「おかわり!」
「コウ兄さん、今日は沢山食べますね。」
「おかわりしちゃ、悪いの?」
「あ、いえいえ……その、今日はみんな食欲が無いみたいなんで、丁度良かったかな?って……ご飯余っちゃうと勿体ですし」
何故か、今日はいつもとは反対にコウ兄さんが元気だった。
や、元気というのか……テンションが高い……や、違うな。何かに腹を立ててるような気がする。
コウ兄さんの怒りの対象が何なのか、僕は知らないけれど、今日はやたらと突っかかってくるから困ってしまうよ。
眼にはメラメラと炎が宿ってて、僕に対して怒りをぶつけているような気がするんだけど。
八つ当たり?嫌だな……僕は何も悪いことしてないのに。今日のコウ兄さんは変だよ。
食事の後片付けをしながら居間の時計を見た。20:00を少し回ったところだ。
これから家を抜け出して、屋台の準備をすれば夜の営業の時間には間に合う。
僕は家族には内緒で深夜にラーメンの屋台を出している。
ラーメンの材料の仕込みは昼間のうちにやってしまうから
夜は屋台を預かって貰っているキースのパン屋の裏手に回って屋台を動かすだけだ。
僕がそろそろ家を出ようとした時
「ロ、ロラン兄さん……あの」
「なんですか?」
ウッソが僕の袖を引っ張った。
「宿題で分からないところがあって……教えて欲しいんですけど」
「え?」
「今からみて欲しいんですけど。駄目、ですか?」
「え……っと、そう、ですねぇ……」
ウッソの宿題はみてやりたいけれど、タイミングが悪かった。今、家を出ないと屋台の営業開始が遅れてしまう。
僕の屋台はおかげさまで常連客も増えてきていた。お客さんが僕の作るラーメンを待ってるのだ。
待っているお客さんの為にも遅れる訳にはいかない。困ったな、どうしよう。
が、ここで助け舟が出た。
「宿題なら俺が見てやるけど」
「本当ですか、シーブック?」
「ああ、あとで俺の部屋に来いよ。ウッソ」
「じゃ、そういう事で。宿題はシーブックにみてもらって下さい」
「……僕は、ロラン兄さんが、いいです」
シーブックが宿題をみてくれるというのに、何故だかウッソは渋っている。
なにか宿題を口実にして、僕に別の何かを話したいような……そんな気もするけど?
「はぁ?何言ってんだよ。ロランは家のことで忙しいだろ。贅沢いうな、俺じゃ不満なのかよ」
「そうじゃないです……だけど」
「ロランに甘えたいんならそれでもいいけどさ、ウッソも未だガキだな」
「そんなんじゃないですよ!」
ウッソはそれだけ言うと黙ってしまった。なにか不満がある顔だったけれど仕方ない。
僕はこれから屋台を出す準備をしなきゃいけないしね。シーブックには助けられた。
<ありがとう、シーブック>僕がシーブックに目で合図すると、シーブックも<いいよ>って目で合図をおくってくれる。
シーブックにはいつも助けられてるような気がする。
だから食事の時、シーブックの茶碗にはご飯を少し大盛りによそって、密かに還元したりしている。
本人がその還元に気づいているかどうか分からないけど。
玄関で靴を履いていると誰かに見られている気がしたけど、気のせいかな?
僕は屋台を出す為に家を出た。
見られているのは気のせいじゃなかった。
家を出た僕を尾行している影の存在に、僕は未だ気づいていなかった。
3レス使っちゃいましたが…どなたか続きを宜しくです。
上げるよ
大分リレー伸びてるね
皆さん乙です!!
>>597の続きです
ロランは大急ぎで屋台のあるキースのパン屋、ドンキーに向かって走る。ウッソから引き止められた事もあり、時間は予定よりも大分押していた。
「ごめん、キース!遅くなった」
「今日は来ないかと思ったぞ!屋台はいつもの所にあるからな」
「ありがとう」
ロランはキースと挨拶程度の会話をすると屋台を引き夜の街に消えていった。
ちょうどその頃、
「任務…失敗」
ジュドー、ガロードからロランの尾行を依頼されていたヒイロが不覚にもロランを見失い夜道を歩いていた。
感のいいロランを尾行するのは簡単な事ではなかった為、距離を空けての尾行となってしまったのが仇となり見失ってしまったのだ。
「だが…手がかりくらいある筈だ…」
このまま手土産も無く帰るのはヒイロ自身許せなかった。
「確か、街の方に走って行ったはず…」
ヒイロはそう思い、しばらく夜の街を詮索する事にした。
夜の街
「ありがとうございましたー!!」
ロランの元気な声がネオン光る夜の街にこだまする。客の入りは大盛況。屋台席以外にも道端で立ち食いをしている人数を合わせると有に20人以上はいる。
そんなロランに常連の一人、ギンガナムが訪れる。
「いらっしゃいませー!!」
「中華1つ、貰おうか!」
「いつもありがとうございます」
「小生にとってここのラーメンとローラの家の朝食は欠かせないからなぁ!!」
「明日の朝も来られるんですか…」
そんな声が飛び交う内に麺が底を付き始めた。時計を見ると早くも深夜0時。開店から僅か4時間で用意した150食近くが売れた。
残り後数食。のれんを降ろし店の周りのゴミ広いなど後片付けを開始する。
「今日、出だしは不調だったけど、以外に早く終わりそうだな」
そんなロランに一人の男が近づく。
どなたか続きをお願いします!
