ガンダムバトルロワイヤル 第三回大会 第七章

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238イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/08 01:51 ID:???
部屋の外へ出て行く少女の後姿を見送り、愁林は立ち上がる。

「……強い子ね。私なんかより、よっぽど強い」

ともすれば自嘲とも取れる内容の台詞。
だが、それを口にする彼女の顔は、凡そ不釣合いなほどに明るい色を帯びていた。

不釣合いな表情。
不自然な表情。
それらはお互いに紙一重の存在なのかもしれない。
ならば、今の愁林の顔に浮かぶのは両者の何れなのか―――答は、彼女の胸の中にのみ存在する。

独占欲。
ヤキモチ焼き。
傲慢さ。
見栄。
プライド。
我侭。
猜疑心。
幼稚さ。
短慮。
迂闊さ。

全て、彼女自身の紛れも無い欠点。
16年のお嬢様生活で染み付き、8年の泥を喰うような生活で歪んでしまった、葉愁林のパーソナリティだ。
いびつな形ゆえにきわめて脆く、何かで支えなければ容易く根元から折れてしまうような、捩じくれた細木。
ならば、今一度―――
239イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/08 01:55 ID:???
「そうね。私はダグラスを愛しているのだから」

彼への想いを添え木に、天高く枝葉を伸ばしてみよう。
その木陰で、疲れた彼を休ませられるくらいに、大きな木となろう。

「……」

だが。
もしも。
添え木が失われてしまったら。
いびつに枝を広げた細木は、どうやって立ち続ければ良いのだろうか。
その問いに、答はあるのだろうか。

「リファニアちゃん、私も行くわ」

通路に出て、少女にそう声を掛ける。
不吉な予感は拭いきれない。だが、それでも愁林は、時計の針を進める事を願って止まない。

進んだ針が如何なる“刻”を指し示すか。
人なる身に、それを知る事は叶わない。

【行動:行動再開(-0)】【残り行動値:4p】【現在位置:T-11(ミョーコウ士官室前廊下)】
【特記事項:軽症(手当て済み)】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量54%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(ヘビーマシンガン残弾48%)】
【所持品:(銀のロザリオ)、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスと共に歩む、シェラザードへの警戒、「前に進まないと……」】
【同盟:No.05・ダグラス、No.20・リファニア、No.26・シェラザード(?)】
240シュウジ=アサギ ◆T2X.xlTDSU :04/03/08 02:35 ID:???
……医務室に到着してから処置が終了するまで、シュウジの意識は相変わらず朦朧としていた。
意識がはっきりとしていたのはノーマルスーツをいきなり脱がされたところと、三角巾を30分おきに解けと言われたところ、
針を刺されて「つっ」と声を出したところだけだった。
そして気が付いたときには自分の腕からはチューブが赤色と透明のパックに伸びており、
足には三角巾とガーゼと包帯と棒があった。

『はい、一応これで処置はお終い。
 せっかく港口にいるんだし、俺はこれからMSの整備と補給をやろうと思うけど……
 何か必要なものとか、あるか?
 手に入るようなものなら取って来てやるぞ』
「ありがとう……。
 そうだな……二つだけ。ビギナギナのコックピットの中にあるゼファーと俺のディパックを取ってきてくれ。
 それだけ……だ……。」

リナルドの方に首だけ向けて言うと、再び視線を天井に戻す。
そして、左胸に手を乗せる。心臓の鼓動が感じられた。
(まだ……生きてるな……。)

【行動:処置を受ける(−0) 会話(−0)】
【残り行動値:4p】
【位置:S−17 港湾部 医務室】
【機体状況 :レーダー不調? 待機中】
【参加者状況:右足重傷(処置済み)輸血・点滴中】
【武装:ザンネックベース(破損している可能性大 移動には問題なし) 4連装マシンキャノン(5斉射分)
    ビームライフル(残弾3)ビームサーベル×2、ビームシールド、フック付きワイヤー&ウィンチ】
【所持品:ディパック(水2g入り4本 食料三日分 ノートPC 計画書 紙とペン)
     拳銃 工具セット ゼファー(Zzz…) 首輪カバー×6 Hハイザック?】
【行動方針:ゼファー回収、???】
【同盟:07番ベルク?? 19番ラーズ? 08番ヨーコ 15番リナルド?
 中立:06番ジェイス? 14番 レイモンド】
廊下に出て、ふぅ、とため息をつくリファニア。
イブを励ましたいという気持ちは、嘘ではなかった。

……だが、それ以上に。

自分の為せない事をイブ達に為させる事で、それを自分の生きた証にする。
その為に殉じても構わないとまで決意したのだから、その決意がイブの弱気の為に無駄になっては、リファニアは道化だ。
そう思う気持ちの方が、強かったのである。

「結局、私って自分勝手なんだよなぁ……。」

小声でそう、呟く。
自分の願望を満たす為に、人を利用したり、一方的に善意を押し付けたり……。
意識してやっている訳ではないが、結局それをやってしまっている事は事実。
……ひょっとして、私って物凄くタチが悪いんじゃないの?
そう考えると、少し泣けてきた。

『リファニアちゃん、私も行くわ』

背後から、イブに声をかけられて、振り返る。
イブの表情は、明るかった。
その表情を見たリファニアの気持ちが、落ち着く。
……ああ、イブさんが少しでも明るくなってくれたのなら、私のおせっかいも、無意味なものじゃなかったんだ……。

「ありがとう、イブさん。トリィもきっと、喜んでくれるよっ。」

リファニアが感謝の笑みを浮かべ、イブに礼を言った所で―――。

定期放送が、艦内に流れた。
リーア=ミノフスキーの声ではない。
けたたましく騒ぎ立てながら、禁止区域を述べてゆく、ハロ達。
髑髏を抱えながら微笑むリーア=ミノフスキーと、その周囲で跳ね回るハロたちの姿が、思い出された。

リファニアの表情が、一変する。
口元に浮かべた笑みは、人を安心させる類のものでは、決してない。
瞳に宿す光は、研ぎ澄まされた刃が発するものに、似ていた。
リファニアは、やかましく定期放送をかき鳴らすスピーカーに向かって、振り向いた。
……リーア=ミノフスキー。そのやかましく騒ぎ立てるハロ達が、あなたの黄泉路への同行者になるかもね。
心の中で呟きながら、リファニアは銃を模した右手を、スピーカーに向けた。
腕を上げた時に右肩が痛むが、その痛みに顔を歪める事もない。

「そう退屈しないでよ。お祭りには、下準備が必要だからね?」

声色も低く、そう言い放つと、リファニアはバン!と、銃を模した右手を上げた。

「……さてと、やらなきゃいけない事、沢山あるなぁ。」

そう呟いた後、リファニアの表情が元に戻る。
リファニアは再びイブに笑顔を向け、頷くと、トリィの亡骸が転がるD−4区画士官室に向かった。
D−4区画士官室の前へ行くと、その周囲の廊下の壁や天井には、血の跡が点々とこびりついていた。
浮かんでいた血の珠は、空気洗浄装置にすでに吸い込まれていたが。

「……トリィ、入るよ……。」

扉を開けると、そこには相変わらず、凄惨な光景が広がっていた。
血の珠は、すでに無かったが、弾けていくつにも分かれたトリィの亡骸が、部屋のそこら中に転がっている。

「………。」

無言で士官室に入るリファニア。
部屋にかけられた、ジオンの紋章が描かれたタペストリを引き剥がし、床に広げる。
そして、リファニアはトリィの亡骸を拾い集め始めた。
二つ―――大雑把に言えば、だが―――に分かれた胴。もぎ取られた片翼。そして、数多の細かい肉片。
それらを拾い、タペストリの上に集めていった。
リファニアの顔には、何の表情も浮かんでいない。
沸き起こってくる感情を押し殺さなければ、泣き崩れてしまう。
それが解っているから、心を殺して黙々と亡骸を集める。

―――泣き崩れて何も出来なくなるような、弱いリファニアに戻る時間など、もうないのだ。

【行動 : 艦内移動(-1)、トリィの亡骸を集める(-1)、残2 】
【位置 : T-11(ミョーコウ、D−4区画士官室) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、推進剤不足、MA形態 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、要静養 】
【武装 : 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×10、
      腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【コンテナ入り武装 : 指揮官機用ブレードアンテナ(全体通信が行P1で可能)
            備考:コンテナはMS格納庫にあります。 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)、
      ジオン女性士官の制服、父の形見のジオン十字勲章、ナバン61式拳銃(艦橋)、抗生物質
      ノーマルスーツ、アレンの遺したギターとアンプ 】
【方針 : リーア=ミノフスキーに負けない、ミョーコウを護る、トリィを弔う 】
【同盟 : 03 イブ・シュウリン、05 ダグラス=ロックウード、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
243ラーズ ◆C5GRxBlS5o :04/03/08 16:29 ID:???
>>237
ヨーコからの声が聞こえてくる。…最も、その前の漫才も多少は感じ取っていたが。
…そして、通信が来た少し後でこう返す。
「……始めまして。ラーズよ。…よろしく。」
ここで、5秒ほど間を置いて…
「……私の胸気にしてるようだから言うけど…
カップはE一歩手前のD。…後で、状況把握能力に著しく欠けてるあの…
あんたに取り付いてたかと思ったらいきなり感覚が消えたさっきのバカ霊にも
教えてあげたら?…あ、ちょっとごめんね。汗が酷くなってきたから。」
言うと、女同士の上クライドがいなくなったからかシートベルトを外して
上のシャツを脱ぎ、上半身完全に裸の状態でシャツにて自分の体を
拭ってからもう一度シャツを着る。そしてもう一言言う。
「あ、パイロットスーツの予備、奥に埋もれてるから今外出るのは
無理って向こうに伝えといてね。」

【行動:ヨーコと通信回線継続(0p) シュウジと通信回線継続(0p) 爆弾発言(1p) その他(0p)】
【残り行動値:3p】
【位置:S17】  
【機体状況:異常無し】
【武装:ファンネル×6、両肩部3連装ミサイル×2、ビームサーベル・メガバズーカランチャー】
【SFS:スキウレ】
【所持品:ヤクト内(ディパック(中身は『飲料水2g入り3本』『地図』「食糧(彼女にとっての)2、5日分」) レポート用紙1冊 )
手持ち(細長い(そしてかなり大きい)アタッシュケース(中身はライフル(残弾10)) 大型要塞の内部地図データ)】
【行動方針:≪できれば欲しいモノ≫の入手 小惑星にあるであろう薬の入手】
【同盟:シュウジ ベルク リナルド ヨーコ…?】
まるで、僕の心の中が見透かされているようだ

シェラの言葉を聞きながら、僕はそんな事を思っていた。
しかし、そこに彼女に対する警戒心は生まれない。
代わりに沸いてきたのは・・・シェラに寄りかかってみたい。
そんな気持ちだったのかもしれない。

自分の気持ちが簡単に見透かされる。
己の未熟さを恨むと共に・・・・・・逆に、解かってくれた彼女に、
正面からそれを認めてくれた彼女の事を、心の奥底で嬉しくも思った事も確かだった。

