第3話 はじめての授業
「・・・以上です。良く解らない事があったら
恥かしがらずに何でも相談してくださいね。」
『先生・・・』
「なんですか?セイラさん?」
『結婚すれば子供が出来るんですね?』
「ええ・・・まあ・・・そ、そう言う事になりますわね・・・」
『シムス先生は結婚しているんですか?さっきの本の話だと
女の人の高齢出産は危険だと言うんですけど・・・』
そこまでセイラが言いかけた時、隣に座っていたミハルが
慌ててセイラのスカートの裾を引っ張った。
「お!お嬢様!先生に失礼ですよッ!」
『あら?何で?シムス先生は素晴らしい人だから私・・・心配で・・・
キシリアさんも心配だけど・・・』
「お嬢様ッ!!」
「お!お嬢様!先生に失礼ですよッ!」
『あら?何で?シムス先生は素晴らしい人だから私・・・心配で・・・
キシリアさんも心配だけど・・・』
「お嬢様ッ!!」
穢れの無い純真な心のままに育ったセイラは
ミハルが何故慌てふためくのかが理解出来なかった。
やがて忍び聞こえる笑い声は無論、
ハイミスのシムスと実年齢よりも老けているキシリアに
向けられている事は誰の目にも明らかであった。
教壇の前に立つシムス先生の眼鏡の奥で
チリチリと炎が揺らめくのを見てしまった
ミハル=ラトキエは
セイラと一緒にこのキシリア女学院に入学した事を
ちょっぴり後悔し始めていた。
(つづく)