【調停】相談スレ【裁判】

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253離婚さんいらっしゃい
山形新聞「提言」
「親に会えない」悪影響 : 離婚後も子供の福祉が第一、分離の現状 早急に是正
東北公益文科大 講師 益子行弘

菅内閣が今年5月、国際結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約に加盟する基本方針などを
閣議了解して以降、政府内に、親子に関する法律、特に離婚後の親子関係に関する法律を整備する動きがある。
背景には、日本の国内法において離婚後、片方の親にのみ親権を定め、親権を持たない親(別居親)と子どもが会う権
利が保障されていないことが挙げられる。
家庭裁判所も別居親には子どもとの面会をなかなか認めない傾向にあり、そのやりようから、家庭裁判所は
「親子分離機関」とやゆされることもある。
父親、母親を問わず、離婚時に子どもを連れ去られてしまうと、以降は会うことすら許されず、一生生き別れになって
しまうことも日本では珍しいことではない。
別居親が子どもに会いたい場合、まずは監護親に面会を求めるが、監護親が拒んだ場合は、家庭裁判所に調停
(面会交流調停)を申し立てることができる。
面会交流調停では、客観、中立の立場から、調停委員や調査官が両者の言い分を聞きながら解決を図ることになっている。
しかし、実情は違い、たとえ別居親にDV(家庭内暴力行為)や虐待がなく、監護親側に離婚の原因があったとしても、
監護親が「会わせない」とすれば、それが尊重される傾向にある。別居親が子どもに会う権利、子どもが別居親に会う権利
を明記した法律がないためではあるが、子どもの福祉よりも、監護親をいかに説得するか、いかに許可してもらえるように
するかといった視点で調停は進められるのである。
調停でまとまらず、審判(裁判所が終局判断を行う)に移行したとしても、月に1、2度、1〜2時間程度の面会が認めら
れる程度であり、写真数枚を別居親に送りさえすればいいと判断されるケースもある。
すなわち、家庭裁判所においては、別居親の役割はその程度で十分であるとの認識なのである。
一方、監護親が子どもに対し、別居親と引き離す態度を取ることで、子どもの精神的不安定を引き起こす事例が多々報告さ
れている。
これはPAS(片親引き離し症候群)と呼ばれ、監護親が子どもに対して別居親の誹謗(ひぼう)中傷を吹き込み、別居親
の悪いイメージを持たせ、別居親から引き離すよう仕向けている状況を指す。PASは子どもに、さまざまな情緒的問題や
対人関係上の問題を長期にわたり引き起こすことが明らかにされており、心理専門家からは虐待行為であるとの指摘もある。
われわれが山形県内で行った調査でも、別居親と引き離されている子どもは、別居親との関係が良好な子どもに比べて、自己
評価や自己肯定感が低く、対人不安感が高いことが示され、欧米や日本の他地域での調査と同様の結果が得られている。
理由はどうであれ、離婚によって一番被害を受けるのは子どもである。根本的な解決には親権制度の改正が必要かもしれない
が、子どもの福祉を第一に考えるのであれば、親権以前に、まずは子どもへの悪影響を最小限にとどめるにはどうすれば良い
かという視点で議論し、実の親との分離を行っている現状を早急に是正する必要があるのではないだろうか。


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