【最強ロボット?】永野護スレ2【LEDだよ馬鹿】

このエントリーをはてなブックマークに追加
472MG誌永野インタビュー
──昔、MGで作例を製作した事もある永野さんですが、最近はガンプ
ラって作ってますか?

永野 ぜんぜん。あのころ3つ作ったのが最後で、そのあとは作ってな
いです(笑)。小田(雅弘)さんに触発されて、ザクを作って、ゲルグ
グを作って、それからシュツルム・ディアスを作った。この3個です。

──新製品はきちんと見てますか?

永野 いちおう見てるかな。

──でも買ったりはしない?

永野 ぜんぜん買いません、ガンプラは。プラモデル屋さんでキットを
見たりはしますよ。自分がデザインしたMSだけだけど。

──作ってた当時と今のガンプラって比べてみてどうですか?

永野 基本的には変らないんじゃないですか? 最近になってやっと設
定どおりの形になってきたな、とは思います。昔のキットは、いまと比
べてさらに激しく形が違ってましたからね。リック・ディアスのスネを
横から見たときのかたちは四角形で、誰が見ても3角形じゃないで
しょ!(笑)。

──小田さんに触発されたとおっしゃってましたが、それはどのあたり
に?

永野 たしか、『ホビージャパン』誌に載ってたやつだと思うんですけ
ど、小田さんの「肩のななめ落とし』っていうのを見て、こんなことを
やっている人もいるんだ、モデラーとしてオレも赤いザクを作ってみよ
うかな、と思ったんです。でも、なかなか作れなかった。なぜかってい
うと売ってなくて(笑)。東急ハンズに朝早くから並ぶのいやだった
し。で、ブームが一段落したころ、大学生だったんですけど、いっしょ
にバンドやってた連中が「ガンダムのプラモがけっこうおもしろい」っ
て言ってて、それで僕が最初に作ったのがたしか2000円のザクだっ
たかな? でも、フルスクラッチビルドのようなものだった。たとえば
『ファイブスター物語』だったら、生嶋さんのもあればボークスのもあ
るし、スケールものだったらエアフィックスとエッシーとハセガワを作
り比べたりできて、「このメーカーのラインが好き」って、自分の気持
ちを落とし込めるじゃないですか。でも、ガンダムではそれができない
から自分で改造して、それで自分の持ち味を出さなきゃならなかった。
それはそれでいいんですけどね。そのおかげで初期ガレージキットのス
キルも上がったようなものだし。
473MG誌永野インタビュー:03/05/20 20:30 ID:???
──設定の形のものがほしいっていうのがモチベーションだったんで
しょうか?

永野 いや。プラモデルを作っている人間にしてみれば、作りたいか、
作りたくないかだけじゃないですか(笑)。あとは、作っているうちに
どうやって自分の表現をしていこうかっていうヤツと、たとえば、タミ
ヤのキットとかでティーガー戦車のワイヤーの長さが違うってわかった
ら、オニの首を獲ったようにそれを集中的に直すヤツがいるみたな。そ
ういうものがモチベーションだと思うんですよね。あのころは、よくも
悪くもみんなが一所懸命徹底的に作ろうっていう時代でした。

──いまガンプラを作っている人たちをはたから見ていてどうですか?

永野 やっぱり、作っている人は偉大でしょ。いろいろな作り方があっ
ていいと思うし。あえて言いますけど、スケールモデルも同じで、「作
んねーのに新しい作品のことを言うな!」みたいなのはあります。
「作ったことあるんかい」って。そういう意味では、いちばん大切なの
は模型を作ってくれる次の世代がいるって事だと思うんだけど、若い世
代の開拓に対しては、いろいろな模型のなかでガンプラはこの20年間
いちばん貢献してますね。
 あと言えるのは、ガンプラモデラーはスケールモデラーに比べて恵ま
れてる。飛行機や戦車モデラーは、なんだかんだ言ってもやっぱり戦争
の道具を作っている後ろめたさがあって、そういうものを作ってるって
ことは、今の時代には社会的に許されないことでしょ? ボクたちのこ
ろは何も考えてなかったから素直に作れてたわけだけど、ここまで社会
が大人になっちゃうとそういうわけにはいかない。オレなんかは戦車を
作りながら「邪悪なモデラーだな」って思ってるけど(笑)。
 だから、ガンプラは恵まれてる。「ジオンマークカッコいい〜」って
いうのですむでしょ。『ファイブスター物語』も同じですけど、イデオ
ロギーと関係ないところで模型が作れるから。

──いまの、たとえば模型雑誌作例とかの模型製作スキルはどうです
か?

永野 模型のスキルって音楽の知識といっしょで、10年前にいろいろ
な知識を集めた我々よりも、新しい子が半年で集めた知識の方がスゴ
イっていうのがあると思うんですよ。我々の知らないことをいっぱい
知ってる。「20何年間オレはドイツ戦車を作ってきたぜ!」とナガノ
がわめいても、三ヶ月前から作りはじめて一所懸命に作りましたって子
に負けちゃうみたいなことってあるじゃないですか。スキルの高さは桁
違いでしょう。
474名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/20 20:31 ID:???
キュベレイの"L-MES2"という綴りは間違い
475MG誌永野インタビュー:03/05/20 20:32 ID:???
──では、いまのものを見て負けたなって思います?

永野 それはぜんぜんないっす。だってそれぞれ表現したいところも違
うわけだし、絵や音楽といっしょで、うまいからいい、ヘタだから悪
いっていうことじゃないでしょう。自分がどんだけ楽しめたかっていう
ことであって、他人から技術的に評価されてどうこうっていうものじゃ
ないし。

──今後こういうものを見てみたいっていうのはありますか?

