ。
「え、ってことは、マユズミの妹か!」
「へぇ、似てんじゃない」
「……」
彼女が現れた途端、また場がザワつき始める。が、当の本人はそれをを気にする
こともなく、ざっと室内を見回している。
「……部長さんはいらっしゃいますか」
そして、おもむろに口を開いた。
小さい上にキャラに合わない幼い声。ってか、こいつの声久しぶりに聞くなぁ……
「! あっ、ぼ、僕がそうですけど」
「これを」
ん?
ユイは制服のポケットの中から何かを取り出すと、戸惑うヒロ先輩に手渡した。なんだ?
「ああこれ、入部届けだね」
なぬっ!? コイツ科学部に入んのか?
「じゃさっそく中身を……って、2枚ある?」
「2枚? 誰の分ですか?」
「1枚は彼女自身のものだね。もう1枚は……」
言いつつ、ヒロ先輩は封筒の中に手を入れる。そして……嫌な予感……
「……ヨシイ シュウジって書いてある」
「……」
…… 俺かよ!!
ちょっとちょっとちょっと待て! 待て! お前アホか!?
つーかもうツッコミ所が満載すぎて、どっから手を付けていいかわかんねーよ!
……が、とにかくこれだけは言わなければ!
「何でお前勝手に俺の名前で入部届けを科学…むぐっ」
が、言いかけた所でユイに手で口を塞がれてしまった。
「……」
そして、そのまま空いている手でまた何かを取り出す。
「? 携帯?」
「はぁ?」
出てきたのは、本人の物と思われる携帯電話だった。
しかもその画面には何かの画像が表示されている。どこか見覚えのある風景だな…って、
「これ、ウチの近所じゃねーか?」
間違いない、俺ん家の近くだ。例のザクも写りこんでるってことは、これ今朝か?
一体これ何なんだ? コイツの行動の理由は? 増えるばかりの疑問に、ここにいる誰もが
同じような表情になっている。
「あの、ちょっとどういうことなのか説明してくれるかな?」
さすがに、ヒロ先輩が質問を投げかけてきた。
「これ」
それに対し、ユイは画像と同じ風景の動画を披露して見せた。
さっきの怪しい人物が巨大なカメラを手に、あのザクの写真を何枚も撮っている映像だ。
当然ウチに許可は取ってない。
「! オイオイ写真撮ってんぞ!」
「しかもこの人のカメラ、プロ使用ですよ! 素人の物じゃない」
いつの間にか集まってきた野次馬から、驚く声が上がった。
「で、これとヨシイくんの入部届けはどう関係があるの?」
「……彼と、あのザクのため」
俺と、ザクのため? はぁ…!?
予想だにしない返答に、心の中で唸ってしまった。どういうことなんだよ!
とこっちが聞く前に、ユイは続けて話し出した。
「無傷のMSと、その所持者を放っておいては危険でしょう。だからここに来たの」
何か、事情を知っているような口ぶりだ。
「いや、でもお前も知ってんだろ? ありゃ頭だけだぞ? 体は全部埋まってるし、別に」
「その状態でも、MSを起動させられる人間はいる」
「!」
と、彼女の言葉に一瞬、部員達の表情がこわばった。
「ユイ、あなた」
「姉さんは何も話さなかったけど、私、知ってるから。あなた達のことも」
「……」
いつの間にか、張り詰めた空気が流れていた。
嫌な短い沈黙の後、ヒロ先輩が口を開いた。
「…… 2人とも、詳しい話をしようか」
15 :
通常の名無しさんの3倍:04/04/23 19:41 ID:qNdGl2KY
妹万歳
それから俺は、その"詳しい話"ってやつを聞かせてもらった。
ザク研っていう科学部のもうひとつの顔、ヒロ先輩の家のザクとハロ、色々な事件、そして
出現したMSのこと……
正直驚きの連続だった。俺の知らない間にそんなことが起こっていたとは……ただ、ユイの
表情は相変わらずだったが。
けど、これでユイの言ってたことも少しわかる気はする。確かに危険だわな、さっきまでの
俺みたいな、何も知らない奴と動くMSをそのまま放っておくのは。
まあ、勝手に入部届け出すってのは間違ってるけどさ。
「んで。シュウジっつったっけ? これで勿論、ウチに入部してくれるよな」
「いやー、それはまた別の…」
「決定ね。反論は許さないけど」
「……」
ツインテール先輩……名前は知らねーけどキツイです。
でも冷静に考えてみると、ここに入部しといた方が後々いいかもしれない。あんなデカイMSなんて
ウチの家族の手に余るし、俺自身帰宅部状態だったし。
まぁ、いいか。
「これで、ウチのことはだいたい話したな」
「ですね。何だか2人も入部してくれるみたいだし、ここは自己紹介でも…」
「待って」
言葉を遮ってユイの姉さん、マユズミ先輩が口を開いた。
「その前に、ユイ。ひとつ聞かせて」
「……」
「どうして、ここに来る気になったの」
「……」
どうしてって、さっき言ってなかった? 俺とザクがどうとか。
「別に」
ユイがポツリと呟く。
「色々と興味を持って、そして知りたくなっただけ」
「……そう」
うーん……よくわからんやりとりだ。けど裏がありそうな感じ……
結局、この後は自己紹介で終わった。
そろそろマヤさんの顔出しかな?
「"何かが"さぁ、起きてるよね」
科学部での自己紹介が終わった、約10分後。
俺はまだ帰宅していなかった。と言うより、出来ない状況にいた。
あの後何故か強制的にヒロ先輩の家に行くことになり、行ったら何故かこないだの
女子高生がいて、何故かしばらくここにいることになった。
そして、そのザク研会長を名乗る怪しい女子高生主導のもと、大広間にて今回のMS出現についての
話し合いが始まったのだった。
(ヒロさん、あの変な人誰なんすか?)
(イズミマヤさんっていって、元科学部部長だよ。今は岸女に通ってる)
(へぇ)
(それとな、この後わかるけど……セクハラに気ぃつけろよ)
(? はぁ)
「はいはいそこおしゃべりしない! で、今回出てきたMSを色々デジカメで撮ってもらった
ワケだけど……」
マヤさんという古参らしき人はそう言って、テーブル上に写真を数枚投げ出した。
黙ってりゃキレイなんだけどなぁ……マジで。
「その写真見て……変だと思わない?」
そこに写っているのは、どれも見慣れないタイプのMSだった。ウチのザクはもちろん、グフ、
ドム、ゲルググなど壊れているが、どれも初めて見る型だ。
何だこれ? こんなのあったか?
「た、確かに変ですね。こんなの見たことないですよ」
「そうなんだよね〜。どうやら今回、全くの新種が出てきちゃったわけなのよ」
全くの新種、ってことは原作にもないってことだよな?
じゃあ、小説とかゲームか。
「それって、お兄ちゃんも知らないやつなの?」
「当たり前だよ。マヤさんやフルミくんも知らないんだからさ」
「で、ここでマユっちよろしく〜。シュウとユイちゃんもきちんと聞いてなよ」
「……はい」
早くも俺達に馴れ馴れしいマヤさんはそう言うと、隣のマユズミ先輩を立たせた。
「今回出現したMSは、原作アニメはもちろん他のどのジャンルにも登場していません。ここまでは
皆さんもおわかりだと思います」
うん、そーだな。
「その事実と、現時点でわかっている情報から考えて……あくまで憶測ですが、あれらが元いた
世界の宇宙世紀の歴史が、原作と違ってきているのではないかと思われます」
「!!」
原作と歴史が違う? 元いた世界?
何か先輩達は驚愕してるが、う〜ん……話が見えてこねぇ。
「ちょっとそれ、どーゆーことよ!?」
マヤさんも驚いた様子だ。ってあんた自分でふっといて……
「おそらく去年の時点では、全て原作通りであったと思われます。しかし、それがあの大規模な
MS出現により歴史が変わったのではないかと」
「歴史が変わったって、これあくまでフィクションの世界でしょ? そんなの……」
「そうでもないよ。今あるMSは、確かに実際の戦争で使われたものだよ。僕もその証拠をみたし」
俺の疑問に対し、少し物憂げな顔でヒロ先輩が言う。
実際の戦争ってのは、やっぱあの1年戦争なんだろーか? ってことは俺らの知らないガンダムの
世界が本当にあって、そこでは実際に宇宙世紀が、キャラやMSがあって……
「……つまり、実際の宇宙世紀では、もしかしたら1年戦争は終わっていないのかもしれません」
マヤさんきたーーー
ここはいい黒歴史ですね
一年戦争続いたっても、記録にないって事は
MSVではないのね
終わってない? 1年戦争が?
「……」
みんなめちゃめちゃ驚いたか、もしくは予想していたか、一瞬場がしんとしてしまう。
おいおい、ゲームのオリジナルシナリオじゃねーんだから……
「ってことは、何」
真面目な顔で、ニシノさんが口を開く。
「ジオンはまだ負けてなくて、ソロモンやらア・バオア・クーの戦いで連邦は勝ってなくて、
デギンやらギレンも生きてるかもしれねーってことか」
「そそそうですよ! さらにホワイトベースが宇宙に上がってるかも疑問だし、ララァだって…」
「ちょっとちょっと、2人とも落ち着いて」
さらにフルミさんも興奮してきた所で、ヒロさんがなだめた。
まあ、エキサイトすんのもムリはないわな。最近の2作のガンダム以外は全く知らない俺でも、
この展開の凄さってのはわかる。
「……マコ、言ってることわかる?」
「んー、何となくですけど」
ミクリヤ先輩とマコさんは、わかってないようだが。
「詳細はまだ不明ですが、少なくとも現在確認している未確認MSはいずれもジオン系等と思われ、
連邦軍の勝利とはなっていないものと推測されます。以上です」
そこまで言って、マユズミ先輩は腰を下ろした。
「しかしまー、えらいことになってきちゃったね?」
「ホントっすねー」
「でも、MSが何体かいなくなっただけで歴史って変わっちまうもんなんですか? 大して
影響なさそうっすけど」
俺はふと、ずっと思っていたことを言ってみた。
「いやいや、だってガンダムとかケンプファーも出てきたんだよ? 百歩譲ってそれがアムロが
乗ってたのじゃないとしても、他にホワイトベース隊のMSが出てたとしたら……ねぇマユっち」
「はい」
ホワイトベース隊って、ガンキャノンとかガンなんたらって戦車だよな、主人公グループの?
ああ、なら歴史変わってもおかしくないか。
「ってなわけで話を戻して……今マユっちが言ったような事態になってるわけだけど、これから
ウチらはどうするべきか? ってのを考えて欲しいわけ」
「つまり、僕らのこれからの活動を話し合おうと?」
「んだよ、そういうことかよ。なげー前フリだったな」
と、ニシノさんのツッコミが入りつつ、皆それぞれ考え始めた。
ユウゾウさん、もしかしてハブられてる?
2ch連載開始から1周年、作者さん乙!!
25 :
通常の名無しさんの3倍:04/04/27 22:52 ID:q+VaJDPy
一周年ってことはかなり原稿もたまったんじゃないか?
誰か単行本か何かでまとめてくれ
自分達のやるべきこと、か。
そりゃザク研究会って名前の通り、研究とかすればいいんじゃないか?
「やることってさ、別に前と一緒でいいんじゃないの」
一番に意見を述べたのは、以外にもミクリヤ先輩だった。
「前と同じって、何でしたっけ」
「ってあんたさ、部長の妹なのに覚えてないの? 色々やったじゃん」
「ザクとかアッガイとか動かしたり、あとガンダムと戦ったりしたな。後は変な奴らと戦った
くらいか」
「あ〜、そういえば色々やりましたねぇ」
マコさんが、ニシノさんの説明にうんうんとうなづく。
ってこの人達はさらっと言ってくれるが、普通に考えりゃえらいことだよな。
「ザク研究会、名前だけね……」
「うっ……」
と、すかさずユイのツッコミが入った。先輩相手でも相変わらずだな、コイツ。
「でも今年はちゃんと研究をしていきたいよね。MSのことや、実際の宇宙世紀で何が
起こっているのかさ」
「私も、そう思います」
「そーそー、このカップルの言う通りですよあんた達? 今年はユウゾウが高校の寮
入っちゃってあんま顔出せないんだから、頑張んないと」
へぇ、他にユウゾウって人もいるんだ……ってちょっと待て。
カップル? ヒロさんと、マユズミ先輩が?
(ちょっ、ちょっとニシノさん)
(ん?)
(ヒロさんとマユズミ先輩って、付き合ってるんですか?)
反対側のヒロさんに気付かれないよう、小声で聞いてみる。
(まー正直微妙だな。どっちかっつーとマユズミの片思いっぽいんだけどさ、それをヒロも
わかってて、色々弄んでる感がある)
(もて、弄ぶ!?)
(おー、こないだ3年の卒業記念パーティーやった時に、ちょっとした事件があったんだよ。
そん時にみんなであいつ等をくっつけようとしたんだけどな、ミクリヤが……)
「ってちょっと、言ってるそばからおしゃべりするなっての」
(やべ、これはまた後で話すわ)
ってちょっとニシノさん!? すげー気になってきた所で、再びマヤさんの注意が入った。
って何があったんだ!? 気になるぞ!
そんな俺を置いていくように、話が再開した。
「あの、とりあえず、今の所は出現したMSを調べるということでいいのではないで
しょうか? いずれにしろ、全ての情報はそこからしか取れないことですし」
「ついでに人も調べた方がいいだろ。また温泉の時みてーにすげーのが出るかもしれねーし」
キャラに似た人間も出現し出したってのは、俺もちょっと気になっていた。
温泉の話は、さっき聞いたな。アムロそっくりのヤツがいたらしいが。
「うん。だから今度は、うちのハロも連れて行ったほうがいいかもしれないね」
「あ、ヒロさんとこのハロって、MS動かせるんすよね」
「まあね。でも今回はデータを取るだけだから」
そうか……ちょっと残念。正直、MSが動く所を見てみたいんだけどな。
「意見をまとめると、ウチのこれからの活動としては、しばらくデータ集めに努めるって
ことで。これでいいよね?」
「はい」
と、場を締めるようにマヤさんが言った。要するに、現状維持って感じか。
「よし。じゃあ話もついた所で……」
ついた所で時計を見ると、もういい時間だ。やっと解散か……
「銭湯行きますか! 例によってみんなのお家には連絡いってるから安心してね」
「はーい」
「……は?」
せん、銭湯?
何で今そんなとこに行くんだよ!? 意味がわかんねーよ!
「新入部員と親交を深めるには、裸の付き合いが一番だからねー」
「これってもう、ウチの伝統行事なんだ。シュウジくんにユイちゃんも、あきらめて
くれるかな」
「は、はぁ」
ということで、俺達はなぜか銭湯に行くことになってしまった。
やっぱり来たかお約束の展開w
29 :
通常の名無しさんの3倍:04/04/28 15:21 ID:3lrliKGV
>>こないだ3年の卒業記念パーティーやった時に、ちょっとした事件があったんだよ。
そん時にみんなであいつ等をくっつけようとしたんだけどな、ミクリヤが……)
何があったんだよ!!
この三角関係に一体何が・・・
三角関係じゃないだろ。
ミクリヤさんには彼がいなかったか?
合宿での一件は一夜の情事だ。
31 :
通常の名無しさんの3倍:04/04/29 19:24 ID:/doxEQLq
>>30 本当にそうなのか?
彼氏がちゃんと登場していない以上、嘘かもしれない・・・
それに
>>29のニシノのセリフも怪しいし。
この卒業記念パーティーの所だけ本家でやってくれ
そしてハァハァさせてくれ
読 む 気 に な ら な い
読 む 気 に な ら な い 糞 ス レ
じゃあ読むな。
大丈夫とは思うが保守
外に出ると、辺りは夜になっていた。
今くらいの時期になると、もう大して寒くない。だが静まり返る住宅街は昔から人気の無い
所で、こんな大人数でも少し寂しい感じだ。街灯の光がむしろ不気味な通りを、みんなの
後について歩いていく。
それにしても伝統行事が銭湯って、一体どういうことなんだ? それにふとニシノさんが
漏らした、「女湯に気をつけろ」ってのは……?
そのへんのことを追求できないまま、俺達は銭湯に到着した。
「じゃみんなそーゆーことで。また後でね」
中に入って、すぐ女子と別れた。
「あの女……また何か企んでんな」
別れ際のマヤさんの捨てゼリフに、ニシノさんが反応する。
"また"ってなんだ?
「何か起こりそうな気配ですね……」
「みんな、いつもの通り注意していこう。特にシュウジくん」
「は、はぁ」
何故か真剣な表情を浮かべたまま、先輩3人が先に男湯へ入っていった。
確か銭湯って、心身ともにリラックスする所だよな? あーやって今から戦にいくような、
ひりついた緊張感の中で行く所じゃないよな?
とにかく俺も服を脱ぎ、タオル一枚巻いて後を追う。
「おぉ」
中は、いつの間にかタイルが一新されていた。ここには何回か来たことがあるが、前はちょっと
くすんだ色だった覚えがある。
それにちょっと感動しながら、空いているシャワーの前に座った。
「おい」
と、隣のニシノさんが話しかけてきた。
「何すか」
「今から女湯で、色々不思議なことが起きるけどな。全部シカトしとけよ」
「ふ、不思議なことですか」
「ああ。何が起こっても…」
ほらほら〜
「? マヤさんすかね?」
突然、女湯から聞き覚えのある声が上がった。
「シュウジくん聞いちゃ駄目! 無視無視!」
聞いちゃ駄目って、別にそんな…
お風呂入るのに体にタオル巻いちゃ駄目でしょうが あ、あの、マヤさん…!
マユズミ先輩、私も取ってるんですから ……あんたの妹の方は堂々としてんだね
ぶっ!!
「ち、ちょっとあの人ら!」
「ま、マコの奴も何を……」
「無視です先輩! ヨシイくんも!」
額に血管を浮かべ、フルミさんが小さく叫ぶ。
このことを言ってたのか……彼の態度を見て、俺は事の次第がわかった気がした。
あげとくか
荒らされないようにsageようよ
というかエロくて面白くなってきたな
さらに女湯での会話は終わらない。
ミクリヤ先輩、ちょっと胸大きくなりましたよね まあ少しね ミクリヤちゃんって多分
巨乳になるタイプだわ マユズミ、あんたの妹見すぎなんだけど ごめんなさい……
「……」
「……」
今の会話は多分、いや絶対先輩達にも聞こえているはずだ。
下手なリアクションはしないように、みんな黙々と頭や体を洗っている。……心ここに
あらずって感じだろうな…… 俺もだけど。
それにしても、女子共はこんな会話して平気なんだろうか? 仮にも微妙な年頃って言われる
年代だろ……
「さて、と。男子聞こえてるー?」
「!」
と、こっちに呼びかけるような声が上がった。マヤさんだ。
(みんな反応しないでね)
(わかってますって)
改めてヒロさんから、アドバイスが飛ぶ。
「今夜も恒例の実況中継を……始めようと思ったんだけど」
「ん?」
だけど?
「こないまで小学生だったユイちゃんもいることだし、今回は中止ってことで。ごめんね〜」
「ち、中止なんだ」
少し複雑な調子で、ヒロさんが呟く。
(よかったですね)
(……先輩、マジでそう思ってるんすか?)
(あ、当たり前じゃないか)
俺は残念なんだけどな〜、さっきの会話からすると、結構期待できそうだったんだけど。
結局この後は、多少刺激的な会話以外何も起こらなかった。
「こんなことって初めてだね。普通に風呂入れたよ」
「いつもは違うんですか?」
「うん、だいたいマヤさんが暴走するんだけど」
髪をドライヤーで乾かしながら、ヒロさんが言った。
俺達が早めに風呂を出たせいか、女湯の更衣室からは女子の声は聞こえない。この分だと、
このまま普通に終わりそうだ。
「あの人も高校生だし、成長したってことかな」
「んなわけねーだろ? マヤさんだぞ? そのうちまたおかしなこと……」
あ〜、いいお湯だった!
おっ! 出てきた!
「……」
「……いきない黙らないで下さいよ」
あぁーっつぃ、ちょっと扇風機の前いこ、前 マユズミはいいよね、髪短くて楽でさ
ん、そうでもない ほらほらユイちゃん、服着たら髪とかしてあげるね あ"ぁ"ぁ"ぁ"〜〜
(これって、当然まだ服着てない状態っすよね?)
(ああ……さっきの会話からして、ロクにタオルも巻いてねーだろーな。ここかなり暑いし)
(女の子達、何で男湯のこと気にしないんだろ……)
思わぬところで、思わぬ展開になってきたっぽい。
どうやら、今夜は長くなりそうだ。
初めてみたけどココ面白いね
そして長いね_| ̄|○
>>41 だが、更新ペースがマターリしてるから
のんびり最初から読んでけ
これで長いっつったら本家HPの分はどうなる・・・
男湯にも客がいないのを幸いに、俺達は聴覚をフルに働かせ始めた。扇風機を止め、
静かに精神集中……銭湯で時が、止まる。
やがて、壁向こうの声が聞こえてきた。
ミクリヤ先輩、裸でも堂々としてますね 別にそんなつもりないって しかも色がオトナ
ですよ、マコちんとは違うね 比べないで下さいよ〜 ユイ、早く服着なさい 暑いから嫌
くぅぅ〜、一体奴らどんな格好なんだよ! しかも色って! 何の色!?
(これはキたな〜、さすがに下着は! なーシュウ?)
(あっ、や、やっぱり)
加えて、会話の途中で漏れてくる布独特の摩擦音。
みんな確実に"拭いて"、"身につけてる"途中ってことだ。
(ちょっとあの2人、変なこと言ってますよ)
(フルミくん、放っておこう……)
あれ?
(ん?)
とその時、突然すっとんきょうな声が上がった。この声はミクリヤ先輩だ。何かトラブルでも
起きたか?
どうしたんですか? いや、なんか、無い 何がよ? だから、……が
どうやら何かなくしたらしく、やがてガサガサと物を探すような音が聞こえてきた。
財布でもなくしたか?
「ミクリヤさん、どうしたのー?」
「何でもないよ〜、お兄ちゃん達は先出てて〜」
「? わかったー」
ヒロさんが聞いてみるが、軽くあしらわれてしまう。
ちょっと様子がおかしいのが気になるが、ここはマコさんの言う通りにすることに。さっさ
と着替えを済ませると、俺達は外へと出た。
「何があったんだろうね?」
そして開口一番、ヒロさんがみんな思っていることを言った。
「アサカワさんの態度も変でしたねぇ」
「ああ。これたぶん、俺らに言えねーものをなくしたんだな、きっと」
「言えないものっすか」
「男子に言えないもの……」
……
「……やっぱヒロってエロイわ」
「えっ!? な、なんで」
「おまたせ〜〜」
ヒロさんがツッコまれたところで、女性陣が出てきた。
なんかマコがさん付けで呼ばれると新鮮だな。
「何かあったんですか? さっき」
さっそく、フルミさんが切り出す。
「ああ、大したことじゃないよ。何でもない」
「……」
明らかにミクリヤ先輩に聞いたのだが、マコさんが代わりに答えた。
あやしい。本当に大したことなかったら、言えるよな? ニシノさんもそのへんを
疑っているようで、表情が物語っている。
「でも、さっき……」
「まーまーフルミ」
さらに聞き出そうとするフルミさんを、ニシノさんが止めた。
「女には男には言えねー、色んな事情があるだろ。察してやれって」
色んな事情……か。
ふと、頭に幾つか浮かんだ。
「そういうことをさ、自分の口から言わせちゃダメだろ」
「ちょっと待って」
何か語りだしそうな雰囲気の彼に、横からミクリヤ先輩が口を挟んだ。
「何か、勘違いしてない?」
「してねーよ。お前がアレなくしたんだろ?」
「はぁ?」
「だから……」
ニシノさんがひそひそと、一言二言耳打ちをする。
と次の瞬間、ミクリヤ先輩の顔色が変わり……
「ニシノ」
「? ぐっ!?」
うおっ!?
そのまま、ニシノさんの額の上辺りに頭突きを食らわした。骨と骨がぶつかり合う、
重々しい音が響く。
かなり強烈だ。すげー痛そう……
「って〜〜!」
「……セクハラもたいがいにしようね」
あれだけの一撃を放っておきながら、彼女の表情は涼しい。
セクハラか……ふと、ニシノさんが言ったことがわかる自分に気付く。
「じゃあ何なんだよ!? 何なくしたんだっつーの」
「何って……」
「あ〜ハイハイ、あたしが説明するよ」
と、ここでマヤさんが出てきた。
これでようやく、何が起きたか知ることができる。
「単刀直入に言うとね、下着泥棒にあったっぽいんだ」
「! マジっすか?」
思わず叫んでしまう。し、下着ドロだと?
