◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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62お前名無しだろ
西村の胸に、悔しさと怒りがこみ上げてくる。
「こんな、こんなことって……法律だからって……こんなのおかしいぃ!理不尽だぁ!」
西村の嗚咽が玄関中に響き、やがて廊下や階段へと伝わって行く。
その音を聴きながら、カシンは荷物を抱え、裏口へと歩き始めた。
そしてその途中、一人のごついレスラーとすれ違う。
最後に出発した参加者、藤田和之だ。
彼がちょうど階段を下りたその瞬間から、この銃撃戦は始まっていた。
そして藤田はその一部始終を、身を隠しながら、じっと見ていた。
カシンがここでは攻撃しない(出来ない)事は判っていた。
だがそれでも、カシンが近付く度に、足が勝手に一歩、二歩と後ずさりを始めてしまう。
カシンは藤田とすれ違うと、ふと立ち止まり、振り返ってじっと藤田の顔を見た。
「フッまたな……」
カシンは寂しげな顔でそう呟くと、裏口へと駆け出して行く。
藤田は、ただじっと彩子を見送る事しか出来なかった。
哀しい泣き声が、いつまでも響いていた。