マターリとF91を語ロウYO!(WHY?) act_7

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それがVガンダムだ   ササキバラ・ゴウ
富野インタビュー(一部抜粋)

―僕などは当時、『F91』があって、その二年後にやるものがなぜ『F93』じゃなくて
『Vガンダム』なのか、ということが、まずわかりませんでした。それにそもそも、
あえてまたテレビをやるということもよく理解できなくて、なんとなく腑に落ちません
でした。

『F91』をやった時は、「これは次のテレビ版の一話だからね」という話をしていて、
それを経営者たちは受けていたはずなんですが、それがスポンと消えたので、
「あれ? なんだったんだろう」とは思いました。それはまた、全く新規にやって
もらわなくちゃ困るんだよ、という言われ方をした時にも「え?」とは思ったけれども、
しょせん町場のプロダクションの経営者だったらそんなもんなのかな、と思っている
部分がありましたから、それ以上のことは考えませんでした。しかし、実際のところは
そうではなくて、町場の人間というのは自分たちが行き抜いていくためには、もっと
したたかだったということです。

―サンライズは単に資本面でバンダイ傘下に入ったのではなく、経営陣がそっくり
交代して、去っていったんですね。

 そういうことです。僕はサンライズの中でずっと仕事をしていましたから、自分の
立場からすると、まるで人身売買されたような気持ちになりました。
そのような事態が進行する二年の中で、作らされていたのが『Vガンダム』だった
のです。
869資料2 2/3:04/01/29 23:00 ID:???
■「鉄仮面」の先に見えていたもの

―『F91』は、安彦さんまでキャラクターデザインで連れてきて、設定を見ても
ストーリーラインを見ても、あの作品には相当な作り込みがありますよね。
それをあの段階で放棄してしまうというのは、見ている側からすると、よく
わからなかったですよね。

 僕にしてみると、『F91』で『ガンダム』の総ざらいをしてみて、しまったなとは
思いながら、「だから鉄仮面だけは残したんだよ」という部分があるわけです。
この鉄仮面から始めて行ったら、絶対次はとれるぞ、という感触はありましたね。

―鉄仮面、よかったですねえ。

 だから、『F91』のエンディングもああいう絵の使い方しているんです。
要するに、これ以降はもっとメカと人が一体化していくことで起きる恐い部分、
つまりレプリカント(※)みたいなもののマシン版をやるという想定が、僕には
ありました。サイボーグものというのは、日本ではまだ本当の意味で手をつけて
やっているところはありませんでしたから、『ガンダム』をベースにして今度は
そっちまで行けたらいいな、という考えを持っていました。
870資料2 3/3:04/01/29 23:04 ID:???
―それは、見てみたかったですね。元々日本のアニメは初期の『鉄腕アトム』
『エイトマン』『サイボーグ009』と、そういう方向の題材を取り上げてきながら、
その先の掘り下げというものはアニメでやってこなかったですからね。あの
時点でそれをやったら面白かったでしょう。

 あの時点でいえば、一応サイボーグものに触っておくというのは、SFという
ジャンル論として面白いだろうという考えは、僕の中には明確にありました。
ぼくは決して本格的なSF好きではなかったんですが、ミーハーなSF好きと
しては、こういうものは面白いんじゃないかなという気持ちは持っていました。
そういうことが、自分にとっても芸を広げることになるんじゃないかなとも思って
いました。そうすると『ガンダム』があって、サイボーグものがあって、バイストン・
ウェルものがあって、という展開になるのです。


※レプリカント:映画『ブレードランナー』に登場する人造人間のこと

(P167〜P168)

注意:“―”後はインタビュアーの発言。常識的に考えればササキバラ・ゴウ氏だと思われ。