◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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376もうちょっと ◆ZNLiv1KU
小川はとりあえずバー備え付けられていた救急箱で橋本に応急処置を施した。
いくら格闘家でも腹部を銃で撃たれた時の急所などわかる筈も無い。
とりあえず横っ腹のキズで銃弾が貫通していたのが小川の気休めにはなった。
続けて橋本の傷口を冷やそうと流しに向かった時、小川の身体が凍りついた。
サムライが本来寝転んでいるべき場所にいないのだ。
煙のように消えたのでなければ、サムライが今いる場所はカウンターの向こうか
外に逃げ出したかだ。だが外に出たのならばドアからにせよ窓からにせよ
気付かないと言うことはまずあるまい。
そして最悪なことに武器は二つともカウンターの外にある。
しかもどの方向に放り投げたのかも覚えていない。
サムライは次の瞬間にでもに襲ってくるであろう。
小川が足音を立てぬよう姿勢を低くし摺り足で後ずさったその時、
カウンターからボウガンを構えたサムライが顔を出した。
この戦いで小川はとても幸運だったと言えるのかも知れない。
まず床にボールペンが転がっていた事。
そして今サムライが小川の真正面に現れた事。
何より勘違いして橋本に襲い掛かった事!
小川はサムライがボウガンを放つよりも早くフリスビーでも投げるかのように
さっき流しで拾ったモップの柄の先、金属でできたT字形の部分を全力で投げつけた。
柄の先は、小川に殴り飛ばされ未だに意識が朦朧としていたサムライの顔面の芯を
完全に捕らえた。

T字の片方の先端ががサムライの右眼にめり込んだ。
もう二度と右眼を使うことは出来ないだろう。
予想だにしなかった衝撃にサムライは自らの放ったボウガンの矢の行方を
確認する事も出来ずに、閉じられていたバーのドアの鍵を開け外へと飛び出した。
右手で目をおさえ左手にボウガンを持ったままサムライは路地の奥へと消えて行った。
定まらない意識の中で呪詛の言葉をつぶやきながら…