「最近この辺りで流行ってたらしいんだよね。ここの銭湯でもさ、番頭さんがトイレとか
行ってるスキに盗られたことがあったって」
トイレタイムの間にひと仕事かよ! 何て無駄な職人技だ……
「え、じゃあミクリヤさんだけが被害に?」
「あたしだけじゃなくて、結局全員いかれたよ。みんな下着盗られたわけじゃないけど」
「ほ、本当ですか?」
ちょっと言葉を失ってしまった。ニュースやドラマの世界だけじゃなかったんだな……
ん? ってことは、
(ちょっ、ニシノさん)
(わかってる。たぶん、最低でもあいつらの5分の3は……付けてないな)
……
っていかんいかん、思わず反射的に、不謹慎な想像をしてしまった。
おぉっと急に突風が!!
48 :
通常の名無しさんの3倍:04/05/10 20:37 ID:nbhIuXOG
>>1しか書き込んでないじゃん・・・誰も見てないのに
糞スレ晒しage
>>48 新参は半年ロムっとけ
スレのふいんき(←なぜか変換できない)をつかめないやつめ
ノーパン!
ノーパン!
そういえばハロに映像録画能力ってなかったっけ?
この話に出てくるハロにはなかったんじゃない?
この話のハロは、色々不明な点が多い・・・
って感じ。つーか前シリーズの最初で、
「どうやら録画映像投影映写機能があるみたいなんだけどさ、それにしては
タッチパネル操作もできないし、小物入れ機能はないし…」
録画映像……なんだって?
話がマニアックになってきた……
「しかもハロの映写機能って言ったらシャボン玉だろう? でもこいつは
普通にスクリーンに映したんだ。スクリーンって言ってもふとんのシーツだけど」
ってある。だから映像録画能力くらいはあるだろ
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
とりあえず本家のBBSはホスト表示なくせば書き込み数増えるんでね?
なくせるもんだよ普通
スクリプトのホスト表示させてるところを消せ
本家BBSのホスト表示がなくなったage
「ていうか、変な期待しないでよ」
「(ギクッ!)」
そこに、まるで俺達の心を見透かしていたかのような、ミクリヤ先輩のツッコミが
入った。
女の勘ってやつか? 恐ろしい。
「いや、するわけないじゃないっすか!」
「そうだよ、いくらなんでもこんな時に、んなこと思わねーよ!」
「なんか、弁解が必死なんだけど」
良く見てる……こうやって否定しても、先輩の目から疑いの色は消えない。本当は
見抜いてるんじゃないか?
「まあ、みんな体育の短パン持ってたからね。万が一スカートめくれても大丈夫だし、
気にすることもないんだけどさ」
「え、マジすか!?」
「……何、その微妙な反応」
ニシノさん、リアクションが素直過ぎですって。
それでもほとんどノーブラだよな? なんて淡い期待、もとい心配をしながら、俺達は
どこへ行くともなく歩き出した。
暗い夜道だが、俺の目線は自然と女子のシャツにいってしまう。見たところ、みんなあの
特有の"線"が見えないようだが……まさか全員!?
「でも、盗られたのってついさっきでしょ? まだ犯人が近くにいるかもしれないね」
邪な俺とは対照的に、真面目な顔でヒロさんが言った。
「そうですね、そ、その辺に潜んでるかも」
「だったら捕まえようよ! 凄いムカつくし!」
「ま、マコさん、落ち着いて…… ?」
と、1人息巻くマコさんの後ろで、ユイが何かチラ見しているのに気付いた。
「? 何見てんの」
「誰か、ついてきてる」
「! マジ…!」
「しっ」
思わず声が出そうになる俺を、マユズミ先輩が止める。
この人も気付いたらしい。
「……確かなの?」
「後ろ向かって右側の角に、気配を感じる」
まるで超能力者みたいなセリフだが、コイツが言うと妙にリアルだ。先輩もその表情から
して、マジに受け取っているように思える。
「さっきの下着泥棒かストーカーだな。捕まえるか!?」
「駄目。しばらく様子を見た方がいい」
お? 返事したよ。
コイツがこんな反応するなんて、何かあったんだろうか?
「いやでも、様子見るっつっても解散しちまうだろ」
「大丈夫。この後は、必ずコンビニに寄ることになっているから」
と、マユズミ先輩の言う通り、やがて前の方に大手チェーンのコンビニが見えてきた。
店から漏れる明かりで周囲は明るく、駐車場もある。隠れる場所はなさそうだ。
「中に入ってから、これからのことを考えましょう」
「なんか先輩、慣れてますね」
「…去年も、同じようなことがあったから」
歴史は繰り返す、ってことだろうか?
なんとなく嫌な予感を感じつつ、俺達は照明がまぶしい店に向かった。
( ´д`*)ハァハァ
「…っしゃいませー」
入ると、ふてくされたような顔の店員に迎えられた。
とりあえず俺は雑誌のコーナーへ行き、漫画を手にした。マユズミ姉妹も同じように
雑誌を手に取ると、周囲に目を光らせ始める。
思っていた通り、ここからだと外の様子がよくわかる。意外と通行人は多い。
(ひとまず、みんなに知らせた方がよくないっすか)
(ええ今のうち…)
「っしゃいませー」
そこに、俺達に続くように数人の客が入ってきた。
会社員風とリュックを背負った真ん中分け……思わず会話が止まり、そっと横目で見て
しまう。
(何人か来ましたね)
(ええ。ユイ…)
(たぶん、この中にいる)
!!
先輩の言葉を待たず、ユイから衝撃的発言が飛び出した。お前はマジで何ですか?
(いるってお前、なんでそんなことわかんだよ?)
(わからないけど、いるの)
(上手くは説明できないけれど、この子の言うことは確かだから)
マユズミ先輩も、あくまで真面目な顔つきで言う。
しかしこの姉妹、調べれば色々な秘密がありそうだ。只者じゃない。
(すぐメールでみんなに知らせましょう。これなら怪しまれない)
(あっ、それいい方法すね)
さっそく俺達は、絶対に驚くなという前置き付きでメールを打ちだした。
やがてそれぞれの着メロが鳴り、一斉にチェックをし始める。互いに一言二言言葉を
交わした後、青ざめたヒロさんとキレ気味なマコさんが2人して、俺達の方へとやってきた。
(メール見たよ! で、ほ、本当に……)
(捕まえましょうよマジで! で、誰なんですか!)
(ちっ、マコさん落ち着いて、落ち着いて!)
兄妹して正反対なリアクションだ。俺はまず2人を落ち着かせると、できるだけ冷静に
今までの経緯を説明した。
(じゃ、じゃあ、今ここに?)
(らしいっすよ。ユイの話では)
現在店内にいる客は、俺達を除くと4人いる。
さっき来た会社員と真ん中分け、そしてホストっぽいのと大きいショルダーバッグを
下げた、Gジャン男。
ハッキリ言って、どいつも微妙な感じだ。
(全員怪しいね……)
(だから、どうします?)
(どうしますも何も、捕まえるに決まってるじゃん!)
これからのことを相談しようとするが、どうもマコさんが1人先走っている。
さらに、とんでもないことを言い出した。
(女子みんなでオトリになるから、お兄ちゃん達で捕まえて! よろしくね!)
(いやいやいや、マコさん?)
(よ、よろしくねじゃないだろ!? 何勝手に決めて……)
ヒロさんの言うことも聞かず、マコさんはさっさと他のメンバーの所に行ってしまった。
どうも、もう彼女を止めることはできないらしい。
ミタヨー(・∀・)
寝る前に浮上
あっけに取られているうちに、全員が集まってきた。
「色々説明するから、外に出て」
すれ違いざま言うと、マコさんはそのまま外に出て行ってしまった。先輩達も心配そうな
顔で続き、俺達も慌てて後を追う。オトリになるって言ってたが・・・
入り口そばのゴミ箱前に全員が集まると、作戦説明が始まった。
「えと、今から女子がオトリになってストーカーを捕まえたいと思うんですけど…」
「ちょっと待てよ、何の被害も受けてないのに捕まえるっておかしいだろ? マコは少し
先走りすぎだよ」
さっそく正論を言ったのはヒロさんだ。
確かに、後をつけられただけで何もされちゃいない。
「おかしくないよ、もしかしたら写真とか撮られてるかもしれないでしょ? それにさ、
女の子1人になった時に、何かされるかもしれないよ」
「まあ、確かにそうだけど」
「とりあえずさ、相手の様子見るだけでもいいでしょ?」
キレかかってた割には冷静な意見だな。どうやらみんな納得した所で、マコさんからの
説明が始まった。
簡単に言うとこういうことだ。まず一旦男子と女子で別れ、女子はそのまま近所にある
小公園に行きしばらくタムロ。男子はここでバラバラに解散すると見せかけ、コンビニ監視組と
公園観察組に別れて行動開始、メールで連絡を取りつつ怪しい奴を見つける、と。
まさに、みんな門限が緩いという奇跡的幸運が為せる技だ。
「じゃ、ここで解散しよう。帰り気をつけてね」
「は〜い」
そして、合図であるヒロさんのわざとらしい締めが終わり、いよいよ作戦開始となった。
俺はニシノさんと共に、公園観察組に任命された。
任務は単純、公園に先回りして適当な所に隠れ、ひたすら辺りの様子を伺うというものだ。
最初はジャンケンでヒロさんとフルミさんになったのだが、怖いからヤダという理由で交代となった。
さっそく俺達はコンビニから死角に入ると、バッグを小脇に走り出した。
「つーかさぁ、ストーカーってマジかよ? マユズミの妹の見間違いじゃねーの?」
「俺も最初そう思ったんですけど、何かかなりマジっぽいんで段々信じてきましたよ」
「それに、こんなことしなくても女を家まで送っていったらいい話だよな? 意味なくね?」
「……」
まあ、そりゃそうなんだけど……マコさんがあの調子だったし……
何だかんだ言いつつも、間もなくして公園に到着した。
「…うわぁ」
入り口の所まで来て、俺は思わず呟いてしまった。
暗い。外灯が何本か立ってはいるが、圧倒的な暗さが場を支配している。これじゃそのへんの
藪に隠れていても、わからないように思える。
少しためらったが、ニシノさんは公衆便所の影に、俺はブランコ裏の茂みに息を潜めた。
(うーわ、枝がうぜ…… ん?)
場の確保に手こずっていると、ニシノさんが何かを指差しているのが見えた。
その先を追ってみるが、暗闇と木々のおかげで見えない。なんだよ? メールで連絡っつった
のに……
てかみんな寒くない?みんなノーブラっしょ? ん、まぁベスト着てますから 私は正直
寒いですけどねぇ 私もやはり、胸元が だよね、下も履いてない人はもっと…
!! 来た!!
っつーか、こ、この大胆な会話と行動は? あの人達俺らがここいんのわかってんのか!?
シャツの胸元をつまんで覗き込んだり、スカート軽くめくったりしてるし!
ちょっとニシノさん大変なことにって、…あれ?
彼の方に視線を移してみると、携帯を手にこっちに親指を立てている姿が見えた。目が慣れてきた
おかげで表情もわかるが、明らかにニヤリとして…… ! ま、まさかアンタ!
(……謀ったのか……!)
そのエロ根性に呆れると共に、”グッジョブ!”と心で強く叫ぶ俺が、そこにいた。
グッジョブ!
ニシノ君は相変わらずグッジョブですね
浮上
最近やけにage厨が多いが同じ奴か?
hosyu
「ここ座りますか」
「!」
と、急に飛び込んできたミクリヤ先輩の声に、ふと我に返った。
声がした方を見ると、眩しい白のシャツが目に飛び込んだ。距離が近い。どうやら目の前の
ブランコに座るようだ。
「去年も、同じようなことがあったと聞きましたけど」
「ん? ああ、なんかうちらのことつけ回してたバカがいて……マコが裸で外飛び出したん
だっけ」
「ちょっ、誰に聞いたんですかそれ!?」
4人がけのブランコに、マコさん以外が腰を下ろした。
座った4人の背中を見ると、やはりブラを付けてないのが確認できた。シャツだけの人は
もちろん、ベストを着ているミクリヤ先輩の背中にも例のラインが見当たらない。肩甲骨は
出てるのに……
って、様子を見る対象が間違ってるな。いかんいかん、ちゃんとしなければ。
「みんなってさー、どんな下着付けてた? あたし紺のレース付きなんだけど」
……もうちょっと、このままでいようかな?
「マジで言うんですか? グレーっぽいのです。最近出たやつ」
「えっと、ちょいフリルついてる青色、かな」
「…あの……え、と……」
「姉は白で、私は薄い水色です。両方中学生向けのもので、飾りは特にないです」
「!」
真っ赤になるマユズミ先輩も気にせず、横からユイが言った。
恥ずかしげもなく…こいつは…
(すんげー会話だな)
(うわっ!?)
なななんだ!? いきなり後ろから声をかけられたと思ったら、ニシノさん!
いつこっち側に来たんだ? 前に夢中でわからなかった……
(高級志向のマヤさんに流行に敏感なミクリヤ、あとの3人は分相応な感じか)
いきなり下着の分析してるし。
(つーか、このまま犯人来なくてもOKだな。収穫は十分だし)
(いや、駄目でしょ。ここまでやって)
(できればこのまま下系ネタで……)
と、言いかけてニシノさんの動きが止まった。
(見てみ。来ちゃったよ)
(? ……!)
差し出された右手人差し指を辿って見ると、向こう側の藪に不自然な影を見つけた。
木々の間から、妙に盛り上がった物体が見える。あれは……
(明らかに人っすよね。手になんか持ってるし)
(ああ、肩にもバッグかけてるよな? さっきいた奴っぽいな)
間違いない。ストーカー、少なくとも不審者だ。
こんな時間にこんな場所で、しかもあんな状態でカメラ手にしたいい歳の男がいる。これを
怪しいと言わずに何を、ってやつだな。
と、
(メールだ)
いいタイミングで、ニシノさんのケイタイが震えた。
(ヒロさんっすよ。犯人出たって教えましょう)
(……)
(? どうしたんすか)
メールの文面を見て、ニシノさんは固まってしまった。
ちょっと気になり、俺も横から覗いてみる。すると、そこに驚くようなことが書かれていた。
『公園に不審者が向かったよ。さっきのサラリーマン、小さいデジカメ持ってった』
(……はぁ〜〜〜!?)
(変態は1人じゃなかった、ってことか)
ちょっと、手に負えなくなってきたかもしれない。
しかし。それにしてもだ。
いい歳こいた男2人が、普通に女子中学生を欲望の対象にしている。アホか! どんだけ
年下趣味なんだよ! ロリコンじゃねーかオヤジ共!
思わず、そう心の中で叫んでしまった。
(どうします、コレ?)
(ヒロ達待つってもなぁ……あいつらじゃ頼りになんねーし)
2人には悪いが、俺も同感だな。
(ひとまず、もう1人が来るまで待ってるか。んで、現場押さえ次第捕まえると)
(いけますかね? 言っても奴ら、大人っすよ)
(大丈夫だって、1人はミクリヤがやるし、あとは俺らが複数でやっちまえばいいし)
? 1人はミクリヤ先輩が相手する?
ってどういうことなんだ? いくら先輩が気が強いからって、ケンカまでいけるとは……
そう聞き返そうと思ったが、状況が状況なのでやめることにした。
「……」
それから、10分弱分が経った。
リーマンが向かってるという知らせは受けたものの、それっぽい怪しい影は見られない。
向こうでは相変わらずショルダーバッグ男がもそもそしてるだけで、特に変化は無い。
もう帰ったのか? それともどこかに隠れているのか? やきもきさせられる。
(……)
ニシノさんもイライラした顔で、携帯をいじっている。
(ヒロとフルミ、とりあえずここ周辺見回って来るってよ)
(あー、じゃ途中で見失ったんだ)
(ん〜)
ぱたんと、携帯が閉じられた。
どうする? どうする? どうすりゃいい? 俺達2人とも、声にならない声で唸って
しまう。
(こうなりゃ、エサで釣るか)
(釣るっつっても、どうやって?)
(まあ、見てろよ)
何かを決意すると、ニシノさんはまた携帯を開いた。
親指が高速で動き、メッセージが書かれていく。……え〜、なになに?
「今近くにいるんすけど、犯人おびき出すからちょっと挑発的なことやって下さい」
ちょっ、挑発的!
不謹慎ながら、少し気分が高揚してしまう。俺が喜んでどうする……
(これを、あの女に送るんだよ)
そう言って、送信ボタンが押される。
再び沈黙が訪れ、暗闇におかしな着ボイスが響いた。
俺を踏み台にした!?
何で黒い三連星だよ!
「メールだ」
受け取ったのは……やっぱマヤさんだ!
彼女はそのまま文面に目を通すと、何も言わず辺りを見回し始めた。怪しまれるぞ?
そして、ゆっくり携帯をしまうと……
「……にやり」
怪しい、それでいて頼もしい笑みを浮かべた。
やっぱマヤさんはおいしいなぁw
ここはエロくてとてもイイスレですね
hosyuu
……ヤる気だ。何かを。
表情を自然に戻し、ゆっくり顔を上げる。そして舐めるような視線で後輩達を見回すと、
マヤさんは何か考え始めた。
俺は、木陰から覗きながら、ふと自然と期待感のようなものが湧き上がってくるのを感じていた。
それは自然な反応だと思った。この人って見た目だけなら普通のキレイ系女子高生なんだけど、
にじみ出るオッサンオーラというか、同じ匂いみたいなものを感じるからだ。
きっと、いい仕事をしてくれるだろう。
「ねーマコちん、こっち向いて」
「? あー、撮るんですか?」
「ヒマ潰し〜。ミクリヤ姐さんも一緒によろしく」
と、さっそくマヤさん事を起こしたようだ。
ごく自然な流れで、携帯のカメラを2人に向ける。マコさんはもちろんミクリヤ先輩も
いち女子中学生、ここらへんはノリがいい。素直に従った。
しかし。こんなただ近づいただけの構図など、彼女が許すはずもない。
「どうせ誰もいないんだからさ、もっとすごいの撮ろーよ。ちょと立って立って」
さっそく指示が飛ぶ。
「え、凄いのですか〜?」
「何かマヤさんが言うと怖いんですけど」
「とりあえずさー、近づいてみてくんない? 密着ってくらいに」
いやいや言ってるが、決して拒否の色はない。
2人はためらいつつ立ち上がると、なんのためらいもなく顔が付くくらいの距離まで近づいた。
女同士って、ここまで大胆になれるもんなのか? ひとつ勉強になった。
「うわ〜、これ絶対怪しい関係ですよ」
「ってかヤバよね。今のうちら」
「おぉ、いいね! じゃいくよ〜」
そして、マヤさんによるエロ撮影が始まった。
お互い腰に手を回して密着&見詰め合わせたり、ノーブラなのに前に屈ませ胸元全開に
させたり、その状態でほっぺたをくっつけたり……男ならもう悶絶もんだが当の2人は
あくまでふざけ半分らしく、表情には笑顔が見える。
(おぉっ!)
(すげぇ…)
それ以上驚くべきことは、前かがみになると後ろからスカートの中が見えてしまうことだ。
聞いていた通り下は体育着の短パンだったが、女子のはぴったり履くタイプなので一瞬「下着か!?」
なんて見間違うくらい、2人の腰からお尻、太ももにかけてのラインがそのまま浮き出ている。
細すぎず、ちょうどいいくらいの太さな太ももが健康的に色っぽい。
……にしてもこういう状況になってみて気付いたが、俺って意外と冷静だな。何か見た物を
的確に描写できてるし。
「ぃよし! お疲れ〜。後で2人に送るね」
「どんなの撮れました〜!? 見せて下さい」
「っていうか、絶対人に送らないで下さいよ」
そして、ようやく終わりの声がかかった。
さっそくミクリヤ先輩達は画像を見、キャーキャー騒ぎ始める。そりゃそうだ、それだけの
ものが撮れたからね。
「で次、マユズミ姉妹。立って〜」
とっ、今度はこっちか!?
突然の、というより案の定なご指名が飛び出した。それに対する答えは……
「嫌です」
「わかりました」
……?
思い切り言葉がかぶったっぽいけど……これは……
「じゃー片方OKが出たってことで、始めましょうか?」
「! ユイ…!?」
「"彼ら"が見てるから。我慢」
どうやら姉の方が断っていたようだが、強引にエロ撮影は行われるらしい。
ユイが妙なことを呟いたのはひとまず置いといて、今はただ見守ることにしよう。
79 :
通常の名無しさんの3倍:04/06/07 20:46 ID:N+EHuSzx
|\ ,. ‐''":::::::::::::;::::`'-、
|ヘ| /::::::::::::::;:/´ヾヘ;:::::::::ヽ
|ヘ| /::::::::::((,/ `、::r、:::゙,
| ̄| ,'::::::::::::i゙ \ / i::::i ア――――― ッ ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ !!!!!!
(∃⊂ヽ !::::::::::::| ● ● l::::| / 〉
─── └┘\ !::::::::::::! !:::!/\/
\/ \::::::::!"" ____ ""!::| \/
──── ヽ |::::::| l, / ノ::i /
`、 i:::::l、ヽ.,_ `''''" _,..イ:::::i /
───── ゙、 ヽ;i \ヽ,.l ̄_,l |:::/ /
゙、 ヽ`、 | / レ' /
────── ゙、 / `ヽ''" i. /
/ NURUPO |/
─────── / |
「だいじょぶだってー、特別に何かしなくてもいいからさ」
マヤさんが言うと、ユイがすぐに立った。続いてマユズミ先輩も観念したか、おずおずと
重い腰を上げる。
2人は指示されるままに近づき、そっと寄り添う形となった。
「そーそー、まず一枚ね」
そして、撮影は始まった。
どうやら今度は相手が慣れていないせいか、ずいぶんと慎重だ。マヤさんも余計なことは
言わず、一枚撮るにも時間をかけている。
(つまんねーな、もっと絡ませろよ)
刺激の少なさに、ニシノさんもご立腹だ。つか、聞こえますって。
でも確かに、さっきと比べたらちょっとなぁ?
(んっ?)
と、テンション下がって周りが見え始めたか、俺の視界にさっきはなかった大きなモノが
いるのに気付いた。
雑然とした小枝から、遠くに不自然な形の影が1つ垣間見える。公園を囲む低い茂みの上に
伸びた影は、明らかにこっちを向いている。あれって……
! 間違いねー! 例のリーマンだ!
(ニシノさん、ニシノさん)
(あ?)
(あれ……あそこ、外の……)
(……! 来たか)
さっそくニシノさんに報告すると、さっきまでエロ無し撮影にイラついていた顔が変わった。
(で、どうします)
(どうするって……えーと、捕まえ、る?)
(聞かれても困りますよ! 作戦としては怪しい奴を見つけたら、あとはみんなに連絡って流れ
ですけど)
(だよな。本当はすぐにでも女子連中にも教えてやる流れなんだけどさぁ)
だけど?
そこまで言って、ニシノさんは言葉を濁す。なんだ?
(ミクリヤとマコちゃんが知ったら、厄介なことになんだよな)
(? 何か、事情でも)
(まずマコちゃんはさっきみてーにブチギレるだろ? で、ミクリヤは)
と、そこまで言ってまた口ごもってしまった。
なんなんだろう? えらく表情が暗くなったけど。
(……たぶん、相手にかなり裏社会的な制裁加えると思う……)
う、裏社会? ってあんた、
(冗談言ってる場合じゃないっすよ、ニシノさん。カンベンして下さいよ)
(言ってねーよ! 実はアイツのオヤジ、マジでその道の人っぽいんだって)
ちょっと笑いながら反応してみたが、ニシノさんはあくまで真顔だ。
……マ、マジで? えっ、てことはヒロさん、こんなやばいとこの娘とデキてんのか?
しかもマユズミ先輩と掛け持ちまで!?
うわ〜〜〜〜、こんな状況でえらいこと聞いちまったよ!
(こうなったら、俺ら男チームで解決するしかねーな)
(結局教えないんすか? 女子には)
(いくら下着泥棒とストーカーだからって、奴らにも家族ってもんがあんだろ)
(まぁ、あると思いますけど…)
(さっきから無口になってんの、あれ、マジギレしてるミクリヤの特徴なんだよ。覚えとけ)
そこまで言って、ニシノさんは辺りの様子を伺い始めた。
俺は何か、汗じゃない冷たい何かが背中を伝うのを感じた。
hozen
エロE
83 :
通常の名無しさんの3倍:04/06/14 01:02 ID:iJikLQcz
84 :
通常の名無しさんの3倍:04/06/15 23:41 ID:Lhvvztvf
保全とか保守とか全部
>>1の自作自演だろ・・・
マジでキモイ・・・・
もうエロ撮影に浮かれている空気じゃない。さっそく作戦をニシノさんと話し、移動を開始した。
まず体勢を立て直すべく、公園からでることに。俺達がいたブランコの後ろの藪を抜け道路
出ると、そのまま忍び足で近くの角に入り、リーマン&ショルダー男の方へと向かった。
あとは途中でヒロさん達と合流し、奴らを後ろから抑えるという予定だ。
メールを打ちながら来たこともない住宅街の角を右往左往していくと、やがて前方に見覚えの
ある2人組が現れた。
「ニシノ先輩!」
「シュウジくんも」
「しーっ! しーっ!」
ヒロさん達だ。思ったより早く会えて驚いたか、2人は大きな声を上げてしまった。うかつな…
「あのさ、今メール見たばかりだけど」
「なら状況わかってるよな? あとは、俺らだけで解決しなきゃなんねーからさ」
「僕達だけでですか? え、何で」
「あとの話は行きながらするんで、とにかく奴らの近くまで、行きましょう」
女子に気付かれたら厄介なことになるということで、俺達4人はさっさと移動を開始した。
現在位置を確認しながら、ついでに作戦のことも説明しながら、公園の周囲を回り込む
ように行く。
間もなく、リーマンの右後方の辺りに出た。
「来ましたね……」
「うん」
奴の左前……公園内の木の影らへんにはショルダー男もいやがる。結構近い?
