村上春樹的ガンダム

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108通常の名無しさんの3倍
「広いふかふかとしたベッドに横になりたいの、まず」とお嬢様は言った。「すごく気持ちがよくて
酔払っていて、まわりにはよしなにおばさんなんて全然いなくて、となりにはロランが寝ているの。そし
てちょっとずつ私の服を脱がせるの。すごくやさしく。お母さんが小さな子供の服を脱がせるときみたい
に、そっと」
 「ふむ」と僕は言った。
 「私途中まで気持ち良いなあと思ってぼんやりとしてるの。でもね、ほら、ふと我に返って『だめよ、ロラ
 ン!』って叫ぶの。『私ロランのこと好きだけど、私には結婚を申し込んでくれた人がいるし、そんなこと
 できないの。私そういうのけっこう堅いのよ。だからやめて、お願い』って言うの。でもロランやめないの」
 「やめますよ、僕は」
 「知ってるわよ。でもこれは幻想シーンなの。だからこれはこれでいいのよ」とお嬢様は言った。
「そして私にばっちり見せつけるのよ、あれを。そそり立ったのを。私すぐ目を伏せるんだけど、それでも
ちらっと見えちゃうのよね。そして言うの。『駄目よ、本当に駄目、そんなに大きくて固いのとても入らない
わ』って」
 「そんなに大きくないです。普通です」
 「いいのよ、べつに。幻想なんだから。するとね、ロランはすごく哀しそうな顔をするの。そして私、可哀
そうだから慰めてあげるの。よしよし、可哀そうにって」
 「それがつまりお嬢様が今やりたいことなんですか?」
 「そうよ」
 「やれやれ」と僕は言った。
109通常の名無しさんの3倍:03/06/19 20:19 ID:???
「ねえ今私が何やりたいかわかる?」とお嬢様が僕に訊ねた。
「見当もつきませんよ、お嬢様の考えることは」と僕は言った。
「あなたと二人で祭に出かけて裸になって、みんなの見ている前で背中にヒルを乗っけてあざのつけっ
こをしちゃうの」
「なんでそんなことするんです?」
「変質的な祭なのよ、それ」
「お嬢様の方がよほど変質的みたいですけど」と僕は言った。
「そして月から変なのがたくさん降ってきて、よくわからないまま石像から出てきた人形の狭いコクピット
に乗り込んじゃうの」
「それで?」
「私たち狭さをたっぷり楽しむの。ぎゅっと抱きついたり痛めた股の上に跨ったりして」
「それがお嬢様のいちばんやりたいことなんですか?」
「そう」
「やれやれ」と僕は首を振った。
110通常の名無しさんの3倍:03/06/19 20:21 ID:???
「ねえ、教えて。その人と寝たことあるの?」
「ありません」
「それはどうしてなの?彼女はあなたのこと好きじゃないの?」
「僕にはなんとも言えないんです」と僕は言った。「とても事情が混み入っているんです。いろんな問題
が絡みあっていて、それがずっと長い間つづいているものだから、本当はどうなのかというのがだんだん
わからなくなっているんです。僕にも彼女にも。僕にわかっているのは、それがある種の人間としての責
任であるということなんです。そして僕はそれを放り出すわけにはいかないんです。少なくとも今はそう感
じてるんですよ。たとえ彼女が僕を愛していないとしても」
「ねえ、私は生身の血のかよった女の子なのよ」とお嬢様は僕の首に頬を押しつけて言った。「そして私
はロランに抱かれて、ロランのことを好きだってうちあけているのよ。ロランがこうしろって言えば私なんだ
ってするわよ。私多少むちゃくちゃなところあるけど正直でいい子だし、よく働くし、顔だってけっこう可愛い
し、おっぱいだって小さいけど良いかたちしてるし、モビルスーツの操縦もできるし、お父さんの遺産だって
たくさんあるし、大安売りだと思わない?ロランが取らないと私そのうちどこかよそに行っちゃうわよ」
「時間がほしいんです」と僕は言った。「考えたり、整理したり、判断したりする時間がほしいんです。悪い
とは思いますけど、今はそうとしか言えないんです」







「わぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」とソシエは言った。