2 『アドリブ総帥』 ギレン・ザビ
とある開店間際のパチンコ店内。そこに一人の眉毛のない男がいた。ギレンである。
「角台にすべきか・・それともその隣の台にすべきか・・」
ギレンは呟いた。彼は最近、仕事をさぼってパチンコに入り浸っていた。はまりまくっていた。
キングゲイナーと勘違いして、キングパルサーを打って大勝ちしたのに味をしめていたのだ。
今では、その天才的な台選びとセンスで、アドリブ総帥と店員にいわれるまでの実力になっていた。
そのとき、彼、ギレンの脳裏に一筋の閃光が走る。
「ここでアドリブがきかないやつは!」
角台だ。ギレンはマイルドセブンライトを投げ込むと、どっかりと腰を下ろした。あたりの客はびびって逃げる。
だが、一人の女性がギレンのほうにつかつかと、臆することなくちかよってきた。
「ふふふ。兄上も以外と甘い台選びのようで・・」
「き、貴様は!」
まるで錦糸町辺りにいるクラブのママのごとく厚化粧した女がギレンの隣に座る。じろり、とギレンは睨む。
「キシリア・・軍務はどうした。」
「なぁに。私がいなくても、どうということはありませんわ」
「ふ・・スロット勝負でこの私に勝つつもりか?」
「無論・・」
兄弟の間に、雷鳴がとどろく。ガルマは、こいつは凄いことになったよぉ、と興奮している。
アドリブ総帥と、最強の女スロッターキシリアの一機撃ちだ。
「ちょっとまってもらおう!」と、声が上がった。
「な、なにー!お前らー!」ガルマがお約束の声をあげた。
パチンコ帰りのパプテマスシロッコ、獣王の通常時の15枚役を常にとることができるカミーユ・ビダン。
彼らも参戦して四人での勝負になった。勝負台はこれだ。
スロット『宇宙世紀』
今現在、公国、連邦とわず大人気のスロット台だ。アナハイムエレクトロニクス社の開発した新台である。
台には、でかい液晶がついていて、短時間で万枚にいく可能性があるところが魅力だ。
液晶のアクションの豊富さも人気の秘訣である。全世界で一億台は売れていた。
「あえて、いおう!設定6であると!」ギレンは断言して、キシリア達にプレッシャーを与えていく。
そのとき、店内にベルが鳴る。勝負開始だ!
彼らは高速でコインを投入して、レバーを叩いた。
ギレンとキシリアの台のリールが回転する。が、シロッコのは動かない。いくらコインいれても台をたたこうとも動かなかった。
「うごけ!台!なぜうごかん!」シロッコは泣き崩れた。(パプテマス・シロッコ再起不能。)
開始十分後。残る三人は未だにビッグなし。投資金額は3000円目に突入していた。
キシリアの台の液晶に動きがあった。それをみて彼女は笑った。
「ふふふ、兄上。悪いけれど、こちらが先制のようね」
「なに!?な・・そのキャラは!」
ギレンは動揺した。
キシリアの台の液晶には、アムロ・レイがl黄色のハロを持っている姿が映っていた。
「ふふふ。アムロが、黄色のハロをもって出てきた時は、ほとんどがベルか、ビッグ!いただきね!」
キシリアの指がすべる。ビッグを確信して。が、・・・ベル!「ファック!」キシリアが叫んだ。
「フフフフフ・・今度はこちらだな!さぁ、みるんだ!」
「な!ピグザム!」
そうギレンの液晶には宇宙空間に悠然と浮かぶピグザムとコアファイターが登場していた。
「これはこの後にスレっガーがあの言葉をいえばビック確定!」ギレンが笑う。
「くそ!」と、キシリアが悔しそうにハンカチを噛んだ。ギレンは固唾を飲んで、液晶を見守った。
液晶にはコアファイターが映っていて、スレッガーの姿がみえた。彼が、叫んだ。
スレッガー 「かなしいけど、これってレギュラーなのよね!」
「あえていおう!レギュラーなんてカスであると!」ギレンは、激怒した。