「あ〜、やっぱカメラ回してやがんな。ビデオか?」
リーマンとショルダー、どっちもカメラを手にしている。たぶんもう何枚か盗撮してる
だろうから、これで接触する理由がひとつできた。
あとはストーカー及び下着ドロ容疑なんだけどなぁ……
「グダグダしてもいられねーし、もう行くぞ! 俺とシュウであのデヴやるから、お前ら
リーマン頼む」
デヴ? あ、ショルダー男ね。
「やるって、ほ、本当に?」
「あくまで……平和的にな。女子に気付かれんなよ」
あくまで、平和的に。
そう、俺とニシノさんがとっさに考えた作戦は、奴らを静かにこの場から離すことだ。
実力行使じゃ騒ぎがデカイので、ひとまずそのへんの角に連れ込む。そして、静かに
罪を問い詰める、と。
中学生ってことでナメられる可能性もあるが、やるしかない。
「静かに走れよ? じゃ、せーのっ」
「!」
ニシノさんの無茶なリクエストを聞き流しつつ、俺達は駆け出していった。と言っても
ダッシュするわけではなく、そろそろと中腰で近づいて行くだけだが……
(……!? ……)
俺とニシノさんが藪を越え公園内に入る頃、ヒロさん達の話し声が聞こえた。
接触したらしい。俺達もすぐさま、ショルダーデヴ男の後ろまで近づいた。
「……うわっ…!? っぷ」
(しーっ、しーっ)
と、男が俺達に気付き、思わず声を上げそうになる。慌てて口を押さえた。気持ち悪ぃ…
(静かにしろよオッサン! 見つかるぞ!)
(とりあえずこっち来い、こっち)
「え、はあ……?」
俺はあっけに取られる男の腕を掴むと、そのまま強引に公園から連れ出した。 途中女子に
気付かれていないのを確認しながら、さっきの場所、いやもっと遠くへと向かう。
途中でヒロさん達とも合流し、適当な場所で2人を囲むようにして止まった。
「だからこんなとこ連れてきて、一体何なんだっつーんだよ? 中坊がよ」
「あっ、す、すいません」
と、さっそくリーマンがフルミさんに噛み付いた。中坊って何だこの野郎? カチンときたが、
まだここは我慢だ。
「何、何? 人こんな所連れて来て」
「別にオヤジ狩りじゃねーよ。……あんたら2人、さっき公園にいた女盗撮してたろ」
「……」
負けじと、ニシノさんも言い返す。
明らかにリーマンの、そしてショルダー男の表情が変わった。
こいつ、クロか!?
「ついでに、コンビニ行くまでも色々やってくれたよな」
「ふざけんなよ、何だと思ったら言いがかりかよ?」
「勘弁してくれよ。急いでるから… !」
俺はとっさに、立ち去ろうとするショルダー男の腕を掴んだ。
逃がすわけにはイカン。
「言いがかりなわけねーだろ。さっきだって、お前らがカメラで撮ってるの見てんだぞ」
「物陰に隠れてましたよね? 一眼レフのやつと、小さめのデジカメで…」
「そんなもん知るかよ! 餓鬼がイキがってんじゃねーよ!」
「うっ……で、でも」
リーマンが大声を出すが、ヒロさんも引いてはいない。……顔はビビってるが。
ここは俺も、何か言ってやるか。
「つか、マジで警察通報しますよ? あんたらの顔も覚えたし、何なら事件にしますけど」
「そんなのムリに決まってじゃん、僕もこの人何もしてないのに」
「こっちゃ目撃者がいんだよ。盗撮と、あと他にストーキングと下着ドロもしたよな」
ニシノさんがいいタイミングで、核心に迫ることを言った。
ほんの一瞬だが、また2人の表情がこわばる。ユイは正しかった!
「とりあえず荷物と、撮った画像見せて下さいよ。そうすりゃ無実も証明できるでしょ」
「ハァ? 誰がこんな状況で中坊の言うこと聞くんだよ? バカが」
「テメーがバカなんだろうがよ! 中坊だからってナメてんじゃねーぞ!」
「ま、まあまあニシノくん」
普段の女好きな顔とは違い、こんなキレてるニシノさんを見るのは初めてだ。思わず、ヒロ
さんがなだめる。
でもまいったな。話し合いじゃ荷物見せそうもねーし。
……こうなったら……
「ニシノさん、ごにょごにょ……」
「……ふむ。それしかねーな」
耳打ちしたってもうバレバレだと思うが、ここはひとつ強攻策に出ることにした。
オッサン2人が、警戒するような顔でこっちを睨んでいる。俺とニシノさんは、ゆっくりと
身構えた。
「何だよ、何いきなり黙って…」
「せーのっ!」
「!! おわっ!?」
そして合図と共に、俺はショルダー男、ニシノさんはリーマンの方に飛びかかった。そのまま
後ろに回ると、倒れながらも羽交い絞めの状態に。
臭いやら汗でしっとりしてるやらでかなりキツイが、我慢だ…!
「お前ら、今のうちバッグ開けちまえ!」
「あ、は、はい、わかりました!」
「おま……! 離せよ、おい!」
「早く! あんま持たないっすよ!」
必死にオッサンを押さえ込むが、さすが大人、力が違う。腕をぶんぶんと振られる度に、
離されそうになってしまう。
それでも、ヒロさん達は必死にバッグにすがり付いた。そして……
「ちっくしょ……離せ、離せって!」
「くっ! もうすこ……あっ!」
「!?」
ほぼ同時に2つバッグが開き、揉み合った拍子で中身が飛び出してしまった。
ふわりした、それでいて変にテンションが上がってしまうその物体。
「あ、あ〜〜〜!?」
紺、グレー、青、そしてシンプルな白と水色……
どっかで聞いたような色のブラとパンツが、星煌びやかな夜空に舞い踊った。
見てる香具師もいないのに、1人でネタ投下し続けるのは痛いよ。
自分以外のレスがほとんどついてないなんて、おかしいと思わないの?
自サイトあるなら、そっちでやった方がいいよ。
次はミクリヤちゃん大暴れの回か?w
ミテルヨー
なんか宗田理を思い出しました。
MSマダー?
一日一回確認シテルヨー
書き込まないのは荒れるの防止さ。
けど一部の時みたいに読者参加型みたいなのは見ていて楽しかった。
>>92 禿同ですな。
アガーイ登場時は盛り上がったよな・・・。
こいつらやっぱクロじゃねえか!
「こ、これ、もしかして……」
もしかしなくても、盗まれた下着ですよフルミさん!
「おい!」
「チッ…」
「わっ!」
! 逃げ出した!?
俺が一喝すると、2人は囲みを振りほどき、バッグを開けたまま走り出してしまった。
やべえ!
「待てコラァ!」
「えっ、あっ、ちょっと…!」
「すんません、後お願いします」
すぐさまニシノさんが追い、俺も後に続く。あとの処理はヒロさん達に任せることに
して、駆け出して行った。
意表を突かれた形にはなったが、相手の足はそんなに早くはなく、徐々に差は縮まっていった。
しかも奴ら十字路とかで2手に分かれるでもなく、一緒に逃亡しやがるし。
……しかし。
俺はふと、あるひとつの不安に気付いてしまった。
「あの、ちょっと!」
「あぁ? 何!?」
「このまま行くと、やばくないっすか」
「やばいって何…」
俺に言われ、ニシノさんの顔が引きつった。
撒かれちまう? いや違う。俺達が恐れるのは、もっと最悪の事態だ。
「おい! 止まれ! もう警察にチクったりしねーから、大人しく止まれって!」
「オッサンらのために言ってんだよ! 人生棒にふんな!」
自分でも何言ってんだかわからないが、とにかく、俺達は必死に呼びかけ始めた。だが相手の
反応は虚しく、むしろ足を速めたようにも見える。
やばい。
流れゆく風景が、段々と見覚えのあるものに変わっていく。不安が足音を立てて、確信に
変わっていった。
そして……
「おぃ、 !!」
「あっ!?」
「? あれ〜?」
開いた空間に出たと思うと、マヤさんの間の抜けた声が聞こえた。
ついに、さっきいた所……公園に戻って来ちまった。
「シュージとニシノ? 何をしてんの」
「何でもないっす〜!」
「……? …… ……!」
走りながら、問いかけにあからさまな嘘で答える。が、やはり無駄だったらしい。横目に
ユイが何かを言い、それを驚いた様子で聞く先輩達が見えてしまった。やっちまった……
そう呟いて、横道を少し行った時だった。
……タタタタタタ……
「ひっ!?」
ふと足音に気付き後ろを振り返った瞬間、何年かぶりにマジビビリ声を出してまった。
そこに、鬼が2人。
「……」
恐ろしい薄ら笑いを浮かべるマコさんと、もはや修羅と化したミクリヤ先輩だ。
もう何つーか、感情のレッドゾーンを軽くぶっちぎっている。言葉が通じるレベルは
とっくに過ぎたらしく、血管が浮き出てるのに表情はむしろ無に近い。
それが逆に、俺達を戦慄させた。
「二シノさん! どどどうします!?」
「どうもこうもねーだろ……後ろの2人に協力だ!」
まさに手の平を返したような返答に、俺は素直に同意した。
こうなったらもう、前だけを向いて行くしかない。つか退けねぇ。
なるべく後ろを見ない見ないようにして、俺とニシノさんは懸命に追い続けた。さすがに
疲れてきたけどそれは相手も同じ、ここでふんばらなきゃならない。でないと後が怖い。
が、ここに来て変態2人、余計なことに気付いてしまった。
「! あいつら!」
ちょっと一言二言話したと思うと、十字路で右と左に別れてしまった。突然のことに戸惑って
しまう。
「ニシノさん、どっち行きます!?」
「えっと、俺左行くからお前…」
ヒュンッ
……風?
違うな? 制服、ツインテール、めくれたミニスカにぴったりの短パン、ちょうどいい肉付きの
太ももがいい感じにってこれ、
「ミクリヤ先輩!? マコさんも! マジっすか!?」
「嘘だろ……!? さっきまで後ろ走ってたじゃねーかよ」
風だと思ったそれは、まごまごしてる俺達を抜き去り、疾風のように駆けて行ったミクリヤ
先輩達だった。
一瞬にして二手に別れ、あっという間に追いついていく。あまりの出来事にしばし呆然……
……そして。
えっ誰……あっ!? ちょ、ちょっと待… すいま、すいませ……あぁぁぁ……!!
静かな住宅街に、ロリコン2人の断末魔が響く。
「やっちまった……」
「これから大変っすね。色々と」
目の前の惨劇に目を背けながら、俺は厄介な後処理のことを思った。
ミクリヤパパにヌッ殺されませんよーに(-人-)
これさー、今までのやつも含めて上手くまとめてくれないかな。
本家に第1部のテキストとかを公開してるけど、もうネット上で読ませるには
ちょっとキツイくらい量がある。
正直あの長々としたテキストを読むのは気が引けるし・・・・
1つのファイルにまとめて、それ落せるようにしてくれ
98 :
通常の名無しさんの3倍:04/06/25 21:08 ID:XakJtPZq
自費出版しろ
星がよく見える、綺麗な夜空が広がっている。
「おーマジマジ。だから心配すんなってさー、親父にも言っといて」
「うん、ミクリヤさん家で送っていってくれるって。うん、マコも……ちゃんとお礼言うってば」
こうやって見上げていると、本当に吸い込まれそうになるから不思議だ。人間ってやつは
なんてチンケな存在なのかと、なんてしょーもない奴らなのかと……そんなことを考えてしまう。
「ええ、そう。ユイも一緒だから。それだけ」
「違う違う、7時から標準録…アニメでもいいだろ、ほっといてよ!」
「だから遅れるねー……うん、うんってちょっと待って。あのね、あたし女子高生なわけよ。
そんな娘に何で父親が『ふ〜ん』の一言で終わるわけ!?」
雲間が開いて、ぼんやりした月の光が差した。それが庭に刺さっている巨大なヒートホークを
照らし、なんともおかしな雰囲気を浮き立たせている。
パタ、パタン。
と、それぞれ家族への報告が終わったのか、携帯が閉まる音が続いた。俺はもうとっくに連絡
済みだ。多少過保護な母ちゃんがうるさかったが。
そして……
「そうそう、お父さんに会わせたいお客さんが2人、来てるから。一緒にいるツレの人も全員
連れてきて。じゃあ」
「……終わりました?」
「うん」
この2人も終わったらしい。ケイタイを閉じたミクリヤ先輩が、そのまま大きな和テーブルの上に
置いた。
その場に、嫌すぎる静けさが訪れる。
「さて」
やがて、彼女は視線を下ろしたままで言った。
瞬間、背筋に汗が伝う。冷や汗か、脂汗か……どっちにしろこれから始まることを考えると、
当事者でない俺まで緊張してしまう。
こんな空気、ミクリヤ先輩の前にいる2人はもう限界だろーなぁ。
「もうすぐウチのお父さん来ますから、ゆっくりしていって下さい」
「………」
顔は笑ってないのに、丁寧語。俺があいつらの立場ならもう泣いてる。
マコさんとミクリヤ先輩に捕まり、有無を言わさずボコにされ、カメラのフィルムとメモリー
没収された挙句にこんなすげー屋敷に連れて来られた、下着ドロ&その他余罪のオッサン2人。
聞いたら2人ともグルだったらしい。メモリースティックやフィルムにはさっき撮った写真を
含めた色々なものが写っており、今回が初めてってわけじゃなさそうだ。
ちなみに、盗った下着はちゃんとヒロさんがバッグに詰め持ってきた。写真類の方はちゃんと
処理しておくからと、マヤさんに預けられている。
「俺ら、どうなんの」
もうそろそろ耐え切れなくなったか、リーマンの方が口を開いた。
「さぁ」
「いや、さぁ…って」
「全部先輩のお父さんに任せますから。私はもう知らないです」
マコさんが、満面の笑みで答える。
おいおい、ミクリヤ先輩のオヤジさんに任せるんですか? 笑えないんですけどマコさん!
しかもさっき、ケイタイで「ツレの人も」とか言ってたし!
「マジで家なんかに連れてきてさ、親と合わせるつもりなの? そんなことしてどうすんだよ」
「オトシマエって言葉、知ってます?」
! !!
今、今なんと!?
「落とし前って、え、え?」
「おいおい、何で今そんな言葉出てく…」
ガラガラガラ…… おう入れ ウッス! 失礼します! ドカドカ……
と、玄関の戸が開く音と同時に、何人もの男の声と足音が響いた。
ミクリヤパパキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
101 :
通常の名無しさんの3倍:04/06/28 19:58 ID:BreNppAI
絵が欲しいな
誰か絵師がいたら挿絵書いてくれよ
前そういう話出たな 挿絵がどうとか・・・
誰か絵描いて、本家のメールで送れば採用されるかもしれんぞ
ちょっと見てみたい
これはまさか、じゃなくて間違いねえ! オヤジさんだ!
何ともいいタイミングで、ミクリヤ家のゴッドファーザーが帰ってきたようだ。どんな
人かは知らねーけど、いよいよ落とし前タイムが始まるのか……恐ろしい……
「お父さん帰ってきたみたいだから、みんなはもう送ってくね。お疲れ様」
「お、お疲れ様で〜す」
「ねー、もうみんな帰るから!」
ミクリヤ先輩が一声かけると、すぐ作業着姿の茶髪兄ちゃんがやってきた。
俺達はここで解散か。
「自分が送っていきますんで、皆さんどうぞ、車庫の方に」
いかつい見た目に似合わず丁寧な物腰で、彼はそのまま玄関に向かった。
(マヤさん、オッサンらこれからどうなるんすか?)
(そりゃもう、これから修羅場になるんじゃないの? ……本当の意味で)
……マジすか。
軽く顔が引きつるマヤさんの言葉を聞いて、俺は絶句した。このやりとりが聞こえていた
のか、ニコニコなマコさんやマユズミ姉妹を除き、みんな青ざめている。
とにかく荷物を持ち席を立つ。軽くミクリヤ先輩に挨拶して、大広間を出…
「お?」
「うわっ!!」
で、で、出た! ミクリヤパパ! 何だこの人!?
「おかえり」
「ずいぶん、客がいるじゃねぇか」
浅黒い肌、ドスのきいた声、住む世界の違いを感じさせるこの目! 怖すぎる……まんま
プロじゃねーかよ!
「……」
その場にへたり込みながら、俺はそこで凍り付いている2人組の哀れさを思った。
「みんなはもう帰るから、それよりこの2人について話があるんだけど」
「あぁ?」
「連れの人も、入ってもらって」
「? おい、お前らも入れや」
ミクリヤ先輩が言うと、オヤジさんを先頭に、どれも強面な面子の人達がぞろぞろと入って
きた。ミクリヤ親子が上座へ座り、両脇をその子分……じゃなくてお連れさんが固める。
親子の正面にはもちろん、下着泥棒と盗撮とストーカーをしてしまった哀れな男が2人。
はっきり言って、一刻も早くこの家から出たくなるような光景だ。
「いきなり知らない人がいて驚いたと思うけど、実はこの2人……」
! い、いきなりか!? やべえ!
「おっ、おっ、お邪魔しました! 失礼します〜!!」
そう言い残し、俺達はそこから先の会話が聞こえないよう、耳を塞いで玄関へとダッシュ
していった。そのまま火事場から逃れるように、待機していたミニバスへと乗り込む。
そして、早く出て下さい!と叫び、車が走り出した。
「ヒロさん、ホントにこれで良かったんですかね」
「う、うん……どう、なんだろう……」
「フルミさんはどう思います?」
「も、も、もう忘れた方がいいよ、今夜のことは……」
「……そうっすね」
事件が解決したにも関わらず、俺達は妙な罪悪感の中家路に着いた。
厄介な一件が片付いた安堵感はない。むしろ、今の方がよっぽど恐怖感みたいなものを感じる。
だがあの人も人の子だ、そんな思い切った行動はしないとは思うが……
「ねぇシュウジ君、そのうちさ、新聞の一面に載るかなぁ? 載るよね?」
……
どっちの記事でですか?
そう隣に座るマコさんにツッコむ気力は、もはや俺に残されてはいなかった。
この後の予定です
唸れMS!グッジョブだニシノ!
―――ザク研夏合宿乱れ咲き'04編
「この地下に……埋まっています」
―――真夏のコミック祭り編
俺達は今、歴史の証言者となった。のか?
―――未知との邂逅編
3つとも書く予定でしたが、スレではどれか1つだけに
しようと思います。
文化祭のコスプレ喫茶はー?
時期的にコミック祭りに一票
最後のは本当に最後にとっといてほしいと思う
109 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/02 12:42 ID:Lho80ouN
どっちだよ 決まんねーぞ
110 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/02 14:08 ID:gnpjURHA
意味わかんねぇ・・シャア板の必要あるのか?w
つーか、これ何?wザクとか必要あんの?w
>>110 完全に板違いだろ。ザクも他のMSも話に必要ない。
確かに意味がわからん。
い い 加 減 に し る
もう続き投下しなくていいからな
113 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/04 18:17 ID:pkLZwlQR
あ〜あ
終わっちゃった
「この地下に……埋まっています」
「本作れなきゃ、もうコレしかねーじゃねーか!」
「臭いから近寄らないでこっち見ないで視界に入らないで存在を感じさせないで」
「えーっとね、うん、大惨事」
「お前らよく聞け。……祭だ」
―――真夏のコミック祭り編
もう夏休みだ。
俺の中学生活のスタートとも言うべき1学期も、もうすぐ終わりを迎えようとしている。
長かった。
ついでに色々なこともあった。こうして振り返ってみると、思い出がそうま…じゃなくて
浮かんでは消えていくように巡る。
だが、その中で2つ。まだ思い出になっていないことがある。
1つは、ユイとの出会いだ。
小学校じゃ全く接点がなかったコイツが、いきなり、しかも強引に俺を科学部に入部させた。
その後度々超能力めいた面を覗かせたり、ガンダム知らねーのにMS出現に妙に理解を示したりと、
よくわからん行動が続いた。
そもそも俺とザクを放っておいちゃ危険だから自入ったってのが入部理由だったが、どう
考えても嘘だろ? 明らかにその場で取って付けたとしか思えない。別に好きってわけじゃない
だろうが、何か俺に対しての態度も怪しいし、これからも注目していくことになるだろう。
そして2つ目。それは、最近のちょっとした会話でも恐怖が蘇ったあの一夜のことである。
「最近さぁ、なんか夜のパトロール厳しくなってねぇ?」
「あ〜確かに、夜コンビニに行くのも大変だよね。すぐ先生が回ってくるし」
「さっ、最近はウチの学校も荒れ気味だし、この辺りで通り魔も出ましたし……今の趨勢かもです」
「通り魔なぁ? んなことやって捕まったらどうすんだって話っすよね?」
「まあ、その時は地獄見るだけだけどね♪」
「色んな意味でね」
「……」
あの変態2人の顛末は、ミクリヤ先輩とマコさん以外誰も聞いていない。新聞に載ってない
ってことは普通に解決されたんだと思うが、逆に表沙汰にならないようなことになった可能性
もある。あの状態で普通に警察に連れて行ったなんてどうしても……
いや。
もう思い出すのはよそう。あれだけ修羅に入った先輩2人が納得したくらいだから、俺みたいな
R指定にも達していない子供が知っても、良いことは無いに違いない。
ここはもう、未来のことを考えた方がいい。そう。楽しい夏休みのことを……
ぶ〜〜ん、ぶ〜〜ん、ぶ〜〜ん
ん? 何だ? せっかく人が眩しい未来を想像しようと思ったのに。
どうやら、買ってもらったばかりの携帯にメールが来たらしい。悪趣味なトマト色ボディが、
PSの上で小刻みに震えている。
え〜とマヤさんか? なになに……
『明日ユウゾウが面白い話持ってくるっていうから、みんなでシュウん家に集まるね。よろすく(’3’)』
…… この人は……
着信したのは、最後が不愉快な誤字&グーで殴りたくなるような顔文字で締められた、強引
極まりない迷惑メールだった。
とりあえずツッコミ所は多い。まずシュウん家に集まるからって一方的に宣言してる所から
アウトだし、何でよりによって俺の家なのだろうか。しかもユウゾウって人初対面……
やめよう。
「マヤさんは僕らと違う場所を歩いている」というヒロさんの言葉を思い出し、俺は今日2回目
の思考中止を決め込んだ。
どうせ言っても無駄だし、来るなっつってもみんな来るし。ここは大人しく部屋を掃除(ヤバイ
のを隠)して、さっさと寝てしまうに限る。
こうしてせっかくの土曜に予定を入れられてしまった俺は、しょうがなく部屋の掃除にかかるの
だった。
期待してます
夏合宿編は書かないの?? そっちの方が希望だったのに
この次に書いて欲しい
ん?コレが夏合宿編じゃないの?
で、翌日。
「シュウ〜ジ〜!」
階下から母ちゃんの声が響き、朝がやってきた。
ウチでは休日でも寝坊させてくれるようなことはないので、平日と同じように起こされ
てしまう。呼びかけ1回で起きなきゃ2回、それでも駄目なら3回目じゃなくて直接叩き
起こしにやってくる、という感じだ。
マジ、ウザいにも程がある。ほっとけよ。
そうブツブツ思いながらも、俺は何とかベッドから這いずり出た。今日はザク研のみんな
が集まるし、寝坊はできない。
そのまま意識がしっかりするのを待ってから、2階の部屋を出て階段を降り、居間に向かった。
「起きた?」
「あー……たまにはゆっくり寝かせてくれって……」
「それより、朝食」
「あ、うん」
……ん?
おかしいな、母ちゃんこんなに若い声だっけ? ほぼ閉じた状態の目をこすりこすり、
俺はゆっくり目を開いてみた。
と。
「おはよ」
「…… うゎっ!?」
お、お、お前!!