シェラの手・・・とても温かい・・・・・・。。
そして、彼女の麗しい唇から生み出される一言一言は、確実に僕の気持ちを掴んでゆく。

『お願いよ、ダグラス。あたしに許して。あなたにあたしを伝えることを許して。
 あたしがあなたの役に立つ女であることを、あなたを支えられる女であることを知って頂戴………』

―――ドクンッ・・・

次の瞬間、一段と心臓が躍動する。
シェラの瞳を見つめる・・・・・・今は、彼女の瞳しか見られない。
顔が朱に染まり、自分の瞳も次第に潤みを増す。
それは、無言の了解でもあった・・・。

【行動:シェラと会話(−0)】
【位置:T−11 艦橋】【残り行動値:4p】
【機体状況:肩部損傷 格納中】 【身体状況:通常+α】
【武装:頭部バルカン×2(残弾90%) ビームサーベル カメラ・ガン  ザクバズーカ(残弾3)
     ビームピストル×2 ビームシールド(破損) クラブ×1 ムサイ級軽巡(損傷軽微)】
【所持品:イブのロザリオ 拳銃 家族写真 コッペパン×2 水2リットル入り×2 弁当×1 お菓子少々】
【行動方針:イブと生きる 艦長として行動 休養 シェラを受け入れる?】
【同盟:03番イブ 20番リファニア 26番シェラザード】
245イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/08 21:59 ID:???
黙々と、飛び散った“友だち”の亡骸を集め続けるリファニアの小さな背中。
気丈に張った心を、そして自分には無い強さを感じ、愁林は目の前の少女がとても眩しいものに思えた。

「貴方は、強いわね……」

彼女の傍らにしゃがみ込み、愁林もまたその作業の手伝いを開始する。
鮮やかに紅いノーマルスーツの指先が、酸化して黒ずんだ血で少しずつ汚れていく。
やがて指全体が黒く染まる頃に、漸く回収作業は終わりを告げた。

「ねえ、リファニアちゃん……」

ベッドに腰を下ろし、愁林は少女に話しかける。

「……こんな時に、こんなお願いするのが非常識なのは分かってるけど。
 でも、多分この機会を逃したら言えなくなると思うから、恥を承知で言わせて貰うわね」

その頬が、微かに朱色に染まっている。

「……さっき、私が貴方の前で見せた“弱さ”、忘れてくれると嬉しい。
 やっぱり私は、その……ダグラスの前以外では、見栄を張って生きていたいから」

柔らかな表情。

「ダグラスの前では、私は幾らでも弱くなれる―――その事を、大切にしたいから……。
 それが、いつか私に相応しい男になるって、そんな夢を語ってくれたあの子への、信頼の証だと思うから」

そして、場違いな台詞を言ったことを苦笑しながら詫び、愁林は再び立ち上がった。

「……トリィの弔い、ちゃんとしてあげたいでしょう?
 キリスト教式のものでよければ、鎮魂のお祈りも知っているのだけれど、どうかしら」
246イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/08 22:01 ID:???
【行動:艦内移動・リファニアの手伝い(-2)】【残り行動値:2p】
【現在位置:T-11(ミョーコウ艦内・D-4士官室)】
【特記事項:軽症(手当て済み)】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量54%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(ヘビーマシンガン残弾48%)】
【所持品:(銀のロザリオ)、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスと共に歩む、シェラザードへの警戒、「前に進まないと……」、トリィを弔う】
【同盟:No.05・ダグラス、No.20・リファニア、No.26・シェラザード(?)】
247リーア先生 ◆UktGzzmQ/o :04/03/09 00:07 ID:???
第七章 >246 現在

  A B C,D E,F G,H. I ,J K L M,N O.P.Q.R S,T U V,W,X,,Y Z
01◎■◎■□□□□□■◎◎■□■■◎□□■■■■■□◎
02◎◎■□□◎□□□□■■■■◎□□□□□□■■■■※
03■□□□□□◎□◎□□■■□□□□□◎□□□■■■■
04◎□□▼◎□□◎□□■◎■□□□□□□□◎□■※■■
05□□□□▼07◎□◎□■◎■■□□□◎〓□□□◎□□◎
06■□◎□□□□□◎◎◎□□10□□□□□□□■□□◎□   □:開かれた空間
07※■■◎◎□□□□□□□□□■□◎□□◎□◎□□□□   ■:暗礁空域
08■◎※◎□□□□□〓〓□□◎□□■□□□※※□□□□   ※:戦場跡
09■■※■■□◎□□□□◎□□◎□□□□※□※◎□■■   〓:コロニー
10◎■◎■■□□□◎□□□□□◎□□□※◎◎◎※□□■   ▼:小惑星基地
11■□■◎■■◎◎■□□■□■■□□□□03◎※□□■◎   ≠:崩壊したコロニー
12◎■■■■◎□□□□□◎■■■◎■□□□□□□■◎■
13※■■■◎□□◎※□■■■□■□■◎◎□□□□◎◎■   ◎:侵入禁止区域
14■■□◎◎□□▼□□□■※■□■◎□□□□◎23■■◎   ×:侵入禁止予告区域
15■◎■■■□□▼□□□□■□□□◎□□□□■◎■■■
16■□■■□□□□□□◎□□□□◎□□□◎※□□◎■■
17□□■□□□□◎□□□◎■■□□□0601≠□□□◎◎■
18◎□□◎□□□□□□■■◎◎□□□□□□□□□□□◎
19□◎□□□□■□□◎□■■■■□◎□□□□◎▼□□□
20□□□□□◎□□◎□◎□■□◎□□◎□□□▼▼□□□
21◎□□〓〓◎□□◎□※◎※※□□◎□◎□▼▼▼◎□□
22■□◎□□□◎◎◎※※※◎□□□□□□▼▼▼◎▼□□
23■■□□□◎□□□◎◎◎※◎■◎□□◎□◎▼▼□◎□
24※■■◎□□□□■◎□※◎■■■□□□◎□□□□□■

01・08・15・19は同一地点。03・05・20・26は同一地点。07・11・14・21・25は同一地点。
03・05・20・26はムサイ級戦艦に搭乗。03・05・20・26の機体はムサイに収容。
乗り手不在のゴトラタンもムサイに収容。H-14の基地内に『作業用プチモビ』。
02・04・09・12・13・16・17・18・22・24死亡。
 大きく息を吸って、吐く。
 下を向く視線の先で、私の胸が上下する。

「っはー…… 有難う、神父さん。
 利いてくれただけで助かった。
 生きる意味の事、聞いてきたわよね?」

 見る目の無い私が、見た限りでは。
 それはきっと……

「人の気持ちが解る事がアナタの場合の意味なんじゃないかしら?
 少なくとも、今私は助かった。
 少しかもしれないけれど、さっきよりも確実に気が楽になった……
 ごめん、遅れちゃうよね。
 さ、早く行きましょうか!」

 鼻をすすり、指で拭いて先に歩く。
 足取りはさっきよりも若干軽い。
 格納庫までへの道のりは、さっきよりもずっと早かった。


【行動 : 会話(0) 移動(−1) 】
【残り : 3P 】
【位置 : F5 】
【機体 : ジャベリン : 右腕消失 】
【身体 : 異常なし 】
【武装 : 頭部バルカン砲×2、ビームサーベル×2、ショットランサー×2
       ビームシールド MS用大型ガトリング・ガン(ドラムマガジン付き)】
【所持品: 工具箱一式、懐中電灯、頑丈な腕時計、携帯ゲーム機、小説、LD、薬品一式、血塗れのリボン】
       アッパー系の麻薬(3日分)、寝袋、マリファナ、ディパック、レーション
       レトルト沢山、毛布、着替え一式、その他】
【方針 : もう一つの優勝 】
【同盟 : No.21/アーネスト No.25/ルイ No.14/レイモンド 】
>>240
「ゼファーとデイパック、だな」

それを聞いて、リナルドは医務室を出ようとして……ふと、足を止めた。
いつになく神妙な面持ちでシュウジの方に向き直ると、おもむろに口を開く。

「……シュウジ。
 お前は俺を75%信頼していると言った。
 それはそれでいい。
 別に10%だって構わない。
 
 だが、俺はお前を信じるよ。
 最後まで、お前が俺に銃を向けても信じることにする。
 今、俺はそうすることでしか自分を保てそうにない。
 この世界で何が正しくて何が間違ってるのか、今の俺にはその判断すらつきそうもない。
 一つ分かっていることは、初めてこのコロニーでお前と会った時、
 俺はお前を信じようとしたこと……。
 だから、俺はもう一度その時の俺に戻る。
 
 もし、もしも。
 俺が自分で自分の身体を制御できなくなった時は、お前が俺を撃て。
 できないとは言わせない。
 それに、さっきのようにコントロールを取り戻す自信も無いからな。
 ヨーコを守りたいのなら、俺が暴走した時は迷わずに俺を殺せ。
 ……頼んだぞ」

“決断”と呼ぶには不安定すぎる決断。
だが、それでも決断を下さなければ、暴走するよりももっと酷い未来が待ち受けていることが
彼には分かっていた。
何より、妹は彼の決断を信じて身体を返したのだから。

「……俺だって、リーアに会うまで死ぬ気は無いけどな」

一度も笑わずそう言って医務室を出たリナルドは、作業に取り掛かるためMSの元へと戻った。

≪続く≫
>>249続き

まずはゼファーとデイパックの回収を先に済ますべく、ビギナ・ギナに向かった。
ゼファーにシュウジから回収を頼まれていることを告げ、ビギナ・ギナをデッキの補給スペースに移動させてから
ゼファーユニットとデイパックを持って機体を出る。
次はアビゴル。
彼はアビゴルに乗り込んでビギナ・ギナの隣へと移動させると、
今度はガズRまで移動し、ヨーコに声を掛けた。

「ヨーコ。
 俺はシュウジの輸血の間に機体の整備と補給をやる。
 このゼファーとあいつのデイパックを医務室まで持って行ってくれないか?
 ……君も、シュウジの近くにいた方がいいだろう?」

気にならないと言えば嘘になる。
リーアに似すぎているこの少女を見て、リナルドが気にしないわけがない。
……もっとも、リーアとヨーコ、両者の内面は大きく違っているようだが。

リナルドは精一杯虚勢を張って、力無く笑ってみる。
やはり、ヨーコには寂しそうに笑っているように見えただろうか?
しかし、彼女はリーアではない。 ヨーコなのだ。
例え闇が彼を覆い尽くそうとも、彼はそれを認めなくてはならない時を迎えている。
いや。 心のどこかで認めていながら、それ自体を認めようとしなかった結果が首筋の傷なのかもしれない。
どちらにせよ、決着をつける必要があることを彼は感じていた。

(だから俺は、俺が仕留め損なった自分の弱さと決着をつけなければならない。
 再び戦いへと身を投じる前に)