乙です。続けます
>>599 ロランの前に現れた男、それはグエン・サード・ラインフォードだった。
イングリッサ領を治めるラインフォード家の御曹司。実業界の若き獅子との評判名高い超VIPだ。
「いらっしゃいませ、グエン様」
僕が挨拶するとグエン様は"やあ"って手を振ると、座っているお客さんをシッシッと手で払いのけて
カウンターの真正面のポジションを陣取った。……他のお客さんも御曹司というのが分かっているから逆らえない。
「ローラ。今日も遭えたね」
「えっ……あ、そ、そうですね。はっはっはっ」
何言ってるんだよ。自分から店に来ておいて、遭えたも何もないじゃないか。
が、一々突っ込みを入れてもショウガナイし、僕は愛想笑いで流す事にしている。これは客商売での鉄則だ。
「グエン様、ご注文はお決まりになりました?」
「そうだね。中盛り、油あっさりめ、煮玉子入りを一つもらおうか」
「ありがとうございます!」
グエン様は僕の屋台のお客さんの中でも最大のご贔屓筋で、屋台の店だしが出来たのもグエン様の援助に因る処が大きい。
最初、グエン様にバイトの相談を持ちかけたら"ローラには私の専用のメイドになってほしいな。"とか
脳みそ溶けてるようなこと言ってたけど、なんとか無難な妥協線を見出して、ラーメンの屋台に話が落ち着いたら
直ぐに屋台を手配してくれたリ、屋台の営業許可の申請手続きをしてくれたり、とグエン様の手配は迅速だった。
そのおかげで僕は一週間もしない内に屋台を出すことが出来た。お世話になりっぱなしでグエン様には頭が上がらない。
「ハイ!中盛り、油あっさりの煮玉子入り、おまちどうさまです」
グエン様の前にラーメンの丼を運ぶ。僕は丼をお客さんに出す時、親指を入れている。丼に親指を入れるのは癖になっていた。
カウンターにラーメンを置いて手を引っ込めようとしたら、グエン様が親指を素早く、パクっと食べた。
な、なに!?この人、僕の親指を……しゃ、しゃぶってる!?
「そんな、グエン様!止めて下さいぃぃ……」
手を引っ込めようとするのに、グエン様は僕の手首をグッとつかまえて放さない。
「親指についたスープの分も料金の内さ。スープも、ローラの指も、両方美味しいよ」
「グ、グエン様!?ちょ、ちょっとを」
くすぐったいよぉ、もう……このヘンタイ!!
指を舐められている僕は、どうしたらいいか分からず、身体が固まってしまった。
僕はこのままグエン様に指を舐められ続けるんだろうか!?そんなの嫌だよ。
……こんな終わらせ方ですが、続き、お願いしまつ
>>600(ある意味、
>>599)
「どうした?一人でこんな時間に街にいるとは」
街を徘徊していたヒイロに声をかける男がいた。
「・・・お前こそ何をしている、トロワ」
「質問を質問で返すな。俺は見ての通りラーメン屋だが?」
その男はラーメンの屋台を引くトロワ・バートンだった。
「サーカスはどうした?何故屋台を引いている?」
「質問は一つずつしろ・・・まぁいい。
サーカスは今は休みだ、屋台を引いているのはラーメンが俺の将来の夢だからだ」
「・・・そうか」
ヒイロは内心、自分とある意味よく似たこの男が「夢」などと言い出したのに驚いていたが
何時もの如くポーカーフェイスで流した。
(ラーメン屋と言えば・・・)
トロワは突如現れたライバルのことを思い出していた、
そしてそのライバルと目の前の男との関係を。
「もしや、お前はロランの所へ?」
「知っているのか!?教えてくれ!トロワ!!
俺は・・・俺は何処を探せばいい?俺はあと何回ロランとその行方を聞き込めばいい?
ゼロは何も言ってはくれない・・・教えてくれ!!トロワ!!!」
「(兄弟探すのにゼロシステムまで使っているのか・・・
全てが万事、こいつのやることは徹底している、ヒイロ・ユイのやることは)
ロランなら四番街に要る筈だが・・・しかし奴も大変だな。
グエンやらシャアやらゼクスやらに毎晩毎晩・・・」
ヒイロはトロワの話を最後まで聞くことなく走り出していた、
表情は相変わらずのポーカーフェイスだがその顔は青ざめていた。
四番街と言えば歓楽街として有名だが裏を返せば・・・
所謂「大人向け」の店で有名な街でもあるからだ。
(俺は行かなくてはならない。ゼクスを倒す。次にシャアとグエンだ。
それで地獄は終わる。そして俺が金を稼げば、平和が訪れる。
これがロランのためにしてやれるただ1つのことだ)
何時の間にやら乗り込んだWゼロの中でヒイロの思考は果てしなく危険な方向へ暴走していた。
まぁネタスレでラーメン屋と言えば忘れちゃいけない人ということで・・・
あのスレは主要人物は皆人間を止めているのであんまりクロスオーバーし過ぎると拙いですが
この程度ならご愛嬌と言うことでご容赦ください。