「姉ちゃん!」
「何」
「何じゃねーよ! 何でここにいんだよ!?」
そこにいたのは、制服姿の姉ちゃん(高1)だった。
ユイ並みの白い肌、ガンのたれ合いなら猛獣にも勝りそうな冷たい目、なんつーかお洒落な
芸大生がしてるようなよくわからん髪型……
「休みだから」
「そーじゃなくて、何でこんな時間に」
「気分」
だめだ。相変わらず会話が続かねえ。
姉ちゃんと言ってるが、彼女とは遠いイトコあたる。名前はセリザワタマキといって、
マヤさんと同じ岸理亜女子の生徒だ。
姉ちゃんは見た目通り、色んな意味で危ない性格をしている。ミクリヤ先輩をひとまわり
性質悪くした感じで、俺も昔からずいぶんと悩まされてきた。
「他にも客、来てるよ」
「は? 誰が…」
ガラッ
ぶっ!!
「うぃーーーーす」
「マヤさん!?」
「あの、ごめんね、上がっちゃって」
突然、信じられんことにいきなりザク研のみんなが入ってきた。
マヤさんを始め女子は全員揃い、男子はヒロさんとフルミさん、あと知らないオッサンがいる。
「マヤさんからメールで聞いたと思うけど、今日は話があって……」
「実はそこのタマキ姐さん、ミクリヤちゃんの知り合いらしいんだよね〜」
「これが初めましてか? 俺はタチバナ、ユウゾウって言ってくれていいからな」
…… え、え〜と……
何だか非常に混乱してきたので、とりあえず全員居間に移動させることにした。
新キャラ登場!!(・∀・)しかも女子!!(´Д`;)
みんなを部屋に詰め込むと、俺は速攻で顔洗って着替えて髪を整えた。その間に母ちゃん
がみんなに挨拶し、またなんだかんだあって……
みんなの待つ居間へ行き、空いていた上座に腰を下ろした。
「今日は、そこのユウゾウさんの話を聞くってことなんですけど」
座って早々、みんなに呼びかける。
「ん? 今日はシュウジが司会?」
「そーじゃなくて、本題の前に聞きたいことがあるんすよ」
小うるさいマヤさんを制しておいて、まずは疑問を全部ぶつけることにした。
姉ちゃんの紹介&ミクリヤ先輩との関係、ユウゾウさんのこと、そもそもなんでこんな時間に
みんな来たのか。
一通り聞き終え、ようやく気分が落ち着いてきた。
「姉ちゃんとミクリヤ先輩が知り合いだったなんて、全然知らなかったっすよ」
「友達の友達って感じで、買物とか行ったくらいだけど」
「それだけだっけ?」
「…!」
んん?
今、ミクリヤ先輩が姉ちゃんの一言にスゲー反応したように見えたが。
「色々教えたよね。女の…」
「あっ、はい、そうですよね。忘れてました」
今度はごまかした。
やはり、2人の間に何かあったっぽい。まあ姉ちゃんのキャラからして、どんなことが
あったのかはだいたい想像がつく。あの強いミクリヤ先輩も、1人の女の子だからな……
「さて、ここからはユウゾウ本人に説明してもらうんだけど」
とか思ってたら、マヤさんが本題を切り出した。
「あーその前に、姉ちゃんはちょっと外出といてくれよ。部活の話するから」
「ん」
話の前に、姉ちゃんには出てってもらうことにした。素直に返事をして、立ち上がる。
「また、ね」
「……」
そして気になる言い方のセリフを残すと、そのまま出て行った。
ミクリヤ先輩は微妙な表情……少し赤らんでるようにも見える。
「と、じゃーよろしく」
「おう」
ここでマヤさんに呼ばれ、ユウゾウさんが立ち上がった。
ヒロさんやニシノさんと違い、声も顔もずいぶんむさい人だ。こんな人もガンダムおたく
なんだよなぁ。
彼は咳払いをしてから、話し始めた。
「えー、今日は急に集まってもらって申し訳ない。デート行ってるニシノは腹立たしいがな」
マジで!? そりゃムカつくな……
「みんな久しぶりだし挨拶したいが、暑いし単刀直入に話そう」
……
ユウゾウさんはもったいぶるように沈黙を挟んでから、こう言った。
「実はな。ついに、ビグザムが発見されたらしい」
「……」
「えぇっ!?」
一瞬間が空いてから、みんなの声が響き渡る。
なんだそれ? そんな名前のMSなんてあったか?
「あのー、ビグザムってなんですか?」
「ビグ・ザムな。間に点イッコ入るぞ。簡単に言うと、ファーストに出てきた超巨大MAの
ことだ」
「へ〜」
「言ってみればサイコのような……って、さすがにZは見てないか」
モビルアーマーって確か、MSの巨大版みたいなもんだったっけ? 名前からして凄そう
だな。
「あああの、一体どこにそんなものが出現したんですか!? メディアは取り上げてない
ようですけど」
「そこだ。色々、事情がある」
いい質問だとばかりに、ユウゾウさんは語りだした。
124 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/12 19:16 ID:dMYwzlgQ
女の何を教えたんだよ
禿しくエロの予感
>>1よちゃんと女のなにをどう教えたのかかくんだよな?
夏休みに入って早々に、市の主催で「撫裸雲市納涼祭’2004」ってのが行われるんだ。
まあ普通の夏祭りなんだが、3日間開催のうち2日目に漫画とアニメの祭典みたいな
催しがあってな……
「この中のあるイベントが、今回の件の肝となる」
「ふーん……で、ビグザムはどこいったの?」
「まあまあ、慌てるなよ」
名前は忘れたが、会場は市内にある公園の野外ステージで、一日中何らかのイベントを
するっていう無茶苦茶なものだ。アニメ監督や声優、漫画家なんかも呼んだり別のスペースで
ヲタ御用達のフリマやったり、ライブやったり……
「そのうちの一つに、別場所でコスプレ仮装パレードなるものがあるらしい。これが問題だ」
「確かに、問題だねぇ」
「市もずいぶん……思い切りましたね」
「ていうか、2日目全部問題でしょ」
今聞いただけでも、正直国内屈指の規模じゃないかと思うのは俺だけじゃないはずだ。
場に、なんか微妙な空気が漂う。フルミさんだけ目が輝いているが。
「参加要項によれば、出場者は事前に、ある控え&更衣スペースに集められる。そこで
荷物を置き着替えを済ませてから、いざパレード出陣なんだが……」
「そのスペースで、ビグ・ザムが見つかったのですね」
「マユズミの言う通り。まだ推測の域を出ないがな。地下に埋まってるというが、確かめる
必要がある」
ほうほう、なるほどね。
で。
「そこって、どこなんすか?」
「よく聞いてくれ……そのスペースこそ例の爆弾騒ぎがあった、撫裸雲市文化会館だ」
「……!!」
声を上げない代わりに、今度はみんな表情で驚愕した。
その原因である、爆弾騒ぎという言葉。これは俺も覚えている最近の事件で、ちょうど
昼ごろ、なぜかこの会館だけに爆音と激しい揺れが起こり、建物が一部ぶっ壊れたという
ものだ。
これをマスコミなんかがテロだなんだと騒ぎ立て、ただの地震だという警察発表もむなしく
爆弾騒ぎということで世間には知れ渡っている。
と、いうことは……えーと……
「あれ、そのビグザムっていうロボットの仕業だったんですね〜」
「マ、マコはちょっと黙ってろよ」
「ゴホン! とにかくあそこは爆弾騒ぎのせいで、ほぼ一般の立ち入り禁止だったんだ。
だが今回の祭のおかげで、特別に仮装パレード参加者にのみ開放されることになった」
「あ、そ、それで、何か被害が出る前に、ビグ・ザムを何とかしようというんですね」
あ〜〜、そういうことか。
それがどういうモビルアーマー?かは知らねーけど、危険は危険だわな。確かに。
「まあな。しかもこれには障害があって……」
「? 何それ」
「あくまで、あくまでネットで得た情報なんだけどな。噂では、既にハロを所持している
人間が何人かいて……この2日目のイベントにも来るというんだ」
…… 嘘ぉーー!? えぇッ!? ほっ、ホントですか!? ふーん …やっぱり
本日3回目の驚きは、沈黙プラスそれぞれバラエティに富んだリアクションだった。
「いや、あくまで噂だぞ? 俺の友人のパソコンに詳しい奴が、結構信用のある情報だと
言っていただけで……ビグザムがあそこにあるっていうのも、そいつから聞いただけだし」
「だからって、僕達には無視はできない問題ですよ」
「そ、そーだよ、どっちにしろそれって見逃せないでしょ? こりゃ調べないとさぁ」
驚いた後、みんな一転して真剣な顔になった。
もしもそいつらの中に、ハロでビグザム?を動かそうとする大バカがいたら……2人の変態の
こともある、世の中何があるかわからねーからな。
「ひとまず、その友人って人に会えばいいんじゃないですか」
場を締めるように、さっきから飽き顔のミクリヤ先輩が言った。
「うむ、だが動く前に、今回のことを整理した方がいいだろう。ずいぶんややこしいからな」
そう言って、ユウゾウさんは用意してきたのか大学ノートとシャーペンを取り出す。その
ままスラスラと、何かを書き出した。
「……こんなもんか」
しばらく書いた後、みんなにノートの見開きが差し出された。
「撫裸雲市納涼祭’2004」におけるMA調査
目的……機体の調査、安全化、警護
・撫裸雲市文化会館に於いて、ビグ・ザムを確認との情報(未確認)。
・会館は爆弾騒ぎにより現在立ち入り禁止だが、夏の撫裸雲市納涼祭2日目、コスプレ仮装
パレードの参加者に対してのみ控えスペースとして開放
・問題点としてMS操縦能力を備えたハロ、それを所持する人間の存在と、彼らの祭りへの
参加。何らかの混乱の可能性あり
「なんだか、ややこしいことになったね」
「ええ。私達がするべきことも多い」
確かに、色々めんどくさそうだ。
ビグザム調べるだけじゃなくて、怪しい奴らにも注意しないとイカンとは。
「あれちょっと待って!? ってことは、うちらもコスプレしないといけないの!?」
「あー、そうですよ! じゃないと文化会館入れないし!」
「……!」
「ありゃりゃりゃりゃ」
ん? 何を今更?
この期に及んで、女子があれこれ騒ぎ始めた。反応こそまちまちだが、共通して嫌がってる
のは間違いないようだ。
ただ、
「何を着るの」
ユイはやる気っぽいけど。
「え待って、そんなのやらされるなら行きたくないんだけど」
「いや、これは場合によるよ。他を見回ったりするならやらなくてもいいと思うけど」
「でも他って、思いきりアキバ系イベントっすよね。そこに1日いれます?」
「……」
俺が言うと、女子はみんな黙ってしまった。
おそらく頭の中で、必死に考えているんだろう。コスプレで市内を練り歩くか、興味もない
イベントにずっと居させられるか……
「よし。こーしよ」
と、マヤさんが何かを思いついた。
「何か思いつきました?」
「くじ」
そ、そうきたか……まあ、オーソドックスだが公平な方法だ。話し合いじゃ解決しそうも
ないし、これしかないか。
「ん〜じゃあ、はい、私達もそれに従います」
「いや、だから私は調査自体行きたくないって…」
「さっそく始めましょう」
「……あんた達ねぇ」
ぶつぶつ言うミクリヤ先輩はほっといて、さっそくみんなでくじを作り始めた。
方法は簡単、ティッシュの空き箱を用意し、その中に「コスプレ」と「他」の2種類が
書かれた紙を人数分入れる。で、それを引いていくって感じだ。
やがて準備が整い、後はやるだけとなった。
ユウさんには一撃必殺のアノコスプレがあるから無問題!
「一人づつ引いてねー」
「……」
特に返事もなく、みんな黙ってくじを引き始めた。
人数はニシノさんを入れて9人。ユウゾウさんは他の人間と約束があるらしいので欠席だ。
1人、また1人と運命の箱に手を入れていく。会話はひとつも起こらない。
誰がコスプレ中学生デビューを果たすのか……? 最後にニシノさんの分を抜いて、いよいよ
結果発表になった。
「みんな取った? じゃー、せーので紙開いて見てね。せーの…」
「!」
少しの間の後、にわかにそれぞれのリアクションの声が上がった。
「自分の見た? とりあえず、テーブル境にしてちょっと班で分かれてみよ」
「は〜い」
大して様子が変わらないマヤさんに言われ、みんなぞろぞろと左右に分かれ始めた。やがて、
5人と4人の2班ができ上がった。
「で。結果が出たわけだけども」
「……」
「……これ、ヤラセじゃないの?」
苦虫を噛み潰したようなミクリヤ先輩のボヤキも、この結果を見る限りかなり同意できる。
マジ、マヤさん仕組んだんじゃねーのか? これ?
その他班 :マヤ ヒロ マコ ニシノ(欠席) フルミ
コスプレ班:マユズミ(姉) マユズミ(妹) ミクリヤ シュウジ
「綺麗どころが揃ったね〜」
「ユウさんも……結構ベストメンバーかもしれないですね」
なんと、コスプレ班は俺とミクリヤ先輩、マユズミ姉妹という見事なハーレム状態となった。
こりゃ喜んでいいんだか、悪いんだかよくわからない。
「ちっ、ちょっと待って下さいよ、俺らコスプレなんて何にもわかりませんよ!?」
「それなら心配するな、ちゃんと俺の友人がお前らをサポートしてくれるから」
「そんなのいらねーっつーの……はぁ」
「まぁまぁ、先輩頑張って下さいね〜」
やらなくていい人は気楽でいい。マコさんなんか顔がほころんでいる。
この年齢でこんなディープな世界に足を踏み入れることになろうとは、まさか俺が……心には、
マイナスの感情ばかりが浮かぶ。こりゃ家族には言えねー…
ガラッ
「!?」
と、その時戸が開いたかと思うと、いきなりタマキ姉ちゃんが現れた。
突然のことに、場が凍りついてしまう。
「な、なんだよ姉ちゃん、何しに入って来てんだよ!」
「……」
姉ちゃんは俺の呼びかけに答えず、無表情のままずんずんと入り込んできた。まるでTV中継に
素人が入り込んできたような、気まずい空気が流れる。
正面の上座まで来ると、短すぎるスカートを丁寧に抑え、座った。
「あ、あのおねーさん、何か?」
「ん? お願いがあって」
ちょっとビビリ気味なマヤさんが聞くと、姉ちゃんは妙なことを言った。まさか……
「コスプレ、あたしもやりたいんだけど」
「……はい?」
やっぱりな!
付き合いの長い俺には、何となく読めていた答えだ。この女が興味持ちそうなジャンルだよ。
「前から興味あって、今の話がちょうどいいと思ってさ」
「あの、別にタマキさんがやる必要は… うっ」
ツッコミを入れるミクリヤ先輩に対し、姉ちゃんは視線で黙らせる。そして、微かに笑ってこう言った。
「大丈夫。……逆に、色々教えてあげるから」
…………
この夏、俺達はもしかしたら色々なものを失ってしまうかもしれない。
ふと、そう思った。
思わぬ姉ちゃんの乱入があったが、これでとりあえず班分けができた。
イベントステージ&フリマの見回り組と、コスプレ仮装パレード潜入組の2つ。あとは適当に
準備して、当日を待つだけ……
「では、次に移ろう」
とは、いかない。
「ここまでで、みんな本件の事情と目的はわかってくれたと思う。班分けもしたし、後は具体的
に話を詰めていくだけだな」
「だねぇ」
「見回りの方は、事前に情報収集と当日ちゃんと気を配るのを注意すればいいだろう。後は、
ちょっとやることがあるが」
「ふむふむ」
マヤさんのどうでもいい感じの相槌が癪に障る……
とにかく今の説明を聞く限り、こっちの班の仕事は簡単そうだ。要するにただ怪しい奴に注意
すればいいだけで、準備も心構えもいらない。
それにひきかえ、俺らときたら……
「反対に、コスプレ班は大変だ。まずなりきる対象を決め、衣装を手に入れる。それからパフォー
マンスなんかを2、3個作り、カメラ小僧対策もやらなければならない」
コスプレだけでこの仕事量。まだメインの話は出てきてね〜ぞ〜。
「そして目的のビグ・ザム調査に関してだが、チャンスは3回ある。パレード出発前、昼休憩、
帰還後の控えスペース待機がそれだ。この間に、ハロと調査に当たって欲しい」
「なんか大変そうですねー? 休憩時間にやらなきゃいけないなんて」
「まあな。だが実際に動くのはハロだけだから、みんながやるのはそのカムフラージュになる。
それでも大変だがな」
計画を前もって考えてきたのか、ユウゾウさんはすらすらと説明を続ける。それにしても
他人事とは言え、ちゃんと考えてくれてるよな。
どっかのエロオヤジ女子高生とはえらい違いだ。
「はい」
「? 何だ、どうした」
と、ここでマユズミ先輩が口を開いた。
「その、仮装パレードというのは……私達の手に余ると思います」
「む?」
「基本的な知識がない上に衣装を買うお金もありませんし、年齢的な問題もあります。準備の
しようも無いのではないでしょうか」
さっそく出たのは、問題点の数々だった。
うーん……確かに、コスプレなんてただでさえコアなジャンルなのに、それをやる俺達はみんな
素人だ。何にもわからねえ。フルミさんが多少知ってそうだけど。
「そう言うと思ってたよ。安心しろ、ちゃんと助っ人を頼んである」
「! ほ、ホントですか?」
「ああ。ま、助っ人と言っても完全なオタクだがな。なるべく痛くない奴を選んできたぞ」
……なるべく?
ちょっとばかし余計な副詞が付いた気がするが……まあいいか、気のせいだな。
少年探偵団みたいなノリやね
イイヨイイヨー(・∀・)
久々のカテジナ登場か?
「コスプレ班は、その助っ人にサポートしてもらうことになる。衣装もどうやら用意できる
つてがあると聞いてるから、言葉に甘えよう。ちなみにちゃんと我々の正体は隠してあるからな」
「よかった、これでユウさん達、心置きなくできるね」
「……」
「? あのー……」
ヒロさんがマユズミ先輩に声をかける。が、シカトのように反応は無い。嫌われてんのか?
まあとにかく、これで今の時点での問題点はなくなった。結局姉ちゃんには俺らの正体がバレ
てしまったが、身内だし、それを知ってどうこうするような人間でもない。大丈夫だろ。
「それにしてもユウゾウさ、あんたも中々手回しがいいんじゃないの?」
「そうか?」
「そーですよ、私ちょっと感動しましたよー」
目をキラキラさせて言うマコさんに、ユウゾウさんはちょっと照れたような表情になった。
でもその通りだ。ザク研に似合わないくらいの準備の良さに、俺も驚いてる。
「ていうかここまでされて、もう逃げられるような状況じゃないんですけど」
「はは、ミクリヤも頑張れよ」
「……交換、条件」
「!」
ん?
今一瞬、ユウゾウさんがビクッとしたような?
「おい、ユイお前、今何か言った?」
「……」
「どっちだよ」
「と、とにかく、これからその助っ人と待ち合わせてあるから、みんなで挨拶に行くぞ」
俺の問いかけを遮るように言うと、彼は強引にその場を締めてしまった。
「コスプレ班は、その助っ人にサポートしてもらうことになる。衣装もどうやら用意できる
つてがあると聞いてるから、言葉に甘えよう。ちなみにちゃんと我々の正体は隠してあるからな」
「よかった、これでユウさん達、心置きなくできるね」
「……」
「? あのー……」
ヒロさんがマユズミ先輩に声をかける。が、シカトのように反応は無い。嫌われてんのか?
まあとにかく、これで今の時点での問題点はなくなった。結局姉ちゃんには俺らの正体がバレ
てしまったが、身内だし、それを知ってどうこうするような人間でもない。大丈夫だろ。
「それにしてもユウゾウさ、あんたも中々手回しがいいんじゃないの?」
「そうか?」
「そーですよ、私ちょっと感動しましたよー」
目をキラキラさせて言うマコさんに、ユウゾウさんはちょっと照れたような表情になった。
でもその通りだ。ザク研に似合わないくらいの準備の良さに、俺も驚いてる。
「ていうかここまでされて、もう逃げられるような状況じゃないんですけど」
「はは、ミクリヤも頑張れよ」
「……交換、条件」
「!」
ん?
今一瞬、ユウゾウさんがビクッとしたような?
「おい、ユイお前、今何か言った?」
「……」
「どっちだよ」
「と、とにかく、これからその助っ人と待ち合わせてあるから、みんなで挨拶に行くぞ」
俺の問いかけを遮るように言うと、強引にその場を締めてしまった。
その後出されたお茶を飲み干した俺達は、母ちゃんに挨拶して家を出た。
行き先はもちろん助っ人の所だ。その人はもう商店街にある喫茶店で待っているらしい
ので、気持ち早歩きで向かう。
どんな奴なんだ? オタクだろ? ユウゾウさんと同じ男子校の同級生らしいんだが、あんま
いいイメージはない。
しばらくして、アーケードに入ってすぐの所にある喫茶「ギロチン」に辿り着いた。
「いらっしゃいませ〜」
ベル付きドアを開くと、デミグラスソースの香りとウエイトレスの声が飛び込んできた。
中は見た感じ洋食屋っぽい。全体が黒いアンティーク家具で統一してある、よくある内装だ。
ただ、カウンターの店主と思われる紫ヘアーのオバハンが雰囲気を壊してるが……
「あそこだ、あそこ」
ユウゾウさんが待ち合わせの相手を見つけたらしい。軽く手を上げながら、奥へと向う。
「悪い、遅れちまった」
「あぁ大丈夫、平気平気」
(へぇー…)
窓際の席で待っていたのは、俺の予想とかけ離れた青年だった。
学校紹介のパンフに出てきそうな爽やかルックスに、青で統一されたカジュアルファッション。
従来のオタクとは別世界の住人としか思えない、男子校にあるまじき清潔感に溢れている。
「紹介すると、コイツが助っ人のカナイだ」
「あ、どうも初めまして。カナイといいます」
「初めまして〜」
中学生相手でも丁寧な挨拶。態度も普通だ。
どう見ても、この人がオタクだなんて思えないんだけど。
「とりあえず、ここにはその他班5人が座ってくれ」
「? 全員じゃないのー?」
「どう見ても座れないだろ。それに、そっちの席にもう1人の助っ人が来てる」
「え、どこすか」
俺が聞くと、ユウゾウさんはあごで反対側の方を指した。
そこには、カナイさんとはまさに正反対な人が1人、腕組みをしてこちらを見ている。
「あれ…!」
「……!」
「去年世話になったから、2、3年は覚えてるよな。カテジナさんだ」
嫌なテカリを見せる長髪とアキバ系Tシャツ、ぴったりジーンズ。痩せた体型がいくぶん
キモ…もとい妙な雰囲気を和らげちゃいるが、典型的なオタクなことには変わらない。
しかも……心なしか笑ってるような?
「コスプレはあの人が面倒みてくれるから、ミクリヤ達は向こうに行ってくれ」
「はぁ」
何故か驚いてるヒロさんとマユズミ先輩が気になりながら、俺達コスプレ班は彼の元へと
向かった。
「あっ初めまして〜。カテジナって呼んで下さい。まあどうぞ」
「は、はい」
近くまで来ると、ルックスに合わない明るい口調で話しかけてきた。カテジナって何だよ。
正直戸惑いを隠せないまま、彼に言われるまま俺達は席に着いた。
「え〜〜と、今日はみんなのコスのお手伝いをするということで、説明も含めて色々決めちゃ
おうと思います」
「……」
「向こうの彼と、そこにいるララァさんとは去年会ったよね? とにかく、ちゃんと責任持って
やるので頑張りましょう」
ララァ? そんな名前の奴なんていないぞ?
色々会話の中によくわからん単語が出てくるが、話しぶりからして中身は普通そうだ。
とりあえず、痛い奴じゃなくて良かった。
「まずコス、コスプレをする上でのポイントというか、押さえておくべきことを教えとくね」
見た目に合わない人当たりの良さを発揮しつつ、カテジナ?さんは説明を始めた。
まず大事なのは、なりきりたいキャラになりきるということ。嫌々だったり、照れたり、
全然興味もないのにとりあえずっていうのはしちゃいけないことだからね。次に
マナーを守る。これは大事だな。場所と時間と状況をわきまえて、迷惑をかけないよう
楽しむと。あと、本番じゃカメラ小僧がたくさん出ると思うから……
「へぇ〜〜〜」
色々聞いているうちに、なんだかため息が出てしまった。
ひとくちにコスプレって言っても、ずいぶん決まりごととかあるんだな。カメラ小僧が
出るとか言ってるし、まんまレースクイーン業界だろ。
ふと横目でみると、俺以外の女子も話に聞き入っているのが見える。
「それで具体的な話に入りたいんだけど、みんな、何か好きなキャラとかいる?」
「え、キャラって、漫画とかアニメのですか?」
「うん。もちろんゲームでもいいよ」
ミクリヤ先輩の問いかけに、彼は当然といった表情で答える。
う〜ん……確かに漫画とかみんな読むだろうが、登場人物になりたいとか思うだろうか?