ゼファーとデイパックをヨーコに預けると、彼は無言で補給作業へと移った。

【行動:医務室→デッキ(-1)、回収&MS移動(-2)、ヨーコに荷物を預ける(-1)】
【位置:S-17コロニー港湾部・MSデッキ】
【残り行動値:0pts.】
【機体状況:MS形態・通信回線継続(シュウジ・ヨーコ)】
【武装:(MS)ビームカタールx2、ビームカッター、頭頂部ビームキャノン、ヒートサーベル
   (MA)ビームカッター、グフシールド(半壊)】
【生徒状態:通常・左首筋に軽度裂傷】
【所持品:デイパック、コッペパンx2、水2gx5、食料5日分、着替え一組、ノーマルスーツ、拳銃(20)、救急箱
   (以下私物)MS状態チェック用ポータブルコンパネ、愛用眼鏡、配線修理用工具一式】
【行動方針:もう一度、覚悟を】
【同盟:01番シュウジ 07番ベルク? 08番ヨーコ 19番ラーズ??】
>20訂正
【行動:離脱(1)移動(2)】
【位置W14】【残り1P】
>>244
ダグラスの瞳が潤む。その頬が淡く紅潮し、身体から余分な力が抜ける。
それは肯定だった。シェラザードを受け容れ、その申し出に応えようとする、無言の許容だった。
だからシェラザードは微笑んだ。官能の昂ぶりを露わにしながら。

「………嬉しい………」

喜びと悦びが込められた吐息が、ダグラスの鼻と口を覆う。
甘い香水と女の匂いが身体から立ち上り、2人の周囲を包み込む。
熱を帯びた視線を潤んだ瞳で受け止めながら、シェラザードは一旦顔をダグラスから離した。
もう一度、その全てをダグラスにさらすために。

「そうよ、あたしが全部受け止めてあげる。あたしの全てで、あなたに教えてあげる。
 あたしがどれだけあなたを信じているか、あなたがどれだけ素敵な男性なのか、教えてあげるわ。
 あたしはあなたのもの。あたしはあなたの女。そのことを、感じて頂戴………」

重ねたままの手を今度はノーマルスーツのファスナーの部分に当てる。

「ダグラス、あたしを見て………」

その前がゆっくりと開かれていく。シェラザードの肉体が、ダグラスの視線に晒されていく。
ファスナーを下ろしているのがダグラスなのか、シェラザードなのか、見ただけでは判断できない。

「これがあたしよ………あなたのシェラザードなのよ………」

シェラザードがどうしようもないほど女であることを示す豊かな二つの膨らみ。
それを覆う純白の下着と、鮮やかな褐色の肌との対比が、少年の瞳にはっきりと映る。
それはまさに女だった。男の脳を灼き、その本能を強烈に刺激する、牝そのものだった。

「ダグラス、あなたはあたしを必要としてくれる? あたしが欲しいと、そう思ってくれる?」

ダグラスは頷いた。興奮に頬を染め、瞳を潤ませ、官能の熱に浮かされながら、ゆっくりと………だが確実に。

「………なら、それをあたしに教えて。あなたの心を、あたしに伝えて。
 言葉だけでなく、行動でも教えて。
 あなたが今まであたしにしてくれたように、あたしに教えて頂戴」

ファスナーが開ききったところで、ダグラスの手がシェラザードの肩に当てられる。
その手が完全に開け放たれた前から中に潜り込み、その視線を妨げるスーツをゆっくりと脱がしだした。
今まで誰の目にも触れることがなかった肩から二の腕が直接外気に触れ、露わになってゆく。

「全部、あなたのものよ。あたしの全てを、好きにしていいのよ。
 そうすることで、あなたはあたしに伝えられる。あたしもあなたに教えられる。
 ダグラス、あたしを本当に大切だと思うなら、信じてくれるなら、あたしの全部をあなたのものにして………」

シェラザードの肉体の隠されていた部分が減少していくのと共に、ダグラスの呼吸が荒くなっていった。
普段は眠っていた少年の獣性。本人すらその存在を忘れていたかもしれない、蒼い欲望。
人間を人間たらしめる最も根源的な本能、牡が牡であることの証明が、むき出しになろうとしていた。
「そうよ。いいのよ。何も考えることはないのよ。遠慮する必要もないわ。
 あたしを見て。あたしを感じて。ただそれだけを考えて。他には何も考えないで………」

上半身が完全に露わになったところで、シェラザードは両手をダグラスの首に回した。
瞳を情欲で輝かせ、媚薬と化した吐息でその肌をくすぐりながら、少年に残された最後の安全装置、
今まさにはじけ飛びそうになっている理性に最後のとどめを刺す。

「好きよ、ダグラス………」



ダグラス、あたしに溺れなさい。
あたしの全てをむさぼって、飲み込んで、中と外の両方で感じて、あたしに染まりなさい。
あたしは気持ちいいわよ。とても気持ちいいわよ。何も考えられなくなるぐらい、気持ちいいのよ。
だから、あなたをあたしに突き刺しなさい。あたしをえぐりなさい。あたしをかき回しなさい。そして全部吐き出すのよ。
あなたの全て。あなたの全部。普段は隠している、見せないようにしているところも、みんなあたしに晒しなさい。

あたしは受け止めてあげる。あたしの全部で、受け止めてあげる。

あたしの何処でも使っていいわ。何処にでも吐き出して、晒していいわ。あたしは「あなたのもの」なのだから。
そして覚えなさい。魂と肉体に刻み込みなさい。
あたしがどんなに気持ちいいか。あたしの言葉、あたしの身体が、どれほど素敵で素晴らしいものなのか。
あたしはあなたに刻みつけてあげる。あなたの中に溶かし込んであげる。あなたの中に、あたしという女を。

さあ、ダグラス。一緒に気持ちよくなりましょう。
死ぬような快楽を共にしましょう。そのまま死んでも構わないような官能に溺れましょう。
あたしのダグラス。可愛いダグラス。今からあなたを、あたし達だけの天国と地獄に連れていってあげるわ。



そしてシェラザードはダグラスと唇を重ね、肉体を重ねていった。

【行動:大人の時間(−1)】
【位置:T11・ミョーコウ・ブリッジ】【行動値残り:3】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U】 【パイロット状況:「女」】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、105mmザクマシンガン(弾倉×3)】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤13日分】
【方針:ダグラスを「撃墜」】
【同盟:No.03・イブ??、No.05・ダグラス(?)、No.20・リファニア(?)】
「にょほほほほ。
 ならば、今のところは休戦や。
 台所が見つかって、腹が膨れた後に本当の戦いが
 始まると覚えておくんやなー!!」

ルイの正義の味方とは思えない笑い声がデッキに響く。
俺も負けずに胸を張ってルイに視線を送る。
そして俺とルイは暫し笑みを浮かべて睨み合っていたが、その静寂は1つの音によ
って破られる事となった。

『ぐ〜』

それは明らかにルイの方…もう少し正確に表現すれば、ルイのお腹から聞こえてきた。
どうやらルイは本気で腹が減っているようだ。
心なしか、ルイの顔に動揺が見え隠れしているように見えるのは気のせいだろうか。
俺は先程とは違う種類の笑みを浮かべてルイを眺める。

(全く、そんな大きな音を立てるくらい腹が減っているんなら、やせ我慢してまで
 正義の味方ごっこをしなくてもいいだろうに。…まあ、そこがルイらしいと言え
 ばルイらしいのかもしれないが…)

自身の空腹よりも笑顔を創る事を優先させるルイの姿勢が、俺にはとても微笑ましい。
そして出来る事なら俺もそれに付合ってやりたい。
マリーがいなくなってから10年以上。
CVでは戦友として戦場で信頼はしても、プライベートでの付き合いはなかった。
畑仕事をしていた時は、他人との干渉自体が殆どなかった。
誰かと心から笑いあえる事がなかった10年間。
もしかしたら俺は今、その空白を埋めているのかもしれない…。

「さて、それじゃこんなとこでぼやぼやしているわけにもいかないから、とっとと
 食堂を探しに行くか。おそらく、結構近い所にあると思うんだが…」

歩き出してから、ルイを振り返って更に笑いながら一言。

「これ以上、ルイのお腹に可愛い抗議の声を上げさせるわけにもいかないしな」

  【行動:内部に移動(−1)】
【残り行動値:3p】
【位置:F-5】  
【機体状況:異常無し】
【武装:頭部60mmバルカン砲×2、ビームサーベル、ビームシールド、
胸部ニ連装マルチランチャー、ABCマント、ビームライフル(残弾6)】
【所持品:ディパック、水2g入り2本半、食料21/3日分、シャベル(小)、
蕎麦団子2個、蕎麦の種子、拳銃と自動小銃と弾倉、マジック】
【行動方針:食堂はどこだろう?】
【同盟:なし】
『貴方は、強いわね……』
黙々とトリィの亡骸を集めるリファニアの傍らに座り、イブも作業を手伝い始めた。
リファニアは無言で頷き、そのまま作業を続ける。
程なくして、トリィの亡骸はタペストリの上に集められた。
作業が終わる頃には、リファニアの手も、イブの手も、赤黒い血で染まりきっていた。

集められた亡骸を、無言で、無表情で見つめるリファニア。
その心の中に、様々な感情が浮かんでくる。
そのありとあらゆる感情のどれもが、負の涙を誘い出し得るものだった。
……だから、リファニアは、努めて心を殺した。

『ねえ、リファニアちゃん……』

唐突に、イブに声をかけられた。
無表情なまま、ベッドに腰掛けたイブに顔を向ける、リファニア。

『……こんな時に、こんなお願いするのが非常識なのは分かってるけど。
 でも、多分この機会を逃したら言えなくなると思うから、恥を承知で言わせて貰うわね』

そのイブの言葉に、リファニアはいつもの笑みを浮かべ―――。
……浮かべようとしたが、酷くぎこちないつくり笑いになってしまった。
瞳を閉じて、心を落ち着かせようとするリファニア。
再び瞳を開いて浮かべた笑みは、なんとかいつもの笑みらしくなっていた。
その笑みのまま、リファニアは頷き、続きを促した。

『……さっき、私が貴方の前で見せた“弱さ”、忘れてくれると嬉しい。
 やっぱり私は、その……ダグラスの前以外では、見栄を張って生きていたいから。
 ダグラスの前では、私は幾らでも弱くなれる―――その事を、大切にしたいから……。
 それが、いつか私に相応しい男になるって、そんな夢を語ってくれたあの子への、信頼の証だと思うから』

それを聞いて、リファニアの笑顔が、形だけではなくなった。
イブが、"彼女らしさ"を取り戻してくれたように、思えたからだ。

「……はい、忘れますね。
 プライドの高いイブさん、素直で可愛いイブさん、どちらもイブさんです。
 そして、可愛いイブさんは、特別な人にだけ見せてあげて下さい。
 ……ちょっと、生意気な言葉ですよね。」

ぺろりと、舌を出すリファニア。
そして、リファニアは少し真面目な表情になって、言葉を続けた。

「私がクローンだって知っているの、イブさんだけです。
 ……これはアレンにも、言えなかった事です。
 この事、秘密にしておいて下さいね?
 変に意識されちゃったら、嫌ですから。
 私は私として、見てもらいたいですから。
 ……お互いに人に言えない秘密、抱えちゃいましたねっ。」
言葉を終えて、再びトリィの亡骸に視線を戻すリファニア。
憂いを秘めた笑みを浮かべながら、亡骸をタペストリに包んで、抱えあげた。

『……トリィの弔い、ちゃんとしてあげたいでしょう?
 キリスト教式のものでよければ、鎮魂のお祈りも知っているのだけれど、どうかしら』

そんなリファニアに、イブがそう声をかけてくる。
イブの提案に、リファニアは感謝の笑みを浮かべて、答えた。

「はいっ、お願いしますっ。
 ……私の家、教会だったんですけど、私、あんまり祈りの言葉とか解らないんです。
 イブさんがやってくれるなら、トリィも喜んでくれるはずです。
 ……この場でお祈り、お願いします。
 あとは、私がやりますねっ。」

