◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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93お前名無しだろ
「西村さん……俺、分からないんです……」
藤田は目を伏せながら、話し始めた。
「西村さんのこと、放っておけなくて、連れ出したけど……
 でも本当は、迷ってるんです。プログラムに乗るべきなのか、抵抗するべきなのか……」
藤田の唇が、微かに震えはじめる。
「勿論、人殺しなんてしたくない。でも、誰かに殺されるのも嫌だ……
 生き残る選択肢が一つしか無いのなら、それに乗るのも、仕方ないのかな、って……」
二人の周囲を、霧が覆いはじめた。
少し肌寒い空気の中、互いの目を見つめる二人。
沈黙の時間が、流れて行く。
「西村さん……あなたは、あの人に最後に闘魂伝承してもらった人。
 俺も最近は闘魂伝承してもらったけどあの人の現役最後の張り手は!そうですよね?」
西村は一瞬返答に迷ったが、小さく、こくん、と頷いた。
「……そんな人が近くにいたら、俺、冷静に今を判断出来ないんです。
 答えを出せないまま、感情に流されるまま……あなたを殺してしまうかもしれない。だから……」
そして藤田は、銃を構えた。
サイレンサーを装備したベレッタM1934コマーシャルが、西村の顔に向けられる。
「だから、ここで別れよう……俺の気が変わらないうちに、行ってください」