「特に、いないみたいだね」
「やっぱ思いつかないっすよ。さすがに初めてだし、恥ずかしいってのもあるし」
「そっか〜。じゃあ、みんなにできそうな奴を幾つか紹介してあげるよ」
と、カテジナさんはあらかじめ準備してきたのか、幾つか書類の入った透明なクリアファイル
を取り出した。
中には雑誌や漫画、イラストの切り抜きなどがたくさん入っている。彼はそれらを、テーブルの
上に広げた。
「これなんだけど」
「……」
……これかよ……
正直、前に散らばるイラストの中に俺が知ってるようなのはほとんど見当たらない。こういう
公共の場で見るのが恥ずかしいような、いかにもってやつがほとんだ。
予想通りミクリヤ先輩が固まっている。他は……意外と冷静?
「好きなのを選んでって言っても難しいから、君ら女の子4人と男の子1人、この編成にあった
のをちょっと挙げてみるよ」
「あ、もう、任せますから」
「えーと…」
軽く独り言を言いながら、彼は目の前の束を漁り始める。
「こんな感じかな?」
そしてピックアップし終わると、数枚のイラストや切抜きが差し出され、また説明が始まった。
長々と話されたが、要約するとこういうことだ。
1枚目:某2大有名格ゲーのキャラ紹介のコピー。格ゲー自体は盛りの過ぎたジャンルだが、
コスはだまだ人気あり。衣装の入手も簡単か? 年齢でキャラが限られるのが難。
2枚目:こちらも美麗グラフィックがウリの、某武器格闘ゲーキャラ。まるでコスプレネタに
なるためにデザインされたような服が素晴らしく、レイヤー人気大。上記と同じ欠点あり。
3枚目:色んな意味で王道を行く、某週刊少年漫画雑誌の作品別オススメキャラ切り抜き。
制服、ユニフォームとやりやすいものが多い上に、近頃では女性にも人気の作品も多い。
4枚目:OVA化もされた某PC専用メイド学園恋愛ミステリー妹探偵バトル(中略)。業界内からは
「節操がなさすぎる」と非難轟々、各ゲーム誌のレビューにおいても軒並み最低点という
メーカーや製作者への配慮も糞もない評価を得た、歴史的電波ソフト。キャラ数豊富。
あれこれわけのわからん単語が出てきたが、4枚目はヤバイということだけはわかる。
とにかく、この中から選ばないと駄目らしい。
>喫茶「ギロチン」
マテ
下がりすぎ
139 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/28 20:03 ID:YL3od7Jh
?
このSS、個人サイトに行ったんじゃなかったっけ?
140 :
通常の名無しさんの3倍:04/07/28 20:49 ID:BcOzJHeD
でも要望があって、またスレで連載が始まった、と。
そろそろエロ描写がくるころか!
「今出たのが、俺らに合ってるってことですか?」
「うん。まあ編成っていうより、やりやすさで選んでみたけど」
どこがだよ。
「個人的に推したいのは、やっぱコレだね。ゲーム自体は糞だけど……」
「それナシで」
カテジナさんの指が4枚目に伸びた瞬間、ミクリヤさんから却下が出た。いかにもなアニメ絵に
拒否反応を起こしたんだろう、顔が完全に引いている。
「あの、もっと俺らがやっても無難に終わりそうなのないっすかね?」
「無難に? 無難かぁ……」
ちょっと注文をつけたら、彼は考え出してしまった。そんなにムリなリクエストか?
腕組みして悩むカテジナさんに、俺は祈るような視線を送る。ミクリヤ先輩やマユズミ先輩も
不安そうだ。あとの2人はもう知らね。
と、
「……これは反則だけど……しょうがないか」
「!?」
もったいつけたことを言いながら、彼は足元のバッグから一枚の雑誌を取り出した。パッと見、
ちょっと古めのアニメ雑誌のようだけど?
「まず、ララァさん用ね」
そして慣れた手でページをめくっていった先に、あるアニメの特集が目に入った。
今や"社会現象"魅力を探る
「これ、前に凄く話題になったやつなんだけど……このキャラ見てよ」
「! あれっ!?」
思わず、変な声を出してしまった。
「あぁ、これ学祭の時の」
「これって、マユズミ先輩そっくりじゃないすか!」
独特の雰囲気、顔、髪型……登場人物紹介の欄にあるレイ・なんとかというキャラが、ヤバイ程
先輩に激似だ。アニメ絵が実写の人間に似てるなんて普通ありえないが、これは間違いなく似ている。
「次は君ら2人。これね」
「?」
さらに彼は、ミクリヤ先輩と姉ちゃんに向かい、厚めの少女マンガ雑誌を取り出した。
「あ」
「うわっ」
そして、その表紙を見た瞬間また声が上がった。
表紙でポーズを決める、制服の女の子2人組。これがまたしても、ミクリヤ先輩&姉ちゃんに
似てしまっている。
マユズミ先輩程じゃないにしろ、髪型以外がそっくりだ。マジかよ。
「凄いでしょ? これがまた濃い作品でねー」
「……濃いって?」
気になるフレーズに、いち早くミクリヤ先輩が反応する。
「あるお嬢様学校を舞台にした話なんだけど、そこに通う女の子同士の深い絆というか、
厚い友情というか……」
「女同士の恋話ってことでしょ」
ぶっ!!
直球な姉ちゃんの言葉に、口に含んでた水を噴出しそうになる。そんなもん連載してんのか!?
見た目普通のマンガ雑誌なのに!
「ちょっと、ちょっと待って! え、これそんな話なの!?」
「うん。もう、お姉さま〜みたいな? アハハ」
「アハハじゃねーでしょうが」
こりゃまた、とんだ事実が判明しちまったようだ。
まずいぞ。特にミクリヤ先輩!
「で、でもさ、これ別に私がやらなくてもいいんでしょ? 先輩だって」
「平気。実際経験あるし、任せて」
そうなんだよ。
高校での姉ちゃんの武勇伝は、本人の口から俺の耳にも入ってきている。誰かに告られただの
軽く修羅場っただの……お前が通ってんのは女子高ちゃうんかと。
ふと見れば、ミクリヤ先輩の顔から血の気が引いてるよ。可哀想に……
さらに、今度は俺とユイに向かってカテジナさんが言った。
「ちなみに、君達2人もあるよ。……ガンダム作品でね」
ほほう。姉ちゃんは祥子さまですか・・・
「却下」
と、俺がリアクションするよりも早くユイが言った。なんで上から目線だよ。
「ガンダム作品だから、君達もやる気が出ると思ったんだけど」
「だから駄目です」
ちょっと意外な反応だ。こいつも1人のガンダムファンとして、色々と思う所が
あるんだろうか。
「そっかー、それが駄目となると困ったなぁ」
「他に何かないですかね?」
「じゃぁ……やっぱりさっきの……」
と言って、彼はさっきの3枚目の、有名週刊少年漫画の切り抜きを差し出した。
そして幾つか束ねられている中から、俺も知ってるある作品のものを取り出す。
「どう?」
「これ、俺も知ってますよ。テニスのやつですよね?」
「そうそう、服装もジャージだし。やりやすいよー」
女の読者に大人気、某テニス漫画のキャラだ。
歳的にも中学のテニス部が舞台になっているだけに、ぴったり合っている。多少
顔が美形な感じだけど、そこはまあ、我慢できる範囲だな。
結局、俺はこの漫画の中から適当に選ぶことにした。
「で、次は君だけど」
「……」
最後に、ユイが残った。
「……個人的に、その、やって欲しいのがあるんだけど」
「?」
個人的に?
ここにきて、カテジナさんは初めてそんなことを言った。
「これ、なんだけどさ」
ちょっともじもじしながら出したのは、さっきみたいな古いアニメ雑誌だ。時期といい、
この展開といい、どうもマユズミ先輩と同じようなニオイがする。
やがて、彼は開いて数ページの、あるカラー特集を差し出した。
「真ん中のさ、銀髪の……髪を2つに……」
「? あ、このユリって奴ですか」
そこで紹介されていたのは、何年か前にTV放送もされたある宇宙戦艦アニメだった。
見開きの中心あたりにキャラクター達が集まっており、そこに確かに彼が言うようなキャラが
いる。
「もし、もし良かったらだよ? これをちょっと付けてもらえると……」
さらにカテジナさんは、バッグから何か……
ってえぇっ!?
「こっ、づっ、ヅラじゃないっすか!? ちょっと!」
それはまさに、ユリというキャラの髪型をしたヅラだった。
今ではウィッグだっけ? そんな呼び方もあるけど、これはどう見てもヅラだろう。
「ごめん! ホントこんな所で失礼なんだけど、ちょっとでいいから、ね!?」
「あっ、あのね、いくらなんでも時間と場所を……」
「はい」
お、オーケーすんのか?
店の空気も読まないいきなりの提案を、ユイは簡単に受け入れてしまった。
「じゃ、じゃあこのキャップを付けてもらって……君ちょっと手伝って」
「お、俺が?」
色々俺に指示しながら、さっそくカテジナさんはヅラを付ける作業に入った。
意外に手際良く作業をこなし、いよいよユイ、もといユリのコスプレが完了した。
「それでは、顔を上げてー」
わざわざうつむかせておいたユイに、カテジナさんから声がかかる。
そして、ゆっくりと顔を上げた瞬間……
「…… あっ!!」
「へぇ〜」
マユズミ先輩と同じ、奇跡が起きた。
あげてみよう
146 :
通常の名無しさんの3倍:04/08/07 21:58 ID:LXO5nt2R
147 :
通常の名無しさんの3倍:04/08/08 00:43 ID:TvmZxGpR
「すっ、すご……!」
似てる。
銀色の髪という、普通はありえないヅラにも関わらずこの違和感のなさ。姉に負けず劣らず
そっくりで、コイツがモデルなんじゃないかと思うくらいだ。
カテジナさんからすれば相当激似のようで、凄い表情で驚いている。
「コレ……見た目どころか性格、雰囲気、何もかも合ってる」
「いや、性格ってそれは」
「あ、あのさ、ちょっと『馬鹿みたい』って言ってくれない!?」
「嫌です」
聞いてねえし。しかも断られてるし。
加えて、ここで我慢できずミクリヤ先輩が口を開いた。
「ていうか、いい加減空気読んだ方がいいですよ。かなり痛いんですけど」
「い、痛…?」
「要するに、キモイってこと」
本人を目の前にして、この発言。
姉ちゃんにまでハッキリ言われると、彼は思わず黙ってしまった。
「? 何か?」
「いや、もう姉ちゃんはいいから……」
結局、この後衣装の話だけしてコスプレ班の話し合いは終了した。
ひとまず用が済んだ俺達は、マヤさん達見回り班の席に戻ってきた。
「マヤさん、こちらは終わりました」
「あー、おつかれー」
「?」
マユズミ先輩が声をかけるが、マヤさんのテンションは低い。
それだけじゃない、なぜか他のみんなも浮かない表情で、悩んでいる様子だ。
「マコ、どうしたのコレ」
「ん〜、何と言うか……私達も色々仕事ができちゃったみたいな、感じです」
「はぁ?」
「ま、まあ、俺から説明するとだな」
隅っこで小さくなっていたユウゾウさんが、簡単に経緯を教えてくれた。
・爽やか青年カナイさんのグループで、フリマに出店するらしい
・コスプレを助ける代わりに、ザク研で一日お手伝いをすることに
・商品は同人誌、個人の私物(フィギュア、ポスター、タペストリー、ゲームソフトなど)
あくまで予定
・同人誌の制作状況によっては随時アシスタント参加
・プラス、場合によっては知り合いのサークルもお手伝い
「本当、助かりますよ」
「助かるって、え、先輩達ただの見回りじゃなかったんですか?」
「ん〜ん、どーやら最初からこういう交換条件だったみたいでねぇ」
「うっ…」
交換条件?
ウチでユイが口走ってたのは、このことだったのか……どうも上手い話だと思ったら。
「こういうことなら、最初から言って欲しかったです」
「私も。ちょっとがっかりですよ」
「べ、別に僕は嫌じゃないですけど……でも……うーん」
「ニシノが何て言うかな? ねぇユウゾウっち♪」
「うぅ……」
明らかにポイントガタ落ちのユウゾウさんは、みんなから顔を背けるようにうつむいて
しまった。
こっちの班も中々大変のようで……果たして、ビグザムまで手が回るのだろうか?
イメージが絞れてきたマユズミ姉妹とミクリヤさんあたり
描いてくれる人いないかな…
150 :
通常の名無しさんの3倍:04/08/13 21:13 ID:9CAcJM9z
絵は見てみたいな
誰がうpしてくれ
実際に、絵師がいるかわからないけど
絵板でも設置してみる?
sageじゃないだろ
期待age
2班それぞれ話し合いが終わった所で、今度はカナイさんグループの他のメンバーに
顔合わせしに行くことになった。
待ち合わせ場所は駅を挟んだ反対側、改札を出てすぐの所にある小さなスペースだ。
ここは屋根付きの四角形のベンチに小さな噴水、周りをカラフルなレンガ道で囲まれた
小さな公園のような所で、割と人通りが多い場所といえる。
「メンバーはあと2人いるんですけど、それぞれコスプレとフリマの方についてもらい
ますんで」
ふと、目的地に向かう途中でカナイさんが言った。
「えー、どんな人なんすか?」
「えっと、女の子2人ですよ」
何ですと?
女の子か……いいんだが、趣味が趣味だけに微妙なところだな。
「今年の夏も、色々ありそうだね」
「……」
(なんか、ヒロまたシカトされてますよ)
(何、マコなんか知らないの?)
(え〜いや、わかんないです)
耳を澄ませば、俺の横で変わらずヒロさんがマユズミ先輩にシカトをくらっている。それを
後ろでニシノさん、ミクリヤ先輩にマコさんが噂しているようだ。
ホント、この2人どうしたんだろな? あとで聞いてみるか?
なんてことをやっていたら、やがて目的地が見えてきた。
「あ、来ましたね!」
「もう遅いんですけどーって、あれ?」
近くまで来ると、ベンチから女の子2人が出迎えに来た。
俺とそう歳は変わらなそうだが、1人、変なリアクションをしている。
「さっそく紹介すると、ツジさんにタエさんです」
「どうも! タエですよろしくお願いします!」
「あーどもどもツジですー……ていうか、お久しぶり」
久しぶり?
そう言った彼女に、ウチの先輩達もそれぞれ軽く会釈する。知り合いか?
「あれ? ヤヨイ達、科学部の人達と知り合いだったの?」
「ま、色々ありまして。ね」
「はい! 色々ワケありなんです」
わ、ワケありなの?
タエって人の天然発言に密かにツッコミながら、俺達はベンチの方へと向かった。
そして四角形の長椅子にそれぞれ腰を下ろすと、まるで会議のような形になった。
「えーと、皆さんどうやら知り合いのようなんで、紹介は省かせてもらいます」
みんなが座り終え、真っ先にカナイさんが仕切り始める。
「ウチは、メンバーが全員で5人になります。本来ならみんなフリマの方をやってもらう
んですけど、科学部の皆さんのコスプレを手伝う都合で2人、そっちを手伝ってもらおうかと」
「1人は僕です〜」
彼が言うよりも早く、無駄に明るいカテジナさんが手を上げる。
……ウチの女子の視線が、痛い。
「で、もう1人なんだけど。女の子にやってもらった方がいいですよね」
女の子? ああ、コスプレ班は俺以外女だからな。衣装とか着るのに、あのオタ…カテジナさん
が手伝うわけにはいかないだろ。
となると、ツジって人かタエさんか……
「タエちゃん、お願いできるかな」
「あっ、ハイ! いいですよ! 頑張りましょう!」
「!?」
と、タエさんが指名された瞬間、ツジさんの表情に驚きの色が浮かんだ。
明らかに「マジで?」といった、ちょっと嫌がるような表情。どういうことだ?
(ヒロさん、今あの人の顔見ました? すげーびっくりしてましたよ)
(……!)
(ヒロさん?)
(……え? あ、ごめん聞いてなかった)
さらに、ウチのヒロさんも同じような反応だ。一体何なんだ?
なんだか今回、どうもヒロさんの周辺の様子がおかしいように思える。マユズミ先輩の
冷たい態度に、今のツジさんと同じような反応。一緒になるとまずいことでもあるのだろうか?
いずれにしろ、祭本番では何かが起こるだろう。そんな気がした。
今度はカテジナさんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
保全sage
158 :
152:04/08/21 14:29 ID:???
>>1です。
絵板が設置されたようで、正直感動です。
勝手に本家からリンク張らせてもらいました・・・
せっかくですからどんどん描いてもらいたいと思います。
>>152さん、皆さんよろしくお願いします。
160 :
152:04/08/22 12:25 ID:???
こちらでレスをいただけるとは…
>勝手に本家からリンク張らせてもらいました
本家にリンクまで張ってもらえるとは、恐縮です。
>>1さんあっての絵板の存在なのでリンクでも何でもしちゃって下さい!
本家にリンクしてもらってるのに非公式も何か変なので後で修正させて
もらいます。
>152さん、皆さんよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
後は、スレ住人の底力を信じるのみ…
初代レス番一桁のころからの住人です。
お二人とも頑張ってください。期待してますw
作者新宿に来てたのか
話してみたかったなあ
それから軽く打ち合わせをして、解散となった。
携帯で時間を見ると、もう昼だ。ということで、このまま昼飯を食いに
行くことになったんだが……
(マユっちどうしたのかな? これちょっと気になるよねぇ)
(夏合宿ん時テニスやった、ツジだったっけ? あの子確かヒロとアヤしい
関係だったんだよな)
(ていうか、タエ……なんでこんなこと手伝ってんの?)
話題は祭よりも、ヒロさんとマユズミ先輩のことに集中している。
この2人は何があったのか? さらにツジさんとヒロさんの、ただごとでない
あのリアクション。
みんな気になっているようで、さっきからずっとヒソヒソ話をしている。
しばらく歩き、また商店街に戻ってきた時だった。
「さてと、みんなどこに食べ行こーか?」
「座備家行こうぜ、座備家。牛丼をガッツリさ」
「ガトーレーゼがいいですよ! あそこ今パフェ安くなってるし!」
少しアーケードに入った所で、ニシノさんとマコさんから2つ意見が出た。他の
みんなも2人と同じく、男は牛丼の座備屋、女子はカフェ・ガトーレーゼと意見が
別れている。
特に女子の意思は硬い。パフェがそんなに喰いたいか。
「それなら2手に分かれようよ。後でまた合流するってことでさ」
結局、ヒロさんの一言で男女別々で行くことになった。
【 男:座備屋 】
「らっしゃいませ〜!」
うぉ!? っと、デカイ声だな。押しボタン式の自動ドアが開き、中にいた
店員が一斉に俺達を迎える。
安くて上手い牛丼ぶり、座備家にやってきた。
「会社の状況が状況だけに、必死だよな」
毒づくニシノさんに適当に相槌を打って、俺達は奥のカウンター席へと向かった。まあ、
今はメインの牛どんぶりがないからな……名門もキツイとこだろう。店員の顔にも表れてるし。
なんて勝手に経営状況を心配しつつ、一列に席を陣取った。
「えっと、とりあえず牛丼ぶりの……ってそういやなかったんだっけか」
「そ、そうですよ。豚に変わってます」
さっき会社の状況がどうとか言ってたでしょうが?
「じゃしょうがねーな、出銀定食1つ」
「僕も同じの下さい」
「俺も」
ニシノさんに続き、みんなもさっと注文を済ませる。
やっぱ男が来る所だわ、ここって。店の雰囲気を見てそう思った。
「これで、男同士の話ができるな」
と、ひと段落した所でニシノさんが意味深なことを言った。
男同士? 真昼間から下ですか?
「何だニシノ、変なこと言うなよ」
「違いますよ、ヒロのことですって。ちょい聞かなきゃならねーことがあって」
ヒロさんのことということは、さっきの?
「ツジって子との関係……話してみ?」
やっぱりな!
これは俺も気になってた所だ。ぜひ白状、もとい話してもらいたいぞ。
「関係も何も、合宿で話しただけだよ」
「嘘つけよテメー、あの時点でちょっとおかしかったじゃねーかよ」
「それは……」
! ギクッとした顔! ヒロさんあんた、
「……やっちまったんですか」
「なっ、何を!? シュウジくん変なこと言わないでよ」
「だってあの子、明らかにキョドってましたよ? もしかして強引に」
「! ヒロお前、何てことを……!」
「まっ、待って待って、わかった、ちゃんと話すよ」
慌てた様子で水を飲み干し、ヒロさんは夏の日の出来事を語りだした。
あれ?ニシノはデートでこの日欠席してるんじゃ…
……「本当に何でも言うこと聞くんだよね」「ここって民家のすぐ裏だし、あんまり
人はいないと言っても道路が近くにあるし」「何より僕ら中学生だからなぁ」
「今からする事は一生残る思い出になるかもしれない。色んな意味で」……
……。
ヒロさん。あんたって人は……
「そういう人だとは思ってなかったです」
「お前は、俺達の何歩先を行ってるんだよ」
「女たらしにも程が…」
「ニシノくんには言われたくない」
「俺だけツッコむなよ!」
要するに、家にあるザクを見せる代わりにいかにもX…もといR指定的な要求をするような
素振りをして、その場をごまかしたってことか。
「だって、デートを途中で放り投げて来る人に言われたくないよ」
「俺じゃねえよ! 向こうが急に親が呼んでるとか言うから、そんでしょうがねーから
お前らと合流して…」
「冗談はさておき話を総合すると、向こうが勝手に勘違いしてるということだな」
「まあ、そうですね」
完全にニシノさんを無視して、ヒロさんはしみじみとため息をついた。でもまあ、俺も
ビグザムのことより女の話題を聞こうとするニシノさんもどうかと思うけど。
だが、ヒロさん本当に……
「手、出してないんすか?」
「何もしてないよ! またそのうち話をしようってことで、そのまま帰ったんだから」
またそのうち? そのうちってあんた、
「それって、まだ終わってないですよね。話が」
「え?」
「そ、そうですよ、たぶんあのツジさん、その話の続きをされるって思ってますよ〜」
なるほど。だからヒロさんと一緒にフリマの手伝いになった時、あんな反応したんだな。
それにしても、一年も前のことをよくもまぁ……
「じゃあこの際、何かやっちまったらどうですかね?」
「あっ、あのねシュウジくん!」
「マユズミも心配してるしさー、早く何とかした方がいいって」
「何とかって言われても……そもそもユウさん自体何だかおかしいし……」
「お待たせしました〜!」
と、悩むヒロさんとはまるで対照的な明るさで、注文したメニューが来た。
167 :
152:04/08/28 03:07 ID:???
【 女:ガトーレーゼ 】
「いらっしゃいませこんにちは〜」
中にいた店員さんが口々に、カンペキな営業口調で私達を出迎える。
子供うるさい。店員が誰も案内に来ないのにちょいイラッ。混んでるじゃん……
自分で勧めた店に心で文句を吐きつつ、私は壁にもたれた。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
「6人前で」
「それでは、こちらへどうぞ」
間もなくレジで精算を済ませたウェイトレスが来て、セリザワさんが微妙に間違って
いる人数報告。そのまますぐに、奥の席へと誘導された。
「それでは、ご注文がお決まりになりましたらお呼び…」
「フルーツパフェ2つにマロン1つ、デラーズフロート2つにこの『アトミック
スペシャル』っていうやつ1つよろしくー。あ、あとポテト盛り合わせね」
「か、かしこまりました」
即答でマヤさんが注文すると、ウェイトレスは去っていった。
ふぅ、とばかりのみんな、そして私。
暑い昼下がりのザク研女子inカフェ・ガトーレーゼ、パフェ目当てに乗り込んでみた。
「さてマユっち。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
あと、彼女の話を聞くためにね。
「何ですか」
「あれよあれ。ヒロのこと」
「お兄ちゃん避けてるみたいですけど、何かあったんですか」
私がずばり聞くと、彼女はこっちに向けた視線を逸らした。ちょっとカワイイ。
「別に」
「てかさ、うちらもあんたがおかしいのわかってるし、女だけなんだから話して
みなって」
「そーだよー、ザク研みんな仲良くしなきゃでしょ? ん?」
さらに追求されるものの、マユズミ先輩は黙ったままだ。
気になるよ。いい加減、話さないといけない空気になっているのをわかって欲しい。
「……その……この間、銭湯に行った時」
と、ようやく言いにくそうな様子で彼女は話し出した。恥かしいのかな? 少し
うつむいてる。
「それで……」
「うん、うん」
それで? そこまで言いかけて、彼女は一番いい所で押し黙ってしまった。
賑わう店の端っこの空間、同い年くらいの女の子達の喧騒溢れる店内で、ここだけ
静けさが訪れる。
全員の視線が1つに注がれる中、やがてその口が…
「盗まれた自分の下着を彼に扱われたと思うと……恥かしくて……」
「……タマキ姐さんが答えてどうすんの」
開かれなかった。
代わりに答えたのは、妙な演技力を見せるセリザワさんだ。
「でもヒロから聞いたけど、何、下着ドロに遭ったらしいね」
「た、タマキさんはちょっと黙っててもらえ…」
「どうせこんなとこでしょ。…違う?」
まるで迫るように、セリザワさんが言った。
すると、
「……」
「……マジなの?」
思わず確認するミクリヤ先輩に、マユズミ先輩は、真っ赤になってうなづいた。
萌え展開ですか?