トリィの亡骸を抱えたまま、リファニアは、そう言った。
トリィをどのように葬るのか、リファニアはすでに決めていた。

【行動 : イブと会話(0)、残4 】
【位置 : T-11(ミョーコウ、D−4区画士官室) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、推進剤不足、MA形態 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、要静養 】
【武装 : 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×10、
      腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【コンテナ入り武装 : 指揮官機用ブレードアンテナ(全体通信が行P1で可能)
            備考:コンテナはMS格納庫にあります。 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)、
      ジオン女性士官の制服、父の形見のジオン十字勲章、ナバン61式拳銃(艦橋)、抗生物質
      ノーマルスーツ、アレンの遺したギターとアンプ 】
【方針 : リーア=ミノフスキーに負けない、ミョーコウを護る、トリィを弔う 】
【同盟 : 03 イブ・シュウリン、05 ダグラス=ロックウード、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
257イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 13:53 ID:???
>255-256

秘密を共有する者同士に特有の、奇妙な背徳感に思わず頬が緩む。
リファニアの愛らしさ、その明るさに、少しばかり体が軽くなるのを愁林は感じた。

「それじゃあ、ロザリオ、取ってくるわね。
 ダグラスにお守り代わりに貸してあげてるのよ、今」

―――愁林は何も知らない。

「心を込めるには、まず形から入らないといけないでしょう。
 それにね、ロザリオの珠にはそれぞれ、ちゃんとした意味があるの。
 ロザリオの玄義って言うのよ。
 お葬式には少し似合わないけれど、とても綺麗なお祈りなの。
 あのアレン君の友だちでもあるのなら、明るく送ってあげたほうが喜ぶでしょう?
 だから、少しだけ待っていなさい。すぐに戻ってくるから」

―――愁林は何も知らない。

D-4士官室を後にし、向かう先は艦長室。
そこでダグラスは―――彼女の最愛の少年は休憩している筈である。

「……そうね、あんな風に励まされたら、頑張らないわけにはいかないものね」

―――愁林は何も知らない。
258イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 13:54 ID:???
飛ぶような足取り。
実際無重力の通路を駆けるのだから、半分は比喩ではなく、そのままの描写である。
ドアの前に立ち、軽くノックを繰り返す。
だが、静まり返った室内からは何の返事も返っては来なかった。
少しだけ怪訝に思い、ドア脇のボタンを押す。
鍵のかかっていないドアが開き、誰もいない室内が現れた。

「……ダグラス?」

艦橋かしら。
頑張り過ぎよ、もう少し休んでいても良いのに。でも、そんなところも頼もしいわね。

心の中で呟きながら、顔の温度が上昇するのを感じる。
部屋の中に踏み入り、ベッドのシーツに軽く手を触れてみる。
ダグラスの温もりが残っているような気がして、頬は更に紅潮していく。
このベッドで、彼を膝枕して。
その可愛い寝顔に、胸が高鳴って。
でも、それ以上にか弱い彼を、守ってやりたくなって―――

軽く頭を振り、火照った頬をぴしゃりと叩く。
少しだけ頭に上った血は、問題なく全身へと戻っていった。
それを確認し、愁林は踵を返す。
目指す先は艦橋。
愁林にとってただ一人の、何物にも代えがたい大切な少年の待つ場所。

「ダグラス、ちょっと良いかしら。
 これからトリィの弔いをするのだけれど、貴方も良かっ―――」
259イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 13:55 ID:???
―――愁林は、何も知らなかった。

開いたドアの向こう。
絡み合う、男女の影。
聞き覚えのある女の声。
誰よりも大切に思う少年の、聞き覚えの無い吐息。
誰よりも愛して止まない少年の、見覚えの無い顔。

鼻をつく匂い。
微かに漂うそれは、カビの生えたチーズを思わせる。

記憶のかさぶたが、ゆっくりと剥がれ落ち始める―――。

あれは誰?
あそこで私以外の女を愛しているのは誰?
切なそうに声を上げているのは、誰?

心のかさぶたが、ゆっくりと剥がされ始める―――。

「―――何を……しているの……?」

震える声。
震える肩。
震える膝。
体が崩折れてしまいそうになるたびに、軋む背骨にどうにかプライドを通して補強し。
ふらつこうとする両足を意地と見栄で何とか支え。
その問いを、愁林は漸く搾り出した。
260イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 13:57 ID:???
【行動:艦内移動(-2)】【残り行動値:2p】
【現在位置:T-11(ミョーコウ艦橋)】
【特記事項:軽症(手当て済み)】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量54%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(ヘビーマシンガン残弾48%)】
【所持品:(銀のロザリオ)、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスと共に歩む、「何も、考えられない」】
【同盟:No.05・ダグラス、No.20・リファニア、No.26・シェラザード(?)】
>>248

(他人の事は大体解る気がする。
 第三者として冷戦に判断できるから・・・・・・・でも、
 自分のことは解らないんだ――――――――――。)
 
歩いていく彼女の背中は前より寂しくは無さそうだった。
その彼女の後を俺は着いて行く。

(俺でも、少しくらいなら誰かを救えた。
 でも、まだあれは俺の言葉じゃない。
 懺悔に来た人に答える神父さんをずっと見てきた、
 その神父さんの言葉を借りただけに過ぎない。
 だから―――――――――見つけてやる”俺自信”を。)

【行動:移動(-1)】
【残り行動値:3】
【位置:F-05】
【機体状況:待機 】
【武装:(本体)ビームアックス、3連装ミサイルランチャー×2、(左手)ビームシールド、
    (左手) ビームライフル(E53%)(右手)ビームダガー×4本 】
【所持品:ディパック コッペパン一つ 水2g三本 水1g一本 食料ニ日分 
     十字架 聖書 特殊情報端末 チ○ルチョコ20個ほど】
【行動方針:”答え”を見つける】
【同盟:01番 シュウジ=アサギ?? 08番 ヨーコ=クロサキ? 
    15番 リナルド=グレイス?? 19番 ラーズ=フィリー?】
タイムカウンターが0を示す。
それはすなわちムサイが自沈した事を表す。
しかし、光は無い。爆発じと同時にあふれるはずである、心地良い光のシャワーが。

そのまま光点は北上をはじめそして漆黒の闇に消える。

「わざわざ迎撃に来てくれないのはありがたいんだが、どうにもこうにも射撃武器を手にいれにゃあ。」

こちらもコントロールレバーを握りスラスターを吹かす。
残骸に出来る限り触れない様に慎重に慎重に機体を動かす。
残骸に撃墜されてはただの笑い者にしかならない。もっとも戦闘中は別だが。

艦コツコツとたまに機体を介して軽い衝撃が伝わってくる。
開けた空間に出たときは思いきりスラスターを吹かし、一気に戦場後まで突っ切る、
そうでなければ、それこそ本当に撃墜されかねない。


【行動:移動(4)】
【位置W10】【残り0P】
【機体:足バランス多少悪】【身体状況:左上腕被弾(貫通)】
【武装:60mm頭部バルカン×2両肩部マシンキャノン×2(92%)、ビームサーベル×1、
左足部ヒートダガー×1、両腰部シザーアンカー×2、ブランドマーカー(ビームシールド
兼用)×2】
【持ち物:コッペパン1個 水2g入り2本 サバイバルキット 煙草196本 信号弾各4個ー1
自動拳銃(8発)マスク(緑色、木製)   自動小銃1丁 予備マガジン4個】
【方針:隠された翻意】
【同盟:皆無】
263アーネスト・マンソン:04/03/09 19:35 ID:???
(;´Д`)  ・・・・・・

 (;´Д`)つ コッチ

(二人の強烈な漫才に圧倒され、リアクション不能となる殺人鬼)
【位置:F5】
【機体状況:正常、MS形態】
【パイロット状況:疼く・・・・・・疼くんだよ。頭が】
【武装:ガザD(現在搭乗中)
 ビームサーベル×2、背部ビーム砲×2、肩部5連装ミサイルポッド×2、
 ナックルバスター、足裏部2連装メガ粒子砲×2、脚部格闘用クロー×2
 ワイヤーホーク×1、スリングクラッカー×2(武装庫に保管)、バズハンマー×1(右手に装備中)】
【行動:食堂はこっちです(0)】
【コンテナ武装;ザクT;武装ザクマシンガン×1、予備の30連ドラムマガジン×1、ブービートラップ(クラッカー)×1、
 現在武装庫に保管中】
【所持品: ディパック、首輪、軍用レーション2日分、水入りボトル2本(残り3g)、ナイフ、
 絞殺具、防弾ジャケット(拳銃弾対応)、ノーマルスーツ用酸素ボンベ3本(合計9時間分)、
 拳銃(弾丸15発)+予備カートリッジ2本、アサルトライフル(弾丸16発)+予備カートリッジ2本、天然フリーズドライのお肉800グラム
 ビームライフル×10、てづくりちょこ、てぃーちゃーちょこ、GHB10回分、ガスバーナー】
【方針:俺は、見たい。見たいんだ。結末を】
【同盟:サーティア?レイモンド?、ルイ?】


『さて、それじゃこんなとこでぼやぼやしているわけにもいかないから、とっとと
 食堂を探しに行くか。おそらく、結構近い所にあると思うんだが…』
と、言っておっさんが先に歩きはじめた。
「あ、待ちや・・・・・・」
と、声をかける前におっさんが振り返って一言。
『これ以上、ルイのお腹に可愛い抗議の声を上げさせるわけにもいかないしな』
「ちゃ、ちゃうわ。
 あの声は・・・・・・そう、今アタシが着てる服にくっついとる蛙が
 『ハラヘッタ〜』ちゅーことで『ぐ〜』と鳴いたんや。
 あ。今、嘘やと思うたやろ〜。
 嘘やないよ。証拠みせたろか?」
そう、声をかけワザとのーまるすーつのチャックに手をかけて
からかっとる最中に別のところから声がする。
『 (;´Д`)つ コッチ  』
あーたんが実は食堂の場所を知っているようやった。
おっさんが進んだ方向とは別方向。チャーンス!!
「おっさーん、あーたんが食堂の場所知っとるって言うとるよ。
 こっちやて。
 じゃ、お先に!!
 後についた方が先についた方を奢るっちゅーことで!!」
そのまま、おっさんに背を向けてあーたんが指さした方向へ走りだしたんや。

【行動 : あーたんありがと (0) 食堂に向かって猛ダッシュ!! (0) 残り4 】
【位置 : F-5 】
【機体状況 : 体育座りでタイヤにのっかっとる 只今お留守番の最中やー 】
【パイロット状況 : はらへりー 】
【武装 :ビームサーベル、両肩部3連装ミサイル×2、両肩部ムーバブルシールド×2
      120mmザクマシンガン+弾倉2つ
      アインラッド 武装:ビームキャノン×2、9連装ミサイルポッド】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本
      中身のたくさん入ってる財布
      (硬貨が20枚ぐらいお札が40枚ぐらい。あとサービス券とかカードが入ってる
       それと暴漢対策に鉄板が仕込んであって
      ナイフも通さない、銃弾も効かない・・・・・・試した事はあらへんけど。)
      つっこみ用スリッパ(片方だけ) 】
【方針 : みんなで御飯食べよ。ねっ。御飯〜。 】
【友達 : 11番 サーティア・クワン :さーちん もう、持って帰りたいわ
       14番 レイモンド・デリック :おっさん ノリがけっこうええな
       21番 アーネスト・マンソン :あーたん なかなか渋い声やなー 】


