◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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384もうちょい ◆ZNLiv1KU
橋本はぼんやりした意識の中で小川の事を考えていた。
初めて戦った試合から、さっき自分の傷を必死で縫い付けてくれた姿まで。
橋本は今まで戦いから友情が生まれるなどと言うのは詭弁でしかないと思っていた。
[格闘技なんて所詮ケンカと同じだ。他人をブン殴って友情なんて生まれるハズが無い]
柔道をしていた頃から、競い合う相手は敵だった。
同じ階級のヤツと仲良くなんて出来なかった。勝つ事だけが自分の目的だった。
レスラーになってもジュニアの人間の方が仲良くできた。
例えタッグを組んでも完全に信頼することなど一度も出来なかった。
しかし今小川に対して抱いている想いは全幅の信頼だった。
極限状態のなせる業なのかも知れない。しかしもうどちらでも良かった。
今なら小川は親友だと胸を張って言える。その確信が何より幸せだった。

ふと橋本が廊下の足音に気付いた時、足音の主がトイレに戻ってきた。
「なぁ小川…無事に帰ったらオレの家に来てくれよな……」
目を閉じ声は少し震えていたが、出来るだけはっきり聞こえるように言った。
「…じゃあちょっと……寝るわ…」
言い終え、まどろむ意識の中で額に冷たい物が当てられた。
(…そこまで…してくれなくても……いいのに…)
感謝の言葉と共に意識が途切れる瞬間、頭部に軽い圧迫感を感じた後
橋本の意識はブラックアウトしていった。
385◆ZNLiv1KU:2001/08/18(土) 03:28
小川は嘔吐していた。止まらなかった。
もう十分間近く経ったのではないだろうか。
しかし胃液すら出なくなっても止まらなかった。
その傍らにはスーツを布団代わりに橋本が寝転んでいる。
ただ熟れたスイカを地面に落としたようなものが頭の代わりをしていたが。

小川がビルのトイレに帰り着いた時、既に橋本の生命には終止符が打たれていた。
明らかに他人の手によって。
わけがわからない。?????????何故?いつ?誰が?????????
常に前向きだった小川の思考は停止した。

そして込み上げる嗚咽は一時間以上続いた……