170 :
通常の名無しさんの3倍:04/08/30 19:38 ID:rovCCKig
つかさ、あーゆーお絵かき掲示板じゃなくて
うpろだに絵をうpするって形の方がいいと思うが。
あれだとただの落書きしか集まらない気がする。
つか152は絵を書けと
171 :
152:04/08/31 00:39 ID:???
>>170 絵板に関するご意見ありがとうございます。
絵板はこのスレ用の絵板があれば気軽に絵を描いてもらえるかも?と思い設置しました。
個人的には落書きもOKだと思っています。
うpろだに変えることもできますが、これについてはもう少し皆さんの意見を聞かせて下さい。
自分も絵自体は練習中の身ですが、描き込もうとは思っています。
>>170もよかったら何か描いてくれませんか?
保守
あちゃちゃちゃちゃ〜〜
「そういえば、お兄ちゃんが散らばった下着拾い集めたんですよねぇ? 確か」
「そーだよ、みんなでセクハラだ〜なんて言ったじゃん」
私もしばらくお兄ちゃんいじめてたっけ……
でも、だからといってそれが無視をする理由にはならない。ていうか意味ないし。別に悪い
ことしてないんだから。
照れ隠しに無視なんて、この人らしいと言えばらしいけれど。
「で、あんたはどうしたいの?」
ミクリヤ先輩が、私も思っていたことを聞いた。
「元に、戻りたいとは思うけれど」
「ふぅん」
「簡単じゃない? マユっちが普通に接すればさ、ヒロも機嫌直ったかな〜くらいにしか
思わないでしょ」
「姉さん次第ね」
そうだよね、お兄ちゃんは下着集めたのが原因だなんて気付いてないわけだし、あまり
気にする必要はないと思う。
私も、そんなことを彼女に言ってみるんだけど……
「うん……」
まだモジモジ、いまいち吹っ切れないみたい。
と、
「お待たせしました〜」
そんな所に、注文したメニューが来た。
「おぉ〜、おいしそーだねぇ」
「1コ、凄いのあるんですけど」
大き目のトレイに、色鮮やかなパフェ達が連なっている。
生クリームにチョコチップ、フルーツフレークまんまるアイスがいやって程に刺激的だ。甘い
もの好きな私にとっては、まさに小さな桃源郷……
「フルーツパフェのお客様……はい、マロンの…デラーズフロートは……こちらに。ポテトは…」
それぞれ、注文していたものを受けとっていく。
最後にタマキさんがアトミックスペシャルを取って、愛想の良すぎるウェイトレスさんは去って
いった。
「んじゃパフェも来たし、気分を変えて食べよーか」
「そうですね」
何はともあれ、これが楽しみで来たんだからね。
さっそく、デラーズフロートのてっぺんに乗っているアイスを一口。んまい……
「みんなのどれも美味しそうだけど、タマキ姐さんの、それ……」
みんな食事モードに入った所で、ふとマヤさんが驚いた顔で呟いた。
「山、ですよね」
「た、食べれるの? タマキさん」
視線が集まる先には、巨大なアトミックスペシャルがそびえている。
山に例えられるパフェって……でも当のタマキさんは、至って涼しい表情だ。
「全然問題ないけど、何か?」
「いや、そ、それならいいんだけど」
「あたし、人間の3大欲求にはかなり正直な女だから」
「……」
リアクションに困る言葉に固まりながら、カフェ・ガトーレーゼでのひとときは過ぎていった。
【本編】
座備家を出た俺達は、女子との合流場所であるマユズミ書店へと向かった。ここは、
名前の通りマユズミ先輩の家がやっている店だ。俺も何度か来たことがある。
しばらくガンダムAを立ち読みしていると、女子がやってきた。
「ごめんね〜、つい長話しちゃって」
「大丈夫ですよ、僕らも来たばかりですから」
「ああ。ヒロの青春の悩みを聞いてたらつい……」
「! ユウゾウさん」
ユウゾウさんが、ついうっかり口を滑らせそうになる。
でも「青春」なんて……表現が古いっすよ。
「なんだ、あたし達と似たようなもんだね」
「一緒?」
「あっ、こっ、この後どうする!? みんな用事とか」
「?」
一瞬、他の女子の視線が光り、マヤさんが「やっちまった」的な表情になる。男に言えない
ような下ネタでも話したのか?
とにかく、この後はみんな予定があるということで解散となった。
明日はコスプレ班の衣装合わせだ。もう、逃げられねえ……
コスプレ……
正式にはコスチュームプレイという。元々は宮廷の貴族達が役者を真似た衣装をまとい、
マナーを忘れ、無礼講で騒ぐ慣習を指す言葉であったと言われている。
現代では警官や看護婦などの職業制服、アニメや漫画等のキャラクターの衣装などを着、
それに成りきって楽しむひとつの趣味となった。ビジネスの面でもいわゆる水商売、有料
撮影会やアイドルの誕生と、時代によってその多様な展開を見せている。
今まで成人以上の年齢層が嗜むものという認識があったが、現在では低年齢化が進み、
10代の少年少女などが楽しむ例も確認されている。ある種の変身願望、日常からの脱出という
面では、大人も子供も同じということであろうか……
パサッ。
「これが……コスプレだ」
「……」
ホチキスで束ねられた数枚の紙が、作業机の上に放り出された。
薄暗い空間、パイプ椅子、無造作に散らばる工具の数々、奥の部屋からAMラジオの
音、すすけたホワイトボード……
そして、俺達コスプレ班の前には何かの制服を着た、仁王立ちのカテジナさんとタエさんが
2人。
「あのー」
「はい、シュウジ君」
「色々聞きたいことがあるんですけど、まず、2人のその格好……」
「見てわからないかい?」
俺の質問に、彼は得意そうに答える。
「我がジオン軍の制服だよ。そして、僕は今回の作戦における指揮官であるわけだ。そうだな、
タエ君」
「はい! たぶん!」
「……」
……これは、2人してボケてるのか?
まるで予想しなかった答えに、思わずあぜんとしてしまう。
「要するに、これからコスプレに挑む君達に合わせ我々もやってみたと、こういうわけだ」
「そうですね!」
「…… あともう1つ。ここ、どこなんすか?」
「ウチの車庫だよ。人目につく所で衣装合わせはできないからね」
そう言って、彼は不適で嫌味な笑みを浮かべた。
自分ちだったのかよ……ていうか、場所の説明くらいしろと。
ユウゾウさんの紹介で、カナイさんらのグループと顔合わせしたその翌日。俺達コスプレ
担当班は、色々手伝ってくれるというカテジナさん家の車庫にいた。
これから前の2人の手助けによって、人生初のコスプレに挑むことになる。心なしか、
みんなの顔も沈みがちだ。(姉ちゃん以外)
「前置きはこのくらいして、さっそく僕が用意した衣装を着てもらおう。サイズ調整は後で
するから、心置きなく試着するように」
「……」
と、カテジナさんが何故か上からの目線で言い放った。
いよいよか!
「それでは女子の皆さん、こちらへどうぞ〜」
「あぁ、はい……行ってくる」
「みんな、頑張って下さいよ」
何かを決意したような、吹っ切れた顔。あきらめの表情とも取れるが、そんな様子で女子が
タエさんの後についていく。
「じゃーカテさん、行ってきます!」
「ああ。頼んだぞ」
だからあんたは何者だよ! ジオンの将校気取りか?
そう心でツッコんでいると、バタンと奥のドアが閉まり、俺とカテジナさん2人きりになって
しまった。
「さて、我々も取り掛かろうか」
来た。
初めて注射を受ける時のような、ヒリつくような緊張感が体を包む。どんなの着るんだよ!?
「君が着るのは、これだ」
言いながら、彼は足元の買物袋から何かを取り出した。
クリーニング屋のようなビニールに包まれた服……! こ、これは?
「……運動着?」
「ああ。通称赤学ジャージ、キャラ名入りだ」
赤学……っていや、例のテニス漫画の主人公がいる所だな。
全体が青っぽい色で統一された、大した特徴もないジャージの上下。背中の部分に何か名前が
書いてある他は、特にこれといった飾りもない。他の何枚かもほぼ同じだ。
漫画で目にしてはいたものの、実際こんなに地味だったのかよ……
「いくつかあるが、自由に選んでいいよ」
自由に選ぶほどの選択肢はないと思ったが、適当に選ぶことに。とりあえず目に付いた一着を
取って、彼に差し出した。
「ほう、これを選んだか……なるほど。後で各キャラの解説をするから、今は着てみてくれ」
「あ、はい」
さっきまでの緊張感はどこ行った?
新しい体育着を試着するような気安さで、俺の人生初のコスプレが始まったのだった。
175以降のスレ主のカキコが佐藤大輔っぽいんだが・・・・・・・
スレ主もしかしてRSBCや征途読んでる?
それとも俺の勘違いなだけかな?
「外からは見えないから、ここでいいよ」
こう言われて少しためらわれたが、確かに完全な密室だ。
いそいそと着替えを始める。
(……)
袖に腕を通しながら、しみじみ思った。
……こんなもん、なのかな?
全く、何も思う所がない。嬉しくもなけりゃ悲しくもなく、まさに体育着に着替えるが
如き自然さだ。
ある意味、それだけ自分に合ってるってことか? 違うよな。
「おっ? さすがリア厨は違うな」
着替えを終えた俺を、カテジナさんが妙な専門用語で褒めた。何故かムカつくぞ?
彼はそのまま、手元の鏡を俺に向けた。
「どう? 自分で見て」
「えー、と」
そこには、至ってありふれた中学生の姿が映っていた。
テニスラケットをかついだ、ジャージの中学生が1人。どこの部活帰りなんだと。
「ぼちぼちっすね」
こうとしか言えない。
あっけなくコスプレが完了したところで、やることがなくなった俺達は女子の着替え待ち
に入った。あのドアの向こうからは何も聞こえないが、たぶんキャーキャー言いながら
着替えてんだろう。
ミクリヤ先輩とか、意外と好きになってそうだよな……マユズミ先輩も。
しかし、それにしてもだ。
「女子には、どんなの用意したんすか?」
「フッ……1人につきキャラ2、3人分の衣装を用意させてもらったよ。似合ってなかったら
問題だから」
って用意し過ぎだろ!
「ま、今は楽しみに待って……」
ガチャッ! どうもです!
「うぉぉっ!?」
と、いきなり奥のドアが開いたかと思うと、タエさんがひょこっと首を出した。
取っ手のあたりから真横に、あの満面の笑顔が伸びている。ホラー映画に出てきそうな
画だ……
「ただ今戻りましたよ!」
「ご苦労さん! さっそく、コスプレファッションショーといくか」
? ファッションショー? 今日は衣装合わせだけじゃなかったっけか?
そう疑問に思う暇もなく、タエさんが元気な声で言った。
「はい! それでは最初に、この人の登場です!」
179 :
152:04/09/12 13:33:20 ID:???
! タエさんが引っ込んだ。誰が最初に……
ちょっ、何勝手なこと言ってんの!? どうでもいいから早くして さぁミクリヤさん
頑張って下さいよ! あの、この格好で1人づつは 次は姉さんね
……もめてる。
「あのー、カテジナさん」
「何も言うな。全て、ついさっきタエ君にこの企画の提案をした僕の責任だ」
「……」
……ん?
ふとツッコむこともアホらしく思ってたら、ドア向こうの言い合いに何かガタガタという
音が混じった。ついにケンカか?
と、
「じゃ、頑張って下さい!」
「あっ!?」
バンッ!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
急に勢いよくドアが開いたかと思うと、まるでいいとこの女子高生のようなミクリヤ先輩と、
同じような格好をした姉ちゃんが飛び出してきた。
場に、何ともいえない空気が流れる。制服という比較的地味な格好だが、やはりそこは
コスプレだ。現実感ゼロなデザインが浮いている。
いやしかし、それにしてもだ。
「先輩、か、かわいいっすね」
「! カンベンしてよ、マジ恥ずかしいんだから……!」
いつものツインテールよりフワッとしていて目がパッチリ、リボンまで付いている。
この照れた表情と言い、モロ可愛い系だ。
「何か、設定があたしの子猫ちゃん的存在らしいから。こういうことするんだって」
「! タマキさん!?」
おぉっ!?
いきなり真っ赤になっているミクリヤ先輩を、姉ちゃんが後ろから抱き寄せた。こっ、
これはいい…じゃなくて!
「んふ」
「あのっ、ちょっ」
「まっ、待て待て待て!」
さらに妖しく先輩の髪を撫で始めた所で、俺は慌てて引き離した。
この女の辞書に、冗談という言葉が載っている可能性は限りなくゼロに近い。油断も
スキもあったこっちゃないのだ。
「だっ、誰がそんなサービスしろっつったよ!」
「こういう設定なんでしょ」
「設定でも今やる必要はないの! カテジナさんも何か…」
「……イイ」
……ダメだこりゃ。
口半開き状態の彼を尻目に、俺は深々とため息をついた。
「もっとちゃんとしましょうよ! カテジナさん、2人はどうなんすか」
「あっ、あぁ、中々にいいんじゃないか? ただ」
ただ? キャラクターに似ててOKじゃなかったっけ?
彼を正気に戻し2人の評価を聞いてみると、意外な反応が返ってきた。
「こうしてみると、ミクリヤ君が思ったよりキャラと合ってない」
「昨日はそっくりだって喜んでたじゃないですか」
「うむ、しかしやはり内面から出るものというか、彼女の勝気な感じは違うと見えるな」
そう言われれば、確かにそんな気もしないでもない。確かにかわいいが、先輩にああいう
格好は似合わないかも?
「どうでもいいけど、これちょっと変えて欲しいんだけど」
本人も気に入らないようだ。
「じゃあ、別キャラの奴を着てもらおうか? タエくーん」
「はいー! こちらへ!」
「ま、また!?」
それならとカテジナさんが、タエさんに指示を出す。すぐ元気な声が返り、彼女は強引に
ミクリヤ先輩を引っ張っていった。
後に残され、待つこと4、5分。「君のお姉さんはピッタリだからOK」という思っても
みなかった評価を聞いていると…
「できましたよ! それではどうぞ!」
「!」
あの声が聞こえ、再びドアが開いた。
今度のミクリヤ先輩は……
「ど、どうなの? これ」
「……いつもの、先輩っすね」
「最近某少年誌で人気の、学園マンガのキャラだ。ハーフという設定だが結構似てるし、何より
お嬢様で勝気っていう点でピッタリと言える」
何というか、普段の先輩とほとんど変わっていない。髪型と制服が少し違う以外、まるで普段の
姿だ。
結局ミクリヤ先輩と姉ちゃんはこれでいくことになり、次はいよいよマユズミ姉妹の出番と
なった。
「それではお2人、入ってきてくださ〜い」
「!」
タエさんがこなれた様子で、中の2人を呼び込んだ。
今度はみんな椅子を一列に並べ、まさにいつでも来いといった体勢だ。カテジナさんの眼も
鋭く光り、1人キモイくらいにドアの方を凝視している。
「……こないですねぇ??」
「照れてんじゃない? あんなカッコさせられてんだもん」
「あっ、あんなって何だ!? 君達とほぼ同じじゃないか」
ほぼ同じってことは、今度も制服系なのかな? ただユイの方がイマイチ予想がつかないが……
ヅラかぶらされてる可能性もあるし。
ここは急かしても仕方ないってことで、気長に待つことに。
すると、
「では、入ります」
「! よっ、よろしくっ!」
しばらくして、心の準備ができたらしくユイの声が聞こえた。
それに対し、カテジナさんが完全に裏返った声で答える。テンパってるのがミエミエだぞ?
すると……
ガチャッ
「!! !!?」
「・・・・・」
「へぇ〜〜」
ようやく登場した2人を、それぞれバラエティに飛んだリアクションで迎える。
俺はというと、完全に驚いてしまった。
なんだこの違和感のなさは!? 衣装自体は学校と何かの制服でそれほどじゃあないが、
注目すべきはマユズミ先輩の頭に付いているモノだ。
「ゆ、ユイはともかく、先輩にも付けさせたんですか?」
「か、神はいた……これでメガネさえ付けたら……」
「フツーにキモイとか言おうと思ったけど、何か、自然なんだけど」
青っぽい色の、間違いなくパーティーグッズにしか使えそうにない短めのヅラ。にも関わら
ず、マユズミ先輩は妹ばりに違和感なくそれが似合ってしまっている。
もう、キャラに似てるかどうかはこの際どうでもいい。とにかく、こんな色のヅラを自然に
付けこなせることがカテジナさん以外の俺達を驚かせた。
「コホン! え、え〜と衣装を着け終わった所で、次にそれぞれのキャラの解説をしていこうと
思うが……まずミクリヤ君達」
コスプレ班5人の変身が終わったところで、次にカテジナさんによる講義?が始まった。
「コスに興味ないなら、せめてそれなりのクオリティでするのが礼儀」という、よくわからん
信条に基づいたものらしい。
ホワイトボードと彼を前に、俺達はまた一列に並んでいる。薄暗い車のガレージでコスプレ
男女6人、オタク調の男の話を聞く姿は傍からどんな風に見えるだろうか。
「君らは、ほぼそのままでいい。ただお姉さんは気品と優雅さと、ミクリヤ君は言葉遣いに
気を付け雰囲気を崩さないことに努めてくれ。当然原作コミックはチェックするように」
「……はぁ」
「で。次に君達姉妹の方だ……」
手に持った指示棒を静かに置き、彼はマユズミ姉妹の方へと向き直った。
あれだけ歓喜していたさっきとは違い、少し問題ありげな表情をしている。
「君達もまぁ、そのままでいいと思う。感情を表に出さないということさえ守ったら、十分だ。
だが」
「だが?」
「ふと、ある問題に気付いてしまったようだ」
問題だと?
衣装のサイズも合ってるし、それぞれ似合ってるようだし、何がダメなんだ?
「もし、この神コスプレで街を練り歩いたりしたら……君達、もうカタギではいられんぞ」
「かっ、カタギ?」
「考えてもみろ! 僕のようなキモヲタが、この街に何人いると思ってる? 夏祭1日を全て
それ系のイベントにつぎ込めるような所だぞ? 追っかけが生まれ、取材が殺到し、業界でも名が
知れてストーカーが付いても不思議じゃない!」
「……そこまで言わなくても……」
舞台のセリフのようにまくしたてるカテジナさんに、俺は思わず呟いてしまった。
マジで、キモイんだか痛いんだが現実が見えているんだか、掴み様のねー人だ。
「あえて言おう。今の日本に、現実と2次元を同居させている人間は少なくないと!」
「お〜〜! パチパチパチ」
「いやタエさん、おーじゃなくて」
うっかり俺も感嘆しそうになったが、これはどうなんだろう?
こないだストーカー&下着ドロの被害に遭っているだけに、いかんせん否定できないのも
事実なんだよな。
「えーじゃ何、この2人がオタクのアイドルになるってこと?」
「そういうことになる。基本的にレイヤー撮影は本人の許可がなければ出来ないが、場が場だ。
自治体がそこまで気が回るとは思えない」
「……」
「改めて聞く。君達、それでもコスプレに挑む気はあるか?」
ユイは、じっと黙ったままどこか空中を見つめている。マユズミ先輩も不安そうに、ボードの
下あたりに視線を落としたままだ。
そんなに、オタクデビューが嫌……
「それしかないんでしょう? 目的と、その先にあるもののためには」
「おい、ユイ……?」
「私も同意見です。もう、後ろへは退けないと思うから」
「……わかった。それなら僕は、全力で君達をサポートしよう」
2人は静かに、何かを決意した眼で言った。
マユズミ先輩も、どこか吹っ切れた顔をしている。ま、よくわかんねーけどよかった
よかったってとこか?
「じゃあこれで4人準備ができたってことで、最後に俺の方をちょっと…」
「あ、君は適当にやっていいよ。漫画読んでるでしょ? それなりに頑張って」
「……」
こうして、カテジナ家でのコスプレ班衣装合わせは終わったのだった。
ほしゅ
185 :
通常の名無しさんの3倍:04/09/17 22:28:56 ID:gCQVeCag
保守
ここらでカテジナとΖDXで再戦キボン。
まだユウさんがアガーイ使うのか気になる。
カテジナvsカテジナさんってのもアリだなぁ
やるべきことが終わった俺達は、今日は道草もせず家に直行……
「やほ」
「お〜、待ったかい?」
してなかった。
カテジナさん達2人に、何故かマユズミ姉妹も一緒に商店街のゲーセンまで遊びに来ていた。
あらかじめ約束をしていたらしく、ツジさんが入り口で声をかけてきた。
ヒロさんの話じゃ、確かこの人もカテジナって言うらしい。ややこしいな……
「ユウお久。ユイたんも」
「何か、用なの」
「用も何も、久しぶりに遊ぼーと思ったですよ」
マユズミ先輩にも話がいってたのか? 一言二言話した後、俺達はそのままゲーセンへと
入っていった。
「あ、内装変わってるなぁ」
自動ドアが開き、ゲーム特有の電子音の波がわっと流れ出す。音ゲー、格ゲー、レースゲー、
最近リニューアルした店内には、最新の機種がズラリ揃っている。
あれこれ周りに気を取られながら、俺はアーケードゲームが置いてある2階への階段を昇って
いった。
「さて、ホームグラウンドに来たわけだが」
2階に辿りつくなり、ジオンの将校気分が抜けないカテジナさんが呟いた。
「約束通り、アタシ買ったら」
「わかってるさ。……カテジナの名は、2人もいらない」
…?
どこか様子が変わったカテジナさん達は、そのまま真ん中のあるゲームの所に歩いていった。
某ロボ格闘ゲームのコクピットをそのまま利用した、例のアレの所に。
「あっ、シュウジ君、私違う所に行ってるね!」
「あー、ハイ」
タエさんに適当に返事しながら、俺はフラフラと彼らの後についていった。
目の前の只ならぬ様子に、どこか引き寄せられるように。
……あれ、オイ すげ、2大巨頭が揃ってんじゃん 生で見たよ…… 何かオーラあるな
途端に周りの野次馬が騒ぎ出す。
この時、まだ俺はこれから起ることなんぞ想像だにしていなかった。
「さて、と。まずは、人払いと行くか」
「ほいほい」
そういって、2人のカテジナはZDXの台についた。
レス反映age
まず最初に事を始めたのは、オタクのカテジナさんの方だ。
「えー、と」
慣れた手つきでコインを投入、MSを選択し終えると、たった1人で
ガブスレイ&ギャプランに挑んでいった。
機体はZガンダム、パイロットはジェリド・メサとかいう金髪のキャラである。
『みんなまとめて、灰にしてやる!』
そのセリフは、まさに現実となった。
遠距離時はハイパーメガランチャーで狙撃、接近してからは格闘で一撃離脱
と、自分のペースに忠実な戦いでダメージを与えていく。
相手もコンビネーションで翻弄しようとするが、いかんせん高機動のZ、なかなか
捉えることができない。
「やべっ…!」
思わず対戦相手から声が上がった時には、すでに勝負はついていた。
大した損害も出さないまま、カテジナさんのZの勝利である。
「終わった」
「んじゃ」
やがて2人の敗者が去った後、ツジさんがゆっくりと椅子に座った。
「んふふ〜〜」
持っていたバッグを膝の上に置き、鼻歌まじりに画面に向かう細目メガネのショートヘア。
明らかにここのゲーセンで浮いてるが、本人は気にもしてないんだろうな。
ブラインドタッチの如く「カテジナさん」と名前を入力、MSを選択すると再び周りから
声が上がった。
「じゃ、よろしくー。偽カテジナ」
「フッ!」
彼女が使うのは……どこかムカつく顔してる、ハンブラビとかいうMSだ。
やがて、戦いの幕が切って落とされた。
と、
「!」
開始早々、ハンブラビは変形し、まっすぐ相手に突っ込んでいった。それに面食らったか、
一瞬Zの動きが止まる。
でも、相手に近づけるのか?
Zの速さはさっきのでわかってるし、遠距離で狙撃され続けたら避けるので精一杯じゃ
ねーの? しかもこれ1対1だし、相手はあのカテジナさんだし。
だがすぐに、それは無茶な特攻ではないことを、思い知らされることになった。
「……すげ」
素人目から見ても、それは高レベルだと感じた。
Zの丁寧なビーム掃射を、これまた無駄の無い動きでかわすハンブラビ。それでも前進する
ことをやめず、ステップなども織り交ぜて間を詰めていく。
ツジさんが射撃で応戦しないのは、海ヘビを選んだからだろうか。
「コイツって、射撃が使えるグフって言われてんだよねぇ。だから好きっすよ」
俺にこんな風に語りかける彼女、まだまだ余裕ってことか?