体内の到る所で展開されていた、理性と本能による局地戦。
シェラの言葉と増長する本能が、確実に理性を屈服させてゆく。

既に、体の大部分が本能が占領され、残る理性は脳の中。
その僅かな軍勢も、殲滅されるのは時間の問題であった。
そして、とどめとなるシェラの一言・・・。

『好きよ、ダグラス………』

次の瞬間、頑強を誇ってきた理性の要塞は完全に打ち壊され、
ダグラスその物が本能、及び欲望の塊に変貌した。

そして僕は、シェラを激しく求めた。

全てが初めての事だった。
異性の体を見るのも、触るのも、
こんなキスをしたのも、味わうのも初めてだった。
そして、・・・・・・交わるのも・・・・・・。
シェラは常に戸惑いがちだった僕を優しく、そして激しくリードしてくれた。
理性が消え失せた今、行為を咎める物も、罪悪感さえも無かった。

肌を重ねるに連れ、意識が鈍くなって行く。
既に二回果てた僕は、元から感じていた疲労の肥大を感じていた。
しかし、今だ衰えを見せない本能は、我が肉体に更なる酷使を命令するのだった。
『―――何を……しているの……?』

聞き覚えのある声。
視線を向けた先に立つ人物は・・・・・・最も愛すべきだった人。

刹那、本能は一気に縮退する。
そして理性も殲滅された今、残されるたは空白の肉体のみ。

「あ・・・・・、あ、あ・・・・・・・・・。」

口を開閉しても、言葉が出ない。
そして、体を動かす事も出来ない。
ダークブルーの瞳から、濁った涙が溢れてゆく。
その傍ら、僕の胸の上でロザリオが悲しい光を放っていた・・・・・・。

【行動:アレ(−1)】
【位置:T−11 艦橋】【残り行動値:3p】
【機体状況:肩部損傷 格納中】 【身体状況:激しく疲労】
【武装:頭部バルカン×2(残弾90%) ビームサーベル カメラ・ガン  ザクバズーカ(残弾3)
     ビームピストル×2 ビームシールド(破損) クラブ×1 ムサイ級軽巡(損傷軽微)】
【所持品:イブのロザリオ 拳銃 家族写真 コッペパン×2 水2リットル入り×2 弁当×1 お菓子少々】
【行動方針:真っ白】
【同盟:03番イブ 20番リファニア 26番シェラザード】
>>257-259>>266
ダグラスは、素晴らしかった。素晴らしいことは予想はしていたが、実際は予想を遙かに超えていた。
女を悦ばす技術に関しては評価以前の段階だったが、そんなものはどうでもよかった。
その若さ。その健気さ。その純粋さ。そしてその情熱。
官能の悦びを知ったその存在は、ただそこにあるだけで快感の塊だった。
触っているだけで、肌を重ねているだけで、脳髄と子宮を直接灼かれるような快楽が襲いかかってきた。

いいわ、ダグラス。あなたはいいわ。とてもいいわ。とても素敵で、気持ちがよくて、最高だわ。
もっとあなたを出しなさい。もっと吐き出しなさい。もっとむき出しにしなさい。もっと出しなさい。
あたし達はもっと気持ちよくなれる。もっと素敵になれる。もっと高いところに行ける。
だからあたしと行くのよ。あたしで行くのよ。あたしで何処までも行って、あたしを連れて行きなさい。
もっと遠くへ。もっと高くへ。あたし達なら行けるわ。何もかも越えて、いくのよ、ダグラス。

だから声が出た。抑えることなど出来なかった。
思うがまま、感じるまま、身体の奥から湧き出てくる衝動に従って、ただひたすらに乱れた。
理性も常識も遠い彼方に放り出して、本能と欲望の命じるまま、ダグラスをむさぼった。
髪を乱し、娼婦も恥じらうような嬌声をあげ、快楽が生み出す液体をあたりに振りまきながら、
シェラザードは獣になっていた。
ひたすら相手に快楽を与え、そこから生じる官能をむさぼり食うだけの、美しくも獰猛な一匹の牝獣に。

だから、油断していた。ダグラスのことばかり考えていて、他のことに意識が向かなかった。

『―――何を……しているの……?』

開いた扉のところで立ちつくすイブ。自分の身体の下で凍り付くダグラス。
言い訳など出来るはずもない。ダグラスの胸の上で、欲望に濡れたロザリオが虚しく輝いていた。

「…………………」

互いにはぎ取るように脱がしあったまま、床に散乱している衣服や下着。
情欲の液体にまみれて濡れた身体。湯気が立ちそうになるほど上気した肌。
その肌にはっきりと指と唇と舌が這った跡が残っている。全てが「そのもの」だった。
「…………………」

情欲の楽園から一気に現実に引き戻された不快感が襲いかかってくる。
思わず出て行けと声を荒げたくなったが、それだけはやってはいけないと心の中でもう一人の自分が叫んだ。
だから抑えた。怒りをそのまま表に出すことはしなかった。
この手の修羅場を過去に幾度も経験してきたことが、役に立った。

誰かと肌を重ねているときに、絶対にやってはいけないことは、相手を無視することだ。
身も心もむき出しになっている相手を放置することは、決してやってはいけない。
それは相手を冷ましてしまう。
愛欲に燃える心に冷水を浴びせ、今まで共に過ごした時間と分かち合った官能を無価値なものにしてしまう。
だからシェラザードは唇の端にこびりついていた白濁をそっと拭うと、
顔はあくまでダグラスに向けたまま、言葉を発した。

「………お願いだから、今は邪魔をしないで」

女がまだ熱を失っていないことを、ダグラスを求めていることを、出来うる限り主張しなければならなかった。

「色々言いたいことはあると思うわ。あなたがあたしを責める理由があるのも知ってる。
 でも、今はそっとしておいて。お願いだから、そのまま後ろを向いて出て行って」

ダグラスの裸の胸に、自分の胸を強く押しつける。ロザリオが胸に埋まる痛みは、あえて無視した。
その先端の蕾が、女がまだ彼を強く求めていることを伝える。
重なり合う鼓動が、まだこのままでいたいと主張する。

「ダグラスを誘ったのはあたし。悪いのはあたしで、ダグラスは何も悪くない。
 あたしがダグラスにあたしの全てを知って欲しいと望んで、ダグラスはそれに応えてくれただけ。
 そして、あたしはまだダグラスに全てを伝えきっていない。あたしの全てを理解しもらっていないの。
 あたしは他にやり方を知らない。これ以外に、あたしの全てを分かってもらう方法を知らない。
 だから、あたしはダグラスにお願いしたの。あたしの全てを受け入れて、って」

冷たく、固くなっていく少年をもう一度暖めようと、自分の熱さで溶かそうと悪あがきする女。
それは一方通行の行為だったかもしれない。ダグラスには届かない、独りよがりの行為であったかもしれない。
それでも、シェラザードは悪あがきするしかなかった。独りよがりであっても、言葉と行為を続けるしかなかった。

「無理を言っているのは百も承知よ。でも、あたしは止めるわけにはいかないの。続けたいの。
 こんな機会は二度とないかもしれない。
 今すぐ目の前に敵が現れて、戦いが始まって、ダグラスに会えなくなってしまうかもしれない。
 だから止めるのは嫌。ダグラスと離れるのは嫌。あたしを全部受け止めてもらう前に離れるのは絶対に嫌」

その首に両腕を回し、何があっても離れるものかと意思表明する。

「あたしはダグラスが好き。会ったばかりだけど、好きなの。本当に好きなの。
 こんな狂った世界でも、一生懸命生きようとしているダグラスが好き。
 あなた達に殺し合いをさせないようにしようとしているダグラスが好き。
 あたしや、あなたや、リファニアがまともでいられるのは、ダグラスがここにいてくれるから。
 ダグラスがここにいるから、あたしはあたしでいられるの。ここでまともでいられるの」

身体をこすりつける。ほおずりを繰り返す。逃げられないように、拒まれないように、手と足を絡めようとする。

「こんなに若いのに、あたし達よりも年下なのに、あたし達3人の艦長でいようと頑張っていて、
 苦しいときも辛いときも歯を食いしばって耐えている、あたしの、あたし達のダグラスなのよ。
 その彼を好きになるのはおかしなこと?
 好きな彼に自分を分かってもらおうとするのはいけないこと?
 ダグラスと心から分かり合おうとするのはいけないことなの?」

ダグラスの首筋に顔を埋めたまま、目だけをイブに向ける
>>268は書き込みミスです。>>267の後にこれを入れてください。
スレ汚しをお詫びします。



「…………………」

情欲の楽園から一気に現実に引き戻された不快感が襲いかかってくる。
思わず出て行けと声を荒げたくなったが、それだけはやってはいけないと心の中でもう一人の自分が叫んだ。
だから抑えた。怒りをそのまま表に出すことはしなかった。
この手の修羅場を過去に幾度も経験してきたことが、役に立った。

誰かと肌を重ねているときに、絶対にやってはいけないことは、相手を無視することだ。
身も心もむき出しになっている相手を放置することは、決してやってはいけない。
それは相手を冷ましてしまう。
愛欲に燃える心に冷水を浴びせ、今まで共に過ごした時間と分かち合った官能を無価値なものにしてしまう。
だからシェラザードは唇の端にこびりついていた白濁をそっと拭うと、
顔はあくまでダグラスに向けたまま、言葉を発した。

「………お願いだから、今は邪魔をしないで」

ダグラスの熱が急激に冷えていくのが分かる。
身体から、視線から、瞳から、官能に酔いしれていたゆえの熱さが消えてゆく。
それは当然なのかもしれないと分かってしまう。
この状態から再びその肉体と魂に火をつけるのは極めて困難で、無理かもしれないことも分かってしまう。
それでも、手をこまねいているわけにはいかなかった。
女がまだ熱を失っていないことを、ダグラスを求めていることを、出来うる限り主張しなければならなかった。

「色々言いたいことはあると思うわ。あなたがあたしを責める理由があるのも知ってる。
 でも、今はそっとしておいて。お願いだから、そのまま後ろを向いて出て行って」

ダグラスの裸の胸に、自分の胸を強く押しつける。ロザリオが胸に埋まる痛みは、あえて無視した。
その先端の蕾が、女がまだ彼を強く求めていることを伝える。
重なり合う鼓動が、まだこのままでいたいと主張する。

「ダグラスを誘ったのはあたし。悪いのはあたしで、ダグラスは何も悪くない。
 あたしがダグラスにあたしの全てを知って欲しいと望んで、ダグラスはそれに応えてくれただけ。
 そして、あたしはまだダグラスに全てを伝えきっていない。あたしの全てを理解しもらっていないの。
 あたしは他にやり方を知らない。これ以外に、あたしの全てを分かってもらう方法を知らない。
 だから、あたしはダグラスにお願いしたの。あたしの全てを受け入れて、って」

