第三回天下一武道会

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7    『 MMR in ザフト ーディアッカ編ー 』 イザーク

「ふぅむ・・ここをこうすればいいか・・」
連邦の新型モビルスーツを奪って数日経った後のこと。俺はデッキでガンダムのメンテナンスをしていた。
こんな性能の機体を連邦のバカどもに作れるとは意外だった。ナチュラルといえども、必死になればこのくらいはできるのか。
俺は、ディスプレイに表示されるOSを書き換えながら、そんなことを考えていた。
コーディネータが発想力でナチュラルに負けているとは信じられなかった。
そのとき、向こうで何かモノが落ちる音がした。重いものが地面に落ちたような、鈍い大きな音だ。
エンパイアステートビルからプラズマテレビを投げ落としたような、とにかく凄い音だ。
「うわー!」「だ、だいじょうぶか!」一機に外が、ざわざわとさわがしくなった。
俺は顔を上げた。そこでは、強奪したガンダムの武器が全て固定ワイヤーから外れてドッグに落ち、大惨事になっていた。。
瓦礫の下にディアッカがいたが、彼はHAHAHAと平気そうに笑っていた。他のものは結構怪我をしているのに。
血を流しているやつもいたが、ディアッカだけはぴんぴんしていた。


俺は突然ある考えを思い当たった。稲妻に当たったように突然思いついたのだ。
(いや・・まさかな・・いや、けどひょっとして・・・)
それは考えればかんがえるほど、真実味を帯びてきた。いや、そうにちがいない!
数分後には俺の疑惑は確信に変わっていた。

そこで俺はドックを出て、誰か探した。通路には誰もいなかった。
こんなときにかぎって誰もいない。俺は、人を探して、通路を走り回った。

ニコルをみつけた。書類の束を抱えて、とことこと平和そうに通路を歩いていた。俺はニコルの腕を掴んで食堂に連れていった。
「いたたた・・いきなりなんなんです。イザーク。ボク、ちょっと隊長のところにいかないといけないんですけど〜」
「そんなの後回しにしろ。こっちは緊急を要する大事態だ」と、俺は言い放った。
ニコルは俺のそんな様子をみて真剣だと感じたのか、諦めて椅子に座って書類の束をテーブルに置いた。
そして、大きな目で俺を見た。
「んで、なんなんです?とっても大事なことみたいですね」
「あぁ、これはもしかしたら人類学を根本から覆す大発見かもしれないんだ・・」と、俺は声を落としつついった。
「えぇ!そんなに凄いことを発見したんですか?」と、ニコルは驚いていた。
俺は辺りをきょろきょろと見渡して、周りにひとがいないことを確認した後、ニコルの耳をぐいっと引っ張った。
どこにスパイがいるかわからない世の中だ。警戒するにこしたことはない。
「いたたた・・ちょっと、イザークやめてくださいよ!」
「うるさい!黙って聞け!」
「はいはい・・・」
「よし。あのな。ディアッカって・・・・・で、・・・・だから、・・・・じゃないか?」
ごにょごにょと俺は耳打ちした。


「どうだ?!これは大発見じゃないか?」話し終わった後に、俺は自信満々にニコルにきいた。
そのときの俺は、初めて地球が丸いことに気がついた科学者くらいに得意満面だった。ノーベル賞ものだと思っていた。
だが、ニコルの返事は予想以上に冷たいものだった。それはおそらく南極くらいの冷たさだったとおもう。
「はぁ・・聞いて時間の無駄でした。ボク、ちょっと隊長のとこにいきますからこれで」と、あいつは言い放ったのだ。
それだけじゃない。
あいつはじと、っと冷たい目で俺を見た後、そんなこと考える暇あったら戦闘訓練でもしたほうがいいですよ、とぬかしたのだ。
俺は怒った。その場でそのブロッコリーみたいな髪型にマヨネーズをかけて食べてやろうと思ったほどだ。
だが、やめておいた。所詮、15歳のまだ毛も生え揃わないような餓鬼にはこんな大発見が理解できないのだろう。バカだ。阿保だ。とんまだ。
ベッドの下にエッチな本を隠すくらいバカなやつだ。ふふん。チェリーはこれだから困る。
ニコルが去っていった後、俺は冷たいコーラを一気に飲み干して口を拭いながら、そう結論付けた。