「・・・隊長・・・」
サンダースが思いつめた表情でシローの部屋に入って来る
(シローの部屋といってもバルク村の住人から間借りしたものだが・・)。
「どうしたんだ、こんな時間に?サンダース、さては寝酒が足りなかったのか?」
自分も暗い気分だったが、思いつめた様子の部下を気遣い、努めて明るく声をかけるシロー。
「とりあえず、突っ立ってないでそこに掛けろ、楽にしていいぞ」
サンダースに傍らの木のベッドを勧める。
優しいシローの言葉にサンダースの中の『何か』が音をたてて崩れた・・
「ん?どうした?そこのベッドに・・・ 」
次の瞬間ベッドに横たわっていたのはシローだった。
「た、隊長、自分は以前から・・・・!」
サンダースこそ歴戦のツワモノだ。いくら鍛えているシローでも全く見劣りする。
サンダースの行動は彼がサバイバル・テクニックに長けていることもあって、悲しいくらいに
素早かった。
シローは背中にのしかかるサンダースの体重を感じながら耐えた。
その感情がいつの間にか違うものに変わっていたのを、シロー自信はまだ気づいていなかった。
「シ、シロー・・・い、いや隊長・・・」
すべてが終わったあと、無口なサンダースの方から声をかける。
シローはようやくあることに目覚めた自分に気づきながら、まだ押し寄せる、下半身の
ある一点の痛みに耐えていた。
「サンダース、いいんだ・・・もう、いいんだ。とにかくみんなで生きて帰るんだ・・・」
痛みに耐えながらも笑顔を返すシロー。
傍らではアイナの時計がゆったりと時を刻んでいた・・・