たしかに現物とはだいぶ違ってますな。
安彦関係に関してはこう。
(キャラクターの生々しさをアニメーターがわかってないということについて)
富野 うん、要求は出来ない。無い物ねだりだから。
だから、安彦君のことで思い出すことがあるんだけど。
安彦君の持っていた線のエロチシズムっていうのは、まさしく本能的にそれを出せたんです。
困ったことに、安彦君は自分のことをスケベだと思っていないという、決定的な致命傷(をもっていたんです)……。
庵野 そうなんですか、あれだけの(セクシーな絵を描く)方が……。
一同 (笑)。
富野 その自意識がないんです。
自意識がないから(富野さんと安彦さんの関係は)こうなっちゃったんです。
「手前は、だからだらしがないんだよ! 『オマンコが好きです』って言っちゃえよ!」
って所までの会話にまで行かなかったんです、結局、15年前は。
僕も15年前は、こういう風には言えなかったんです。
ドギツイ言葉が使えなかったんじゃなくて、そこまで(互いの気持ちが)連動しなかったんで。
すごく一般的な概念論で、「なんであなたの生き方とか、ものの考え方は!」という話になっちゃったの。
庵野 セックスの話まで行かなかったんですね。
井上 青年っぽかったんですね(笑)。
富野 そう、それで世間の大人の使う言葉を使っていたということです。
今、まさに安彦君との経験で言えばそういうことでしょう。