【復活】俺もガンダムに出たい!【ユウ】

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896通常の名無しさんの3倍
「れなたんハァハァ…… でも寝取られEDなんだよNE!鶴来一家のバカヤロー!」
「うるせぇ、この穀潰し!エロゲーやってる暇があったら手伝え!」
「ちょっと、森さん!もうちょっと静かにやってくださいよ!」
 管理人のバーサンに怒鳴られ、二人して息を潜める。
 俺の名は森優。漫画家を志して東京に来たもののどこにも受け入れられず、バイトして一人暮らしの傍ら、漫画を描いている。
「ようするにロクな就職も出来なかった人生負け組の最後の手段」
 この弩畜生は居候のバニラ。モビルスーツという種族らしいんだが、どうもエンジン音がうるさくて敵わん。オマケに働きもしないのにしっかりメシは食う。
「まぁ落ち着けよ。俺だってメシ代くらい稼いで来るさ」
「なに、バイトでもすんの?」
「五条公園にかき氷屋のオッサンがいるだろ?夏祭りで他の屋台もやるんだけど、俺に任せてくれるって」
 そういえば今日から二日に渡って地元の夏祭りだ。
「バイト代は歩合制、ある程度売れれば他の町会にも呼ばれる。しかも余った商品はちょっとくらい分けてくれるってyp! 金になって食い物も分けてもらえるなんて何たるビッグビジネス!そんな訳で俺の前に跪け、負け組!」
 そもそもコイツに負け組云々言われる筋合いは無いのだが、金と食料のためなら機嫌を損ねて独り占めされるわけにも行かないので、俺は上っ面でバニラを神と崇めながら仕事に励むことにした。

 夕方、バニラが出かけてしまうとここも随分静かになる。耳を澄ませば開け放った窓から何とか音頭が聴こえるが、俺には関係ない。いい年して縁日でもなし、一緒に出かける相手もなし。
 それにしても、相方がいないほうが仕事が捗るとはどういうことか。

 二日後の深夜、テキ屋と飲んできたらしいバニラが帰った。せっかくの稼ぎを全部使ったらしいのでとりあえず鉄拳制裁。
 まぁいい。売れ残りには手をつけなかったみたいなので、いただこう。
「……それでさ」
「なんだい?」
「コレ食うの?」
「何か文句あるか?ウマいらしいぞ」
 俺たちの眼前に現れたのは、地色の黄色から黄緑、橙までのカラフルなフワフワした物体。
「ウマいも何もカラーヒヨコじゃねぇか!今時こんなの売ってンのか!?」
「黙れ、貴重なタンパク源だぞ! ……まぁ俺はモビルスーツだから、いざとなったらタンパク質なんて無くても生活できるがな!」
 そう言いながらも棚から油とフライパンを探し始めたバニラを制し、俺は明日になったらヒヨコを近所の子供たちに配る事にした。

 その際バニラが何か妙な事を子供たちに吹き込んだらしく、何故かか俺が母親達に制裁を受けることを、その時はまだ知らなかった――