永野 それもないです。少なくともガンダムでは。いままであまりにも
見すぎたっていうのがあるから。単体のMSとしてはおもしろいものが
たくさんあるんですけど、あまりにも細分化しちゃってる。いつも言っ
てるんですけど、「富野さんが監督したもの以外はガンダムであっても
ガンダムじゃない。だから、それ以外の作品で作られたMSや設定は
知ったこっちゃねえや」と。「なんで1年戦争のときにこんな変なMS
がいっぱい出てくるんだよ、ジオン公国にそんな余裕あるわけねぇだ
ろ! ゲルググとギャン作っただけでも拍手喝采で終わらなきゃだめな
んだよ!!」みたいな(笑)。

──デザインをした立場として、ガンプラに対して「本当はここはこう
なんだ」というふうに言いたくなるようなことはないですか?

永野 ないですよ。ガンダムって「人によって考えることがここまで違
うか!」みたいなことがあるでしょ。たとえばこの作例(1/100キュ
ベレイ)では外板処理入ってますけど、ボクなんかは「これっ
て12.5mm砲で穴があいちゃうんじゃないか?」って、外板処理が入っ
た時点でそう思っちゃう。たとえば、バイファムだったらいいんです
よ。あれは装甲じゃないっていう設定だから。でも、外板処理を見てそ
う思わない人もいるわけじゃないですか。相手がガンダムなだけに、
言ってもしょうがないですよね。
 いまボクが「ここはこうなんだ」って言ってガンダムやったら、以前
『ニュータイプ』誌に掲載したガンダムみたいに似ても似つかないもの
になっちゃう(笑)。『ブレンパワード』とか『シェルブリット』を見
ていただければおわかりいただけるように、最新の情報を最新のライン
で描いていけば、外見は同じでも根本的に違うものになります。同じま
までは個人的に許せませんから。たとえば「バーニア? なんじゃそ
れ?」ってなる(笑)。「そんな70年代的なものを付けるのか? ど
こにあるんだそんなもん! ふざけてんじゃねぇぞ、なんでノズルなん
てもんが存在するんだ」ってなっちゃう(笑)。水素噴射にすれば、ノ
ズルなんてものは必要なくなるでしょ。それに、だいたいMSが熱核エ
ンジンなんて、そんなもんのせてどーすんだよっていう(笑)。核弾頭
同士がぶつかりあう地上戦なんてできるわけない。オレがギレン・ザビ
ならMSを100機地上に降下させて、そこで自爆ですよ(笑)。でもい
まさらそういう設定をひっくりかえすなんてめんどうくさいから、もう
考えません。「キュベレイは違いますよ、『なんたらドライブ』で動い
てますよ」っていう自分設定は持ってますけど、それって「オレガン」
と同じレベルだからねぇ、たとえナガノの発言であっても。
476名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/20 20:34 ID:???
>>458
家に帰って確認してみたけどシェルっぽい画稿は一個だけだった。
やたら細い足首にハイヒール、触覚のような角とか。
これにノズルと胸部コクピットを付ければ漏れはシェルになっちまうと思うんだが。
477MG誌永野インタビュー:03/05/20 20:34 ID:???
──しかし永野メカはやはり永野メカであってほしいっていうファンの
気持ちはありますが。

永野 でも、MSの場合は永野メカというよりは「永野MS」ですから
ね。どう逆立ちしても「永野が担当したMS」っていうだけ。キュベレ
イだって肩とか脚のパーツはザクになるよう作ってあるし、胴体のなか
にザクが入ってる。

──ファンの心理としては、よりピュアなかたちでマスターグレード永
野版キュベレイがほしいというのもあると思いますが。

永野 「知ったこっちゃねぇよ、オレは。ガンダム? ほっといてくれ
よ」って感じですよ、ホントに(笑)。はっきり言っときたいんだけ
ど、なんでオレがガンダムをこんなふうに突き放しているかっていう
と、「ほしい、ほしい!」って言われて買い与えてる大人ばかりだか
ら。たまには「ぜぇったい買ってやんない!!」っていう大人がいたって
いいじゃないですか。「こんどのクリスマスにね」なんていう大人じゃ
なくて、ひと言「買ってやんない」っていう(笑)。「ユーザーがこれ
だけのぞんでるんですから、キュベレイをなんとかしてください」って
言われても、知ったこっちゃねーよ、みたいな。そのほうがおもしろい
じゃないですか。

──そういえば、『ファイブスター物語』にキュベレイの意匠が登場し
ましたよね。

永野 ええ、あれは遊びです。

──リニューアル版キット発売直後だったから、よっぽどゆるせなかっ
たのかなっていううがった見方も……(笑)。

永野 そういうわけじゃないです。さっき言ったような理由で、いまM
Sのキュベレイを書いたら『ニュータイプ』で描いたハンマ・ハンマに
なっちゃう(笑)。このMSは当時考えていたときから2発しか発射で
きなくて再装填もできない「オッパイミサイル」がついてて、富野さん
とかサンライズにあきれられてボツになっちゃったんだけど。「なんで
かな〜、こんなにかわいくてカッコいいのに」って力説したんですが、
ダメでした(笑)。ガンダムで思い残すことがあるとすれば、ホントに
この「オッパイミサイル」だけ!(断言)
478MG誌永野インタビュー:03/05/20 20:35 ID:???
以上、MG誌2002年7月号に掲載された永野インタビューでした。