冷たく、固くなっていく少年をもう一度暖めようと、自分の熱さで溶かそうと悪あがきする女。
それは一方通行の行為だったかもしれない。ダグラスには届かない、独りよがりの行為であったかもしれない。
それでも、シェラザードは悪あがきするしかなかった。独りよがりであっても、言葉と行為を続けるしかなかった。
「無理を言っているのは百も承知よ。でも、あたしは止めるわけにはいかないの。続けたいの。
 こんな機会は二度とないかもしれない。
 今すぐ目の前に敵が現れて、戦いが始まって、ダグラスに会えなくなってしまうかもしれない。
 だから止めるのは嫌。ダグラスと離れるのは嫌。あたしを全部受け止めてもらう前に離れるのは絶対に嫌」

その首に両腕を回し、何があっても離れるものかと意思表明する。

「あたしはダグラスが好き。会ったばかりだけど、好きなの。本当に好きなの。
 こんな狂った世界でも、一生懸命生きようとしているダグラスが好き。
 あなた達に殺し合いをさせないようにしようとしているダグラスが好き。
 あたしがまともでいられるのは、ダグラスがここにいてくれるから。
 ダグラスがここにいるから、あたしはあたしでいられるの。ここで生きていられるのよ」

身体をこすりつける。ほおずりを繰り返す。逃げられないように、拒まれないように、手と足を絡めようとする。

「こんなに若いのに、あたし達よりも年下なのに、あたし達3人の艦長でいようと頑張っていて、
 苦しいときも辛いときも歯を食いしばって耐えている、あたしの、あたし達のダグラスなのよ。
 その彼を好きになるのはおかしなこと?
 好きな彼に自分を分かってもらおうとするのはいけないこと?
 ダグラスと心から分かり合おうとするのはいけないことなの?」

ダグラスの首筋に顔を埋めたまま、目だけをイブに向ける。

「あたしは女よ。どうしようもないほど女よ。
 女だから好きな男を求めるわ。心だけじゃなくて身体も欲しいと思うわ。抱いて欲しいとも思うわ。
 好きな男に抱く価値がある女だと思ってもらえるのは、素敵なことでしょう?
 その男の欲望の対象となるのは、欲望を吐き出したいと思える女であることは、誇りに思えることでしょう?
 ………あなたは、違うの?」

情事に乱れたプラチナブロンドの下から、その瞳が鋭い輝きを放つ。

「あたしは生きている。女として生きている。だから、言葉だけでは生きてはいけないの。
 心と身体が、魂と肉体が満たされなければ、生きてはいけないの。
 それはあなたも同じはずよ。あたしも、あなたも、ダグラスも、みんなそうなのよ。
 あたし達は人間。あたし達は生きている。だから、好きな人を求めるのよ」
 
イブを見つめながら、その身体は動くのを止めない。ダグラスの上で、艶めかしく動き続けている。

「あたしのことを嫌いになるなとは言わない。憎むなとも言わない。
 でも、今は出て行って。あたしとダグラスの邪魔をしないで。あたしには、ダグラスが必要だから」

【行動:大人の時間を継続しようとする(0)】
【位置:T11・ミョーコウ・ブリッジ】【行動値残り:3】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U】 【パイロット状況:「女」】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、105mmザクマシンガン(弾倉×3)】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤13日分】
【方針:ダグラスを「撃墜」、イブをこの場から追い出す?】
【同盟:No.03・イブ??、No.05・ダグラス(?)、No.20・リファニア(?)】
271イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:23 ID:???
シェラザードが何かを言っている。
ダグラスが、何かを呻いている。
聞こえない。聞こえてくるのは、心のかさぶたが剥がされる音。

<何、コレ……こんなの、私、知らない……>

記憶のかさぶたが、剥がされ落ちていく。

<違う……私、こんなの知らない……>

何処からか、雨音が聞こえてくる。

<違う……こんなの、私の記憶じゃない……>

何処かで聞いたことのある雨音が、聞こえてくる。

<やめて……私の中に入ってこないで……>

何処からか、香の匂いが鼻腔に届く。

<私じゃない……私は、助かったのだから……>

何処かで嗅いだ事のある香の匂いが、鼻腔に届く。

<やめて……見せないで……剥がさないで……>

何処かで見たことのある光景が脳裏に広がる。

<やっ……これ以上は……ダメ……っ……>

何処かで感じた事のある痛みが、体の奥を貫いていく。
272イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:24 ID:???
<ダメ……壊れる……っ>

フラッシュバックした感覚は、全て記憶の中のモノにそっくりで。

<違う、私は、まだ……汚れてはいない>

だが、全て記憶の中のモノと何処かずれていて。

<私は……まだ、穢れてはいない筈……>

そのズレが、致命的なズレで。

濁った視界。
鼻の曲がりそうな臭い。
そこらじゅうが激しく痛む体。

流れ出る、血。

それらが指し示す、あまりに残酷な真実。

「私は、あの時……穢されてなんか、いない……筈だった……」

心の傷跡は、更に大きな傷を隠す為のカモフラージュだった事に、愁林はようやく気がついた。
守り通してきたと思ったものが、8年前に既に奪われていた事に気がついた。

事此処に至って初めて、自分自身の記憶にすら裏切られていた事を、愁林はようやく気がついた。
自分の周りに、自分の中に。
自分を裏切らなかったものなど無かった事を、愁林はようやく悟った。
273イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:25 ID:???
かさぶたは、全て剥がれ落ちた。

自分が、果てしなく広がり、薄まっていく感覚。
情事の場の更に向こう、黒く手招く闇へと呑まれていく感覚。
この世全ての悪意に、心が犯され蹂躙される感覚。
破瓜の痛みに、心が泣き叫ぶ感覚。

寒々と輝く星々の海の中、たった独りで身を震わせる感覚。

「ダグラス……」

その言葉を最後に、愁林の体は床に崩れ落ちようとした。
意地。見栄。プライド。
各々の根幹を為す記憶にすら裏切られたならば、そんなモノでは最早体を支える事など出来ない。
ただ、それでも。
彼だけは、裏切らない。
そう信じるかのように。
その温もりを求めるかのように。
「それでも貴方を信じ、愛している」
その、唯一綺麗な真実の想いを込め。

「約束……覚えてるから……ダグラス」

最後に一言、少年の名前を呟いて―――幻視は、愁林に敗北する。
元よりその想いの強さだけは、誰にも負ける事は無いと信じていた。
故にこれは当然の帰結。
自分自身の弱さが見せた幻など、ダグラスの想いの前には四散するしかないのだ。
274イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:26 ID:???
「あの時の約束を覚えているから。
 だから、私は大丈夫。これからもずっと、貴方を愛し続けられる」

その、真実の想いを誇りに、愁林は立ち上がった。

「だから、泣かないで。これからは全部、私が受け止めてあげるから」

その身は人を愛する事への誇りで立っている。
彼女が立ち上がるには、それだけで十分だった。

「シェラザード。
 貴方の言うとおり、私は女。そして女である以上―――」

ゆっくり歩み寄る。
匂いが、一段と強くなる。
床に脱ぎ散らかされた衣服が目に入る。

だが、そんなものはどうでも良かった。

「―――ダグラスを愛する以上、私は退かない。
 その子は、私のモノ。私の大切なパートナーだから」

シェラザードの目をじっと見据える。
射抜くように、見透かすように、憐れむように。視線は、彼女の双眸を捉え続ける。
両足は、前に進み続ける。
やがて、二人の傍らに達して歩みを止め。
275イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:29 ID:???
「まずはトリィのお葬式をして。
 それから艦長室で休みましょう、ダグラス。
 もう一つの約束。
 お弁当、一緒に食べながら」

シェラザードには目もくれず、愁林は少年の額の髪をかき上げ、口付け、そして微笑んだ。
それは聖母の微笑み。
全てを赦し、全てを慈しむマリアの微笑みだった。

【行動:艦内移動(-2)】【残り行動値:2p】
【現在位置:T-11(ミョーコウ艦橋)】
【特記事項:軽症(手当て済み)】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量54%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(ヘビーマシンガン残弾48%)】
【所持品:(銀のロザリオ)、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスと共に歩む、ダグラスを奪い返す】
【同盟:No.05・ダグラス、No.20・リファニア、No.26・シェラザード(?)】
276イブ・シュウリン ◆EVE/axNqpo :04/03/09 22:37 ID:???
行動値関連訂正です。

【行動:覚醒?(-1)】【残り行動値:1p】
【現在位置:T-11(ミョーコウ艦橋)】
【特記事項:軽症(手当て済み)】
【機体状況:左腕Bシールド及び同前腕回路切断、同マニピュレーター損傷率71%、左肩装甲破損】
【武装:頭部バルカン×2、Bサーベル×2、Bシールド×2(左腕内蔵側使用不可)、
...    Bライフル(E残量54%)、4連装ヘビーマシンガン付きショットランサー(ヘビーマシンガン残弾48%)】
【所持品:(銀のロザリオ)、銀の腕時計、低反動拳銃(弾丸12発装填済み)】
【行動方針:ダグラスと共に歩む、ダグラスを奪い返す】
【同盟:No.05・ダグラス、No.20・リファニア、No.26・シェラザード(?)】

なんというか、ご免なさい(´・ω・`)
277シュウジ=アサギ ◆T2X.xlTDSU :04/03/09 22:55 ID:???
>>249
言いたいだけ言うと、部屋からリナルドは出て行った。
部屋にいるのが自分一人になったところで、呟く。

「おい……俺は……人を殺したことが、無いんだぞ?
 ここに来る前はただのプログラマーだったんだぞ?
 信用しすぎだ……。
 ……俺は……守りきれるのかな……?ゼ……。」
正確な答えを出してくれるかもしれない機械の相棒は、ここにはいない。
「……俺も終わってるな。機械に頼りすぎだ!この糞プログラマー!
 ………ふぅ。」

(俺は何を望んでるんだ?
 
 ──脱出させること
 ──脱出すること
 ──優勝すること
 
 ……運営者共を、殺すこと?
 ……真実を、知ること?
 
 ………。)

「………まだ…足りない…奴を殺すには、鍵が。決定的な、鍵が。」

「………寒いな。」
そう言うと、シーツを掛け直した。

【行動:思考(−0)】
【残り行動値:4p】
【位置:S−17 港湾部 医務室】
【機体状況 :レーダー不調? 待機中】
【参加者状況:右足重傷(処置済み)輸血・点滴中】
【武装:ザンネックベース(破損している可能性大 移動には問題なし) 4連装マシンキャノン(5斉射分)
    ビームライフル(残弾3)ビームサーベル×2、ビームシールド、フック付きワイヤー&ウィンチ】
【所持品:ディパック(水2g入り4本 食料三日分 ノートPC 計画書 紙とペン)
     拳銃 工具セット ゼファー(Zzz…) 首輪カバー×6 Hハイザック?】
【行動方針:ゼファー回収、???】
【同盟:07番ベルク?? 19番ラーズ? 08番ヨーコ 15番リナルド??
 中立:06番ジェイス? 14番 レイモンド】
278ヨーコ ◆7kXFb9ayC. :04/03/10 00:50 ID:???
『……私の胸気にしてるようだから言うけど…
カップはE一歩手前のD。…後で、状況把握能力に著しく欠けてるあの…
あんたに取り付いてたかと思ったらいきなり感覚が消えたさっきのバカ霊にも
教えてあげたら?』

(´-`).。oO(D……かぁ…。やっぱり敵わないなあ…。
       シュウジさんも……やっぱりおっきぃ方がいいのかな?)
(`・ω・´)(いや、でも胸は形も大事なの…。そうよ。
       おっきぃだけじゃ……―――)

『…あ、ちょっとごめんね。汗が酷くなってきたから。』

(´ω`)(…って、ち、ちょっと待ってよ!! ねえ。
     なんでそうシャツの裾をしっかりと握っているのさ!?)



