ウッソたんハァハァ6〜男性専用〜

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「うわっ。ウッソ、もう少しスピード落としてくれよ!」
 初めてワッパに乗る527は、思わず声を上げた。フワフワしたワッパの感覚
に、戸惑ったからだ。タイヤで地面を捉えて走る乗り物とは違った、浮遊感。
今迄味わった事のないその感覚が、527にそう言わせたのだ。
 だが、怖くはない。自分の左側に、ウッソの横顔があるからだ。貨物用ワッ
パの助手席に乗った527は、自分の目の前にある大きな瞳と小さな頬を、頼も
しく感じた。
「ハハハ、それっ!」
 ウッソが笑いながらハンドルを引き、ワッパをさらに地面から浮かせる。こ
れは流石に怖かった。ウッソのイタズラっ気が生む恐怖の為に、隣にいるあど
けない顔をした少年の体に、527は思わず抱き付いてしまった。少し、恥ずか
しい。
「もぉ、からかうのもいい加減にしろよ。」
 ワッパと地面の距離が元に戻ると同時に、527はそうウッソを叱る。だが、
体を離しながら少年を叱るその声には、怒りではない優しい色があった。
532二人でお買い物 2/3:03/09/08 13:47 ID:???
「もうすぐウーイッグですよ。」
 527はウッソの買い物に付き合う為に、少年と二人でワッパに乗っている。
カサレリアの畑で使う肥料を買う為だ。
 いくら畑仕事で体を鍛えたウッソとは言え、大きな袋に入った肥料を担いで、
店の中と駐車したワッパの間を何度も往復するのは、流石につらいのではない
か。そんな気遣いが、527を少年の横に座らせていた。

「そっち、持って下さい。」
 そのウッソの指示を聞いて527は、ウッソが持った肥料の袋の反対側に回る。
同時に掛け声を出して重い袋を持ち上げ、移動し、ワッパの荷台に積み込む。
それを何度も繰り返した。
「さてと、あと二袋。」
 そう言いながら購入した肥料の所に向かうウッソの背中を、527は頼もしく
感じた。この小さな背中、愛くるしい体のどこに、あれほどの力があるのだろ
う。
「早くして下さーい。」
 少年の持つ自然の強さに関心していた527を、かわいらしい声が呼ぶ。その
声の所に、527は小走りで向かった。ウッソの笑顔を、もっともっと味わいた
いから。
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「今日はありがとうございました。」
 ワッパがカサレリアに着くとすぐに、ウッソはトレードマークの帽子を脱い
で、感謝の気持ちで一杯になった頭を下げた。起き上がったウッソ頭を、527
は優しく撫でる。
「偉いな、ウッソは。何でも一人でやって。」
「いえ……、そんな。」
 527の褒め言葉に、ウッソは少し頬を赤らめて、応える。
「夕食、一緒にどうですか?」
 ウッソが527を誘う。だが、断った。
「いや、いいよ。明日も早いんだろ。ゆっくり寝るの、邪魔しちゃ悪いしさ。」
「そう……、ですか。じゃ、おやすみなさい。」
 周りがすっかり暗くなった中で、その少し寂し気な声を聞いた527は、自分の
小屋へと戻っていく。自分がウッソと同じ夢が見れる事を、祈って。

−完−