間もなくして、ついにZガンダムが捉えられた。
「ふふふ……にやにや」
ビームの撃ち終わりのスキを突き、ハンブラビの空中格闘がヒット。ゲージがガクンと減る。
予想以上の威力だ。
「チッ…!」
これをキッカケに、壮絶な格闘戦が始まった。
「あー、上手い」
「よけた? すげ」
周囲からも声が上がる。
ガンガンに突っ込むツジさんに、中距離からの射撃を織り交ぜるカテジナさん。まさに一進
一退、ひとつのミスが即ダメージに繋がるような、そんな緊張感さえ漂うやりとりだ。
俺みたいに下手に空飛んだりしない。おかげで勝負は拮抗し、大してゲージが減っていかない。
と、その時。
「…… ?」
「にやり」
突然ハンブラビの動きが止まり、横にステップを踏み始めた。
Zのビーム射撃を避けてはいるが、攻撃が止まっている。しかもそう遠くない位置でだ。
「……」
やがてZも攻撃を収め、同じようにステップを始めた。
誘いに乗ったのか? 2機で円を描くように、ぐるぐると回っている。上手い奴はあんま
こういう状態にはならないと思うけど……
そして。
「おぉ……」
2機が止まり、じっとしたまま向かい合う状態になった。
「……」
さっきまでの高速のやり合いとはまるで違う、沈黙、静止。常に動き回って
戦うのが当たり前なこのゲームには、まずありえない光景だ。2機とも止まって……
ガタッ
! おっ!?
ふとレバーが動く音がしたかと思うと、2機は目まぐるしく動き出した。
撃つ、避ける、動く、動く、放つ、倒れる……両者のあらゆるスキを縫うように攻撃が
飛んでくる。こう見ていると、MSが人間みたいに見えてくるから不思議だ。
だがそんな戦闘にも、終わりが訪れた。
「あーーー」
不用意な射撃を避けたハンブラビの、ウミヘビが見事にヒット。いくらか残っていたZ
ガンダムのゲージも、ツジさんの凄まじい連打によりあっという間に削られてしまう。
ウミヘビは、ボタン連打で威力が増すんだったよな……
「うあーーーー」
Zは、あっけなく散っていった。
ついでに「カテジナ」というHNも、共に。
「いやぁーーーーー」
「さてさてさてさて〜?」
戦い終わって、両者はまるで正反対なリアクションをとり始めた。
嫌な笑顔で声をかけるツジさんに、わめくカテジナさん。ゲームくらいで何を……
「ねー偽カテ……じゃなかった、マサたん♪」
「本名言うなぁ!!」
「? あのツジさん、マサって……?」
「この人、本名マサタネって言うんだねー。本人凄い嫌がってるけど」
マサタネ? 変わった名前だけど、そんなに嫌がる理由もない気がするぞ?
とにかくカテ、もといマサタネさんはその場に崩れ折り、うなだれてしまった。
「さてとー、アタシが正真正銘のカテジナさんになったトコで。やろっか?」
「……」
ふっ、と表情が静まったと思うと、ツジさんはこちらに振り返った。
視線を辿っていくその先には……
「アッガイ使いの、ララァちゃんさ」
「……」
マユズミ先輩だ。へー、先輩ZDXやる…
ん? アッガイ使いのララァだと!?
「え、今ララァっつったよな?」
「つーかさ、この店の殿堂入りゲーマーじゃねーの!? あそこ名前あるし」
その名前は俺も知ってるぞ!
店の中心、カウンター上に掲げられるZDXランキング……その1位の上に燦然と輝く、伝説的
殿堂入りゲーマー!
アッガイのみを使う激強女の子らしいと聞いてたが、まさか先輩だったのか……!
「隣町で伝説になってるアタシとしては、やっぱ気になりますよ。親友だし気は引けるけど、
決着…」
「早く機体を変えたら。シャアザク使いのカテジナさん」
「!!」
マユズミ先輩の言葉を聞き、さらに周囲は騒然となった。
ツジさんもまた、結構な有名人らしい。こっちはザク好きか?
「……じゃ、席替えようか」
2人の間に、見えない火花が散った。
195 :
通常の名無しさんの3倍:04/10/04 02:24:31 ID:Vdn/+ier
キタキタキタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
本命アッガイ使いのララァ!!
やっぱりΖじゃなくて連ジで決着つけるのか?
東京ヘッドかよ
東京ヘッドって何?
月民国際学園そろそろ出てこんかな的保守
ザワつきが収まらない。おもむろに歩き出す2人は視線も交わさず、奥の方へ
歩みを始める。
そして、あるゲームの台の前まで来た。
「……連ジだ」
ZDXじゃない? 前作の連ジDXだ!
やっぱ2人としては、ファーストこそ自分の戦場なのだろうか?
「おぉ、座った」
なんつってる間に100円入れて、は、始まる?
2人が選ぶ機体、それは……やっぱきた! アッガイとシャアザク!
「あそーだ、もしアタシ勝ったら、やって欲しいことがあるんだけど」
「?」
と、ツジさんがなんか言い出した。また何か賭けるのか?
「同じザク研のヒロ君、いるっしょ? 家案内してよ」
「! ど、どうしてそんなこと」
「去年の夏合宿の時に……まぁ色々あって、さ」
マユズミ先輩にとっちゃかなり気になる言い方だよな……夏に色々あってなんて、どう
聞いてもロマンス的な事情が見え隠れしてるし。
「じゃ、そんなのでよろしくです」
「あ、あの、ちょっと……」
先輩が動揺したまま、勝負の幕は切って落とされてしまった。
”なにやってんの!”
地球連邦軍第13独立部隊、ホワイトベース艦長ブライト・ノアの怒声がジャブローに響く。
彼の視線の先には仰向けに倒されたアッガイ、それを見下ろす真紅のシャア専用ザク。
その信じがたい光景を、驚愕の眼差しで見……
「ザワザワ……」
ているのは、俺や周りの野次馬達も同じだ。
戦闘開始早々接近戦に持ち込んだ先輩は、積極的にシャアザクを仕留めにかかった。だが
その強引な攻めがツジさんに通じるわけもなく、こうしてヒートホークの餌食になっちまった。
「マユズミ先輩、だ、大丈夫っすか!?」
「……」
わずかに彼女の口元が引き締まる。表情こそほとんど変わらないが、そこから受ける印象は
焦りの色以外の何者でもない。
つーか、これやばくねーか? 早くも負けちまいそうな空気が流れてんですけど!
やがて、その予感は現実味を帯びてくることになる……。
「あっ」
「うわー、食らっちゃったよ」
体勢を立て直したアッガイは、その後も苦戦を強いられていった。
いい勝負はするのだが、なにせ相手のマシンガンが厄介だ。流れ弾的に2,3発、どうしても
食らってしまう。
さらに冷静なマユズミ先輩らしからぬ、相手のペースに合わせるような戦い方。やっぱさっき
のことが気になってんのか……
そして。
「っ!」
「よしゃ」
作戦、失敗。
彼女の愛機アッガイは、ジャブローの大地へと還っていった。
策士だねぇツジさんは
最近ハロも出てこないからちっちゃいもの分不足で寂しい
こっちにもネコちゃんの出張キボン
保守
殿堂入りゲーマー、アッガイ使いのララァの敗北。
その衝撃的事実は、その場にいる誰もを驚かせた。たぶんみんな身を
もって知ってると思う、マユズミ先輩の強さってのは。
その彼女をここまで動揺させた、ヒロさんという存在。なるほどなぁ。
「さてさてさてさて」
やはりさっきと同じように、ツジさんが嫌な笑顔を浮かべてやってきた。
「さっき言った通り、後でヒロくん家教えて下さいよ?」
「……ええ」
負けたショックか、彼女とヒロさんの関係が心配か、マユズミ先輩の
表情は明らかに沈んでいる。つーか、ツジさんの笑顔が妙にムカつくんだが。
「じゃ、アタシちょっとトイレ行って来るねー。後はやっといていいよ」
勝者の余裕シャクシャクな彼女は、そのままトイレに消えていった。
「先輩、大丈夫っすか?」
「ええ」
「しかし悔しいなぁ。彼女が勝った時のあの笑顔はいつ見ても不快…」
「ただ今戻りました!」
「!!」
うわっ!? 何、何だオイ!?
後ろから大声で声をかけてきたのは、別行動をとっていたタエさんだった。
ビビった……
「い、いつも急に大声を出すなと言ってるじゃないか」
「どうかしたんですか?? みんなテンション下がってますよ??」
「えーと、今先輩とツジさんが」
話をする度に!とか?の感嘆符が必ず付いてる……そんな感じの
しゃべり方をする人だ。
俺が適当にいきさつを話してやると、彼女は驚くべきことを言い出した。
「じゃあ、あたしがリベンジしますね!」
「り、リベンジっすか? 関係ないタエさんが?」
「うん! 音楽ゲームでね!」
「音楽ゲームだってぇ!?」
と、いきなり元カテジナことマサタネさんが叫んだ。
えーとこの流れはおそらく、ツジさんが…
「彼女の音ゲーの腕を知らないのか? あの人間離れしたプレイを!」
「そーなんですか?? でもあたしだって頑張りますよ?」
「いや、頑張ってどうなるもんじゃ……」
やっぱりな。
と、その1分後。
正直リベンジにはならないと思うんだが、ツジさんが戻り、タエさんとの
音ゲー勝負が開催されることとなった。
場所は1階、ゲームは某ターンテーブル付きの玄人向けゲーム。せっかく
だからと慣れた様子で最難間のモードと曲が選ばれ、勝負の火蓋が……
「じゃ、行くねー」
切って落とされた。まず最初にプレイしたのは、ツジさんだ。
いきなり画面上から雨粒のように落ちてきたポイントを、凄まじい手と指の
動きで拾っていく。ミスらしいミスはほとんどなく、たちまち周囲に人垣ができていく。
俺は口をあんぐりと、わかりやすい馬鹿顔でその光景に目を奪われてしまった。
ありえねー、ありえねーってコレ。
「っと。終わりっす」
やがて、彼女の一人舞台は終わった。
結果はもちろん最高記録で、野次馬からも歓声と拍手が起る。ちょっとした
コンサート後か?
「よし! 次いきますね!」
…… あ、そっか、タエさんもいるんだった。
今のに驚きすぎて、忘れてた…… いつもの通りの笑顔のまま、彼女は隣の
台についた。
さっきとは違い、一つ一つ画面を見ながら、初めてパソコンを触るように
設定を進めていく。この時点で勝負ついてんだろ?
やがて全ての準備が整い、READY GO の声が辺りに響いた。
「……」
「え、ちょっとタエ君……?」
と、始まったにも関わらず、彼女は突然うつむいてしまった。
もう上から来るぞ!? おーい!
「はっくしゅ!」
くしゃみかよ!
これで、幾つかミスになってしまったようだ。あのツジさん相手に、こりゃ
致命的なミスだろーなー……
・・・・・・ そう思った、次の瞬間。
「せーのっ」
「…… !!!」
俺達は、神を、見た。
タエちゃんのこと思い出そうと夏合宿編読み直して気付いたんだがツジちゃんの1学年下なんだね。
今時音ゲーが上手い程度でギャラリーなんてできないと思うのだが
時代設定はどれくらいなんだろうか
今気付いたのだが今回出現したのってザクの新種だよな
ってことはまさかザクウォーリア・・・?
Ω ΩΩナンダッテー!!
PERECT PERECT PERECT……
ぜっ、全部パーフェクト!?
はえーしタイミング完璧だし本人笑顔でやってるし! なんだコレ!?
無意味にピョンピョンステップを踏みながら、タエさんは俺達の度肝を
抜くような絶技をやり始めた。
今時音ゲーが上手い程度でギャラリーなんてできないのが普通だろうが、
このゲーセンは別らしい。鬼レベルの少女が2人もいる……
そして。
「ふぃーーーー」
「おおぉぉぉ〜」
ゲーム、終了。
ツジさんへのリベンジが、ここに終了した。
「いやー、いつ見てもタエくんのプレイぶりは凄まじいな」
ゲーセンからの帰り道、俺達は近所のコンビニの駐車場にいた。
解散する前にちょっと寄ったんだが、話題はさっきのことで持ちきりに
なっている。
「んー、アタシもあそこまで追いつかれるとは思わなかったですよ」
さっきの勝負の結果は、タエさんのクシャミが響いたかかなりの僅差で
ツジさんの勝利に終わった。
あの大幅なロスがなかったら、間違いなく勝ってただろーなー……
「ま、カテジナの名前もヒロくん家の場所も手に入ったし?」
「完璧勝ち逃げっすね」
「んふ」
俺のイヤミに、例の嫌な笑顔で答える。うん、ムカつく。
思わずマサタネさんとマユズミ先輩が反応した所で、俺はジュースを
買いに店内へと入った。
「いらっしゃいませ〜」
と、入るなり明るい声が響く。
どっかの店員と違っていい感じの接きゃ……
ペロッ
「ひゃぁぁ!?」
うわ、なに、何だいきなり!?
突然腰に腕が絡んだと思うと、妙な湿った感触が俺の耳をなぞる。
思わず振り帰ってみると、そこにはあの女がいた。
「まだ帰ってなかったの」
姉ちゃんだ。挨拶代わりに俺の耳を舐めたらしい……
「なかったのじゃなくて、セクハラやめろっつーの!」
「ゾクッってしたでしょ? 今度教えてあげるから」
「そーじゃなくて……」
……ん?
と、いつもの通りツッコもうとした俺の頭に、ふと妙案が浮かんできた。
「あのさ」
「ん」
「頼みがあんだけど……リベンジ手伝ってくれない?」
タマキ姉ちゃんによるリベンジ・・・・
激 し く エ ロ の 予 感age
「何の」
それは、と言いかけて、俺は口をつぐんだ。
ダメだダメ、リベンジなんて俺が負けたわけでもないし、こういうのは違う気がするし、
何よりこんなエロ魔人に話をもっていった日には……
……ツジさんが危ない。色んな意味で。
「いやぁ、やっぱ何でもない」
「ふぅん」
俺が言うと、姉ちゃんはあっさりした返事を返した。自分でもここまで言っといて何をって
感じだが、予想外な彼女の態度に驚いてしまう。
まあ、興味を持たなかったならそれでいいんだけどな。
「……」
(ん?)
と思ったら。
姉ちゃんは手にしていたオッサン御用達の週刊誌を置くと、そのまま店の外へと出て行って
しまった。
帰んのかな? 置いてある自転車には向かわないで、反対に……マサタネさん達の方だ。
何のつもりだろ? 彼女にみんなが軽く挨拶、適当に相手して声をかけたのは……
!
(ユイじゃねーか!?)
全くの予想外な人物に驚いてしまった。何の用だよ!?
「…… ……?」
「……。……」
コンビニのガラス越しに、必死に唇の動きを追っていく。
当然何のこっちゃわかんねーが、見た感じだと姉ちゃんが何かを尋ねているようだ。
それにしてもあいつら、いつのまにあんな仲良くなったんだろう。
と、そのうち姉ちゃんが店内に戻ってきた。
「な、何やってきたんだよ」
「だいたい、事情はわかったから」
「え、え?」
ドキドキドキっと、初めて友達同士でグラビア写真集を見た時のような、強い衝撃が走る。
…もう何のことかわかったが、一応聞いてみることに。
「事情って、もしかして」
「『最近、ミクリヤとあそこのメガネのショートが俺に対して調子こいてっから、何とかして
くれよ』ってことでしょ」
「調子!? い、いや、俺はそこまで…つーか何でミクリヤ先輩が」
「ま、キッチリ教えてくるから。色々と」
「教えてくるって何、おい!」
そう俺が叫んだ時には、すでに姉ちゃんはツジさんの方へと向かっていた。
ごめんツジさん、そしてミクリヤ先輩……
「……」
そう立ち尽くす俺を、得意げに見つめてくるユイの姿が目に入った。
後日、ミクリヤ先輩とツジさんの俺に対する態度が一変したのは言うまでもない。
213 :
通常の名無しさんの3倍:04/10/27 17:24:40 ID:Sp7WlFEE
何を教えたんだろう・・・
また女の(ry
保守
「撫裸雲市納涼祭’2004」におけるMA調査
【目的……機体の調査、安全化、警護】
・撫裸雲市文化会館に於いて、ビグ・ザムを確認との情報(未確認)。
・会館は爆弾騒ぎにより現在立ち入り禁止だが、夏の撫裸雲市納涼祭2日目、コスプレ
仮装 パレードの参加者に対してのみ控えスペースとして開放
・問題点としてMS操縦能力を備えたハロ、それを所持する人間の存在と、彼らの祭り
への 参加。何らかの混乱の可能性あり
【爽やか青年カナイさんのグループによるフリマ出店(オタク系)】
・コスプレを助ける代わりに、ザク研で一日お手伝いをすることに
・商品は同人誌、個人の私物(フィギュア、ポスター、タペストリー、ゲームソフト
など) あくまで予定
・同人誌の制作状況によっては随時アシスタント参加
・プラス、場合によっては知り合いのサークルもお手伝い
フリマ班……マヤ ヒロ(オトナ) マコ ニシノ(デート失敗) フルミ
コスプレ班……マユズミ(姉) マユズミ(妹) ミクリヤ シュウジ タマキ
「今配られたプリントが、今回の作戦の概要です。あとはそれぞれの班ごとに、細かいのが
あると思うけど……」
休み明けで気分もかったるいこの日の学校、放課後の部室にて。納涼祭を間近に向かえた
俺達科学部は、今回のMA調査のミーティングを行っていた。
今マヤさん&姉ちゃん&ユウゾウさん以外のメンバーが揃ったところで、フルミさんの手に
よりプリントが配られたんだが……
「ちょっと、おかしな表記があるよね」
「つーかフルミ、ケンカ売っちゃってる?」
「ちっ、違います! 僕、僕はただマヤさんの言う通りに作っただけで」
ヒロ(オトナ)にニシノ(デート失敗)、あの人らしい。
夏合宿中に経験済み疑惑のヒロさんと、こないだフラレた?ニシノさんか……どうなんだ
ろーな? マジなところ。
「話を戻して、まずは手元の会場地図を見て下さい。これは、当日のフリマの出店の配置に
なってるんだけど」
プリントの束を探ってみると、確かにそれらしいものがあった。
「蛍光ペンで印してあるのがウチ、カナイさんのグループです。で、渡されて気付いたけど
その両隣……」
両隣?
「……あっ!」
「これ、もしかしてティアさん達か!?」
ヒロさんの言った所を見てみると、ウチのは「月民学園1」「月民学園2」と書かれた
スペースに挟まれているのに気付いた。
月民はデカイ国際学園ってんで有名だけど、ティアさんって誰よ?
レス反映乙w
age
218 :
通常の名無しさんの3倍:04/11/01 23:58:51 ID:0+HBQVzY
「ニシノさん、ティアさん達って…」
「ハロ持ってて∀のキャラに激似な奴らが3人いるガノタグループだよ」
ど、どこの世界の人間ですか?
ついていけてない俺を放ったまま、みんな口々にしゃべり出した。
「マヤさんが確認したらしいけど、やっぱり片方はティアさん達だって」
「そうなんだ? ピンキーちゃん会いたい〜」
「な、何を売るんでしょうねぇ? あの人達なら、コスの方が合ってるのに」
「ていうか。隣気になんない?」
と、ミクリヤ先輩が言った途端、場の空気が止まった。
隣っつーと月民学園2ってやつだな。同じような集団かな?
「ミクリヤ先輩、この2ってグループも知り合いっすか?」
「知らないから気になんないって言ったの。ヒロ、聞いてないの?」
? 先輩が聞くと、ヒロさんは苦い顔で押し黙ってしまった。
実は、って感じで、いかにも悪いニュースが飛び出しそうな空気だ。
「実は……」
やっぱり!
「ここ…… 月民ガンダム研究会らしいんだ」
……
あ、あれ? リアクション薄い?
ヒロさんが妙にためるから、そりゃみんな驚くんだろーなって思ってたら……
「ガンダム研究会、研究会……んなもんあったっけ? マユズミ覚えてる?」
「冬に連邦温泉郷に行った時、出会った人達でしょう。ヒロくんが崖から落とされて」
「……」
あーーーーーー!!!
「思い出した!! あの黒い三年生とかほざいてたアホ外人集団か!」
「そ、そうでした、シャルルっていうシャアのそっくりさんが会長の……」
「先輩の股間蹴りが3回くらい決まりましたよねー♪」
「……あんた変なコト覚えてるよね」
マユズミ先輩の言葉でみんな思い出したらしく、一気に騒ぎ出した。
もちろん俺は何がなにやらわからず、首をかしげるばかり……ユイも同じだ。
220 :
通常の名無しさんの3倍:04/11/04 00:44:13 ID:dtfWUHLL
きたー
ってか本HPの「小説」に今からドキドキ。
なんかもう俺の心に直球ど真ん中ですよ。
/^l
,―-y'"'~"゙´ |
ヽ ・ ⊥ ・ ゙':;
ミ ,,__ミ
/ ̄ ̄ ̄旦 ̄ ,/\
/.________/ \
/ ̄ ヽ /
/ ヽ /
/ \/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
捕手
「あのー、俺とユイには何のことだかわからないんすけど」
「去年、私達が連邦温泉郷に行ったことがあって……」
俺が聞くと、すかさずマユズミ先輩が説明してくれた。
つまり、こういうことらしい。
温泉に不審者捜しに行く → 偽アムロ発見、捕獲 → 月民ガンダム研究会
との死闘 → ヒロさん滑落
……
うん、意味わかんねえ。
「ティアさん達と、このガンダム研究会がどんな関係かはわからないけど……」
「……」
「な、なんすかみんな?」
と、ヒロさんが言うと急にみんな黙ってしまった。
∀のキャラに激似のグループと、ガノタの外人グループ……どっちも普通じゃなさそう
だけど……
「修羅場必死だな」
「た、只じゃすまないでしょうねぇ」
「たぶん、当日は色々とトラブルがあると思うんだ。だからフリマ班は、色々気を付けないと
いけないと思う」
この2つのグループのことはよくわからないが、こっちも大変らしい。ふと、ヒロさん達の
表情を見て思った。
それからフリマ班の出品の話が続いた後、俺達コスプレ班の話題になった。
「…っていうことで、当日は2班こんな感じでやっていきたいと思います」
「ほ〜い」
「それ、で……いよいよ、本題に入りたいんだけど」
2班それぞれの調整が終わったところで、ようやくビグザム調査の話になった。だいたいの
話はウチに集まった時に聞いている。今日は具体的な調整ってとこだろうか。
「当日は、フリマ班が手伝いをしながら怪しい人を注意、コスプレ班がハロでビグザムを捜す、
っていう流れになります」
ふむ。
「ただ、この月民ガン研とハロを持ってる人が来るっていう情報と……実はもう1コ、気に
なること聞いてるんだよね」
「何、まだなんかあるわけ?」
「……みんな、黙って聞いて」
ヒロさんはそう言って、おもむろにケイタイを取り出した。
「今朝、マヤさんからきたメールを読んでみる」
ピピピっと手早く操作すると、やがて神妙な顔つきでメールを読み始めた。
『カナイさん達とフリマとコスプレの説明会行って来たんだけど、変な帽子のチビがいた!
あれヒロが前に会ったっていう、S5の奴じゃないの!?』
「! おい、S5って」
「まって、それで、マヤさんケイタイのカメラ画像送ってきたんだ」
途端にみんなが、ヒロさんの周りに集まりだす。特にニシノさん、ミクリヤ先輩、マユズミ
先輩は思い当たる節があんのか、真っ先に向かっていった。
さー面白くなってまいりました!
そして、ヒロさんのケイタイを覗き込み……
「あーコイツだコイツ! このセンス無さ過ぎキャップだけは覚えてるわ」
「こいつ何だっけ? 何か変なグループ入ってて」
「S5。……ボールを強奪しようとした黒幕」
どうやら3人は、面識があるらしい。しかし、ボール強奪にS5? そんな
グループとそんな事件があったのか……
ひとしきり騒いだ後、3人は席に戻っていった。
「ニシノくん達はわかると思うけど、この人はS5っていうガンダム系サークルの
人で、前にボールを奪おうとしてた人なんだよね」
「えっと、か、間接的にでしたけど」
「うん、だから月民のガン研と同じで、注意しなきゃいけないと思う……ていうか、
仲間もいるかもしれない」
また危険要素が増えたってこったな。
大変なのは俺らコスプレ班だけかと思ってたけど、もしかしたらフリマ班の方が
キツイかもしれない。
「それだけじゃない。彼らが参加しているということは、ボールを所持している
人間も確実にいるということでしょう」
「あー」
さらにマユズミ先輩が、真剣な面持ちで言う。
と、
「この人、ムトウ」
「ん?」
む?