  /゚/゚
(; Д )


雪のような、それでいて吸い付きそうな肌。
そこにくっついていた豊かで、弾力のありそうな双丘が
まるでマシュマロのようにプルン…と揺れた。

『あ、パイロットスーツの予備、奥に埋もれてるから今外出るのは
無理って向こうに伝えといてね。』

「…は、はい……。」

そのまま生返事を返す私。
頭の中はラーズさんに対する敗北感でいっぱいだった。
279ヨーコ ◆7kXFb9ayC. :04/03/10 00:52 ID:???
>>250
『ヨーコ。
 俺はシュウジの輸血の間に機体の整備と補給をやる。
 このゼファーとあいつのデイパックを医務室まで持って行ってくれないか?
 ……君も、シュウジの近くにいた方がいいだろう?』

そう言って笑顔でゼファーとシュウジさんのデイパックを渡すリナルドさん。

……? 
なんでそんな目で…そんな顔で私を見つめているのだろう…?
どこか陰りがある笑顔で私を……。

(やめて!
 そんな顔で私を見ないで!!
 私を……私達を殺そうとしたくせに……!!

 …そんな顔したって…誰が許すもんですか…!!)

無言で立ち去るリナルドを、
後ろから、ただ無言で睨みつけていた。

(誰が……誰が…許す…ものですか…。)

しかし、最後の言葉はとても力なく、
その後、ヘタリ…と床に崩れ落ちた。

(誰が…―――)


―――――――――――――――――――――――――

「シュウジさん…、私です。ヨーコです。
 ……入りますよ?」

2、3回ノックした後、ドアを開いた。

【行動:通信(0) 荷物受け取り(1) エリア内移動(1)】
【位置:s-17:医務室】【残り行動値:残り2p】
【機体状況:リナルドさん⇔ラーズさん⇔シュウジさん(ノーマルスーツ)】
【現在の状況:ノーマルスーツ】
【武装:背部ビームキャノン兼ビームサーベル×2(内臓武器)
     大型ヒートホーク(右手) 】
【所持品:デイバック(コッペパン、水2g2本、修道衣、ジャム)】
【行動方針:シュウジさんの足の治療】
モニターに映る複数の気体反応。
どうする。
行動方針を決めたら頭痛の種がなくなると思っていたがどうやら違うようだ。
一隊、どうやって話し掛ければいいのだろう。

「……嫌だ……なァ…」

俺は基本的に人付き合いが苦手だ。
さらにここの連中にはできるだけ高圧的に話し掛けていた。
形だけは同盟を結んだと言ってもそれは薄氷のように脆い関係だ。
どうやって話し掛ければいいのだろう?

「やあ、数時間ぶりだねェ。
2回も戦闘があって機体がボロボロだけど俺も何とか生き残れたよ…アハハ」

できるだけフレンドリーに話し掛ける。
なんともみっともない感じがする。
っていうかどんなキャラだよ。
陽気なおっさんと基地外の間のように思える。
もうちょっと正した感じの奴で――

「無事だったか、こっちはちょっとボロボロになっちまったァ……。
 このまま一人でこの殺し合いを続けていくにはかなり厳しい。
 別行動をとっていたけれど俺も仲間に加わらせてもらいたい」

……こんなものか。
俺にしては無難だと言えると思う。
態度が大きくないし、小さすぎない。
最低限の敬意もこめてある。
他人にどう思われるか考える……なんて煩わしいことだ。
仲間が必要なんだ。


……とりあえず、煙草吸ってから寝よう。

【行動:独り言(-0p)煙草を吸う(-0p)寝る(-0p)】【残り行動値:残り4p】
【位置:R-17】
【機体状況:左腕、肘の部分から下を切断されている】【罠用:C4プラスチック爆弾】
【武装:頭部バルカンポッドシステム、ビームサーベル、三連装手投げ式グレネード】
【所持品:空ボトル、煙草4箱と4本、ライター、ディパック、コッペパン2つ、水2g2本、ノーマルスーツ、栄養補助食品×10、銃】
【行動方針:この殺し合いを仕組んだ奴を後悔させてやる】【同盟:01番 シュウジ・アサギ】
>>271-275
修羅場になる、そう考えてはいた。
どんな形であれ、イブは感情を高ぶらせるだろうと、半ば確信していた。
好きな男を、好意を寄せる相手を目の前で寝取られたのだ。普通の女なら、普通ではいられまい。
怒るか、逃げるか、それすら出来ずに立ちつくすか。理性を失って当然だろう。
あるいは彼女自身も女であることを主張し、ダグラスが欲しいと叫びながら、
自分を突き飛ばしてでもダグラスにしがみつこうとする………そうであっても不思議ではないと思っていた。

だが。

「………………!」

イブは、自分を無視した。このシェラザードを、相手にしようともしなかった。
敵意すら見せず、むしろ肉体で繋がるしかない女を哀れむような冷たい視線を浴びせてきて、
そしてダグラスに歩み寄った。シェラザードと半ば繋がったままのダグラスに。

………この女の目に、あたしは映っていないというわけ………

シートの上で重なる2人をイブが見つめる。その瞳に浮かぶものは、ダグラスに対する慈愛だ。
情欲にまみれ、愛欲に全身を濡らし、淫欲に浸かった少年を、イブは何処までも愛しげに見つめていた。

『まずはトリィのお葬式をして。
 それから艦長室で休みましょう、ダグラス。
 もう一つの約束。
 お弁当、一緒に食べながら』

イブがダグラスの額に口づける。汗と唾液と愛液に濡れて輝く少年の額に。
シェラザードと情事を交わしたことをはっきりと証明しているその額に、唇で触れた。
ダグラスに文字通り自分が重なっているにもかかわらず。
精液と愛液の入り混じる空気がその肌を汚し、鼻腔に侵入し、口と喉、肺を灼いているにもかかわらず。

まともじゃないわ、この女………!

人を好きになること、愛すると言うことは、綺麗事だけではすまされないことだ。
好きになるからこその苦しみ、愛するがゆえの憎しみというものから、人は決して逃げることは出来ない。
好きな相手は独占したい。愛する人を奪われたくはない。それは当然のことだろう。
それゆえに好意は人を汚す。愛は人を歪ませる。だが、そう言う部分も全部含めての好意であり、愛情なのだ。
特に男と女の間の愛情はそうだ。
好きであればこそ、愛が深まればこそ、それが裏切られたと感じたときの絶望は深いはず。
その裏切りを許すことは不可能ではない。だが、それには少なくとも時間が必要だ。

あたしがイブの立場なら、少なくとも平気ではいられない。
理性を保つふりぐらいは出来るかもしれない。だけど、ダグラスを寝取る相手を無視するなんて出来ないわ。
ダグラスを好きなら、女として好きなら、それをそのまま許すなんて、出来るはずがないじゃないの。

愛する男を、惚れた男を、目の前で他の女で寝取られて、どうしてそれをそのまま受け入れられる。
この女には嫉妬という感情がないのか。悔しくはないのか。本当に何も感じないのか。
自分がはじめてダグラスに迫ったとき、イブは明らかに自分を意識していた。泥棒猫めと唇をかんでいたはずだ。
なのに、今はどうだ。あの時の行為など問題にもならない場面を見せつけている自分を、完全に無視している。
無視するふりをする………わけではなさそうだ。その視線も、身体も、落ち着き払っている。揺らぎが見えない。
イブはダグラスしか見ていない。ダグラスだけを見つめている。

つまり、あたしは彼にとってただの「過ち」に過ぎないというわけ。
ダグラスとあたしが交わったのは、ただの気の迷いで、怒るにも値しないと言うわけなのね。
あたしはあなたの相手じゃない。あたしは敵として意識する価値もないと、そう言いたいの。

シェラザードの瞳がきゅっと収縮する。
燃えさかる欲望に潤みきっていた赤茶色の瞳が、強く鋭い意思を込めた紅の輝きを放つ。
たいしたものだわ、イブ。あたしにはあなたのような真似は出来ない。
そこまで男を許せるというのなら、尊敬に値するかもしれないわね。
でも、それは女じゃないわ。男を求め、男に求められなければ生きていけない女ではないわ。
それは母親よ。男がどんなに愚かで罪深いことをしても、その全てを無条件で許す、母というものよ。

憎悪を秘めない愛などない。影を生み出さない光などない。少なくとも、シェラザードにとってはそうだった。
愛は人を生かし、そして殺す。この上ない幸福をもたらすこともあれば、地獄のような絶望を招くこともある。
愛するがゆえの悦びは、それ故の苦しみの裏返しでもあるのだ。
男を愛する女も、女を愛する男も、誰もがその矛盾に苦しんできた。
愛は貴重だ。崇高な存在だ。だからこそ、例えその欠片でも奪われることは苦痛となる。
その苦痛を無視できる愛があるとするならば、それは母としての愛しかないだろう。
絶対の許容であり、一切の例外なく全てを受け入れる究極の愛。それ以外には考えられない。

あなたは母性でダグラスを包もうとするのね。母の愛情でダグラスを愛そうとするのね。
面白いわ。受けて立つわ。女と母親、彼が最後にどちらを選ぶか、勝負と行きましょうか。
あたしはあなたほど何でも許せるわけじゃない。上手くはやるけど、嫉妬もすれば焼き餅も焼くわ。
だって、そうじゃないと面白くないでしょう。自分が浮気をしても嫉妬もしてくれない恋人なんて、退屈なだけよ。

視線をイブからダグラスに向け直す。自分の肉体の下で、彼は涙を流していた。
無理もあるまい。浮気現場を好きな女に見られたのだ。
残念ながら、今の自分は彼にとって「浮気相手」だ。多少は好意も向けてもらっているだろうが、一番ではない。
おそらく頭の中は真っ白………いや、罪悪感で一杯だろう。
それに、落ち着いてよく見ると、その顔には疲労の色が浮き出ていた。
疲れた身体を本能が無理矢理動かしていたのかもしれない。

………少し、調子に乗りすぎたかしら。

よく考えてみれば、疲れているように見えると言って彼に休憩を勧めたのは自分だ。
上手く流れに乗ってここまで状況を進めてきたが、ダグラスにとってはそろそろ体力の限界なのかもしれない。
ならば、これ以上無理はさせない方がいいだろう。今すぐここで全てが終わるわけでもない。
次の機会のために、今は。
シートにたたきつけられるような感覚を終えて機体は戦場後に到達する。
ここは昔の戦場であり艦の残骸があちこちに散らばっている。
抱き合う様に動きを停止したMSや下半身から下がごっそり居抜かれているもの

