◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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4871さん代打 ◆oOfl/2go
パンッ!パンッ、パンッ、パンッ!
店の奥と言っても、元々広い店ではないので外の音が良く聞こえてくる。
ライガーの叫び声も、何を言ってるのかわかるぐらいに聞こえた。
それによって、ライガーが絶命した事や
銃でライガーを撃ったのがカシンである事がわかった。
「カシン・・・殺っちまったか・・・」
金本がため息混じりに呟いた。
「アイツにだけは会いたくないなぁ。アイツなら、何の躊躇いもなく殺りそうだし」
「でも、生きている限り絶対どこかで顔を合わせる羽目になりますよ。
 俺は・・・戦いたくないですけど」
「・・・襲ってきたら、最低でも一撃食らわさないとアカンかもなぁ。
 話してわかるヤツじゃないやろ、アイツは・・・」
イザとなったら、殺らねばいけない・・・。自分を守る為にはそれしかない。
それでも、殺したくない。仲間を殺るなんて出来ない。
でもカシンは、殺ってくるに違いない。
(どうすればいいんだ・・・どうすれば誰も死なずに済む!?)
稔は必死に考えを巡らせた。でも、何も浮かんで来なかった・・・。
「金本さん、とりあえず今はここから脱出しましょう!
 カシンと顔を合わせる前に・・・」
稔がそう言いかけた時、バンッ!と勢い良く店の入り口のドアが開く音がした。
「まさか・・・カシン!?」
「念の為、防弾チョッキ着ておくか。しかし・・・最悪やな」
二人は息を潜め、防弾チョッキを着込んだ。カシンに見つからない事を祈りつつ・・・。
4881さん代打 ◆oOfl/2go:2001/08/19(日) 11:58
「・・・ん?もう誰か来た後なのか?」
叩き割られたショーケースが、誰かが物色した後である事を物語っていた。
「使えそうな物は残ってないか・・・ん?」
カシンは足元に何かが落ちているのを見つけた。
「このタオル・・・金本さんか」
落ちていたのは「E・YAZAWA」と書かれたタオルだった。
店の奥に逃げ込む時に落としたらしい。
矢沢永吉ファンの金本は、このタオルをとても大事にしていて
いつも肌身離さず持ち歩いていた。
「金本さんがこのタオルを落としたって事は、よっぽどアセっていたって事か」
カシンはグルリと店内を見渡した。まだこの店の中にいるかもしれない。
カシンは右手に拳銃、左手に盾代わりのジェラルミンケースをかまえて
ジリジリと店の奥へ歩を進めた。

「・・・カシン、こっちに向かってきてるみたいですよ」
稔が声を潜めて言った。
「バレたのか!?何で人がいるってわかったんだ!?」
金本は自分のせいである事をまだ知らなかった。
「しゃあない・・・来たら先制攻撃するしかないな」
「武器は使っちゃ・・・そういや金本さん、武器、何でした?」
二人は動揺していたのと最初から殺し合いをする気がなかったので
支給された武器が何であるかを未だに確認していなかった。
二人はカシンに気づかれないようにソッとデイパックの中を改めた。
金本に支給されたのは、シリンダー式の拳銃だった。
「ま、手足を狙えば殺さずに済むか・・・稔、お前のは?」
「金本さん・・・これ、何でしょう?・・・」
4891さん代打 ◆oOfl/2go:2001/08/19(日) 11:59
稔のデイパックから出てきたのは、黒い小さな箱だった。
てっぺんに赤いボタンがついており「迷わず押せよ 押せばわかるさ」と書いてあった。
「押せばわかるって・・・押してみるか」
「あ、稔!押すな!それってたぶん・・・」
「え?」
カチッ。金本が言葉を言い終わる前に、稔はボタンを押してしまった。
すると箱の正面のパネルが動き出し、中からデジタルパネルが現れた。そして
「元気ですかーっ!」
突然、猪木の雄たけびが箱から聞こえてきた。

「・・・ん?」
猪木の声に、カシンの動きが止まった。
猪木の声が聞こえてきたという事は、何か良くない知らせに違いない。
金本達も同じだった。嫌な予感がする・・・。
そんな彼らの気持ちはお構いなしに、猪木の声は流れつづけた。
「元気があれば殺し合いも出来る!・・・エー、この箱は時限爆弾です。
 今、ボタンを押した事により時限装置が作動しました!
 制限時間は5分!5分経ったら爆発するぞコノヤロウ!
 みんな頑張って5分以内に逃げたまえ。
 尚、このボックスに衝撃を与えたり分解しようとするとその場で爆発するから注意するように!
 では諸君の健闘を祈って・・・いくぞーっ!イーチ、ニーッ、サーン、ダーッ!」
・・・猪木の能天気な声が聞こえなくなったのと同時に、デジタルパネルが作動し始めた。
「4:59・58・57・・・」時間はどんどん過ぎていく。