あれ? コイツ、
「ユイ、今誰かの名前言ってなかったか?」
「別に」
はぁ!? おいおい、
「ぜってー言ってたろ! 今ちゃんと聞いたぞマジで」
「話を続けて下さい」
「……」
こいつは本当に……
保守
んで。この後は当日の対策について色々話したが……
「まとめると、今回MS以外に注意しなくちゃいけないのがS5、月民ガン研、
未確認のボール持ってる人達に……」
「ってか、どうにもなんないっすよ! 問題ありすぎですって」
「えーでもほっとけないよー。特にコスプレ目当ての変態共!!」
「いえ、それよりもMS……どんな機体であれ、無力化しなければ……」
「姉さんが気になるのは部長のことでしょう」
「おいおい、ユイちゃんいいこと言うね〜」
「コスプレでパレードか……この私が……」
結局、これといった作戦が出ることはなく、
「とと、とにかく例のビグ・ザムらしい機体を第一に気をつけた方が……その、
やはり安全第一ですし」
フルミさんのもっともな一言により、今日のミーティングはこれで終わった。
第一の目的は、やっぱ危なそうなMS(MA?)に気をつけることだ。他は2の次で
いいし、あれこれ考えすぎるとロクなことがない。
それに、考えて所でどうにもならねーよな……これだけ問題があったら……
「じゃ、今日はこれで解散ね。後はそれぞれの仕事頑張って下さい」
週末の納涼祭を控えたこの時期、そう早く家には帰れない。
これから各班ごとに準備が待っている。俺らコスプレ班は最終衣装合わせ、パレード
時の動きチェックや担当キャラクターの勉強など、カテ…もといマサタネさん&タエさんが
待ち受けているわけだ。
そして、フリマ班は?
「またカナイさん家でオタクグッズ漁りか? あの人どれだけ持ってんだよ」
「ぼ、僕も同人の手伝いです。興味が無い作品の同人はキツイです」
「僕ら……すっかりオタクの仲間入りだね……」
「いいじゃんお兄ちゃん、私とマヤさんなんか売り子させられるんだよ?」
どっちもどっちか……
浮上
中学に入って2度目の夏
2度目の部活、2度目の夏休み、
そしてはじめて迎えた、撫裸雲市納涼祭’2004。
危険なイベントがある。怪しい奴らがいる。
僕みたいなオタクもたくさん来るだろう。
それでも行かなければならない理由がある。
なぜなら僕らは…… 「ガンダム」が好きだから。
「悲しいけどコレ、ブログなのよね!」より by フルミ
【 本編 】
朝日が、スーパー銭湯の向こうに見えた。
青一色に塗りつぶした空、静まりかえる表通り、妙に活気づいている
牛丼チェーン店、そして……
「おはよーございます!」
「おう、おはよう!」
ラジオ体操帰りの小学生にも爽やかに応える、目覚め完璧なこの俺。
本来なら朝は絶不調極まりないが、この日は違っていた。眠気はカケラも
なく、髪型も決まり、目は必要以上に冴えている。
もちろん、それには理由があった……
「シュウ」
「ん?」
「……成長したね」
「黙れ」
コイツだ……うちの姉ちゃん。
となるともう言うまでもないが、簡単に今朝のセクハ……様子を説明すると、
もぞもぞ… む? もぞもぞ… うっせーな、何…… うわっ!? おはよ
要するに、朝目覚めたら姉ちゃんの顔が目の前にあって、さらに下がパンツ
一丁になってたと……
どういうことか問いただそうと思ったが、彼女の感慨深そうな表情を見て
やめることにした。…何か怖ぇ。
「あ、来たよお兄ちゃん」
「! あ、おはよう〜」
やがて、駅前でたたずむアサカワ兄妹が見えてきた。
ほしゅ
ボールじゃなくてハロ・・・
234 :
通常の名無しさんの3倍:04/12/10 23:17:17 ID:rAWdifz1
まぁ、間違える時もあるさ。
ボール→ハロと脳内変換しれ
あげ
他のメンバーは来ていないようだ。ヒロさんマジメだから、相当前から待って
たんだろう。
適当に挨拶して、俺達も待つことにした。
「今日は準備と説明だけだから、早く終わると思うんだけど」
「コスプレとフリマ別々っすよね?」
「ウチらは飾りつけとか物の並べ方こだわるとか言ってたし、ちょっとかかりそう」
本番前日ということで、みんなどことなく緊張している。
こういうデカイイベント出るんだもんなぁ……学校の行事とはワケが違うよな。
俺らの班は説明だけとは言え、他にどんな人が来てるんだか気になってしまう。
と、
「うぃ〜す」
「おはようございます」
「はいはいみんな元気やってるー?」
他のメンバーもやってきた。案の定ニシノさんとミクリヤ先輩は眠そうだ。
これで全員揃ったから、いよいよ出発……
「ちょっと」
「え?」
「……あとで……」
……
今ユイがヒロさんに耳打ちしたように見えたが、見なかったことにしよう。
ひさびさあげ
>>236 贅沢かもしれんが、一回に3レスくらいはあげてもらいたい。
>>1にエロ小説書いて欲しい。
夏合宿編読んでて思った
祭が行われる撫裸雲市中心部までは、ここから電車で2駅ってんだから近い。
「お、落ち着く暇もないですね」
「ええ」
「今からもう、ドキドキしてきたね」
車内では、それぞれ緊張した面持ちで過ごしている。俺も参加者用パンフを手に、
意味もなく前に座るユイを凝視してる状態だ。
まだ今日は前日だってのに……
「フリマ会場は確か、市の中央公園だったよな? 昔陸上大会で行ったぞ」
「ユウゾウさんもですか? 私も小学校の時行きましたよ〜」
「へぇ、ヒロは鈍いのに、マコちん運動神経いいんだねぇ」
まぁ、気楽なメンバーもいるけど。
大して冷房が効かない車内で揺られること10分足らず、電車はあっという間に
撫羅雲駅に到着した。
新しく改築されたと聞いていた通り、駅は床から天井に至るまで、いかにも新品と
いったシルバーで統一されていた。さらに立ち並ぶ柱に納涼祭のポスターがずらりと
貼られ、売店のオバチャンまでハッピを着てやがる。
「なぁ、あれみんなで買ってみねぇ?」
「笑えないし」
「おい姉ちゃんユイ、早く来いって」
「カナイ達はまだ着てないみたいだな? 時間もあるし、待ってるか」
とまあなんやかんや騒ぎながら、邪魔にならない場所まで行って待つことに。
で。
お待たせしましたーーーーーーーーーー!
「! な、何だオイ?」
「ったく……あの子恥ずかしいって感情が……」
5分もしないうちに、改札の向こうから聞き覚えのある声が響いた。
満面の笑顔でぶんぶん手を振る女の子……タエさんだ。恥ずかしいってアンタ!
「今日はついに実戦ですねー。コス魂が燃えますな」
「すいません、遅れちゃって。待ちました?」
「やー。はよっす」
続いて、カナイさんにツジさん、マサタネがやってきた。タエさんについてはもう
慣れっこらしく、全く平然とした表情で改札を通る。
こうして、俺達の暑い1日……の前日が始まったのだった。
241 :
1 ◆jpx3TIr/zA :05/01/02 00:18:38 ID:43Ikyotk
全員集まったら、さっそく会場へと移動だ。
街中を、私服の中高生の一団が歩いてゆく光景。滅多に見ないよなぁなんて思いつつ、
集団の一番後ろを着いていく。
風もない夏日だ。あっちーよ。
いつの間にか緊張も忘れ、俺は確実に近づく祭の会場へと歩みを進めていった。
「撫裸雲市納涼祭’2004」
「おーおー、なんか凄そうじゃね?」
「すごいですね! 多いですね!」
デカデカとした看板が、俺達を出迎えた。
3日間に渡って納涼祭が行われる、撫羅雲市中央公園。名前通り市の真ん中あたりにある
公園で、球場やら陸上のトラックやら色々と施設がある。
フリマは野外ステージ、コスプレは文化会館で説明があるがどっちも敷地内だ。ふと見りゃ
秋葉系グッズ持ってたり今から衣装着てたりと、明らかに2日目目的の奴が
チラホラ見える。なんか恥ずかしい。俺らもある意味同類だからかな?
緑の芝生を横目に歩いていくと、ちょうど売店を挟むように道が分かれている場所に出た。
「あー、野外ステージ向こうですね」
「それじゃ、ここで班ごとで分かれましょう。説明会が終わったら、あそこの売店に集合で」
「は〜い」
こうして、班ごとで分かれることとなった。
242 :
通常の名無しさんの3倍:05/01/06 01:58:34 ID:0gVQdRly
これさー、誰か同人で出してくれないかな
漫画にして
243 :
通常の名無しさんの3倍:05/01/08 23:36:32 ID:YsX4nTrG
今年の夏コミに出そうぜ
冬コミでもいいよ
【コスプレ班】
少し歩いて、俺達コスプレ班は文化会館までやってきた。
灰色のコンクリ板が合わさって出来てるようなデザインで、いかにも文化系のイベントが
ありそうな見た目だ。
今日はここで説明会がある。つっても、隣に建ってる事務棟のビルでだけど。
「前日でも入れないんだ、文化会館」
「そうみたいっすね」
「……」
ぶつぶつ言いながら、パンフの案内に従い事務棟のビルに入っていく。そして微妙に古い
建物内を進み、エレベーターで3階の集会ホールへと辿り着いた。
そこそこ広い。椅子がたくさん用意されていて、既に参加者が集まっている。
つーか……
「見た感じ、予想以上に普通な人が集まってるっすねー」
「なんか、女の子多いよね」
「うん、AV嬢ぽいの多い」
辺りを見回してみてわかったけど、オタクっぽいのほとんどいねーじゃん!
イメージ的に秋葉系が大集合するかと思ってたけど、なんだか普通な人が多い。女の子も
意外にというか、可愛い子も混じってるし……ま、何人かはいるけどね。あからさまなのが。
それにしても、この中にもいるかもしれないんだよな。ハロ持ってる奴にSなんとか、月民の
変な集団……
「ユイ、なんか感じるか?」
「……」
「(無視かよ)」
と、思わずユイに声をかけちまった。下着ドロの一件といい、コイツが超能力的な何かを
持ってることは確かだからな……
もしかして、とかふと思ったんだけど、相変わらず俺は嫌われてるっぽい。
「あそこ」
「あ?」
「前の、金髪」
前の金髪? ふと、ユイが言った。
意味がわからないまま、俺はユイが視線を向けている先を追ってみた。金髪って、外人も
参加してんの……
「ぶっ!!」
「なっ、何? いきなり?」
「あ、あれ、シャアじゃないすか!? あれ!」
ガンダムはあんま詳しくない俺でも知ってるぞ!
独特の金髪、真っ赤な軍服、もうコスプレかよ! ってか後姿で似てるってなんだそれ!?
「シャアって、あのー、なんだっけ」
「向こうのポルノ女優?」
「……宇宙世紀のガンダムにおける重要なキャラクターの1人です。そもそも……」
だ、だめだこりゃ……
245 :
通常の名無しさんの3倍:05/01/10 00:56:42 ID:hJTYoCul
同人つーか、ガンダムAに送れ
漫画化かされるかもよ
保守
保守
この状況がわかってない2人はほっといて、ホントすげー状況だ。10メートルくらい前に
シャアがいるって!
もしフリマ班のみんながいたら、えらい騒ぎになってただろう。マサタネさんもびっくり……
「……」
「……マサタネさん?」
「あっ、気絶ですね! あたし初めて見ましたよ!」
しすぎたらしい。
と、
(ヨシイくん)
「? え?」
語りモードに入っていたマユズミ先輩が、俺に話しかけてきた。
(あなたに言ってなかったかもしれないけれど、あのシャア似の人は、月民ガンダム研究会の
会長なの)
(!! うっそ!? マジすか!)
(ええ)
予想通りコスプレ班にもいたのか……しかも会長!
思わず彼の周りにいる奴らのことも観察してみるが、どれも地味な格好でよくわからない。
何人くらいで来てんだろうか。
とにかく、覚悟してたとは言えこれで注意事項が1つ増えたようだ。他に怪しい奴らが来ない
ことを祈る……
『えー、ゴホン、そろそろよろしいでしょうか? 静粛にお願いします』
やがてアナウンスが入り、会場の証明はゆっくりと落ちていった。
シャアきたああああああああああ
保守ついでに
我がザクコミケに出品乙
ぜひ絵師を見つけて挿絵付きで販売してくれ
252 :
通常の名無しさんの3倍:05/01/31 17:41:42 ID:TWqj+xqr
コミケ出すの? マジで?
ほしゅ
だんだんと周囲のざわつきがおさまり、再びマイク越しの声が響く。
『えー、これから撫裸雲市納涼祭2日目、スペシャル仮想パレードの最終説明会を行います』
前にも説明会はあったようで、それにはマヤさん達が行っている。今日のは最後の打ち合わせ
みたいなもんだな。
って、こんな落ち着いてる場合じゃねえよ!
「やべ、なんか説明頭入らないですよ……マサタネさんもこんなだし」
「大丈夫。何か起こるわけじゃないし」
「シカトだよね」
「……暗い……なんかイイ」
さすが先輩2人は、いたって冷静だ。姉ちゃんにいたってはもう触れないようにしよう。
何とか自分を落ち着かせつつ、俺は説明に耳を傾けた。
『……当日は皆さんのお手元にある通り、市の大通りのコースを歩いて頂きます。なお……』
意外というか当然っていうか、結構注意事項が多い。なるべく自分達のグループから離れない
こと、暑いから体調に気を付ける事、貴重品は持ってこないこと。
パレードっていかにも派手そうな感じだけど、色々あるんだな。
「うーん、それにしても後ろ姿が似てる」
「あ、マサタネさん気が付いたんですか」
「まあね……こんな場所でなんだが、ぜひ写真を取らせてもらいたいな」
「や、やめましょうよ! 顔とか似てないかもしれねーし、声だって……ねぇ?」
正直話をしてみたい気持ちはあるが、なんかこっちの顔が知られるのはまずい気がする。
思わず、ミクリヤ先輩に話を振った。
「あー、なんか凄いカタコトだったりして」
「声変わりしてなかったら面白いですよね!」
「そ、それ嫌っすね、イメージ台無しで……ん?」
ふと見ると、マユズミ先輩の表情がおかしい。なんとも切ない表情だ。
なんだ?
(ユイ、お前の姉ちゃんどうしたんだよ)
(葛藤)
(あ?)
(そこまで似ている本人を見てみたい気持ちと、イメージが崩れるのを恐れる気持ち)
ふーん……
これがガンダムヲタ……もとい、ガノタの心理ってやつだろうか?
お、久々にキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
age
『当日は注意事項を十分守って頂いて、安全で楽しいパレードになるようご協力をお願い
します』
と、締めの挨拶が終わり、大きな拍手と友に説明会が終わった。
会場に明かりと、大きなザワつきが戻る。
「あっ、あ〜〜〜……長かったなオイ」
「集合場所、売店のトコだっけ? 行…」
ん?
さっさと行こうとするミクリヤ先輩の服を、ユイが掴んだ。
「何」
「まだ」
「はっ?」
「ミクリヤくん、ちょっと、挨拶しに行かないかい?」
マサタネさんが、少し薄ら笑いを浮かべて言った。
挨拶? ……もしかして……
「……絶対無理!」
「どうしてですかー? まだなんにも言ってないですよ!」
「言わなくてもわかるって! なんであんな奴らのトコ行くわけ!?」
俺と同じく、空気を読んだミクリヤ先輩が拒絶した。
そりゃそうだ。今の流れからして間違いなく、前の方にいる月民ガン研に挨拶しに
行こうってことだろ?
無理だって!
「…… ……」
「……!」
オイオイ、なんか整列して挨拶してるじゃん……しかもメンバーの返事でかいし。
奴らのことをよく知ってるミクリヤ先輩、マユズミ先輩、当然俺も反対だ。何されるか
わかんねーし。
「マユズミ先輩も言ってやって下さいよ、無理だって」
「……」
ってちょっとちょっと待った!
あごに手をあててうつむきがちにって、迷ってるじゃん!
「迷ってるね」
「!」
と、いきなり姉ちゃんが、横からマユズミ先輩の顔を覗き込んだ。
鼻先がくっつきそうな距離だ。先輩びっくりした顔してる。
「……ヤッちゃえば」
そして無表情のまま一言囁くと、マユズミ先輩が何か決意した顔つきになった。
まさか?
「……ごめんなさい。私も行ってきます」
やっぱりか……
258 :
通常の名無しさんの3倍:05/02/26 22:32:55 ID:Z1/qRh+Y
イイ!
嫌な悪寒、もとい予感はしてたけど、やはり生シャア(偽)を見たいというガノタの欲求には
勝てなかったみたいだ。
結局、がんとして聞かないミクリヤ先輩以外で行ってみることにした。
「つーかマサタネさん、正直あいさつだけしてくるのも、怪しまれると思うんすけど」
とその前に、気になっていたことを聞いてみた。
「まあまあシュウジくん、何もただどうもどうも言ってくるわけじゃない。ちゃんと作戦がある」
「作戦?」
「そうさ。内容はこうだ」
まず僕を先頭に、身分を隠しファンという設定で近づく。無邪気に写真でも撮りつつ、色々と彼らの
情報を聞き出す。そっくりさんは他にどういう人がいるのか、どこで会えるのか……
「なるほど」
「完璧だろう? これで自然に仲良くなれる」
(なられちゃ困るんだけどな)
まあ、ザク研的には奴らの祭期間中の行動が気になる所だな。
あと、心配がひとつ。
「でも大丈夫すか? 前一度会ってるんでしょ?」
「ええ、でも私はみんなに隠れてたから……大丈夫だと思う」
マユズミ先輩が、前に月民ガン研と会ってることだが……大丈夫かな?
色々と心配はあるが、いざ月民ガンダム研究会会長の元へ、俺達は向かっていった。
「あ、すいませーん」
「?」
マサタネさんの軽い第一声が飛ぶ。
てかシャアがこっち見た! すげー……マスクもよく作ったな。
「僕ら皆さんの、特に会長さんのファンなんですけどー、写真いいですか?」
「……ごにょごにょ……」
ご、ごにょごにょ?
会長は答えもせず、隣の男に耳打ちをする。と、
「hum……hum……OK、ダイジョウブデス、トリマショウ」
「♪」
そいつが代わりに、無愛想に答えた。
なぜか本人は満面の笑顔だが。
「おぉありがとうございます〜、じゃあみんな、撮ろうか!」
「は〜いって、マユズミ先輩」
「え、あ、ああ」
声をかけると、遠くで真っ赤になっているマユズミ先輩がおずおずと近づいてきた。よっぽど緊張
してたみたいだな。と、
「……」
「あ…!」
それを見たガン研会長が、先輩の手を引き自分の隣へと引き寄せた。
外人がやると自然で紳士的だ。こりゃマユズミ先輩たまらんだろうな……って、あれ……?
「……あの様子は、もしかして……」
「オチた」
「! ユイ」
「うむ」
「姉ちゃん……」
……
ケンカ中のヒロさん、大変なことが起きてます……
浮上
3、2、1、smile!
マサタネさんからメンバーの一人にカメラが手渡され、シャッターが押された。
馴れ馴れしく方を組んで、笑顔で一枚。外人ってこういうスキンシップを自然にできるから
うらやましいんだよな〜……
って、んなことより。
「あー、えーと、ちょっと聞いてもいいっすか」
「What?」
こいつらの、祭期間中の行動を聞き出しておこう。
と、近くにいたオッサン顔の奴に声をかけた。
「ここにいる人らでコスプレ出るんすよね?
「ハイ」
「やっぱ、ガンダム系の…」
「ヒミツデス。オタノシミ」
「あとー……そうだ、フリマとかも出店するんですか?」
「ハイ、ダシマス。ヨカッタラキテクダサイ」
ふむ。
普通だな……妙に秘密にしてるのが気になるけど、特に怪しい感じはない。
「あ、でも月民ってデカイから、他にも出店する人いるんじゃないすか?」
「Ah……yes.ソウミタイデスネー。ヨクシラナイデス」
「へぇ〜」
ん? 知らねーことはねーだろ?
確か出店の配置、こいつらからウチを挟んだ所に、例の月民のティアさんって人らが
いたはずだ。
同じ学校の同じガンダム系のサークルなのに、何も知らないってのはどうもおかしい。
やっぱ……怪しいな。
(マユズミ先輩……やっぱなんか隠してますよこいつら)
(え? あ、ええ)
(……しっかりして下さいよ、ヒロさんも悲しみますよ?)
(あ、あの、それは……)
ダメだこりゃ。
ひとしきり交流したところで彼らと分かれ、俺達は外で待っているミクリヤ先輩の所へ向かった。
外に出てすぐの所で一人、不機嫌なツインテールが立っている。
「待った? ミクリヤくん」
「てか遅いし……何してたの?」
「それが聞いてくださいよ、マユズミ先輩が……」
「? 何」
「あっ、いや、何でもないっす」
危ねー! 思わず口走るとこだった。
この人もヒロさんとは、複雑な関係みたいだからな。さっきのこと言ったら、ややこしいことに……
適当にごまかして、俺達はフリマ班との待ち合わせ場所に向かった。
浮上
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ふたまた!ふたまた!
⊂彡
_ ∩
( ゚∀゚)彡 しゅらば!しゅらば!
⊂彡
_ ∩
( ゚∀゚)彡 微妙な三角関係!微妙な三角関係!
⊂彡
ミクリヤちゃんには彼氏いるだろ
保守
【フリマ班】
「……ヒロ」
「……なに」
「……こいつら今すぐ消えねーかな」
「ニシノ気が合うねー……あたしも」
思わずニシノくんのジョーク……本音に同意してしまいました。
ユウさん達コスプレ班と別れ、野外ステージへとやってきた僕達フリマ班。納涼祭を前日に控え、
今日はその説明会……って
「日焼け止めローション忘れたよーーーー」
「まあ、夏の某イベントに比べれば、室内じゃない分マシですよ」
「同意かなり同意」
「そ、そうですねぇ」
すんごい状況です。
広い敷地、遠くに屋根付きステージ、そして……尋常でない暑さと人の数……なんで前日の説明会の
時点でこんなに集まってるの?
思い切り気が引けますが、行きましょう……
「説明が聞こえる近くがいいですよ」というカナイさんのアドバイスに従って、ステージから
ホドホドの距離まで近づきます。人ごみの中適当なスペースを見つけ、そこに陣取りました。
「さっさと終わらねーかなー」
「ニシノくん……そうやって僕にもたれるのやめて」
「そーそー、もうちょいシャンとしときなよ。怪しい奴らもいるかもしれないし」
ま、この状況じゃどうにもできませんけど。
『ガッ……ゴッ えー、会場にお越しの皆さん、こんにちは〜〜』
しばらくして、騒がしい出囃子が鳴ったかと思うとステージに人が出てきました。小奇麗なカジュアル
服で、どこか慣れた感じですね。
『えー今からですね、明日の本番の説明をさせて…』
「あーーー、ザクパイロットの君! ヒロくん!」
「え?」
と、どこからから僕を呼ぶ声が聞こえましたね?
だ、誰だ?
「あらまぁ、えらい偶然」
「こんにちはー」
「みんな、久しぶりね!」
てぃ、ティアさん達だ!
マルコくんにモモさんにアニーさんにシュウジくんと名字が同じなシュンさん! 久しぶり
すぎる……
みんな勢ぞろいで、元気そうです。
「ザク、パイロット?」
「つ、ツジさん、なんでもないよ! なんでも!」
「おーう、何かアタシまずいこと言ったかしら」
「さぁ〜? 言ったんじゃない?」
マヤさん、あなたがフォローしないでどうするんですか……
浮上ー
誰か我が家に魔女がやって来た!ってエロゲをゆずって下さい
エロゲなら俺は「催眠学園」が好きだな。
270 :
通常の名無しさんの3倍:2005/04/11(月) 20:05:49 ID:5sqzs2Ub
ここからエロゲを語るスレになりました。
「やー、それにしても久しぶりだねぇ」
「ええ、こうしてザク研の皆さんとお会いするのもあの騒動以来…」
「えーーーっと、そういえばマルコくん達、僕達と隣同士だったよね?
フリマの方って」
「え? ああ、そうですね」
「そうそう、私達もすごくびっくりしたの! 驚いちゃった」
「……」
まずいですね。
僕達ザク研のメンバーだけならともかく、今日はカナイさんとツジさんが
います。ツジさんにハロやザクのことがバレたら、色々と面倒なことに……
……すでに、ツジさんの視線を背中に感じますけど。
『はーいどーもー! こんにちはー!』
んっ?
と、久しぶりの再会に盛り上がっている所で、突然ステージ上にテンションの
高い男女が出てきました。
見たことないですね。スタッフ?
『…ってねっ、まあ案の定誰もこっち見てないわけですけども』
『まぁこんなもんですわ! 俺らなんて死ねばいいんですよ』
『ちょ待てや、なんでお前いきなりテンションどん底やねん』
妙に司会がこ慣れてます。お笑いの人?
「あの2人を呼ぶなんて、市もやるね」
「え、モモさん知ってるんですか?」
「うん、関西じゃ有名なコンビだよー、こっちじゃほぼ無名だけど。でもよく
本番前の説明会に来てくれたよねー」
関西じゃ有名なのか……それだけ、このお祭りも大きなものなんでしょうかね?