アニメージュ96年5月号
Wシリーズ構成の隅沢のコメント
先日、とあるパーティー会場で富野由悠季さんにお会いすることができました。
そこで「どうも制作サイドの作品に対するコメントというのは
言い訳めいててよくない。その点、お客(視聴者や読者のことだと思う)は
一番よく作品を理解してて真実を突いてくるものだ。ただし、何も考えず
娯楽を享受するだけでモノを言ってくる輩もいるから気をつけなくてはいけないよ…」
という趣旨のお言葉をいただきました。
幸いこの作品にファンの方々にはそういう人達が少なくて大変幸運だったと
思っています。皆さんが創造の翼を広げ説明不足ぎみの
世界(or人物に対して)を大きく羽ばたいていく光景は、我々スタッフの
狙い通りでもありとても喜ばしいことです。
(同人誌やパソ通も、もっともっと読みたいのですが、あまりの数でとてもとても…)
さて、そんな人達でも最後までよく判らんとおっしゃられた人物が
トレーズ・クシュリナーダだったようです。スタッフはこれでなんとか面目が
保てたようなものでホッと胸を撫で下ろしています。
ですから、ここでも説明はいたしませんが、ヒントだけは出しておこうと思います。
ヘルマン・ヘッセの中期の作品に「無常」という詩があります。
この紙面でその美しくも悲しい心情を語ることはできませんが、
(著作権の関係で)トレーズという謎の人物の内面と行動はこの詩にあると思います。
どうか興味のある方は読んでみてください。
きっと図書館でもすぐに見つかると思います。
とても短い詩ですから、すぐに読み終えてしまうでしょうし…
それでは最後まで応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。
また何かの形でお会いできるといいと思っています。
そしてその時にはドロシーの台詞が合言葉です。
「振り返るのはもう飽きましたから…」 1996年3月29日
ちなみにヘッセの「無常」は↓
ttp://www.isonuma.com/deutsch/htest.html スレ違いだけどアニメージュ同号のOVAレビューコーナー
あさりよしとおの近況コメントは
「他人のふんどしで相撲を取ることを否定はしない。
ただし、やるからにはデタラメな締め方でみっともない真似はさらすな。
あらゆる背徳行為は確信犯なら怖くない。
ただしそれを裏打ちするだけの資質は必要だが…」という内容でした。