◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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403◆ZNLiv1KU
一度目の放送直後、猪木の周りは非常な喧騒に包まれていた。
それは放送の一時間ほど前、猪木からの無茶な提案によるものだった。
「ヨシッ!引退したヤツや関係者も参加させよう!!」
「!?…今からですか?」
ずっと猪木の傍に侍っている佐山聡が聞き返した。
「あぁ。装備はすぐ用意出来るだろう?発信機は…そうだ、旧式の首輪あったろ?
あれならすぐ付けられる。うん、我ながら名案だ!ハッハッハッハッハッ…」
この提案は当初の目的『真の格闘家』を選ぶと言う物から大きく逸脱する。
しかし猪木には相当の無茶でも強引に実行出来るほどの権力が与えられていた。
「さっさと居場所の分かるヤツから適当に連れて来い!!」
「分かりました。では放送でその事をお伝えに?」
佐山はわずかな動揺も見せず答えた。
「いや、少しこのまま知らせずにやってみよう。アイツらの驚く顔を考えてみろ!?
めちゃくちゃ楽しみじゃないか!!」
いつもながらのこの猪木の自信に溢れた横暴は、佐山を身震いさせた。
決して恐怖心などではない。最高の悦楽のためだ。
自称『世界一の猪木ファン』佐山は嬉しくて堪らないのだ。
(死ぬまでA・猪木の人生を間近で見続けられるオレは、なんて幸せなんだろう!!)
佐山の顔からは抑えようも無い笑みがこぼれていた。