中にはコックピットを一撃でやられたものまでその状態は様様だ
戦闘艦であろう者の近くには無数の亡骸も在る。
中には瞳がこぼれんばかりに見開かれた男や、ノーマルスーツのバイザーが割れたものも。

「ここらいったいは宇宙の墓場ってとこか。」
呟きながらも近くのジムに取りつく。
「このライフルはまだ使えそうかな?」
ジムの腕からライフルをもぎ取りマガジンを確認する。
まだ弾は入っている様だ、しかし、ザクマシンガンと違って、照準用スコープは無いが。

引き金を絞る、しかし、弾は出ない。
どうやらこのライフルは使えないらしい。
「仕方がねぇ、近くの艦の格納庫に入って新品を調達しますか。」


【行動:探索(2)】
【位置W10】【残り2P】
【機体:足バランス多少悪】【身体状況:左上腕被弾(貫通)】
【武装:60mm頭部バルカン×2両肩部マシンキャノン×2(92%)、ビームサーベル×1、
左足部ヒートダガー×1、両腰部シザーアンカー×2、ブランドマーカー(ビームシールド
兼用)×2】
【持ち物:コッペパン1個 水2g入り2本 サバイバルキット 煙草196本 信号弾各4個ー1
自動拳銃(8発)マスク(緑色、木製)   自動小銃1丁 予備マガジン4個】
【方針:隠された翻意】
【同盟:皆無】
愛を交わした男に対する女の目を取り戻すと、その耳元に唇を寄せ、そっとささやく。
肉体は重ねたまま、求めるのではなく慈しむように全身での愛撫は続ける。
イブの存在は無視する。向こうが無視するなら、こちらも意識するわけにはいかない。
いちいち男の母親を気にしていたら、女などやっていられない。

「………ダグラス、ありがとう。そしてごめんなさい。あたしはあなたに無理をさせてしまったようだわ。
 だから今はもういいわ。今はこれだけで十分。あなたがあたしを受け入れてくれたことは、よく分かったから。
 本当はもっとあたしを感じて欲しかったけど、それはまた次にしましょう。
 あたしはあなたのもの。あたしはあなたの女。あなたがあたしを求めてくれるなら、あたしはいつだっていいの。
 あなたがあたしを求めてくれるのは、とても嬉しくて、幸せなことだから………」

女の言葉はダグラスに届いているのだろうか。その吐息が肌をくすぐっていることを、感じてくれているのだろうか。
それはシェラザードには分からない。分からないから、自分に出来ることを続けるしかない。

「あなたはとても素敵だったわ。とても素敵で、たくましくて、気持ちよかった。
 だから自信を持って。あなたが立派な艦長で、一人前の男であることを自覚して。
 あなたはあたしの艦長よ。あたしが心から従う、ただ一人の艦長よ。そのことを忘れないで頂戴。
 あなたの側にはあたしがいるわ。いつだって側にいるわ。そのことを、覚えていてね………」

唇に唇を重ねる。ダグラスの中に自分の吐息と匂いを吹き込む。その中をシェラザードという女で満たすように。
長い長いキスの後、名残を惜しむように唇を離す。その間にかかった唾液の橋が、淫らな輝きを放っていた。
小指でそっとそれを拭う。そして、情欲の余韻を漂わせたまま柔らかく微笑んだ。

「………この続きは、今度にしましょう。あなたが望むときに、いつでも、何処でも………」

今度はその瞳に口づけして、その涙を吸う。ダグラスの全てが愛しいことを証明するために。

「好きよ、ダグラス」

シェラザードはゆっくりと身体を起こすと、情事の後始末をするためにダグラスから離れた。
身体を重ねた男の世話をするのは、女の義務であり権利だ。これを譲るつもりはない。
だから、シェラザードは一瞬だけイブに視線を向けた。

母親のつもりだか何だか知らないけれど、男の下半身を気にしようとしない女が手を出すんじゃないわよ。
あたしとダグラスの時間はまだ続いているの。ママの心配は余計だわ。引っ込んでなさい。

【行動:後戯(−1)、大人の時間の後始末をしようとする(0)】
【位置:T11・ミョーコウ・ブリッジ】【行動値残り:3】
【機体状況:AMX-004-2(3) キュベレイMk-U】 【パイロット状況:「女」】
【武装:ビームサーベル(ビームガン兼用)×2、ファンネル×12、105mmザクマシンガン(弾倉×3)】
【所持品:ディパック、首輪、水2リットル入り2本、コッペパン×2
      軍用大型ナイフ 青酸カリカプセル1個入りロケット
      デンジャーな衣服・下着・道具類で一杯のスーツケース 抗ガン剤13日分】
【方針:ダグラスを休ませる】
【同盟:No.03・イブ??、No.05・ダグラス(?)、No.20・リファニア(?)】
『それじゃあ、ロザリオ、取ってくるわね。
 ダグラスにお守り代わりに貸してあげてるのよ、今。
 心を込めるには、まず形から入らないといけないでしょう。
 それにね、ロザリオの珠にはそれぞれ、ちゃんとした意味があるの。
 ロザリオの玄義って言うのよ。
 お葬式には少し似合わないけれど、とても綺麗なお祈りなの。
 あのアレン君の友だちでもあるのなら、明るく送ってあげたほうが喜ぶでしょう?
 だから、少しだけ待っていなさい。すぐに戻ってくるから』

吹っ切れた表情で、そう言い残して、イブはダグラスに会う為に部屋を出た。
そんなイブの姿を優しい目で見送るリファニア。

「そっか。イブさん、ダグラス君にロザリオ渡していたんだね。
 じゃあ、イブさんが戻ってくるまで待っていようね、トリィ?
 ……せっかくだから、みんなに送ってもらいたいもんね?」

腕の中のトリィの亡骸にそう語りかけ、ベッドに腰掛ける。
リファニアはトリィの亡骸を撫でながら子守唄を唄って、イブを待ち続けた。

……だが、暫く経っても、イブが戻ってくる様子はない。

「……どうしたんだろう、イブさん。」

次第に気になりはじめるリファニア。
ダグラスや、シェラと何かあったのだろうか?
……その可能性は、充分に有り得る。というよりも、まず間違い無いのではないかと思う。

「……ちょっと、様子を見てこよっか、トリィ?」

トリィを抱えたまま、ベッドから立ち上がるリファニア。
……そのまま、ブリッジへと向かった。


ブリッジの前に着いたリファニア。中から、話し声が聞こえる。

『あたしは生きている。女として生きている。だから、言葉だけでは生きてはいけないの。
 心と身体が、魂と肉体が満たされなければ、生きてはいけないの。
 それはあなたも同じはずよ。あたしも、あなたも、ダグラスも、みんなそうなのよ。
 あたし達は人間。あたし達は生きている。だから、好きな人を求めるのよ。
 あたしのことを嫌いになるなとは言わない。憎むなとも言わない。
 でも、今は出て行って。あたしとダグラスの邪魔をしないで。あたしには、ダグラスが必要だから』

……シェラさん……?
その言葉と声色からは、心の底からダグラスを求める気持ちが、感じられた。

『ダグラス……。
 それでも貴方を信じ、愛している。
 約束……覚えてるから……ダグラス。
 あの時の約束を覚えているから。
 だから、私は大丈夫。これからもずっと、貴方を愛し続けられる。
 だから、泣かないで。これからは全部、私が受け止めてあげるから』

……イブさん……。
その言葉と声色からは、心の底からダグラスを想う気持ちが、感じられた。
ああ、私の出る幕じゃ、ない。
イブとシェラ。二人のダグラスを想う気持ちは、どちらも本物。
どちらもお互いの想いをぶつけ合って、戦っている。
ならば、リファニアにはこれ以上干渉する権利などないし、そのつもりもない。
……全ては、ダグラスに委ねられたのだ。

「ダグラス君、あなたも男だったら、しっかり答えをださないと、ね?
 じゃないと、あなたを心の底から慕ってくれている二人の女性の想いを、裏切る事になるんだよ?
 もし、曖昧な答えしか用意できないのであれば、私、あなたを許さない……。
 ……その時は、力いっぱい、グーで殴ってやるんだから……。」

そう小声で呟いて、その場を後にするリファニア。
向かった先は、洗面所。
洗面所で、イブにもらった抗生物質をノーマルスーツのポケットから取り出して飲むと、
リファニアは再び先程まで居た士官室へ、戻った。

再びベッドに腰掛け、トリィを抱きながら子守唄を唄うリファニア。
女の性を目の当たりにしたリファニアは、アレンを思い出していた。
突然、激しい悪寒が沸き起こる。
唄を止め、震えだすリファニア。

「……寒いよ、アレン……。」

その身が、激しくアレンの温もりを欲していた。
トリィの亡骸をベッドの上に降ろし、両腕で自らの肩を抱きながら、震えるリファニア。

「……強く、生きなきゃ……。アレンのように、強く……。」

そう、自らに言い聞かせ、心が折れるのを何とか支えていた。

【行動 : イブを待つ(0)、艦内移動(-1)、薬を飲む(-1)、艦内移動(-1)、残1 】
【位置 : T-11(ミョーコウ、D−4区画士官室) 】
【機体状況 : 表面に細かい損傷(幾つかビーム砲損傷)、スラスター損傷軽微、推進剤不足、MA形態 】
【パイロット状況 : 頬にうっすらと傷痕、右肩に軽傷(治療済み)、要静養 】
【武装 : 胸部3連装拡散メガビーム砲(一門破損)、リフレクタービット×10、
      腕部サイコミュ式 ビームソード×2、全身メガビーム砲×多数 】
【コンテナ入り武装 : 指揮官機用ブレードアンテナ(全体通信が行P1で可能)
            備考:コンテナはMS格納庫にあります。 】
【所持品: ディパック、首輪、コッペパン2つ、水2g入り2本(1本は空)、
      ジオン女性士官の制服、父の形見のジオン十字勲章、ナバン61式拳銃(艦橋)、抗生物質
      ノーマルスーツ、アレンの遺したギターとアンプ 】
【方針 : リーア=ミノフスキーに負けない、ミョーコウを護る、トリィを弔う 】
【同盟 : 03 イブ・シュウリン、05 ダグラス=ロックウード、26 シェラザード=ビンス=マクファーソン 】
287ラーズ ◆C5GRxBlS5o
>278
ヨーコの生返事を耳に入れる。…その後、少しして激しく暇になる。
「やる事無いわね…。」
暇そうにして待っているようだ。
【行動:特になし】
【状況:ヨーコと通信回線継続(0p) シュウジと通信回線継続(0p) 】
【残り行動値:3p】
【位置:S17】  
【機体状況:異常無し】
【武装:ファンネル×6、両肩部3連装ミサイル×2、ビームサーベル・メガバズーカランチャー】
【SFS:スキウレ】
【所持品:ヤクト内(ディパック(中身は『飲料水2g入り3本』『地図』「食糧(彼女にとっての)2、5日分」) レポート用紙1冊 )
手持ち(細長い(そしてかなり大きい)アタッシュケース(中身はライフル(残弾10)) 大型要塞の内部地図データ)】
【行動方針:≪できれば欲しいモノ≫の入手 小惑星にあるであろう薬の入手】
【同盟:シュウジ ベルク リナルド ヨーコ…?】
【特記事項:ノーマルスーツなし】