前略
その依頼は、意外なところから来た.
教導隊。
彼らは、敵対勢力の用いる機体で、敵対勢力がと
りそうな戦術を模倣することで他の部隊と模擬戦
を行い、教え、導く。
別名 アグレッサー部隊。
戦後、彼らは捕獲したジオン製MSを使用していた。
当初のうちは潤沢にあった補修パーツではあるが、
連邦系の技術とはあまりにもかけ離れた技術体系
のもとに構成されているため、一つ一つの部品を
作り直すには、技術的には不可能ではないものの
あまりにもコストがかかりすぎ、戦後3年もたつと
MS-06系の予備パーツはそこをつく、というのが
教導隊の見込みだった。
Y中尉は、技術開発局に直訴した。
「敵はスペースノイドだ。当然、ザクが主力だ。俺たちは
ヨチヨチ歩きもままならないヒヨコどもに、ザクとの戦い
方を教えなければならん。それなのに、補修パーツの補給の
目処は立たないんだ。」
だから、なんとか、既存の連邦系パーツでザクの補修が出来
るような手を考えて欲しい、とY中尉は頭を下げた。
Y中尉は、生粋のアースノイドである。当然、最初に頭を下げ
たのはジャブロー本部である。
しかしながら、ジャブローのモグラは、そんな一士官の陳情な
ど無視した。
「性能的にはRGM-79だって06系に引けを取らんのだ。きみは
スペースノイドがとりそうな戦術を、既存の機体でトレース
すればよい」
現場を知らない将官たちの、たわごとだった。