40 :
3/4:
――では、オリジナルビデオということで意識されたことはありますか?
飯田 ビデオというメディアでいうと『ガンダム』は十分商売になる。確実に5万本は見込
めるので、採算が十分に合う。そういう意味でいうと、商業的には後ろ向きなんで
すよ。極端な話、『ガンダム』ならなんでも売れるという部分はあるんじゃないかな?
――監督は新しい『ガンダム』を作るということにあまり肯定的では無い?
飯田 ユーザーが新しいものを求めていないという可能性も否定できないんですが、でも
『∀ガンダム』にしても、なんで富野さん、ガンダムやるんだろうか、と。『ブレンパ
ワード』作ったんだから、さらに別の方向に進めばいいのに、とも思いますけどね。
出来上がったフィルムにしても、どうかなと思うところもある。
――それはどういった部分に感じるのでしょうか?
飯田 今の作画スタッフって、大変力量があって、ものすごい画を作れる。でもそれを生
かしきれていない。作画がやりたいって言っても押さえ付けちゃうって話も聞いて
るし。
――ですが、そこには予算を考えて動画枚数を減らしたりということがある訳ですよね。
飯田 ええ。でもそれがどうしたんですか? それで絵がしょぼかったら「無能」って烙印
を押されるのは作画なんですよ。監督っていう仕事に関していうと、作品がおもし
ろくてなんぼ。予算内で効率よくやるといったことは、僕が考えることではないで
す。僕はそういう風に職分を分けて考えてます。